JP4411722B2 - 水洗便器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水洗便器に関し、詳しくは、汚物を受ける鉢部の底部に形成された排出口と連通する排水路と、該排水路と汚水管とを連接する連接部材とを有し、前記鉢部に、所定の給水源と給水可能に接続されたタンクから洗浄水を供給することにより、鉢部内の汚物を、排水路から連接部材を介して汚水管に送り込む水洗便器に関する。
【0002】
【従来の技術】
便器の内部には、鉢部内の汚物や水を排出するための通路として排水路が形成されている。この排水路は、一般には、鉢部の底部に形成された排出口から便器の背面に向かって、排出口よりも上方の位置まで延出し、この後、下方に屈曲されて汚水管に向かう形状に形成される。このような形状とすることで、排水路内の底壁の最も高い位置である堰の高さよりも低い位置の鉢部内および排水路内に溜水を溜めることが可能となり、この溜水により汚水管からの臭気の逆流を防止している。
【0003】
排水路の終端は、一般に、樹脂製の排水ソケットやベンド管等の連接部材を介して汚水管に接続される。この汚水管は、通常、便器の背面側の壁の裏側に走る立管から横引きされて、便器の背面側の壁に近い位置に立ち上げられる。これは、立管から横引きされる汚水管の長さをできる限り短くした方が、排水勾配を確保しやすくなり、横引きされた汚水管の途中における汚物の残存をより効果的に防止することができるからである。
【0004】
特に最近では、汚水管を、便器の背面側の壁から約200mmという壁に近接した位置に立ち上げるケースが増えている。このように立ち上げられた汚水管のことを、以下、「ラフィン200mmの汚水管」という。このようなラフィン200mmの汚水管との接続を可能とするため、便器の排水路は、下方に屈曲された後、便器の先端方向には向かわず、ほぼ鉛直下方に延出した形状に形成されていた。
【0005】
一方、従来の便器では、一回の便器洗浄の際に、約7リットル以上の洗浄水を使用しており、更なる節水を図る必要があった。特に、サイホン作用を利用して鉢部内の汚物を排出する便器の場合には、サイホン作用の発生ないし持続は、排水路を一定期間満水状態に維持することで実現されるため、この満水状態の維持のために相当量の水が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一回の便器洗浄において使用される洗浄水の量を少なくすると、便器の排出口から排水路に導かれる水量が減少するため、排水路が満水状態となりにくくなる。このため、▲1▼サイホン作用が発生しなくなる、▲2▼サイホン作用の発生時期が遅くなる、▲3▼サイホン作用が十分な期間持続しない等の問題が生じ、便器の洗浄能力に支障を来たすおそれがあった。
【0007】
一方、洗浄水を少量としたことに伴い、下方に屈曲された後の排水路の断面積を減少すれば、堰を越えて落下する水に対する抵抗が増大し、排水路が満水状態となり易くなる。しかし、排水路内での汚物の閉塞という別の問題を招致するおそれがあり、便器の洗浄能力を確保することが困難であった。
【0008】
また、下方に屈曲された後の排水路を再び屈曲させる形状とすれば、上記と同様に、堰を越えて落下する水に対する抵抗が増大し、排水路が満水状態となり易くなる。しかし、排水路を二重の屈曲部を有する形状とすれば、便器の製造効率が悪化してしまう。また、二度に亘って屈曲された排水路の終端を、ラフィン200mmの汚水管と接続可能な位置に戻すことは、便器の高さ寸法との関係で困難であり、結果として、ラフィン200mmの汚水管との接続ができなくなってしまうという問題もあった。
【0009】
そこで本発明は、以上の課題を解決し、サイホン作用を利用する便器において、洗浄水の量を少なくした場合であっても、排水路を複雑な形状とすることなく排水路における満水状態を創り出し、十分な洗浄能力を確保することを目的として、以下の構成を採った。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の水洗便器は、
汚物を受ける鉢部と、
該鉢部の底部に形成された排出口と連通し、該連通位置よりも高い位置まで延出した後、汚水管の位置する下方向に向かう排水路とを有し、
該排水路の終端を、該排水路と前記汚水管とを連接する部材であって、内部に流路が形成された部材である連接部材を介して、前記汚水管と接続するとともに、
