JP5940845B2 - トンネル内防災システムにおける防災盤 - Google Patents
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Description
現在用いられている防災システムは、信号の伝送方式によって2つに大別できる。ひとつは、複数の火災検知器と防災盤とが中継器を介して1対の信号線のみで各種信号の送受信を行うもの(R型伝送方式)であり、他のひとつは、各火災検知器と防災盤とが各種信号毎に専用の信号線を用いて送受信を行うもの(P型伝送方式)である。
R型伝送方式は、P型伝送方式と比較して機能面、管理面で様々な利点があるが、火災検知器や中継器等の構成機器が高価である。他方、P型伝送方式は、中継器が不要で火災検知器も安価なため、システム構成費も比較的安価であるが、火災信号を送信するための火災信号線を複数の火災検知器で構成した区画ごとに共有しており、区画単位での火災監視となったり、各種信号毎に専用の信号線が必要なため、トンネルが長くなると配線が多いためシステム構成費が高価になる傾向がある。
防災システムに用いられる火災検知器は、広範囲を監視できるように左右に1つずつ火災検出部を備えており、これらの火災検出部は、火災検知器の左右の空間をそれぞれ監視している。以下の説明において、火災検知器に向かって右側の火災検出部を「右目」と称し、他方を「左目」と称する。
火災検知器に2つの火災検出部を設けることで監視空間を広くしているが、隣接する火災検知器同士の間には監視空間が重複するようにして監視を確実に行えるようにしている。そのため、長大なトンネル空間の火災監視をするには、火災検知器の数は膨大なものになる。
膨大な数の火災検知器の動作試験は効率的に行う必要があり、そのため防災盤には試験の実行をするための試験信号を自動的に送信する試験機能を備えている。
また試験信号を送信するために、防災盤と各火災検知器は試験信号線によって送り配線方式で接続されている。
しかし、特許文献1には、このような再試験方法については開示されていない。仮に、全体試験機能で再試験を行う場合、各火災検知器は上述のとおり送り配線方式で接続されているため、試験は防災盤に近い方から順番に行わなければならない。従って正常であった火災検知器についても再試験を行わなければならず無駄な試験時間が発生するという問題がある。例えば、片目あたりの試験時間が仮に30秒かかるとし、101台目の火災検知器のみを再試験したい場合では、1時間40分の時間が無駄となる。さらに近年では、火災検知器の高性能化に伴い片目あたりの試験時間が増える傾向にあるため、この問題はより顕著なものになってきている。そこで、効率的な再試験方法が要請されている。
前記火災検知器は、複数の火災検出部を備えると共に該火災検出部の動作試験を行う試験手段を有し、
前記防災盤は、前記火災検知器と送り配線方式で接続されて、該送り配線を介して前記火災検知器に試験開始を支持する試験信号を送信する試験指示手段を有し、
該試験指示手段は、全ての火災検知器の試験を順次実行する全体試験を指示する全体試験指示手段と、前記火災検知器の前記火災検出部を個別に指定して個別試験を指示する個別試験指示手段を有することを特徴とするものである。
また、図3は、図2に示した防災システムを本実施の形態を説明するために簡略化した図である。図3に示される防災システム2は、防災盤21と30台の火災検知器1(一部の図示を省略している)で構成され、電源線6a、6bと、火災検知信号線8と、試験結果信号線12とを省略して、試験信号線4のみを示している。各火災検知器1は防災盤21に近い方を上位側とし、図3においては上位側から順番にNo.1〜No.30の番号が付されている。
以下、図1〜図4に基づいて火災検知器と防災盤の構成について説明する。
火災検知器1は、図1に示す通り、火災を検知するための火災検出部3と、防災盤21や隣り合う火災検知器1と信号を送受信するための火災検知器側信号送受信手段5と、自己の試験を行うための試験手段7と、一対の電源線6a、6bを接続する端子51a、51bと、端子51a、51b(一対の電源線6a、6b)が転極したことを検知する転極検知手段51を有している。
火災検知器側信号送受信手段5は、火災検知信号用送信回路5a、試験結果用送信回路5b、試験信号用送受信回路5cを有している。火災検知信号用送信回路5aは、火災監視時に火災を検知すると火災検知信号線8を介して防災盤21に火災検知信号を送信する。試験結果用送信回路5bは、試験時に試験結果を試験結果信号線12を介して防災盤21にパルス信号で送信する。試験信号用送受信回路5cは、試験時に自己の1次側に接続された防災盤21または火災検知器1から試験信号線4を介して試験信号を受信したり、自己の2次側に接続された火災検知器1に試験信号線4を介して試験信号を送信したりする。
