本発明に係る検査装置及び撮像素子は、例えば、半導体ウェハ、半導体マスク、液晶パネルのアレイ基板、センサやLED等に用いられるサファイヤ基板やセラミック基板、等といった平板状の検査試料の検査に適用することができる。
以下、本発明に係る検査装置及び撮像素子の実施の形態について、半導体ウェハ上の欠陥を検査する欠陥検査装置、及びそれに用いられる撮像素子を例に、図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る、半導体ウェハのウェハ表面の異物、傷等の欠陥を検査する欠陥検査装置の概略構成図である。
図1に示すように、本実施の形態の欠陥検査装置1は、照明光源10と、照明光学系20(20L,20H)と、ステージ機構40と、結像光学系50(50L,50H)と、光検出器60(60L,60H)と、検出信号処理部70と、制御信号発生部80とを有して構成されている。
照明光源10は、半導体ウェハ30上に存在する超微小な異物等の欠陥を検出するための光(検査光)を生成する。照明光源10は、例えば、これら超微小な欠陥から強度の強い散乱光が得られるUV(Ultraviolet)光、若しくはDUV(Deep Ultraviolet)光を射出するレーザ光源によって構成される。例えば、レーザ光源は、波長λが355nmのレーザビームを発振する。
照明光学系20(20L,20H)は、照明光源10からの照明光を検査試料としての半導体ウェハ30上に照射する。照明光学系20は、照明整形光学系21、及び照射光学系25(25L,25H)を含む。
照明光源10からの照明光は、照明整形光学系21のビームエキスパンダ22でビーム径を所望の大きさに調整され、偏光素子23で所望の偏光状態の照明ビームへ変換される。照明ビームは、照明光の振動ベクトルがステージ機構40に保持された半導体ウェハ30のウェハ表面31に立てた法線と照明光の進行方向とを含む面内で振動する直線偏光である。
照明整形光学系21によって整形された照明ビームは、図示の例では、照明整形光学系21の出力側の照明光路に対して進退自在に設けられた可動ミラー28によって、照射光学系25L,25Hの中のいずれか一方に、切替機構29の作動に応じて供給される構成になっている。照射光学系25Lは、半導体ウェハ30のウェハ表面31に低角度(斜方)で、照射光学系25Hは、半導体ウェハ30のウェハ表面31に垂直に、それぞれ照明整形光学系21によって整形された照明ビームを照射する。これにより、ウェハ表面31に対しての照明光路は、可動ミラー28に付設された切替機構29の作動に応じて、低角度(斜方)又は垂直に任意選択が可能になっている。
照射光学系25L,25Hの反射ミラー26L,26H、及び円錐曲面を持つ集光レンズからなる照明レンズ27L,27Hを介して、ステージ機構40に搭載された半導体ウェハ30のウェハ表面31に、所定の照明仰角、例えば、結晶シリコン(Si)に対するブリュースター角で斜入射させられる。その際における、半導体ウェハ30の照明ビームが照射されているウェハ表面31部分が、照明スポット32に該当する。この場合、ウェハ表面31の照明スポット32の照度分布は、その走査方向に垂直な方向に沿っての照度分布がガウス分布形状ではなく、平坦形状になっている。
ステージ機構40は、検査の際、検査試料である半導体ウェハ30が搭載されるステージ(図示省略)と、このステージを移動させるステージ移動機構(図示省略)とを有する。ステージ機構40は、検査時、予め設定された検査試料の種類や検査方法等に基づいて、図示せぬステージ制御部によってその駆動が制御される。
ステージ移動機構は、ステージをその試料載置面に沿った面内で一次元又は二次元方向に直進移動させるステージ水平移動機構を有し、さらに必要に応じて、ステージをその試料載置面に沿った面内で回転させるステージ回転機構や、ステージをその試料載置面と垂直方向に移動変位させるステージ垂直移動機構を有する構成になっている。
例えば、欠陥検査装置1が、未だパターンが形成されていないベアウェハの欠陥を検査する表面検査装置に適用されるものであるならば、ステージ機構40は、検査時、ステージ回転機構が、半導体ウェハ30が搭載されているステージを一定角速度で回転し、ステージ水平移動機構が、ステージ回転機構によるステージの回転と同期を取りながら、ステージを同じく回転している半導体ウェハ30の径方向に沿って所定のピッチで直進移動することができるようになっている。これにより、照射光学系25(25L,25H)による照明ビームの半導体ウェハ30上での照射位置に該当する照明スポット32が、ウェハ表面31上を環状走査又はスパイラル走査され、ウェハ表面全面又は走査領域部分の画像を、結像光学系50(50L,50H)を介して光検出器60(60L,60H)に撮像させることが可能である。
この場合、半導体ウェハ30上での照明ビームの照明スポット32の走査に係り、ステージ回転機構の作動によって回転された半導体ウェハ30上での、照明スポット32のウェハ回転方向(R方向)に沿った相対的な移動を照明スポット32の主走査と称し、ステージ水平移動機構の作動によってウェハ半径方向(r方向)に沿って直進移動された半導体ウェハ30上での、照明スポット32のウェハ半径方向(r方向)への相対的な直進移動を照明スポット32の副走査と称する。
これに対し、欠陥検査装置1が、既にパターンが形成されているパターン付きウェハの欠陥を検査するパターン検査装置に適用されるものであるならば、ステージ機構40は、検査時、ステージ水平移動機構が、半導体ウェハ30が搭載されているステージを、ウェハ表面31に格子状に配置された複数チップの一方のチップ配列方向(X方向)に沿ってステージを直進移動するとともに、この一方のチップ配列方向(X方向)へのステージの直進移動と同期を取りながら、他方のチップ配列方向(Y方向)に沿っても直進移動することができるようになっている。これにより、照射光学系25L,25Hによる照明ビームの半導体ウェハ30上での照射位置に該当する照明スポット32が、ウェハ表面31上を複数チップのそれぞれ配列方向(X−Y方向)に沿って二次元走査され、半導体ウェハ30のウェハ表面全面又は走査領域部分の画像を、結像光学系50L,50Hを介して光検出器60L,60Hに撮像させることが可能である。この場合、半導体ウェハ30上における照明ビームの照明スポット32の走査に係り、ステージ水平移動機構の作動によって一方のチップ配列方向(X方向)に沿って直進移動された半導体ウェハ30上での、照明スポット32のX方向に沿った相対的な移動を照明スポット32の主走査と称し、ステージ水平移動機構の作動によって他方のチップ配列方向(Y方向)に沿って直進移動された半導体ウェハ30上での、照明スポット32のY方向に沿った相対的な移動を照明スポット32の副走査と称する。
また、ステージ機構40は、半導体ウェハ30上での照明スポット32の上述した走査とは別に、ステージ垂直移動機構が、ステージに搭載される検査試料の半導体ウェハ30の厚さ等に応じてステージを高さ方向(Z方向)に移動変位させ、照射光学系25L,25H及び結像光学系50L,50Hに対する半導体ウェハ30のウェハ表面31の高さ位置を調整することも可能である。
このようなステージ機構40には、ステージ水平移動機構やステージ垂直移動機構の作動によって直進移動させられたステージの移動量若しくは移動位置を検出したり、ステージ回転機構の作動によって回転させられたステージの回転量若しくは回転位置を検出したりするため、位置検出エンコーダ41が設けられている。位置検出エンコーダ41は、これら検出結果を、エンコーダパルスで制御信号発生部80に送出する。
図示の例では、結像光学系50及び光検出器60は、照明スポット32に対する方位角、ウェハ表面31に対する検出仰角を異ならせて、複数の検出器ユニット50L,60L、50H,60Hを備えた構成になっている。
結像光学系50L,50Hは、検出レンズ51L,51H、偏光素子(図示省略)、結像レンズ(図示省略)を有している。結像光学系50L,50Hは、検出レンズ51L,51Hがレーリー散乱に従うような微小な異物に対して効率良くその散乱光を捕捉できるように、ステージ機構40に保持された半導体ウェハ30のウェハ表面31に対し、検出仰角若しくは検出方位角、又はその両方が異なるように、配置されている。
検出レンズ51L,51Hの開口数(NA:numerical aperture)は、所望の検出可能な欠陥の光学解像度(欠陥像サイズ)に合わせた所定値に設定されている。偏光素子は、より微細な欠陥を検出可能にするため、ウェハ表面31の微小な凹凸から発生する散乱光(「ラフネス散乱光」と表記する。)を低減させる。
結像光学系50L,50Hは、半導体ウェハ30上の照明ビームが照射された照明スポット32のウェハ表面部分から散乱される光を、対物レンズとしての検出レンズ51L,51Hで集光し、偏光素子、結像レンズを介して、照明スポットされたウェハ表面部分の像を光検出器60L,60Hの検出面上に結像する。
光検出器60L,60Hは、結像光学系50L,50Hの検出レンズ51L,51Hにより集光された散乱光を検出してその検出量に応じた電気信号に変換し、散乱光検出信号として出力する。光検出器60L,60Hは、受光光量に応じた大きさの電気信号(光量信号)を出力するセンサ画素(光電変換センサ)を複数配列して形成された検出面を有する撮像素子を含んでいる。撮像素子としては、例えばCCD(Charge Coupled Device imager),TDI(Time Delayed Integration)、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)等が該当し、そのセンサ画素には、例えばPD(Photo Diode),APD(Avalanche Photo Diode)等が利用される。
