この種の綿球部を介して肌面に低周波パルス刺激を与える美容器具では、過不足の無い所定長さに切断された綿棒を装着部に装着することで、綿棒を安定的に保持できるとともに、適切な低周波パルス刺激を肌面に与えることができる。すなわち、装着部に装着される綿棒の長さ寸法が、設計者が意図する所定の長さ寸法よりも短い場合には、装着部による綿棒の保持固定が不安定となることが避けられず、また、電極と綿棒との間の導通状態が不良となって、肌面に付与される低周波パルス刺激が過少となるおそれもある。装着部に装着される綿棒の長さ寸法が、設計者が意図する所定の長さ寸法よりも長い場合にも、綿球部が肌面に押し付けられた際に綿棒がぐら付いて電極と綿棒との間の導通状態が不良となり、結果として肌面に付与される低周波パルス刺激が過少となるおそれがあり、また、綿棒がぐら付き、或いは撓み易く、適切な接触圧で綿球部を肌面に押し当てることが困難となる。
このように、この種の綿棒を利用する美容器具では、切断される綿棒の長さ寸法にはある程度の厳密性が要求される。しかしながら、特許文献1、2の美容器具には、綿棒の最適な長さ寸法を規定するための機構が何ら設けられておらず、ユーザーが常に最適な長さ寸法に綿棒を切断することは難しい。加えて、特許文献1では、ユーザーが鋏を使って綿棒を切断することを予定しており、綿棒の切断および装着作業を迅速に進めることができない点にも不利がある。
本発明の目的は、鋏などの器具を用いることなく、ユーザーが常に綿棒を最適な長さ寸法に切断することが可能であり、綿棒の切断および装着作業を迅速に進めることが可能な美容器具を提供することにある。
本発明は、本体部1と、本体部1に設けられたグリップ電極51・52と、本体部1の端部に設けた肌用電極53と、これら電極に電流を供給する電流調整回路を含み、肌用電極53に、切断された綿棒54を保持するための綿棒保持部72が設けられている美容器具を対象とする。そして、美容器具が、綿棒54の軸部56の切断位置を規定して、該綿棒54を所定長さに切断するための切断部94を備えることを特徴とする。
綿棒保持部72は、綿棒54の軸部56を受け入れ、綿球部55が外面に露出する状態で綿棒54を保持する穴68・75を含み、切断部94が、穴68・75の長さに応じた適切な軸部56の切断位置を規定するものとする。
切断部94は、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102と、溝部102の端部に設けられて綿棒54の軸部56の切断位置を規定して、軸部56を折り曲げ切断するための角部103とで構成することができる。
本体部1に切断部94を設けることができる。
本体部1に、綿棒54を保持するための綿棒保持部72を構成するホルダー64・65を設け、これらホルダー64・65は本体部1の端部に支持し、本体部1に、ホルダー64・65、および本体部1の端部を覆うキャップ5を着脱可能に装着し、キャップ5で覆われる本体部1の端部に切断部94を設ける形態を採ることができる。
キャップ5に、綿棒54の軸部56を切断するためのカッター130を設け、切断部94に綿棒54を固定した状態で、本体部1に対するキャップ5の装着動作を実行することで、カッター130により綿棒54の軸部56を切断できるようにすることができる。
本体部1に、綿棒54を保持するための綿棒保持部72を構成するホルダー64・65を設け、本体部1には、これらホルダー64・65を覆うキャップ5を着脱可能に装着し、キャップ5に切断部94を設ける形態を採ることができる。
肌用電極53を本体部1の下端部に設け、キャップ5を、底壁95と、底壁95の周縁から伸びる周囲壁96とを備え、上方に開口を有する有底容器状に形成し、綿球部55が底壁95と周囲壁96とで囲まれたキャップ5の内部に配置された状態で、切断部94により軸部56を切断できるように構成することができる。
切断部94を、キャップ5の底壁95に開設した綿棒装填穴98と、綿棒装填穴98に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99・99とで構成し、綿棒装填穴98から装填された綿棒54の綿球部55が棒受壁99の上端部で受止められるとともに、棒受壁99・99の間の溝部102に軸部56が収容された状態で、綿棒装填穴98の開口から下方に突出する軸部56を綿棒装填穴98の開口周縁を基点として折り曲げることにより、余分な軸部56を切断することができるように構成することができる。
切断部94を、キャップ5の周囲壁96に開設した綿棒装填部110と、綿棒装填部110に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99・99とで構成し、綿棒装填部110から装填された綿棒54の綿球部55が棒受壁99の突出端で受止められるとともに、棒受壁99の間の溝部102に軸部56が収容された状態で、綿棒装填部110から外方に突出する軸部56を綿棒装填部110の開口周縁を基点として折り曲げることにより、余分な軸部56を切断することができるように構成することができる。
キャップ5を下方視で多角形状、或いは楕円形状に形成する。この場合には、綿棒装填穴98、或いは綿棒装填部110を、多角形状に形成されたキャップ5のコーナー部、或いは楕円形状に形成されたキャップ5の長軸側の頂点部に形成することができる。
綿棒54を綿棒保持部72に装着した状態における綿棒54の外郭線が、キャップ5で覆われるキャップ内空間の外に突出するように、キャップ5の大きさを設定することが好ましい。
本発明に係る美容器具においては、綿棒54の軸部56の切断位置を規定して、該綿棒54を所定長さに切断するための切断部94を備えるものとしたため、ユーザーは鋏等の道具を用意することなく、綿棒54の切断作業を行うことができ、綿棒54の切断作業を簡単に、しかも少ない手間で速やかに行うことができる。従って、綿棒54の切断作業および装着作業に要する手間と時間とを削減化でき、使い勝手に優れた美容器具を提供できる。また、所定の長さ寸法に綿棒54を切断することができるので、綿棒保持部72に装着される綿棒54の長さ寸法が長短にばら付くことに起因する、肌用電極53と綿棒54との間の導通不良などの問題を解消して、より信頼性に優れた美容器具を提供できる。また、綿棒54の軸部56の長さ寸法が過少となることに起因して、綿棒保持部72による綿棒54の保持固定が不安定となることを防ぐこともできる。
綿棒保持部72は、綿棒54の軸部56を受け入れ、綿球部55が外面に露出する状態で綿棒54を保持する穴68・75を含むものとし、切断部94は、穴68・75の長さに応じた適切な軸部56の切断位置を規定するものであることが望ましい。これによれば、綿球部55が外面に露出するとともに、軸部56の切断端が綿棒保持部72の奥端にまで及ぶ適正姿勢で、綿棒54を綿棒保持部72に装着することができる。従って、綿棒保持部72に装着される綿棒54の長さ寸法が長短にばら付くことに起因する導通不良の問題や、綿棒保持部72による綿棒54の保持固定状態が不安定となる問題を確実に解消できる。
