JP5921875B2 - 電力用誘導機器の超電導コイルおよび電力用誘導機器 - Google Patents

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本発明は、液体窒素を冷媒として、その冷媒中に浸漬して冷却するようにした超電導限流器,超電導変圧器などの電力用誘導機器に適用する縦置き形の超電導コイルに関する。
昨今では、液体窒素温度(大気圧下での沸点:77K)以上で超電導の臨界温度をもつ高温酸化物超電導体の出現に伴い、この高温超電導線材を使用して構成した頭記の超電導誘導機器を液体窒素の冷媒中に浸漬して冷却し、通電中に超電導線材を臨界温度以下に保持するようにした超電導機器,およびその冷却システムの開発が進んでいる。
次に、超電導変圧器を例に、そのコイル導体に前記した高温超電導線材を用いた超電導コイル,および超電導変圧器の従来構造例を図3〜図5に示し、また超電導機器を冷却する液体窒素冷却システムの一例を図6に示す。
まず、図3,および図4(b),(c)は、従来技術の例として特許文献1,特許文献2に開示されている超電導コイルの構成図であり、各図において1は変圧器の鉄心、2は低圧コイル層、3は低圧コイル層2の外周側に配置した高圧コイル層であり、低圧コイル層2,高圧コイル層3は鉄心1の脚部(縦向き)を包囲して同心配置し、各コイル層の間には後述のように液体窒素などの冷媒を通流して極低温に冷却し、その超電導コイルを臨界温度以下の超電導状態に維持して運転するようにしている。
ここで、従来技術による超電導コイルは、図4(a)〜(c)で示すようにFRPなどの絶縁材で作られた円筒状の巻枠4の外周面に前記の高温酸化物超電導体で作られた超電導線材5を巻回して構成している。また、現在開発が進められている高温超電導線材は、厚さ0.1mm,幅5mm程度のテープ状であることから、この超電導線材5のテー
プ幅寸法に合わせて巻枠4の外周面には螺旋状のコイル溝4aをあらかじめ加工しておき、このコイル溝4aに沿って超電導線材5を一条,ないし複数条重ねて溝内に巻回した上で、さらに超電導線材5の外周面にガラスバインドテープ6、あるいは常温導電体の金属テープを巻き付け、過電流が流れた際に超電導線材5に加わる半径方向の電磁力を外周側から支持するようにしている。また、巻枠4の外周面上には前記の螺旋状コイル溝4aと交差するよう縦軸方向に延在する冷却ダクト4bを周上に分散形成し、この冷却ダクト4bに液体窒素を通流して超電導線材5の通電に伴う発熱を内径側から除熱するようにしている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、図5で示すように超電導変圧器のコイル組立体は、前記の低圧コイル層2を内側,高圧コイル層3を外側に配置して各コイル層の巻枠4をその上下に配したコイル支持部材(円盤状フランジ)7の間に挟持し、かつ低圧コイル層2と高圧コイル層3との間に所定の絶縁距離dを設定した上で、上下のコイル支持部材7の間を図示されてないスタッドボルトで締結して支持するようにしている。なお、図5の構成例では低圧コイル層を2層,高圧コイル層3を4層に分けて多重円筒形構成としている。また、図には表してないが、前記のコイル支持部材7にはそのフランジ板面に冷媒通過穴を適宜に分散穿孔しておき、コイル組立体を冷媒容器に収容して液体窒素中に浸漬した状態で、冷媒容器内で対流する液体窒素が各コイル層間に通流するようにしている。
次に、液体窒素を冷媒として超電導変圧器などの超伝導機器を冷却する液体窒素冷却システムの一例(例えば、非特許文献1参照)を図6に示す。この冷却システムは、超伝導誘導機器8(例えば、超電導変圧器)を収容した冷媒容器(クライオスタット)9と、極低温冷凍機10を装備した冷凍機ユニット11とに分けた上で、送液ポンプ12,送液管路13を介して冷凍機ユニット11に収容した液体窒素14を冷媒容器9との間に循環送流し、超伝導誘導機器8の運転時には通電に伴う熱負荷を液体窒素14で除熱するようしている。また、この冷凍機ユニット11では、極低温冷凍機10により液体窒素14をサブクール状態の過冷却液体窒素(例えば、65K)に冷却した上で、冷媒容器9に送液するようにしている。なお、図中の8aは超電導機器のコイルに接続して容器外方に引出した電流リード(ブッシング)、14aは液体窒素14の液面上のガス空間を満たしている窒素ガスである。
