以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理を説明する。
(スロットマシン100の機械的構成)
図1や図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方に位置し、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下部に位置し、メダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
前面下扉106の上部には操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130、精算ボタン132等が配設されている。
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部124は、メダル投入口124aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口108aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部124bとが設けられている。ここで、メダル排出口108aに導かれたメダルは受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入枚数である規定投入数を超えてメダルが投入されると、その規定投入数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部に電子的に貯留(以下、単にクレジットという)される。
ここで、1遊技は、メダルの投入を条件として1度の払い出しを受け得る一連の遊技をいう。また、ここでは、規定投入数は「3」に固定されている。ただし、スロットマシン100の機種によっては規定投入数が異なったり、あるいは、同一機種であっても規定投入数が変化したりして、規定投入数が固定されている場合と、複数の中から選択可能な場合がある。なお、1遊技を開始するために必要なメダル数を、複数の規定投入数から任意に選択できる場合、その複数の規定投入数の中の最大のものを最大規定投入数といい、最小のものを最小規定投入数という。仮に、規定投入数が1〜3の間で選択可能な場合、最大規定投入数は「3」となり、最小規定投入数は「1」となる。ここでは、規定投入数が「3」に固定されているので、最大規定投入数および最小規定投入数は「3」となる。
ベットボタン126は、クレジットされているメダルのうち規定投入数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。精算ボタン132は、クレジットされているメダルの返却(精算)要求操作を受け付ける、押圧式のボタンスイッチである。遊技者は、精算ボタン132を操作することにより、ベットされたメダルや電子的にクレジットされたメダルを精算する精算要求を行うことができ、かかる精算要求に応じて、ベットされているメダルや電子的にクレジットされているメダルがメダル排出口108aから排出される。
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なレバーで形成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ128は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって形成することも可能である。
前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136が設けられ、筐体102内の図柄表示窓136に対応した位置には、リールユニット134が設けられている。リールユニット134には、図3のリールの図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓136を通じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cを視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始する。
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ130に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチとよび、左から順にストップボタンスイッチ130a、ストップボタンスイッチ130b、ストップボタンスイッチ130cとする。
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部138が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。
また、図2に示すように、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部264cとを備えている。具体的に払出制御部264bは、当該払出制御部264bの本体外装に回転可能に支持され、メダル貯留部264aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
また、図1や図2では図示していないが、各回転リール134a、134b、134cの内側には、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する(有効ラインの対象となり得る)各回転リール134a、134b、134cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト144(図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にも左リール134a、中リール134b、右リール134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
また、図1に示すように、操作部設置台122において、図柄表示窓136とストップスイッチ130との間に設けられた段部122aの略水平面には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、主として、主制御基板200と、副制御基板202とによって制御されている。ここでは、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202で実行している。また、図4に示したように、主制御基板200と副制御基板202との通信は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も可能である。
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM200cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、意図的にメインRAM200cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、コマンド決定手段312、コマンド送信手段314等の機能部を有する。初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットボタン126の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部124を通じてメダルを投入する場合のいずれも含む。当選役抽選手段304は、メダルのベットおよびスタートスイッチ128の操作に基づき、小役、リプレイ役、および、ボーナス役を含む複数種類の当選役およびハズレのうちいずれかを抽選により決定する(当選役抽選)。リール制御手段306は、各回転リール134a、134b、134cを回転および停止制御する。判定手段308は、当選役抽選で決定された当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。以下、当選役抽選で決定された当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役抽選で決定された当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたこと(入賞されたこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。コマンド決定手段312は、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定する。コマンド送信手段314は、コマンド決定手段312が決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130および精算ボタン132から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、メインCPU200aが両表示部152、154に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に基づき主制御基板200から送信される各回転リール134a、134b、134cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動するとともに、ストップスイッチ130の操作信号に基づき主制御基板200から送信される、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいて、ステッピングモータ262の駆動を停止する。
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段310は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数をカウントしながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
また、主制御基板200には、乱数発生手段200dが設けられる。乱数発生手段200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生手段200dによって生成される乱数(以下、当選役抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技上の利益、例えば、当選役を決定するために用いられる。
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、出玉率の異なる設定値が複数設けられ、また、遊技の進行に際して複数の遊技状態が設けられており、これら各設定値における各遊技状態に対応する複数の当選役抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選役抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値と遊技状態に応じて、対応する当選役抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選役抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ128の操作信号に応じて取得された当選役抽選乱数が当選役抽選テーブル内のいずれの当選役またはハズレに対応するか判定する。
ここで、当選役抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ライン上に揃った状態を表示(入賞)といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、遊技状態をボーナス遊技状態に移行させることができる当選役である。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技利益について説明する。
図5は、有効ラインおよび仮想ラインを説明するための説明図であり、図6および図7は、当選役を説明するための説明図であり、図8は、遊技状態の状態遷移を説明するための説明図である。
図5(a)は、本実施形態における有効ラインを示している。本実施形態において、有効ラインは1本であり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール134a、中リール134b、右リール134cのそれぞれ中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを有効ラインAとして設定している。また、図5(b)は、仮想ラインを示している。仮想ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示するラインであり、本実施形態では、4つの仮想ラインを想定している。具体的に、左リール134aの上段、中リール134bの上段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを仮想ラインB1、左リール134aの下段、中リール134bの下段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを仮想ラインB2、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを仮想ラインC1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを仮想ラインC2として設定している。ただし、仮想ラインB1、B2、C1、C2は、見かけ上、図柄が一直線に表示されるというだけで、あくまで当選役を判定するのは有効ラインAのみである。
また、図6に示すように、本実施形態においては、当選役として、「通常リプレイ」、「チェリー」、「通常ベル」、「共通ベル」、「特殊ベル1」、「特殊ベル2」、「特殊ベル3」、「特殊ベル4」、「特殊ベル5」、「特殊ベル6」、「特殊ベル7」、「特殊ベル8」(以下、「通常ベル」、「共通ベル」、「特殊ベル1」、「特殊ベル2」、「特殊ベル3」、「特殊ベル4」、「特殊ベル5」、「特殊ベル6」、「特殊ベル7」、「特殊ベル8」を単に当選役「ベル」と略す場合がある)、「ビッグボーナス(以下、「BB」という)」が設けられている。このうち、当選役「通常リプレイ」が上記リプレイ役に相当し、当選役「チェリー」、「通常ベル」、「共通ベル」、「特殊ベル1」、「特殊ベル2」、「特殊ベル3」、「特殊ベル4」、「特殊ベル5」、「特殊ベル6」、「特殊ベル7」、「特殊ベル8」が上記小役に相当し、当選役「BB」が上記ボーナス役に相当する。
