JP5935335B2 - 楽器の可動部の可動構造 - Google Patents

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Description

本発明は、楽器において固定部に対して可動部が移動する可動構造に関する。
従来、楽器には、楽器本体に対して固定的な部分に対して可動する可動部が設けられるものがある。例えば、鍵盤楽器において、鍵盤蓋や譜面板等が、可動部として楽器本体に対してスライドや回動の変位をする。
特許文献1、2の鍵盤楽器では、鍵盤蓋が、開閉動作のために移動可能に構成される。左右両側の側板あるいは山板にガイド溝が形成されると共にラックが設けられ、鍵盤蓋に設けられた軸部がガイド溝に案内されると共に、鍵盤蓋に設けられたピニオンがラック上を移動することで、開閉が可能になっている。
鍵盤蓋は、開蓋状態と閉蓋状態とで姿勢が異なる場合は、移動の途中で回動変位をする必要がある。そこで、ガイド溝は、途中で湾曲(乃至屈曲)しており、ラックもそれに従って同様に湾曲している。
実公平7−49511号公報 特許第2571343号公報
しかしながら、鍵盤蓋に回動変位を生じさせるために、その変位に沿った形状をガイド溝及びラックに反映させなければならない。特に、鍵盤蓋に大きな回動変位を生じさせたい場合は、ガイド溝等の湾曲も大きくなり、湾曲方向に大きなスペースが必要となる。しかも、ラックについては、湾曲形成することは精度が維持しにくく、特殊形状となるためコスト的にも不利である。
また、このようなことは、鍵盤蓋に限られず、その他の開閉蓋、譜面台装置の譜面板等、回動変位を伴う各種の可動部にも言えることである。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、2つのガイド部の湾曲形状の組み合わせによって、可動部の移動の行程において所望の回動変位を生じさせるよう設計することができる楽器の可動部の可動構造を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の請求項1の楽器の可動部の可動構造は、共通の平面内において第1、第2のガイド部(21、22)が並設され、楽器本体(1)に対して固定的な固定部(20)と、前記第1、第2のガイド部にそれぞれ係合される第1、第2の被ガイド部(11、12)が設けられ、前記第1、第2のガイド部に前記第1、第2の被ガイド部がガイドされることで、前記固定部に対して移動可能な可動部(10)とを有し、前記共通の平面に垂直な方向からから見て、前記第1、第2のガイド部のうち一方のガイド部の少なくとも一部の領域が湾曲しているかまたは、双方のガイド部のそれぞれの少なくとも一部の領域が互いに異なる方向に湾曲または異なる曲率で湾曲しており、前記可動部には、静電型スピーカが設けられたことを特徴とする。
好ましくは、前記第1、第2のガイド部の双方が湾曲しており、それらの湾曲方向が逆方向である(請求項2)。好ましくは、前記第1、第2のガイド部のそれぞれの湾曲した部分の凹となる側同士が互いに対向する方向である(請求項3)。
好ましくは、仮想直線(L1)と平行に前記第1のガイド部の位置を平行移動させたとした場合に、前記第1のガイド部と前記第2のガイド部のそれぞれの湾曲した部分が前記仮想直線を中心とした線対称となるような前記仮想直線が存在する(請求項4)。好ましくは、前記可動部における前記第1の被ガイド部と前記第2の被ガイド部との中間位置の、前記可動部の移動の全行程に亘る移動軌跡(L1)が略直線である(請求項5)。
好ましくは、前記可動部の前記中間位置にはピニオン(13)が設けられると共に、前記固定部には、一直線に並ぶラック歯(23a)を有し前記ピニオンと噛み合うラック部(23)が設けられる(請求項6)。
好ましくは、前記第1、第2のガイド部はいずれも、互いに平行な直線部(21a、22a)と、これら直線部に連接する湾曲部(21b、22b)とでなる(請求項7)
なお、上記括弧内の符号は例示である。
