JP5920277B2 - 温度測定装置および温度測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、温度測定装置および温度測定方法に関する。
製鉄所における製造工程では、製造物等の高温体に冷却水を噴射しながら冷却中の温度監視を行う工程が多く存在する。例えば、連続鋳造プロセスにおける鋳片の冷却は、その典型例であり、冷却中の鋳片の表面温度は製造物の品質に大きな影響を与える。したがって、連続鋳造プロセスでは、鋳片表面の全域における温度分布が重要な監視項目であり、鋳片表面の全域における高精度な温度測定が求められている。
高温の対象物の表面温度を計測する方法としては、対象物の表面に熱電対等を接触させて行う接触式の方法と、放射温度計等を用いて対象物から放射される放射エネルギー(赤外線)を検出することで行う非接触式の方法との2種類が主に知られている。このうち接触式の方法は、連続鋳造中の鋳片のように測定対象物が移動する場合に適用するのが難しいので、鋳片の表面温度の測定には、放射温度計が用いられるのが一般的である。代表的な放射温度計としては、サーモグラフィが挙げられる。
しかしながら、このような放射温度計を鋳片表面の温度計測に用いる場合、鋳片を冷却するため噴射された冷却水が水煙となり、この水煙が放射温度計による測定を阻害してしまう。また、この冷却水が鋳片表面に残留していわゆる水のりを形成することにより赤外線の散乱や吸収を引き起こし、表面温度の計測精度が低下する問題がある。
この種の問題を解決するため、これまでに様々な提案がされている。例えば、測定対象物と放射温度計との間に光導波路としての水柱を形成し、この水柱を介して放射光を検出する測定方法(特許文献1参照)、また、光ファイバを用いて光学系を測定対象物に近づけるとともに、測定領域に気体を噴射することにより冷却水や蒸気の影響を排除する測定方法(特許文献2参照)などがある。
特開2008−164626号公報 特開2012−071330号公報
しかしながら、上記説明したような従来技術では、特殊な装置構成を必要とし、尚且つ、測定対象物中の1点を測定する方法であるので、鋳片の表面全域に亘って温度分布を取得するには、別途の走査装置を必要とする。したがって、上記説明したような従来技術では、装置構成の煩雑さを招き、更には、操作時に測定対象物と測定装置の接触事故などが発生する虞がある。よって、上記説明したような従来技術は、冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する際の水煙および水のりの問題を十分に解決したものとは言えないものであった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する際の水煙および水のりの両方の影響を低減することができる温度計測装置および温度計測方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる温度計測装置は、冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する温度測定装置であって、波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて前記高温体を撮像する第1撮像手段と、波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて前記高温体を撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段および前記第2撮像手段が撮像したそれぞれの画像の輝度を前記高温体の表面温度に変換する温度変換手段と、前記第2撮像手段が撮像した画像の輝度から変換された第2表面温度分布を用いて、前記第1撮像手段が撮像した画像の輝度から変換された第1表面温度分布を校正する校正手段とを備えることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる温度計測方法は、冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する温度測定方法であって、波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて前記高温体を撮像する第1撮像ステップと、波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて前記高温体を撮像する第2撮像ステップと、前記第1撮像ステップおよび前記第2撮像ステップにて撮像したそれぞれの画像の輝度を前記高温体の表面温度に変換する温度変換ステップと、前記第2測定光を用いて撮像された画像の輝度から変換された第2表面温度分布を用いて、前記第1測定光を用いて撮像された画像の輝度から変換された第1表面温度分布を校正する校正ステップとを含むことを特徴とする。