撮像素子は、そのセンサ画素の画素サイズを小さくすると、スループットは落ちるが、より微小な異物等の欠陥を検出することが可能になる。ここで、本実施の形態の欠陥検査装置1の光検出器60L,60Hに適用されている撮像素子の構成について、図2に基づき、詳述する。
図2は、図1に示した欠陥検査装置に適用される光検出器の撮像素子の構成図、及びこの欠陥検査装置による欠陥検出方法の説明図である。
図1及び図2において、光検出器60L,60Hにそれぞれ備えられた撮像素子61は、ウェハ表面31上での照明スポット32の主走査方向に対しての垂直方向、すなわちウェハ表面31上での照明スポット32の副走査方向に、少なくとも2個以上の複数のセンサ画素P(図示の例では、P0,P1,P2,P3,P4,…)を配列して構成されている。図示の場合、各センサ画素Pの画素サイズは、画素出力のSN比の値を高くするため、欠陥の光学解像度(欠陥像サイズ)と同等になるように構成されている。
図2中、矢印msは、照明スポット32の主走査に対応して結像光学系50L,50Hで結像された半導体ウェハ30上に生じた欠陥の欠陥像dfの、センサ画素Pに対する通過方向に該当する。x−y座標は、そのx軸が、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msで、照明スポット32の主走査方向に該当する。これに対し、そのy軸が、通過方向msに対する垂直方向で、照明スポット32の副走査方向に該当する。
図示の例では、センサ画素Pの画素サイズが欠陥の光学解像度(欠陥像サイズ)と同等になっており、半導体ウェハ30のウェハ表面全体の大きさに比して遥かに微細なので、欠陥検査装置1が表面検査装置又はパターン検査装置のいずれであるか、すなわち、照明スポット32の主走査方向がウェハ回転方向(R方向)であるか、又は格子状の一方のチップ配列方向(X方向)であるかの相違にかかわらず、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過状態はほぼ同じになる。
各センサ画素Pは、センサ画素Pの検知面外郭を少なくとも3つ以上のセンサ画素境界辺qで画成された構成になっている。一のセンサ画素Pの少なくとも3つ以上のセンサ画素境界辺qの中、少なくとも1つのセンサ画素境界辺qは、隣り合うセンサ画素Pのセンサ画素境界辺qを兼ねる構成になっている。図示の例では、各センサ画素Pが三角形形状であるため、例えばセンサ画素P1の場合、センサ画素境界辺q1,q2,q3を有し、その中のセンサ画素境界辺q3は、隣り合うセンサ画素P2のセンサ画素境界辺q1を兼ねる構成になっている。
その上で、一のセンサ画素Pの少なくとも3つ以上のセンサ画素境界辺qの中、センサ画素上で欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な、センサ画素Pの配列方向に相対向する一対のセンサ画素境界辺qは、少なくとも一方が照明スポット32の主走査方向(R方向又はX方向)に対して傾斜している構成になっている。
具体的に図示の例では、各撮像素子61の各センサ画素P0,P1,P2,P3,・・・の形状は、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に平行な底辺と、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに平行な高さとで規定された二等辺三角形形状になっている。また、各センサ画素Pの二等辺三角形形状及びその大きさは、光学解像度の欠陥像dfの中心が二等辺三角形形状のセンサ画素Pの底辺中央部を三角形の高さ方向に沿って通過する際、欠陥像dfがセンサ画素Pの画素面上で一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3、若しくは全てのセンサ画素境界辺q1,q2,q3と一時的に内接し、この内接時には、センサ画素Pの画素面上に欠陥像dfの全部が重なる形状及び大きさになっている。
図示の例では、撮像素子61は、このような二等辺三角形形状のセンサ画素P1,P2,P3,・・・を、隣接するセンサ画素P同士の互いの高さ方向の向きを逆向きにして、照明スポット32の副走査方向に該当する、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に、複数配列して構成されている。
光検出器60L,60Hでは、図1に示すように、制御信号発生部80から供給される駆動信号(センサ画素走査信号)に基づいて、光検出器60L,60Hそれぞれの撮像素子61を構成する複数のセンサ画素Pそれぞれ画素出力が所定のサンプリングレートで走査抽出され、各センサ画素Pの画素出力(光量信号)が散乱光検出信号として検出信号処理部70に送出される。この場合、駆動信号(センサ画素走査信号)により与えられるセンサ画素Pの画素出力のサンプリングレートは、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfが照明スポット32の走査(主走査)に同期して一のセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tp、すなわち欠陥像dfのサンプリング時間に比して大幅に短くなっている。これにより、センサ画素Pでは、画素面に対してのセンサ画素P上を通過する欠陥像dfの通過状態変化を、画素出力として逐次検出できるようになっている。
制御信号発生部80は、図示せぬステージ制御部によってその駆動が制御されるステージ機構40に付設された位置検出エンコーダ41から供給されるエンコーダパルスに基づいて、ステージ機構40のステージに搭載された半導体ウェハ30上での照明スポット32の走査位置を監視しながら光検出器60L,60Hに駆動信号を供給するとともに、検出信号処理部70にサンプリング制御信号を送出して、それぞれの作動を制御する。
検出信号処理部70は、図1に示すように、A/D変換器71と、信号特徴抽出部72と、欠陥情報演算処理部73と、演算基本データ記憶部74とを有し、光検出器60L,60Hから供給される散乱光検出信号を信号処理して、半導体ウェハ30上に生じた欠陥を検出する構成になっている。
A/D変換器71は、光検出器60L,60Hからそれぞれ送出される、撮像素子61の各センサ画素Pの画素出力からなる散乱光検出信号を受信し、A/D変換して信号特徴抽出部72に供給する。
信号特徴抽出部72は、A/D変換器71から逐次供給されるデジタル化された散乱光検出信号を取り込んで、複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力をセンサ画素P毎に分けて蓄積する。その一方で、信号特徴抽出部72は、上述したセンサ画素P毎の画素出力の蓄積と並行して、制御信号発生部80から供給されるサンプリング制御信号に基づいて、センサ画素P毎にその画素出力の蓄積の中から、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfが一のセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tp、すなわち欠陥像dfのサンプリング時間分の画素出力の集合を新たな画素出力の取り込みと同期して抽出し、センサ画素P毎の画素出力の信号特徴C(P)を逐次生成する。信号特徴抽出部72は、このセンサ画素P毎の画素出力の信号特徴C(P)の生成を、センサ画素P毎それぞれについて行う。
信号特徴抽出部72は、その生成したセンサ画素P毎の画素出力の信号特徴C(P)を、欠陥情報演算処理部73に逐次供給する。
ここで、図2中の欄210,230で示したケース1,3は、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfがセンサ画素Pの画素面上で一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接することなく通過する際の、欠陥像dfの通過状態の一例と、その通過の際に信号特徴抽出部72によって生成されたセンサ画素P1〜P4それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)を示したものである。これに対し、欄220で示したケース2は、欠陥像dfがセンサ画素Pの画素面上で一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接し、同時にセンサ画素境界辺q3にも内接して、全てのセンサ画素境界辺q1,q2,q3と一時的に内接した欠陥像dfの通過状態の一例と、その通過の際に信号特徴抽出部72によって生成されたセンサ画素P1〜P4それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)を示したものである。加えて、欄210で示したケース1と欄230で示したケース3とでは、ケース1は、欠陥像dfの中心が、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺qの長さ方向中央部を通過するのに対し、ケース3は、欠陥像dfの中心が、−欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素P2のセンサ画素境界辺q3の長さ方向の中央、すなわち通過方向msの中心からずれて通過する状態を示している。
