JP5930211B2 - 薬用植物用栽培装置、及び、栽培方法 - Google Patents
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Description
また、このような屋内栽培が可能となれば、野生薬用植物の乱獲を防ぎ、自生地の自然環境の保全にも貢献できると考えられる。
さらに、適切な出入管理、栽培管理を行うことにより、無農薬栽培や多角栽培が可能となり、薬用植物の国内生産の活性化を推進することが可能である。
地下部組織を薬用部位とする薬用植物が植え付けられて、栽培される栽培容器と、
前記栽培容器の底部に設置され、前記薬用植物の生育を促進する養液を前記薬用植物の成長過程に伴って異なる濃度で貯留可能な養液槽と、を備え、
前記栽培容器は、
当該栽培容器内に前記養液を流入させる底孔部と、
当該栽培容器の底面部全体及び前記養液槽の底面部に敷設され、当該養液槽に貯留される前記養液を毛細管現象により吸収する給水シートと、
前記給水シート上に前記薬用植物を支持するように敷設され、前記給水シートが吸収する前記養液を吸収して保持可能な、通気性を有する殺菌された支持体と、を備える、
ことを特徴とする。
第1の観点に係る薬用植物用栽培装置を用いて、地下部組織を薬用部位とする薬用植物を栽培する栽培方法であって、
前記薬用植物を、温度:15℃〜28℃、湿度:15%〜100%、日照時間:12時間/日〜20時間/日で栽培する、ことを特徴とする。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
また、「植物体」とは、被子植物、裸子植物、シダ植物、もしくは、コケ植物に分類される植物をいい、例えば、当該植物の培養植物体、種子、苗も含まれる。
本発明の実施形態1に係る栽培装置100について、図1を参照して説明する。栽培装置100は、主として根を薬用部位とする薬用植物の栽培に適している。
また、支持体140として直径の長いハイドロボール中粒を利用することにより集積率が低くなるため、支持体140により、植物体160の地下部組織の生育が妨げられることがない。
なお、その他地下部組織を薬用部位とする植物であれば特に限定されるものではない。また、主として地上部(葉、茎、花、蕾、実など)を薬用部位とする植物も使用することが出来る。
本発明の実施形態2に係る栽培装置200について、図2を参照して説明する。栽培装置200は、主として、塊根、根茎、塊茎、及び、りん茎を薬用部位とする薬用植物の栽培に適している。
なお、給水シート230と養液220の液面との接触角は任意であるが、毛細管現象を促進させるために、90度未満であることが望ましい。
実施形態1に係る栽培装置100を用いて、主として根を薬用部位とするウラルカンゾウを栽培した実施例について、以下に説明する。
以下の方法によって得たウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fisher)の培養植物体を材料に養液栽培を行った。シュート培養として継代維持中のウラルカンゾウの2クローン(以下、「Gu」、「GuH」という)のうち、再生植物体の鉢栽培1年生株での生育がより良好で、根及び細根中のグリチルリチン酸がより高含量であったGuを材料に、ストロン(走出枝)様組織の誘導による苗について、6%ショ糖とナフタレン酢酸0.01mg/lとを含むMurashge & Skoogの液体培地、20℃、及び、暗所の条件下、増殖を行った(特開2005-137291参照)。当該苗の増殖後、増殖効率の良い3サブクローン(以下、「Gu2-2-1」、「Gu2-3-2」、「Gu2-5-2」という)を得た。これらのストロン様培養物より、節切片あるいは頂芽切片を調製して、植物体再生培地(ナフタレン酢酸0.1mg/l、カイネチン 0.5mg/l、1%ショ糖、及び、グルタミン 10mg/lを含むWoody Plant液体培地、培養中の支持体としてフロリアライトを使用)、20℃、14時間照明下で培養し、得られた培養植物体を、養液栽培の材料とした。養液栽培の材料であるウラルカンゾウ培養植物体を、栽培装置100に植え付けた。なお、礫片130はミリオンA(ソフトシリカ社製)、支持体140はハイドロボール中粒(都市園芸研究所社製)、支持体150はハイドロボール小粒(都市園芸研究所社製)とした。植え付け直後は、馴化のために苗の地上部をプラカップで覆い、1〜2週間後、プラカップを取り除いた。
