JP5918872B2 - 少ない洗浄水量で作動する高性能便器 - Google Patents

少ない洗浄水量で作動する高性能便器 Download PDF

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Description

(関連出願)
本願は、2008年2月25日に出願された、U.S.C.$119(e)に従った、米国仮特許出願第61/067,032号を基礎とする優先権を主張し、同出願の内容の全体をここで参照によって引用する。
本発明は、人間の及びその他のものの排泄物のための重力で駆動される便器の分野に関する。本発明はさらに、少ない洗浄水量で作動する便器に関する。
人間の排泄物など、廃棄物を除去するための便器は、周知である。重力駆動の便器は、一般的に2つの主たる部分、すなわち、タンクとボウルを有している。タンクとボウルとは、別体をなして、一緒に結合されて便器のシステムを形成する(ツーピース型便器と一般的に称される)か、又は1つの一体的なユニットとして組み合わせられる(ワンピース型便器と代表的に称される)かのいずれかである。
タンクは、通常は、ボウルの背面側に配置され、水を収容しており、この水は、ボウルから排泄物を洗い流すのを開始して、下水管に流すと共に、ボウルを新鮮な水で再充填する。ユーザが便器を洗い流すことを望むとき、彼は、洗浄レバーをタンクの外側へ向けて押し下げ、このレバーは、タンクの内部にある可動なチェーン又はレバーに結合されている。洗浄レバーが押し下げられたとき、洗浄レバーは、タンクの内側のチェーン又はレバーを動かして、これが働いて洗浄バルブを上昇及び開口させ、タンクからボウルの中へ水を流し、従って、便器の洗浄が開始される。
洗浄サイクルにおいては、実行しなければならない3つの一般的な目的が存在する。第1に、固体物及び他の廃棄物を排水管に除去することである。第2に、ボウルの表面に載っていた又は付着していた、あらゆる固体又は液体の廃棄物をボウルから除去して洗浄すること、第3は、使用毎にボウル内に比較的清潔な水が残されるように、ボウル内の洗浄前の洗浄水量との入れ替えを行うことである。第2の要件、つまり、ボウルの洗浄は、通常は、便器ボウルの上部周辺のまわりに延在させた中空のリムによって達成される。いくらかの又はすべての洗浄水は、このリム通路に向けて通され、それに配置された開口部を通して流れて、ボウルの全面にわたって水を分散させ、必要な洗浄を達成する。
重力駆動の便器は、2つの一般的なカテゴリーに分類され、すなわち、洗い落し式とサイホン式とである。洗い落し式の便器においては、便器のボウル内の水レベルは、常に、比較的一定に維持される。洗浄サイクルが開始すると、水はタンクから流れ、ボウルの中にまき散らされる。これにより、水レベルが急速に上昇し、余分な水は、トラップ路の堰を越えて溢れ流れ、液体及び固体の廃棄物を水と共に運び去る。洗浄サイクルの終わりには、ボウル内の水レベルが自然に復帰して、堰の高さによって定まる平衡レベルになる。
サイホン式の便器においては、トラップ路及び他の液体通路の設計は、ボウルへの水の添加時にサイホン効果が開始するようになっている。サイホン管それ自体は、逆さU字形の管であって、便器ボウルから排水管へ水を引き込むものである。洗浄サイクルが開始すると、水はボウルの中へ流れ、下水管の出口へ出るよりも高い速度で、トラップ路における堰からあふれでる。サイホン効果が開始するために、トラップ路の下向き脚部からは、かなりの空気が結局除去され、このために、残りの水がボウルから引き出される。サイホン作用が終わった時のボウル内の水レベルは、従って、堰のレベルをかなり下回るので、サイホン式の洗浄サイクルの終了時に便器のボウルをリフィールするために、独立した機構を設けることが必要であり、これにより、元の水レベルを再確立し、下水管のガスが逆流するのを保護して“シール”する。
サイホン式及び洗い落し式の便器は、固有の長所と短所を有する。サイホン式便器にあっては、サイホン効果を開始させるために、ほとんどの空気をトラップ路の下向き脚部から除去しなければならない要件があり、詰まり易い細いトラップ路を有することになり易い。洗い落し式便器にあっては、太いトラップ路で機能するけれども、一般的に、ほとんどの国における配管工事規則によって要求される100:1の希釈レベル(すなわち、洗浄サイクル中に、ボウル内の洗浄前の水のうち、99%がボウルから除去され、新鮮な水で置換される。)を達成するために、ボウルの中に、より少量の洗浄前水を必要とする。この洗浄前の少量の水は、それ自体、小さな“ウォータースポット”となる。ウォータースポット、又はボウル内の洗浄前水の表面積は、便器の清潔さを維持する上で重要な役割を果たす。大きなウォータースポットは、便器のセラミック表面に接触する前に、廃物が水に接触する可能性を高める。このような、セラミック表面への汚物の付着の減少によって、洗浄サイクルによる便器自体の洗浄が容易になる。したがって、小さなウォータースポットを備えた洗い落し式便器は、使用後に便器を手作業で洗浄することが頻繁に要求される。
サイホン式便器は、ボウル内の洗浄前のより多くの水量と大きなウォータースポットで機能できるという利点を有する。これが可能な理由は、サイホン効果が、洗浄サイクルの終了時に、ボウルから大部分の洗浄前の水量を吸引するためである。タンクがリフィールされると、リフィールされた水の一部分は、ボウルの中へ向けて導かれ、洗浄前の水量をその元のレベルへと復帰させる。このように、多くの配管工事規則によって求められる100:1の希釈レベルが、たとえ、ボウル内の開始洗浄水量が、タンクから排出される洗浄水に比べて、著しく多くても、達成される。北米市場においては、サイホン式の便器が、広く受け入れられており、今や、標準的に受け入れられた便器の形態であると見られている。欧州市場においては、洗い落し式の便器が依然として受け入れられて人気がある。一方、アジア市場においては、両方のバージョンが一般的である。
重力駆動のサイホン式便器は、さらに、3つの一般的カテゴリーに分類され、洗浄作用を達成するために使用される流体通路の設計に応じて分けられる。これらのカテゴリーは、非ジェット式、リムジェット式、及びダイレクトジェット式である。
非ジェット式の便器においては、すべての洗浄水がタンクからボウルの入口領域へと排出され、一次マニホールドを通って、リム通路へ流れる。水は、リムの下方に配置された、一連の孔を介して、ボウルの周辺のまわりに分散される。いくつかの孔は、サイズがより大きく設計され、ボウルの中へ多量の水の流れを許容する。下向き脚の中から充分に迅速に空気を排除して、サイホン効果を開始するためには、トラップ路の堰を越えて水が溢れ出すには、比較的高い流量が必要である。非ジェット式の便器は、代表的に、ボウルの洗浄と洗浄前水の交換とに関しては良好な性能を有するが、固形物の除去の観点からは比較的性能が貧弱である。トラップ路への水の供給は、不十分かつ乱流であり、このため、トラップ路の下向き脚を充分に充填して、強力なサイホン効果を開始させるのが困難である。その結果、非ジェット式の便器におけるトラップ路は、代表的に、直径がより小さく、水の流れを妨げるために、屈曲と絞りとを含むように設計されている。小さいサイズと、屈曲と、絞りとが無ければ、強力なサイホン効果は得られない。残念ながら、小さいサイズと、屈曲と、絞りとは、結果的に、固形廃物の除去の観点において貧弱な性能につながり、しばしば詰まり、エンドユーザにとって、極めて不満な状態になる。
便器のデザイナー及びエンジニアらは、“サイホンジェット”を組み込むことで、サイホン式便器における固形廃物の除去を改善して来た。リムジェット式の便器ボウルにおいては、洗浄水はタンクを出て、マニホールド入口領域を通り、一次マニホールドを通って、リム通路に流れる。水の一部分は、リムの下側に配置された一連の孔を介して、ボウルの周囲のまわりから散水される。残りの水の部分は、リムの前部に配置されたジェット通路を通って流される。このジェット通路は、リム通路をボウルの溜水部に配置されたジェット開口部に結合している。ジェット開口部のサイズ及び位置は、トラップ路の開口部に、強力な水の流れを直接送るようになっている。水が、ジェット開口部を通って流れるとき、水は、非ジェット式のボウルにおいて達成できるのに比べて、トラップ路をより効率的かつ迅速に充填する。このように、トラップ路へより力強くかつ迅速な水が流れることは、より大きなトラップ路の直径と、少ない屈曲及び絞りをもった便器を設計することを可能にして、このために、非ジェット式のボウルに比べて、固形廃物の除去の性能が高められる。リムジェット式便器におけるリムからは、より少ない洗浄水しか流れないけれども、ボウル洗浄機能は一般的に受容可能であり、というのは、リム通路を流れる水が加圧されているためである。これにより、水は、より高いエネルギーをもってリム孔から排出され、ボウルを洗浄する作業をより効果的に行う。
リムジェット式のボウルは、一般的に、非ジェット式よりも優れているけれども、リムからジェット開口部を通って移動しなければならない水の長い経路は、利用可能なエネルギーのほとんどを消散して無駄にする。ダイレクトジェット式のボウルは、この概念を改善し、固形排泄物の除去の観点においても、さらに優れた性能を提供する。ダイレクトジェット式のボウルにおいては、洗浄水はタンクを出て、ボウルの入口を通って流れ、一次マニホールドを通る。この時点において、水は2つの部分に分割され、すなわち、所望のボウル洗浄を達成することを主目的として、リム入口ポートからリム通路を通して流れる部分と、一次マニホールドを便器ボウルの溜水部の中にあるジェット開口部へと結合する、“ダイレクトジェット通路”へジェット入口ポートを通して流れる部分とである。ダイレクトジェット通路は、異なる形態を呈することができ、時には、便器の片側からまわる単方向性であり、又は“二重供給”であって、対称的な通路がマニホールドを結合する両側からジェット開口部へ降りている。リムジェット式のボウルでは、ジェット開口部のサイズ及び位置は、トラップ路の開口部で力強い水の流れが直接送られるようになっている。水がジェット開口部を通って流れるとき、水は、非ジェット式又はリムジェット式のボウルによって達成させるのに比べて、トラップ路をより効率的かつ迅速に充填するように働く。このように、トラップ路へより力強くかつ迅速な水が流れるならば、さらに大きなトラップ路直径と最小限の屈曲及び絞りを備えるように便器を設計でき、このため、非ジェット式及びリムジェット式のボウルに比べて、固形排泄物の除去性能を高めることができる。
いくつかの発明は、ダイレクトジェットの概念の最適化を介して、サイホン式便器の性能改善をねらっている。例えば、米国特許第5,918,325号においては、トラップ路の形状を改善することで、サイホン式便器を改良している。米国特許第6,715,162号においては、入口の中に半径方向に組み込まれた洗浄バルブと、ボウル内への非対称な流れとを使用することで、性能を改善している。
