JP5085308B2 - ローラとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写装置、画像記録装置、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式画像形成装置において使用されるウレタンフォーム製のローラとその製造方法に関する。
ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラは、電子写真感光体を均一に帯電して所定の電位にする帯電ローラを清掃するための帯電クリーニングローラ、電子写真感光体からなる像担持体上に形成した静電潜像にトナーを搬送してその表面にトナー像として可視化する現像ローラにトナーを供給するためのトナー供給ローラ、トナー像を記録媒体あるいは中間転写ベルトに転写するための転写ローラなど、電子写真技術分野で広く用いられている。
ウレタンフォームは、低密度ながら適度な硬度があること、圧縮永久歪みが小さいこと、密度が低いため低価格なローラが提供できることなど、利点が多い材質である。特に、トナー供給ローラや帯電クリーニングローラにおいては、セル骨格の強靱さと、適度な硬さを有するウレタンフォームは好ましいものであり、ローラ本体の材質として主流となっている。
従来のウレタンフォーム製ローラとしては、(1)スラブウレタンフォームまたは型発泡ウレタンフォームにシャフト挿通孔を形成し、次いでローラ本体1本分の大きさで切り出した後、シャフト挿通孔にシャフトを挿通し、表面を研磨して円筒状に加工してローラ本体を形成したもの、(2)シャフトと一体にウレタンフォームを形成した後、ウレタンフォームの不要部分を研磨したもの、(3)シャフトを配置したローラ形状の発泡型内でウレタンフォームを発泡し、ローラ本体をシャフトと一体に形成したもの等がある。なお、スラブウレタンフォームは、混合撹拌したウレタンフォーム原料をベルトコンベア上に吐出し、コンベアベルトが移動する間に原料を常温、大気圧下で自然発泡させ、硬化させることで連続的に製造し、その後に乾燥炉内で硬化(キュア)させた後、所定サイズのブロック(通常は直方体形状)に裁断したものである。一方、型発泡ウレタンフォームは、混合撹拌したウレタンフォーム原料を型に注入して型内で発泡させることにより得られるものである。
前記(1)〜(3)の中でも(1)のローラは、ローラ形状の発泡型を必要としないので型の管理・補修に伴う煩雑さがなく、型へのウレタンフォーム原料注入に伴う不良(例えばエアの巻き込みによるピンホールの発生、ウレタンフォーム原料の配合比変動に伴うウレタンフォームの特性変動等)のおそれがなく、かつ歪みや耐摩耗性などの機械物性に優れるスラブウレタンフォームが使用できることから好ましいものである。
しかし、スラブウレタンフォームまたは型発泡ウレタンフォームからローラ本体用のフォーム材を切り出す方法では、切り出す際の精度や、シャフト挿通孔の孔開け位置精度等から、余裕を見越した大きさで切り出す必要があり、切り出したフォーム材の50%以上を除去しないと所望のローラ本体を得られず、無駄が多い問題がある。
さらに、スラブウレタンフォームは、発泡方向(コンベアベルト上で発泡する際の上下方向)と発泡方向に対して直交方向とでは、セル形状や硬さが異なっている。そのため、スラブウレタンフォームから切り出されて円筒状に加工されたローラ本体を有するローラは、トナー供給ローラとして使用された場合、トナーの掻き取り性や供給性がローラの回転角度によって異なり、印刷面に数mmから数10mmの周期で画像濃度の不均一部分が現れることがある。また、スラブウレタンフォームから切り出されて円筒状に加工されたローラ本体を有するローラを、転写ローラや帯電クリーニングローラとして使用する場合も、ローラ本体の硬さやセル形状がローラの回転角度によって異なり、掻き取り性や当接部分の変形の仕方が周期的に異なることから、出力画像にムラが周期的に現れることがある。
特開平8−334971号公報 特開平3−155575号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、製造時に無駄となるウレタンフォームを少なくしてコストを削減でき、トナー供給ローラ、帯電クリーニングローラ、または転写ローラと使用された場合に、ローラの回転による周期的なムラを画像に生じ難くでき、良好な画像が得られるローラ及びその製造方法の提供を目的とする。