本発明にかかる温度計測装置および温度計測方法は、冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する際の水煙および水のりの両方の影響を低減することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置を適用する連続鋳造機を示す概略図である。 図2は、連続鋳造機における隣り合う2つのロールセグメントを拡大した概略構成図である。 図3は、鋳片の搬送方向から観察したロールセグメントの概略構成図である。 図4は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置の概略構成を示すブロック図である。 図5は、鋳片の表面温度と画像の輝度との対応データを示すグラフである。 図6は、温度分布を再構成する仕組みを示す概念図である。 図7は、本発明の実施形態にかかる温度計測方法の手順を表すフローチャートである。 図8は、液体の水の吸収スペクトルを示すグラフである。 図9は、プランクの放射則を示すグラフである。 図10は、波長0.85μm〜1.0μmの測定光を用いて鋳片を撮像した画像である。 図11は、波長8μm〜12μmの測定光を用いて鋳片を撮像した画像である。 図12は、検証実験を2次元画像に再構成した画像および温度分布のグラフである。 図13は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法を利用して校正した後の温度分布を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法を図面に基づいて詳細に説明する。しかしながら、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。以下の説明では、本発明を連続鋳造中の鋳片の表面温度分布の測定に適用した実施形態が利用されるが、本発明は、この実施形態に限定されず、高温体を冷却水を噴射しながら表面温度の測定を行う際に利用可能である。
〔温度測定装置〕
図1は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置を適用する連続鋳造機1を示す概略図である。図1に示されるように、本発明の実施形態に係る連続鋳造機1は、溶鋼2が注入されるタンディッシュ3と、タンディッシュ3から浸漬ノズル4を介して注がれた溶鋼2を徐冷する銅製の鋳型5と、鋳型5から引き抜かれた半凝固状態の鋳片6を搬送する複数のロール7とを備える。連続鋳造機1に設けられた複数のロール7は、複数のロールセグメント8にユニット化されている。
連続鋳造機1により鋳造される鋳片6は、これら複数のロール7により連続的に搬送されながら、冷却ノズルにより冷却水が噴射され、適切な温度管理の下で冷却される。
図2は、連続鋳造機1における隣り合う2つのロールセグメント8を拡大した概略構成図であり、図3は、鋳片6の搬送方向から観察したロールセグメント8の概略構成図である。図2および図3に示されるように、ロールセグメント8は、鋳片6を反基準面側(上面側)から支持する上側ロール7aと、基準面側(下面側)から支持する下側ロール7bと、これら複数の上側ロール7aおよび下側ロール7bを保持する上側フレーム9aおよび下側フレーム9bを主要構成として構成されている。
本発明の実施形態にかかる温度計測装置は、例えば2つのロールセグメント8の間隙を利用して鋳片6の表面温度を測定する。図2および図3に示されるように、本発明の実施形態にかかる温度計測装置では、2つのロールセグメント8の間隙付近に撮像手段10a,10bが配置され、撮像手段10a,10bが当該間隙を介して鋳片6の表面温度を測定する。
また、鋳片6の反基準面の表面温度を測定する際には、図3に示されるように、撮像手段10a,10bを鋳片6の両側の斜め上方に配置される。鋳片6から立ち上る水煙が撮像手段10a,10bに直接的影響を及ぼすことを避けるためである。
例えば、図3に示されるように、撮像手段10a,10bは、撮像手段10a,10bを基準とした際の鋳片6の手前側端部面となす角が40度かつ奥側端部面となす角が65度となる位置に配置される。そのために、撮像手段10a,10bは、鋳片6の反基準面から上方1.8mの高さに配置されている。
なお、後に詳述するように、撮像手段10a,10bは、それぞれが内部に第1撮像手段と第2撮像手段とを備えている。これら第1撮像手段と第2撮像手段とは、それぞれ別個のカメラ等として構成しても良く、または内部で光路を分岐することにより物理的に1個の装置構成としても良い。
本発明の実施形態にかかる温度計測装置を適用する連続鋳造機1では、上記のように、設けられた複数のロールセグメント8のうち、適切なロールセグメント8を選択し、そのロールセグメント8の間隙に撮像手段10a,10bが配置される。
図4は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では簡単のために、鋳片6の両側に配置された撮像手段10a,10bのうち、撮像手段10aに関する構成について説明を行うが、撮像手段10bに関する構成についても同様構成となっている。
図4に示されるように、本発明の実施形態にかかる温度計測装置11は、大きく分けて撮像手段10aと画像処理部12とからなる。さらに、本発明の実施形態にかかる温度計測装置11は、画像処理部12の出力を出力するための出力手段13を備えることが好ましい。