ダイレクト供給ジェット式のボウルは、固形排泄物の除去について、現在の最先端技術であるけれども、依然として改良を求める大きな要望がある。政府当局は、地方自治体の水ユーザに、使用する水の量を削減せよと、常に要求を続けている。近年における多くの注目点は、便器の洗浄作用によって要求される水の需要を減らすことである。この点を例証すると、毎回の洗浄について便器で使用される水量は、政府当局によって徐々に削減されており、(1950年代以前の)1回の洗浄当たり7ガロンから、(1960年代の終わりの)1回の洗浄当たり5.5ガロンへ、さらに、(1980年代の)1回の洗浄当たり3.5ガロンへと減っている。1995年の National Energy Policy Act による現在の命令では、米国内で販売される便器は、1回の洗浄当たりわずか1.6ガロン(1回の洗浄当たり6リットル)の量の水を使用することができる。カリフォルニア州で通過した最近の規則では、水の使用がさらに減り、1回の洗浄当たり1.28ガロンであることを要求している。現在、特許文献において開示され、商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの便器は、これらの低レベルの水消費に強いられたとき、一貫したサイホンの能力を失なう。従って、製造者は、トラップ路の直径を小さくすることを強要され、改良された技術と便器の設計が開発されるまで、性能を犠牲にすることを強要されている。
第2の解決すべき必要のある関連領域は、二段階の洗浄サイクルで作動することができる、サイホン式便器を開発することである。“二段階の洗浄”便器は、除去すべき排泄物に応じて、異なる水の使用の選択を可能にする機構を組み込むことで、水を節約するように設計されている。例えば、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水のサイクルが、固形排泄物の除去に使用され、液体排泄物には、1.2ガロン以下の洗浄水のサイクルが使用される。従来技術の便器は、一般的に、1.2ガロン以下では、サイホン効果に困難がある。従って、設計者及び技術者らは、トラップ路のサイズを減らして、この問題点を克服しているが、固形排泄物の除去に必要な1.6ガロンのサイクルにおける性能を犠牲にしている。
改善を必要とする第3の領域は、ダイレクトジェット式の便器におけるボウル洗浄能力である。ダイレクトジェット式の便器における流体設計のために、リム通路に入る水は、加圧されない。むしろ、ジェット通路が充填されて加圧された後にのみ、水はリム通路に流れる。その結果、リムから出る水は、非常に低いエネルギーを有し、ダイレクトジェット式の便器におけるボウル洗浄機能は、一般に、リムジェット式及び非ジェット式に比べて劣ることになる。
従って、詰まりにくいだけでなく、洗浄中に充分な洗浄が得られ、水の節約の規準及び政府のガイドライン追従でき、従来技術の便器における上述した欠点を克服できる、便器を求める要望が当業界には存在する。
本発明は、人間の及びその他の排泄物を除去し、排泄物の除去と便器ボウルの洗浄に関する能力を損なうことなく、少ない洗浄水量で作動することができる重力駆動の便器に関する。
本発明の様々な実施形態における利点には、限定はしないが、従来技術の上述した不都合を回避できる便器を提供すること、詰まりにくいこと、より効果的な加圧リム洗浄を備えたダイレクト供給ジェット式の便器が含まれる。そうするために、本発明の実施形態は、利用可能な位置エネルギーを完全に活用する、より強力なダイレクトジェットを備えた便器を提供できる。本願の実施形態においては、このような便器により、ユーザにとって、清潔なボウルを達成するために、複数の洗浄サイクルの実行が不要になる。
本発明は、水使用が1回の洗浄当たり1.6ガロン以下で、1回の洗浄当たり0.75ガロン以下と低い、自己洗浄式の、すべての上述の利点を提供可能な便器を提供する。
本発明の実施形態によれば、トラップ路のサイズを著しく劣化させることなく、“二段階の洗浄”モードにおいて作動するのに適した、サイホン式便器が提供される。
また、本発明は、水力学的に調整された、性能を高めるためのダイレクトジェット経路を備えた便器を提供し、及び/又は、水の損失を低減する便器を提供する。
本発明の実施形態によれば、新規かつ改良された、サイホン式の重力駆動タイプの便器が提供され、この便器は便器ボウル組立体を有し、この便器ボウル組立体は、便器ボウルの底部溜水部出口から下水管へ延びているトラップ路を通るなど、下水出口に連通した便器ボウルを備えている。便器ボウルは、その上部周囲に沿ってリムを備え、このリムは、リムの少なくとも1つの開口部を通る、便器を洗浄するための洗浄水を継続して加圧された流れにする。ダイレクト供給ジェットにおいては、洗浄水の流れはリム通路及びジェット通路へ入り、同時に、リムから継続して加圧された流れを流出させる。圧力は、一般的には、リム内とジェット通路内で同時に維持されるが、それは、内部の液圧通路の特別な特徴である相対的な横断面積を所定の範囲内に維持することによる。固形排泄物の除去性能と詰まりに対する抵抗力は、少ない水の使用においても維持される。というのも、リムの加圧は、強力で長いジェット流を提供し、これにより、サイホン能力を損失させることなく、充填されるべき大きなトラップ路を可能にすることを、出願人らは見出したからである。
前述したところに従って、1つの実施形態においては、本発明は、サイホン式の重力駆動の便器を含み、この便器は便器ボウル組立体を有し、この便器ボウル組立体が、流体源に連通している、便器ボウル組立体入口部と、便器ボウルであって、その上側周囲にリムを有し、リム通路を形成し、リムは、入口ポートと、少なくとも1つのリム出口ポートとを有し、リム通路の入口ポートは、便器ボウル組立体入口部と連通している、上記便器ボウルと、下水管出口に連通しているボウルの出口と、ダイレクト供給ジェットであって、流体源から流体を受け入れるために、便器ボウル組立体入口部と連通し、流体を排出するためにボウルの出口と連通している、上記ダイレクト供給ジェットと、を備え、便器は、約6.0リットル以下の洗浄水量で作動することができ、少なくとも1つのリム出口ポートから出る水は加圧されて、洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分が、3インチH2O・sを越えている。
少なくとも1つのリム出口ポートは、好ましくは、所定の時間期間、例えば、少なくとも1秒間にわたって持続的に加圧される。便器は、好ましくは、少なくとも1つのリム出口ポートから、ダイレクト供給ジェットを通る流れとほぼ同時に、持続した加圧流を提供することができる。また、好ましくは、好ましい実施形態の便器を用いて、洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分は、5インチH2O・sを越えている。加えて、好ましい実施形態においては、便器は、約4.8リットル以下の洗浄水量で作動することができる。
さらに別の実施形態においては、便器ボウル組立体はさらに一次マニホールドを備え、便器ボウル組立体入口部と連通して、便器ボウル組立体入口部から流体を受けることができ、また、一次マニホールドは、リム通路及びダイレクト供給ジェットと連通し、便器ボウル組立体入口部から、リム通路及びダイレクト供給ジェットへと流体を導き、一次マニホールドは、横断面積(Apm)を有し、ダイレクト供給ジェットは、横断面積(Ajip)を有する入口ポートと、横断面積(Ajop)を有する出口ポートとを有し、さらに、ダイレクト供給ジェット入口ポートとダイレクト供給ジェット出口ポートとの間に延在するジェット通路を備えており、リム通路は、横断面積(Arip)を有する入口ポートと、合計横断面積(Arop)を有する少なくとも1つの出口ポートとを有し、
Apm > Ajip > Ajop …(I)
Apm > Arip > Arop …(II)
Apm > 1.5・(Ajop+Arop) …(III)
Arip > 2.5・Arop …(IV)
であることを特徴とする。
1つの好ましい実施形態においては、一次マニホールドにおける横断面積は、ダイレクト供給ジェットの出口ポートの横断面積と、少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積との和に対して、約150%以上であり、より好ましくは、リム入口ポートにおける横断面積は、少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積に対して、約250%以上である。
他の実施形態においては、便器がさらに、少なくとも2つの洗浄水量を使用した、便器の作動を可能にする機構を備えている。
便器ボウル組立体は、便器ボウルのリムによって形成される平面を横断する方向に延在する長手軸線を有し、一次マニホールドは、便器ボウルの長手軸線に対してほぼ横断する方向に延在している。
本発明は、さらに他の実施形態を含み、サイホン式の重力駆動の便器であって、便器ボウル組立体を有し、この便器ボウル組立体が、流体源に連通している、便器ボウル組立体入口部と、便器ボウルであって、流体を受け入れるために、その内部に内部空間を形成している、上記便器ボウルと、リムであって、便器ボウルの上側周囲に沿って延在し、リム通路を形成し、リムは、リム通路入口ポートと、少なくとも1つのリム通路出口ポートとを有し、リム通路入口ポートは便器ボウル組立体入口部と連通し、少なくとも1つのリム通路出口ポートは、リム通路を通して、便器ボウルの内部空間へ流体の流れが入るように構成され、下水管出口と連通しているボウル出口と、入口ポートと出口ポートとを有しているダイレクト供給ジェットであって、ダイレクト供給ジェット入口ポートは、便器ボウル組立体入口部と連通し、ボウルの内部の下側部分に流体を導入する、上記ダイレクト供給ジェットと、を備え、便器ボウル組立体は、リム通路及びダイレクト供給ジェットが、持続的かつ加圧された態様でボウル内に流体を導入できるように構成されていることを特徴とする。
1つの好ましい実施形態においては、便器ボウル組立体がさらに、一次マニホールドであって、便器ボウル組立体入口部と連通し、便器ボウル組立体入口部から流体を受け入れられるものを備え、また、一次マニホールドは、リム通路の入口ポート及びダイレクト供給ジェットの入口ポートと連通され、便器ボウル組立体入口部から、リム通路とダイレクト供給ジェットとに流体を導き、一次マニホールドは横断面積(Apm)を有している、上記一次マニホールド、を備え、ダイレクト供給ジェットの入口ポートは、横断面積(Ajip)を有し、ダイレクト供給ジェットの出口ポートは、横断面積(Ajop)を有し、リム通路の入口ポートは、横断面積(Arip)を有し、少なくとも1つの出口ポートは、合計横断面積(Arop)を有し、ここで、
