JP5926138B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、排ガスと貯湯タンクの湯水とを熱交換するための熱交換器を有する燃料電池システムに関する。
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と酸素含有ガス(空気等)とを用いて、例えば、600〜1000℃の高温下で発電する固体酸化物形の燃料電池セルが知られている。そして、この燃料電池セルに加熱された酸素含有ガスまたは燃料ガスを供給するための加熱ガス供給手段と、加熱されていない低温の酸素含有ガスまたは燃料ガスを供給するための低温ガス供給手段とを備えた燃料電池装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。燃料電池セルはハウジング内に収納され、燃料電池組立体が構成されている。
この特許文献1では、燃料電池セルの温度が上昇した際には、例えば、排ガスと熱交換して加熱された酸素含有ガスに低温の酸素含有ガスが混合されて、燃料電池セルに供給されるため、燃料電池セルおよびその近傍の温度上昇を抑制でき、発電室内の温度をコントロールすることができる。
特開2005−158526号公報
従来の燃料電池システムでは給湯装置を具備しており、高温の排ガスと低温の酸素含有ガスとを第1熱交換器で熱交換させた後、燃料電池組立体からの排ガスと貯湯タンク内の水とを第2熱交換器で熱交換させ、温水を生成し貯湯タンクに貯湯している。第1熱交換器で酸素含有ガスが昇温されて燃料電池セルに導入されるため、燃料電池セルが高温になり、発電性能が向上する。しかしながら相対的に温水を生成するための排ガスの熱量が減少することで、温水の生成量が減少する。これにより給湯需要を満足できない場合があった。
本発明は、貯湯タンク内の湯水減少に対応して、貯湯タンク内の湯水を迅速に増加できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の燃料電池システムは、ハウジングと、該ハウジング内に収納された燃料電池と、該燃料電池に前記ハウジング外から酸素含有ガスを導入するための酸素含有ガス導入装置と、前記燃料電池に前記ハウジング外から燃料ガスを導入するための燃料ガス導入装置と、前記ハウジング内の排ガスを排出するための排ガス導出装置と、前記酸素含有ガス導入装置を流れる酸素含有ガスと前記排ガス導出装置を流れる排ガスとを熱交換するための第1熱交換器と、貯湯タンクと、該貯湯タンク内の貯湯量を測定する貯湯量センサと、前
記第1熱交換器から排出された排ガスと前記貯湯タンクの湯水とを熱交換するための第2熱交換器と、前記酸素含有ガスを、前記第1熱交換器を介さずに前記ハウジング内の前記
燃料電池に供給する酸素含有ガスバイパス装置と、前記貯湯量センサで求められた前記貯湯タンク内の貯湯量が所定値以下に低下した場合に、前記第1熱交換器を通過していた前
記酸素含有ガス量の一部または全部を、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給するように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御する制御装置とを具備しており、前記制御装置は、前記第1熱交換器を通過していた前記酸素含有ガス量の一部または
全部を、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給するように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御している最中に、前記第2熱交換器に導入される排ガスの温度が所定温度以上になった場合には、前記制御装置は、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給する酸素含有ガス量を減少させるように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御することを特徴とする。
本発明の燃料電池システムによれば、貯湯タンク内の貯湯量が所定値以下に低下した場合には、第1熱交換器を通過していた酸素含有ガス量の一部または全部を、酸素含有ガス
バイパス装置を介して燃料電池に供給するため、第2熱交換器には温度が高い排ガスが導入され、貯湯タンク内の湯水と熱交換するため、貯湯タンク内の湯水温度を上昇させ、貯湯量を増加でき、貯湯タンク内の湯水減少に対応して、貯湯タンク内の貯湯量を迅速に増加できる。
燃料電池システムの概略構成を示す図である。 ハウジング外に第1熱交換器を具備する燃料電池システムの概略構成を示す図である。 フローチャートを示す図である。 ハウジング内に第1熱交換器を具備する燃料電池組立体の断面図である。 図4の平面図である。 図4の燃料電池組立体に使用されている発電ユニット集合体を示す斜面図である。 図6の発電ユニットを示す斜視図である。 図6のセルスタックを示す横断面図である。 図4に示す燃料電池組立体を外装ケース内に収納してなる燃料電池装置を示す斜視図である。
