JP5922936B2 - 新規微生物及びカプラゾールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カプラゾールを産生する新規微生物及び前記カプラゾールの製造方法に関する。
カプラゾールに対して化学的に脂肪酸エステルを付加したカプラゾールの脂肪酸エステル体は、結核菌をはじめとする各種細菌に対して優れた抗菌活性を示すことが報告されており、結核の治療や各種感染症の治療への応用が期待されている(特許文献1参照)。
前記カプラゾールは、カプラザマイシンの3’’’位のアシル基が脱離して水酸基に変換された化合物である。前記カプラザマイシンは、放線菌(Streptomyces sp. MK730−62F2株)を培養することにより得ることができる。このとき、少量のカプラゾールも得ることができるが、その産生量は十分満足できるものではなかった。
前記カプラゾールを大量に得る方法としては、前記MK730−62F2株を培養して前記カプラザマイシを得た後、得られたカプラザマイシをアセトン等の有機溶媒を使用して精製し、精製したカプラザマイシンをアルカリ加水分解する、といった多段階の工程を経て得る方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
しかし、この提案の方法では、工程数が多いため操作が煩雑である点で問題である。また、有機溶媒を使用するため、安全性やコストの面でも問題である。
したがって、カプラゾールを簡便で安全に高収率で得ることができ、低コストで製造できるカプラゾールの製造方法の提供が強く望まれているのが現状である。
国際公開第2004/067544号パンフレット 国際公開第01/012643号パンフレット
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、カプラゾールを簡便で安全に高収率で得ることができ、低コストで製造できるカプラゾールの製造方法及び該カプラゾールを産生する微生物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、ストレプトミセス(Streptomyces)属の微生物において、cpz23遺伝子が、カプラゾールの3’’’位の水酸基と脂肪酸とのエステル化反応を触媒すること、前記cpz23遺伝子を欠損したストレプトミセス(Streptomyces)属の微生物の培養液中にはカプラゾールが好適に産生されることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表される化合物を産生する能力を有する微生物であって、前記微生物がストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)であることを特徴とする微生物である。
<2> 下記構造式(1)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)を培養して前記構造式(1)で表される化合物を製造することを特徴とするカプラゾールの製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、カプラゾールを簡便で安全に高収率で得ることができ、低コストで製造できるカプラゾールの製造方法及び該カプラゾールを産生する微生物を提供することができる。
図1Aは、pUC118apr−pre−postにおいて、pre配列及びpost配列が挿入されていることを確認したアガロースゲル電気泳動の写真である。 図1Bは、pUC118apr−pre−postにおいて、pre配列及びpost配列が挿入されていることを確認したアガロースゲル電気泳動の写真である。 図2は、cpz23遺伝子破壊用プラスミドの作製方法の概略説明図である。 図3Aは、MK730−62F2株(野生株)とcpz23欠損株との対比を示す概略説明図である。 図3Bは、cpz23欠損株において、cpz23遺伝子が欠損していることを確認したアガロースゲル電気泳動の写真である。 図4は、cpz23欠損株において、カプラザマイシンBが産生されないことを確認したHPLCチャートの一例を示す図である。 図5Aは、cpz23欠損株において、カプラザマイシンA及び/又はカプラザマイシンBが産生されないことを確認したLC/MSチャートの一例を示す図である。 図5Bは、cpz23欠損株において、カプラゾールが産生されることを確認したLC/MSチャートの一例を示す図である。 図6Aは、cpz23欠損株において、cpz23遺伝子発現用プラスミドの導入によりカプラザマイシンA及び/又はカプラザマイシンBの産生性が回復することを確認したLC/MSチャートの一例を示す図である。 図6Bは、cpz23欠損株において、cpz23遺伝子発現用プラスミドの導入によりカプラゾールの産生が抑制されることを確認したLC/MSチャートの一例を示す図である。 図7は、MK730−62F2株(野生株)、cpz23欠損株、及びcpz23相補株におけるカプラゾールの産生量の経時的変化を示すグラフである。
(微生物)
本発明の微生物は、ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)である。前記微生物は、下記構造式(1)で表される化合物を産生する能力を有する。下記構造式(1)で表される化合物は、「カプラゾール」とも称する。下記構造式(1)で表される化合物は、好ましくは、下記構造式(2)で表される化合物である。
なお、前記MK730−62F2−3−7は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に平成24年1月18日に受託番号:NITE P−1196として受託された。
