JP5921869B2 - トレーサーガスとして水素を使用するリーク検出のための装置および方法 - Google Patents

トレーサーガスとして水素を使用するリーク検出のための装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、吹き付け技法により、例えば数Pa.m/sから10−6Pa.m/sの範囲の、大リークを検出するための装置に関する。
吹き付けによるリーク検出技法は、大気が主としてトレーサーガスを含有する漏えいのない(leaktight)エンクロージャ内に、被検物体を設置することにある。物体内部のガスは、例えば10hPa程度の低圧に排出される。次いで、大リークの存在が、検査エンクロージャ内に設置された物体内部のトレーサーガスの点単位の存在(pointwise presence)をリーク検出器で検出することによって検査される。被検物体の内部大気は、トレーサーガス検出器に接続される。複数のリーク検出方法が知られている。
第1の方法は、トレーサーガスとしてヘリウムを使用し、検出器として質量分析装置を使用する。これは、小さな分子サイズのために他のガスよりもより容易に小リークを通り抜けるという、ヘリウムの特性を利用する。したがってこの方法は、高い感度を有し、従来より10−5から10−12Pa.m/sの範囲のリークの検出に使用される。しかし、ヘリウムを使用する方法は、トレーサーガスの高コスト、および質量分析装置を作動できるようにするために被検物体の内部を真空にする必要があるという欠点を有する。極低圧を維持するために、大型で高価なポンプユニットが必要である。さらに、被検物体の体積が大きい場合、必要とされる圧力レベルに達するのが困難または不可能にすらなる可能性がある。必要とされる圧力レベルが達せられるとしても、ポンプサイクルは非常に長くなる。リーク率が非常に高い場合、質量分析装置が損害を被る恐れがある。質量分析装置のフィラメントが汚染され、破損すらする可能性がある。最後に、そのような複雑なシステムのメンテナンスには、非常に費用がかかる。
これらの欠点を克服するために、トレーサーガスとして水素を使用する方法が開発されてきた。水素は、検査中の物体内部での拡散速度がヘリウムよりもはるかに速いという利点を有し、またヘリウムよりもより迅速に消散する。水素は、ヘリウムよりもはるかに費用がかからず、その検出は大気圧下で作動する様々なタイプのセンサで実行される。したがって、この方法は、実施にかかる費用が少なくより簡易であるので、産業に対して非常に有利な代替形態をもたらす。しかし、この方法は、ヘリウムを使用する方法よりも感度が低く、そのことがこの方法の使用を制限する。
本発明の一目的は、10−6Pa.m/sまでの大リークの検出を良好な感度で可能にするリーク検出装置を提供することである。
本発明はまた、頑丈、軽量かつ安価なリーク検出装置を提供する。
本発明は、トレーサーガスとして水素を使用するリーク検出のための装置に関する。この装置は、被検物体に接続されるように意図されており、低圧エンクロージャ内に設置されかつダイオード、抵抗器、およびゲートがパラジウム触媒で覆われたMOS型トランジスタを有する水素センサと、低圧エンクロージャに接続されたポンプ手段と、ポンプ手段に接続された低圧エンクロージャによって形成された真空ライン内の圧力を測定するように構成された圧力計と、トレーサーガスを含有するガスフローの真空ライン内への吸入を可能にする第1のポートおよびガスの吸入を可能にする第2のポートを有する多方向弁と、を備え、この第2のポートは、真空ライン内の圧力を圧力計に応じて制御するように構成されている。
多方向弁という用語は、少なくとも3つのポート、すなわち、被検物体と連通する第1のポート、センサと連通する第2のポート、および例えば空気を吸入するための少なくとも1つの第3のポートの、3つのポート間の連通を制御するように構成された1つまたは複数の弁を含む、任意の手段を意味する。
第1の実施形態によれば、第2のポートは、外部の大気に開放されるように構成されている。
第2の実施形態によれば、本装置はさらに、ガスに含有された塵埃粒子が水素センサに接触する前にその塵埃粒子を濾過するためにセンサと多方向弁との間に挿入された粒子フィルタを備える。