図1は、燃料電池システムの一形態を示す構成図である。このような燃料電池システムは、本実施形態の発電を行なう燃料電池装置、熱交換後の湯水を貯湯する貯湯ユニットとから構成されており、これらの間は水を循環させるための循環配管で連結されている。
図1に示す燃料電池システムは、天然ガス等の原燃料(被改質ガスに相当)を供給する燃料ガス供給装置2、被改質ガスを改質するための改質触媒を内部に有する改質部と、改質部に供給する水蒸気を生成するための気化部とを有する改質器4、燃料電池セル(燃料電池)1に酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給装置3とを具備している。なお、改質部には、部分酸化改質、オートサーマル改質および水蒸気改質の少なくとも1種の改質方法を行なうことができる改質触媒が配置されている。
燃料ガス供給装置2は、天然ガス等の原燃料を改質器4に供給するためのポンプ5および燃料ガス供給管6を具備しており、酸素含有ガス供給装置3は、空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル1に供給するためのブロア7および酸素含有ガス供給管8を具備している。
ここで図1に示す燃料電池システムにおいては、改質器4で水蒸気改質を行う場合に必要な水の供給元として、燃料電池1より排気される排ガスと水との熱交換により生じる凝縮水を主に用いることができる。
すなわち、図1に示す燃料電池システムにおいては、燃料電池セル1の発電により生じた排ガス(排熱)と酸素含有ガスとで熱交換を行なう第1熱交換器9、この第1熱交換器9の排ガス下流側に設けられ、排ガス(排熱)と水とで熱交換を行なう第2熱交換器13、熱交換により生成された凝縮水を貯水する凝縮水タンク(図示せず)が設けられており
、凝縮水タンクに貯水された水(凝縮水)が、水ポンプにより改質器4(気化部)に供給されるように構成されている。
なお、図1に示す燃料電池システムにおいては、凝縮水タンクに貯水される水の量が少ない場合に、外部から改質器4(気化部)に水(水道水等)を供給することができるよう、水処理装置Xを具備する水供給装置11が併設されている。ここで、水処理装置Xは、水を浄化するための活性炭フィルタ装置、逆浸透膜装置および浄化された水を純水にするためのイオン交換樹脂装置等の各装置から構成されている。
また、改質器4は、燃料電池セル1とともにハウジング10内に収納され、かつ燃料電池セル1の一端側の上方に配置されている。それにより、燃料電池セル1に供給される燃料ガス(改質ガス)または改質器4(改質部)で未反応のガス(被改質ガス)を、燃料電池セル1の一方の端部側で燃焼させることにより、排ガスが燃焼排ガスとなり、改質器4(改質部および気化部)の温度をさらに上昇させることができ、ハウジング10内を高温に維持でき、燃料電池セル1の発電温度を高温に維持できるとともに、排ガスが高温となるため、酸素含有ガス、湯水との熱交換効率を向上できる。
燃料電池セル1の上端と改質器4との間が、燃焼部Fとされている。ハウジング10内に燃料電池セル1、改質器4等を収納して燃料電池組立体12が構成されている。
さらに、図1に示す燃料電池システムは、燃料電池セル1にて発電された直流電力を交流電力に切り替え外部負荷に供給するためのパワーコンディショナ(図示せず)が設けられており、このパワーコンディショナを系統電源(負荷)と接続することで、燃料電池セル1の発電が開始されるとともに、負荷追従運転が開始されることとなる。
そして、図1に示す燃料電池システムは、パワーコンディショナ等を制御する制御装置14が設けられている。なお、各制御については後述するものとし、制御装置14は後述する外装ケース内に収納する、もしくは外装ケース外に別個に設けることができる。
さらに、図1においては、第2熱交換器13の出口側に設けられ第2熱交換器13の出口を流れる水(循環水流)の水温を測定するための出口水温センサ15、および第2熱交換器13の入口側に設けられ第2熱交換器13の入口を流れる水(循環水流)の水温を測定するための入口水温センサ16が設けられており、上述した各装置および後述する循環ポンプ17を外装ケース内に収納することにより、燃料電池装置が構成されている。
また貯湯ユニットは、第2熱交換器13での熱交換後の湯水を貯湯するための貯湯タンク18を具備して構成され、さらに、第2熱交換器13と貯湯タンク18との間で水を循環させるための循環配管19が設けられている。貯湯タンク18内には、貯湯量センサ20が設けられており、所定温度以上の貯湯量が測定され、そのデータが制御装置14に送られるようになっている。
この貯湯量センサ20は、貯湯タンク18内において所定温度以上の湯水がどの程度貯湯されているかを検出することができる。