請求項1の発明は、ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラにおいて、前記ローラ本体は、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体が前記柱状体の長さ方向を前記ローラ本体の長さ方向として筒状に組み合わされて接着され、円筒状に表面加工されたものからなり、前記柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向が前記柱状体の厚み方向とされ、前記柱状体の厚み方向の一方の側が前記シャフトの表面と当接していることを特徴とする
請求項2の発明は、ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラの製造方法において、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体を、前記柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を前記柱状体の厚み方向とし、前記柱状体の厚み方向の一方の側を内方にし、前記柱状体の長さ方向が前記ローラ本体の長さ方向となるようにして仮シャフトの外周に配置して筒状に組み合わせ、接着して結合体を形成し、前記結合体から前記仮シャフトを抜き、前記結合体における前記仮シャフトを抜いた後に前記シャフトを挿通し、前記結合体を円筒状に表面加工してローラ本体とすることを特徴とする。
請求項3の発明は、ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラの製造方法において、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体を、前記柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を前記柱状体の厚み方向とし、前記柱状体の厚み方向の一方の側を内方にし、前記柱状体の長さ方向が前記ローラ本体の長さ方向となるようにしてシャフトの外周に配置して筒状に組み合わせ、接着して結合体を形成すると共に前記結合体と前記シャフトを接着し、前記結合体を円筒状に表面加工してローラ本体とすることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2または3において、前記複数の柱状体は断面形状が二等辺台形の多角柱状からなる同一形状とし、前記台形の平行な辺のうち短片側を内方として前記柱状体を筒状に組み合わせることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ローラ本体は、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体が前記柱状体の長さ方向を前記ローラ本体の長さ方向として筒状に組み合わされて接着され、円筒状に表面加工されたものからなるため、従来のようにウレタンフォームから切り出す際の精度や、シャフト挿通孔の孔開け位置精度等から、余裕を見越した大きさで切り出す必要がなく、無駄となるウレタンフォームを少なくしてコストを削減することができる。さらに、柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を考慮して柱状体を筒状に組み合わせることが可能なため、発泡方向に起因する硬さやセル形状がローラの回転角度で異なることによって生じるローラ回転時の周期的なムラを抑えることができるようになる。
請求項1の発明によれば、柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向が前記柱状体の厚み方向とされ、前記柱状体の厚み方向の一方の側がシャフトの表面と当接しているため、シャフトの外周に配置された各柱状体における発泡方向が、シャフトの直径方向(半径方向)と等しくまたは平行となり、ほぼローラ断面におけるローラ中心部方向(またはその逆方向)に向かうので、ウレタンフォームの発泡方向に起因する硬さやセル形状がローラの回転角度で異なることによって生じるローラ回転時の周期的なムラを抑えることができるようになる。
請求項2の発明によれば、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体を、前記柱状体の長さ方向が前記ローラ本体の長さ方向となるようにして筒状に組み合わせ、接着した結合体を円筒状に表面加工してローラ本体とするため、ウレタンフォームから切り出す際の精度や、シャフト挿通孔の孔開け位置精度等から、余裕を見越した大きさで切り出す必要がなく、無駄となるウレタンフォームを少なくしてコストを削減することができる。さらに、柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を考慮して柱状体を筒状に組み合わせることができるため、ウレタンフォームの発泡方向に起因する硬さやセル形状がローラの回転角度で異なることによって生じるローラ回転時の周期的なムラを抑えることができる。さらに、請求項3の発明では、結合体を形成した後に、結合体のシャフト挿通孔にシャフトを挿通するため、結合体のシャフト挿通孔よりも径の大きいシャフトをシャフト挿通孔に挿通することで、結合体とシャフトを強固に結合することが可能となる。