前記のように液体窒素中に浸漬して使用する超電導機器(超電導変圧器)の定常運転状態では、超電導コイルが臨界温度以下の超電導状態に保持されるので、超電導線はジュール発熱せず液体窒素温度と同程度の温度を保持する。しかしながら、励磁突入や短絡事故発生などにより超電導コイルに想定を超える過大な電流が流れた場合は、臨界電流を超えて超電導から常電導状態に転移(クエンチ)して超電導線材に抵抗が生じ、そのジュール発熱によって超電導線材の温度が急激に上昇するようになる。
このために、冷媒にサブクール状態の過冷却液体窒素を用いたとしても、超電導線材の表面に接する部分では液体窒素が沸点(77K)を超え、液体窒素中に沸騰が生成して気泡が発生することが想定される。この場合に、液体窒素は元来良好な絶縁媒体であるが、気化することでその絶縁耐力が大きく低下することから、超電導機器を収容した冷媒容器(接地電位)内で超電導コイルの周域、および高圧/低圧コイル層の層間に多量の気泡が発生した状態になると、超電導コイル,高圧/低圧コイル層の層間,および電流リードなどに対する耐電圧が低下して絶縁破壊を引き起こすおそれがある。
そこで、超電導機器の稼働中に過電流の通電により液体窒素中に発生した気泡を速やかに消滅させて所定の絶縁性能を保持するための対策として、冷媒容器内に発生した気泡を積極的に回収して容器外に排出する、あるいは容器内を浮上する気泡を捕集するような気泡消滅手段を備えた超電導機器装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−133515号公報(図10、図11) 特開2001−244108号公報(図1) 特開2007−273740号公報
吉田 茂、他1名、"大気圧過冷却液体窒素を用いた冷却システム"、図3、[online]、太陽日酸技報 No.23(2004)、[平成23年11月1日検索]、インターネット<URL: http://www.tn-sanso-giho.com/pdf/23/16.pdf>
ところで、近年では配電変電所クラスの容量を持つ変圧器、例えば高圧側電圧が66〜77KV、低圧側電圧が6.6〜6.9KV、変圧器容量が数MVA〜数十MVAにもおよぶ大容量の超電導変圧器の開発が進められている。ここで、液体窒素の絶縁性能は、油入変圧器の絶縁油と同程度であるが、液体窒素中に気泡が存在すると絶縁性能は著しく低下することから、超電導変圧器を浸漬した液体窒素中に気泡が発生するのを極力抑制するために、一般的には液体窒素を66K〜70K程度のサブクール状態に過冷却して超電導コイルを冷却するようにしている。
しかしながら、励磁突入や短絡事故発生などに起因する過電流通電により、超電導コイルが超電導から常電導状態に転移した場合には、超電導コイルを冷却する冷媒として前記のようにサブクール状態の液体窒素を用い、さらに特許文献3に開示されているような気泡消滅手段を併用したとしても、先記のように超電導線材のジュール発熱により高温度に上昇した超電導コイルからの伝熱を受けて液体窒素中に気泡が発生するようになり、また前記の気泡消滅手段(特許文献3)も実用的にはその能力に限界があって気泡発生に起因する超電導機器の絶縁性能低下を根本的に防ぐ解決策にはならない。
また、図5に示した超電導変圧器のコイル組立体のように、低圧コイル層2,高圧コイル層3の巻枠4その上下に配した円盤状のコイル支持部材7で支持した構成では、次のような問題も生じる。すなわち、高温超電導線材5の発熱に伴ってコイル層の外周面に連続して発生した気泡が液体窒素中を拡散しながら浮上移動する過程で、巻枠4の上端側に配したコイル支持部材7のフランジ下面側に到達して低圧コイル層2と高圧コイル層3との間に気泡のブリッジを形成するような状態になると、低圧コイル層2と高圧コイル層3と間にあらかじめ所定の絶縁距離dを設定したとしても、この気泡ブリッジを通じて層間の耐電圧が低下して絶縁破壊が生じる懸念がある。
なお、発明者等が図4の超電導コイルを模擬してサブクール状態の液体窒素に浸漬したコイルモデルについて、超電導コイルに短絡電流を模擬した過電流を流した際に液体窒素中に発生する気泡の挙動を高速カメラで観察したところによれば、過電流の通電開始直後から超電導線材の表面に接する部分に液体窒素の沸騰が生成して気泡が連続的に発生し、この気泡が超電導コイルの巻枠周面に沿って上方に浮上していく様子が観察されている。