また、燃料電池セル1としては、各種燃料電池セルが知られているが、燃料電池を小型化する上で、固体酸化物形燃料電池セルとすることができる。それにより、燃料電池のほか、燃料電池の動作に必要な補機類を小型化することができ、燃料電池装置を小型化することができる。またあわせて、家庭用燃料電池で求められる変動する負荷に追従する負荷追従運転を行なうことができる。
そして、本実施形態では、酸素含有ガス供給装置3の酸素含有ガス供給管8には、第1熱交換器9が設けられており、ハウジング10からの排ガスと熱交換するように構成されている。排ガスは、ハウジング10から排ガス導出装置27を介して導出され、排ガス導出装置27は排ガス導出管28を具備している。また、酸素含有ガス供給管8には、第1熱交換器9を迂回するようにバイバス管21が配置されており、酸素含有ガス供給管8とバイバス管21との上流側の分岐する位置には、分流器22が設けられている。
この分流器22よりも酸素含有ガス下流側の酸素含有ガス供給管8には、酸素含有ガス温度を測定するための温度計23が設けられ、酸素含有ガス供給管8とバイバス管21との合流地点よりも下流側には、熱交換された酸素含有ガスの温度、もしくは熱交換された酸素含有ガスと熱交換されない酸素含有ガスとの混合ガスの温度を測定するための温度計24が設けられている。分流器22とバイバス管21とを具備して酸素含有ガスバイパス装置25が構成されている。
また、第1熱交換器9と第2熱交換器13との間の排ガス導出管28には、排ガス温度を測定する温度計26が設けられている。
制御装置14は、貯湯量センサ20からのデータを基に、貯湯タンク18内の貯湯量が所定値以下に減少した場合(湯水需要が増加した場合)には、排ガスと第1熱交換器9で
熱交換していた酸素含有ガスの一部または全部を、第1熱交換器9を通過することなく迂
回させ、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するように、分流器22を制御する。
貯湯タンク18内の貯湯量が所定値以下に減少した場合とは、貯湯量センサ20の測定データから、所定温度以上の湯水が所定量以上減少した場合(第1熱交換器9で酸素含有
ガスを加熱していた場合には間に合わない場合)をいう。例えば、70℃以上の湯水が100リットル以下となった場合をいう。
酸素含有ガスの一部を第1熱交換器9で熱交換し、その他を、酸素含有ガスバイパス装
置25を介して燃料電池セル1に供給する場合、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給する酸素含有ガスの割合は、貯湯量の低下状態で変更することができる。例えば、所定量から少し低下した場合には全体の50%、かなり低下した場合には、全量、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給することができる。
制御装置14は、第1熱交換器9を通過していた酸素含有ガスの一部または全部を、酸
素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するように酸素含有ガスバイパス装置25の分流器22を制御する際に、燃料電池セル1に供給する燃料ガスを増加するように燃料ガス導入装置2を制御することが望ましい。
酸素含有ガスの一部または全部が第1熱交換器9で予熱されないため、酸素含有ガスは
低温となり、ハウジング10内が低温となりやすいが、燃料電池セル1に供給する燃料ガスを増加し、燃焼ガスからなる排ガス量が増加することで、ハウジング10内を高温に維持でき、燃料電池セル1の発電温度を維持できるとともに、排ガスがさらに高温となるため、酸素含有ガス、湯水との熱交換効率をさらに向上できる。
ここで、燃料ガスを増加する量は、制御装置14は、酸素含有ガスが第1熱交換器9で
加熱された熱量に相当する燃焼熱量を生成する増加量またはそれ以上の増加量となるように、燃料ガス供給装置2のポンプ5を制御することが望ましい。これにより、酸素含有ガスが第1熱交換器9で加熱される分だけ燃料ガスが増加され、燃焼されるため、本来燃料
電池セル1が加熱される予定であった温度に、燃料ガス増量で対応することができ、ハウジング10内の温度を安定に保つことができる。
酸素含有ガスが第1熱交換器9で加熱された熱量は、第1熱交換器9の前後における酸素含有ガスの温度を測定する温度計23、24の温度差と、第1熱交換器9を通過する酸素
含有ガス量を用いて算出することができる。なお、この際、第1熱交換器9で加熱する前
の酸素含有ガスの温度は、温度計23で測定された温度を用いることなく、例えば、酸素含有ガスのブロア7吸込み部の周辺の空気温度を計測しても良いし、固定した基準温度を用いても良く、カレンダー・時計より推測した推定値でも良い。
また、燃料ガスを増加する場合には、制御装置14は、改質器4に供給される水量も増加させるようにポンプ(図示せず)を制御することが望ましい。これにより改質器4での炭素析出を抑制できる。また、燃料ガスを増加する場合には、制御装置14は、燃料電池セル1に供給される酸素含有ガス量も増加させるように、酸素含有ガス供給装置3のブロア7を制御することが望ましい。これにより、燃料電池セル1に供給され、発電反応に用いられなかった燃料ガスの燃焼性を向上できる。
