JP5937367B2 - Oaローラの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、OAローラの製造方法に関する。
オフィスオートメーション機器(OA機器)のなかで、複写機やプリンタ、ファクシミリ等のような電子写真方式を用いた画像形成装置においては、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ等の各種のローラが用いられている。これらのローラを総称したOAローラは、回転軸としてのシャフトの外周に、樹脂発泡体、例えばポリウレタン発泡体よりなる弾性層が円柱形状に形成された基本構造を備えている。
OAローラの製造方法は、大別すると3種の方法がある。第一の方法は、金属製等のシャフトに必要に応じて接着剤等を塗布し、そのシャフトの外周に樹脂発泡体からなる弾性層材料を取りつけて固定し、その後に、弾性層材料を所望のサイズの円柱形状になるように研磨等をする方法である(特許文献1、特許文献2)。第二の方法は、第一の方法と同様にシャフトの外周に樹脂発泡体からなる弾性層材料を取りつけて固定した後、弾性層材料を所望のサイズの円柱形状になるように熱線で加工する方法である。第三の方法は、金型のキャビティに予めシャフトを配置しておき、このキャビティ内にゴム又は樹脂発泡体材料を射出してOAローラを得る方法である。
しかしながら、弾性層材料を研磨、研削又は切削により加工する第一の方法は、加工の際に弾性層の表面にケバ立ちが生じていた。また、弾性層材料を熱線で加工する第二の方法は、ローラの周面を均一に仕上げることが難しく、しかも熱線加工である故にローラの表面が熱により硬化したり、表面の発泡セルが破れたりする不具合があった。更に、射出成形で加工する第三の方法は、金型等の製作をする必要があることから製造コストが嵩み、かつ、金型内で発泡体の発泡状態を調整するのが難しいため、ローラの表面を低硬度で平滑な状態に均一にするのが難しかった。
ケバ立ちや熱硬化やコスト上昇を招かないOAローラの製造方法に関して、所望のローラ径よりも大きい径のローラ材を作製したのち、そのローラ材の外径よりも小径の円筒状成形具に当該ローラ材を挿入してローラの弾性層を圧縮してから加熱する、ローラの製造方法がある(特許文献3)。この製造方法により得られたローラは、弾性層の樹脂発泡体のセルがローラの径方向に圧縮された形状で、表面におけるセル数がローラ径方向内部のセル数よりも多くなっていて、ローラ表面のケバ立ちがなく、平滑なローラとなっている。
特開2008−299006号公報 特開2001−225201号公報 特開平9−297512号公報
しかしながら、特許文献3に記載の製造方法により得られたローラは、シャフトの回転軸と、円柱形状の弾性層の中心軸とが、必ずしも一致しない場合があった。原因は、加熱する工程において、円筒状成型具の保持方法が明確でなかったために、特に円筒状成型具を水平方向に保持した場合には、シャフトの回転軸と円筒状成型具の内径の中心軸が一致しない場合があったためと考えられる。シャフトの回転軸と、円柱形状の弾性層の中心軸とのずれが大きいと、OAローラをOA機器に取り付けて使用したときに、ローラに振れを生じて画像不具合を引き起こすおそれがあり、OAローラに要求される特性として、なお改善の余地があった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、ケバ立ちなく表面が平滑であり、しかもシャフトの回転軸と、円柱形状の弾性層の中心軸とのずれが小さいOAローラを製造することのできるOAローラの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する、本発明のOAローラの製造方法は、シャフトと、このシャフトの外周に形成された樹脂発泡体よりなる円柱形状の弾性層と、を有し、この弾性層が最終の外径よりも大きな外径を有しているローラ材を用意する工程と、このローラ材の弾性層の外径よりも小さな内径を有する円筒状成形具内に、ローラ材の弾性層を圧縮させながら当該ローラ材を挿入する工程と、このローラ材が挿入された円筒状成形具を、当該円筒状成形具の中心軸が垂直方向になる向きに保持する工程と、円筒状成形具の中心軸が垂直方向になる向きに保持された状態で、ローラ材を円筒状成形具と共に加熱する工程と、加熱後のローラ材を円筒状成形具から取り外すことで最終の外径の弾性層を有するローラを得る工程とを備えることを特徴とする。