なお、本発明において、「切断部94は、穴68・75の長さに応じた適切な軸部56の切断位置を規定する」とは、切断部94により規定された切断位置で切断される軸部56の長さ寸法が、穴68・75の長さ寸法と完全に一致しているのみならず、ある程度の軸部56の長短が生じることも許す概念である。尤も、切断後の軸部56の長さ寸法は、綿棒保持部72による十分な保持力を確保できること、および導電不良が生じないことなどを勘案して算出された、設計者が意図する長さ寸法の範囲内に収まることが望ましい。
切断部94は、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102と、溝部102の端部に設けられて綿棒54の軸部56の切断位置を規定して、軸部56を折り曲げ切断するための角部103とで構成する。このように、溝部102と角部103とからなる簡単な構成で切断部94を形成してあると、切断部94を設けたことに伴うコストアップを抑えて、より安価に切断部94を備える美容器具を提供できる。
本体部1に切断部94が設けられていると、切断部94が本体ケース1に常時組まれているので、切断部94を紛失することはない。
キャップ5で覆われる本体部1の端部に切断部94が設けられていると、キャップ5の装着状態においては、切断部94をキャップ5で覆うことができる。これにて、切断部94を設けたことに伴う本体部1の外形デザインの低下を抑えて、外形デザインに優れた美容器具を提供できる。
キャップ5に、綿棒54の軸部56を切断するためのカッター130を設け、切断部94に綿棒54を固定した状態で、本体部1に対するキャップ5の装着動作を実行することで、カッター130により綿棒54の軸部56を切断できる構成を採ることができる。これによれば、切断部94に綿棒54を固定したうえで、本体部1に対するキャップ5の装着動作を行うだけで、綿棒54の軸部56を所定の切断位置から正確に切断でき、より簡便且つ正確に綿棒54の切断動作を実行できる利点がある。
キャップ5に切断部94が設けられていると、ユーザーは、本体部1に比べて重量の小さなキャップ5を使って、綿棒54の切断作業をより小さな負担で実行することができる。また、本体部1の重量は比較的大きいため、本体部1に切断部94を設けた場合には、本体部1が床面に落下したときの衝突衝撃により切断部94が破損するおそれがあるが、キャップ5に切断部94を設けた場合には、キャップ5の重量は本体部1のそれよりも小さいため、キャップ5を床面に落下させたときにも衝突衝撃により切断部94が破損するおそれは少なく、使い勝手と信頼性に優れた美容器具を提供できる。
綿球部55が底壁95と周囲壁96とで囲まれたキャップ5の内部に配置された状態で、切断部94により軸部56を切断できるように構成されていると、切断後の綿球部55を含む綿棒54をキャップ5の底壁95或いは周囲壁96で受止めて、綿棒54が不用意に落下すること防ぐことができる。これにて、綿棒54が床面等に接触して衛生状態が損なわれることを防ぐことができ、ユーザーは清潔な状態で綿棒54を使用することが可能となるため、衛生面に優れた美容器具を提供できる。
切断部94が、キャップ5の底壁95に開設した綿棒装填穴98と、綿棒装填穴98に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99・99とで構成されていると、綿棒装填穴98をキャップ5の周囲壁96の中央部に沿うように設ける場合に比べて、切断部94を設けたことに伴う美容器具の外形デザインの低下を抑えて、外形デザインに優れた美容器具を提供できる。切断部94を、綿棒装填穴98と、綿棒装填穴98に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99・99とからなる簡単な構成としたので、切断部94を設けたことに伴うコストアップを抑えて、より安価に切断部94を備える美容器具を提供できる利点もある。また、キャップ5の底壁95に綿棒装填穴98が開設されていると、キャップ5を本体部1に装着した状態で肌用電極53等に付着する湿気を綿棒装填穴98から逃がすことができ、雑菌の繁殖を抑えて、肌用電極53を衛生的な状態に保持することができる。
綿棒装填穴98をキャップ5の底壁95の隅部寄りに開設した場合には、切断作業時において、綿棒装填穴98から装填された綿球部55を支持する指先を、隅部を挟んで隣り合う二つの周囲壁96の内面に押し付けて、該指先を安定化させることができる。これにて、綿球部55を安定的に指先で保持しながら軸部56の切断作業を実行できるので、ユーザーは、より簡単且つ安定的に切断作業を進めることができる。また、底壁95の隅部寄りに綿棒装填穴98を開設することで、より一層、外形デザインの低下を抑えることができる点でも優れている。
切断部94が、キャップ5の周囲壁96に開設した綿棒装填部110と、綿棒装填部110に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99・99とで構成されていると、キャップ5を本体部1に装着した状態で、肌用電極53等に付着する湿気を綿棒装填部110から逃がすことができるので、雑菌の繁殖を抑えて、肌用電極53を衛生的な状態に保持できる。また、切断部94を、綿棒装填部110と、綿棒装填部110に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99・99とからなる簡単な構成としたので、切断部94を設けたことに伴うコストアップを抑えて、より安価に切断部94を備える美容器具を提供できる。
キャップ5が下方視で多角形状、或いは楕円形状に形成した場合には、綿棒装填穴98は、多角形状に形成されたキャップ5のコーナー部、或いは楕円形状に形成されたキャップ5の長軸側の頂点部に形成することが望ましい。これによれば、切断作業時において、綿棒装填穴98から装填された綿球部55を支持する指先を、コーナー部、或いは楕円の頂点部を挟んで隣り合う二つの周囲壁96の内面に押し付けて、該指先を安定化させることができるので、綿球部55を安定的に指先で保持しながら軸部56の切断作業を実行することが可能となり、ユーザーは、より簡単且つ安定的に切断作業を進めることが可能となる。
同様に、キャップ5が下方視で多角形状、或いは楕円形状に形成した場合には、綿棒装填部110は、多角形状に形成されたキャップ5のコーナー部、或いは楕円形状に形成されたキャップ5の長軸側の頂点部に形成することが望ましい。これによれば、綿棒装填部110を周囲壁の中央部等に設ける形態に比べて、より大きな角度に該綿棒装填部110から突出する軸部56を折り曲げることが可能となるため、余分な軸部56をより迅速に折り取り、切断することができる。