先述のように、撮像手段10aは、内部に第1撮像手段10aと第2撮像手段10aとを備える。これら第1撮像手段10aと第2撮像手段10aとは、それぞれ別個のカメラ等として構成してもよく、または内部で光路を分岐することにより物理的に1個の装置構成とすることも可能である。
第1撮像手段10aは、波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて鋳片6の表面を撮像するための撮像装置である。一方、第2撮像手段10aは、波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて鋳片6の表面を撮像するための撮像装置である。すなわち、第1撮像手段10aと第2撮像手段10aとは、それぞれ別個のカメラのレンズに所望のフィルターを設けることにより構成することができる。また、第1撮像手段10aと第2撮像手段10aとは、1個のカメラの光学系をハーフミラー等で光路分岐させて所望のフィルターを設けることによっても構成することができる。
第1撮像手段10aおよび第2撮像手段10aが撮像した画像のデータは、それぞれ独立に画像処理部12の温度変換手段12aへ伝送される。
画像処理部12は、温度変換手段12aと校正手段12bとを備える画像処理装置である。温度変換手段12aは、第1撮像手段10aおよび第2撮像手段10aが撮像したそれぞれの画像の輝度を鋳片6の表面温度に変換する手段であり、例えばコンピュータプログラムにより実現されている。
例えば、温度変換手段12aは、図5に示されるような、鋳片6の表面温度と画像の輝度との対応データを備え、入力された画像の輝度から鋳片6の表面温度に変換する構成とすることができる。なお、図5に示されるような対応データは、事前にたとえば黒体炉を用いて温度と輝度の関係を計測しておくことにより取得することができる。
また、輝度Xと温度Tとの関係は、定数AとBとを用いて、下記式1のように簡易的に表すことができる。そこで、温度変換手段12aは、下記式1を用いて、入力された画像の輝度から鋳片6の表面温度に変換する構成とすることもできる。
校正手段12bは、第2表面温度分布を用いて、第1表面温度分布を校正する手段であり、例えばコンピュータプログラムにより実現されている。ここで、第2表面温度分布とは、第2撮像手段10aが撮像した画像の輝度から温度変換手段12aが変換して取得した温度分布であり、第1表面温度分布とは、第1撮像手段10aが撮像した画像の輝度から温度変換手段12aが変換して取得した温度分布である。
すなわち、校正手段12bは、波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて取得された第2表面温度分布を用いて、波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて取得された第2表面温度分布を校正することになる。
校正手段12bが行う校正方法は、例えば、第2表面温度分布の代表値が第1表面温度分布の代表値に一致するように、第1表面温度分布を校正する方法が考えられる。この校正の際に用いられる代表値としては、温度分布の平均値を用いることが考えられる。しかしながら、その他、最大値、中央値、または最頻値などの値を用いることも可能である。
また、代表値を定めるための温度分布の範囲は、1次元的な領域とすることもでき、2次元的な領域とすることもできる。連続鋳造機1により鋳造される鋳片6のように搬送中の対測定象物の場合、代表値を定めるための温度分布の範囲は、鋳片6の幅などのように1次元的な領域とすることが好適であるが、搬送中の対測定象物の場合であっても、搬送速度に応じて適切に区分けすれば2次元的な領域とすることができる。
代表値として鋳片6の全幅範囲における温度分布の平均値を用いた場合、校正手段12bは、鋳片6の全幅範囲における第1表面温度分布の平均値と第2表面温度分布の平均値とが一致するように校正することになる。具体的には、校正手段12bは、第2表面温度分布の平均値を第1表面温度分布の平均値で除して求めた補正係数を、第1表面温度分布に掛けることにより、第1表面温度分布を校正する。
上記のように校正手段12bにより校正された第1表面温度分布は、出力手段13により出力される。例えば、出力手段13は、画面表示装置であり、校正された鋳片6の温度分布を画像表示、グラフ表示、または数値表示等して、連続鋳造機1のオペレータに情報を提示する。
また、連続鋳造機1により鋳造される鋳片6のような搬送中の対測定象物を1次元的な領域に区分けして温度測定をする場合、出力手段13は、1次元的な領域で得られた温度分布を鋳片6の表面全体の温度分布に再構成する機能を担う。
図6は、出力手段13による温度分布を再構成する仕組みを示す概念図である。図6に示されるように、連続鋳造機1により鋳造される鋳片6は、ロールセグメント8の上側フレーム9aにより妨げられ、間隙から一部のみが測定可能である。したがって、撮像手段10aは、この間隙を介して、鋳片6の表面の幅方向の1次元領域またはそれに近い2次元領域を測定する。そして、撮像手段10aに測定された測定データは、上述のように画像処理部により処理されて測定領域に対応する温度分布に変換される。
