JP5938557B2 - 水素発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、都市ガスやLPG等の炭化水素系燃料を原料ガスとして、高濃度の水素が含まれた生成ガスをつくる水素発生装置に関するものである。
水素発生装置は、都市ガスやLPG等の炭化水素系燃料を原料ガスとし、原料ガスと水蒸気とを改質触媒を用いて水蒸気改質反応させることによって、水素やメタン、一酸化炭素、二酸化炭素や水蒸気を成分とする改質ガスに改質する改質部と、改質ガス中の一酸化炭素を変成触媒や選択酸化触媒を用いて低減する一酸化炭素低減部とにより構成されている。
ここで、原料ガスである都市ガスやLPG中には、ガス採掘時由来の硫黄化合物や、使用時にガスが漏れた場合に、臭いでガス漏れに気づくように添加した付臭剤として、硫黄化合物が含まれている。この硫黄化合物は、DMS(サルファイド類)やTBM(メルカプタン類)、THT(チオフェン類)などの硫黄化合物であり、改質触媒や変成触媒、選択酸化触媒に供給されると触媒の活性点を覆い、触媒の性能が発揮できない状態となってしまう。したがって、触媒を用いた水素発生装置に供給する原料ガスは、あらかじめ硫黄化合物を除去し、硫黄化合物がほとんど含まれない状態のガスとする必要がある。
硫黄化合物を除去する主な方法としては、硫黄化合物をそのままの状態で脱硫剤中に物理吸着する吸着脱硫方式と、硫黄化合物を水素と反応させることで硫化水素に変えて脱硫剤を化学吸着させる水添脱硫方式とがある。吸着脱硫方式は水素を必要としないため取り扱いが簡便である反面、吸着容量が大きくない。そのため、定期的に吸着脱硫剤を交換するなどのメンテナンスを行うか、多量の吸着脱硫剤を予め搭載しておく必要がある。一方、水添脱硫方式は、硫黄化合物を硫化水素に変えるために、加熱と水素を必要とし取り扱いが簡便ではないが、吸着容量が大きいといった特徴がある。したがって、水添脱硫剤を使用する構成とすることで、製品寿命に達するまで脱硫剤をメンテナンスしない仕様としても、吸着脱硫方式に比べ、脱硫剤を大きくすることなく、装置サイズを小さく抑えることが可能となる。また、メンテナンスをなくすことで、使用時に生じるメンテナンス費用(交換部品代やメンテナンスの作業コストなど)も削減できるので、商品に必要となるコストを低減することができる。
このような吸着脱硫方式と水添脱硫方式のそれぞれのメリットを生かして併用した脱硫システムとして、起動時以降、水添脱硫剤の温度が低い状態では、原料ガスを常温での脱硫が可能な吸着脱硫器に供給して脱硫し、水添脱硫器の温度が作動温度に達した時点で、原料ガスと水素を混合して水添脱硫器に供給して脱硫する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されている燃料電池システムもしくは水素生成装置では、原燃料導入管を二つに分岐し、原燃料導入管を分岐した一方の分岐管を常温脱硫器に連結するとともに、他方の分岐管を水添脱硫器に連結し、水添脱硫器に連結した他方の分岐管に水素供給管を配置してなり、その起動時以降、温度が低い状態では原燃料を常温脱硫器に供給して脱硫し、水添脱硫器の温度が作動温度に達した時点で原燃料を水添脱硫器に供給して脱硫するように構成され、水素供給管を介して供給する水素は別途用意した水素ボンベ等から供給する方法と、脱硫システム内の改質器で製造した水素を利用する方法が提案されている。
特開2009−249203号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の脱硫システムのように、起動時以降、温度が低い状態では原燃料を常温脱硫器に供給して脱硫し、水添脱硫器の温度が作動温度に達した時点で、原燃料と水素を混合して水添脱硫器に供給して脱硫するように構成され、脱硫システム内の改質器で製造した水素の一部(以降、リサイクルガスと称す)を水素供給管(以降、リサイクルラインと称す)を介して利用する場合においては、水添脱硫器による脱硫へ切り替えた以降、リサイクルガス中の水分や触媒粉などの異物により、リサイクルライン、主にリサイクルライン上に配置された流路圧力損失を調整するオリフィス内、が閉塞した場合、水添脱硫器への適切な水素の供給が阻害され、その結果、水添脱硫ができなくなり、原燃料が脱硫されないまま改質器へ供給されるため、改質器中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化するという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、起動時以降に、水添脱硫器へ供給されるリサイクルラインが閉塞した場合であっても、改質器中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化しない水素発生装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の水素発生装置は、供給された原料ガス中の硫黄化合物を常温で除去する第1脱硫部と、前記第1脱硫部より下流に配置され、原料ガス中の硫黄化合物を水素と反応させて除去する第2脱硫部と、前記第2脱硫部からの原料ガスを水素を含む改質ガスに改質する改質部と、前記改質部より下流において分岐され、前記改質部からの改質ガスの一部を前記第2脱硫部に供給する原料ガスに混合するためのリサイクルラインと、前記第1脱硫部を経由して前記原料ガスを第2脱硫部に供給するための脱硫ラインと、前記第1脱硫部を経由せずに前記原料ガスを第2脱硫部に供給するためのバイパスラインと、前記リサイクルラインに配置されたオリフィスと、前記オリフィスの下流に配置され、リサイクルラインの閉塞を検知する閉塞検知部と、前記オリフィスの下流に配置され、リサイクルラインの通流と遮断をする弁と、前記脱硫ラインと前記バイパスラインとを切り替える切替部と、を備えている水素発生装置において、前記原料ガスが前記バイパスラインを介して前記第2脱硫部に供給されているときに前記閉塞検知部が閉塞を検知した場合は、前記切替部が前記原料ガスの経路を前記脱硫ラインに切り替えること、を特徴とする。
これにより、リサイクルラインの閉塞により第2脱硫部へ適切な水素が供給されないために、第2脱硫部による脱硫ができなくなっても、脱硫ラインに配置された第1脱硫部を経由し脱硫された原料ガスを改質部へ供給できるため、改質部中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化することを防止できる。
本発明の水素発生装置は、水添脱硫器へ供給される水素ガス経路(リサイクルライン)が閉塞し、水添脱硫に適切な水素が供給されないために、水添脱硫器による脱硫ができなくなっても、常温脱硫器を経由し脱硫された原料ガスを改質部へ供給できるため、改質部中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化することを防止できる。
本発明の実施の形態1の水素発生装置を示す概略構成図 本発明の実施の形態1にかかる水素発生装置における処理概略を示すフローチャート 本発明の実施の形態1の変形例1にかかる水素発生装置における処理概略を示すフローチャート 本発明の実施の形態1の変形例2にかかる水素発生装置における処理概略を示すフローチャート 本発明の実施の形態2の水素発生装置を示す概略構成図 本発明の実施の形態2にかかる水素発生装置における処理概略を示すフローチャート 本発明の実施の形態3にかかる水素発生装置における処理概略を示すフローチャート
本発明の水素発生装置は、供給された原料ガス中の硫黄化合物を常温で除去する第1脱硫部と、前記第1脱硫部より下流に配置され、原料ガス中の硫黄化合物を水素と反応させて除去する第2脱硫部と、前記第2脱硫部からの原料ガスを水素を含む改質ガスに改質する改質部と、前記改質部より下流において分岐され、前記改質部からの改質ガスの一部を前記第2脱硫部に供給する原料ガスに混合するためのリサイクルラインと、前記第1脱硫部を経由して前記原料ガスを第2脱硫部に供給するための脱硫ラインと、前記第1脱硫部を経由せずに前記原料ガスを第2脱硫部に供給するためのバイパスラインと、前記リサイクルラインに配置されたオリフィスと、前記オリフィスの下流に配置され、リサイクルラインの閉塞を検知する閉塞検知部と、前記オリフィスの下流に配置され、リサイクルラインの通流と遮断をする弁と、前記脱硫ラインと前記バイパスラインとを切り替える切替部と、を備えている。そして、前記原料ガスが前記バイパスラインを介して前記第2脱硫部に供給されているときに前記閉塞検知部が閉塞を検知した場合は、前記切替部が前記原料ガスの経路を前記脱硫ラインに切り替えること、を特徴とする。これにより、リサイクルラインの閉塞により第2脱硫部へ適切な水素が供給されないために、第2脱硫部による脱硫ができなくなっても、脱硫ラインに配置された第1脱硫部を経由し脱硫された原料ガスを改質部へ供給できるため、改質部中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化することを防止できる。なお、前記閉塞検知部と検知部とは、温度検知器、圧力検知器、及び流量検知器の少なくとも一つから構成されていてもよい。