綿棒54を綿棒保持部72に装着した状態における綿棒54の外郭線が、キャップ5で覆われるキャップ内空間の外に突出するように、キャップ5の大きさが設定されていると、綿棒54を装着した状態のままでキャップ5が本体部1に装着されることを防止できる。従って、ユーザーの注意を喚起して、使用後の綿棒54は廃棄する必要があることを物理的に明確に知らせて、美容器具の適正な使用を促すことができ、肌用電極53を常に衛生的な状態に保持できる。
(第1実施例) 図1ないし図18に、本発明に係る美容器具の第1実施例を示す。なお、本実施例における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図3に示すように、美容器具は、上端に加熱ヘッド2、下端にイオンクレンジング装置3を備える本体部1と、加熱ヘッド2の外面を覆う上キャップ4と、イオンクレンジング装置3の外面を覆う下キャップ(キャップ)5などで構成されている。
(本体部の構造)
図2〜図6に本体部1の詳細構造を示している。本体部1は、グリップを兼ねる本体ケース6と、本体ケース6に組付けられる保持ケース7と、本体ケース6の下側に配置される底蓋8などで構成してあり、保持ケース7の上端に先の加熱ヘッド2が組付けられている。本体部1の内部には、加熱ヘッド2を加熱するヒーターユニット11と、ヒーターユニット11に対して駆動電流を供給する電池12が収容されている。この実施例では、本体ケース6の内部に電池12が収容され、保持ケース7の上部にヒーターユニット11が配置されている。また、本体ケース6の上端に臨んで、美容器具の運転状態を切換えて、電池12の給電状態を制御するスイッチボタン13が設けられている。
図5に示すように、本体ケース6は、丸筒状の内ケース15と、内ケース15を収容する透明な四角筒状の外ケース16とで二重筒状に形成されており、両ケース15・16の間の隙間に装飾シート17が収容されている。このように、外ケース16の内部に装飾シート17が配置されていると、外ケース16を介して装飾シート17を視認する際に、外ケース16の透明感によって装飾シート17の呈色状態を深みのあるものとすることができ、第1ケース6の外観を高級感に富むものとすることができる。また、模様や呈色状態が異なる複数の装飾シート17を用意しておくことにより、装飾シート17の種類数の分だけ美容器具の外観上のバリエーションを拡大できる。
図6に示すように、保持ケース7は、前ケース7aと後ケース7bとを蓋併せ状に接合してなるものであり、その上半部分を丸筒状に形成して、ヒーターユニット11、スイッチボタン13、および回路基板19などを収容するための制御区画20を設けている。回路基板19は、前ケース7aと後ケース7bの接合面の間に挟持固定されている。前ケース7aの下半部には電池ホルダー21が一体に設けられており、保持ケース7を本体ケース6から抜外した状態において、電池12を電池ホルダー21に着脱することができる。回路基板19には、加熱ヘッド2およびイオンクレンジング装置3に対する給電状態を制御する制御回路が実装されており、さらに、スイッチボタン13で切換え操作されるスイッチ素子22と、LED素子23・24が実装されている。上キャップ4は、保持ケース7に外嵌装着される。
スイッチボタン13を支持するために、保持ケース7の制御区画20の下部前面にレンズユニット25を組付け、同ユニット25と前ケース7aとでスイッチボタン13を出没自在に案内し、ばね28で外向きに押出し付勢している。レンズユニット25は透明プラスチック材で形成されており、先のLED素子23・24と正対する位置に、導光壁26・27が設けられている。
スイッチボタン13をばね28に抗して1回押込み操作すると、スイッチ素子22がオン状態になり、このオン信号を受けた制御回路がイオンクレンジング装置3に電池12の電力を供給する。同時に下側のLED素子23を点灯して、美容器具の運転状態が、イオンクレンジングのための第1モードになっていることを導光壁26を介して表示する。スイッチボタン13をもう一度押込み操作すると、スイッチ素子22のオン信号を受けた制御回路が、イオンクレンジング装置3への給電を停止し、ヒーターユニット11に電池12の電力を供給する。同時に上側のLED素子24を点灯して、美容器具の運転状態が、マッサージと化粧料の展伸のための第2モードになっていることを導光壁27を介して表示する。さらに、スイッチボタン13を押込み操作すると、スイッチ素子22のオン信号を受けた制御回路が、全ての給電路を遮断して電力の供給を停止して待機状態になる。
(加熱ヘッドの構造)
図6乃至図8に加熱ヘッド2の詳細構造を示している。加熱ヘッド2は、アルミニウム製の丸棒に旋削加工と研削加工とを施して上下に長い砲弾状に形成されており、その上端に半球状のマッサージ面31が形成され、マッサージ面31の下側に連続して断面円形の展伸面32が形成されている。また、展伸面32より下側には丸軸状の装着軸33が形成されている。加熱ヘッド2の内部には、後述する温度センサー41を収容するための中空部34が下向きに開口する状態で形成されており、中空部34の開口縁の周囲に、ヒーターユニット11の熱を受継ぐフランジ状の受熱壁35が張出し形成されている。先の装着軸33を前後ケース7a・7bの対向面に設けた軸受部36で軸支することにより、加熱ヘッド2は保持ケース7で回転自在に支持される。前後ケース7a・7bに設けた軸受部36は、上下2段の半円状のフランジ36aで構成されている(図8参照)。
図6に示すように、ヒーターユニット11は、絶縁性のベースフィルム11aの上面にヒーター線11bをつづら折り状に配置し、その上面を絶縁性の保護フィルム11cで覆ったフィルムヒーター(面状発熱体)からなる。ベースフィルム11aの周縁の2個所には電極39が設けてあり、両フィルム11a・11cの中央に装着穴40が形成してある。ヒーター線11bはステンレス製の板材にエッチング加工を施して形成されている。温度センサー41とヒーターユニット11を支持するために、加熱ヘッド2の内部に加熱部ホルダー42が配置してある。
図8において、加熱部ホルダー42は、ヒーターユニット11を支持する皿状のベース部43と、ベース部43から上向きに突設される筒壁44とを一体に備えており、ベース部43を前後ケース7a・7bで挟持して保持ケース7に固定されている。ベース部43に装着したヒーターユニット11は、中央の装着穴40が筒壁44の基端部に外嵌して径方向へ移動不能に支持されており、さらに、ヒーターユニット11の上面が加熱ヘッド2の受熱壁35と小さな隙間Eを介して上下に対向している。詳しくは、ヒーターユニット11の全厚寸法が0.5〜0.6mmであるとき、ヒーターユニット11の上面と加熱ヘッド2の受熱壁35との間の隙間Eの寸法が0.12〜0.2mmになるようにした。なお、加熱ヘッド2は本体部1に対して回転不能に固定することができるが、その場合には、ヒーターユニット11を受熱壁35に密着させることにより、熱伝導効率を向上することができる。
