JP5927325B1 - バブルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、均一なサイズのバブル(マイクロバブルまたはナノバブル)を安定的に製造することができるバブルの製造方法を提供することにある。また、別の目的は、均一なサイズのバブルの製造方法に用いられるバブル製造用容器を提供することにある。【解決手段】本発明のバブルの製造方法は、対象物質を含む溶液を、容器の所定の高さまで注入する工程と、容器内を1.0atmより大きい圧力にした状態で、溶液が容器の内面に繰り返し衝突するように、5000rpm以上の回転数で容器を振動させる工程とを有することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、マイクロバブルまたはナノバブルの製造方法、およびそのマイクロバブルまたはナノバブルの製造方法に用いられるバブル製造用容器に関する。特に、超音波診断および超音波治療に用いるマイクロバブルまたはナノバブルの製造方法、および、そのマイクロバブルまたはナノバブルの製造方法に用いられるバブル製造用容器に関する。
近年、医療、食品、魚介類の養殖、排水処理等の様々な分野において、ミクロンサイズ(数百ミクロン以下)、または、ナノサイズ(数百ナノメートル以下)のバブルの利用が検討されている。特に、医療分野では、マイクロバブルを超音波造影剤として用いて、胸部や腹部を超音波診断する方法が知られている。
この超音波診断方法は、超音波造影剤を静脈等から体内へ注入し、診断部位に超音波照射を行って、超音波造影剤からの反射波(反射エコー)を画像化して診断する方法である。そして、超音波造影剤としては、タンパク質や脂質等から構成された外郭と、外郭内に封入されたガスとからなる微小な気泡(マイクロバブル)が広く用いられている。
また、近年では、このマイクロバブルを用いた超音波治療方法が検討されている(例えば、特許文献1)。より具体的には、遺伝子や薬剤(薬物)を封入したマイクロバブルを体内へ注入し、これを血管を通して患部に運ぶ。そして、マイクロバブルが患部付近に到達した際に、超音波をマイクロバブルに照射して、マイクロバブルを破裂させる。そうすることにより、マイクロバブルに封入された薬物を患部に集中的に投与することができる。
このようなマイクロバブルの製造方法として、過飽和バブル発生法、気液2相流旋回法が知られている。過飽和バブル発生法は、マイクロバブルの構成材料と生理食塩水とを含む混合液中に気体を高圧下で溶解させた後、減圧することにより混合液中にマイクロバブルを生成させる方法である。また、気液2相流旋回法は、上記混合液を高速で攪拌することにより、混合液の渦流を発生させて、渦流の中に十分に気体を巻き込んだ後、この渦流を止めることにより混合液中にマイクロバブルを生成させる方法である。
上記のマイクロバブルの製造方法では、マイクロバブルを生成するために、最低でも1〜10Lの混合液を用意する必要があった。また、少量の混合液(例えば、数mlの混合液)で安定的にマイクロバブルを生成することが困難であった。また、生成するマイクロバブルのサイズにバラつきがあるという問題点があった。
特開2002−209896号公報
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、均一なサイズのバブル(マイクロバブルまたはナノバブル)を安定的に製造することができるバブルの製造方法を提供することにある。また、別の目的は、均一なサイズのバブルの製造方法に用いられるバブル製造用容器を提供することにある。
このような目的は以下の(1)〜(18)の本発明により達成される。
(1) 対象物質を含む溶液を、容器の所定の高さまで注入する工程と、
前記容器内を1.0atmより大きい圧力にした状態で、前記溶液が前記容器の内面に繰り返し衝突するように、5000rpm以上の回転数で前記容器を振動させる工程とを有していることを特徴とするバブルの製造方法。
(2) 前記容器を振動させる工程は、前記溶液を前記容器の内面に衝突させることにより衝撃波を発生させる工程を含む上記(1)に記載のバブルの製造方法。
(3) 前記衝撃波の圧力は、40kPa〜1GPaである上記(2)に記載のバブルの製造方法。
(4) 前記容器を振動させる工程は、前記容器を往復運動および/または回転運動によって振動させるように行われる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(5) 前記容器を振動させる工程は、前記容器を、該容器の、水平方向および/または鉛直方向への往復運動および/または回転運動によって振動させるように行われる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(6) 前記容器を振動させる工程は、前記溶液を前記容器の内面に衝突させる際における前記容器と前記溶液との瞬間相対速度が40km/h以上となるように前記容器を振動させるように行われる上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(7) 前記容器を振動させる工程は、前記圧力を1.5〜10atmにした状態で行われる上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(8) 前記所定の高さは、前記溶液が注入された前記容器を水平に静置した状態において、前記容器の高さをX(mm)とし、前記容器における前記溶液の液面の高さをY(mm)としたとき、0.2≦Y/X≦0.7の関係を満足する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(9) 前記容器を振動させる工程後、前記容器内の前記圧力を変化させた後に、5000rpm以上の回転数で前記容器を再振動させる工程をさらに有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(10) 前記容器を再振動させる工程は、前記圧力を、前記容器を振動させる工程における前記圧力よりも1〜10atm高くなるように行われる上記(9)に記載のバブルの製造方法。
(11) 前記容器を再振動させる工程は、前記容器を振動させる工程における前記回転数と異なる回転数で行われる上記(9)または(10)に記載のバブルの製造方法。
(12) 前記溶液を前記容器に注入する工程と、前記容器を振動させる工程とは、前記溶液の温度を一定に維持するようにして行われる上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(13) 前記対象物質は、バブルの外郭を構成する外郭材料を含む上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(14) 前記外郭材料は、タンパク質、ポリカチオン性脂質、リン脂質、高級脂肪酸、糖類、ステロール類、界面活性剤、天然および合成高分子のうちの少なくとも1種を含む両親媒性材料である上記(13)に記載のバブルの製造方法。
(15) 前記外郭は、前記両親媒性材料の分子の単層で構成されるミセル、または前記両親媒性材料の分子の二重層で構成されるリポソームで構成されている上記(14)に記載のバブルの製造方法。
(16) 前記対象物質は、薬物を含む上記(1)ないし(15)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(17) 前記バブルの平均粒径は、10nm〜1000μmである上記(1)ないし(16)のいずれかに記載のバブルの製造方法。
(18) 上記(1)ないし(17)のいずれかに記載のバブルの製造方法に用いられるバブル製造用容器。
本発明によれば、容器内を加圧した状態で、容器を振動させるだけで、溶液中に均一なサイズのバブルを多量に安定的に生成することができる。その結果、均一なサイズのバブルを多量に含有する容器を提供することができる。
本発明のバブルの製造方法により製造されるバブルの一部を切断した状態を示す斜視図である。図1(a)は、外郭内にガスが封入されたバブルの一部を切断した状態を示しており、図1(b)および図1(c)は、外郭内にガスおよび薬物が封入されたバブルの一部を切断した状態を示す。 本発明のバブルの製造方法の第1実施形態を説明するためのフローチャートである。 図3(a)〜(d)は、本発明のバブルの製造方法の第1実施形態を説明するための断面図である。 図3(c)に示す容器を振動させる工程において、混合液と容器の内面(上面)とが激しく衝突した状態を説明するための部分拡大図である。 本発明のバブルの製造方法の第3実施形態を説明するためのフローチャートである。 本発明のバブルの製造方法の第4実施形態に用いられる製造容器の蓋付近を示す部分断面図である。 図7(a)〜(f)は、本発明のバブルの製造方法の第5実施形態に用いられる容器の他の構成を模式的に示す断面図である。 図8(a)〜(c)は、本発明のバブルの製造方法の第6実施形態を説明するための斜視図である。 図8(a)に示すミニナートバルブのゴム栓付近の構成(ハンドルは省略)を説明するための図である。図9(a)は、ミニナートバルブのゴム栓付近の上面図であり、図9(b)は、図9(a)のX−X線断面図である。 図8(c)に示すバブル含有容器の断面図である。 本発明のバブルの製造方法の第7実施形態に用いられる製造容器を説明するための斜視図である。 本発明のバブルの製造方法の第8実施形態に用いられる製造容器を説明するための断面図である。 本発明のバブルの製造方法の第9実施形態に用いられる製造容器を説明するための断面図である。図13(a)は、分解した状態の製造容器を示しており、図13(b)は、組立てた状態の製造容器を示している。 本発明のバブルの製造方法の第10実施形態に用いられる製造容器を説明するための断面図である。図14(a)は、分解した状態の製造容器を示しており、図14(b)は、組立てた状態の製造容器を示している。 図14(b)に示す製造容器の蓋に形成される開口部の位置を説明するための図である。図15(a)は、注射器の注射針をゴム栓に穿刺する前の状態を説明するための図であり、図15(b)は、注射針をゴム栓から抜いた後に締付部を底板部に締め付けた状態を説明するための図である。 図16(a)は、5000rpmおよび6500rpmの回転数でバブルを製造した時のバブルの粒度分布を示すグラフである。図16(b)は、図16(a)に示すグラフにおいて、横軸が0〜700nmの範囲である部分拡大図である。 図17(a)は、密閉バイアル瓶の回転数とバブルの平均粒径との関係を示すグラフである。図17(b)は、密閉バイアル瓶の回転数とバブルの含有量との関係を示すグラフである。 図18(a)は、密閉バイアル瓶内に封入されるガスの容量とバブルの平均粒径との関係を示すグラフである。図18(b)は、密閉バイアル瓶内に封入されるガスの容量とバブルの含有量との関係を示すグラフである。 37℃において48時間培養させた脳血管周皮細胞培地の蛍光顕微鏡画像である。図19(a)は、照射強度:0.6W/cmで超音波照射したサンプルの画像であり、図19(b)は、照射強度:0.8W/cmで超音波照射したサンプルの画像である。 37℃において48時間培養させた脳血管周皮細胞培地の蛍光顕微鏡画像である。図20(a)は、照射強度:0.9W/cmで超音波照射したサンプルの画像であり、図20(b)は、照射強度:1.0W/cmで超音波照射したサンプルの画像である。
以下、本発明のバブルの製造方法およびバブル製造用容器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。
まず、本発明のバブルの製造方法およびバブル製造用容器の説明に先立って、本発明のバブルの製造方法により製造されるバブルについて説明する。
図1は、本発明のバブルの製造方法により製造されるバブルの一部を切断した状態を示す斜視図である。なお、図1(a)は、外郭内にガスが封入されたバブルの一部を切断した状態を示しており、図1(b)および図1(c)は、外郭内にガスおよび薬物が封入されたバブルの一部を切断した状態を示す。
まず、図1(a)に示すバブル1について説明する。
図1(a)に示すバブル1(気泡)は、後述する本発明のバブルの製造方法の第1、3〜10実施形態により製造することができる。このようなバブル1は、バブル1の殻を構成する外郭2(気泡の膜)と、外郭2内に封入されるガス3とを有している。このようなバブル1は、医療、食品、魚介類の養殖、排水処理等の様々な分野に用いることができる。本実施形態では、バブル1を超音波診断における超音波造影剤として用いる場合について説明する。以下、バブル1を構成する各成分を説明する。
外郭2は、その内側に封入されるガス3をバブル1内に保持する機能を有している。