また、前記閉塞検知部が閉塞を検知した後、閉塞が検知されなくなると、前記切替部が前記原料ガスの経路を前記バイパスラインに切り替えることを特徴とする。これにより、第1脱硫部による脱硫の使用を抑えることができ、脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
また、利用者に異常を報知する報知部を備え、前記閉塞検知部が閉塞を検知したとき、前記報知部が報知を行うことを特徴とする。これにより、閉塞検知部がリサイクルラインの閉塞を検知した場合は、切替部により原料ガスの経路が、バイパスラインから脱硫ラインに切り替わり、第2脱硫部による脱硫から第1脱硫部による脱硫へ切り替わることに加え、同時に報知部が異常を報知する。第2脱硫部による脱硫から第1脱硫部による脱硫へ切り替わり、第1脱硫部で脱硫できるため、改質器中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化することがないが、第1脱硫部での硫黄分の除去量は増大する。しかしながら、報知部が異常を報知することにより、利用者が異常を確認しメンテナンス実施者へ連絡できるため、閉塞原因を取り除くまでの時間が短縮される。そのため、第1脱硫部による脱硫の使用を抑えることができ、脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
また、前記報知部が報知を行った後、停止を行うことを特徴とする。これにより、第2
脱硫部による脱硫から、第1脱硫部による脱硫へと切り替えられた場合、安定した動作を継続する一方で、第1脱硫部による脱硫の使用を抑えることができ、吸着脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。なお、前記閉塞検知部が閉塞を検知した後、一定時間運転を継続すると、停止を行う構成、または手動操作により前記水素発生装置の停止を行う停止器を備え、前記閉塞検知部が閉塞を検知してから、停止器を用いて停止されるまで運転を継続する構成としてもよい。
また、第2脱硫部による脱硫から第1脱硫部による脱硫へ切り替わった一定時間後に前記弁を開放することを特徴とする。これにより、閉塞検知部がリサイクルラインの閉塞を検知した場合は、切替部により原料ガスの経路が、バイパスラインから脱硫ラインに切り替わり、第2脱硫部による脱硫から第1脱硫部による脱硫へ切り替わることに加え、切り替わった一定時間後に弁が開放される。第2脱硫部による脱硫から第1脱硫部による脱硫へ切り替わり、第1脱硫部で脱硫できるため、改質器中の改質触媒が硫黄化合物で被毒して劣化することがないが、脱硫触媒での硫黄分の除去量は増大する。弁を閉止し、一定時間経過することで、リサイクルラインの管内の温度状態などが変化し、閉塞状態が自然に取り除かれる場合がある。また、閉止してから一定時間後に開放することで、リサイクルラインの管内に弁開閉による脈動波が発生し、水分や脱硫触媒粉などの閉塞原因を取り除くことができる可能性がある。これにより、脱硫触媒の使用を抑えることができ、脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における水素発生装置の概略構成図を示すものである。
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る水素発生装置31は、第1脱硫部1、第2脱硫部2、改質部3、CO除去部4、燃料昇圧器5、閉塞検知部6、切替部7、原料ガス供給部8、制御部9、オリフィス11、弁12を備えている。
第1脱硫部1は原料ガス供給部8の下流に配置され、原料ガス供給部8より供給された原料ガス中の硫黄化合物を、常温で硫黄化合物を除去する吸着脱硫剤が充填されている。吸着脱硫剤としては、活性炭やゼオライト、金属化合物などを用いることが可能であり、特に加温などの操作を行うことなく、原料ガスを供給すればいつでも性能を発揮することができるものが用いられる。
第2脱硫部2は第1脱硫部1より下流に配置され、水素の供給により硫黄化合物を硫化水素とする触媒(Co−Mo系やCu−Zn系など)と硫化水素を化学吸着する触媒(ZnO系やCu−Zn系)により構成されるものが用いられ、反応に必要な加温装置を有する。
改質部3は第2脱硫部2より下流に配置され、第2脱硫部2からの原料ガスと水とを改質触媒を用いて、COを含んだ水素濃度が高い改質ガスに改質する。
CO除去部4は改質部3の下流に配置され、CO除去触媒が設置されており、供給され
た改質ガス中のCOをシフト反応や選択酸化反応などにより除去し、COをほとんど含まない水素が主成分の生成ガスとして水素発生装置から送出する。改質触媒としては、Pt、Ru、Rhなどの貴金属やNiなどの卑金属、CO除去触媒としてはPtなどの貴金属やFe−CrやCu−Znなどのシフト反応させる変成触媒やPt、Ru、Rhなどの酸素との混合により選択酸化反応させる選択酸化触媒が用いられる。