請求項3の発明によれば、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体を、前記柱状体の長さ方向が前記ローラ本体の長さ方向となるようにして筒状に組み合わせ、接着した結合体を円筒状に表面加工してローラ本体とするため、請求項3の発明と同様に無駄となるウレタンフォームを少なくしてコストを削減することができ、またウレタンフォームの発泡方向に起因する硬さやセル形状がローラの回転角度で異なることによって生じるローラ回転時の周期的なムラを抑えることができる。さらに、請求項4の発明では、柱状体をシャフトの外周に配置して筒状に組み合わせ、接着して結合体を形成すると共に前記結合体と前記シャフトを接着しているため、後工程でシャフトをローラ本体に挿通する必要がなく、製造作業を簡略にすることができる。
また請求項2、3の発明によれば、柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を前記柱状体の厚み方向とし、前記柱状体の厚み方向の一方の側を内方にして前記柱状体を筒状に組み合わせるため、各柱状体における発泡方向がシャフトの直径方向(半径方向)と等しくまたは平行となり、ほぼローラ断面におけるローラ中心部方向(またはその逆方向)に向かうので、ウレタンフォームの発泡方向に起因する硬さやセル形状がローラの回転角度で異なることによって生じるローラ回転時の周期的なムラを抑えることができるローラを容易に製造することができる。
請求項4の発明によれば、複数の柱状体は断面形状が二等辺台形の多角柱状からなる同一形状とし、前記台形の平行な辺のうち短片側を内方として前記柱状体を筒状に組み合わせるため、組み合わせた柱状体間に隙間を生じに難くすることができる。
図1は本発明の一実施形態に係るローラの斜視図、図2は同ローラの横断面図、図3は柱状体の切り出しを示す図、図4は柱状体を筒状に組み合わせて接着する際を示す斜視図、図5は押し型を用いて筒状体を接着する際を示す断面図、図6は柱状体を筒状に組み合わせて接着した状態を示す斜視図、図7は筒状の結合体から仮シャフトを外した状態の斜視図、図8は筒状の結合体にシャフトを挿通する際の斜視図、図9は筒状の結合体にシャフトが挿通された状態の斜視図である。
図1及び図2に示すローラ10は、複写装置、画像記録装置、プリンタ、ファクシミリ等におけるトナー供給ローラ、帯電クリーニングローラ等に用いられるものである。前記ローラ10は、ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体11の中心に金属製のシャフト21が挿通されたものからなる。
前記ローラ本体11は、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体13が前記柱状体13の長さ方向L1を前記ローラ本体11の長さ方向L2として筒状に組み合わされて接着され、円筒状に表面加工されたものからなる。前記柱状体13は、スラブウレタンフォームまたは型発泡ウレタンフォームから切り出されたものからなる。
また、前記柱状体13を構成するウレタンフォームの発泡方向が前記柱状体13の厚み方向とされ、前記柱状体13の厚み方向の一方の側131が前記シャフト21の表面と当接している。なお、ウレタンフォームの発泡方向は、スラブ発泡時あるいは型発泡時の上下方向である。また、ウレタンフォームとしては、密度10〜200kg/m程度、セル数5〜150個/25mm程度の連続気泡構造、硬度10〜90°(アスカF硬度計、高分子計器株式会社製スポンジ用デュロメータ)、歪み(JIS K 6400−4 4.5.2 A法)5%以下のものが好ましい。また、前記ローラ本体11の肉厚は、ローラ10が装着される機械によって異なるが、例として1〜10mm程度を挙げる。
