JP5920272B2 - 統合弁 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクルに適用される統合弁に関する。
従来、電気自動車等のように車室内の暖房用の熱源を確保し難い車両に適用される車両用空調装置として、ヒートポンプサイクル(蒸気圧縮式の冷凍サイクル)にて、車室内へ送風される送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うものが知られている。
例えば、特許文献1には、この種の車両用空調装置に適用されるヒートポンプサイクルとして、冷房運転時の冷媒回路と暖房運転時の冷媒回路とを切り替え可能に構成されたものが開示されている。
この特許文献1のヒートポンプサイクルでは、暖房運転時には、室外熱交換器にて冷媒が外気から吸熱した熱を室内凝縮器にて送風空気に放熱させる冷媒回路に切り替えて送風空気を加熱している。
より具体的には、特許文献1のヒートポンプサイクルでは、暖房運転時に、ガスインジェクションサイクル(エコノマイザ式冷凍サイクル)に切り替えて、暖房運転時におけるサイクル効率(COP)の向上を図っている。なお、ガスインジェクションサイクルは、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構にて冷媒を多段階に昇圧する構成として、サイクルの中間圧気相冷媒を低段側圧縮機構から吐出された冷媒と合流させて高段側圧縮機構へ吸入させるものである。
特許第3257361号
ところで、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒回路を切り替えるヒートポンプサイクルでは、冷媒回路切替手段として開閉弁や四方弁等の複数の弁体を備える必要があり、サイクル構成や冷媒回路を切り替えるための制御が複雑化するといった問題がある。
特に、特許文献1のようにガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクルでは、通常のヒートポンプサイクルに対してサイクル構成が複雑化し易く、サイクル全体としての搭載対象物(例えば、車両)への搭載性が悪化するといった問題がある。
上記点に鑑み、本発明は、ヒートポンプサイクルのサイクル構成の簡素化を図ることのできる統合弁を提供することを目的とする。
本発明は、吸入ポート(11a)から吸入した冷媒を圧縮して吐出ポート(11c)から高圧冷媒を吐出するとともに、サイクル内の中間圧冷媒を流入させて圧縮過程の冷媒に合流させる中間圧ポート(11b)を有する圧縮機(11)、吐出ポートから吐出された高圧冷媒と熱交換対象流体とを熱交換させて、熱交換対象流体を加熱する利用側熱交換器(12)、利用側熱交換器から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる高段側減圧手段(13)、サイクル内の低圧冷媒を蒸発させて、吸入ポート側へ流出させる蒸発器(20)を含んで構成されるガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクル(10)に適用される統合弁を対象としている。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
高段側減圧手段にて減圧された中間圧冷媒を流入させる冷媒流入口(141a)、冷媒流入口から流入した冷媒の気液を分離する気液分離空間(141b)、気液分離空間にて分離された気相冷媒を中間圧ポート側へ流出させる気相冷媒流出口(141c)、および気液分離空間にて分離された液相冷媒を蒸発器側へ流出させる液相冷媒流出口(141d)が形成されたボデー(140)と、
ボデーの内部に形成された気液分離空間から液相冷媒流出口へ至る液相冷媒通路(141n)に設けられ、気液分離空間にて分離された液相冷媒を減圧して液相冷媒流出口側へ流出させる固定絞り(17)と、
気液分離空間にて分離された気相冷媒を気相冷媒流出口へ導く気相冷媒通路(141g)を開閉する統合弁体(29)と、
駆動機構(29c)を介して統合弁体に連結されて、統合弁体を変位させる駆動手段(28)と、を備え、
ボデーには、気液分離空間の外側で気相冷媒通路から分岐して少なくとも気液分離空間にて分離された気相冷媒を液相冷媒流出口へ導く分岐通路(141j)が形成されており、
統合弁体は、ボデーの内部における分岐通路と気相冷媒通路との分岐部(141k)に収容されており、
駆動手段は、分岐通路を閉じて気相冷媒通路を開く位置、および分岐通路を開いて気相冷媒通路を閉じる位置に統合弁体を変位させることを特徴としている。
これによれば、単一の統合弁により、中間圧冷媒の気液分離、気相冷媒通路の開閉、並びに、液相冷媒の減圧を実現することができる。そして、駆動手段によって統合弁体を変位させるだけで、サイクル内部の冷媒回路を、ガスインジェクションサイクルの冷媒回路に切り替え可能となる。従って、ガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクルを簡素なサイクル構成で実現できる。
加えて、本発明では、気液分離空間の外側に位置する分岐通路と気相冷媒通路との分岐部に統合弁体を収容する構成としているので、統合弁体の変位が気液分離空間における気液分離性に影響してしまうことを防止できる。
なお、請求項における「気相冷媒」とは、気相状態の冷媒(単相の冷媒)だけを意味するわけではなく、気相状態の冷媒を主とする気液混相状態の冷媒も含む意味である。また、「液相冷媒」とは、液相状態の冷媒(単相の冷媒)だけを意味するわけではなく、液相状態の冷媒を主とする気液混相状態の冷媒も含む意味である。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの冷房運転モードおよび除湿暖房運転モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第1暖房モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第2暖房モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。 第1実施形態に係る統合弁の気相冷媒通路の開放時における上下方向断面図である。 第1実施形態に係る統合弁の気相冷媒通路の閉鎖時における上下方向断面図である。 第1実施形態に係る統合弁の要部を示す上下方向断面図である。 図6のVII−VII断面図である。 冷媒導入通路の配置の変形例を示す断面図である。 第1実施形態に係る固定絞りの流量特性を示す特性図である。 第1実施形態に係る固定絞りの流量特性の熱害の影響を示す特性図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの冷房運転モード時の特性を示すモリエル線図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第1暖房モード時の特性を示すモリエル線図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第2暖房モード時の特性を示すモリエル線図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第1除湿暖房モード時の特性を示すモリエル線図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第2除湿暖房モード時の特性を示すモリエル線図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第3除湿暖房モード時の特性を示すモリエル線図である。 第1実施形態に係るヒートポンプサイクルの第4除湿暖房モード時の特性を示すモリエル線図である。 既存のヒートポンプサイクルの全体構成図である。 第2実施形態に係る統合弁の気相冷媒通路の開放時における上下方向断面図である。 第2実施形態に係る統合弁の気相冷媒通路の閉鎖時における上下方向断面図である。 第3実施形態に係る統合弁の気相冷媒通路の開放時における上下方向断面図である。 第3実施形態に係る統合弁の気相冷媒通路の閉鎖時における上下方向断面図である。 第3実施形態に係る統合弁の第1変形例を示す上下方向断面図である。 第3実施形態に係る統合弁の第2変形例を示す上下方向断面図である。 第3実施形態に係る統合弁の第3変形例を示す上下方向断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1〜図17を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、本発明の統合弁14を備えるヒートポンプサイクル(蒸気圧縮式の冷凍サイクル)10を、走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車の車両用空調装置1に適用している。このヒートポンプサイクル10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却あるいは加熱する機能を果たす。従って、本実施形態の熱交換対象流体は送風空気である。
図1は、車室内を冷房する冷房運転モード(送風空気を冷却する冷却運転モード)あるいは車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房運転モード(除湿運転モード)の冷媒回路を示すヒートポンプサイクル10の全体構成図である。また、図2、図3は、車室内を暖房する暖房運転モード(送風空気を加熱する加熱運転モード)の冷媒回路を示すヒートポンプサイクル10の全体構成図である。本実施形態のヒートポンプサイクル10は、図1に示す冷媒回路、および図2、図3に示す冷媒回路を切替可能に構成されている。
より詳細には、このヒートポンプサイクル10では、後述するように暖房運転モードとして、外気温が極低温時(例えば、0℃以下の時)に実行される第1暖房モード(図2)、通常の暖房が実行される第2暖房モード(図3)を切り替えることができる。なお、図1〜図3では、それぞれの運転モードにおける冷媒の流れを実線矢印で示している。
また、このヒートポンプサイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力Pdが冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
ヒートポンプサイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、車両のボンネット内に配置され、ヒートポンプサイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。この圧縮機11は、その外殻を形成するハウジングの内部に、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構との2つの圧縮機構、および、双方の圧縮機構を回転駆動する電動モータを収容して構成された二段昇圧式の電動圧縮機である。
圧縮機11には、低圧冷媒を低段側圧縮機構に吸入する吸入ポート11a、外部から中間圧冷媒を流入させて低圧から高圧への圧縮過程の冷媒に合流させる中間圧ポート11b、および高段側圧縮機構で圧縮された高圧冷媒を吐出する吐出ポート11cが設けられている。
より具体的には、中間圧ポート11bは、低段側圧縮機構の冷媒吐出口側(すなわち、高段側圧縮機構の冷媒吸入口側)に接続されている。なお、各圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構、ローリングピストン型圧縮機構等の各種形式の圧縮機構を採用することができる。
電動モータは、後述する空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態では、電動モータが圧縮機11の吐出能力変更手段を構成している。
なお、本実施形態では、2つの圧縮機構を1つのハウジング内に収容した圧縮機11を採用しているが、圧縮機の形式はこれに限定されない。中間圧ポート11bから中間圧冷媒を流入させて低圧から高圧への圧縮過程の冷媒に合流させることが可能であれば、例えば、ハウジング内部に、固定容量型の圧縮機構および当該圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成される電動圧縮機であってもよい。