前記MK730−62F2−3−7としては、前記カプラゾールを産生する能力を有する限り、例えば、前記MK730−62F2−3−7に由来する突然変異株(例えば、紫外線、エックス線、放射線、薬品等の変異処理により取得できる人工変異株や、自然変異株)、形質接合体、遺伝子組換体なども本発明の微生物に含まれる。
前記微生物が前記カプラゾールを産生する能力を有することを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該微生物の培養物、好ましくは培養上清中の成分中の前記カプラゾールを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)法、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析(LC/MS/MS)法等の各種分析法により検出する方法などが挙げられる。
(カプラゾールの製造方法)
本発明のカプラゾールの製造方法は、前記構造式(1)で表される化合物(カプラゾール)を産生する能力を有するストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)を培養して前記構造式(1)で表される化合物を製造する方法である。前記MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)は、本発明の前記微生物である。
本発明のカプラゾールの製造方法によれば、カプラゾールを高収率で得ることができるだけでなく、少ない工程数で簡便に、かつ安全に低コストで得ることができる。
前記MK730−62F2−3−7の培養方法としては、前記カプラゾールを産生することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記MK730−62F2−3−7を栄養培地(以下、単に「培地」と称することがある)中に接種し、前記カプラゾールの産生に良好な温度で培養する方法などが挙げられる。
前記栄養培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来放線菌の培養に利用されている公知のものを使用することができ、液体培地であってもよく、寒天培地であってもよい。
前記栄養培地に添加する栄養源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素源として、市販されている大豆粉、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウムなどが使用でき、炭素源として、トマトペースト、グリセリン、でん粉、グルコース、ガラクトース、デキストリン、バクトソイトン等の炭水化物、脂肪などが使用できる。更に、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を培地に添加して使用することもでき、その他、必要に応じて微量の金属塩を培地に添加して使用することもできる。
これらの材料は、前記MK730−62F2−3−7が利用し、前記カプラゾールの産生に役立つものであればよく、公知の培養材料は全て用いることができる。
前記カプラゾールの産生のための種母としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、寒天培地上や斜面培地上で前記MK730−62F2−3−7を培養した生育物などを使用することができる。
前記培養の温度としては、前記MK730−62F2−3−7の発育が実質的に阻害されずに、前記カプラゾールを産生しうる範囲であれば、特に制限はなく、使用する産生菌に応じて適宜選択することができるが、25℃〜35℃が好ましい。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、前記カプラゾールの蓄積等に合わせて適宜選択することができる。
前記カプラゾールは、前記栄養培地で培養された培養物のまま使用されてもよいが、前記培養物から分離及び/又は精製されてもよい。
ここで、前記培養物としては、前記培養方法により得られ、前記カプラゾールを含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、菌体、培養上清、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、前記カプラゾールは、培養上清中に多く含まれる。
なお、前記培養物として、前記菌体を用いる場合は、適当な有機溶媒を用いた抽出方法や、菌体破砕による溶出方法などにより、前記カプラゾールを菌体から抽出し、これを分離及び/又は精製に供してもよい。
前記培養物から前記カプラゾールを分離及び/又は精製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、国際公開第2004/067544号パンフレットに記載されたような前記カプラゾールの物理化学的性質に応じた方法、通常微生物の産生する代謝物を採取するのに用いられる方法などの中から適宜選択することができる。
前記分離及び/又は精製する方法の具体例としては、溶媒抽出法、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する方法、クロマトグラフィー法などが挙げられる。これらの方法を単独又は適宜組み合せて、場合によっては反復使用することにより、前記カプラゾールを分離及び/又は精製することができる。
前記溶媒抽出法に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、n−ブタノールなどが挙げられる。
前記吸着剤としては、特に制限はなく、公知の吸着剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン系吸着樹脂などが挙げられる。