前記複数の柱状体13の接着は、柱状体13の結合面に塗布したバインダーにより、あるいは柱状体13に含浸させたバインダーにより行われる。バインダーとしては、前記柱状体13を構成するウレタンフォームに対する耐薬品性から、水系樹脂が好ましい。水系樹脂としては、合成樹脂エマルジョン(アクリル、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、アクリルニトリルゴム、EPDM、IR、CR、シリコーンゴムなど)、または水溶性高分子(エチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリアクリル酸またはその誘導体、水溶性ナイロン樹脂など)が挙げられる。また、トナー供給ローラ等の機能ローラとして必要な導電性発現のためには、カーボンブラックなどの炭素微粒子や導電性金属酸化物または金属粒子などの電子伝導性付与物質をフィラーとして、あるいは過塩素酸リチウムや4級アンモニウム塩などのイオン導電性付与物質を添加剤としてバインダーに含ませることがある。また、前記円筒状の表面加工は、公知の切削あるいは研磨等の方法により行われる。
次に、前記ローラ10の製造方法について説明する。前記ローラ11の製造方法には、複数の柱状体を筒状に組み合わせて結合した後にシャフトを挿通する方法と、複数の柱状体を筒状に組み合わせて結合する際にシャフトを一体にする方法とがある。
シャフトを後からローラ本体に挿通する場合の製造方法においては、まず、図3に示すように、スラブウレタンフォームまたは型発泡ウレタンフォーム15から多角柱状(断面が多角形の柱状)に柱状体13Aが切り出される。
前記多角柱状の柱状体13Aとしては、図示のように二等辺台形(等脚台形とも称される)の多角柱状(断面が二等辺台形をした柱状)のものが好ましい。また、前記柱状体13Aは、ウレタンフォームの発泡方向、すなわち柱状体13Aの発泡方向が、柱状体13Aの厚み方向となるように切り出される。前記切り出しは公知の切断装置、例えばボイマー社製、品番BSL 200スキ機により行われる。前記柱状体13Aの厚みは、前記ローラ本体11の肉厚よりも大、通常5〜20mm大とされる。また、前記柱状体13Aが細くなりすぎると、切り出すのが難しくなり、一方、柱状体13Aの幅(柱状体13Aを筒状に組み合わせた場合の周方向の幅)が大きくなりすぎると、ローラ本体において周方向のセル形状や硬さのムラを生じやすくなる。そのため、前記柱状体13Aは、6〜8個組み合わせることにより筒状にできる大きさ及び形状が好ましい。すなわち、二等辺台形の多角柱状からなる柱状体13Aを筒状に組み合わせて接着した結合体の外形が、6〜8角形となるようにするのが好ましい。
次に、前記複数の柱状体13Aを、図4のように仮シャフト21Aの外周に配置して筒状に組み合わせ、前記柱状体13A同士を接着し、図6に示す筒状の結合体11Aを形成する。前記柱状体13Aは発泡方向が柱状体の厚み方向T1とされており、前記柱状体13Aの厚み方向T1の一方の側131Aを内方にして前記柱状体13Aが筒状に組み合わされる。前記柱状体13Aには、前記バインダーを含浸させておくか塗布しておく。前記バインダーの種類によっては、バインダーの接着時間を短縮するため等から、前記柱状体13Aが筒状に組み合わせた状体で加熱することも行われる。また、前記バインダーによる接着が完了するまで柱状体13Aがずれるのを防ぐため、図5のように筒状の内面を有する押し型41内に柱状体13A及び仮シャフト21Aを収納してもよい。
前記仮シャフト21Aは前記バインダーによって前記柱状体13Aと接着しない材質、例えばポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂で構成されている。また、通常使用する金属シャフト等に離型剤を塗布し、乾燥したものを用いることもできる。また、前記仮シャフト21Aの直径は、前記シャフト21の直径よりも僅か、例えば1〜5mm程度小さなものとするのが好ましい。前記仮シャフト21Aの直径を前記シャフト21の直径よりも小さくしておくと、前記柱状体13Aを筒状に組み合わせて接着した結合体11Aから仮シャフト21Aを抜いた後に生じるシャフト挿通孔(中心孔)が、前記シャフト21の直径よりも小さな径となるため、前記シャフト挿通孔にシャフト21を圧入することにより、前記シャフト21と結合体11Aを強固に結合することができる。
図6に示すように、前記複数の柱状体13Aが筒状に組み合わされて接着した結合体11Aから前記仮シャフト21Aを抜く。これにより、図7に示すように、前記結合体11Aの中心には前記仮シャフト21Aを抜いた後にシャフト挿通孔25が形成される。また、前記結合体11Aの外形は多角柱状からなる。
次に、図8に示すように、前記結合体11Aのシャフト挿通孔25にシャフト21を挿通する。図9には前記結合体11Aにシャフト21が挿通された状態を示す。前記シャフト21は前記のように仮シャフト21Aよりも所定量径が大きくされる。前記シャフト21Aを前記シャフト挿通孔25に強固に固定するため、前記シャフト21Aの表面には接着剤が塗布される。
前記シャフト21が挿通された多角柱状の結合体11Aを切削、研磨等の表面加工により円筒状にし、前記ローラ本体11を形成すれば、図1及び図2のローラ10が得られる。
