JP5936349B2 - 肺中に観察される結合組織に対する自己免疫反応が関与する、肺疾患の治療のための分子 - Google Patents
肺中に観察される結合組織に対する自己免疫反応が関与する、肺疾患の治療のための分子 Download PDFInfo
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Description
本出願は、その全体が本明細書に援用される、2006年1月13日に出願された米国仮特許出願番号60/759,195の優先権を主張する。
米国政府は、米国保健研究所(NIH)からの連邦補助金番号HL60797に従って本発明に特定の権利を所有することができる。
多様な態様は一般に、肺疾患のための試験及び治療に関し、いくつかの側面はV型コラーゲンのような、肺結合組織に対する自己免疫応答の証拠を同定することを含んでおり、さらに他の側面は、コラーゲン及びコラーゲン様分子の治療的に有効量を患者に投与することをにより患者の免疫応答を変調し、例えばV型コラーゲンに対して患者を耐性化することを含んでいる。
自己免疫応答を含む病態学は周知である。所与のヒト又は動物自身の免疫システムにより組織に生じた傷害が関与する状態には、例えば、1型(若年性)糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、及び例えば、乾癬を含むいくつかの炎症状態が含まれる。典型的には、動物自身の免疫システムの一部は、動物自身の組織の抗原への攻撃を開始する。前記の自己免疫疾患により例示されるごとく、その結果は、糖尿病のような管理可能ではあるが慢性の状態の生成から、多発性硬化症でしばしば起こるような完全な身体障害及び早死までの範囲の破局的なものでありうる。
するリスクは、反復した急性拒絶病状発生と相関していると信じられている。
移植片拒絶、特に、肺同種移植片拒絶の問題を解決したようには思われない。
又は少なくとも管理するために使用することが可能である方法に対する要求がある。本要求は、一つの主要な治療、肺移植がそれ自身存在している病原性自己免疫応答によりひどく危険にさらされている場合に特に深刻である。多様な側面及び態様は、多様な及び特異的な型のコラーゲンのような肺の成分に対する望まれない自己免疫応答により引き起こされる、又は悪化する疾患を診断すること及び治療することに関している。
一つの態様は、ヒト又は動物患者においてIPFのような肺疾患又は障害を評価する方法である。一つの態様は、患者から体液又は組織のサンプルを得ること、及び該サンプルを分析して、患者の免疫システムのいずれかの成分が、患者身体の臓器中に見出される結合組織のいずれかの要素に対する免疫応答を開始したかどうかを決定する工程を含んでなる。典型的な結合組織成分は、いずれかの型のコラーゲン及び/又はコラーゲンの抗原性成分を含むことができる。自己免疫応答を惹起することができる多様なコラーゲンには、例えば、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン及びVI型コラーゲンが含まれる。これらの患者の肺疾患又は状態を評価するための試験は、患者から体液又は組織のサンプルを得ること、サンプルの少なくとも一部とV型コラーゲンの少なくとも一つの抗原性成分(エピトープ)を接触させること、及びサンプル中の少なくとも一つの抗V型コラーゲン抗体の存在を示すいずれかのシグナルについての試験をモニターすること、の工程を含んでなることができる。こうした試験は、試験を行うために必須又は有益であることができるいずれかの型の、追加の成分の存在を含むことができる。こうした成分には、限定されるわけではないが、抗V型抗体に結合する二次抗体、レポーター分子又は原子、抗原性成分を結合するための表面、緩衝剤、安定剤、抗菌剤などが含まれる。
Respiratory Distress Syndrome)、二次膠原病性脈管疾患(secondary collagen vascular disease)、他の線維性肺疾患(fibrotic lung disease)などが含まれる。
似体、一部又は成分に対する免疫の証拠をアッセイすることを含んでなる。
。自己免疫応答を惹起することができる多様なコラーゲンには、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲンが含まれる。
本発明の原理の理解を進める目的で、ここでそれらの好ましい態様が参照され、及びそれを記述するために特別の専門用語が使用されるであろう。とは言っても、本発明に関連する当業者には普通に生じるであろうような、企図されている本発明の原理のこうした改変、修飾及びさらなる応用には、本発明の範囲の限定は意図されないことが理解されるであろう。
Type V Collagen Modulates Alloantigen-Induced Pathology and Immunology in the Lung," Am. J. Respir, Cell Mol. Biol, Vol. 23, pp. 62-70, 2000 、を参照されたい。
V型コラーゲン[col(V)]は肺に存在するマイナーなコラーゲンであり(Madri and Furthmayr, 1980)、細気管支周囲結合組織(Madri and Furthmayr, 1979)、肺胞間質(Konomi et al, 1984)及び毛細血管基底膜(Madri and Furthmayr, 1979)に位置する
。αl(V)のα−1鎖はXI型コラーゲンα2鎖[α2(XI)]とほとんど76%相同的であり(Cremer et al., 1994)、及びα2(XI)の遺伝子はマウス及びヒトのM
HCクラスII座位に位置しており(Hanson et al., 1989)、及びMHCクラスIIと
アミノ酸配列を共有している(Wilson et al., 1995)。MHC由来ペプチドは、肺以外
の同種移植片において寛容を誘導するために利用されてきた。本発明者は、col(V)におけるMHC「様」配列の存在可能性のため、肺同種移植片における免疫応答を変調するためにcol(V)を選択した。
絶が、組織弾力性及び伸展性に必須であり、肺及び皮膚に観察されるマイナーコラーゲン(Schwarze, et al., 2000)であるV型コラーゲンに対するT細胞応答に関連していることも報告されている(Mares, et al., 2000)。col(V)の断片が肺移植後に気管支
