JP5941182B2 - 感震型加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、振動を捕捉し、捕捉した振動が地震振動と判断したときは安全性確保のために加熱を停止するように構成された加熱調理器などの感震型加熱装置にかかわり、詳しくは、振動が人為的な操作など地震以外の振動(人為振動)に起因する場合には無闇な加熱停止を避けるように制御する技術に関する。
従来、振動検出手段や感震センサが加熱装置に加えられる振動を検出し、それが一定以上の大きさであれば加熱を停止する加熱調理器(ガスこんろ、電磁誘導加熱装置)などの感震型加熱装置が知られている。この感震型加熱装置では、地震による振動レベルが一定以上のときに加熱を停止して安全を確保することができるとされている(例えば特許文献1,2参照)。
特開2002−75621号公報 特開平9−243073号公報
しかし、加熱調理器に加えられる大きな衝撃は地震振動に限ったものではない。加熱調理器の加熱部上に載置した加熱容器を上下動させた場合や、特にフライパンなどの鍋振りを行った場合、また、魚などを焼くためのグリルを具備する加熱調理器においてグリル前面の開口部の扉を閉じたときなどにも、大きな衝撃が加えられる。
上記の感震型加熱装置では、地震以外の原因による振動で、しかも、加熱を停止する必要がない振動(このような振動を本明細書では「人為振動」と呼ぶことにする)が装置本体に加えられた場合にも加熱を停止してしまうことになり不都合である。
本発明は、このような事情に鑑みて創作したものであり、地震振動と人為振動の明確な識別を通じて、人為振動の場合には加熱を停止せず、しかも、地震振動の場合には確実に加熱を停止する、安全で使い勝手の良い感震型加熱装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決する上で本発明は次のように考える。本発明を理解する上で参考となる概念を示す図1(a)を参照しながら説明する。E1は供給されてくる加熱用エネルギによって被加熱物を加熱する加熱手段、E2は遮断信号を入力したときに加熱手段E1への加熱用エネルギの供給を遮断し、遮断信号の入力がないときには加熱用エネルギの加熱手段E1への供給を維持する遮断手段、E3は遮断手段E2に対して遮断信号を出力しあるいは遮断信号の出力を停止することによって、遮断手段E2を制御する制御手段である。
振動レベルが一定に達しない相対的に小さなものである場合には、加熱を停止させる必要がない。また、振動レベルが一定に達する相対的に大きなものである場合には、加熱を停止させる方向性をもつが、無条件にそのようにするのではなく例外を設ける。つまり、振動レベルが一定に達したときに必ず加熱を停止させるとするのが従来の考え方であるのに対して、本発明では加熱継続の許容範囲を設けることとする。
振動レベルの判断には加速度を用いる。E4は感震型加熱装置に印加される振動の加速度を検出して加速度信号を出力する加速度検出手段である。加速度検出手段E4で検出した加速度信号の振幅が一定に達しない場合は、加熱を継続させ、加速度信号の振幅が一定に達した場合には、それが地震振動に起因する場合には加熱を停止させるが、地震振動に起因するのではなく人為的な振動(人為振動)によるものである蓋然性が高い場合には、加熱を停止させる必要はなく、加熱継続を許可する。
地震振動と人為振動を識別するのに、検出で得られた加速度信号の周波数の違いを利用する。E5は加速度検出手段E4による加速度信号の周波数を検出する周波数検出手段である。地震振動の周波数は、人為振動の周波数に比べて低いのが一般的な傾向である。この周波数の違いは、周波数検出手段E5を用いることで明確にできる。
制御手段E3は、周波数検出手段E5によって検出した加速度信号の周波数を判断する。地震振動と人為振動とでは、加速度信号の周波数は、地震振動ではより低く、人為振動ではより高くなる。この加速度信号の周波数の高低の違いを、地震振動と人為振動の識別に利用する。
図2の(a)〜(e)は、加速度検出手段E4による加速度信号の振幅Aと周波数検出手段E5による加速度信号の周波数Fとで決まる特性点の2次元平面のいくつかの典型例を示す。斜線のハッチングで表す領域のQsは、制御手段E3が遮断手段E2に対して遮断信号を出力すべき領域である遮断領域、点線で囲んで示す領域のQtは、遮断信号の出力を停止して加熱用エネルギを継続して供給する領域である供給領域、太線で示すBi(i=1,2…)は遮断領域Qsと供給領域Qtとを区画する閾値特性曲線である。このような閾値特性曲線Biを加速度信号の振幅Aと加速度信号の周波数Fとの関係であらかじめ定めておく。遮断領域Qsは、加速度信号の振幅Aが特定の振幅閾値Ath0以上で、かつ、加速度信号の周波数Fが特定の周波数閾値Fth0以下となる領域である。
制御手段E3は、加速度信号の振幅Aと加速度信号の周波数Fとで決まる特性点が遮断領域Qs内にあるときには、遮断手段E2に対して遮断信号を出力するものとする。また、制御手段E3は、特性点が遮断領域Qs以外の供給領域Qtにあるときには、遮断手段E2に対する遮断信号の出力を停止するものとする。
加速度信号の振幅Aと加速度信号の周波数Fとで決まる特性点の2次元平面の典型例を表した図2の(a)〜(e)に共通する考え方の基本は、次のようなものである。
加速度信号の振幅Aが規定の振幅閾値Ath0未満のときは、加熱は停止させることなく継続させる。これは、振動レベルが小さいので、地震振動によるか人為振動によるかに関係なく、加熱を継続させる場合に相当する。また、加速度信号の周波数Fが規定の周波数閾値Fth0を超えるときは、加速度信号の振幅Aが振幅閾値Ath0以上であっても、上記同様に、加熱は停止させることなく継続させる。これは、振動レベルは大きいが、振動周波数が高いことから地震振動の可能性が低く、人為振動である可能性が高い場合に相当する。加熱を継続させるというのは、制御手段E3から遮断手段E2に対する遮断信号の出力は停止させるということである。換言すれば、遮断信号は不活性状態(インアクティブ状態)にするということである。
さらに、制御手段E3は、上記以外の、加速度信号の振幅Aが振幅閾値Ath0以上で、かつ、加速度信号の周波数Fが周波数閾値Fth0以下のときには、原則として、加熱を停止させる。すなわち、制御手段E3による遮断手段E2への遮断信号を有効化する。これは、周波数の判断から地震振動の可能性が高く、しかも振動レベルが大きい場合に相当する。
ただし、本発明の基本的な考え方は、なるべく遮断領域Qsを縮小するということにあるので、必ずしも図2(a)のような直角の閾値特性曲線B1で遮断領域Qsを形成する場合だけでなく、図2(b),(c)のように階段状にしたり、図2(d)のように曲線状にしたり、図2(e)のように斜めの直線状にしてもよい。
以上の知見のもとに、本発明を理解する上で参考となる感震型加熱装置は、供給されてくる加熱用エネルギによって被加熱物を加熱する加熱手段E1と、遮断信号を入力したときに加熱手段E1への加熱用エネルギの供給を遮断し、遮断信号の入力がないときには加熱用エネルギの加熱手段E1への供給を維持する遮断手段E2と、印加される振動の加速度を検出して加速度信号を出力する加速度検出手段E4と、加速度検出手段E4による加速度信号の周波数Fを検出する周波数検出手段E5と、加速度検出手段E4による加速度信号の振幅Aと周波数検出手段E5による加速度信号の周波数Fとで決まる特性点が、あらかじめ加速度信号の振幅Aと加速度信号の周波数Fとの関係で定められている特定の領域である遮断領域Qsにあるときには遮断信号を遮断手段E2に対して出力し、特性点が遮断領域Qs以外の領域である供給領域Qtにあるときには遮断手段E2に対する遮断信号の出力を停止する制御手段E3とを備えた構成となっている。
この構成による作用は次のとおりである。
制御手段E3は、加速度信号の振幅Aと周波数Fとで決まる特性点が、あらかじめ定められた遮断領域Qsにあって、その振動レベルが高くしかも地震振動に起因する振動である可能性が高いと判定される場合には、遮断手段E2に対して遮断信号を出力し、加熱手段E1への加熱用エネルギの供給を遮断して加熱を停止させる。これは、振動レベルが一定以上に大きく、しかも、加速度信号の周波数Fが一定以下と低くて地震振動であると判断されることから、危険性の確実回避のため加熱を停止させている。
しかし、振動レベルが一定以上に大きい場合であっても、制御手段E3は、加速度信号の振幅Aと周波数Fとで決まる特性点が、あらかじめ定められた供給領域Qtにあるときには、安全上問題なしとして遮断手段E2に対し遮断信号は出力せず、加熱手段E1への加熱用エネルギの供給すなわち加熱は継続させる。これは、加速度信号の振幅Aが一定以上に大きくても、加速度信号の周波数Fが一定より高ければ、検出した加速度の原因が地震振動にあるのではなく人為振動にある可能性が高いことから、加熱を継続させることとしたものである。
以上のように本発明の参考となる感震型加熱装置によれば、振動レベルが一定以上でしかも加速度信号の周波数から地震振動と明確に分かるときに限って加熱を停止させ、それ以外のとき、すなわち、振動レベルが一定より小さいときと、検出周波数から振動レベルが一定以上ではあるが明確に人為振動と分かるときには加熱の停止は行わないようにしてあり、無闇な加熱停止を避け、しかも確かな安全性を確保している。
なお、上記において、被加熱物とは、調理物または調理物の容器のほか、加熱処理されるものであれば何であってもよい。
以上、本発明を理解する上で参考となる概要を説明したが、以下に、より詳しいレベルで本発明の参考となる構成を展開する。
上記の構成において、前記の遮断領域Qsについては、次のように設定するものとする。すなわち、図2の(a)〜(e)に例示するように、加速度信号の振幅Aが規定の振幅閾値Ath0以上でかつ加速度信号の周波数Fが規定の周波数閾値Fth0以下の範囲内に、遮断領域Qs(ハッチングの領域)を定める。供給領域Qtは、点線の囲いで示す領域である。