前記吸着剤の市販品の具体例としては、アンバーライトXAD(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学株式会社製)などが挙げられる。
前記クロマトグラフィー法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薄層クロマトグラフィー法、順相あるいは逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフィー(分取HPLC)法などが挙げられる。
前記クロマトグラフィー法に用いる担体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル濾過、シリカゲル、アルミナ、活性炭などが挙げられる。
前記ゲル濾過クロマトグラフィー法に用いる担体の市販品の具体例としては、トヨパールHW−40F(東ソー株式会社製)、セファデックス(Sephadex)LH−20(GE社製)などが挙げられる。
前記吸着剤や前記クロマトグラフィーにおける担体から前記カプラゾールを溶出させる方法としては、特に制限はなく、該吸着剤や該担体の種類や性質等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン系吸着樹脂の場合には、溶出溶媒として、含水アルコール、含水アセトン等を用いて溶出する方法などが挙げられる。
前記培養物、若しくは前記分離及び/又は精製された前記カプラゾールは、更に洗浄や精製等の処理が施されてもよい。前記洗浄及び前記精製は、公知の方法で適宜行われる。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<cpz23欠損株の作製>
<<cpz23遺伝子破壊用プラスミドの作製>>
−pre配列の調製−
MK730−62F2株(工業技術院生命工学工業技術研究所にブダペスト条約の規約下にFERM BP−7218の受託番号で寄託)のゲノムDNAを、実験書 Practice Streptomyces Genetics, John Innes Foundation, Norwich, UK, ISBN 0−7084−0623−8に記載の方法に基づき調製した。
このゲノムDNAを鋳型とし、下記配列番号1で表されるプライマー配列cpz23 pre_fw(5’末端側にEcoRVサイトを有する)及び下記配列番号2で表されるプライマー配列cpz23 pre_rv(3’末端側にHindIIIサイトを有する)、並びにtaq DNAポリメラーゼ(Expand High Fidelity PCR system、Roche Diagnostics製;本実施例において、以下同様のものを使用した。)を用いてPCR(95℃・5分間を1サイクル、95℃・30秒間、65℃・30秒間、及び72℃・2分間を30サイクル、72℃・10分間を1サイクル)を行った。
これにより、MK730−62F2株のカプラザマイシン生合成遺伝子クラスター(日本DNAデータバンク(DDBJ)アクセッションナンバー FJ490409)におけるcpz23遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)内に設定した除去配列の5’末端側から2,000bpの塩基配列(MK730−62F2株のカプラザマイシン生合成遺伝子クラスターの5’末端側から15,864塩基〜17,863塩基)(以下、「pre配列」と称することがある)を増幅させた。前記pre配列は、配列番号3で表される塩基配列である。
[プライマー配列]
cpz23 pre_fw:5’−GGGGATATCGACCGTGTGTTGTTCACCGTC−3’(配列番号1)
cpz23 pre_rv:5’−GGGAAGCTTGTTCGGGGCCGGCGACGACGC−3’(配列番号2)
増幅させたpre配列をプラスミド(pT7 Blue T−Vector、Novagen製)に挿入した。以下、pre配列を挿入したプラスミドを「pT7 Blue T−pre」と称することがある。このpT7 Blue T−preを用いて、コンピテントセル(大腸菌(E.coli)DH5α、タカラバイオ株式会社製)の形質転換を行いクローニングし、大腸菌からアルカリ法でDNAを抽出した。抽出したpT7 Blue T−preのシーケンス解析を行い、pT7 Blue T−preに挿入されたpre配列のDNA配列が正しいことを確認した。
このpT7 Blue T−preを、HindIII(タカラバイオ株式会社製;本実施例において、以下同様のものを使用した。)及びEcoRV(タカラバイオ株式会社製;本実施例において、以下同様のものを使用した。)で同時消化した後、0.8質量%アガロースゲルで電気泳動した。次いで、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を使用し、製品のプロトコールに従ってpre配列を切り出して取得した。
−post配列の調製−
前記pre配列の調製において、プライマー配列cpz23 pre_fw及びcpz23 pre_rvを、下記配列番号4で表されるプライマー配列cpz23 post_fw(5’末端側にHindIIIサイトを有する)及び下記配列番号5で表されるプライマー配列cpz23 post_rv(3’末端側にEcoRVサイトを有する)に変えたこと以外は、前記pre配列のクローニングと同様の方法で、PCRを行った。
これにより、MK730−62F2株のカプラザマイシン生合成遺伝子クラスター(日本DNAデータバンク(DDBJ)アクセッションナンバー FJ490409)におけるcpz23遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)内に設定した除去配列の3’末端側から2,000bpの塩基配列(MK730−62F2株のカプラザマイシン生合成遺伝子クラスターの5’末端側から17,963塩基〜19,962塩基)(以下、「post配列」と称することがある)を増幅させた。前記post配列は、配列番号6で表される塩基配列である。