肺胞洗浄(BAL)液内に放出され、col(V)特異的T細胞の養子移入が移植された肺同系移植片中で「拒絶様」病態を誘導する(Haque, et al., 2002)。肺移植に先だっ
てラットにcol(V)を摂取させることにより誘導された経口寛容は、急性拒絶及びBOの発生を抑止した(abrogated)(Yasufuku et al., 2001; Yasufuku et al., 2002)。
のcol(V)自己免疫により与えられた相対的リスクは、以前にBOSの移植後リスクとして同定された、急性拒絶病状発生のような因子よりもおよそ8〜10倍大きかった(Sharpies, et al., 2002)。
培養により誘導されたcol(V)特異的MHCクラスII制限CD4+T細胞クローンは、左肺同系移植片において肺拒絶病態を仲介することが可能であり、いくらかの病態は未処理の右肺にも広がっていた(Haque, et al., 2002)。同一のクローンを正常ラット
内へ注入した場合、未処理肺への損傷は観察されず、これらの結果は、同系移植片法に伴っている虚血及び再灌流障害が免疫病態を開始するために必要とされたことを示唆している。拒絶同種移植片から単離されたT細胞のすべてのクローンが病原性であるわけではなく、いくつかは保護的であるようであり(D. Wilkes, 未発表)、col(V)又は他の
組織抗原に特異的なCD4+T調節細胞は自己免疫病態を制限することにおいて役割を果たすことができることを示唆している。実際、患者L3におけるBOS発生後の移植片損失への急速な進行、及び抗col(V)自己免疫を有する幾人かの患者における機能の安定化(図IB、左パネル及び1C、中央パネル)は、ヒト(VanBuskirk, et al, 1998: Burlingham, et al., 2000, Cai, et al., 2004)及び非ヒト霊長類(Torrealba, et al.,
2004)での腎臓移植で以前に記載されている現象である、ドナー抗原への調節されたD
TH応答の喪失又は獲得と相関していた(W. Burlingham and E. Jankowska-Gan, 未発表)。
に説明できる(van den Berg, et al., 2001)。ドナー及び自己抗原に向けられる免疫調節の状態を確立することにより、HLA DR適合が肺移植に有益な役割を果たしている可能性が高い(Rodriguez, et al., 2004)。
したT細胞レベルで本研究において確認された(図3B)。T細胞仲介傷害による腎臓からのコラーゲンIVの放出は、システムを局所B細胞免疫に、及びこの疾患のラットモデルにおける抗糸球体基底膜IgG沈着に傾かせる。同様に、アロ反応性との関係において、虚血損傷肺移植片からのcol(V)の放出は、col(V)特異的エフェクターT細胞を活性化し、局所col(V)特異的B細胞応答及び上皮下マトリックスにおけるC’−固定IgGの沈着を促進する。
同位元素)、化学発光分子などが含まれる。酵素イムノアッセイ(EIA)の場合において、酵素は第二抗体に、一般にはグルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸によりコンジュゲートされている。しかしながら、容易に認識されるであろうように、広範囲の異なったコンジュゲーション技術が存在し、それらは容易に当該技術分野で利用可能であり、及び特定のアッセイ及び試験に至適の又はほぼ至適の条件は、最少の実験法のみで到達し得る。これらの型のアッセイにおいて普通に使用されるレポーター酵素には、限定されるわけではないが、中でも西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ及びアルカリホスファターゼが含まれる。特定の酵素で使用されるべき基質は、レポーター分子又は原子の存在に関連する所与のシグナルの検出可能な変化の産生(対応する酵素による加水分解で)に対して一般に選択される。上記の発色基質というよりむしろ蛍光生成物を生成する蛍光発生基質を用いることも可能である。ほとんどの場合、酵素−標識抗体は第一の抗体−抗原複合体に加えられ、結合させ、次ぎに過剰の試薬を洗い流す。適切な基質を含有する溶液を抗体−抗原−標識抗体の複合体へ加える。基質は第二抗体に連結された酵素と反応し、検出可能な視覚シグナルを産生し、それは通常分光光度計を使用してさらに定量することができ、サンプル中に存在した抗体の量の指標を与える。用語「レポーター分子」はガラス又はラテックスビーズのような細胞凝集又は凝集の阻害を使用することにも拡張される。加えて、レポーターは、その存在が、例えば、シンチレーション計数によって検出される放射性基又は原子でもあり得る。
物の有効量及び治療の持続は、各患者に依存するであろうが、療法効果、例えば、V型コラーゲン又はそれらのいくつかの断片のようなコラーゲンに対する患者の自己免疫応答の少なくとも部分的な抑制を誘導するために容易に較正し得る。
ができる。
移植後肺患者はV型コラーゲンが特異的な自己免疫を発生していたかどうかを決定するため、8人の肺移植片レシピエント及び5人の腎臓移植片レシピエント(グッドパスチャー症候群を有する、IV型コラーゲン(col)自己免疫)からの白血球、及び3つの異なったコラーゲンを使用する遅延型過敏性(DTH)アッセイを行った。図3、パネルAに示したように、肺移植片レシピエントからのT細胞はcol(V)に応答したが、col(IV)又はcol(II)には応答せず、一方、グッドパスチャー症候群を有する患者からのT細胞はcol(V)又はcol(II)には応答せずに、col(IV)に対して有意により高いDTH応答を有していた。この鍵となる発見は、肺移植片レシピエントが抗V型コラーゲン自己免疫を有していることを示している。
閉塞性細気管支炎(BOS)は、肺移植後の移植片機能損失の主要原因である。肺細胞外マトリックス中のマイナーコラーゲン、V型コラーゲン(col(V))はラット肺同種移植片拒絶の病変形成に結びつけられてきた。ヒト肺移植後のcol(V)に対する自己免疫がBOSの素因となるという仮説を試験するため、我々は末梢血中の遅延型過敏性(DTH)応答及び気管支肺胞洗浄(BAL)中の抗体応答を試験した。
一次肺移植を受けた229人の内、3人は技術的失敗のため分析から除外した。
から親和性精製された。すべての溶出フラクションは使用するまで−80℃で凍結した。
使用したことを除いて、以前に記載されているウェスタンブロット技術を使用して分析した。ウシcol(II)及びcol(V)(Collaborative Biomedical Products- BectonDickinson, Bedford MA)又はヒト胎盤から抽出した(10)col(V)を標的抗原と
