JP5928026B2 - センサーチップおよびその製造方法並びに検出装置 - Google Patents

センサーチップおよびその製造方法並びに検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、励起光に共鳴振動する自由電子を有する材料から形成される金属ナノ粒子を備えるセンサーチップおよびその製造方法、並びに、そうしたセンサーチップを利用した検出装置等に関する。
金属ナノ粒子を利用するセンサーチップは一般に知られる。金属ナノ粒子は励起光に共鳴振動する。金属ナノ粒子では局在表面プラズモン共鳴が引き起こされる。増強電場が形成される。金属ナノ粒子の表面で近接場光が生成される。こうした近接場光は表面増強ラマン散乱を誘引する。こうしてセンサーチップはラマンスペクトルの検出に利用されることができる。また、特許文献1に示されるように、平坦な面に金属ナノ微粒子を付着させたセンサー基板を用いて、局在表面プラズモン現象を提供する技術が知られている。
特開2000−356587号公報
Hsing−Ying Lin外,「Shape−dependent effect of surface−enhanced Raman scattering on gold nanostructured arrays」,Proc.SPIE 7577,757704,2010年 宮崎健創,「超短パルス高強度レーザーによる超高速励起とダイナミクス計測−配向分子からの高次高調波発生と表面のナノ構造形成−」,J.Vac.Soc.Jpn.,2010年,Vol.53,No.6,p.379−386
非特許文献1に記載されるように、金属ナノ粒子の形状に異方性が与えられると、増強電場は強化されることができる。しかしながら、こうした金属ナノ粒子の成形は容易ではない。例えば成形にあたって集束イオンビームや電子ビームが用いられると、金属ナノ粒子は個々に描画されなければならず、センサーチップの製造に途方もない時間がかかってしまう。
本発明の少なくとも1つの態様によれば、金属ナノ粒子の増強電場をさらに強化することができるセンサーチップは提供されることができる。そうしたセンサーチップの製造時間の短縮に寄与するセンサー基板の製造方法は提供されることができる。
(1)本発明の一態様は、基体と、前記基体の表面に形成されて、ピッチPで縞柄の凸筋を配置するダイヤモンドライクカーボン膜と、前記凸筋上に配置され、励起光に共鳴振動する自由電子を有する材料を含む金属ナノ粒子群とを備え、前記ピッチPと、前記励起光の波長λと、前記金属ナノ粒子群に属する金属ナノ粒子の最大粒径dと、の間には「d<P<λ」の関係が成立するセンサーチップに関する。
励起光の働きで金属ナノ粒子では局在表面プラズモン共鳴が引き起こされる。増強電場が形成される。金属ナノ粒子の表面で近接場光が生成される。こうした近接場光は表面増強ラマン散乱を誘引する。こうしてセンサーチップはラマンスペクトルの検出に利用されることができる。ここで、金属ナノ粒子は所定のピッチPで縞柄に配置されることから、入射光に直線偏光が用いられると、増強電場は強化されることができる。
(2)センサーチップでは、前記凸筋同士の間の間隔に対応して、前記金属ナノ粒子群の間隙が形成されることができる。こうして凸筋同士の間は金属ナノ粒子の形成から除外される。その結果、凸筋同士の間に金属ナノ粒子が形成される場合に比べて、増強電場は強められることができる。
(3)センサーチップは検出装置に組み込まれて利用されることができる。検出装置は、例えば、センサーチップと、前記センサーチップに向かって前記励起光を出力する光源と、前記励起光の照射に応じて前記金属ナノ粒子群から放射される光を検出する受光素子とを備えることができる。
(4)検出装置では、前記励起光は前記凸筋の縞柄の方向に平行な直線偏光を有することが望まれる。特に、こうした直線偏光の採用によれば、増強電場は強化されることができる。
(5)本発明の他の態様は、基体上で広がるダイヤモンドライクカーボン膜に低フルーエンスで超短パルスレーザー光を照射し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に特定のピッチPで縞柄の凸筋を形成する工程と、前記凸筋上に、励起光に共鳴振動する自由電子を有する材料を含む金属ナノ粒子群を形成する工程とを備えるセンサー基板の製造方法に関する。