[プライマー配列]
cpz23 post_fw:5’−GGGAAGCTTCTCGATCTGGTGTCGGTGGCT−3’(配列番号4)
cpz23 post_rv:5’−GGGGATATCGCGAGGCACCGGGTGACCTCG−3’(配列番号5)
−アプラマイシン耐性pUC118(pUC118apr)の調製−
pUC118apr(公立大学法人 福井県立大学 生物資源学部 濱野吉十博士より供与、Actinomycetologica, 2006, 20, 35−41参照)をHindIIIで消化した後、両末端をDNA Blunting Kit(タカラバイオ株式会社製)を用いて平滑化し、更にBAPC75(タカラバイオ株式会社製)で脱リン酸化した。次いで、脱リン酸化したpUC118aprを0.8質量%アガロースゲルで電気泳動し、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いてHindIIIで切断されたpUC118aprを切り出して取得した。
−cpz23遺伝子破壊用プラスミドの作製−
前記pre配列と、前記post配列と、前記HindIIIで切断されたpUC118aprとを混合し、Ligation high(東洋紡株式会社製)を用いてライゲーションを行った(以下、「pUC118apr−pre−post」と称することがある)。このpUC118apr−pre−postを用いて、大腸菌(DH5α、タカラバイオ株式会社製)を形質転換し、50μg/mLアンピシリン(SIGMA−ALDRICH製;以下、同様のものを使用した。)を含むLB寒天培地〔1.0質量%Bacto tryptone(BD製)、0.5質量%Bacto yeast extract(BD製)、0.5質量%塩化ナトリウム、1.5質量%Bacto agar(BD製)、残部 水;以下、同様のものを使用した。〕に植菌し、37℃で18時間静置培養してコロニー(形質転換体)を形成させた。
得られたコロニーを鋳型とし、前記配列番号1で表されるプライマー配列cpz23 pre_fw及び前記配列番号2で表されるプライマー配列cpz23 pre_rv、並びにGo Taq Green Master Mix(Promega製)を用いてコロニーPCR(95℃・5分間を1サイクル、95℃・30秒間、65℃・30秒間、及び72℃・2分間を30サイクル、72℃・10分間を1サイクル)を行った。
PCR産物を0.8質量%アガロースゲルで電気泳動したところ、pUC118apr−pre−postにおけるpre配列の挿入が確認された。このコロニーからアルカリ法でDNAを抽出し、pUC118apr−pre−postを取得した。
次に、pUC118apr−pre−postを鋳型とし、前記配列番号4で表されるプライマー配列cpz23 post_fw及び前記配列番号5で表されるプライマー配列cpz23 post_rv、並びにtaq DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics製)を用いてPCR(95℃・5分間を1サイクル、95℃・30秒間、65℃・30秒間、及び72℃・2分間を30サイクル、72℃・10分間を1サイクル)を行った。PCR産物を0.8質量%アガロースゲルで電気泳動したところ、pUC118apr−pre−postにおけるpost配列の挿入が確認された。
また、pUC118apr−pre−postをHindIIIで消化し、0.8質量%アガロースゲルで電気泳動したところ、図1Aに示すように、正しいサイズ(8.4kbp)の1本の断片が確認された。更に、pUC118apr−pre−postをHindIII及びEcoRIで同時消化し、0.8質量%アガロースゲルで電気泳動したところ、図1Bに示すように、2本の断片(5.1kbpと3.3kbp)が確認された。
なお、図1A及び図1Bにおいて、「M」は、λ−HindIIIマーカー(タカラバイオ株式会社製)を表す。また、図1Aにおいて、「1」は、pUC118apr−pre−postの未消化のもの、「2」はpUC118apr−pre−postをHindIIIで消化したものであり、図1Bにおいて、「1」は、pUC118apr−pre−postをHindIII及びEcoRIで消化したもの、「2」は、pUC118apr−pre−postの未消化のものである。
次に、pUC118apr−pre−postを脱メチル化するため、pUC118apr−pre−postを用いてE.coli BAA−525(ATCCより入手)を形質転換し、この形質転換体を50μg/mLアンピシリンを含むLB液体培地〔1.0質量%Bacto tryptone(BD製)、0.5質量%Bacto yeast extract(BD製)、0.5質量%塩化ナトリウム、残部 水〕に植菌して37℃で一晩振騰培養した。得られた菌体からGenElute Plasmid miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いて、脱メチル化したpUC118apr−pre−postをプラスミド溶液として調製した。以下、pUC118apr−pre−postを「cpz23遺伝子破壊用プラスミド」と称することがある。cpz23遺伝子破壊用プラスミドの作製方法の概略説明図を図2に示す。
<<MK730−62F2株へのcpz23遺伝子破壊用プラスミドの導入と脱離>>
−MK730−62F2株のプロトプラスト化−
MK730−62F2株(受託番号:FERM BP−7218)をTSB液体培地〔3質量%Tryptone soya broth(OXOID製、残部 水);本実施例において、以下同様のものを使用した。〕10mLに植菌し、30℃で2日間振騰培養して前培養を行った。次いで、0.5質量%のグリシンを含むR2YE液体培地40mLに対して、前記前培養を行った前培養液を2質量%植菌し、2日間30℃にて振騰培養を行った。