して使用した。
g/注入;Southern Biotech, Birmingham, AL)が試験抗原であった。足蹠厚はダイアル厚さ計を使用し、注射前及び24時間後に測定した。緩衝液を伴ったPBMC単独によるバックグラウンド膨潤を差し引いて、抗原特異的応答を決定した。バックグラウンドを>25x10−4インチ超える膨潤応答を陽性と考えた(12)。
った−たとえ全ての他の時点で陰性であっても、ウェスタンブロットでのわずかに陽性の抗col(V)バンド又は最小陽性DTH応答(25x104インチ)を有する患者は陽性と考えた。Coxの比例ハザードモデルを、疑わしいリスクファクター間の関連を評価するために使用し、そのいくつかは時間−変動,及びBOSフリー生存であった。P値<0.05は有意であると考えた。全ての分析はSAS統計ソフトウェアリリース6.12、SAS Institute Inc. (Cary, NC) を使用して実行した。移植前col(V)DTH応答はクラスカル・ワリス検定を使用し、IPF患者サブグループ及び他のグループ間で比較した。
G抗体は、ウェスタンブロットにおいてcol(V)に強く結合したが、col(II)には結合しなかった。ウシ及びヒトcol(V)の両方ともBAL IgGにより等しく認識されるたことは(データは示されていない)、標的エピトープが種を超えて保存されていることを示している。患者L3及びL41とは対照的に、BOSを発生していないL31のBALサンプル中では、col(V)への結合は弱いか又は観察されなかった(図1A);陰性結果は正常ボランティアのBALから単離されたIgGでも観察された(n=10;データは示されていない)。
日目のBOS末期(グレードIII)ではDTH反応性は失われた。
日目(下のパネル)に良好な肺機能(>80%最大FEV1)を有する患者を、抗体及び/又はDTH分析に基づいてcol(V)+対col(V)−応答者に分割し、カプランマイヤー分析を、エンドポイントとしてBOS Iまでの時間で実施した。各時点に先立って抗col(V)反応性を有する患者の半分以上が次の2年以内にBOSを発生し、一方、col(V)に対して陰性応答を有する患者は主にBOSフリーであった。
データは示されていない)、しかし同様の5年生存率及びBOS発生の比率を有していた(表1)。
V型コラーゲンに対する体液性又は抗体仲介免疫応答の検出のためのビーズアッセイ。このアッセイは、V型コラーゲン自己免疫応答を有する患者からの血清及び/又は肺洗浄液中に存在することができるV型コラーゲンに対する抗体を検出するであろう。V型コラーゲン−被覆ビーズならびに他の必要な試薬がこのアッセイのために提供される。末端利用者は、血清及び/又は肺洗浄液、及びアッセイを実行するためのPBSのような通常の試薬(又はこれらの試薬はキット中に組み入れることが可能である)を提供することができる。簡単には、典型的なアッセイは以下のようである:
1)ストレプトアビジン被覆ビーズ(5μm、結合能10〜20μg/lx10/7ビーズ(Polyscience, Warrington, PA ))を滅菌PBSで2回洗浄した。ビーズ(1x10/7)を40μgのヒトV型コラーゲンを含んだ100μlのPBSに懸濁し、4℃で60分インキュベートした。
試験動物における経口免疫寛容の誘導、コラーゲン又はコラーゲンの抗原性成分に対するヒト又は動物患者の自己免疫応答を変調するためのモデル。利用された病原体フリー、MHC(RTl)不適合雄ラットは:Harlan Sprague Dawley (Indianapolis, Ind.)又は
Taconic (Germantown, N.Y.) から購入され、施設のガイドラインに従ってIndiana University School of Medicine (Indianapolis, Ind.)のLaboratory Animal Resource Center に収容した、移植の時点で250〜300gのFischer 344(F344、RTllvl
)、Brown Norway (BN、RTln)及び Wistar Kyoto(WKY、RTl1)ラットであった。
.5mlの生理食塩水に溶解した10μgか又は50μgのcol(V)、col(II)又はcol(XI)溶液を、16ゲージボールポイントステンレススチール動物摂取針(Braintree Scientific, Braintree, Mass.)を利用する胃経管栄養により摂取させた。対照として、同様の動物に希釈剤のみを摂取させた。8回又は4回摂取に対し、動物は一日おきに摂取させた。最後の摂取7日後、これらのラットは同所性移植によりF344肺同種移植片を受けた。WKYレシピエント内へ移植されたWKY肺移植片(同種移植片)を対照として使用した。
植2週間後、対照又はcol(V)摂取WKYラットは、26ゲージ注射針を使用する皮下(s.c.)注射により、右耳介内に、107照射(3000ラド)ドナー由来F344又は第三者(BN)脾細胞の30μl PBS溶液を受けた。左耳介は等容積の希釈剤を受け、対照部位として働いた。無処置又は同種移植片レシピエントWKYラットの別々の群が、15μgのcol(V)を30μl容量で右耳介内に、希釈剤を左耳介内に注射されて試験された。無処置WKYラットは陰性対照として使用した。耳の厚さは、注射直前及び24時間後に盲検様式で、マイクロメーターカリパー(Mitutoyo, Field Tool Supply, Chicago, 111.)で測定した。抗原特異的DTH応答は以下の式に従って計算した:特異的耳介膨潤=(右耳厚さ@24時間−右耳厚さ@0時間)−(左耳厚さ@24時間−左耳厚さ@0時間)x10−3mm(Yamagami et al., 1999)。全てのデータは三回の
測定の平均として報告されている。
告(Sekine et al., 1997)と同様に、全ての移植群において生存率は90%を上回った
。実験期間の間、いずれの時点でも非免疫抑制療法は与えなかった。
細胞の量を決定することにより行った。
<0.05が有意であると決定された。対照同種移植におけるDTH及び異なった抗原が暴露された無処置WKYラットは正常に分布していないことが観察されたので、相互作用を有するrank-sum二方向ANOVAを利用し、群間の差違を決定した。P値<0.05が有意であると決定された。対照同種移植片及びcol(V)摂取同種移植片間の、ドナー同種抗原に対するDTH応答の相違はマンホイットニーU検定を利用して決定した。P値<0.05が有意であると決定された。気道及び脈管病理学的スコア間の相違は、最初にクラスカル・ワリス検定を利用して、続いてマンホイットニーU検定を利用する事後解析により決定した。P値<0.03が有意であると決定された。