さらに、2つの圧縮機を直列に接続して、低段側に配置される低段側圧縮機と高段側に配置される高段側圧縮機との双方によって、1つの二段昇圧式の圧縮機を構成してもよい。この場合、低段側圧縮機の吸入口を吸入ポート11aとし、高段側圧縮機の吐出口を吐出ポート11cとし、低段側圧縮機の吐出口と高段側圧縮機との吸入口とを接続する接続部に中間圧ポート11bを設ければよい。
圧縮機11の吐出ポート11cには、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置され、圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能し、後述する室内蒸発器23を通過した送風空気を加熱する利用側熱交換器(第1利用側熱交換器)である。
室内凝縮器12の冷媒出口側には、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる高段側減圧手段(第1減圧手段)としての高段側膨脹弁13の入口側が接続されている。この高段側膨脹弁13は、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。
より具体的には、高段側膨脹弁13では、冷媒を減圧させる絞り状態となると、絞り通路面積が相当直径φ0.5〜φ3mmとなる範囲で絞り開度を変化させる。さらに、絞り開度を全開とすると、絞り通路面積を相当直径φ10mm程度確保して、冷媒減圧作用を発揮させないようにすることもできる。なお、高段側膨脹弁13は、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。高段側膨脹弁13の出口側には、統合弁14の冷媒流入口141aが接続されている。
統合弁14は、ヒートポンプサイクル10をガスインジェクションサイクルとして機能させるために必要な構成機器の一部を一体的に構成したものであり、サイクルを循環する冷媒の冷媒回路を切り替える冷媒回路切替手段としての機能を果たす。
本実施形態の統合弁14は、冷媒の気液を分離する気液分離手段(気液分離空間141b)、気液分離手段で分離された気相冷媒の冷媒通路を切り替える統合弁体29、気液分離手段で分離された液相冷媒を減圧させる固定絞り17等を一体的に構成している。
統合弁14の詳細構成については、図4〜図8を用いて説明する。なお、図4、図5は、本実施形態の統合弁14の模式的な上下方向断面図である。なお、図4は、後述するステッピングモータ28が統合弁体29を気相冷媒通路141gの開放位置に変位させた状態における断面図を示し、図5は、ステッピングモータ28が統合弁体29を気相冷媒通路141gの閉鎖位置に変位させた状態における断面図を示している。また、図4、図5における上下の各矢印は、統合弁14を車両用空調装置1に搭載した状態における上下の各方向を示している(以降の実施形態においても同様)。なお、図6が図4、図5の気液分離空間141bを含む要部の断面図を示し、図7が図6のVII−VII断面図を示し、図8が統合弁14内部の配置形態の変形例を示している。
統合弁14は、その外殻を形成するとともに、内部に統合弁体29等を収容するボデー140を有している。ボデー140は、その軸方向が上下方向に延びる略角筒状の金属ブロック体(例えば、アルミニウム)で構成されている。本実施形態のボデー140は、上方側に配置されるアッパーブロック141、およびアッパーブロック141の下方側に取り付け固定されるロワーブロック142によって構成されている。
ボデー140には、その内部に高段側膨脹弁13から流出した冷媒の気液を分離する気液分離空間141bが形成されている。この気液分離空間141bは、各ブロック141、142の壁面により区画形成されており、その軸線方向が上下方向に延びる外観略角柱状に形成されている。
ボデー140の外周側壁面には、高段側膨脹弁13からの冷媒を流入させる冷媒流入口141a、中間圧ポート11bに気相冷媒を流出させる気相冷媒流出口141c、後述する室外熱交換器20側に冷媒を流出させる液相冷媒流出口141dが形成されている。
本実施形態の各冷媒流出口141c、141dは、ボデー140における気液分離空間141bの上方側部位に形成されており、後述する気相冷媒通路141g、液相冷媒通路141n等を介して気液分離空間141bに連通している。
ボデー140の内部には、冷媒流入口141aから気液分離空間141bへ冷媒を導く冷媒導入通路141eが形成されている。この冷媒導入通路141eは、気液分離空間141bの径方向の壁面に形成された冷媒導入穴141fを介して、気液分離空間141bに連通している。
本実施形態の冷媒導入通路141eは、図7の断面図に示すように、気液分離空間141bの軸方向(本実施形態では、上下方向)から見たときに、気液分離空間141bの内周側壁面の接線方向に延びるように形成されている。従って、冷媒流入口141aから気液分離空間141bへ流入した冷媒は、図6に示すように、気液分離空間141bの内周側壁面に沿って旋回するように流れる。
そして、この旋回流れによって生じる遠心力の作用によって気液分離空間141b内へ流入した冷媒の気液が分離され、分離された液相冷媒が重力の作用によって気液分離空間141bの下方側へ落下する。つまり、本実施形態の気液分離空間141bは、遠心分離方式の気液分離手段を構成している。
ここで、気液分離空間141bは、図6に示すように、冷媒流入口141aから流入した冷媒が内側壁面に沿って旋回する旋回空間A1と、冷媒の気液を分離する分離空間A2と、分離空間A2で分離された液相冷媒を貯留する貯留空間A3とで構成されている。
旋回空間A1は、気液分離空間141bの内周側壁面と後述する分離気相冷媒流出パイプ143(以下、単にパイプ143という。)の外周側壁面との間に形成される空間であり、軸方向の高さが、気液分離空間141b全体の半分以上となっている。
また、分離空間A2は、旋回空間A1の下方におけるパイプ143の長手方向一端部(下端部)と後述するシャッタ部材145の板部145aとの間に形成される空間であり、軸方向の高さがパイプ143の内径と同等なっている。
そして、貯留空間A3は、分離空間A2の下方に位置し、後述するシャッタ部材145の板部145aと気液分離空間141bの底面との間に形成される空間である。なお、貯留空間A3の軸方向の高さは、気液分離空間141b全体の高さから旋回空間A1および分離空間A2の高さを除いた高さとなる。
また、本実施形態の冷媒導入穴141fは、気液分離空間141bの軸方向に延びる長穴で構成されている。換言すれば、冷媒導入穴141fは、気液分離空間141bの軸方向に延びる縦幅Dvが、気液分離空間141bの接線に対して直交方向に延びる横幅Dhよりも長くなっている(Dv>Dh)。
これにより、気液分離空間141bに導入された冷媒は、気液分離空間141bを旋回する際に、その主流が気液分離空間141bの径方向内側へ拡散することなく、径方向外側の壁面に沿って旋回する。このため、気液分離空間141bに流入した冷媒に対して効果的に遠心力を作用させることができ、統合弁14の内部における気液分離効率の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態の冷媒導入穴141fは、後述するパイプ143の長手方向一端部側(下端部側)よりも長手方向他端部側(上端部側)に近い位置に開口している。
ここで、冷媒導入穴141fにおける下端部の位置から後述するパイプ143の長手方向一端部までの距離Lvは、冷媒導入穴141fの縦幅Dvに応じて設定されている。具体的には、冷媒導入穴141fにおける下端部の位置からパイプ143の長手方向一端部までの距離Lvは、以下数式F1に示すように、冷媒導入穴141fの縦幅Dvの半分以上となるように設定されている。
Lv≧(1/2)×Dv…(F1)
このように、冷媒導入穴141fの端部位置からパイプ143の一端部までの距離Lvを設定すれば、気液分離空間141bを旋回する冷媒の助走区間を充分に確保できるので、統合弁14の内部における気液分離効率の向上を図ることができる。
また、図7、図8に示すように、冷媒導入通路141eの中心線CLと、当該中心線CLに平行となる気液分離空間141bの径方向外側の壁面における接線TLとの距離Lhは、冷媒導入穴141fの横幅Dhに応じて設定されている。具体的には、中心線CLと接線TLとの距離Lhは、以下数式F2に示すように、冷媒導入穴141fの横幅Dhの半分以上、1.5倍以下となるように設定されている。
(1/2)×Dh≦Lh≦(3/2)×Dh…(F2)
なお、図7は、中心線CLと接線TLとの距離Lhを、冷媒導入穴141fの横幅Dhの半分とした際のVII−VII断面を示し、図8は、中心線CLと接線TLとの距離Lhを、冷媒導入穴141fの横幅Dhの1.5倍とした際のVII−VII断面を示している。
このように、中心線CLと接線TLとの距離Lhを設定すれば、気液分離空間141bへ流入した冷媒が気液分離空間141bを旋回する際に、冷媒に大きな遠心力を作用させることができ、統合弁14の内部における気液分離効率の向上を図ることができる。
図4、図5に戻り、ボデー140には、気液分離空間141bにて分離された気相冷媒を気相冷媒流出口141c側へ導く気相冷媒通路141gが形成されている。本実施形態の気相冷媒通路141gは、気液分離空間141bに配置されたパイプ143の内部通路143a、および気液分離空間141bの上方側に形成された気相冷媒流出口141cに連通する気相側連通路141hにより構成されている。
パイプ143は、円筒状に形成されており、気液分離空間141bと同軸上に配置されている。従って、気液分離空間141b内へ流入した冷媒は、パイプ143の周囲を旋回する。
パイプ143の最下端部は、気液分離空間141bの内部に位置付けられるように延びており、この最下端部には、気液分離空間141bにて分離された気相冷媒を流出させる分離気相冷媒出口穴143bが形成されている。
また、パイプ143の上端側は、気相冷媒流出口141cに連通する気相側連通路141hに接続されている。気相側連通路141hは、パイプ143の内部通路143aを流通する気相冷媒を気相冷媒流出口141cに導くための冷媒通路であり、気液分離空間141bの軸方向に垂直な方向に延びるように形成されている。
なお、気相側連通路141hには、後述する分岐部141k側に向けて突出する円環状の気相側突出部141iが形成されている。この気相側突出部141iは、後述する統合弁体29が気相側連通路141hを閉じた際に、統合弁体29の気相側シール部材29aが当接する弁座部を構成している。
ここで、ボデー140には、気液分離空間141bの上方側に、気相冷媒通路141gの気相側連通路141hから分岐して、少なくとも気液分離空間141bにて分離された気相冷媒を液相冷媒流出口141d側へ導く分岐通路141jが形成されている。
分岐通路141jは、パイプ143の上端側にて気相側連通路141hから分岐している。つまり、パイプ143の上端側(長手方向他端部)は、気相側連通路141hおよび分岐通路141jの分岐部141kに接続されている。
本実施形態の分岐通路141jは、ボデー140における気液分離空間141bの上方側に設けられた筒状体144の内部に、気液分離空間141bの軸方向に垂直な方向に延びるように形成されている。
筒状体144は、その軸方向が気液分離空間141bの軸方向と直交するように配置される略円筒状の金属部材で構成されており、各冷媒流出口141c、141dを横断するようにボデー140に形成された有底穴に締結固定されている。なお、ボデー140に形成された有底穴と筒状体144の外周側との隙間には、当該隙間からの冷媒の漏れを防止するためのシール部材が配置されている。
また、筒状体144には、分岐部141k側に向けて突出する円環状の液相側突出部141mが形成されている。この液相側突出部141mは、後述する統合弁体29が分岐通路141jを閉じた際に、統合弁体29の液相側シール部材29bが当接する弁座部を構成している。
分岐部141kには、気相冷媒通路141gを開閉する統合弁体29が収容されている。統合弁体29は、気液分離空間141bにて分離された気相冷媒の冷媒通路を気相側連通路141hおよび分岐通路141jに切り替える通路切替手段を構成している。
本実施形態の統合弁体29は、気相側連通路141hおよび分岐通路141jそれぞれの内径に適合する外径を有する円盤状の部材で構成されている。そして、統合弁体29には、気相側連通路141h側に円環状に形成された樹脂性の気相側シール部材29aが配置されている。この気相側シール部材29aは、統合弁体29が気相側連通路141hを閉じる位置に変位した際に、弁座部を構成する気相側突出部141iと当接して、気相側連通路141h側への冷媒の流入を防止する部材である。