第3の実施形態によれば、本装置はさらに、圧力計によって測定された真空ラインの圧力の値を受け取り、設定値を受け取るように構成されており、かつこれらの値に応じて中性ガスの吸入を制御するように構成された電子制御モジュールを備える。
第4の実施形態によれば、本装置はさらに、センサに内蔵されたトランジスタのドレイン−ソース間電圧の時間に応じた変動に基づいてリーク率を計算するための数学的モデルを備える。
第5の実施形態によれば、本装置はさらに、センサの抵抗器の電圧を平衡させるための回路を備える。
センサの抵抗器の電圧を平衡させるための回路は、低圧エンクロージャ内の圧力の値とは無関係に定温を維持するように、有利には構成されている。
定温は、例えば、100℃と250℃との間に含まれる。
低圧エンクロージャ内の圧力は、例えば、100Paと5000Paとの間に含まれる。
本発明はまた、上述のリーク検出装置を使用して被検物体のリーク検出をするための方法に関し、真空ラインの圧力は、多方向弁の第2の吸入ポートを通じた中性ガスの真空ライン内への吸入を制御することによって制御される。
一実施形態によれば、中性ガスの吸入は、圧力の測定および所定の設定値に応じて第2のポートを自動的に制御することによって制御される。
本発明は、多くの利点を有する。本検出装置は、10−6Pa.m/sまでのリーク率に対する極低圧において非常に高い感度を有する。水素センサは、例えば小型のダイヤフラム真空ポンプでも容易に達せられる圧力である、100Paと5000Paとの間、例えば1000Pa(10mbar)の低圧で使用することができ、高価で嵩張る高出力ポンプユニットを必要としない。水素センサは、製造するのに経済的であり、長寿命である。水素センサは、必要であれば容易に交換することができる。この水素センサにより、検出装置の軽量化および小型化が可能になり、したがって運搬を容易にすることが可能になる。リーク検出装置を備える既存の装置に組み入れるのも容易である。
本発明は、あらゆるタイプの物体に応用することができるが、より特には、例えば、材料の処理または(例えばサングラスのレンズの)コーティングの溶着のための真空オーブンといった、それほど強い真空が要求されない産業での製造に使用されるチャンバに応用することができる。
本発明の他の特質および利点は、当然ながら例示としてのものでありかつ制限を伴わずに提示された一実施形態の以下の説明を読むことにより、また添付の図面により、明らかになるであろう。
検出構成でのリーク検出装置の第1の実施形態を示す図である。 真空ラインの圧力を安定させる方法を示す図である。 水素センサの実施形態を示す図である。 水素センサの感度を評価するように意図された検査装置の一例を示す図である。 ボルト(volts)で表される水素センサの抵抗器の電圧Vを縦座標に示し、mbarで表される圧力Pを横座標に示した、検査装置内の圧力に応じた水素センサの感度検査の結果を示すグラフである。 異なる値のリーク率および検査装置内の圧力に対する、水素センサの感度検査の結果を示すグラフである。 リークと水素センサとの異なる間隔、および異なるリーク率に対する、水素センサの感度検査の結果を示すグラフである。 検査ガスフローに対する水素センサの位置に応じて水素センサの感度を評価するように意図された検査装置の別の例を示す図である。 リーク検出装置内の異なる位置に対する、水素センサの感度検査の結果を示すグラフである。
図6、図7、および図9において、時間的な圧力変動ΔVは、横座標上にmbar.l.s−1で示されているリーク率Lに応じて、縦座標上にmV/sで示されている。
これらの図において、同一の要素は同じ参照番号を有する。
図1に示した実施形態において、リーク検出装置1は、被検物体3の内部大気に接続された水素センサ2を備える。検出装置1は、トレーサーガスを含有するガスフローのリーク検出装置1内への吸入を可能にするために被検物体3と水素センサ2との連通を制御する、具体的には三方弁4とすることができる多方向弁と、ガスに含有された塵埃粒子が水素センサ2に接触する前にその塵埃粒子を濾過するためにセンサ2と三方弁4との間に挿入された粒子フィルタ5と、を備える。このフィルタ5があることにより、センサ2の保護および寿命の延長が可能になる。一変形形態によれば、三方弁4は、ポンプ手段7に接続された低圧エンクロージャ6によって形成される真空ライン内の、100Paと5000Paとの間、例えば1000Paの低圧を維持するために、空気の流入を調節するのに使用することができる。一代替形態として、三方弁4をセンサの後に配置することもできる。