上記のように、ヒーターユニット11と受熱壁35とを小さな隙間Eを介して正対させると、ヒーターユニット11から受熱壁35への熱移動を効果的に行ないながら、ヒーターユニット11の熱が周囲に放散されるのを皿状のベース部43で防止できる。また、加熱ヘッド2が本体部1の中心軸の周りに回転するとき、ヒーターユニット11が受熱壁35と擦れ合うのを避けて、加熱ヘッド2の回転動作を円滑化でき、加えて、ヒーターユニット11が受熱壁35で擦られて発熱機能が損なわれるのを避けることができる。さらに、ヒーターユニット11を加熱部ホルダー42に固定するので、ヒーターユニット11の電気的な接点構造を簡素化できる。
温度センサー41は、チップ状のNTCサーミスタからなり、加熱部ホルダー42の筒壁44の上端の上面に配置されて、加熱ヘッド2の温度状態を中空部34を介して検知する。温度センサー41のセンサーリード45は、筒壁44の内部空間を利用して制御区画20側へ導出されて回路基板19に接続されている。制御回路は温度センサー41の検知信号を受けてヒーターユニット11の発熱状態を制御し、加熱ヘッド2のマッサージ面31および展伸面32の表面温度を36℃以上45℃以下の温度範囲に保持する。センサーリード45は筒壁44で常に保護されているので、本体部1に大きな衝撃が作用するような場合でも、センサーリード45が断線することはない。なお、温度センサー41は、筒壁44の上端の上面から僅かに浮き離れた状態で支持してあってもよい。
(イオンクレンジング装置の構造)
図2、および図9〜図14にイオンクレンジング装置3の詳細構造を示している。図2において、イオンクレンジング装置3は、本体ケース6の側に設けられる2個のグリップ電極51・52と、底蓋8の下面中央に設けられる肌用電極53と、これらの電極51〜53にパルス電流を供給する電流調整回路などで構成してある。電流調整回路は回路基板19に設けた制御回路の一部を構成している。肌用電極53に美容用液が含浸された綿棒54を装着すると、同電極53と綿棒54とが導通した状態になるので、綿棒54の綿球部55を唇の肌面に接触させて払拭することにより、イオン導出作用によって肌面を整えることができる。図3において符号56は綿棒54の軸部である。
本体ケース6の上下端には、それぞれ四角枠状の上エンドキャップ58および下エンドキャップ59が係合装着されており、これらのエンドキャップ58・59の表面全体に金属めっきを施すことによりグリップ電極51・52が形成されている。上エンドキャップ58は、基本的に下向きに開口する四角箱状に形成するが、その前壁はレンズユニット25を組むために切欠いてある(図6、7参照)。下エンドキャップ59は上下両面が開口する四角枠状に形成され、その後面の左右中央に上向きの電極片60が突設されている。上エンドキャップ58は保持ケース7の電池ホルダー21の上側部分に係合装着されており、下エンドキャップ59は内ケース15の下部に凹凸係合構造61を介して係合装着されている(図9参照)。
図9に示すように、下エンドキャップ59の下面中央には、ねじボス62が設けられており、ねじボス62と、その下面に接合した底蓋8とをビス63で締結することにより、底蓋8が下エンドキャップ59に固定されている。図9に示すように、下エンドキャップ59を内ケース15の下部に係合装着した状態においては、底蓋8に設けた係合腕91が、電池ホルダー21の下部の係合片92と係合している。
図9に示すように、肌用電極53は、導電性のゴムを素材とする第1ホルダー64と、第1ホルダー64を内面側から支持するステンレス製の第2ホルダー65とで構成されている。第2ホルダー65は、底蓋8と、底蓋8の下面に固定した蓋体66との間に挟持固定されている。第1ホルダー64は、キャップ状に形成されており、第2ホルダー65に外嵌する筒状の周回壁67と、中央に綿棒54用の装着穴(穴)68を備える端壁69とで構成される。周回壁67の内面には、第2ホルダー65に設けられた係合溝76に係合する係合リブ70が形成されている。また、装着穴68の下開口には、綿球部55の基端部分を受止めるすり鉢状の受座71が形成されている。
第2ホルダー65は、軸部73とフランジ部74とを一体に備えており、軸部73の中央に綿棒54の軸部56を受入れる保持穴(穴)75が有底穴状に形成されており、軸部73の周面に係合リブ70と係合する係合溝76が周回状に形成されている。受座71の周囲を囲む端壁69で、綿棒54の綿球部55と軸部56の周面を弾性的に挟持固定することができる。また、これら装着穴68、受座71、端壁69、および第2ホルダー65に設けられた保持穴75により、綿棒保持部72が構成される。
第2ホルダー65に設けた保持穴75が有底穴で形成してあるため、綿棒54から軸部56を伝って流れ落ちる美容用液の全てを保持穴75で受止めて穴内に貯留できる。従って余分な美容用液が本体部1の内部に入り込んで、内部回路がショートするのを確実に防止できる。図9に示すように、保持穴75の直径D1は、装着穴68の直径D2より大きく設定してある。また、装着穴68の直径D2は綿棒54の軸部56の直径より小さく設定してあり、従って図13に示すように、軸部56は装着穴68に対して圧入気味に装着される。
これら装着穴68、保持穴75が綿棒54を装着するための穴として機能する。本実施例においては、ホルダーを第1ホルダー64と第2ホルダー65の二つのホルダーで構成したが、本発明はこれに限られず、単一のホルダーであってもよい。また、単一のホルダーを採用した場合には、該ホルダーに設けられる綿棒54を装着するための穴は、一つとなることは言うまでも無い。装着穴68の直径D2と、保持穴75の直径D1は同じ径であってもよい。
上下のグリップ電極51・52、および肌用電極53のそれぞれにパルス電流を供給する給電構造を図11に示している。給電構造は、上エンドキャップ58の内面のめっき層に接触する第1接触端子79と、電池ホルダー21の外面の左右に配置される第2接触端子80、および第3接触端子81を備えている。さらに給電構造は、下エンドキャップ59のねじボス62にビス63で共締め固定される第4接触端子82と、底蓋8で上下スライド自在に案内されるピン状の第5接触端子83と、同端子83を押上げ付勢する金属製のばね84などで構成してある。ばね84の下端は第2ホルダー65で受止められている。
図7に示すように、第1接触端子79は後ケース7bに装着されて、回路基板19に対してリード線を介して接続してある。また、第2接触端子80と第3接触端子81は、図11に示すように電池ホルダー21の左右壁に固定されて、回路基板19に対してリード線を介して接続してある。同様に、電池12用の正極端子85と負極端子86は、電池ホルダー21の定位位置に固定されて、リード線を介して回路基板19に接続してある。