前記鉢部および前記排水路内に、該排水路内の底壁の最も高い位置である堰の高さまで溜水を溜め、
該溜水が溜められた前記鉢部に、所定の給水源と給水可能に接続されたタンクから洗浄水を供給することにより、前記鉢部内の汚物を、前記排水路内の前記堰を越える位置まで搬送し、前記連接部材の流路を通じて前記汚水管に送り込む水洗便器であって、
前記タンクを、前記給水源からの給水を止めた状態での一洗浄動作により、該タンク内に貯溜された貯溜水のうちの2.8リットル以上6リットル以下の貯溜水を前記鉢部に供給するよう構成し、
前記連接部材が前記排水路と接続された状態において、該連接部材の流路の出口における中心を、前記便器の背面から前記便器の前方に向かって200mm以下の位置に配置するとともに、
該連接部材の流路内において、洗浄水の落下運動を抑制する落下抑制手段を設け、
前記給水源からの給水可能な状態での一洗浄動作により、前記タンクから前記貯溜水を含む洗浄水が前記鉢部に供給されたとき、該供給に伴って前記堰を越えた前記溜水および前記洗浄水の落下を、前記落下抑制手段が抑制し、
該落下抑制手段による抑制に基づいて、前記堰付近の排水路内の満水状態を創り出し、サイホン作用を引き起こすことを要旨とする。
【0011】
ここで、汚物には、大便や小便等の排泄物のほか、使用後のトイレットペーパーや使用後の便座シート等の紙類等を含む。
【0012】
本発明の水洗便器によれば、給水源からの給水を止めた状態での一洗浄動作により、タンクから2.8リットル以上6リットル以下の貯溜水を供給する。従って、洗浄の際に便器に供給される水量は、従来のサイホン作用を利用して洗浄を行なう便器よりも少なくなる。
【0013】
一方、連接部材の出口部における流路の中心を、便器の排水路の終端に連接部材が接続された状態において、便器の背面から便器の前方に向かって200mm以下の位置に配置するとともに、この連接部材の流路内において洗浄水の落下運動を抑制する落下抑制手段を設ける。この落下抑制手段が、タンクからの貯溜水を含む洗浄水の供給に伴って堰を越えた溜水および洗浄水の落下を抑制し、堰付近の排水路内の満水状態を創り出し、サイホン作用を引き起こす。
【0014】
このような構成を採ることにより、少量の洗浄水でのサイホン作用の発生を、ラフィン200mmの汚水管との接続を確保しつつ、実現することが可能となる。この結果、少量の洗浄水しか用いなくても、汚物を確実に汚水管に排出し、汚水管内での汚物の残存を防止することができる。
【0015】
落下抑制手段として、以下の構成例を考えることができる。第一の構成例は、連接部材の入口部における流路に対して流路の断面積を減少させる第一の絞り部と、該第一の絞り部における流路に対して流路の断面積を減少させる第二の絞り部とを設け、この第一の絞り部および第二の絞り部により、連接部材の流路内において洗浄水の落下運動を抑制する構成である。
【0016】
この構成によれば、連接部材の流路を流下する溜水や洗浄水には、第一の絞り部や第二の絞り部を通過する際に抵抗が付与される。このため、溜水や洗浄水の圧力は降下し、第一の絞り部から第二の絞り部にかけて溜水や洗浄水が滞留する。この絞り部における滞留により、堰を越えた洗浄水の落下が抑制され、排水路は、鉢部から搬送された溜水や洗浄水で満水とされる。
【0017】
また、連接部材の流路を流下する溜水や洗浄水の圧力は、第一の絞り部と第二の絞り部という2つの絞り部を通過することにより二段階で降下し、第一の絞り部により形成された滞留状態は第二の絞り部によって更に強いものとなる。このため、連接部材の流路内において溜水や洗浄水が滞留しやすくなる。この結果、洗浄開始後の早期にサイホン作用を発生させることが可能となる。また、発生したサイホン作用を十分な期間に亘って持続することができる。
【0018】
第一の絞り部を、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させるオリフィス絞り部とし、第二の絞り部を、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部とすることも望ましい。こうすれば、溜水や洗浄水の圧力は、オリフィス絞り部により急激に降下するため、溜水や洗浄水が一気に滞留する。従って、サイホン作用の発生が開始される時期をより早めることができる。また、第二の絞り部をチョーク絞り部とすることで、流路内の抵抗を抑え、洗浄水や溜水,汚物の良好な排出性能を確保することができる。