なお、前記R2YE液体培地は、下記組成のものを調製して使用した(本実施例において、以下同様のものを使用した)。
[R2YE液体培地]
R2YE液体培地は、下記組成Aに水を添加し、850mLとし、オートクレーブ滅菌後、下記組成Bを添加した。
[[組成A]]
・スクロース 103g
・硫酸カリウム 0.25g
・グルコース 10g
・塩化マグネシウム 10g
・カザミノ酸 0.1g
・トレースエレメントソリューション(Trace element solution)*1 2mL
・酵母エキス(Yeast extract、BD製) 5g
・TES(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−aminoethanesulfonic acid、株式会社同仁化学研究所製) 5.73g
[[組成B]]
・0.5質量%リン酸二水素カリウム 10mL
・5M塩化カルシウム(CaCl・2HO) 4mL
・20質量%プロリン 15mL
・1N水酸化ナトリウム 7mL
[[Trace element solution*1]]
・塩化亜鉛 4質量%
・塩化鉄(III)6水和物(FeCl・6HO) 20質量%
・塩化第2銅(CuCl・2HO) 1質量%
・塩化マンガン4水和物(MnCl・4HO) 1質量%
・ホウ砂(NaB・10HO) 1質量%
・7モリブデン酸6アンモニウム4水和物((NH)6Mo24・4HO) 4質量%
・水 残部
培養したMK730−62F2株を用いて、以下に示すプロトプラスト法の操作に従い、MK730−62F2株のプロトプラスト化を行った。
MK730−62F2株の培養液20mLを3,500rpmにて4℃で10分間遠心分離した後、上清を捨て、20mLの10.3質量%スクロースに懸濁した。この懸濁液を3,500rpmにて4℃で10分間遠心分離した後、上清を捨て、10mLのP−Bufferに懸濁した。ここに、4mg/mLのLysozymeを含有するP−Bufferを10mL加え、穏やかに混合した。30℃で30分間インキュベートした後、顕微鏡で観察し、MK730−62F2株がプロトプラスト化したことを確認した。
インキュベート後の溶液を綿栓で濾過した。濾液を3,500rpmにて4℃で10分間遠心分離し、上清を捨てた。MK730−62F2株の菌体を10mLのP−Bufferに懸濁し、再び綿栓で濾過して、濾液を3,500rpmにて4℃で10分間遠遠心分離し、上清を捨てた。このプロトプラスト化したMK730−62F2株の菌体を回収し、1mLのP−Bufferに懸濁して、プロトプラスト溶液を調製した。
なお、前記P−Bufferは、下記組成のものを調製して使用した(本実施例において、以下同様のものを使用した)。
[P−Buffer]
P−Bufferは、下記組成Cに水を添加し、80mLとし、オートクレーブ滅菌後、下記組成Dを添加した。なお、組成Cにおいて、Trace element solutionは、R2YE液体培地と同様のものを使用した。
[[組成C]]
・スクロース 10.3g
・硝酸カリウム 0.025g
・塩化マグネシウム6水和物(MgCl・6HO) 0.202g
・Trace element solution*1 0.2mL
[[組成D]]
・5.73質量%TES(pH7.2) 10mL
・3.68質量%塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO) 10mL
・0.5質量%リン酸二水素カリウム(KHPO) 1mL
−PEG溶液の調製−
オートクレーブ滅菌した1.0gのポリエチレングリコール(PEG)1450(SIGMA−ALDRICH製)に3.75mLのP−Bufferを加え、25質量%PEG溶液を作製した。
−MK730−62F2株へのcpz23遺伝子破壊用プラスミドの導入−
前記プロトプラスト溶液100μLに5μLの前記プラスミド溶液(cpz23遺伝子破壊用プラスミドの溶液)を添加し、素早く25質量%PEG溶液を500μL加えた。室温(約25℃)で1分間静置した後、更にP−Bufferを800μL加え、300μLずつR2YE寒天培地〔前記R2YE液体培地の組成AにおいてAgar(ナカライテスク株式会社製)22gを添加したもの;本実施例において、以下同様のものを使用した。〕に塗布した。これを30℃で16時間培養した後、1mLの滅菌水に溶解したアプラマイシン(600μg/mL)を重層して、更に30℃で培養を続けた。培養後、コロニーを形成した形質転換体を取得した。
これを更に25μg/mLアプラマイシン(SIGMA−ALDRICH製;本実施例において、以下同様のものを使用した。)を含むTSB寒天培地〔3質量%Tryptone soya broth(OXOID製)、3質量%Agar powder(ナカライテスク株式会社製)、残部 水;本実施例において、以下同様のものを使用した。〕に植え継ぎ、30℃にて2日間培養し、アプラマイシン耐性を獲得したプラスミド導入株(以下、「apr耐性MK730−62F2株」と称することがある)を取得した。
−apr耐性MK730−62F2株からのcpz23遺伝子破壊用プラスミドの脱離−
前記apr耐性MK730−62F2株を、25μg/mLアプラマイシン及び0.5質量%のグリシンを添加したR2YE液体培地20mLに植菌し、30℃にて2日間振騰培養した。
前記MK730−62F2株のプロトプラスト化において、MK730−62F2株の培養液20mLを、前記apr耐性MK730−62F2株を前記条件で2日間培養した培養液20mLに変えたこと以外は、前記MK730−62F2株のプロトプラスト化と同様の方法で、apr耐性MK730−62F2株のプロトプラスト化を行い、プロトプラスト溶液を調製した。