本発明のOAローラの製造方法は、加熱後のローラ材を、少なくとも100℃まで降温させたのちに円筒状成形具から取り外すことが好ましい。樹脂発泡体は、ウレタンフォームであることが好ましい。また、円筒状成形具が、内周面に不規則な凹凸を有する構成とすることができる。
本発明のOAローラの製造方法によれば、ローラ材が挿入された円筒状成形具の中心軸が垂直方向に保持された状態で加熱するというシンプルな方法により、表面にケバ立ちがなく、平滑なローラを得ることができ、また、シャフトの回転軸と弾性層の中心軸とのずれを抑制することができる。これにより、良好な特性のOAローラを製造することができる。
本発明の製造方法の実施形態を説明する時系列順の模式図である。
以下、本発明のOAローラの製造方法及びOAローラの実施の形態について、図面を用いつつ具体的に説明する。
図1に、本発明の製造方法の実施形態を説明する時系列順の模式図を示す。図1(a)に示すように、まずローラ材10を用意する。このローラ材10は、シャフト11と、このシャフト11の外周に形成された樹脂発泡体よりなる円柱形状の弾性層12とから構成されている。シャフト11は、本発明で製造するOAローラにおける回転軸となるものであり、形状、材料、サイズ等について特に限定されるものではなく、通常のOAローラに適用されるものとすることができる。例えば、材料は金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。また、シャフト11は中実形状であってもよいし、中空形状であってもよい。
このシャフト11の外周に形成された弾性層12は、本発明で製造するOAローラにおける弾性層2に対応するものである。弾性層12は、必要に応じて接着剤によりシャフト11と固着される。
弾性層12の材料の樹脂発泡体は、特に限定されるものではないが、ウレタンフォームとすることができる。ウレタンフォームに用いるポリウレタン樹脂としては、従来公知の材料を適宜選択して用いることができ、特に制限されるものではない。また、ポリウレタン発泡体の発泡倍率としては、特に制限されるものではないが、1.2〜50倍、特には10〜25倍程度が好ましく、フォーム密度は、0.04〜0.1g/cm程度が好ましい。
弾性層12の外径は、本発明の製造方法による得られるOAローラ1の外径、すなわち最終の外径よりも大きな外径を有しているものとする。弾性層12は、OAローラ1の円柱形状と相似する円柱形状とすることが好ましい。このような円柱形状は、樹脂発泡体のシートから方形又は多角形断面のブロックを切り出してシャフト11に取り付け固定したのち、公知の方法、例えば研磨、研削、切削等により樹脂発泡体を円柱形状に加工することにより得られる。もっとも、場合によっては、円柱形状ではなく、方形又は多角形断面形状とすることもできる。
次に、図1(b)に示すように、円筒状成形具mを用意する。円筒状成形具mは、円筒形状であり、中心軸方向の長さは、ローラ材10の弾性層12よりも長い。内径は製造するOAローラ1の外径とほぼ同じ径で、OAローラ1の外径との隙間を考慮して、わずかに大きな内径とするのがよい。OAローラ1の外径にもよるが、例えばOAローラ1の外径よりも0.1mm大きな内径とすることができる。
円筒状成形具mは、樹脂製又は金属製とすることができるが、後工程で円筒状成形具mと共に加熱することから、耐熱性があり、かつ熱伝導性が良好な金属製であることが好ましい。なかでも、アルミニウム、銅、鉄等が好ましい。円筒状成形具の内面には、摩擦係数を低下させるために、フッ素コーティング等の、樹脂発泡体を汚染しない潤滑性皮膜を形成させることもできる。
図1(b)に示すように、このような円筒状成形具mの一端の開口からローラ材10を挿入する。この際、ローラ材10の弾性層12の外径は、円筒状成形具mの内径よりも大きいため、弾性層12を径方向中心に向けて圧縮させながら挿入する。弾性層12の圧縮率(%)は、挿入前のローラ材10の弾性層12の厚さをRとし、挿入後の圧縮された弾性層12の厚さをrとするとき{(R−r)/R}×100として表されるものであり、好適な圧縮率は、5〜50%程度とすることが好ましい。圧縮率が下限値よりも大きいことにより、弾性層12の表面近傍のセル密度を高くし、OAローラ1表面でトナー詰まり等を抑制することができる。圧縮率が上限値よりも小さいことにより、過度の圧縮を防止して、弾性層の弾性が損なわれることを防ぐことができる。
