JP5939507B2 - 超硬合金及びその製造方法、並びにこれを用いた旋削用インサート - Google Patents

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本発明は、例えばNi基超耐熱合金、チタン合金、ステンレス鋼などの難削材及び熱処理後の高硬度鋼等の高速切削、乾式切削等に使用される、耐塑性変形性に優れたWC基超硬合金及びその製造方法、並びにこれを用いた旋削用インサートに関する。
従来、金属材料の切削加工には、高硬度、高強度、高熱伝導率の特性を有するWC基超硬合金に、耐摩耗性、耐酸化性、耐溶着性に優れたセラミック硬質皮膜を化学蒸着法又は物理蒸着法により単層又は多層に被覆した旋削用インサートが一般的に使用されている。
近年では、被削材の高硬度化や高能率加工に伴い、旋削用インサートへの熱的負荷は増大する傾向にあり、基材であるWC基超硬合金にも過酷な耐熱性が求められるようになっている。また、高温強度が極めて高いNi基、Co基の超耐熱合金の加工需要や熱処理済の高硬度材の高能率加工の要求が高まり、旋削用インサートの使用環境はより過酷なものとなっており、工具刃先温度は加工条件によっては1000℃近くに達し、旋削用インサートの寿命は一層短いものとなっている。
そこで、ZrとCrを複合添加することによりWC基超硬合金の高温強度や硬度を改善する提案がなされている。
特許文献1は、Co等を含有した結合相と、Zrを含有した立方晶化合物と、WCとからなり、酸素量が0.01〜0.1質量%であって、Zrを前記立方晶化合物に対して5〜50質量%含有する超硬合金を開示している。
特許文献2は、焼結温度まで適切な雰囲気中で加熱する工程と、冷却する工程とを含む超硬合金物体を焼結する方法であって、前記冷却工程を、少なくとも1250℃までは20℃/min以上の冷却速度に高める旨を開示している。
特許文献3は、WC粉末、VC粉末、Cr粉末及びCo粉末を所定比率で配合し、得られた配合粉末を混合・粉砕し、得られた混合・粉砕粉末を成形し、得られた成形体を1350〜1450℃で焼成後、55〜65℃/分の冷却速度で800℃以下まで冷却する旨が開示されている。
特開2008−69420号公報(請求項1、4) 特表2000−514393号公報(請求項1) 特開2011−99164号公報(段落0054〜段落0056)
しかし、特許文献1の段落0019等には成形体を1000〜1250℃で焼結した後の具体的な冷却速度は記載されておらず不明である。また、焼結体表面のCo富化層の有無についても記載が無い。
また特許文献2及び3の如く、焼結時の加熱保持温度から急冷すると、焼結体表面のCo富化層の生成は抑制される。しかし、本発明者の検討によれば、焼結時の加熱保持温度から急冷すると、耐塑性変形性が顕著に低下して旋削用インサートとして使用した場合に短寿命になることが分かった。
従って、本発明は、超耐熱合金やチタン合金、ステンレス鋼などの難削材及び熱処理後の高硬度鋼等の高速切削、乾式切削等において生じる加工熱によりWC基超硬合金を基材に用いた旋削用インサートの刃先が非常に高温になる場合に、当該刃先部の塑性変形を抑制すると共に皮膜の剥離を低減することができる、耐塑性変形性に優れた新規で高性能なWC基超硬合金及びその製造方法、並びに前記超硬合金製の旋削用インサートを提供することを目的とする。
本発明のWC基超硬合金は、4.0〜6.5質量%のCoと、Coに対する質量比で7
〜11%のCrと、Coに対する質量比で2〜5%のZrとを含有し、WC粒子をCoに
より結合したWC基超硬合金であって、前記超硬合金の焼結体の表面から内部の鉛直方向
の100μmまでの部分(表層部)のCo含有率(質量%)が、前記表層部から内部の部
分のCo含有率(質量%)の0.97〜1.20倍の範囲内にあり、前記焼結体の表面か
ら内部の鉛直方向の60μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)(X60)が、前記焼結体の表面から内部の鉛直方向の60μm〜100μmまでの平均Co含有率(質量%)(X100)よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、旋削用インサートに好適である、新規で高性能なWC基超硬合金を提