このような外郭2は、1つの分子中に疎水性と親水性との両方の性質(置換基)を有する両親媒性材料(外郭材料)から構成されている。両親媒性材料としては、特に限定されないが、例えば、アルブミンのようなタンパク質、ポリカチオン性脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチダルエタノールアミンのようなリン脂質、パルミチン酸、ステアリン酸のような高級脂肪酸、ガラクトースのような糖類、コレステロール、シトステロールのようなステロール類、界面活性剤、天然または合成高分子、蛍光色素、抗体、標識金属等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、図1には示されていないが、外郭2を構成する両親媒性材料は、水性媒体中において、疎水基が内側に、親水基が外側になるようにして球状に配置される。この性質により、外郭2は、両親媒性材料の分子の単層で構成されるミセルや、両親媒性材料の分子の二重層で構成されるリポソームとなる。
ガス3は、バブル1の外郭2を安定化させる機能を有する。このようなガス3は、バブル1を製造する際の温度(20℃程度)において、気体状の物質である。また、このようなバブル1は、バブル1を体内に注入した状態において、すなわち、体内の温度(37℃程度)においても、気体状の物質である。
このようなガス3としては、特に限定されないが、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトンのような不活性ガス、六フッ化硫黄、十フッ化二硫黄、トリフルオロメチル硫黄ペンタフルオリドのようなフッ化硫黄、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、エチレン、プロピレン、プロパジエン、ブテン、アセチレン、プロピン、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタンのような低分子量炭化水素類またはこれらのハロゲン化物、ジメチルエーテルのようなエーテル類、ケトン類、エステル類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの物質の中でも、特に、六フッ化硫黄、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタンが好ましい。これらのガスが封入されたバブル1は、体内において安定性が高く、血管を通して患部または診断部位までより確実に運搬される。
このような成分で構成されたバブル1の粒径は、本発明のバブルの製造方法の各工程の条件を変更することにより変化する。すなわち、製造されるバブル1は、ミクロンサイズ(数百ミクロン以下)、または、ナノサイズ(数百ナノメートル以下)を有することとなる。
具体的に、バブル1の平均粒径(外郭の平均粒径ともいう)は、特に限定されないが、10nm〜1000μm程度であるのが好ましく、10nm〜10μm程度であるのがより好ましく、50〜2000nm程度であるのがさらに好ましい。バブル1の平均粒径が上記範囲内であれば、バブル1を静脈注射により体内に注入した際に、バブル1の粒径が十分に小さいため、血流によりバブル1が血管内を滑らかに移動することができる。また、このような粒径のバブルは、血管内での安定性が高く、血管内を移動している間に消滅することなく、目的の部位まで確実に運ばれる。
一般的に、気体を内包するバブルは、外郭と気体との界面において効率良く超音波を反射する性質を有している。そのため、バブル1の粒径が上記範囲内であれば、外郭2とガス3との界面の面積が十分に大きいため、バブル1は、超音波造影剤として有効に用いられる。
また、上述したような構成のバブル1は、食品、魚介類の養殖、排水処理等の医療分野以外の分野にも用いることができる。特に、バブル1の平均粒径が上記範囲内であれば、バブル1の安定性を十分に高くすることができる。安定性の高いバブル1は取扱いが容易なため、様々な分野に適用することができる。
次に、図1(b)および図1(c)に示すバブル1について説明する。
図1(b)および図1(c)に示すバブル1は、後述する本発明のバブルの製造方法の第2、3〜10実施形態により製造することができる。このようなバブル1は、バブル1の殻を構成する外郭2と、外郭2内に封入されるガス3および薬物4を有している。このようなバブル1は、超音波治療および超音波診断に用いられる。なお、図1(b)では、薬物4が気体状態あるいは固体状態で外郭2内に封入されているバブル1を示しており、図1(c)では、薬物4が液体状態で外郭2内に封入されているバブル1を示している。
外郭2は、その内側に封入されるガス3や薬物4をバブル1内に保持する機能を有し、バブル1が患部に運ばれるまで薬物4を保護する機能を有している。外郭2を構成する材料としては、前述した図1(a)に示すバブル1の外郭2と同様の材料を用いることができる。
ガス3は、バブル1の外郭2を安定化させる機能を有する。ガス3としては、前述した図1(a)に示すバブル1のガス3と同様の物質を用いることができる。
また、図1(b)および図1(c)に示すバブル1において、薬物4は、前立腺癌、子宮筋腫、心筋梗塞、脳梗塞等の様々な疾病の治療に有効な成分である。このような薬物4は、バブル1に包含された状態で患部に運搬され、超音波照射により患部付近でバブル1を破裂させることにより、患部に投与される。なお、薬物4は、ガス3とともに外郭2内に封入されているか、または、外郭2自体に含有または吸着されている。
このような薬物4としては、疾病の治療に有効であれば特に限定されないが、遺伝子、薬剤等を含む。具体的には、ペプチド、抗体、オリゴ糖、多糖、遺伝子、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム、トリプルヘリックス分子、ウイルスベクター、プラスミド、低分子有機化合物、抗癌剤、金属等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
バブル1が薬物4を含む場合には、薬物4の含有量は特に限定されない。ただし、薬物4とガス3との体積比率は、1:99〜90:10程度であるのが好ましく、10:90〜70:30程度であるのがより好ましく、40:60〜60:40程度であるのがさらに好ましい。薬物4とガス3との体積比率が上記範囲内であれば、バブル1の安定性が向上し、患部付近までより確実にバブル1を運搬することができる。また、患部付近でバブル1を破裂させた際に、患部に対して、十分な量の薬物を投与することができる。そのため、患部をより効率良く治療することができる。
なお、バブル1に包含させる薬物4の種類や含有量は、疾病の種類、患部の大きさ等に応じて適宜決定される。
このような成分で構成されたバブル1の粒径は、図1(a)に示すバブル1と同様に、本発明のバブルの製造方法の各工程の条件を変更することにより変化する。
特に、バブル1の平均粒径が200〜300nmであれば、癌治療に好適に用いることができる。具体的には、癌細胞がある患部には、その周囲の血管から癌細胞へと伸びる、通常の血管よりも直径が小さい新生血管が存在する。バブル1の平均粒径が上記範囲内であれば、バブル1を、直径が小さい新生血管内にも運搬することができる。したがって、新生血管を通して癌細胞にまで直接バブル1を運搬することができる。また、バブル1の平均粒径が上記範囲内であれば、一部のバブル1を、血管壁を通過させて、癌細胞に直接運搬することができる。また、バブル1の平均粒径が600〜900nmであれば、バブル1は、脳の血管内をスムーズに移動することができるとともに、超音波画像を撮った際に、バブル1の位置を確実に特定することができる。そのため、脳治療(例えば、脳血管内治療等)に好適に用いることができる。
なお、図1(a)〜(c)に示すバブル1の平均粒径は、例えば、レーザー回折・散乱法、ナノ粒子トラッキング解析法、電気抵抗法、AFM(Atomic Force Microscope)、レーザー顕微鏡による観測等により測定することができる。また、AFMを測定する装置としては、例えば、Malvern社製の共振式粒子計測システム(商品名:アルキメデス)を用いることができる。
上述したようなバブル1は、以下に記載する本発明のバブルの製造方法により製造することができる。以下、本発明のバブルの製造方法について、詳細に説明する。
<第1実施形態>
1.バブルの製造方法
次に、本発明のバブルの製造方法の第1実施形態について説明する。前述した図1(a)に示すバブル1は、本実施形態のバブルの製造方法により、製造することができる。
図2は、本発明のバブルの製造方法の第1実施形態を説明するためのフローチャートであり、図3(a)〜(d)は、本発明のバブルの製造方法の第1実施形態を説明するための断面図であり、図4は、図3(c)に示す容器を振動させる工程において、混合液と容器の内面(上面)とが激しく衝突した状態を説明するための部分拡大図である。
なお、以下の説明では、図3(a)〜(d)および図4中の上側を「上」と言い、図3(a)〜(d)および図4中の下側を「下」と言う。
本実施形態のバブルの製造方法は、図2に示すように、工程(S1)〜工程(S5)の5つの工程を有する。工程(S1)は、対象物質(前述した外郭2を構成する外郭材料)を含む溶液(混合液)、および混合液を注入するためのバブル製造用容器(以下、単に「製造容器」という)を準備する工程である。工程(S2)は、この混合液を製造容器の所定の高さまで注入する工程である。工程(S3)は、製造容器内にガスを充填して、製造容器内を加圧した状態で製造容器を密閉する工程である。工程(S4)は、混合液が容器の内面に繰り返し衝突するように、所定の回転数で製造容器を振動させる工程である。工程(S5)は、製造容器を静置する工程である。以下、これらの工程について順次説明する。
[S1] 準備工程
まず、バブル1の外郭2を構成する材料(外郭材料)および水性媒体を混合液調製容器(以下、単に「調製容器」という)に入れて、外郭材料を水性媒体に溶解させて、混合液10を調製する。すなわち、調製容器内に外郭材料および水性媒体を所定量加えた後、攪拌して、外郭材料を水性媒体に溶解させる。外郭材料、水性媒体を調製容器に入れる順番は、特に限定されない。外郭材料を水性媒体に溶解させる方法としては、例えば、攪拌子による攪拌、超音波処理等を用いることができる。
外郭材料としては、前述した両親媒性材料が使用される。
混合液10中における外郭材料の含有量は、工程(S4)において、混合液10中にバブル1が形成されるのであれば特に限定されない。外郭材料の好ましい含有量は、外郭材料および水性媒体の各種類の組み合わせによって変わるが、外郭材料は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で混合液10に含まれているのが好ましい。具体的には、混合液10に含まれる外郭材料の含有量は、0.01〜50wt%であるのが好ましく、0.1〜20wt%であるのがより好ましい。
これにより、混合液10中の外郭材料の濃度が、より確実に臨界ミセル濃度以上となるので、混合液10中に外郭2(リポソーム、ミセル)を確実に形成することができる。そのため、後述する工程(S4)において、リポソームやミセル内にガス3が簡単に取り込まれ、所望の粒径のバブル1を混合液10中に容易に生成させることができる。また、外郭2の安定性が高くなり、バブル1が不本意に破裂するのをより確実に防止することができる。さらに、生成されるバブル1の大きさのバラつきを小さくすることができる。すなわち、均一なサイズのバブル1を生成することができる。
水性媒体としては、特に限定されないが、例えば、水(蒸留水)、生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水)、ショ糖と蒸留水とを混合したショ糖溶液等を用いることができる。
調製される混合液10に含まれる水性媒体の含有量は、50〜99.99wt%であるのが好ましく、80〜99.0wt%であるのがより好ましい。これにより、外郭材料を水性媒体に十分に溶解させることができ、より均一な混合液10を得ることができる。
次に、製造容器20(本実施形態のバブル製造用容器)を準備する。
製造容器20は、混合液10を収容する容器本体21と、容器本体21を密閉するための蓋22とを有している。
容器本体21は、特に限定されないが、図3(a)に示すような外形が円筒状をなしていることが好ましい。本実施形態では、容器本体21として、容量が0.5〜20ml程度のバイアル瓶を用いる。本発明のバブルの製造方法では、容器本体21として、このような容量の小さなバイアル瓶を用いた場合であっても、容器本体21を蓋22で密閉した際に、容器本体21内の密閉空間で適切な圧力が混合液10に付与されるので、均一なサイズのバブルを安定的に得ることができる。特に、容量が0.5〜1.5ml程度のバイアル瓶であれば、1つの製造容器20内に、1回の超音波診断に必要となる0.3〜0.6ml程度のバブル含有混合液を製造することができる。この場合、超音波診断の際に、1つの製造容器20内のバブル含有混合液を使い切ることができるため、製造されるバブル含有混合液の無駄をなくすことができる。
このように容量の小さいバイアル瓶(容量:0.5〜20ml程度)は、その高さXが、35〜60mm程度であり、外径Rが、10〜40mm程度である。
蓋22は、図3(b)〜(d)に示すように、容器本体21の瓶口に密着する円盤状のゴム栓(セプタム)221と、ゴム栓221を容器本体21の瓶口に固定する締付部222とを備えている。
ゴム栓221は、特に限定されないが、例えば、シリコン製のゴム栓を用いることができる。