養液肥料は、表1に示されるマツザキ1号及び2号(マツザキアグリビジネス社製)を用いた。養液は、説明書により推奨される濃度(水8Lに対し、マツザキ1号6g、マツザキ2号4g)より、マツザキ1号及び2号の量を減らした25%濃度(水8Lに対し、マツザキ1号1.5g、マツザキ2号1g)に調製して使用した。このときの養液槽内の養液の電気伝導度(EC)は1.332 mS/cm、pH 7.39であった。栽培301日後には、養液濃度を説明書が推奨する濃度の50%濃度に変更した。このときの養液槽内の養液の電気伝導度(EC)は1.128 mS/cm、pH 7.54であった。
ウラルカンゾウが植え付けられた栽培装置100は閉鎖温室内に設置され、当該室内の環境条件は、室温20℃、相対湿度60%、補光照明を用いて16時間照明/日とした。栽培195日後では、室温20℃、相対湿度50%、補光照明を用いて14時間照明/日とした。
上径15cm(下径10.5cm)×長さ30.5cmのポリポット(底面穴1個、かど穴4個)の底に鉢底ネットを敷き、調製した培養土[ベラボン(フジック社製):赤玉土:クレハ培養土:堆肥=5:3:1:1]を入れ、ウラルカンゾウ培養植物体(Gu)を植出し、閉鎖温室、室温20℃、相対湿度60%、16時間照明/日(補光照明を使用)で栽培した。以下、本実施例では当該栽培を鉢栽培という。栽培803日後に室温20℃、相対湿度50%、補光照明を用い14時間照明/日とした。液肥としてハイポネックス原液6-10-5(ハイポネックスジャパン社製)1000倍液を週1回散布した。
養液栽培のGu2-2-1及びGu2-3-2は、栽培401日後に収穫し、最大根長、最大根幅を測定後、根、根茎、細根(径1mm以下の根)に分けて新鮮重量を測定した。図3は、Gu2-3-2養液栽培401日後の収穫物(根、細根、根茎)である。また、50℃で数日間温風乾燥後、乾燥重量を測定した。同様に、鉢栽培のGuは、栽培1009日後に収穫し、生育調査及び新鮮重量、乾燥重量の測定を行った。反復数は3個体とした。
次に、Gu鉢栽培1009日後とGu2-2-1及びGu2-3-2養液栽培401日後との地下部(根、細根、根茎)に含まれるグリチルリチン酸を定量した。グリチルリチン酸の定量は、日本薬局方、甘草中のグリチルリチン酸定量法を参考に行った。乾燥後の植物試料を粉末にし、その約100mgを精密に量り取って15ml容のコニカルチューブに入れ、50%エタノール7mlを正確に加え、超音波洗浄機で30分間、ボルテックスミキサーで1分間抽出した。遠心分離(4,500rpm、3分間)後、上清300μLをウルトラフリーMC(日本ミリポア社製)に入れ、15,000rpm、20℃で1分間遠心濾過し、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)分析試料とした。
生薬試験用のグリチルリチン酸標準品(和光純薬工業製)を精密に5mg量りとって20ml容のメスフラスコにいれ、50%エタノールで正確に20mlとすることにより、グリチルリチン酸標準溶液(0.25mg/ml)とした。この標準溶液を50%エタノールで順次2倍に希釈し、検量線作成用標準液とした。
装置は、Waters Alliance PDA HPLC system(セパレーションモジュール:2795、フォトダイオードアレイ検出器:2996)を用い、分析条件は、カラム TSKgel ODS-100V(TOSOH、径4.6mm×250mm、5μm)、移動相 アセトニトリル(溶媒A)-2%酢酸(溶媒B)=2:3、流速:1.0 ml/分、カラム温度 20℃、検出 UV 254 nm(定量)、200-400 nm(定性)とした。
図6は、Gu鉢栽培1009日後とGu2-2-1及びGu2-3-2養液栽培401日後との根のグリチルリチン酸含量及び株あたりの収量を比較した結果である。図7は、Gu鉢栽培1009日後とGu2-2-1及びGu2-3-2養液栽培401日後との細根のグリチルリチン酸含量及び株あたりの収量を比較した結果である。図8は、Gu鉢栽培1009日後とGu2-2-1及びGu2-3-2養液栽培401日後との根茎のグリチルリチン酸含量及び株あたりの収量を比較した結果である。
次に、実施形態1に係る栽培装置100を用いて、主として根及び葉を薬用部位とするベラドンナを栽培した実施例について、以下に説明する。
