JP5921866B2 - 不織布 - Google Patents

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本発明は不織布に関する。
生理用ナプキン、パンティーライナー、及び使い捨ておむつ等といった吸収性物品における不織布においては、その機能に応じて、シート材の片面に突出した部分を設けたものや、筋状に隆起した部分を設けたもの、多数の小さな孔をあけたものなどが開発されている。例えば、特許文献1に開示されたものは、シートの片面側に突出した円錐台状の突出部が多数設けられている。これにより、表面シートに適したクッション性を有するシート材とすることができるとされる。特許文献2,3には凹凸ないし起伏のあるシート材において、多数の小孔が設けられたものが開示されている。これにより、表面シートとしての諸物性が良化するとされる。また、特許文献4にはシート材の片面が筋状に延びる突出部であり、その断面がかまぼこ(略半円)形状にされた積層シートが開示されている。これにより、例えばクッション性のある表面シートとして用いることができるとされる。
特開2008−289662号公報 特開平03−137258号公報 特開平08−246321号公報 特開2008−25081号公報
本発明者らは、上述のようなものとは異なる形態を有し、従来とは異なる性質やより良化した機能を付与しうる不織布の提供を目的に鋭意研究開発を行った。具体的には、シート材の片面側のみではなく、表裏両面に突出した部分を有し、連続した不織布の作製を検討した。
上記の点に鑑み本願発明は、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、排泄物の捕集性に優れ、特に液体の引き込み性の良い表面シートとして好適な不織布の提供を目的とする。
シート状の不織布を平面視した側の第1面側に突出する第1突出部と、前記第1面とは反対側の第2面側に突出する第2突出部とを有し、前記第1突出部及び第2突出部は、前記不織布の平面視において第1方向と第2方向との2つの方向に向け複数交互に広がった不織布であって、前記第1突出部の頂部における第一面側の繊維密度(r11a)が、その第2面側の繊維密度(r11b)より低い(r11a<r11b)不織布。
本発明の不織布は、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良く、排泄物の捕集性に優れ、特に液体の引き込み性の良い表面シートとして好適に利用することができる。
本発明の不織布の一実施形態(実施形態1)における表面シートを一部断面により模式的に示す斜視図である。 図1の不織布における領域IIを拡大して示す断面図である。 図1の不織布におけるIII−III線断面を拡大して示す断面図である。 図1の不織布におけるIV−IV線断面を拡大して示す断面図である。 第1突出部と第2突出部との関係を平面視により模式的に示す説明図である。 壁部の繊維配向の状態を展開して模式的に示す説明図である。 第2突出部の繊維配向の状態を平面視により模式的に示す説明図である。 実施例で作製したシートの図2に示した模式図と対応した断面を撮像した図面代用写真である。
図1は本発明のシート状の不織布の好ましい実施形態(実施形態1)である吸収性物品の表面シートの要部を模式的に示す一部断面斜視図である。図2は図1の不織布における領域IIを拡大して示し、図3及び図4はそれぞれそのIII−III線断面及びIV−IV線断面を示す拡大断面図である。この不織布10は例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましく、第1面側z(図2参照)を着用者の肌面側に向けて用い、第2面側zを物品内部の吸収体(図示せず)側に配置して用いることが好ましい。以下、上記図面に示した不織布10の上記のとおり第1面側を着用者の肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
本実施形態の不織布10は面方向に連続した構造を有していることが好ましい。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間細孔のような微細孔は前記小孔には含まれない。これを区別していうときには、例えば小孔をその円相当直径で1mm以上のものと定義することができる。上記の「連続」の語には、積層シートであることも含まれるが、本実施形態においては積層していない単層のシートをその好ましい実施形態として示している。また、この「連続」という語の意味を、不織布の第1面側zの面と第2面側zの面とが実質的に連なっていると表現することもできる。ここでの実質的に連なるとは、上記のとおりに、本発明の効果を損なわない範囲で小孔を有さずそれより小さな微細孔を有していてもよい意味である。
本実施形態の不織布10の平面視した側の第1面側には、多数の第1突出部1が縦横の2つの方向に面内で斜交する関係で延び配列されている(以下、この配列を斜交格子状配列ということがある。)。この格子状配列は、直交(90°)する関係でもよく、そのときには直交格子状の配列として区別していうことがある。本実施形態においては、その面内における第1方向(x)と第2方向(y)(図5参照)が、30°〜90°の角度で交差していることが好ましい。さらに本実施形態においては、不織布の第2面側に突出する多数の第2突出部2が形成されている。この第2突出部2も斜交格子状配列になっているが、直交格子状配列であってよい。その交差角度の好ましい範囲は、第1突出部1に伴って定まるため、上記と同様である。この第1突出部1と第2突出部2とは、シート面に対して互いに反対方向に突出している。そして、平面視においても側面視においても同一位置にない、つまり重なりのない関係で両者が交互に配置するようにされている。