水素センサ2は、ポンプ手段7に接続された低圧エンクロージャ6内に設置されている。ポンプ手段7は、一方では低圧エンクロージャ6内を例えば1000Paの低圧に達せさせかつその低圧を維持し、他方では検出装置1内にガスフロー8を生じさせる。圧力を低くすることを可能にしているポンプ手段7は、ガス8の循環を生じさせるために、被検物体3から来るガスの到着とは反対側の、水素センサ2の下流に設置される。したがって、センサ2の上流ではガスは集積せず、測定するリークから来る水素分子だけが、水素センサ2に接触する。この構成は、センサ2の応答時間を増加させるという利点を有する。水素センサ2は、水素センサ2の感度を高めるために、センサ2のヘッドが、被検物体3から来てポンプ手段7によって圧送される水素を含有するガスフロー8に面するように配置されることが好ましい。ポンプ手段7は、例えばダイヤフラム真空ポンプのような真空ポンプなどの、任意のタイプのものとすることができる。具体的には、「ADIXEN」の商標で販売されている「AMD4」と称されたダイヤフラム真空ポンプを選択することが好ましい。低圧エンクロージャ6とポンプ手段7とを接続する導管上に装着された、マノメータなどの圧力計9により、低圧エンクロージャ6内で達せられた圧力を監視することが可能になる。
リークを測定するために、検出装置1の吸入口が被検物体3に接続される。ポンプ手段7が真空ライン内の圧力を低くする。次いで、三方弁4が徐々に開かれる。リーク検出装置には、圧力計9によって測定された真空ラインの圧力値を受け取るように構成されており、設定値を受け取るように構成されており、かつこれらの値に応じて中性ガスの吸入を制御するように構成された電子制御モジュールが備えられる。この電子制御モジュールにより、リークの測定における揺らぎを回避するために、例えば1000Paの安定した圧力が真空ライン内で達せられることを確実とすることができる。次いで、測定を始めることができる。被検物体3の外側に、例えば95%の窒素と5%の水素との混合物から構成されるガスが吹き付けられる。ポンプの作動下において、このガスの一部は、被検物体3の壁をリークの位置で通り抜けて、リーク検出装置1に入る。ガスの吹き付けは、圧送されたガスが水素センサ2に到達する時間を考慮に入れるために、各ステップ間に数秒の待ち時間を伴って、被検物体3の外面の各領域でステップごとに行われる。
温度が圧力に影響を与えることがないように、温度を調節するための電子的手段をリーク検出装置に加えることもできる。
安定した圧力を維持するための方法のステップが、図2に示されている。第1のステップ101において、圧力計9を使用して、真空ラインの圧力が測定される。第2のステップ102において、電子制御モジュールが、圧力計9によって測定された圧力値と設定圧力値とを比較する。第3のステップ103において、真空ラインの圧力が設定圧力値に達するように、電子制御モジュールが第2のガス吸入ポートを開閉させる。この方法は、リーク測定中にループして繰り返される。ガスの吸入は、測定された圧力および所定の設定圧力値に応じて、自動的に行われる。
次に、図3を考慮すると、水素センサ20の一実施形態が表されている。水素センサ20は、相互接続された、ダイオード21、抵抗器22、およびトランジスタ23を含む。トランジスタ23は、MOSFET型(「Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)」)の電界効果トランジスタである。トランジスタ23は「n」型のトランジスタであり、3つの活性電極を有する:ゲート24、ドレイン25、およびソース26。ゲート24はドレイン25に接続されている。トランジスタ23は、トランジスタ23を通して流れる電流を、ゲート24に加えられる信号によって変調し、ドレイン25とソース26との間の電圧を制御することを可能にしている。ゲート24は、パラジウムベースの触媒によって覆われている。H分子がゲート24のパラジウム触媒に接触すると、H分子は開裂されてHイオンを発する。Hイオンは触媒を通して拡散し、トランジスタ23のゲート24上に捕捉されるようになる。このことにより、トランジスタ23のドレイン25−ソース26間抵抗に変動が生じる。したがって、トランジスタ23のドレイン25−ソース26間抵抗は、リークを測定する機能を果たすセンサの核心となる。トランジスタ23のドレイン25に定電流を流すことにより、ゲート24によって捕捉されたHイオンの量を示す電圧Vが得られ、これによりゲート24に接触している水素の流れを評価することが可能になる。