本発明の請求項1によれば、2つのガイド部の湾曲形状の組み合わせによって、可動部の移動の行程において所望の回動変位を生じさせるよう設計することができる。
請求項2によれば、小さい移動ストロークにて可動部の大きな回動変位を作り出すことができる。
請求項3によれば、小さい移動ストロークにて可動部の大きな回動変位を作り出すことができると共に、ガイド部の並設方向の省スペースを図ることができる。
請求項4、5によれば、可動部の回動中心の移動軌跡を直線的にすることができる。
請求項6によれば、直線的なラックを利用でき、構成が簡単でコストも抑制することができる。
請求項7によれば、可動部の移動領域の端側において可動部を回動変位させることができる。
本発明の一実施の形態に係る可動部の可動構造が適用される楽器用スピーカユニットを有した電子楽器の正面図、右側面図である。 TLFユニットの構成を示す分解斜視図である。 図1(a)のA−A線に沿う、右側の可動機構の断面図である。 右側の可動機構の上部の背面図である。 右側の可動機構における固定プレート及び可動プレートの右側面図である。 TLFユニットを湾曲させた例を示す模式図(図(a)、(b))、TLFユニットの湾曲機構の簡略な例を示す斜視図(図(c))である。 可動機構を鍵盤楽器の鍵盤蓋に適用する例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の一実施の形態に係る可動部の可動構造が適用される楽器用スピーカユニットを有した電子楽器の正面図、右側面図である。以降、上下方向、左右方向については図1(a)を基準として呼称するとし、前後方向については奏者が位置する側(図1(a)の手前側)を前側とする。
本電子楽器は、楽器本体1に鍵盤部KBを備える電子鍵盤楽器として構成される。鍵盤部KBの下方に左右一対のコーンスピーカ42が設けられる。
楽器本体1には、静電型スピーカ31が内装されるTLF(Thin・Light・Flexible)ユニット30が、楽器用スピーカユニットとして移動可能に配設される。詳細は後述するが、TLFユニット30は、可動機構Mによって、楽器本体1に対してほぼ上下方向に移動自在として高さを調節可能で、且つ回動軸部32を中心として上下方向に回動自在としてTLFユニット30の向きを調節可能にされる。
図2は、TLFユニット30の構成を示す分解斜視図である。
TLFユニット30は、静電型スピーカ31の外縁部を枠体35、36で挟み、開口部は、放音穴が多数形成されたパンチングメタル33、34でカバーして構成される。枠体35の長手方向が鍵の並び方向となる。枠体35の長手方向の両端部には、中心軸線が鍵並び方向に平行な回動軸部32が設けられ、片側の端部には、配線ケーブルを接続するための端子部37が設けられる。
静電型スピーカ31の構成は、例えば、特開2010−68053号公報に示されている公知の構成である。静電型スピーカ31は、薄型軽量で柔軟性・可撓性があるいわゆる面スピーカであり、平面波を生じさせ、指向性や遠達性が高いのが特徴である。
図1に示すように、可動機構Mは楽器本体1の左右両端部に構成され、一部を除き左右対称に構成される。右側の可動機構Mは、主な構成要素としてベース体40、固定プレート20、可動プレート10を有する。まず、右側の可動機構Mについて詳細に説明する。
図3は、図1(a)のA−A線に沿う、右側の可動機構Mの断面図である。図4は、右側の可動機構Mの上部の背面図である。図5(a)〜(c)は、右側の可動機構Mにおける固定プレート20及び可動プレート10の右側面図である。
可動プレート10は、固定プレート20に対して上下方向にスライド移動が可能で、図1(a)、図5(a)では、可動プレート10が最も低い位置にある初期状態が示される。図4、図5(b)、(c)では、可動プレート10の移動行程の途中の状態が示される。図1(b)には、仮想線にて、最も高い位置に可動プレート10が位置する状態が示されている。