欠陥情報演算処理部73は、対称性判断部75と、座標算出部76と、隣接画像積分部77とを有し、各部は次に述べるような処理を行う構成になっている。
対称性判断部75は、信号特徴抽出部72から逐次供給されるセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)を基に、その中に欠陥像dfを含んでいるセンサ画素Pの画素出力の信号特徴C(P)があるか否かを判定し、欠陥像dfを含んでいるセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)を抽出する。そして、対称性判断部75は、欠陥像dfを含んでいるセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)相互間で、画素出力の信号特徴C(P)同士の対称性判断を行い、欠陥像dfの中心が、センサ画素Pの照明スポット32の走査(主走査)に対応する欠陥像dfの通過方向msに関して、センサ画素Pの中心に位置するタイミングのセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)を抽出する。対称性判断部75は、欠陥像dfを含んでいるセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)同士の対称性判断を、例えば、いずれも欠陥像dfを含み配列方向に連設された複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)に、出力のピーク(極大)部分が含まれている否かで行う。
図2に示した、二等辺三角形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、隣接するセンサ画素P同士の高さ方向の向きを互いに逆向きにして、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61では、次のようにして、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)同士の対称性判断を行う。
欄210で示した、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接することなく、欠陥像dfの中心が欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺qの長さ方向中央部を通過するケース1では、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素P1,P2,P3,P4それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3),C(P4)全てに画素出力のピーク(極大)部分が含まれていることで、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3),C(P4)同士の対称性判断を行える。
また、欄220で示した、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接して通過するケース2では、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)全てに画素出力のピーク(極大)部分が含まれていることで、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)同士の対称性判断を行える。
また、欄230で示した、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接することなく、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺qの長さ方向中央部から通過方向入口側にずれて通過するケース3では、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)全てに画素出力のピーク(極大)部分が含まれていることで、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3) 同士の対称性判断を行える。
なお、上述したケース2,3は、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3の一方をその長さ方向中央部から欠陥像dfの通過方向入口側にずれて通過する場合であるが、図示省略した、欠陥像dfの中心が逆側の通過方向出口側にずれて通過する場合でも、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)は、センサ画素境界辺qの長さ方向中央部に関して形状的に線対称になるだけなので、上述したケース2,3と同様にして、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P) 同士の対称性判断を行える。
このようにして、対称性判断部75によって、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)相互の対称性が確認されると、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの信号特徴C(P)は、対称性判断部75から座標算出部76に供給される。
座標算出部76は、対称性判断部75によって対称性が確認され、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの信号特徴C(P)を、演算基本データ記憶部74に演算基本データとして記憶されているデータテーブルと対照して、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を演算する。
例えば、欠陥検査装置1が、表面検査装置に適用されるものであるならば、その座標位置データは、半導体ウェハ30の回転中心を原点とするウェハ半径方向の距離rと 回転基準位置に対しての偏角θとからなる円座標(r−θ座標)で算出され、パターン検査装置に適用されるものであるならば、所定位置を原点とするウェハ表面上での直交座標(x−y座標)で算出される。
図2に示した、二等辺三角形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、隣接するセンサ画素P同士の高さ方向の向きを互いに逆向きにして、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61では、例えば、次のようにして、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上での座標算出を行うことができる。
欄210,220,230で示した、対称性判断部75によって対称性が確認され、欠陥像dfがいずれも画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)は、いずれもセンサ画素Pの欠陥像dfの通過方向に係る中央位置と欠陥像dfの中心位置とが一致するサンプリングタイミング状態のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)である。
そのため、座標算出部76は、この対称性判断部75によって対称性が確認された信号特徴C(P1)〜C(P4)を抽出したときのサンプリングレート及びサンプリング時間で規定されるサンプリングタイミングから、欠陥像dfに該当する欠陥に係り、半導体ウェハ30のウェハ表面上での主走査方向(R方向又はX方向)の座標位置データ(θ又はx)を取得することができる。
また、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上での副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、この信号特徴C(P1)〜C(P4)を抽出したとき欠陥像の中心が、どのセンサ画素Pの斜辺状のセンサ画素境界辺q1,q3を、欠陥像dfの通過方向に係るどの位置で、すなわちどのようなサンプリングレートにおけるどのサンプリングタイミングで通過しているかを検出することによって取得することができる。
そこで、座標算出部76は、対称性判断部75によって対称性が確認され、いずれも欠陥像dfを含んで配列方向に連設されたセンサ画素P1〜P4それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)相互の相関を基に、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を、例えば、図2に中の欄210,220,230で示したようなケース1,2,3では、次のようにして取得している。
