JP5927807B2 - 石炭及び/又は鉄鉱石スラリーの改質方法 - Google Patents
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Description
このような採掘現場、搬送手段、処理施設、使用施設等では、鉄鉱石等に雨が降ること;保管や清掃等のときに、鉄鉱石等に散水や放水すること;石炭及び/又は鉄鉱石を水浸させること等がある。よって、採掘現場、処理施設、使用施設(特に製鉄所等)等で、鉄鉱石等は水と接触することが多い。
ところが、これらスラリーは、流動性が高く様々な作業や処理が行いにくい。例えば、これを屋外に貯留・保管するにしても、流動性が高いので、高く山積みすることが難しく、また、搬送するのも容易ではない。
このため、石炭や鉄鉱石のスラリーの再利用や処分を行うための改質方法が提案されている。例えば、コンクリートや土砂等でピットを設けてこの中で石炭や鉄鉱石のスラリーを天日乾燥させて脱水する方法;フィルタープレスの脱水装置を利用して脱水する方法;ピットを特定の多孔質体で形成し、その中に石炭や鉄鉱石のスラリーを入れてこのスラリー中の微粉原料等を多孔質体に吸着させる固液分離にて微粉原料等をする方法(特許文献1)が知られている。
〔1〕 石炭及び/又は鉄鉱石スラリーに、水溶性高分子化合物を添加し、混合することを特徴とする石炭及び/又は鉄鉱石スラリーの改質方法。
〔2〕前記水溶性高分子化合物が、アニオン性W/O型エマルジョンポリマーであることを特徴とする前記〔1〕項記載の改質方法。
〔3〕 前記水溶性高分子化合物の添加し、混合した後に、更に無機金属塩を添加することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕記載の改質方法。
〔4〕 前記無機金属塩が、アルミニウム塩である前記〔3〕記載の改質方法。
〔6〕 前記水溶性高分子化合物の添加し、混合した後に、更に無機金属塩を添加することを特徴とする前記〔5〕項記載の製造方法。
〔7〕 水溶性高分子化合物を含有する石炭及び/又は鉄鉱石スラリー改質剤。
例えば、屋外ヤードに野積みされた原料への降雨や粉塵目的の散水等にて、石炭や鉄鉱石、コークス、スラグ等の原料が流出し、排水溝に堆積したもの;原料を搬送するベルトコンベアを洗浄する水を貯留するピットや生産ラインから流出した原料を雨水等によって流れ込ませる沈殿池(ポンド)に堆積したもの;湿式集塵プラントからの回収した堆積物やヤードでの堆積物;屋外ヤードに野積みされた原料をベルトコンベアで搬送する際に粉塵防止目的で散水されて水を含んだもの;乾式集塵プラントからの回収物に水が流されてスラリー化したもの;運搬手段、処理施設、貯蔵管理場所等で管理保管の目的で散水されて水を含んだもの;船内で貯蔵保管目的で水浸させたウェット状態なもの;搬送手段等を水で洗浄し、回収したもの等が挙げられる。
微細な石炭や鉄鉱石等の原料がスラリーとなり易いが、この原料の大きさとして、例えば粒径(最大長径)5mm以下のものが挙げられる。
前記合成水溶性高分子化合物は、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーの1種又は2種以上を構成成分とする単独重合体又は共重合体が好適である。
前記アニオン性基(アニオン性モノマー)としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸(モノマー);スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸(モノマー)等が例示される。
また、前記ノニオン性基(ノニオン性モノマー)としては、例えば、アクリルアミド(モノマー)やメタクリルアミド(モノマー)等が例示される。
前記アクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸単重合物、アクリルアミド単独重合物、アクリル酸/アクリルアミド共重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、アクリル酸/アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。このうち、アクリル酸/アクリルアミド共重合物、アクリルアミド単独重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物が、高分子量であるので、好ましい。