超短パルスレーザー光の照射によれば、集光スポット内でダイヤモンドライクカーボン膜の表面には微細な畝のナノ周期構造が形成されることができる。比較的に大きな集光スポットが形成され、集光スポットの大きさは加工範囲を規定することから、集束イオンビームや電子ビームの描画に比べて広範囲で一度に特定ピッチPで凸筋は縞柄に形成されることができる。その結果、センサー基板の製造時間は短縮されることができる。
(6)センサー基板の製造方法では、斜め蒸着または斜めスパッタリングを用いて前記金属ナノ粒子群を形成することができる。金属原子はダイヤモンドライクカーボン膜の表面に対して小さな傾斜角で進入することができる。凸筋同士の間では金属原子の進入は回避されることができる。その結果、金属ナノ粒子群同士の間には凸筋同士の間の間隔に対応して間隙が形成されることができる。凸筋同士の間で金属ナノ粒子の形成は排除されることができる。
第1実施形態に係るセンサーチップの構造を概略的に示す拡大部分斜視図である。 センサーチップの製造にあたって基板の構造を概略的に示す斜視図である。 図2に対応し、センサーチップの製造にあたってダイヤモンドライクカーボン膜に照射される超短パルスレーザー光を概略的に示す斜視図である。 微細な畝のナノ周期構造を概略的に示す基板の拡大部分斜視図である。 図4に対応し、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成される金属ナノ粒子を概略的に示す拡大部分斜視図である。 アデニン分子のSERS(表面増強ラマン散乱)スペクトルを示すグラフである。 第2実施形態に係るセンサーチップの構造を概略的に示す拡大部分斜視図である。 斜め蒸着を示す概念図である。 標的分子検出装置の構成を概略的に示す概念図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)第1実施形態に係るセンサーチップの構造
図1は第1実施形態に係るセンサーチップの構造を概略的に示す拡大部分斜視図である。センサーチップ11は基体12を備える。基体12は例えばガラス基板から形成されることができる。
基体12の表面にはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜13が形成される。ダイヤモンドライクカーボン膜13は基体12の表面に一面に広がる。ダイヤモンドライクカーボン膜13の膜厚は例えば1μm程度以下に設定されればよい。ダイヤモンドライクカーボン膜13の表面には縞柄の凹凸が形成される。この凹凸に基づき複数筋の畝様の凸筋14が確立される。凸筋14は特定のピッチPで配列される。凸筋14同士の間には間隔すなわち凹筋15が形成される。
ダイヤモンドライクカーボン膜13の表面には金属ナノ粒子16が配置される。金属ナノ粒子16はダイヤモンドライクカーボン膜13の表面に一面に形成される。すなわち、金属ナノ粒子16は凸筋14および凹筋15のいずれにも配置される。凸筋14上で金属ナノ粒子16は金属ナノ粒子群17を形成する。個々の金属ナノ粒子16は、励起光に共鳴振動する自由電子を有する材料から形成される。こういった材料には例えば銀(Ag)、金(Au)、その他の金属材料が用いられることができる。このとき、ピッチPと、励起光の波長λと、金属ナノ粒子の最大粒径dとの間には「d<P<λ」の関係が成立する。
励起光の波長λを可視域とすると、例えばピッチPは10〜500nmの範囲で設定されることができる。特に、励起光の波長λよりもピッチPが短いほど、増強電場の増強効果は促進されることから、ピッチPは50〜200nmの範囲で設定されることが望まれる。
最大粒径dが10nm未満では散乱よりも吸収が支配的となることから、例えば金属ナノ粒子の最大粒径dは10〜200nmの範囲で設定されることができる。特に、ピッチPの設定値と作製の容易さとから、最大粒径dは30〜120nmに設定されることが望まれる。
センサーチップ11に照射光が照射されると、照射光の働きで金属ナノ粒子群17の金属ナノ粒子16では局在表面プラズモン共鳴(LSPR)が引き起こされる。隣接する金属ナノ粒子16同士の間で増強電場が形成される。金属ナノ粒子16の表面で近接場光が生成される。ここで、金属ナノ粒子群17は所定のピッチPで縞柄に配置されることから、照射光に直線偏光が用いられると、増強電場は強化されることができる。
(2)センサーチップの製造方法
次にセンサーチップ11の製造方法を詳述する。図2に示されるように、基板21は用意される。基板21は基体22およびダイヤモンドライクカーボン膜23を備える。ダイヤモンドライクカーボン膜23は基体22の表面に一面に広がる。基体22は例えばガラスで形成される。
