JP5925641B2 - 内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、目標トルクに応じて目標吸気量を設定し、吸気量を制御する内燃機関の吸気制御装置に関する。
従来の内燃機関の吸気制御装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この吸気制御装置では、内燃機関の目標トルクに応じて、目標吸気量が次のように設定される。まず、目標吸気量の暫定値である仮目標吸気量を初期値に設定する。次に、そのときの内燃機関の運転状態に応じ、この仮目標吸気量の吸気を内燃機関に供給したと仮定したときに設定されると推定される点火時期の推定リタード量を算出する。次に、これらの仮目標吸気量及び推定リタード量の条件の下で、内燃機関から出力されると推定されるトルクを、推定トルクとして算出する。
算出された推定トルクと目標トルクとの差が大きい場合には、推定トルクが目標トルクに近づくように、仮目標吸気量を修正する。具体的には、推定トルクが目標トルクよりも大きい場合には、仮目標吸気量を減少させ、逆の場合には、仮目標吸気量を増加させる。修正した仮目標吸気量に基づき、推定リタード量及び推定トルクを再度、算出する。そして、そのような処理を、推定トルクが目標トルクに収束するまで繰り返し行い、収束した時点における仮目標吸気量が、目標トルクを達成する目標吸気量として設定される。また、上記の処理を所定回数、実行しても、推定トルクが目標トルクに収束しない場合には、その時点での仮目標吸気量が目標吸気量として設定される。
特許第4832542号公報
内燃機関で燃焼する混合気の空燃比が一定値、例えば理論空燃比に制御される場合、通常、内燃機関のトルクは、吸気量が増加するにつれて、増加するという特性を有する。上述した従来の吸気制御装置は、そのようなトルクの出力特性を前提にしている。しかし、例えば、内燃機関が、高圧縮比エンジンで、特に高水温時や高吸気温時など、ノッキングを抑制するための点火時期のリタード量が比較的大きく設定されるような場合には、点火時期のリタードによる燃焼効率の低下により、吸気量が増加しても、内燃機関のトルクが増加しないか又は減少するという事象が生じる。その場合には、1つの目標トルクに対して、それを達成する複数の吸気量の解が存在することになる。
これに対し、従来の吸気制御装置では、仮目標吸気量の初期値から出発し、仮目標吸気量の修正と、修正された仮目標吸気量に基づいて推定された推定トルクの目標トルクへの収束状態の確認とを繰り返しながら、目標トルクを達成する吸気量を見出すという手法が採用されている。このため、仮目標吸気量の初期値の設定の仕方などによっては、上記の複数の吸気量の解のうち、より大きな吸気量の解を選択する可能性がある。その場合には、選択されたより大きな吸気量に応じて、トルクの増加に寄与しない余分な燃料が消費されるため、燃費が悪化する。また、例えば、仮目標吸気量がより大きな側の吸気量の解よりも大きな値に設定された場合には、仮目標吸気量がさらに増加側に誤って修正されるなど、仮目標吸気量の修正のハンチングが生じ、推定トルクが目標トルクに良好に収束せず、やはり目標吸気量を適切に設定できないおそれがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、吸気量が増加しても内燃機関のトルクが増加しない状況において、トルクの増加に寄与しない余分な燃料の消費を有効に回避でき、それにより、燃費及びドライバビリティを向上させることができる内燃機関の吸気制御装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関3の目標トルクTRQCMDに応じて目標吸気量GAIRCMDを設定し、設定された目標吸気量GAIRCMDに基づいて吸気量GAIRを制御する内燃機関の吸気制御装置であって、内燃機関3の運転状態(実施形態における(以下、本項において同じ)目標吸気カム位相CAINCMD、エンジン回転数NE)に基づいて、燃焼室3dに吸入可能な最大の吸気量を、最大吸気量GAIRMAXとして算出する最大吸気量算出手段(ECU2、図4のステップ3)と、値0から算出された最大吸気量GAIRMAXまでの吸気量の範囲内で、互いに異なる複数の仮吸気量GAIRPRViを設定する仮吸気量設定手段(ECU2、図4のステップ4)と、内燃機関3の運転状態(エンジン回転数NE、エンジン水温TW、吸気温TA、ノッキングの発生状態)に基づいて、設定された複数の仮吸気量GAIRPRViの吸気がそれぞれ燃焼室3dに吸入されたと仮定したときに前記内燃機関から出力されると推定されるトルクを、複数の推定トルクトルクTRQESTiとして算出する推定トルク算出手段(ECU2、図3のステップ6、図4)と、複数の仮吸気量GAIRPRViに対する算出された複数の推定トルクTRQESTiの特性を表す推定トルク特性線を設定する推定トルク特性線設定手段(ECU2、図4、図8〜図11)と、設定された推定トルク特性線上に、仮吸気量GAIRPRVが増加しても推定トルクTRQESTが増加しなくなり始める点である非増加点(極大点PMAX、非増加点PNINC)が存在するか否かを判定するトルク非増加判定手段(ECU2、図13のステップ52)と、非増加点が存在すると判定されたときに、非増加点に相当する推定トルクTRQESTiを制限トルクTRQLMTとして設定する制限トルク設定手段(ECU2、図13のステップ56)と、目標トルクTRQCMDが制限トルクTRQLMTよりも大きいときに、非増加点に相当する仮吸気量GAIRPRViを目標吸気量GAIRCMDとして設定する目標吸気量設定手段(ECU2、図13のステップ57、図14のステップ78、79)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の吸気制御装置によれば、内燃機関の目標トルクに応じて、目標吸気量が次のようにして設定される。まず、内燃機関の運転状態に基づいて、燃焼室に吸入可能な最大吸気量を算出するとともに、この最大吸気量の範囲内で複数の仮吸気量を設定する。次に、そのときの内燃機関の運転状態に基づいて、複数の仮吸気量の各々による吸気が燃焼室に吸入されたと仮定したときに内燃機関から出力されると推定される複数の推定トルクをそれぞれ算出するとともに、算出されたこれらの複数の仮吸気量に対する複数の推定トルクの特性を表す推定トルク特性線を設定する。