に先だって肺移植片レシピエントへのcol(V)の経口投与がドナー肺に対する免疫学的寛容性を誘導するかどうかを決定するため、WKYレシピエントに、上記のごとく移植に先だってcol(V)を摂取させた。予備的実験では、1日おきに10μgのcol(V)を8回摂取させ(80μgの総用量)、続いて最後の摂取から7日後の左同所性肺移植は、このモデルにおけるBAL細胞計数及び拒絶病態に最も大きな効果を有していた。それ故、この摂取計画を、すべての以下の研究で利用した。Col(V)摂取レシピエントの左肺移植を行い、上記のように実験期間の完了時に採取した。
対照WKY同種移植片(allograft)レシピエント及びcol(V)摂取WKY同種移植片レシピエント及び正常WKYラットからのBAL液中の示差的細胞計数を図示している。同系移植片肺と比較して正常肺におけるBAL示差的細胞計数で差違はなかった。(Yagyu et al, 1990)と同様に、正常又は同系移植片肺と比較して、対照同種移植
片BALにおいてはPMN及びリンパ球が有意に増加した(PMNについてp<0.039、及びリンパ球についてp<0.00001)。対照的に、移植に先立ってcol(V)を摂取させることは、対照同種移植片と比較してBAL中のPMN及びリンパ球に有意な減少を生じた(PMNについてp<0.023、及びリンパ球についてp<0.00001)。急性同種移植片拒絶は通常、同種移植片BAL液中の総細胞数の増加に関係する(Hirt et al., 1999)。しかしながら、移植2週間後では、対照WKY同種移植片肺は
重度の拒絶を通常受けており、移植片の破壊により、BAL総細胞数を決定するための十分なBALは確実には実施することが不可能である。対照的に、col(V)摂取同種移植片レシピエントはより軽度の拒絶を示し、それはより容易なBALを可能にし、より高い細胞計数を生じる。これらの理由のため、群間の総細胞数の比較は行われなかった。まとめると、col(V)による経口免疫は、急性拒絶間の同種移植片BAL液におけるより少ないPMN及びリンパ球と関連することをこれらのデータは示している。
WKYラットが他の抗原に応答できるかどうかを決定するため、これらのラットは気管内(200μg/kg〜1mg/kg)か又は静脈内に(1〜5mg/kg)リポ多糖(LPS)(Sigma, St. Louis, MO.)を受け、それらの用量は注射又は注入24〜48時間
後、肺及び全身的に重度の炎症反応を誘発することが知られている用量であった(Delclaux et al. 1999)。ラットはcol(V)の最後の摂取から1週間後に暴露された。誘発された疾患は肺炎及びグラム陰性菌により起こされる敗血症に類似していた。正常WKYラットと同様に、col(V)摂取WKYラット内の肺内へのLPSの点滴注入又はI.V.は重度の病気(波打つ毛皮及び虚脱)及びレシピエント肺の炎症を誘発した。これらのデータは、移植に先立ったcol(V)の摂取は、ドナー抗原への広範囲の免疫低応答性ではなく、寛容性を誘導することにより同種移植片拒絶を防止したことを示している。
l(V)摂取同種移植片においては、浸潤の発生は対照と比較してより遅かった。X線は6日目では正常であり、移植2週間後に軽い浸潤のみが存在した(図12C)。
採取し、固定し、切片とし、染色し、及び標準判定基準(Yousem et al. 1996)を使用して拒絶病態について段階付けした。拒絶病態の全ての説明及び段階付けは肺病理学者であるOscar W. Cummings, M.D.により実施され、以前に報告されているように(Wilkes et al. 1998)、彼は処置群については知らされていない。図14は、移植2週間後に採取さ
れた同系移植片WKY肺、及び対照WKY同種移植片及び col(V)摂取WKY同種移植片レシピエントからの自然の及び同種移植片肺の肉眼的解剖学を示している。対照WKY同種移植片動物において、図14Bは移植された(左)肺は自然の肺と比較して色が暗褐色で萎縮していた。対照的に、col(V)摂取WKY同種移植片レシピエントの移植された左肺(図14C)は、自然の(正常)又は同系移植片肺(図14A)の外観を有していた。col(II)又はcol(XI)を摂取させたWKYラット中の同種移植片肺の全体の外観は無処置同種移植片肺と類似していた。予期されるように、同系移植片肺は正常のようにみえた(図14A)。
に出願されたWilkes による米国特許出願番号10/243,797 で最初に報告された。肺移植のラットモデルを利用し、本発明のデータは、肺移植に先立った肺同種移植片レシピエントへのcol(V)の経口投与が拒絶反応を下方調節することを示している。対照同種移植片レシピエントと比較されたcol(V)摂取の免疫学的、放射線学的及び組織学的分析は、col(V)を摂取させることが、同種移植片BAL液中の減少したPMN及びリンパ球数、胸部X線での同種移植片におけるあまりひどくない浸潤、及び同種移植片の肉眼的解剖学での保存、及び拒絶病態の減少と相関していることを示した。最後に、経口的に寛容化された同種移植片レシピエントは、ドナー同種抗原に対するDTH応答を減少させた。
である(Trulock, 1997)。
いて、同種間脾細胞の経口投与は、TH1活性化をバイパスすること、及びIL−4のようなTh−2由来阻害性サイトカインの選択的刺激誘導により寛容誘導に有効であることが示されている(Ishido et al., 1999)。
)により記述された手順を利用した。ラットはいずれの免疫抑制も受けなかった。拒絶病態は移植後の種々の時点で段階付けした。F344→WKY移植モデルは、移植後第一週の終わりまでに軽度急性拒絶(グレード1)、第二週の終わりまでに中程度から重度の拒絶(グレード2−3)及び第三週の終わりまでに重度−グレード4拒絶の発生が付随した(Matsumura et al. 1995)。加えて、F344→WKYモデルは、再現性よく閉塞性細
気管支炎(BO)を発生する、ただ一つの肺移植の動物モデルである(Hirt et al. 1999)。それ故、このモデルは、急性及び慢性拒絶の病因を研究する独特の機会を提供する。