図2(a)の場合は、遮断領域Qsと供給領域Qtとの境界を定める閾値特性曲線B1が、互いに直交する2直線で形成される逆L形の特性曲線となっている(太線参照)。すなわち、加速度信号の振幅Aの領域を区画するのに基準となる振幅閾値Ath0が定められ、また、加速度信号の周波数Fの領域を区画するのに基準となる周波数閾値Fth0が定められ、遮断領域Qsは、振幅閾値Ath0以上で、かつ、周波数閾値Fth0以下の領域として定められている。
図2(b)の場合は、遮断領域Qsと供給領域Qtとの境界を定める閾値特性曲線B2が2段逆L形の特性曲線となっている。加速度信号の振幅Aの領域を区画するのに基準となる振幅閾値Ath0とそれより大きい振幅閾値Ath1とが定められ、また、加速度信号の周波数Fの領域を区画するのに基準となる周波数閾値Fth0とそれより低い周波数閾値Fth1とが定められ、遮断領域Qsは、振幅閾値Ath0以上で、かつ、周波数閾値Fth1以下の領域と、振幅閾値Ath1以上で、かつ、周波数閾値Fth0以下の領域とを論理和的に合わせた領域として定められている。これは、図2(a)の場合に比べて、[(Ath0〜Ath1)かつ(Fth1〜Fth0))]の領域([Qt])だけ、遮断信号の出力を停止して加熱用エネルギを供給する供給領域Qtの範囲が拡張されている。
また、図2(c)の場合は、遮断領域Qsと供給領域Qtとの境界を定める閾値特性曲線B3が4段逆L形の特性曲線となっている。加速度信号の振幅Aの領域を区画するのに基準となる振幅閾値Ath0とそれより大きい3つの振幅閾値Ath1,Ath2,Ath3とが定められ、また、加速度信号の周波数Fの領域を区画するのに基準となる周波数閾値Fth0とそれより低い3つの周波数閾値Fth1,Fth2,Fth3とが定められ、遮断領域Qsは、振幅閾値Ath0以上で、かつ、周波数閾値Fth3以下の領域と、振幅閾値Ath1以上で、かつ、周波数閾値Fth2以下の領域と、振幅閾値Ath2以上で、かつ、周波数閾値Fth1以下の
領域と、振幅閾値Ath3以上で、かつ、周波数閾値Fth0以下の領域とを論理和的に合わせた領域として定められている。これは、図2(b)の場合に比べて、[(Ath0〜Ath1)かつ(Fth3〜Fth2))]の領域([Qt])と、[(Ath2〜Ath3)かつ(Fth1〜Fth0))]の領域([Qt])とを合わせた領域だけ、遮断信号の出力を停止して加熱用エネルギを供給する供給領域Qtの範囲が拡張されている。
また、図2(d)の場合は、遮断領域Qsと供給領域Qtとの境界を定める閾値特性曲線B4が弧状に湾曲した特性曲線となっている。これは、図2(a)の場合に比べて、加速度信号の振幅Aが基準となる振幅閾値Ath0以上の領域で、かつ、加速度信号の周波数Fが基準となる周波数閾値Fth0以下の領域で、さらに弧状に湾曲した閾値特性曲線B4で囲まれた領域([Qt])だけ、遮断信号の出力を停止して加熱用エネルギを供給する供給領域Qtの範囲が拡張されている。
また、図2(e)の場合は、遮断領域Qsと供給領域Qtとの境界を定める閾値特性曲線B5が斜め直線状の特性曲線となっている。これは、図2(a)の場合に比べて、加速度信号の振幅Aが基準となる振幅閾値Ath0以上の領域で、かつ、加速度信号の周波数Fが基準となる周波数閾値Fth0以下の領域で、さらに斜め直線状の閾値特性曲線B5で囲まれた領域([Qt])だけ、遮断信号の出力を停止して加熱用エネルギを供給する供給領域Qtの範囲が拡張されている。
なお、図2(d)の場合は、弧状に湾曲した閾値特性曲線B4が上に凸となっているが、この逆で、弧状に湾曲した閾値特性曲線B4が下に凸(図2(e)の斜め直線より下に凹む)としてもよい。
ところで、上記の構成における好ましい態様として、前記の周波数検出手段E5を、図1(b)に示すように、加速度検出手段E4による加速度信号の高周波帯域を減衰させて高周波減衰信号を出力するローパスフィルタE51で構成する好ましい態様がある。ローパスフィルタは、周波数を弁別するのに簡便な手段である。
この態様においても、地震振動と人為振動を識別するのに、検出で得られた加速度信号の周波数の違いを利用する。地震振動信号の周波数は、人為振動信号の周波数に比べて低いのが一般的な傾向である。この周波数の違いは、ローパスフィルタE51を用いることで明確にできる。ローパスフィルタE51は、周波数の低い地震振動信号をよく通し、周波数の高い人為振動信号は大きく減衰させる(図10、図11参照)。そこで、ローパスフィルタE51の出力信号の大きさ(A2)と入力信号の大きさ(A)の比であるゲインGを判断する。ゲインGは加速度信号の周波数Fに応じて変化するが、この特性を利用してゲインを用いて制御する。
ローパスフィルタE51は、加速度検出手段E4による加速度信号を入力し、その高周波帯域を減衰させて高周波減衰信号を出力する。したがって、制御手段E3は、ローパスフィルタE51の入力側の加速度信号と出力側の高周波減衰信号を入力し、加速度信号の振幅Aに対する高周波減衰信号の振幅A2の比であるゲイン(G=A2/A)を判断する。ゲインGは、地震振動信号ではより大きく、人為振動信号ではより小さくなる。このゲインGの大小の違いを、地震振動と人為振動の識別に利用する。
図3(a)〜(e)は、加速度検出手段E4による加速度信号の振幅AとローパスフィルタE51による高周波減衰信号の加速度信号に対するゲインGとで決まる特性点の2次元平面のいくつかの典型例を示す。斜線のハッチングで表す領域のQsは制御手段E3が遮断手段E2に対して遮断信号を出力すべき領域である遮断領域、点線で囲んで示す領域のQtは遮断信号の出力を停止して加熱用エネルギを継続して供給する領域である供給領域、太線で示すUi(i=1,2…)は遮断領域Qsと供給領域Qtとを区画する閾値特性曲線である。このような閾値特性曲線Uiを加速度信号の振幅Aと高周波減衰信号のゲインGとの関係であらかじめ定めておく。遮断領域Qsは、加速度信号の振幅Aが特定の振幅閾値Ath0以上で、かつ、高周波減衰信号のゲインGが特定のゲイン閾値Gth0以上となる領域である。
制御手段E3は、加速度検出手段E4による加速度信号の振幅AとローパスフィルタE51による高周波減衰信号の加速度信号に対するゲインGとで決まる特性点が、あらかじめ加速度信号の振幅Aと高周波減衰信号のゲインGとの関係で定められている特定の領域である遮断領域Qsにあるときには遮断信号を遮断手段E2に対して出力し、特性点が遮断領域Qs以外の領域である供給領域Qtにあるときには遮断手段E2に対する遮断信号の出力を停止するものとする。
加速度信号の振幅Aと高周波減衰信号のゲインGとで決まる特性点の2次元平面の典型例を表した図3の(a)〜(e)に共通する考え方の基本は、次のようなものである。
加速度信号の振幅Aが規定の振幅閾値Ath0未満のときは、加熱は停止させることなく継続させる。これは、振動レベルが小さいので、地震振動によるか人為振動によるかに関係なく、加熱を継続させる場合に相当する。また、ローパスフィルタE51を通したときの高周波減衰信号のゲインGが規定のゲイン閾値Gth0未満のときは、加速度信号の振幅Aが振幅閾値Ath0以上であっても、上記同様に、加熱は停止させることなく継続させる。これは、振動レベルは大きいが、地震振動の可能性が低く、人為振動である可能性が高い場合に相当する。加熱を継続させるというのは、制御手段E3からの遮断手段E2に対する遮断信号の出力は停止させるということである。
さらに、制御手段E3は、上記以外の、加速度信号の振幅Aが振幅閾値Ath0以上で、かつ、高周波減衰信号のゲインGがゲイン閾値Gth0以上のときには、原則として、加熱を停止させる。すなわち、制御手段E3による遮断手段E2への遮断信号を有効化する。これは、ゲインの判断から地震振動の可能性が高く、しかも振動レベルが大きい場合に相当する。
ただし、本発明の基本的な考え方は、なるべく遮断領域Qsを縮小するということにあるので、必ずしも図3(a)のような直角の閾値特性曲線U1で遮断領域Qsを形成する場合だけでなく、図3(b),(c)のように階段状にしたり、図3(d)のように曲線状にしたり、図3(e)のように斜めの直線状にしてもよい。
以上の知見のもとに、本態様による感震型加熱装置は、供給されてくる加熱用エネルギによって被加熱物を加熱する加熱手段E1と、遮断信号を入力したときに加熱手段E1への加熱用エネルギの供給を遮断し、遮断信号の入力がないときには加熱用エネルギの加熱手段E1への供給を維持する遮断手段E2と、印加される振動の加速度を検出して加速度信号を出力する加速度検出手段E4と、加速度検出手段E4による加速度信号の高周波帯域を減衰させて高周波減衰信号を出力するローパスフィルタE51と、加速度検出手段E4による加速度信号の振幅AとローパスフィルタE51による高周波減衰信号の加速度信号に対するゲインGとで決まる特性点が、あらかじめ加速度信号の振幅Aと高周波減衰信号のゲインGとの関係で定められている特定の領域である遮断領域Qsにあるときには遮断信号を遮断手段E2に対して出力し、特性点が遮断領域Qs以外の領域である供給領域Qtにあるときには遮断手段E2に対する遮断信号の出力を停止する制御手段E3とを備えた構成となっている。
この構成による作用は次のとおりである。
制御手段E3は、加速度信号の振幅Aと高周波減衰信号のゲインGとで決まる特性点が、あらかじめ定められた遮断領域Qsにあって、その振動レベルが高くしかも地震振動に起因する振動である可能性が高いと判定される場合には、遮断手段E2に対して遮断信号を出力し、加熱手段E1への加熱用エネルギの供給を遮断して加熱を停止させる。これは、振動レベルが一定以上に大きく、しかも、高周波減衰信号のゲインGが一定以上と大きくて地震振動であると判断されることから、危険性の確実回避のため加熱を停止させている。