【0019】
このオリフィス絞り部を、流路の内壁に、流路の中心方向に向かう斜面を形成することにより構成することも望ましい。こうすれば、連接部材の流路を流下する溜水や洗浄水は、斜面により流路の中心方向に案内され、流路内における水膜の形成が促進される。従って、溜水や洗浄水が滞留しやすくなる。
【0020】
また、オリフィス絞り部を、流路の内壁に、流路の中心方向に突出する凸部を形成することにより構成することも可能である。こうすれば、連接部材の流路が短い場合であっても、流路内における滞留状態を創り出すことができる。
【0021】
第二の絞り部を、第一の絞り部と連続して形成すれば、連接部材の流路の上流から下流に亘り、広い範囲で溜水や洗浄水を滞留させることが可能となる。従って、溜水や洗浄水が滞留する状態をより長い時間確保することができる。例えば、第二の絞り部を、流路の断面積が、連接部材の出口部に至るまで漸減するように構成してもよい。
【0022】
落下抑制手段としての第二の構成例は、連接部材が排水路の終端と接続された状態において、該連接部材の出口部における流路の中心を、排水路の終端における中心とは偏心した位置に設けるとともに、該偏心された後の流路に、流路の断面積を減少させる絞り部を形成し、この排水路の終端と連接部材の出口部との偏心および絞り部により、連接部材の流路内における洗浄水の落下運動を抑制する構成である。
【0023】
この構成によれば、排水路の終端から排出された溜水や洗浄水の進行方向は、連接部材の出口部までの間において、偏心された方向に変換され、進行方向が変換された溜水や洗浄水は、連接部材の流路の内壁に当接して跳ね返る。このような跳ね返りが繰り返されることにより、連接部材の流路に水膜が形成され、この水膜上に溜水や洗浄水が滞留する。この滞留により、堰を越えた洗浄水の落下が抑制され、排水路は、鉢部から搬送された溜水や洗浄水で満水とされる。
【0024】
また、上記の偏心された流路を通過した後の溜水や洗浄水は、更に絞り部を通過することにより圧力が降下するため、この絞り部においても溜水や洗浄水が滞留する。このように、連接部材の流路の複数の箇所で溜水や洗浄水が滞留するため、連接部材の流路内において溜水や洗浄水が滞留しやすくなる。従って、洗浄開始後の早期にサイホン作用を発生可能となるとともに、発生したサイホン作用を十分な期間持続することができる。
【0025】
上記の第二の構成例において、連接部材の流路の内壁に、偏心方向に延出する斜面を形成することも好適である。こうすれば、連接部材の流路を流下する溜水や洗浄水は、流路の内壁に設けられた斜面により、該内壁の対壁方向に案内されて、確実に対壁に当接する。従って、当接後の跳ね返りによる水膜の形成が促進され、この結果、溜水や洗浄水が滞留しやすくなる。
【0026】
さらに、延出された斜面の延長線上の位置付近の内壁に、連接部材の流路の中心を通る軸線方向に突出する凸部を形成してもよい。こうすれば、斜面に案内されて流路の内壁に当接した溜水や洗浄水のうちの相当量の水を、出口部における流路の中心を通る軸線方向に跳ね返すことが可能となり、より水膜を形成しやすくなる。
【0027】
また、上記の第二の構成例において、連接部材の流路に、該流路の中心を通る軸線方向に突出する突出部を設けることも相当である。こうすれば、連接部材の流路を流下する溜水や洗浄水が突出部に衝突することにより、流路内に乱流が生じ、溜水や洗浄水が滞留しやすくなる。
【0028】
絞り部を、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部とすることも、該絞り部での溜水や洗浄水の滞留を確保しつつ、サイホン作用による引き込みの際に溜水や洗浄水に与えられる抵抗を極力緩和することができる点で望ましい。
【0029】
落下抑制手段としての第三の構成例は、連接部材が前記排水路の終端と接続された状態において、該連接部材の出口部における流路の中心を、排水路の終端における中心とは偏心した位置に設けるとともに、該偏心された後の流路に対して流路の断面積を減少させる第一の絞り部と、該第一の絞り部における流路に対して流路の断面積を減少させる第二の絞り部とを備え、
この排水路の終端と連接部材の出口部との偏心、第一の絞り部および第二の絞り部により、連接部材の流路内における洗浄水の落下運動を抑制する構成である。