さらに、燃料ガスを増加する場合に、改質器4に供給される水量、燃料電池セル1に供給される酸素含有ガス量を増加させる場合には、燃料ガス、水、酸素含有ガスによる増加熱量が加味されることが望ましい。
また、制御装置14は、第1熱交換器9を通過していた酸素含有ガスの一部または全部
を、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するように酸素含有ガスバイパス装置25の分流器22を制御する際に、燃料電池セル1に供給する燃料ガスを段階的に増加もしくは漸次増加するように燃料ガス導入装置2のポンプ5を制御することが望ましい。これにより、燃料電池セル1の温度が急激に低下することを抑制でき、燃料電池セル1の劣化を抑制できる。また、第2熱交換器13に流入する排ガス温度が一挙に高くなることを防止し、第2熱交換器13を流れる湯水の沸騰を防止できる。
さらに、制御装置14は、第1熱交換器9を通過していた酸素含有ガスの一部または全
部を、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するように酸素含有ガスバイパス装置25の分流器22を制御している最中に、第2熱交換器13に流入する排ガスの温度(温度計26の温度)が所定温度以上になった場合には、制御装置14は、燃料電池セル1に供給していた酸素含有ガス量のうち、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給する酸素含有ガス量を減少させるように酸素含有ガスバイパス装置25を制御することが望ましい。
これにより、第2熱交換器13に流入する排ガス温度が一挙に高くなることを防止し、第2熱交換器13を流れる湯水の沸騰を防止できる。
第2熱交換器13に流入する排ガスの温度を基準に、酸素含有ガスバイパス装置25を流れる酸素含有ガス量を制御したが、例えば、排ガスの温度(温度計26の温度)と、酸素含有ガス供給装置3を流れる酸素含有ガス量との積で表わされる熱量を算出して、この熱量が所定値以上となった場合に、制御装置14は、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給する酸素含有ガス量を減少させるように酸素含有ガスバイパス装置25を制御することができる。
なお、制御装置14は、第1熱交換器9を通過していた酸素含有ガスの一部または全部
を、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するように酸素含有ガスバイパス装置25の分流器22を制御している最中に、ハウジング10内の温度が所定
温度以上になった場合には、制御装置14は、燃料電池セル1に供給している酸素含有ガス量のうち、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給する酸素含有ガス量を増加させるように酸素含有ガスバイパス装置25を制御することができる。この場合には、ハウジング10内の温度を最適温度に制御できる。
図2は、燃料電池組立体12の下面に第1熱交換器9を具備する例を示すもので、燃料電池組立体12は、直方体状のハウジング10の内部に、複数の燃料電池セル1を並設して電気的に直列に接続してなるセルスタックを収納して構成されており、ハウジング10の下面に第1熱交換器9が配置されている。
図3は、本形態の燃料電池システムの運転方法を示すフローチャートである。通常は、貯湯タンク18内の貯湯量が所定量以上であり、酸素含有ガスは、第1熱交換器9内を通
過し、排ガスと熱交換し、加熱されてハウジング10内に供給されている。
そして、給湯需要が増加した場合、すなわち、貯湯量センサ20で求められた貯湯量が所定値以下に低下した場合(第1熱交換器9で酸素含有ガスを加熱していた場合には間に
合わない場合)、制御装置14は、排ガスと第1熱交換器9で熱交換していた酸素含有ガ
スの一部または全部を、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するように制御する。
貯湯量が満蓄になった場合は、さらに給湯需要の増加に備える必要がある場合に、第2熱交換器13の出口温度(Th4)の制御温度を上げ、回収している温水の温度を上げる。
制御装置14は、充分に給湯需要に備えることができたと判断した場合には、酸素含有ガスを酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給する制御を停止し、第1熱交換器9を介して供給するように制御する。
このような燃料電池システムでは、貯湯タンク18内に、給湯需要に対応できる湯水が蓄えられているときは、ハウジング10内に導入される酸素含有ガスの予熱(第1熱交換
器9での排ガスによる加熱)でハウジング10内を高温状態に安定に保持でき、発電性能を向上できる。
さらに、貯湯タンク18内の湯水需要が増加した場合には、排ガスと第1熱交換器9で