ローラ材10を円筒状成形具mに挿入するための手段は、特に限定されない。適切な挿入装置を用いてもよいし、また人力により挿入してもよい。なお、ローラ材10を円筒状成形具mに対して捩じりながら挿入するのは避けることが好ましい。
挿入後の円筒状成形具mの外観を図1(c)に示す。なお、ローラ材10を円筒状成形具m内に挿入した後に、この挿入作業により円筒状成形具m内のローラ材10の弾性層12に生じたシャフト軸方向の歪を除去するように、シャフト11を挿入方向とは逆方向に若干量だけ移動させることもできる。円筒状成形具m内のローラ材10の弾性層12に生じたシャフト軸方向の歪を除去するように、シャフト11を挿入方向とは逆方向に移動することにより、得られたOAローラ1は、弾性層2を構成する発泡体のセルにローラのシャフト11軸方向の歪が解消され、OA機器にOAローラ1を組み込んだ場合に良好な画像形成特性が得られる。
シャフト11を挿入方向とは逆方向に移動させる量は、円筒状成形具m内のローラ材10の弾性層12に生じたシャフト11軸方向の歪み量により定められる量、より具体的には、当該歪み量と同じ量又は実質的に同じ量とすることが好ましい。実質的に同じ量とは、歪み量±1mm以内の量のことをいう。シャフト11の移動量を、このような歪み量により定められる量とすることにより、弾性層12に生じたシャフト軸方向の歪を、より効果的に除去することができる。
次に図1(d)に示すように、ローラ材10が挿入された円筒状成形具mを、当該円筒状成形具mの中心軸が垂直方向になる向きに保持する。このように円筒状成形具を垂直に保持するために用いるスタンドは、例えば、たとえば、円筒状成形具mの外径よりも若干大きな篩目を有する金網を水平方向に、底部から上空に単数又は複数で設けたバスケットがある。もっとも、円筒状成形具mを垂直に保持するために用いる手段は特に限定されない。
発明者の知見によれば、円筒状成形具mを用いた加熱を経て製造されたOAローラのシャフトの回転軸と、弾性層12の中心軸とのずれの原因の一つは、ローラ材を挿入した円筒状成形具の加熱時に、シャフトが適正な位置からずれることである。従来、円筒状成形具は、当該円筒状成形具の中心軸が水平方向になる向きになっている状態で加熱されていた。このとき、円筒状成形具に挿入されたローラ材のシャフトに円筒状成形具の端部の開口から何らかの外力が加わるか、シャフトの自重などによって、シャフトの回転軸と円筒成形具の中心軸との方向にずれが生じることがあった。
このシャフトの回転軸と円筒状成形具mの中心軸との方向のずれを防止するために、ローラ材が挿入された円筒状成形具mの両端に、シャフトと嵌合可能な孔を有するシャフト保持具としてのキャップを装着することとして、装着されたときのキャップの孔が、円筒成形具の中心軸方向に一致するように形成されているものを使用することが考えられる。このキャップによりシャフトの回転軸を、円筒成形具の中心軸に一致させるように位置決めすることができる。しかし、加熱時にキャップを使用することは、キャップの取り付け、取り外しの作業が加わるし、キャップ自体のコストも要するので、作業性、製造コストの面で不利であった。
これに対し、ローラ材10が挿入された円筒状成形具を、当該円筒状成形具の中心軸が垂直方向になる向きの状態で加熱をすれば、上記のキャップを用いなくても、キャップを用いた場合と同等程度に、シャフトの回転軸と円筒成形具の中心軸とのずれを抑制することができた。
ローラ材10が挿入された円筒状成形具を保持するときの垂直方向は、厳密な意味での鉛直方向からわずかでも外れた方向を除外する意味ではない。当業者の常識的な垂直方向である。
次に、図1(e)に示すように、円筒状成形具mの中心軸が垂直方向になる向きに保持された状態で、ローラ材10を円筒状成形具mと共に加熱する。加熱手段は、特に限定されない。図1(e)では、既存の加熱装置tを用いている。また、加熱温度、加熱時間も特に限定されない。もっとも、ローラ材10の弾性層12表面に生じていたケバ立ちを防止するためには、当該ケバ立ちを防止し得る加熱温度、加熱時間の条件があるので、その条件にしたがって加熱すればよい。加熱条件の一例として、弾性層12の樹脂発泡体がウレタンフォームである場合に、140℃以上、30分以上加熱することにより、ケバ立ちを防止することができる。ポリウレタンフォームが、エーテル系ポリウレタンフォームの場合、より好ましい温度範囲は140℃以上160℃以下であり、エステル系ポリウレタンフォームの場合、より好ましい温度範囲は150℃以上180℃以下である。加熱時間は、あまりに長くしてもケバ立ち防止の効果が飽和するので、省エネルギーの観点から60分以下とすることが好ましい。