図13に示すように、下エンドキャップ59を内ケース15に係合し、さらに保持ケース7を内ケース15に差込み係合すると、図14に示すように、グリップ電極52と導通する第4接触端子82が第2接触端子80に密着し、さらに第2ホルダー65を介して肌用電極53と導通する第5接触端子83が、第3接触端子81に密着する。従って、回路基板19に実装した制御回路から供給されるパルス電流を、上下のグリップ電極51・52、および肌用電極53にそれぞれ供給することができる。また、保持ケース7の下端に第2接触端子80および第3接触端子81を設け、底蓋8の上端に第4接触端子82および第5接触端子83を設けるので、保持ケース7を内ケース15に単に差込み係合するだけで、対応する各端子どうしを確実に密着させることができる。なお、下キャップ5は、底蓋8の外面に外嵌装着されるように構成されており、該下キャップ5を本体部1に装着した状態において、肌用電極53および底蓋8が覆われるようになっている。
後述するように、イオンクレンジング作業を行うときには、綿棒54に美容用液を含浸させた状態で唇のケアを行う。そのため、美容用液の含浸量が多いと、綿球部55から滴り落ちた美容用液が肌用電極53の表面を伝って蓋体66へと流動する。このように、過剰な美容用液が蓋体66を介して本体部1の内部に入り込むのを防ぐために、肌用電極53の蓋体66との隣接端に溝部88を形成し、さらに溝部88に臨む蓋体66の表面に液受凹部89を周回状に形成している(図14参照)。溝部88は、第1ホルダー64を第2ホルダー65から取外すときの、指先を引っ掛けるための指掛部としても機能している。
(唇用美容器具の使用法)
使用時には、図14に示すように、綿棒54の軸部56を肌用電極53の装着穴68に圧入して、綿球部55側の軸部56を装着穴68で保持し、綿球部55を受座71で受止めた状態で綿棒54の全体を支持する。この装着状態において、美容用液が含浸された綿球部55は受座71に密着して肌用電極53と電気的に導通している。綿棒54が傾いた状態で装着穴68に差込み装着された場合には、軸部56の下端を保持穴75の内周面で支持することができるので、綿棒54が大きく傾いた状態で装着されるのを防いで、安定した状態で支持できる。使用途中に軸部56が折れた場合でも、第1ホルダー64を第2ホルダー65から取外すだけで、折れた軸部56を簡単に排出することができる。
綿棒54を肌用電極53の綿棒保持部72に装着した後、綿球部55に化粧水などの美容用液を含浸させ、スイッチボタン13をオン操作して、美容器具をイオンクレンジングを行うための第1モードに切換える。この状態で、図15に示すように本体部1を手で握って、人指し指を下側のグリップ電極52の電極片60に接触させた状態で、鏡を見ながら綿球部55を唇に接触させ、肌面の縦皺に沿って綿球部55を上下に滑らせる。また、唇の長手方向に沿って綿球部55を滑らせて肌面の全体を整える。
このとき、綿球部55が装着された肌用電極53はプラスの極性に、グリップ電極51・52はマイナスの極性になっており、人体を介して両電極間に導通する微弱な電流によってイオン導出作用を発揮できる。このとき、唇の肌面には綿棒54を介して電流が供給されるので、肌面に作用する電流を弱めることができ、従って角質層が薄い唇の負担を軽減できる。以上のようにしてクレンジングを行うことにより、肌面の皺や襞部などに入込んでいた汚れを綿球部55に吸着させて、肌面を清潔な状態に保持できる。また、唇の肌面に化粧水をしみ込ませて、肌面を湿潤で弾力のある状態に保持できる。充分に払拭しきれていない口紅が残っていた場合でも、残留する口紅を確実に除去して、口紅による色素の沈着を防止できる。綿棒54を使用してクレンジングを行うので、唇の縦皺や肌面のめくれなどの肌荒れが激しい部分に対して集中的にマッサージ刺激を与え、あるいは綿棒54に含浸させた美容用液を縦皺に対してピンポイント状にしみ込ませるなど、微妙な操作を行なって唇の肌面の状態をさらに好適な状態にできる。
イオンクレンジングを終了した後に、スイッチボタン13を再度オン操作して、マッサージと化粧料の展伸に適した第2モードに切換えて、加熱ヘッド2が適温になるまでの時間(約30秒)を利用して、唇にリップクリームをたっぷりと塗布する。次に、加熱ヘッド2が唇と正対するように本体部1を持った状態で、加熱ヘッド2の展伸面32を唇の表面に接触させて、唇の中央から側端へ向かって加熱ヘッド2を繰返し転動させてリップクリームを塗り伸ばす。このとき、加熱ヘッド2から伝動される熱によって、リップクリームに含まれるパラフィンなどの油脂類やワックス類が軟化して液状化するため、図15に示すように、唇に縦皺が形成されていたとしても、皺の内部にまでリップクリームを染込ませることができる。また、加熱ヘッド2を転動させながらリップクリームを展伸面32で塗り伸ばすので、常に新規な展伸面32で唇の肌面を加熱でき、従ってリップクリームを効果的に展伸することができる。このとき、展伸面32に接触する唇に、摺擦作用による動的な刺激と温熱を与えられるため、血行の促進効果を発揮することができる。
上記のように、リップクリームを唇の肌面に沿って均等に塗り伸ばした後に、マッサージ面31を唇の表面にあてがって円を描くようにして、温熱を加えながら唇全体のマッサージを行う。さらに、唇の輪郭線に沿って円を描くようにマッサージ面31を動かして、唇の輪郭部分のマッサージを行う。最後に、唇の周辺、あるいは唇の肌面に付着したリップクリームを、軽くティシュオフして唇のケアを終了する。唇のケアを行ったのちに口紅を塗布することにより、口紅の塗布状態を滑らかで潤いに富んだ状態に仕上げることができる。なお、ユーザーによっては、リップクリームを塗り伸ばすためにマッサージ面31を使用することが想定され、従ってマッサージ面31と展伸面32の機能の使い分けはユーザーの好みに委ねることとなる。
以上のように、本実施例に係る唇用美容器具によれば、リップクリームを唇の肌面に沿って塗り伸ばした後に、加熱ヘッド2を唇の表面にあてがって、温熱を加えながら唇全体のマッサージを行うことにより、唇の状態を良好な状態に整えることができる。具体的には、唇の肌面がマッサージによって動的に刺激される効果と、温熱が加えられることによる皮膚細胞の活性化を促す効果とが得られるので、動的な刺激効果と活性効果との相乗効果で唇の血行を促進できる。これに伴い、唇の肌面の色合いを自然な状態に回復し、唇の表面状態を艶やかでふっくらとした状態に整えることができる。さらに、唇のケアを行ったのちに口紅を塗布することにより、口紅の塗布状態を滑らかで潤いに富んだ状態に仕上げることができる。短時間で唇のケアを行えるので、昼食後や退社前などの化粧直しなどの際にでも手軽に唇のケアを行うことができる。
第1モードと第2モードを行うのには、少なからず時間を要するので、入浴後にスキンケアを行う場合など、時間的に余裕がある状態で行うとよい。食後や退社前などの化粧直しなどの際には、口紅をティシュペーパーで拭取った後、リップクリームを塗布して第2モードでリップクリームを塗り伸ばし、あるいは唇のマッサージを行った後、口紅を塗布すればよいので、一連のメイク作業を短時間で行なうことができ、従って唇の肌面のケアをどこでも手軽に行える。さらに、出勤前のメイク時には、就寝前に塗布したリップクリームを軽くティシュオフした後、再度リップクリームを塗布して第2モードでリップクリームを塗り伸ばし、あるいは唇のマッサージを行って口紅を塗布すればよい。