上記のようにして面内の第1方向(x方向)及び第2方向(y方向)にそれぞれ延び配列された第1突出部1と第2突出部2とは、面状に矛盾無く連続し、不織布10を構成している。ここで、矛盾無く連続するとは、特定の形状部分が連なって面状になるとき、屈折したり不連続になったりせず、緩やかな曲面で全体が連続した状態になることをいう。なお、上記第1突出部と第2突出部との配列形態は上記に限定されず、矛盾無く連続しうる配列で配置しうる形態であればよく、例えば、第1突出部を中心に6角形の頂点に6つの第2突出部が配置し、そのパターンが面内に広がる配列であってもよい。なお、この場合、第2突出部の数が第1突出部の数を上回るため、第2突出部同士が隣接する状態が生じるが、全体において連続したシート状態が構成される限りにおいて、このような形態の配列も第1突出部と第2突出部とが「交互」に配列したという意味に含まれる。
本実施形態において第1突出部1及び第2突出部2は頂部に丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。より詳細にみれば、第1突出部の突出形状は尖鋭ではなくどちらかというと半球状であり、他方、第2突出部の突出形状はより尖鋭であり頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。なお、本実施形態において突出部は上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。本実施形態において第1突出部及び第2突出部はその外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間1k、2kを保持している。それぞれの内部空間1k及び2kは、尾根6を介して隔てられており実質的に連続しない空間として形成されている。他方、第1突出部1と第2突出部2のシート厚み方向における間には、壁部3が構成されており、この壁部3ないし上記尾根部6を介して両突出部が連続するシート構造とされている。なお、本発明において尾根もしくは尾根状とは第1突出部の内部空間1kもしくは第2突出部の内部空間2kを谷としてみたときに、谷と谷との間の山地突起状部の連続した部分をいい、通常不織布シートの面方向とほぼ同一方向の面を有している。
ここで上述した本実施形態の不織布の基本構造に基づく作用について説明する。
・クッション性
本実施形態の不織布は表裏の片面だけではなく、両面において突出した部分を有するため、その構造に特有のクッション性を発現する。例えば筋状の突起や片面の突起ではどうしても線ないし面としての弾力性を発現することとなるが、本実施形態によれば三次元的な動きに対してもよく追従して両面において点で支持された立体的なクッション性を奏する。また、詳細については後述するが、壁部3においてはその壁の起立する方向に向け配向した繊維の配向性を有する。そのため、ここにしっかりとしたコシが生まれ、繊維が厚み方向に潰れてしまうことのない適度のクッション性を実現する。さらに、上述した壁部の繊維配向性により、押圧力を受けて不織布が潰されても、その形状復元力が大きく、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション力を喪失しにくい。
・肌触り
本実施形態の不織布には両面方向に第1及び第2の突出部があり、その頂部は丸みを帯びている。そのため、そのどちらの面を肌面側にしても、表面シートが肌に対して点で柔らかく接触する良好な肌触りが実現される。上記の良好なクッション性に起因する作用もあり、点接触による動的な作用と相俟って、独特の良好な肌触りが得られる。また、排泄等を受けたときにも、上述した点接触が効果を奏し、サラッとした肌触りが実現される。
・排泄物の捕集性
本実施形態の不織布10においては、その両面に突出する第1突出部1及び第2突出部2がある。そしてそのそれぞれに、内部に形成された第1内部空間1k及び第2内部空間2kがある。したがって、排泄液や排泄物の物性に応じて多様な形態でこれらを捕集し対応することができる。例えば、図1の不織布10の第1面側z1を肌面側としたと想定して説明すると、粘度が高く浸透性の低い排泄物であれば、表面シートを透過せずに、内部空間2kに一時その排泄物がストックされる。一方、粘度が低く透過しやすい排泄液であれば、表面シートを透過したのち、内部空間1kに、あるいはその下方に下層シートがある場合にはその上にこれが捕集される。このいずれの場合にも、肌面にまず当たる部分が第1突出部の頂部11であり、上記捕集された排泄液ないし排泄物は肌に接触しにくくされている。これにより、尿や便、経血や下り物の排泄ののちにも、幅広く対応して極めて良好なサラッと感じが持続される。