前記プロトプラスト溶液1mLを採取し、前記P−Bufferで10−1倍〜10−5倍希釈した希釈液を用い、300μLをR2YE寒天培地に塗布し、30℃で2日間培養した。得られたシングルコロニーをTSB寒天培地に植え継ぎ、30℃で2日間培養した。TSB寒天培地に植え継いだコロニーを更に25μg/mLアプラマイシンを添加したTSB寒天培地に植菌し、30℃で2日間培養して、アプラマイシン耐性遺伝子を欠損したMK730−62F2株(以下、「cpz23欠損株」と称することがある)を取得した。
なお、前記cpz23欠損株は、MK730−62F2−3−7として、独立行政法人製品評価技術基盤機構に平成24年1月18日に受託番号:NITE P−1196で受託された。
下記配列番号7で表されるプライマー配列cpz23_fw及び下記配列番号8で表されるプライマー配列cpz23_rv、並びにGo Taq Green Master Mix(Promega製)を用いてコロニーPCR(95℃・5分間を1サイクル、95℃・30秒間、65℃・30秒間、及び72℃・1分間を30サイクル、72℃・10分間を1サイクル)を行った。
また、前記コロニーPCRの際、同時にポジティブコントロールとして前記cpz23遺伝子破壊用プラスミド、及びネガティブコントロールとしてMK730−62F2株のゲノムDNAを鋳型にしたPCRを行った。
各PCR産物の半量をHindIIIで消化し、このHindIIIで消化したPCR産物と、未消化のPCR産物とをそれぞれ0.8質量%アガロースゲルで電気泳動を行った。
[プライマー配列]
cpz23_fw:5’−GTGAAGTCGTTGACGCACGGCGAGG−3’(配列番号7)
cpz23_rv:5’−GTTCATCCGAGGCACTTCCGGATGC−3’(配列番号8)
図3Aに示すように、前記cpz23欠損株において、PCR産物がHindIIIによって切断されれば、cpz23遺伝子が欠損していることが確認できる。
前記アガロースゲル電気泳動の結果を図3Bに示す。この結果より、前記cpz23欠損株において、cpz23遺伝子が破壊されていることが確認された。
なお、図3Bにおいて、「1」は、未消化のcpz23欠損株、「2」は、HindIIIで消化したcpz23欠損株、「3」は、未消化のポジティブコントロール、「4」は、HindIIIで消化したポジティブコントロール、「5」は、未消化のネガティブコントロール、「6」は、HindIIIで消化したネガティブコントロール、「M」は分子量マーカー(φX174 HincIIマーカー、タカラバイオ株式会社製)をそれぞれ示す。
(試験例1)
<cpz23欠損株の解析>
<<HPLCによる分析>>
MK730−62F2株(野生株)と、cpz23欠損株とをそれぞれTSB培地に植菌し、30℃で2日間振騰培養して前培養を行った。この前培養液をCPZ培地〔2.4質量%トマトペースト(商品名:トマトペースト、カゴメ株式会社製)、2.4質量%デキストリン(関東化学株式会社製)、1.2質量%Yeast extract(オリエンタル酵母工業株式会社製)、0.0006質量%塩化コバルト(CoCl・6HO)、残部 水;本実施例において、以下同様のものを使用した。〕に2体積%植菌し、27℃で6日間振騰培養して本培養を行った。この本培養液を5,000rpmにて4℃で10分間遠心分離し、上清を捨て、菌体のみを回収した。菌体に100mLのメタノールを加え、常温で一晩静置して抽出を行った。これを濾紙(FILTER PAPER、ADVANTEC製)で濾過して菌体を取り除き、得られた濾液をエバポレーターで濃縮した。残渣を少量の水に懸濁して回収した後、分液漏斗を用いて200mLのクロロホルムによる抽出を行った。回収したクロロホルム層をエバポレーターによって揮発させた。残渣を少量のメタノールで溶解させて回収し、減圧化でメタノールを揮発させ、乾燥状態の抽出物を得た。得られた抽出物をメタノールに懸濁して回収した後、10mLに定容して、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のサンプルとした。
このHPLC用のサンプルと、メタノールに懸濁して0.16mg/mLに調製したカプラザマイシンB標品とを用い、それぞれ下記条件にて高速液体クロマトグラフィーによる分析を行った。
なお、前記カプラザマイシンB標品は、国際公開第01/012643号パンフレット、「抗生物質カプラザマイシン類およびその製造法」に記載の方法に従って製造した。カプラザマイシンB標品としては、以下の試験例においても同様のものを使用した。
[HPLC条件]
・ポンプ:PU−2089 Plus(日本分光株式会社製)
・PDA検出器:MD−2010 Plus(日本分光株式会社製)
・オートサンプラ:AS−2057 Plus(日本分光株式会社製)
・コントローラー:LC−Net II/ADC(日本分光株式会社製)
・カラム:PEGASIL ODS SP100(内径:4.6mm、長さ:250mm、株式会社センシュー科学製)
・UV−VIS absorption:260nm
・流速:0.1mL/分間
・溶媒:〔A溶媒〕0.1質量%トリフルオロ酢酸(TFA)−アセトニトリル溶液
〔B溶媒〕0.1質量%TFA水溶液
・溶出条件:A溶媒の2体積%から98体積%の直線グラジエントで30分間、次いで98体積%のA溶媒で15分間、次いで2体積%A溶媒で15分間。
HPLCで分析した結果を図4に示す。この結果より、cpz23欠損株では、カプラザマイシンBの産生が確認されなかった。
<<LC/MSによる分析>>