図3に示されるように、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面には超短パルスレーザー光24が照射される。超短パルスレーザー光24の照射にあたって例えばフェムト秒パルスレーザー装置が用いられる。超短パルスレーザー光24のエネルギー密度は低フルーエンスの範囲に設定される。例えば、フェムト秒パルスレーザー装置では、800nmの波長、100フェムト秒のパルス幅、および、10Hzの繰り返し周波数といった照射条件が設定されることができる。フルーエンスは例えば150mJ/cmに設定されることができる。このようにエネルギー密度は比較的に低く設定されることから、集光にあたって例えば500mm程度の焦点距離を有する低開口数(NA)レンズまたは放物鏡が用いられることができる。集光スポットは比較的に大きく200μm程度に設定されることができる。照射される超短パルスレーザー光は直線偏光を設定する。
ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面には超短パルスレーザー光24が照射されると、図4に示されるように、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に微細な畝のナノ周期構造25が形成される。縞柄に特定のピッチPで凸筋14が確立される。個々の凸筋14は直線偏光に直交する方向に延びる。凸筋14のピッチPは150mJ/cmのフルーエンスで100nm程度が実現されることができる。900mJ/cmのフルーエンスでは400nm程度のピッチPで凸筋14は形成されることができる。267nmの波長を有する紫外超短パルスレーザー光が用いられると、30nm程度のピッチPで凸筋14は形成されることができる。ダイヤモンドライクカーボン膜23に代えて例えば窒化物系セラミックス(TiN)膜が用いられても、微細な畝のナノ周期構造25は形成されることができる。
続いて、図5に示されるように、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に金属ナノ粒子16が形成される。金属ナノ粒子16の形成にあたって蒸着やスパッタリングが用いられることができる。金属原子26はダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に付着する。金属ナノ粒子16の材料には銀や金が用いられることができる。例えば抵抗加熱蒸着法で銀がダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に0.5nm/秒以下の蒸着レートおよび10nm以下の蒸着量で真空蒸着されると、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に銀ナノ粒子が形成されることができる。ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面で金の薄膜にアニーリングが実施されると、金原子の凝集に応じて金ナノ粒子が形成されることができる。その他、標的物質に応じて適宜に金属材料は選択されることができる。例えば銅(Cu)にはアセトン分子は吸着しやすい。
こうして凸筋14上には金属ナノ粒子群17が形成される。こうしてセンサー基板は製造される。センサー基板から個々のセンサーチップ11は切り出される。例えばセンサーチップ11は3mm角程度のチップに成形されることができる。
低フルーエンスの超短パルスレーザー光24の採用によれば、エネルギー密度は比較的に低く設定されることから、高価な高開口数レンズは必要とされない。しかも、比較的に大きな集光スポットが形成され、集光スポットの大きさは加工範囲を規定することから、集束イオンビームや電子ビームの描画に比べて広範囲で一度に微細な畝のナノ周期構造25は形成されることができる。その結果、センサーチップ11の製造時間は短縮されることができる。
なお、ナノ周期構造25は基板21上の特定部位でのみダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に形成されてもよい。こうした局所的なナノ周期構造25の形成にあたって超短パルスレーザー光24は特定部位にのみ選択的に照射されればよい。こうすることで、基板21上の特定部位にのみ局所的にセンサーチップ11が形成されることができる。また、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面は平面に限られない。ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面は曲面や凹凸面であってもよい。したがって、レンズや回折格子の表面にセンサーチップ11は形成されることができる。