しかし、振動レベルが一定以上に大きい場合であっても、制御手段E3は、加速度信号の振幅Aと高周波減衰信号のゲインGとで決まる特性点が、あらかじめ定められた供給領域Qtにあるときには、安全上問題なしとして遮断手段E2に対し遮断信号は出力せず、加熱手段E1への加熱用エネルギの供給すなわち加熱は継続させる。これは、加速度信号の振幅Aが一定以上に大きくても、高周波減衰信号のゲインGが一定より小さければ、検出した加速度の原因が地震振動にあるのではなく人為振動にある可能性が高いことから、加熱を継続させることとしたものである。
以上のように、本態様によれば、振動レベルが一定以上でしかも高周波減衰信号のゲインから地震振動と明確に分かるときに限って加熱を停止させ、それ以外のとき、すなわち、振動レベルが一定より小さいときと、算出ゲインから振動レベルが一定以上ではあるが明確に人為振動と分かるときには加熱の停止は行わないようにしてあり、無闇な加熱停止を避け、しかも確かな安全性を確保している。
ローパスフィルタは簡便な周波数検出手段であり、コスト面で有利である。制御手段E3にはAD変換機能付きマイクロコンピュータ(CPU)が用いられるのが一般的である。マイクロコンピュータはサンプリング周期が短いものほど高精度な周波数弁別が可能であるが、サンプリング周期が短くなるほどコストが上昇する。そこで、なるべくコストアップを抑制するために、サンプリング周期の比較的長いものを用いたいとする要望がある。そうなると、デジタル方式で加速度信号の周波数を検出するデジタル周波数弁別回路では無理が生じる。そこで、アナログ方式で加速度信号の周波数を検出するためにローパスフィルタを用いている。すなわち、ローパスフィルタE51は、周波数の低い信号ほどよりよく通し、周波数の高い信号ほどより大きく減衰させる。そこで、ローパスフィルタE51の出力信号の大きさ(A2)と入力信号の大きさ(A)の比であるゲインGを判断する。つまり、高周波減衰信号のゲインGが大きいほど地震振動である可能性が高くなり、ゲインGが小さいほど人為振動である可能性が高くなる。ローパスフィルタE51のこの特性を利用して、加速度信号の周波数Fの判別を、高周波減衰信号のゲインGをもって判別し、その判別結果に基づいて加熱の停止・継続の制御を行わせる。結果として、周波数弁別にあまりコストをかけずに、高精度な周波数弁別を実現することができ、加熱の停止・継続の制御を正確に実現することが可能となる。
ところで、加速度信号の振幅Aが過剰に大きいときは、振動の原因が地震振動にあるのか人為振動にあるのかに関わりなく、安全性を確保するためには、加熱を停止するのがよい。そこで、図2(f)に示すように、加速度信号の振幅Aがかなり大きいある一定の値以上になったときには、加速度信号の周波数Fの如何に関わらず、必ず遮断手段に対して遮断信号を出力するという制御の手法を取り入れる態様が考えられる。この点は、閾値特性曲線が1段逆L形でも2段逆L形でも4段逆L形でもあるいは凸曲、斜め直線、凹曲のいずれの場合にも適用可能である。すなわち、上記の構成において、遮断領域Qsは、加速度信号の振幅Aが高位の振幅閾値AthH以上のときには、加速度信号の周波数Fの全実効領域にわたる範囲を占めるものとして設定されている。
あるいは、図3(f)に示すように、加速度信号の振幅Aがかなり大きいある一定の値以上になったときには、高周波減衰信号のゲインGの如何に関わらず、必ず遮断手段に対して遮断信号を出力するという制御の手法を取り入れる態様が考えられる。この点は、閾値特性曲線が1段L形でも2段L形でも4段L形でもあるいは凸曲、斜め直線、凹曲のいずれの場合にも適用可能である。すなわち、上記の構成において、遮断領域Qsは、加速度信号の振幅Aが高位の振幅閾値AthH以上のときには、高周波減衰信号のゲインGの全実効領域にわたる範囲を占めるものとして設定されている。
上記の構成において、加速度検出手段E4については、XYZの3軸方向の加速度信号を検出するように構成されているのがより好ましい。すなわち、装置本体における天板に沿った平面での直角な2軸であるX軸およびY軸での加速度信号と、天板に垂直な方向のZ軸での加速度信号との3軸方向の加速度信号である。このように構成すれば、地震振動の主成分につき、X軸方向の振動成分、Y軸方向の振動成分、Z軸方向の振動成分のうち、少なくともいずれか1つの振動成分を伴うものであれば、これを確実に捕捉して、より高い耐震安全性を確保することが可能となり、誤動作しにくい感震型加熱装置が構成しやすい。
装置本体の傾きを考慮する必要がある場合がある。傾きが大きいほど、大きな地震を被った場合に、装置本体の転倒のおそれが高くなる。ビルトインタイプの感震型加熱装置では、設置初期に装置本体を正確に水平姿勢で設置するのであまり問題にはならないが、据え置きタイプの場合には、断熱下地シートなどを敷いた上に装置本体を置くことがあり、設置初期に傾くことがある。また、初期に正しく水平姿勢で設置してあったとしても、使用中に何らかの要因で傾く場合もある。そこで、装置本体の傾き具合に応じて制御の態様を修正することとする。
ここでの態様は、図4(a)に示すように、装置本体の垂直線の鉛直方向に対する傾きの大きさを検出する傾き検出手段E6を備えており、制御手段E3は、図5に示すように、傾き検出手段E6による装置本体の傾きの大きさに応じて、その装置本体の傾きが大きいほど、遮断領域Qsの範囲につき、加速度信号の振幅Aのより小さい側へシフトさせる。遮断領域Qsの境界を定める閾値特性曲線Ui(i=1,2…。図2の場合はBi)につき、加速度信号の振幅Aの次元方向でより小さい側へ閾値特性曲線をシフトさせる。なお、本項での傾き検出手段E6は、図4(b)で説明する後述の、加速度検出手段E4と関連付けられた傾き検出手段E6とは異なり、必ずしも、加速度検出手段E4と関連付けられている必要はなく、独立した構成要素として考えてよい(もちろん、加速度検出手段E4と関連付けられていてもよい)。
図2(a)〜(f)のいずれのパターンにおいても、また図3(a)〜(f)のいずれのパターンにおいても、装置本体の傾きの大きさと振幅閾値Ath0,Ath0…AthHとの関係については、装置本体の傾きの大きさが増加するにつれて振幅閾値Ath0,Ath0…AthHを小さい側にシフトさせる。この小さい側へのシフトの仕方は、直線的(反比例)でもよいが、より高い安全性を確保するには、装置本体の傾きが大きくなるにつれてシフト割合を大きくするような仕方が好ましい(後述実施例の図22参照)。湾曲した曲線とする以外に、折れ線としてもよい。
本発明は、上記の構成において、さらに、装置本体での垂直線の鉛直方向に対する傾きの大きさを検出する傾き検出手段E6を備え、制御手段E3は、傾き検出手段E6による装置本体の傾きの大きさに応じて、その装置本体の傾きが大きいほど、遮断領域Qsの範囲を加速度信号の振幅の小さい側にシフトさせるように構成されているというものである。
このように構成すれば、感震型加熱装置が傾いて設置されている状態において、振動が印加されたとき、装置本体の傾きの大きさに応じて加速度信号の振幅の小さい側にシフトされた遮断領域Qsを判定基準として判定する。そのシフト後の遮断領域Qsに入る振動状態であれば、遮断信号を出力するので、装置本体が傾いているにもかかわらず、安全領域で加熱を停止させることができる。
傾き検出手段E6が装置本体の傾きの大きさを検出する場合の一つの態様として、傾き検出手段E6を加速度検出手段E4に関連付け、傾き検出手段E6が加速度検出手段E4による加速度信号に基づいて装置本体の傾きの大きさを検出するように構成することが可能である。その詳しい態様は次のようになる。
振動無印加時において、重力加速度によるX軸での加速度信号の振幅ベクトルXθとY軸での加速度信号の振幅ベクトルYθとを基にして、これら両振幅ベクトルの合成であるXY平面上合成ベクトルに対応した本体傾き指標HXY=(Xθ2+Yθ21/2を求める。装置本体の傾きが大きいほど、この本体傾き指標HXYは大きくなる。
制御手段E3は、本体傾き指標HXYの大きさに応じて、その本体傾き指標HXYの大きさが大きいほど、遮断領域Qsの範囲を加速度信号の振幅の小さい側にシフトさせる。
この構成によれば、傾き検出手段E6は、加速度検出手段E4の検出結果であるX軸での加速度信号の振幅ベクトルXθとY軸での加速度信号の振幅ベクトルYθとの2つの要素を用いて装置本体の傾きの大きさを求めるものであるので、要素の兼用化によるコストダウンを図ることが可能となる。
上記は、2つの要素を用いて装置本体の傾きの大きさを求めるものであるが、次に、3つの要素を用いて、装置本体の傾きの大きさとして、装置本体の垂直線の鉛直方向に対する傾き角度である本体傾斜角度θを検出する態様を説明する。
振動無印加時において、装置本体が正確に水平姿勢にあるときに検出される重力加速度によるZ軸での加速度信号の振幅をZ0 、装置本体の本体傾斜角度θ相当の傾き姿勢での重力加速度によるX軸での加速度信号の振幅をXθ、Y軸での加速度信号の振幅をYθ、本体傾き指標HXY=(Xθ2+Yθ21/2とすると、本体傾斜角度θは、
θ=sin-1(HXY/Z0 )
となる。そこで、傾き検出手段E6は上記の論理に従って本体傾斜角度θを検出する。
ここで、「sin-1」はアークサイン(arcsin)というもので、正弦関数sinの逆関数(逆正弦関数)のことである。すなわち、W=sinθのときθ=sin-1Wとなる。
上記の構成において、装置本体に振動が印加されていない振動無印加時の判定については、次のように行うのがよい。
一定周期のサンプリングで、X軸の加速度信号XnとY軸の加速度信号Ynと捕捉し、それぞれの変化が一定以下に小さければ、振動無印加状態であると判定する。傾き検出手段E6は、さらに次の処理を行う。サンプリングで得られた複数のX軸の加速度信号Xnと複数のY軸の加速度信号Ynに基づいて適正な代表値Xθ,Yθを決定し、それらの合成ベクトルの大きさ(Xθ2+Yθ21/2=HXYを求め、これを上式θ=sin-1(HXY/Z0 )に代入する。