また、統合弁体29には、分岐通路141j側に円環状に形成された樹脂性の液相側シール部材29bが配置されている。この液相側シール部材29bは、統合弁体29が分岐通路141jを閉じる位置に変位した際に、弁座部を構成する液相側突出部141mと当接して、分岐通路141j側への冷媒の流入を防止する部材である。
さらに、統合弁体29は、駆動機構として機能するシャフト29cを介して、ボルト等の締結手段により筒状体144に固定されたステッピングモータ28の可動部材に連結されている。シャフト29cは、筒状体144と同軸上に配置され、分岐通路141jを貫通するように配置されている。
ステッピングモータ28は、統合弁体29をシャフト29cの軸方向(紙面左右方向)に変位させる駆動手段であり、後述の空調制御装置40から出力される制御パルスによって、その作動が制御される。
ここで、本実施形態の気相側連通路141hには、統合弁体29に分岐通路141jを閉じる側への荷重を加えるコイルバネからなるスプリング(弾性部材)29dが収容されている。このスプリング29dは、統合弁体29に対して、統合弁体29の液相側シール部材29bを筒状体144の液相側突出部141mに押し付ける方向への荷重をかけるものである。
ステッピングモータ28は、気相側連通路141hを開いて気相冷媒流出口141c側へ冷媒を流出させる際に、図4に示すように、気相側連通路141hを開くと共に、分岐通路141jを閉じる位置に統合弁体29を変位させる。
一方、ステッピングモータ28は、気相側連通路141hを閉じて液相冷媒流出口141d側へ冷媒を流出させる際に、図5に示すように、気相側連通路141hを閉じると共に、分岐通路141jを開く位置に統合弁体29を変位させる。
なお、ステッピングモータ28による荷重がスプリング29dによる荷重を上回ることによって、統合弁体29が気相側連通路141hを閉じる側に変位する。このため、本実施形態の統合弁体29等は、ステッピングモータ28による荷重を加えない状態にて気相側連通路141hを開くノーマルオープン型の弁を構成している。
続いて、ボデー140の内部には、気液分離空間141bにて分離された液相冷媒を液相冷媒流出口141dに導く液相冷媒通路141nが形成されている。この液相冷媒通路141nは、冷媒流れ最上流側が気液分離空間141bの貯留空間A3の内側壁面に開口する分離液相冷媒出口穴142aを介して気液分離空間141bに連通している。
ここで、分離液相冷媒出口穴142aは、パイプ143の分離気相冷媒出口穴143bよりも下方側に形成されている。そして、分離液相冷媒出口穴142aおよび分離気相冷媒出口穴143bの間には、気液分離空間141bの貯留空間A3に溜まった液相冷媒の分離気相冷媒出口穴143b側への飛散を防止するシャッタ部材145が配置されている。
このシャッタ部材145は、気液分離空間141bの軸方向に垂直に広がる円盤状の板部145a、および板部145aを気液分離空間141bの底面に固定する脚部145bで構成されている。
本実施形態のシャッタ部材145は、液相冷媒が貯留空間A3側へ流れるように、板部145aの直径(最大径)が気液分離空間141bの直径よりも小さくなっている。なお、本実施形態の板部145aは、液相冷媒が貯留空間A3側へ流れる際の圧力損失を抑えるために、分離気相冷媒出口穴143b側の外周縁部をテーパ形状としている。また、板部145aの直径は、気液分離空間141bにおける気液分離効率等を考慮して、分離気相冷媒出口穴143bの直径よりも大きくすることが望ましい。
液相冷媒通路141nは、冷媒流れ最下流側が筒状体144の径方向側面に設けられた連通穴を介して、液相冷媒流出口141dに連通している。本実施形態の液相冷媒通路141nは、分離液相冷媒出口穴142a側の冷媒通路が気液分離空間141bの軸方向に垂直に延び、液相冷媒流出口141d側の冷媒通路が気液分離空間141bの軸方向に沿って延びるように形成されている。従って、液相冷媒通路141nは、分離液相冷媒出口穴142aから流入した冷媒が、略直角に流れ方向を転換させて液相冷媒流出口141d側へ流れる。
液相冷媒通路141nには、統合弁体29が分岐通路141jを閉じた際に、気液分離空間141bにて分離された液相冷媒を減圧させて液相冷媒流出口141d側へ流出させる固定絞り17が形成されている。なお、本実施形態の固定絞り17は、気液分離空間141bの軸方向に沿って延びる液相冷媒流出口141d側の冷媒通路に形成されている。
この固定絞り17としては、絞り開度が固定されたノズルやオリフィスを採用することができる。ここで、ノズル、オリフィス等の固定絞りでは、絞り通路面積が急縮小や急拡大するので、冷媒流れ上流側と下流側との圧力差の変化に伴って、固定絞り17を通過する冷媒の流量および固定絞り上流側の冷媒の乾き度を自己調整可能となる。
具体的には、固定絞り17の冷媒流量が減少するに伴って、固定絞り17上流側冷媒の乾き度が大きくなるようにバランスする。
固定絞り17上流側冷媒の乾き度が大きくなってしまうと、室外熱交換器20が蒸発器として機能する際に、室外熱交換器20における冷媒の吸熱量(冷凍能力)が減ってサイクルの成績係数(COP)が悪化してしまう。そこで、本実施形態では、暖房運転モード(第1暖房モード)時にサイクルの負荷変動によって必要循環冷媒流量が変化しても、固定絞り17上流側冷媒の乾き度Xが0.1以下となるようにして、COPの悪化を抑制している。
換言すると、本実施形態の固定絞り17では、ヒートポンプサイクル10に負荷変動が生じた際に想定される範囲で、冷媒循環流量および固定絞り17の出入口間差圧が変化しても、固定絞り17上流側冷媒の乾き度Xが0.1以下に自己調整されるものが採用されている。
ここで、気液分離空間141bでは、冷媒の気液が分離されるものの、気相冷媒の一部が液相冷媒に混合してしまう。このため、分離液相冷媒出口穴142aから液相冷媒通路141nに流入する冷媒は、気相冷媒が混合した状態となる。このように気相冷媒が混合してしまうことは、固定絞り17における減圧特性を不安定化させる要因となる。
これに対して、本実施形態では、液相冷媒通路141nに流入した冷媒の流れ方向を略直角に流れ方向を転換させるので、液相冷媒通路141nを流れる冷媒に気相冷媒が混合していても、固定絞り17の減圧特性を安定化させることができる。
この点について、図9を用いて説明する。なお、図9は、固定絞り17の流量特性図(絞り特性図)であり、暖房運転モード(第1暖房モード)時おける固定絞り17上流側冷媒の乾き度Xに対する絞り流量Qの変化を示している。絞り流量Qは、固定絞り17を通過する冷媒流量(質量流量)である。
前述の如く、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、サイクルの運転条件が変化しても、固定絞り17上流側冷媒の乾き度Xが0.1以下となっていることが望ましい。その理由は、乾き度Xが増加してしまうと蒸発器として機能する熱交換器における吸熱量(出口側冷媒のエンタルピと入口側冷媒のエンタルピとのエンタルピ差)が小さくなってしまい、COPが悪化してしまうからである。
そして、固定絞り17上流側冷媒の乾き度Xが0.1以下とするためには、固定絞り17の流量特性として、ゲイン(乾き度Xの低下に伴って絞り流量Qが増加する割合)が大きくなっていることが望ましい。つまり、絞り流量Qの変化に対して乾き度Xの変化が小さい流量特性が望ましい。
図9から明らかなように、液相冷媒通路141nへ流入する冷媒が気液混相状態となっており、液相冷媒の流速と気相冷媒の流速との比(以下、スリップ比という。)が高くなっていると、ゲインが小さくなって絞り流量Qが上昇してしまう。なお、スリップ比は、気相冷媒の流速/液相冷媒の流速で定義される。
これに対して、本実施形態では、分離液相冷媒出口穴142aから液相冷媒通路141nへ流入した冷媒の流れ方向を略直角に転換させるので、気相冷媒と液相冷媒との撹拌を促進させて、スリップ比を低い値に安定化させることができる。
その結果、固定絞り17の減圧特性を安定化させることができるとともに、スリップ比を低い値に安定化させることで、ゲインを大きくすることができ、固定絞り17における乾き度Xの自己調整機能を充分に発揮させることができる。
さらに、本実施形態では、ボデー140の内部に気液分離空間141b、液相冷媒通路141nおよび固定絞り17を一体的に構成している。このため、気液分離空間141bの分離液相冷媒出口穴142aから固定絞り17へ至る冷媒通路を別の配管で構成する場合に対して、液相冷媒通路141nを流通する冷媒が統合弁14の外部から受ける熱を少なくすることができる。
従って、液相冷媒通路141nを流通する冷媒が統合弁14の外部から受ける熱によって沸騰して気化してしまう現象(以下、熱害という)を抑制できる。この点について図10を用いて説明する。なお、図10は、固定絞り17上流側冷媒圧力と下流側冷媒圧力との圧力差を一定とした時に熱害による影響を示す流量特性図(絞り特性図)である。
図10から明らかなように、熱害によって固定絞り17上流側冷媒の乾き度Xが増加してしまうと、絞り流量Qが低下してしまう。さらに、熱害によって液相冷媒通路141nを流通する冷媒の密度が低下してしまうと、冷媒が液相冷媒通路141nを流通する際の圧力損失が増加して乾き度Xが一定であっても絞り流量Qが低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、ボデー140の内部に気液分離空間141b、液相冷媒通路141nおよび固定絞り17を一体的に構成している。このため、上述した熱害による乾き度Xの増加および圧力損失の増加を抑制して、固定絞り17における絞り流量Qの低下を効果的に抑制することができる。
このように構成される統合弁14では、ステッピングモータ28が統合弁体29を気相側連通路141hの開放位置に変位させた場合、気相冷媒通路141gが気相冷媒流出口141cに連通し、液相冷媒通路141nが液相冷媒流出口141dに連通する(図4参照)。このため、気液分離空間141bにて分離された気相冷媒が気相冷媒通路141gを介して気相冷媒流出口141cから流出し、気液分離空間141bにて分離された液相冷媒が固定絞り17にて減圧された後、液相冷媒流出口141dから流出する。
また、ステッピングモータ28が統合弁体29を気相側連通路141hの閉鎖位置に変位させた場合、液相冷媒通路141nとパイプ143の内部通路143とが連通する(図5参照)。このため、気液分離空間141bにて分離された気相冷媒および液相冷媒は、液相冷媒通路141nおよび分岐通路141jの双方を介して液相冷媒流出口141dから流出する。
なお、統合弁14の気相冷媒流出口141cから圧縮機11の中間圧ポート11bに至る冷媒配管には、統合弁14から圧縮機11の中間圧ポート11bへ冷媒が流れることだけを許容する図示しない逆止弁が配置されている。これにより、圧縮機11側から統合弁14側へ冷媒が逆流することを防止している。勿論、この逆止弁を統合弁14あるいは圧縮機11と一体的に構成してもよい。
図1〜図3に戻り、統合弁14の液相冷媒流出口141dには、室外熱交換器20の冷媒入口側が接続されている。室外熱交換器20は、ボンネット内に配置されて、内部を流通する冷媒と送風ファン21から送風された外気とを熱交換させるものである。この室外熱交換器20は、少なくとも暖房運転モード時(第1、第2暖房モード時)には、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、冷房運転モード時等には、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
室外熱交換器20の冷媒出口側には、第2減圧手段としての冷房用膨脹弁22の冷媒入口側が接続されている。冷房用膨脹弁22は、冷房運転モード時等に室外熱交換器20から流出し、室内蒸発器23へ流入する冷媒を減圧させるものである。この冷房用膨脹弁22の基本的構成は、高段側膨脹弁13と同様であり、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