な動物モデルにおいて移植寛容を誘導することが示されている。しかしながら、これらの技術は、寛容誘導に利用されるドナー細胞が移植に先立って寛容を誘導する十分な時間内には利用できないであろうという事実のため、潜在肺移植片レシピエントでは限定的な実用性しか有していないであろう。低用量経口寛容の実験自己免疫モデルにおいて、経口寛容化後の調節細胞は、抗原特異的様式で引き金が引かれるが、抗原非特異的様式で抑制する。それ故、標的自己抗原それ自身を同定する必要はないであろうが、抑制性サイトカインを分泌する調節細胞を誘導することが可能なタンパク質が十分に経口的に投与されるであろう(Faria and Weiner, 1999)。本明細書で使用した肺移植における経口寛容のモデルは、経口的に投与された、ドナー特異的ではないcol(V)はアロ反応性を抑制し、及び移植寛容を誘導することができる。発明者は、移植に先立ったcol(V)による移植片レシピエントの経口治療が、肺移植における拒絶を防止するための、及びV型コラーゲン及び/又はそれらの抗原性成分に対する自己免疫反応により引き起こされることが知られている又は考えられている疾患を治療するための療法を提供するであろうことを想定する。図及びそこに引用されている参照文献を含む、実施例4から10に報告された結果の追加の議論については、その全体が本明細書において援用される、Wilkes により20
02年9月13日に出願された米国特許出願10/243,792 (現在米国特許公開番号2003/0078208 Al )を参照されたい。
同種移植片拒絶の防止、及びコラーゲン及びコラーゲン様分子に対して動物を寛容化するために有用な追加のMHC「様」ペプチド及びコラーゲンの評価
病原体フリー、MHC(RTl)不適合雄ラットを本研究で利用した:Wistar Kyoto (WKY、RT1l)、Fischer 344(F344、RT1lvl)及びBrown Norway
(BN、RT1n)ラット(移植の時点で250〜300g)。全てのラットはHarlan Sprague Dawley (Indianapolis, Ind.)から購入し、施設のガイドラインに従ってUniversity School of MedicineのLaboratory Animal Resource Center Indiana (Indianapolis,
Ind.)に収容した。
透析すると0.5mg/mlの最終濃度を得た。
V型コラーゲン[col(V)]は、Dr. Jerome Seyer (VA Hospital, Hampton, Va.)
から贈与された。手短に言えば、胎盤組織を細かく切り、洗浄し、0.5M NaClを含有する0.5M酢酸に懸濁し、そして4℃でペプシンにより消化した。上清を遠心した検体から吸引し、ペレットを集め、そして抽出過程を反復した。2つの消化物からの上清を合わせ、そして0.5M酢酸からの示差NaCl沈殿(Maves et al. 2000)により、
上清からcol(V)を精製した。使用するまで、無傷のcol(V)は0.005M酢酸(0.5mg/ml)に希釈した。コラーゲンの量は、既に報告されているように(Mares et al. 2000)、サンプル中のヒドロキシプロリン含量の決定により評価した。
Co., St. Louis, Mo.)を使用して機械的に換気し、麻酔維持のため1.5〜2%イソフルレンを吸入させた。左4肋間腔の開胸術を行ったら、左肺血管及び気管支に止血剤を置き、左肺を切除した。プラスチックカフ及び7−0絹縫合糸(Kono, Chiba, Japan)により、ドナー肺の肺血管をレシピエントに吻合した。ドナー及びレシピエント気管支を、8−0 Prolene 縫合糸(Ethicon, Sommerville, N. J.)を利用してお互いに縫合した。
気管支の吻合終了後直ちに止血剤を除去し、換気を回復させた。3−0絹縫合糸(Ethicon)を利用して16ゲージ胸腔チューブ上で左開胸切開を閉じた後、麻酔維持を中断し、
動物を回復させた。自発呼吸が再開したら、カニューレを気道から除去し、胸腔チューブをはずした。ドナー肺の虚血時間はおよそ1時間であり、及びドナー肺を摘出する及び移植するための総手術時間はおよそ2時間であった。すべての移植手順は無菌状態の中、手術用顕微鏡(Micro Tech, colorado Springs, CO.)下でK.Y.により実施された。F
344→WKY移植モデルには、第1週目の終わりまでの軽度の急性拒絶、及び第二週目の終わりまでの中程度から重度の急性拒絶の発生が付随している(Matsumura et al. 1995)。 全ての移植群において生存率は90%を上回った。実験期間の間、いずれの時点
でも非免疫抑制療法は与えなかった。
改変して決定した。手短に言えば、肺移植2週間後、対照又はcol(V)摂取WKYラットは、26ゲージ注射針を使用するs.c.注射により、右耳介内に、107照射(3000ラド)ドナー由来F344又は第三者(BN)脾細胞の30μl PBS溶液を受けた。左耳介は等容積の希釈剤を受け、対照部位として働いた。無処置又は同種移植片レシピエントWKYラットの別々の群が、15μgのcol(II)、col(V)又はcol(XI)を30μl容量で右耳介内に、希釈剤を左耳介内に注射されて試験された。耳の厚さは、注射直前及び24時間後に盲検様式で、マイクロメーターカリパー(Mitutoyo, Field Tool Supply, Chicago, 111.)で測定した。抗原特異的DTH応答は以下の式に従って計算した:特異的耳介膨潤=(右耳厚さ@24時間−右耳厚さ@0時間)−(左耳厚さ@24時間−左耳厚さ@0時間)x10−3mm(Yamagami et al., 1999)。全
てのデータは三回の測定の平均として報告されている。
いる手順を改変して実施した。手短に言えば、肺移植2週間後、col(V)摂取WKYラットは、5μgのポリクローナルニワトリ抗ラットTGF−β Ab又は5μgのポリクローナルヤギ抗ラットIL−4又はIL−10Ab(すべてR&D Systems, Minneapolis, Minn.)と混合された107照射(3000ラド)ドナー由来F344脾細胞の30μ
l PBS溶液を、26ゲージ注射針を使用したs.c.注射で右耳介内に受けた。左耳介は等容積の希釈剤を受け、対照部位として働いた。陰性対照のため、col(V)摂取同種移植片の別の群が、5μgの対照ニワトリトリ免疫グロブリン又は対照ヤギ免疫グロブリン(R&D Systems, Minneapolis, Minn.)と混合された107照射(3000ラド)
ドナー由来F344脾細胞を右耳介内に、及び希釈剤を左耳介内に受けた。特異的耳膨潤は上記のように計算した。対照免疫グロブリンはDTH応答に何の影響も与えなかった。