MK730−62F2株(野生株)とcpz23欠損株をTSB液体培地に植菌し、30℃で2日間振騰培養して前培養を行った。この前培養液をCPZ培地に2体積%植菌し、27℃で6日間振騰培養して本培養を行った。この本培養液100mLに対して200mLのアセトンを加え、常温で一晩静置して抽出を行った。これを濾紙(FILTER PAPER、ADVANTEC製)で濾過して菌体や不溶物を取り除き、得られた濾液をエバポレーターで濃縮した。残渣を少量の水に懸濁して回収した後、20mLに定容して、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)用のサンプルとした。このLC/MS用サンプルと、メタノールに懸濁して0.16mg/mLに調製した前記カプラザマイシンB標品又はカプラゾール標品とを用い、下記条件にてLC/MSによる分析を行った。
なお、前記カプラゾール標品は、国際公開第2004/067544号パンフレット「新規化合物カプラゼンとカプラゼン誘導体、ならびに新規化合物カプラゾールとカプラゾール誘導体」に記載の方法に従って製造した。カプラゾール標品としては、以下の試験例においても同様のものを使用した。
[LC/MS条件]
・装置:API3000(アプライドバイオシステムズ製)
・カラム:Develosil RPAQUEOUS AR−5(内径:2.0mm、長さ:150mm、野村化学株式会社製)
・流速:0.2mL/分間
・溶媒:〔A溶媒〕0.1質量%無水ヘプタフルオロ酪酸(HFBA)−アセトニトリル溶液
〔B溶媒〕0.1質量%HFBA水溶液
・溶出条件:A溶媒の2体積%から98体積%の直線グラジエントで30分間、次いで98体積%のA溶媒で15分間、次いで2体積%A溶媒で15分間。
LC/MSで分析した結果、図5A及び図5Bに示すように、cpz23欠損株は、カプラザマイシンA及びカプラザマイシンBの産生性が完全に失われていた(図5A)。一方、cpz23欠損株は、カプラザマイシンの3’’’位のアシル基が脱離して水酸基に変換された前記構造式(1)で表される化合物(カプラゾール)の産生が確認された(図5B)。このことから、cpz23遺伝子がカプラザマイシン生合成に関与していることが明らかとなった。
また、MK730−62F2株(野生株)においては、カプラザマイシンA及びカプラザマイシンBの産生に加えて、カプラゾールの産生が若干確認されたが、カプラゾールの産生量は、cpz23欠損株による産生量よりも明らかに少なかった(図5B)。
なお、MK730−62F2株(野生株)では、カプラザマイシンBと共にカプラザマイシンBの異性体であるカプラザマイシンAが産生されることが知られている(国際公開第01/012643号パンフレット参照)。それを裏付けるように、試験例1においても、図5Aに示すLC/MSによるピークから判断して、MK730−62F2株(野生株)では、カプラザマイシンAとカプラザマイシンBの産生が認められた。
(試験例2)
<cpz23相補株の作製及び分析>
cpz23欠損株におけるカプラザマイシン産生性の欠損やカプラゾール産生量の増加といった変化が、cpz23遺伝子の欠損のみによるものかどうかを検証するために、下記に示す方法でcpz23欠損株にcpz23遺伝子発現用プラスミドを導入したcpz23相補株を作製し、カプラザマイシンの産生性が回復するかどうかを検証した。
<<cpz23遺伝子の調製>>
MK730−62F2株(野生株)のゲノムDNAを鋳型とし、下記配列番号9で表されるプライマー配列cpz23p_fw(5’末端側にHindIIIサイトを有する)及び下記配列番号10で表されるプライマー配列cpz23p_rv(3’末端側にXbaIサイトを有する)、並びにtaq DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics製)を用いてPCR(95℃・5分間を1サイクル、95℃・30秒間、65℃・30秒間、及び72℃・1分間を30サイクル、72℃・10分間を1サイクル)を行い、cpz23遺伝子の上流(5’末端側)120bpから終始コドンまでの配列(cpz23遺伝子配列)を増幅した。
[プライマー配列]
cpz23p_fw:5’−GGGAAGCTTGACGGGAGGACACGAGGCCC−3’(配列番号9)
cpz23p_rv:5’−GGGTCTAGATTCATCCGAGGCACTTCCGG −3’(配列番号10)
増幅した断片を、実施例1と同様の方法でpT7Blue T−Vector(Novagen製)にクローニングした後、増幅したcpz23遺伝子の塩基配列が正しいことを確認した。
次に、クローニングしたプラスミドをHindIII及びXbaIで同時消化した後、0.8質量%アガロースゲルで電気泳動した。次いで、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を使用し、製品のプロトコールに従ってcpz23遺伝子配列を切り出して取得した。
pSE101(Biosci Biotechnol Biochem., 1995, 59, 1835−1841に記載の方法で調製)をHindIII及びXbaI(タカラバイオ株式会社製)で消化した。このHindIII−XbaIサイトに、前記増幅したcpz23遺伝子相配列をLigation high(東洋紡株式会社製)を用いてライゲーションを行った(以下、「cpz23遺伝子発現用プラスミド」と称することがある)。このライゲーションサンプル(cpz23遺伝子発現用プラスミド)を16℃で2時間インキュベートした後、コンピテントセル(E.coli DH5α、タカラバイオ株式会社製)に加えて、形質転換を行った。これを50μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地に植菌し、37℃で18時間静置培養してコロニー(形質転換体)を形成させた。前記形質転換体からGenElute Plasmid miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドを調製し、これを「cpz23遺伝子発現用プラスミド」とした。