【0030】
この構成によれば、排水路の終端から排出された溜水や洗浄水は、連接部材の出口部までの間において、その進行方向が、偏心された方向に変換されて、連接部材の流路の内壁に当接して跳ね返る。このような跳ね返りが繰り返されることにより、連接部材の流路に水膜が形成され、この水膜上に溜水や洗浄水が滞留する。この滞留により、堰を越えた洗浄水の落下が抑制され、排水路は、鉢部から搬送された溜水や洗浄水で満水とされる。
【0031】
また、上記の偏心された流路を通過した後の溜水や洗浄水は、更に第一の絞り部および第二の絞り部を通過することにより、その圧力が二段階に亘って降下する。このため、連接部材の流路内において、溜水や洗浄水が滞留し続ける時間がより長くなる。従って、発生したサイホン作用を、より長期間に亘って持続することができる。
【0032】
上記の第三の構成例において、第一の絞り部を、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させるオリフィス絞り部とし、第二の絞り部を、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部であるとすることも望ましい。こうすれば、溜水や洗浄水は、偏心された流路およびオリフィス絞り部において、急激に滞留する。従って、比較的多量の洗浄水を用いる場合や排水路や連接部材の流路の断面積を比較的広くした場合であっても、洗浄開始後の早期に溜水や洗浄水の滞留状態を創り出すことが可能となる。
【0033】
また、連接部材の出口部における流路の断面積を、20平方センチメートル以上27平方センチメートル以下の値とすれば、連接部材の流路内における溜水や洗浄水の滞留に拘わらず、汚物をよりスムーズに汚水管に導くことが可能となる点で好適である。
【0034】
なお、上記の構成例において、サイホン作用を発生させる時期やサイホン作用の持続時間は、上記第一の絞り部,第二の絞り部,絞り部を設ける位置、排水路の終端と連接部材の出口部とが偏心される距離等を変えることにより、所望の時期や時間に設定することが可能である。
【0035】
堰を越えた後の排水路を、略鉛直下方向に延出するように形成すれば、堰を越えた後の排水路を更に屈曲させる必要がなく、便器の製造効率をより高めることができる。
【0036】
堰を越えた後の排水路を、該排水路の終端に至るまで、略同一の断面積に形成することも、排水路が複雑な形状とならず、より製造効率を向上することができる点で好適である。
【0037】
落下抑制手段を連接部材に設けることも望ましい。こうすれば、落下抑制手段を排水路に設ける場合と比較して、連接部材の形状変更等により流路の形状を自由に設定することが可能となる。従って、洗浄水の落下運動を抑制する程度を、なお、落下抑制手段は、連接部材と一体として設けてもよいし、連接部材とは別の部材を連接部材に挿入ないし装着するものであってもよい。
【0038】
上記の落下抑制手段に代えて、連接部材に内接される排水路の終端部分の形状により、連接部材の流路における洗浄水の落下運動を抑制する抑制手段を設ける構成とすれば、サイホン作用を発生させるために連接部材の形状を変更する必要がなく、連接部材の共通化を図ることができる。なお、抑制手段は、排水路の終端部分と一体として設けてもよいし、排水路の終端部分に排水路を形成する部材とは別の部材を排水路の終端部分に挿入ないし装着するものであってもよい。
【0039】
上記の落下抑制手段に加え、連接部材の流路における汚物の通過を促進する通過促進手段を設けてもよい。この構成によれば、サイホン作用を発生させるために、洗浄水の汚水管方向への落下が抑制される一方、連接部材の流路における汚物の通過は、サイホン作用の発生の有無に拘わらず促進される。従って、連通部材の流路をサイホン作用の発生可能な形状とした場合であっても、連接部材の流路内における汚物の閉塞を確実に防止することができる。
【0040】
落下抑制手段として、連接部材の入口部における流路に対して流路の断面積を減少させる第一の絞り部と、該第一の絞り部における流路に対して流路の断面積を減少させる第二の絞り部とを備えるとともに、該第一の絞り部および該第二の絞り部を、流路の内周壁のうちの一部の範囲に設けることにより通過促進手段を構成することも好適である。こうすれば、流路の内周壁のうちの一部の範囲以外の範囲においては、連接部材の入口部における流路に対して流路の断面積が減少されることはない。このため、連接部材の流路の断面積は、可能な限り広く確保される。従って、連接部材の入口部からの汚物のスムーズな進入や進入した汚物の汚水管方向への円滑な移動を、より確保することができる。