電子制御モジュールは、特に、リーク検出装置を駆動するための電子回路と、リーク率を計算するための数学的モデルとを含む。この数学的モデルは、時間に応じたトランジスタ23のドレイン25−ソース26間電圧における変動に基づいてリーク率の測定をするために開発され、センサ20の水素感度に関係付けられている。この数学的モデルに基づいた、一定のリーク率を有する自動較正オプションを加えることもできる。トランジスタ23のゲート24の活性表面にぶつかる水素原子の数は、低圧エンクロージャ6内の圧力に比例するので、ドレイン25−ソース26間の抵抗は、低圧エンクロージャ6内のトランジスタ23の周囲の絶対水素圧力に比例することになる。1000Paの残留圧力に伴い、水素原子の単一層が約25μsで形成される。
加熱抵抗器22により、水素センサ20を、例えば130℃の温度まで加熱することが可能になる。この程度の温度が、水素センサ20の感度を有利に高める。しかし、この温度は250℃を上回ってはならず、この制限はトランジスタ23のケイ素によって課されている。検査によれば、180℃の温度で損傷無く使用できることが示された。実例として、水素センサ20の加熱抵抗器は、70Ωと80Ωとの間の値を有することができ、大気圧では、加熱電流は60から80mA、すなわち約0.4Wの加熱力になる。
ダイオード21は、水素センサ20の温度を測定するために使用され、その端子間の電圧が590mVに達すると、このダイオードに1mAの電流が供給されることが可能である。この電圧の値は130℃の温度に対応する。ダイオードの温度係数は、−1.6mV/Kである。
安全上の理由から、95%の窒素と5%の水素から構成されたガス混合物が使用され、このガス混合物は、触媒のいかなる劣化も回避するために、130℃の温度が達せられるまで、水素センサ20に接触することはない。また、触媒を持続させるために、水素センサ20は、少量の水素とのみ接触するように、極低圧で使用される。
測定の後、水素センサ20は、飽和後の触媒の回復を促す温度上昇とともに、5%の水素を含有するガス混合物を約10秒間噴射することによって洗浄されてもよい。
図4は、検査装置30内の圧力に対する水素センサ31の感度を評価するように意図された、検査装置30を示す。検査装置30は、導管によりポンプ手段7に接続されている低圧エンクロージャ6内に設置された水素センサ31を備え、低圧エンクロージャおよび導管は一緒に真空ラインを形成している。真空ライン内の圧力は、圧力計9によって行われる測定に基づいて制御される。検査装置30は、吸入弁33によって制御される空気吸入口32を備える。検査装置30はまた、95%の窒素と5%の水素から構成されたガス混合物であるトレーサーガス用の吸入口34を備え、トレーサーガスの流れは、マイクロ弁35によって調節される。マイクロ弁35の両側に配置された、第1の閉止弁36および第2の閉止弁37は、トレーサーガスの流れを可能にするまたは中断するために、手動で操作される。空気吸入口32およびトレーサーガス用の吸入口34は、水素センサ31を内蔵する低圧エンクロージャ6に、共通の導管を通して連通している。
第1に、真空ライン内の圧力に対する水素センサ31の感度が評価された。真空ラインは、一方ではポンプ手段7によって、他方では圧力を一定の値に再確立するために必要であれば空気の導入を可能にする吸入弁33を制御する圧力計9によって、例えば1000Paの低圧が維持される。センサ31の抵抗器は、センサ31の感度を向上させるために、水素センサ31を130℃まで加熱するのに使用される。