供することができる。
なお、ここで、表層部において、「Co含有率(質量%)」の用語は、表層部における基準表面から内部の鉛直方向の個々の深さ位置におけるCo含有率(質量%)をいい、「平均Co含有率(質量%)」の用語は、表層部における基準表面から内部の鉛直方向の特定の領域内の複数の異なる深さ位置におけるCo含有率(質量%)を平均して得られたCo含有率(質量%)をいう。
本発明のWC基超硬合金にTiAlN皮膜等の公知の硬質皮膜を被覆した旋削用インサートは刃先部の耐塑性変形性が非常に良好であって長寿命になり、実用性が高い。
本発明のWC基超硬合金の製造方法は、4.0〜6.5質量%のCo粉末と、Coに対する質量比で7〜11%のCrに相当するCr粉末と、Coに対する質量比で2〜5%のZrに相当するZrC粉末と残部WC粉末とを配合する配合工程と、得られた配合粉末を混合し、粉砕する混合・粉砕工程と、得られた混合・粉砕後の原料を造粒し、乾燥する造粒・乾燥工程と、得られた造粒粉末を成形する成形工程と、得られた成形体を焼成する焼成工程とを有し、前記成形体は1300〜1450℃で20分間〜4時間加熱保持されることにより焼結され、その後前記加熱保持温度から1150℃まで0.5〜4.0℃/分の冷却速度で徐冷されることを特徴とする。
本発明によれば、耐塑性変形性に優れた、新規で高性能なWC基超硬合金を提供することができる。
本発明によれば、以下の有利な効果を奏することができる。
(1)耐塑性変形性に優れた新規で高性能なWC基超硬合金及びその製造方法を提供することができる。
(2)耐塑性変形性に優れた、長寿命の旋削用インサートを提供することができる。
本発明例1、比較例4−2、比較例5及び比較例16の各WC基超硬合金の焼結体の表面(基準表面)から内部の鉛直方向に向かってEPMAにより線分析した結果(焼結体表面からの深さ方向のCo含有率(質量%)の分布図)を示す。
[1]WC基超硬合金の組成
WCは硬質相成分であり、CoはWC粒子を結合させる結合相である。
Co含有量は4.0〜6.5質量%にすることが必要である。十分に緻密な焼結を実現せしめ、優れた耐塑性変形性を得るためである。Co含有量は4.5〜6.0質量%にするのが好ましい。Co含有量が4.0質量%未満では気孔が多数残存して実用に耐えない。Co含有量が6.5質量%超ではWC基超硬合金の耐塑性変形性が低下する。
CrはCo相中に固溶し、Coを固溶強化することで、WC基超硬合金の靭性及び耐塑性変形性を向上させる。また、Crを含有することでWC粒子の局所的な粒成長を抑制し、均一なWC基超硬合金組織が得られる。Cr無添加に比べてWC粒子の間に存在するCo相が均一に分布するようになるため、耐塑性変形性が向上し、室温における強度が高くなる。
Cr含有量は、Coに対し質量比で7〜11%にすることが必要であり、Coに対し質量比で7〜10%にすることが好ましい。
Cr含有量が質量比で7%未満では旋削用インサートが短寿命になる。Cr含有量が質量比で11%超では焼結性が悪化し、気孔が残存する。更にCrを主とする炭化物がWC基超硬合金の組織中に形成されてWC基超硬合金の強度が顕著に低下する。
ZrはCo相中にほとんど固溶しないことが知られており、Co相中に分散することでCo相の変形を抑制し、耐塑性変形性を向上させる。
Zr含有量は、Coに対し質量比で2〜5%とすることが必要であり、Coに対し質量比で2.5〜5%とすることが好ましい。
Zr含有量が質量比で2%未満では旋削用インサートが短寿命になる。Zr含有量が質量比で5%超ではZrを主成分とする粒子が増加し、その粒径も大きくなり、強度や破壊靭性値が低下し、旋削用インサートの性能が顕著に低下する。また、Zrを過剰に含有することにより焼結性が悪くなり、気孔が多数残存して、室温における強度、高温における耐塑性変形性が著しく低下する。
本発明のWC基超硬合金では公知の不可避的不純物の含有が許容される。
[2]WC基超硬合金の組織
本発明のWC基超硬合金の組織は、上記本発明のCrとZr添加WC基超硬合金の特定