前記アクリルアミド系又はアクリル酸系ポリマーの平均分子量は、好ましくは1,000,000〜10,000,000、より好ましくは5,000,000〜9,000,000(固有粘度法)とするのが好適である。
また、アニオン性高分子の場合、前記アクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを生成する際のアクリル酸単位の含有量は、使用する単量体の全合計量(100モル%)に対して、好ましくは5モル%以上、より好ましくは20〜100モル%とするのが好適である。
前記混合(攪拌)を行うことにより、このスラリー中の水分を前記水溶性高分子化合物に含ませつつ、このスラリー中に前記水溶性高分子化合物を分散させる。よって、前記水溶性高分子化合物が、石炭や鉄鉱石の各粒子と架橋し、また水分を拘束する。これにより、流動性が低下した処理物(改質された原料)、すなわち改質物を得ることが可能となる。
前記混合に使用する攪拌機又は混練機については、特に限定されないが、例えば、バックホウ、ユンボー、スタビライザー、二軸ミキサー等の従来の公知のものを使用すればよい。
また、このとき、処理温度は特に限定されないが、常温(5〜35℃)程度で行うのが、反応性の点から好適である。
及び三価金属塩等が挙げられる。また、例えば、金属塩化物、金属硫酸塩等に分類できる。
前記一価金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類等が挙げられる。また、前記二価金属としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属類及び二価鉄等が挙げられる。また、前記三価金属としては、アルミニウム、三価鉄等の三価金属等が挙げられる。
このうち、二価金属塩及び三価金属塩(塩基性酸化物を除く)から選ばれる1種以上のものが好ましい。
また、前記三価金属塩としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等の酸化金属塩化物や三価金属硫酸塩等が挙げられる。このうち、アルミニウム塩が好ましく、特にPACや硫酸バンドが好ましい。これにより、処理物の流動性が更に低減され、また屋外にて降雨に曝されても周辺に影響の少ない改質物を得ることが可能となる。
これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、このとき、処理温度は特に限定されないが、常温(5〜35℃)程度で行うのが、反応性の点から好適である。
前記石炭及び/又は鉄鉱石、並びにそのスラリーに、本技術の水溶性高分子(好適にはエマルジョン状態)を添加した後に(油分を含むスラリーの場合、好適には添加後放置した後に)、混合・攪拌すると、調湿石炭及び/又は鉄鉱石並びにこのスラリーに含まれる水分を含みながら水溶性高分子物質が、水分の存在下で石炭及び/又は鉄鉱石並びにこのスラリー中に分散する。
この前記石炭及び/又は鉄鉱石スラリー等の前記対象物には、石炭や鉄鉱石を高濃度に含有しているものの、その後、水の存在下で、水溶性高分子化合物と石炭及び/又は鉄鉱石と架橋し、造粒化が可能である。造粒することで、この粒子中に水分を拘束し、スラリーの流動性が抑制されるようになる。しかも、改質された物はスラリーの塑性流動性の改善によって症状の改質がみられるようになる。スラリーになる前の石炭及び/又は鉄鉱石でも、本技術の水溶性高分子(好適にはエマルジョン状態)を水の存在下で使用することにより、これらの改質ができる。よって、改質された鉄鉱石等は、その後水と接触してもスラリー化が抑制されるので、取り扱いが容易である。
更に、本技術の水溶性高分子化合物の他、無機金属塩を添加攪拌することで、造粒物の自立性を促進させることができる。これにより、より安定的な造粒物となる。
そして、本技術の水溶性高分子化合物は、石炭及び/又は鉄鉱石原料の改質剤;このスラリーの改質剤等の改質剤(以下、「改質剤」ともいう)を製造するために使用することが可能である。該改質剤には、必要に応じて、無機金属塩、乳化剤、界面活性剤等の任意成分を配合してもよい。この任意成分は、該改質剤の補助剤として使用することが可能であり、該改質剤と同時に又は別々に使用してもよい。なお、これら各剤は、液体、固体、粉末等の何れの状態でもよい。