締付部222は、ゴム栓221の縁部を覆うように構成されている。また、締付部222の瓶口側の内周面および容器本体21の瓶口側の外周面には、互いに螺合可能に形成されるネジ溝が、それぞれ形成されており(図示せず)、これらを螺合させることにより、ゴム栓221が容器本体21の瓶口と密着した状態で固定される。また、締付部222を容器本体21の瓶口にかしめることで、ゴム栓221が容器本体21の瓶口と密着した状態で、容器本体21と締付部222とを固定することもできる。
なお、調製容器と製造容器20とは、異なる容器でも同じ容器でもかまわない。
調製容器と製造容器20とが異なる容器である場合には、例えば、調製容器としては、比較的容量の大きい容器を用い、一方、製造容器20(容器本体21)としては、比較的容量の小さい容器を用いることができる。この場合、調製容器内に均一な組成の混合液10を多量に調製して、この混合液10を複数の製造容器20に小分けすることにより、各製造容器20内で生成されるバブルのサイズ(粒径)、量を均一にすることができる。
また、調製容器と製造容器20とが同一の容器である場合には、工程(S2)を省略することができる。したがって、プロセスを簡略化できる点で利点がある。
なお、本実施形態では、調製容器として、製造容器20と異なる容器を用いる。
[S2]混合液を製造容器に注入する工程
調製された混合液10を容器本体21(製造容器20)の所定の高さまで注入する。本実施形態では、図3(a)に示すように、Y[mm]まで注入する。したがって、図3(a)に示すように、混合液10が注入された状態の容器本体21は、その上部に空隙部11を有する。
本実施形態では、混合液10が注入された容器本体21(製造容器20)を水平に静置した状態において、容器本体21の高さをX[mm]とし、容器本体21における混合液10の液面の高さをY[mm]としたとき、0.2≦Y/X≦0.7の関係を満足するのが好ましい。上記関係を満足することにより、十分な大きさの空隙部11が存在するので、工程(S4)において、混合液10を製造容器20の上下面および側面(特に、上下面)により勢いよく衝突させることができる。この衝突により、混合液10中に衝撃波が生じ、混合液10中にバブル1を容易に形成することができる。
なお、前記関係は、0.3≦Y/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましく、0.35≦Y/X≦0.4の関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、工程(S4)において、混合液10中にバブルをより容易に形成することができる。
[S3]製造容器を密閉する工程
次に、容器本体21にガス3を充填させて、製造容器20内を加圧した状態で密閉する(図3(b)参照)。具体的には、混合液10が注入された容器本体21の空隙部11を、ガス3でパージした後、蓋22を容器本体21の開口部(瓶口)に挿着する。これにより、製造容器20内に混合液10とガス3とが密閉される。
具体的には、ガス3が充填された注射器を準備する。そして、注射器の注射針をゴム栓221に穿刺する。その後、注射器から製造容器20内にさらにガス3を加える。これにより、製造容器20内が加圧される。その後、蓋22(ゴム栓221)から注射針を抜くことにより、製造容器20内がガス3により加圧された状態で密閉された製造容器20を得ることができる。
ガス3としては、前述した各種ガスが使用される。
本発明のバブルの製造方法では、製造容器20内の圧力(空隙部11に充填されたガス3の圧力)を1.0atmより大きくする。特に、製造容器20内の圧力は、1.5〜10atmであるのが好ましく、2〜5atmであるのがより好ましい。これにより、ガス3の一部が混合液10中に溶解する。
混合液10中にガス3が溶解することにより、工程(S4)において生成されるバブル1中に混合液10中のガス3が取り込まれる。これにより、工程(S4)において、混合液10中にバブル1を多量に生成させることができる。
また、製造容器20中の圧力を1.0atmよりも大きい任意の値に設定することにより、混合液10中に生成するバブル1の粒径および含有量を調整することができる。
[S4]製造容器を振動させる工程
次に、混合液10が、製造容器20の上下面および側面(特に、上下面)に繰り返し衝突するように、製造容器20を振動させる。本実施形態では、図3(c)に示すように、製造容器20が、略その鉛直方向に往復運動するように、製造容器20を振動させる。
本工程では、工程(S3)で密閉した製造容器20(図3(c)の下図)を上方向に振動させる(図3(c)の真中の図)。これにより、混合液10は、製造容器20の中間付近に移動する。更に製造容器20を上方向に振動させると、混合液10が製造容器20の上部に移動して、蓋22の下面(ゴム栓221)に衝突する(図3(c)の上図)。この際に、図4に示すように、衝撃波が発生する。この衝撃波の圧力が、混合液10中の外郭材料をバブル1にする。このバブル1内には、混合液10中に溶けていたガス3、振動により混合液10内に溶解または混合したガス3が含まれる。
一方、製造容器20(図3(c)の上図)を下方向に振動させる(図3(c)の真中の図)。これにより、混合液10は、製造容器20の中間付近に移動する。更に製造容器20を下方向に振動させると、混合液10が製造容器20の下部に移動して、製造容器20の下面に衝突する(図3(c)の下図)。この時も、図4に示すように、衝撃波が発生する。
また、製造容器20を鉛直方向に振動させる際に、混合液10は、製造容器20の内側の側面とも衝突する。この時も、図4に示すように、衝撃波が発生する。
以上の操作を繰り返し行うことによって、混合液10中に均一なサイズのバブル1を多量に安定的に生成させることができる。
本発明のバブルの製造方法では、十分に微細で、均一なサイズのバブル1を得るために、製造容器20を5000rpm以上で振動させる。これにより、混合液10と製造容器20とが衝突する際に発生する衝撃波の大きさ(圧力)が十分に大きくなり、混合液10中に生じるバブル1が微細化され、そのサイズを均一にすることができる。また、製造容器20の回転数を上記範囲内で低めに設定した場合には、発生する衝撃波の大きさが小さくなるので、比較的粒径の大きなバブル1を生成することができる。また、回転数を高めに設定した場合には、発生する衝撃波の大きさが大きくなるので、比較的粒径の小さいバブル1を生成することができる。
製造容器20の回転数は、5000rpm以上であるが、5500rpm以上であるのが好ましく、6000〜20000rpmであるのがより好ましい。製造容器20の回転数を上記範囲内とすることにより、振動により生成したバブル1同士が、衝突により崩壊したり、合体して粗大化するのをより確実に防止することができる。これにより、バブル1の粒径を微細化しつつ、より均一なサイズのバブル1を多量に混合液10中に生成させることができる。
上記のような回転数で製造容器20を振動させることができる装置としては、例えば、ビーズ方式の高速細胞破砕システム(ホモジナイザー)を用いることができる。具体例としては、バーティンテクノロジーズ(bertin Technologies)社製のプレセリーズ(Precellys)等を用いることができる。
また、混合液10と製造容器20とが衝突する際に発生する衝撃波の圧力は、40kPa〜1GPaとなることが好ましい。混合液10と製造容器20との衝突時に発生する衝撃波の圧力が上記範囲内となることにより、混合液10中に生じるバブル1をより微細化し、そのサイズをより均一にすることができる。特に、混合液10と製造容器20との衝突時に発生する衝撃波の圧力が大きくなるほど、より微細なバブル1を生成することができる。
製造容器20を振動させる際に、製造容器20の鉛直方向の振動幅は、0.7X〜1.5X[mm]程度であるのが好ましく、0.8X〜1X[mm]程度であるのがより好ましい。これにより、製造容器20の振動時に、混合液10と製造容器20の下面および蓋22とを確実に衝突させることができ、混合液10と製造容器20の下面および蓋22との衝突回数を十分に多くすることができる。また、このように十分な振動幅で製造容器20を振動させることにより、混合液10が製造容器20内を移動する速度が大きくなる。そのため、混合液10と製造容器20の下面および蓋22との衝突時に発生する衝突波の大きさが十分に大きくなる。結果として、混合液10中に微細なバブル1を多量に生成させることができる。
また、製造容器20を鉛直方向に往復運動させる際に、製造容器20は、その水平方向にも振動させるのが好ましい。これにより、製造容器20の内側の側面にも混合液10が衝突するので、混合液10に振動波をより多く発生させることができる。製造容器20の水平方向への振動幅は、0.3X〜0.8X[mm]程度であるのが好ましく、0.5X〜0.7X[mm]程度であるのがより好ましい。これにより、上述した効果はより顕著となる。
また、本工程では、混合液10を製造容器20の上下面および側面に衝突させる際における製造容器20と製造容器20内の混合液10との瞬間相対速度が40km/h以上となるように製造容器20を振動させることが好ましい。また、かかる瞬間相対速度が50km/h以上となるように製造容器20を振動させることがより好ましい。上記条件を満足することにより、混合液10と製造容器20とが衝突する際に生じる衝撃波の圧力を十分に大きくすることができる。その結果、混合液10中に生じるバブル1をより微細化し、そのサイズをより均一にすることができる。
なお、製造容器20を上記条件で振動させる時間は、10〜120秒程度であるのが好ましく、30〜60秒程度であるのがより好ましい。製造容器20の振動時間を上記範囲内とすることにより、混合液10が製造容器20と衝突する回数が十分に多くなるため、混合液10中に、多量のバブル1を生成させることができる。なお、製造容器20の振動時間を上記範囲内で長く設定することにより、混合液10中に生成されるバブル1の量をより多くすることができる。
なお、混合液10中に生成されるバブル1の粒径は、製造容器20内のガス3の圧力および製造容器20の回転数を前述した範囲内で変更することにより調整することができる。例えば、数ミクロンサイズのマイクロバブルは、製造容器20内の圧力を1.0〜2atmにした状態で、製造容器20を5000〜6000rpmの回転数で振動させることにより得られる。また、数十〜数百ナノメーターサイズのナノバブルは、製造容器20内の圧力を1.2〜4atmにした状態で、製造容器20を6000〜8000rpmの回転数で振動させることにより得られる。
なお、本実施形態では、製造容器20が、ほぼその鉛直方向に往復運動するように、製造容器20を振動させているが、製造容器20を振動させる方法は、これに限定されない。例えば、製造容器20が、その水平方向および/または鉛直方向に回転運動するように、製造容器20を振動させてもよい。この場合であっても、製造容器20内の混合液10は、製造容器20の上下面および側面に繰り返し衝突することにより、衝撃波が発生する。このような振動方法を用いても、混合液10中に、均一なサイズのバブル1を多量に安定的に生成することができる。
[S5]製造容器を静置する工程
上記条件で製造容器20を振動させた後、製造容器20を静置する(図3(d)参照)。これにより、製造容器20内に均一なサイズのバブル1(図1(a)参照)を多量に安定的に製造することができる。また、同時に、均一なサイズのバブル1を多量に含有する製造容器20が得られる。
なお、上述した工程(S2)と、工程(S3)と、工程(S4)とは、混合液10の温度を一定に維持するようにして行われるのが好ましい。これにより、バブルの製造過程で混合液10の特性(粘性等)が安定するため、混合液10中に均一な粒径のバブル1を安定的に生成させることができる。混合液10の温度を一定に維持するための方法としては、例えば、上述した各工程(S2)〜(S4)をグローブボックスや恒温槽内で行う方法が挙げられる。特に、本実施形態では、工程(S4)において、製造容器20を高速で振動させるため、混合液10と製造容器20の内面との衝突により製造容器20が発熱し易い。しかし、恒温槽内で製造容器20を振動させることにより、混合液10の温度が上昇するのを確実に防止することができる。その結果、混合液10中に均一な粒径のバブル1をより安定的に生成させることができる。
以上の工程(S1)〜工程(S5)を経て、平均粒径が10nm〜1000μm程度のバブル1が製造される。
なお、従来のバブルの製造方法では、大掛かりな還流装置や、バブルの製造装置を構成する様々なシステム(チューブ、ノズル、コンプレッサ等)が必要であった。そのため、食品分野や医療分野等に用いられるバブルを製造する際に、清潔で、かつ無菌環境を維持するのが困難であった。これに対して、本発明では、バブルを製造するための製造容器20が十分に小さいため、大掛かりなシステムを必要としない。さらに、本発明では、閉鎖された、清潔で、かつ無菌環境(密閉された製造容器20)においてバブル1を製造することができるため、食品分野や医療分野等に好適に用いることができる。