次に、本実施形態の不織布の特徴的な構造である、第1突出部1の頂部11における第一面側zの繊維密度(r11a)が、その第2面側zの繊維密度(r11b)より低い(r11a<r11b)構成に及びその作用について説明する。本発明において繊維密度の測定方法は特に断らない限り実施例において示した方法によるものである。繊維密度については、各部の符号を下付きの添え字として示し、「r」の文字でその値が繊維密度を意味することとする。その他、繊維配向(q)等についても上記と同様の規則で表示する。
本実施形態においては、上述のように第1突出部1の第1面側zの繊維密度(r11a)と第2面側zの繊維密度(r11b)とが、r11a<r11bの関係にあることにより、その部分での柔軟性と形状維持性とが両立されている。これらの作用はこの種の不織布において通常両立しにくいものであるが、上述のような特有の繊維の粗密を与えることにより、その部分において外部からの押圧に対する構造変形部分と構造維持部分とが形成され、上記の作用が得られる。たとえて言うとすれば、第1突出部の頂部11において第2面側の繊維が「密」であるため、相対的に硬い部分がアーチ上になって橋脚の機能を果たし、その第1面側は柔らかく全体においては剛直にならずに十分な柔軟性が維持されているため、触れた際の肌触りが柔らかく感じられる。さらに、上述の繊維の粗密構造は粗である第1面側と密である第2面側で圧力に対する挙動が異なっており、繊維が第1突出部の形状に沿って密に積み重なっていると考えられる第2面側は、第1突出部全体の構造変形によるクッション性を有し、構造の素早い復元性に寄与する。一方で、繊維が第1突出部の曲面から広がる(起立する)網目構造を形成していると考えられる第1面側では、接触した部分及びその近傍が変形するクッション性を有し、緩やかな構造回復による柔軟性に寄与する。また、第1突出部の頂部11において第2面側の繊維密度が第1面側の繊維密度より高いため、体液は速やかに第2面側に移動し、第1面側に接する肌がドライに保たれる。
第1突出部における繊維密度は上記効果を十分に発揮する観点から、r11aは15本/mm〜120本/mmが好ましく、20本/mm〜80本/mmがより好ましい。r11bは20本/mm〜150本/mmが好ましく、30本/mm〜120本/mmがより好ましい。r11a、r11bの比は特に限定されないが、r11 /r11 は、1.2以上5以下であることが好ましく、1.5以上4以下であることが特に好ましい。
本実施形態の前記第1突出部頂部における前記両面側の繊維密度の差の絶対値(|r11a−r11b|)は、前記第2突出部頂部における前記両面側の繊維密度の差の絶対値(|r21a−r21b|)より大きくされている。また、同時に、前記第2突出部頂部の第1面側の繊維密度(r21a)と第2面側の繊維密度(r21b)とは実質的に等しい状態にされている。
つまり、r21a=r21b>r11b>r11aになる。これにより、第1突出部の第1面側に排出された体液は、第1突出部の第2面側に移動し、さらに第2突出部に液が移動するため、第1面側に接する肌がさらにドライに保たれるだけではなく、着座により荷重がかかった際にも液戻りしにくい。
第2突出部における繊維密度(r21aおよびr21b)は上記効果を十分に発揮する観点から、30本/mm〜500本/mmが好ましく、50本/mm〜200本/mmがより好ましい。また、r21aおよびr21bの繊維密度が実質的に等しいとは機能上有意な差が生じない程度であればよく、例えば|r21a−r21b|が10本/mm以下となる程度のものをいう。
ここで繊維配向性を含め本実施形態の不織布のより詳細な特徴について、その形状をモデルとして簡略化して示した図5〜7に基づいて説明する。本実施形態の不織布には第1突出部1と第2突出部2とがあり、図5ではそれらがそれぞれ単純な円として示されている。それらの円の大きさは、区別のため若干異なるものとしており、図1等に示した形態とその寸法等において一致するものではない。本実施形態の不織布においては、第1突出部1と第2突出部2とが格子状配列になって配置されている。これを、別の言い方で示すと、所定方向に第1列k、第2列k、第3列k、としてみたとき、各列の第1突出部1と第2突出部2とは交互に配置されており、各列の突出部をシート面内で各列に直交する方向に投影したときに、隣接する列において第1突出部と第2突出部とが重なる関係となる。さらに言うと、第n列と第n+2列において、第1突出部1と第2突出部2とが重なる状態とされている。
第1突出部1と第2突出部2との間には、壁部3が形成されている。図5に示した中央の第1突出部1でみると、四方の第2突出部2から連続してくる4つの壁部部分31、32、33、34が形成されている。そして、その4つの壁部部分31〜34はシート面内方向で壁部部分31’、32’、33’、34’で連繋されており、一連になり環状の壁部3が構成されている。前記壁部部分31’、32’、33’、34’の第1面側で隣接する第1突出部との間には馬の背になった稜線部分が存在し、その部分が尾根部(連結部)6となり上記壁部部分31’〜34’のそれぞれに対応して、尾根部61〜64が形成されている。なお、本発明において「環状」とは平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円又は楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