冷房用膨脹弁22の出口側には、室内蒸発器23の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器23は、室内空調ユニット30の空調ケース31内のうち、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側に配置され、冷房運転モードおよび除湿暖房運転モード等にその内部を流通する冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることにより送風空気を冷却する蒸発器(第2利用側熱交換器)として機能する。
室内蒸発器23の出口側には、アキュムレータ24の入口側が接続されている。アキュムレータ24は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄える低圧側気液分離器である。さらに、アキュムレータ24の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入ポート11aが接続されている。従って、室内蒸発器23は、圧縮機11の吸入ポート11a側へ流出させるように接続されている。
さらに、室外熱交換器20の冷媒出口側には、室外熱交換器20から流出した冷媒を冷房用膨脹弁22および室内蒸発器23を迂回させてアキュムレータ24の入口側へ導く膨脹弁迂回用通路25が接続されている。この膨脹弁迂回用通路25には、迂回通路開閉弁27が配置されている。
迂回通路開閉弁27は、膨脹弁迂回用通路25を開閉する電磁弁であり空調制御装置40から出力される制御電圧によって、その開閉作動が制御される。また、冷媒が迂回通路開閉弁27を通過する際に生じる圧力損失は、冷房用膨脹弁22を通過する際に生じる圧力損失に対して極めて小さい。
従って、室外熱交換器20から流出した冷媒は、迂回通路開閉弁27が開いている場合には膨脹弁迂回用通路25を介してアキュムレータ24へ流入する。この際、冷房用膨脹弁22の絞り開度を全閉としてもよい。
また、迂回通路開閉弁27が閉じている場合には冷房用膨脹弁22を介して室内蒸発器23へ流入する。これにより、迂回通路開閉弁27は、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路を切り替えることができる。従って、本実施形態の迂回通路開閉弁27は、統合弁14とともに、冷媒回路切替手段を構成している。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。室内空調ユニット30は、その外殻を形成すると共に、その内部に車室内に送風される送風空気の空気通路を形成する空調ケース31を有している。そして、この空気通路に送風機32、前述の室内凝縮器12、室内蒸発器23等が収容されている。
空調ケース31の空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置33が配置されている。この内外気切替装置33は、空調ケース31内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を連続的に変化させるものである。
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置40から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機32の空気流れ下流側には、前述の室内蒸発器23および室内凝縮器12が、送風空気の流れに対して、室内蒸発器23→室内凝縮器12の順に配置されている。換言すると、室内蒸発器23は、室内凝縮器12に対して、空気流れ上流側に配置されている。
また、空調ケース31内には、室内蒸発器23通過後の送風空気を、室内凝縮器12を迂回して流すバイパス通路35が設けられており、室内蒸発器23の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の空気流れ上流側には、エアミックスドア34が配置されている。
本実施形態のエアミックスドア34は、室内蒸発器23通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12側を通過する送風空気の風量とバイパス通路35を通過させる風量との風量割合を調整するものである。つまり、エアミックスドア34は、室内凝縮器12へ流入する送風空気の流量(風量)を調整する流量調整手段であり、室内凝縮器12の熱交換能力を調整する機能を果たす。
また、室内凝縮器12およびバイパス通路35の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて冷媒と熱交換して加熱された送風空気とバイパス通路35を通過して加熱されていない送風空気が合流する合流空間36が設けられている。
空調ケース31の空気流れ最下流部には、合流空間36にて合流した送風空気を、冷却対象空間である車室内へ吹き出す開口穴が配置されている。具体的には、この開口穴としては、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ開口穴37a、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口穴37b、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口穴37cが設けられている。
従って、エアミックスドア34が、室内凝縮器12を通過させる風量とバイパス通路35を通過させる風量との風量割合を調整することによって、合流空間36内の送風空気の温度が調整される。なお、エアミックスドア34は、空調制御装置40から出力される制御信号によって作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
さらに、各開口穴37a〜37cの空気流れ上流側には、デフロスタ開口穴37aの開口面積を調整するデフロスタドア38a、フェイス開口穴37bの開口面積を調整するフェイスドア38b、フット開口穴37cの開口面積を調整するフットドア38cが配置されている。
各ドア38a〜38cは、各開口穴37a〜37cを開閉して、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、図示しないサーボモータによって駆動される。なお、サーボモータは、空調制御装置40から出力される制御信号によってその作動が制御される。
また、各開口穴37a〜37cの空気流れ下流側は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口に接続されている。
ここで、吹出口モードとしては、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード等がある。なお、フェイスモードは、フェイス開口穴37bを全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すモードである。バイレベルモードは、フェイス開口穴37bとフット開口穴37cの両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すモードである。フットモードは、フット開口穴37cを全開するとともにデフロスタ開口穴37aを小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出すモードである。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。空調制御装置40は、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種空調制御機器(圧縮機11、統合弁14、迂回通路開閉弁27、送風機32等)の作動を制御する。
また、空調制御装置40の入力側には、内気センサ、外気センサ、日射センサ、蒸発器温度センサ、吐出圧センサ、凝縮器温度センサ、圧縮機11へ吸入される吸入冷媒圧力を検出する吸入圧センサ等の空調制御用のセンサ群41が接続されている。なお、内気センサは、外気センサは車室内温度を検出するセンサであり、日射センサは、車室内の日射量を検出するセンサであり、蒸発器温度センサは、室内蒸発器23からの吹出空気温度(蒸発器温度)を検出するセンサである。また、吐出圧センサは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒圧力を検出するセンサであり、凝縮器温度センサは、室内凝縮器12から流出した冷媒の温度を検出するセンサである。
さらに、空調制御装置40の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、冷房運転モード、除湿暖房運転モードおよび暖房運転モードを選択するモード選択スイッチ等が設けられている。
なお、空調制御装置40は、その出力側に接続された各種空調制御機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。
例えば、本実施形態では、圧縮機11の電動モータの作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が吐出能力制御手段を構成する。また、統合弁14および迂回通路開閉弁27の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が冷媒回路制御手段を構成している。勿論、吐出能力制御手段、冷媒回路制御手段等を空調制御装置40に対して別体の制御装置として構成してもよい。
次に、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、前述の如く、車室内を冷房する冷房運転モード、車室内を暖房する暖房運転モード、および、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房モードに切り替えることができる。以下に各運転モードにおける作動を説明する。
(a)冷房運転モード
冷房運転モードは、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって冷房運転モードが選択されると開始される。
冷房運転モードでは、空調制御装置40が、高段側膨脹弁13を全開状態とし、統合弁14のステッピングモータ28が気相冷媒通路141gの気相側連通路141hを閉じる位置に統合弁体29を変位させる。また、空調制御装置40が、冷房用膨脹弁22を減圧作用を発揮する絞り状態とし、迂回通路開閉弁27を閉弁状態とする。
これにより、統合弁14では、図5に示すように、統合弁体29が分岐通路141jを開くと共に、気相側連通路141hを閉じた状態となり、ヒートポンプサイクル10は、図1の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
この冷媒回路の構成で、空調制御装置40が空調制御用のセンサ群41の検出信号および操作パネルの操作信号を読み込む。そして、検出信号および操作信号の値に基づいて車室内へ吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。さらに、算出された目標吹出温度TAOおよびセンサ群の検出信号に基づいて、空調制御装置40の出力側に接続された各種空調制御機器の作動状態を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器23の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。
そして、目標蒸発器吹出温度TEOと蒸発器温度センサの検出値(吹出空気温度)との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて吹出空気温度が目標蒸発器吹出温度TEOに近づくように、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
また、冷房用膨脹弁22へ出力される制御信号については、冷房用膨脹弁22へ流入する冷媒の過冷却度が、COPを略最大値に近づくように予め決定された目標過冷却度に近づくように決定される。また、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を閉塞し、室内蒸発器23通過後の送風空気の全流量がバイパス通路35を通過するように決定される。