一方、前記複数の柱状体を筒状に組み合わせて結合する際にシャフトを一体にする方法では、前記仮シャフト21Aに代えてシャフト21を用い、前記シャフト21の表面には接着剤を塗布しておけばよい。なお、前記仮シャフトの抜き取り、及びシャフトの圧入は不要となり、他は仮シャフトを用いる場合の製造と同様である。
・実施例1〜3
表1に示す密度、セル数、硬さからなるスラブウレタンフォームA,B,C(イノアックコーポレーション株式会社製)の長尺シート(発泡方向は厚み方向、幅50mm×厚み6.5mm)から、平行な二辺のうち、平行な二辺のうち一辺が1.7mm、他辺が7.0mm、二つの斜辺の長さが等しく、平行な二辺と斜辺のなす角度が112.5度と67.5度からなる二等辺台形の多角柱状体を8本、スリット加工により切り出した。得られた二等辺台形の多角柱状体は、厚み6.5mm、長さ240mmである。この二等辺台形の多角柱状体にバインダーを含浸させ、含浸前の多角柱状体に対して重量比で固形分が30%となるように余剰のバインダーを絞り出した。バインダーの配合は、アクリルラテックス(品番:LX851、日本ゼオン株式会社、固形分45%)100重量部、カーボンブラック水分散液(品番:エコマールブラックC、山陽色素株式会社、固形分36%)100重量部、水200重量部、界面活性剤(浸透剤、消泡剤)2重量部からなる。バインダー含浸後、二等辺台形の多角柱状体を直径4mm、長さ250mmのポリプロピレン樹脂製仮シャフトの周囲に8本配置して筒状に組み合わせ、図5に示すような押し型で外周を軽く押して二等辺台形の多角柱状体同士を密着させ、その状態で熱風循環式オーブンに収容し、130℃で30分間加熱、乾燥させて、二等辺台形の多角柱状体を結合させ、その後に仮シャフトを抜き取って、外形が略正八角形をした角筒状の結合体を得た。このようにして得られた角筒状の結合体を長さ215mmの長さに切りそろえ、ホットメルト接着剤(品番:HM207、セメダイン株式会社製)を塗布した直径5mm、長さ259.5mmのシャフト(SUM24Lの表面に無電解ニッケルめっきを5μm厚で施したもの)を、結合体における仮シャフトを抜き取った後のシャフト挿通孔に挿通し、この結合体とシャフトを熱風循環式オーブンに収容し、130℃で20分加熱してシャフト表面のホットメルト接着剤を溶融させ、その後冷却してシャフトを結合体に固定した。その後、円筒研削盤を用いて結合体の表面を円筒形に加工し、外径13.0mmにして実施例1〜3のローラを得た。
Figure 0005085308
・実施例4〜6
平行な二辺のうち、一辺が2.3mm、他辺が9.8mm、二つの斜辺の長さは等しく、平行な二辺と斜辺のなす角度が120度と60度からなる二等辺台形の多角柱状体を6本、スラブウレタンフォームA,B,Cからスリット加工により切り出し、この二等辺台形の多角柱状体(長さ240mm)の6本を用いて、実施例1〜3と同様に結合して外形が略正六角形をした角筒状の結合体を形成し、その後、結合体を長さ215mmの長さに切りそろえ、実施例1〜3と同様にシャフトを結合体に挿通して固定し、さらに結合体の表面を円筒形に加工し、外径13.0mmにして実施例4〜6のローラを得た。
・比較例1〜3
スラブウレタンフォームA,B,Cを、発泡方向を厚み方向とし、幅500mm×奥行き250mm×厚み17mmに裁断したシートに対し、厚み1/2の位置で奥行き方向に直径4mmの孔をシートの表面と平行にあけた。次に、実施例1〜6で用いたバインダーをシートに含浸させ、含浸前のシートに対して重量比で固形分が30%となるように余剰のバインダーを絞り出した。このシートを熱風循環式オーブンに収容し、130℃で30分間加熱、乾燥させた。その後、シートから孔を中心に有する角柱体を切り取った。角柱体は長さ240mm、断面が一辺18mmの正方形からなる。この角柱体の孔に、実施例1〜6と同様にしてシャフトを挿通し、固定した。次に、角柱体の表面を円筒形に加工し、外径13.0mmにして比較例1〜3のローラを得た。
実施例1〜6及び比較例1〜3のローラをトナー供給ローラとしてトナーカートリッジに取り付け、このトナーカートリッジをモノクロレーザープリンタ(品番:HL−2040、ブラザー工業株式会社)に取り付け、23℃、50%の環境において25%ハーフトーン画像を20枚連続印刷した。最後の20枚目の画像について濃度ムラを目視で判断すると共に、軸方向中央付近の画像濃度を5mmピッチで100mmの印刷方向の長さにわたりマクベス濃度計(品番:RD918、サカタインクス社)で反射濃度を測定した。濃度ムラ及びマクベス濃度の最大と最小の差は表1及び表2の評価結果欄に示すとおりである。なお、評価結果欄における「ローラ硬度(1mm圧縮)最大−最小」は、φ50mmの金属製円板をローラ表面に、円板面がローラ軸に平行となるように押し当て、フォーム部分が1mm圧縮されたときの反発力をローラの周方向に45°ピッチで8点測定したデータの最大値−最小値をmNで表したものである。