【0041】
第一の絞り部を、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させるオリフィス絞り部とし、第二の絞り部は、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部としてもよい。第二の絞り部をチョーク絞り部とすることにより、連接部材の流路の断面積を、流路の長い範囲において広く確保することが可能となり、流路内の汚物の移動をより円滑にすることができる。
【0042】
一部の範囲以外の内周壁を、入口部から出口部の近傍に至るまでは略鉛直方向に延出し、該出口部の近傍から該出口部にかけては流路の中心方向に延出する形状に形成することも好適である。こうすれば、連接部材の流路の断面積を、入口部から出口部の近傍に至るまで可能な限り広く確保される。従って、汚物を、出口部の近傍までスムーズに導くことができる。
【0043】
出口部の近傍における流路の断面積を、25平方センチメートル以上35平方センチメートル以下の値とし、出口部における流路の断面積を、20平方センチメートル以上27平方センチメートル以下の値とすれば、汚物をよりスムーズに汚水管に導くことが可能となる点で好適である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成及び作用を一層明らかにするために、以下、本発明の水洗便器について、その実施の形態を説明する。まず、本発明の第1実施例であるサイホンゼット式便器10について説明する。図1は、このサイホンゼット式便器10の縦断面を示す説明図であり、図2は、この便器10の上面を示す説明図である。この図1および図2は、便器10の洗浄後に、洗浄タンク310および便器10内における水の流動が停止したときの便器10の様子を表わしている。
【0045】
サイホンゼット式便器10は、洗浄に伴い、リム部21の裏側の水出し孔44からのみならず、排出口25と対向する位置に形成されたゼット噴出孔22からも洗浄水を噴出する。これにより、サイホン作用を早期に引き起こすことを可能としている。以下、便器10の各部について、図1および図2を参照しつつ説明する。
【0046】
図1に示すように、便器10は、汚物を受けるボール部20を備える。ボール部20の周壁は、便器10の非洗浄時でも溜水RWと接する覆水面23と、便器10の非洗浄時には溜水RWと接しない乾燥面24から構成されている。
【0047】
便器10には、ボール部20に水を供給するための機構(以下、供給機構という)と、ボール部20内の汚物を排水立ち上げ管90に向けて排出するための機構(以下、排出機構という)が設けられている。
【0048】
まず、供給機構について説明する。便器10の後方には、洗浄タンク310の排水管346を接続するための孔である洗浄水給水孔40が設けられており、洗浄水給水孔40からボール部20方向に向かう便器10の内部には、洗浄タンク310からの洗浄水の流路である洗浄水給水路41が設けられている。
【0049】
図1に示すように、洗浄水給水路41の途中の上側の内壁には分岐孔42が穿設されている。この分岐孔42よりも下流側の洗浄水給水路41は、斜め下向きの傾斜で延出した形状の滞留部41aとされている。
【0050】
滞留部41aの側壁にはゼット給水孔45が設けられており、このゼット給水孔45は、排出口25と対向する位置に形成されたゼット噴出孔22と、便器内部を湾曲するように形成されたゼット給水路46を介して接続されている(図2を参照)。
【0051】
また、図1および図2に示すように、リム部21の裏側は、ボール部20上端の内周に沿った範囲に亘って、中空部を有する筒形の形状に成形されている。この中空部がリム給水路43であり、洗浄水はこの中空部を流通する。
【0052】
リム給水路43に流れ込んだ洗浄水は、リム部21の裏側に設けられた小孔44c,大孔44a等の水出し孔44から吐出される。図2に示すように、リム部21の裏側には、7mm径の大孔44a,4mm径の中孔44b,3mm径の小孔44c,略長方形の長孔44d,eという5種類の形状の水出し孔44が設けられている。