Apm > Ajip > Ajop …(I)
Apm > Arip > Arop …(II)
Apm > 1.5・(Ajop+Arop) …(III)
Arip > 2.5・Arop …(IV)
であることを特徴とする。
一次マニホールドにおける横断面積は、ダイレクト供給ジェットの出口ポートの横断面積と、少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積との和に対して、約150%以上であり、より好ましくは、リム入口ポートにおける横断面積は、少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積に対して、約250%以上である。
便器はさらに、ある種の実施形態においては、少なくとも2つの異なる洗浄水量を使用した、便器の作動を可能にする機構を備えている。
本発明はさらに、方法の実施形態を含み、便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器であって、便器ボウル組立体は、便器ボウルと、ダイレクト供給ジェットと、リム通路を形成し少なくとも1つのリム開口部を有しているリムとを備え、ダイレクト供給ジェットを通り、少なくとも1つのリム開口部を通して、流体はボウルの中へ導入される、上記便器を用いて、約6.0リットル以下の洗浄水量で便器を作動させるための方法であって、この方法が、便器ボウル組立体入口部を通して流体源から流体を導入し、ダイレクト供給ジェットとリム通路とに入れる段階であって、流体は、加圧の下でダイレクト供給ジェットから、及び持続的かつ加圧された態様で少なくとも1つのリム開口部から、便器ボウルの内側へ流れ、洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分が、3インチH2O・sを越えている、ことを特徴とする。
好ましい実施形態においては、洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分が、5インチH2O・sを越えていることを特徴とする。好ましい実施形態においては、便器は、約4.8リットル以下の洗浄水量で作動することができる。
方法において、便器ボウル組立体がさらに、一次マニホールドであって、便器ボウル組立体入口部と連通し、一次マニホールドは、便器ボウル組立体入口部から流体を受けることができ、一次マニホールドは、リム通路及びダイレクト供給ジェットと連通し、便器ボウル組立体入口部から、リム通路及びダイレクト供給ジェットへと流体を導き、一次マニホールドは、横断面積(Apm)を有している、上記一次マニホールド、を備え、ダイレクト供給ジェットは、横断面積(Ajip)を有する入口ポートを有すると共に、横断面積(Ajop)を有する出口ポートを有し、リム通路は、横断面積(Arip)を有する入口ポートを有し、少なくとも1つの出口ポートは、合計横断面積(Arop)を有し、方法はさらに、ボウルを以下の如く構成する段階を含み、
Apm > Ajip > Ajop …(I)
Apm > Arip > Arop …(II)
Apm > 1.5・(Ajop+Arop) …(III)
Arip > 2.5・Arop …(IV)
であることを特徴とする。
方法の好ましい実施形態においては、一次マニホールドにおける横断面積は、ダイレクト供給ジェットの出口ポートの横断面積と、少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積との和に対して、約150%以上であり、より好ましくは、リム入口ポートにおける横断面積は、少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積に対して、約250%以上である。
本発明の様々な他の利点及び特徴については、詳細な説明から容易に明らかになり、新規な特徴について、特に特許請求の範囲において指摘されている。
上述した要旨並びに本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面と関連付けて読むことでより良く理解される。本発明を例証する目的のため、図面には、現在好ましいと考えられる実施形態を示している。しかしながら、発明は、図示した正確な構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
本発明の実施形態による便器の便器ボウル組立体を示した長手方向の横断面図である。 本発明の実施形態による便器の便器ボウル組立体における様々な観点の流体流れを示したフローチャートである。 図1の便器ボウル組立体における内部水チャンバを示した斜視図である。 図1及び図3の便器ボウル組立体における内部水チャンバを示した分解斜視図である。 実施例8乃至12のデータについて、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 実施例8乃至12、特に、実施例12における実験の中心点を示したCFDシミュレーションであって、洗浄サイクルの1.2秒の時点である。 実施例8乃至12について、出口ポートの総面積(平方インチで測定)と、一次マニホールドの横断面積(平方インチで測定)との関係を示したグラフである。 実施例13乃至17のデータについて、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 実施例13乃至17、特に、実施例17における実験の中心点を示したCFDシミュレーションであって、洗浄サイクルの1.08秒の時点である。 実施例13乃至17について、出口ポートの総面積(平方インチで測定)と、一次マニホールドの横断面積(平方インチで測定)との関係を示したグラフである。 比較例1について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 比較例2について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 比較例3について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 比較例4について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 比較例5について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 比較例6について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 実施例7について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 実施例18として参照される従来技術の便器について、いずれも1.28ガロン/1回の洗浄の条件で、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。 実施例18の本発明の便器について、圧力(インチによる水頭(インチH2O))と時間(秒で測定)との関係を表現したグラフである。
本願に開示された便器システムは、リムジェット式システム並びにダイレクトジェット式システムにおける有利な特徴を提供する。便器システムにおける内部水通路は、ダイレクトジェットシステムのリムから出る水が加圧されるように設計される。便器は、今日の1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器と一貫して、詰まりに対する抵抗力を維持でき、同時に、依然として、少ない洗浄水の使用量で優れたボウル洗浄を行うことができる。
ここで、図1を参照すると、重力駆動のサイホン式便器のための便器ボウル組立体の実施形態が示されている。便器ボウル組立体は、全体的に符号10で示され、タンクを省略して示している。しかしながら、あらゆる便器が、図示された便器ボウル組立体10を有しており、本願で開示されるものは、本発明の範囲内に含まれ、また、便器ボウル組立体10が便器タンク(図示せず)に取り付けられ、又は配管系(図示せず)に係合された、壁面に取り付けられた洗浄システムは、本発明による便器を形成することを理解されたい。従って、あらゆる便器であって、本願の便器ボウル組立体を有するものは、本発明の範囲内に含まれ、便器を洗浄するために便器ボウル組立体入口部の中に流体を導入するための性質及び機構、タンク又はその他の供給源は重要ではなく、あらゆるタンク又は水源が、本発明による便器における便器ボウル組立体と併用される。詳細は後述されるように、好ましい実施形態による便器は、本発明による便器ボウル組立体を有し、ひときわ優れた、固形排泄物の除去とボウル洗浄を提供でき、洗浄水量は、1回の洗浄当たり約6.0リットル(1.6ガロン)、より好ましくは、1回の洗浄当たり約4.8リットル(1.3ガロン)であり、さらに好ましくは、1回の洗浄当たり約3.8リットル(1.0ガロン)である。約6.0リットル以下の洗浄水量というこれらの規準を達成できることは、高い洗浄水量で便器が良好に機能しないことを意味せず、一般的に、実際には高い洗浄水量においても良好な洗浄能力を達成するが、そのような能力は、広範囲の洗浄水量で作動することができる便器が、依然として、厳しい水の節約条件を満たして、たとえ6.0リットル以下の低い洗浄水量においても、排泄物の除去及びボウル洗浄の利益を達成することを意味することをこの開示に基づいて、当業者には理解されたい。
図1に示すように、便器ボウル組立体10は、トラップ路12と、リム14と、リム14の内部に形成されるように構成されたリム通路16とを具備している。リム通路は、少なくとも1つの出口ポートを内部に有し、新鮮な水などの流体をリム通路16の内部から、ボウル20の中へ導入する。組立体は、底部溜水部分22を具備している。ダイレクト供給ジェット24(図3及び図4に最良に示される)は、ジェット通路又は通路26を、ダイレクト供給ジェット入口ポート28とダイレクト供給ジェット出口ポート30との間に延在させている。図示の通り、そのような2つの通路26が存在し、全体構造の内部において、ボウル20の外側まわりに屈曲している。しかしながら、単一のダイレクト供給ジェットの出口ポート30へ供給する通路にあっては、1を越えるそのようなダイレクト供給ジェット出口を設けても良く、それぞれが、通路26の端部に、又はそのような通路の複数の端部に設けられることを、この開示に基づいて理解されたい。しかしながら、図示される二重通路からのジェット流れを単一のダイレクト供給ジェットの出口30に集中させることが好ましい。便器組立体は、出口32を有し、これは、トラップ路12への一般的な入口になっている。トラップ路12は、図示の通り屈曲し、洗浄時にサイホンを提供し、下水管出口34の中へ流して空にする。
