JP5934598B2 - シールド掘進機 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネルの構築に用いられるシールド掘進機に関する。
上下水道、共同溝、道路、鉄道等の管路として用いられるシールドトンネルは、シールド工法により構築される。
シールド工法ではシールド掘進機が用いられる。シールド掘進機は、例えば、筒状のスキンプレートと、このスキンプレートの前端部(切羽側端部)に設けられて地山を掘削するカッタヘッドと、スキンプレートより内側に設けられる推進ジャッキとを備える。
シールド工法では、例えば、地山に発進立坑と到達立坑とを構築し、発進立坑から到達立坑へ向けてシールド掘進機で地山を掘削しながら、スキンプレート内の後部で次々にセグメントをトンネル周方向に連結してセグメントリングを構築すると共に、隣接するセグメントリング同士をトンネル軸方向で連結することで円筒状の覆工体を構築する。この工法では、シールド掘進機は、その後方の既設セグメントを推進ジャッキで後方へ押圧し、その反力として発生する推力によって、地山を掘削しながら前進する。
特許文献1には、シールド掘進機を用いたトンネルの施工において、曲線施工時に、既設セグメントとスキンプレート(テールシールド)とが接触すること(換言すれば、既設セグメントとスキンプレートとの競りが発生すること)を抑制するために、スキンプレートの全長を短くすることが記載されている。
特許文献2には、セグメントの組立方法において、複数のセグメントをトンネル内の下部からトンネル周方向に順次連結し、トンネル内の上部のセグメント間にキーセグメントの外形形状に対応した空所を形成し、この空所内にキーセグメントを挿入することでセグメントリングを構築することが記載されている。
特開平4−198586号公報 特開平5−133196号公報
しかしながら、例えば、特許文献1に記載のようなシールド掘進機のスキンプレート内にて、特許文献2に記載のようなキーセグメントを含むセグメントリングを構築すると、曲線施工時にはスキンプレートの全長を短くすることにより、最も前側(切羽側)に位置するセグメントリングがスキンプレートより露出して、周辺地盤からの外力を直接的に受けかねない。また、最も前側に位置するセグメントリングのキーセグメントは、その切羽側端が自由端である。従って、最も前側に位置するセグメントリングについては、周辺地盤からの外力がセグメントリングに過大に作用すると、この外力がセグメントリングの周方向に作用して、その結果、キーセグメントがその挿入方向と反対の方向に迫り出す虞があった。
また、このようなキーセグメントの迫り出しが発生すると、当該キーセグメントとその周囲の既設セグメントとの間に隙間が形成されて、この隙間から覆工体内に土砂や水が流入する虞があった。
本発明は、このような実状に鑑み、曲線施工時の上述の競りの発生を抑制しつつ、既設キーセグメントの迫り出しの発生を抑制して、覆工体内への土砂や水の流入を抑制することを目的とする。
そのため本発明では、シールド掘進機が、筒状のスキンプレートと、このスキンプレートの前端部に設けられて地山を掘削するカッタヘッドと、このカッタヘッドより後方のスキンプレート内にて、スキンプレートの周方向に沿って複数のセグメントを連結して、最後にセグメント間にキーセグメントを差し込むことによりセグメントリングを構築するエレクタ装置と、を含んで構成される。スキンプレートは、スキンプレートの後端部の一部より後方に延在する延長部を有する。トンネル軸方向に順次構築された複数のセグメントリングのうち最も前側に位置するセグメントリングのキーセグメントが、スキンプレート及び延長部により覆われる。
本発明によれば、スキンプレートは、その後端部の一部より後方に延在する延長部を有する。また、最も前側に位置するセグメントリングのキーセグメントが、スキンプレート及び延長部により覆われる。これにより、スキンプレートについては、その全長を比較的短く構成することができるので、曲線施工時にスキンプレートが既設セグメントと競ることを抑制することができる。また、最も前側に位置するセグメントリングに作用する、周辺地盤からの外力の一部を、スキンプレートと延長部とで受け持つことができるので、当該セグメントリングに作用する外力を低減することができ、ひいては、キーセグメントの迫り出しを抑制することができる。