組成及び後述の製造条件(焼成工程における徐冷条件)を採用したことにより、従来のC
rとZr添加WC基超硬合金とはCo富化層の分布が異なる新規なミクロ組織を呈する。
即ち、本発明のWC基超硬合金の組織は、当該超硬合金の焼結体の表面(基準表面)か
ら内部の鉛直方向の100μmまでの部分(表層部)のCo含有率(質量%)が、前記表
層部から内部の部分のCo含有率(質量%)の0.97〜1.20倍の範囲にあり、前記
焼結体の表面から内部の鉛直方向の60μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)(X
60)が、前記焼結体の表面から内部の鉛直方向の60μm〜100μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)(X100)よりも大きいことを特徴とする。この特徴とは、後
述の図1中における本発明例1のプロット(△)が基準表面(焼結体表面)から30μm
の範囲において次第に小さくなっていること、換言すれば基準表面近傍にのみCo富化層
を有し、なだらかな濃度勾配を持つことをいう。
[3]WC基超硬合金の製造方法
本発明のWC基超硬合金は、原料粉末の配合工程、混合・粉砕工程、造粒・乾燥工程、成形工程及び焼成工程を経て製造される。
(A)原料粉末
配合に供される原料粉末は、4.0〜6.5質量%のCo粉末、Coに対する質量比で7〜11%のCrを含有するCr粉末、Coに対する質量比で2〜5%のZrを含有するZrC粉末及び残部WC粉末である。
全原料粉末に対し、Co粉末は、4.0〜6.5質量%にすることが必要であり、4.5〜6.0質量%にすることが好ましい。Co粉末が4.0質量%未満ではWC基超硬合金に気孔が残存して実用に耐えず、Co粉末が6.5質量%超ではWC基超硬合金の耐塑性変形性が低下する。
Cr粉末は、Coに対する質量比で7〜11%のCrを含有する相当量が配合され、Coに対する質量比で7〜10%のCrを含有する相当量を配合することが好ましい。Coに対する質量比で7質量%のCrを含有する相当量未満では旋削用インサートが短寿命になり、Coに対する質量比で11質量%のCrを含有する相当量超ではWC基超硬合金の強度が顕著に低下する。
ZrC粉末は、Coに対する質量比で2〜5%のZrを含有する相当量が配合され、Coに対する質量比で2.5〜5%のZrを含有する相当量を配合することが好ましい。Coに対する質量比で2質量%のZrを含有する相当量未満では耐塑性変形性が顕著に低下し、Coに対する質量比で5質量%のZrを含有する相当量超では旋削用インサートが短寿命になる。
(B)焼成工程
本発明に係る成形体は、脱脂処理後、通常1〜50Pa程度の真空雰囲気中で焼成温度1300〜1450℃で20分間〜4時間加熱保持されて焼結される。焼成条件は1350〜1450℃で30分〜2時間とすることが好ましい。焼成条件が1300℃で20分間未満では焼結体の密度が低下し、焼成温度が1450℃で4時間超では結晶粒子が顕著に粗大化する。
本発明のWC基超硬合金の特徴的なCo富化層の深さ方向の分布を得るために、前記加熱保持温度1350〜1450℃から1150℃までを0.5〜4.0℃/分の冷却速度で徐冷することが必要である。
冷却速度を0.5℃/分未満とするのは工業生産性に劣り、冷却速度を4.0℃/分にすると耐塑性変形性が十分でない。
(C)HIP処理
前記焼成温度から0〜100℃低い温度において、不活性ガス(アルゴンガス等)雰囲気中で20分間〜3時間、HIP処理を行うことにより本発明のWC基超硬合金をより高性能にすることができる。前記HIP処理の特定条件を外れるとHIP処理の効果が得られない。HIP処理を行った場合は、HIP処理の完了時のHIP処理温度から1150℃までを0.5〜4.0℃/分の冷却速度で徐冷することが必要になる。
[4]旋削用インサート
本発明の旋削用インサートは、本発明のWC基超硬合金の良好な耐塑性変形性を反映して、超耐熱合金、チタン合金及びステンレス鋼などの難削材、並びに熱処理後の高硬度鋼等の高速切削、乾式切削等において従来の旋削用インサートよりも高性能を発揮する。