便器ボウル組立体10はさらに、便器ボウル組立体入口部36を有し、これは流体源(図示せず)に連通し、流体源は、例えば、タンク(図示せず)からの洗浄水や、壁面取付け洗浄器などであって、それぞれ市営の又はその他の流体供給源からの水などの流体を提供する。タンクが存在する場合には、タンクは、便器ボウル組立体の背中部分の上方に結合され、便器ボウル組立体入口部36の上になる。代わりに、タンクは、便器ボウル組立体入口部36の上方に配置されるならば、便器ボウル組立体10の本体と一体的でも良い。そのようなタンクは、ボウルから下水管へサイホン効果を開始するために使用される水を収容すると共に、洗浄サイクルの後に便器に新鮮な水をリフィールするためのバルブ機構を備える。あらゆるそのようなバルブ又は洗浄機構は、本発明において使用するのに適している。また、本発明は、様々な二段階の又は多段階の洗浄機構と共に使用することができる。従って、任意のタンク、洗浄機構など、洗浄サイホンを作用させることができる水源と連通し、入口36の中に水を導入し、二段階の洗浄及び多段階の洗浄を提供するそれらの機構を含み、これらは、当業界に知られ又は将来開発され、そのような機構が、便器組立体へ流体を提供でき、リム通路の入口ポート及びダイレクト供給ジェットの入口ポートと連通しているならば、本願の便器ボウル組立体と共に使用されることを、この開示に基づいて当業者にあっては理解されたい。
入口36によれば、ダイレクト供給ジェット24及びリム通路16への流体の入口から連通することが許容される。好ましくは、入口36からの流体流れは、最初に、一次マニホールド38を通り、そこから、流れは、ダイレクト供給ジェットの入口ポート28へ入る第1の流れと、リム通路16へ入る入口ポート40への第2の流れとに分割される。ダイレクト供給ジェットの入口ポート28から、流体はジェット通路26へ流れ、そして、最終的には、ダイレクト供給ジェットの出口ポート30を通る。リム通路の入口ポート40から、流体はリム通路を通って、好ましくは両方の方向に流れ(又は、便器ボウル組立体は一方向だけに流れるように形成することもできる。)、少なくとも1つの、好ましくは複数の、リム出口ポート18を通って流出する。リム出口ポートは、様々な横断面形状(丸形、正方形、楕円、三角形、スリット状など)に構成できるけれども、好ましくは、製造に便利であることから、そのようなポートは、好ましくは、一般的に丸形で、より好ましくは、一般的に円形の横断面構成になっている。
本発明による便器においては、本願で開示されるように、便器ボウル組立体10を具備し、洗浄水の経路、例えば、水タンク(図示せず)から便器ボウル20に入るべく、便器ボウル組立体入口部36を通り、好ましくは、一次マニホールド38の中に入る経路を備えている。入口36から最も遠い、一次マニホールドの端部42において、水は分割される。上述のように、第1の水の流れは、ダイレクト供給ジェット24の入口ポート28を通って流れ、ジェット通路26に流入する。上述のように、第2の又は残りの流れは、リム入口ポート40を通って流れ、リム通路16に流入する。ダイレクト供給ジェットの通路26の水は、溜水部22の中にあるジェット出口ポート30へ流れ、水の強力な加圧流を、トラップ路開口部32でもある、ボウルの出口に導く。この強力な水の加圧流は、トラップ路12内にサイホン効果を迅速に開始させることができ、ボウルを空にし、その内容物を下水出口34に連通した下水管に送る。リム通路16を通って流れる水は、水の強力な加圧流を、様々なリム出口ポート18に排出し、これにより、洗浄サイクル中にボウルの洗浄を行う。
図2には、本願のダイレクト供給ジェットの便器の水力学的な経路における好ましい主要な特徴が、フローチャートにおいて説明されている。タンク44から流れる水は、洗浄バルブ46の出口を通り、ボウルの入口36を通り、便器ボウル組立体10における一次マニホールド38に流入する。一次マニホールド38は、次に、水を2以上の流れに分割し、すなわち、一方は、ダイレクト供給ジェットの入口ポート28を通過して、ジェット通路24へ流入し、他方は、リム入口ポート40を通って、リム通路16へ通過する。リム通路からの水は、リム出口ポート18を通過し、便器のボウル20に入る。ジェット通路26からの水は、ダイレクト供給ジェットの出口ポート30を通過し、便器のボウル20の中のリム通路16からの水と再び収束する。再統合された流れは、トラップ路12を通してボウルを出て、下水出口34及び排水管へ向かう。
図3は、本発明によるダイレクト供給ジェット式の便器における内部水通路を示した斜視図である。通路を形成している、一次マニホールド38と、ジェット通路24と、リム14は、トラップ路12と共に1つの図で示され、これらの部品は、部分的に分解された図で示され、溜水部22の長さの距離だけ離れている。図4において、一次マニホールド38と、ジェット通路24と、リム14とは、分離されて、分解斜視図で示され、リム入口ポート40とダイレクト供給ジェットの入口ポート28とをより良く示している。図1、図3、及び図4に示した本発明の実施形態においては、一次マニホールドと、ジェット通路と、リム通路とは、連続チャンバとして形成されている。他の実施形態においては、それらは、別個のチャンバとして形成され、製造工程中に孔を開けてリム入口ポートとジェット入口ポートとを形成しても良い。
本発明の便器ボウル組立体に使用される実際の幾何学形状は、変更できるが、図2に概略を示した基本的な流路は、依然として維持されることを理解されたい。例えば、ダイレクトジェットの入口ポートは、ボウルの片側のまわりに非対称的に通るような、1つの単一のジェット通路につながる。又は、それは、2つの二重ジェット通路につなげても良く、ボウルの両側まわりに対称的に又は非対称的に通される。実際の経路は、ジェット通路と、リム通路と、一次マニホールドとなどであって、通行経路は三次元において変化し得る。様々なダイレクト供給ジェットの便器におけるすべての可能な変更が、本発明の範囲内で使用できる。
しかしながら、発明者らの発見によれば、横断面積及び/又は特定のチャンバ及び通路の体積を制御することによって、本発明に従った便器ボウル組立体を有する便器は、低い洗浄水量で優れた水力学的性能を有し、様々な従来技術のリム供給ジェット設計におけるボウル洗浄能力を組み込まれて提供され、また、同時に、様々なダイレクト供給ジェットの設計における固形排泄物の能力を提供する。
ダイレクトジェット式便器におけるリムの加圧は、ボウル洗浄について上述した利点を提供するけれども、発明者らが発見したところによれば、かかる加圧、トラップ路の横断面積をさして犠牲にする必要なく、極めて低い洗浄水量にまで高性能を拡張することができる。発明者らの発見によれば、リムの加圧は、水力学的性能に2つのインパクトをもつ。第1に、リム孔から出る加圧水は、高い速度を有し、このために、便器ボウルに付着した廃物に対して、大きな剪断力を与える。従って、より少ない水をリムに分割し、より多くをジェットに分割できる。第2に、リムが加圧されるとき、リムの入口ポートに働く背圧は高まり、その結果、ジェット水の出力及び持続時間を増加させる。これらの2つの因子が組み合わされて、より長く、より強力なジェット流れが提供され、便器の設計者は、サイホン能力を損失させずに、大きな体積のトラップ路を使用する選択が可能となる。従って、リムの加圧は、より力強いリム洗浄を提供するのみならず、より力強いジェットをも提供し、リムの洗浄に必要な水を低減することで低い水消費を可能にし、また、サイホン効果の損失なしに、より大きなトラップ路を使用することを可能にする。
上述した利点を達成する能力、及び1回の洗浄当たり約6.0リットル以下の洗浄水量における優れた便器性能を提供する能力は、リム通路16とダイレクトジェット通路24とを、一般的に同時に加圧することを頼りにしており、加圧水の強力な流れが、一般的に、同時に、ジェット出口ポート30とリム出口ポート18とから流れることになる。本願において、“一般的に同時に”流れ及び加圧されるとは、リムとダイレクトジェット通路とを通るそれぞれの加圧流が、少なくとも部分的な時間において、同時に生じることを意味するけれども、リム及びジェット通路への流れの特定の開始及び終了時間は、いくらか変化するだろう。すなわち、ジェットを通る流れは、ジェット通路を直接下降し、ジェット出口ポートから出て、溜水部領域に入り、これは、加圧流においてリム通路出口を通過する水の流入とは異なる時間に生じ、これらの流れの一方は、他方より前に停止するが、洗浄サイクルの少なくとも一部分において、流れは同時に生じる。
リム通路16とダイレクトジェット通路24との加圧は、好ましくは、相対的な横断面積を式(I)乃至(IV)の関係に維持することによって達成される。
Apm > Ajip > Ajop …(I)
Apm > Arip > Arop …(II)
Apm > 1.5・(Ajop+Arop) …(III)
Arip > 2.5・Arop …(IV)
ここで、Apmは、一次マニホールド38など、一次マニホールドの横断面積であり、Ajipは、ダイレクト供給ジェットの入口ポート28など、ジェット入口ポートの横断面積であり、Aripは、リム入口ポート40など、リム入口ポートの横断面積であり、Ajopは、ダイレクト供給ジェットの出口ポート30などのジェットの出口ポートの横断面積であり、Aropは、リム出口ポート18など、リム出口ポートの合計横断面積である。これらのパラメータの範囲内において水の通路の幾何学形状を維持することにより、便器において、タンク内の水頭の重力を介して、利用可能な位置エネルギーを最大化することができ、これは、洗浄サイクルのために使用される洗浄水量が減少したとき、極めて重要になる。加えて、水の通路の幾何学形状をこれらのパラメータの範囲内に維持することで、リム通路とジェット通路との加圧を、ダイレクト供給ジェット式の便器において、一般的に同時にでき、固形排泄物除去とボウル洗浄との両方の性能を最大化させることができる。ここで、これらの関係を評価する目的のために測定されるように、すべての面積のパラメータは、入口/出口の面積の合計を意味する意図である。例えば、好ましくは、複数のリム出口ポートが存在しているので、リム出口ポートの面積は、それぞれの出口ポートの個々の面積のすべての合計である。同様に、もしも複数のジェット流れ通路又は出口/入口ポートが使用させるならば、ジェット入口面積又はジェット出口面積は、それぞれ、すべてのジェット入口ポートの及びすべてのジェット出口ポートの面積の合計になる。