欄210で示した、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接することなく、欠陥像dfの中心が欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺qの長さ方向中央部を通過するケース1では、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfがセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tpに相当する時間経過t0〜t1の半分の時間経過t1/2に関して、センサ画素P2の画素出力の信号特徴C(P2)とセンサ画素P3の画素出力の信号特徴C(P3)との間や、センサ画素P1の画素出力の信号特徴C(P1)とセンサ画素P4の画素出力の信号特徴C(P4) との間で、波形として表現可能な互いの画素出力特性に線対称な相関が生じる。
そのため、座標算出部76は、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素P1〜P4それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)について、信号特徴C(P)相互の相関演算を行う。その結果、座標算出部76は、この画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)を取得したサンプリングタイミングとこれら画素出力の信号特徴C(P)相互の上述した相関演算結果とに基づいて、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を算出することができる。
この場合、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、例えば、このサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P2、P3それぞれの中心のウェハ表面上における副走査方向(r方向又はY方向)の走査位置を平均する等の方法で算出することができる。
欄220で示した、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接して通過するケース2では、欠陥像dfが内接するセンサ画素P2を挟んでそれぞれ両側に配置されているセンサ画素P1の画素出力の信号特徴C(P1)とセンサ画素P3の画素出力の信号特徴C(P3)とが、波形として表現可能な互いの画素出力特性が略一致する相関が生じる。
そのため、座標算出部76は、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素P1〜P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)について、信号特徴C(P)相互の相関演算を行う。その結果、座標算出部76は、この画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)を取得したサンプリングタイミングとこれら画素出力の信号特徴C(P)相互の上述した相関演算結果とに基づいて、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を算出することができる。
この場合、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、例えば、このサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P2の中心のウェハ表面上における副走査方向(r方向又はY方向)の走査位置で算出することができる。
欄230で示した、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3と一時的に内接することなく、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺qの長さ方向中央部から通過方向入口側にずれて通過するケース3では、センサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)それぞれが、上述したケース1又はケース2のような特別の相関関係を有さず、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3) ,C(P4)の大きさ、及び画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3) ,C(P4)相互の関係が、上述したケース1又はケース2の相関関係を有する場合に対して変化した関係になっている。
そのため、座標算出部76は、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素P1〜P4それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)について、信号特徴C(P)相互及び信号特徴C(P)それぞれの相関演算を行う。その結果、座標算出部76は、この画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P4)を取得したサンプリングタイミングとこれら画素出力の信号特徴C(P)相互及び信号特徴C(P)それぞれの上述した相関演算結果とに基づいて、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を算出することができる。
この場合、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、例えば、このサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)と上述したケース1又はケース2のセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)との間での相関関係の変化率を算出し、この変化率に応じてこのサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P2の中心のウェハ表面上における副走査方向(r方向又はY方向)の走査位置を修正して算出することができる。
なお、上述したケース2,3は、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3の一方をその長さ方向中央部から欠陥像dfの通過方向入口側にずれて通過する場合であるが、図示省略した、欠陥像dfの中心が逆側の通過方向出口側にずれて通過する場合でも、上述したケース2,3と同様にして、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)の算出を行える。
図1において、隣接画像積分部77は、ウェハ表面31上での照明スポット32の主走査方向に対しての垂直方向、すなわちウェハ表面31上での照明スポット32の副走査方向に複数配列された光検出器60L,60Hそれぞれの撮像素子61のセンサ画素P(図示の例では、P0,P1,P2,…)に係り、信号特徴抽出部72から欠陥情報演算処理部73に逐次供給されるセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)を基に、隣り合うセンサ画素P同士の画素出力の信号特徴C(P)同士を加算する(図示の例では、C(P0)とC(P1),C(P1)とC(P2),C(P2)とC(P3),…)。隣接画像積分部77は、このようにして得た隣接センサ画素それぞれの信号特徴C(Pm+Pm+1)(ただし、m=0,1,2,…,n-1)を積分することにより、隣接センサ画素それぞれが光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfが一のセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tp、すなわち欠陥像dfのサンプリング時間に検出した、照明スポットされたウェハ表面31から発生した散乱光の総検出光量を取得する。この隣接センサ画素それぞれの総検出光量は、ウェハ表面上に生じた欠陥の大きさを推定するため等に利用される。
図3は、隣接画像積分部が行う隣接センサ画素同士の画素出力の信号特徴加算処理の説明図である。
図3は、図2で示した欄210,220,230で示したケース1,2,3それぞれの、光学解像度(欠陥像サイズ)の欠陥の欠陥像dfが撮像素子61のセンサ画素P0,P1,P2,P3,・・・を通過する状態で、隣接画像積分部77が行う処理について、隣り合うセンサ画素P2,P3を例に、それぞれの画素出力の信号特徴C(P2) ,C(P3) 同士を加算して、隣接センサ画素P2,P3の信号特徴C(P2+P3)を積分する処理を示したものである。図3において、図2と重複する構成等については、同一符号を付して、その説明は省略する。
図1に戻り、演算基本データ記憶部74は、欠陥情報演算処理部73の各部75〜77で実行される処理プログラムや、その実行の際に用いられる理論値データや実測値データ等が、演算基本データとして記憶されている。例えば、欠陥についての座標算出部76によるウェハ表面上の座標位置データの算出処理に係り、ウェハ表面31における副走査方向の座標位置データ(r又はy)それぞれに対応させて、予め理論又は実測値によって得た欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)が記憶されている演算用テーブルを演算基本データとして予め記憶しておく。このようにすれば、座標算出部76は、欠陥の副走査方向の座標位置データ(r又はy)の算出を、この演算用テーブルとのデータマッチングにより容易に算出できる。なお、上述したテーブル化された演算基本データの具体的内容は、一例であって、種々の変形例が可能である。また、座標算出部76による、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を演算方法自体も、欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)についての上述したケース1〜3に述べた特徴に基づけば、種々の変形例が可能である。