そして、上記の如く決定された制御信号等を各種空調制御機器へ出力する。その後、操作パネルによって車両用空調装置の作動停止が要求されるまで、所定の制御周期毎に、各信号の読み込み→目標吹出温度TAOの算出→各種空調制御機器の作動状態決定→制御電圧および制御信号の出力といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
従って、冷房運転モードのヒートポンプサイクル10では、図11のモリエル線図に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図11のa11点)が室内凝縮器12へ流入する。この際、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12へ流入した冷媒は殆ど車室内送風空気へ放熱することなく、室内凝縮器12から流出していく。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、高段側膨脹弁13が全開状態となっているので、高段側膨脹弁13にて殆ど減圧されることなく流出し、統合弁14の冷媒流入口141aから気液分離空間141b内へ流入する。
統合弁14へ流入する冷媒は過熱度を有する気相状態となっているので、統合弁14の気液分離空間141bでは冷媒の気液が分離されることなく、気相冷媒が液相冷媒通路141nおよびパイプ143の内部通路143aへ流入する。さらに、パイプ143の内部通路143aへ流入した気相冷媒は、統合弁体29が分岐通路141jを開いているので、分岐通路141jを介して液相冷媒通路141nを流れる冷媒に合流して液相冷媒流出口141dから流出する。この際、統合弁体29は気相側連通路141hを閉じているので、気相冷媒流出口141cから冷媒が流出することはない。
統合弁14の液相冷媒流出口141dから流出した気相冷媒は、室外熱交換器20へ流入する。室外熱交換器20へ流入した冷媒は、送風ファン21から送風された外気と熱交換して放熱する(図11のa11点→b11点)。室外熱交換器20から流出した冷媒は、迂回通路開閉弁27が閉弁状態となっているので、絞り状態となっている冷房用膨脹弁22へ流入して低圧冷媒となるまで、等エンタルピ的に減圧膨脹される(図11のb11点→c11点)。
そして、冷房用膨脹弁22にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器23へ流入し、送風機32から送風された室内送風空気から吸熱して蒸発する(図11のc11点→d11点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。
室内蒸発器23から流出した冷媒は、アキュムレータ24へ流入して気液分離される。そして、分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入ポート11a(図11のe11点)から吸入されて低段側圧縮機構→高段側圧縮機構の順に再び圧縮される(図11のe11点→a111点→a11点)。一方、分離された液相冷媒はサイクルが要求されている冷凍能力を発揮するために必要としていない余剰冷媒としてアキュムレータ24内に蓄えられる。
なお、図11においてd11点とe11点が異なっている理由は、アキュムレータ24から圧縮機11の吸入ポート11aへ至る冷媒配管を流通する気相冷媒に生じる圧力損失と、気相冷媒が外部(外気)から吸熱する吸熱量を表したものである。従って、理想的なサイクルでは、d11点とe11点が一致していることが望ましい。このことは、以下のモリエル線図においても同様である。
以上の如く、冷房運転モードでは、エアミックスドア34にて室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内蒸発器23にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の冷房を実現することができる。
(b)暖房運転モード
次に、暖房運転モードについて説明する。前述の如く、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、暖房運転モードとして、第1暖房モード、第2暖房モードを実行することができる。まず、暖房運転モードは、車両用空調装置の作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって暖房運転モードが選択されると開始される。
そして、暖房運転モードが開始されると、空調制御装置40が空調制御用のセンサ群41の検出信号および操作パネルの操作信号を読み込み、圧縮機11の冷媒吐出能力(圧縮機11の回転数)を決定する。さらに、決定された回転数に応じて、第1暖房モードあるいは第2暖房モード時を実行する。
(b1):第1暖房モード
まず、第1暖房モードについて説明する。第1暖房モードが実行されると、空調制御装置40が、高段側膨脹弁13を絞り状態とし、統合弁14のステッピングモータ28が分岐通路141jを閉じる位置に統合弁体29を変位させる。また、空調制御装置40が、冷房用膨脹弁22を全閉状態とし、迂回通路開閉弁27を開弁状態とする。
これにより、統合弁14では、図4に示すように、統合弁体29が気相側連通路141hを開くと共に、分岐通路141jを閉じた状態となり、ヒートポンプサイクル10は、図2の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
この冷媒流路構成(サイクル構成)で、空調制御装置40が、冷房運転モードと同様に、空調制御用のセンサ群41の検出信号等を読み込み、目標吹出温度TAO等に基づいて、空調制御装置40の出力側に接続された各種空調制御機器の作動状態を決定する。
なお、第1暖房モードでは、高段側膨脹弁13へ出力される制御信号については、室内凝縮器12における冷媒圧力が予め定めた目標高圧となるように、あるいは、室内凝縮器12から流出する冷媒の過冷却度が予め定めた目標過冷却度となるように決定される。また、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34がバイパス通路35を閉塞し、室内蒸発器23通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を通過するように決定される
従って、第1暖房モードのヒートポンプサイクル10では、図12のモリエル線図に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図12のa12点)が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、送風機32から送風されて室内蒸発器23を通過した車室内送風空気と熱交換して放熱する(図12のa12点→b12点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、絞り状態となっている高段側膨脹弁13にて中間圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧膨脹される(図12のb12点→c112点)。そして、高段側膨脹弁13にて減圧された中間圧冷媒は、統合弁14の冷媒流入口141aから気液分離空間141b内へ流入して気液分離される(図12のc12点→c212点、c12点→c312点)。
気液分離空間141bにて分離された液相冷媒は、液相冷媒通路141nを流れる際に固定絞り17にて低圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧膨脹されて(図12のc312点→c412点)、液相冷媒流出口141dから流出する。
また、統合弁体29が気相側連通路141hを開いているので、気液分離空間141bにて分離された気相冷媒は、統合弁14の気相冷媒流出口141cから流出して圧縮機11の中間圧ポート11b側へ流入する(図12のc212点)。
中間圧ポート11bへ流入した冷媒は、低段側圧縮機構吐出冷媒(図12のa112点)と合流して、高段側圧縮機構へ吸入される(図12のa212点)。一方、統合弁14の液相冷媒流出口141dから流出した冷媒は、室外熱交換器20へ流入して、送風ファン21から送風された外気と熱交換して吸熱する(図12のc412点→d12点)。
室外熱交換器20から流出した冷媒は、迂回通路開閉弁27が開弁状態となっているので、膨脹弁迂回用通路25を介して、アキュムレータ24へ流入して気液分離される。そして、分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入ポート11a(図12のe12点)から吸入されて再び圧縮される。一方、分離された液相冷媒はサイクルが要求されている冷凍能力を発揮するために必要としていない余剰冷媒としてアキュムレータ24内に蓄えられる。
以上の如く、第1暖房モードでは、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された冷媒の有する熱を車室内送風空気に放熱させて、加熱された室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の暖房を実現することができる。
この第1暖房モードでは、固定絞り17にて減圧された低圧冷媒を圧縮機11の吸入ポート11aから吸入させ、高段側膨脹弁13にて減圧された中間圧冷媒を中間圧ポート11bへ流入させて昇圧過程の冷媒と合流させるガスインジェクションサイクルを構成することができる。
これにより、高段側圧縮機構に温度の低い混合冷媒を吸入させることができ、高段側圧縮機構の圧縮効率を向上させることができると共に、各圧縮機構の双方の吸入冷媒圧力と吐出冷媒圧力との圧力差を縮小させて、各圧縮機構の圧縮効率を向上させることができる。その結果、ヒートポンプサイクル10全体としてのCOPを向上させることができる。
(b2):第2暖房モード
次に、第2暖房モードについて説明する。第2暖房モードが実行されると、空調制御装置40が、高段側膨脹弁13を絞り状態とし、統合弁14のステッピングモータ28が気相側連通路141hを閉じる位置に統合弁体29を変位させる。また、空調制御装置40が、冷房用膨脹弁22を全閉状態とし、迂回通路開閉弁27を開弁状態とする。これにより、統合弁14では、冷房運転モードと同様に、図5に示す状態となり、ヒートポンプサイクル10は、図3の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
この冷媒流路構成(サイクル構成)で、空調制御装置40が、冷房運転モードと同様に、空調制御用のセンサ群41の検出信号等を読み込み、目標吹出温度TAO等に基づいて、空調制御装置40の出力側に接続された各種空調制御機器の作動状態を決定する。
なお、第2暖房モード時では、高段側膨脹弁13へ出力される制御信号については、室内凝縮器12における冷媒圧力が予め定めた目標高圧となるように、あるいは、室内凝縮器12から流出する冷媒の過冷却度が予め定めた目標過冷却度となるように決定される。また、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34がバイパス通路35を閉塞し、室内蒸発器23通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を通過するように決定される。
従って、第2暖房モード時のヒートポンプサイクル10では、図13のモリエル線図に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図13のa13点)が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、第1暖房モード時と同様に、車室内送風空気と熱交換して放熱する(図13のa13点→b13点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、絞り状態となっている高段側膨脹弁13にて低圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧膨脹されて(図13のb13点→c13点)、統合弁14の気液分離空間141b内へ流入する。気液分離空間141bへ流入した冷媒は、冷房運転モードと同様に、気相冷媒流出口141cから流出することなく、液相冷媒流出口141dから流出する。