関係式(III)及び(IV)に関して、そのような関係式は、リム出口ポート及びダイレクト供給ジェットの出口ポートの面積の合計に対する一次マニホールドの面積の比率、及び、リム出口ポートに対するリム入口ポートの比率が、一般に最小値を提供するけれども、そのような比率は、本願で述べたような利益が容易に達成できないとき、最大値に達することを理解されたい。また、そのような比率には、性能が最も高利益になることが、最も見込まれる値が存在する。その結果、好ましくは、関係式(III)に関して、一次マニホールドの面積と、リム出口ポート及びダイレクト供給ジェットの出口ポートの面積の合計との比率は、約150%から約2300%であり、より好ましくは、約150%から約1200%である。また、好ましくは、関係式(IV)に関して、リム入口ポートの面積と、リム出口ポートの面積との比率は、約250%から約5000%であり、より好ましくは、約250%から約3000%である。
そのようなパラメータを満たす面積の代表的な例示は、以下の表1に示される。


ジェット通路の横断面積Ajc及びリム通路の横断面積Arcも重要であるけれども、(I)〜(IV)に上述した関係式の因子ほど重要ではない。一般に、ジェット通路は、横断面積の範囲がAjipとAjopとの間の範囲のサイズであるべきである。しかしながら、実際には、ジェット通路は、常に、少なくとも部分的に水で充填され、これが、ジェット通路の横断面積の上部境界をいくらか重要でなくする。しかしながら、明らかに、ジェット通路が過剰に緊縮的又は過剰に拡張的になる点が存在する。リム通路の横断面積もまた、あまり重要ではなく、というのは、リムは、洗浄サイクル中に完全に充填すべきことを意図していないためである。計算機による流体動力学(CFD)のシミュレーションが明らかに示したところでは、リム通路の下側壁に沿って水が載ると、すべてのリム出口ポートが充填されたとき、水の層の上方で空気中に圧力が蓄積を始める。リムのサイズの増加は、従って、リムの圧力を比例的に減少させる。しかし、その効果は、審美的に許容可能な便器のリムの予想される範囲内においてわずかである。もちろん、リムの横断面積が余りに細くなる、下限は存在する。最小限、リム通路の横断面積は、リム出口ポートの合計面積を越えるべきである。
上述した4つの関係式に加えて、本発明の好ましい機能を達成するには、ある種の他の幾何学的形状が関連する。一般的に、すべての水通路及びポートは、好ましくは、流れ中に不要な絞りを含まないように設計されるべきである。絞りは、過剰に細い通路又はポート又は過剰な屈曲、角度、又は流路の方向の他の変化による結果として存在する。例えば、ジェット通路が、所望の範囲内の横断面積を有していても、もしそれが鋭利に屈曲しているならば、方向の変化によって発生する乱流に起因して、エネルギーは失なわれる。又は、ジェットの平均横断面積は、所望の範囲内であるとしても、もし横断面積が変化して、絞り又は大きな開口部が存在するならば、性能を低下させる。加えて、通路は、水流に過度な絞りを与えることなく、通路を満たすのに必要な体積を最小限にするように設計されるべきである。さらに、ポートが水流と遭遇する角度は、それらの有効横断面積に影響を有する。例えば、もし、リム入口ポートが水の流れ経路に対して平行な位置に配置されるならば、等しい横断面積のポートが流れの方向に対して垂直に配置される場合に比べて、より少ない水がポートに入ることになる。同様に、便器の水力学的通路を通る水流の優勢な流れは、下向きである。水を流すために下向き方向に配置されたポートは、上向き方向に配置されたポートに比べて、より大きな有効面積を有する。
実際には、本発明による高性能で低い水消費の便器は、当業者に周知の標準的な製造技術によって、容易に製造できる。一次マニホールドと、ジェットの入口ポートと、リムの入口ポートと、リム通路と、ジェット通路と、ジェットの出口ポートと、リムの出口ポートとの幾何学形状及び横断面積は、スリップ注型法又はゲージ又はテンプレートを使用して手で精密に取り出す、成形型の幾何学形状によって制御できる。
以下、本発明について、以下の非限定的な実施例と比較例とを参照して説明する。
[実施例]
実施例は、本発明の有用性を証明するためにここに提供され、発明の範囲を制限することを意図していない。実施例のデータは、表2に要約している。以下の実施例のすべてにおいて、比較例と本発明の便器とのいくつかの幾何学的観点について提示され議論される。幾何学的因子は以下の如く定義され、測定される。
“洗浄バルブ出口面積”:これは、水が排出されて一次マニホールドに入るために通過する、洗浄バルブの最も底部の部分の内径を測定することで計算される。
“一次マニホールドの横断面積”:これは、ボウル入口の縁から2インチ(5.08cm)の距離だけ下流側における、便器の一次マニホールドの横断面積として測定される。便器は、その領域で断面化され、横断面形状は、0.10インチ(0.254cm)の正方形の格子と対比することで測定された。
“ジェット入口ポート面積”:これは、水がジェット通路に入る直前における通路の横断面積として定義される。いくつかの便器の設計においては、このポートは、ジェット経路とリム経路との間において、手作業による又はパンチによる開口部として定義される。他の設計、図1及び図3に示すような設計においては、経路には、より流体が多く、一次マニホールドからジェット通路への遷移部は緩やかである。この場合、ジェット入口ポートは、図4に示すように、一次マニホールドとジェット通路との間の理屈上の移行箇所であるとみなされる。
“リム入口ポート面積”:これは、一次マニホールドとリム通路との移行箇所における流路の横断面積として定義される。いくつかの便器の設計においては、このポートは、ジェット経路とリム経路との間において、手作業による又はパンチによる開口部として定義される。他の設計、図1及び図3に示すような設計においては、経路には、より流体が多く、一次マニホールドからリム通路への遷移部は緩やかである。この場合、リム入口ポートは、図4に示すように、一次マニホールドとリム通路との間の理屈上の移行箇所であるとみなされる。
“ジェット出口ポート面積”:これは、ジェット開口部の粘度模型を作り、これを0.10インチ(0.254cm)の格子と比較することで測定される。
“リム出口ポート面積”:これは、リム孔の直径を測定し、それぞれの所定の直径毎に孔の数を乗算することで計算される。
“溜水部体積”:これは、堰を越えてこぼれるまでに、便器のボウルに注ぐことができる水の最大量である。これは、ボウル自体の体積と共に、堰によって決定される水の平衡レベルより下のジェット通路及びトラップ路の体積を含む。
“トラップ直径”:これは、1/16インチの増分で直径を増やした球体を、トラップ路に通過させることで測定される。トラップ路の全長を通過する最大のボールが、トラップ路の直径を定める。
“トラップ体積”:これは、溜水部の入口から、下水管の出口までの、トラップ路の全長の体積である。その測定は、トラップ路の出口を塞ぎ、トラップ路の入口に戻るまで、トラップ路の全長を水で充填することで行う。充填中には、水が通過して全チャンバを充填することを保証するために、ボウルの位置を変化させることが必要である。
“ピーク流量”:これは、完全な便器システムの洗浄サイクルを開始して、便器の出口から排出された水を、デジタル式秤に載せた容器に直接導くことで測定する。秤は、データ収集装置を備えたコンピュータに接続され、容器の質量が0.05秒毎に記録される。ピーク流量は、質量の時間による微分(dm/dt)の最大値として決定される。
“ピーク流れ時間”:これは、洗浄サイクルの開始とピーク流量の発生との間の時間として、ピーク流量の測定と一緒に計算される。
“リム圧力”:これは、リムの入口ポートが12:00の位置にあることに鑑み、便器のリムの9時の位置の頂部にドリル孔を開けて測定される。この孔と、Pace Scientific(登録商標)社製の、P300-10"D型の圧力トランスデューサとの間には気密結合が作られる。トランスデューサは、データ収集装置に接続され、圧力の読取値は、洗浄サイクル中に0.005秒の間隔で記録される。これらのデータは、次に、8個の連続する読取値から円滑化され、0.040秒間隔のデータになる。また、CFDシミュレーションを利用して、様々な実験的な便器の幾何学形状について、洗浄サイクルにわたってリム圧力を計算する。CFDシミュレーションの圧力計算の間隔時間も、0.040秒である。
“ボウル洗浄”:これは、ボウルの内側に、味噌2に対して水1を混合して作ったペーストを均一にコーティングすることにより測定される。材料は、便器を洗浄する前に、3分間乾燥され、ボウル洗浄能力を評価する。準定量的な、“ボウル洗浄スコア”が、以下の尺度を用いて与えられる。
5 − ボウル表面から1回の洗浄ですべての試験メディアが完全に洗い流された。
4 − 1回目の洗浄後に、合計1平方インチ未満の面積が未洗浄のまま残され、2回目の洗浄によって完全に除去された。
3 − 1回目の洗浄後に、合計1平方インチを越える面積が、洗浄されずにボウル表面に残され、2回目の洗浄によって、完全に除去された。
2 − 2回目の洗浄の後に、合計2分の1平方インチ未満の面積が、洗浄されずにボウル表面に残された。
1 − 2回目の洗浄の後に、2分の1平方インチを越える面積が、ボウル表面に洗浄されずに残された。
0 − 3回目の洗浄の後に、2分の1平方インチを越える面積が、ボウル表面に洗浄されずに残された。
[実施例1(比較例)]
商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、対称的な2つのダイレクト供給ジェットを備えたものを、幾何学的分析及び性能分析にかけた。この便器は、商業的に入手可能な多くのダイレクト供給ジェット式の便器を代表するものであり、というのは、固形排泄物の除去の性能は極めて良く、MaP試験(Veritec (R) Consulting Inc., MaP 13th Edition Nov '08, Mississauga, ON, Canada)において、1,000gを越えるスコアを記録したが、ボウル洗浄のためにリムに導かれる最小限の水は加圧されていない。図11は、洗浄サイクル中に、リムにおいて記録された圧力のプロットを示している。持続的な圧力はまったく観察されず、動的変動に起因する小さい尖頭だけが見られた。圧力−時間曲線の積分は、0.19インチH2O・sであって、圧力がほとんど完全に不足していることを示している。
表2から、リム加圧が不足している理由は明らかである。便器が、本発明において特定された規準を満たせないのは、特に顕著には、リム出口ポート面積が、実際には、リム入口ポート面積に比べて大きい場合であり、本願で教示しているように、2倍の大きさ又はそれより大きくはなっていない。一次マニホールドの横断面積もまた、リム出口ポート面積及びジェット出口ポート面積の合計面積に対して小さすぎる。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点4の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、1.17ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。1.17ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、3にまで低下した。