(3)センサーチップの検証
本発明者はセンサーチップ11を製作した。図1に示されるように、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面には微細な畝のナノ周期構造が形成された。凸筋上に銀ナノ粒子が満遍なく配列された。
本発明者は製作されたセンサーチップ11でアデニン分子のSERS(表面増強ラマン散乱)スペクトルを検証した。検証にあたってダイヤモンドライクカーボン膜の表面に励起光が照射された。励起光では直線偏光が確立された。TE偏光とTM偏光とで個別にSERSスペクトルの強度が測定された。その結果、図7に示されるように、直線偏光が凸筋に平行に設定されると、SERSスペクトルの強度は著しく強められることが確認された。検証に際して本発明者は比較例を用意した。この比較例ではダイヤモンドライクカーボン膜の表面は平面に維持された。平面な表面上に等方的に島状の銀ナノ粒子が形成された。検証の結果、凸筋に平行に直線偏光が設定されると、比較例に比べても同様にSERSスペクトルの強度は著しく強められることが確認された。
(4)第2実施形態に係るセンサーチップの構造および製造方法
図7は第2実施形態に係るセンサーチップの構造を概略的に示す拡大部分斜視図である。このセンサーチップ11aでは金属ナノ粒子群17同士の間に間隙が形成される。この間隙は凸筋14同士の間の間隔すなわち凹筋15に対応する。凸筋14同士の間は金属ナノ粒子16の形成から除外される。その結果、凹筋15ではダイヤモンドライクカーボン膜13の表面が一面に広がる。こうした構造によれば、凸筋14同士の間に金属ナノ粒子16が形成される場合に比べて増強電場は強められることができる。その他、センサーチップ11aはセンサーチップ11と同様に構成されることができる。図中、センサーチップ11と均等な構成および構造には同一の参照符号が付され、それらの詳細な説明は割愛される。
センサーチップ11aの製造にあたって、前述と同様に、超短パルスレーザー光24の照射に応じてダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に微細な畝のナノ周期構造25が形成される。その後、図8に示されるように、金属ナノ粒子16の形成にあたって斜め蒸着が実施される。斜め蒸着によれば、金属原子26はダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に対して小さな傾斜角で進入する。ここで、傾斜角は凸筋14の方向に平行な軸線回りで特定されればよい。凸筋14同士の間では金属原子26の進入は回避されることができる。その結果、凸筋14上に金属ナノ粒子群17が形成される。凸筋14同士の間すなわち凹筋15で金属ナノ粒子16の形成は除外されることができる。こうした金属ナノ粒子群17の形成にあたって斜め蒸着に代えて斜めスパッタリングが用いられてもよい。
(5)一実施形態に係る検出装置
図9は一実施形態に係る標的分子検出装置(検出装置)31を概略的に示す。標的分子検出装置31はセンサーユニット32を備える。センサーユニット32には導入通路33と排出通路34とが個別に接続される。導入通路33からセンサーユニット32に気体は導入される。センサーユニット32から排出通路34に気体は排出される。導入通路33の通路入口35にはフィルター36が設置される。フィルター36は例えば気体中の塵埃や水蒸気を除去することができる。排出通路34の通路出口37には吸引ユニット38が設置される。吸引ユニット38は送風ファンで構成される。送風ファンの作動に応じて気体は導入通路33、センサーユニット32および排出通路34を順番に流通する。こうした気体の流通経路内でセンサーユニット32の前後にはシャッター(図示されず)が設置される。シャッターの開閉に応じてセンサーユニット32内に気体は閉じ込められることができる。
標的分子検出装置31はラマン散乱光検出ユニット41を備える。ラマン散乱光検出ユニット41は、センサーユニット32に照射光を照射しラマン散乱光を検出する。ラマン散乱光検出ユニット41には光源42が組み込まれる。光源42にはレーザー光源が用いられることができる。レーザー光源は特定波長(単一波長)で直線偏光のレーザー光を放射することができる。