3%ショ糖、Murashige & Skoog固形培地で継代維持中のベラドンナ(Atropa belladonna L.)の培養植物体を材料に養液栽培を行った。当該ベラドンナ培養植物体を、栽培装置100に植え付けて栽培した。なお、礫片130はミリオンA(ソフトシリカ社製)、支持体140はハイドロボール中粒(都市園芸研究所社製)、支持体150はハイドロボール小粒(都市園芸研究所社製)とした。植え付け直後は、馴化のために苗の地上部をプラカップで覆い、1〜2週間後、プラカップを取り除いた。
ベラドンナ培養植物体が植え付けられた栽培装置100は閉鎖温室内に設置され、当該室内の環境条件は、室温20℃、相対湿度50%、補光照明を用い14時間照明/日とした。養液肥料は、実施例1と同様に、表1に示されるマツザキ1号及び2号(マツザキアグリビジネス社製)を用いた。養液は、植え付け後は推奨濃度の25%濃度として、栽培32日後に推奨濃度の50%濃度に変更した。
素焼きの植木鉢5号に調製した培養土(赤玉土:クレハ培養土:堆肥=3:1:1)を入れ、ベラドンナ培養植物体を植出し、閉鎖温室、室温20℃、相対湿度50%、14時間照明/日(補光照明使用)で栽培した。以下、本実施例では当該栽培を鉢栽培という。液肥としてハイポネックス原液6-10-5(ハイポネックスジャパン社製)1000倍液を週1回散布した。
養液栽培、鉢栽培ともに栽培141日後に地上部の生育調査を行った。また、栽培146日後に葉の収穫、147日後に地下部の収穫を行い、根と細根(径1mm以下)に分離後、それぞれ新鮮重量を測定した。葉、根及び細根は、凍結乾燥後、乾燥重量を測定した。図9は、ベラドンナ養液栽培147日後の収穫物(根及び細根)である。
図11に示すように、栽培147日後の根の生育は、養液栽培の方が優れており、鉢栽培に比べて、最大根長は1.7倍、最大根幅は1.9倍であった。また、図12に示すように、葉、根及び細根の収量(乾燥重量)も養液栽培の方が優れており、鉢栽培に比べて葉は6.5倍、根は10.8倍、細根は4.3倍であった。
次に、146日後または147日後の鉢栽培と養液栽培とから得られたベラドンナの葉及び地下部(根、細根)に含まれるアルカロイドを抽出した。ベラドンナの主要な薬用成分としては、副交感神経遮断作用を示すアトロピン、スコポラミン等のアルカロイドが知られており、主アルカロイドはアトロピンである。また、日本薬局方ではベラドンナの根(ベラドンナコン)が生薬として収載されているが、英国薬局方では葉(ベラドンナヨウ)も生薬として収載されており、葉、根の両方が薬用に供される。
生薬試験用のアトロピン硫酸塩水和物(和光純薬工業製)、生薬試験用のスコポラミン臭化水素酸塩水和物(和光純薬工業製)それぞれ約1mgを精密に量り取り、メタノール1mlを正確に加え溶解した。それぞれ0.5mlを正確に量り取り、良く混和し、アルカロイド標準溶液とした。この標準溶液をメタノールで順次2倍に希釈し、検量線作成用標準液とした。
装置は、Waters Alliance PDA HPLC system(セパレーションモジュール:2795、フォトダイオードアレイ検出器:2996)を用い、分析条件は、カラム TSKgel ODS-100V(TOSOH、径4.6mm×250mm、5μm)、移動相 アセトニトリル(溶媒A)-10mM 1-ヘプタンスルホンサンナトリウム(pH 3.5)(溶媒B)=1:3、流速:1.0 ml/分、カラム温度 40℃、検出 UV 210 nm(定量)、200-400 nm(定性)とした。
図13は、ベラドンナ鉢栽培と養液栽培との146日後の葉のアルカロイド含量または147日後の根及び細根のアルカロイド含量を比較した結果である。図14は、ベラドンナ鉢栽培と養液栽培146日後の葉、または147日後の根及び細根のアルカロイド収量を比較した結果である。
次に、実施形態2に係る栽培装置200を用いて、主として根茎を薬用部位とするセリバオウレンを栽培した実施例について、以下に説明する。
3%ショ糖、10mg/lグルタミン、1mg/lナフタレン酢酸、2mg/lカイネチン含有Woody Plant固形培地(WPGN1K2培地)、20℃、暗所で培養中のセリバオウレン[Coptis japonica Makino var.dissecta(Yatabe)Nakai]不定胚より再生した培養植物体(非形質転換体:CjWT)を材料として養液栽培を行った。また、WPGN1K2培地、20℃、暗所で継代維持中の3’hydroxy-N-methylcoclaurine 4’O-methyltransferase(以下、「4’OMT」という)遺伝子(主薬用成分ベルベリン生合成鍵酵素遺伝子の1種)を導入した不定胚より再生した培養植物体(4’OMT遺伝子導入体:CjHE4’)を材料として養液栽培を行った。