ベース体40は、楽器本体1に固定される。図3に示すように、ベース体40の背面には、鉛直方向の異なる位置に複数のZ曲げ片41が固着されている(図1(a)も参照)。Z曲げ片41は磁性を有する金属等でなる。固定プレート20は、金属等の頑丈な部材が上面視でL字型に屈曲形成されてなり、前板部20aと側板部20bとを有する。固定プレート20の前板部20aがベース体40に固着されることで、固定プレート20がベース体40を介して楽器本体1に固定的に取り付けられる。
前板部20aの背面には、L字型のラック支持部材24が固着されている。ラック支持部材24には、後ろ側にラック歯23aが形成されたラック部23が固着されている。ラック歯23aは、後方を向いて鉛直方向に一直線に並ぶ(図4、図5参照)。固定プレート20の側板部20bの後端部には、カバー25が固定されている。
固定プレート20のL字形状の内側には、金属等の頑丈な部材でなる可動プレート10が配置される。可動プレート10は側板部10bを有し、側板部10bの後部下部には、レール取り付け部10aが一体に形成されている。レール取り付け部10aには、レール部材14の右端部が取り付け固定されている。レール部材14の左端部は、左側の可動機構Mのレール取り付け部(図示せず)に取り付けられ、ほぼ鍵盤部KBのほぼ全幅に亘って延設されている(図1(a))。
可動プレート10の側板部10bの主部と固定プレート20の側板部20bの主部はいずれも、前後及び上下方向に平行である。可動プレート10の側板部10bの内側には、ラック歯23aに噛み合うピニオン13が回転自在に設けられている。また、側板部10bには、2つの係合ピン11、12が側方に突出して設けられている。ピニオン13は、係合ピン11と係合ピン12とのちょうど中間位置に配置されている(図5も参照)。
また、側板部10bの後部には、ストッパ16が設けられる。ストッパ16は、左右方向に平行な軸を中心に回動可能に支持され、図5(a)の反時計方向に付勢され且つ、不図示の規制部材によって反時計方向への回動が所定位置で規制されている。図5(a)の下側に示すように、可動プレート10が初期状態や移動途中にあるとき、ストッパ16はカバー25の内壁に当接して回転規制される。可動プレート10が移動行程における上限位置に到達したときは、図5(a)の上側に仮想線で示すように、ストッパ16は反時計方向の所定位置に規制されると共に、カバー25の上端に係止されたロック状態となる。これにより、可動プレート10が固定プレート20に対して上限位置に安定支持される。ストッパ16を手で図5の時計方向に回動させれば、ロック状態を解除することができる。
図1に示すように、左右の可動プレート10の上端部には、回動軸部32が軸支され、回動軸部32を中心としてTLFユニット30が回動自在になっている。TLFユニット30は、端子部37に接続される配線ケーブルと回動軸部32とが干渉しない範囲で回動可能であるので、360°に近い範囲で回動することができる。また、TLFユニット30は、可動プレート10がどの位置にあっても回動自在であり、図1(b)では、上限位置において少し前側に傾倒した状態が仮想線で示されている。
図5(a)に示すように、固定プレート20の側板部20bには、2本のガイド溝(第1のガイド溝21、第2のガイド溝22)が貫通して形成されている。側板部20bを平面と見なせば、ガイド溝21、22は共通の平面内において並設されている。ガイド溝21、22には、それぞれ係合ピン11、12が係合されている。すなわち、係合ピン11、12は首部と頭部を有し、首部がガイド溝21、22を貫通し、頭部が側方に突出して抜け止め状態となっている(図3)。
ガイド溝21、22に係合ピン11、12がガイドされることで、固定プレート20に対して可動プレート10が移動する。下記に説明するガイド溝21、22の形状の工夫によって、可動プレート10が上下方向に移動する際に回動変位を伴うよう構成されている。