このような対称性判断部75と、座標算出部76と、隣接画像積分部77とを含む欠陥情報演算処理部73からは、座標算出部76によって算出された、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の座標位置データや、隣接画像積分部77によって算出された隣接センサ画素それぞれの総検出光量等が、欠陥情報として、図示せぬ欠陥レビュー装置等に供給され、欠陥判定処理に利用される。
上述したように、本実施の形態に係る欠陥検査装置1及び撮像素子61は構成されるが、次にその作用・効果について説明する。
撮像素子61は、二等辺三角形形状のセンサ画素P1,P2,P3,・・・を、隣接するセンサ画素P同士の互いの高さ方向の向きを逆向きにして、照明スポット32の副走査方向に該当する、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に、複数配列して構成されている。さらに、各センサ画素Pの画素サイズも、画素出力のSN比の値を高くするため、欠陥の光学解像度(欠陥像サイズ)と同等になるように構成されている。そのため、欠陥像dfは、ケース1,2,3に示したように、いずれの通過ケースにおいても、欠陥像dfの通過方向msに対しこの通過方向msと垂直な方向に、すなわち照明スポット32の副走査方向に傾斜しているセンサ画素境界辺qを、欠陥像dfの中心が通過することになる。
この結果、制御信号発生部80による制御の下、検出信号処理部70では、信号特徴抽出部72が逐次供給するセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)を基に、対称性判断部75が欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)相互の対称性を確認し、座標算出部76がこの確認されたセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)を基に、信号特徴C(P)相互の相関等を利用して、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を検出することができる。
これにより、撮像素子61上でのセンサ画素Pに対する欠陥像dfの通過位置が主走査方向(欠陥像の通過方向)に対して垂直方向(照明スポット32の副走査方向)に変化し、照明ビームが照射された光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥から発生する散乱光の一のセンサ画素Pの検出光量が変わってしまう場合であっても、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を精度よく検出することができる。
その際、図2において欄220で示したケース2のように、両側の隣接センサ画素Pの信号特徴(検出信号波形)C(P)より、欠陥像dfの中心がこれら隣接センサ画素P間のセンサ画素Pの中心を通過した状態を判別でき、これら隣接センサ画素P間のセンサ画素Pの信号特徴(検出信号波形)C(P)により、欠陥像及び欠陥の検出信号波形の検出再現性が向上する。
また、図2において欄210で示したケース1のように、互いに隣接するセンサ画素P同士の信号特徴(検出信号波形)C(P)より、欠陥像dfの中心がセンサ画素Pの走査方向(欠陥像の通過方向)の中央を通過した状態を判別でき、欠陥像dfの中心がセンサ画素Pの走査方向(欠陥像の通過方向)の中央を通過する状態の欠陥像及び欠陥の検出信号波形が再現できるようになり、検出再現性が向上する。
さらに、図2において欄230で示したケース3のように、欠陥像dfの中心が、両側の隣接センサ画素Pとのセンサ画素境界辺q1,q3と同時に内接することなく、欠陥像dfの中心がセンサ画素Pの走査方向(欠陥像の通過方向)の中央を通過しない場合であっても、欠陥像及び欠陥の検出信号波形を、両側の隣接センサ画素P、又はこれら隣接センサ画素P間のセンサ画素Pの中から、光検出器60L,60Hからの散乱光検出信号それぞれに含まれる背景ノイズ成分(ウェハ表面の粗さに起因する散乱光成分やホワイトノイズ)と信号成分との比であるSN比が最大値になる画素Pを主体にして、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を求めたり、欠陥像及び欠陥の検出信号波形が再現できるようになり、欠陥検出感度が向上する。
図4は、図2に示した撮像素子に適用した二等辺三角形形状のセンサ画素の変形例を示したものである。
センサ画素Pは、回折限界の光学解像度(光学解像度;0.61*λ/NA、λ;照明波長、NA;レンズ開口数)の欠陥像dfが内接可能な、欠陥像dfに外接する大きさの正三角形状、又は二等辺三角形形状になっている。
いずれも、センサ画素Pの画素面上で一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3に加え、底辺q2にも内接するようになっており、背景ノイズ成分と信号成分との比であるSN比が最大になるようになっている。
図4(A)のセンサ画素Pは、センサ画素Pを欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向、すなわち照明スポット32の副走査方向に複数配列する際、センサ画素Pの画素数を増加させたり、SN比を低減させたりすることなく、通過方向msに垂直な方向に沿った撮像素子61の検出面長さを拡大することができる。
図4(B)のセンサ画素Pは、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfが照明スポット32の走査(主走査)に同期して一のセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tp、すなわち欠陥像dfのサンプリング時間を大きくすることができる。
図5は、欠陥情報演算処理部の信号処理規模を低減する変形例の説明図である。
検出信号処理部70における欠陥情報演算処理部73の信号処理が、信号特徴抽出部72の信号処理に対して重くならないようにするため、欠陥情報演算処理部73の隣接画像積分部77が行う信号処理の中、隣り合うセンサ画素P同士の画素出力の信号特徴C(P)同士を加算する処理を、欠陥情報演算処理部73外の信号特徴抽出部72で行えるようした構成を示す。
なお、図5では、信号特徴抽出部72による、A/D変換器71から供給されるデジタル化された散乱光検出信号を逐次取り込んで、複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力をセンサ画素P毎に分ける構成を、複数のセンサ画素Pそれぞれで表現してある。
図示の例では、隣り合うセンサ画素P(m),P(m+1)同士のお互いの画素出力を加算するための加算器(加算回路)79が、信号特徴抽出部72に設けられた構成になっている。したがって、信号特徴抽出部72は、隣り合うセンサ画素P同士の画素出力の信号特徴C(P)と同様にして、隣り合うセンサ画素それぞれの信号特徴C(Pm+Pm+1)も欠陥情報演算処理部73に供給できるようになる。
これにより、欠陥情報演算処理部73は、隣接センサ画素それぞれの信号特徴C(Pm+Pm+1) (ただし、m=0,1,2,…,n-1)を信号特徴抽出部72から直接取り込めるので、隣接画像積分部77は積分処理を行うだけで済むことになり、欠陥情報演算処理部73による信号処理の規模を低減することができる。この結果、欠陥検査装置1に対しての要求性能により、複数のセンサ画素Pそれぞれ画素出力に対してのサンプリングレートが上がり、サンプリング時間が延びても、対応をはかることが可能になる。
なお、図示の例では、隣り合うセンサ画素P(m),P(m+1)同士のお互いの画素出力を加算する処理を検出信号処理部70の信号特徴抽出部72で加算器79を用いて行う構成としたが、検出信号処理部70で行う代わりに、各センサ画素Pの画素出力からなる散乱光検出信号を送出する光検出器60L,60H側で同様に加算器を設けて行わせることも可能である。
<第2の実施の形態>
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る欠陥検査装置に適用される光検出器の撮像素子の構成図、及びこの欠陥検査装置による欠陥検出方法の説明図である。