また、本発明によれば、最も前側に位置するセグメントリングのキーセグメントが、スキンプレート及び延長部により覆われる。これにより、上述のキーセグメントの迫り出しが仮に発生しても、この迫り出しで生じる上記隙間がその外方から主に延長部により塞がれるので、覆工体内への土砂や水の流入を抑制することができる。
本発明の第1実施形態におけるシールド掘進機の概略構成図 セグメントリングの構築方法を示す図 スキンプレートの延長部を示す横断面図 直線施工時のシールド掘進機を示す図 曲線施工時のシールド掘進機を示す図 延長部の変形例を示す図 本発明の第2実施形態におけるシールド掘進機の概略構成図
図1(a)は、本発明の第1実施形態におけるシールド掘進機の縦断面図であり、図1(b)は、シールド掘進機の平面図である。
尚、本実施形態では、便宜上、トンネル掘進方向を前進方向として前後左右を規定している。
また本実施形態では、いわゆる泥土圧式のシールド掘進機を例にとってシールド掘進機の構成を説明するが、シールド掘進機の種類はこれに限らない。
トンネルの構築に用いられるシールド掘進機1は、その本体を成す円筒状のスキンプレート2と、スキンプレート2の前端部2aに設けられる掘削用のカッタヘッド3と、カッタヘッド3の後方に離間してスキンプレート2に配置されるシールド隔壁(バルクヘッド)4とを含んで構成される。
カッタヘッド3はシールド隔壁4に回転自在に支持されている。カッタヘッド3は、シールド隔壁4の後面に設置された駆動用モータ5を駆動源として、回転しながら地山を掘削する。
カッタヘッド3とシールド隔壁4との間には、これらとスキンプレート2とによりカッタチャンバ6が区画形成されている。
カッタチャンバ6内では、カッタヘッド3による掘削で生じた掘削土砂が滞留する。
シールド掘進機1は、カッタヘッド3及びシールド隔壁4の後方のスキンプレート2内にエレクタ装置10を備える。
エレクタ装置10は把持部11を備える。エレクタ装置10は、円弧状断面を有するセグメントSを把持部11で把持しつつ、セグメントSをトンネル軸方向、径方向、周方向に適宜移動させることができる。
エレクタ装置10は、スキンプレート2内にて、その周方向に沿って複数のセグメントSを連結して、最後にセグメントS間にキーセグメント(差し込み式セグメント)KSを差し込むことによりセグメントリングSRを構築する。
ここで、セグメントリングSRの構築方法について図2を用いて説明する。
図2(a)は、セグメントリングSRの横断面図である。図2(b)は、セグメントリングSRの展開図である。
セグメントリングSRは、例えば、7ピースのセグメントS1〜S7と、1ピースのキーセグメントKSと、から成る。尚、セグメントリングSRを構成するセグメントS及びキーセグメントKSのピース数は、これに限らない。
図2(b)に示すように、セグメントS1〜S5は、それぞれ、平面視で、トンネル軸方向に沿う辺を短辺とし、トンネル軸方向に垂直な方向に沿う辺を長辺とする矩形状に形成されている。
セグメントS6は、平面視で、切羽側を短辺の上底とし、坑口側を長辺の下底とする直角台形状に形成されている。また、セグメントS6のうち平面視で直角を成す2つの頂点が、それぞれ、隣接するセグメントS4の2つの頂点に対向している。
セグメントS7は、平面視で、切羽側を短辺の上底とし、坑口側を長辺の下底とする直角台形状に形成されている。また、セグメントS7のうち平面視で直角を成す2つの頂点が、それぞれ、隣接するセグメントS5の2つの頂点に対向している。
キーセグメントKSは、平面視で、坑口側を短辺の上底とし、切羽側を長辺の下底とする等脚台形状に形成されている。換言すれば、キーセグメントKSは、平面視で、切羽側から坑口側に向けて先細なテーパ状に形成されている。
セグメントリングSRは、セグメントS1〜S7及びキーセグメントKSを以下のように組立てることで構築される。
まず、セグメントS1を既設のセグメントリングSR(図示せず)の切羽側端面の下部に連結させる。
次に、セグメントS1の一側に、セグメントS2を連結させる。
次に、セグメントS1の他側に、セグメントS3を連結させる。
次に、セグメントS2のセグメントS1と反対の側に、セグメントS4を連結させる。
次に、セグメントS3のセグメントS1と反対の側に、セグメントS5を連結させる。
次に、セグメントS4のセグメントS2と反対の側に、セグメントS6を連結させる。
次に、セグメントS5のセグメントS3と反対の側に、セグメントS7を連結させる。
最後に、キーセグメントKSを、切羽側から坑口側にトンネル軸方向に移動させ、S6とS7との間の間隙にくさび状に差し込む。