なお、上記のようにして得られたバブル1は、混合液10中に安定的に存在することができる。そのため、得られたバブル含有容器は、室温にて長期保存することができる。具体的には、6〜24か月間もの期間にわたって保存することができる。また、これだけ長期間保存した後でも、混合液10中でのバブル1の安定性が高いため、再度バブル含有容器を振動させたりする必要なく、使用することが可能である。また、製造容器として、容量が小さい製造容器20を用いることができるので、バブル含有容器の単価を抑えることができる。そのため、上記のようにして得られたバブル含有容器は、医療機関等にとっては、取扱い易いというメリットがある。
2.使用方法
上記のようにして得られたバブル含有容器は、患者の超音波診断に用いられる。
具体的には、まず、注射器の注射針を蓋22のゴム栓221に穿刺する。次に、バブル含有容器内からバブル含有混合液を吸引する。そして、ゴム栓221から注射針を抜き、患者の静脈等から体内に注入する。その後、バブル1は、血流により患部に運ばれる。
超音波診断の際には、バブル1が診断したい部位に到達するタイミングを見計らって、バブル1が破裂しないように調整された周波数・出力の超音波信号をバブル1に送信する。その後、バブル1から反射される信号(反射エコー)を受信して、データ処理することにより、血管の画像を表示する。これにより、超音波診断を行うことができる。
なお、超音波の照射およびバブル1からの反射波を受信するデバイスとしては、公知の超音波探触子を用いることができる。
上記のようにして得られたバブル含有容器は、超音波診断の用途以外にも、様々な分野に適用することができる。例えば、上記のようにして得られたバブル含有容器内のバブル1は、水や食材に対する殺菌効果を有するとともに、食材の鮮度を維持する効果を有する。さらに、バブル1と、水と、油分(疎水性成分)とを含む液体中では、水に対して多量の油分を混合することができる。この効果を利用して、食材中の水分と油分との分離を抑制して調理することも可能である。したがって、得られたバブル含有混合液を食品分野に用いることも可能である。
また、上記の説明では、工程(S1)〜工程(S5)を行うことにより、製造容器20内に均一なサイズのバブル1(図1(a)参照)を多量に安定的に製造することができる。ただし、本実施形態のバブルの製造方法は、これに限定されない。例えば、工程(S5)の後に、工程(S4)および工程(S5)を少なくとも1回以上繰り返し行うようにしてもよい。工程(S4)および工程(S5)を繰り返し行うことにより、均一な粒径のバブル1をより安定的に生成させることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第2実施形態について説明する。前述した図1(b)および図1(c)に示すバブル1は、本実施形態のバブルの製造方法により、製造することができる。
以下、第2実施形態のバブルの製造方法について、前記第1実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
1.バブルの製造方法
本実施形態では、対象物質が、外郭材料と薬物4とを含んでいる。すなわち、本実施形態のバブルの製造方法は、前述した工程(S1)において調整する混合液10が、外郭材料、水性媒体に加え、薬物4を含んでいる以外は、前述した第1実施形態のバブルの製造方法と同様である。
[S1] 準備工程
本実施形態では、バブル1の外郭2を構成する材料(外郭材料)、薬物4および水性媒体を混合液調製容器(以下、単に「調製容器」という)に入れて、外郭材料と薬物4とを水性媒体に溶解させて、混合液10を調製する。すなわち、調製容器内に外郭材料、薬物4および水性媒体を所定量加えた後、攪拌して、外郭材料および薬物4を水性媒体に溶解させる。外郭材料、薬物4、水性媒体を調製容器に入れる順番は、特に限定されない。外郭材料および薬物4を水性媒体に溶解させる方法としては、例えば、攪拌子による攪拌、超音波処理等を用いることができる。
外郭材料および水性媒体の種類および含有量は、前述した第1実施形態と同様である。
薬物4としては、前述した遺伝子、薬剤等が使用される。調製される混合液10に含まれる薬物4の含有量は、0.1〜50wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、製造されるバブル1に十分な量の薬物4を含ませることができる。その結果、患部に対する治療効果がより優れたバブル1を製造することができる。なお、薬物4が、外郭材料の代わりに、外郭2を構成する場合には、混合液10中に外郭材料を含まないでもよい。
このようにして調整された混合液10を用いて、前述した第1実施形態と同様に、工程(S2)〜工程(S5)を行うことにより、製造容器20内に均一なサイズのバブル1(図1(b)参照)を多量に安定的に製造することができる。また、同時に、均一なサイズのバブル1を多量に含有する製造容器20が得られる。
なお、工程(S4)において、製造容器20を振動させて、混合液10を製造容器20の上下面および側面に衝突させることにより、混合液10中の外郭材料がバブル1となる。このバブル1内には、混合液10中に溶けていたガス3、振動により混合液10内に溶解または混合したガス3、薬物4が含まれる。その結果、生成されるバブル1は、薬物4がガス3とともに外郭2内に封入され、または、外郭2自体に含有または吸着している。
2.使用方法
上記のようにして得られたバブル含有容器は、患者の超音波治療、または超音波診断に用いられる。
具体的には、まず、注射器の注射針を蓋22のゴム栓221に穿刺する。次に、バブル含有容器内からバブル含有混合液を吸引する。そして、ゴム栓221から注射針を抜き、患者の静脈等から体内に注入する。その後、バブル1は、血流により患部に運ばれる。
超音波治療の際には、バブル1が患部付近に到達した際に、超音波を照射してバブル1を破裂させる。これより、バブル1内の薬物4を患部に集中的に投与することができる。
また、このようなバブル含有混合液は、超音波治療と超音波診断とを組み合わせて行う際にも有効である。具体的には、血管内のバブル1に対して、バブル1が破裂しないような周波数・強度の超音波を照射して、その反射波をモニタリングする。これにより、バブル1の位置を正確に把握することができる。バブル1が目的の患部付近に到達したときに、超音波によりバブルを破裂させる。これにより、患部に対して、より正確に薬物を投与することができる。
なお、ガス3として、前述した水性媒体に溶解性の高い成分(例えば、二酸化炭素等)を用いる場合には、バブル1を製造してから所定の時間経過すると、外郭2内のガス3が、水性媒体中に溶け出す。その後、外郭2内のガス3が完全に水性媒体中に溶け出すと、外郭2内に薬物4のみが封入された状態となる。すなわち、このような場合には、バブル1は、外郭2内に薬物4のみが封入されるリポソームまたはミセルとなる。このようにして得られたリポソームまたはミセルを薬剤として用いることもできる。
なお、超音波治療の際に、体内に注入したバブル1を破裂させるための超音波の出力は、0.1〜30W/cm程度であるのが好ましく、0.5〜10W/cm程度であるのがより好ましい。超音波の出力を上記範囲内とすることにより、より確実にバブル1を破裂させることができるとともに、患部周辺の正常細胞へのダメージを与えることを確実に防止することができる。また、超音波の出力が上記範囲内である場合、超音波の照射時間は、10〜120秒程度であるのが好ましく、30〜60秒程度であるのがより好ましい。
また、超音波治療の際に照射する超音波の周波数は、100kHz〜10MHz程度であるのが好ましく、700kHz〜1MHz程度であるのがより好ましい。照射する超音波の周波数を上記範囲内とすることにより、より低い超音波出力でバブルを破裂させることができる。
かかる第2実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第3実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第3実施形態について説明する。
図5は、本発明のバブルの製造方法の第3実施形態を説明するためのフローチャートである。
以下、第3実施形態のバブルの製造方法について、前記第1および第2実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、図5に示すように、前述した第1実施形態の工程(S1)〜工程(S5)の後に、工程(S6)、工程(S7)を有している。工程(S6)は、製造容器内の圧力を変化させる工程である。工程(S7)は、製造容器を振動させる回転数を設定する工程である。
本実施形態のバブルの製造方法は、工程(S7)において、回転数を変化させない場合には(図5中、工程(S7)で「NO」を選択)、さらに、工程(S4’)および工程(S5’)を有している。一方、工程(S7)において、回転数を変化させる場合には(図5中、工程(S7)で「YES」を選択)、さらに、工程(S8)および工程(S9)を有している。さらに、本実施形態のバブルの製造方法は、製造容器内の圧力を変化させる工程(S10)を有している。以下、工程(S6)以降の各工程について順次説明する。
なお、本実施形態では、対象物質が、第1実施形態のように外郭材料のみであってもよいし、第2実施形態のように外郭材料と薬物4とを含んでいてもよい。
[S6]製造容器内の圧力を変化させる工程
前述した第1実施形態の工程(S5)後のバブル含有容器(製造容器20)内の圧力を変化させる。
(1)製造容器内の圧力を工程(S3)における圧力より高くする場合
製造容器20内を、前述した工程(S3)と同様にして加圧する。なお、注入するガス3は、工程(S3)で用いたガス3と同じでも、異なっていてもよいが、最終的に生成されるバブルの安定性の観点から、同一のガス3を用いるのが好ましい。
このような製造容器20では、製造容器20内が工程(S3)における製造容器20内の圧力よりもさらに加圧さているため、混合液10中に溶解するガス3の量が、工程(S3)での混合液10に溶解したガス3の量よりも多くなる。そのため、後述する工程(S4’)または工程(S8)において製造容器20を再振動させる際に、生成されるバブル1中に混合液10中のガス3が取り込まれ易くなり、その結果、バブル1の生成量が多くなる。また、工程(S4)で生成されるバブル1に加えられる圧力よりも大きい圧力が混合液10に加えられる。これにより、生成過程のバブル1がより大きな圧力で圧縮されるため、バブル1の粒径が小さくなりやすい。そのため、工程(S4)において生成されるバブル1よりも、より小さい粒径のバブル1を生成させることができる。
この場合、製造容器20内の圧力は、工程(S3)における圧力よりも、0.5atm以上高くするのが好ましく、1〜10atm高くするのがより好ましい。これにより、前述した工程(S4)において生成されるバブル1の粒径よりも小さい粒径のバブル1をより確実に生成させることができる。
(2)製造容器内の圧力を1.0atmよりも大きくしつつ、工程(S3)における圧力より低くする場合
まず、空の注射器を準備する。次に、注射器の注射針でゴム栓221を穿刺して、注射器に製造容器20内のガス3を吸引する。これにより、製造容器20内が減圧される。その後、ゴム栓221から注射針を抜くことにより、製造容器20内の圧力を低くすることができる。
このような製造容器20では、後述する工程(S4’)または工程(S8)において製造容器20を再振動させた際に、混合液10に加えられる圧力は、工程(S4)で生成される混合液10に加えられる圧力よりも小さい。これにより、生成過程のバブル1を圧縮する程度が小さくなり、バブル1の粒径が大きくなりやすい。そのため、工程(S4)において生成されるバブル1よりも、より大きい粒径のバブル1を生成させることができる。
この場合、製造容器20内の圧力は、1.0atmより大きく、工程(S3)における圧力よりも低い圧力までの範囲内で適宜調整される。
[S7]製造容器を振動させる回転数の設定工程
上記のようにして製造容器20内の圧力を変化させた後、容器を再振動させる際の回転数を設定する。
容器を再振動させる際の回転数は、前述した工程(S4)と同様に、5000rpm以上に設定される。
工程(S7)において、容器を再振動させる際の回転数を工程(S4)における回転数から変えない場合、すなわち、図5中の工程(S7)で「NO」を選択した場合、以下の工程(S4’)を行う。
一方、工程(S7)において、容器を再振動させる際の回転数を工程(S4)における回転数から変える場合、すなわち、図5中の工程(S7)で「YES」を選択した場合、以下の工程(S8)を行う。
[S4’]製造容器を再振動させる工程
上記のようにして、圧力を変化させた製造容器20を、前述した工程(S4)と同じ回転数で再振動させる。これにより、工程(S4)において生成されるバブル1とは異なる粒径のバブル1が混合液10中に生成される。
本工程では、工程(S4)と同じ回転数で製造容器20を再振動させるため、本実施形態で新たに生成するバブル1の粒径は、工程(S6)において変化させた圧力に応じて変化する。すなわち、圧力を変化させることによって、バブル1の粒径を調整することができるため、所望の異なる粒径(平均粒径)を有するバブル1を再現性良く製造することができる。また、製造容器20を振動させる装置の設定を変更する必要がないため、より簡易的に異なる粒径を有するバブル1を製造することができる。