図6(a)は図5に示した壁部3を展開して長方形のモデルで示したものであり、そこに図示された線g1a、1bは繊維の配向方向を示している。壁部部分の位置を表すために、さらに31〜34の符号を加入して示している。図6(a)に示したように、本実施形態の壁部3はいずれの箇所においても壁部の起立方向に配向している。同図では図が混み合うため図示していないが、壁部部分31’〜34’においても同様であり、全面的に同様の繊維配向性を有している。これにより本実施形態において特有のクッション性を生じることは前述のとおりである。
一方、例えば、繊維ウェブを賦形する前に融着し所定の配向性が与えられた不織布にエンボス加工等によりくぼみを与える場合、くぼみを与えるときにはすでに繊維同士が融着しているため、繊維の配向性に変化が生じず、通常図6(b)のように環状の壁部を平面視において90°ごとに分割してみると、融着された時のシートの繊維配向性が残り、その分割位置ごとに繊維配向性が異なることとなる。具体的には同図に示したとおり壁部部分31、33ではその起立方向(線g1c)に繊維が配向するが、壁部部分32、34ではそれと直交する方向(線g)に繊維が配向する。
つまり、通常不織布を製造するときに、そのMD方向に繊維が配向しそのまま融着されるため、MD方向断面における壁部の繊維はその起立方向に繊維が配向するものの、CD方向断面においては、起立方向とは直行する方向に繊維が配向することとなる。なお、「MD」は不織布等のシート材が製造時に流れる方向をいい、「Machine Direction」の略語である。流れ方向ともいう。「CD」は上記MDに直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。
図7は図5に示した第2突出部2を1つ取り出した状態で繊維の配向方向(線g)をモデル的に示している。その位置を特定するために壁部部分の符号をその対応する位置に付している。同図に示したとおり、本実施形態においては、第2突出部2の頂部21に向かって収束する放射状の繊維配向性を有している。このことはつまり、上記壁部との関係を併せていうと、壁部3から第2突出部2にわたってそのシート面の面方向に沿って第2突出部の頂部21に向かって収束するように繊維が配向していることを示している。このように、第2突出部頂部21に放射状の繊維配向性があることで、突出部の厚み方向の耐加重が強くなり、クッション性や保形性が高まり、着座により荷重がかかった際にも液戻りしにくい。また、加重解放後の復元性も高くなるという作用を奏する。
前記第1突出部頂部11の繊維配向性(q11)と前記第2突出部頂部の繊維配向性(q21)とは異なっている。本発明において繊維配向性の測定方法は特に断らない限り実施例において示した方法によるものである。ここで、繊維配向性の意味について触れておくと、これは繊維の配向角と配向強度とからなる概念である。繊維の配向角は、色々な方向性を有する複数の繊維が全体としてどの方向に配向しているかを示す概念で、繊維の集合体の形状を数値化している。繊維の配向強度は、配向角を示す繊維の量を示す概念であり、配向強度は、1.1未満では、ほとんど配向しておらず、1.1以上で配向を有しているといえる。しかしながら、本実施形態においては、繊維の配向がその部位によって変化している。すなわち、ある配向角の状態の部位から異なる配向角の部位へと変化する間(繊維がある方向に配向強度が強い状態から異なる配向に強い強度を示す部位へ変化する間)に、配向強度が弱い状態や再配向することで高い状態へ至る状態等の様々な状態を有する。そのため、ある強い配向角を示す部位と別の方向に強い配向角を示す部位との間においては、繊維の配向強度が弱くとも繊維の配向角が変わっていることが好ましく、配向強度が高いことがより好ましい。配向強度について本実施形態において一例を示すと、第1突出部頂部11は、第1突出部1の曲面構造に対して50〜130°の配向角、より好ましくは60〜120°で、配向強度(X11)は1.05以上、より好ましくは1.15以上である。一方、第2突出部では前記の通り頂部21に向かって収束するように繊維が配向しているため、繊維の配向角度は第2突出部2の曲面構造に対して0〜40°又は140°〜180°の配向角、より好ましくは0〜30°又は150°〜180°の配向角で、頂部の配向強度(X21)は1.05以上、より好ましくは1.15以上である。各々の頂部の繊維の配向性に違いがあることで、圧縮挙動に対する違いが生じ、第1突出部の頂部は接触した部分及びその近傍が変形することによるクッション性を発現し、第2突出部は突出部全体が撓むような構造変形を起こし易いが、第2突出部が上記頂部に収束する繊維構造であることから、上面から見た際の特定方向への変形に対しては異なる部位の異なる方向への変形をともなうため、変形に対する抑制と変形後の戻り易さが得られるという作用を奏する。
なお、本発明においては、特に断らない限りシート厚み方向に沿う方向を配向角度90°とし、図2で示した状態ではz方向がこれにあたる。
