JP5918958B2 - ロータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロータの製造方法に関するものである。
従来、ロータコアに貫通孔を有し、この貫通孔に磁石を配設した所謂IPM型のロータが広く知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1のロータは、コアシートを複数積層してなるロータコアの軸方向両側のコアシートにおいて、その貫通孔の周囲にかしめ用の穴部を形成し、この穴部をかしめによって塑性変形することでロータコアの略径方向に突出する凸部を形成している。これにより、ロータコアの軸方向両側の凸部がロータコアの貫通孔に配設した磁石を挟み込むため磁石の軸方向への脱落を抑えることが可能となっている。
特許第3403682号公報
ところで、上記のロータでは、穴部を塑性変形させることで凸部を形成しているが、穴部を設けることで磁気抵抗が増加してしまう虞がある。
また、この穴部の塑性変形では貫通孔からの軸方向への抜けを抑えることができるものの、塑性変形によって磁石の固定を行うことは考慮されていない。そこで、例えば前記凸部同様に穴部を塑性変形させて磁石を圧入固定する方法が考えられるが、穴部を設けることで磁気抵抗が増加してしまう虞がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、磁気抵抗を抑えつつロータコアの貫通孔に磁石を圧入固定することができるロータの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、貫通孔を有する円筒状のロータコアと、該ロータコアの貫通孔に挿入配置される磁石とを備えて径方向においてステータと対向配置されるロータの製造方法であって、前記ロータコアは、前記貫通孔において径方向に突状をなして前記磁石を圧入固定する圧入用突起備えるものであり前記ロータコアにおいて前記圧入用突起を挟んで前記磁石から径方向に離間する位置に切り込み部径方向に沿って形成、該切り込み部の隙間は、切り込み加工時に形成される隙間であって打ち抜き加工での限界加工孔幅内の隙間であり、前記切り込み部、前記磁石の圧入により該切り込み部を中心に周方向に広がるように変形させることをその要旨とする。
この発明では、貫通孔において径方向に突状をなして磁石を圧入固定する圧入用突起と、圧入用突起を挟んで磁石から径方向に離間した位置に形成される切り込み部とを備えてロータコアが構成される。このため、圧入用突起により磁石を圧入固定しつつ、切り込み部によって前記圧入用突起による過度の圧力を磁石に与えることが抑えられる。また、切り込み部であるため、従来構成の穴部と比較して磁気抵抗を抑えることができる。
また、切り込み部は、径方向に沿って形成されるため、磁石を貫通孔に圧入する際に切り込み部を中心に周方向に変形して圧入用突起による過剰な圧力を磁石に与えることを抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロータの製造方法において、前記切り込み部は、その切り込み幅が前記磁石との当接幅よりも大きくなるように形成されることをその要旨とする。
この発明では、切り込み部は、その切り込み幅が磁石との当接幅よりも大きくなるように形成されるため、圧入用突起による過度の圧力を磁石に与えることをより抑えることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のロータの製造方法において、前記圧入用突起は前記貫通孔に複数形成され、前記切り込み部は前記圧入用突起に対応して複数形成されることをその要旨とする。
この発明では、圧入用突起が貫通孔に複数形成されるため、複数の圧入用突起によって磁石を安定して固定することができる。また、各圧入用突起に対応して切り込み部が形成されるため、各圧入用突起によって磁石に過度な圧力を与えることを抑えることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のロータの製造方法において、前記圧入用突起は、前記貫通孔における前記ロータコアの周方向両側に形成されることをその要旨とする。
この発明では、圧入用突起は、貫通孔におけるロータコアの周方向両側に形成されるため、貫通孔に挿入される磁石を周方向両側の圧入用突起によって安定して固定することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロータの製造方法において、前記切り込み部は、前記磁石の周方向中央に形成されることをその要旨とする。
この発明では、切り込み部は、磁石の周方向中央に形成される。ここで、磁石近傍の磁束は径方向に流れて次第に隣接する界磁極へと流れるので、切り込み部が磁気抵抗となることを抑えることができる。