[S5’]製造容器を静置する工程
上記条件で製造容器20を振動させた後、工程(S5)と同様にして製造容器20を静置する。これにより、製造容器20内に異なるサイズのバブル1を安定的に多量に製造することができる。また、同時に、このようなバブル1を多量に含有する製造容器20(バブル含有容器)が得られる。
静置後、工程(S10)が行われる。
[S8]製造容器を再振動させる工程
圧力を変化させた製造容器20を、前述した工程(S4)とは異なる回転数で再振動させる。これにより、工程(S4)において生成されるバブル1とは異なる粒径のバブル1が混合液10中に生成される。
(1)製造容器を工程(S4)よりも高い回転数で再振動させる場合
製造容器20を振動させる回転数を、工程(S4)での回転数よりも高くする以外は、前述した工程(S4)と同様にして、製造容器20を再振動させる。
この場合、製造容器20の回転数は、工程(S4)での回転数よりも高くする限り特に限定されないが、6000〜20000rpmであるのが好ましく、7000〜20000rpmであるのがより好ましい。これにより、工程(S4)での回転数よりも大きい回転数で製造容器20を振動させるため、工程(S4)で生成されたバブル1よりも小さい粒径のバブル1を生成させることができる。また、製造容器20の回転数を上記範囲内とすることにより、工程(S4)および本工程で生成したバブル1同士が、衝突により崩壊したり、合体して粗大化するのをより確実に防止することができる。これにより、工程(S4)において生成されたバブル1と、工程(S4)において生成されたバブル1よりも小さい粒径のバブル1とを製造することができる。
(2)製造容器を工程(S4)よりも低い回転数で再振動させる場合
製造容器20を振動させる回転数を、工程(S4)での回転数よりも低くする以外は、前述した工程(S4)と同様にして、製造容器20を再振動させる。
この場合、製造容器20の回転数は、工程(S4)での回転数よりも低くする限り特に限定されないが、5000〜9000rpmであるのが好ましく、5500〜7500rpmであるのがより好ましい。これにより、工程(S4)での回転数よりも低い回転数で製造容器20を振動させるため、工程(S4)で生成されたバブル1よりも大きい粒径のバブル1を生成させることができる。また、製造容器20の回転数を上記範囲内とすることにより、工程(S4)および本工程で生成したバブル1同士が、衝突により崩壊したり、合体して粗大化するのをより確実に防止することができる。これにより、工程(S4)において生成されたバブル1と、工程(S4)において生成されたバブル1よりも大きい粒径のバブル1とを製造することができる。
本工程では、工程(S4)と異なる回転数で製造容器20を再振動させるため、本実施形態で新たに生成するバブル1の粒径は、製造容器20内の圧力の変化および再振動時の回転数によって変化する。このように、製造容器20内の圧力および再振動時の回転数のいずれも変化させることにより、前述した第1実施形態で得られる粒径とは大きく異なる粒径のバブル1を製造することができる。したがって、平均粒径が大きく異なるバブル1を製造する際には、本工程は有利である。
[S9]製造容器を静置する工程
工程(S8)で製造容器20を振動させた後、工程(S5)と同様にして製造容器20を静置する。これにより、製造容器20内に異なるサイズのバブル1を安定的に製造することができる。また、同時に、このようなバブル1を多量に含有する製造容器20(バブル含有容器)が得られる。
静置後、工程(S10)が行われる。
[S10]製造容器内の圧力を再度変化させる工程
製造容器20内の圧力を変化させない場合、すなわち、図5中の工程(S10)で「NO」を選択した場合、本実施形態のバブルの製造方法は終了する。これにより、平均粒径が10nm〜1000μmの範囲で、それぞれ異なる平均粒径を有する第1のバブル1と、第2のバブル1とが製造される。
一方、製造容器20内の圧力を変化させる場合、すなわち、図5中の工程(S10)で「YES」を選択した場合、工程(S7)が行われる。その後、上述した工程(S4’)、(S5’)および(S10)、または工程(S8)、(S9)および(S10)が繰り返し行われる。これにより、平均粒径が10nm〜1000μmの範囲で、互いに異なる複数の平均粒径を有するバブル1を製造することができる。
なお、工程(S10)において、繰り返し圧力を変化させる場合には、圧力を変化させる回数に応じた数の互いに異なる複数の平均粒径を有するバブル1を製造することができる。
以上のようにして得られたバブル含有容器は、混合液10中に異なる粒径を有するバブル1を含む。サイズの違いによりバブル1の血管内の通過のし易さ、また、運搬される部位も変わってくる(例えば、バブル1のサイズが小さいほど、毛細血管の先端まで運搬できる。)ため、上記のようにして得られたバブル含有混合液は、超音波治療の目的に合わせて多面的に用いることが可能である。
かかる第3実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1および第2実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第4実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第4実施形態について説明する。
図6は、本発明のバブルの製造方法の第4実施形態に用いられる製造容器の蓋付近を示す部分断面図である。
なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」と言い、図6中の下側を「下」と言う。
以下、第4実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第3実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、製造容器20の蓋22の構成が異なる以外は、前述した第1〜第3実施形態のバブルの製造方法と同様である。
図6に示す蓋22は、前述したゴム栓221、締付部222に加え、ゴム栓221の下面に設けられた底板部223を備えている。
底板部223は、ゴム栓221よりも小径の円盤状をなす部材である。また、底板部223は、平面視において、その略中心に注射器の注射針が挿通する開口部224が形成されている。なお、開口部224のサイズは特に限定されない。ただし、開口部224が、締付部222から露出するゴム栓221と同じサイズである場合には、工程(S3)において注射針をゴム栓221の締付部222から露出する領域のどこにでも穿刺することができる。また、図6に示すように、開口部224が、注射針が挿通可能なサイズであってもよい。この場合、ゴム栓221の上面には、開口部224に対応する位置にマークを付して(図示せず)、このマークを目印として注射針をゴム栓221に穿刺すればよい。
このような底板部223の構成材料としては、例えば、各種セラミック材料、各種金属材料が挙げられるが、ガラス以上の密度(2000kg/m以上)を有する材料が好ましい。このような材料としては、鋳鉄(密度:7000〜7700kg/m程度)、クロムニッケル鋼18/8(密度:7900kg/m程度)、V2A鋼(密度:7900kg/m程度)等のステンレス鋼、アルミニウム(密度:2700kg/m程度)、ジェラルミン(密度:2700kg/m程度)、鉛(密度:11340kg/m程度)、鉄(密度:7870kg/m程度)、銅(密度:8900kg/m程度)、真鍮(密度:8250〜8500kg/m程度)、ニッケル(密度:8350kg/m程度)、鋳鉄(密度:7000〜7700kg/m程度)、亜鉛(密度:7130kg/m程度)、すず(密度:7280kg/m程度)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの材料の中でも、比重が高く、混合液10の構成成分に対する高い耐腐食性を有するという観点から、鉄や、ステンレス鋼等の鉄合金を用いるのが特に好ましい。
このような材料で構成される底板部223は、合成ゴムや樹脂等の比重(密度)の小さい材料を用いて形成される部材よりも、その質量が大きくなる。底板部223の質量を大きくすることにより、工程(S4)において、混合液10が製造容器20の上面(底板部223)に衝突した際に発生する衝撃波の大きさをより大きくすることができる。その結果、混合液10中に微細なバブル1をより容易に、かつ安定的に生成することができる。
かかる蓋22を用いる場合には、工程(S3)において、注射器の注射針が底板部223の開口部224を挿通するようにゴム栓221を穿刺する。そして、上述した本実施形態と同様に、注射器から製造容器20内にさらにガス3を加えることにより、製造容器20内を加圧する。その後、蓋22(ゴム栓221)から注射針を抜くことにより、製造容器20内がガス3により加圧された状態で密閉された製造容器20を得ることができる。
かかる構成の製造容器20(本実施形態のバブル製造用容器)を用いて、前述した第1〜第3実施形態のバブルの製造方法と同様の工程を経て、バブル含有容器を得ることができる。
かかる第4実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第3実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第5実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第5実施形態について説明する。
図7(a)〜(f)は、本発明のバブルの製造方法の第5実施形態に用いられる容器の他の構成を模式的に示す断面図である。
なお、以下の説明では、図7(a)〜(f)中の上側を「上」と言い、図7(a)〜(f)中の下側を「下」と言う。
以下、第5実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第4実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、容器(製造容器)の形状が異なる以外は、前述した第1〜第4実施形態のバブルの製造方法と同様である。
本実施形態では、製造容器20(本実施形態のバブル製造用容器)は、図7(a)〜(d)に示す様々な形状の容器本体21と、各容器本体21の上面の形状に合わせた蓋(図示せず)とを有している。図7(a)〜(d)に示すように、容器本体21の内面は、凹面、凸面および凹凸面のうちの少なくとも1つを含んでいる。
図7(a)に示す容器本体21は、上面および下面が、内側に向かって突出した凸面である容器である。図7(b)に示す製造容器20は、上面および下面が、凹凸面である容器である。図7(c)に示す製造容器20は、上面および下面が、外側に向かって突出した凹面である容器である。図7(d)に示す製造容器は、側面が、製造容器20の内側に向かって湾曲する凸面である容器である。
このような面(凹面、凸面、または凹凸面)は、平坦面に比べて表面積が大きい。そのため、前述した工程(S4)において、混合液10が、製造容器の内面と衝突できる面積が大きくなり、より多くの衝撃波を発生させることができる。また、このような面では、その形状によって、発生する衝撃波の圧力の程度が異なる。これにより、混合液10中に異なる粒径のバブル1を多量に生成させることができる。
また、容器本体21の高さを、図7(e)に示すように、前述した第1〜第4実施形態の容器本体21よりも高くすることができる。このような容器本体21を用いた場合には、工程(S4、S4’およびS8)において製造容器を振動させる際に、混合液10の移動距離が長くなる。そのため、衝突時に発生する衝撃波の大きさを大きくすることができる。これにより、混合液10中に製造されるバブル1のサイズをより小さくすることができる。
一方、容器本体21の高さを、図7(f)に示すように、前述した第1〜第4実施形態の容器本体21よりも低くすることができる。このような容器本体21を用いた場合には、工程(S4、S4’およびS8)において製造容器を振動させる際に、混合液10の移動距離が短くなる。そのため、混合液10が製造容器の内面と衝突する回数を多くすることができるので、混合液10に衝撃波による圧力をより多く付与することができる。これにより、混合液10中により多くのバブル1を製造することができる。
かかる第5実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第4実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第6実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第6実施形態について説明する。
図8(a)〜(c)は、本発明のバブルの製造方法の第6実施形態を説明するための斜視図である。図9は、図8(a)に示すミニナートバルブのゴム栓付近の構成(ハンドルは省略)を説明するための図であり、図9(a)は、ミニナートバルブのゴム栓付近の上面図であり、図9(b)は、図9(a)のX−X線断面図である。図10は、図8(c)に示すバブル含有容器の断面図である。