本実施形態の不織布10においては、前記第2突出部頂部21の繊維配向性について、第1面側における繊維配向性(q21a)と第2面側における繊維配向性(q21b)とが実質的に等しくなるようにされている。これにより、第2突出部は、均質な構造なため、上述したように保形性及び形状復元性が高く、また、全体に頂点に向かった配向のため体液が移動しやすい。なお、本明細書において、配向性が実質的に等しいとは、配向角度が90°を超える場合には、を0〜90°に変換(180°からの立ち上がり角度)した場合の角度差が20°以下、より好ましくは10°以下であり、配向強度の差が、0.5以下、より好ましくは0.3以下であることを言う。q21aとq21bとの配向強度の範囲は、特に限定されないが、1.05以上が好ましく、1.15以上であることが第2突出部による保形性と形状復元性の点から好ましい。
本実施形態においては、前記第1突出部の繊維量(u)と前記第2突出部の繊維量(u)とが実質的に等しいものとされている。本発明において繊維量の測定方法は特に断らない限り下記に示した方法によるものである。これにより、圧力等による変形時に座屈しにくくなり、圧力開放時の形状復元が起こりやすく好ましい。また、不織布における上記繊維量が略等しいことによって、不織布の強度等の物性値が安定し、繊維ムラによる感触の変化や破れが起こりにくく好ましい。
繊維量が実質的に等しいとは機能上有意な差が生じない程度であればよい。なお、繊維量とは坪量ないし目付けと同義であり、特に断らない限り、下記の方法で測定した方法による。
<繊維量の測定>
・キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10〜100倍)に拡大し、第1突出部、及び第2突出部の厚み(mm)を測定する。測定は、5回行い、その平均をそのサンプルの厚み(mm)とする。
・後述する繊維密度の測定方法により、1mm当たりの繊維本数を計測する。
・繊維量は、厚み(mm)×1mm当たりの繊維本数(本)を計測することで評価した。つまり、第1突出部、及び第2突出部の厚み×1mm当たりの繊維本数がほぼ等しければ、繊維量も等しいと判断した。ほぼ等しいとは、測定誤差範囲の違いを含む意味である。
後述するように、第1突出部の厚みは、第2突出部より厚いため、繊維疎度に差を生じさせることができ、両者の間で繊維間の粗密勾配が生じ、体液が吸収体へ移動しやすくなり好ましい。
本実施形態の不織布における寸法諸元について以下に説明する。
シートの厚さについては、不織布10の全体としてみたときの厚さをシート厚み(T)といい、その凹凸に湾曲したシートの局部的な厚さを層厚み(S)として区別する(図2参照)。シート厚み(T)は用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、1mm〜7mmが好ましく、1.5mm〜5mmがより好ましい。その範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が速く、吸収体からの液戻りを抑え、さらには、適度なクッション性を実現することができる。層厚みは、シート内の各部位において異なっていてよく、用途によって適宜調節すればよい。おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、第1突出部頂部の層厚み(S)は0.1mm〜3mmであることが好ましく、0.4mm〜2mmがより好ましい。好ましい層厚みの範囲としては第2突出部頂部の層厚み(S)及び壁部の層厚み(S)も同様である。各層厚み(S)、(S)、(S)の関係は、S>S>Sであることが好ましい。これにより、第1突出部において、特に肌面側では、繊維粗度が高く(疎)、良好な肌当たりを実現することができる。一方、壁部、第2突出部、及び、壁部は繊維粗度が低く(密)なり、潰れにくく、型崩れせずに良好なクッション性と体液の吸収速度に優れた不織布とすることができる。
本実施形態においては、第1突出部1、第2突出部2、壁部3がシート厚み(T)において3等分されており、各部の区分は特に断らない限りこのようにして定義する。したがって、これらの厚みはシート厚み(T)によって自ずと定まる(P=P=P)。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部の尖度ないし曲率が異なるときには、断面において直線状になった比較的狭い部分を壁部3とし、そこから湾曲しし丸みを帯びいく領域をそれぞれ第1突出部1及び第2突出部2としてもよい(P,P’,P’参照)。後者の定義によるなら、本実施形態の不織布10においては、第2突出部2の厚み(P’)が第1突出部1の厚み(P)より大きく、全体において厚み方向に偏倚のある形態とされている。換言すれば、本実施形態においては、第1突出部頂部1の頂部11の曲率半径が第2突出部頂部2の頂部21の曲率半径より大きくされている。
第1面側の半身厚み(t)及び第2面側の半身厚み(t)も上記と同様であり、基本的には、シート厚み(T)を2等分した線を中央線(中央面)mとし、両半身厚み(t,t)が等しいものとしてみる。ただし、第1突出部1と第2突出部2との頂部における尖度もしくは曲率半径に差がある場合には、壁部の断面直線状部分の中央と評価される位置m’で区分し定義することができる。本実施形態の不織布は、後者の定義によるならば、第1面側の半身厚みt<第2面側の半身厚みtとされている。
第1突出部1及び第2突出部2がなす列の間隔n(図5参照)は、用途によって適宜調節すればよいが、おむつや生理用品等の表面シートとして用いることを考慮すると、1mm〜10mmが好ましく、2mm〜5mmがより好ましい。