原料ガス供給部8からの原料ガスが第1脱硫部1に入る手前には切替部7が設置されており、切替部7は制御部9と電気的に接続されており、制御部9からの信号により第1脱硫部1を経由して原料ガスを第2脱硫部2に供給するための脱硫ライン22と、第1脱硫部1を経由せずに前記原料ガスを第2脱硫部2に供給するためのバイパスライン23を切替部7で切り替えることができるように構成されている。
CO除去部4より下流には、改質部3からの生成ガスの一部を前記第2脱硫部2に供給するガスに混合するよう分岐されたリサイクルライン21が設置され、リサイクルライン21には、オリフィス11、前記オリフィス11の下流にリサイクルライン21の閉塞を検知する閉塞検知部6、前記オリフィス11の下流に弁12が設置されており、弁12は制御部9と電気的に接続されており、制御部9からの信号によりリサイクルラインの通流と遮断ができるように構成されている。
燃料昇圧器5は、第2脱硫部2に供給するガスとリサイクルガスが混合される点と、第2脱硫部2の間に配置され、制御部9と電気的に接続されており、制御部9の制御に基づいて原料ガスを昇圧する。原料ガスとしては、都市ガスやLPGなどの炭化水素系燃料を使用することができる。
ここで、閉塞検知部6の検知方法として、リサイクルライン21に流れる水素ガス温度が所定値以下になることをサーミスタなどの温度検知器で検知する方法を使用してもよい。水素ガス温度の「所定値」とは、改質器内の反応で決まる値であり、例えば通常運転において100℃の水素ガス温度が閉塞検知部6での温度が庫内温度60℃程度の値を閉塞検知部6で検知することでリサイクルライン21が閉塞していることを把握できる。
また、閉塞検知部6の検知方法として、リサイクルライン21に流れる水素ガスの圧力が適正範囲外になることを圧力センサ、圧力計などの圧力検知器で検知する方法を使用してもよい。オリフィス11でリサイクルライン21の閉塞が起きた場合、閉塞検知部6の水素ガス圧力は下がるため、圧力センサであれば適正範囲の上限値、下限値に動作点を設けることで閉塞を検知することができる。同様の場合、圧力計であれば適正範囲外の圧力値を測定することで閉塞を検知することができる。
また、閉塞検知部6の検知方法として、リサイクルライン21に流れる水素ガスの流量が所定値以下になることを流量計などの流量検知器で検知する方法を使用してもよい。CO除去部4からの生成ガス中の水素量は原料ガス流量に応じてほぼ決まるため、原料ガス供給部8で原料ガス流量を測定してその値を把握すれば、生成ガス中の水素量が算出でき、リサイクルライン21を流れる水素量が予測できる。その予測値を基準値とし、閉塞検知部6での測定値とを比較することでリサイクルライン21の例えば水詰まりを水素量の異常な減少から検知することができる。
またここで、脱硫ライン22とバイパスライン23を切り替える切替部7の方法のひとつとしては、弁をそれぞれのラインに設置する方法がある。第1脱硫部1を用いて吸着脱硫をする場合は、制御部9によって、脱硫ライン22上に設置された弁は開状態、バイパスライン23上に設置された弁は閉状態に制御される。第2脱硫部2を用いて水添脱硫をする場合は、制御部9によって、脱硫ライン22上に設置された弁は閉状態、バイパスラ
イン23上に設置された弁は開状態に制御される。また、弁をそれぞれのラインに設置せずに、三方弁を用いる方法でもよい。なお、本実施の形態1では、切替部7は脱硫ライン22とバイパスライン23の分岐部に設置されているが、脱硫ライン22とバイパスライン23の合流部に設置されていてもよい。
次に、上記構成における水素発生装置31の動作を説明する。なお、水素発生装置31における第1脱硫部1による脱硫については、一般的な水素発生装置と同様に行われるため、その詳細な説明は省略する。本実施の形態1においては、制御部9が1つの制御装置で構成されていて、制御部9が水素発生装置31を構成する各機器を制御するものとして説明する。
図2は本発明の実施の形態1にかかる水素発生装置31における処理(水素発生装置31の動作時に制御部9により実行されるプログラム)の一例の概略を示すフローチャートである。
制御部9は、水素発生装置31の起動時以降、第2脱硫部2の水添触媒の温度が作動温度に達した時点で、切替部7へ切替指令を出力し、原料ガスがバイパスライン23を介して第2脱硫部2へ供給開始され(ステップS101)、第2脱硫部2で硫黄化合物を除去するよう制御される(ステップS102)。