[実施例2(比較例)]
商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、単一のダイレクト供給ジェットを備えたものを、幾何学的分析及び性能分析にかけた。この便器は、商業的に入手可能な多くのダイレクト供給ジェット式の便器を代表するものであり、というのは、固形排泄物の除去の性能は極めて良く、MaP試験(Veritec Consulting Inc., MaP 13th Edition Nov '08, Mississauga, ON, Canada)において、1,000gを越えるスコアを記録したが、ボウル洗浄のためにリムに導かれる最小限の水は加圧されていない。図12は、洗浄サイクル中に、リムにおいて記録された圧力のプロットを示している。持続的な圧力はまったく観察されず、動的変動に起因する、基線上の極めて弱い信号だけが見られた。圧力−時間曲線の積分は、0.13インチH2O・sであって、圧力がほとんど完全に不足していることを示している。
表2から、リム加圧が不足している理由は明らかである。この便器は、本発明で特定された規準を満たせなかった。リム入口ポート面積は、リム出口ポート面積の2倍未満であり、一次マニホールドの横断面積は、リム出口ポート面積とジェット出口ポート面積との合計面積に対して小さすぎる。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点5の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、1.33ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。1.33ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、1にまで低下した。
[実施例3(比較例)]
商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、対称的な2つのダイレクト供給ジェットを備えたものを、幾何学的分析及び性能分析にかけた。この便器は、商業的に入手可能な多くのダイレクト供給ジェット式の便器を代表するものであり、というのは、固形排泄物の除去の性能は極めて良く、MaP試験(Veritec Consulting Inc., MaP 13th Edition Nov '08, Mississauga, ON, Canada)において、1,000gを越えるスコアを記録したが、ボウル洗浄のためにリムに導かれる最小限の水は充分に加圧されていない。図13は、洗浄サイクル中に、リムにおいて記録された圧力のプロットを示している。弱くて不規則な信号が検出されたが、少なくとも1秒間にわたって継続した最大圧力はわずかに0.2インチH2O・sであった。圧力−時間曲線の積分は、1.58インチH2O・sであって、最小限の不十分な加圧を示していた。
表2から、リム加圧が不足している理由は明らかである。リム入口ポート面積は、リム出口ポート面積の2倍未満であった。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点5の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、1.31ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。1.31ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、1にまで低下した。
[実施例4(比較例)]
商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、対称的な2つのダイレクト供給ジェットを備えたものを、幾何学的分析及び性能分析にかけた。この便器は、商業的に入手可能な多くのダイレクト供給ジェット式の便器を代表するものであり、というのは、固形排泄物の除去の性能は極めて良く、MaP試験(Veritec Consulting Inc., MaP 13th Edition Nov '08, Mississauga, ON, Canada)において、1,000gを越えるスコアを記録したが、ボウル洗浄のためにリムに導かれる最小限の水は加圧されていない。図14は、洗浄サイクル中に、リムにおいて記録された圧力のプロットを示している。持続的な圧力はまったく観察されず、動的変動に起因する、基線上の極めて弱い信号だけが見られた。圧力−時間曲線の積分は、0.15インチH2O・sであって、圧力がほとんど完全に不足していることを示している。
表2から、リム加圧が不足している理由は明らかである。リム入口ポート面積は、リム出口ポート面積の2倍未満であった。加えて、リム入口ポートは、流れの方向に対してほぼ平行に配置されており、これは、その有効横断面積を大いに減少させる。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点5の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、1.31ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。1.31ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、4に低下した。
[実施例5(比較例)]
商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、対称的な2つのダイレクト供給ジェットを備えたものを、幾何学的分析及び性能分析にかけた。この便器は、商業的に入手可能な多くのダイレクト供給ジェット式の便器を代表するものであり、というのは、固形排泄物の除去の性能は極めて良く、MaP試験(Veritec Consulting Inc., MaP 13th Edition Nov '08, Mississauga, ON, Canada)において、800gを越えるスコアを記録したが、ボウル洗浄のためにリムに導かれる最小限の水は持続的には加圧されていない。図15は、洗浄サイクル中に、リムにおいて記録された圧力のプロットを示している。短い不規則な信号が検出されたが、少なくとも1秒間にわたって持続する、基線上の圧力は見られなかった。圧力−時間曲線の積分は、1.11インチH2O・sであって、最小限の不十分な加圧を示していた。
表2から、リム加圧が不足している理由は明らかである。リム入口ポート面積は、リム出口ポート面積の2.5倍未満であり、これは、たとえすべての他のパラメータが満たされたとしても、便器が持続的なリム圧力を達成して、結果的に性能が飛躍するのを妨害する。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点5の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、1.39ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。1.39ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、2にまで低下した。
[実施例6(比較例)]
商業的に入手可能な、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、単一のダイレクト供給ジェットを備えたものを、幾何学的分析及び性能分析にかけた。この便器は、商業的に入手可能な多くのダイレクト供給ジェット式の便器を代表するものであり、というのは、固形排泄物の除去の性能は極めて良く、MaP試験(Veritec Consulting Inc., MaP 13th Edition Nov '08, Mississauga, ON, Canada)において、700gを越えるスコアを記録したが、ボウル洗浄のためにリムに導かれる最小限の水は加圧されていない。図16は、洗浄サイクル中に、リムにおいて記録された圧力のプロットを示している。弱い信号が検出されたが、少なくとも1秒間持続する最大圧力は、わずかに0.5インチの水頭であった。圧力−時間曲線の積分は、2.13インチH2O・sであって、最小限の不十分な加圧になっている。
表2から、リム加圧が不足している理由は明らかである。リム入口ポート面積は、リム出口ポート面積の2.5倍未満であり、これは、たとえすべての他のパラメータが満たされたとしても、便器が持続的なリム圧力を達成して、結果的に性能が飛躍するのを妨害する。実施例6の便器のポートサイズを観察することは教訓的であって、これは、実施例4の便器のポートサイズとほとんど同様であるけれども、前者は、後者に比べて、ほぼ15倍の圧力−時間積分を有している。この理由は、前述したように、ポートの向きにある。実施例4の便器における一次マニホールドは、ジェット入口ポートへ向けて下向きに傾斜しており、これが、リム入口ポートから水流を遠ざけ、その有効横断面積を減少させている。実施例6の便器は、図1と同様な、水平な一次マニホールドを有している。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点5の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、1.28ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。1.28ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、3にまで低下した。
[実施例7(本発明)]
1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量の便器であって、2つのダイレクト供給ジェットを備えたものを、本発明の好ましい実施形態に従って製造した。便器の幾何学形状及び設計は、図1及び図3に表されている。便器の固形物除去の性能は、上に例示した商業的に入手可能な便器と同様であり、MaP試験において1,000gの評価を得た。表2に見られるように、水力学的経路における、すべてのポート及び通路の内部幾何学形状は、本発明によって特定された制限の範囲内に含まれる。一次マニホールドの横断面積は6.33平方インチ、ジェット入口ポート面積は4.91平方インチ、リム入口ポート面積は2.96平方インチ、ジェット出口ポート面積は1.24平方インチ、及びリム出口ポート面積は0.49平方インチであった。ポートサイズ間の臨界比率もまた維持されており、一次マニホールドの横断面積と、リム及びジェットの出口ポートの合計との比率は3.66であった。そして、リム入口ポート面積と、リム出口ポート面積との比率は、6.04であって、比較例による実施例よりもはるかに大きい。図17に見られるように、洗浄サイクル中には、リムにおいて、強力かつ持続的な圧力が測定されている。5インチの水頭が、少なくとも1秒間にわたって維持され、圧力−時間曲線の積分は15.3に達し、従来技術で見られた値をはるかに越えている。