このように構成すれば、感震型加熱装置が傾かない状態で水平に設置されたときに重力によって生じる水平加速度HXYはゼロであり、水平加速度がゼロ以外の値となった値に応じて感震型加熱装置の傾きを求めることになり、感震型加熱装置の傾きを正確に求めることができる。
傾き検出手段E6は、XYZ3軸の加速度検出手段E4の検出結果を利用して本体傾斜角度θを求めるものであるので、要素の兼用化によるコストダウンを図ることが可能となる。
本発明によれば、振動レベルが一定以上に大きくしかも検出周波数あるいは算出ゲインから地震振動である可能性が高いと判断されるときには加熱を停止させるが、振動レベルが一定以上に大きくても地震振動の可能性が低く人為振動であると判断される場合には加熱を継続させることとしているので、地震に対する安全性を確保しながらも、フライパンなどの鍋振り操作やグリル前面扉を開閉操作など、加熱を停止する必要がない衝撃による人為振動の印加時には加熱が停止されることはなく、安全で使い勝手の良い感震型加熱装置とすることができる。
本発明の感震型加熱装置の基本的な構成を説明するための概念図 本発明の参考例における加速度信号の振幅と周波数とで決まる特性平面の例示図 本発明の参考例における加速度信号の振幅と高周波減衰信号のゲインとで決まる特性平面の例示図 本発明の感震型加熱装置の構成を示す概念図 本発明の実施の形態における装置本体の傾きの大きさに応じて遮断領域をシフトさせる特性平面の例示図 本発明の実施例における感震型のグリル付きガスこんろの外観を示す斜視図 本発明の実施例1,2における感震型のグリル付きガスこんろのガス供給路および制御系を示す概略図 本発明の実施例1,2における感震型のグリル付きガスこんろの制御系を示すブロック図 本発明の実施例1,2における感震型のグリル付きガスこんろの加速度センサ周辺の回路図 ローパスフィルタの入力の波形と出力の波形を示す図 ローパスフィルタの周波数特性を示す図 地震による振動波形と地震以外の衝撃による振動波形を示す図 本発明の実施例1における感震型のグリル付きガスこんろの動作を示すフローチャート(その1) 本発明の実施例1における感震型のグリル付きガスこんろの動作を示すフローチャート(その2) 本発明の実施例1における感震型のグリル付きガスこんろの動作を示すフローチャート(その3) 本発明の実施例1における加速度信号の振幅と高周波減衰信号のゲインとで決まる特性平面の例示図 本発明の実施例1における簡略方式のフローチャート(その1) 本発明の実施例1における簡略方式のフローチャート(その2) 本発明の実施例1における簡略方式のフローチャート(その3) 本発明の実施例2における装置本体が傾いたときの本体傾斜角度を検出する論理の説明図 本発明の実施例2における感震型のグリル付きガスこんろの動作を示すフローチャート 本発明の実施例2における本体傾斜角度と遮断領域の振幅閾値との関係を示す特性図 本発明の別実施例における感震型のグリル付きガスこんろの加速度センサ周辺の回路図 本発明の別実施例における感震型のグリル付きガスこんろのガス供給路および制御系を示す概略図
以下、本発明による感震型加熱装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態においては、加熱装置としてガスこんろを取り上げ、なかでも一般的に広く利用されているグリル付きガスこんろについて説明する。
〔実施例1〕
図6は本発明の実施例1における感震型のグリル付きガスこんろの外観を示す斜視図、図7はそのグリル付きガスこんろにおけるガス供給路および制御系を示す概略図、図8は制御系を示すブロック図である。
これらの図において、1はこんろ本体、2は天板、3a,3b,3cは加熱部、4a,4b,4cはこんろバーナ、4dはグリルバーナ、5はグリル庫、5aはグリル扉、6は前面パネル、7a,7b,7c,7dは操作部、8はバーナリング、9は五徳、10は被加熱物検出センサ、10tは温度センサ、11は表示部、12はガス供給路、13はガス導管、14は元電磁弁、15は流量制御弁、16はステッピングモータ、17はガスノズル、18は点火プラグ、19は熱電対、20は運転制御部、21a,21b,21c,21dは各点火スイッチ、22a,22b,22c,22dは各火力レバー位置検出センサ
、23はXYZ3軸の加速度センサ、23Aは加速度センサ入力ユニットである。各点火スイッチ21a,21b,21c,21dは、各操作部7a,7b,7c,7dにおける点消火ボタンと連動している。
このグリル付きガスこんろでは、図6に示すように、上方に開口する箱状をした筐体からなるこんろ本体1と、こんろ本体1の上方への開口を閉塞して天面部となるガラス製の天板2とで外殻が構成される。天板2にはこんろバーナを備えた加熱部が複数設けてある。手前の左側の高火力こんろ用左バーナ4a、中央の奥の小火力こんろ用後バーナ4b、手前の右側の高火力こんろ用右バーナ4cをそれぞれ備えた計3個の加熱部3a,3b,3cが設けてある。
グリル付きガスこんろ内にはグリルバーナ4dを備えたグリル庫5が設けてあり、グリル庫5の前開口は、グリル付きガスこんろの前面に設けたグリル扉5aによって開閉自在に閉塞される。グリル付きガスこんろの前面部を構成する前面パネル6には、各加熱部3a,3b,3cを操作するための操作部7a,7b,7cが設けてある。
各操作部7a,7b,7cは、対応するこんろバーナ4a,4b,4cの点火および消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けてマイクロコンピュータからなる運転制御部20が各こんろバーナ4a,4b,4cの点消火の切り替えや火力調節を行えるようになっている。7dはグリルバーナ4dの操作部である。
運転制御部20は、各バーナ(こんろバーナ、グリルバーナ)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対19の起電力が入力され、運転制御部20は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、燃焼を認識する。
図7に示すように、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路12から、各こんろバーナ4a,4b,4cおよびグリルバーナ4dに燃料を供給するためのガス導管13が分岐されている。各ガス導管13には、通電により開弁が保持され、通電が止まると閉弁する元電磁弁14が設けられるとともに、通過する燃料の量を制御するとともに燃料の遮断が可能な流量制御弁15と、流量制御弁15を駆動する駆動手段が設けられる。駆動手段としては、開度位置の微調整が可能なステッピングモータ16が好適に用いられるが、特に限定されない。また各ガス導管13には、先端にシール材を介してガスノズル17が螺着等により設けられる。
操作部7a,7b,7c,7dを操作して運転制御部20に点火の指令を送ると、指令を受けた運転制御部20は、ガス導管13の元電磁弁14を開き、かつ任意のこんろバーナ4a,4b,4cまたはグリルバーナ4dに対応する流量制御弁15を所定開度で開くとともに点火プラグ18をスパークさせ、こんろバーナ4a,4b,4cまたはグリルバーナ4dを点火する。これにより、こんろバーナ4a,4b,4cの炎により加熱部3a,3b,3c上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナ4dの炎によりグリル庫5内の肉や魚を焼くことができる。
こんろバーナ4a,4b,4cは、天板2に形成された開口を介して天板2上に露出させてあり、バーナ本体と天板2の上記開口の開口縁との間に楕円環状のバーナリング8(図6参照)が介装してあり、天板2から煮汁等が下に落ちるのを防止している。こんろバーナ4a,4b,4cは、加熱部3a,3b,3cに載置される被加熱物としての調理用鍋の温度を検知する温度センサ10tを内蔵する被加熱物検出センサ10を具備しており、バーナ本体の中央の透孔から上方に露出している。各こんろバーナ4a,4b,4cの周囲には、バーナリング8に位置決めされた五徳9が配設されており、五徳9上に調理用鍋が載置される。
被加熱物検出センサ10は図示しないスプリングにより上方に付勢されており、五徳9上に調理用鍋が載置されていない状態では、被加熱物検出センサ10の頂部が五徳9の最上部より上方に所定長さだけ突出している。五徳9上に調理用鍋が載置されると、被加熱物検出センサ10は上記スプリングの付勢力に抗して押し下げられ、被加熱物検出センサ10の頂部は五徳9の最上部とほぼ同一高さに位置するようになる。被加熱物検出センサ10の頂部が五徳9の最上部より上方に所定長さだけ突出している鍋非載置状態と、被加熱物検出センサ10の頂部が五徳9の最上部とほぼ同一高さに位置する鍋載置状態とを、図示しない位置検出センサで検出し、運転制御部20に入力される。
鍋非載置状態では操作部7a,7b,7cにより点火が指令されたときにもこんろバーナ4a,4b,4cには点火されず、鍋載置状態で操作部7a,7b,7cにより点火が指令されたときにのみこんろバーナ4a,4b,4cへの点火制御が実行される。
また、こんろバーナ4a,4b,4cへの点火後に鍋非載置状態を検出したときには、鍋非載置状態を検出してから所定時間(例えば60秒)の間は火力調節指令に関わらず最小火力となるようにガスを絞るように流量制御弁15を駆動し、鍋非載置状態を検出してから上記所定時間を経過しても鍋載置状態を検出しないときは、こんろバーナを消火するように、運転制御部20によって元電磁弁14が閉弁されるとともに流量制御弁15が閉止される。
<加速度センサ>