火災検出部3が、火災の炎に含まれる特有の光の周波数を検出すると、火災検知器側信号送受信手段5は火災検知信号用送信回路5aをオンして、火災検知信号線8を通じて防災盤21に火災信号を送出する。
試験手段7は、自己の試験を行うためのものであり、図1に示す通り、右目9の試験を行う右目試験手段13と、左目11の試験を行う左目試験手段15とを有している。試験手段7による試験は、例えばランプ等を用いて模擬火炎光を発光させ、該発光を火災検出部3で検知できるかを確認するものである。
防災盤21は、図1に示す通り、火災検知器1と信号を送受信するための防災盤側信号送受信手段23と、7セグディスプレイ43等で構成され動作試験時にどの火災検知器1の試験を行っているかを表示するための表示手段25と、試験を指示するための試験指示手段27と、一対の電源線6a、6bを介して火災検知器1に電源を供給する端子50a、50bと、端子50a、50b(電源)を転極させる電源転極手段50を有している。電源転極手段50は、試験時に端子50a、50bの極性(+−)を転極させて試験信号が入力された火災検知器1に対して試験信号を次の火災検知器1に送信するように指示する。
防災盤側信号送受信手段23は、火災検知信号用受信回路23aと、試験結果用受信回路23bと、試験信号用送信回路23cを有している。火災検知信号用受信回路23aは、監視時に火災を検知した火災検知器1より火災検知信号線8を介して火災信号を受信する。試験結果用受信回路23bは、試験を行った火災検知器1より試験結果信号線12を介して試験結果を受信する。試験信号用送信回路23cは、試験時に自己の2次側に接続された火災検知器1に試験信号線4を介して試験信号を送信する。
以下、試験指示手段27について詳細に説明する。
試験指示手段27は、全体試験を指示するための全体試験指示手段29と、個別試験を指示するための個別試験指示手段31とを有している。
<全体試験指示手段>
全体試験指示手段29は全体試験を指示するためのものである。全体試験とは、全火災検知器1を対象として自動的に試験を行うものであり、最上位の火災検知器1から順番に試験を行っていき、最下位の火災検知器1の試験まで一括して行われる。
なお、図示はしていないが、全体試験指示手段29は全体試験開始の時刻を設定するための時刻設定手段等を有している。
本実施の形態では、防災盤21が試験結果を受信したことを受けて、電極転極手段50が端子50a、50bを転極しているが、先に端子50a、50bを転極してから所定時間経過後に端子50a、50bを転極する構成としてもよい。
個別試験指示手段31は個別試験を指示するためのものである。個別試験とは、火災検知器1を指定して個別に行う試験であり、全体試験で不具合が見つかった火災検知器1の再試験をするため等に用いられる。個別試験は、全体試験と試験信号の送り方が異なっている。全体試験の場合は上述のとおり、試験信号を受信すると自己の試験を行い、次いで下位側の火災検知器1に試験信号を送信する。個別試験の場合は、試験対象以外の火災検知器1が試験信号を受信しても、試験はせずに下位側の火災検知器1に試験信号を送信していく(以下、これを「早送り」という)。また、早送りが進み、試験対象の火災検知器1が試験信号を受信して試験を行った後は、試験信号の送信はせずにそのままの状態を保持している(以下、この状態を「一時停止」という)。
個別試験では、防災盤21は、火災検知器1からの試験結果信号を待たずに個別試験指示手段31で指示された火災検知器1までの火災検知器1の接続数分、電源転極手段50が、端子50a、50bの転極を行う。
この点を、図3の防災システム2を例に挙げて具体的に説明する。仮に火災検知器指定手段33でNo.28の火災検知器1が指定されると、右目9が初期値として指定される。このときステッピングキー45を1回押下すると1目だけ進め、No.28の火災検知器1の左目11が指定される。さらにステッピングキー45を1回押下するとさらに1目だけ進め、No.29の火災検知器1の右目9が指定される。
また、一時停止の状態で解除キー39が押下されると、前記試験対象の火災検知器1の下位側にあるすべての火災検知器1について試験をすることができる。
まず、火災検知器指定手段33を用いてNo.3の火災検知器1を指定する(S1)。このとき、初期値として右目9が指定される。次に、目指定手段35を用いて目を指定する(S3)。この場合、ステッピングキー45を1回押下して左目11を指定する。なお、試験対象が右目9の場合は操作不要である。次に、開始キー37を押下して、試験を開始する。