この便器は、1回の洗浄当たり1.6ガロンのボウル洗浄試験で得点5の評価を得た。より少ない洗浄水量での洗浄能力を評価するため、タンク内の水レベルを徐々に下げて、ついには、0.81ガロンで、便器はサイホン作用を失うようになった。0.81ガロンにおけるボウル洗浄スコアは、4に低下した。しかしながら、実施例1〜6で得られた最小洗浄水量である、1.17ガロンまで洗浄水量を増加させると、ボウル洗浄スコアは、最大値である5に維持された。2段階洗浄の用途においては、ボウル洗浄能力の重要性は低くなり、というのは、低体積サイクルは液体排泄物のみに使用されると想定されるためである。0.81ガロンの低量で、一貫してサイホン作用が達成されることで、この便器は、2回洗浄の用途のために理想的に適していることになる。
[実施例8〜12(本発明)]
CFDシミュレーションを実行して、本発明の範囲及び有用性をさらに証明した。CFDで研究された便器の一般的設計は、図1及び図3に示される。しかしながら、特定の寸法を変化させて、洗浄性能及び便器のリム内に発生して維持される圧力に対する結果的影響を示した。第1の組のシミュレーションは、2インチの出口直径の洗浄バルブを使用するもので、3.14平方インチの洗浄バルブ面積に対応する。洗浄バルブの出口面積を一定値に保ちつつ、水力学的経路の全体の横断面積(すなわち、一次マニホールド、リム入口ポート、ジェット入口ポート、リム通路、及びジェット通路の横断面積)が高い設定値と低い設定値との間で変更された。同様に、ジェットポート及びリムポートの面積は、高い設定値と低い設定値との間で変更されて、22個の実験的設計例を創った。5つのCFDシミュレーションの結果を生じる空間の中心付近の箇所を加えて、表2及び図5における実施例8〜12として示した。
表2及び図5から分かるように、すべての実施例において、リムの圧力は、約1インチの水頭がほぼ2秒間にわたって持続している。観察される傾向は、より教訓的であり、本発明の主張が支持されている。ジェット出口ポート面積及びリム出口ポート面積が減少すると、リム圧力が増加している。図7は、リム圧力のピークの輪郭をプロットしたもので、リム及びジェットの出口ポート面積及び水力学的経路の合計横断面積の関数として示される。ジェット出口ポート面積及びリム出口ポート面積を減じることは、最大リム圧力に対して、強力なポジティブな影響を有している。同様に、水力学的経路全体の横断面積を減じることも、ポジティブな効果を有する。この理由は、大きな水力学的経路は、それを充填するためにより多くの水を必要とし、チャンバを充填するのに使用されるかかる水は、利用可能なエネルギーの使用に不十分だからである。水力学的経路は、洗浄バルブからの流出を扱うために、最適なサイズであることが必要である。以下に記した、本発明のガイドラインの概観によれば、この最適化を達成することが可能になる。
図6は、コンピュータによる流体動力学のシミュレーションを示した側面図であって、実験の中心点、実施例12における、洗浄サイクルの1.2秒経過時点について示している。リムの下側部分が、水で覆われているのが見られる。流れは、リム出口ポートのサイズによって拘束され、リム内の空気上には、圧力が蓄積する。結果は、均一で強力なリム洗浄として得られ、シミュレーションのボウル部分に見ることができる。
実施例7で開示した便器は、このコンピュータの流体動力学実験の空間の範囲に入ることに留意されたい。CDFから導かれる図7の輪郭プロットに基づくと、実施例7の便器は、6〜7インチの水頭のリム圧力ピークを有するべきであり、これは、およそ9インチ水頭という実験的な測定値に比べて、いくぶん低くなっている。しかしながら、圧力−時間曲線の一般的形状の一致は傑出しており、優れた便器の設計のための本発明のガイドラインを強力に支持している。
[実施例13〜17(本発明)]
追加的なCFDシミュレーションが実行されて、本発明の範囲及び有用性がさらに証明された。CFDで研究された便器の一般的設計は、図1及び図3に示される。しかしながら、特定の寸法を変化させて、洗浄性能及び便器のリム内に発生して維持される圧力に対する結果的影響を示した。この第2の組のシミュレーションは、3インチの出口直径の洗浄バルブを使用するもので、7.06平方インチの洗浄バルブ面積に対応する。トラップ路のサイズも増加され、3インチバルブによって達成可能な高い流れを利用した。洗浄バルブの出口面積を一定値に保ちつつ、水力学的経路の全体の横断面積(すなわち、一次マニホールド、リム入口ポート、ジェット入口ポート、リム通路、及びジェット通路の横断面積)が高い設定値と低い設定値との間で変更された。同様に、ジェットポート及びリムポートの面積は、高い設定値と低い設定値との間で変更されて、22個の実験的設計例を創った。5つのCFDシミュレーションの結果を生じる空間の中心付近の箇所を加えて、表2及び図8における実施例13〜17として示した。
計算時間を短縮するため、シミュレーションは終了までは行わなかった。しかし、表2及び図8から分かるように、すべての実施例において、持続的なリム加圧が達成された。観察される傾向は、より教訓的であり、本発明の主張が支持されている。ジェット出口ポート面積及びリム出口ポート面積が減少すると、リム圧力が増加している。図10は、リム圧力のピークの輪郭をプロットしたもので、リム及びジェットの出口ポート面積及び水力学的経路の合計横断面積の関数として示される。ジェット出口ポート面積及びリム出口ポート面積を減じることは、最大リム圧力に対して、強力なポジティブな影響を有している。しかしながら、2インチのバルブについてのシミュレーションとは異なり、全体の水力学的経路の横断面積の減少は、リム圧力に対してネガティブな効果を有している。この理由は、3インチの洗浄バルブの大きな流れ出力を最適に取り扱うために、大きな水力学的経路が必要になるためである。3インチの洗浄バルブのシミュレーションにおける高い流れと低い流れとのために選択された設定値は、水力学的経路全体の横断面積に対する理論的最適値を下回る値であり、一方、2インチのシミュレーションで選択された設定値は、最適値をわずかに上回る値であった。しかしながら、範囲の全体にわたって、得られた便器の設計の性能は、固形物除去及び洗浄の観点について、減少させた洗浄水量において、今日入手可能な便器に比べて優れた性能であった。
図9は、コンピュータによる流体動力学のシミュレーションを示した側面図であって、実験の中心点、実施例17における、洗浄サイクルの1.08秒経過時点について示している。リムの下側部分が、水で覆われているのが見られる。流れは、リム出口ポートのサイズによって拘束され、リム内の空気上には、圧力が蓄積する。結果は、均一で強力なリム洗浄として得られ、シミュレーションのボウル部分に見ることができる。全体的に考えて、実施例13〜17のデータは、1回の洗浄当たり1.6ガロンの洗浄水量未満で作動するダイレクトジェット式便器について、本発明がすべての潜在的幾何学形状を介して計れることを示している。
[実施例18(本発明)]
本発明の効果を証明するため、便器のリムの圧力が本発明に比べて低くされ(実施例7)、従来技術(実施例6)からの便器では、1.28ガロンの洗浄水量に減少させて測定された。従来技術による便器は、1.6ガロンで2.13インチH2O・sに加圧され、減少体積における加圧のほとんどすべての能力を失い、0.28インチH2O・sに減衰した(図18参照)。対照的に、本発明に基づく便器にあっては、20%未満の加圧が失われ、1回の洗浄当たり1.28ガロンの洗浄水量で12.64インチH2O・sが維持された(図19参照)。





上述した実施形態には、その広い発明の概念から逸脱せずに、変更を加え得ることを当業者には認識されたい。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によって定められた本発明の精神及び範囲に変形例が包含されることを意図していることを理解されたい。

Claims (20)

  1. 便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器であって、この便器ボウル組立体が、
    流体源に連通している、便器ボウル組立体入口部と、
    便器ボウルであって、その上側周囲にリムを備え、リム通路を形成し、このリム通路は、入口ポートと、少なくとも1つのリム出口ポートとを備え、前記リム通路入口ポートにおける横断面積(Arip)は、前記少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積(Arop)に対して、250%以上であり、前記リム通路の入口ポートは、前記便器ボウル組立体入口部と連通している、前記便器ボウルと、
    下水管出口に連通しているボウル出口部と、
    ダイレクト供給ジェットであって、流体源から流体を受け入れるために、前記便器ボウル組立体入口部と連通し、流体を排出するために前記ボウル出口部と連通している、前記ダイレクト供給ジェットと、を有し、
    前記ダイレクト供給ジェットは出口ポートを備え、前記ダイレクト供給ジェット出口ポートは0.6平方インチ(約3.9平方センチメートル)以上5平方インチ(約32.3平方センチメートル)以下の横断面積(Ajop)を有し、
    前記便器は、1.6ガロン(約6.0リットル)以下の洗浄水量で作動することができ、前記少なくとも1つのリム出口ポートから出る水は加圧されて、洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分が、3インチH2O・s(約746.4 Pa・s)を越えていることを特徴とするサイホン式の重力駆動の便器。
  2. 前記ダイレクト供給ジェット出口ポートは少なくとも2.1平方インチ(約13.5平方センチメートル)の横断面積(Ajop)を有する請求項1記載の便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器。