なお、以下の説明では、図8(a)〜(c)、図9(b)、図10中の上側および図9(a)中の紙面手前側を「上」と言い、図8(a)〜(c)、図9(b)、図10中の下側および図9(a)中の紙面奥側を「下」と言う。また、図8(a)〜(c)中の左側を「左」と言い、図8(a)〜(c)中の右側を「右」と言う。
以下、第6実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第5実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、製造容器の構成が異なる以外は、前述した第1〜第5実施形態のバブルの製造方法と同様である。
[S1] 準備工程
図8(a)に示すような製造容器20(本実施形態のバブル製造用容器)を準備する。
本実施形態では、製造容器20は、前述した第1実施形態の製造容器20と同様に、容器本体21と、蓋22とを有している。この蓋22は、図8(a)に示すように、その上側にミニナートバルブ30と、ゴム栓221とミニナートバルブ30とを連結するチューブ33とを備えている。
ミニナートバルブ30は、貫通孔311を有するバルブ本体31と、貫通孔311に埋設され、厚さ方向(上下方向)に貫通する管路321が形成されたゴム栓32と、管路321の開閉を制御するハンドル34とを有している。
バルブ本体31は、略直方体状をなしており、その長手方向の中央付近に、厚さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔311が形成されている(図9(a)、(b)参照)。また、図9(b)に示すように、バルブ本体31には、その長手方向に貫通する貫通孔312が形成されている。
ゴム栓32は、略円筒状をなしており、例えば、シリコンゴム等で構成されている。このゴム栓32は、バルブ本体31の貫通孔311に挿入され、バルブ本体31に固定(埋設)されている。ゴム栓32の略中心には、注射器40の注射針41が挿入可能に形成された管路321が形成されている。また、ゴム栓32には、管路321と直交し、ゴム栓32の幅方向(左右方向)に貫通する貫通孔322が形成されている(図9(b)参照)。ゴム栓32の貫通孔322とバルブ本体31の貫通孔312とは互いに連通しており、貫通孔322および貫通孔312に、後述するハンドル34のシャフト342が摺動可能に挿入される。
ハンドル34は、バルブ本体31の長手方向(左右方向)の両端側に設けられた一対のノブ341と、各ノブ341と接続し、ゴム栓32の貫通孔322およびバルブ本体31の貫通孔312に摺動可能に挿入されるシャフト342とを有している。このシャフト342には、その一部に、厚さ方向(図8(a)中、上下方向)に貫通する貫通孔343が形成されている。
チューブ33は、特に限定されないが、例えば、シリコン製のチューブで構成されている。チューブ33の上端部は、ゴム栓32の管路321と連通しており、チューブ33の下端部は、ゴム栓221を介して、容器本体21の内部空間(空隙部11)と連通している。言い換えれば、管路321と容器本体21の内部空間とは、チューブ33を介して連通している。
本実施形態の製造容器20では、図8(a)に示すように、左側のノブ341を右側に押して、左側のノブ341とバルブ本体31の左側の端部とを接触した状態とすることにより、平面視(上面視)においてシャフト342の貫通孔343と管路321とが重なる(連通する)。これにより、管路321が開けられ、管路321、チューブ33および容器本体21の内部空間が連通した状態となる(図8(a)、図9(b)参照)。一方、図8(b)に示すように、右側のノブ341を左側に押して、右側のノブ341とバルブ本体31の右側の端部とを接触した状態とすることにより、平面視(上面視)においてシャフト342の貫通孔343の位置と管路321の位置とがずれる。これにより、管路321が閉じられ、製造容器20内は密閉される。
また、本実施形態では、蓋22は、図6に示す蓋22と同様に、ゴム栓221と、締付部222と、底板部223とを備えている(図10参照)。図10に示すように、チューブ33の下端部(ゴム栓221と接続される側の端部)が、底板部223の開口部224に対応する位置に配置されている。そのため、チューブ33は、容器本体21の内部と連通する。
[S3]製造容器を密閉する工程
混合液10が注入された容器本体21の空隙部11を、ガス3でパージした後、蓋22を容器本体21の開口部(瓶口)に挿着する。これにより、製造容器20内に混合液10とガス3とが密閉される。
次に、ガス3が充填された注射器40を準備する。図8(a)に示すように、ハンドル34の左側のノブ341を右側に押圧操作して管路321を開き、管路321とチューブ33とを連通させる。そして、注射器40の注射針41を管路321に挿入し、その後、ミニナートバルブ30およびチューブ33を介して、注射器40から製造容器20内にさらにガス3を加える。これにより、製造容器20内が加圧される。
その後、注射針41を管路321から抜くと同時に、ハンドル34の右側のノブ341を左側に押圧操作して管路321を閉めて、管路321とチューブ33とを非連通状態とする。
次に、チューブ33の一部に熱処理を行い、チューブ33内の空間が閉塞されたシーリング部331を形成する(図8(b)参照)。
その後、チューブ33を、シーリング部331のミニナートバルブ30側(図中、上側)で切断し、製造容器20内がガス3により加圧された状態で密閉された製造容器20を得ることができる(図8(c)参照)。
その後、前述した第1および第2実施形態と同様に、工程(S4)および(S5)を行うことにより、または、第3実施形態と同様に、工程(S4)〜(S10)を行うことにより、製造容器20内に均一なサイズのバブル1を多量に安定的に製造することができる。また、同時に、均一なサイズのバブル1を多量に含有する製造容器(密閉容器)20(バブル含有容器)が得られる。
本実施形態では、工程(S3)において、注射針41を蓋22のゴム栓221に直接穿刺することなく、製造容器20内を加圧することができる。すなわち、本実施形態では、蓋22およびチューブ33(ゴム栓221からシーリング部331までの区間)に貫通孔がないため、製造容器20内の密閉性を向上させることができる。製造容器20内の密閉性が向上することにより、最終的に得られるバブル含有容器では、バブル1が混合液10中により安定的に存在することができる。すなわち、バブル含有容器の長期保存性がより向上する。
かかる第6実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第5実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第7実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第7実施形態について説明する。
図11は、本発明のバブルの製造方法の第7実施形態に用いられる製造容器を説明するための斜視図である。
なお、以下の説明では、図11中の上側を「上」と言い、図11中の下側を「下」と言う。また、図11中の左側を「左」と言い、図11中の右側を「右」と言う。
以下、第7実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第6実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、ミニナートバルブ30が、容器本体21の側面に設けられている点で、前述した第6実施形態のバブルの製造方法と異なる。
本実施形態で用いられる製造容器20は、図11に示すように、前述した第6実施形態のバブルの製造方法で用いた容器本体21と、蓋22と、ミニナートバルブ30と、容器本体21とミニナートバルブ30とを連結するチューブ33とを有している。さらに、本実施形態の製造容器20は、ミニナートバルブ30が、混合液10の液面よりも蓋22側(図中、上側)に設けられている。
チューブ33は、ガラス製のチューブ(管)で構成されており、容器本体21(バイアル瓶)と一体的に形成されている。
図11に示すように、チューブ33の左側の端部は、容器本体21の内部空間(空隙部11)と連通しており、チューブ33の右側の端部は、ゴム栓32の管路321と連通している。したがって、本実施形態においても、管路321と容器本体21の内部空間とは、チューブ33を介して連通している。
かかる構成の製造容器20を用いて、前述した第6実施形態のバブルの製造方法と同様の工程を経て、バブル含有容器を得ることができる。
かかる第7実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第6実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第8実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第8実施形態について説明する。
図12は、本発明のバブルの製造方法の第8実施形態に用いられる製造容器を説明するための断面図である。
なお、以下の説明では、図12中の上側を「上」と言い、図12中の下側を「下」と言う。また、図12中の左側を「左」と言い、図12中の右側を「右」と言う。
以下、第8実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第7実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、製造容器の構成が異なるとともに、工程(S4)において、製造容器を振動させる方向が異なる点で、前述した第1〜第3実施形態のバブルの製造方法と相違する。具体的には、工程(S4)において、図12に示す製造容器20を、ほぼその水平方向に往復運動するように、製造容器20を振動させる。
[S1] 準備工程
図12に示すような製造容器20(本実施形態のバブル製造用容器)を準備する。
本実施形態の製造容器20は、上部に円筒部211を有する容器本体21と、円筒部211の開口を封止するゴム栓23と、容器本体21の両端部に固定される錘部5とを備えている。
容器本体21は、水平方向に長尺な略円筒状をなしている。容器本体21の略中央には、容器本体21の上面から鉛直上方に突出した円筒部211が形成されている。なお、本実施形態の容器本体21は、円筒部211の開口のみが外部に開放している。また、容器本体21の両端側には、ネジ溝212が形成されている。
ゴム栓23は、特に限定されないが、例えば、シリコン製のゴム栓を用いることができる。
錘部5は、円盤状をなす平板部51と、平板部51の縁部から立設する筒状部52とを有しており、その外形が断面視した際に略C字状をなす部材である。筒状部52の内周側には、容器本体21のネジ溝212に螺合可能なネジ溝521が形成されている。錘部5のネジ溝521を容器本体21のネジ溝212に螺合させることにより、平板部51が容器本体21の各端部に密着した状態で錘部5が容器本体21に取り付けられる(固定される)。
このような錘部5は、前述した図6に示す蓋22の底板部223と同様に、セラミック材料、金属材料等の比重の大きい材料で構成されている。そのため、錘部5を容器本体21に取り付けることにより、容器本体21の両端部の質量を大きくすることができる。これにより、工程(S4)において、混合液10が容器本体21の錘部5に固定された部分(特に、両端部)に衝突した際に発生する衝撃波の大きさをより大きくすることができる。その結果、混合液10中に微細なバブル1をより容易に、かつ安定的に生成することができる。
なお、錘部5の構成材料としては、比重が高く、混合液10の構成成分に対する高い耐腐食性を有するという観点から、金属材料の中でも鉄、または、ステンレス鋼等の鉄合金を用いるのが特に好ましい。
また、このような錘部5は、容器本体21に容易に脱着可能である。錘部5の構成材料および/またはサイズを変更することにより、錘部5の質量を適宜調整することができる。この錘部5の質量を調整することにより、工程(S4)において、混合液10中に生成されるバブル1のサイズおよび生成量を調整することができる。すなわち、本実施形態のバブルの製造方法では、様々なサイズおよび含有量のバブル1を、同一の製造容器20を用いて製造することができる。そのため、目的とするサイズおよび含有量のバブル1に合わせて、サイズの異なる複数種の製造容器20を準備する必要がないため、バブル含有容器の生産性が向上する。
[S3]製造容器を密閉する工程
混合液10が注入された容器本体21内を、ガス3でパージした後、ゴム栓23を容器本体21の円筒部211の開口に挿着する。これにより、製造容器20内に混合液10とガス3とが密閉される。
次に、ガス3が充填された注射器40を準備する。そして、注射器40の注射針41をゴム栓23に穿刺する。その後、注射器40から製造容器20内にさらにガス3を加える。これにより、製造容器20内が加圧される。その後、ゴム栓23から注射針を抜くことにより、製造容器20内がガス3により加圧された状態で密閉された製造容器20を得ることができる。