【0053】
これらの水出し孔44は、リム部21の成形の際に、リム給水路43の底壁に形成される。勿論、これ以外の手法で水出し孔44を設けることも可能である。例えば、リム給水路43の底壁の全周にスリットを設けるとともに、このリム給水路43内に、底部に複数の孔を有する中空状の樹脂成形品を装着する構成としても差し支えない。
【0054】
次に、供給機構としての洗浄タンク310の構成について、図3を参照しつつ説明する。図3に示すように、洗浄タンク310は、手洗鉢318が形成された蓋317と外装タンク312を備える。蓋317には、手洗鉢318に向けて手洗用の水を吐水する手洗用吐水管319が組み付けられている。
【0055】
外装タンク312の底面の排水管接続用穴366,2個のボルト取付用穴367からは、それぞれ円筒形状の排水管346,2本の密結用ボルト342が露出している。この排水管346を、便器10の後方の洗浄水給水孔40に嵌め込みながら、便器10後部のタンク密結孔28に密結用ボルト342を差し込み、差し込まれた密結用ボルト342をナットで締め付けることにより、便器10に洗浄タンク310が装着される。このように、便器10と密接して連結される洗浄タンクを、以下、ロータンク型タンクという。
【0056】
外装タンク312の内部には、洗浄水を貯えるポリプロピレン製の内装タンク314が収納されている。この内装タンク314の内部には、後述するボールタップ320への水の供給路である流入管328、ボールタップ320からの水をタンク下方へ案内する水没管338、万一タンクが満水となった場合に水がタンクの外へあふれることを防止するオーバーフロー管340が設けられている。
【0057】
図3に示すように、上下方向に設けられた流入管328の下端には、給水立ち上げ管からの水を止水栓を介して供給する給水ホース324が接続され、流入管328の上端にはボールタップ320の給水口が接続されている。従って、止水栓からの水は、給水ホース324,流入管328を通じてボールタップ320に供給される。
【0058】
ボールタップ320は、内装タンク314内への水の供給を制御する機構であり、この制御を行なうために、アーム350によって浮子322と接続された弁を備える。この弁の開閉は、内装タンク314内の水位の変化に伴う浮子322の上下により行なわれる。
【0059】
なお、洗浄タンク310は、内装タンク314内に6リットルの水が溜まったときの水位まで浮子322が移動したときに、ボールタップ320の弁を閉じる構成を採る。即ち、洗浄タンク310内に溜まる水の容量(以下、タンク容量という)は6リットルとなる。
【0060】
内装タンク314の底部には、円筒形状の排水管346が内装タンク314と一体として形成されている。図3に示すように、排水管346は、内装タンク314の底部から下方に向かって排水管接続用穴366越しに突出するとともに(以下、この突出した部分を下方突出部346aという)、内装タンク314の内底から上方に僅かに突出する。
【0061】
この排水管346は、オーバーフロー管340と一体として形成されている。図3に示すように、オーバーフロー管340の下端は、排水管346の下方突出部346aの側面において、排水管346に合流している。
【0062】
ボールタップ320の弁を開いたときの水の流路について説明する。図3に示すように、開弁により弁を通過した水は、吐水管321,補給水管323,連絡管(図示せず)という3つの管に分かれて流れ込む。吐水管321,補給水管323,連絡管の先端は、それぞれ、水没管338の入口,オーバーフロー管340の入口,手洗用吐水管319の入口に接続されている。
【0063】
従って、吐水管321に進入した水は、水没管338を通って内装タンク314の底部に供給され、大便用排水弁345,小便用排水弁344が閉じていることを前提として、内装タンク314内に溜まる。一方、補給水管323に進入した水は、オーバーフロー管340,排水管346を通り、大便用排水弁345の開閉状態に拘わらず、便器10の洗浄水給水孔40に供給される(以下、この水を補給水という)。また、連絡管に進入した水は、手洗用吐水管319内を上昇しながら通過し、手洗用吐水管319の吐水口から吐出される。吐出された水は、手洗鉢318に形成された穴326を通って内装タンク314内に供給される。