本発明の旋削用インサートは、本発明のWC基超硬合金上にTiAlN等の公知の硬質皮膜を単層または多層構造に被覆して構成される。
このような硬質皮膜を構成する化合物としては、例えばTiC、TiN、TiCN、TiNO、TiCNO、TiB、TiO、TiBN、TiBNO、TiCBN、TiCrCN、ZrC、ZrO、HfC、HfN、TiAlN、AlCrN、AlCrSiN、CrN、VN、TiSiN、TiSiCN、AlTiCrN、TiAlCN、ZrCN、ZrCNO、AlN、AlCN、ZrN、TiZrN、TiAlC、NbC,NbN、NbCN、MoC、WC又はWC等が挙げられる。
このような硬質皮膜は、実用に耐えるために、1層当り10nm以上30μm以下の平均厚みを有することが好ましい。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
本発明例1
<焼成温度から1150℃までの冷却速度>
WC粉末(平均粒径1.2μm)、Co粉末(平均粒径1.2μm)、Cr粉末(平均粒径が1.0μm)及びZrC粉末(平均粒径が1.5μm)を用いて、表1に示すWC基超硬合金組成に配合した。但し、配合に際して「Co+Cr+Zr+WC=100質量%」とした。
次に配合した各粉末を、湿式混合・粉砕の助剤をエチルアルコール(水分含有量10%未満)としたアトライターに投入し、3時間、湿式の混合・粉砕を行った。この混合・粉砕工程では、原料粉末の総質量に対し2質量%のパラフィンワックスを添加した。湿式・混合後、スプレードライヤーにて造粒し、乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末により、旋削用インサート(DNMG150408、すくい角15°、ブレーカを配した形状)の基材用の成形体を成形した。得られた成形体を脱脂後、焼結炉において約10Paの真空雰囲気中、焼成温度1400℃にて60分間加熱保持後、1400℃から1150℃までの冷却速度を2.6℃として冷却し、その後室温まで冷却して本発明のWC基超硬合金(焼結体)を得た。
この焼結体の表面(基準表面)から内部の鉛直方向に向かって電子プローブマイクロ装
置(EPMA、日本電子株式会社製JXA−8500F)により線分析した結果、図1の
プロット(△)で示すデータを得た。図1から、本発明例1のWC基超硬合金の基準表面
(焼結体表面)から30μmの範囲において、Co含有率(質量%)が次第に小さくなっ
ていることが分かる。即ち、本発明例1のWC基超硬合金の基準表面近傍のみになだらか
な濃度勾配を持つCo富化層を有することが分かる。
また図1の本発明例1のプロット(△)から、本発明例1のWC基超硬合金の組織は、
当該超硬合金の焼結体の表面(基準表面)から内部の鉛直方向の100μmまでの部分(
表層部)のCo含有率(質量%)が、前記表層部から内部の部分のCo含有率(質量%)
の0.97〜1.20倍の範囲にあることが分かる。更に、前記焼結体の表面から内部の
鉛直方向の60μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)(X60)が、前記焼結体の
表面から内部の鉛直方向の60μm〜100μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)
(X100)よりも大きいことが分かる。これらの結果を表2に示す。
表2において、「最大Co量」とは図1におけるプロット(△)のうちのCo含有率(
質量%)の最大値(質量%)をいう。「最小Co量」とは図1におけるプロット(△)の
うちのCo含有率(質量%)の最小値(質量%)をいう。また「組成Co」とは表3に示
す焼結体組成(質量%)をいう。従って「最大Co量/組成Co量」及び「最小Co量/組成Co量」はこれらの質量比であり、焼結体の表面から深さ方向におけるCo含有率(質量%)のばらつきの最大値及び最小値を表している。