このとき防災盤21は、電源転極手段50により2本の電源線6a、6bに接続された端子50a、50bの極性(+−)を転極した後、No.1の火災検知器1あてに試験信号用送信回路23cより試験信号線4を介して試験信号を送信する。No.1の火災検知器1は試験対象に指定されていないので、防災盤21は、電源転極手段50により、さらに端子50a、50bを転極する。すると、No.1の火災検知器1は、転極検知手段51によって端子51a、51bが転極したことを検知し、試験信号用送受信回路5cが受信した試験信号により開始していた試験(この場合は、左目11が指定されているので、左目11のみの試験)を中断して、No.2の火災検知器1に対して試験信号用送受信回路5cより試験信号線4を介して試験信号を送信する。同様に、電源転極手段50により、さらに端子50a、50bが転極されて、No.2の火災検知器1も早送りされ、No.3の火災検知器1が試験信号用送受信回路5cにより試験信号を受信すると、左目11が指定されているのでNo.3の左目11のみの試験が実行され、試験結果用送信回路5bにより試験結果が送信される(S5)。試験終了後、試験対象が最下位の火災検知器1の左目11に該当するかどうかが判定される(S7)。この場合、該当しないため、一時停止となる(S9)。なお、該当する場合は試験終了となる。
なお、S9の一時停止状態において解除キー39を押下すると、No.4以下の全ての火災検知器1について試験を行うことができる。また、このとき、目の指定も解除され、以降は右目9及び左目11の両方について試験を行う。
図8に示す通り、一時停止中において(S11)、火災検知器指定手段33を用いてNo.29を指定する(S13)。試験対象は左目11であるため、ステッピングキー45を1回押下して指定する(S15)。なお、試験対象が右目9の場合、目指定手段35の操作は行わない。次に、開始キー37を押下して試験を開始する。すると防災盤21は、電源転極手段50により端子50a、50bを転極し、これによりNo.3のは試験信号をNo.4に送信する。防災盤21はNo.3からNo.28までの火災検知器1の数量分、つまり、試験対象となる火災検知器1の番号の増加分、端子50a、50bの転極を繰り返し、No.29の左目11あてに試験信号が送信され、No.4からNo.28までは該試験信号を受信しても試験せずに早送りされる。その後、No.29が試験信号を受信すると、その左目11のみ試験が実行される(S17)。試験対象は最下位の試験機の左目11ではないため(S19)、再度一時停止となる(S11)。
また、上記の実施の形態では、個別試験で試験対象の火災検知器1の試験を行った後、試験信号の送信をせずに一時停止状態となり、一時停止を解除させる解除キー39を有するものであったが、解除キー39の替わりに保持キーを有し、保持キーが押下された状態で個別試験を行うと、試験対象の火災検知器1の試験を行った後、一時停止状態となり、次の指示を待つようにしてもよい。この場合、保持キーを押下せずに個別試験を開始すると、試験対象の火災検知器1の試験を行った後、試験を行った火災検知器1の下位側にある全ての火災検知器1について試験をすることができる。
また、上記の実施の形態では、試験結果をパルス信号で送信しているが、試験結果によってハイ信号またはロー信号を送信するようにしてもよい。
2 防災システム
3 火災検出部
4 試験信号線
5 火災検知器側信号送受信手段
5a 火災検知信号用送信回路
5b 試験結果用送信回路
5c 試験信号用送受信回路
6a、6b 電源線
7 試験手段
8 火災信号線
9 右目
11 左目
12 試験結果信号線
13 右目試験手段
15 左目試験手段
21 防災盤
23 防災盤側信号送受信手段
23a 火災検知信号用受信回路
23b 試験結果用受信回路
23c 試験信号用送信回路
25 表示手段
27 試験指示手段
29 全体試験指示手段
31 個別試験指示手段
33 火災検知器指定手段
35 目指定手段
37 開始キー
39 解除キー
41 テンキー
43 7セグディスプレイ
45 ステッピングキー
47 右目ランプ
49 左目ランプ
50 電源転極手段
50a、50b 電源線用端子(防災盤)
51 転極検知手段
51a、51b 電源専用端子(火災検知器)
Claims (1)
- トンネル内に設置される多数の火災検知器に電気的に接続されて前記火災検知器の状態を監視する防災盤であって、
前記火災検知器は、複数の火災検出部を備えると共に該火災検出部の動作試験を行う試験手段を有し、
前記防災盤は、前記火災検知器と送り配線方式で接続されて、該送り配線を介して前記火災検知器に試験開始を指示する試験信号を送信する試験指示手段を有し、
該試験指示手段は、全ての火災検知器の試験を順次実行する全体試験を指示する全体試験指示手段と、前記火災検知器の前記火災検出部を個別に指定して個別試験を指示する個別試験指示手段を有し、
該個別試験指示手段は、特定の火災検知器の試験実行後において、他の火災検知器の火災検出部を指定したときに、前記特定の火災検知器を起点として前記試験信号を前記火災検出部に送信することを特徴とする防災盤。
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