こんろ本体1内には、運転制御部20を実装するプリント配線板(図示せず)を備える。そのプリント配線板には、XYZ3軸の加速度センサ23、および、後述するローパスフィルタ26などの電子回路が実装されている(図9参照)。23AはXYZ3軸の加速度センサ23、ボルテージフォロア24,25、ローパスフィルタ26、ボルテージフォロア27およびピークホールド回路28,29などを含む加速度センサ入力ユニットである。
上記加速度センサ23は、互いに直交するXYZの3軸それぞれの方向についての加速度に比例したアナログ信号出力を加速度出力として出力する。それぞれ、X軸用出力XOUT、Y軸用出力YOUT、Z軸用出力ZOUTとして表される。
上記XYZの3軸の方向は、図6に示すように、グリル付きガスこんろの正面視において、後方向がX軸の正方向、右方向がY軸の正方向、上方向がZ軸の正方向となるように、加速度センサ23がプリント配線板に実装されている。
本実施例では、加速度センサ23としてピエゾ抵抗型の加速度センサを用いており、加速度センサ23に作用する加速度により生じる加速度センサ23内の検出素子に作用する力がゼロのときには、電源電圧Vccの1/2の電圧(=Vcc/2)が、加速度センサ23のX軸用出力XOUT、Y軸用出力YOUT、Z軸用出力ZOUTのそれぞれに出力される。
加速度センサ23が検出する定格加速度は±2G(Gは重力加速度)であり、XYZいずれかの軸の正方向にAの加速度で加速度センサ23が加速したときには、加速度センサ23内の検出素子には当該軸の負方向に加速度Aによる力が作用するから、加速度Aに相当する出力電圧をVA とすると、当該軸の出力には、(−A)の加速度に相当する出力信号(=(Vcc/2)−VA )が出力される。
ちなみに、上方向がZ軸の正方向になるように加速度センサ23がプリント配線板に実装されているから、グリル付きガスこんろが静止している状態においては、加速度センサ
23内の検出素子には下方向に重力加速度Gによる力が作用する。したがって、重力加速度Gに相当する出力電圧をVG とすると、加速度センサ23のZ軸用出力ZOUTからは(−G)に相当する出力信号(=(Vcc/2)−VG )が出力されることになる。
<中位電圧>
図9は加速度センサ23の周辺の回路図である。図9において、20は運転制御部、23Aは加速度センサ入力ユニット、24,25,27はボルテージフォロア(バッファ)、26はローパスフィルタ、28,29はピークホールド回路である。
加速度センサ23内の検出素子に作用する加速度がゼロのときには、電源電圧Vccの1/2の電圧(=Vcc/2)が、加速度センサ23のX軸用出力XOUT、Y軸用出力YOUT、Z軸用出力ZOUTのそれぞれに出力されるから、加速度センサ23から運転制御部20への信号入力用のインタフェース回路に用いる基準電圧として、R1とR2(R2はR1と同じ抵抗値)により電源電圧Vccを1/2に分圧した電圧をボルテージフォロア24によりインピーダンスを下げて、中位電圧N(=Vcc/2)を発生させている。インピーダンスを下げるのは、イマジナリショートの考え方で電流を流さないようにして省電力を図るためである。
中位電圧Nは、運転制御部20にも入力されている。それは、以下において説明する制御を実行する際の基準電圧とするためである。以下の説明において、信号電圧は中位電圧Nを基準とした電圧とし、運転制御部20においても電圧は中位電圧Nを基準とした電圧として処理を行うものとする。
<ローパスフィルタ>
抵抗素子Rfの一方を入力端子T1とし、抵抗素子Rfの他方を出力端子T2として、さらに、抵抗素子Rfの出力端子T2と中位電圧Nとの間に容量素子Cfを接続することで、容量素子Cfと抵抗素子Rfからなるローパスフィルタ26を構成している。
ローパスフィルタ26は、XYZの3軸用として各1つ合計3つ備え、加速度センサ23のX軸用出力XOUT、Y軸用出力YOUT、Z軸用出力ZOUTのそれぞれがボルテージフォロア25によりインピーダンスを下げられた後に、各々の軸用のローパスフィルタ26に接続される。
容量素子Cfと抵抗素子Rfからなるローパスフィルタ26への入力とローパスフィルタ26の出力との関係は、入力電圧v1、出力電圧v2をそれぞれ、
v1=V1・sin (ωt)
v2=V2・sin (ωt−φ)
とする。ここで、ωは角周波数(rad/s)であり、周波数fとの関係は、ω=2πfである。φはローパスフィルタ26による位相の遅れである。出力電圧v2の振幅V2の入力電圧v1の振幅V1に対する比つまりゲインGは、
G=V2/V1=1/{1+(ω/ω0 )21/2
となる。ここで、ω0 はローパスフィルタ26のカットオフ周波数(角周波数)で、
ω0 =1/(Cf・Rf)
であり、入力に対して出力の電力が3デシベル減衰する周波数に相当する(図11参照)。
ローパスフィルタ26では、入力の周波数がカットオフ周波数より充分低いときには、入力はほとんど減衰せず、そのまま出力されるが(図10(a)および図11参照)、入力の周波数が高くなるに従って減衰が大きくなり、入力の周波数がカットオフ周波数より充分高いときには入力は大きく減衰する(図10(b)及び図11参照)。
本実施例では、カットオフ周波数(角周波数)ω0 を2×π×10[rad](=10Hz)としてあり、カットオフ周波数(角周波数)ω0 =2×π×10[rad](=10Hz)のときの入力の周波数f=ω/(2×π)とV2/V1の関係を図11に示す。図11においては、周波数fの対数を横軸とし、ゲインG=20log(V2/V1)を縦軸としている。
また、カットオフ周波数を10Hz(−3dB)としたときの、周波数fと対応する各周波数とV2/V1と20log(V2/V1)との関係を表1に示す。
Figure 0005941182
なお、入力電圧の振幅V1および出力電圧の振幅V2はそれぞれ、X軸用の処理回路部分では加速度信号の振幅X1、高周波減衰信号の振幅X2となり、Y軸用の処理回路部分では加速度信号の振幅Y1、高周波減衰信号の振幅Y2となり、Z軸用の処理回路部分では加速度信号の振幅Z1、高周波減衰信号の振幅Z2となる。
<ピークホールド回路>
各ローパスフィルタ26の入力端子T1と運転制御部20の入力ポートX1,Y1,Z1との間にピークホールド回路28が介挿されている。また、各ボルテージフォロア27の出力端子と運転制御部20の入力ポートX2,Y2,Z2との間にピークホールド回路29が介挿されている。これらのピークホールド回路28,29はそれぞれ、逆流防止ダイオードD、放電用抵抗Rd、電圧保持用コンデンサCpから構成されている。ダイオードDによって電流の逆流を防止し、電圧保持用コンデンサCpに信号のピーク値を保持する。
ローパスフィルタ26の入力端子T1の信号(加速度センサ23のX軸用出力XOUT、Y軸用出力YOUT、Z軸用出力ZOUTのそれぞれがボルテージフォロア25によりインピーダンスを下げられた信号)がピークホールド回路28でピーク値をホールドされて運転制御部20に入力される。また、ローパスフィルタ26の出力端子T2の信号がボルテージフォロア27によりインピーダンスを下げられた後の信号がピークホールド回路29でピーク値をホールドされて運転制御部20に入力される。
なお、ピークホールド回路28,29においては、入力されるピーク電圧が中位電圧Nより低い場合を考慮して、放電用抵抗Rd、電圧保持用コンデンサCpのそれぞれの一端は、中位電圧Nではなくグランド(GND)に接続されている。この点に関しては、静止状態において常に中位電圧Nより低い電圧にバイアスされているZ軸用出力信号のピークホールド処理において重要である。
ちなみに、ピークホールド回路28,29に信号のピーク値が入力された後における放電の時定数はCp・Rdである。Cp・Rd(本実施例では約5秒)は、運転制御部20がピークホールド回路28,29からの信号を読み取るサンプリング周期Tと比べて充分大きい値としてある。したがって、ピークホールド回路28,29に信号のピーク値が入力された後における、運転制御部20によるピークホールド回路28,29からの信号の読み取りまでの電圧の減衰がほとんど生じない。
本実施例の場合、加速度センサ23からの出力信号を運転制御部20によって読み込むサンプリング周期は0.1秒としてある。ピークホールド回路28,29に入力された信号は、最大0.1秒間にわたり放電用抵抗素子Rdにより放電することになる。電圧保持用コンデンサCpに入力された電圧Vpと、電圧保持用コンデンサCpに入力された電圧Vpが放電用抵抗素子Rdにより0.1秒間放電した後の電圧Vp2との関係は、
Vp2=Vp・exp{−0.1/(Cp・Rd)}
で表される(expは指数関数)。上述のようにCp・Rd=5〔秒〕であるから、exp(−0.02)≒0.98より、
Vp2≒0.98Vp
となり、最大2%の放電を行う程度であり、不都合は生じるものではない。
上記の構成において、こんろバーナ4a,4b,4cとグリルバーナ4dは、上記〔課題を解決するための手段〕の項で述べた加熱手段E1に対応している。また、元電磁弁14と流量制御弁15は、〔課題を解決するための手段〕の項で述べた遮断手段E2に対応している。また、XYZ3軸の加速度センサ23は、〔課題を解決するための手段〕の項で述べた加速度検出手段E4に対応している。また、ローパスフィルタ26とボルテージフォロア27と2つのピークホールド回路28,29は、〔課題を解決するための手段〕の項で述べた周波数検出手段E5に対応している。また、運転制御部20は、〔課題を解決するための手段〕の項で述べた制御手段E3に対応している。
<加速度センサを用いた感震機能>