ここで、改質部から第2脱硫部2へ供給される水素ガスは、リサイクルライン21に設置された閉塞検知部6によって、その状態量が検知され(ステップS103)、その状態量から閉塞が検知された場合(ステップS103でYES)は、リサイクルライン21に設置された弁12を閉止し(ステップS104)、切替部7によって原料ガスはバイパスライン23から脱硫ライン22を通るように経路を切り替え(ステップS105)、再び第1脱硫部1に供給される。これにより、第2脱硫部2による脱硫から、第1脱硫部1による脱硫へと切り替えられ(ステップS105)、リサイクルライン21が閉塞しても継続して運転を継続することができる(ステップS112)。
また、閉塞検知部6が閉塞を検知し、バイパスライン23から脱硫ライン22へ経路が切り替わった後に、弁12を開放し(ステップS107)、閉塞検知部6により閉塞が検知されなくなると(ステップS108でNO)、切替部7により、再び脱硫ライン22からバイパスライン23へ経路を切り替える(ステップS110)構成としてもよい。これにより、第1脱硫部1による脱硫の使用を抑えることができ、吸着脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。なお、閉塞検知部6により閉塞が検知された場合(ステップS108でYES)は、弁12を閉止し(ステップS109)、第1脱硫部での脱硫処理が継続される。
よって、以上のような方法を用いれば、閉塞検知部がリサイクルラインの閉塞を検知した場合でも、切替部により原料ガスの経路が、バイパスラインから脱硫ラインに切り替わり、水素の供給を必要としないため、水素発生装置を停止することなく、安定した動作を継続することができる。
(変形例1)
実施の形態1においては、水素発生装置の停止処理について限定しないが、例えば、閉塞検知部6が閉塞を検知した後、一定時間運転を継続すると、停止処理を行う構成としてもよい。
図3は本発明の実施の形態1の変形例1にかかる水素発生装置31における処理(水素発生装置31の動作時に制御部9により実行されるプログラム)の一例の概略を示すフロ
ーチャートである。
供給された原料ガスが第1脱硫部1を経由せずに第2脱硫部2に供給するためのバイパスライン23を介して供給されているときに閉塞検知部6が閉塞を検知した場合、切替部7が原料ガスの経路を脱硫ライン22に切り替える部分については、実施の形態1のステップS101〜ステップS112と同様とすることができ、図3中にはステップS121〜ステップS122を追加している。実施の形態1における閉塞検知部6が閉塞を検知した後(ステップS103)、一定時間運転を継続すると(ステップS121でYES)、停止処理を行う(ステップS122)。
「一定時間」は、第2脱硫部2による脱硫から、第1脱硫部1による脱硫へと切り替えられた場合、安定した動作を継続する一方で、第1脱硫部1での脱硫による水素発生を際限なく継続して、吸着脱硫剤への硫黄分の吸着量が際限なく増大することを抑制するために設けられるもので、例えばメンテナンス実施者が到着するまでの時間、数時間程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
これにより、第2脱硫部2による脱硫から、第1脱硫部1による脱硫へと切り替えられた場合、安定した動作を継続する一方で、第1脱硫部1による脱硫の使用を抑えることができ、吸着脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
(変形例2)
また、例えば、手動操作により水素発生装置の停止を行う停止器(図示しない)を備え、閉塞検知部6が閉塞を検知してから、停止器を用いて停止されるまで運転を継続するような構成としてもよい。
図4は本発明の実施の形態1の変形例2にかかる水素発生装置31における処理(水素発生装置31の動作時に制御部9により実行されるプログラム)の一例の概略を示すフローチャートである。
供給された原料ガスが第1脱硫部1を経由せずに第2脱硫部2に供給するためのバイパスライン23を介して供給されているときに閉塞検知部6が閉塞を検知した場合、切替部7が原料ガスの経路を脱硫ライン22に切り替える部分については、実施の形態1のステップS101〜ステップS112と同様とすることができ、図4中にはステップS131〜ステップS132を追加している。実施の形態1における閉塞検知部6が閉塞を検知した後(ステップS103)、停止器へ停止処理を入力すると(ステップS131でYES)、水素発生装置が停止する(ステップS132)。