熱交換していた酸素含有ガスの一部または全部を、第1熱交換器9を通過することなく迂
回して、酸素含有ガスバイパス装置25を介して燃料電池セル1に供給するため、より高温の排ガスが第2熱交換器13に導入され、貯湯タンク18内の湯水と熱交換するため、貯湯タンク18内の湯水温度を上昇させ、お湯生成量を増加でき、貯湯タンク18内の湯水減少に対応して、貯湯タンク18内の貯湯量を迅速に増加できる。
上記形態では、燃料電池組立体12とは別個に第1熱交換器9を有する場合について説
明したが、図4に示すように、燃料電池組立体のハウジング内に第1熱交換器を有する場
合であっても良い。
すなわち、図4、5及び図6を参照して説明すると、図示の燃料電池組立体は略直方体形状のハウジング10を具備している。このハウジング10の6個の壁面には適宜の断熱材料から形成された断熱壁、即ち上断熱壁44、下断熱壁46、右側断熱壁48、左側断熱壁49、前断熱壁50及び後断熱壁51が配設されている。ハウジング10内には燃焼部Fが規定されている。
前断熱壁及び/又は後断熱壁は着脱自在或いは開閉自在に装着されており、前断熱壁50及び/又は後断熱壁51を離脱或いは開動せしめることによって燃焼部F内にアクセスすることができる。所望ならば、各断熱壁の外面に金属板製でよい外壁を配設することができる。
ハウジング10内の上端部には空気室(ガス室)56が配設されている。空気室56は上下方向寸法が比較的小さい直方体形状のケース57内に規定されている。空気室56には、燃焼部Fに向かって空気(酸素含有ガス)を送り込むための空気導入管(ガス供給手段)62が連通している。空気導入管62は複数本あり、その形状は円筒や中空板構造などが考えられる。空気導入管62は後述するセルスタック間に配置されており、セルの下端部において開口し、この開口部から空気が噴出する構造となっている。空気導入管62はセラミックスなどの耐熱性の高い材料で作製するのが好適である。
そして、本発明の燃料電池組立体では、空気室56に、低温ガス供給管58からなる低温ガス供給手段が設けられており、この低温ガス供給管58は、上断熱壁44を貫通し、外部に延設されている。
この低温ガス供給管58は、空気室56内に供給されるガスと同一種、即ち、低温の空気を空気室56内に供給するものであり、低温ガス供給管58により供給される空気は、予熱された空気の温度よりも低温である必要がある。特には、室温程度が望ましい。
低温ガス供給管58は、図5に示すように、発電ユニット96a、96b、96c及び96d、即ち、燃料電池セル集合体の中央部を冷却するような空気室56の位置に接続されている。言い換えれば、発電ユニット96a、96b、96c及び96d間に配設された空気導入管62のケース57側板への開口部集合体中央に対して、対向するケース57側板の位置に開口するように低温ガス供給管58が設けられている。
ハウジング10の両側部、更に詳しくは右側断熱壁48の内側及び左側断熱壁49の内側には、全体として平板形状である第1熱交換器64が配設されている。第1熱交換器6
4の各々は実質上鉛直に延在する中空平板形態のケース66から構成されている。
かかるケース66内にはその横方向中間に位置する仕切板68が配設されており、ケース66内は内側に位置する排出路70と外側に位置する流入路72とに区画されている。排出路70内には上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁が配置されており、燃焼ガス排出路70はジグザグ形態にせしめられている。なお、上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁を形成する必要はなく、ジグザグ形態の流路以外の形態でも良い。
同様に、流入路72内にも上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁が配置されており、かくして流入路72もジグザグ形態にせしめられている。なお、上下方向に間隔をおいて3枚の仕切壁を形成する必要はなく、ジグザグ形態の流路以外の形態でも良い。
ケース66の内側壁の上端部には排出開口82が形成されており、排出路70は排出開口82を介して発電・燃焼室52と連通せしめられている。図示の実施形態においては、熱交換器64の各々と発電・燃焼室52との間には断熱部材84が配設されているが、かかる断熱部材84の上端は排出開口82の下縁と実質上同高乃至これより幾分下方に位置せしめられており、排出開口82は断熱部材84の上方に残留せしめられている空間を通して発電・燃焼室52に連通せしめられている。
ケース66の上壁における外側部には流入開口88が形成されており、流入路72はかかる流入開口88を介して空気室56に連通せしめられている。熱交換器64、流入開口
88は、加熱ガス供給手段を構成している。熱交換器64の各々の後方には上下方向に細長く延びる二重筒体90(図4にその上端部のみを図示している)が配設されており、かかる二重筒体90は外側筒部材92と内側筒部材94とから構成されている。排出路70の下端部は外側筒部材92と内側筒部材94との間に規定されている排出路の下端部に接続されており、流入路72の下端部は内側筒部材94内に規定されている流入路に接続されている。