[S4]製造容器を振動させる工程
次に、混合液10が、製造容器20の両端部および側面(特に、両端部)に繰り返し衝突するように、製造容器20を振動させる。本実施形態では、製造容器20が、製造容器20の水平方向(長手方向)にほぼ往復運動するように、製造容器20を振動させる。
なお、本実施形態における製造容器20の振動は、前述した第1実施形態の工程(S4)と同様の条件で行うことができる。
その後、前述した第1および第2実施形態と同様に、工程(S5)を行うことにより、または、第3実施形態と同様に、工程(S5)〜(S10)を行うことにより、製造容器20内に均一なサイズのバブル1を多量に安定的に製造することができる。また、同時に、均一なサイズのバブル1を多量に含有する製造容器20が得られる。
かかる第8実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第7実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第9実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第9実施形態について説明する。
図13は、本発明のバブルの製造方法の第9実施形態に用いられる製造容器を説明するための断面図である。図13(a)は、分解した状態の製造容器を示しており、図13(b)は、組立てた状態の製造容器を示している。
なお、以下の説明では、図13(a)および(b)中の上側を「上」と言い、図13(a)および(b)中の下側を「下」と言う。また、図13(a)および(b)中の左側を「左」と言い、図13(a)および(b)中の右側を「右」と言う。
以下、第9実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第8実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、図13(a)および(b)に示すように、製造容器20の容器本体21の両端が外部に開放される以外は、前述した第8実施形態の図12に示す製造容器20を用いたバブルの製造方法と同じである。すなわち、容器本体21は、両端が外部に開口した円筒状をなす部材で構成されている。
かかる構成の製造容器20を用いる場合には、まず、錘部5のネジ溝521を容器本体21のネジ溝212に螺合させることにより、錘部5を容器本体21に取り付ける。なお、図13(b)に示すように、錘部5が容器本体21に取り付けられた状態では、平板部51が容器本体21の各端部に密着する。
なお、図示しないが、平板部51と容器本体21の各端部との間に、錘部5と容器本体21との密着性を高めるためのパッキンを配置してもよい。これにより、製造容器20の密閉性を向上させることができる。
その後、上述した本実施形態のバブルの製造方法と同様の工程を経て、バブル含有容器を得ることができる。
このようにして得られたバブル含有容器は、ゴム栓23に注射器の注射針を穿刺した後、バブル含有混合液を吸引して使用することができる。また、かかる構成では、錘部5を容器本体21から外し、注射器を用いることなく、直接バブル含有容器からバブル含有混合液を取り出すことができる。
かかる第9実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第8実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
<第10実施形態>
次に、本発明のバブルの製造方法の第10実施形態について説明する。
図14は、本発明のバブルの製造方法の第10実施形態に用いられる製造容器を説明するための断面図である。図14(a)は、分解した状態の製造容器を示しており、図14(b)は、組立てた状態の製造容器を示している。図15は、図14(b)に示す製造容器の蓋に形成される開口部の位置を説明するための図である。図15(a)は、注射器の注射針をゴム栓に穿刺する前の状態を説明するための図であり、図15(b)は、注射針をゴム栓から抜いた後に締付部を底板部に締め付けた状態を説明するための図である。
なお、以下の説明では、図14(a)および(b)中の上側を「上」と言い、図14(a)および(b)中の下側を「下」と言う。また、図14(a)および(b)中の左側を「左」と言い、図14(a)および(b)中の右側を「右」と言う。
以下、第10実施形態のバブルの製造方法について、前記第1〜第9実施形態のバブルの製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のバブルの製造方法は、製造容器の蓋の構成が異なる以外は、前述した第1〜第3実施形態のバブルの製造方法と同様である。
[S1] 準備工程
図14(b)に示すような製造容器20を準備する。
本実施形態の製造容器20は、前述した第1実施形態の製造容器20と同様の容器本体21と、蓋22とを有している。
本実施形態では、蓋22は、容器本体21の瓶口に固定される底板部223と、底板部223の容器本体21とは反対側に配置されるゴム栓221と、ゴム栓221を底板部223に固定する締付部222とを備えている。
底板部223は、円盤状をなす平板部225と、平板部225の縁部から立設する筒状部226とを有しており、その外形が断面視した際に略C字状をなす部材である。本実施形態では、平面視(上面視)における底板部223(平板部225)の形状と、ゴム栓221との形状がほぼ等しく、互いにほぼ同じ径を有している。また、筒状部226の内周面および容器本体21の瓶口側の外周面には、互いに螺合可能に形成されたネジ溝が、それぞれ形成されており、これらを螺合させることにより、底板部223(平板部225)が容器本体21の瓶口と密着した状態で固定される。
また、底板部223には、平面視(上面視)において、その中心から所定の距離離間した位置に、注射器の注射針が挿通可能なサイズを有する開口部224が形成されている。すなわち、図15(a)に示すように、蓋22の平面視において、ゴム栓221の中心Cと底板部223の開口部224とはズレている。
かかる底板部223は、前述した図6に示す蓋22の底板部223と同様に、セラミック材料、金属材料等の比重の大きい材料で構成されている。底板部223の質量を大きくすることにより、工程(S4)において、混合液10が製造容器20の上面(底板部223)に衝突した際に発生する衝撃波の大きさをより大きくすることができる。その結果、混合液10中に微細なバブル1をより容易に、かつ安定的に生成することができる。
ゴム栓221としては、前述した第1実施形態のバブルの製造方法で用いたゴム栓221と同様のゴム栓を用いることができる。このゴム栓221の表面には、蓋22を容器本体21に取り付けた状態において、底板部223の開口部224に対応する位置に注射針を穿刺するためのマークXが付されている(図15(a)参照)。
締付部222は、ゴム栓221の縁部を覆うように構成されている。また、締付部222および底板部223(平板部225)の外周面には、互いに螺合可能に形成されたネジ溝が、それぞれ形成されており、これらを螺合させることにより、ゴム栓221が底板部223(平板部225)と密着した状態で固定される。
[S3]製造容器を密閉する工程
まず、混合液10が注入された容器本体21の空隙部11を、ガス3でパージした後、蓋22を容器本体21の開口部(瓶口)に挿着する(図15(a)に示す状態)。これにより、製造容器20内に混合液10とガス3とが密閉される。
図15(a)に示す状態において、ゴム栓221のマークXに注射器の注射針を穿刺して、注射針を底板部223の開口部224に挿通させる。そして、注射器から製造容器20内にさらにガス3を加えて、製造容器20内を加圧した後、ゴム栓221から注射針を抜く。
次に、締付部222を回して、締付部222を底板部223に締め付ける(図15(b)に示す状態)。締付部222を底板部223に締め付けることにより、ゴム栓221が、底板部223に対して回転(例えば、180°回転)しながら、底板部223側に圧縮される。そのため、平面視における、注射針の穿刺によりゴム栓221に形成された貫通孔227の位置と底板部223の開口部224の位置とがずれる(図15(b)参照)。これにより、底板部223の開口部224がゴム栓221により閉じられ、製造容器20内がガス3により加圧された状態で密閉された製造容器20を得ることができる。
本実施形態では、製造容器20の内部と外部とを連通する部分が存在しないため、製造容器20内の密閉性を向上させることができる。製造容器20内の密閉性が向上することにより、最終的に得られるバブル含有容器では、バブル1が混合液10中により安定的に存在することができる。すなわち、バブル含有容器の長期保存性がより向上する。
上述したように、締付部222を底板部223に締め付けることにより、ゴム栓221は底板部223側に圧縮される。締付部222を底板部223に締め付ける前の状態におけるゴム栓221の厚さをt(mm)とし、締付部222を底板部223に締め付けた状態におけるゴム栓221の厚さをt(mm)としたとき、ゴム栓221の圧縮率((t−t)/t×100)は、5〜60%であるのが好ましく、10〜30%であるのがより好ましい。これにより、締付部222の締付けによるゴム栓221への負荷を抑えつつ、ゴム栓221と底板部223との密着性をより向上させることができる。その結果、製造容器20内の密閉性をより向上させることができる。
本実施形態においても、製造容器20内に均一なサイズのバブル1を多量に安定的に製造することができる。また、同時に、均一なサイズのバブル1を多量に含有する製造容器20(バブル含有容器)が得られる。
かかる第10実施形態のバブルの製造方法によっても、前記第1〜第9実施形態のバブルの製造方法と同様の作用・効果を生じる。
以上、本発明のバブルの製造方法およびバブル製造用容器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各工程は、同様の機能を発揮し得る任意の工程と置換することができる。
例えば、前記第1〜第10実施形態の任意の構成を組み合わせることもできる。
ここで、製造容器20内に封入するガス3の容量および製造容器20の回転数が、混合液10中に生成されるバブル1の粒径および含有量に与える影響を解明するために、以下の実験を行った。
まず、製造容器20の回転数と、混合液10中に生成されるバブル1の粒径および含有量との関係を調べた。
(バブルの製造方法)
[準備工程]
まず、アルブミンが25mg/ml含まれるアルブミン溶液(CSL Behring社製 アルブミナー25%)を120μl準備するとともに、25%リン酸緩衝生理食塩水を12ml準備した。また、15mlのバイアル瓶(高さX:50mm、外径R:25mm)を準備した。なお、このバイアル瓶は、図3に示す製造容器20と同様の形状をなしている。
[混合液を容器に注入する工程]
準備したバイアル瓶内に、アルブミン溶液と25%リン酸緩衝生理食塩水とを全量注入した。なお、アルブミン溶液と25%リン酸緩衝生理食塩水との混合液の液面の高さYは、25mmであった。
[容器を密閉する工程]
次に、混合液が注入されたバイアル瓶内の空隙をパーフルオロブタンでパージした後、バイアル瓶の瓶口に図3に示す蓋22と同様の形状の蓋を挿着した。次に、パーフルオロブタンが充填された注射器を準備した。注射器の注射針で蓋のゴム栓を穿刺して、注射器からバイアル瓶内にさらに2mlのパーフルオロブタンを加えた。これにより、バイアル瓶内の圧力を2atmとした状態でバイアル瓶を密閉し、密閉バイアル瓶を得た。
[容器を振動させる工程]
次に、上記の密閉バイアル瓶を2つ準備した。bertin Technologies社製のPrecellys(高速細胞破砕システム)を用いて、一方の密閉バイアル瓶を回転数5000rpmで30秒間振動させ、他方の密閉バイアル瓶を回転数6500rpmで30秒間振動させた。その際、密閉バイアル瓶は、上下方向に往復運動し、混合液がバイアル瓶の上下面に繰り返し衝突することを確認した。なお、密閉バイアル瓶を振動させる際に、密閉バイアル瓶の鉛直方向の振動幅は、40mmであり、密閉バイアル瓶の水平方向の振動幅は、20mmであった。
[容器を静置させる工程]
振動後、密閉バイアル瓶を静置させ、バブル含有容器を得た。
(粒度分布測定)
上記のようにして得られたバブル含有容器から、バブルを含有する混合液(バブル含有混合液)を注射器で取出した、次に、バブル測定装置(ナノ粒子解析システム nanosight)を用いて、混合液に含まれるバブルの粒度分布測定を行った。その結果を、図16に示す。
図16(a)は、5000rpmおよび6500rpmの回転数でバブルを製造した時のバブルの粒度分布を示すグラフである。図16(b)は、図16(a)に示すグラフにおいて、横軸が0〜700nmの範囲である部分拡大図である。
図16(a)に示すように、密閉バイアル瓶を6500rpmで振動させることにより、密閉バイアル瓶を5000rpmで振動させた場合に比べて、混合液中のバブルの含有量を大幅に多くすることができた。特に、粒径が600nm程度よりも小さいバブルの含有量は、密閉バイアル瓶を5000rpmで振動させた場合に比べて、密閉バイアル瓶を6500rpmで振動させた場合の方が、3〜5倍以上多くなった。