従って、上記記載の発明によれば、磁気抵抗を抑えつつロータコアの貫通孔に磁石を圧入固定することができるロータの製造方法を提供することができる。
モータの概略構成図である。 同上におけるロータ及びステータの断面図である。 同上におけるロータの要部拡大図である。 別例におけるロータの要部拡大図である。 別例におけるロータの要部拡大図である。 別例におけるロータの断面図である。 (a)(b)は、別例におけるロータの要部拡大図である。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、モータ10を構成するモータケース11は、ケース本体12と、このケース本体12の開口部を閉塞する略円板状のカバープレート13とから構成されている。
有底円筒状をなすケース本体12は、円筒状の筒状部12aと、同筒状部12aの軸方向の一端(図1では上端)を閉塞する閉塞部12bと、同筒状部12aの軸方向の他端部から径方向外側に延びる円環状のフランジ部12cとから構成されている。尚、筒状部12a、閉塞部12b及びフランジ部12cは一体に形成されている。また、本実施形態のケース本体12は、金属板材にプレス加工を施して形成されている。そして、ケース本体12のフランジ部12cに前記カバープレート13が固定されることにより、ケース本体12の開口部は該カバープレート13にて閉塞されている。
筒状部12aの内周面には、円筒状のステータ21が固定されている。このステータ21は、円筒状のステータコア22と、このステータコア22に巻装されたコイル23とを備えている。
図1及び図2に示すように、ステータコア22は、筒状部12aに固定される円筒状のステータ固定部22aと、該ステータ固定部22aから径方向内側に延びて前記コイル23が巻回された複数のティース22bとを有する。そして、このステータコア22は、周方向に配置されティース22bをそれぞれ有する複数(本実施形態では12個)の分割コア24から構成されている。
図2に示すように、各分割コア24は、軸方向から見た形状が円弧状をなす分割固定部24aと、この分割固定部24aの内周面から径方向内側に延びる前記ティース22bとから構成されている。各分割コア24において、ティース22bは、分割固定部24aの周方向の中央部から径方向内側に延びるとともに、各分割コア24は、軸方向から見た形状が略T字状をなしている。
そして、図2に示すように、複数の分割コア24は、ティース22bの先端が径方向内側を向くように、且つ、分割固定部24aにて円筒状のステータ固定部22aが形成されるように連結されることによりステータコア22を形成している。
前記ステータ21の内側には、ロータ31が配置されている。ロータ31は、円柱状の回転軸32と、この回転軸32に一体回転可能に固定されたロータコア33と、このロータコア33にて保持された複数(本実施形態では4個)の磁石34とから構成されている。
回転軸32は、円柱状をなし、通常は鋼材が用いられ、磁束の漏れを抑制したい場合にはステンレス等の非磁性体が用いられる。この回転軸32の反出力側である基端部(図1において上側の端部)は、閉塞部12bの径方向の中央部に設けられた軸受32aによって軸支される。一方、同回転軸32の出力側である先端側の部位は、前記カバープレート13の径方向の中央部に設けられた軸受32bによって軸支されている。そして、回転軸32は、ステータコア22の径方向内側で同ステータコア22と同心状に配置されている。また、回転軸32の先端部は、カバープレート13の径方向の中央部を貫通してモータケース11の外部に突出(露出)して出力軸を形成する。
図1及び図2に示すように、前記ロータコア33は、磁性体よりなる金属板材をプレス加工により打ち抜いて形成した複数枚のコアシート35を積層して構成され、筒状の固定部33aと、この固定部33aの外周に固定部33aと一体に形成された4個の疑似磁極33bとを備えている。
固定部33aの径方向の中央部に形成された固定孔33cは、固定部33aを軸方向に貫通するとともに、固定孔33cの内径は、回転軸32の外径よりも若干小さく設定されている。
また、固定部33aの外周面には、疑似磁極33b間となる部分に軸方向に貫通する貫通孔36がロータコア33の径方向及び軸方向と直交する方向に幅広となるように形成されている。この貫通孔36には、磁石34が挿入されている。各磁石34は、ロータコア33の軸方向に長い直方体状をなすとともに、その軸方向の長さは、ロータコア33の軸方向の長さ略同一長さに形成されている(図1参照)。