「停止器」は、操作者の手動操作により水素発生装置の動作を停止するものであればよい。「操作者の手動操作により水素発生装置の動作を停止する」形態には、少なくとも以下の2つの形態が含まれる。第1の形態は、水素発生装置への電力供給を、操作者の手動操作により例えば電力遮断器などで物理的に遮断する形態である。第2の形態は、操作者の手動操作によって水素発生装置の動作を停止する指令が制御部に入力され、当該制御部がその指令に基づいて水素発生装置の動作を停止する形態である。この形態は、例えば、制御器が原料ガス供給部に設置された弁などの開閉装置への電力供給を、原料ガスへの電源電力供給路上に設けられたスイッチをOFFすることにより遮断するよう構成してもよい。
以上より、水素発生装置の動作の停止タイミングは操作者により任意に調整することができるため、吸着脱硫剤量の搭載量と消費量を考慮した適切な時期までの運転を継続する
ことができる。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における水素発生装置の概略構成図を示すものである。図1の実施の形態1と異なる箇所のみ説明する。
水素発生装置には、利用者に異常を報知する報知部10が設置され、制御部9と電気的に接続されている。報知部10は、例えば警報器などの音を発する装置や、水素発生装置の状況を表すリモコンの画面に、視覚的に異常を表示する装置などである。
次に、上記構成において水素発生装置の動作を説明する。図6は本発明の実施の形態2にかかる水素発生装置31における処理(水素発生装置31の動作時に制御部9により実行されるプログラム)の一例の概略を示すフローチャートである。図2〜図4の実施の形態1と異なる箇所のみ説明する。供給された原料ガスが第1脱硫部1を経由せずに第2脱硫部2に供給するためのバイパスライン23を介して供給されているときに閉塞検知部6が閉塞を検知した場合、切替部7が原料ガスの経路を脱硫ライン22に切り替える部分については、実施の形態1のステップS101〜ステップS112と同様とすることができ、図6中のステップS201〜ステップS212に対応する。
本実施の形態2では、閉塞検知部6が閉塞を検知したとき(ステップS203でYES)、利用者にリサイクルラインに異常があることが報知される(ステップS213)。フローチャートでは、報知後に、実施の形態1の通り、第2脱硫部2による脱硫から、第1脱硫部1による脱硫へと切り替えられる(ステップS205)が、その順序は限定しない。
また、報知部10が報知を行った後、システムの停止処理を行うよう構成されていてもよい。停止処理については限定しないが、例えば、実施の形態1の変形例1および実施の形態1の変形例2のような方法としてもよい。
以上より、利用者が異常を確認しメンテナンス実施者へ連絡することができるため、閉塞原因を取り除くまでの時間が短縮される。そのため、第1脱硫部1による脱硫の使用を抑えることができ、吸着脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
「一定時間」は、第2脱硫部2による脱硫から、第1脱硫部1による脱硫へと切り替えられた場合、安定した動作を継続する一方で、第1脱硫部1による脱硫による水素発生を際限なく継続して、吸着脱硫剤への硫黄分の吸着量が際限なく増大することを抑制するために設けられるもので、例えばメンテナンス実施者が到着するまでの時間、数時間程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
これにより、第2脱硫部2による脱硫から、第1脱硫部1による脱硫へと切り替えられた場合、安定した動作を継続する一方で、第1脱硫部1による脱硫の使用を抑えることができ、吸着脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における水素発生装置の概略構成図は図1と同じ構成である。
次に、上記構成において水素発生装置の動作を説明する。図7は本発明の実施の形態3にかかる水素発生装置31における処理(水素発生装置31の動作時に制御部9により実
行されるプログラム)の一例の概略を示すフローチャートである。図2〜図4の実施の形態1、図6の実施の形態2と異なる箇所のみ説明する。供給された原料ガスが第1脱硫部1を経由せずに第2脱硫部2に供給するためのバイパスライン23を介して供給されているときに閉塞検知部6が閉塞を検知した場合、切替部7が原料ガスの経路を脱硫ライン22に切り替える部分については、実施の形態1のステップS101〜ステップS112と同様とすることができ、図6中のステップS301〜ステップS312に対応する。
本実施の形態3では、第1脱硫部1を経由しての水素生成後(ステップS313)、一定時間経過してから(ステップS321でYES)、弁12を開放する(ステップS322)。