  3. 前記便器は、前記少なくとも1つのリム出口ポートから、所定の時間期間にわたって持続的に加圧された流れを提供することができる請求項1記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  4. 前記所定の時間期間は、少なくとも1秒間である請求項3記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  5. 前記便器は、前記少なくとも1つのリム出口ポートから、前記ダイレクト供給ジェットを通る流れとほぼ同時に、持続した加圧流を提供することができる請求項3記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  6. 前記洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分が、5インチH2O・s (約1242Pa・s)を越えている請求項1記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  7. 前記便器は、1.28ガロン(約4.8リットル)以下の洗浄水量で作動することができる請求項1記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  8. 前記便器ボウル組立体は、更に、
    一次マニホールドであって、前記便器ボウル組立体入口部と連通して、前記便器ボウル組立体入口部から流体を受けることができ、また、前記一次マニホールドは、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットと連通し、前記便器ボウル組立体入口部から、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットへと流体を導き、前記一次マニホールドは、横断面積(Apm)を有している、前記一次マニホールドと、を備え、
    前記ダイレクト供給ジェットは、横断面積(Ajip)を有する入口ポートを備え、さらに、前記ダイレクト供給ジェットは、前記ダイレクト供給ジェット入口ポートと前記ダイレクト供給ジェット出口ポートとの間に延在するジェット通路を備えており、
    Apm > Ajip > Ajop (I)
    Apm> Arip > Arop (II)
    Apm> 1.5 ・ (Ajop + Arop) (III)
    Arip> 2.5 ・ Arop. (IV)
    である請求項1記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  9. 前記便器は、更に、
    一次マニホールドであって、前記便器ボウル組立体入口部と連通して、前記便器ボウル組立体入口部から流体を受けることができ、また、前記一次マニホールドは、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットと連通し、前記便器ボウル組立体入口部から、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットへと流体を導き、前記一次マニホールドは、横断面積(Apm)を有し、前記一次マニホールドにおける前記横断面積(Apm)は、前記ダイレクト供給ジェットの出口ポートの前記横断面積(Ajop)と、前記少なくとも1つのリム出口ポートの前記合計横断面積(Arop)との和に対して、150%以上である、前記一次マニホールドと、を備える請求項1記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  10. 前記便器は、更に、少なくとも2つの洗浄水量を使用した、前記便器の作動を可能にする機構を備えている請求項1記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  11. 前記便器ボウル組立体は、前記便器ボウルのリムによって形成される平面を横断する方向に延在する長手軸線を有し、一次マニホールドは、前記便器ボウルの長手軸線に対してほぼ横断する方向に延在している請求項1記載の便器。
  12. 便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器であって、
    前記便器ボウル組立体が、
    流体源に連通している、便器ボウル組立体入口部と、
    便器ボウルであって、流体を受け入れるために、その内部に内部空間を形成している、前記便器ボウルと、
    リムであって、前記便器ボウルの上側周囲に沿って延在し、リム通路を形成し、前記リム通路は、リム通路入口ポートと、少なくとも1つのリム出口ポートとを備え、前記リム入口ポートにおける横断面積(Arip)は、前記少なくとも1つのリム出口ポートの合計横断面積(Arop)に対して、250%以上であり、前記リム通路入口ポートは前記便器ボウル組立体入口部と連通し、前記少なくとも1つのリム出口ポートは、前記リム通路を通して、前記便器ボウルの内部空間へ流体の流れが入るように構成された前記リムと、 下水管出口と連通している便器出口と、
    入口ポートと出口ポートとを備えているダイレクト供給ジェットであって、前記ダイレクト供給ジェット入口ポートは、前記便器ボウル組立体入口部と連通し、前記便器の内部の下側部分に流体を導入する、前記ダイレクト供給ジェットと、を備え、
    前記ダイレクト供給ジェットは出口ポートを備え、前記ダイレクト供給ジェット出口ポートは0.6平方インチ(約3.9平方センチメートル)以上5平方インチ(約32.3平方センチメートル)以下の横断面積(Ajop)を有し、
    前記便器ボウル組立体は、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットが、持続的かつ加圧された態様で前記ボウル内に流体を導入できるように構成されていることを特徴とするサイホン式の重力駆動の便器。
  13. 前記便器ボウル組立体は、更に、
    一次マニホールドであって、前記便器ボウル組立体入口部と連通し、前記便器ボウル組立体入口部から流体を受けることができ、また、前記一次マニホールドは、前記
    リム通路の入口ポート及び前記ダイレクト供給ジェットの入口ポートと連通され、前記便器ボウル組立体入口部から、前記リム通路と前記ダイレクト供給ジェットとに流体を導き、前記一次マニホールドは横断面積(Apm)を備えている、前記一次マニホールド、を備え、
    前記ダイレクト供給ジェットの入口ポートは、横断面積(Ajip)を備え、
    前記リム通路の入口ポートは前記横断面積(Arip)を備え、前記少なくとも1つのリム
    出口ポートは前記合計横断面積(Arop)を備え、
    Apm> Ajip > Ajop (I)
    Apm> Arip > Arop (II)
    Apm> 1.5 ・ (Ajop + Arop) (III)
    Arip> 2.5 ・ Arop. (IV)
    である請求項12記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  14. 前記便器は、更に、
    一次マニホールドであって、前記便器ボウル組立体入口部と連通して、前記便器ボウル組立体入口部から流体を受けることができ、また、前記一次マニホールドは、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットと連通し、前記便器ボウル組立体入口部から、前記リム通路及び前記ダイレクト供給ジェットへと流体を導き、前記一次マニホールドは、横断面積(Apm)を有し、前記一次マニホールドにおける前記横断面積(Apm)は、前記ダイレクト供給ジェットの出口ポートの前記横断面積(Ajop)と、前記少なくとも1つのリム出口ポートの前記合計横断面積(Arop)との和に対して、150%以上である、前記一次マニホールドと、を備える請求項12記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  15. 前記便器は、更に、少なくとも2つの洗浄水量を使用した、前記便器の作動を可能にする機構を備えている請求項12記載のサイホン式の重力駆動の便器。
  16. 前記少なくとも1つのリム出口ポートは0.81平方インチ(約5.2平方センチメートル)以下の合計横断面積(Arop)を有する請求項12記載の便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器。
  17. 前記ダイレクト供給ジェットは出口ポートを備え、前記出口ポートは少なくとも2.1平方インチ(約13.5平方センチメートル)の横断面積(Ajop)を有する請求項12記載の便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器。
  18. 便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器であって、この便器ボウル組立体が、
    流体源に連通している、便器ボウル組立体入口部と、
    便器ボウルであって、その上側周囲にリムを備え、リム通路を形成し、このリムは、入口ポートと、少なくとも1つのリム出口ポートとを備え、前記リム通路の入口ポートは、前記便器ボウル組立体入口部と連通している、前記便器ボウルと、
    下水管出口に連通しているボウル出口部と、
    ダイレクト供給ジェットであって、流体源から流体を受け入れるために、前記便器ボウル組立体入口部と連通し、流体を排出するために前記ボウル出口部と連通している、前記ダイレクト供給ジェットと、を有し、
    前記便器は、1.6ガロン(約6.0リットル)以下の洗浄水量で作動することができ、前記少なくとも1つのリム出口ポートから出る水は加圧されて、洗浄サイクル中の時間に対してプロットされたリム圧力を表す曲線の積分が、3インチH2O・s(約746.4 Pa・s)を越え、前記少なくとも1つの出口ポートは0.3平方インチ(約1.9平方センチメートル)以上0.81平方インチ(約5.2平方センチメートル)以下の合計横断面積(Arop)を有することを特徴とするサイホン式の重力駆動の便器。
  19. 前記ダイレクト供給ジェットは出口ポートを備え、前記ダイレクト供給ジェット出口ポートは0.6平方インチ(約3.9平方センチメートル)以上5平方インチ(約32.3平方センチメートル)以下の横断面積(Ajop)を有する請求項18記載の便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器。
  20. 前記ダイレクト供給ジェットは出口ポートを備え、前記出口ポートは少なくとも2.1平方インチ(約13.5平方センチメートル)の横断面積(Ajop)を有する請求項19記載の便器ボウル組立体を備えたサイホン式の重力駆動の便器。
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