本実施形態の不織布のもつ坪量は特に限定されないが、シート全体の平均値でいうと、15〜50g/mであることが好ましく、20〜40g/mであることがより好ましい。
本実施形態の不織布10の製造方法はこの種の製品に一般的な方法を適宜採用すればよい。一例を挙げると、下記のような態様が挙げられる。融着する前の繊維ウェブを、所定の厚みとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給する。ウェブ賦形装置では、まず温風の空気を供給して、多数の突起9(図2ウェブを有し通気性を有する台座(図示せず)の上に上記繊維ウェブを定着させる。このときの温風の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウェブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0〜70℃低いことが好ましく、5〜50℃低いことがより好ましい。次いでウェブの台座上の繊維ウェブに熱風h(図2参照)を各繊維が適度に融着可能な温度で吹きつけて、前記台座上の突起9にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各繊維を融着させる。このときの熱風の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウェブを構成する熱可塑性繊維の融点に対して0〜70℃高いことが好ましく、5〜50℃高いことがより好ましい。熱可塑性繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系、ポリアクリルニトリル系等、またはこれら2種類以上からなる芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維等を挙げることができる。熱可塑性繊維として、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維を用いる場合、繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。繊維ウェブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点+0℃〜高融点成分の融点−10℃であることがより好ましく、低融点成分の融点+5℃〜高融点成分の融点−20℃であることが更に好ましい。繊維ウェブ及び不織布は、熱可塑性繊維を、30〜100質量%含んでいることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%である。繊維ウェブ及び不織布は、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を含んでいてもよい。
繊維ウェブを賦形する際、温風の風速は、賦形性と風合いの観点から20〜150m/秒とすることがより好ましく、より好ましくは30〜100m/秒である。風速がこの下限値以上であると立体感が十分となり、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮され好ましい。また、繊維密度や配向が所定の範囲となり、体液の吸収速度が速くなり、液戻り量が少なくなるので好ましい。風速がこの上限値以下であるとシートが開孔せず、耐圧縮性が良好に維持されるため、クッション性と排泄物の捕集性の効果が十分に発揮でき、肌触りがよく、好ましい。連続生産を考慮すると、上記台座を搬送可能なコンベア式またはドラム式のものとし、搬送されてくる型付けされた不織布を、ロールで巻き取っていく態様が挙げられる。なお、本実施形態の不織布についてMD方向及びCD方向をどちらに向けてもよいが、図5に示したモデル図でいうと縦方向をMD方向とすることが好ましい。
本発明の不織布に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)/PE(鞘)、PET(芯)/低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の不織布は、各種用途に用いることができる。例えば、使い捨ておむつや、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。その他、前記用サブレイヤ(セカンドシート 一般的な表記で)、おしり拭きシート、おそうじシート、フィルターとして利用する形態も挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
(1)芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を坪量30g/mとなるようカード機からウェブ賦形装置に供給した。ウェブ賦形装置では、温度130℃、風速47.5m/秒の温風を供給して、多数の突起を有し通気性を有する台座(MD方向ピッチ8mm、CD方向ピッチ5mm)の上に上記繊維ウェブを定着させた。次いで、その台座上の繊維ウェブに熱風(温度145℃、風速5m/s)を吹きつけて、前記台座上の突起にそって繊維ウェブを賦形するとともに、各芯鞘構造の繊維を融着させた。このように熱融着して賦形した不織布を取り出し、不織布試験体1とした。不織布試験体1の断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000により20倍で撮像した図面代用写真を図8に載せる。同写真中、上方が第1突出部側であり、下方が第2突出部側となる。