て実施した。手短に言えば、最後の給餌一週間後、正常WKYラット又はcol(V)摂取WKYラットをアトロピン(0.05mg/kg)のs.c.注射、続いての2%ハロタンの吸入で麻酔した。気道に14−ゲージテフロンカテーテルでカニューレ挿入し、ラットは100%酸素を利用するげっ歯類ベンチレーター(Analytical Specialties Co., St. Louis, Mo.)を使用して機械的に換気し、麻酔維持のため1.5〜2%イソフルレンを吸入させた。自発呼吸の消失後、LPS(1mg/mlで1mg/kg)を気道内に点滴注入し、10分間機械的に換気した。麻酔維持を中断し、動物を蘇生させた。自発呼吸が再開したら、カニューレを気道から除去した。別の実験において、ラットはLPS(1mg/mlで4mg/kg)を尾静脈内に静脈内注射された。暴露24時間後、BALを実施し、肺を病理学の評価のために摘出した。
アッセイキット(BioSource International, Camarillo, Calif.)を利用するELISAにより定量した。TGF−β、IL−4及びIL−10アッセイの感度はそれぞれ32、2及び5pg/mlであった。
<0.05が有意であると決定された。対照同種移植におけるDTH及び異なった抗原が暴露された無処置WKYラットは正常に分布していないことが観察されたので、相互作用を有するrank-sum二方向ANOVAを利用し、群間の差違を決定した。P値<0.05が有意であると決定された。対照同種移植片及びcol(V)摂取同種移植片間の、ドナー同種抗原に対するDTH応答の相違はマンホイットニーU検定を利用して決定した。P値<0.05が有意であると決定された。気道及び脈管病理学的スコア間の相違は、最初にクラスカル・ワリス検定を利用して、続いてマンホイットニーU検定を利用する事後解析により決定した。P値<0.03が有意であると決定された。サイトカインの解析のためには、複数の比較のためのスチューデントt検定を利用した。P値<0.05が有意であ
ると決定された。
おける肺同種抗原に対する局所免疫応答の標的であることを以前に示した(Mares et al.
2000)。それ故、col(V)が肺同種移植片拒絶の間に抗原として認識されるかどう
かを決定するため、無処置ラット及び肺同種移植片レシピエントにおいて、全身性DTHが同種抗原に応答することが決定された。肺同種移植片レシピエントがcol(V)に対するDTH応答を発生するかどうかも決定された。F344(ドナー)脾細胞及びcol(V)に対するDTH応答は、F344肺同種移植片を受けて2週間後(重度の急性拒絶が発生し始める時点(Matsumura et al. 1995))のWKYラット及び無処置、非移植W
KYラットにおいて試験した。同種抗原及びcol(V)に対するDTH応答の特異性を決定するため、col(II)、col(XI)及び第三者抗原、BN脾細胞に対するDTH応答を決定した。関節軟骨の主要成分であるCoI(II)は肺には存在せず、及びcol(V)とは相同的ではない(Smith et al. 1985)。対照的に、col(XI)は
col(V)と相同性を有するが(Morris and Bachinger 1987)、col(II)と同
様に、関節軟骨に観察され、及び肺には存在しない。これらの理由のため、col(II)及びcol(XI)はcol(V)の対照として働く。
る。
2週間後の実験群、及び正常WKYラットにおける、BAL液中の示差的細胞計数を示している。同系移植片肺と比較した正常においては、BAL示差的細胞計数に差違はなかった。以前の報告(Prop et al. 1985; Yagyu et al. 1990)と同様に、正常又は同系移植
片肺と比較して、対照同種移植片BALにおいてはPMN及びリンパ球が有意に増加した(正常又は同系移植片肺と比較してリンパ球について*p<0.00001、及びPMNについて†p<0.038)(図12)。対照的に、移植に先立ってcol(V)を摂取させることは、対照同種移植片と比較してBAL中のPMN及びリンパ球に有意な減少を
生じた(対照同種移植片と比較してリンパ球について‡p<0.0001、及びPMNについて§p<0.023)(図12)。
度の拒絶を通常受けており、移植片の破壊により、BAL総細胞数を決定するための十分なBALは確実には実施することが不可能である。対照的に、col(V)摂取同種移植片レシピエントはより軽度の拒絶を示し、それはより容易なBALを可能にし、より高い細胞計数を生じる。これらの理由のため、群間の総細胞数の比較は行われなかった。まとめると、col(V)による経口免疫は、急性拒絶間の同種移植片BAL液におけるより少ないPMN及びリンパ球と関連することをこれらのデータは示している。
、coI(II)及びcol(XI)の摂取が対照同種移植片と比較して同種移植片病態の発生に効果がないことを示している(図15、表3)。これらのデータは、col(V)を摂取させることは急性拒絶病態を下方調節することを示している。
摂取WKYラットが他の抗原に応答できるかどうかを決定するため、これらのラットは気管内(1mg/kg)か又は静脈内に(4mg/kg)LPSを受け、それらの用量は暴露24時間後に、肺及び全身的に重度の炎症反応を誘発することが知られている用量であった(O’Leary et al. 1997)。誘発された疾患は肺炎及びグラム陰性菌により起こされる敗血症に類似していた。正常WKYラットと同様に、col(V)摂取WKYラット内の肺内へのLPSの点滴注入又はi.v.注射はBAL示差的細胞計数及び病態に観察されるような重度の病気(波打つ毛皮及び虚脱)及びPMN及びリンパ球の大量の流入を誘発した(データは示されていない)。
。それ故、次ぎに、col(V)により誘導された経口寛容が肺同種移植片拒絶間のTGF−β、IL−4及びIL−10の上方調節された産生と関係しているかどうかを決定した。市販のELISAを利用し、実験群の血清中のTGF−β、IL−4及びIL−10を定量した。図17は、移植2週間後の正常WKYラット、対照同種移植片及びcol(V)摂取同種移植片における血清TGF−βレベルを示す。予期されるように、低レベルのTGF−βが正常WKYラットの血清中に存在した(Ying and Sanders 1998)。対照
同種移植片においてはTGF−βのわずかな増加があった。対照的に、col(V)摂取同種移植片の血清中では、TGF−βレベルは著しく上方調節されていた(対照同種移植