而して、図示の燃料電池組立体における上述したとおりの構成は、本出願人の出願にかかる特許文献1(特開2005−158526号公報)に開示されている燃料電池組立体と実質上同一である。
上述した燃焼部Fの下部には4個の発電ユニット96a、96b、96c及び96dが配置されている。発電ユニット96a、96b、96c及び96dは、夫々、上述した空気導入管62間に位置せしめられている。言い換えれば、発電ユニット96a、96b、96c及び96d間に、空気導入管62が配設されている。図4、5と共に、図6、7を参照して説明を続けると、発電ユニット96aは前後方向(図1において紙面に垂直な方向)に細長く延びる直方体形状の燃料ガスケース98aを具備している。
燃料ガス室を規定している燃料ガスケース98aの上面上にはセルスタック100aが装着されている。セルスタック100aは上下方向に細長く延びる燃料電池セル1を燃料ガスケース98aの長手方向(即ち前後方向)に複数個縦列配置して構成されている。図8に明確に図示する如く、燃料電池セル1の各々は電極支持基板104、内側電極層である燃料極層106、固体電解質層108、外側電極層である酸素極層110、及びインターコネクタ112から構成されている。
電極支持基板104は上下方向に細長く延びる板状片であり、平坦な両面と半円形状の両側面を有する。電極支持基板104にはこれを鉛直方向に貫通する複数個(図示の場合は6個)の燃料ガス通路114が形成されている。燃料電池セル1の各々は燃料ガスケース98aの上壁上に、例えば耐熱性に優れたセラミック接着剤によって接合される。
燃料ガスケース98aの上壁には開口部(図示していない)が形成されており、この開口部に燃料電池セル1の下端部、支持部材5の下端部等が挿入され、セラミック接着剤で接合され、電極支持基板104の各々に形成されている燃料ガス通路114が燃料ガス室に連通せしめられる。
インターコネクタ112は電極支持基板104の片面(図8のセルスタック100aにおいて上面)上に配設されている。燃料極層106は電極支持基板104の他面(図8のセルスタック100aにおいて下面)及び両側面に配設されており、その両端はインターコネクタ112の両端に接合せしめられている。固体電解質層108は燃料極層106の全体を覆うように配設され、その両端はインターコネクタ112の両端に接合せしめられている。酸素極層110は、固体電解質層108の主部上、即ち電極支持基板104の他面を覆う部分上に配置され、電極支持基板板104を挟んでインターコネクタ112に対向して位置せしめられている。
セルスタック100aにおける隣接する燃料電池セル1間には集電部材116が配設されており、一方の燃料電池セル1のインターコネクタ112と他方の燃料電池セル1の酸素極層110とを接続している。セルスタック100aの両端、即ち図8において上端及び下端に位置する燃料電池セル1の片面及び他面にも集電部材116が配設されている。セルスタック100aの両端に位置する集電部材116には電力取出手段(図示していない)が接続されており、かかる電力取出手段はハウジング10の前断熱壁50及び/又は
後断熱壁51、または、下断熱壁46を通してハウジング10外に延在せしめられている。所望ならば、セルスタック100a、100b、100c及び100dの各々に電力取出手段を配設することに代えて、適宜の接続手段によってセルスタック100a、100b、100c及び100dを相互に直列接続し、4個のセルスタック100a、100b、100c及び100dに関して共通の電力取出手段を配設することもできる。
燃料電池セル1について更に詳述すると、電極支持基板104は燃料ガスを燃料極層106まで透過させるためにガス透過性であること、そしてまたインターコネクタ112を介して集電するために導電性であることが要求され、かかる要求を満足する多孔質の導電性セラミック(若しくはサーメット)から形成することができる。
燃料極層106は多孔質の導電性セラミック、例えば希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニアを称されている)とNi及び/又はNiOとから形成することができる。
固体電解質層108は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと空気とのリークを防止するためにガス遮断性を有するものであることが必要であり、通常、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrOから形成されている。
酸素極層110は所謂ABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電セラミックから形成することができる。酸素極層110はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