ガイド溝21、22の長手方向は、可動プレート10の移動方向である上下方向にほぼ沿っている。すなわち、ガイド溝21、22は、側面視において互いに平行な直線部21a、22aを有し、直線部21a、22aの上側に連接して湾曲部21b、22bが形成されている。湾曲部21b、22bは、湾曲方向が逆方向で、凹となる側同士が互いに対向する方向である。
第1のガイド溝21は、第2のガイド溝22よりも下方にずれた位置に形成されている。図5(b)、(c)に示すように、直線部21a、22aの真ん中において鉛直方向に平行な仮想直線L1を想定する。第1のガイド溝21を、仮想直線L1に平行に上方に適当量、平行移動させると、第1のガイド溝21の湾曲部21bと第2のガイド溝22の湾曲部22bとは、仮想直線L1を中心とした線対称となる。
これにより、可動プレート10の全行程に亘って、係合ピン11、12の中間位置の移動軌跡は仮想直線L1の延長線に一致する。ピニオン13は、上述したように係合ピン11、12の中間位置に位置するから、ピニオン13の移動軌跡は仮想直線L1と一致し、鉛直方向に平行な略直線となる。従って、ラック部23として一般的な平型ラックが利用できるので、構成が簡単で、高い精度を維持しやすい。
直線部21aと直線部22aの長さは一致させることは必須でないが、本実施の形態では一致しているので、ガイド溝21、22は、全体としても、上下方向に平行移動させることで仮想直線L1を中心とした線対称の関係となっている。
図1(a)、図3に示すように、レール部材14の右端部には、2つのマグネット15が取り付けられている。マグネット15は、レール部材14と共に可動プレート10と一体に移動し、Z曲げ片41の対面部41aに近接対面したとき、吸着力を受けてその位置で可動プレート10を止める役割を果たす。Z曲げ片41は複数個所に設けられるので、可動プレート10の上下方向の位置が移動行程の途中の複数個所で安定して維持される。なお、可動プレート10の位置を止める機構は、磁力を利用するものに限られず、締結機構や挟着機構等を採用してもよい。
可動機構Mについて、固定プレート20、ガイド溝21、22の形状は左右対称である。可動プレート10、ストッパ16、カバー25、係合ピン11、12も左右対称である。ラック支持部材24、ラック部23、ピニオン13、Z曲げ片41、マグネット15については、右側の可動機構Mにのみ設けられるが、左側の可動機構Mにも左右対称のものを右側同様に設けてもよい。
また、固定プレート20は、楽器本体1に固定的な部分に対して固定されればよく、必ずしもベース体40という部材は必須でない。左側の可動機構Mにおいては、固定プレート20は、楽器本体1に固定されるが、ベース体40に相当する部材を設けてもよい。
かかる構成において、初期位置から可動プレート10を手で持ち上げると、ガイド溝21、22に係合ピン11、12が案内される。係合ピン11、12が直線部21a、22aに係合されている間は、可動プレート10は回転変位をすることなく平行移動により真っ直ぐ上昇する。ピニオン13は、ラック部23に噛み合いながら真っ直ぐ上昇していく。TLFユニット30は非常に軽量であるので、手動での移動操作が容易である、ただし、電動で移動させる機構を設けてもよい。なお、ピニオン13の回転動作に作用するダンパギアを設け、適当な摺動抵抗を生じさせてもよい。また、下降操作に際し作用するショックアブソーバを設けてもよい。
係合ピン11、12が湾曲部21b、22bに係合され始めると、係合ピン11は斜め後方に変位すると共に、係合ピン12は斜め前方に変位していく(図5(b)、(c))。両者の前後方向の変位量が一致するようになっており、結果としてピニオン13はラック部23に噛み合いながら真っ直ぐ上方に変位していく。係合ピン11、12がピニオン13を中心として図5の反時計方向に回動することになるので、可動プレート10もそれに応じた回動変位をし、前方に傾倒していく。