ここで、本技術の対象物として、例えば、石炭及び/又は鉄鉱石(以下、「鉄鉱石等」ともいう)、含水の鉄鉱石等、及び鉄鉱石等のスラリー等が挙げられ、スラリーになる前のものでもよい。
そして、本技術の石炭及び/又は鉄鉱石の原料の改質方法、該スラリーの改質方法において、上述の水溶性高分子化合物(更に、無機金属塩)を、そのまま又は水溶液にして前記対象物に使用することが可能である。また、上述の水溶性高分子化合物(更に、無機金属塩)を、改質剤として、対象物に使用することも可能である。例えば、本技術の改質剤は、石炭及び/又は鉄鉱石、またそのスラリーに添加・混合することで、より良好な性状(水抜け、軽さ、造粒形状等)の改質物を得ることが可能である。また、処理方法の一例として、鉄鉱石等を、水溶液状態の本技術の改質剤等で処理してもよいし、含水の鉄鉱石等を、粉体状の本技術の改質剤等で処理してもよい。
なお、「本技術の水溶性高分子化合物及びその水溶液、並びに本技術の水溶性高分子化合物を含有する改質剤」を、「本技術の改質剤等」ともいう。
この改質方法;改質された原料の製造方法の各条件は、上述した石炭及び/又は鉄鉱石スラリー改質方法;改質された原料の製造方法の各条件と同様であればよい。
なお、前記「水の存在下で」とは、上記「石炭及び/又は鉄鉱石スラリーの含水率」と同様の含水率になるように、石炭及び/又は鉄鉱石中に水が存在していればよい。また、上記「石炭及び/又は鉄鉱石スラリー1m3」を、「水の存在下の石炭及び/又は鉄鉱石1m3」に読み替えて行えば良い。
本技術の改質剤等の使用手段として、例えば、前記対象物に本技術の改質剤等を添加(散布等)、攪拌することが可能な装置;混練機を備えた搬送手段において、搬送されている前記対象物に本技術の改質剤等を添加(散布等)し、混練することが可能な装置等が挙げられる。
また、船、貨車、トラック等の搬送手段に混合装置を設け、搬送中に本技術の改質剤等を前記対象物に添加・混合すること等も挙げられる。
また、保管・貯蔵の際に、前記対象物を攪拌(混合)できるような機械や装置にて本技術の改質剤等を添加・混練すること等が挙げられる。
<実験条件>
JIS R 5201によるセメントの物理性状試験を参考に、改質した湿鉱スラリーの耐振動性を評価するため、テーブルフローの落下衝撃回数をJISが定める15回から、50回まで増やして評価した。また、0回のものも評価した。
1)スラリー0.5Lをモルタルミキサー(容量3L)に投入した。このとき使用したスラリーは、表1に示すものを使用した。
スラリーは、製鉄所で得たスラリー状の堆積物であり、(破砕)鉄鉱石を鉄濃度40〜80質量%含むものであり、(破砕)石炭も含まれていた。
ここで、表中の「kg/m3」とは、スラリー1m3に対するアニオン性W/O型エマルジョンポリマーのエマルジョンとしての使用量(kg)である。
また、アクリル酸/アクリルアミド共重合物の固有粘度換算による分子量は、800万であった。また、アクリル酸/アクリルアミド共重合物のアクリル酸単量体のモル%は、35モル%であった。
なお、W/O型エマルジョンポリマー(pH6〜8程度)は、公知の手法(例えば特公昭52−039417号公報、特開昭51−41090号公報参照)にて製造でき、具体的には、鉱物油に界面活性剤(転相剤も含む)及びアクリル酸/アクリルアミドの単量体水溶液を添加し、乳化重合によって得ることが可能である。
3)その後、これに、PACを10質量%含有の無機金属塩水溶液を、表2に示す配合量を添加し、30秒間攪拌した。
ここで、表中の「kg/m3」とは、スラリー1m3に対する無機金属塩水溶液の使用量(kg)である。
4)試料を取り出し、JIS R−5201に準拠して、テーブルフロー値(落下衝撃回数:0回)を計測した。
5)テーブルを落下衝撃後のテーブルフロー値を計測した。
実験2−5のように、水溶性高分子化合物の添加量の増加に伴い、落下衝撃0回(n=0)のフロー値が小さくなり、スラリーの流動性が低下、すなわち改善されていくことが認められた。
また、実験2−5は、実験1(無処理:現状処理)と比較し、フロー値は著しく改善されたことが認められた。
実験6にて、落下衝撃50回(n=50)のときのテーブルフロー値が110mmを下回った。落下衝撃50回後のテーブルフロー値が110mm以下になると、スラリーだったものが、十分に改質されて、団粒状の形態となり、形態も安定的に維持できることが認められた。
製鉄所で得た表3の石炭スラリーを使用し、各測定値は、上述の試験例1に準じて、表4に示す添加量(試験例1と同様のアニオン性W/O型エマルジョンポリマー及び無機金属塩水溶液を使用)にてスラリーの処理を行った。