このようにして、上部にキーセグメントKSが位置するセグメントリングSRが構築される。
このセグメントリングSRがトンネル軸方向に順次構築されることにより、図1に示すように、円筒状の覆工体15が構築される。
尚、互いに隣接するセグメントリングSRについては、互いのキーセグメントKS同士が接触しないように平面視で千鳥配置になるように、各セグメントリングSRが構築される。
シールド掘進機1のスキンプレート2より内側には、複数の推進ジャッキ30が、スキンプレート2の内面に沿って周方向に互いに間隔を空けて配置されている。
推進ジャッキ30は、シリンダ31とロッド32とにより構成される油圧ジャッキである。シリンダ31は、その一端がスキンプレート2に固定されており、他端側にて、ロッド32が進出・退入可能となっている。推進ジャッキ30のロッド32の先端部を既設のセグメントSに当接させた状態で推進ジャッキ30を伸長作動させることにより、シールド掘進機1は推進力を得ることができる。このようにして、推進ジャッキ30は、既設のセグメントSから反力を取ってシールド掘進機1を推進させる。
シールド掘進機1は、カッタチャンバ6内の掘削土砂をシールド隔壁4の後方に搬出するスクリューコンベア35を備えている。
スキンプレート2は、その後端部2bの一部である上部より後方に延在する延長部20を有する。
延長部20は、平面視で矩形状に形成されており、横断面が円弧状を成している。
延長部20は、スキンプレート2の後端部2bより所定長さ分、延在している。ここで、所定長さについては、例えば、キーセグメントKSのトンネル軸方向の長さより長くなるように、また、キーセグメントKSのトンネル軸方向の長さの2倍より短くなるように、予め設定される。
延長部20の円弧状断面について、図3を用いて説明する。
図3は、延長部20を示す横断面図である。
延長部20については、上述のキーセグメントKSの千鳥配置や、曲線施工時のカーブの曲率などに基づいて、既設のセグメントリングSRのうち最も前側(切羽側)に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKS(図1では、セグメントリングSR1のキーセグメントKS1)が、トンネル施工時にスキンプレート2と延長部20とにより覆われるように、延長部20の円弧状断面の中心角αが設定されている。
ここで、中心角αとは、シールド掘進機1のマシン中心Oを中心として鉛直軸Yを基準する中心角である。中心角αについては、鉛直軸Yを基準として左右にそれぞれ45°(合計で90°)となるように設定されることが好ましい。
一般に、トンネルの施工が行われる地山は、土砂、水、空気などの混合物であり、完全な流動性があるものではない。それゆえ、最も前側に位置するセグメントリングSRがその全周にわたってスキンプレート2より露出する場合には、周辺地盤からの外力が、セグメントリングSRの側部や底部に比べて、セグメントリングSRの上部(特にキーセグメントKSの近傍)に強く作用しかねない。この点、本実施形態によれば、最も前側に位置するセグメントリングSRの上部に作用するはずの、周辺地盤からの強い外力を、スキンプレート2と延長部20とで受け持つことができるので、セグメントリングSRに作用する外力を大幅に低減することができる。
図1に戻り、スキンプレート2の後端部2b及び延長部20には、その外縁に沿って、前後2列のテールシール41、42が設けられている。
テールシール41、42は金属製のブラシ(ワイヤブラシ)である。尚、テールシール41、42については、金属製に限らず、例えば、ウレタンなどの樹脂製であってもよい。
前側のテールシール41と後側のテールシール42とは、各々が、スキンプレート2の後端部2b及び延長部20の内面とセグメントリングSRの外面との間の間隙を塞ぐ。
尚、テールシール41、42間の隙間にはグリースなどの充填材が充填され得る。
前側のテールシール41は、主シール部41a、延長左シール部41b、延長右シール部41c、及び、延長後端シール部41dから成る閉ループ構造を有する。
主シール部41aは、スキンプレート2の後端部2bのうち延長部20を有さない部分の外縁に沿って、スキンプレート2の周方向に延びている。
延長左シール部41bは、主シール部41の左上端より延長部20の左側外縁に沿って後方に延びている。
延長右シール部41cは、主シール部41の右上端より延長部20の右側外縁に沿って後方に延びている。