図6を参照して理解できるように、各当選役では、各回転リール134a、134b、134cに対して、その当選役に対応する図柄組み合わせが定められており、かかる図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されてはじめて当選役が入賞したこととなる。なお、1の当選役における1の回転リールに複数の図柄が定められている場合、例えば、当選役「チェリー」の中リール134bのように「スイカA」図柄、「スイカB」図柄、「チェリー」図柄、「ハズレA」図柄といった複数の図柄が定められている場合は、そのうちのいずれかが有効ラインA上に表示されると当選役が入賞したこととなる。また、当選役の任意の回転リールに「ANY」が定められている場合は、回転リール中のいずれの図柄が有効ラインA上に表示されたとしても当選役が入賞したこととなる。
本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、各回転リール134a、134b、134cの回転方向と反対の方向の図柄4つ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように停止制御がなされる。以下、単に「停止制御」や「表示可能」と言った場合、このような引込範囲内で当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を引き込むといった処理を含む。なお、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄以外の図柄が有効ラインA上にある場合には、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。
(リプレイ役)
当選役抽選の結果、当選役「通常リプレイ」に当選した場合には、その当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせのうち、図6に示した、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「リプレイ」図柄が、図7(a)のように有効ラインA上に表示可能となる。
そして、当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する「リプレイ」図柄同士は、各回転リール134a、134b、134c内で最大図柄4つ分しか離隔していないので、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている(図3および図6参照)。したがって、当選役「通常リプレイ」に当選した場合には、これら当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。このようにして、当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、メダルを投入することなく次回の1遊技を開始することが可能となる。
(小役)
また、当選役抽選の結果、当選役「チェリー」に当選した場合には、図6に示した、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせのうち、例えば、図7(b)のように、左リール134aに記される「青7」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、中リール134bに記される「チェリー」図柄が有効ラインA上に表示可能となる。また、右リール134cについてはいずれの図柄が有効ラインA上に表示されてもよい。図7(b)の例では、有効ラインA上に停止した図柄組み合わせが「青7」、「チェリー」、「リプレイ」となっているが、仮想ラインC2上に停止した図柄組み合わせは「チェリー」、「チェリー」、「BAR」となり、遊技者は、当選役「チェリー」に当選したことを容易に把握できる。ただし、各回転リール134a、134b、134cにおいては、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、上記の停止制御によっても、有効ラインA上に表示されない場合があるように配置されている。そのため、当選役「チェリー」に当選したとしても、所謂取りこぼしが生じることがあり、遊技者は、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
当選役抽選の結果、当選役「ベル」(「通常ベル」、「共通ベル」、「特殊ベル1」、「特殊ベル2」、「特殊ベル3」、「特殊ベル4」、「特殊ベル5」、「特殊ベル6」、「特殊ベル7」、「特殊ベル8」のいずれか)に当選した場合には、その当選役に対応する1または複数の図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、各当選役に対応した枚数のメダルが遊技者に払い出される。例えば、当選役抽選の結果、当選役「通常ベル」に当選した場合には、当選役「通常ベル」に対応する図柄組み合わせのうち、図6に示した、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「ベル」図柄が、図7(c)のように有効ラインA上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「共通ベル」に当選した場合には、図6に示した、当選役「共通ベル」に対応する図柄組み合わせのうち、例えば、図7(d)のように、左リール134aに記される「赤7」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、中リール134bに記される「リプレイ」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、右リール134cに記される「スイカA」図柄が有効ラインA上に表示可能となる。図7(d)の例では、有効ラインA上に停止した図柄組み合わせが「赤7」、「リプレイ」、「スイカA」となっているが、仮想ラインB1上に停止した図柄組み合わせは「ベル」、「ベル」、「ベル」となり、遊技者は、当選役「共通ベル」に当選したことを容易に把握できる。ここで、当選役「通常ベル」および当選役「共通ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する1または複数の図柄同士は、各回転リール134a、134b、134c内で最大図柄4つ分しか離隔していないので、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている(図3および図6参照)。ただし、当選役「通常ベル」は、当選役「共通ベル」より、払出枚数が多くなるように設定されている(例えば、当選役「通常ベル」=9枚、当選役「共通ベル」=1枚)。
また、当選役「特殊ベル1」または「特殊ベル2」に当選した場合には、図6に示した、当選役「特殊ベル1」または「特殊ベル2」に対応する複数の図柄組み合わせのうち、例えば、当選役「特殊ベル1」に対応する図柄組み合わせを例に挙げると、図7(e)のように、左リール134aに記される「スイカA」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、中リール134bに記される「ベル」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、右リール134cに記される「リプレイ」図柄が有効ラインA上に表示可能となる。また、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」に当選した場合には、図6に示した、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」に対応する複数の図柄組み合わせのうち、例えば、当選役「特殊ベル3」に対応する図柄組み合わせを例に挙げると、図7(f)のように、左リール134aに記される「赤7」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、中リール134bに記される「青7」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、右リール134cに記される「スイカA」図柄が有効ラインA上に表示可能となる。
ところで、上述したように、当選役「通常ベル」に当選した場合には、当選役「通常ベル」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。また、各回転リール134a、134b、134cにおいては、当選役「特殊ベル1」または「特殊ベル2」に対応する複数の図柄組み合わせを構成する1または複数の図柄が、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている(図3および図6参照)。したがって、当選役「特殊ベル1」または「特殊ベル2」に当選した場合には、当選役「特殊ベル1」または「特殊ベル2」に対応するいずれかの図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。ただし、当選役「特殊ベル1」および当選役「特殊ベル2」は、当選役「通常ベル」より、払出枚数が少なく設定されている(例えば、当選役「通常ベル」=9枚、当選役「特殊ベル1」、「特殊ベル2」=1枚)。
また、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」に対応する複数の図柄組み合わせのうち、「特殊ベル3」に対応する図柄組み合わせの場合、図6に示すように、かかる図柄組み合わせを構成する左リール134aの図柄は「赤7」または「リプレイ」であり、中リール134bの図柄は、「青7」または「BAR」であり、右リール134cの図柄は「スイカA」である。ここで、左リール134aについては、上記の停止制御により、「赤7」または「リプレイ」図柄が必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている。また、中リール134bについては、図3における21図柄のうち図柄番号1から8までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「青7」または「BAR」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。また、右リール134cについては、図3における21図柄のうち図柄番号7から14までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカA」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。したがって、上記の当選役「特殊ベル3」に当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル3」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、約1/6.9(21/21×8/21×8/21)となり、遊技者は、当選役「特殊ベル3」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。また、当選役「特殊ベル4」に対応する図柄組み合わせの場合、かかる図柄組み合わせを構成する左リール134aの図柄は「赤7」または「リプレイ」であり、中リール134bの図柄は、「青7」または「BAR」であり、右リール134cの図柄は「スイカB」である。ここで、左リール134aについては、上記の停止制御により、「赤7」または「リプレイ」図柄が必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている。また、中リール134bについては、図3における21図柄のうち図柄番号1から8までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「青7」または「BAR」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。また、右リール134cについては、図3における21図柄のうち図柄番号20、21および1から6までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカB」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。したがって、当選役「特殊ベル4」に当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル4」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、約1/6.9(21/21×8/21×8/21)となる。また、当選役「特殊ベル5」に対応する図柄組み合わせの場合、かかる図柄組み合わせを構成する左リール134aの図柄は「赤7」または「リプレイ」であり、中リール134bの図柄は、「青7」または「BAR」であり、右リール134cの図柄は「ハズレA」である。ここで、左リール134aについては、上記の停止制御により、「赤7」または「リプレイ」図柄が必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている。また、中リール134bについては、図3における21図柄のうち図柄番号1から8までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「青7」または「BAR」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。また、右リール134cについては、図3における21図柄のうち図柄番号15から19までの間といった図柄5つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「ハズレA」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。したがって、当選役「特殊ベル5」に当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル5」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、約1/11.0(21/21×8/21×5/21)となる。