図5は、低圧エンクロージャ6内の圧力に応じたセンサ31の抵抗器の電圧の感度を示す。上昇曲線40と下降曲線41とが一致していることから、測定の良好な再現性、および圧力に対する水素センサ31の高い感度が観察される。この検査により、センサ31の抵抗器の電圧は圧力に敏感に反応することが確認される。圧力が変動する場合、抵抗器電圧に変動が生じることになり、水素センサの温度変化をもたらすことになる。このことは、水素センサ31の感度の変更によって明示され、したがってリーク値の変化が検出される。この感度のため、センサ31が圧力と関係なく常に同じ温度に加熱されるように電圧を平衡させるための回路が製造されてきた。
第2に、真空ライン内の異なる圧力Pおよび異なるリーク率に対する水素センサ31の感度が評価された。図6は、mV/sで、時間的な電圧変動ΔVを、複数のリーク率Lの値に応じて示している。この検査は、以下の真空ライン内の圧力Pで行われた:
P=850mbar 曲線50
P=500mbar 曲線51
P=200mbar 曲線52
P=100mbar 曲線53
P=50mbar 曲線54
P=20mbar 曲線55
P=10mbar 曲線56
P=5mbar 曲線57
リークを表す水素を含有するトレーサーガスは、事前に較正されたマイクロ弁35によって課せられた速度で検査装置30内に噴射される。マイクロ弁35、および閉止弁36、37が開かれていると、トレーサーガスの流れが水素センサ31と接触して、水素センサ31のトランジスタの電圧が減少する。マイクロ弁35、および閉止弁36、37が閉じられていると、トレーサーガスの流れが中断され、水素センサ31のトランジスタの電圧が増加する。電圧の増加および減少曲線の勾配における変動が、リーク率を判定するために測定および分析される。
検査は以下の方法で行われた。センサの供給から始められる。センサには0.574Vのダイオード電圧、および0.1mAのトランジスタ電流が供給され、これは130℃の温度に対応している。検査期間を通して、温度の安定性を表すダイオードの出力電圧、およびトランジスタの出力電圧が、測定および記録される。ダイオードの出力電圧が検査中に安定し続けたことにより、水素センサ温度の優れた制御が証明される。得られた曲線の観察から、水素センサは、特に10mbarの最低圧力で最も感度が良いことが分かる。水素センサの感度は、リーク率の値とともに低下し、高いリーク率の方が良好であることも分かる。
第3に、水素センサとリークの間隔による影響を確認するために、検査が行われた。図7は、得られた結果を示す。間隔を35cmとした、リーク率に応じた電圧変動の曲線60は、間隔を94cmとして得られた曲線61に非常に似ている。したがって、水素センサの感度は、リークの位置にはほとんど影響されない。
第4に、検出装置内での水素センサの位置による水素センサの感度への影響が取り上げられた。図8は、この検査に使用された装置70を示す。この検査装置70は、水素センサ71と、それを内蔵する低圧エンクロージャ72とが、主導管から分岐している導管上に設置されていること以外は、図1の検出装置に似ている。したがって、水素センサ71のヘッドは、被検物体3から来て真空ポンプ7によって圧送される水素を含有する主ガスフロー8には、もはや面していない。
図9は、図1の水素センサ2の位置、および図8のセンサ71の位置にそれぞれ対応する、曲線80、および曲線81を示す。この結果により、図8の水素センサ71の感度は、図1のセンサ2の感度に劣ることが認められる。この結果により、水素センサは、被検物体3から来てポンプ手段7によって圧送される水素を含有する主ガスフロー8に、そのヘッドが面する位置に好ましくは設置されるべきであることが認められる。
本発明は、当然ながら、記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神から逸脱することなく、当業者には明らかな多数の変形を受けてもよい。特に、多方向弁は三方弁とすることができるが、例えばそれぞれ2つのポートを有する2つの弁、または少なくとも3つのポートあるいは3つよりも多くのポートすら連通して設置するように構成された任意の他の手段と置き換えることもできる。さらに、内部にセンサが設置された低圧エンクロージャは、例えばステンレスまたはアルミニウムを機械的に溶接した真空チャンバ、漏えいのないように密閉されたパイプライン部分、または例えば機械加工によって材料ブロックの内部に形成された空洞、または圧力をその周辺環境の圧力よりも実質的に低く保つのに十分に漏えいのないように密閉された任意の他の容積の形態をとることができる。