液相冷媒流出口141dから流出した低圧冷媒は、室外熱交換器20へ流入し、送風ファン21から送風された外気と熱交換して吸熱する(図13のc13点→d13点)。室外熱交換器20から流出した冷媒は、迂回通路開閉弁27が開弁状態となっているので、膨脹弁迂回用通路25を介して、アキュムレータ24へ流入して気液分離される。そして、分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入ポート11a(図13のe13点)から吸入される。
以上の如く、第2暖房モードでは、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された冷媒の有する熱を車室内送風空気に放熱させて、加熱された室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の暖房を実現することができる。
ここで、第2暖房モード時を、第1暖房モードに対して、外気温が高い場合等のように暖房負荷が比較的低い場合に実行することの効果を説明する。第1暖房モードでは、上述の如く、ガスインジェクションサイクルを構成することができるので、ヒートポンプサイクル10全体としてのCOPを向上させることができる。
つまり、理論的には、圧縮機11の回転数が同一であれば、第1暖房モードは、第2暖房モード時よりも高い暖房性能を発揮することができる。換言すると、同一の暖房性能を発揮させるために必要な圧縮機11の回転数(冷媒吐出能力)は、第2暖房モードよりも第1暖房モード時の方が低くなる。
ところが、圧縮機構には、圧縮効率が最大(ピーク)となる最大効率回転数があり、最大効率回転数よりも回転数が低くなると、圧縮効率が大きく低下してしまうという特性がある。このため、暖房負荷が比較的低い場合に圧縮機11を最大効率回転数よりも低い回転数で作動させると、第1暖房モードでは、却ってCOPが低下してしまうことがある。
そこで、本実施形態では、上述の最大効率回転数を基準回転数として、第1暖房モードの実行中に、圧縮機11の回転数が基準回転数以下となってしまう場合に第2暖房モードへ切り替え、第2暖房モードの実行中に基準回転数に対して予め定めた所定量を加えた回転数以上となった際に第1暖房モードへ切り替えるようにしている。
これにより、第1暖房モードおよび第2暖房モードのうち高いCOPを発揮できる運転モードを選択することができる。従って、第1暖房モードの実行中に、圧縮機11の回転数が基準回転数以下となってしまう場合であっても、第2暖房モードへ切り替えることにより、ヒートポンプサイクル10全体としてのCOPを向上させることができる。
(c)除湿暖房運転モード
次に、除湿暖房運転モードについて説明する。除湿暖房運転モードは、冷房運転モード時に車室内温度設定スイッチによって設定された設定温度が外気温よりも高い温度に設定された際に実行される。
除湿暖房モードが実行されると、空調制御装置40が、高段側膨脹弁13を全開状態あるいは絞り状態とし、統合弁14のステッピングモータ28が気相側連通路141hを閉じる位置に統合弁体29を変位させる。また、空調制御装置40が、冷房用膨脹弁22を全開状態あるいは絞り状態とし、さらに、迂回通路開閉弁27を閉弁状態とする。これにより、ヒートポンプサイクル10は、冷房運転モードと同様の図1の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
この冷媒流路構成(サイクル構成)で、空調制御装置40が、冷房運転モードと同様に、空調制御用のセンサ群41の検出信号等を読み込み、目標吹出温度TAO等に基づいて、空調制御装置40の出力側に接続された各種空調制御機器の作動状態を決定する。
例えば、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34がバイパス通路35を閉塞し、室内蒸発器23通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を通過するように決定される。さらに、本実施形態の除湿暖房モードでは、設定温度と外気温との温度差に応じて、高段側膨脹弁13および冷房用膨脹弁22の絞り開度を変化させている。具体的には、前述した目標吹出温度TAOの上昇に伴って、第1除湿暖房モードから第4除湿暖房モードの4段階の除湿暖房モードを実行する。
(c1):第1除湿暖房モード
第1除湿暖房モードでは、高段側膨脹弁13を全開状態とし、冷房用膨脹弁22を絞り状態とする。従って、サイクル構成(冷媒流路)については、冷房運転モードと全く同様となるものの、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を全開しているので、サイクルを循環する冷媒の状態については図14のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、図14に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図14のa14点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器23にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(図14のa14点→b114点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、冷房運転モードと同様に、高段側膨脹弁13→統合弁14の順に流れて室外熱交換器20へ流入する。そして、室外熱交換器20へ流入した高圧冷媒は、送風ファン21から送風された外気と熱交換して放熱する(図14のb114点→b214点)。以降の作動は冷房運転モードと同様である。
以上の如く、第1除湿暖房モード時には、室内蒸発器23にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
(c2):第2除湿暖房モード
次に、第1除湿暖房モードの実行中に、目標吹出温度TAOが予め定めた第1基準温度よりも高くなった際には、第2除湿暖房モードが実行される。第2除湿暖房モードでは、高段側膨脹弁13を絞り状態とし、冷房用膨脹弁22の絞り開度を第1除湿暖房モードよりも増加させた絞り状態とする。従って、第2除湿暖房モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については図15のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、図15に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図15のa15点)は、第1除湿暖房モードと同様に、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器23にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(図15のa15点→b115点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、絞り状態となっている高段側膨脹弁13によって外気温よりも温度の高い中間圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧される(図15のb115点→b215点)。高段側膨脹弁13にて減圧された中間圧冷媒は、冷房運転モードと同様に、統合弁14を介して室外熱交換器20へ流入する。
そして、室外熱交換器20へ流入した中間圧冷媒は、送風ファン21から送風された外気と熱交換して放熱する(図15のb215点→b315点)。以降の作動は冷房運転モードと同様である。
以上の如く、第2除湿暖房モードでは、第1除湿暖房モード時と同様に、室内蒸発器23にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第2除湿暖房モードでは、高段側膨脹弁13を絞り状態としているので、第1除湿暖房モードに対して、室外熱交換器20へ流入する冷媒の温度を低下させることができる。従って、室外熱交換器20における冷媒の温度と外気温との温度差を縮小して、室外熱交換器20における冷媒の放熱量を低減できる。
その結果、第1除湿暖房モード時に対してサイクルを循環する冷媒循環流量を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させることができ、第1除湿暖房モードよりも室内凝縮器12から吹き出される温度を上昇させることができる。
(c3):第3除湿暖房モード
次に、第2除湿暖房モードの実行中に、目標吹出温度TAOが予め定めた第2基準温度よりも高くなった際には、第3除湿暖房モードが実行される。第3除湿暖房モードでは、高段側膨脹弁13の絞り開度を第2除湿暖房モードよりも縮小させた絞り状態とし、冷房用膨脹弁22の絞り開度を第2除湿暖房モードよりも増加させる。従って、第3除湿暖房モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については図16のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、図16に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図16のa16点)は、第1、第2除湿暖房モードと同様に、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器23にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(図16のa16点→b16点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、絞り状態となっている高段側膨脹弁13によって外気温よりも温度の低い中間圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧される(図16のb16点→c116点)。高段側膨脹弁13にて減圧された中間圧冷媒は、冷房運転モードと同様に、統合弁14を介して室外熱交換器20へ流入する。
そして、室外熱交換器20へ流入した中間圧冷媒は、送風ファン21から送風された外気と熱交換して吸熱する(図16のc116点→c216点)。さらに、室外熱交換器20から流出した冷媒は、冷房用膨脹弁22にて等エンタルピ的に減圧されて(図16のc216点→c316点)、室内蒸発器23へ流入する。以降の作動は冷房運転モードと同様である。
以上の如く、第3除湿暖房モードでは、第1、第2除湿暖房モード時と同様に、室内蒸発器23にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第3除湿暖房モードでは、高段側膨脹弁13の絞り開度を縮小させることによって、室外熱交換器20を蒸発器として作用させているので、第2除湿暖房モードに対して、室外熱交換器20における冷媒の吸熱量を増加させることができる。
その結果、第2除湿暖房モード時に対して、圧縮機11の吸入冷媒密度を上昇させることができ、コンプレッサ回転数を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させることができる。従って、第3除湿暖房モードでは、第2除湿暖房モードよりも室内凝縮器12から吹き出される温度を上昇させることができる。
(c4):第4除湿暖房モード
次に、第3除湿暖房モードの実行中に、目標吹出温度TAOが予め定めた第3基準温度よりも高くなった際には、第4除湿暖房モードが実行される。第4除湿暖房モードでは、高段側膨脹弁13の絞り開度を第3除湿暖房モードよりも縮小させた絞り状態とし、冷房用膨脹弁22を全開状態とする。従って、第4除湿暖房モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については図17のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、図17に示すように、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高圧冷媒(図17のa17点)は、第1、第2除湿暖房モードと同様に、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器23にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(図17のa17点→b17点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、絞り状態となっている高段側膨脹弁13によって外気温よりも温度の低い低圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧される(図17のb17点→c117点)。高段側膨脹弁13にて減圧された低圧冷媒は、冷房運転モードと同様に、統合弁14を介して室外熱交換器20へ流入する。