また、設定された推定トルク特性線上に、非増加点が存在するか否かを判定する。この非増加点は、仮吸気量が増加しても推定トルクが増加しなくなり始める推定トルク特性線上の点である。この非増加点には、仮吸気量が増加するにつれて、推定トルクが増加から減少に明確に切り替わる場合の極大値に相当する極大点や、推定トルクが増加せず、ほぼ一定の状態になる区間を有する場合のその区間の起点が含まれる。そして、推定トルクの非増加点が存在すると判定されたときには、非増加点に相当する推定トルクを制限トルクとして設定するとともに、この制限トルクよりも目標トルクが大きいときには、非増加点に相当する仮吸気量を目標吸気量として設定する。
以上のように、推定トルク特性線上に推定トルクの非増加点が存在する場合において、この非増加点に相当する制限トルクを上回る目標トルクが設定されたときには、目標吸気量は、非増加点に相当する仮吸気量に制限される。これにより、目標吸気量が非増加点を超えて設定されることがなくなり、内燃機関のトルクの増加に寄与しない余分な燃料の消費を有効に回避できるので、燃費を向上させることができる。また、推定トルクの非増加点が極大点の場合には、吸気量が極大点を超えると、燃料が無駄に消費されるだけでなく、内燃機関のトルクが低下するので、上述した目標吸気量の制限によって、内燃機関のトルクの低下を有効に回避でき、ドライバビリティを向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置において、吸気量を調整するスロットル弁10aの開度(スロットル開度θTH)の仮の目標値である仮目標スロットル開度θTHCMDPRVを、目標吸気量GAIRCMDに応じて算出する仮目標スロットル開度算出手段(ECU2、図15のステップ94)と、算出された仮目標スロットル開度θTHCMDPRVが、スロットル弁10aの開度がそれ以上増加しても内燃機関3のトルクがほとんど増加しなくなる開度であるスロットル弁の有効開度θTHEFF以下のときに、スロットル弁10aの開度の最終的な目標値である目標スロットル開度θTHCMDを仮目標スロットル開度θTHCMDPRVに設定し、仮目標スロットル開度θTHCMDPRVが有効開度θTHEFFよりも大きいときに、目標スロットル開度θTHCMDを有効開度θTHEFFに制限して設定する目標スロットル開度設定手段(ECU2、図15のステップ96〜98)と、をさらに備えることを特徴とする。
スロットル弁の特性として、上述したような有効開度を有する場合、スロットル弁の開度が有効開度以上に増加しても、内燃機関のトルクはほとんど増加しなくなる。このため、有効開度を超えた範囲で、目標トルクに応じてスロットル弁の開度を制御すると、目標トルクに対してスロットル弁の開度の制御量(変化量)が非常に大きくなるハンチングが生じやすいとともに、そのようなハンチングにより、スロットル弁やその駆動装置の寿命も短くなる。この構成によれば、目標吸気量に応じて算出された仮目標スロットル開度が有効開度を上回ったときに、目標スロットル開度を有効開度に制限して設定するので、有効開度を超えた範囲でのスロットル弁の開度のハンチングを防止できるとともに、スロットル弁及びその駆動装置の寿命を延ばすことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の吸気制御装置において、推定トルク特性線上の非増加点よりも大きな仮吸気量GAIRPRVの範囲において、推定トルクTRQESTが再度、増加し、制限トルクTRQLMT以上になる再増加点PRINCが存在するか否かを判定するトルク再増加判定手段(ECU2、図13のステップ60)をさらに備え、目標吸気量設定手段は、再増加点PRINCが存在すると判定された場合において、目標トルクTRQCMDが制限トルクTRQLMTよりも大きいときには、非増加点に相当する仮吸気量GAIRPRViに代えて、再増加点PRINCよりも大きな仮吸気量GAIRPRVを、目標吸気量GAIRCMDとして設定すること(図14のステップ86、88)を特徴とする。
この構成によれば、推定トルク特性線上の非増加点よりも大きな仮吸気量の範囲において、推定トルクが再度、増加し、制限トルク以上になる再増加点が存在するか否かを判定する。そして、再増加点が存在すると判定された場合において、目標トルクが制限トルクよりも大きいときには、非増加点に相当する仮吸気量に代えて、再増加点よりも大きな仮吸気量を、目標吸気量として設定する。これにより、車両の運転者の要求に可能な限り応えて、内燃機関からより大きなトルクを出力させることができ、ドライバビリティをさらに向上させることができる。
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の内燃機関の吸気制御装置において、内燃機関3は車両に動力源として搭載されており、車両のアクセルペダルの開度(アクセル開度AP)を検出するアクセル開度検出手段(アクセル開度センサ21)をさらに備え、目標スロットル開度設定手段は、検出されたアクセルペダルの開度が全開状態にあり、かつ内燃機関3で燃焼する混合気の目標空燃比AFCMDが理論空燃比よりもリッチ側に設定されているときには、目標スロットル開度θTHCMDを開開度θTHWOに設定すること(図15のステップ91〜93)を特徴とする。
この構成によれば、アクセル開度が全開状態にあるときに、運転者の加速要求に応え、内燃機関から最大のトルクを出力させることによって、ドライバビリティを向上させることができる。この場合、目標空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に設定されることが条件になっていることで、増量された燃料の気化熱による燃焼室内の冷却効果により、ノッキングに対する余裕度が高くなるので、目標スロットル開度を全開開度に設定しても、顕著なノッキングが発生するおそれはない。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関の吸気制御装置において、内燃機関3のノッキングの発生状態を検出するノッキング検出手段(ノックセンサ25)と、検出されたノッキングの発生状態に応じて、点火時期IGの推定リタード量IGRTDESTiを算出する推定リタード量算出手段(ECU2、図4のステップ14、図5)と、をさらに備え、推定トルク算出手段は、算出された点火時期IGの推定リタード量IGRTDESTiに応じて、推定トルクTRQESTiを算出すること(図4のステップ15、16)を特徴とする。