インターコネクタ112は導電性セラミックから形成することができるが、水素ガスでよい燃料ガス及び空気と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、このためにランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が好適に使用される。インターコネクタ112は電極支持基板104に形成された燃料ガス通路114を通る燃料ガス及び電極支持基板104の外側を流動する空気のリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが望まれる。
集電部材116は弾性を有する金属又は合金から形成された適宜の形状の部材或いは金属繊維又は合金繊維から成るフェルトに所要表面処理を加えた部材から構成することができる。
図7を参照して説明を続けると、発電ユニット96aは、セルスタック100aの上方を前後方向に細長く延びる長方体形状(或いは円筒形状)であるのが好都合である改質ケース118aも具備している。改質ケース118aの前面には燃料ガス送給管120aの一端即ち上端が接続されている。
燃料ガス送給管120aは下方に延び、次いで湾曲して後方に延び、燃料ガス送給管120aの他端は上記燃料ガスケース98aの前面に接続されている。改質ケース118aの後面には被改質ガス供給管122aの一端が接続されている。被改質ガス供給管122aは改質ケースから下方に延び、ハウジング10の下を通ってハウジング10外に延出している。
被改質ガス供給管122aは都市ガス等の炭化水素ガスでよい被改質ガス供給源(図示していない)に接続されており、被改質ガス供給管122aを介して改質ケース118aに被改質ガスが供給される。改質ケース118a内には燃料ガスを水素リッチな燃料ガス
に改質するための適宜の改質触媒が収容されている。
図示の実施形態においては、改質ケース118aは燃料ガス送給管120aを介して燃料ガスケース98aに接続され、これによって所要位置に保持されているが、所要ならば、図7に二点鎖線で図示する如く、例えば上記被改質ガス供給管122aの下面と燃料ガスケース98aの後端部下面或いは後面との間に適宜の支持部材124aを付設することもできる。
図6において説明すると、発電ユニット96cは上述した発電ユニット96aと実質上同一であり、発電ユニット96b及び96dは、発電ユニット96a及び96cに対して前後方向が逆に配置されていること、従って改質ケース118b及び118dと燃料ガスケース98b及び98dとを接続する燃料ガス送給管(図示していない)が後側に配置され、被改質ガス供給管122b及び122dが改質ケースから下方に延び、ハウジング10の下を通ってハウジング10外に延出している。
上述したとおりの燃料電池組立体においては、被改質ガスが被改質ガス供給管122a、122b、122c、122dを介して改質ケース118a、118b、118c及び118dに供給され、改質ケース118a、118b、118c及び118d内において水素リッチな燃料ガスに改質された後に、燃料ガス送給管120a、120b、120c、120dを通して燃料ガスケース98a、98b、98c及び98d内に規定されている燃料ガス室に供給され、次いでセルスタック100a、100b、100c及び100dに供給される。
セルスタック100a、100b、100c及び100dの各々においては、酸素極において、
1/2O+2e→O2−(固体電解質)
の電極反応が生成され、燃料極において、
2−(固体電解質)+H→HO+2e
の電極反応が生成されて発電される。
発電に使用されることなくセルスタック100a、100b、100c及び100dから上方に流動した燃料ガス及び空気は、起動時に発電・燃焼室12内に配設されている点火手段(図示していない)によって点火されて燃焼される。周知の如く、セルスタック100a、100b、100c及び100dにおける発電に起因して、そしてまた燃料ガスと空気との燃焼に起因して発電・燃焼室12内は例えば1000℃程度の高温になる。改質ケース118a、118b、118c及び118dは燃焼部F内に配設され、セルスタック100a、100b、100c及び100dの直ぐ上方に位置せしめられており、燃焼炎によって直接的にも加熱され、かくして燃焼部F内に生成される高温が被改質ガスの改質に効果的に利用される。
燃焼部F内に生成された燃焼ガスは第1熱交換器64に形成されている排出開口82か
ら排出路70に流入し、ジグザグ状に延在する排出路70を流動した後に二重筒体90の外側筒部材92と内側筒部材94との間に規定されている排出路を通して排出される。燃焼ガスが二重筒体90における排出路を流動する際には、二重筒体90における流入路を空気が流動し、燃焼ガスと空気との間で熱交換が行われる。
そしてまた、燃焼ガスが第1熱交換器64の排出路70をジグザグ状に流動せしめられ