また、当選役「特殊ベル6」に対応する図柄組み合わせの場合、かかる図柄組み合わせを構成する左リール134aの図柄は「赤7」または「リプレイ」であり、中リール134bの図柄は、「スイカA」または「チェリー」であり、右リール134cの図柄は「スイカA」である。ここで、左リール134aについては、上記の停止制御により、「赤7」または「リプレイ」図柄が必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている。また、中リール134bについては、図3における21図柄のうち図柄番号9から21までの間といった図柄13個分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカA」または「チェリー」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。また、右リール134cについては、図3における21図柄のうち図柄番号7から14までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカA」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。したがって、当選役「特殊ベル6」に当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル6」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、約1/4.2(21/21×13/21×8/21)となる。また、当選役「特殊ベル7」に対応する図柄組み合わせの場合、かかる図柄組み合わせを構成する左リール134aの図柄は「赤7」または「リプレイ」であり、中リール134bの図柄は、「スイカA」または「チェリー」であり、右リール134cの図柄は「スイカB」である。ここで、左リール134aについては、上記の停止制御により、「赤7」または「リプレイ」図柄が必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている。また、中リール134bについては、図3における21図柄のうち図柄番号9から21までの間といった図柄13個分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカA」または「チェリー」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。また、右リール134cについては、図3における21図柄のうち図柄番号20、21および1から6までの間といった図柄8つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカB」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。したがって、当選役「特殊ベル7」に当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル7」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、約1/4.2(21/21×13/21×8/21)となる。また、当選役「特殊ベル8」に対応する図柄組み合わせの場合、かかる図柄組み合わせを構成する左リール134aの図柄は「赤7」または「リプレイ」であり、中リール134bの図柄は、「スイカA」または「チェリー」であり、右リール134cの図柄は「ハズレA」である。ここで、左リール134aについては、上記の停止制御により、「赤7」または「リプレイ」図柄が必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている。また、中リール134bについては、図3における21図柄のうち図柄番号9から21までの間といった図柄13個分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「スイカA」または「チェリー」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。また、右リール134cについては、図3における21図柄のうち図柄番号15から19までの間といった図柄5つ分に相当する範囲で停止制御が実行されれば「ハズレA」図柄を有効ラインA上に表示させることができる。したがって、当選役「特殊ベル8」に当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル8」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、約1/6.8(21/21×13/21×5/21)となる。したがって、当選確率の等しい当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」のいずれかが当選した場合において、遊技者はいずれの当選役が当選したか把握することができないので、ストップスイッチ130を無作為に操作することとなる。この場合、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」のいずれかに対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、(1/6.9+1/6.9+1/11.0+1/4.2+1/4.2+1/6.8)/6=1/6となる。また、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」も、当選役「通常ベル」より、払出枚数が少なく設定されている(例えば、当選役「通常ベル」=9枚、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」=1枚)。
なお、詳しくは後述するが、当選役「通常ベル」に当選した場合の停止制御は、その当選態様(例えば、当選役「通常ベル」が単独で当選したか、他の当選役(例えば、当選役「特殊ベル1」)と重複当選したか、さらには他のいずれかの当選役と重複当選したか等)によって異なるように設定されている。したがって、各回転リール134a、134b、134cにおいては、「ベル」図柄が、必ず有効ラインA上に表示可能なように配置されている(図3および図6参照)ものの、当選役「通常ベル」に重複当選しても、その当選態様によっては、取りこぼすことがあり、遊技者は、当選役「通常ベル」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
(ボーナス役)
また、当選役抽選の結果、当選役「BB」に当選した場合には、図6に示した、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせである、例えば、図7(g)のように、左リール134aに記される「スイカB」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、中リール134bに記される「ハズレB」図柄が有効ラインA上に表示可能となり、右リール134cに記される「ハズレA」図柄が有効ラインA上に表示可能となる。そして、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、ボーナス遊技フラグがONすることで、遊技状態がボーナス遊技状態に設定され、次の1遊技(以下、単に次遊技という)以降、メダルが所定枚数(例えば26枚)払い出されるまで、ボーナス遊技状態にて遊技を実行することが可能となる。なお、各回転リール134a、134b、134cにおいては、それぞれ「スイカB」、「ハズレB」、「ハズレA」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ラインA上に表示されない場合があるように配置されている(図3および図6参照)。そのため、当選役「BB」に当選したとしても、遊技者は、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
なお、いずれかの当選役に当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、小役に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技において内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の当選の権利は小役が当選した当該遊技のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「BB」(ボーナス役)に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。
主制御基板200で管理している遊技状態の遷移と合わせて具体的に説明すると、BB内部当選フラグが成立すると、BB内部当選フラグの成立状況に応じて、図8の(1)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が、ボーナス役に当選していないボーナス非成立遊技状態から、ボーナス遊技状態の準備状態に相当するボーナス成立遊技状態となり、ボーナス成立遊技状態に基づいて左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(ボーナス成立遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。そして、遊技者が、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させると、図8の(2)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態がボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態に遷移する。また、ボーナス遊技状態において、メダルが所定枚数払い出されると、図8の(3)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が、ボーナス遊技状態からボーナス非成立遊技状態に遷移する。ただし、図8の(4)に破線の矢印で示すように、ボーナス非成立遊技状態における当選役「BB」が成立した遊技で、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させた場合、ボーナス成立遊技状態を経由せず、直接、ボーナス遊技状態に遷移する。
なお、リプレイ役である当選役「通常リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選役に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
(当選役抽選テーブル)
図9および図10は、当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる当選役抽選テーブルを示す図であり、図9は、ボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルを示し、図10は、ボーナス非成立遊技状態用当選役抽選テーブルを示している。当選役抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、ハズレ(不当選)の有無が異なったりする。区画化された各当選領域にはそれぞれ所定の当選範囲値(置数)と当選種別(当選役)が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の当選範囲値を合計すると当選役抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選種別それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた当選範囲値を当選役抽選乱数の総数で除算した値となる。当選役抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選役抽選テーブルにおける複数の当選領域から、順次、当選範囲値を取得し、その当選範囲値を当選役抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を抽選結果としている。当該抽選の手順は、他の抽選においても適用できる。
図9のボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、当選領域1には、当選種別「通常リプレイ」が対応付けられており、当該当選種別「通常リプレイ」の当選に応じて当選役「通常リプレイ」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。また、当選領域2には、当選種別「チェリー」が対応付けられ、当該当選種別「チェリー」の当選に応じて当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。また、当選領域3には、当選種別「共通ベル」が対応付けられ、当選種別「共通ベル」の当選に応じて当選役「共通ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる。
また、図9のボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、複数の当選役に重複して当選することがある。例えば、当選領域4には、当選役「通常ベル」、「特殊ベル1」、「特殊ベル3」が重複した当選種別「打順ベル中1」が対応付けられている。このように、複数の当選役が重複して当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させるかについての停止条件、例えば、ストップスイッチ130が操作される順番が設定されている。以下の説明において、左リール134a、中リール134b、右リール134cの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130の操作を「打順1」とし、左リール134a、右リール134c、中リール134bの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130の操作を「打順2」とし、中リール134b、左リール134a、右リール134cの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130の操作を「打順3」とし、中リール134b、右リール134c、左リール134aの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130の操作を「打順4」とし、右リール134c、左リール134a、中リール134bの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130の操作を「打順5」とし、右リール134c、中リール134b、左リール134aの順に回転リールを停止させるストップスイッチ130の操作を「打順6」とする。