点火時期をリタードすると、ノッキングが抑制される一方で、内燃機関の燃焼効率及びトルクが低下し、その低下度合はリタード量に応じて変化する。このため、点火時期のリタード量は、仮吸気量と推定トルクとの関係に大きな影響を及ぼし、推定トルク特性線上の非増加点の有無にも大きく関与する。この構成によれば、算出された点火時期の推定リタード量に応じて推定トルクを算出するので、リタード量に応じた内燃機関のトルクの低下度合を反映させながら、推定トルク特性線をより精度良く設定できるとともに、推定トルク特性線上の非増加点の有無をより適切に判定でき、それらの結果に応じた吸気制御をより精度良く行うことができる。
本発明を適用した内燃機関を概略的に示す図である。 吸気制御装置を示すブロック図である。 目標吸気量の設定処理のメインフローである。 推定トルクの算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 推定リタード量の算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 図4の算出処理で用いられる、推定吸気圧を算出するためのマップである。 図4の算出処理で用いられる、推定トルクダウン率を算出するためのマップである。 第1パターンの特性を有する推定トルク特性線の一例を示す図である。 第2パターンの特性を有する推定トルク特性線の一例を示す図である。 第3パターンの特性を有する推定トルク特性線の一例を示す図である。 第4パターンの特性を有する推定トルク特性線の一例を示す図である。 目標吸気量の算出処理のメインフローである。 特性パターンの判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 目標吸気量の検索処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 目標スロットル開度の設定処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用した内燃機関(以下「エンジン」という)3を示す。このエンジン3は、車両(図示せず)に搭載された、例えば4気筒のガソリンエンジンである。各気筒3a(1つのみ図示)のピストン3bとシリンダヘッド3cとの間には、燃焼室3dが形成されている。
各気筒3aには、吸気コレクタ部6aを有する吸気マニホルド6bを介して、吸気通路6が接続されるとともに、排気コレクタ部7aを有する排気マニホルド7bを介して、排気通路7が接続されている。吸気マニホルド6bには燃料噴射弁4(図2参照)が、シリンダヘッド3cには点火プラグ5(図2参照)が、それぞれ気筒3aごとに設けられている。燃料噴射弁4による燃料の噴射量・噴射時期、及び点火プラグ5の点火時期IGは、後述するECU2からの制御信号によって制御される。
また、各気筒3aには、吸気弁8及び排気弁9が設けられている。吸気弁8を駆動する吸気カムシャフト(図示せず)の一端部には、吸気カム位相可変機構15が設けられている。この吸気カム位相可変機構15は、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)に対する吸気カムシャフトの相対的な位相(以下「吸気カム位相」という)CAINを無段階に変更するものであり、それにより、吸気弁8の開閉タイミングがクランクシャフトに対して無段階に変更(シフト)される。なお、吸気カム位相CAINは、吸気カム位相可変機構15のコントロールシャフト(図示せず)をVTCアクチュエータ15a(図2参照)で駆動することによって制御され、VTCアクチュエータ15aの動作は、ECU2からの制御信号によって制御される。
吸気通路6の吸気コレクタ部6aよりも上流側には、スロットル弁機構10が設けられている。このスロットル弁機構10は、吸気通路6内に配置されたバタフライ式のスロットル弁10aと、スロットル弁10aを駆動するTHアクチュエータ10bを有する。スロットル弁10aの開度(以下「スロットル開度」という)θTHは、THアクチュエータ10bに供給される電流をECU2で制御することによって制御され、それにより、燃焼室3dに吸入される吸気量(新気量)GAIRが調整される。なお、このエンジン3の通常の運転状態では、燃焼室3dに供給される燃料と空気との混合気の目標空燃比AFCMDが理論空燃比に設定され、ストイキ燃焼が行われるとともに、加速運転時には、目標空燃比AFCMDは理論空燃比よりもリッチ側に制御される。
また、エンジン3には、燃焼室3dから排気通路7に排出された排ガスの一部を、EGRガスとして、吸気通路6に還流させるためのEGR装置11が設けられている。EGR装置11は、EGR通路12と、EGR通路12の途中に設けられたEGR弁機構13及びEGRクーラ14などで構成されている。EGR通路12は、排気通路7の排気コレクタ部7aと吸気通路6の吸気コレクタ部6aに接続されている。
EGR弁機構13は、EGR通路12内に配置されたポペット式のEGR弁13aと、EGR弁13aを駆動するEGRアクチュエータ13bを有する。EGR弁13aのリフト量(以下「EGR弁開度」という)LEGRは、EGRアクチュエータ13bに供給される電流をECU2で制御することによって制御され、それにより、吸気通路6に還流するEGR量GEGRが調整される。EGRクーラ14は、EGR弁13aの上流側に配置されており、エンジン3の冷却水を利用し、高温のEGRガスを冷却する。
エンジン3のクランクシャフトには、クランク角センサ20が設けられている(図2参照)。クランク角センサ20は、クランクシャフトの回転に伴い、所定クランク角(例えば30°)ごとに、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、ECU2には、アクセル開度センサ21(図2参照)から、車両のアクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が入力される。