る際には、空気が第1熱交換器64の流入路72をジグザグ状に流動せしめられる。かく
して燃焼ガスと空気との間で効果的に熱交換されて空気が予熱される。
このような第1熱交換器64をハウジング10内に収容してなる燃料電池組立体12も
、本実施形態の燃料電池システムに適用できる。
次に、燃料電池組立体12と、燃料電池組立体12を作動させるための補機(図示せず)とを外装ケースに収納してなる燃料電池装置について図9を用いて説明する。
図9に示す燃料電池装置は、支柱126と外装板127から構成される外装ケース内を仕切板128により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池組立体12を収納する燃料電池組立体収納室129とし、下方側を燃料電池組立体12を作動させるための補機を収納する補機収納室130として構成されている。なお、補機収納室130に収納する補機を省略して示している。
また、仕切板128には、補機収納室130の空気をモジュール収納室129側に流すための空気流通口131が設けられており、モジュール収納室129を構成する外装板127の一部に、モジュール収納室129内の空気を排気するための排気口132が設けられている。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
1:燃料電池セル(燃料電池)
2:燃料ガス導入装置
3:酸素含有ガス導入装置
9、64:第1熱交換器
10:ハウジング
13:第2熱交換器
14:制御装置
18:貯湯タンク
20:貯湯量センサ
25:酸素含有ガスバイパス装置
27:排ガス導出装置

Claims (4)

  1. ハウジングと、該ハウジング内に収納された燃料電池と、該燃料電池に前記ハウジング外から酸素含有ガスを導入するための酸素含有ガス導入装置と、前記燃料電池に前記ハウジング外から燃料ガスを導入するための燃料ガス導入装置と、前記ハウジング内の排ガスを排出するための排ガス導出装置と、前記酸素含有ガス導入装置を流れる酸素含有ガスと前記排ガス導出装置を流れる排ガスとを熱交換するための第1熱交換器と、貯湯タンクと
    、該貯湯タンク内の貯湯量を測定する貯湯量センサと、前記第1熱交換器から排出された排ガスと前記貯湯タンクの湯水とを熱交換するための第2熱交換器と、前記酸素含有ガスを、前記第1熱交換器を介さずに前記ハウジング内の前記燃料電池に供給する酸素含有ガ
    スバイパス装置と、前記貯湯量センサで求められた前記貯湯タンク内の貯湯量が所定値以下に低下した場合に、前記第1熱交換器を通過していた前記酸素含有ガス量の一部または
    全部を、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給するように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御する制御装置とを具備しており、
    前記制御装置は、前記第1熱交換器を通過していた前記酸素含有ガス量の一部または全
    部を、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給するように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御している最中に、前記第2熱交換器に導入される排ガスの温度が所定温度以上になった場合には、前記制御装置は、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給する酸素含有ガス量を減少させるように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池に供給され、発電に用いられなかった前記燃料ガスが燃焼することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記制御装置は、前記第1熱交換器を通過していた前記酸素含有ガス量の一部または全
    部を、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給するように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御する際に、前記燃料電池に供給する燃料ガスを増加するように前記燃料ガス導入装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御装置は、前記第1熱交換器を通過していた前記酸素含有ガス量の一部または全
    部を、前記酸素含有ガスバイパス装置を介して前記燃料電池に供給するように前記酸素含有ガスバイパス装置を制御する際に、前記燃料電池に供給する燃料ガスを段階的に増加もしくは漸次増加するように前記燃料ガス導入装置を制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
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