セリバオウレン培養植物体(以下「CjWT」、「CjHE4’」という)は3%ショ糖、10mg/lグルタミン含有Woody Plant固形培地、20℃、14時間照明下で培養し育成したものを用いた。養液栽培の材料であるセリバオウレン培養植物体を、支持体240がココピートである栽培装置200に植え付けた。植え付け直後は、馴化のために苗の地上部をプラカップで覆い、1〜2週間後、プラカップを取り除いた。
セリバオウレンが植え付けられた栽培装置200は閉鎖温室内に設置され、当該室内の環境条件は、室温20℃、相対湿度60%、補光照明を用いて16時間照明/日とした。CjWTについては栽培333日後、CjHE4’については208日後に、環境条件を室温20℃、相対湿度50%、補光照明を用いて14時間照明/日に変更した。
素焼きの植木鉢3号に調製した培養土(赤玉土:クレハ培養土:堆肥=3:1:1)を入れ、セリバオウレン培養植物体(CjWT及びCjHE4’)を植出し、閉鎖温室、室温20℃、相対湿度60%、補光照明を用いて16時間照明/日で栽培した。養液栽培と同様に、CjWTついては栽培333日後、CjHE4’ついては208日後に相対湿度50%、14時間照明/日に環境条件を変更した。液肥としてハイポネックス原液6-10-5(ハイポネックスジャパン社製)1000倍液を週1回散布した。
CjWTでは、栽培579日後に地上部の生育調査を行った。また、CjWTは栽培580日後に、CjHE4’は栽培454日後に植物体の収穫を行い、各部位(葉身、葉柄、茎、根茎、根、果茎、実及び花)に分割し、それぞれ新鮮重量を測定した。葉身、葉柄、茎、根茎及び根は、凍結乾燥後、乾燥重量を測定した。図15は、CjWTの鉢栽培(左)及び養液栽培(右)の栽培580日後の植物体を比較した結果である。図16は、CjHE4’の鉢栽培(左)及び養液栽培(右)の栽培454日後の植物体を比較した結果である。
CjWTの鉢栽培と養液栽培との579日後の地上部(草丈、果茎長、葉数、最大葉身長、最大頂小葉身長、最大側小葉身長、最大葉身幅、最大頂小葉幅、最大側小葉身幅)について、生育の比較を行った。図17は、CjWTの鉢栽培と養液栽培との579日後の地上部の生育を比較した結果である。
次に、鉢栽培と養液栽培とから得られたセリバオウレンの地上部及び地下部に含まれるベルベリンを抽出した。「道衛研所報第44集、1-6、1994」に記載される方法に基づいて、ベルベリンの抽出及び精製を行った。乾燥後の植物試料を粉末にし、その約20mgを精密に量り取って15ml容のコニカルチューブに入れ、メタノール・酢酸混液(99:1)5mlを正確に加え、超音波洗浄機で30分間、ボルテックスミキサーで1分間抽出した。遠心分離(4,500rpm、3分間)後、上清500μLをウルトラフリーMC(日本ミリポア社製)に入れ、15,000rpm、20℃で1分間遠心濾過し、HPLC分析試料とした。
装置は、Waters Alliance PDA HPLC system(セパレーションモジュール:2795、フォトダイオードアレイ検出器:2996)を用い、分析条件は、カラムTSKgel ODS-100V(TOSOH、径4.6mm×250mm、5μm)、移動相、アセトニトリル(溶媒A)-10 mM 1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム(pH 3.5)(溶媒B)、溶媒グラジェント:0-15分 27-29% 溶媒A、15-25分 29-39% 溶媒A、25-31分 39-51% 溶媒A、31-34分 51% 溶媒A;流速:0.8 ml/分;カラム温度:40℃;検出:UV 284 nm(定量)、200-400 nm(定性)とした。
図18は、CjWTの鉢栽培と養液栽培との580日後の植物体各部位、及び、薬用部位である根茎の乾燥重量を比較した結果である。図19は、CjHE4’の鉢栽培と養液栽培との454日後の植物体各部位、及び、薬用部位である根茎の乾燥重量を比較した結果である。
図20は、CjWTの栽培580日後、及び、CjHE4’の栽培454日後の鉢栽培と養液栽培との植物体各部位のベルベリン含量を比較した結果である。図21は、CjWTは栽培580日後、及び、CjHE4’の栽培454日後の鉢栽培と養液栽培との植物体各部位のベルベリン収量を比較した結果である。