また、吸気通路6のスロットル10aよりも上流側には、大気圧センサ22及び吸気温センサ23が設けられている。大気圧センサ22は大気圧PAを検出し、吸気温センサ23は吸気通路6を流れる吸気の温度(以下「吸気温」という)TAを検出し、それらの検出信号はECU2に出力される。
さらに、エンジン3のシリンダブロック3eには、エンジン3の冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを検出する水温センサ24と、ノッキングの発生状態を検出するノックセンサ25が設けられており、それらの検出信号はECU2に出力される。
ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、前述した各種のセンサ20〜25の検出信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じて、エンジン3の燃料噴射及び点火時期IGの制御や、吸気量GAIR及びEGR量GEGRを制御する吸気制御などを実行する。
本実施形態では、この吸気制御として、アクセル開度APなどに応じてエンジン3の目標トルクTRQCMDを設定するとともに、この目標トルクTRQCMDなどに応じて、目標吸気量GAIRCMD及び目標EGR量GEGRCMDを設定する。また、これらの目標吸気量GAIRCMD及び目標EGR量GEGRCMDにそれぞれ基づいて、スロットル開度θTH及びEGR弁開度LEGRのそれぞれの目標値である目標スロットル開度θTHCMD及び目標EGR弁開度LEGRCMDを設定し、さらにそれらに基づいてスロットル弁10a及びEGR弁13aを駆動することによって、吸気量GAIR及びEGR量GEGRが制御される。
本実施形態では、ECU2が、最大吸気量算出手段、仮吸気量設定手段、推定トルク算出手段、推定トルク特性線設定手段、トルク非増加判定手段、制限トルク設定手段、目標吸気量設定手段、仮目標スロットル開度算出手段、目標スロットル開度設定手段、トルク再増加判定手段、及び推定リタード量算出手段に相当する。
図3は、ECU2で実行される、目標吸気量GAIRCMDの設定処理のメインフローを示す。本処理は、所定時間ごとに繰り返し実行される。
本処理ではまず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、検出されたアクセル開度AP及びエンジン回転数NEに応じ、所定のTRQCMDマップ(図示せず)を検索することによって、エンジン3の目標トルクTRQCMDを算出する。このTRQCMDマップでは、目標トルクTRQCMDは、アクセル開度APにほぼ比例するように設定されている。
次に、算出された目標トルクTRQCMD及びエンジン回転数NEに応じ、所定のCAINCMDマップ(図示せず)を検索することによって、目標吸気カム位相CAINCMDを算出する(ステップ2)。このCAINCMDマップでは、目標吸気カム位相CAINCMDは、目標トルクTRQCMDが大きいほど、より進角側に設定されている。
次に、算出された目標吸気カム位相CAINCMD及びエンジン回転数NEに応じ、所定のGAIRMAXマップを検索することによって、最大吸気量GAIRMAXを算出する(ステップ3)。この最大吸気量GAIRMAXは、そのときのエンジン3の運転状態において燃焼室3dに吸入することが可能な最大の吸気量に相当する。
次に、算出された最大吸気量GAIRMAXを用い、次式(1)によって複数の仮吸気量GAIRPRVi(i=1〜m)を算出する(ステップ4)。
GAIRPRVi=(GAIRMAX/m)×i ・・・(1)
この式(1)から明らかなように、仮吸気量GAIRPRViは、最大吸気量GAIRMAXを等間隔で分割したm個の吸気量によって構成されている。算出された複数の仮吸気量GAIRPRViは、ECU2のRAMの所定の記憶領域に記憶される。
次に、複数の仮吸気量GAIRPRViの各々、目標吸気カム位相CAINCMD及びエンジン回転数NEに応じ、所定のGEGRPRVマップ(図示せず)を検索することによって、複数の仮EGR量GEGRPRViをそれぞれ算出する(ステップ5)。このGEGRPRVマップは、仮吸気量GAIRPRV、目標吸気カム位相CAINCMD及びエンジン回転数NEに対して最適な燃費が得られるEGR量を、仮EGR量GEGRPRVとして設定したものである。
なお、車両が高地条件にあるなどの理由から、EGR弁13aの上流側との差圧を確保するために吸気圧が制限される場合には、仮EGR量GEGRPRViは適宜、減少側に補正される。算出された複数の仮EGR量GEGRPRViは、仮吸気量GAIRPRViに対応させて、RAMの所定の記憶領域に記憶される。
次に、複数の仮吸気量GAIRPRViに対応する複数の推定トルクTRQESTiを算出する(ステップ6)。これらの推定トルクTRQESTiは、そのときのエンジン3の運転状態において、仮吸気量GAIRPRViの吸気がそれぞれ燃焼室3dに吸入されたと仮定したときにエンジン3から出力されると推定されるトルクであり、仮吸気量GAIRPRViごとに算出される。図4は、その算出処理のサブルーチンである。
本処理では、まずステップ11において、仮吸気量GAIRPRViを指示するインデックス番号iを「1」にセットする。次に、図3のステップ4及び5でそれぞれ算出された仮吸気量GAIRPRViと仮EGR量GEGRPRViとの和を、仮総ガス量GGASPRViとして算出する(ステップ12)。
次に、算出された仮総ガス量GGASPRVi及びエンジン回転数NEに応じ、図6に示すPBAESTマップを検索することによって、推定吸気圧PBAESTiを算出する(ステップ13)。図6のPBAESTマップは、所定のエンジン回転数NEにおける、仮総ガス量GGASPRVと推定吸気圧PBAESTとの関係を示しており、推定吸気圧PBAESTは、仮総ガス量GGASPRVに比例するように設定されている。
次に、点火時期IGのMBT(Minimum Spark Advance for Best Torque)からの推定リタード量IGRTDESTiを算出する(ステップ14)。図5は、その算出処理のサブルーチンである。本処理では、まずステップ21において、上記ステップ13で算出された推定吸気圧PBAESTi及びエンジン回転数NEに応じ、所定のIGRTDBASEマップ(図示せず)を検索することによって、推定リタード量の基本値IGRTDBASEiを算出する。このIGRTDBASEマップでは、基本値IGRTDBASEは、推定吸気圧PBAESTが高いほど、ノッキングが発生しやすくなるため、より大きな値に、すなわちより遅角側に設定されている。