この場合に、超電導コイルの下部,あるいは中部に巻回されている超電導線材の表面に発生した気泡は、液体窒素中に浮上移動する途上で再液化して消滅するようになるが、巻枠の上部に巻回されている超電導線材の表面に発生した気泡は再液化する以前に巻枠の上端まで達して周囲に流出することが確認されている。
そこで、本発明は、液体窒素中に浸漬して冷却する超電導変圧器などの電力用誘導機器に適用する超電導コイルについて、液体窒素による高い除熱,冷却性能を確保しつつ、超電導コイルの外周面側に気泡が発生するのを極力抑制して過大電流の通電時でも気泡に起因する絶縁耐力の低下を確実に防止して所定の絶縁性能を保持できるように改良した電力用誘導機器の超電導コイルを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明によれば、液体窒素を冷媒として該冷媒に浸漬され冷却される電力用誘導機器の超電導コイルであって、絶縁材からなる円筒状巻枠の外径側周面に螺旋状のコイル溝が形成され、該コイル溝に沿ってその溝内にテープ状の高温超電導線材が巻回されたものにおいて、
前記円筒状巻枠の外径側には、前記螺旋状のコイル溝と交差して巻枠の縦軸方向に延在する冷却ダクトが巻枠の周上に分散して形成されているとともに、前記超電導線材を包含して前記巻枠の外周面域を密閉状に覆うように気液不透過性の絶縁テープが巻枠周面に巻装され、
前記冷却ダクトは、冷媒通路の上下両端が開口して前記液体窒素が通流するように構成されていて、
前記超電導線材の上側の非巻回域を構成する前記円筒状巻枠と、前記冷却ダクトと、前記絶縁テープとが下側よりも延長された延長部を有する(請求項1)。
ここで、前記延長部の軸方向の長さは100mm以上、200mm以下にするとよい(請求項2)。
さらに、上述の超電導コイルの前記円筒状巻枠の上下にコイル支持部材を配し、該超電導コイルが該コイル支持部材の間に挟持された電力用誘導機器としてもよい(請求項3)。
前記構成になる超電導コイルによれば、液体窒素による高い除熱,冷却性能を確保しつつ、超電導コイルの外周面側に液体窒素の気泡が発生するのを極力抑制して過大電流の通電時でも絶縁耐力の低下を防止して高い絶縁性能を確保することができる。すなわち、
(1)円筒状巻枠の外径側には、前記螺旋状のコイル溝と交差して巻枠の縦軸方向に延在し、かつその溝深さが前記コイル溝よりも深い縦軸方向の冷却ダクトを巻枠の周上に分散して形成するとともに、前記超電導線材を包含して前記巻枠の外周面域を密閉状に覆うように、半硬化状のエポキシ樹脂を含浸させた絶縁テープを巻枠の周面に巻装して熱硬化処理を施すことにより、巻枠の螺旋状コイル溝に沿ってその溝内に巻回した超電導線材は、前記コイル溝に交差して縦軸方向に延在する冷却ダクトに通流する液体窒素との間で熱交換して除熱,冷却される。一方、前記コイル溝に沿って巻回した超電導線材を含めて巻枠の外周面全域がエポキシ樹脂を含浸,硬化させた気液不透過性の絶縁テープで密閉状態に覆われているので、超電導線材の外周側が液体窒素に接することがなく、かつこの絶縁テープが断熱層となってコイル外周面側には気泡の発生が抑制される。
したがって、短絡事故時などによる過電流の通電を想定しても、ジュール発熱した超電導線材は巻枠に形成した縦軸方向の冷却ダクトを通流する液体窒素と熱交換して超電導線材の内径側から除熱,冷却されるので、絶縁テープで覆われたコイル層の外周面側では気泡の発生が抑止される。なお、過電流の値によっては前記冷却ダクトを通流する液体窒素中に気泡が発生することも予測されるが、この冷却ダクトは巻枠とその外周面に巻装した絶縁テープで密閉状に覆われているので、冷却ダクト内に発生した気泡が超電導コイルの外周面側に漏出することがなく、かつ気泡は冷却ダクト内を上方に浮上移動する途上でダクト内を通流する液体窒素で冷却されるので、巻枠の上端に達する以前に殆どが再液化して消滅する。これにより、超電導コイルとして所定の絶縁性能を保持できる。
(2)また、前記円筒状の巻枠には、その上端側に超電導線材の巻回域上端からさらに上方に延在する延長部を形成し、かつ該延長部の軸方向長距離を100mm以上,200
mm以下に設定することにより、超電導線材との熱交換により発生した気泡が前記冷却ダ