また弁12の開放処理後について、 閉塞検知部6が閉塞を検知しなかった場合、つまり弁12の閉止動作および開放動作によりリサイクルライン21の閉塞が取り除かれた場合は、再び第2脱硫部2による脱硫を用いる構成としてもよい。さらに、弁の開放処理後に閉塞検知部が再び閉塞を検知した場合(ステップS323でYES)、例えば、停止処理を行う(ステップ324)構成としてもよい。
以上より、弁を閉止し、一定時間経過することで、リサイクルラインの管内の温度状態などが変化し、閉塞状態が自然に取り除かれる場合がある。また、閉止してから一定時間後に開放することで、リサイクルラインの管内に弁開閉による脈動波が発生し、水分や脱硫触媒粉などの閉塞原因を取り除くことができる可能性がある。これにより、吸着脱硫触媒の使用を抑えることができ、吸着脱硫剤量の増量を抑制することができるため、水素発生装置の大型化とコストアップを抑制することができる。
本発明の水素発生装置は、吸着脱硫方式と水添脱硫方式を併用した水素発生装置において、水添脱硫器へ供給されるリサイクルラインが閉塞した場合であっても、安定した動作の継続を実現するもので、例えば、家庭用の燃料電池システムへの水素含有の生成ガスを供給する装置として有用である。
1 第1脱硫部
2 第2脱硫部
3 改質部
6 閉塞検知部
7 切替部
8 原料ガス供給部
9 制御部
10 報知部
11 オリフィス
12 弁
21 リサイクルライン
22 脱硫ライン
23 バイパスライン
31 水素発生装置

Claims (8)

  1. 供給された原料ガス中の硫黄化合物を常温で除去する第1脱硫部と、
    前記第1脱硫部より下流に配置され、原料ガス中の硫黄化合物を水素と反応させて除去する第2脱硫部と、
    前記第2脱硫部からの原料ガスを水素を含む改質ガスに改質する改質部と、
    前記改質部より下流において分岐され、前記改質部からの改質ガスの一部を前記第2脱硫部に供給する原料ガスに混合するためのリサイクルラインと、
    前記第1脱硫部を経由して前記原料ガスを第2脱硫部に供給するための脱硫ラインと、
    前記第1脱硫部を経由せずに前記原料ガスを第2脱硫部に供給するためのバイパスラインと、
    前記リサイクルラインに配置されたオリフィスと、
    前記オリフィスの下流に配置され、リサイクルラインの閉塞を検知する閉塞検知部と、
    前記オリフィスの下流に配置され、リサイクルラインの通流と遮断をする弁と、
    前記脱硫ラインと前記バイパスラインとを切り替える切替部と、
    を備えている水素発生装置において、
    前記原料ガスが前記バイパスラインを介して前記第2脱硫部に供給されているときに前記閉塞検知部が閉塞を検知した場合は、前記切替部が前記原料ガスの経路を前記脱硫ラインに切り替えること、
    を特徴とする水素発生装置。
  2. 前記閉塞検知部が閉塞を検知した後、閉塞が検知されなくなると、前記切替部が前記原料ガスの経路を前記バイパスラインに切り替えること、
    を特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  3. 前記閉塞検知部は、温度検知器、圧力検知器、及び流量検知器の少なくとも一つから構成されること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の水素発生装置。
  4. 利用者に異常を報知する報知部を備え、
    前記閉塞検知部が閉塞を検知したとき、前記報知部が報知を行うこと、
    を特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の水素発生装置。
  5. 前記報知部が報知を行った後、停止を行う請求項4記載の水素発生装置。
  6. 前記閉塞検知部が閉塞を検知した後、一定時間運転を継続すると、停止を行う請求項1から4いずれか1項に記載の水素発生装置。
  7. 手動操作により前記水素発生装置の停止を行う停止器を備え、前記閉塞検知部が閉塞を検知してから、前記停止器を用いて停止されるまで運転を継続する請求項1から4いずれか1項に記載の水素発生装置。
  8. 前記原料ガスが前記バイパスラインを介して前記第2脱硫部に供給されているときに前記閉塞検知部が閉塞を検知した場合に前記弁を閉止し、前記切替部が前記原料ガスの経路を前記脱硫ラインに切り替えた一定時間後に前記弁を開放する請求項1から7のいずれか1項に記載の水素発生装置。
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