延長後端シール部41dは、延長部20の後縁に沿って延びており、その両端が、延長左シール部41bの後端と延長右シール部41cの後端とにそれぞれ接続している。
尚、本実施形態では、図1に示すように、主シール部41aと延長左シール部41bとの接続箇所、延長左シール部41bと延長後端シール部41dとの接続箇所、延長後端シール部41dと延長右シール部41cとの接続箇所、及び、延長右シール部41cと主シール部41aとの接続箇所が、それぞれ、平面視で略直角に屈曲しているが、これら接続箇所の接続形態はこれに限らず、例えば、平面視で湾曲していてもよい。
また、前側のテールシール41は、その前方に、最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKS(図1では、セグメントリングSR1のキーセグメントKS1)が位置するように、スキンプレート2の後端部2b及び延長部20に設けられる。
後側のテールシール42は、主シール部42a、延長左シール部42b、延長右シール部42c、及び、延長後端シール部42dから成る閉ループ構造を有する。
後側のテールシール42の構成は、前側のテールシール41の構成と同様であるので、その説明を省略する。
テールシール41、42は各々が上述のような閉ループ構造を有することにより、周辺地盤からの土砂や水などがスキンプレート2の内面とセグメントリングSRの外面との間からシールド掘進機1内に流入することを防止することができる。
次に、シールド掘進機1を用いるトンネルの施工方法について、図4を用いて説明する。
図4は直線施工時のシールド掘進機1を示す平面図である。
直線施工時には、まず、図4(a)に示すように、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSR1のキーセグメントKS1が、スキンプレート2と延長部20とにより覆われる。また、前側のテールシール41の前方に、セグメントリングSR1のキーセグメントKS1が位置する。
次に、図4(b)に示すように、スキンプレート2内にて、エレクタ装置10を用いて、新たなセグメントリングSR2が、セグメントリングSR1の前方に構築される。
次に、図4(c)に示すように、推進ジャッキ30を伸長作動させることにより、シールド掘進機1を推進させる。この推進後には、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSR2のキーセグメントKS2が、スキンプレート2と延長部20とにより覆われる。また、前側のテールシール41の前方に、セグメントリングSR2のキーセグメントKS2が位置する。
ここで、キーセグメントKS1、KS2は、上述の千鳥配置になっており、これらキーセグメントが、順に、スキンプレート2と延長部20とにより覆われる。
このようにセグメントリングSRの構築とシールド掘進機1の推進とを繰り返す間に、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKSが、スキンプレート2と延長部20とにより、常に覆われる。また、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKSが、前側のテールシール41の前方に、常に位置する。
尚、曲線施工時においても、上述の直線施工時と同様に、セグメントリングSRの構築とシールド掘進機1の推進とを繰り返す。
また、曲線施工時には、シールド掘進機1が目標の掘進方向に進むように、複数の推進ジャッキ30の推力分布が調整される。
次に、本実施形態の作用について、図5を用いて説明する。
図5は曲線施工時のシールド掘進機1を示す平面図である。
尚、図5ではテールシールの図示を省略している。
また、図5の2点鎖線は、円筒状のスキンプレート及びカッタヘッドを備える従来型のシールド掘進機100の輪郭を示す。
従来型のシールド掘進機100では、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSR1の全体が、スキンプレートによって覆われている。このときに、スキンプレートは、管体として、周辺地盤からの外力を受けるので、その外力が、セグメントリングSR1に直接的に作用することはない。このような状態で、スキンプレート内にて、新たなセグメントリングが構築されることが望ましい。
