JP5921226B2 - ミューゲ香料素材の探索方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ミューゲに応答する嗅覚受容体、及び当該受容体を利用してミューゲ香料素材を評価及び/又は選択する方法に関する。
香粧品の香りはフローラル、フルーティに大別され、フローラルは、(1)ミューゲ(スズラン)、(2)ローズ、(3)ジャスミンの3大フローラルに分けられる。この中で、ミューゲの香りは、特に清潔感を表現する香りとして知られている。しかし、天然のミューゲからは精油分が産業的にほとんど得ることができず、そのため、現在、ミューゲの香りを作る際には、Lilial、Cyclamene aldehyde等の合成香料が使用されている。より自然なミューゲの香りをもたらす天然香料や合成香料の開発が望まれる。
しかしながら、Lilial、Cyclamene aldehyde等の現在使用されているミューゲ香料素材の多くは、その構造にアルデヒド基を含む。そのため、それらの素材を含む香粧品は、皮膚に使用する際の感作性が懸念されている。一方で、Majantol等アルデヒド基を持たないミューゲ香料素材も存在するが、そのミューゲ感強度はアルデヒド基を持つミューゲ香料素材と比較して弱い。従って、感作性を持たず、強いミューゲ感を誘起する新規ミューゲ香料の開発が望まれている。
従来、新規香料の開発は、新規に合成した香料素材について、ヒトが官能試験によってその匂いを評価することによって行われてきた。しかし官能試験には、匂いを評価できる専門家の育成が必要なことや、スループット性が低いなどの問題がある。
ヒト等の哺乳動物においては、匂いは、鼻腔上部の嗅上皮に存在する嗅神経細胞上の嗅覚受容体に匂い分子が結合し、それに対する受容体の応答が中枢神経系へと伝達されることにより認識されている。近年、嗅覚受容体を培養細胞で機能的に発現させ、受容体の活動を個別に観察する手法が開発された(非特許文献1)。また、特定の嗅覚受容体を発現する培養細胞を用いて当該嗅覚受容体のリガンドを探索する方法も知られている(特許文献1及び2)。
前述のミューゲ香料素材の開発に、上記の嗅覚受容体を発現する培養細胞を用いたリガンド探索方法を利用できると期待される。この方法を実行するためには、求める香料に応答する受容体を発現する培養細胞を予め準備しておく必要がある。しかし、ミューゲ香料を受容する嗅覚受容体に関しては、OR1A1、OR1A2についてしか報告されていない(非特許文献2)。
ミューゲの香りに応答する嗅覚受容体を特定することができれば、天然のミューゲ香気成分の同定や、新たなミューゲ香料素材の開発のために有用である。
国際公開WO2006/002161号 国際公開WO2008/008224号
Katada et al, Biochem Biophys Res Commun 2003, 305:964-969 Schmiedeberg K et al, J Struct Biol. 2007, 159:400-412
本発明は、ミューゲに応答する嗅覚受容体の提供、及び当該受容体を利用してミューゲ香料素材を評価及び/又は選択する方法に関する。
本発明者らは、ミューゲ香料に応答する嗅覚受容体を特定することに成功し、また当該受容体の活動を指標とすれば新規ミューゲ香料素材を評価及び/又は選択することができることを見出した。
すなわち、本願発明は、以下を提供する。
(1)ミューゲ香料素材の候補物質を選択する方法であって、
OR2J3、OR8H1、及びこれらとアミノ酸配列で80%以上の同一性を有するポリペプチドからなる群より選択される嗅覚受容体のいずれか1以上に試験物質を添加する工程;
当該試験物質に対する当該受容体の応答を測定する工程;及び
測定された該応答に基づいて、当該試験物質をミューゲ香料素材の候補物質として選択する工程、
を含む、方法。
(2)前記嗅覚受容体が、天然に嗅覚受容体を発現する細胞上又は嗅覚受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上に発現された嗅覚受容体である(1)記載の方法。
(3)試験物質を添加しない嗅覚受容体の応答を測定する工程をさらに含む(1)又は(2)記載の方法。
(4)前記試験物質を添加しない嗅覚受容体の応答に対する試験物質を添加された嗅覚受容体の応答の対数値が0.2以上を示す場合、当該試験物質をミューゲ香料素材の候補物質として選択する(3)記載の方法。
(5)前記受容体の応答を測定する工程が、レポーターアッセイによって行われる(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
(6)ミューゲ香料素材を選択する方法であって、(1)〜(5)のいずれか1に記載の方法で選択された候補物質の匂いを評価することを特徴とする、方法。