例えば、ボーナス成立遊技状態において、当選領域4が当選役抽選により決定され、左リール134a、中リール134b、右リール134cのうち、中リール134bが第1停止、左リール134aが第2停止するようにストップスイッチ130が操作された場合(打順3)、当選役「通常ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御がなされる。また、中リール134bが第1停止、右リール134cが第2停止するようにストップスイッチ130が操作された場合(打順4)、または、右リール134cが第1停止するようにストップスイッチ130が操作された場合(打順5または打順6)、当選役「特殊ベル1」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御がなされる。また、左リール134aが第1停止するようにストップスイッチ130が操作された場合(打順1または打順2)、当選役「特殊ベル3」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御がなされる。
ここで、上記した通り、当選役「通常ベル」または「特殊ベル1」に当選した場合には、その図柄配列上、いずれのタイミングでストップスイッチ130を押圧操作したとしても、これら当選役に対応するいずれかの図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。したがって、当選種別「打順ベル中1」に当選し、遊技者が、中リール134bまたは右リール134cのいずれを最初に停止するようにストップスイッチ130を操作したとしても当選役「通常ベル」または「特殊ベル1」に対応する図柄組み合わせを表示することが可能となる。ただし、当選役「通常ベル」と当選役「特殊ベル1」とは、メダルの払出枚数が異なるので(例えば、当選役「通常ベル」=9枚、当選役「特殊ベル1」=1枚)、遊技者としては、当選役「通常ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示される操作を行いたいと望むこととなる。このように選択当選役の期待獲得枚数が他の操作態様より多くなる操作態様を正解操作態様と呼ぶ。また、上記した通り、「特殊ベル3」は、払出枚数も「特殊ベル1」同様少なく(例えば、1枚)、さらに、遊技者が無作為に操作した場合に当該当選役「特殊ベル3」に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は約1/6.9と小さい(参考として、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」のいずれかが当選した場合において、ストップスイッチ130を無作為に操作し、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」のいずれかに対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率は、1/6)。また、上述したように、当選役「特殊ベル1」と当選役「特殊ベル2」とはメダルの払出枚数と、その当選役に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率とが等しく、当選役「特殊ベル3」〜当選役「特殊ベル8」はメダルの払出枚数と、その当選役に対応するいずれかの図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができる確率とが等しい。したがって、期待獲得枚数は、当選役「通常ベル」>当選役「特殊ベル1」、当選役「特殊ベル2」>当選役「特殊ベル3」〜当選役「特殊ベル8」となる。
そして、当選役抽選テーブルの当選領域4〜15全てにおいて、当選役「通常ベル」と、当選役「特殊ベル1」または当選役「特殊ベル2」と、当選役「特殊ベル3」〜「特殊ベル8」とが重複当選するようになっており、当選役「通常ベル」を入賞させるための停止操作が当選領域によって異なるように設定されている。なお、当選領域4〜15の当選確率(当選範囲値の数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選役に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域4〜15を設けることにより、選択当選役としての当選役「通常ベル」を入賞させることが極めて難しくなっている。ただし、このようなストップスイッチ130の操作順に応じて遊技者の遊技利益が異なる当選種別に当選した場合においても、遊技者は、副制御基板202による正解操作態様を報知する補助演出を通じて正解操作態様を把握することで、特定の当選役「通常ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させ、通常遊技状態より多くのメダルを獲得することが可能となる。こうしてリプレイ役の確率を維持したままで、補助演出の有無のみによってメダルが増えるAT(アシストタイム)遊技が実行されるAT遊技状態と、メダルが減る通常遊技状態とを実現することができる。
また、主制御基板200では、当選役抽選テーブルの当選領域4〜15に当選した際の有効ラインA上の停止態様を判定することで、副制御基板202で管理している遊技状態、例えば、通常遊技状態とAT遊技状態との間で遊技状態が遷移したことを把握することが可能となる。
なお、図9のボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルの当選領域16には当選種別「ハズレ」が対応付けられている。かかるハズレはメダルの払い出し等が行われることはないが、特定の図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることで遊技の開始、終了条件や遊技利益の抽選契機に利用することができる。
以下、遊技状態毎の当選役抽選テーブルの特徴を説明する。図10のボーナス非成立遊技状態用当選役抽選テーブルと、図9のボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルとを比較すると、前者は当選役「BB」の抽選を行っているのに対し、後者では当選役「BB」の抽選をしておらず、一方、後者は、その当選領域に相当する当選範囲値内で当選種別「ハズレ」を抽選しているのに対し、前者では抽選していない。また、図示はしていないが、後者は、前者に対して当選種別「通常リプレイ」の当選確率が高く設定されている。これは、後者では、既に当選役「BB」に当選しているので重ねて当選役「BB」を当選させることができず、また、後述するように、後者では、リプレイ役の当選確率を高めたり、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能にするためである。
(遊技状態の遷移)
以下、主制御基板200における遊技状態(ボーナス非成立遊技状態、ボーナス成立遊技状態、ボーナス遊技状態)の遷移について詳述する。なお、本実施形態では、規定投入数が遊技状態に応じて異なっており、ボーナス非成立遊技状態、および、ボーナス成立遊技状態では、規定投入数が3枚に設定されているのに対し、ボーナス遊技状態では、規定投入数が2枚に設定されている。
(ボーナス非成立遊技状態)
ボーナス非成立遊技状態は、主制御基板200で管理される複数の遊技状態のうち、初期状態に相当する遊技状態である。また、ボーナス非成立遊技状態では、当選役「通常リプレイ」の当選確率が約1/7.3に設定される。そして、図8を用いて説明したように、ボーナス非成立遊技状態において、当選役「BB」に当選すると、ボーナス成立遊技状態に移行する。本実施形態では、当選役「BB」の当選確率が例えば約1/3に設定され、比較的少ない遊技で当選役「BB」に当選するので、ボーナス非成立遊技状態の滞在期間は原則短くなる。
(ボーナス成立遊技状態)
ボーナス成立遊技状態は、ボーナス非成立遊技状態のみから移行し、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで継続する遊技状態である。この間、BB内部当選フラグが成立した状態で維持される。また、ボーナス非成立遊技状態では、当選役「通常リプレイ」の当選確率がボーナス非成立遊技状態より高い例えば約1/3.8に設定される。
本実施形態では、主制御基板200においてボーナス成立遊技状態を維持しつつ、副制御基板202による通常遊技とAT遊技とを実現する。したがって、ボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態に容易に遷移しないように、ボーナス成立遊技状態における当選役抽選の当選確率を調整している。
ボーナス成立遊技状態において、図9に示したボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルを参照して理解できるように、当選役抽選手段304は、BB内部当選フラグが持ち越されている遊技においても、リプレイ役や小役を抽選している。したがって、リプレイ役や小役が当選役抽選により当選すると、リプレイ役や小役の当選フラグと、BB内部当選フラグとがいずれも成立していることとなる。ここで、本実施形態では、リプレイ役>小役>ボーナス役の順に優先順位が定められている。すなわち、リプレイ役や小役が当選した遊技において、リール制御手段306は、リプレイ役や小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御し、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせは、遊技者が狙ったとしても、有効ラインA上に表示されることはない。
ここで、図9のボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルを参照すると、ボーナス成立遊技状態では、リプレイ役、小役、ハズレのいずれかが当選するようになっている。本実施形態では、ハズレの当選確率を、例えば、1/65536とすることで、ほぼ、リプレイ役または小役のいずれかが当選することになる。すると、上記の如く、リプレイ役または小役に対応する図柄組み合わせが優先され、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができない。また、リプレイ役や小役が当選していないハズレの遊技でのみ当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能であるが、遊技者は、当選役抽選においてハズレであったことを把握することができないので、やはり、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせは有効ラインA上に表示され難い。また、当選役抽選がハズレであったとしても、遊技者が無作為に操作した場合に、各回転リール134a、134b、134cに1図柄ずつしか記されていない当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが表示される可能性は少ない。こうして、遊技者が当選役「BB」の入賞を意図的に回避しなければならない状況を減らし、遊技者の煩わしい操作負担を軽減しつつ、ボーナス成立遊技状態を容易に維持させることが可能となる。
また、ボーナス成立遊技状態では、上述したように、ほぼ、リプレイ役または小役のいずれかが当選することになっており、リプレイ役が約1/3.8の高確率で当選することで、遊技者のメダルの消費を抑え、また、AT遊技が実現されると、補助演出によって正解操作態様が報知されるので、遊技者は、メダルを獲得することが可能となる。ここでは、リプレイ役が、既に、約1/3.8といった高確率で当選するので、リプレイ役の当選確率が高くなるRT(リプレイタイム)等の当選を待つことなく、AT遊技のみを速やかに開始することが可能となる。
(ボーナス遊技状態)
ボーナス遊技状態は、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことを契機に移行し、メダルが所定枚数(例えば、26枚)払い出されるまで継続する遊技状態である。ボーナス遊技状態では、当選役抽選手段304による当選役抽選結果が全てハズレとなるようになっている。ただし、かかる当選役抽選の結果に拘わらず、全ての抽選結果において、対応する図柄組み合わせが、必ず有効ラインA上に表示可能な小役に強制的に設定される。したがって、ボーナス遊技において、遊技者は、必ず、メダルの所定枚数の払出を受けることができる。ただし、本実施形態では、払出枚数を規定投入数(ここでは2枚)と等しくしているため、ボーナス遊技によって得られるメダル数は±0枚である。また、本実施形態では、ボーナス遊技終了後のボーナス非成立遊技状態において補助演出が実行されないので、遊技者のメダルは減ることが多くなる。
一方、ボーナス成立遊技状態では、AT遊技において補助演出が実行されるため、メダルが増えることに期待できる。したがって、遊技者は、遊技状態がボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態に移行するのを回避し、長期に亘ってボーナス成立遊技状態を維持しようとする。こうして、主制御基板200が管理する遊技状態をボーナス成立遊技状態に維持しつつ、ボーナス成立遊技状態中において、副制御基板202による通常遊技やAT遊技を実現することができる。
(副制御基板202)
図4に戻って説明すると、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c(第1記憶手段、第2記憶手段)等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生手段202dが設けられており、乱数発生手段202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。また、副制御基板202には、液晶表示部138、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158、スピーカ140等の各演出用デバイスを制御するデバイス制御手段202eも設けられている。本実施形態では、サブCPU202a(第1ユニット)が、遊技の進行に応じて実行される演出を特定する遊技データを決定し、決定した遊技データを送信し、デバイス制御手段202e(第2ユニット)が、サブCPU202aから遊技データを受信し、受信した遊技データに応じて演出に伴う制御を実行する。