次に、検出されたエンジン水温TWに応じて、点火時期IGの水温補正量IGTWを算出する(ステップ22)とともに、検出された吸気温TAに応じて、点火時期IGの吸気温補正量IGTAを算出する(ステップ23)。また、ノックセンサ25で検出されたノッキングの発生状態に応じて、点火時期IGのノック補正量IGKNOCKを算出する(ステップ24)。そして、ステップ21で算出された推定リタード量の基本値IGRTDBASEiに、上記の3つの補正量IGTW、IGTA及びIGKNOCKを加算することによって、点火時期IGの推定リタード量IGRTDESTiを算出し(ステップ25)、本処理を終了する。
図4に戻り、前記ステップ14に続くステップ15では、算出された推定リタード量IGRTDESTi及びエンジン回転数NEに応じ、図7に示すKTRQDNマップを検索することによって、MBT燃焼時を基準とする推定トルクダウン率KTRQDNiを算出する。図7のPBAESTマップは、所定のエンジン回転数NEにおける、推定リタード量IGRTDESTと推定トルクダウン率KTRQDNとの関係を示しており、推定トルクダウン率KTRQDNは、推定リタード量IGRTDESTが大きいほど、エンジン3の燃焼効率が低下し、出力トルクが低下するため、より小さな値に設定されている。
次に、仮吸気量GAIRPRVi及び上記の推定トルクダウン率KTRQDNiなどを用い、次式(2)によって、推定トルクTRQESTiを算出する(ステップ16)。
TRQESTi=GAIRPRVi×KTRQDNi×KGATRQ−TRQFR ・・・(2)
ここで、右辺のKGATRQは、ストイキ・MBT燃焼時における、吸気量GAIRをエンジン3の出力トルクに換算するための所定の換算係数であり、TRQFRは、エンジン3でのトルク損失となる所定のフリクションである。
次に、算出された推定トルクTRQESTiを、仮吸気量GAIRPRViに対応させて、RAMの所定の記憶領域に記憶する(ステップ17)。また、今回のインデックス番号iが仮吸気量GAIRPRViのサンプル数mに等しいか否かを判別する(ステップ18)。この答がNOのときには、ステップ19においてインデックス番号iをインクリメントした後、前記ステップ12に戻り、ステップ12〜17による推定トルクTRQESTiの算出処理を繰り返す。そして、すべての仮吸気量GAIRPRViに対して推定トルクTRQESTiの算出が完了すると、ステップ18の答がYESになるのに応じて、本処理を終了する。
以上の算出処理により、すべての仮吸気量GAIRPRViに対し、そのときのエンジン3の運転状態に応じて推定された推定リタード量IGRTDESTiなどを反映した推定トルクTRQESTiがそれぞれ算出され、仮吸気量GAIRPRViに対応して記憶される。これにより、m個の仮吸気量GAIRPRVと推定トルクTRQESTとの組合せから成る、仮吸気量GAIRPRViと推定トルクTRQESTiとの関係(以下「仮吸気量−推定トルク関係」という)が設定される。
図8〜図11はそれぞれ、上記のように設定された仮吸気量−推定トルク関係をプロットすることによって得られた推定トルク特性線を表しており、互いに異なる4つの特性パターンを示す。図8に示す第1パターンは、仮吸気量GAIRPRVが増加するにつれて、推定トルクTRQESTが単純に増加する通常のパターン(単調増加パターン)である。
図9に示す第2パターンは、仮吸気量GAIRPRVが増加するにつれて、推定トルクTRQESTが極大値まで増加する一方、この極大点PMAXを過ぎた後には、ノッキングの抑制のために推定リタード量IGRTDESTが増大することなどに起因して、推定トルクTRQESTが低下する(落ち込む)パターン(2次曲線パターン)である。
図10に示す第3パターンは、第2パターンの変形パターンというべきものであり、第2パターンのような推定トルクTRQESTの明確な極大点が現れず、推定トルクTRQESTが、仮吸気量GAIRPRVの増加に伴って非増加点PNINCまで増加した後、仮吸気量GAIRPRVが増加しても、増加せずにほぼ一定の状態になり、その後に低下するパターンである。
また、図11に示す第4パターンは、上記第2パターンと同様に推定トルクTRQESTが極大点PMAXを境として低下した後、推定リタード量IGRTDESTが燃焼を良好に維持するために制限されることなどに起因して、推定トルクTRQESTが再度、増加に転じ、極大点PMAXに等しい再増加点PRINCを超えて増加するパターン(3次曲線パターン)である。
図3に戻り、ステップ6に続くステップ7では、設定された推定トルク特性線に基づいて、目標吸気量GAIRCMDを算出し、本処理を終了する。図12は、この目標吸気量GAIRCMDの算出処理のメインフローを示す。
本処理では、推定トルク特性線の特性パターンが、前述した第1〜第4パターンのいずれに該当するかを判定し(ステップ41)、次に、判定された特性パターンに基づいて、目標吸気量GAIRCMDを検索する(ステップ42)。
図13は、上記ステップ41で実行される特性パターンの判定処理のサブルーチンを示す。本処理では、まずインデックス番号iを「1」にセットする(ステップ51)とともに、このインデックス番号iに対応する推定トルクTRQESTiよりも、その次位の推定トルクTRQESTi+1が大きいか否かを判別する(ステップ52)。この答がYESのときには、今回のインデックス番号iがサンプル数mから1を減じた値(m−1)に等しいか否かを判別する(ステップ53)。この答がNOのときには、インデックス番号iをインクリメントした(ステップ54)後、前記ステップ52に戻り、上記の判別を繰り返す。
そして、ステップ52の答がYESのまま、前記ステップ53の答がYES(i=m−1)になったとき、すなわち、隣り合ういずれの2つの仮吸気量GAIRPRVi、GAIRPRVi+1の間においても、推定トルクTRQESTi+1>推定トルクTRQESTiの関係が成立しているときには、推定トルク特性線の特性パターンが図8に示す第1パターンであると判定し、そのことを表すために、特性パターンフラグF_TRQPTを「1」にセットし(ステップ55)、本処理を終了する。