しかしながら、従来型のシールド掘進機100では、曲線施工時にセグメントリングSRとスキンプレートとが接触すること(換言すれば、セグメントリングSRとスキンプレートとの競りが発生すること)を抑制するために、セグメントリングSRとスキンプレートとの間の間隔(以下「テールクリアランス」という)を大きく空けなければならなかった。
また、このようにテールクリアランスを大きくすると、テールシールが大型化し、また、スキンプレートの後端部で止水性を確保することが難しかった。
この点、本実施形態によれば、シールド掘進機1のスキンプレート2は、その後端部の上部より後方に延在する延長部20を有する。また、最も前側に位置するセグメントリングSR1のキーセグメントKS1が、スキンプレート2及び延長部20により覆われる。これにより、スキンプレート2については、その全長を従来型のシールド掘進機100のスキンプレートの全長より長さLだけ短くすることができるので、テールクリアランスを距離tだけ小さくすることができる。従って、テールシールを小型化することができ、また、スキンプレート2の後端部2bで止水性を比較的容易に確保することができる。また、テールクリアランスを距離tだけ小さくすることができることにより、シールド掘進機1の小径化(図5のD1からD2への小径化)を実現することができるので、テールクリアランス確保用の余掘りを低減することができる。
本実施形態によれば、シールド掘進機1は、円筒状のスキンプレート2と、このスキンプレート2の前端部2aに設けられて地山を掘削するカッタヘッド3と、このカッタヘッド3より後方のスキンプレート2内にて、その周方向に沿って複数のセグメントSを連結して、最後にセグメントS間にキーセグメントKSを差し込むことによりセグメントリングSRを構築するエレクタ装置10とを含んで構成される。スキンプレート2は、その後端部2bの一部より後方に延在する延長部20を有する。エレクタ装置10によりトンネル軸方向に順次構築された複数のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKS(図1では、セグメントリングSR1のキーセグメントKS1)が、スキンプレート2及び延長部20により覆われる。これにより、例えば、図1に示す施工状態では、セグメントリングSR1に作用するはずの、周辺地盤からの外力の一部を、スキンプレート2と延長部20とで受け持つことができるので、セグメントリングSR1に作用する外力を低減することができ、ひいては、キーセグメントKS1の迫り出しを抑制することができる。
また本実施形態によれば、キーセグメントKSは、セグメントリングSRの上部に位置し、延長部20は、スキンプレート2の後端部2bの一部である上部より後方に延在する。これにより、例えば、図1に示す施工状態では、セグメントリングSR1の上部に作用する、周辺地盤からの強い外力を、スキンプレート2と延長部20とで受け持つことができるので、セグメントリングSR1に作用する外力を大幅に低減することができる。また、トンネル施工においては、一般に、上下方向での曲線施工時の曲率に比べて、左右方向での曲線施工時の曲率のほうが大きい。それゆえ、延長部20が、スキンプレート2の後端部2bの上部より後方に延在することにより、曲率の大きな左右方向での曲線施工時に、延長部20が曲線施工の妨げになることを防ぐことができる。
また本実施形態によれば、シールド掘進機1は、スキンプレート2の後端部2b及び延長部20の外縁に沿って設けられて、スキンプレート2の後端部2b及び延長部20の内面とセグメントリングSRの外面との間の間隙を塞ぐテールシール41、42を更に含んで構成される。これにより、例えば、図1に示す施工状態において、周辺地盤からの外力が、最も前側に位置するセグメントリングSR1に作用し、仮に、キーセグメントKS1がその挿入方向と反対の方向に迫り出して周囲のセグメントSとの間に隙間が生じても、この隙間がその外方から主に延長部20により塞がれて、更に、テールシール41、42によりシールされるので、覆工体15内への土砂や水の流入を抑制することができる。
尚、本実施形態では、延長部20が平面視で矩形状に形成されているが、延長部20の形状はこれに限らない。
図6は、図1に示した延長部20の変形例を示す。
図1に示した延長部20と異なる点について説明する。
図1に示した延長部20は、平面視で矩形状に形成されているが、図6に示す変形例では、延長部20’が、平面視で、抗口側を短辺とし、切羽側を長辺とする、等脚台形状に形成されている。