そして、室外熱交換器20へ流入した低圧冷媒は、送風ファン21から送風された外気と熱交換して吸熱する(図17のc117点→c217点)。さらに、室外熱交換器20から流出した冷媒は、冷房用膨脹弁22が全開状態となっているので、減圧されることなく室内蒸発器23へ流入する。以降の作動は冷房運転モードと同様である。
以上の如く、第4除湿暖房モードでは、第1〜第3除湿暖房モード時と同様に、室内蒸発器23にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第4除湿暖房モードでは、第3除湿暖房モードと同様に室外熱交換器20を蒸発器として作用させると共に、第3除湿暖房モードよりも高段側膨脹弁13の絞り開度を縮小させているので、室外熱交換器20における冷媒蒸発温度を低下させることができる。従って、第3除湿暖房モードよりも室外熱交換器20における冷媒の温度と外気温との温度差を拡大させて、室内凝縮器12における冷媒の吸熱量を増加させることができる。
その結果、第3除湿暖房モード時に対して、圧縮機11の吸入冷媒密度を上昇させることができ、コンプレッサ回転数を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させることができる。従って、第4除湿暖房モードでは、第3除湿暖房モードよりも室内凝縮器12から吹き出される温度を上昇させることができる。
本実施形態の車両用空調装置1では、上記の如く、ヒートポンプサイクル10の冷媒流路を切り替えることによって、種々のサイクル構成を実現して、車室内の適切な冷房、暖房および除湿暖房を実現できる。
さらに、本実施形態のように電気自動車に適用される車両用空調装置1では、内燃機関(エンジン)を搭載する車両のようにエンジンの廃熱を車室内の暖房のために利用できない。従って、本実施形態のヒートポンプサイクル10のように、暖房運転モード時に暖房負荷によらず高いCOPを発揮できることは、極めて有効である。
また、本実施形態では、ヒートポンプサイクル10をガスインジェクションサイクルとして機能させるために必要な構成機器の一部を一体的に構成した統合弁14を採用しているので、ガスインジェクションサイクルを構成するヒートポンプサイクルのサイクル構成を簡素化できる。延いては、ヒートポンプサイクルの搭載対象物への搭載性の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、単一の統合弁14にて、中間圧冷媒の気液分離、気相冷媒通路141gの開閉、並びに、液相冷媒の減圧を実現することができる。さらに、本実施形態の統合弁14では、単一の統合弁体29により、気相冷媒通路141gの気相側連通路141h、および分岐通路141jを選択的に開閉することができる。このため、駆動手段を構成するステッピングモータ28によって統合弁体29を変位させるだけで、サイクル内部の冷媒回路を、ガスインジェクションサイクルとして機能する冷媒回路に切り替えることができる。
これにより、各冷媒流出口141c、141dそれぞれに対して流出口を開閉する弁体を設けることなく、気液分離空間141bで分離された気相冷媒が流れる冷媒通路を単一の弁体にて切り替えることができる。従って、統合弁14の内部構成の簡素化、延いてはガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクルのサイクル構成の簡素化を図ることができる。
例えば、図18に示す既存のサイクル10に対して、圧縮機11’を二段昇圧式の圧縮機に変更し、破線で囲む部位に本実施形態の統合弁14を配置し、気相冷媒流出口141cと中間圧ポート11bとを接続することで、本実施形態のヒートポンプサイクル10を容易に構成できる。
より詳細には、統合弁体29が分岐通路141jを開いた際には、室内凝縮器12および室外熱交換器20のうち少なくとも一方を放熱器として機能させると共に、室内蒸発器23を蒸発器として機能させるサイクル構成に切り替えることができる。
一方、統合弁体29が分岐通路141jを閉じた際には、室内凝縮器12を放熱器として機能させると共に、室外熱交換器20を蒸発器として機能させるガスインジェクションサイクルのサイクル構成に切替可能なヒートポンプサイクル10を容易に構成できる。
なお、図18の既存のヒートポンプサイクル10は、迂回通路開閉弁27を閉弁状態とした際に室外熱交換器20を放熱器として機能させ、迂回通路開閉弁27を開弁状態とした際に室外熱交換器20を蒸発器として機能させるサイクル構成とするものである。
また、図18では、本実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。さらに、図18では、説明の便宜上、空調制御装置40および空調制御装置40と各構成機器を接続する電力配線および信号配線等の図示を省略している。
また、本実施形態の統合弁14では、気液分離空間141bが遠心分離方式の気液分離手段を構成しているので、重力の作用や表面張力の作用等によって気液分離する構成に対して高い気液分離性能が発揮できる。従って、気液分離空間141bの省スペース化を図り、統合弁14全体としての小型化を図ることができる。勿論、要求される気液分離性能に応じて、重力の作用や表面張力の作用等によって気液分離する構成を採用してもよい。
また、本実施形態の統合弁14では、分離液相冷媒出口穴142aから液相冷媒通路141nへ流入した冷媒の流れ方向を略直角に転換させるので、気相冷媒と液相冷媒との攪拌を促進させて、スリップ比を低下させることができる。従って、固定絞り17の減圧特性を安定化させることができる。延いては、第1暖房モード時にヒートポンプサイクル10に安定した性能を発揮させることができる。
さらに、本実施形態の統合弁14では、冷媒導入穴141fを、パイプ143の長手方向一端部側よりも長手方向他端部側に近い部位に開口して、気液分離空間141bの軸方向に延びる長穴で構成している。
これによれば、気液分離空間141bにおける冷媒の助走区間を確保しつつ、気液分離空間141bの径方向内側への冷媒の拡散を抑えて、気液分離空間141bの径方向外側の壁面に沿って流すことが可能となる。このため、気液分離空間141bに流入した冷媒に対して効果的に遠心力を作用させることができ、統合弁14の内部における気液分離効率の向上を図ることができる。この結果、気液分離空間141bの省スペース化を図り、統合弁14全体としての小型化を図ることができる。
ここで、統合弁体29を気液分離空間141bの内部に収容する構成とすると、統合弁体29の変位が気液分離空間141bにおける気液分離性に悪影響が生じてしまう虞が有る。
これに対して、本実施形態の統合弁14では、気液分離空間141bの外側に位置する分岐通路141jと気相冷媒通路141gとの分岐部141kに統合弁体29を収容する構成としている。これにより、統合弁体29の変位が気液分離空間における気液分離性に影響してしまうことを防止できる。
また、本実施形態の統合弁14は、分離気相冷媒出口穴143bと分離液相冷媒出口穴142aとの間に、分離液相冷媒出口穴142a側から分離気相冷媒出口穴143b側への液相冷媒の飛散を防止するシャッタ部材145を配置する構成としている。
これによれば、統合弁14の内部における気液分離効率の向上を図ることができるので、気液分離空間141bの省スペース化を図り、統合弁全体としての小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、統合弁体29のシャフト29cを、分岐通路141jを貫通するように配置しているので、ボデー140内部にシャフト29cを配置する空間を別途設ける必要がなく、統合弁14全体として小型化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、上述の第1実施形態に対して、統合弁14の内部構成を変更した例について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
本実施形態では、図19、図20の上下方向断面図に示すように、気相側連通路141hではなく、分岐通路141jに統合弁体29に荷重を加えるスプリング(弾性部材)29dを収容している。このスプリング29dは、統合弁体29に対して、統合弁体29の気相側シール部材29aを気相側突出部141iに押し付ける方向への荷重をかけるものである。
本実施形態のステッピングモータ28は、気相側連通路141hを閉じて液相冷媒流出口141d側へ冷媒を流出させる際に、図20に示すように、気相側連通路141hを閉じると共に、分岐通路141jを開く位置に統合弁体29を変位させる。
一方、本実施形態のステッピングモータ28は、気相側連通路141hを開いて気相冷媒流出口141c側へ冷媒を流出させる際に、図19に示すように、気相側連通路141hを開くと共に、分岐通路141jを閉じる位置に統合弁体29を変位させる。
この際、ステッピングモータ28による荷重がスプリング29dによる荷重を上回ることによって、統合弁体29が気相側連通路141hを開く側に変位する。このため、本実施形態の統合弁体29等は、ステッピングモータ28による荷重を加えない状態にて気相側連通路141hを閉じるノーマルクローズ型の弁を構成している。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の統合弁14によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。上述の第1実施形態に対して、統合弁14の内部構成を変更した例について説明する。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
上述の各実施形態では、金属ブロックで構成されるボデー140の内部に、液相冷媒や気相冷媒が流通する冷媒通路を構成する例を説明したが、このような構成とすると固定絞り17の減圧特性(固定絞り17前後の冷媒の流量特性)が変化してしまう虞がある。理由は、固定絞り17通過前後の冷媒の温度差(30℃前後)が大きく、ボデー140を熱伝導率の高い金属材で構成すると、固定絞り17通過後の低温の冷媒によりボデー140を介して固定絞り17通過前の冷媒が冷却されてしまうからである。
このため、本実施形態では、図21、図22に示すように、ボデー140における液相冷媒通路141nにおける固定絞り17から液相冷媒流出口141dへ至る冷媒通路の内側部位を、その周囲よりも熱抵抗の高い材料で構成している。
具体的には、本実施形態では、液相冷媒通路141nにおける固定絞り17から液相冷媒流出口141dへ至る冷媒通路の内側部位を、ボデー140における金属ブロックで構成される部位よりも熱抵抗の高い樹脂部材(PPS材等)146で構成している。なお、本実施形態では、耐久性を考慮して液相冷媒通路141nの内側に金属製の固定絞り17を配置している。
また、本実施形態では、内部に低温の液相冷媒が流通する冷媒通路が形成された筒状体144の周囲を、ボデー140における金属ブロックで構成される部位よりも熱抵抗の高い樹脂部材146(PPS材等)で構成している。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態の統合弁14によれば、第1実施形態で説明した作用効果に加えて以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態の統合弁14では、液相冷媒通路141nにおける固定絞り17から液相冷媒流出口141dへ至る冷媒通路を構成する部位を、その周囲の金属ブロックで構成される部位よりも熱抵抗の高い樹脂部材146で構成している。
これによれば、固定絞り17通過後の冷媒と固定絞り17通過前の液相冷媒との間のボデー140を介した間接的な熱移動が抑制される。従って、固定絞り17の減圧特性の変化を効果的に抑制できる。その結果、統合弁14の冷媒流れ下流側に位置する熱交換器の吸熱量の低下を抑制できる。さらに、固定絞り17にて減圧された液相冷媒によって、気相冷媒通路141gを介して中間圧ポート11b側へ流出する気相冷媒が凝縮して流量低下することが抑制される。このため、ヒートポンプサイクル10をガスインジェクションサイクルとして機能させる際の暖房能力の低下を抑制できる。