片レシピエントと比較して*p<0.05)(図17)。IL−4又はIL−10は、同一ラットの血清中では検出不能であった(データは示されていない)。
報告されている手順の改変を利用し、肺移植2週間後、col(V)摂取WKYラットは、5μgのポリクローナル抗TGF−β Ab又は5μgのポリクローナル抗IL−4又はIL−10Abと混合された107照射(3000ラド)ドナー由来F344脾細胞のPBS溶液を、右耳介内に受けた。左耳介は等容積の希釈剤プラス脾細胞を受け、対照部位として働いた。陰性対照のため、col(V)摂取同種移植片の別の群が、脾細胞とともに対照免疫グロブリンを右耳介内に、及び希釈剤プラス脾細胞を左耳介内に受けた。図18に示したように、及び図10で前に示したように、未処置対照同種移植片レシピエントはドナー抗原の暴露後に強いDTH応答を有したが、それはcol(V)摂取同種移植片レシピエントでは有意に減少していた。しかしながら、col(V)摂取同種移植片は、抗TGF−β抗体がドナー脾細胞と混合され、耳の耳介内に注射された場合、有意にDTH応答を回復した[対照免疫グロブリンと混合した抗原を暴露されたcol(V)摂取同種移植片と比較して*p<0.03](図18)。対照的に、ドナー脾細胞とIL−4又はIL−10の中和抗体を混合することはDTH応答を回復することにあまり有効ではなかった[対照免疫グロブリンと混合した抗原を暴露されたcol(V)摂取同種移植片と比較して†‡p>0.05](図18)。対照同種移植片と比較した、抗TGF−β、抗IL−4及び抗IL−10抗体によるcol(V)摂取同種移植片のDTH応答の回復は、それぞれ75.7%、24.3%及び39.9%であった(図18)。
急性肺同種移植片拒絶の発生への経口寛容についてのcol(V)の効果は用量依存的である。F344(RTllvl)及びWKY(RTl1)雄ラット(200〜250g)はHarlan Sprague Dawley(Indianapolis, Ind.)から購入した。すべての左肺同種移
植片(F344)又は同系移植片(WKY)は、以前に記載されているように(Sekine et al. 1997)、WKYレシピエント内に、正所的に移植した。
りに先立った24時間前、10レシピエントラットのドナー抗原に対するDTH応答について試験し、続いて胸部臓器を摘出した。BALを自然の及び移植片肺に対し、それぞれ
右及び左主気管支にカニューレを選択的に挿入することにより実施し、37℃で5mlのPBSを点滴注入した(Sekine et al. 1997)。無細胞BALは遠心分離した検体から得られ、上清を−80℃で貯蔵した。血液は大静脈及び心穿刺により集め、検体を遠心分離して血清を分離し、−80℃で貯蔵した。
(Jandel Scientific, Chicago, III)を利用し、デジタル化H&E染色組織切片(細胞
/μm2)上に存在する、血管周囲及び細気管支周囲単核細胞を計数することにより浸潤が定量化されるであろう。デジタル化法は現在我々の実験室で使用されている。
た抗ドナー細胞傷害活性と関連するかどうかを決定するため、末梢リンパ節細胞を正常F344(ドナー)ラットから単離し、51Cr(New England Nuclear, Boston, Mass.)を負荷し、完全培地中、96ウエル平底プレート(標的細胞、5x103/ウェル)においた。エフェクター細胞(各群中のレシピエントWKYラットからの脾臓Tリンパ球)を種々の比で標的と37℃で4時間インキュベートした(1:1、5:1、10:1及び100:1のE/T比)。純粋な脾臓T細胞(>95%純度)は、抗CD3磁気ビーズ(Dynal Corp, Lake Success, N.Y.)を利用して単離し、及びフローサイトメトリーにより確認した。細胞傷害性は、負荷標的細胞のみからの放出と比較された、各E/T比のエフェクター細胞により誘発された特異的51Cr放出により決定された。
Situ Cell Death Detection Kit, Boehringer Mannheim, Indianapolis, Ind.)を利用して、移植2週間後の肺同種移植片組織切片におけるアポトーシスを検出した。血管周囲及び細気管支周囲組織中のアポトーシスを起こした細胞の量は、Sigma Scan ソフトウェア
ー(Jandel Scientific, Chicago, III)を利用し、デジタル化エオシン対比染色組織切
片(細胞/μm2)上で定量した。
(n=5 各時点で5ラット)。RNaseプロテクションアッセイ(Pharmingen, San Diego, Calif.)を利用して、末梢リンパ節及び脾細胞におけるこれらサイトカインのm
RNAを検出した。対照は、正常WKYラットからの血清、リンパ節及び脾細胞である。
定された。Dr. Martinにより提供されたプローブを利用し、末梢リンパ節及び脾臓中のCTGFについてのmRNAを検出するため、ノーザンブロッティングを使用した。タンパク質及びmRNA発現は、IL−4、IL−10及びTGF−βについて記述された同一の時点でアッセイした。
慢性肺同種移植片拒絶(閉塞性細気管支炎)の発生における経口寛容についてのCoI(V)用量の効果。病原体フリー、MHC(RTl)不適合雄ラットを本研究に利用した:Fischer 344(F344、RT1lvl)、Brown Norway(BN、RT1n)及びWistar Kyoto(WKY、RTl1)ラット(移植の時点で250−300g)。全てのラット
はHarlan Sprague Dawley (Indianapolis, Ind.)から購入し、施設のガイドラインに従
ってUniversity School of MedicineのLaboratory Animal Resource Center Indiana (Indianapolis, Ind.)に収容した。
0.005M酢酸(0.5mg/ml)で希釈し、使用されるまで4℃で貯蔵した。
に記載されている方法を改変して決定した。手短に言えば、肺移植10週間後、対照又はcol(V)摂取WKYラットは、26ゲージ注射針を使用するs.c.注射により、右耳介内に、107照射(3000ラド)ドナー由来F344又は第三者(BN)脾細胞の30μlのPBS溶液を受けた。左耳介は等容積の希釈剤を受け、対照部位として働いた。無処置WKYラットは陰性対照であった。無処置又は同種移植片レシピエントWKYラットの別々の群が、15μgのcol(II)、col(V)又はcol(XI)を30μl容量で右耳介内に、希釈剤を左耳介内に注射されて試験された。耳の厚さは、注射直前及び24時間後に盲検様式で、マイクロメーターカリパー(Mitutoyo, Field Tool Supply, Chicago, 111.)で測定した。特異的耳膨潤は以下の式に従って計算した:特異的耳膨潤=(右耳厚さ@24時間−右耳厚さ@0時間)−(左耳厚さ@24時間−左耳厚さ@0時間)x10−3mm。全てのデータは三回の測定の平均として報告されている。