スキンプレート2の後端部2b及び延長部20’には、その外縁に沿って、前後2列のテールシール41’、42’が設けられている。
前側のテールシール41’と後側のテールシール42’とは、各々が、スキンプレート2の後端部2b及び延長部20’の内面とセグメントリングSRの外面との間の間隙を塞ぐ。
尚、テールシール41’、42’の各々の構成は、上述のテールシール41、42と同様であるので、その説明を省略する。
図7(a)は、本発明の第2実施形態におけるシールド掘進機の縦断面図であり、図7(b)は、図7(a)の部分Pの部分拡大図である。
図1に示した第1実施形態と異なる点について説明する。
第2実施形態では、円筒状のスキンプレート22が、前後2つの円筒状のスキンプレート23、24に分割されている。すなわち、円筒状のスキンプレート22は、円筒状の前側スキンプレート23と、円筒状の後側スキンプレート24とを含んで構成され、前側スキンプレート23の後端部23bに後側スキンプレート24の前端部24aが連結される。
前側スキンプレート23の前端部23aには、カッタヘッド3が設けられている。
前側スキンプレート23の後端部23bには、その外径が縮径された縮径部25が形成されている。縮径部25の外周面には、前後2列の環状溝26、27が所定深さで凹設されている。
後側スキンプレート24の前端部24aには、その内面より内方に突出する所定高さの突起28が設けられている。
後側スキンプレート24の前端部24aの突起28は、前側スキンプレート23の後端部23bの後側の環状溝27に遊嵌されている。これにより、後側スキンプレート24は、突起28及び環状溝27によってガイドされつつ、前側スキンプレート23に対して周方向に回転することができる。尚、後側スキンプレート28の回転駆動源としては、例えば、電気モータや油圧モータなどを挙げることができる。
突起28より前方の後側スキンプレート24の前端部24aの内面と、前側スキンプレート23の後端部23bの前側の環状溝26との間には、環状のシール29が介装されている。このようにして、後側スキンプレート24の前端部24aと前側スキンプレート23の後端部23bとの間の隙間がシール29によってシールされることにより、周辺地盤からの土砂や水などが上記隙間を通ってシールド掘進機1内に流入することを防止することができる。
後側スキンプレート24は、その後端部24bの上部より後方に延在する延長部21を有する。延長部21の形状は、上述の延長部20と同様であるか、又は、延長部20’と同様である。
延長部21については、曲線施工時のカーブの曲率などに基づいて、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKSが、トンネル施工時に後側スキンプレート24と延長部21とにより覆われるように、延長部21の円弧状断面の中心角α(図3参照)が設定されている。ここで、上述のキーセグメントKSの千鳥配置については、後側スキンプレート24の回転で対応することができるので、その分、延長部21の円弧状断面の中心角αを小さく設定することができる。これにより、延長部21の幅を、上述の延長部20、20’の幅より狭くすることができるので、延長部21の小型化を実現することができる。
本実施形態では、既設のセグメントリングSRのうち最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKSが、トンネル施工時に後側スキンプレート24と延長部21とにより覆われるように、後側スキンプレート24を前側スキンプレート23に対して回転させる。尚、セグメントリングSRの上部にキーセグメントKSを位置させて覆工体15を構築する施工形態では、延長部21の幅方向中央部が、シールド掘進機1のマシン中心O(図3参照)を回転中心とし、鉛直軸Yを基準として左右にそれぞれ45°(合計で90°)程度回転できるように、シールド掘進機1を構成することが好ましい。このようにシールド掘進機1を構成する場合には、後側スキンプレート24が360°回転可能である必要はない。
特に本実施形態によれば、スキンプレート22は、前端部23aにカッタヘッド3が設けられる円筒状の前側スキンプレート23と、この前側スキンプレート23の後端部23bに前端部24aが連結されて前側スキンプレート23に対して回転可能な円筒状の後側スキンプレート24と、を含んで構成され、延長部21は、後側スキンプレート24の後端部24bの一部より後方に延在する。これにより、最も前側に位置するセグメントリングSRのキーセグメントKSの位置に対応するように延長部21をトンネル周方向に移動させることができるので、上述の延長部20、20’の幅に比べて、延長部21の幅を狭くすることができ、ひいては、延長部21の小型化を実現することができる。