上記加熱後は、円筒状成形具m内のローラ材10は、その弾性層12の表面のセル密度が高く、ケバ立ちのない、平滑な表面が得られている。したがって、円筒状成形具mからローラ材10を取り外すことにより、弾性層12に対して別途に減径加工を施すことなく最終の外径の弾性層2を有するOAローラ1が得られる(図1(f))。この加熱後に、ローラ材10の温度が高い状態でローラ材10を取り外すと、弾性層の外径が所望の径よりも大きくなる場合があり、また、円筒状成形具mから取り外す際にシャフト11軸方向の歪が弾性層2に加わるおそれがある。したがって、ローラ材10は充分に降温させてから取り外すことが好ましく、例えば、加熱温度から少なくとも100℃まで降温させてから、取り外すことが好ましい。この降温は、大気中放冷でもよいし、加熱装置内で緩冷してもよいし、また、処理時間短縮のために冷却装置を用いて冷却してもよい。
本発明のOAローラ1の製造方法においては、円筒形状成形具mについて、内周面に不規則な凹凸を有するものを用いることもできる。OAローラの一つであるトナー供給ローラはせ、トナー搬送性及び不要トナーの掻き取り性が求められる。そこで、円筒形状成形具mの内周面に不規則な凹凸を有するものを用いて、本発明に従い加熱することにより、加熱時にこの円筒形状成形具の内周面に形成された不規則な凹凸を、ローラ材10の弾性層12の表面に転写させて、表面に不規則な凹凸を有するローラを得ることができる。これにより、得られるトナー供給ローラのトナー搬送性および掻き取り性を向上させることができる。
円筒状成形具mの内周面における不規則な凹凸は、円筒状成形具mの周方向および軸線方向の何れに対しても、同一形状の凹部および凸部(凹凸)が周期的に設けられていないことを指す。本発明における円筒状成形具mの内周面の不規則な凹凸は、目的とするトナー供給ローラ表面の凹凸形状に対応して設けることができ。具体的には例えば、円筒状成形具mの内周面粗さは、周方向および軸線方向の双方について、算術平均粗さ(Ra)が1μm以上、十点平均粗さ(Rzjis)が5μm以上であって、軸線方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μm以上であることが好ましい。より好ましくは、円筒状成形具mの内周面粗さは、周方向および軸線方向の双方について、算術平均粗さ(Ra)が5〜100μm、十点平均粗さ(Rzjis)が20〜400μm、軸線方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が100〜2000μm、周方向の粗さ曲線のスキューネス(Rsk)が−2〜0となるようにする。このような表面粗さ特性を有する円筒状成形具の内周面によって転写されたローラ材は,弾性層の表面の表面粗さが、円筒状成形具の内周面との上記表面粗さの特性と同等になる。
円筒状成形具mの内周面に上記不規則な凹凸を形成するための方法としては、特に制限されないが、低コストかつ容易に所望の凹凸を形成する方法として例えば、以下の(1)ブラスト処理、(2)表面焼結、(3)フッ素樹脂コーティングを用いることができる。なかでも、円筒状成形具mの内周面のスキューネスを負の値として、この円筒状成形具mにより転写されるローラ材表面のスキューネスを正の値にできるという点で、(2)表面焼結及び(3)フッ素樹脂コーティングが好ましい。これらの方法以外にも、不規則な凹凸形状を有するコマを用いた転造や、不規則凹凸形状のエンボス板を丸めてパイプ化することによっても、不規則凹凸形状の内周面を有する円筒状成形具mを製造することができる。
(1)ブラスト
円筒状成形具の素材である例えばアルミパイプ(A6063)等の内周面に、例えば、アルミナ等の研磨剤を吹き付けて、筒状部材の内周面をブラスト加工する。円筒状成形具mの内周面粗さは、研磨剤の粒径および形状、研磨剤の吐出圧、並びに研磨剤の吐出時間(加工時間)を調整することにより制御することができる。