ここで、連続鋳造機1により鋳造される鋳片6は、ロールセグメント8間を刻一刻と搬送されて移動するので、ロールセグメント8の間隙から測定可能な領域も刻一刻と移動する。そこで、出力手段13は、1次元領域またはそれに近い2次元領域の測定範囲を時間軸方向に並べて鋳片6の表面上の温度分布に再構築する。そして、出力手段13は、再構築された温度分布を画面表示する。
〔温度計測方法〕
次に、本発明の実施形態にかかる温度計測方法について説明する。以下では、本発明の実施形態にかかる温度計測装置の構成を参照しながら、本発明の実施形態にかかる温度計測方法を説明するが、本発明の実施形態にかかる温度計測方法の実施は、これらの構成により限定されるものではない。
図7は、本発明の実施形態にかかる温度計測方法の手順を表すフローチャートである。図7に示されるように、本発明の実施形態にかかる温度計測方法では、最初に第1撮像手段10aが波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて鋳片6を撮像する(ステップS1)。
そして、第2撮像手段10aが波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて鋳片6を撮像する(ステップS2)。なお、本発明の実施形態にかかる温度計測方法において、ステップS1とステップS2とは順序が前後してもよく、同時に実行されてもよい。
次に、本発明の実施形態にかかる温度計測方法では、画像処理部12の温度変換手段12aが、第1測定光および第2測定光を用いて撮像されたそれぞれの画像の輝度を鋳片6の表面温度に変換する(ステップS3)。画像処理部12の温度変換手段12aが行う変換処理は、先述のように、事前に測定した対応データを用いる方法または変換公式を用いる方法などが採用される。
そして、本発明の実施形態にかかる温度計測方法では、画像処理部12の校正手段12bが、第2測定光を用いて取得した第2表面温度分布を用いて、第1測定光を用いて取得した第1表面温度分布を校正する(ステップS4)。画像処理部12の校正手段12bが行う校正方法は、先述のように、例えば、第2表面温度分布の代表値が第1表面温度分布の代表値に一致するように、第1表面温度分布を校正することが考えられる。また、この校正の際に用いられる代表値としては、温度分布の平均値であることが考えられる。具体的には、校正手段12bは、第2表面温度分布の平均値を第1表面温度分布の平均値で除して求めた補正係数を、第1表面温度分布に掛けることにより、第1表面温度分布を校正する。
以上説明した、本発明の実施形態にかかる温度計測方法は、全ての計測範囲を網羅するまで継続して繰り返されるものとする。また、本発明の実施形態にかかる温度計測方法により取得された温度分布は、出力手段13により適切に再構成され、画面表示等される。
〔作用効果〕
以下、上記説明した本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法の作用効果について、実験結果を参照しながら説明する。
鋳片の温度計測の主な阻害要因は、先述の水煙と水のりである。このうち水煙は水蒸気が冷やされ非常に小さな水滴となって可視化されたものであり、水のりは冷却水が鋳片上に残留しているものであり、水煙および水のりいずれも液体の水となっている。
図8は、液体の水の吸収スペクトルを示すグラフである(BUNSEKI KAGAKU Vol.60,No.1,pp.19−31(2011)より掲載)。図8の横軸は、吸収される光(電磁波)の波長を表し、縦軸は、光(電磁波)の吸収度を表し、グラフが下方になる程、光(電磁波)が透過することを意味している。
図8に示されるように、可視光である波長約400nm〜1000nm(1.0μm)付近の光は、液体の水をよく透過する。これに対して、波長10μm前後(例えば8μm〜12μm)の赤外線は、液体の水に吸収されてしまう。
そこで、本発明の発明者らは、波長が0.85μmより長い光線を透過するロングパスフィルターをCCDカメラの前に設置して、ロールセグメント間から鋳片を撮像する実験を行った。なお使用したCCDカメラは、400nmから1.0μmまでの感度を有しているので、上記のフィルタを用いることにより、波長0.85μm〜1.0μmの測定光を用いて撮像している。
ここで、波長0.85μm以下のフィルタを用いているのには、以下の理由がある。まず、鋳片の想定温度が約700℃〜900℃の範囲である。この温度域の物質から輻射される光(電磁波)は、プランクの放射則によれば波長0.85μm以上の赤外線が多く含まれる(図9参照)。そのため、この温度域の温度計測においては波長0.85μm以上の測定光を使用することで外光ノイズの影響を受けず精度よく計測することが可能になるからである。
図10は、波長0.85μm〜1.0μmの測定光を用いて鋳片を撮像した画像である。図10の(a)および(b)の画像は、同一の鋳片を異なるタイミングで撮像したものであり、(a)は、水煙が発生していないタイミングに撮像された画像であり、(b)は、水煙が発生しているタイミングに撮像された画像である。
図10の(a)および(b)の画像は、同一の鋳片を撮像した画像であるので、鋳片の表面温度はほとんど同一とみなすことができるが、図10の(a)および(b)の比較により解るように、実際は、水煙が発生しているタイミングに撮像された画像では輝度が大幅に低下している。