得られた本発明例1のWC基超硬合金(DNMG150408基材)の逃げ面、ブレーカー及び刃先は焼結肌のままとし、上下のサポート面のみを研削加工し、刃先の先端部にコーナー半径R0.02mmを付与するホーニング処理を施した。次に、このDNMG150408基材の表面に、物理蒸着法(アークイオンプレーティング法)により、TiAlN硬質皮膜を平均厚さ3μmに被覆して本発明の旋削用インサートを得た。
得られた本発明例1の旋削用インサートにより、以下の条件により切削試験を行った。
<切削試験の条件>
加工方法:湿式の側面旋削加工
切削油 :水溶性切削油を使用
被削材 :19質量%Cr−18.7質量%Fe−3.0質量%Mo−5.0質量% (Nb+Ta)−0.8質量%Ti−0.5質量%Al、0.03質量% C−残部Niの組成のNi基耐熱合金(時効処理済み)
切削速度:40m/分
送り量 :0.2mm/回転
切込み :1.0mm
この切削試験により、旋削用インサートの工具寿命は、逃げ面の最大摩耗幅が0.300mmを超えたとき、又は硬質皮膜が剥離若しくは欠損(チッピング)して前記剥離の幅若しくは前記欠損の幅が0.300mmを超えたときの加工時間とした。
表2に示すように、本発明例1の旋削用インサートは長寿命であり、工具寿命時の刃先部の形態は正常摩耗であった。
本発明例2、3及び比較例4−1、4−2
<焼成温度から1150℃までの冷却速度>
WC基超硬合金の配合組成、焼成温度(1400℃)から1150℃までの冷却速度を表1に示す条件に変更した以外、本発明例1と同様にしてWC基超硬合金及び旋削用インサートを得た。これらのWC基超硬合金及び切削用インサートについて本発明例1と同様のEPMA分析及び切削試験を行った。これらの測定結果を表2に示す。またX線法により測定した焼結体組成を表3に示す。表3では不可避的不純物を表示していない。
比較例4−2の旋削用インサートの表面から深さ方向を、本発明例1と同様にEPMAにより線分析した結果、図1のプロット(●)で示すデータを得た。
表2より、比較例4−1の旋削用インサートは本発明例1に比較して短寿命であった。また、比較例4−2の旋削用インサートは切削試験により刃先部が塑性変形したため、更に短寿命であった。
比較例5
<ウエットブラスト処理の影響>
WC基超硬合金の配合組成をZr無添加とした表4に示す組成に変更した以外、本発明例1と同様にして旋削用インサートを作製した。
次に、ウエットブラスト装置により、得られた旋削用インサートの切刃部に、アルミナ砥粒(平均粒径50μm)研磨材により、圧力:0.15MPa、時間:120sec、ブラストする処理を施した。得られた切削用インサートを本発明例1と同様にEPMA分析及び切削試験に供した。得られた測定結果を表5及び表3に示す。また、得られたWC基超硬合金の表面から深さ方向を、本発明例1と同様にEPMAにより線分析した結果、図1のプロット(×)で示すデータを得た。
表5より、比較例5−2の旋削用インサートは本発明例1に比較して短寿命であった。
本発明例6、7及び比較例8、9
<Co含有量>
WC基超硬合金の配合組成のCo含有量を表6に示すとおり変更した以外、本発明例1と同様にしてWC基超硬合金及び旋削用インサートを得た。これらのWC基超硬合金及び切削用インサートについて本発明例1と同様のEPMA分析及び切削試験を行った。測定結果を表7に示す。また焼結体組成を表3に示す。
表7より、本発明例6、7の旋削用インサートは長寿命であることが分かる。
Co含有量が過少の比較例8のインサートでは気孔が発生し、光学顕微鏡(OLYMPUS製BX51RF)を用いて超硬合金規格CIS006C−2007に準拠して測定した残留気孔はA06という不良であった。このため、比較例8では工具寿命を測定していない。
Co含有量が過多の比較例9の旋削用インサートは短寿命であった。
本発明例10、11及び比較例12、13
<Cr含有量>
WC基超硬合金の配合組成のCr含有量を表8に示すとおり変更した以外、本発明例1と同様にしてWC基超硬合金及び旋削用インサートを得た。これらのWC基超硬合金及び切削用インサートについて本発明例1と同様のEPMA分析及び切削試験を行った。測定結果を表9に示す。また焼結体組成を表3に示す。
表9より、本発明例10、11の旋削用インサートは長寿命であることが分かる。