(2)表面焼結
円筒状成形具の素材の内周面に、必要に応じて、例えば、スプレーのり等のバインダーを塗布した上で、例えば、銅単体または銅とSUSとの混合物からなる金属粒子を塗着し、塗着した金属粒子を焼結する。円筒状成形具mの内周面粗さは、塗着する金属粒子の粒径および塗着量、並びに焼結温度を調整することにより制御することができる。なお、バインダーは焼結中に気化消散する。
(3)フッ素樹脂コーティング
筒状部材の内周面に、金属粒子又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂粒子を塗着して凹凸を形成してから、例えば、PTFE、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系コーティング剤を塗布して、内周面をフッ素樹脂でコーティングする。円筒状成形具mの内周面粗さは、塗着する粒子の粒径および形状、並びに粒子の塗着量を調整することにより制御することができる。なお、この方法で製造した円筒状成形具mは、内周面がフッ素樹脂でコーティングされているので、離型性が高く、また、ケバ立ちが生じにくい利点もある。
本発明の実施形態のOAローラ1は、本発明の実施形態の製造方法により得られたローラである(図1(f)参照)。シャフト11と、このシャフト11の外周に形成された樹脂発泡体よりなる円柱形状の弾性層2と、を備え、この弾性層2の表面近傍の樹脂発泡体のセルがローラの径方向に圧縮変形された形状を有している。樹脂発泡体のセルがローラの径方向に圧縮変形されているから、弾性層2の表面は平滑で、かつ表面のセル密度(表面から1mmの部分で測定)が、内部のセル密度よりも大きい(例えば1.05倍〜3.00倍)。また、円筒状成形具mと共に加熱されることから、弾性層2の表面のケバ立ちが抑制されている。更に、樹脂発泡体のセルは、シャフト11の軸方向の歪が除去されているため、トナー等を安定供給、搬送することができ、トナー等の詰まりを抑制することができ、良好で均質な画像形成特性を得ることができる。
本発明のOAローラの製造方法及びOAローラは、上述した実施の形態及び後述する実施例に基づき、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で幾多の変形が可能である。例えば、本発明における弾性層に好適な材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ビスコース、アイオノマー等の熱可塑性フォーム又はウレタン、ラバーフォーム、エポキシ、フェノールユリア、ピラニル、シリコーン、アクリル等の熱硬化性フォームが挙げられるが、特にウレタンが好ましい。また、弾性層のセル形態は、単泡、連泡等の何れの形態でも使用可能だが、連泡の方が温度による寸法変化が少ないので好ましい。
また、弾性層の材料がウレタンである場合、ポリオールとしては、特に限定されず、疎水性及び親水性のいかなるポリオールでも使用できる。イソシアネートとしては、特に限定されず、公知のものが使用できる。
弾性層は、導電性を有する材料からなる構成とすることもできる。導電性を付与するための導電性材料としては、まず粉体として例示すれば、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。この中で、価格が安く、少量で導電性を制御し易いものは、カーボンブラックである。通常は、これらの導電性材料の配合量は、ウレタン100重量部に対して0.5〜50重量部、特に1〜30重量部の範囲で好適に用いられる。
イオン導電性物質を例示すれば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、更にトリデシルメチルジヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、ラウリルトリメチルアンモニウムパークロレート、変性脂肪族・ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3′−ドデシロキシ−2′−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムエトサルフェート、3−ラウルアミドプロピル−トエイメチルアンモニウムメチルサルフェート、ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチル−アンモニウム−ジハイドロジェンフォスフェート、テトラブチルアンモニウムホウフッ酸塩、ステアリルアンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウムの過塩素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、メチルサルフェート塩、リン酸塩、ホウフッ化水素酸塩、アセテート等の有機イオン性導電物質或は電荷移動錯体が例示される。