一方、前記ステップ52の答がNOで、推定トルクTRQESTi+1≦推定トルクTRQESTiが成立したときには、このときの推定トルクTRQESTiが、仮吸気量GAIRPRVが増加しても推定トルクTRQESTが増加しなくなり始める非増加点(第2パターンにおける極大点PMAX、又は第3パターンにおける非増加点PNINC)に相当するとして、このときの推定トルクTRQESTiを制限トルクTRQLMTとして設定する(ステップ56)。また、対応する仮吸気量GAIRPRViを制限吸気量GAIRLMTとして、対応する仮EGR量GEGRPRViを制限EGR量GEGRLMTとして、それぞれ設定する(ステップ57、58)。
次に、インデックス番号iをインクリメントした(ステップ59)後、推定トルクTRQESTiが、上記ステップ56で設定された制限トルクTRQLMTよりも大きいか否かを判別する(ステップ60)。この答がNOのときには、インデックス番号iがサンプル数mに等しいか否かを判別する(ステップ61)。この答がNOのときには、ステップ59に戻り、インデックス番号iをインクリメントした後、上記ステップ60の判別を繰り返す。
そして、ステップ60の答がNOのまま、前記ステップ61の答がYES(i=m)になったとき、すなわち、非増加点よりも大きな仮吸気量GAIRPRVの範囲に、制限トルクTRQLMTを上回る推定トルクTRQESTが存在しないときには、推定トルク特性線の特性パターンが図9又は図10に示す第2又は第3パターンであると判定し、特性パターンフラグF_TRQPTを「2」にセットし(ステップ62)、本処理を終了する。
一方、前記ステップ60の答がYESで、推定トルクTRQESTi>制限トルクTRQLMTが成立したときには、推定トルク特性線上に再増加点PRINCが存在し、特性パターンが図11に示す第4パターンであると判定して、このときのインデックス番号iを再増加点番号Nとして記憶する(ステップ63)とともに、特性パターンフラグF_TRQPTを「3」にセットし(ステップ64)、本処理を終了する。
図14は、図12のステップ42で実行される、目標吸気量GAIRCMDの検索処理のサブルーチンを示す。本処理では、まずステップ71において、特性パターンフラグF_TRQPTが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、判定された推定トルク特性線の特性パターンが第1パターンのときには、ステップ72〜76において、目標吸気量GAIRCMDなどを設定し、本処理を終了する。
すなわち、インデックス番号iを「1」にセットした(ステップ72)後、推定トルクTRQESTiが目標トルクTRQCMD以上であるか否かを判別する(ステップ73)。この答がNOのときには、インデックス番号iをインクリメントする(ステップ74)とともに、ステップ73の判別を繰り返す。そして、その答がYESで、推定トルクTRQESTi≧目標トルクTRQCMDが成立したときに、そのときの仮吸気量GAIRPRViを目標吸気量GAIRCMDとして設定する(ステップ75)とともに、対応する仮EGR量GEGRPRViを目標EGR量GEGRCMDとして設定する(ステップ76)。これにより、仮吸気量GAIRPRViの検索を、その小さい側から順に行うことによって、目標トルクTRQCMDを達成する最小の仮吸気量GAIRPRViを容易かつ確実に選択し、目標吸気量QAIRCMDとして設定することができる。
前記ステップ71の答がNOのときには、特性パターンフラグF_TRQPTが「2」であるか否かを判別する(ステップ77)。この答がYESで、特性パターンが第2又は第3パターンのときには、目標トルクTRQCMDが制限トルクTRQLMTよりも大きいか否かを判別する(ステップ78)。この答がNOで、目標トルクTRQCMD≦制限トルクTRQLMTのときには、前記ステップ72以降に進み、第1パターンの場合と同様、仮吸気量GAIRPRViの検索をその小さい側から順に行い、推定トルクTRQESTi≧目標トルクTRQCMDが成立したときの仮吸気量GAIRPRViを選択し、目標吸気量GAIRCMDとして設定する。
一方、前記ステップ78の答がYESで、目標トルクTRQCMD>制限トルクTRQLMTのときには、目標吸気量GAIRCMDを、図13のステップ57で設定された制限吸気量GAIRLMTに設定する(ステップ79)とともに、目標EGR量GEGRCMDを、ステップ58で設定された制限EGR量GEGRLMTに設定し(ステップ80)、本処理を終了する。
以上のように、特性パターンが第2又は第3パターンの場合において、推定トルクTRQESTの極大点PMAX又は非増加点PNINCに相当する制限トルクTRQLMTを上回る目標トルクTRQCMDが設定されたときには、目標吸気量GAIRCMDは、制限トルクTRQLMTに対応する制限吸気量GAIRLMTに制限される(図9及び図10のかっこ書き)。これにより、目標吸気量GAIRCMDが極大点PMAX又は非増加点PNINCを超えて設定されることがなくなり、エンジン3のトルクの増加に寄与しない余分な燃料の消費を有効に回避できるので、燃費を向上させることができる。
また、特性パターンが極大点PMAXを有する第2パターンの場合には、吸気量GAIRが極大点PMAXを超えると、燃料が無駄に消費されるだけでなく、エンジン3のトルクが低下するので、上述した制限吸気量GAIRLMTによる目標吸気量GAIRCDの制限によって、エンジン3のトルクの低下を有効に回避でき、ドライバビリティを向上させることができる。
前記ステップ77の答がNOで、特性パターンが第4パターンのときには、前記ステップ78と同様、目標トルクTRQCMDが制限トルクTRQLMTよりも大きいか否かを判別する(ステップ81)。この答がNOで、目標トルクTRQCMD≦制限トルクTRQLMTのときには、前記ステップ72以降に進み、第1パターンの場合と同様、仮吸気量GAIRPRViの検索をその小さい側から順に行い、推定トルクTRQESTi≧目標トルクTRQCMDが成立したときの仮吸気量GAIRPRViを選択し、目標吸気量GAIRCMDとして設定する。