また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出決定手段(データ決定手段)334、データ送信手段336、特定遊技決定手段338、第1データ蓄積手段340、第2データ蓄積手段342等の機能部を有する。初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出決定手段334は、遊技の進行に応じて、遊技者に提供する演出パターンを特定する遊技データを順次決定する。データ送信手段336は、演出決定手段334が決定した遊技データをデバイス制御手段202eに順次送信する。特定遊技決定手段338は、当選役コマンドに基づいて遊技者に有利な特定遊技に関する利益の付与の実行可否を特定遊技抽選により決定する。ここで、特定遊技とは、遊技者に対し遊技が有利に進行する、例えば、補助演出を実行するAT遊技をいう。したがって、特定遊技決定手段338は、副制御基板202で管理している遊技状態を、通常遊技状態と特定遊技状態(ここでは、AT遊技状態)との間で遷移させる。このとき、AT遊技状態で重ねてAT遊技が当選すると、AT遊技を継続できる遊技数である継続回数に所定の継続回数が加算され(所謂、上乗せ)、AT遊技の残り継続回数が延長されることとなる。さらに、特定遊技決定手段338は、通常遊技状態において、所定の契機、例えば毎遊技、抽選状態を、所定の確率で特定遊技に当選する低確状態から、低確状態より高確率で特定遊技に当選する高確状態に遷移するか否かを昇格抽選により決定し、また、例えば毎遊技、抽選状態を高確状態から低確状態に遷移するか否かを降格抽選により決定する。ここで、特定遊技決定手段338による遊技状態の遷移について説明する。
(遊技状態の遷移)
図11は、遊技状態の状態遷移を説明するための説明図である。特定遊技決定手段338は、主制御基板200が管理する遊技状態がボーナス成立遊技状態であることを条件に、当選役抽選手段304が決定した当選役に基づいて、例えば、AT遊技の実行可否を特定遊技抽選により決定し、AT遊技に当選すると、図11の(5)に示すように、副制御基板202で管理している遊技状態を、補助演出を行わない通常遊技状態から補助演出を行うAT遊技状態に遷移する。また、遊技数が、AT遊技状態の実行と同時に決定された、AT遊技状態を継続可能な予め定められた遊技数である継続回数に到達すると、図11の(6)に示すように、副制御基板202で管理している遊技状態を、AT遊技状態から通常遊技状態に遷移する。また、特定遊技決定手段338は、AT遊技状態において、さらにAT遊技の抽選を行い、図11の(7)に示すように、AT遊技に当選すると、残りの継続回数に所定の継続回数を加算する、所謂、上乗せ抽選も実行する。ここで、継続回数が加算されると、加算された遊技数分、AT遊技状態が長く維持され、遊技者は、遊技を有利に進行することができる。以下、副制御基板202における遊技状態(通常遊技状態、AT遊技状態)について詳述する。
(通常遊技状態)
通常遊技状態は、副制御基板202で管理される複数の遊技状態のうち、初期状態に相当する遊技状態である。通常遊技状態が実行される際、主制御基板200では、ボーナス成立遊技状態となっているので、リプレイ役や小役の当選確率が高く設定されていることになるが、補助演出の実行頻度がAT遊技状態より低く、ほぼ補助演出が行われないので、獲得できるメダルの枚数が制限される。
また、通常遊技状態では、ストップスイッチ130の操作が正当の操作態様(打順1または打順2)に制限され、遊技者は、そのような正当の操作態様以外の変則操作態様(打順3〜打順6)で操作を行うと、例えば、所定の遊技数を消化するまで、AT遊技の抽選が実行されない等、遊技が不利に進行するペナルティが科されることとなる。ペナルティとしては、その他、所定の遊技数を消化するまでAT遊技の抽選結果が破棄されたり、AT遊技の抽選に当選しても、所定の遊技数を消化するまでAT遊技が開始されない等がある。
(AT遊技状態)
AT遊技状態は、通常遊技状態から移行する遊技状態であり、副制御基板202による補助演出が行われる。また、AT遊技状態は、遊技数が設定された継続回数に到達したことで終了する。AT遊技状態では、上述した上乗せ抽選も行われる。
AT遊技状態では、主制御基板200においてボーナス成立遊技状態となっているので、リプレイ役や小役の当選確率が高く設定されており、補助演出によって正解操作態様が報知されることで、リプレイ役の入賞でメダルの消費を抑えつつ、小役の入賞で多くのメダルを獲得することが可能となる。また、AT遊技は、その抽選と実行が同じ副制御基板202で行われるので、AT遊技に当選すると、直ちにAT遊技を開始することができる。
また、AT遊技状態では、通常遊技状態のようなペナルティを科していない。当該AT遊技状態では、選択当選役が重複当選している場合に、正解操作態様を報知することで、正解操作態様による選択当選役を入賞させ、遊技者にメダルを獲得させることを目的としている。したがって、正解操作態様に対応している変則操作態様をペナルティにすることができないからである。
上述したように、主制御基板200が管理する遊技状態は、ほぼ、ボーナス成立遊技状態に滞在しており、ボーナス成立遊技状態であることを条件に、副制御基板202では、遊技状態を、通常遊技状態と、AT遊技状態との間で遷移させる。
図4に戻って、第1データ蓄積手段340は、サブRAM202cの一部の領域に割り当てられた第1記憶手段をFIFO(First In First Out)として利用し、データ送信手段336から新たに遊技データが送信されたとき、第1記憶手段に蓄積されている遊技データの数が第1上限数(例えば20)未満であれば、新たに送信された遊技データを第1記憶手段に蓄積し、第1記憶手段に蓄積されている遊技データの数が第1上限数であれば、第1記憶手段に蓄積されている遊技データのうち、最も先に蓄積された遊技データを削除して、新たに送信された遊技データを第1記憶手段に蓄積する。第2データ蓄積手段342は、サブRAM202cの一部の領域に割り当てられた第2記憶手段をFIFOとして利用し、第1データ蓄積手段340により遊技データが削除され、かつ、削除された遊技データが所定の条件を満たしている場合に、第2記憶手段に蓄積されている遊技データの数が第2上限数(例えば1)未満であれば、削除された遊技データを第2記憶手段に蓄積し、第2記憶手段に蓄積されている遊技データの数が第2上限数であれば、第2記憶手段に蓄積されている遊技データのうち、最も先に蓄積された遊技データを削除して、削除された遊技データを第2記憶手段に蓄積する。かかる所定の条件については後程詳述する。ここでは、第1上限数を20、第2上限数を1としたが、両上限数を任意に設定できることは言うまでもない。
また、副制御基板202は、デバイス制御手段202eにおいて、データ受信手段350、演出実行手段352等の機能部を有する。データ受信手段350は、データ送信手段336が送信した遊技データを受信する。演出実行手段352は、データ受信手段350が受信した遊技データに応じて演出を実行する。具体的に、演出実行手段352は、受信した遊技データに関連付けられた、画像データ、電飾データ、および、音声データの群から選択される1または複数のデータを読み出し、それぞれを各デバイスに送信する。例えば、演出実行手段352は、液晶表示部138に画像データを送信し、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等の電飾機器に電飾データを送信し、スピーカ140に音声データを送信する。すると、その画像データに基づく画像が液晶表示部138に表示され、その電飾データに基づいて電飾機器が発光し、その音声データに基づく音声がスピーカ140から出力される。
ここで、演出とは、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158、スピーカ140等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役の抽選結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。当選役の抽選結果を示唆する演出としては、例えば、遊技者が左リール134a、中リール134b、右リール134cの停止操作を適当に行っただけでは、当選役に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させることができるとは限らない当選役(例えば、当選役「チェリー」)に当選した場合に、遊技者が停止操作を行う前にその当選役を示唆し、当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させるように促すものがある。また、上述したボーナス役に関しては、BB内部当選フラグを複数遊技に亘って持ち越すことが可能なので、ボーナス役の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行ったり、いずれかの遊技で遊技者の操作入力を所定時間無効化し、その間に特定の演出を実行するフリーズ処理を行ったりして、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役も当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
上述した当選役の抽選結果を示唆する演出としては補助演出がある。例えば、ボーナス成立遊技状態において、図9に示すボーナス成立遊技状態用当選役抽選テーブルの当選領域4〜15の当選種別「打順ベル中1」、「打順ベル中2」、「打順ベル中3」、「打順ベル中4」、「打順ベル中5」、「打順ベル中6」、「打順ベル右1」、「打順ベル右2」、「打順ベル右3」、「打順ベル右4」、「打順ベル右5」、「打順ベル右6」が当選した場合に、遊技者は、期待獲得枚数が最大となる正解操作態様を把握することができない。したがって、遊技者が、左リール134a、中リール134b、右リール134cを無作為に停止操作しただけでは、正解操作態様による選択当選役に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させることができるとは限らない。ここで、演出実行手段352が、遊技者が停止操作を行う前に補助演出を実行して正解操作態様を報知することで、遊技者は、多くのメダルを獲得することが可能となる。
本実施形態では、副制御基板202内で演出を処理しているが、液晶表示部138に表示される静止画や動画を含む画像は、データ容量やその表示に伴う処理負荷が膨大となるため、別途、液晶制御基板を介在させて画像に基づく演出を処理する場合もある。
(副制御基板202で用いられるテーブル)
図12は、副制御基板202で用いられる他の抽選テーブルを説明する図である。具体的に、図12(a)は、後述するステージを選択する際のステージの抽選に用いられるステージ抽選テーブルであり、図12(b)は、後述するカテゴリを選択する際のカテゴリの抽選に用いられるカテゴリ抽選テーブルであり、図12(c)は、後述する演出パターンを選択する際の演出パターンの抽選に用いられる演出抽選テーブルである。副制御基板202のサブROM202bには、複数のステージ抽選テーブル、複数のカテゴリ抽選テーブル、複数の演出抽選テーブルが設けられている。そして、所定の契機に応じて、ステージ抽選テーブル、カテゴリ抽選テーブル、および、演出抽選テーブルが順次決定される。
例えば、演出決定手段334は、遊技状態(通常遊技状態、AT遊技状態)および抽選状態(高確状態、低確状態)に対応する複数のステージ抽選テーブルのうち、図12(a)に示すような通常遊技状態、高確状態に対応する任意のステージ抽選テーブルを決定する。図12(a)に示すような通常遊技状態、高確状態に対応するステージ抽選テーブルでは、例えば、演出抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域(1〜4)に区画されており、当選領域毎に、当選範囲値と、ステージとが対応付けられている。演出決定手段334は、ステージ抽選テーブルにおける複数の当選領域の当選範囲値と演出抽選乱数とを比較して、演出抽選乱数に対応した抽選結果を導出する。
ここで、ステージは、演出状態の一つであり、主として演出の背景に相当する画像や音声を示す。ステージは、表示態様としては演出の背景に相当するが、スロットマシン100内で管理される複数の遊技状態(通常遊技状態、AT遊技状態)に属する複数の抽選状態(高確状態、低確状態)のうち、現在滞在する遊技状態や抽選状態を示唆または報知するのに用いられる。したがたって、AT遊技に当選した場合のAT当選画面等の告知画面もステージに含まれる。例えば、通常遊技状態において、ステージ1、2、3を「昼間」、「夕方」、「夜間」に対応させ、現在の抽選状態に応じて滞在するステージを変化させる。抽選状態が高確状態であれば、ステージ3に対応する「夜間」の当選確率を他のステージ1に対応する「昼間」やステージ2に対応する「夕方」の当選確率より高めることで、遊技者に、現在の抽選状態が高確状態である可能性が高いことを期待させる演出を行う。また、当選領域1には「維持」が対応付けられ、かかる「維持」が抽選により決定されると、直前のステージが維持される。かかる構成により、ステージが決定すると、しばらくの間、そのステージが維持されることとなる。すると、抽選状態が低確状態から高確状態に変化したとしても、ステージは直ちに変化するとは限らず、また、高確状態であるときに、高確状態に対応するステージが抽選により決定し、その後、抽選状態が高確状態から低確状態に変化したとしても、高確状態に対応するステージがすぐには変化せず維持されることもある。したがって、遊技者は、抽選状態を正確に把握することはできないものの、抽選状態を予測することができる。このような遊技性のため、ステージ抽選テーブルは、抽選状態それぞれに応じて各ステージの当選確率が異なるように設定されている。例えば、抽選状態が高確状態であると、ステージ3に対応する「夜間」に滞在することが多く、「昼間」や「夕方」に滞在することが少なくなるように高確状態用ステージ抽選テーブルが設計されており、また、抽選状態が低確状態であると、ステージ1に対応する「昼間」に滞在することが多く、「夕方」や「夜間」に滞在することが少なくなるように低確状態用ステージ抽選テーブルが設計されている。また、AT遊技状態に対応するステージ抽選テーブルでは、例えば、ステージ4として「朝焼けの風景」が設けられ、通常遊技状態におけるステージ1、2、3(「昼間」、「夕方」、「夜間」)と異なる背景が展開される。ステージは、演出状態の一つであり、かかる1日のうちの時間概念のみならず、「春」、「夏」、「秋」、「冬」等の1年のうちの時間概念や、「〜時代」といったさらに長い時間概念も適用でき、「山」、「海」、「街」、「洞窟」等の地理的位置、建物の階数や部屋等、様々な演出態様を適用できる。また、ステージは、画像のみならず、電飾機器の発光やスピーカ140からの音声も伴い、例えば、ステージ毎に相異なるBGM音声が対応付けられている場合がある。ここでBGM音声は、背景で比較的長時間維持される背景音楽である。