通常は、これらの導電性材料の配合量は、ウレタン100重量部に対して0.0001〜50重量部の範囲で好適に用いられる。
(実施例1、2)
金属製の中実形状のシャフト(長さ250mm、直径6mm)の外周に、樹脂発泡体としてウレタンフォームよりなる弾性層を、外径15mm、長さ220mmの円柱形状に取り付け固定してなるローラ材を用意した。この弾性層のウレタンフォームは、材質がエステル系、平均セル径が270μm、硬度が80Ask−Fであった。
また、円筒状成形具として金属パイプ(SUS304、内径14.1mm、厚さ1.5mm)を用意した。この円筒状成形具の一端から上記のローラ材を円筒状成形具内に挿入した。ローラ材の弾性層の圧縮率は6%であった。
ローラ材を挿入した円筒状成形具を150℃で60分加熱した。この加熱の際に円筒状成形具の中心軸が水平方向に向かうように円筒状成形具を置いた場合と、円筒状成形具の中心軸が垂直方向に向かうように円筒状成形具を置いた場合との2条件を行った。
加熱後は、100℃まで冷却した後、円筒状成形具からローラ材を取り出した。この冷却際に、円筒状成形具の中心軸が水平方向に向かうように円筒状成形具を置いた場合と、円筒状成形具の中心軸が垂直方向に向かうように円筒状成形具を置いた場合との2条件を行った。
これらの条件で加熱、冷却を経て得られた各OAローラ(軸径6mmφ)について、回転させたときのローラ振れを調査した。ローラ振れは、シャフト両端部を保持してローラを回転させながら、弾性層の長手方向中央部において、基準線からローラ表面までの距離を測定し、上記距離の変化量(最大値と最小値との差)をローラ振れの値とした。ローラ振れの値は0.1μm以下を使用規格として、値が小さいほど振れが小さい。この調査結果を表1に示す。
Figure 0005937367
表1から、本発明に従い円筒状成形具の中心軸を垂直方向に保持して加熱した実施例1及び実施例2は、水平方向に保持して加熱した比較例1よりもローラ振れが小さかった。
次に、実施例1及び実施例2のOAローラを製造する際に金属パイプの内周面に不規則な凹凸を形成した例についても、ローラ振れ量が比較例1よりも小さかった。
1 OAローラ
2 弾性層
10 ローラ材
11 シャフト
12 弾性層
m 円筒状成形具
t 加熱装置
h 保持部材

Claims (4)

  1. シャフトと、このシャフトの外周に形成された樹脂発泡体よりなる円柱形状の弾性層と、を有し、この弾性層が最終の外径よりも大きな外径を有しているローラ材を用意する工程と、
    このローラ材の弾性層の外径よりも小さな内径を有する円筒状成形具内に、ローラ材の弾性層を圧縮させながら当該ローラ材を挿入する工程と、
    このローラ材が挿入された円筒状成形具を、当該円筒状成形具の中心軸が垂直方向になる向きに保持する工程と、
    円筒状成形具の中心軸が垂直方向になる向きに保持された状態で、ローラ材を円筒状成形具と共に加熱する工程と、
    加熱後のローラ材を円筒状成形具から取り外すことで最終の外径の弾性層を有するローラを得る工程と
    を備えることを特徴とするOAローラの製造方法。
  2. 加熱後のローラ材を、少なくとも100℃まで降温させたのちに円筒状成形具から取り外す請求項1記載のOAローラの製造方法。
  3. 前記樹脂発泡体が、ウレタンフォームである請求項1又は2記載のOAローラの製造方法。
  4. 前記円筒状成形具が、内周面に不規則な凹凸を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のOAローラの製造方法。
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