ここで、本実施形態では、金属材料で構成される固定絞り17を液相冷媒通路141nに配置する例について説明したが、これに限定されない。例えば、図23の第1変形例に示すように、固定絞り17を樹脂部材146で構成してもよい。この場合、耐久性を考慮して固定絞り17の内壁面にニッケル等の金属材料でメッキ層147を設けることが望ましい。
また、本実施形態では、液相冷媒通路141nにおける固定絞り17から液相冷媒流出口141dへ至る冷媒通路の内側部位を、金属ブロックで構成される部位よりも熱抵抗の高い樹脂部材146で構成する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、図24の第2変形例に示すように、ボデー140における気液分離空間141bの内側部位、液相冷媒通路141nにおける気液分離空間141bから固定絞り17に至る冷媒通路の内側部位、気相冷媒通路141gの内側部位を熱抵抗の高い樹脂部材146で構成してもよい。これによっても、固定絞り17通過後の冷媒と固定絞り17通過前の冷媒との間の熱移動を抑制することができるので、固定絞り17の減圧特性の変化を抑制できる。
また、図25の第3変形例に示すように、液相冷媒通路141nの内側部位、気液分離空間141bの内側部位、および気相冷媒通路141gの内側部位を、その周囲よりも熱抵抗の高い樹脂部材146で構成してもよい。これによっても、固定絞り17通過後の冷媒と固定絞り17通過前の冷媒との間の熱移動を抑制することができるので、固定絞り17の減圧特性の変化を抑制できる。
なお、本実施形態では、ボデー140における金属ブロックで構成される部位よりも熱抵抗の高い材料として樹脂部材146を用いる例を説明したが、これに限定されない。ボデー140における金属ブロックで構成される部位よりも熱抵抗の高い材料であれば、樹脂に限らず、例えば、金属材料を用いてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、本発明のヒートポンプサイクル10を電気自動車用の車両用空調装置1に適用した例を説明したが、これに限定されない。本発明のヒートポンプサイクル10は、例えば、エンジン(内燃機関)および走行用電動モータから走行用の駆動力を得るハイブリッド車両のように、エンジン廃熱が暖房用熱源として不充分となることのある車両に適用して有効である。
さらに、本発明のヒートポンプサイクル10は、例えば、据置型空調装置、冷温保存庫、液体加熱装置等に適用してもよい。さらに、液体加熱装置に適用する場合は、利用側熱交換器として液体−冷媒熱交換器を採用し、流量調整手段として液体−冷媒熱交換器へ流入する液体流量を調整する液体ポンプあるいは流量調整弁を採用してもよい。
(2)上述の各実施形態では、冷媒回路を切り替えることによって、種々の運転モードを実現可能なヒートポンプサイクル10について説明したが、これに限定されない。例えば、ステッピングモータ28にて統合弁体29を気相冷媒通路141gの閉鎖位置に変位させて、専らガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクルを容易に構成できる。
(3)統合弁体29は、金属で形成されたものを採用できるが、これとは別に、樹脂で形成されたものを採用してもよい。その他、シャッタ部材145や筒状体144等も金属あるいは樹脂にて形成されたものを採用してもよい。
(4)上述の各実施形態では、ボデー140の形状として外観角柱状のものを採用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、ボデー140の形状として略円柱状のものを採用してもよい。さらに、搭載対象物に搭載される際の搭載スペースに適合する形状のものを採用すれば、ヒートポンプサイクル全体としての搭載対象物への搭載性をより一層向上させることができる。
(5)上述の各実施形態では、分離液相冷媒出口穴142aから液相冷媒通路141nへ流入した冷媒の流れ方向が略直角に転換するように、液相冷媒通路141nをL字状の冷媒通路とする例について説明したが、これに限定されない。分離液相冷媒出口穴142aから液相冷媒通路141nへ流入した冷媒の流れ方向が、固定絞り17に至るまでに異なる方向に転換される構成であれば、液相冷媒通路141nをL字状以外の冷媒通路としてもよい。
(6)上述の各実施形態では、統合弁体29を気液分離空間141bの上方側部位に形成した分岐部141kに収容する例について説明したが、これに限定されない。分岐部141kが気液分離空間141bの外部に形成され、統合弁体29が気液分離空間141bの外部で変位する構成であれば適宜採用することができる。
(7)上述の各実施形態の如く、気液分離空間141bの気液分離効率を向上させる観点では、気液分離空間141b内部にシャッタ部材145を配置する構成が望ましいが、これに限らず、シャッタ部材145を省略してもよい。
(8)上述の各実施形態では、統合弁体29を変位させる駆動手段としてステッピングモータ28を採用する例について説明したが、これに限らず、例えば、統合弁体29を変位させる駆動手段としてサーボモータを採用してもよい。
(9)上述の各実施形態では、ボデー140の気液分離空間141bの軸方向を鉛直方向に配置した例を説明したが、気液分離空間141bの軸方向は鉛直方向と一致していなくてもよい。例えば、車両等に搭載されるヒートポンプサイクル10では、車両走行時の車両全体の傾き等によって、気液分離空間141bの軸方向が鉛直方向と一致しなくなってしまうことがある。この場合、統合弁14は、分離液相冷媒出口穴142aが分離気相冷媒出口穴143bよりも下方側に配置され、気相冷媒通路141gが分離気相冷媒出口穴143bよりも上方側に配置されるように搭載すればよい。
(10)上述の各実施形態では、気液分離空間141bに貯留空間A3を設ける例について説明したが、これに限定されない。例えば、気液分離空間141bの内径を、冷媒流入口141aへ接続される冷媒配管の内径に対して、1.5倍以上、3倍以下程度の径に設定して、統合弁14全体としての小型化を図るようにしてもよい。
より詳細には、本実施形態の気液分離空間141bの内容積は、サイクルに封入される冷媒量を液相に換算した際の封入冷媒体積から、サイクルが最大能力を発揮するために必要な冷媒量を液相に換算した際の必要最大冷媒体積を減算した余剰冷媒体積よりも小さく設定すればよい。換言すれば、本実施形態の気液分離空間141bの内容積は、サイクルに負荷変動が生じてサイクルを循環する冷媒循環流量が変動しても、実質的に余剰冷媒を溜めることができない程度の容積としてもよい。
(11)上述の各実施形態において、少なくとも統合弁14の説明に用いた図面は、統合弁14の具体例を示すものであり、これに限定されず、各図面で示す統合弁14の各種構成を可能な範囲で適宜組み合わせることができる。
(12)上述の各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
(13)上述の各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(14)上述の各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
(15)上述の各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
14 統合弁
140 ボデー
141a 冷媒流入口
141b 気液分離空間
141c 気相冷媒流出口
141d 液相冷媒流出口
141g 気相冷媒通路
141j 分岐通路
141k 分岐部
141n 液相冷媒通路
17 固定絞り
28 ステッピングモータ(駆動手段)
29 統合弁体
29c シャフト(駆動機構)

Claims (6)

  1. 吸入ポート(11a)から吸入した冷媒を圧縮して吐出ポート(11c)から高圧冷媒を吐出するとともに、サイクル内の中間圧冷媒を流入させて圧縮過程の冷媒に合流させる中間圧ポート(11b)を有する圧縮機(11)、前記吐出ポートから吐出された高圧冷媒と熱交換対象流体とを熱交換させて、前記熱交換対象流体を加熱する利用側熱交換器(12)、前記利用側熱交換器から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる高段側減圧手段(13)、サイクル内の低圧冷媒を蒸発させて、前記吸入ポート側へ流出させる蒸発器(20)を含んで構成されるガスインジェクションサイクルとして機能するヒートポンプサイクル(10)に適用される統合弁であって、
    前記高段側減圧手段にて減圧された前記中間圧冷媒を流入させる冷媒流入口(141a)、前記冷媒流入口から流入した冷媒の気液を分離する気液分離空間(141b)、前記気液分離空間にて分離された気相冷媒を前記中間圧ポート側へ流出させる気相冷媒流出口(141c)、および前記気液分離空間にて分離された液相冷媒を前記蒸発器側へ流出させる液相冷媒流出口(141d)が形成されたボデー(140)と、
    前記ボデーの内部に形成された前記気液分離空間から前記液相冷媒流出口へ至る液相冷媒通路(141n)に設けられ、前記気液分離空間にて分離された液相冷媒を減圧して前記液相冷媒流出口側へ流出させる固定絞り(17)と、
    前記気液分離空間にて分離された気相冷媒を前記気相冷媒流出口へ導く気相冷媒通路(141g)を開閉する統合弁体(29)と、
    駆動機構(29c)を介して前記統合弁体に連結されて、前記統合弁体を変位させる駆動手段(28)と、を備え、
    前記ボデーには、前記気液分離空間の外側で前記気相冷媒通路から分岐して少なくとも前記気液分離空間にて分離された気相冷媒を前記液相冷媒流出口へ導く分岐通路(141j)が形成されており、
    前記統合弁体は、前記ボデーの内部における前記分岐通路と前記気相冷媒通路との分岐部(141k)に収容されており、
    前記駆動手段は、前記分岐通路を閉じて前記気相冷媒通路を開く位置、および前記分岐通路を開いて前記気相冷媒通路を閉じる位置に前記統合弁体を変位させることを特徴とする統合弁。
  2. 前記気液分離空間は、円柱状に形成されており、
    前記気液分離空間の内部には、前記気液分離空間と同軸上に配置されて、内部に前記気相冷媒通路の一部を形成する円筒状の分離気相冷媒流出パイプ(143)が配置されており、
    前記分離気相冷媒流出パイプは、その長手方向一端部に前記気液分離空間から気相冷媒を前記気相冷媒通路側へ流出させる分離気相冷媒出口穴(143b)が形成され、長手方向他端部が、前記気液分離空間の外側に位置する前記分岐部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の統合弁。
  3. 前記ボデーには、前記分離気相冷媒出口穴の下方側に、前記気液分離空間から液相冷媒を前記液相冷媒通路側へ流出させる分離液相冷媒出口穴(142a)が形成されており、
    前記分離気相冷媒出口穴と前記分離液相冷媒出口穴との間には、前記気液分離空間にて分離された液相冷媒の前記分離気相冷媒出口穴側への飛散を防止する円盤状のシャッタ部材(145)が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の統合弁。
  4. 前記ボデーは、前記液相冷媒通路における前記固定絞りから前記液相冷媒流出口へ至る冷媒通路の内側部位が、その周囲よりも熱抵抗の高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の統合弁。
  5. 前記ボデーは、前記気液分離空間の内側部位、前記液相冷媒通路における前記気液分離空間から前記固定絞りに至る冷媒通路の内側部位、および前記気相冷媒通路の内側部位が、その周囲よりも熱抵抗の高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の統合弁。
  6. 前記ボデーは、前記液相冷媒通路の内側部位、前記気液分離空間の内側部位、および前記気相冷媒通路の内側部位が、その周囲よりも熱抵抗の高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の統合弁。
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