また、演出決定手段334は、各ステージそれぞれに対応する複数のカテゴリ抽選テーブルのうち、図12(b)に示すようなステージ3に対応するカテゴリ抽選テーブルを決定する。図12(b)に示すようなステージ3に対応するカテゴリ抽選テーブルでは、例えば、演出抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域(1〜4)に区画されており、当選領域毎に、当選範囲値と、カテゴリとが対応付けられている。演出決定手段334は、カテゴリ抽選テーブルにおける複数の当選領域の当選範囲値と、新たに取得した演出抽選乱数とを比較して、演出抽選乱数に対応した抽選結果を導出する。ここで、カテゴリは、演出をその表示態様に応じてグループ化した演出グループの一つであり、ステージの下位概念にあたる演出の態様に相当する画像や音声を示す。例えば、カテゴリ1、2、3、4を「キャラクタ1」、「キャラクタ2」、「キャラクタ3」、「キャラクタ4」に対応させ、カテゴリ4に対応する「キャラクタ4」の当選確率を高めることで、遊技者にAT遊技に当選したことを期待させる演出を行うことができる。カテゴリは、かかるキャラクタ以外にも、キャラクタの動作、キャラクタが受ける事象、達成可否を報知するミッション、カットイン等様々な演出態様を適用できる。
また、演出決定手段334は、各カテゴリそれぞれに対応する複数の演出抽選テーブルのうち、図12(c)に示すようなステージ3およびカテゴリ4に対応する演出抽選テーブルを決定する。図12(c)に示すような、ステージ3およびカテゴリ4に対応する演出抽選テーブルでは、例えば、演出抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域(1〜4)に区画されており、当選領域毎に、当選範囲値と、操作契機と、演出パターンとが対応付けられている。演出決定手段334は、演出抽選テーブルにおける複数の当選領域の当選範囲値と、新たに取得した演出抽選乱数とを比較して、演出抽選乱数に対応した抽選結果を導出する。
また、各当選領域には、演出パターンが複数対応付けられている。これは、遊技者による操作(操作契機)に応じて演出パターンが変化する、所謂、継続演出であることを意味している。例えば、遊技状態が通常遊技状態であり、かつ、抽選状態が高確状態のときに、遊技者により、スタートスイッチ128が操作され、演出決定手段334が、ステージ抽選テーブル、カテゴリ抽選テーブル、および、演出抽選乱数に基づいて、図12(c)の演出抽選テーブルの当選領域3を決定した場合、そのスタートスイッチ128の操作(スタート)を契機に、当選領域3の演出パターン9に基づく演出が決定される。このとき、例えば、背景は「夜間」(ステージ3)であり、画面上には、AT遊技に当選している期待度の高い「キャラクタ4」(カテゴリ4)がカットインとして表示される。
そして、各回転リール134a、134b、134cが回転し、遊技者によりストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれか一つが操作されると(第1停止)、それを契機に、当選領域3の演出パターン10に基づく演出が決定される。このとき、例えば、背景は「夜間」のままで、敵のキャラクタと戦う味方のキャラクタとして「キャラクタ4」が出現する。同様に、遊技者により、引き続き他のストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれか一つが操作されると(第2停止)、当選領域3の演出パターン11に基づく演出が決定される。このとき、例えば、背景は「夜間」のままで、「キャラクタ4」が敵のキャラクタを攻撃する画像が表示される。ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの残りの一つが操作されると(第3停止)、当選領域3の演出パターン12に基づく演出が決定される。このとき、例えば、背景は「夜間」のままで、「キャラクタ4」が敵のキャラクタに勝利する画像が表示される。
例えば、当選領域3の演出パターンは、演出パターン9〜12に順次移行するに連れ、画像、発光、音声が変化し、AT遊技に当選している期待感が高まるようになっている。そして、遊技者がストップボタンスイッチ130a、130b、130cを全て操作し終わると(第3停止)、演出パターン12によって、例えばAT遊技の当選が報知される。このように、遊技者の操作に応じて演出パターンを動的に変化させることで、遊技者の期待感を高めるとともに、遊技者に、AT遊技を獲得したことの達成感を与えることができる。また、ここでは、継続演出として、AT遊技の当選の報知演出を例に挙げたが、継続演出は、AT遊技中の補助演出等、過去の演出に基づいて現在の演出が定まる連続的な演出を含んでいる。また、ここでは、継続演出として、1遊技中の操作契機に応じて画像や音声が変化する演出の例を挙げたが、継続演出には、複数の遊技に跨がって遊技毎に画像や音声が連続的に変化する演出も含まれる。
上述したように、演出決定手段334は、このように演出パターンを決定すると、かかる演出パターンを特定する遊技データを順次決定し、データ送信手段336は、決定された遊技データをデバイス制御手段202eに送信する。そして、遊技データを受信したデバイス制御手段202eの演出実行手段352が、遊技データに関連付けられた画像データ、電飾データ、および、音声データを読み出し、各デバイスに送信する。したがって、液晶表示部138に画像データに基づく画像が表示され、電飾機器が電飾データに基づいて発光し、スピーカ140から音声データに基づく音声が出力される。このように、画像データに基づく画像の表示に、電飾データに基づく発光や音声データに基づく音声を同期させることで、演出効果を高めることが可能となる。
(遊技データ)
上述した遊技データには、ステージやBGM音声が変化する場合の起点(ベース)となる重要な遊技データである重要遊技データと、重要遊技データより重要度の低い通常遊技データとに区別される。かかる重要遊技データと通常遊技データは、予め設計時に設定されており、例えば、遊技データに、所定の重要度を有することを示す重要フラグ(重要情報)を関連付けることで区別される。ただし、以下では、重要遊技データと通常遊技データとの両データを特に区別する必要がない場合、単に遊技データとして説明する。
例えば、通常遊技状態において、ステージが変更されると、演出決定手段334は、その変更時点において、新たなステージの画像を含む演出パターンを特定する重要遊技データを決定する。そして、ステージが変更された後、演出決定手段334は、キャラクタ(カテゴリ)やその動作といったように、起点となるステージとの差分に相当する演出パターンを特定する通常遊技データを決定する。このように、任意の時点の演出は、重要遊技データとその後の通常遊技データとによって形成されている。
また、音声についても、ステージの変更に伴ってBGM音声が変更された場合、演出決定手段334は、かかるBGM音声を含む演出パターンを特定する重要遊技データを決定する。そして、ステージが変更された後、演出決定手段334は、演出音声やシステム音声といったように、起点となるBGM音声との差分に相当する演出パターンを特定する通常遊技データを決定する。このように、音声に関する演出も、重要遊技データとその後の通常遊技データとによって形成されている。なお、演出音声は、主として同じ演出パターンの画像データの表示に連動して発せられる音声であり、システム音声は、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップボタンスイッチ130a、130b、130c等の操作がスロットマシン100に受け付けられたことを示す操作音や、メダルが払い出されたことを確認する払い出し音といった遊技の進行に伴う確認音をいう。
したがって、任意の時点の演出(画像、発光、音声)を再現しようと試みた場合、任意の時点の通常遊技データと、その起点となる重要遊技データがあればよいこととなる。ただし、演出が複数の遊技や所定の操作契機に跨がって、画像や音声が変化する継続演出の場合、任意の時点の演出が、その直前の遊技データに基づいて形成されている場合がある。そこで、任意の時点の通常遊技データと、その起点となる重要遊技データに加え、継続演出の遊技数に相当する過去の遊技データ(例えば、(継続演出の最大遊技数4+予備遊技数1)×1遊技数中の最大演出パターン数4=20)も必要となる。ここで、継続演出の最大遊技数はスロットマシン100の機種固有の値である。
例えば、停電等により不意に電源が切断され、電源が切断されている途中や切断される前の演出の状態が消滅すると、電源が再投入されたとき、そのような過去の演出の状態を参照できない状態で演出が再開される。そこで、本実施形態では、データ送信手段336から送信された遊技データを蓄積しておき、不意な電源切断が生じた場合に、電源が再投入された後、その蓄積した遊技データを再度送信することで、演出を再現する。このとき、演出の完全な再現には、少なくとも、任意の時点の通常遊技データ、任意の時点より継続演出の遊技数に相当する過去の遊技データ、および、その起点となる重要遊技データが必要となる。本実施形態では、任意の時点の通常遊技データ、任意の時点より継続演出の遊技数に相当する過去の遊技データ、および、その起点となる重要遊技データを蓄積しておき、電源切断後の電源の再投入において、蓄積している遊技データを再度送信することで、演出を完全に再現する。
図13は、遊技データの蓄積態様を説明するための説明図である。ここでは、仮に、図13(a)のような複数の遊技データを連続して送信する例を挙げる。図13(a)では、遊技毎に、4つの演出パターンを特定する4つの遊技データ(図13中、四角で示す)が生成されるとする。図13中、二重の四角は重要遊技データを示し、一重の四角は通常遊技データを示す。また、その四角内の数値は遊技データの送信順を示している。したがって、図13(a)の例において、遊技データは、「重要遊技データ1」、「通常遊技データ2」、「通常遊技データ3」…の順に送信されることとなる。また、ここでは、サブRAM202cの一部の領域に割り当てられた第1記憶手段に記憶する遊技データの第1上限数を5遊技×4演出パターン=20、サブRAM202cの一部の領域に割り当てられた第2記憶手段に記憶する重要遊技データの第2上限数を1とする。
図13(b)に示すように、データ送信手段336が「重要遊技データ1」、「通常遊技データ2」…「通常遊技データ19」、「通常遊技データ20」の順に20の遊技データを送信した場合、最後の「通常遊技データ20」の送信時点では、第1データ蓄積手段340が、データ送信手段336が送信した遊技データを「重要遊技データ1」、「通常遊技データ2」…「通常遊技データ19」、「通常遊技データ20」の順に第1記憶手段に蓄積する。この時点では、送信された遊技データの数が第1上限数(ここでは20)に収まっているので、第2記憶手段には何らのデータも蓄積されていない。
図13(c)に示すように、データ送信手段336が、さらに、「通常遊技データ21」を送信すると、第1データ蓄積手段340は、第1記憶手段に蓄積されている遊技データの数が第1上限数であるか否か判定する。ここでは遊技データの数が第1上限数になっているので、最も先に蓄積された「重要遊技データ1」を削除して、その記憶領域に新たな「通常遊技データ21」を記憶する。したがって、第1記憶手段には、「通常遊技データ2」、「通常遊技データ3」…「通常遊技データ20」、「通常遊技データ21」の順に遊技データが蓄積される。また、第1データ蓄積手段340が、第1記憶手段に記憶されていた「重要遊技データ1」を削除すると、第2データ蓄積手段342は、その削除された遊技データが重要遊技データであるか否か判定する。その結果、削除された遊技データが重要遊技データであれば、削除された重要遊技データ(「重要遊技データ1」)を第2記憶手段に蓄積する。ここで、重要遊技データであるか否かは、遊技データに関連付けられた重要フラグ(重要情報)を参照することで判断する。具体的に、遊技データの特定のビット、例えば、MSB(Most Significant Bit)の1bitに重要フラグを割り当て、第2データ蓄積手段342は、そのMSBが「1」であれば重要遊技データと判断し、「0」であれば通常遊技データと判断する。また、図13に示すように、第2記憶手段には重要遊技データのみが蓄積され、第1記憶手段には重要遊技データおよび通常遊技データのいずれも蓄積され得る。
図13(d)に示すように、データ送信手段336が、さらに、「通常遊技データ22」…「通常遊技データ28」を順次送信すると、第1データ蓄積手段340は、先に蓄積された順に「通常遊技データ2」…「通常遊技データ8」を削除し、その記憶領域に「通常遊技データ22」…「通常遊技データ28」を順次蓄積する。したがって、第1記憶手段には、「重要遊技データ9」、「通常遊技データ10」…「通常遊技データ27」、「通常遊技データ28」の順に遊技データが蓄積される。ここで、第2データ蓄積手段342は、その削除された遊技データが重要遊技データであるか否か判定するが、削除された遊技データは全て通常遊技データなので第2記憶手段は更新されない。
図13(e)に示すように、データ送信手段336が、さらに、遊技データ「通常遊技データ29」を送信すると、第1データ蓄積手段340は、最も先に蓄積された遊技データ「重要遊技データ9」を削除し、その記憶領域に遊技データ「通常遊技データ29」を蓄積する。したがって、第1記憶手段には、「通常遊技データ10」、「通常遊技データ11」…「通常遊技データ28」、「通常遊技データ29」の順に遊技データが蓄積される。ここで、第2データ蓄積手段342は、その削除された遊技データが重要遊技データであるか否か判定し、削除された「重要遊技データ9」が重要遊技データであると判定すると、第2記憶手段に記憶されている「重要遊技データ1」を削除して、新たに「重要遊技データ9」を蓄積する(上書きする)。
上記図13(b)〜図13(e)の状態において、不意な電源の切断があった場合、データ送信手段336は、電源切断後の電源の再投入を契機に、第2記憶手段に蓄積された重要遊技データを、蓄積された順に再度送信し、その後、第1記憶手段に蓄積された遊技データを、蓄積された順に再度送信する。したがって、デバイス制御手段202eは、電源が切断される直前の通常遊技データ、および、その起点となる重要遊技データを取得することができ、電源が切断される直前の演出を完全に再現することが可能となる。