本実施の形態に係る欠陥検査装置は、図1に示した第1の実施の形態に係る欠陥検査装置1と同様な、照明光源10と、照明光学系20L,20Hと、ステージ機構40と、結像光学系50L,50Hと、光検出器60L,60Hと、検出信号処理部70と、制御信号発生部80とを有する構成になっており、光検出器60L,60Hそれぞれの撮像素子61の構成のみが異なっている。そのため、説明にあたっては、同一及び同様な構成については、第1の実施の形態に係る欠陥検査装置1の場合と同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態では、撮像素子61の各センサ画素P0,P1,P2,P3,・・・は、図1に示した各センサ画素P0,P1,P2,P3,・・・の基本構成(一のセンサ画素Pの少なくとも3つ以上のセンサ画素境界辺qの中、センサ画素上で欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な、センサ画素Pの配列方向に相対向する一対のセンサ画素境界辺qが、少なくとも一方が照明スポット32の主走査方向(R方向又はX方向)に対して傾斜している構成は同じくするものの、各センサ画素Pの形状は平行四辺形形状になっている。
図示の例、平行四辺形形状の一のセンサ画素Pを画成する4つのセンサ画素境界辺qが、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に平行な一対の対辺q2,q4と、センサ画素上で欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに対して傾斜している一対の対辺q1,q3とを形成する構成になっている。
各センサ画素Pの平行四辺形形状及びその大きさは、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に平行な一対の各対辺q2,q4の長さが、光学解像度の欠陥像dfの同方向すなわち照明スポット32の副走査方向(r方向又はY方向)の幅寸法(直径寸法)Ddfと等しくなっており、一対の対角線の中の一方が通過方向msに平行になっている。
図6に示した、平行四辺形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61では、次のようにして、対称性判断部75は、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)同士の対称性判断を行う。
欄610で示した、欠陥像dfの中心が、平行四辺形形状のセンサ画素P2の、欠陥像dfの通過方向msに平行な対角線上を通過し、すなわち、センサ画素P2の中心を通過するケース1では、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)全てに画素出力のピーク(極大)部分が含まれていることで、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)同士の対称性判断を行える。
欄620で示した、欠陥像dfの中心が、センサ画素P2(P3)の、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺q3(q1)の長さ方向中央部を通過するケース2では、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素P1,P2それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2) に画素出力のピーク(極大)部分が含まれていることで、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2) 同士の対称性判断を行える。
欄630で示した、センサ画素P2(P3)の、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺q3(q1)の長さ方向中央部から通過方向出口側にずれて通過するケース3では、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2) ,C(P3)全てに画素出力のピーク(極大)部分が含まれていることで、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2) ,C(P3)同士の対称性判断を行える。
なお、上述したケース1,3は、欠陥像dfの中心が、センサ画素P2(P3)の、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺q3(q1)の長さ方向中央部から通過方向出口側にずれて通過する場合であるが、図示省略した、欠陥像dfの中心が逆側の通過方向入口側にずれて通過する場合でも、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)は、センサ画素境界辺qの長さ方向中央部に関して形状的に線対称になるだけなので、上述したケース1,3と同様にして、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)同士の対称性判断を行える。
このようにして、対称性判断部75によって、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)相互の対称性が確認されると、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの信号特徴C(P)は、対称性判断部75から座標算出部76に供給される。
座標算出部76は、対称性判断部75によって対称性が確認され、欠陥像dfを含んで連設したセンサ画素Pそれぞれの信号特徴C(P)を、演算基本データ記憶部74に演算基本データとして記憶されているデータテーブルと対照して、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を演算する。
例えば、欠陥検査装置1が、表面検査装置に適用されるものであるならば、その座標位置データは、半導体ウェハ30の回転中心を原点とするウェハ半径方向の距離rと 回転基準位置に対しての偏角θとからなる円座標(r−θ座標)で算出され、パターン検査装置に適用されるものであるならば、所定位置を原点とするウェハ表面上での直交座標(x−y座標)で算出される。
図6に示した、平行四辺形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61では、座標算出部76では、例えば、次のようにして、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上での座標算出を行うことができる。
欄610,620,630で示した、対称性判断部75によって対称性が確認され、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)は、いずれもセンサ画素Pの欠陥像dfの通過方向に係る中央位置と欠陥像dfの中心位置とが一致するサンプリングタイミング状態のセンサ画素Pそれぞれの画素出力の信号特徴C(P)である。
そのため、座標算出部76は、この対称性判断部75によって対称性が確認された信号特徴C(P1)〜C(P3)を抽出したときのサンプリングレート及びサンプリング時間で規定されるサンプリングタイミングから、欠陥像dfに該当する欠陥に係り、半導体ウェハ30のウェハ表面上での主走査方向(R方向又はX方向)の座標位置データ(θ又はx)を取得することができる。
また、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上での副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、この信号特徴C(P1)〜C(P3)を抽出したとき欠陥像の中心が、どのセンサ画素Pの斜辺状のセンサ画素境界辺q1,q3を、欠陥像dfの通過方向に係るどの位置で、すなわちどのようなサンプリングレートにおけるどのサンプリングタイミングで通過しているかを検出することによって取得することができる。
そこで、座標算出部76は、対称性判断部75によって対称性が確認され、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設されたセンサ画素P1〜P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)相互の相関を基に、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を、例えば、図6中の欄610,620,630で示したようなケース1,2,3では、次のようにして取得している。
欄610で示した、欠陥像dfの中心が、欠陥像dfの中心が、平行四辺形形状のセンサ画素P2の、欠陥像dfの通過方向msに平行な対角線上を通過するケース1では、センサ画素P2を挟んでそれぞれ両側に配置されているセンサ画素P1の画素出力の信号特徴C(P1)とセンサ画素P3の画素出力の信号特徴C(P3)とが、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfがセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tpに相当する時間経過t0〜t1の半分の時間経過t1/2に関して、センサ画素P1の画素出力の信号特徴C(P1)とセンサ画素P3の画素出力の信号特徴C(P3)との間で、波形として表現可能な互いの画素出力特性に線対称な相関が生じる。
そのため、座標算出部76は、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素P1〜P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)について、信号特徴C(P)相互の相関演算を行う。その結果、座標算出部76は、この画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)を取得したサンプリングタイミングとこれら画素出力の信号特徴C(P)相互の上述した相関演算結果とに基づいて、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を算出することができる。