また、前記磁石34は、図1〜図3に示すように、前記貫通孔36に挿入された状態で、前記貫通孔36を構成する各コアシート35の枠部35aの径方向内側に形成された圧入用突起41にて径方向外側に押圧される。具体的には、貫通孔36の径方向外側の壁部36aに磁石34を当接(面接触)させた状態で、径方向内側の前記圧入用突起41によって前記磁石34が前記壁部36aと挟持されて圧入固定される。
なお、前記磁石34は、本実施形態では、径方向外側の端部がN極、径方向内側の端部がS極となるようにそれぞれ着磁されている。従って、本実施形態のロータ31では、S極及びN極のうちN極の磁極を径方向外側とした磁石34がロータコア33に対して周方向に4個配置されている。そして、各磁石34が貫通孔36に挿入されることにより、周方向に隣り合う磁石34間にそれぞれ疑似磁極33bが配置され、その結果、N極の磁石34と疑似磁極33bとが周方向に交互に配置される。疑似磁極33bを有するロータコア33に対して磁石34がこのように配置されることにより、疑似磁極33bは、疑似的に径方向外側をS極として機能する。即ち、本実施形態のロータ31は、一方の磁極の磁石34と他方の磁極として機能する疑似磁極33bとが周方向に交互に配置されたコンシクエントポール型のロータである。
また、ロータコア33を構成する各コアシート35は、径方向及び軸方向と直交する方向に幅広な貫通孔36の幅方向に略沿って形成される切り込み部42と、この切り込み部42よりも径方向内側に他のコアシート35と係合可能な係合部43を備える。
切り込み部42の隙間は、本発明ではプレス成形(切り込み加工)時に形成される隙間であって打ち抜き加工での限界加工孔幅内の隙間である。
コアシート35の係合部43は、前記切り込み部42をプレス成形によって形成する際に自ずと形成されるものであり、各コアシート35の面と直交する方向(ロータコア33の軸方向)に凸状をなして各コアシート35の一方の面に凹部、他方の面に凸部が形成されて構成される。このため、例えば、各コアシート35の凹部と凸部とを嵌合することで係合し、コアシート35の位置合わせを行うことが可能となる。
図1に示すように、前記回転軸32には、同回転軸32の先端面(図1において下側の端面)とロータコア33との間となる位置に、環状のセンサマグネット37が同回転軸32と一体回転可能に固定されている。センサマグネット37は、N極とS極とが周方向に交互となるように着磁されている。
また、前記カバープレート13の内側面には、モータ10を制御するための図示しない回路素子が搭載された回路基板38が固定されている。この回路基板38上には、前記センサマグネット37と軸方向に対向するようにホールセンサ39が配置されている。ホールセンサ39は、ホール素子を備えたホールICである。また、回路基板38は、モータ10の外部に設けられる駆動制御回路(図示略)に電気的に接続されている。
次に、上記構成のモータ10の動作例(作用)を記載する。
モータ10では、コイル23に電源が供給されると、ステータ21にて発生される回転磁界に応じてロータ31が回転される。そして、ホールセンサ39は、ロータ31の回転軸32と一体回転するセンサマグネット37の磁界の変化を検出するとともに、検出した磁界の変化に応じたパルス信号である回転検出信号を駆動制御回路に出力する。駆動制御回路は、この回転検出信号に基づいて、ロータ31の回転情報(回転速度、回転位置等)を検出する。そして、駆動制御回路は、検出したロータ31の回転情報に基づいて、ロータ31の回転速度が所望の回転速度となるようにステータ21に供給する電源を制御する。従って、ロータ31の回転状態に応じて駆動制御回路からコイル23に電源が供給される。
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)貫通孔36において径方向に突状をなして磁石34を圧入固定する圧入用突起41と、圧入用突起41を挟んで磁石34から径方向に離間した位置に形成される切り込み部42とを備えてロータコア33が構成される。このため、圧入用突起41により磁石34を圧入固定しつつ、切り込み部42によって前記圧入用突起41による過度の圧力を磁石34に与えることが抑えられる。また、切り込み部42であるため、従来構成の穴部と比較して磁気抵抗を抑えることができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば、図4に示すように、切り込み部42の切り込み幅L2が圧入用突起41の磁石34との当接幅L1よりも大きくなるように形成してもよい。このような構成とすることで、圧入用突起41による過度の圧力を磁石34に与えることをより抑えることができる。