(7)前記匂いの評価が官能評価によって行われる(6)記載の方法。
本発明によれば、ミューゲ香料素材の候補物質を効率よく同定又は選択することができるので、効率のよい新規ミューゲ香料素材の開発が可能になる。
各素材のミューゲ感スコアとOR2J3、OR8H1応答との関連性を示す図。
本明細書において、「ミューゲ香料素材」とは、ミューゲ香料の材料となる、ミューゲ様の香気を有する化合物、組成物又は混合物をいう。
本発明は、ミューゲ香料素材の候補物質を選択する方法を提供する。当該方法は、ミューゲの匂いに応答する嗅覚受容体に試験物質を添加する工程;当該試験物質に対する当該受容体の応答を測定する工程;及び、測定された該応答に基づいて、当該試験物質をミューゲ香料素材の候補物質として選択する工程、を包含する。
上記本発明の方法の好ましい態様においては、試験物質が添加される嗅覚受容体は、ミューゲの匂いに応答する嗅覚受容体(ミューゲ受容体)から選択される嗅覚受容体のうちの少なくとも1種であり、選択される候補物質は、ミューゲ香料素材の候補物質である。
本発明の方法で試験物質が添加される嗅覚受容体としては、OR2J3及びOR8H1からなる群より選択される嗅覚受容体のいずれか1以上が挙げられる。OR2J3及びOR8H1は、ヒト嗅細胞で発現している嗅覚受容体であり、それぞれ、GenBankに GI: 185134901、52353289として登録されている。OR2J3は、配列番号1で示される遺伝子配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。OR8H1は、配列番号3で示される遺伝子配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。また、本発明の方法に使用される嗅覚受容体としては、上記OR2W1又はOR8H1のアミノ酸配列に対して、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、ミューゲの匂いに対する応答性を有するポリペプチドが挙げられる。例えば、複数の既知のミューゲ香料素材に対して応答性を示すポリペプチド、又は官能評価でよりミューゲ感が強いと評価された素材に対してより強く応答するポリペプチドは、「ミューゲの匂いに対する応答性を有するポリペプチド」として同定することができる。本発明の方法では、当該嗅覚受容体のうちのいずれか1つを単独で使用してもよく、又は複数を組み合わせて使用してもよい。
上記本発明の方法において、上記嗅覚受容体は、受容体の機能を失わない限り、任意の形態で使用され得る。例えば、嗅覚受容体は、生体から単離された嗅覚受容器若しくは嗅細胞等の天然に嗅覚受容体を発現する組織や細胞、又はそれらの培養物;当該嗅覚受容体を担持した嗅細胞の膜;当該嗅覚受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞又はその培養物;当該組換え細胞の膜;及び、当該嗅覚受容体を有する人工脂質二重膜、等の形態で使用され得る。これらの形態は全て、本発明で使用される嗅覚受容体の範囲に含まれる。
好ましい態様においては、嗅細胞等の天然に嗅覚受容体を発現する細胞、嗅覚受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞、又はその培養物が、本発明の方法において使用される。当該組換え細胞は、嗅覚受容体をコードする遺伝子およびそれの膜発現を促進するタンパク質であるRTP1S(Zhuang H and Matsunami H, J Biol Chem 282, 15284-15293 (2007))をコードする遺伝子を組み込んだベクターを用いて細胞を形質転換することで作製することができる。
上記組換え細胞の作製に使用できるRTP1Sとしては、例えば、ヒトRTP1Sが挙げられる。ヒトRTP1Sは、GenBankにGI:50234917として登録されている。ヒトRTP1Sは、配列番号5で示される遺伝子配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。また、ヒトRTP1Sの代わりに、ヒトRTP1Sのアミノ酸配列(配列番号6)に対して、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、ヒトRTP1Sと同様に、嗅覚受容体の膜における発現を促進するポリペプチドを使用してもよい。本明細書の実施例で使用されているRTP1S変異体は、配列番号6で示されるアミノ酸配列と78.9%の配列同一性を有する配列番号7で示されるアミノ酸配列からなり、且つ嗅覚受容体の膜における発現を促進する機能を有するタンパク質であり、上記組換え細胞の作製に使用することができるタンパク質である。あるいは、マウスRTP1S(Saito H., Chi Q., Zhuang H., Matsunami H., Mainland J.D. Sci Signal., 2009, 2:ra9)もまた、配列番号6で示されるアミノ酸配列と89%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ嗅覚受容体の膜における発現を促進する機能を有し、上記組換え細胞の作製に使用することができるタンパク質である。