また、図13においては、第1記憶手段に、継続演出の最大遊技数である4+予備遊技数1の合計5遊技分の遊技データが蓄積されている。したがって、複数の遊技に跨がった継続演出が実行されている間の任意の遊技タイミングで電源が切断された場合であっても、その継続演出を再現することができる。例えば、図13(a)において、「通常遊技データ17」、「通常遊技データ18」…「通常遊技データ31」、「通常遊技データ32」が4遊技に跨がる継続演出であるとする。このとき、「通常遊技データ17」に基づいて継続演出が開始し、図13(d)のように3遊技目の「通常遊技データ28」に基づいて演出が実行されたところで、不意に電源が切断されたとする。この場合であっても、起点となる重要遊技データに加え、当該継続演出の開始時点から電源が切断される直前までの遊技データ(「通常遊技データ17」、「通常遊技データ18」…「通常遊技データ27」、「通常遊技データ28」)が再度送信されるので、継続演出を完全に再現し、「通常遊技データ28」に基づく演出が実行されている状態に戻すことが可能となる。
また、AT遊技の補助演出等、1遊技中の操作契機を跨いだ継続演出に関しても、第1記憶手段に、1遊技数中の最大演出パターン数である4演出パターン分の遊技データが蓄積されている。したがって、操作契機を跨いだ継続演出が実行されている間の任意の操作契機で電源が切断された場合であっても、その継続演出を再現することができる。例えば、図13(a)において、「通常遊技データ29」、「通常遊技データ30」、「通常遊技データ31」、「通常遊技データ32」が1遊技中の4操作契機に跨がる継続演出であるとする。このとき、「通常遊技データ29」に基づいて継続演出が開始し、図13(e)のように、その継続演出の開始時点で不意に電源が切断されたとする。この場合であっても、起点となる重要遊技データに加え、当該継続演出の開始時点から電源が切断される直前までの遊技データ(「通常遊技データ29」)が再度送信されるので、継続演出を完全に再現し、「通常遊技データ29」に基づく演出が実行されている状態に戻すことが可能となる。
このように、電源の再投入時に、デバイス制御手段202eは、電源が切断される直前の通常遊技データ、任意の時点より継続演出の遊技数に相当する過去の遊技データ、および、その起点となる重要遊技データを取得することができるので、電源が切断された時点が、複数の遊技に跨がった継続演出の途中であっても、また、1遊技中の操作契機を跨いだ継続演出の途中であったとしても、遊技タイミングや操作契機に拘わらず、直前の演出を完全に再現することが可能となる。
また、例えば、図13(d)の状態において、電源の切断があった場合に、第1記憶手段に「重要遊技データ9」が、第2記憶手段に「重要遊技データ1」が蓄積されている。データ送信手段336は、まず、第2記憶手段に蓄積されている「重要遊技データ1」を送信し、その後で、第1記憶手段に蓄積されている「重要遊技データ9」を送信する。このような場合、後者の「重要遊技データ9」が演出の起点となるので、「重要遊技データ1」の再送に拘らず、「重要遊技データ9」に基づく演出を再現することができる。
以下、主制御基板200および副制御基板202における具体的処理を説明する。
(主制御基板200のメイン処理)
図14は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
(ステップS100)
スロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、回転リールの回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各回転リール134a、134b、134cが回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的にメインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
(ステップS200)
続いて、ベット手段302は、メダル投入部124から規定投入数のメダルの投入を受け付け、あるいは、規定投入数以上のクレジットが貯留されている状況でベットボタン126の操作を受け付けて、メダルのベットを完了させ、スタートスイッチ128に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ128の操作待ち状態に移行する。また、コマンド決定手段312は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、コマンド送信手段314は、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。そして、スタートスイッチ128の操作が検知されると、次のステップS300に処理が移される。
(ステップS300)
次に、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて、乱数発生手段200dによって更新された当選役抽選乱数から、スタートスイッチ128が操作された時点における1の当選役抽選乱数を取得する。そして、当選役抽選手段304は、複数の当選役抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選役抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選役抽選乱数が、決定した当選役抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役またはハズレを抽選結果として決定する。また、コマンド決定手段312は、スタートスイッチ128の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選役抽選の抽選結果(当選役またはハズレ)や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを生成し、コマンド送信手段314は、生成された当選役コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS400)
上記のようにして抽選処理が終了すると、次に、リール制御手段306は、ステッピングモータ262を駆動して左リール134a、中リール134b、右リール134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始し、左リール134a、中リール134b、右リール134cの全てが定速回転となったところで、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を有効化する。
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが有効化されている状態で、遊技者によるストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応する回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134cのいずれか)を所定の停止制御に従って停止させる。また、コマンド決定手段312は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップボタンスイッチ130a、130b、130cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、コマンド送信手段314は、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
(ステップS600)
次に、判定手段308は、図5(a)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが、図5(b)に示した、予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて、メダルの払出枚数の決定処理、遊技状態の変更処理、および、リプレイに際して要求される種々の処理を実行する。ここで、判定手段308は、当選役抽選で決定された当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことに基づいて、遊技者の有利度合いを異にする複数の遊技状態のうち1の遊技状態、例えば、ボーナス遊技状態に遷移する。また、コマンド決定手段312は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、コマンド送信手段314は、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、コマンド決定手段312は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、コマンド送信手段314は、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。
ステップS200からステップS700に示したように、メダルのベットを通じて遊技を開始可能な状態となり、スタートスイッチ128の操作から入賞による払い出しまでの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
(副制御基板202のメイン処理)
図15は、副制御基板202のメイン処理を示したフローチャートである。
(ステップS1100)
電源スイッチを介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、副制御基板202の初期化決定手段330は、主制御基板200の初期化手段300同様、初期化処理を実行し、割込を許可する。初期化決定手段330は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM202cに保持している。また、初期化決定手段330は、電源が投入されると、第1記憶手段や第2記憶手段に蓄積された遊技データをデバイス制御手段202eに送信する。当該初期化処理S1100は図18を用いて詳述する。
(ステップS1200)
コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されたか否か判定し、コマンドが受信されない間、ステップS1200の処理を繰り返すことでコマンド待機状態を維持する。そして、コマンドが受信されたと判定した場合、コマンド受信手段332は、処理をステップS1300に移行する。
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。当該コマンド受信処理S1300は図16を用いて詳述する。以後は、ステップS1200からステップS1300までを繰り返すこととなる。
(コマンド受信処理S1300の詳細な処理)
図16は、上記ステップS1300のコマンド受信処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理についてのみ詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS1301)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが投入コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが投入コマンドであれば、ステップS1302に処理を移し、投入コマンドでなければ、ステップS1305に処理を移す。なお、この投入コマンドは、上記したとおり、図14のベット処理S200で送信されるコマンドであり、ベット手段302の操作がなされたことを示す情報が付加されている。
(ステップS1302)
上記ステップS1301において受信したコマンドが投入コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、投入コマンドに基づいて前回までの遊技で実行されていた演出パターンをキャンセルする。また、前回の遊技における後述するステップS1306において決定されたステージが現在実行されている演出のステージと異なる場合、新たなステージの演出パターンを決定し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。
(ステップS1303)
次に、データ送信手段336は、決定された遊技データをデバイス制御手段202eに送信する。また、第1データ蓄積手段340および第2データ蓄積手段342は、送信された遊技データをサブRAM202cの第1記憶手段および第2記憶手段に蓄積する。当該演出蓄積処理S1303は図17を用いて詳述する。
(ステップS1304)
次に、データ受信手段350は、データ送信手段336が送信した遊技データを受信し、演出実行手段352は、受信した遊技データに基づいて演出を実行する。当該演出実行処理S1304は図18を用いて詳述する。
(ステップS1305)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選役コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選役コマンドであれば、ステップS1306に処理を移し、当選役コマンドでなければ、ステップS1307に処理を移す。なお、この当選役コマンドは、上記したとおり、図14の抽選処理S300で送信されるコマンドであり、いずれかの当選役に当選した場合には、その当選役の種別を示す情報が付加されており、いずれの当選役にも当選しなかった場合にはハズレを示す情報が付加されている。
(ステップS1306)
上記ステップS1305において受信したコマンドが当選役コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、遊技者に提供する演出パターンを決定し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。また、特定遊技決定手段338は、当選役コマンドに示される主制御基板200が管理する遊技状態がボーナス成立遊技状態であることを条件に、当選役コマンドに示される当選役および副制御基板202が管理する遊技状態および抽選状態に基づき、AT遊技に当選しているか否か判定する。ここで、通常遊技状態において、AT遊技に当選していれば、AT遊技が開始され、AT遊技状態においてAT遊技に当選していれば、AT遊技の継続回数に所定の継続回数が加算される(上乗せ)。また、特定遊技決定手段338は、当選役コマンドに示される主制御基板200が管理する遊技状態がボーナス成立遊技状態であり、副制御基板202が管理する遊技状態が通常遊技状態であることを条件に、当選役コマンドに示される当選役に基づき、抽選状態を、低確状態から高確状態に遷移するか否かを昇格抽選により決定し、また、抽選状態を高確状態から低確状態に遷移するか否かを降格抽選により決定する。そして、演出蓄積処理S1303および演出実行処理S1304を実行後、ステップS1307に処理を移す。