一般に、図12に示すように、地震波の振動の周期は長く、その振動周波数は0.1〜10Hz程度であるのに対して、地震以外の衝撃波の振動(人為振動)の周期は短く、その振動周波数は10Hz以上であって、地震波の振動周波数よりも高くなっている。このことを、地震が発生したときにグリル付きガスこんろでの加熱を停止させることに利用する。すなわち、機器に印加された振動の周波数を検出し、地震であるのか、加熱を停止させる必要がない地震以外の衝撃(人為振動)であるのかを判別するように構成する。そうすれば、加熱を停止させる必要がない地震以外の衝撃が装置本体に印加された場合に、加熱が停止されてしまうことを防止できることになり都合がよい。
ところで、加速度センサ23を用いた電気式の感震検出装置を構成すると、振動のレベルに対応したリニアな出力を得ることができるとともに、検出すべき震度レベルも容易に可変設定できて都合がよい。
しかしながら、最近の加熱調理器においては、運転制御部20にマイクロコンピュータを用いて構成することが主流になっており、加速度センサ23を用いた感震検出装置を用いる場合には、加速度センサ23の出力をマイクロコンピュータによって所定のサンプリング周期で取り込んで処理することになる。前述した運転制御部20はマイクロコンピュータの機能の一部として構成される。
一方、かかるマイクロコンピュータとしては、汎用の比較的安価なものが使用されており、そのサンプリング周期を、例えば、10ms(サンプリング周波数=100Hz)とすると、100Hzの2分の1の周波数である50Hzを超えるような衝撃による高い振動周波数では、周波数情報が失われてしまう(標本化定理による)。その場合、入力波形を正確に読み取ることができないため、50Hzを超えるような衝撃による高い振動周波数を、低い振動周波数の地震であると判定して誤動作する場合がある。
さて、加速度センサ23で検出した信号が、0.1〜10Hz程度であるのか10Hz以上の周波数であるのかを判別するために、以下のような構成としている。
<ローパスフィルタ前後の電圧比較による周波数の推定>
上述したように、ローパスフィルタ26におけるゲイン(出力電圧の絶対値)/(入力電圧の絶対値)は、入力の周波数がカットオフ周波数より充分に低いときにはほぼ1であり、入力の周波数がカットオフ周波数より高くなるに従い1より急激に小さくなる。
そこで、加速度センサ23からの出力信号をローパスフィルタ26に入力し、ローパスフィルタ26の入出力電圧を運転制御部20に読み込み、ローパスフィルタ26の前後の電圧を比較することで、加速度センサ23で検出された振動の周波数を推定している。振動周波数を求めるのに比較的安価であるローパスフィルタを利用することから、コストアップを抑制する効果がある。
上述のように、加速度センサ23は、互いに直交するXYZの3軸それぞれの方向についての加速度に比例したアナログ信号出力を加速度出力として出力するのであるが、XYZの3軸それぞれについて同様のローパスフィルタ26、ピークホールド回路28,29を用いている。ここでは、X軸用出力であるXOUTを例として、図9、図13を参照しながら説明する。
X軸用出力であるXOUTの信号(電圧)がボルテージフォロア25によりインピーダンスを下げられたものが、X軸用のローパスフィルタ26の入力端子T1に入力されるとともに、ピークホールド回路28でピーク値をホールドされて運転制御部20の入力ポートX1に入力される。また、X軸用のローパスフィルタ26の出力端子T2の信号(電圧)がボルテージフォロア27によりインピーダンスを下げられたものが、ピークホールド回路29でピーク値をホールドされて運転制御部20の入力ポートX2に入力される。
マイクロコンピュータで構成される運転制御部20は、次のような制御を行う。図13〜図15は制御の処理を示すフローチャートである。ここでは、XYZ3軸のうちX軸の加速度信号についての処理を中心に説明する。
まずステップ#101において、ゲイン
Gx=X2/X1
を算出する。
次いでステップ#102において、ゲインGxが0.5未満か否かを判定する。0.5以上のときはステップ#103に進み、0.5未満のときはステップ#106に進む。
ゲインGxが0.5以上のときに進んだステップ#103においては、ゲインGxが0.7未満か否かを判定する。0.7以上のときはステップ#104に進み、0.7未満のときはステップ#105に進む。
ゲインGxが0.7以上のときに進んだステップ#104においては、周波数が10Hz以下であって、加速度信号の原因が地震である可能性が高いことを意味する振動状態J=J1であると判定する。
ゲインGxが0.5以上、0.7未満のときに進んだステップ#105においては、周波数が10Hz超で17.3Hz以下であり、地震としては振動周波数が高いものの、地震であることが疑われる状態であることを意味する振動状態J=J2であると判定する。表1より、ゲインの0.7は周波数10Hzに対応し、ゲインの0.5は周波数17.3Hzに対応している。
ゲインGxが0.5未満のときに進んだステップ#106においては、周波数が17.3Hz超で、地震である可能性が低く、人為振動を意味する振動状態J=J3であると判定する。
以上のようにして振動状態JをJ1,J2,J3のいずれかに識別した後、次いでステップ#107に進む。
ステップ#107においては、ローパスフィルタ26の入力側の加速度信号の振幅X1が第1の振幅閾値Ath0(0.0255G(≒25Gal)に相当する電圧値)以上か否かを判定する。加速度信号の振幅X1が第1の振幅閾値Ath0以上のときはステップ#108に進み、第1の振幅閾値Ath0未満のときはサブルーチンから抜けてメインルーチンに戻る。メインルーチンに戻るということは、運転制御部20が遮断信号を出力しないということであり、加熱を継続させるということである。これは図16の特性平面のパターン図の領域Qt1に相当する。なお、980Gal=1G(G:重力加速度)である。
加速度信号の振幅X1が第1の振幅閾値Ath0以上のときに進んだステップ#108においては、振動状態J=J1(周波数10Hz以下、地震の可能性が高い)か否かを判定し、振動状態J=J1のときにはステップ#112に進み、そうでなければステップ#109に進む。
ステップ#109においては、ローパスフィルタ26の入力側の加速度信号の振幅X1が第2の振幅閾値Ath1(0.0408G(≒40Gal))に相当する電圧値)以上か否かを判定する。加速度信号の振幅X1が第2の振幅閾値Ath1以上のときはステップ#110に進み、第2の振幅閾値Ath1未満のときは遮断信号を出力せずにメインルーチンに戻り、加熱を継続させる。これはパターン図の領域Qt2に相当する。
加速度信号の振幅X1が第2の振幅閾値Ath1以上のときに進んだステップ#110においては、振動状態J=J2(周波数10〜17.3Hz以下、地震が疑われる状態)か否かを判定し、振動状態J=J2のときにはステップ#112に進み、そうでなければステップ#111に進む。
ステップ#111においては、ローパスフィルタ26の入力側の加速度信号の振幅X1が高位の振幅閾値である第3の振幅閾値AthH(0.2548G(≒250Gal))に相当する電圧値)以上か否かを判定する。加速度信号の振幅X1が第3の振幅閾値AthH以上のときはステップ#112に進み、第3の振幅閾値AthH未満のときは遮断信号を出力せずにメインルーチンに戻り、加熱を継続させる。これはパターン図の領域Qt3に相当する。
上記のステップ#107→#108で、加速度信号の振幅X1が第1の振幅閾値Ath0以上で、かつ、振動状態J=J1(周波数10Hz以下、地震の可能性が高い)と判定したとき(領域Qs1に相当)、あるいは、ステップ#109→#110で、加速度信号の振幅X1が第2の振幅閾値Ath1以上で、かつ、振動状態J=J2(周波数10〜17.3Hz以下、地震が疑われる状態)と判定したとき(領域Qs2に相当)、あるいは、ステップ#111で、加速度信号の振幅X1が第3の振幅閾値AthH以上と判定したとき(領域Qs3に相当)、いずれの場合もステップ#112に進むが、ステップ#112においては、運転制御部20は、遮断信号を出力して加熱の停止を指令する。具体的には、元電磁弁14および流量制御弁15に対して遮断信号を出力し、これらの弁を閉止する。
元電磁弁14と流量制御弁15への遮断信号の出力については、すべてのこんろバーナ4a,4b,4cおよびグリルバーナ4dに対して、それぞれが駆動状態にあるかないかに関係なく、遮断信号を出力するのでもよく、あるいは前もって、いずれのバーナが駆動状態にあるかを確認しておき、ステップ#112のときに、駆動状態にあるバーナに関して、その元電磁弁14と流量制御弁15に対してのみ遮断信号を出力するのでもよい。流量制御弁15は閉止も可能であり、具体的には対応するステッピングモータ16を駆動して、流量制御弁15を全閉状態にする。なお、遮断信号によって閉止する対象を、元電磁弁14のみとしてもよいし、あるいは流量制御弁15のみとしてもよい。
以上により、震度4程度の地震が発生したときには、安全に加熱を停止することができる。
地震ではない振動または衝撃がグリル付きガスこんろに印加された場合で、その振動・衝撃が過大なものでなければ、加熱を停止を無闇に行うのではなく、加熱を継続させ、一方、その振動・衝撃が過大なものであれば、加熱を停止して安全性を確保する。
XYZの3軸のうちの残りの2軸YZについても、図14、図15に示すとおりほぼ同様に制御を行うものであるので、その制御の説明は省略する。
ただし、Z軸に関しては、常に重力加速度Gによる力が作用するから、加速度センサ23のZ軸用出力ZOUTからは(−G)だけバイアスされた信号が出力されることになるため、次のように制御する。
(1)Z1が0.0255G−G(≒−0.9745G)に相当する電圧値以上で、かつ、振動状態J=J1のときは、グリル付きガスこんろの加熱を停止する。
(2)Z1が0.0408G−G(≒−0.9592G)に相当する電圧値以上で、かつ、振動状態J=J2のときは、グリル付きガスこんろの加熱を停止する。