(2)おむつの作製
花王株式会社の市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」)から表面シートを取り除き、その代わりに、不織布試験体1を第1突起側を肌面として積層し、その周囲を固定して評価用のベビー用おむつを得た。
(実施例2)
熱風の条件を温度130℃、風速50m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体2とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の代わりに不織布試験体2を用いて作製した。
(実施例3)
熱風の条件を温度130℃、風速52.5m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体3とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の代わりに不織布試験体3を用いて作製した。
(実施例4)
熱風の条件を温度125℃、風速50m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体4とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の代わりに不織布試験体4を用いて作製した。
(実施例5)
熱風の条件を温度135℃、風速50m/秒にした以外は、実施例1と同様にして、不織布試験体5とした。おむつは、実施例の不織布試験体1の代わりに不織布試験体5を用いて作製した。
(比較例1)
特開2008−25081号公報の実施例1と同様にして、積層された筋状突出部を有する不織布を作製した。具体的には以下のとおりである。
第1繊維層として、低密度ポリエチレン(融点110℃)とポリエチレンテレフタレートの芯鞘構造で、平均繊度3.3dtex、平均繊維長51mm、親水油剤がコーティングされた繊維Aを使用した。他方、高密度ポリエチレン(融点135℃)とポリエチレンテレフタレートの芯鞘構造で、平均繊度3.3dtex、平均繊維長51mm、撥水油剤がコーティングされた繊維Bとが混合された繊維層を使用した。繊維Aと繊維Bは70:30の混合比で含有され、目付は15g/mに調整された。
第2繊維層として、高密度ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートの芯鞘構造で、平均繊度4.4dtex、平均繊維長38mm、親水油剤がコーティングされた繊維100%の繊維層を使用した。この繊維層における目付は25g/mであった。
特開2008−25081号公報の図8、図9に示されたものと同様の装置を用い、上記のようにして積層した繊維を搬送しながら、これに上記装置の噴き出し部から温度105℃、風量1200l/minの条件で熱風を吹きあてて不織布試験体c1を作製した。
(比較例2)
特開平03−137258号公報の実施例1と同様にして、不織布を作製した。まず、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンの芯鞘繊維2.4dtex×51mmからなるウェブを定法のカード機で形成した。次いで、該ウェブを通気性を有する凹凸ネット及び平織りネットの間に挟持し、該平織りネット側から空気を噴射した。そして前記凹凸ネットの凹部にウェブを押し込むことにより、繊維の粗密部分が所定のピッチで形成されたウェブを作製した。その後、この状態のウェブを140℃の加熱空気中に通し、ポリエチレン部分を溶着し、該ウェブを一体化させた。これにより、凹凸状態が所定のピッチで形成され、凹状部分に開孔した不織布試験体c2を作製した。
(比較例3)
不織布試験体c3は、特開平08−246321号公報の実施例1に記載の方法によりピンロールを120℃に加熱し、坪量25g/cmに調整して作製した不織布であり、独立凹部を有し、開孔を有する不織布である。おむつは、実施例の不織布試験体1の代わりに不織布試験体c3を用いて作製した。
上記の不織布試験体を用い、下記の測定試験を行った。
<シート厚さの測定>
KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布について、通常モードで5.0×10Paまでの圧縮特性評価を行い、微小加圧時(0.05×10Pa)の厚み(T)をチャートから読み取った。
<繊維密度の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)し、一定面積当たり(0.5mm程度)の前記切断面によって切断されている繊維の断面数を数えた。また、観察の中心は、第1突起及び第2突起部頂部において、図2に示した11及び12の中点を中心とした。次に1mm当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度とした。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
<繊維配向性の測定>