(綿棒切断部の構造)
以上の説明から理解できるように、綿棒54はその軸部56を所定の長さに切断した状態で使用するが、軸部56の切断をユーザー自身で簡便に行えるようにするために、下キャップ5に綿棒を切断するための切断部94を設けている。図1、図17および図18において、下キャップ5は、略四角形状の底壁95と、底壁95の四周縁から上方に伸びる周囲壁96とを備え、上方に開口を有する有底容器状に形成されている。下キャップ5の周囲壁96は、四つの周壁面96aと、隣り合う周壁面96a・96aどうしの間に形成された四つのコーナー面96bとで構成されている。
切断部94は、下キャップ5の底壁95の隅部寄りに設けた綿棒装填穴98と、この綿棒装填穴98に臨んで下キャップ5の周囲壁96の一つのコーナー面96bから連出した一対の棒受壁99・99とで構成する。綿棒装填穴98は、綿球部55を差込むための不完全円状の丸穴100と、丸穴100に連続して底壁95の隅部へ延びる角穴101とで鍵穴形に形成してある。各棒受壁99は角穴101の対向縁に沿って形成してあり、その上端から綿棒装填穴98の下開口までの長さが、肌用電極53の受座71から保持穴75の内奥端までの長さに一致させてある。すなわち、棒受壁99の上端から綿棒装填穴98の下開口までの長さは、受座71を含む装着穴68と保持穴75の合計長さに一致されている。また、一対の棒受壁99・99の対向間隔は、装填穴68の直径と同じか、これより僅かに大きく設定してあり、両棒受壁99・99の間に、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102が形成されている。また、溝部102の下端部、すなわち、角穴101の開口縁が、軸部56を切断するための角部103として機能する。
綿棒54を切断する場合には、図18(a)に示すように、綿球部55を下キャップ5の下面側から綿棒装填穴98の丸穴100に差込み、綿棒54の全体を角穴101側へ移動させて綿球部55を下キャップ5のコーナー面96bに接当させるとともに、軸部56を棒受壁99・99の間の溝部102内に進入させる。この状態で、綿棒54から指先を離すと、図18(b)に示すように、綿球部55の基端部が棒受壁99で受止められて綿棒54が宙吊り状態となる。次に、図18(a)に示すように、綿球部55を下キャップ5のコーナー面96bの内面に接触するように押え付け固定する。かかる固定状態においては、ユーザーは、その指先をコーナー面96bを挟んで隣り合う二つの周壁面96a・96aの内面に接触させて、指先を安定化させることができる。このため、切断部94内で綿棒54を安定的に支持することができる。次に、綿棒装填穴98の開口周縁を基点として軸部56を棒受壁99の厚み方向へ折り曲げる。より具体的には、溝部102の下端部、すなわち、角穴101の開口縁を基点として、該角穴101から突出する軸部56を棒受壁99の厚み方向に折り曲げる。以上のような折り曲げ作業を繰り返すことにより、余分な軸部56を綿球部55から切断して、適正な長さに切断された綿棒54を得ることができる。従って、ユーザーは、衛生的な状態で保管しておいた綿棒54を、イオンクレンジング作業を行う直前に切断して、清潔な状態で使用することができる。
このように、切断部94が美容器具に設けられていると、鋏等の道具を用意することなく、綿棒54の切断作業を行うことができるので、ユーザーは綿棒54の切断作業、および綿棒54の装着作業をより少ない手間で簡便に行うことができる。また、常に所定の長さ寸法に綿棒54を切断することができるので、綿棒保持部72に装着される綿棒54の長さ寸法が長短にばら付くことに起因する、肌用電極53と綿棒54との間の導通不良などの問題を解消して、より信頼性に優れた美容器具を提供できる。綿棒54の軸部56の長さ寸法が過少となることに起因して、綿棒保持部72による綿棒54の保持固定が不安定となることを防ぐこともできる。尤も、軸部56がプラスチックなどで構成されており、その切断が容易で無い場合には、棒受壁99で適正な長さを測ったうえで、鋏などを利用して切断すればよい。
下キャップ5に切断部94を設けたので、ユーザーは、本体部1に比べて重量の小さな下キャップ5を使って、綿棒54の切断作業をより小さな負担で実行することができる。また、本体部1の重量は比較的大きいため、本体部1に切断部94を設けた場合には、本体部1が床面に落下したときの衝突衝撃により切断部94が破損するおそれがあるが、本実施例のように下キャップ5に切断部94を設けてあると、下キャップ5の重量は本体部1のそれよりも小さいため、下キャップ5を床面に落下させたときにも衝突衝撃により切断部94が破損するおそれは少ない。以上より、使い勝手と信頼性に優れた美容器具を提供できる。
綿球部55が底壁95と周囲壁96とで囲まれた下キャップ5の内部に配置された状態で、切断部94により軸部56を切断できるように構成したので、切断後の綿球部55を含む綿棒54を下キャップ5の底壁95或いは周囲壁96で受止めて、綿棒54が不用意に落下すること防ぐことができる。これにて、綿棒54が床面等に接触して衛生状態が損なわれることを防ぐことができ、ユーザーは清潔な状態で綿棒54を使用することが可能となるため、衛生面に優れた美容器具を提供できる。
切断部94を、下キャップ5の底壁95の隅部寄りに開設した綿棒装填穴98と、綿棒装填穴98に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99とで構成したので、綿棒装填穴98を下キャップ5の周囲壁96に設ける場合に比べて、切断部94を設けたことに伴う美容器具の外形デザインの低下を抑えて、外形デザインに優れた美容器具を提供できる。切断部94を簡単な構成として、切断部94を設けたことに伴うコストアップを抑えて、より安価に切断部を備える美容器具を提供できる利点もある。
また、綿棒装填穴98を下キャップ5の底壁95の隅部寄りに開設したので、切断作業時において、綿棒装填穴98から装填された綿球部55を支持する指先を、隣り合う二つの周壁面96a・96aの内面に押し付けて、該指先を安定化させることができる。これにて、綿球部55を安定的に保持しながら軸部56の切断作業を実行できるので、ユーザーは、より簡単且つ安定的に切断作業を進めることができ、使い勝手に優れた美容器具を提供できる。また、下キャップ5の底壁95に綿棒装填穴98を開設したので、下キャップ5を本体部1に装着した状態で肌用電極53等に付着する湿気を綿棒装填穴98から逃がすことが可能となり、雑菌の繁殖を抑えて、肌用電極53を衛生的な状態に保持できる。