この場合、座標算出部76は、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、例えば、このサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P2の中心のウェハ表面上における副走査方向(r方向又はY方向)の走査位置で算出することができる。
欄620で示した、欠陥像dfの中心が、センサ画素P2(P3)の、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺q3(q1)の長さ方向中央部を通過するケース2では、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfがセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tpに相当する時間経過t0〜t1の半分の時間経過t1/2に関して、センサ画素P2の画素出力の信号特徴C(P2)とセンサ画素P3の画素出力の信号特徴C(P3)との間で、波形として表現可能な互いの画素出力特性に、線対称な相関が生じるようになる。
そのため、座標算出部76は、いずれも欠陥像dfが画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素P1〜P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)について、信号特徴C(P)相互の相関演算を行う。その結果、座標算出部76は、この画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)を取得したサンプリングタイミングとこれら画素出力の信号特徴C(P)相互の上述した相関演算結果とに基づいて、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を算出することができる。
この場合、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、例えば、このサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P2、P3それぞれの中心のウェハ表面上における副走査方向(r方向又はY方向)の走査位置を平均する等の方法で算出することができる。
欄630で示した、センサ画素P2(P3)の、欠陥像dfの画素面上の通過方向msに対して傾斜しているセンサ画素境界辺q3(q1)の長さ方向中央部から通過方向出口側にずれて通過するケース3では、センサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)それぞれが、上述したケース1又はケース2のような特別の相関関係を有さず、画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)の大きさ、及び画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)相互の関係が、上述したケース1又はケース2の相関関係を有する場合に対して変化した関係になっている。
そのため、座標算出部76は、欠陥像dfがいずれも画素面上を通過する配列方向に連設された複数のセンサ画素P1〜P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)について、信号特徴C(P)相互及び信号特徴C(P)それぞれの相関演算を行う。その結果、座標算出部76は、この画素出力の信号特徴C(P1)〜C(P3)を取得したサンプリングタイミングとこれら画素出力の信号特徴C(P)相互及び信号特徴C(P)それぞれの上述した相関演算結果とに基づいて、欠陥像dfに該当する欠陥の、半導体ウェハ30のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)を算出することができる。
この場合、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)は、例えば、このサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)と上述したケース1又はケース2のセンサ画素P1,P2,P3それぞれの画素出力の信号特徴C(P1),C(P2),C(P3)との間での相関関係の変化率を算出し、この変化率に応じてこのサンプリングタイミングにおけるセンサ画素P2の中心のウェハ表面上における副走査方向(r方向又はY方向)の走査位置を修正して算出することができる。
なお、上述したケース3,1は、欠陥像dfの中心が、通過方向msに対し垂直な方向に互いに対向する一対の斜辺を形成するセンサ画素境界辺q1,q3の一方をその長さ方向中央部から欠陥像dfの通過方向出口側にずれて通過する場合であるが、図示省略した、欠陥像dfの中心が逆側の通過方向入口側にずれて通過する場合でも、上述したケース2,3と同様にして、欠陥像dfに該当する欠陥のウェハ表面上の副走査方向(r方向又はY方向)の座標位置データ(r又はy)の算出を行える。
このような本実施の形態に係る欠陥検査装置1及び撮像素子61によれば、第1の実施の形態に係る欠陥検査装置1及び撮像素子61と同様に、撮像素子61上でのセンサ画素Pに対する欠陥像dfの通過位置が走査方向(欠陥像の通過方向)に対して垂直方向(照明スポット32の副走査方向)に変化し、照明ビームが照射された光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥から発生する散乱光の一のセンサ画素Pの検出光量が変わってしまう場合であっても、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を精度よく検出することができる。また、欠陥像及び欠陥の検出信号波形の検出再現性が向上するとともに、欠陥検出感度も向上する。
<第3の実施の形態>
図1において、第1,第2の実施の形態に係る欠陥検査装置1では、検出信号処理部70は、A/D変換器71と、信号特徴抽出部72と、欠陥情報演算処理部73と、演算基本データ記憶部74とを有する構成であったのに対し、本実施の形態に係る欠陥検査装置1では、信号特徴抽出部72に、さらにノイズしきい値記憶部78が付設されている。 欠陥検査装置1では、信号特徴抽出部72は、欠陥情報演算処理部74へセンサ画素P毎の画素出力の信号特徴を供給するのに当たって、光検出器60L,60Hから散乱光検出信号として供給されるセンサ画素Pそれぞれの画素出力に含まれる背景ノイズ成分によって欠陥情報演算処理部73で算出エラーが起きるのを回避するため、ノイズしきい値記憶部78に記憶されているノイズ閾値THnを基に、AD変換器71を介して逐次取り込んで取得したセンサ画素Pそれぞれの画素出力から背景ノイズ成分を除去し、センサ画素P毎の画素出力の信号特徴C(P)を生成するようになっている。
図7は、信号特徴抽出部が行うセンサ画素Pそれぞれの画素出力から背景ノイズ成分を除去する背景ノイズ成分除去処理の説明図である。
図7は、図6で示した欄610,620,630で示したケース1,2,3それぞれの、光学解像度(欠陥像サイズ)の欠陥の欠陥像dfが撮像素子61のセンサ画素P0,P1,P2,P3,・・・を通過する状態において、センサ画素Pそれぞれの画素出力から背景ノイズ成分を除去し、センサ画素P毎の画素出力の信号特徴C(P)を生成する状態を示している。図7において、図6と重複する部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
ここで、センサ画素P毎の背景ノイズ成分を除去した画素出力の信号特徴C(P)は、図7に示すように、ノイズ成分を除去する前のセンサ画素P毎の画素出力の信号特徴C(P1),C(P2) ,C(P3) ,…からノイズ閾値THn以下の信号特徴部分を取り除いたものであり、背景ノイズ成分を除去する前のセンサ画素Pの画素出力の中の、ノイズ閾値以上の画素出力部分(出力光量部分)になる。
<第4の実施の形態>
図8は、本実施の形態に係る欠陥検査装置に適用される撮像素子の構成図である。
本実施の形態に係る欠陥検査装置は、図1に示した欠陥検査装置1と同様な構成で、撮像素子61のセンサ画素の構成のみが異なっている。
図8に示すように、本実施の形態に係る欠陥検査装置1に適用される撮像素子のセンサ画素Pはいずれも、図6に示した撮像素子61の平行四辺形形状のセンサ画素Pとは異なり、回折限界の光学解像度(光学解像度;0.61*λ/NA、λ;照明波長、NA;レンズ開口数)の欠陥像dfが内接可能な、欠陥像dfに外接する大きさの平行四辺形形状になっている。
図8(A)〜(C)に示したセンサ画素Pは、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfが図中に示した通過方向msに沿って画素面上を通過する際、欠陥像dfの中心がセンサ画素Pの画素面の中心を通過する場合は、欠陥像dfは、図4に示した二等辺三角形形状のセンサ画素Pの場合と同様に、全てのセンサ画素境界辺q1,q2,q3,q4と一時的に内接し、この内接時には、センサ画素Pの画素面上で欠陥像dfの全部が重なる形状及び大きさになっている。