(ステップS1307)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが第1〜第3停止コマンドのいずれかであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが第1〜第3停止コマンドのいずれかであれば、ステップS1308に処理を移し、第1〜第3停止コマンドのいずれでもなければ、ステップS1309に処理を移す。なお、この第1〜第3停止コマンドは、上記したとおり、図14のリール停止処理S500で送信されるコマンドであり、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされたことを示す情報が付加されている。
(ステップS1308)
上記ステップS1307において受信したコマンドが第1〜第3停止コマンドのいずれかであると判定されれば、演出決定手段334は、上記ステップS1306で決定され、かつ、サブRAM202cに維持されている演出パターンのうち、受信したコマンドに基づいて1の演出パターンを読み出し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。そして、演出蓄積処理S1303および演出実行処理S1304を実行後、ステップS1309に処理を移す。
(ステップS1309)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが入賞コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが入賞コマンドであれば、ステップS1310に処理を移し、入賞コマンドでなければ、ステップS1311に処理を移す。なお、この入賞コマンドは、上記したとおり、図14の判定処理S600で送信されるコマンドであり、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を示す情報が付加されている。
(ステップS1310)
上記ステップS1309において受信したコマンドが入賞コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、入賞コマンドに基づいて、例えば、小役の入賞を示す入賞コマンドを受信した場合、小役に入賞したことを示す演出パターンを決定し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。また、リプレイ役の入賞を示す入賞コマンドを受信した場合、リプレイ役に入賞したことおよび再度1遊技を実行できることを示す演出パターンを決定し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。また、ボーナス役の入賞を示す入賞コマンドを受信した場合、ボーナス役に入賞したことおよびボーナス遊技状態に移行することを示す演出パターンを決定し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。また、副制御基板202が管理する遊技状態がAT遊技状態であれば、特定遊技決定手段338は、AT遊技の継続回数をデクリメントし、デクリメント後の継続回数が0となると、AT遊技を終了する。そして、演出蓄積処理S1303および演出実行処理S1304を実行後、ステップS1311に処理を移す。
(ステップS1311)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが払出コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが払出コマンドであれば、ステップS1312に処理を移し、払出コマンドでなければ、ステップS1313に処理を移す。なお、この払出コマンドは、上記したとおり、図14の払出処理S700で送信されるコマンドであり、払出処理がなされたことを示す情報が付加されている。
(ステップS1312)
上記ステップS1311において受信したコマンドが払出コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、払出コマンドに基づいて、例えば、メダルの獲得枚数が増えていることを示す演出パターンを決定し、演出パターンを特定する遊技データを決定する。そして、演出蓄積処理S1303および演出実行処理S1304を実行後、ステップS1313に処理を移す。
(ステップS1313)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンド(例えば、投入コマンド、当選役コマンド、第1〜第3停止コマンド、入賞コマンド、払出コマンド等)に対する他の種々の処理を遂行して、当該コマンド受信処理S1300を終了する。かかる処理に関しては、本実施形態の特徴と無関係なので、ここでは説明を省略する。
図17は、上記ステップS1303の演出蓄積処理を示したフローチャートである。かかる演出蓄積処理では、データ送信手段336が、遊技データをデバイス制御手段202eに送信するとともに、第1データ蓄積手段340および第2データ蓄積手段342が、送信された遊技データをサブRAM202cの第1記憶手段および第2記憶手段に蓄積する。
(ステップS1303−1)
まず、データ送信手段336は、演出決定手段334が決定した遊技データをデバイス制御手段202eに順次送信する。
(ステップS1303−2)
次に、第1データ蓄積手段340は、第1記憶手段に蓄積された遊技データの数が第1上限数であるか否か判定する。その結果、第1上限数であれば、ステップS1303−3に処理を移し、第1上限数未満であれば、ステップS1303−4に処理を移す。
(ステップS1303−3)
上記ステップS1303−2において、第1記憶手段に蓄積された遊技データの数が第1上限数であると判定されると、第1データ蓄積手段340は、第1記憶手段に蓄積された遊技データのうち、最も先に(古く)蓄積された遊技データを削除する。ただし、かかる最も先に蓄積された遊技データは、ステップS1303−5の判定に利用されるので、サブRAM202cに一時的に保持しておく。
(ステップS1303−4)
続いて、第1データ蓄積手段340は、データ送信手段336が送信した遊技データを第1記憶手段に蓄積する。
(ステップS1303−5)
次に、第1データ蓄積手段340は、第1記憶手段から削除された(サブRAM202cに一時的に保持された)遊技データが重要遊技データであるか否かを、遊技データのMSB(重要フラグ)を参照することで判定する。その結果、重要遊技データであれば、ステップS1303−6に処理を移し、重要遊技データでなければ、当該演出蓄積処理S1303を終了する。
(ステップS1303−6)
上記ステップS1303−5において、第1記憶手段から削除された遊技データが重要遊技データであると判定されると、第2データ蓄積手段342は、第2記憶手段に蓄積された重要遊技データの数が第2上限数であるか否か判定する。その結果、第2上限数であれば、ステップS1303−7に処理を移し、第2上限数未満であれば、ステップS1303−8に処理を移す。
(ステップS1303−7)
上記ステップS1303−6において、第2記憶手段に蓄積された重要遊技データの数が第2上限数であると判定されると、第2データ蓄積手段342は、第2記憶手段に蓄積された重要遊技データのうち、最も先に蓄積された重要遊技データ(第2上限数が1であれば、蓄積されている1の重要遊技データ)を削除する。
(ステップS1303−8)
続いて、第2データ蓄積手段342は、第1記憶手段から削除された重要遊技データを第2記憶手段に蓄積し、当該演出蓄積処理S1303を終了する。
図18は、上記ステップS1304の演出実行処理を示したフローチャートである。かかる演出実行処理では、デバイス制御手段202eのデータ受信手段350で受信された遊技データに基づいて演出が実行される。
(ステップS1304−1)
データ受信手段350が、遊技データを受信すると、演出実行手段352は、受信した遊技データに関連付けられた、画像データ、電飾データ、および、音声データの群から選択される1または複数のデータを読み出す。
(ステップS1304−2)
まず、演出実行手段352は、読み出したデータ中に画像データが含まれているか否か判定する。その結果、画像データが含まれていれば、ステップS1304−3に処理を移し、画像データが含まれていなければ、ステップS1304−4に処理を移す。
(ステップS1304−3)
上記ステップS1304−2において、読み出したデータ中に画像データが含まれていると判定した場合、演出実行手段352は、その画像データを液晶表示部138に送信する。すると、その画像データに基づく画像が液晶表示部138に表示される。
(ステップS1304−4)
続いて、演出実行手段352は、読み出したデータ中に電飾データが含まれているか否か判定する。その結果、電飾データが含まれていれば、ステップS1304−5に処理を移し、電飾データが含まれていなければ、ステップS1304−6に処理を移す。
(ステップS1304−5)
上記ステップS1304−4において、読み出したデータ中に電飾データが含まれていると判定した場合、演出実行手段352は、その電飾データに基づいて電飾機器を発光する。
(ステップS1304−6)
次に、演出実行手段352は、読み出したデータ中に音声データが含まれているか否か判定する。その結果、音声データが含まれていれば、ステップS1304−7に処理を移し、音声データが含まれていなければ、当該演出実行処理S1304を終了する。
(ステップS1304−7)
上記ステップS1304−6において、読み出したデータ中に音声データが含まれていると判定した場合、演出実行手段352は、スピーカ140に音声データを送信し、音声データに基づく音声を出力して、当該演出実行処理S1304を終了する。
図19は、上記ステップS1100の初期化処理を示したフローチャートである。かかる初期化処理では、初期化決定手段330が、初期化に必要な各処理を遂行した後、データ送信手段336が、第1記憶手段や第2記憶手段に蓄積された遊技データをデバイス制御手段202eに送信する。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理についてのみ詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS1101)
データ送信手段336は、第2記憶手段に蓄積された重要遊技データを、蓄積された順にデバイス制御手段202eに送信する。
(ステップS1102)
続いて、データ送信手段336は、第1記憶手段に蓄積された遊技データを、蓄積された順にデバイス制御手段202eに送信する。
以上説明したスロットマシン100の構成では、不意な電源の切断があった場合、第2記憶手段に蓄積された重要遊技データを、蓄積された順に再度送信し、その後、第1記憶手段に蓄積された遊技データを、蓄積された順に再度送信する。したがって、デバイス制御手段202eは、電源が切断される直前の通常遊技データ、および、その起点となる重要遊技データを取得することができるので、電源が切断される直前の演出を完全に再現することが可能となる。
また、デバイス制御手段202eは、電源が切断される直前の通常遊技データ、および、その起点となる重要遊技データに加え、電源が切断される任意の時点より継続演出の遊技数に相当する過去の遊技データも取得することができるので、電源が切断された時点が複数の遊技に跨がった継続演出の途中であっても、また、1遊技中の操作契機を跨いだ継続演出の途中であったとしても、遊技タイミングや操作契機に拘わらず、直前の演出を完全に再現することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、第1ユニットとしてサブCPU202aを、第2ユニットとしてデバイス制御手段202eを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、各制御基板間等、遊技データの送受信を実行する様々な電子機器間に適用することができる。
また、上述した実施形態では、遊技データを、図12(c)の演出抽選テーブルにおいて操作契機に対応付けられた演出パターン毎に設ける例を示したが、かかる場合に限らず、1遊技毎に遊技パターンを対応付けてもよい。この場合、1の遊技データによって1遊技分の演出パターンが全て示される。そして、遊技データは、図20(a)のように、「重要遊技データ1」、「通常遊技データ2」、「通常遊技データ3」…のように、1遊技毎に連続して送信されることとなる。ただし、ここでは、第1記憶手段に記憶する遊技データの第1上限数を継続演出の最大遊技数4+予備遊技数1=5とし、第2記憶手段に記憶する重要遊技データの第2上限数を1とする。図20(b)に示すように、データ送信手段336が「重要遊技データ1」、「通常遊技データ2」…「通常遊技データ6」の順に6の遊技データを送信した場合、最後の「通常遊技データ6」の送信時点では、第1データ蓄積手段340が、データ送信手段336が送信した遊技データを「通常遊技データ2」、「通常遊技データ3」…「通常遊技データ6」の順に第1記憶手段に蓄積し、第2データ蓄積手段342が、第1記憶手段から削除された重要遊技データ(「重要遊技データ1」)を第2記憶手段に蓄積する。また、図20(c)のように、データ送信手段336がさらに「通常遊技データ7」、「通常遊技データ8」、「通常遊技データ9」の順に3の遊技データを送信すると、第1記憶手段には、「通常遊技データ5」、「通常遊技データ6」…「通常遊技データ9」が蓄積され、第2記憶手段には、「重要遊技データ4」が上書きされる。また、このときデータ送信手段336が送信した「通常遊技データ9」が4の遊技を跨いだ継続演出中のいずれか1の遊技に対応する遊技データであったとしても、起点となる「重要遊技データ4」に加え、少なくとも、当該継続演出の開始時点から電源が切断される直前までの遊技単位の遊技データが再度送信されるので、「通常遊技データ9」が送信された後に電源が切断されても、継続演出を完全に再現することができる。このように1遊技毎に遊技パターンを対応付けた場合でも、上述した実施形態同様の作用、効果を奏することが可能である。
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。