イオンクレンジング作業を行ったのちの綿棒54は、肌用電極53から取外して廃棄する。しかし、綿棒54を肌用電極53に装着した状態のままで、下キャップ5が底蓋8に装着されてしまうと、雑菌が繁殖し、あるいは皮脂が腐敗するなど、非衛生的な状態になってしまう。こうした事態を確実に防止し、肌用電極53を常に衛生的な状態に保持するために、図13に示すように、下キャップ5の内法上下寸法を、下エンドキャップ59の下端面から肌用電極53の下端面までの上下寸法より僅かに大きくなるように設定している。つまり、綿棒54を綿棒保持部72に装着した状態における綿棒54の外郭線が、下キャップ5で覆われるキャップ内空間の外に突出するように、下キャップ5の大きさが設定されている。こうした下キャップ5によれば、肌用電極53の綿棒54を差込んだ状態のままでは、綿棒54が邪魔になって下キャップ5を底蓋8に係合することができなくなる。従って、ユーザーの注意を喚起して、使用後の綿棒54は廃棄する必要があることを物理的に明確に知らせて、唇用美容器具の適正な使用を促すことができる。
この第1実施例において、切断部94の設置箇所は、下キャップ5の形状に応じて、適宜に選択することができる。具体的には、図19(a)のように、下キャップ5が、その底壁95が略三角形状の三角容器状である場合には、周囲壁96の三角のコーナー部(頂点部)に切断部94を設けることができる。図19(b)のように、下キャップ5が、その底壁95が円形の円形容器状である場合には、周囲壁96の内面の任意の箇所に、切断部94を設けることができる。図19(c)のように、下キャップ5が、その底壁95が楕円形の楕円容器状である場合には、周囲壁96の楕円の長軸側の頂点部に切断部94を設けることができる。図19(a)〜(c)に示すような位置に切断部94が設けられていると、切断部94に綿棒54を固定し、ユーザーが指先により綿球部55を周囲壁96に押し付けたとき、指先を周囲壁96の内面に接当させて、該指先を安定化させ、切断部94内で綿棒54を安定的に支持することが容易となり、従って、より迅速且つ安定的に、切断部94を使った切断作業を進めることができる。つまり、多角形状の下キャップ5であって、その周囲壁96を構成する周壁面96a(図1等参照)の水平方向に係る長さ方向の中央部に切断部94を設けた場合、或いは楕円形状の下キャップ5であって、その周囲壁96の楕円の短軸側の頂点部に切断部94を設けた場合には、指先を周囲壁96の内面に接当させることが容易で無く、綿棒54を安定的に支持することは困難となるが、特に図19(a)、(c)のような位置に切断部94が設けられていると、指先を周囲壁96の内面に接当することが容易となり、より迅速且つ安定的に切断作業を進めることができる。
(第2実施例) 図20に本発明の第2実施例を示す。この第2実施例においては、綿棒装填穴98の角穴101に対応して、周囲壁96のコーナー面96bに、上下方向に長く、溝状の切り欠き105を形成し、該切り欠き105の対向壁を切断部94を構成する一対の棒受壁99・99とした点が、先の第1実施例と相違する。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
(第3実施例) 図21に本発明の第3実施例を示す。この第3実施例においては、切断部94の設置箇所を、下キャップ5の周壁面96aの中央部とした点が、先の第1実施例と相違する。それ以外は、第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
(第4実施例) 図22および図23に本発明の第4実施例を示す。この第4実施例に係る切断部94は、下キャップ5の周囲壁96に開設された綿棒装填部110と、綿棒装填部110に臨んで周囲壁96から連出した一対の棒受壁99とで構成されている。綿棒装填部110は、周囲壁96のコーナー面96bに、その上端から上下方向の中央部に至るように凹み形成されて、その下端に奥端面111を有する凹溝である。この凹溝の対向縁に沿って、コーナー面96bから一対の棒受壁99・99が連出されている。棒受壁99の突端からコーナー面96bの開口112までの長さ(水平方向の長さ)が、肌用電極53の受座71から保持穴75の内奥端までの長さに一致させてある。また、一対の棒受壁99・99の対向間隔は、装填穴68の直径と同じか、これより僅かに大きく設定してある。本実施例においては、両棒受壁99・99の間が、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102となり、奥端面111に係るコーナー面96bの開口112が、軸部56を切断するための角部103となる(図23参照)。
綿棒54を切断する場合には、図23に示すように、綿球部55を凹溝の上方開口から差込み、綿棒54の軸部56を凹溝の下端面に接当させるとともに、綿球部55の基端部を棒受壁99の突端に接当させる。次に、軸部56を凹溝の奥端面111に押さえ付けて固定したのち、開口112の周縁を基点として、周囲壁96から突出する綿棒54の軸部56を周囲壁96の外面に沿う方向に折り曲げて余分な軸部56を切断する。これにて、ユーザーは、適正な長さに切断された綿棒54を得ることができる。
以上のように、本実施例の切断部94では、周囲壁96から突出する綿棒54の軸部56を周囲壁96の外面に沿う方向に折り曲げて余分な軸部56を切断するが、かかる切断作業を迅速に進めるためには、軸部56を大きく折り曲げることが必要であり、換言すれば、軸部56を大きく折り曲げるためには、ユーザーの指先の動きを含めた作業空間を確保することが必要である。本実施例においては、下キャップ5のコーナー部に切断部94を形成したため、コーナー面96bを挟んで隣り合う周壁面96a・96aに指先が接触するおそれは少なく、より大きく軸部56を折り曲げて、迅速に軸部56を切断できる。
この第4実施例において、切断部94の設置箇所は、下キャップ5の形状に応じて、適宜に選択することができる。具体的には、図24(a)のように、下キャップ5が、その底壁95が略三角形状の三角容器状である場合には、周囲壁96の三角のコーナー部(頂点部)に切断部94を設けることができる。図24(b)のように、下キャップ5が、その底壁95が楕円形の楕円容器状である場合には、周囲壁96の楕円の長軸側の頂点部に切断部94を設けることができる。このように、三角のコーナー部、或いは楕円の長軸側の頂点部に切断部94が設けられていると、先の図23に示した場合と同様に、より大きな作業空間を確保することができるため、周囲壁96から突出する軸部56を周囲壁96に沿う方向に大きく折り曲げて、より迅速且つ容易に綿棒54の切断作業を実行できる。
(第5実施例) 図25に本発明の第5実施例を示す。この第5実施例においては、切断部94の位置を、下キャップ5の周壁面96aの中央部とした点が、先の第4実施例と相違する。それ以外は、第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する