実施例1のMK730−62F2株へのcpz23遺伝子破壊用プラスミドの導入において、MK730−62F2株をcpz23欠損株に変え、かつ、cpz23遺伝子破壊用プラスミド溶液を、cpz23遺伝子発現用プラスミド溶液に変えたこと以外は、MK730−62F2株へのcpz23遺伝子破壊用プラスミドの導入と同様の方法で、cpz23欠損株に対して強制的にcpz23遺伝子を発現させた株(以下、「cpz23相補株」と称することがある)を取得した。
<<cpz23相補株の分析>>
取得したcpz23相補株と、実施例1のcpz23欠損株と、MK730−62F2株(野生株)とをそれぞれTSB液体培地に植菌し、30℃で2日間振盪培養して前培養を行った。この前培養液をCPZ培地に2体積%植菌し、27℃で6日間振盪培養して本培養を行った。なお、cpz23相補株のみは、前培養と本培養どちらにも30μg/mLチオストレプトン(SIGMA−ALDRICH製)を添加したものを使用した。この本培養液100mLに対して、それぞれ200mLのアセトンを加え、常温で一晩静置して抽出を行った。これを濾紙(FILTER PAPER、ADVANTEC製)で濾過して菌体や不溶物を取り除き、得られた濾液をエバポレーターで濃縮した。残渣を少量の水に懸濁して回収した後、20mLに定容して、LC/MS用サンプルとした。このLC/MS用サンプルを用い、下記条件にてLC/MSによる分析を行った。
LC/MSで分析した結果、図6A及び図6Bに示すように、cpz23相補株においてカプラザマイシンA及びカプラザマイシンBの産生性の回復が確認された(図6A)。また、cpz23相補株におけるカプラゾールの産生量は、cpz23欠損株よりも大幅に減少しており、MK730−62F2株(野生株)よりやや少ない程度であった(図6B)。このことから、cpz23欠損株におけるカプラザマイシン産生性の欠損とカプラゾール産生量の増加といった変化がcpz23遺伝子の破壊のみによるものであることが確認できた。
(試験例3)
<カプラゾール産生量の経時変化>
MK730−62F2株(野生株)と、cpz23欠損株と、cpz23相補株とにおけるカプラゾール産生量をより正確に比較するために、以下に示す方法で培養日数ごとに各菌株のカプラゾール産生量を定量した。
MK730−62F2株(野生株)と、cpz23欠損株と、cpz23相補株とをそれぞれTSB液体培地に植菌し、30℃で2日間振盪培養して前培養を行った。各菌株でCPZ培地100mL入りのバッフル付き三角フラスコを3本ずつ用意し、前記前培養した前培養液を2体積%植菌して27℃にて6日間振盪培養して本培養を行った。
培養日数1日ごとにそれぞれの三角フラスコから培養液を0.5mLずつ採取し、それらにアセトンを1.0mLずつ添加して4℃にて保存しておいた。本培養は、6日間行った。
6日間全てのアセトンを含む培養液を15,000rpmにて4℃で1分間遠心分離し、得られた上清を液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析(LC/MS/MS)用サンプルとし、下記条件にてLC/MS/MSによる分析を行った。
なお、このとき、前記カプラゾール標品(試験例1で製造したもの)を蒸留水に懸濁して、0.085ng、0.85ng、4.25ng、8.5ng、及び85ngに調製したものも下記条件にてLC/MS/MSで分析し、m/z333.3のフラグメントイオンのピーク面積をもとに検量線を作成した。
この検量線を利用して各LC/MS/MS用サンプル(培養したサンプル)のピーク面積から培養液1L当たりのカプラゾール産生量を算出した。
[LC/MS/MS条件]
・装置:API3000(アプライドバイオシステムズ製)
・カラム:Develosil RPAQUEOUS AR−5(内径:2.0mm、長さ:150mm、野村化学株式会社製)
・流速:0.2mL/分間
・溶媒:〔A溶媒〕0.1質量%HFBA−アセトニトリル溶液
〔B溶媒〕0.1質量%HFBA水溶液
・溶出条件:A溶媒の2体積%から50体積%の直線グラジエントで15分間、次いで98体積%のA溶媒で10分間、次いで2体積%A溶媒で10分間。
LC/MS/MSで分析した結果、図7に示すように、培養3日目の時点で、cpz23欠損株とMK730−62F2株(野生株)のカプラゾール産生量に大きな差が生じた。培養6日目には、cpz23欠損株におけるカプラゾール産生量は、MK730−62F2株(野生株)のおよそ3倍となり、培養液1L当たりで最大約10mgのカプラゾールを産生していることが確認できた。一方、cpz23相補株でのカプラゾール産生量は6日間を通して、MK730−62F2株(野生株)の産生量に近くなっていることが確認された。
NITE P−1196
本発明の新規微生物及びカプラゾールの製造方法は、カプラゾールを簡便で安全に高収率で得ることができ、低コストで製造できるため、結核菌をはじめとする各種細菌に対して優れた抗菌活性を示すカプラゾール誘導体の製造などに好適に利用可能である。

Claims (2)

  1. 下記構造式(1)で表される化合物を産生する能力を有する微生物であって、前記微生物がストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)であることを特徴とする微生物。
  2. 下記構造式(1)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MK730−62F2−3−7(受託番号:NITE P−1196)を培養して前記構造式(1)で表される化合物を製造することを特徴とするカプラゾールの製造方法。
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