移動の途中で、マグネット15がいずれかのZ曲げ片41に近接したときに手を離せば、その位置にて可動プレート10が保持される。また、回動軸部32には、摩擦が生じるようになっており、可動プレート10の位置にかかわらず、回動軸部32を中心としてTLFユニット30を所望の位置に回動させて保持することができる。
係合ピン11、12が湾曲部21b、22bの上端に達すると、ストッパ16が反時計方向に回動して所定位置で規制され、可動プレート10から手を放すとストッパ16がカバー25の上端に係止(ロック)され、可動プレート10が上限位置に安定支持される。図1(b)に示すように、可動プレート10は、初期位置においては奏者の頭部(耳)の平均的な高さHよりも十分に低いが、上限位置においては高さHよりも十分に高い。
本電子楽器は、図示はしないが、鍵盤部KBで入力された演奏データや予め設定された演奏データ等を楽音信号に変換する音源回路や楽音信号に各種効果を付与する効果回路を有する。楽音信号は、コーンスピーカ42と静電型スピーカ31の双方に供給される。しかし、信号を分離し、中・高音域の楽音信号だけを静電型スピーカ31で音響に変換するようにしてもよい。静電型スピーカ31は、音響の変化をもたらすだけでなく、中・高音域の音響の補助やモニタ用にも適している。
本実施の形態によれば、楽器本体1に対する静電型スピーカ31の位置及び姿勢が可変である。静電型スピーカ31の音響はもともと点音源としてではなく広い面音源として感じられ、それが所望の位置で発せられるので、発音源の位置感覚や音の広がり感を可変とし、奏者が感じる音響を多様に変化させることができる。例えば、静電型スピーカ31を頭部の高さHより高くすれば、発音源が頭部上方に感じられるようになり、今までの鍵盤楽器にない位置から音が聞こえてくる(上から降ってくる)ようにすることができる。
しかも、TLFユニット30は指向性が強いので、回動させて所望の方向に向けることで、音の伝達方向を可変とし、所望の方向に主として中・高音域を提供することができるだけでなく、奏者にとっての音響も大きく変化する。例えば、奏者に直接向ければコーンスピーカ42と共に上下に広がり感が大きくなり、あるいは室内の壁に反射させて奏者に届くようにすることもできる。従って、音の指向を上下方向に可変とすると共に、部屋の壁や天井等での音の反射を利用した音響の多様な変化を実現可能になる。さらに、静電型スピーカ31は全鍵盤幅に亘って配設されたので、発音源を横方向に広く感じるようにすることができる。
本実施の形態によればまた、ガイド溝21、22は、共通の平面に垂直な方向(側方)から見て、湾曲している部分(湾曲部21b、22b)を上部に有するので、可動プレート10の上昇行程における最後に回動変位を生じさせることができる。特に、湾曲部21b、22bの凹となる側同士が互いに対向する方向であるので、小さい移動ストロークにて可動プレート10の大きな回動変位を作り出すことができると共に、ガイド溝21、22の並設方向(楽器の前後方向)の省スペースを図ることができる。
さらに、湾曲部21b、22bが、上下方向に平行移動させれば仮想直線L1を中心とした線対称となるので、可動プレート10の回動中心でもあるピニオン13の移動軌跡を直線的にすることができる。従って、ラック部23に汎用性のある平型ラックを利用でき、構成が簡単でコストの低減にも寄与する。
なお、2つのガイド溝21、22の湾曲形状の組み合わせによって、可動プレート10の移動の行程において所望の回動変位を生じさせるよう設計することを可能にする観点からは、湾曲部21b、22bの形状や領域は例示したものに限定されない。例えば、第1、第2のガイド溝21、22のうち一方のガイド部の少なくとも一部の領域が湾曲しているかまたは、双方のガイド部のそれぞれの少なくとも一部の領域が互いに異なる方向に湾曲または異なる曲率で湾曲していればよい。例えば、可動プレート10の大きな回動変位を作り出すことに限って言えば、ガイド溝21、22の湾曲方向が逆方向であってもよい。
ところで、本実施の形態では、TLFユニット30において静電型スピーカ31は平面的に配設したが、可撓性・柔軟性という性質を活かし、図6に変形例を示すように湾曲自在に構成してもよい。