(第6実施例) 図26および図27に本発明の第6実施例を示す。この第6実施例においては、下キャップ5の底壁95の外面に切断部94を設けている。切断部94は、底壁95の外面のコーナー部に凹み形成されて、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102と、溝部102の端部に設けられて綿棒54の軸部56の切断位置を規定して、軸部56を折り曲げ切断するための角部103とで構成されている。下キャップ5は、周囲壁96が略四角形状に形成された四角容器状に形成されており、溝部102は隣り合う周壁面96aの外周辺どうしを繋ぐ傾斜姿勢に設けられている。下キャップ5の底壁95が上方に向く、図26に示すような天地逆姿勢としたとき、溝部102は上方に開口を有する断面コ字状に形成されている。溝部102は、対向縁の間隔寸法が均一に形成されて軸部56を受け入れるストレート部102aと、該ストレート部102aに連設されて、対向縁の間隔寸法が外方向に行くに従って大きくなる拡開状に形成されたテーパー部102bとで構成される。かかるテーパー部102bに、綿球部55の基端部が受け入れられる。
綿棒54を切断する場合には、図26に示すように、下キャップ5の底壁95が上方に向く天地逆姿勢としたうえで、溝部102の中に綿棒54を差し込む。具体的には、図27に示すように、綿球部55の基端部がテーパー部102bに受止められるとともに、軸部56がストレート部102aに受止められる固定姿勢としたうえで、角部103を起点として、軸部56を周囲壁96の外面に沿う方向に折り曲げて余分な軸部56を切断する。これにて、ユーザーは、適正な長さに切断された綿棒54を得ることができる。
(第7実施例) 図28に本発明の第7実施例を示す。この第7実施例においては、下キャップ5を装着した際に該下キャップ5で覆われる本体部1の底蓋8に、切断部94を設けた点が先の第1実施例等と相違する。具体的には、切断部94は、底蓋8の外面のコーナー部に凹み形成されて、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102と、溝部102の端部に設けられて綿棒54の軸部56の切断位置を規定して、軸部56を折り曲げ切断するための角部103とで構成されている。底蓋8は、下方視で略四角形状の下端面を備え、溝部102は隣り合う下端面の外周辺どうしを繋ぐ傾斜姿勢に設けられている。底蓋8の下面が上方に向く天地逆姿勢としたとき、溝部102は、上方に開口を有する断面コ字状に形成されており、その対向縁の間隔寸法が均一に形成されて軸部56を受け入れるストレート部102aと、該ストレート部102aに連設されて、その対向縁の間隔寸法が外方向に行くに従って大きくなる拡開状に形成され、綿球部55の基端部を受け入れるテーパー部102bとで構成される。
このように、下キャップ5で覆われる本体部1の底蓋8に切断部94が設けられていると、切断部94を設けたことに伴う本体部1の外形デザインの低下を抑えることができるので、外形デザインに優れた美容器具を提供できる。また、本体部1に切断部94を設けたため、切断部94を紛失する余地が無い点でも優れている。
(第8実施例) 図29に本発明の第8実施例を示す。この第8実施例では、底蓋8の下端面に二本のリブ120・120を下方に平行状に突設して、これらリブ120・120の間に溝部102と角部103とで構成される切断部94を形成した点が、先の第7実施例と相違する。それ以外の点は、第7実施例と同様であるので、先の第7実施例と同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
(第9実施例) 図30に本発明の第9実施例を示す。この第9実施例では、切断部94を、対向する底蓋8の外周辺どうしを繋ぐように形成された溝部102で構成した点が、先の第7実施例と相違する。それ以外の点は、第7実施例と同様であるので、先の第7実施例と同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
(第10実施例) 図31に本発明の第10実施例を示す。この第10実施例では、切断部94を、本体ケース6の下端外面に設けた点が、先の第7実施例と相違する。具体的には、切断部94は、本体ケース6の下端外面のコーナー部に凹み形成されて、綿棒54の軸部56を受け入れる溝部102と、溝部102の端部に設けられて軸部56の切断位置を規定して、軸部56を折り曲げ切断するための角部103とで構成されている。本体ケース6は、四つの周壁面121と、隣り合う周壁面121の間に連設されたコーナー面122とを備える略四角筒状に形成されており、溝部102は隣り合う周壁面121どうしをつなぐ傾斜姿勢に設けられている。それ以外の点は、先の第7実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
(第11実施例) 図32および図33に本発明の第11実施例を示す。この第11実施例では、底蓋8の外周面に切断部94を形成するとともに、底蓋8に対して着脱可能に構成された下キャップ5に、切断部94に装着された綿棒54の余分な軸部56を切断するためのカッター130を設けている。底蓋8は、その側面に四つの周壁面131を備える四角形状を呈しており、その一つの周壁面131に切断部94が設けられている。切断部94は、綿棒54を受け入れる溝部102と、溝部102の端部に設けられて軸部56の切断位置を規定する角部103とで構成されている。溝部102は、外方に開口を有する断面コ字状に形成されており、対向縁の間隔寸法が均一に形成されて軸部56を受け入れるストレート部102aと、該ストレート部102aに連設されて、その対向縁の間隔寸法が外方向に行くに従って大きくなる拡開状に形成され、綿球部55を受け入れるテーパー部102bとで構成される。
下キャップ5は、四角形状の底壁95と、底壁95の四周縁から立設された周囲壁96とを備え、上方に開口を有する四角容器状に形成されている。周囲壁96の内形寸法は、底蓋8の外形寸法と略一致しており、周囲壁96の内面上端を底蓋8の外周面に嵌合させることで、下キャップ5を底蓋8に装着することができる。切断部94の角部103に対応して、下キャップ5の周囲壁96には、綿棒54の軸部56を受け入れる凹溝132が凹み形成されており、凹溝132の下端側の内面周縁に、カッター130が固定されている。カッター130の刃先は、上下の斜め方向に指向しており、下キャップ5を底蓋8に装着した際のカッター130の刃先の移動軌跡が、切断部94に固定されて角部103から突出する軸部56を横断するようになっている。これにて、図32に示すように、綿棒54をテーパー部102bに綿球部55が受止められ、ストレート部102aに軸部56が受止められた固定姿勢としたうえで、下キャップ5の底蓋8への装着作業を行うことで、カッター130の刃先により角部103から突出する余分な軸部56を切断することができる。