図22は、CjWTの栽培580日後、及び、CjHE4’の栽培454日後の鉢栽培と養液栽培との薬用部位である根茎のベルベリン含量を丹波黄連のベルベリン含量の文献値と比較した結果である。図23は、CjWTの栽培580日後、及び、CjHE4’の栽培454日後の鉢栽培と養液栽培との薬用部位である根茎のベルベリン収量を丹波黄連のベルベリン収量の文献値と比較した結果である。図22及び図23において、CjWT及びCjHE4’鉢栽培及び養液栽培時の根茎のベルベリン含量及び収量を、かつての国内最大のオウレン生産地丹波地方で生産された生薬「黄連(基原:セリバオウレン、一般に丹波黄連とよばれる)」の文献値(薬用植物栽培と品質評価 Part1、厚生省薬務局監修、薬事日報社参照)と比較した。
次に、実施形態2に係る栽培装置200を用いて、主として根茎を薬用部位とするセリバオウレンを栽培した実施例について、以下に説明する。
実施例3と同様の不定胚より再生した培養植物体(非形質転換体:CjWT及び4’OMT遺伝子導入体:CjHE4’)を材料として養液栽培を行った。図26は、本実施例において行ったCjWT及びCjHE4’の養液栽培を示す図である。図26に示すように、本実施例では、養液栽培の材料であるセリバオウレン培養植物体を、支持体240がパミスサンドである栽培装置200に植え付けた。植え付け直後は、馴化のために苗の地上部をプラカップで覆い、1〜2週間後、プラカップを取り除いた。
セリバオウレンが植え付けられた栽培装置200は、閉鎖温室内に設置され、当該室内の環境条件は、室温20℃、相対湿度50%、補光照明を用いて14時間照明/日とした。
CjWT及びCjHE4’について、養液栽培162日後に地上部(草丈、果茎長、葉数、最大葉身長、最大頂小葉身長、最大側小葉身長、最大葉身幅、最大頂小葉身幅、最大側小葉身幅)の生育調査を行った。図27は、CjWT及びCjHE4’の養液栽培162日後の地上部の生育結果を示す図である。
CjWT及びCjHE4’について、養液栽培189日後に植物体の収穫を行い、各部位(葉身、葉柄、茎、根茎、根)に分割し、それぞれ新鮮重量を測定した。各部位について、凍結乾燥後、乾燥重量を測定した。図28は、CjWT及びCjHE4’の養液栽培189日の植物体各部位、及び、薬用部位である根茎の乾燥重量の結果である。
次に、CjWT及びCjHE4’の養液栽培から得られたセリバオウレンの地上部及び地下部に含まれるベルベリンを抽出した。ベルベリンの抽出及び精製方法は、実施例3と同様である。
図29は、CjWT及びCjHE4の養液栽培189日後の植物体各部位のベルベリン含量の結果である。図30は、CjWT及びCjHE4の養液栽培189日後の植物体各部位のベルベリン収量の結果である。
図31は、CjWT及びCjHE4’の薬用部位である根茎のベルベリン含量、及び、ベルベリン収量の結果である。図31においては、かつての国内最大のオウレン生産地丹波地方で生産された生薬「黄連(基原:セリバオウレン、一般に丹波黄連とよばれる)」の文献値(薬用植物栽培と品質評価 Part1、厚生省薬務局監修、薬事日報社参照)とも比較した。
110 栽培容器
111 底面穴
112 かど穴
120 シート
130 礫片
140、150 支持体
160 植物体
170 養液槽
180 養液
200 栽培装置
210 栽培容器
211 養液槽
220 養液
230 給水シート
240 支持体
250 植物体
Claims (2)
- 地下部組織を薬用部位とする薬用植物が植え付けられて、栽培される栽培容器と、
前記栽培容器の底部に設置され、前記薬用植物の生育を促進する養液を前記薬用植物の成長過程に伴って異なる濃度で貯留可能な養液槽と、を備え、
前記栽培容器は、
当該栽培容器内に前記養液を流入させる底孔部と、
当該栽培容器の底面部全体及び前記養液槽の底面部に敷設され、当該養液槽に貯留される前記養液を毛細管現象により吸収する給水シートと、
前記給水シート上に前記薬用植物を支持するように敷設され、前記給水シートが吸収する前記養液を吸収して保持可能な、通気性を有する殺菌された支持体と、を備える、
ことを特徴とする薬用植物用栽培装置。 - 請求項1に記載の薬用植物用栽培装置を用いて、地下部組織を薬用部位とする薬用植物を栽培する栽培方法であって、
前記薬用植物を、温度:15℃〜28℃、湿度:15%〜100%、日照時間:12時間/日〜20時間/日で栽培する、
ことを特徴とする栽培方法。
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