いる手順を改変して実施した。手短に言えば、肺移植10週間後、col(V)摂取WKYラットは、5μgのポリクローナルニワトリ抗ラットTGF−β Ab(R&D Systems,
Minneapolis, Minn.)と混合された107照射(3000ラド)ドナー由来F344脾
細胞の30μlのPBS溶液を、右耳介内に受けた。左耳介は等容積の希釈剤を受け、対照部位として働いた。陰性対照のため、col(V)摂取同種移植片の別の群が、5μgの対照ニワトリトリ免疫グロブリン又は対照ヤギ免疫グロブリン(R&D Systems, Minneapolis, Minn.)と混合された107照射(3000ラド)ドナー由来F344脾細胞を右
耳介内に、及び希釈剤を左耳介内に受けた。特異的耳膨潤は上記のように計算した。対照免疫グロブリンはDTH応答に何の影響も与えなかった。
パ節T1リンパ球(応答物質)(3x105/ウェル)と、96−ウェル平底マイクロタイタープレート(Costar, Cambridge, Mass.)の200μlの培地(RPMI、2mM L−グルタミン、5x10−5M 2−メルカプトエタノール、100U/mlペニシリン、100μl/mlストレプトマイシン、10%熱不活性化ウシ胎児血清)中で同時培養した。37℃(5%CO2)での5日間のインキュベーションが完了する18時間前、各ウェルに1μCi/mlの3H(Amersham Corp., Arlington Heights, 111.)を加え
た。培養物を自動化セルハーベスター(Brandel, Gaithersburg, Md.)で収穫し、液体シンチレーションカウンター(Beckman, Arlington Heights, 111.)で分析した。細胞増殖は、3回の培養での[3H]チミジン取り込みの分当たりのカウントの平均として決定され、刺激指数として報告された。別の実験において、刺激物質として実験群のWKYラットからの脾細胞及び応答物質としてF344ラットからのリンパ節Tリンパ球を使用して
同じアッセイを実施した。
節リンパ球が増殖するのを誘導するそれらの能力を試験した。図19は、2週及び10週目にcol(V)摂取同種移植片レシピエントから単離された脾細胞が、正常WKYラットから単離された脾細胞に匹敵する増殖を誘導したことを示している。
col(V)を摂取させることは、有意に増加したTGF−βの血清レベルを生じた(図25、*p<0.05)。肺移植なしでcol(V)を摂取させることのみでは、血清TGF−βレベルは増加しなかった(データは示されていない)。IL−4又はIL−10のいずれも、いかなる群の血清にも検出されなかった。
図26を参照すると、表5は実施例8で使用された実験群、CoI(V)のα鎖の臭化シアン消化物中に存在するペプチドが急性拒絶の発生を防止するかどうかの決定をリストしている。手短に言えば、これらの実験群は以下のようである:同種移植片対照無傷col(V)摂取2(V)。V型コラーゲンは、剖検で得られたヒト肺から単離された。肺組織を切り刻み、洗浄し及び0.2M NaClを含有する0.5M酢酸に懸濁させ、そしてペプシンにより消化し、遠心分離した検体から上清を吸引し、ペレットを集め、抽出手順を繰り返した。2つの消化物からの上清を合わせ、−70℃で貯蔵した。V型コラーゲンは0.5M酢酸からの示差NaCl沈殿により上清から精製した(Piez et al. 1963)。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により決定されるおよそ2のα鎖比αl(V
)/α2(V)を有するV型調製物が得られるまで、酢酸での可溶化及びNaCl沈殿のサイクルを繰り返す(Woodburye wheat t al. 1989)。α2(V)からのαl(V)の分離は、DEAE−セルロースでのクロマトグラフィーにより達成される(Chiang et al 1980)。αl(V)及びα2(V)鎖をカラムから溶出し、溶出物液中のヒドロキシプロ
リン含量の決定により定量する。
ここに示されたデータは、本発明の方法は、ヒト移植片レシピエントにおける急性又は慢性拒絶病状発生を防止する又は軽減するのに有効であろうこと、同一ではないにしても同様の療法は特発性肺疾患、又は肺に観察されるコラーゲンに対する自己免疫応答を含む、いずれか他のタイプの肺疾患又は肺障害のための有効な治療でもあるべきであることを示唆する。ヒト対象が移植を受けるためにリストに載せられた場合、該対象は本明細書に記載されたコラーゲン化合物のような同種免疫応答を抑制する分子の有効用量を受け始めるであろうことも意図される。治療を受けている患者は、経口投与により、好ましくは経口摂取か又はレシピエント内への肺内滴下注入により該化合物を受けるであろう。
自己免疫応答を抑制する分子、好ましくはコラーゲン化合物による、移植を受けた、又はコラーゲン、例えば、V型コラーゲンに対する自己免疫を含む肺疾患又は障害を患っているヒト対象の治療は、該対象における急性又は慢性病態を防止する又は軽減するであろうことがさらに企図される。上記のように、該化合物の投与は、経口摂取による、又はレシピエント(患者)内への肺内又は静脈内点滴注入によることを含む多様な手段で投与し得る。
、隔日で1用量を受けることができる。他の側面において、該対象は、当業者により決定されるように、週毎の増加又は週で2倍の用量などを受けることができる。
下記の参照文献は、それらが本明細書に示されているものへの例となる手順又は他の詳細な補完を提供する範囲において、特別に本明細書において援用される。
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- 組成物が経口摂取、肺内滴下注入、又は注射のためのものである、請求項1に記載の組成物。
- V型コラーゲン又はその抗原性成分を含む組成物の、IPF(特発性肺線維症)の治療の方法において免疫寛容を付与するため医薬の製造のための使用。
- 組成物が経口摂取、肺内滴下注入、又は注射のためのものである、請求項1に記載の組成物。
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