その欠陥像dfの内接時には、図8(A)〜(C)に示した平行四辺形形状のセンサ画素Pの場合は、通過方向msに対して互いに垂直で、通過方向msに互いに対向している一対のセンサ画素境界辺q2,q4も当接しているため、欠陥像dfの中心とセンサ画素Pの画素面の中心とが一致することになる。これにより、センサ画素Pを欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向、すなわち照明スポット32の副走査方向に複数配列して撮像素子61を構成した際には、通過方向msに垂直な方向、すなわち照明スポット32の副走査方向に沿って、欠陥像dfの中心の副走査方向の通過位置が内接位置からずれるのにしたがって、一のセンサ画素Pの画素出力をずれ量に応じて変化させることができる。これにより、照明スポット32の副走査方向の送りを早くすることができる。
また、その場合でも、図8(B)に示したセンサ画素Pは、センサ画素Pを欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向、すなわち照明スポット32の副走査方向に複数配列する際、センサ画素Pの画素数を増加させたり、SN比を低減させたりすることなく、通過方向msに垂直な方向に沿った撮像素子61の検出面長さを拡大することができる。また、図8(C)に示したセンサ画素Pは、背景ノイズ成分と信号成分との比であるSN比が最大になる。
これに対し、図8(D)に示した平行四辺形形状のセンサ画素Pの場合は、図6に示した平行四辺形形状のセンサ画素Pとは異なり、センサ画素Pの中心を欠陥像dfの通過方向msに平行な対角線上に配置する規制がなく、欠陥像dfが通過方向msに垂直な方向に平行な一対の対辺q2,q4の間に内接できればよいので、光学解像度(欠陥サイズ)の欠陥像dfが照明スポット32の走査(主走査)に同期して一のセンサ画素P上を通過するのに要する通過時間Tp、すなわち欠陥像dfのサンプリング時間を大きくすることができる。
<第5の実施の形態>
図9は、欠陥検査装置の信号処理規模を低減する一実施の形態の説明図である。
図9は、図2に示した、二等辺三角形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、隣接するセンサ画素P同士の高さ方向の向きを互いに逆向きにして、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61を備えた光検出器60L,60Hを有する欠陥検査装置1を、図8に示した平行四辺形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61を備えた光検出器60L,60Hを有する欠陥検査装置1として機能させたものである。
本実施の形態に係る欠陥検査装置1は、図1に示した欠陥検査装置1と同様な構成で、図2に示した二等辺三角形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、隣接するセンサ画素P同士の高さ方向の向きを互いに逆向きにして、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に複数配列して構成された撮像素子61を備えた光検出器60L,60Hにおいて、検出信号処理部70への散乱光検出信号の送出構成が異なる。
光検出器60L,60Hには、図9に示すように、隣接するセンサ画素Pの画素出力を加算する加算器63が設けられた構成になっている。これにより、二等辺三角形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・を、それぞれ隣接する二等辺三角形形状のセンサ画素P0,P1,P2,・・・底辺同士を一対の対辺として使用した平行四辺形形状のセンサ画素Pm・m+1,Pm+1・m+2(ただし、m=0,1,2,…,n-2)として機能させることができるようになっている。
これにより、センサ画素の画素面積の半分が重なり合い、欠陥像の通過方向msに対して傾斜方向が異なる一対の対辺を有した2種類の平行四辺形形状のセンサ画素Pm・m+1,Pm+1・m+2それぞれを、欠陥像の通過方向msの垂直方向に配列した撮像素子61を構成でき、システム構成上、欠陥情報演算処理部73による信号処理の規模を小さく抑えながら、センサ画素Pm・m+1,Pm+1・m+2上の欠陥像の通過位置による検出感度、検出再現性の性能確保がはかれる。
なお、図示の例では、光検出器60L,61H側で同様に加算器を設けて平行四辺形形状のセンサ画素Pm・m+1,Pm+1・m+2(ただし、m=0,1,2,…,n-2)を形成することとしたが、検出信号処理部70の信号特徴抽出部72で加算器63を用いて行う構成とすることも可能である。
<第6の実施の形態>
図10は、センサ画素サイズが光学解像度(欠陥サイズ)に対し大きい単画素の撮像素子を備えた光検出器を有する欠陥検査装置に適用した説明図である。
欠陥検査装置1は、2つの直角三角形形状のセンサ画素P1,P2を、隣接するセンサ画素P同士の高さ方向の向きを互いに逆向きにして、欠陥像dfのセンサ画素Pに対する通過方向msに垂直な方向に配列して構成された撮像素子61を有する。
センサ画素P1,P2それぞれの画素面は、光学解像度(欠陥サイズ)に対し大きくなっている。欠陥検査装置1は、上述した撮像素子61を有する光検出器60L,60Hが異なる以外は、その構成、作用とも、第1の実施の形態の欠陥検査装置1の構成、作用と同様である。
本実施の形態の欠陥検査装置1においても、センサ画素P1,P2のセンサ画素サイズが大きくても、第1の実施の形態に係る欠陥検査装置1及び撮像素子61と同様に、撮像素子61上でのセンサ画素Pに対する欠陥像dfの通過位置が走査方向(欠陥像の通過方向)に対して垂直方向(照明スポット32の副走査方向)に変化しても、欠陥像dfに該当する欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を精度よく検出することができる。また、欠陥像及び欠陥の検出信号波形の検出再現性が向上するとともに、欠陥検出感度も向上する。
さらに、照明スポット32の副走査方向に沿った照明スポット32の照度分布を均一にしても欠陥の半導体ウェハ30上での座標位置を精度よく検出することができるので、照度分布をガウス分布にした照明スポットを重ね走査する必要がなく、検査スループット、検出再現性、検出感度の向上がはかれる。
次に、上記説明した本発明の実施の形態に係る欠陥検査装置1、及びこれに適用される撮像装置61の作用・効果について、比較例と対比して説明する。
<比較例1>
図11は、第1の比較例を示した図である。
撮像素子611は、正方形形状のセンサ画素Pを複数配列した構成になっている。
撮像素子611のセンサ画素Pの画素サイズと欠陥の光学解像度(欠陥像サイズ)とが同等の場合は、撮像素子611上でのセンサ画素Pに対する欠陥像dfの通過位置が走査方向に対して垂直方向に変化すると、その画素出力も変化し、欠陥の検出像のSN比も変化してしまう。例えば、欠陥像dfの中心が撮像素子611のセンサ画素Pの中央部と一致せず、このセンサ画素P1と隣接するセンサ画素P2との境界部に欠陥像dfの中心が一致しながら、欠陥像P1の一部のみがこのセンサ画素上を通過する場合、このセンサ画素Pの画素出力のSN比は最大1/2に低下する。
<比較例2>
図12(A)は、第2の比較例を示した図である。
図12(A)に示すように、図11に示した撮像素子611において、欠陥像dfの通過方向に垂直な方向に沿った画素サイズ寸法ryを、半分の寸法ry/2とし、互いに隣接するセンサ画素の画素出力を平均化することによって画素出力を求める隣接画素平均化処理を行う構成になっている。この場合、各センサ画素Pの画素出力のSN比は1/(√2)に改善されるが、この処理では欠陥の光学解像度を1/2にしてしまい、解像した欠陥のサイズは実際のサイズの2倍になってしまう。
<比較例3>
図12(B),(C)は、第3の比較例を示した図である。
図12(B),(C)に示すように、撮像素子611が単センサ画素である場合、画素出力のSN比が微小な欠陥を検出可能な高い値であっても、その画素サイズryが欠陥の光学解像度に比して大き過ぎる場合は、照度分布をガウス分布にした照明スポット32を重ね走査しなければウェハ表面上における欠陥dfの位置を検出することができず、検査時間も増加する。
このような比較例との対比より明らかなように、本発明の実施の形態に係る欠陥検査装置1、及びこれに適用される撮像装置61によれば、高感度な検査を行うことが可能となり、欠陥の検出再現性を向上させることが可能となる。
なお、本発明の実施の形態は上記に限るものではなく、種々の実施の形態が可能である。例えば、撮像素子は、複数のセンサ画素を所定方向に配列して構成された撮像素子の各センサ画素は、センサ画素の外縁部を形成する複数のセンサ画素境界辺の中、配列方向に相対向する一対のセンサ画素境界辺の中の少なくとも一方が、所定方向に対して垂直な、欠陥像の通過方向に対して傾斜していればよく、具体的形状は、台形形状等、種々の具体的形状が適用可能である。
また、検査装置は半導体ウェハの外観検査装置に限るものではなく、検出信号処理部70の処理構成等も、上記撮像素子の具体的構成に応じた処理の変形が可能である。