本明細書において、塩基配列及びアミノ酸配列の配列同一性は、リップマン−パーソン法(Lipman-Pearson法;Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行なうことにより算出される。
上記本発明の方法において、嗅覚受容体に添加される試験物質は、ミューゲ香料素材として使用することを所望する物質であれば、特に制限されない。試験物質は、天然に存在する物質であっても、化学的又は生物学的方法等で人工的に合成した物質であってもよく、また化合物であっても、組成物若しくは混合物であってもよい。
上記本発明の方法においては、試験物質の添加に続いて、当該試験物質に対する嗅覚受容体の活動が測定される。測定は嗅覚受容体の活動を測定する方法として当該分野で知られている任意の方法、例えば、細胞内カルシウム量測定法、細胞内cAMP量測定法等によって行えばよい。例えば、HEK293T細胞において嗅覚受容体は、匂い分子によって活性化されると、細胞内のGαsと共役してアデニル酸シクラーゼを活性化することで、細胞内cAMP量を増加させることが知られている(Kajiya K. et al. Journal of Neuroscience, 2001, 21:6018-6025)。従って、匂い分子添加後の細胞内cAMP量を指標にすることで、嗅覚受容体の活動を測定することができる。cAMP量を測定する方法としては、ELISA、ルシフェラーゼアッセイ法等の各種レポーターアッセイ等が挙げられる。
次いで、測定された嗅覚受容体の応答に基づいて試験物質を評価し、受容体応答を活性化した試験物質を、ミューゲ香料素材の候補物質として選択する。試験物質の評価は、例えば、試験物質添加群と対照群(例えば、試験物質非添加群若しくは対照物質添加群)との間で受容体応答を比較することによって行われ得る。対照群と比較して、試験物質添加群における受容体応答が増加していれば、当該試験物質を、ミューゲの匂いに応答する受容体の応答を活性化することができる、ミューゲ香料素材の候補物質として選択することができる。好ましくは、試験物質添加群における受容体応答と対照群の受容体応答との比の対数値が0.2以上であれば、当該試験物質を、ミューゲ香料素材の候補物質として選択する。あるいは、試験物質の評価は、種々の濃度の試験物質間で受容体応答を比較することによって行われ得る。受容体応答が試験物質の濃度に相関して増強する場合、当該試験物質を、ミューゲ香料素材の候補物質として選択することができる。
従来の香料開発過程では、官能試験等によって膨大な数の物質の匂いを1つ1つ確認して香料素材を選択していかなければならなかったため、香料開発までに多くの時間とコストが必要であった。しかし、上記本発明の方法によれば、ミューゲの匂いに応答する嗅覚受容体の応答に基づいて候補物質を予め選択することができるので、官能試験等で実際の匂いを調べるべき候補物質の数を大きく減少させることができる上、得られた候補物質がミューゲの香料素材として使用できるものである可能性が高い。よって、上記本発明の方法によれば、ミューゲ香料の開発の効率が大きく向上する。
従って、本発明はまた、ミューゲ香料素材を選択する方法を提供する。当該方法は、上述の方法により選択されたミューゲ香料素材の候補物質の匂いを評価することによって行われる。候補物質の匂いの評価は、当該分野で通常使用される匂い評価手順によって行われ得る。例えば、匂いの評価は、専門家による官能評価、匂いセンサー等の手段によって行うことができる。斯くして選択されたミューゲ香料素材は、ミューゲ香料、及びミューゲの香りを有する芳香剤、化粧料等の製造のために、あるいは、新たなミューゲ香料素材の開発のための原料として使用することができる。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
製造例 香料素材の合成
製造例1: 3−(4−エチルシクロヘキシル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オールの製造