クト内を浮上移動する過程で再液化するための十分な距離を確保できる。これにより、冷却ダクト内に発生した気泡は巻枠の上端まで浮上到達する以前にダクト内で確実に再液化するようになるので、気泡が超電導コイルの上端から周囲の液体窒素中に流出するのを防止して絶縁性能に及ぼす影響が回避される。
本発明の第1実施例に係わる超電導コイルの略示構成図であって、(a)はコイル一部の横断面図、(b),(c)はそれぞれ(a)における矢視A−A,B−Bの縦断面図である。 本発明の第2実施例に係わる超電導コイルの巻枠上端側部分の縦断面図である。 超電導変圧器を対象とした超電導コイルの略示配置図である。 図3における高圧コイル層,低圧コイル層の従来例の構成,配置図であって、(a)は巻枠の略示外形図、(b)は巻枠に超電導線材を巻回した状態の縦断面図、(c)は(b)の横断面図である。 従来例の超電導変圧器における高圧コイル層,低圧コイル層の組立構造を表す略示縦断面図である。 超電導コイル,超電導変圧器に適用する液体窒素冷却システムのシステムフロー図である。
以下、この発明による電力用誘導機器の超電導コイルの実施の形態を図1,図2に示す各実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図4に対応する同一部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
先ず、本発明の第1実施例に係わる超電導コイルの構成を図1(a)〜(c)に示す。この実施例においては、FRPなどの絶縁材で作られた円筒状の巻枠4には、その外周面に図4で示した従来構造と同様に螺旋状のコイル溝4aを加工してテープ状の超電導線材5を巻回するようにし、また巻枠4の外径側には前記螺旋状のコイル溝4aと交差して巻枠4の縦軸方向に延在し、かつその溝深さが前記コイル溝4aよりも深い縦軸方向の冷却ダクト4bを巻枠4の周上に分散して形成した上で、超電導線材5を包含して巻枠4の外周面全域を密閉状に覆うように、樹脂を含浸させた気液不透過性の絶縁テープ15を巻枠4の周面に巻き付けて超電導コイルを組立て構成している。なお、図示例では、前記のコイル溝4aに8本の超電導線材5を4重×2列に並べて巻回するようにしているが、超電導線材5の本数,配列はこれに限定されるものではない。
ここで、前記の絶縁テープ15は、引張強度の高いガラス繊維で編んだクロスに半硬化状のエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグテープを巻枠4に巻き付けて熱硬化処理するようにしている。この絶縁テープ15は液体,気体の透過性はなく、かつ高い断熱性も有し、また超電導線材5に働く半径方向の電磁力を保持するバインドテープの役目も果たしている。
そして、上記構成のコイル組立体を図6に示した液体窒素冷却システムの冷媒容器に収納してサブクール状態に過冷却された液体窒素に浸漬した通電状態では、巻枠4の螺旋状コイル溝4aに巻回した超電導線材5は、巻枠4の縦軸方向に沿って形成した冷却ダクト4bに通流するサブクール状態の液体窒素により除熱,冷却される。一方、コイル溝4aに沿って巻回した超電導線材5を含めて巻枠4の外周面域は、エポキシ樹脂を含浸,硬化させた気液不透過性の絶縁テープ15で密閉状に覆われていているので超電導線材5の外周側が液体窒素に接することがなく、かつこの絶縁テープ15が断熱層となってコイル外周面側には気泡の発生が抑制される。
したがって、短絡事故時などによる過電流の通電を想定しても、ジュール発熱した超電導線材5は縦軸方向の冷却ダクト4bを通流する液体窒素と熱交換して効果的に除熱,冷却されるので、絶縁テープ15で覆われたコイル層の外周面側には気泡の発生が抑止される。なお、この場合に過電流の値によっては前記冷却ダクト4bを通流する液体窒素中に気泡が発生することも予測されるが、この冷却ダクト4bは巻枠4とその外周面に巻装した絶縁テープ15で密閉状に覆われているので、冷却ダクト内に発生した気泡が超電導コイルの外周面側に漏出することがなく、かつ気泡は冷却ダクト4b内を上方に浮上移動する途上でダクト内を通流する液体窒素で冷却されるので、巻枠4の上端に達する以前に殆どが再液化して消滅する。したがって、超電導コイルを浸漬した液体窒素中に気泡が発生することが抑止され、これにより所定の絶縁性能を保持できる。