この実験は、水の透過率が高いはずの波長0.85μm〜1.0μmの測定光を用いて鋳片を撮像しても、水煙が発生している場合、撮像された画像の輝度が低下することを意味している。
本発明の発明者らは、その後のさらなる調査により、水煙中の水滴の径が1μm〜10μmの範囲に分布することを確かめた。そして、波長0.85μm〜1.0μmの測定光を用いた場合の画像の輝度が低下する現象は、水煙中の水滴によるミー散乱に起因するとの結論に想到した。ミー散乱では波長の逆数に比例して散乱強度が強くなる。このため、波長の短い1μm程度の測定光は、ミー散乱により非常に強く散乱される。
上記結論を検証するために、本発明の発明者らは、波長8μm〜12μmの範囲に感度を持つサーモビューアを用いて、図10に示される実験と同様の実験を行った。
図11は、波長8μm〜12μmの測定光を用いて鋳片を撮像した画像である。図11の(a)および(b)の画像は、同一の鋳片を異なるタイミングで撮像したものであり、(a)は、水煙が発生していないタイミングに撮像された画像であり、(b)は、水煙が発生しているタイミングに撮像された画像である。
図11の(a)および(b)の画像は、同一の鋳片を撮像した画像であるので、鋳片の表面温度はほとんど同一とみなすことができる。そして、図10に示される実験とはことなり、図11の(a)および(b)の画像の比較においては、全体の平均輝度は略同一となっている。
なお、図11の(a)および(b)の画像に表れる斑は、鋳片上の水のりである。本実験で用いられた測定光は、波長が8μm〜12μmのものであり、液体の水に対する透過率が悪い。その結果、鋳片上の水のりの影響を大きく受けやすく、図11の(a)および(b)の画像では、水のりが斑となって現れている。
図12は、上記検証実験を2次元画像に再構成した画像および温度分布のグラフである。図12の(a−1)は、サーモビューアを利用して波長8μm〜12μmの測定光を用いて撮像した鋳片の表面輝度画像であり、(b−1)は、波長0.85μmのロングパスフィルターを取り付けたCCDカメラを利用して波長0.85μm〜1μmの測定光を用いて撮像した鋳片の表面輝度画像である。図12の(a−1)および(b−1)共に、ロールセグメントの間隙を介して撮像された鋳片の表面上の1次元領域を、図6を参照しながら説明した方法で鋳片の表面輝度画像として再構築したものである。
図12の(a−2)および(b−2)は、それぞれ(a−1)および(b−1)の画像における破線位置での温度分布の横断方向プロファイルである。図12の(a−1)および(b−1)の画像における(1)〜(6)の破線位置は、(a−2)および(b−2)の(1)〜(6)の線種のグラフに対応している。すなわち、(a−2)および(b−2)のグラフにおいて、同一番号の線種のグラフは、鋳片の同一位置における温度分布に対応している。
図12の(a−2)および(b−2)のグラフの比較により解るように、波長0.85μm〜1μmの測定光を用いた温度測定と波長8μm〜12μmの測定光を用いた温度測定では顕著な違いが存在する。
図12の(a−2)のグラフでは、枠外まで温度低下している箇所が存在するが、(b−2)のグラフでは、このような枠外まで温度低下している箇所が存在しない。図12の(a−2)のグラフに見られる枠外まで温度低下している箇所は、鋳片上の水のりの影響箇所である。
また、図12の(b−2)のグラフでは、線種(5)および(6)のグラフのように温度分布の全体的な低下が見られるが、(a−2)のグラフでは、このような温度分布の全体的な低下は見られない。図12の(b−2)のグラフに見られるに温度分布の全体的に低下している箇所は、水煙の影響箇所である。
本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法では、上記のような波長0.85μm〜1μmの測定光を用いた温度測定と波長8μm〜12μmの測定光を用いた温度測定での顕著な特徴の違いを利用して、水煙および水のりの両方の影響を低減するよう温度分布を校正している。すなわち、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法は、水煙による影響が少ない波長8μm〜12μmの測定光を用いて得られた温度分布を用いて、水のりによる影響が少ない波長0.85μm〜1μmの測定光を用いて得られた温度分布を校正することにより、水煙および水のりの両方の影響を低減する。
図13は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法を利用して校正した後の温度分布を示すグラフである。なお、図13に示されるグラフにおける(1)〜(6)の線種は、図12の(a−2)および(b−2)に示されるグラフにおける(1)〜(6)の線種と対応している。したがって、図13に示される温度分布は、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法を利用して図12の(a−1)および(b−1)に示される鋳片の表面画像における(1)〜(6)の破線位置での温度分布を示している。
図13に示される温度分布は、具体的には、以下のように計算された。