Figure 0005085308
表1の評価結果欄に示すとおり、実施例1〜6は、何れもハーフトーン画像濃度が均一であり、最大濃度と最小濃度の差が0.02程度であるのに対し、表2に示すように比較例1〜3では最大濃度と最小濃度の差が0.04〜0.06もあり、しかも1/2周期(約10mm間隔)で濃度ムラが認められた。この濃度ムラは、スラブフォームの発泡方向と、それと垂直の方向に現れるセル形状および硬度の違いとに対応するものである。
このように、本実施例によれば、安価で物性に優れるスラブフォームを使用しながら、ローラを周方向に回転したときの硬度、歪みなどの物性値やセル形状の変動を小さくできるため、トナー供給ローラ、帯電ローラのクリーニングローラ、転写ローラとして用いた場合に良好な画質が得られるローラを得ることができる。さらに、本発明によれば、従来のようにウレタンフォームから切り出す際の精度や、シャフト挿通孔の孔開け位置精度等から、余裕を見越した大きさで切り出す必要がなく、無駄となるウレタンフォームを少なくしてコストを削減することができる。なお、前記実施例1〜6ではスラブウレタンフォームから柱状体を切り出したが、型発泡ウレタンフォームから柱状体を切り出しても、同様の効果が得られる。
本発明の一実施形態に係るローラの斜視図である。 同ローラの横断面図である。 柱状体の切り出しを示す図である。 柱状体を筒状に組み合わせて接着する際を示す斜視図である。 押し型を用いて筒状体を接着する際を示す断面図である。 柱状体を筒状に組み合わせて接着した状態を示す斜視図である。 筒状の結合体から仮シャフトを外した状態の斜視図である。 筒状の結合体にシャフトを挿通する際の斜視図である。 筒状の結合体にシャフトが挿通された状態の斜視図である。
符号の説明
10 ローラ
11 ローラ本体
11A 結合体
13,13A 柱状体
21 シャフト
21A 仮シャフト
25 シャフト挿通孔

Claims (4)

  1. ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラにおいて、
    前記ローラ本体は、ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体が前記柱状体の長さ方向を前記ローラ本体の長さ方向として筒状に組み合わされて接着され、円筒状に表面加工されたものからなり、
    前記柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向が前記柱状体の厚み方向とされ、前記柱状体の厚み方向の一方の側が前記シャフトの表面と当接していることを特徴とするローラ。
  2. ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラの製造方法において、
    ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体を、前記柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を前記柱状体の厚み方向とし、前記柱状体の厚み方向の一方の側を内方にし、前記柱状体の長さ方向が前記ローラ本体の長さ方向となるようにして仮シャフトの外周に配置して筒状に組み合わせ、接着して結合体を形成し、
    前記結合体から前記仮シャフトを抜き、前記結合体における前記仮シャフトを抜いた後に前記シャフトを挿通し、
    前記結合体を円筒状に表面加工してローラ本体とすることを特徴とするローラの製造方法。
  3. ウレタンフォームからなる筒状のローラ本体の中心にシャフトが挿通されたローラの製造方法において、
    ウレタンフォームの切り出しからなる複数の柱状体を、前記柱状体を構成するウレタンフォームの発泡方向を前記柱状体の厚み方向とし、前記柱状体の厚み方向の一方の側を内方にし、前記柱状体の長さ方向が前記ローラ本体の長さ方向となるようにしてシャフトの外周に配置して筒状に組み合わせ、接着して結合体を形成すると共に前記結合体と前記シャフトを接着し、
    前記結合体を円筒状に表面加工してローラ本体とすることを特徴とするローラの製造方法。
  4. 前記複数の柱状体は断面形状が二等辺台形の多角柱状からなる同一形状とし、前記台形の平行な辺のうち短片側を内方として前記柱状体を筒状に組み合わせることを特徴とする請求項2または3に記載のローラの製造方法。
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