ラマン散乱光検出ユニット41は受光素子43を備える。受光素子43は例えば光の強度を検出することができる。受光素子43は光の強度に応じて検出電流を出力することができる。したがって、受光素子43から出力される電流の大きさに応じて光の強度は特定されることができる。
光源42とセンサーユニット32との間、および、センサーユニット32と受光素子43との間には光学系44が構築される。光学系44は光源42とセンサーユニット32との間に光路を形成すると同時にセンサーユニット32と受光素子43との間に光路を形成する。光学系44の働きで光源42の光はセンサーユニット32に導かれる。センサーユニット32の反射光は光学系44の働きで受光素子43に導かれる。
光学系44はコリメーターレンズ45、ダイクロイックミラー46、対物レンズ47、集光レンズ48、凹レンズ49、光学フィルター51および分光器52を備える。ダイクロイックミラー46は例えばセンサーユニット32と受光素子43との間に配置される。対物レンズ47はダイクロイックミラー46とセンサーユニット32との間に配置される。対物レンズ47はダイクロイックミラー46から供給される平行光を集光してセンサーユニット32に導く。センサーユニット32の反射光は対物レンズ47で平行光に変換されダイクロイックミラー46を透過する。ダイクロイックミラー46と受光素子43との間には集光レンズ48、凹レンズ49、光学フィルター51および分光器52が配置される。対物レンズ47、集光レンズ48および凹レンズ49の光軸は同軸に合わせ込まれる。集光レンズ48で集光された光は凹レンズ49で再び平行光に変換される。光学フィルター51はレイリー散乱光を除去する。ラマン散乱光は光学フィルター51を通過する。分光器52は例えば特定波長の光を選択的に透過させる。こうして受光素子43では特定波長ごとに光の強度が検出される。分光器52には例えばエタロンが用いられることができる。
光源42の光軸は対物レンズ47および集光レンズ48の光軸に直交する。ダイクロイックミラー46の表面はこれら光軸に45度の角度で交差する。ダイクロイックミラー46と光源42との間にはコリメーターレンズ45が配置される。こうしてコリメーターレンズ45は光源42に向き合わせられる。コリメーターレンズ45の光軸は光源42の光軸に同軸に合わせ込まれる。
標的分子検出装置31は制御ユニット53を備える。制御ユニット53に、光源42、分光器52、受光素子43、吸引ユニット38、その他の機器が接続される。制御ユニット53は、光源42、分光器52および吸引ユニット38の動作を制御するとともに、受光素子43の出力信号を処理する。制御ユニット53には信号コネクター54が接続される。制御ユニット53は信号コネクター54を通じて外部と信号をやりとりすることができる。
標的分子検出装置31は電源ユニット55を備える。電源ユニット55は制御ユニット53に接続される。電源ユニット55は制御ユニット53に動作電力を供給する。制御ユニット53は電源ユニット55から電力の供給を受けて動作することができる。電源ユニット55には例えば1次電池や2次電池が用いられることができる。2次電池は、例えば、充電用の電源コネクター56を有することができる。
制御ユニット53は信号処理制御部を備える。信号処理制御部は例えば中央演算処理装置(CPU)と、RAM(ランダムアクセスメモリー)やROM(リードオンリーメモリー)といった記憶回路で構成されることができる。ROMには例えば処理プログラムやスペクトルデータが格納されることができる。スペクトルデータでは標的分子のラマン散乱光のスペクトルが特定される。CPUは、一時的にRAMに処理プログラムやスペクトルデータを取り込みながら、処理プログラムを実行する。CPUは、スペクトルデータに、分光器および受光素子の働きで特定される光のスペクトルを照らし合わせる。
センサーユニット32はセンサーチップ11(11a)を備える。センサーチップ11(11a)は基板58に向き合わせられる。センサーチップ11(11a)と基板58との間には気体室59が形成される。気体室59は一端で導入通路33に接続され他端で排出通路34に接続される。気体室59内に金属ナノ粒子群17が配置される。光源42から放出される光はコリメーターレンズ45で平行光に変換される。直線偏光の光はダイクロイックミラー46で反射する。反射した光は対物レンズ47で集光されてセンサーユニット32に照射される。このとき、光はセンサーチップ11(11a)の表面に直交する垂直方向に入射することができる。いわゆる垂直入射が確立されることができる。光の偏光面は凸筋14に平行に合わせ込まれる。照射された光の働きで金属ナノ粒子群17では局在表面プラズモン共鳴が引き起こされる。金属ナノ粒子16同士の間で近接場光は強められる。いわゆるホットスポットが形成される。