まず、波長8μm〜12μmの範囲の測定光を用いて取得した1次元表面温度分布の平均値を算出し、これをMとする。ただし、波長8μm〜12μmの範囲の測定光を用いて取得した1次元表面温度分布には、水のりの影響により大幅な温度低下が発生するので、鋳片の想定温度範囲の下限値である500度以下の値は棄却して平均値を算出する。
一方、波長0.85μm〜1μmの測定光を用いて取得した1次元表面温度分布の平均値を算出し、これをMとする。
そして、平均値Mを平均値Mで除して求めた補正係数αを波長0.85μm〜1μmの測定光を用いて取得した1次元表面温度分布に掛けることにより、第1表面温度分布を校正する。
以上の計算を図12の(a−1)および(b−1)に示される鋳片の表面画像における(1)〜(6)の破線位置において行って得られた温度分布が図13に示される温度分布のグラフである。
図13に示される温度分布のグラフから解るように、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法によれば、水煙および水のりの両方の影響を低減することができる。
以上、本発明の実施形態にかかる温度計測装置および温度計測方法について説明したが、本発明の実施は上記実施形態に限定されない。例えば、第1測定光の波長の範囲を波長0.895μm〜0.905μmの範囲に限定すること、または、第2測定光の波長の範囲を波長9.5μm〜10.5μmの範囲に限定することなどによっても、本発明を適切に実施することができる。
1 連続鋳造機
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 鋳片
7 ロール
8 ロールセグメント
9a 上側フレーム
9b 下側フレーム
10a,10b 撮像手段
10a 第1撮像手段
10a 第2撮像手段
11 温度計測装置
12 画像処理部
12a 温度変換手段
12b 校正手段
13 出力手段

Claims (6)

  1. 冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する温度測定装置であって、
    波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて前記高温体を撮像する第1撮像手段と、
    波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて前記高温体を撮像する第2撮像手段と、
    前記第1撮像手段および前記第2撮像手段が撮像したそれぞれの画像の輝度を前記高温体の表面温度に変換する温度変換手段と、
    前記第2撮像手段が撮像した画像の輝度から変換された第2表面温度分布を用いて、前記第1撮像手段が撮像した画像の輝度から変換された第1表面温度分布を校正する校正手段と、を備え
    前記校正手段は、前記高温体の想定温度範囲の下限値以下の値を棄却して前記第2表面温度分布の平均値を算出し、算出された平均値を用いて前記第1表面温度分布を校正することを特徴とする温度測定装置。
  2. 前記校正手段は、前記第2表面温度分布の平均値が前記第1表面温度分布の平均値に一致するように、第1表面温度分布を校正することを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
  3. 前記校正手段は、前記第2表面温度分布の平均値を前記第1表面温度分布の平均値で除して求めた補正係数を、前記第1表面温度分布に掛けることにより、前記第1表面温度分布を校正することを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
  4. 冷却水を噴射しながら高温体の表面温度を測定する温度測定方法であって、
    波長0.85μm〜1.0μmの範囲に属する第1測定光を用いて前記高温体を撮像する第1撮像ステップと、
    波長8μm〜12μmの範囲に属する第2測定光を用いて前記高温体を撮像する第2撮像ステップと、
    前記第1撮像ステップおよび前記第2撮像ステップにて撮像したそれぞれの画像の輝度を前記高温体の表面温度に変換する温度変換ステップと、
    前記第2測定光を用いて撮像された画像の輝度から変換された第2表面温度分布を用いて、前記第1測定光を用いて撮像された画像の輝度から変換された第1表面温度分布を校正する校正ステップと、を含み、
    前記校正ステップは、前記高温体の想定温度範囲の下限値以下の値を棄却して前記第2表面温度分布の平均値を算出し、算出された平均値を用いて前記第1表面温度分布を校正するステップを含むことを特徴とする温度測定方法。
  5. 前記校正ステップは、前記第2表面温度分布の平均値が前記第1表面温度分布の平均値に一致するように、第1表面温度分布を校正することを特徴とする請求項に記載の温度測定方法。
  6. 前記校正ステップは、前記第2表面温度分布の平均値を前記第1表面温度分布の平均値で除して求めた補正係数を、前記第1表面温度分布に掛けることにより、前記第1表面温度分布を校正することを特徴とする請求項に記載の温度測定方法。
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