次に、本発明の請求項3に係わる実施例を図2で説明する。図2は、本発明の第2実施例に係わる超電導コイルの巻枠上端側部分における縦軸方向の冷却ダクトが配設されている周方向位置での縦断面図であって、先記実施例1に示した超電導コイルに対して、巻枠の上端側に該巻枠の周面に巻回した超電導線材の巻回域上端からさらに上方に延在する延長部を形成した構成を示すものである。
先記実施例1の超電導コイルでは、巻枠4の軸方向に沿った下部,ないし中央部にて超電導線材5との熱交換により冷却ダクト4bに発生した気泡はダクト内を上方に浮上移動すると途上で再液化され、巻枠4の上方に気泡が流出することはないが、超電導コイルに通電する過電流の電流値によっては、巻枠4の上部に巻回されている超電導線材5との熱交換で発生した気泡は、再液化される以前に巻枠4の上端に達して超電導コイルの上方に流出する懸念がある。
そこで、この実施例2においては、円筒状巻枠4の上端側に、該巻枠4に巻回した超電導線材5の巻回域上端からさらに上方に延在する延長部4dを形成し、かつこの延長部4dには軸方向の長さが100mm以上,200mm以下である距離Lを設定するように
している。
この構成により、巻枠4の上部に巻回されている超電導線材5の伝熱を受けて冷却ダクト内に発生した気泡に対しても、その気泡発生地点と巻枠4の上端との間には気泡を再液化するための十分な距離が確保される。したがって、前記冷却ダクト4bの冷媒通路中に発生した気泡は、その発生地点の位置(巻枠4の上部,中部,下部)に左右されることなく、冷却ダクト中に発生した気泡は全て巻枠4の上端に到達する以前に再液化して消滅するようになる。
なお、発明者等が、超電導コイルをサブクール状態の液体窒素に浸漬したコイルモデルについて、超電導コイルに短絡電流を模擬した過電流を流した際に液体窒素中に発生する気泡の挙動を観察した実験では、液体窒素中に発生した気泡はその発生地点から上方に大凡60mm程度の距離を浮上移動すると再液化して殆ど消滅することが検証されて
いる。そこで、前記のように円筒状巻枠4の上端側に延長部4dを形成した上で、該延長部4dの軸方向長さ距離Lを前記実験で検証した距離60mmよりも長い距離(100
〜200mm)に設定しておけば、過電流の通電でジュール発熱した超電導線材5からの
伝熱を受けて前記の冷却ダクト4b内に発生した気泡を、巻枠4の上端に到達する以前に全て再液化させて消滅することができる。また、その延長部4dの距離Lを最大でも200mm以下に抑えて設定することで、容量が数MVAの超電導変圧器(全体高さが5
m以上にも及ぶ)に対しても、その超電導コイルの巻枠高さ寸法を僅か延長するだけで、その巻枠4に形成した冷却ダクト内に発生した気泡がコイル上方の液体窒素中に流出するのを確実に防止して高い絶縁性能を確保できてその効果は極めて大である。
1 変圧器鉄心
2 低圧コイル層
3 高圧コイル層
4 巻枠
4a コイル溝
4b 縦軸方向の冷却ダクト
4d 巻枠の延長部
5 高温超電導線材
7 コイル支持部材
14 液体窒素
15 絶縁テープ
L 延長部の長さ距離

Claims (3)

  1. 体窒素を冷媒として該冷媒に浸漬され冷却される電力用誘導機器の超電導コイルであって、絶縁材からなる円筒状巻枠の外径側周面に螺旋状のコイル溝形成され、該コイル溝に沿ってその溝内にテープ状の高温超電導線材巻回されたものにおいて、
    前記円筒状巻枠の外径側には、前記螺旋状のコイル溝と交差して巻枠の縦軸方向に延在する冷却ダクト巻枠の周上に分散して形成されているとともに、前記超電導線材を包含して前記巻枠の外周面域を密閉状に覆うように気液不透過性の絶縁テープ巻枠周面に巻装され、
    前記冷却ダクトは、冷媒通路の上下両端が開口して前記液体窒素が通流するように構成されていて、
    前記超電導線材の上側の非巻回域を構成する前記円筒状巻枠と、前記冷却ダクトと、前記絶縁テープとが下側よりも延長された延長部を有することを特徴とする電力用誘導機器の超電導コイル。
  2. 請求項1に記載の超電導コイルにおいて、前記延長部の軸方向の長さは100mm以上、200mm以下であることを特徴とする電力用誘導機器の超電導コイル。
  3. 請求項1または2に記載の超電導コイルの前記円筒状巻枠の上下にコイル支持部材を配し、該超電導コイルが該コイル支持部材の間に挟持されたことを特徴とする電力用誘導機器。
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