尚、本実施形態では、後側スキンプレート24の前端部24aの突起28が、前側スキンプレート23の後端部23bの後側の環状溝27に遊嵌されることにより、後側スキンプレート24が前側スキンプレート23に支持されて回転するが、回転支持部の形態はこれに限らず、例えば、後側スキンプレート24の前端部24aの内面と前側スキンプレート23の後端部23bの外面との間にベアリングを介装し、このベアリングにより、後側スキンプレート24を回転可能に支持するようにしてもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態では、前後2列のテールシールを用いて説明したが、テールシールの配列形態はこれに限らず、例えば、1列のみの配列であってもよいし、また、3列以上の配列であってもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態では、泥土圧式のシールド掘進機1を用いて説明したが、シールド掘進機1の種類はこれに限らず、例えば、泥水式のシールド掘進機であってもよい。
1 シールド掘進機
2 スキンプレート
2a 前端部
2b 後端部
3 カッタヘッド
4 シールド隔壁
5 駆動用モータ
6 カッタチャンバ
10 エレクタ装置
11 把持部
15 覆工体
20、20’、21 延長部
22 スキンプレート
23 前側スキンプレート
23a 前端部
23b 後端部
24 後側スキンプレート
24a 前端部
24b 後端部
25 縮径部
26、27 環状溝
28 突起
29 シール
30 推進ジャッキ
31 シリンダ
32 ロッド
35 スクリューコンベア
41、41’ 前側のテールシール
41a 主シール部
41b 延長左シール部
41c 延長右シール部
41d 延長後端シール部
42、42’ 後側のテールシール
42a 主シール部
42b 延長左シール部
42c 延長右シール部
42d 延長後端シール部
KS、KS1、KS2、 キーセグメント
S、S1〜S7 セグメント
SR、SR1、SR2 セグメントリング

Claims (4)

  1. 筒状のスキンプレートと、
    このスキンプレートの前端部に設けられて地山を掘削するカッタヘッドと、
    このカッタヘッドより後方の前記スキンプレート内にて、前記スキンプレートの周方向に沿って複数のセグメントを連結して、最後にセグメント間にキーセグメントを差し込むことによりセグメントリングを構築するエレクタ装置と、
    を含んで構成されるシールド掘進機であって、
    前記スキンプレートは、前記スキンプレートの後端部の一部より後方に延在する延長部を有し、
    トンネル軸方向に順次構築された複数のセグメントリングのうち最も前側に位置するセグメントリングの前記キーセグメントが、前記スキンプレート及び前記延長部により覆われることを特徴とするシールド掘進機。
  2. 前記キーセグメントは、前記セグメントリングの上部に位置し、
    前記スキンプレートの後端部の前記一部は、前記スキンプレートの後端部の上部であることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
  3. 前記スキンプレートの後端部及び前記延長部の外縁に沿って設けられて、前記スキンプレートの後端部及び前記延長部の内面と前記セグメントリングの外面との間の間隙を塞ぐテールシールを更に含んで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシールド掘進機。
  4. 前記スキンプレートは、前端部に前記カッタヘッドが設けられる円筒状の前側スキンプレートと、この前側スキンプレートの後端部に前端部が連結されて前記前側スキンプレートに対して回転可能な円筒状の後側スキンプレートと、を含んで構成され、
    前記延長部は、前記後側スキンプレートの後端部の一部より後方に延在することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のシールド掘進機。
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