このとき、ホットスポットで金属ナノ粒子16に標的分子が付着すると、標的分子からレイリー散乱光およびラマン散乱光が生成される。いわゆる表面増強ラマン散乱が実現される。その結果、標的分子の種類に応じたスペクトルで光は対物レンズ47に向かって放出される。
こうしてセンサーユニット32から放出される光は対物レンズ47で平行光に変換されダイクロイックミラー46、集光レンズ48、凹レンズ49および光学フィルター51を通過する。ラマン散乱光は分光器52に入射する。分光器52はラマン散乱光を分光する。こうして特定の波長ごとに受光素子43は光の強度を検出する。光のスペクトルはスペクトルデータに照らし合わせられる。光のスペクトルに応じて標的分子は検出されることができる。こうして標的分子検出装置31は表面増強ラマン散乱に基づき例えばアデノウィルスやライノウィルス、HIVウィルス、インフルエンザウィルスといった標的物質を検出することができる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、センサーチップ11や標的分子検出装置31等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
11 センサーチップ、12 基体、13 ダイヤモンドライクカーボン膜、14 凸筋、16 金属ナノ粒子、17 金属ナノ粒子群、31 検出装置(標的分子検出装置)、42 光源、43 受光素子。

Claims (10)

  1. 基体と、
    前記基体の表面に形成され、ピッチPで配列され一方向に延在する凸部を有するダイヤモンドライクカーボン膜と、
    前記凸部上に配置され、励起光に共鳴振動する自由電子を有する材料を含む金属ナノ粒子群と、を備え、
    前記ピッチPと、前記励起光の波長λと、前記金属ナノ粒子群に属する金属ナノ粒子の最大粒径dと、の間には「d<P<λ」の関係が成立する
    ことを特徴とするセンサーチップ。
  2. 請求項1に記載のセンサーチップにおいて、前記凸部同士の間の間隔に対応して、前記
    金属ナノ粒子群の間隙が形成されることを特徴とするセンサーチップ。
  3. 請求項1、または2に記載のセンサーチップにおいて、
    金属ナノ粒子群は、前記凸部同士の間にも形成されている、センサーチップ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセンサーチップにおいて、
    前記金属ナノ粒子の最大粒径dは、10nm〜200nmである、センサーチップ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセンサーチップにおいて、
    前記ピッチPは、10〜500nmである、センサーチップ。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のセンサーチップにおいて、
    前記材料は、銀または金である、センサーチップ。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセンサーチップと、
    前記センサーチップに向かって前記励起光を出力する光源と、
    前記励起光の照射に応じて前記金属ナノ粒子群から放射される光を検出する受光素子と、を備えることを特徴とする検出装置。
  8. 請求項7に記載の検出装置において、前記励起光は前記凸部が延在する方向に平行な直線偏光を有することを特徴とする検出装置。
  9. 基体上で広がるダイヤモンドライクカーボン膜に低フルーエンスで超短パルスレーザー光を照射し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に特定のピッチPで一方向に延在する凸部を形成する工程と、
    前記凸部上に、励起光に共鳴振動する自由電子を有する材料を含む金属ナノ粒子群を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするセンサー基板の製造方法。
  10. 請求項9に記載のセンサー基板の製造方法において、斜め蒸着または斜めスパッタリングを用いて前記金属ナノ粒子群を形成することを特徴とするセンサー基板の製造方法。
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