1 リーク検出装置
2、20、31、71 水素センサ
3 被検物体
4 三方弁
5 粒子フィルタ
6、72 低圧エンクロージャ
7 ポンプ手段
8 ガスフロー
9 圧力計
21 ダイオード
22 加熱抵抗器
23 トランジスタ
24 ゲート
25 ドレイン
26 ソース
30、70 検査装置
32 空気吸入口
33 吸入弁
34 吸入口
35 マイクロ弁
36 第1の閉止弁
37 第2の閉止弁
40 上昇曲線
41 下降曲線
50、51、52、53、54、55、56、57、60、61、80、81 曲線
101 第1のステップ
102 第2のステップ
103 第3のステップ

Claims (11)

  1. トレーサーガスとして水素を使用するリーク検出のための装置(1)であって、被検物体(3)に接続されるように意図されており、
    低圧エンクロージャ(6)内に設置され、
    ダイオード(21)、
    抵抗器(22)、および
    ゲート(24)がパラジウム触媒で覆われたMOS型トランジスタ(23)
    を含む水素センサ(2、20)と、
    低圧エンクロージャ(6)に接続されたポンプ手段(7)と、
    ポンプ手段に接続された低圧エンクロージャによって形成された真空ライン内の圧力を測定するように構成された圧力計(9)と、
    トレーサーガスを含有するガスフローの真空ライン内への吸入を可能にする第1のポート、および中性ガスの吸入を可能にする第2のポートを有する多方向弁(4)とを備え、第2のポートが真空ライン内の圧力を圧力計に応じて制御するように構成されている、リーク検出装置。
  2. 第2のポートが外部の大気に開放されるように構成されている、請求項1に記載のリーク検出装置。
  3. ガスに含有された塵埃粒子が水素センサ(2、20)に接触する前にその塵埃粒子を濾過するために水素センサ(2、20)と多方向弁(4)との間に挿入された粒子フィルタ(5)をさらに備える、請求項1から2のいずれか一項に記載のリーク検出装置。
  4. 圧力計(9)によって測定された真空ラインの圧力の値を受け取るように構成されており、設定値を受け取るように構成されており、かつこれらの値に応じて中性ガスの吸入を制御するように構成された電子制御モジュールをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のリーク検出装置。
  5. 水素センサ(2、20)に内蔵されたトランジスタのドレイン−ソース間電圧の時間に応じた変動に基づいてリーク率を計算するための数学的モデルをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のリーク検出装置。
  6. センサの抵抗器の電圧を平衡させるための回路をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のリーク検出装置。
  7. センサの抵抗器の電圧を平衡させるための回路が、真空ラインの圧力の値とは無関係に定温を維持するように構成されている、請求項6に記載のリーク検出装置。
  8. 定温が、100℃と250℃との間に含まれる、請求項7に記載のリーク検出装置。
  9. 低圧エンクロージャ(6)内の圧力が、100Paと5000Paとの間に含まれる、請求項1から8のいずれか一項に記載のリーク検出装置。
  10. 真空ラインの圧力が、多方向弁の第2の吸入ポートを通じた真空ライン内への中性ガスの吸入を制御することによって制御される、請求項1から9のいずれか一項に記載のリーク検出装置を使用して、被検物体のリーク検出をするための方法。
  11. 中性ガスの吸入が、圧力の測定および所定の設定値に応じて第2のポートを自動的に制御することによって制御される、請求項10に記載のリーク検出をするための方法。
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