上記ステップ81の答がYESで、目標トルクTRQCMD>制限トルクTRQLMTのときには、インデックス番号iを図14のステップ63で記憶した再増加点番号Nにセットした(ステップ82)後、推定トルクTRQESTiが目標トルクTRQCMD以上であるか否かを判別する(ステップ83)。この答がNOのときには、インデックス番号iがサンプル数mに等しいか否かを判別し(ステップ84)、その答がNOのときには、インデックス番号iをインクリメントした(ステップ85)後、ステップ83の判別を繰り返す。
そして、ステップ83の答がYESで、推定トルクTRQESTi≧目標トルクTRQCMDが成立したときには、そのときの仮吸気量GAIRPRViを目標吸気量GAIRCMDとして設定する(ステップ86)とともに、対応する仮EGR量GEGRPRViを目標EGR量GEGRCMDとして設定し(ステップ87)、本処理を終了する。
一方、前記ステップ84の答がYES(i=m)になったとき、すなわち、再増加点PRINCよりも大きな仮吸気量GAIRPRVの範囲に、目標トルクTRQCMD以上の推定トルクTRQESTが存在しないときには、目標吸気量GAIRCMDを、最大吸気量GAIRMAXに相当する仮吸気量GAIRPRVmに設定する(ステップ88)とともに、目標EGR量GEGRCMDを仮EGR量GEGRPRVmに設定し(ステップ89)、本処理を終了する。
以上のように、特性パターンが第4パターンの場合において、制限トルクTRQLMTを上回る目標トルクTRQCMDが設定されるとともに、再増加点PRINCよりも大きな仮吸気量GAIRPRVの範囲に、目標トルクTRQCMD以上の推定トルクTRQESTが存在するときには、目標吸気量GAIRCMDは、そのときの推定トルクTRQESTiに対応する仮吸気量GAIRPRViに設定される。これにより、目標トルクTRQCMDを達成する最小の仮吸気量GAIRPRViを適切に選択し、目標吸気量QAIRCMDとして設定することができる。
一方、上記の場合において、目標トルクTRQCMD以上の推定トルクTRQESTが存在しないときには、目標吸気量GAIRCMDを、最大吸気量GAIRMAXに相当する仮吸気量GAIRPRVmに設定する。これにより、車両の運転者の要求に可能な限り応えて、エンジン3から最大限のトルクを出力させることができる。
また、本実施形態によれば、推定トルクTRQESTiは、点火時期IGの推定リタード量IGRTDESTiに応じて算出される。これにより、点火時期のリタード量に応じたエンジン3のトルクの低下度合を反映させながら、推定トルク特性線をより精度良く設定できるとともに、推定トルク特性線上の極大点PMAX、非増加点PNINCや再増加点PRINCの有無をより適切に判定でき、それらの結果に応じた吸気制御をより精度良く行うことができる。
次に、図15を参照しながら、目標スロットル開度θTHCMDの設定処理について説明する。本処理は、設定された目標吸気量GAIRCMDなどに応じて、目標スロットル開度θTHCMDを最終的に設定するものである。
本処理では、まずステップ91において、検出されたアクセル開度APが所定の全開開度APWOにほぼ等しいか否かを判別し、次いで、ステップ92において、エンジン3で燃焼する混合気の目標空燃比AFCMDが理論空燃比よりもリッチ側に設定されているか否かを判別する。これらの答がいずれもYESのときには、目標スロットル開度θTHCMDを所定の全開開度θTHWOに設定し(ステップ93)、本処理を終了する。
これにより、アクセル開度APが全開状態にあるときに、運転者の加速要求に応え、エンジン3から最大のトルクを出力させることによって、ドライバビリティを向上させることができる。この場合、目標空燃比AFCMDが理論空燃比よりもリッチ側に設定されることが条件になっていることで、増量された燃料の気化熱による燃焼室内の冷却効果により、ノッキングに対する余裕度が高くなるので、目標スロットル開度θTHCMDを全開開度θTHWOに設定しても、顕著なノッキングが発生するおそれはない。
一方、前記ステップ91又は92の答がNOのときには、図14の処理で設定された目標吸気量GAIRCMD及びエンジン回転数NEに応じ、所定のθTHCMDPRVマップ(図示せず)を検索することによって、スロットル開度θTHの仮の目標値である仮目標スロットル開度θTHCMDPRVを算出する(ステップ94)。
次に、エンジン回転数NEに応じ、所定のθTHEFFマップ(図示せず)を検索することによって、スロットル弁10aの有効開度θTHEFFを算出する(ステップ95)。この有効開度θTHEFFは、スロットル弁10aの開度がそれ以上増加しても、エンジン3のトルクがほとんど増加しなくなる開度であり、例えばスロットル弁10aの全開時のエンジン3のトルクに対して所定の数%だけ低いトルクに相当する開度として定義される。
次に、算出した仮目標スロットル開度θTHCMDPRVが有効開度θTHEFF以下であるか否かを判別する(ステップ96)。この答がYESで、θTHCMDPRV≦θTHEFFのときには、目標スロットル開度θTHCMDを仮目標スロットル開度θTHCMDPRVに設定し(ステップ97)、本処理を終了する。
一方、ステップ96の答がNOで、θTHCMDPRV>θTHEFFのときには、目標スロットル開度θTHCMDを有効開度θTHEFFに制限して設定し(ステップ98)、本処理を終了する。これにより、有効開度θTHEFFを超えた範囲でのスロットル開度θTHのハンチングを防止できるとともに、スロットル弁10a及びTHアクチュエータ10bの寿命を延ばすことができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態における仮吸気量GAIRPRViのサンプル数m(=10)はあくまで例示であり、増減してもよいことはもちろんである。サンプル数mを増やした場合には、推定トルク特性線をよりきめ細かく設定できるとともに、推定トルク特性線上の極大点PMAXなどの有無をさらに適切に判定でき、吸気制御をさらに精度良く行うことができる。
また、実施形態では、スロットル弁10aの有効開度θTHEFFを、エンジン回転数NEに応じて設定しているが、これに代えて、一定の所定値に設定してもよい。
さらに、実施形態に示した、最大吸気量GAIRMAX、推定リタード量IGRTDESTや推定トルクTRQESTなどの各算出手法は、あくまで例示であり、他の適当な手法を採用してもよいことはもちろんである。