水酸化カリウム3.3gのメタノール(40g)溶液にエチルベンズアルデヒド40.3gを加えて攪拌し、次いでイソブチルアルデヒド36.2gを30〜35℃で3.5時間かけて滴下して加え、2時間攪拌した。氷酢酸2gを加えて中和し、溶媒を減圧留去した後に、ジエチルエーテルで抽出し、得られた有機層を濃縮した後に蒸留し、1−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールを85.0%含む留分19.9gを得た。
得られた留分のうち、14.7gをテトラヒドロフラン30mLに溶解し、パラジウム、白金−カーボン担持触媒(N.E. CHEMCAT社ASCA触媒、54.6%含水)1.0gを用い、水素圧0.2〜0.5MPa、60℃で約30時間反応させた。反応液からパラジウム、白金−カーボン担持触媒を濾別し、濾液を濃縮した後に、一部をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=90/10)で精製し、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オール 3.3g(純度99.7%)を得た。
得られた3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オールのうち1.5gをイソプロパノール10mLに溶解し、5%ルテニウム−カーボン担持触媒(N.E. CHEMCAT社、50.1%含水)0.4gを用いて水素圧0.2−0.5MPa、85℃で6時間反応させた。反応液から5%ルテニウム−カーボン担持触媒を濾別し、濾液を濃縮した後に蒸留し、3−(4−エチルシクロヘキシル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オール 1.4g(純度99.9%)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, δppm): 0.86(3H, t, J=7.2Hz), 0.88(6H, s), 1.12-1.74(14H, m), 3.30(2H, s)
13C-NMR(CDCl3, 100MHz, δppm): 12.29, 24.49(2C), 29.04, 30.42, 32.22, 33.58, 34.27, 36.30, 36.35, 39.47, 46.45, 72.65
製造例2: 2−メチル−3−(4−メチルシクロヘキシル)プロパン−1−オールの製造
水酸化カリウム2.7gのメタノール(36g)溶液にメチルベンズアルデヒド48.0gを加えて攪拌し、次いでプロピオンアルデヒド23.3gを30〜35℃で3.5時間かけて滴下して加え、1時間攪拌した。氷酢酸2.7gを加えて中和し、溶媒を減圧留去した後に、ジエチルエーテルで抽出し、得られた有機層を濃縮した後に蒸留し、3−(4−メチルフェニル)−2−メチルアクリルアルデヒドを91.4%含む留分46.1gを得た。
得られた留分のうち、40.1gをメタノール10gに溶かし、水素化ホウ素ナトリウム3.6gおよび1.5%水酸化ナトリウム水溶液12.5gのメタノール(20g)溶液に0℃で1.5時間かけて滴下し、2時間攪拌した。反応液に20%硫酸水溶液を加えて酸性にした後にジエチルエーテルで抽出し、得られた有機層を水洗、分層、濃縮することで3−(4−メチルフェニル)−2−メチルプロパ−2−エン−1−オール 39.1g(純度98.3%)を得た。
得られた3−(4−メチルフェニル)−2−メチルプロパ−2−エン−1−オールのうち、30.0gに5%パラジウム−カーボン担持触媒(N.E. CHEMCAT社、49.0%含水)1.2gを加えて水素圧0.2〜0.5MPa、室温で約54時間反応させた。反応液から5%パラジウム−カーボン担持触媒を濾別し、得られた濾液27.7gのうち15.1gをイソプロパノール20mLに溶解し、5%ルテニウム−カーボン担持触媒(N.E. CHEMCAT社、50.1%含水)4.5gを用いて水素圧0.2−0.5MPa、100℃で約4日間反応させた。反応液から5%ルテニウム−カーボン担持触媒を濾別し、濾液を濃縮した後に、一部をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=90/10)で精製し、2−メチル−3−(4−メチルシクロヘキシル)プロパン−1−オール 4.0g(純度98.0%)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, δppm): 0.86(1H, d, J=6.8Hz), 0.89(1H, d, J=6.4Hz), 0.90(2H, d, J=6.8Hz), 0.90(2H, d, J=6.8Hz), 0.99(1H, m), 1.17-1.76(11H, m), 3.36(1H, m), 3.48(1H, m)