図6(a)、(b)は、TLFユニット30を湾曲させた例を示す模式図である。図6(c)は、TLFユニット30の湾曲機構の簡略な例を示す斜視図である。
静電型スピーカ31を含めたTLFユニット30全体、または静電型スピーカ31自身を湾曲させて楽器本体1に設置する。図6(a)に示すように、静電型スピーカ31を後方に凸となるように左右方向に湾曲させると、奏者2に対する音圧が高くなる。また、図6(b)に示すように、静電型スピーカ31を前方に凸となるように上下方向に湾曲させると、奏者2に対する音圧は低くなるが、音の指向方向が上下に広がる。湾曲状態も可変とすることにより、奏者が感じる音響を一層多様に変化させることができる。
このようなTLFユニット30または静電型スピーカ31の湾曲状態を維持する機構を設けるのが望ましい。例えば、図6(c)に示すように、ベース部51の両端に溝部52、53を形成する。一方、静電型スピーカ31を固定するための可撓性のある2本の板部材57、58をステイ54とステイ55とに懸け合わせる。板部材57、58の長手方向が、静電型スピーカ31の長手方向(楽器本体1の左右方向)に対応する。
そして、板部材57、58を湾曲させつつ、ステイ54、55を、それぞれ溝部52、53の適当な位置にてねじ等で締結する。溝部52、53に対するステイ54、55の締結位置によって、板部材57、58の湾曲の曲率を所望に設定可能である。湾曲の程度が可変であるので、方向による音圧分布を調整可能にすることができる。板部材57、58に固定された静電型スピーカ31は、板部材57、58の湾曲に応じて湾曲し、その状態で維持される。なお、図6(c)は一例であり、湾曲の方向が上下方向であるとしてもよいし、湾曲状態を維持する機構もこれに限定されない。また、静電型スピーカ31を保持する部材の内部において、静電型スピーカ31だけが単独で湾曲するように構成してもよい。
ところで、電子楽器において、可動部の可動構造(可動機構M)をTLFユニット30に適用する例を示してきたが、これに限定されるものではない。例えば、図7で例示する鍵盤蓋のほか、譜面台装置の譜面板等、可動するあらゆる構成要素に可動機構Mを適用可能である。
図7(a)、(b)は、可動機構Mを鍵盤楽器の鍵盤蓋に適用する例を示す模式図である。図7(a)、(b)は、閉蓋状態、開閉途中の状態をそれぞれ示す。
図7(a)、(b)に示す構成は、図1〜図6で示した構成に対し、TLFユニット30を廃止し、可動プレート10に代えて鍵盤蓋59を移動可能に設けたことに相当する。ピニオン及びラックの図示は省略している。
この構成では、鍵盤蓋59を前方(図7の左方)に引っ張ると、当初は水平に移動するが、ガイド溝21、22の作用により、最後の段階で同図反時計方向に鍵盤蓋59が回動変位し、閉蓋状態に移行する。
なお、上記説明した実施の形態において、ガイド溝21、22は貫通溝としたが、これに限られず、止まり溝やレール状であってもよい。また、ラック歯23aは後方を向くとしたが、左右または前方を向くものとしてピニオン13もそれに応じて配設してもよい。
なお、可動プレート10の回動変位を作り出す上では、ガイド溝21、22が必須であり、ラック部23及びピニオン13を設けることは必須でない。また、ガイド溝21、22にガイドされるために係合される被ガイド部としては、係合ピン11、12のようなピンの形状に限定されない。
なお、可動プレート10の位置や姿勢変化の態様は一例であり、回動方向、スライド移動方向、湾曲方向について各種の組み合わせが可能である。また、TLFユニット30の音を反射させる反射板を設けてもよく、その場合、反射板自体を回動変位可能に構成してもよい。
なお、TLFユニット30は、上記説明したような、楽器本体1と一体の構成に限られず、別体に構成して電気的及び物理的に接続可能に構成してもよい。