また、実施形態は、本発明を車両用のガソリンエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、ガソリンエンジン以外のディーゼルエンジンなどの各種のエンジンに適用することができる。また、車両用以外のエンジン、例えば、クランクシャフトを鉛直に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
2 ECU(最大吸気量算出手段、仮吸気量設定手段、推定トルク算出手段、推定ト ルク特性線設定手段、トルク非増加判定手段、制限トルク設定手段、目 標吸気量設定手段、仮目標スロットル開度算出手段、目標スロットル開 度設定手段、トルク再増加判定手段、推定リタード量算出手段)
3 エンジン(内燃機関)
3d 燃焼室
10a スロットル弁
21 アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段)
25 ノックセンサ(ノッキング検出手段)
NE エンジン回転数(内燃機関の運転状態)
TA 吸気温(内燃機関の運転状態)
TW エンジン水温(内燃機関の運転状態)
CAINCMD 目標吸気カム位相(内燃機関の運転状態)
GAIR 吸気量
TRQCMD 目標トルク
GAIRCMD 目標吸気量
GAIRMAX 最大吸気量
GAIRPRVi 複数の仮吸気量
TRQESTi 複数の推定トルク
PMAX 極大点(非増加点)
PNINC 非増加点
TRQLMT 制限トルク
θTH スロットル開度(スロットル弁の開度)
θTHCMDPRV 仮目標スロットル開度
θTHEFF 有効開度
θTHCMD 目標スロットル開度
PRINC 再増加点
AP アクセル開度(アクセルペダルの開度)
AFCMD 目標空燃比
θTHWO 全開開度
IG 点火時期
IGRTDEST 推定リタード量

Claims (5)

  1. 内燃機関の目標トルクに応じて目標吸気量を設定し、当該設定された目標吸気量に基づいて吸気量を制御する内燃機関の吸気制御装置であって、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記燃焼室に吸入可能な最大の吸気量を、最大吸気量として算出する最大吸気量算出手段と、
    値0から前記算出された最大吸気量までの吸気量の範囲内で、互いに異なる複数の仮吸気量を設定する仮吸気量設定手段と、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記設定された複数の仮吸気量の吸気がそれぞれ燃焼室に吸入されたと仮定したときに前記内燃機関から出力されると推定されるトルクを、複数の推定トルクとして算出する推定トルク算出手段と、
    前記複数の仮吸気量に対する前記算出された複数の推定トルクの特性を表す推定トルク特性線を設定する推定トルク特性線設定手段と、
    当該設定された推定トルク特性線上に、前記仮吸気量が増加しても前記推定トルクが増加しなくなり始める点である非増加点が存在するか否かを判定するトルク非増加判定手段と、
    前記非増加点が存在すると判定されたときに、当該非増加点に相当する前記推定トルクを制限トルクとして設定する制限トルク設定手段と、
    前記目標トルクが前記制限トルクよりも大きいときに、前記非増加点に相当する前記仮吸気量を前記目標吸気量として設定する目標吸気量設定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
  2. 吸気量を調整するスロットル弁の開度の仮の目標値である仮目標スロットル開度を、前記目標吸気量に応じて算出する仮目標スロットル開度算出手段と、
    当該算出された仮目標スロットル開度が、前記スロットル弁の開度がそれ以上増加しても前記内燃機関のトルクがほとんど増加しなくなる開度である前記スロットル弁の有効開度以下のときに、前記スロットル弁の開度の最終的な目標値である目標スロットル開度を前記仮目標スロットル開度に設定し、前記仮目標スロットル開度が前記有効開度よりも大きいときに、前記目標スロットル開度を前記有効開度に制限して設定する目標スロットル開度設定手段と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
  3. 前記推定トルク特性線上の前記非増加点よりも大きな前記仮吸気量の範囲において、前記推定トルクが再度、増加し、前記制限トルク以上になる再増加点が存在するか否かを判定するトルク再増加判定手段をさらに備え、
    前記目標吸気量設定手段は、前記再増加点が存在すると判定された場合において、前記目標トルクが前記制限トルクよりも大きいときには、前記非増加点に相当する前記仮吸気量に代えて、前記再増加点よりも大きな前記仮吸気量を、前記目標吸気量として設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関の吸気制御装置。
  4. 前記内燃機関は車両に動力源として搭載されており、
    前記車両のアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度検出手段をさらに備え、
    前記目標スロットル開度設定手段は、前記検出されたアクセルペダルの開度が全開状態にあり、かつ前記内燃機関で燃焼する混合気の目標空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に設定されているときには、前記目標スロットル開度を開開度に設定することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の吸気制御装置。
  5. 前記内燃機関のノッキングの発生状態を検出するノッキング検出手段と、
    当該検出されたノッキングの発生状態に応じて、点火時期の推定リタード量を算出する推定リタード量算出手段と、をさらに備え、
    前記推定トルク算出手段は、前記算出された点火時期の推定リタード量に応じて、前記推定トルクを算出することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関の吸気制御装置。
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