(3)Z1が0.2548G−G(≒−0.7449G)に相当する電圧値以上のときには、グリル付きガスこんろの加熱を停止する。
なお、図13のステップ#111の判断が肯定的となったときに、振動状態Jが必然的にJ3になる条件下では、あえて振動状態J=J3か否かを判定する必要がないので、このような条件ではステップ#106は省略することが可能となる。図14のステップ#206、図15のステップ#306についても同様である。
図16において、全領域は、第1の振幅閾値Ath0(=0.0255G)によって領域Qt1と領域(Qt2,Qt3,Qs1,Qs2,Qs3)とに分けられる。後者の領域(Qt2,Qt3,Qs1,Qs2,Qs3)は、第2のゲイン閾値Gth1(=0.7)によって領域Qs1と領域(Qt2,Qt3,Qs2,Qs3)とに分けられる。後者の領域(Qt2,Qt3,Qs2,Qs3)は、第2の振幅閾値Ath1(=0.0408G)によって領域Qt2と領域(Qt3,Qs2,Qs3)とに分けられる。後者の領域(Qt3,Qs2,Qs3)は、第1のゲイン閾値Gth0(=0.5)によって領域Qs2と領域(Qt3,Qs3)とに分けられる。後者の領域(Qt3,Qs3)は、第3の振幅閾値AthH(=0.2548G)によって領域Qt3と領域Qs3とに分けられる。
この考え方を利用すると、図13〜図15のフローチャートは図17〜図19のように簡略化することができる。
〔実施例2〕
上記実施例1では、グリル付きガスこんろを水平に設置した場合でグリル付きガスこんろに振動が印加されていない振動無印加時に、共に水平であるX軸用出力XOUT、Y軸用出力YOUTからそれぞれ電源電圧Vccの1/2の電圧(=Vcc/2)が出力される場合について説明した。
これに対し、第1の振幅閾値Ath0または第2の閾値Ath1または高位の第3の閾値AthHに従って加速度信号を検出する前のX軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTが安定した状態における、こんろ本体傾き指標
HXY=(XOUT2+YOUT21/2
に応じて、HXYが大きい場合には、HXYが小さい場合に比べて、加速度センサ23からのより小さい振動出力でグリル付きガスこんろの加熱を停止するように構成するとなおよい(図5参照)。こんろ本体傾き指標HXYは、X軸用出力XOUTのベクトルとY軸用出力YOUTのベクトルとの合成でできるXY平面上における合成ベクトルの大きさに相当する。
この制御は、X軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTとを得るための加速度センサ入力ユニット23AにおけるXY2軸のボルテージフォロア25,25の出力端子から運転制御部20への入力のラインと、運転制御部20においてX軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTに基づいて上記の演算を行う機能とによって実行されるが、これらの要素は、上記〔課題を解決するための手段〕の項で述べた装置本体(こんろ本体)の垂直線の鉛直方向に対する傾きの大きさを検出する傾き検出手段E6に対応している。
このようにすることで、グリル付きガスこんろが傾いて設置されているために地震発生時に危険が生じやすい状態のときにも、より小さな振動検出で加熱を停止させるので、安全性をさらに確保し易いものとなる。
この実施例2について、図20に基づいてさらに詳しく説明する。図20は装置本体が傾いたときの本体傾斜角度θを検出する論理の説明図である。
グリル付きガスこんろが水平に設置された場合(図示せず)には、Z軸が鉛直方向であるから、Z軸用出力ZOUTからは(−G)に相当する電圧が出力されている。
これに対し、図20のように、グリル付きガスこんろが角度θだけ傾いて設置された場合には、Z軸が鉛直方向から角度θだけ傾くことになり、この場合、Z軸用出力ZOUTからは(−G・cos θ)に相当する電圧が出力される。
一方、X軸、Y軸、Z軸は互いに直交するから、各軸の出力ベクトルを合成したベクトルの大きさKXYZは、
KXYZ=(XOUT2+YOUT2+ZOUT21/2=(HXY2+ZOUT21/2=const
であり、グリル付きガスこんろに振動が印加されていないときには、KXYZは重力加速度Gに相当する大きさで一定の値となる。
ここで、グリル付きガスこんろが水平に設置された場合の重力加速度によるZ軸用出力ZOUTを(−Z0 )とすると、グリル付きガスこんろが水平に設置された場合にはXOUT=YOUT=0であるから、
KXYZ={02+02+(−Z0 )21/2 ………(1)
である。結局、KXYZ=Z0 となる。
これに対し、グリル付きガスこんろが角度θだけ傾いて設置された場合には、このときのX軸用出力XOUTをXθ、Y軸用出力YOUTをYθとすると、各軸の出力ベクトルを合成したベクトルの大きさは、
KXYZ={Xθ2+Yθ2+(Z0 ・cos θ)21/2={HXY2+(Z0 ・cos θ)21/2………(2)
であり、振動が印加されていないときにはKXYZは重力加速度Gに相当する大きさで一定の値であるから、(1),(2)式より、(1)=(2)と置いて、
(−Z0 )2=Xθ2+Yθ2+(Z0 ・cos θ)2=HXY2+(Z0 ・cosθ)2
Z02(1−cos2θ)=Xθ2+Yθ2=HXY2
1−cos2θ=sin2θであるから、
Z02・sin2θ=Xθ2+Yθ2=HXY2
θ=sin-1{(Xθ2+Yθ2)/Z021/2=sin-1(HXY2/Z021/2
∴ θ=sin-1(HXY/Z0 )
ここで、Z0 はグリル付きガスこんろが水平に設置された場合の重力加速度によるZ軸用出力ZOUTである(−Z0 )の符号を正にしたものであり、これは一定であるから、グリル付きガスこんろが角度θだけ傾いて設置された場合には、こんろ本体傾き指標HXY=(XOUT2+YOUT21/2を求める。こんろ本体傾き指標HXYが分かれば、本体傾斜角度θが求まることになる。水平設置時のZ軸用出力Z0は、製造段階であらかじめ収集しておいたデータに基づいて定めておき、それを運転制御部20を構成するマイクロコンピュータのROM(リードオンリーメモリ)に格納しておけばよい。
したがって、
(1)こんろ本体傾き指標HXYが大きい場合には、HXYが小さい場合に比べて、加速度センサ23からのより小さい振動出力で、加熱を停止するように構成することは、
(2)グリル付きガスこんろが角度θだけ傾いて設置された場合の傾斜角度θに応じて、θが大きい場合には、θが小さい場合に比べて、加速度センサ23からのより小さい振動出力で加熱を停止するように構成すること
と等価である。
本体傾斜角度θを求める本方式の制御は、上記と同様に、X軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTとを得るための加速度センサ入力ユニット23AにおけるXY2軸のボルテージフォロア25,25の出力端子から運転制御部20への入力のラインと、運転制御部20においてX軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTに基づいて上記の演算を行う機能とによって実行されるが、これらの要素は、上記〔課題を解決するための手段〕の項で述べた装置本体(こんろ本体)の垂直線の鉛直方向に対する傾きの大きさを検出する傾き検出手段E6に対応している。
なお、この実施例2において、第1の振幅閾値Ath0または第2の閾値Ath1または高位の第3の閾値AthHに従って加速度信号を検出する前のX軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTが安定した状態にあるかどうかの判定を行うには、例えば以下のようにするとよい。
イ)運転制御部20の入力ポートXinにX軸用出力XOUTが入力され、入力ポートYin にY軸用出力YOUTが入力される。
ロ)運転制御部20は、サンプリング周期(例えば0.1秒)毎に所定インターバル(例えば8分間)に亘ってサンプリングしたX軸用出力XOUTおよびY軸用出力YOUTの値をそれぞれサンプリング値Xn,Ynとして保存する。
ハ)XY平面上合成ベクトルHXYの計算用のX軸用出力XOUTであるXθ およびY軸用出力YOUTであるYθは、運転制御部20に具備する不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に記憶され、あらかじめXθ =Yθ=0として初期値が記憶されている。
ニ)上記所定インターバルにおけるX軸用出力サンプリング値Xnの最大値と最小値との差がX軸用所定変動幅(例えば0.0005G)に相当する値未満であれば、上記所定インターバルにおけるX軸用出力サンプリング値Xnの平均値を変数Xθとして更新して、上記不揮発性メモリに記憶する。また、上記所定インターバルにおけるY軸用出力サンプリング値Ynの最大値と最小値との差がY軸用所定変動幅(例えば0.0005G)に相当する値未満であれば、上記所定インターバルにおけるY軸用出力サンプリング値Ynの平均値を変数Yθとして更新して、上記不揮発性メモリに記憶する。最大値と最小値との差が充分に小さいということは、加速度信号を検出する前のX軸用出力XOUTとY軸用出力YOUTが安定した状態にあることを意味している。
ホ)上記所定インターバルにおけるX軸用出力サンプリング値Xnの最大値と最小値との差がX軸用所定変動幅(例えば0.0005G)に相当する値を超えた場合には、変数Xθは更新されず、上記所定インターバルにおけるY軸用出力サンプリング値Ynの最大値と最小値との差がY軸用所定変動幅(例えば0.0005G)に相当する値を超えた場合には、変数Yθは更新されない。
ヘ)このようにして、グリル付きガスこんろが使用場所に設置されたときの本体傾斜角度θに応じて、変数Xθ および変数Yθの値が更新される。