密閉バイアル瓶の回転数が5000rpmの場合でも、その振動時間を長くすることにより、混合液中のバブルの含有量をある程度多くすることはできる。ただし、回転数が6500rpmの場合のバブルの含有量に比べると少ない。
また、図16(b)に示すように、密閉バイアル瓶を6500rpmで振動させた場合には、粒径が100〜150nm程度の極小のバブルを多量に生成させることができた。
以上の結果は、以下のような作用・効果によるものと考えられる。すなわち、密閉バイアル瓶の回転数に応じて、混合液とバイアル瓶とが衝突する際に生じる衝撃波の圧力の大きさが変化する。この衝撃波の圧力の大きさが、混合液中に生成されるバブルの粒径および含有量を決定する大きな要因となっている。一般的な攪拌子を用いた攪拌や、5000rpmよりも小さい回転数での振動では、このような衝撃波が発生しない、または、発生したとしても発生量がわずかである。そのため、本願発明のように十分に小さい粒径を有するバブルを、十分な含有量で混合液中に生成させることはできない。
図17は、図16(a)に示す粒度分布のグラフを解析した結果である。
図17(a)は、密閉バイアル瓶の回転数とバブルの平均粒径との関係を示すグラフである。図17(b)は、密閉バイアル瓶の回転数とバブルの含有量との関係を示すグラフである。
図17(a)に示すように、密閉バイアル瓶を6500rpmで振動させた場合には、生成されるバブルの平均粒径は、密閉バイアル瓶を5000rpmで振動させた場合に比べて、80nm程度小さくなる。また、図17(b)に示すように、密閉バイアル瓶を6500rpmで振動させた場合には、生成されるバブルの含有量は、密閉バイアル瓶を5000rpmで振動させた場合に比べて、9×10個(particle)/ml程度小さくなる。この結果からも、密閉バイアル瓶を6500rpmで振動させた場合に、密閉バイアル瓶を5000rpmで振動させた場合よりも、小さい粒径のバブルを多量に生成することができることが分かる。
次に、製造容器20内に封入するガス3の容量と、混合液10中に生成されるバブル1の粒径および含有量との関係を調べた。
(バブルの製造方法)
実施例1の容器を密閉する工程において、バイアル瓶内に封入するパーフルオロブタンの容量を、0.5ml、1ml、1.5ml、2mlにそれぞれ変更した4つの密閉バイアル瓶を準備した以外は、前記実施例1と同様にしてバブル含有容器を得た。
なお、各密閉バイアル瓶について、封入するガス(パーフルオロブタン)の容量(ml)、密閉バイアル瓶内の圧力(atm)および容器を振動させる工程における密閉バイアル瓶の回転数(rpm)を、下記表1に示す。
Figure 0005927325
(粒度分布測定)
実施例1と同様にして、得られた各バブル含有容器内のバブル含有混合液の粒度分布測定を行った。得られた粒度分布のグラフを解析した結果を、図18に示す。
図18(a)は、密閉バイアル瓶内に封入されるガスの容量とバブルの平均粒径との関係を示すグラフである。図18(b)は、密閉バイアル瓶内に封入されるガスの容量とバブルの含有量との関係を示すグラフである。
図18(a)に示すように、密閉バイアル瓶を振動させる回転数が同じであっても、密閉バイアル瓶内の圧力を大きくすることによって、生成されるバブルの平均粒径が小さくなった。具体的には、密閉バイアル瓶内の圧力が2atmである場合には、生成されるバブルの平均粒径は、密閉バイアル瓶内の圧力が1.2atmである場合に比べて、100nm程度小さくなった。
また、図18(b)に示すように、密閉バイアル瓶内の圧力を大きくすることによって、バブルの含有量が多くなった。特に、密閉バイアル瓶内の圧力が2atmである場合には、バブルの含有量は、密閉バイアル瓶内の圧力が1.2atmである場合に比べて、2倍以上多くなった。
密閉バイアル瓶内の圧力を大きくなることによって、混合液とバイアル瓶とが衝突する際に生じる衝撃波の圧力が、生成されるバブルの粒径および含有量に大きく作用すると考えられる。そのため、密閉バイアル瓶を振動させる回転数が同じであっても、密閉バイアル瓶内の圧力に応じて、生成されるバブルの平均粒径が変化する。また、密閉バイアル瓶内の圧力を大きくなることによって、ガスが混合液中に多量に取り込まれる。そのため、前述したような衝撃波の作用とにより、混合液中に生成されるバブルの含有量を多くすることができる。
(GFP遺伝子を含有するナノバブルの製造方法)
[準備工程]
まず、前述した第1実施形態と同様に、120μlのアルブミン溶液(CSL Behring社製 アルブミナー25%)と、12mlの25%リン酸緩衝生理食塩水を準備した。さらに、GFP遺伝子を2μg準備した。また、15mlのバイアル瓶(高さX:50mm、外径R:25mm)を準備した。なお、このバイアル瓶は、図3に示す製造容器20と同様の形状をなしている。
[混合液を容器に注入する工程]
準備したバイアル瓶内に、アルブミン溶液と、25%リン酸緩衝生理食塩水と、GFP遺伝子とを全量注入した。なお、アルブミン溶液、25%リン酸緩衝生理食塩水およびGFP遺伝子の混合液の液面の高さYは、25mmであった。
[容器を密閉する工程]
次に、混合液が注入されたバイアル瓶内の空隙をパーフルオロブタンでパージした後、バイアル瓶の瓶口に図3に示す蓋22と同様の形状の蓋を挿着した。次に、パーフルオロブタンが充填された注射器を準備した。注射器の注射針で蓋のゴム栓を穿刺して、注射器からバイアル瓶内にさらに2mlのパーフルオロブタンを加えた。これにより、バイアル瓶内の圧力を2atmとした状態でバイアル瓶を密閉し、密閉バイアル瓶を得た。
[容器を振動させる工程]
次に、上記の密閉バイアル瓶を、bertin Technologies社製のPrecellysを用いて、回転数7000rpmで30秒間振動させた。その際、密閉バイアル瓶は、上下方向に往復運動し、混合液がバイアル瓶の上下面に繰り返し衝突することを確認した。なお、密閉バイアル瓶を振動させる際に、密閉バイアル瓶の鉛直方向の振動幅は、40mmであり、密閉バイアル瓶の水平方向の振動幅は、20mmであった。
[容器を静置させる工程]
振動後、密閉バイアル瓶を静置させ、バブル含有容器を得た。なお、バブルを含有する混合液(バブル含有混合液)を注射器で取出し、バブル測定装置(ナノ粒子解析システム nanosight)を用いて、バブルのサイズを確認した。その結果、バブルの平均粒径は、600nmであった。
<細胞内への蛍光タンパク質発現遺伝子の導入の評価>
脳血管周皮細胞(ペリサイト)(タカラバイオ株式会社製 製品コード:C−12980)を培養したシャーレーに、実施例3で得られた0.2μgの混合液を添加し、脳血管周皮細胞培地を得た。なお、ペリサイトは、遺伝子導入が非常に難しい細胞として知られている。
このような脳血管周皮細胞培地を4サンプル準備した。これらのサンプルに対して、周波数:1.0MHzの超音波(正弦波、パルス繰り返し周波数(PRF):100Hz、デューティー比(DC):10%)を以下の出力で60秒間照射した。
[照射出力]
0.6W/cm、0.8W/cm、0.9W/cm、1.0W/cm
その後、37℃において48時間にわたって脳血管周皮細胞培地を培養させた後の各サンプルを蛍光顕微鏡で観察した。
図19は、37℃において48時間培養させた脳血管周皮細胞培地の蛍光顕微鏡画像であり、図19(a)は、照射強度:0.6W/cmで超音波照射したサンプルの画像であり、図19(b)は、照射強度:0.8W/cmで超音波照射したサンプルの画像である。また、図20は、37℃において48時間培養させた脳血管周皮細胞培地の蛍光顕微鏡画像であり、図20(a)は、照射強度:0.9W/cmで超音波照射したサンプルの画像であり、図20(b)は、照射強度:1.0W/cmで超音波照射したサンプルの画像である。
図19(a)、(b)および図20(a)、(b)に示すように、いずれの照射出力で超音波照射されたサンプルにおいても、緑色に発色した領域が確認された。これは、各サンプルにおいて、脳血管周皮細胞内で緑色蛍光タンパク質(GFP)が発現していることを示している。したがって、いずれのサンプルにおいても、超音波照射によってバブルが破裂し、バブルに包含されたGFP遺伝子が脳血管周皮細胞内に導入されたことが示された。
1…バブル 2…外郭 3…ガス 4…薬物 10…混合液 11…空隙部 20…製造容器 21…容器本体 211…円筒部 212…ネジ溝 22…蓋 221…ゴム栓 222…締付部 223…底板部 224…開口部 225…平板部 226…筒状部 227…貫通孔 23…ゴム栓 30…ミニナートバルブ 31…バブル本体 311、312…貫通孔 32…ゴム栓 321…管路 322…貫通孔 33…チューブ 331…シーリング部 34…ハンドル 341…ノブ 342…シャフト 343…貫通孔 40…注射器 41…注射針 5…錘部 51…平板部 52…筒状部 521…ネジ溝 X…マーク C…中心

Claims (16)

  1. 対象物質を含む溶液を、容器の所定の高さまで注入する工程と、
    前記容器内を1.0atmより大きい圧力にした状態で、前記溶液が前記容器の内面に繰り返し衝突するように、5000rpm以上の回転数で前記容器を振動させる工程とを有し、
    前記容器を振動させる工程は、前記容器を、該容器の鉛直方向への往復運動によって振動させる工程を含み、
    前記容器の高さをX(mm)としたとき、前記容器の前記鉛直方向の振動幅は、0.7X〜1.5X(mm)であることを特徴とするバブルの製造方法。
  2. 前記容器を振動させる工程は、前記溶液を前記容器の前記内面に衝突させることにより衝撃波を発生させる工程を含む請求項1に記載のバブルの製造方法。
  3. 前記衝撃波の圧力は、40kPa〜1GPaである請求項2に記載のバブルの製造方法。
  4. 前記容器を振動させる工程は、前記容器を、該容器の水平方向への往復運動によって振動させる工程をさらに含み、
    前記容器の前記水平方向の振動幅は、0.3X〜0.8X(mm)である請求項1ないし3のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  5. 前記容器を振動させる工程は、前記溶液を前記容器の前記内面に衝突させる際における前記容器と前記溶液との瞬間相対速度が40km/h以上となるように行われる請求項1ないし4のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  6. 前記容器を振動させる工程は、前記圧力を1.5〜10atmにした状態で行われる請求項1ないし5のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  7. 前記所定の高さは、前記溶液が注入された前記容器を水平に静置した状態において、前記容器における前記溶液の液面の高さをY(mm)としたとき、0.2≦Y/X≦0.7の関係を満足する請求項1ないし6のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  8. 前記容器を振動させる工程後、前記容器内の前記圧力を変化させた後に、5000rpm以上の回転数で前記容器を再振動させる工程をさらに有する請求項1ないし7のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  9. 前記容器を再振動させる工程は、前記圧力を、前記容器を振動させる工程における前記圧力よりも1〜10atm高くなるように行われる請求項8に記載のバブルの製造方法。
  10. 前記容器を再振動させる工程は、前記容器を振動させる工程における前記回転数と異なる回転数で行われる請求項8または9に記載のバブルの製造方法。
  11. 前記溶液を前記容器に注入する工程と、前記容器を振動させる工程とは、前記溶液の温度を一定に維持するようにして行われる請求項1ないし10のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  12. 前記対象物質は、バブルの外郭を構成する外郭材料を含む請求項1ないし11のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  13. 前記外郭材料は、タンパク質、ポリカチオン性脂質、リン脂質、高級脂肪酸、糖類、ステロール類、界面活性剤、天然および合成高分子のうちの少なくとも1種を含む両親媒性材料である請求項12に記載のバブルの製造方法。
  14. 前記外郭は、前記両親媒性材料の分子の単層で構成されるミセル、または前記両親媒性材料の分子の二重層で構成されるリポソームで構成されている請求項13に記載のバブルの製造方法。
  15. 前記対象物質は、薬物を含む請求項1ないし14のいずれかに記載のバブルの製造方法。
  16. 前記バブルの平均粒径は、10nm〜1000μmである請求項1ないし15のいずれかに記載のバブルの製造方法。
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