実験7−12のように、水溶性高分子化合物の添加量の増加に伴い、落下衝撃0回(n=0)のフロー値が小さくなり、スラリー状の流動性が低下、すなわち改善されていくことが認められた。
また、実験8−12は、実験7(無処理:現状処理)と比較し、フロー値は著しく改善されたことが認められた。
実験12にて、落下衝撃0(n=0)及び50回(n=50)のときのテーブルフロー値が110mmを下回った。落下衝撃50回後のテーブルフロー値が110mm以下になると、スラリーだったものが、十分に改質されて、団粒状の形態となり、形態も安定的に維持できることが認められた。
スラリーは、試験例2(表2)の石炭スラリーを使用した。このとき、試験例1の<実験条件>に準じて、表4に示す添加量(試験例1と同様のアニオン性W/O型エマルジョンポリマー及び無機金属塩水溶液を使用)にて、実験11として、スラリーの処理を行った。
スラリーを、無処理及び改質処理した後、室温(25℃)で放置し、乾燥状態を比較した。
実験13及び14のように、改質された物の含水率の低下速度が、無処理のスラリーに比較し、速いことが認められた。すなわち、スラリーを薬剤添加にて改質処理することによって、乾燥促進効果が認められた。
製鉄所で得た表6の鉄鉱石スラリーを使用し、上述の試験例1に準じて、表7に示す添加量及びエマルジョンポリマー添加後、混合するまでの放置時間にてスラリーの処理を行った。
試験例4の結果を表7に示す。表7に示すよう、油分(n−ヘキサン抽出物)を多量に含有するスラリーでは、エマルジョンポリマー添加後に放置した後に混合することで改質するまでの混合時間を短縮することができる。
なお、このスラリーにn−ヘキサンを添加し、混合して、n−ヘキサンにてスラリーに含まれる油分を抽出し、この抽出量をスラリー中の油分量として表6に示した。
しかも、水溶性高分子化合物を混練した後、更に無機金属塩を混練することによって、より良好な造粒物とすることが可能であることが確認できた。
このように、水溶性高分子化合物を使用するか、又は水溶性高分子化合物及び無機金属塩を併用すれば、スラリー状のものから、良好な造粒物とすることができることが確認できた。そして、油分を含有するスラリーでは、水溶性高分子化合物を添加し、放置させた後に混合すると、放置させずに混合する場合と比較して、改質するまでの混合時間が短くなることが確認された。
Claims (8)
- 石炭及び/又は鉄鉱石スラリーに、W/O型エマルジョン状のアクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを添加し、混合することを特徴とする、石炭及び/又は鉄鉱石スラリーの造粒方法。
- 前記石炭及び/又は鉄鉱石スラリーの含水率が、20〜70質量%である、請求項1記載の造流方法。
- 前記W/O型エマルジョン状のアクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーが、アニオン性であることを特徴とする請求項1又は2記載の造粒方法。
- 前記W/O型エマルジョン状のアクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを添加し、混合した後に、更に無機金属塩を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の造粒方法。
- 前記無機金属塩が、アルミニウム塩である請求項4記載の造粒方法。
- 石炭及び/又は鉄鉱石スラリーに、W/O型エマルジョン状のアクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを添加し、混合することを特徴とする、造粒化された石炭及び/又は鉄鉱石の再利用原料の製造方法。
- 前記W/O型エマルジョン状のアクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを添加し、混合した後に、更に無機金属塩を添加することを特徴とする請求項6記載の製造方法。
- W/O型エマルジョン状のアクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを含有する石炭及び/又は鉄鉱石スラリー用の造粒剤。
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