ト)上述のように、グリル付きガスこんろに振動が印加されていないときの加速度センサ23の出力によって、グリル付きガスこんろが角度θだけ傾いて設置されたときに、角度θによって定まるsin θが求まる。
図21は上記の考えのもとに作成した運転制御部20の処理のフローチャートである。このフローは図13または図17のフローに先行して実行される。
まずステップ#001において、変数Xθ,Yθ,nを初期化する。nはサンプリング回数を示す変数である。
次いでステップ#002において、X軸の加速度信号信号XnとY軸の加速度信号Ynをサンプリングし、レジスタまたはRAM(ランダムアクセスメモリ)に格納する。
次いでステップ#003において、変数nをインクリメントする。
次いでステップ#004において、変数nが規定回数nthに達したかを判断し、達していないときにはステップ#002に戻ってサンプリングを繰り返す。
変数nが規定回数nthに達したときは、ステップ#005に進み、X軸用出力サンプリング値Xnの最大値MAX(Xn)と最小値MIN(Xn)との差分(MAX(Xn)−MIN(Xn))が規定の閾値Xth1未満か否かを判定する。以上であれば、X軸用出力XOUTが未だ安定していないことから、ステップ#001に戻る。未満であれば、X軸用出力XOUTは安定しているとして、ステップ#006に進み、最大値MAX(Xn)と最小値MIN(Xn)の平均値をとって、それを変数Xθに代入する。
次いでステップ#007において、Y軸用出力サンプリング値Ynの最大値MAX(Yn)と最小値MIN(Yn)との差分(MAX(Yn)−MIN(Yn))が規定の閾値Yth1未満か否かを判定する。以上であれば、Y軸用出力XOUTが未だ安定していないことから、ステップ#001に戻る。未満であれば、Y軸用出力YOUTは安定しているとして、ステップ#008に進み、最大値MAX(Yn)と最小値MIN(Yn)の平均値をとって、それを変数Yθに代入する。
次いでステップ#009において、本体傾斜角度θを算出し、メインルーチンに進む。
ちなみに、本別実施例においては、図22の本体傾斜角度と遮断領域の振幅閾値との関係を示す特性図に示すように、グリル付きガスこんろが3度傾いて、1m当たり5.2mmの高低差が生じる(tanθ=0.052)場合には、sin θが0.052であることから、HXY=(XOUT2+YOUT21/2が0.052Gに相当する値以上であるときには、第1の振幅閾値Ath0、第2の振幅閾値Ath1、第3の振幅閾値AthHをそれぞれ、グリル付きガスこんろを水平に設置した場合の90%として、実施例1の場合と同様の制御を行う。
また、グリル付きガスこんろが4度傾いて、1m当たり7.0mmの高低差が生じる(tanθ=0.070)場合には、sinθが0.0699あることから、HXYが0.0699Gに相当する値以上であるときには、第1の振幅閾値Ath0、第2の振幅閾値Ath1、第3の振幅閾値AthHをそれぞれ、グリル付きガスこんろを水平に設置した場合の75%として、実施例1の場合と同様の制御を行う。
このようにして、グリル付きガスこんろが角度θだけ傾いて設置される場合の傾斜角度θに応じて、θが大きい場合には、θが小さい場合に比べて加速度センサ23からのより小さい振動出力でグリル付きガスこんろの加熱を停止するように構成してある。
このようにすることで、グリル付きガスこんろが傾いて設置されているために地震発生時に危険が生じやすい状態のときにも、安全性をさらに確保し易いものとなる。
〔別実施例〕
(1)上記の実施例では、ピークホールド回路28,29において電圧保持用コンデンサCpと放電用抵抗素子Rdを並列に接続してあるが、図23に示すように、電圧保持用コンデンサCpと放電用抵抗素子RdとNPNトランジスタなどの放電制御用スイッチ素子Swとを直列接続したものとを並列に接続しておき、運転制御部20において運転制御部20からの指令でスイッチ素子Swが導通して電圧保持用コンデンサCpの電荷を放電するように構成してもよい。なお、図23では、Z軸関係は省略している。
このようにすることで、ピークホールド回路28,29にピーク電圧が入力した後における放電用抵抗素子Rdによる電圧の減衰が防止でき、運転制御部20における信号読み込み処理に要する時間が長い場合や、サンプリング周期がピークホールド回路28,29における放電時定数と比較して長い場合にも不都合が生じないものとなる。
(2)図7では元電磁弁14を各ガス導管13に個別に介装してあるが、これに代えて、図24に示すように、共通のガス供給路12に共通単一の元電磁弁14を介装し、遮断信号によってこの共通の元電磁弁14を閉止するのでもよい。
(3)上記実施例では、本来垂直方向に一致すべきZ軸に作用する重力加速度の大きさの減少量を、本来水平方向に配置されるX軸、Y軸に作用する重力加速度の大きさの増加量により求めているが、Z軸に作用する重力加速度の大きさの減少量を直接求めてもよい。
(4)上記の実施例では、加速度センサ23が、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3方向の加速度を検出するものを用いているが、1軸または2軸の加速度を検出する加速度センサを適宜組み合わせて用いてもよい。
(5)ビルトインタイプについての実施例により説明を行ったが、卓上設置型のテーブルこんろにも適用可能である。
(6)上記実施例においては、加熱用の燃料としてガスを用いるグリル付きガスこんろについて説明したが、誘導加熱ヒータを含む電気ヒータを加熱部としてもよく、燃料はガスに限定されるものではない。また、加熱調理器としてグリル付きガスこんろに限定されない。
本発明の技術は、捕捉した振動が地震振動であると判断されるときに加熱を停止する加熱調理器などの感震型加熱装置について、振動レベルが一定以上に大きくしかも周波数判定あるいはゲイン判定から地震振動である可能性が高いと判断されるときには加熱を停止させるが、振動レベルが一定以上に大きくても周波数判定あるいはゲイン判定から地震振動の可能性が低く人為振動であると判断される場合には加熱を継続させることとして無闇な加熱停止を避けるように構成してあるので、安全性の向上とともに使い勝手の向上を図る上で非常に有効である。
E1 加熱手段
E2 遮断手段
E3 制御手段
E4 加速度検出手段
E5 周波数検出手段
E51 ローパスフィルタ
E6 傾き検出手段
Qs 遮断領域
Qt 供給領域
B1〜B6,U1〜U6 閾値特性曲線
1 こんろ本体
2 天板
4a〜4d バーナ
14 元電磁弁
15 流量制御弁
20 運転制御部
23 加速度センサ
23A 加速度センサ入力ユニット
25,27 ボルテージフォロア
26 ローパスフィルタ
28,29 ピークホールド回路

Claims (3)

  1. 供給されてくる加熱用エネルギによって被加熱物を加熱する加熱手段と、
    遮断信号を入力したときに前記加熱手段への前記加熱用エネルギの供給を遮断し、前記遮断信号の入力がないときには前記加熱用エネルギの前記加熱手段への供給を維持する遮断手段と、
    印加される振動の加速度を検出して加速度信号を出力する加速度検出手段と、
    前記加速度検出手段による前記加速度信号の周波数を検出する周波数検出手段と、
    前記加速度検出手段による前記加速度信号の振幅と前記周波数検出手段による前記加速度信号の周波数とで決まる特性点が、あらかじめ前記加速度信号の振幅と前記加速度信号の周波数との関係で定められている特定の領域である遮断領域にあるときには前記遮断信号を前記遮断手段に対して出力し、前記特性点が前記遮断領域以外の領域である供給領域にあるときには前記遮断手段に対する前記遮断信号の出力を停止する制御手段と
    装置本体の垂直線の鉛直方向に対する傾きの大きさを検出する傾き検出手段とを備え、
    前記加速度検出手段は、装置本体における天板に沿った平面での直角な2軸であるX軸およびY軸での加速度信号と、前記天板に垂直な方向のZ軸での加速度信号との3軸方向の加速度信号を検出するように構成され、
    前記装置本体は、その外殻が、上方に開口する箱状をした筐体と前記上方への開口を閉塞して天面部となる前記天板とで構成され、
    前記制御手段は、前記傾き検出手段による前記装置本体の傾きの大きさに応じて、その装置本体の傾きが大きいほど、前記遮断領域の範囲を前記加速度信号の振幅の小さい側にシフトさせるように構成されている感震型加熱装置。
  2. 前記傾き検出手段は、前記加速度検出手段に関連付けられ、前記装置本体の傾きの大きさとして、振動無印加時において、重力加速度によるX軸での加速度信号の振幅ベクトルXθとY軸での加速度信号の振幅ベクトルYθとの合成ベクトルに対応した本体傾き指標HXYの大きさを求めるように構成され、
    前記制御手段は、前記合成ベクトルに対応した本体傾き指標HXYの大きさに応じて、その合成ベクトルに対応した本体傾き指標HXYの大きさが大きいほど、前記遮断領域の範囲を前記加速度信号の振幅の小さい側にシフトさせるように構成されている請求項1に記載の感震型加熱装置。
  3. 前記傾き検出手段は、前記装置本体の傾きの大きさとして、前記装置本体の垂直線の鉛直方向に対する傾き角度である本体傾斜角度θを検出するもので、振動無印加時において、装置本体が正確に水平姿勢にあるときに検出される重力加速度によるZ軸での加速度信号の振幅をZ0 、装置本体の本体傾斜角度θ相当の傾き姿勢での重力加速度によるX軸での加速度信号の振幅をXθ、Y軸での加速度信号の振幅をYθ、本体傾き指標HXY=(Xθ 2 +Yθ 2 1/2 として、前記本体傾斜角度θを、
    θ=sin -1 (HXY/Z0 )
    に従って検出するように構成されている請求項2に記載の感震型加熱装置。
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