Cr含有量が過少の比較例12及びCr含有量が過多の比較例13の旋削用インサートは短寿命であった。
本発明例14、15及び比較例16、17
<Zr含有量>
WC基超硬合金の配合組成のZr含有量を表10に示すとおり変更した以外、本発明例1と同様にしてWC基超硬合金及び旋削用インサートを得た。これらのWC基超硬合金及び切削用インサートについて本発明例1と同様のEPMA分析及び切削試験を行った。測定結果を表11に示す。また焼結体組成を表3に示す。
比較例16の旋削用インサートの表面から深さ方向を、本発明例1と同様にEPMAにより線分析した結果、図1のプロット(◇)で示すデータを得た。
表11より、本発明例14の旋削用インサートは長寿命であることが分かる。
Zr含有量が過少の比較例16及びZr含有量が過多の比較例17の各旋削用インサートは短寿命であった。
本発明例18
<HIP処理>
WC基超硬合金の配合工程から成形体の脱脂までを本発明例1と同様に行い、続いて脱脂後の成形体を、焼結炉において約10Paの真空雰囲気中、焼成温度1400℃にて60分間加熱保持後、1400℃、圧力5MPaのアルゴンガス雰囲気中に30分間保持するHIP処理を施した。続いて、1400℃から1150℃までの冷却速度を2.6℃として冷却し、その後室温まで冷却して本発明のWC基超硬合金(焼結体)を得た。以降は本発明例1と同様にして旋削用インサートを得た。これらのWC基超硬合金及び切削用インサートについて本発明例1と同様のEPMA分析及び切削試験を行った。測定結果を表12に示す。また焼結体組成を表3に示す。
表12より、本発明例12の旋削用インサートは非常に長寿命であることが分かる。
上記各本発明例のWC基超硬合金の有孔度は、超硬合金規格CIS006C−2007でA04以下でかつB02以下であり、良好であった。
本発明のWC基超硬合金及びこれを用いた旋削用インサートは、Ni基耐熱合金等やチタン合金、ステンレス鋼などの難削材及び熱処理後の高硬度鋼等の高速切削、乾式切削等に極めて有用である。

Claims (3)

  1. 4.0〜6.5質量%のCoと、Coに対する質量比で7〜11%のCrと、Coに対
    する質量比で2〜5%のZrとを含有し、WC粒子をCoにより結合したWC基超硬合金
    であって、
    前記超硬合金の焼結体の表面から内部の鉛直方向の100μmまでの部分(表層部)の
    Co含有率(質量%)が、前記表層部から内部の部分のCo含有率(質量%)の0.97
    〜1.20倍の範囲内にあり、
    前記焼結体の表面から内部の鉛直方向の60μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)(X60)が、前記焼結体の表面から内部の鉛直方向の60μm〜100μmまでの部分の平均Co含有率(質量%)(X100)よりも大きいことを特徴とするWC基超硬合金。
  2. 請求項1に記載のWC基超硬合金に硬質皮膜を被覆したことを特徴とする旋削用インサ
    ート。
  3. 4.0〜6.5質量%のCo粉末と、Coに対する質量比で7〜11%のCrに相当す
    るCr粉末と、Coに対する質量比で2〜5%のZrに相当するZrC粉末と残部
    WC粉末とを配合する配合工程と、
    得られた配合粉末を混合し、粉砕する混合・粉砕工程と、
    得られた混合・粉砕後の原料を造粒し、乾燥する造粒・乾燥工程と、
    得られた造粒粉末を成形する成形工程と、
    得られた成形体を焼成する焼成工程とを有する超硬合金の製造方法であって、
    前記成形体は1300〜1450℃で20分間〜4時間加熱保持されて焼結され、その
    後前記加熱保持温度から1150℃まで0.5〜4.0℃/分の冷却速度で徐冷されるこ
    とを特徴とするWC基超硬合金の製造方法。
JP2012142528A 2012-06-25 2012-06-25 超硬合金及びその製造方法、並びにこれを用いた旋削用インサート Active JP5939507B2 (ja)

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