製造例3: 2,2−ジメチル−3−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オールの製造
製造例1記載の方法と同様の方法でエチルベンズアルデヒドをメチルベンズアルデヒドに変えて反応を行い、2,2−ジメチル−3−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オール 2.8g(純度97.3%)を合成した。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, δppm): 0.87(6H, s), 1.55(1H, bs), 2.32(3H, s), 2.53(2H, s), 3.30(2H, s), 7.03(2H, d, J=8.0Hz), 7.07(2H, d, J=8.4Hz)
13C-NMR(CDCl3, 100MHz, δppm): 21.48, 24.43, 36.81, 44.66, 71.52, 128.76, 130.55, 135.56, 135.82
製造例4: 2,2−ジメチル−3−(4−メチルシクロヘキシル)プロパン−1−オールの製造
製造例3と同様の方法で得られた2,2−ジメチル−3−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オール5.0gに対し、製造例1記載の方法と同様の方法で5%ルテニウム−カーボン担持触媒を用いて反応を行うことで、2,2−ジメチル−3−(4−メチルシクロヘキシル)プロパン−1−オール 3.7g(純度99.0%)を合成した。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, δppm): 0.85(0.9H, d, J=6.4Hz), 0.88(6H, s), 0.89(2.1H, d, J=6.0Hz), 1.11-1.72(12H, m), 3.30(2H, m)
製造例5: 2,2−ジメチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)プロパン−1−オールの製造
製造例1記載の方法と同様の方法でエチルベンズアルデヒドを3,4−ジメチルベンズアルデヒドに変えて反応を行い、2,2−ジメチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)プロパン−1−オール 2.7g(純度97.7%)を合成した。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, δppm): 0.88(6H, s), 1.42(1H, t, J=5.8Hz), 2.23(3H, s), 2.23(3H, s), 2.50(2H, s), 3.31(2H, d, J=5.6Hz), 6.88(1H, dd, J=7.6Hz, 1.6Hz), 6.91(1H, s), 7.02(1H, d, J=7.6Hz)
13C-NMR(CDCl3, 100MHz, δppm): 19.78, 20.26, 24.49(2C), 36.78, 44.71, 71.62, 128.06, 129.33, 131.97, 134.21, 136.06, 136.32
実施例1 ミューゲ受容体を用いた香料素材評価
1)ヒト嗅覚受容体遺伝子のクローニング
OR2J3及びOR8H1はGenBankに登録されている配列情報を基に、human genomic DNA female (G1521:Promega)を鋳型としたPCR法によりクローニングした。PCR法により増幅した各遺伝子をpENTRベクター(Invitrogen)にマニュアルに従って組込み、pENTRベクター上に存在するNot I、Asc Iサイトを利用して、pME18Sベクター上のFlag-Rhoタグ配列の下流に作成したNot I、Asc Iサイトへと組換えた。
2)pME18S-RTP1S変異体ベクターの作製
RTP1S変異体(配列番号7)をコードするRTP1S変異体遺伝子をpME18SベクターのEcoR I、Xho Iサイトへ組込んだ。
3)嗅覚受容体発現細胞の作製
OR2J3及びOR8H1をそれぞれ発現させたHEK293細胞は次のように作製した。表1に示す組成の反応液を調製しクリーンベンチ内で20分静置した後、96ウェルプレート(BD)の各ウェルに添加した。次いで、HEK293細胞(3×105細胞/cm2)を100μlずつ各ウェルに播種し、37℃、5%CO2を保持したインキュベータ内で24時間培養した。
Figure 0005921226
4)ルシフェラーゼアッセイ