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する繊維が30〜60本程度計測できる倍率に調整;50〜300倍)を印刷し、OHPシート上に繊維をなぞった。前記OHPシートをパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用して解析し、繊維画像を二値化した。前記二値化した画像を、Fiber Orientation Analysis 8.13 Singleソフト(商品名)を用い、フーリエ変換し、パワースペクトルを得、楕円近似した分布図から、配向角と配向強度を得た。配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることを示す。
なお、配向性q11における配向角度と配向強度は、第1突出部頂部11の厚み方向略中央部の繊維状態を測定した結果である。
<吸収時間の測定>
花王株式会社の市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」)から表面シートを取り除き、その代わりに、100×250mmに切り出した不織布試験体を積層し、その周囲を固定して評価用のベビー用おむつを得た。上記不織布試験体上に20g/cmの荷重を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mmの筒を当て、そこから人口尿を注入した。人工尿としては生理食塩水を用い、10分ごとに40gずつ3回にわたり人工尿を注入し、吸収しきる時間(秒)を測定した。各試料の測定結果を下表1に示した。
<液戻り量の測定>
花王株式会社の市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーMサイズ」)から表面シートを取り除き、その代わりに、100×250mmに切り出した不織布試験体1を積層し、その周囲を固定して評価用のベビー用おむつを得た。上記不織布試験体上に20g/cmの荷重を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mmの筒を当て、そこから人口尿を注入した。人工尿としては生理食塩水を用い、10分ごとに40gずつ3回にわたり人工尿を注入した後、前記20g/cmの荷重を取り除き、不織布試験体上に、4.9kPaの荷重をかけた濾紙を載置し2分放置した後、濾紙の重量変化を液戻り量(g)とした。各試料の測定結果を下表1に示した。
上記の結果より、本発明の好ましい実施形態に係る不織布(試験体1〜5)によれば、特定の突出部の頂部における繊維密度が好適化されており、他方の突出部の頂部においては繊維配向性が好適化されていることが分かる。それにより、吸収時間が短く、液戻り量の少ない吸収性物品の表面シート等として優れた性能を発揮することが分かる。試験体c1〜c3においては、繊維密度、繊維配向性が好適化されていないため、効果が十分に発揮できない。
1 第1突出部
11 第1突出部頂部
11a 第1突出部頂部 第1面側
11b 第1突出部頂部 第2面側
1k 第1突出部 内部空間
2 第2突出部
21 第2突出部頂部
21a 第2突出部頂部 第1面側
21b 第2突出部頂部 第2面側
2k 第2突出部 内部空間
3 壁部
6 尾根部
9 突起
10 不織布
T シート厚み

Claims (5)

  1. シート状の不織布を平面視した側の第1面側に突出する第1突出部と、前記第1面とは反対側の第2面側に突出する第2突出部とを有し、前記第1突出部及び第2突出部は、前記不織布の平面視において第1方向と第2方向との2つの方向に向け複数交互に広がった不織布であって、前記第1突出部及び前記第2突出部はそれぞれ内部空間を有し、前記第1突出部の頂部における第1面側の繊維密度(r11a)が、前記頂部における、前記内部空間のある側の第2面側の繊維密度(r11b)より低く、該第1突出部の頂部における、第2面側の繊維密度の第1面側の繊維密度に対する比が1.2以上5以下である不織布。
  2. 前記第1突出部頂部における、前記第1面側及び前記第2面側の繊維密度の差の絶対値(|r11a−r11b|)が、前記第2突出部頂部における、前記第1面側及び前記第2面側の繊維密度の差の絶対値(|r21a−r21b|)より大きい、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記第1突出部頂部における、該第1突出部の曲面構造に対する繊維配向性(q11)と前記第2突出部頂部における、該第2突出部の曲面構造に対する繊維配向性(q21)とが異なる請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記第2突出部頂部の繊維配向性において、第1面側における繊維配向性(q21a)と第2面側における繊維配向性(q21b)とが実質的に等しい請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記第1突出部頂部の層厚み(S)、前記第2突出部頂部の層厚み(S)及び、前記第1突出部1及び前記第2突出部2の不織布厚み方向の間に構成された壁部の層厚み(S)が、S>S>Sを満たす関係にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
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