・上記実施形態では、圧入用突起41をロータコア33の貫通孔36(コアシート35の枠部35a)に対して1つ形成する構成としたが、例えば図5に示すように貫通孔36(コアシート35の枠部35a)に対して複数の圧入用突起41を形成する構成としてもよい。このような構成とすることで、圧入用突起41が貫通孔36に複数形成されるため、複数の圧入用突起41によって磁石34を安定して固定することができる。また、このとき、圧入用突起41の個数に対応して切り込み部42を複数形成することで、各圧入用突起41によって磁石34に過度な圧力を与えることを抑えることができる。
また、同図5に示すように、圧入用突起41は、貫通孔36におけるロータコア33の周方向両側に形成されるため、貫通孔36に挿入される磁石34を周方向両側の圧入用突起41によって安定して固定することができる。
・上記実施形態では、図1〜図3の例では、各コアシート35に係合部43を設ける構成としたが、図4〜図6に示すように係合部43を設けずに平面となる構成を採用してもよい。例えば、プレス成形時に自然と凹凸状の係合部43が形成される場合には、平面となるように戻しプレスを行う。このような構成とすることで、磁気抵抗となる凹凸状の係合部43(窪み)を消失して磁気抵抗の増加を抑えることができる。
・上記実施形態では、貫通孔36の幅方向(ロータ31の軸方向視において磁石34の長手方向)に略沿って切り込み部42を形成する構成としたが、これに限らない。例えば図7(a)に示すように、径方向に略沿って切り込み部42を形成する構成を採用してもよい。このような構成とすることで、磁石34を圧入する際に切り込み部42を中心に周方向に広がりやすく磁石への過度な圧力を抑えることができる。また、磁石34近傍の磁束は径方向に流れて次第に隣接する界磁極へと流れるので、更に磁気抵抗を抑えることができる。さらに、切り込み部42を磁石34の周方向中央(磁石34の周方向中央と軸線L1とを通る径方向一)に形成することにより、一層磁気抵抗の増加を抑えることができる。
・上記実施形態では、所謂コンシクエントポール型としてロータ31を構成したが、これに限らず、極性の異なる磁石を周方向において交互に配置した構成を採用してもよい。要は、ロータコア33内に磁石を埋設する所謂IPM型のロータであればよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 貫通孔を有する円筒状のロータコアと、該ロータコアの貫通孔に挿入配置される磁石とを備えて径方向においてステータと対向配置されるロータの製造方法であって
前記ロータコアは、前記貫通孔において径方向に突状をなして前記磁石を圧入固定する圧入用突起と、前記圧入用突起を挟んで前記磁石から径方向に離間した位置に形成される切り込み部とをプレス成形によって形成し、
前記プレス成形時に前記切り込み部周囲に形成される軸方向への窪みを平面状とする戻しプレスを行うことを特徴とするロータの製造方法。
これにより、窪み部による磁気抵抗の増加を抑えることができる。
21…ステータ、31…ロータ、33…ロータコア、34…磁石、36…貫通孔、41…圧入用突起、42…切り込み部、L1…当接幅、L2…切り込み幅。

Claims (5)

  1. 貫通孔を有する円筒状のロータコアと、該ロータコアの貫通孔に挿入配置される磁石とを備えて径方向においてステータと対向配置されるロータの製造方法であって、
    前記ロータコアは、前記貫通孔において径方向に突状をなして前記磁石を圧入固定する圧入用突起備えるものであり
    前記ロータコアにおいて前記圧入用突起を挟んで前記磁石から径方向に離間する位置に切り込み部径方向に沿って形成、該切り込み部の隙間は、切り込み加工時に形成される隙間であって打ち抜き加工での限界加工孔幅内の隙間であり、
    前記切り込み部、前記磁石の圧入により該切り込み部を中心に周方向に広がるように変形させることを特徴とするロータの製造方法
  2. 請求項1に記載のロータの製造方法において、
    前記切り込み部は、その切り込み幅が前記磁石との当接幅よりも大きくなるように形成されることを特徴とするロータの製造方法
  3. 請求項1又は2に記載のロータの製造方法において、
    前記圧入用突起は前記貫通孔に複数形成され、前記切り込み部は前記圧入用突起に対応して複数形成されることを特徴とするロータの製造方法
  4. 請求項3に記載のロータの製造方法において、
    前記圧入用突起は、前記貫通孔における前記ロータコアの周方向両側に形成されることを特徴とするロータの製造方法
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のロータの製造方法において、
    前記切り込み部は、前記磁石の周方向中央に形成されることを特徴とするロータの製造方法
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