すなわち、固定プレート20は楽器本体1に対して着脱が可能であるが、可動プレート10は、楽器本体1自身に対して支持されて可動するよう構成してもよい。従って、可動プレート10が可動自在に支持される固定部は、楽器本体1に固定された部分(楽器本体1自身も含む)でもよいし、楽器本体1に対して取り付け可能な部材であってもよい。言い換えれば、楽器本体1に対して取り付け可能な部材は、楽器本体1とは別体として構成されたものであってもよい。この場合、上記取り付け可能な部材は、発音のために楽器本体1に対して電気的に接続可能に構成し、信号をやりとりできるように構成するのがよい。そうすれば、楽器用スピーカユニットであるTLFユニット30は、物理的には楽器本体1との一体、別体の状態を問わず、楽器本体1での演奏操作に基づく楽音を発生させることが可能である。また、上記取り付け可能な部材は、楽器本体1を保持できるような大きい部材とし、床面に載置した上記取り付け可能な部材に、楽器本体1が保持される構成であってもよい。
なお、TLFユニット30の位置や姿勢を可変にするという観点に限れば、適用される楽器は鍵盤楽器に限られない。また、可動部の可動構造(可動機構M)を適用する対称となる楽器は、電子鍵盤楽器に限られず、アコースティック楽器でもよく、鍵盤楽器でなくてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
1 楽器本体、 10 可動プレート(可動部)、 11 係合ピン(第1の被ガイド部)、 12 係合ピン(第2の被ガイド部)、 13 ピニオン、 20 固定プレート(固定部)、 21 第1のガイド溝(第1のガイド部)、 22 第2のガイド溝(第2のガイド部)、 21a、22a 直線部、 21b、22b 湾曲部、 23 ラック部、 23a ラック歯、 31 静電型スピーカ、 L1 仮想直線

Claims (7)

  1. 共通の平面内において第1、第2のガイド部が並設され、楽器本体に対して固定的な固定部と、
    前記第1、第2のガイド部にそれぞれ係合される第1、第2の被ガイド部が設けられ、前記第1、第2のガイド部に前記第1、第2の被ガイド部がガイドされることで、前記固定部に対して移動可能な可動部とを有し、
    前記共通の平面に垂直な方向からから見て、前記第1、第2のガイド部のうち一方のガイド部の少なくとも一部の領域が湾曲しているかまたは、双方のガイド部のそれぞれの少なくとも一部の領域が互いに異なる方向に湾曲または異なる曲率で湾曲しており、
    前記可動部には、静電型スピーカが設けられたことを特徴とする楽器の可動部の可動構造。
  2. 前記第1、第2のガイド部の双方が湾曲しており、それらの湾曲方向が逆方向であることを特徴とする請求項1記載の楽器の可動部の可動構造。
  3. 前記第1、第2のガイド部のそれぞれの湾曲した部分の凹となる側同士が互いに対向する方向であることを特徴とする請求項2記載の楽器の可動部の可動構造。
  4. 仮想直線と平行に前記第1のガイド部の位置を平行移動させたとした場合に、前記第1のガイド部と前記第2のガイド部のそれぞれの湾曲した部分が前記仮想直線を中心とした線対称となるような前記仮想直線が存在することを特徴とする請求項3記載の楽器の可動部の可動構造。
  5. 前記可動部における前記第1の被ガイド部と前記第2の被ガイド部との中間位置の、前記可動部の移動の全行程に亘る移動軌跡が略直線であることを特徴とする請求項3または4記載の楽器の可動部の可動構造。
  6. 前記可動部の前記中間位置にはピニオンが設けられると共に、前記固定部には、一直線に並ぶラック歯を有し前記ピニオンと噛み合うラック部が設けられたことを特徴とする請求項5記載の楽器の可動部の可動構造。
  7. 前記第1、第2のガイド部はいずれも、互いに平行な直線部と、これら直線部に連接する湾曲部とでなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の楽器の可動部の可動構造。
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