HEK293細胞に発現させた嗅覚受容体は、細胞内在性のGαsと共役しアデニル酸シクラーゼを活性化することで、細胞内cAMP量を増加させる。本研究での匂い応答測定には、細胞内cAMP量の増加をホタルルシフェラーゼ遺伝子(fluc2P-CRE-hygro)由来の発光値としてモニターするルシフェラーゼレポータージーンアッセイを用いた。また、CMVプロモータ下流にウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を融合させたもの(hRluc-CMV)を同時に遺伝子導入し、遺伝子導入効率や細胞数の誤差を補正する内部標準として用いた。
上記3)で作製した培養物から、培地をピペットで取り除き、CD293培地(Invitrogen)で調製した試験物質を含む溶液を75μl添加した。試験物質としては、iso-Cyclocitral(International Flavors & Fragrances)、Majantol(登録商標)(Symrise)及び製造例1〜5で合成した香料素材、各100μMを用いた。細胞をCO2インキュベータ内で37℃で4時間培養し、ルシフェラーゼ遺伝子を細胞内で充分に発現させた。プレートを10分間室温に放置した後、Dual-GloTM luciferase assay kit(Promega)を用いて細胞内に蓄積したルシフェラーゼ量を測定することにより、それぞれの嗅覚受容体の応答を評価した。ルシフェラーゼの活性測定には、Dual-GloTM luciferase assay system(promega)を用い、製品の操作マニュアルに従って測定を行った。試験物質刺激により誘導されたホタルルシフェラーゼ由来の発光値を、試験物質刺激を行わない細胞での発光値で割った値をfold increaseとして算出し、応答強度の指標とした。解析は応答強度の対数値を用いて行った。
実施例2 各香料素材のミューゲ感強度評価
実施例1で使用した各香料素材を匂い紙に滴下し、専門パネラーによる官能評価によりミューゲ感の強度評価を行った。強度のスコアは以下の通りである。

スコア ミューゲ感
5: 強い
4: やや強い
3: あり
2: やや弱い
1: 非常に弱い
0: 全く感じられない
結果を表2及び図1に示す。OR2J3及びOR8H1は、ミューゲ感が0の香料素材iso-Cyclocitralと比較してミューゲ感が1以上の素材(製造例1〜5、及びMajantol)により強く応答し、さらに、香料素材のミューゲ感が強いほどより強く応答した(OR2J3:R=0.845、OR8H1:R=0.947)。このことから、嗅覚受容体OR2J3又はOR8H1を用いてミューゲ香料素材の候補物質の選択が可能であることが示された。
Figure 0005921226

Claims (7)

  1. ミューゲ香料素材の候補物質を選択する方法であって、
    OR2J3、OR8H1、及び配列番号2又は4で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりかつミューゲの匂いに対する応答性を有するポリペプチドからなる群より選択される嗅覚受容体のいずれか1以上に試験物質を添加する工程;
    当該試験物質に対する当該受容体の応答を測定する工程;及び
    測定された該応答に基づいて、当該試験物質をミューゲ香料素材の候補物質として選択する工程、を含む、方法。
  2. 前記嗅覚受容体が、天然に嗅覚受容体を発現する細胞上又は嗅覚受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上に発現された嗅覚受容体である、請求項1記載の方法。
  3. 試験物質を添加しない嗅覚受容体の応答を測定する工程をさらに含む、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記試験物質を添加しない嗅覚受容体の応答に対する試験物質を添加された嗅覚受容体の応答の対数値が0.2以上を示す場合、当該試験物質をミューゲ香料素材の候補物質として選択する、請求項3記載の方法。
  5. 前記受容体の応答を測定する工程がレポーターアッセイによって行われる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. ミューゲ香料素材を選択する方法であって、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法によりミューゲ香料素材の候補物質を選択した後、選択された候補物質の匂いを評価することを特徴とする、方法。
  7. 前記匂いの評価が官能評価によって行われる、請求項6記載の方法。
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