【0064】
次に、内装タンク314内の貯溜水を排出する仕組みについて説明する。図3に示すように、内装タンク314の中央下部には、内装タンク314の底部に形成された排水管346の入口を覆うように、円筒形状の大便用排水弁345が配置されており、この大便用排水弁345の上に被さるように、上面が塞がれた円筒形状の小便用排水弁344が配置されている。
【0065】
この大便用排水弁345,小便用排水弁344は、それぞれ支持軸361,支持軸360によって一定の軌跡で上下動可能に支持されるとともに、スピンドル332の片端に形成されたアーム334,アーム333と鎖335b,鎖335aで繋がれている。スピンドル332の他端は、内装タンク314の側面に固定されたスピンドルガイド336を介して、ハンドル330の軸部と噛合される。これにより、ハンドル330の回転動作をスピンドル332に伝達可能となる。
【0066】
ハンドル330の側面には、時計廻り方向の矢印表示および反時計廻り方向の矢印表示が付されており、これらの矢印の先には、それぞれ「大」,「小」という文字が付されている。この時計廻り方向の矢印表示と「大」という文字は、大便後の便器10を洗浄する大洗浄の操作方向を示し、反時計廻り方向の矢印表示と「小」という文字は、小便後の便器10を洗浄する小洗浄の操作方向を表わす。
【0067】
ハンドル330が「大」の方向に操作されると、この操作方向に、ハンドル330と噛合されたスピンドル332が回転する。この回転により、アーム333が鎖335aを介して小便用排水弁344を引き上げるとともに、アーム334が鎖335bを介して大便用排水弁345を引き上げる。これにより大便用排水弁345が開弁し、大便用排水弁345で覆われていた排水管346の入口に、内装タンク314内の貯溜水が流入する。
【0068】
なお、大便用排水弁345を支持する支持軸361は、タンク容量である6リットルの貯溜水のうちの4リットルの貯溜水が排水管346から排出されるまでの間、大便用排水弁345を引き上げた状態,即ち開弁状態に保つように構成されている。従って、大洗浄の操作がされた場合には、常に、4リットルという一定の量の貯溜水が排水管346に流入する。
【0069】
即ち、支持軸361は、排水管346への貯溜水の流入が開始された後、元の位置である下方に向かって徐々に移動し、4リットル分の貯溜水が排水管346から流れ出たときに元の位置に復帰し、大便用排水弁345を閉弁する。この結果、タンク容量である6リットルの貯溜水のうちの2リットルの貯溜水は、排水管346から流れ出ることなく、内装タンク314内に残留する。このように、洗浄タンク内の貯溜水のうち、一回のハンドル操作後に便器に排出されず、洗浄タンク内に残る水を、以下、残留水という。
【0070】
一方、ハンドル330が「小」の方向に操作された場合には、スピンドル332の回転により、アーム333が鎖335aを介して小便用排水弁344を引き上げ、小便用排水弁344を開弁する。これにより、小便用排水弁344で覆われていた円筒形状の大便用排水弁345の頂部に、内装タンク314内の貯溜水が流入する。
【0071】
なお、小便用排水弁344を支持する支持軸360は、タンク容量である6リットルの貯溜水のうちの3リットルの貯溜水が排水管346から排出されるまでの間、小便用排水弁344を引き上げた状態,即ち開弁状態に保つように構成されている。従って、小洗浄の操作がされた場合には、タンク容量である6リットルの貯溜水のうちの3リットル分が、大便用排水弁345の中空部を通じて排水管346に流入し、残りの3リットル分の貯溜水は、残溜水として内装タンク314内に残留する。
【0072】
このように構成された洗浄タンク310において、ボールタップ320から内装タンク314内への水の供給を、止水栓の閉止等によって禁止し、便器10に供給される洗浄水を洗浄タンク310内の貯溜水のみとした場合には、「大」の方向へのハンドル330操作により、タンク容量である6リットルの貯溜水から2リットルの残溜水を除いた4リットルの量の貯溜水が、排水管346を通じて便器10の洗浄水給水孔40に排出される。同様の条件で「小」の方向へのハンドル330操作をした場合には、3リットルの量の貯溜水が便器10の洗浄水給水孔40に排出される。このように、洗浄タンク310内への給水がされない状態において、1回の洗浄動作に伴って排水管346から排出される内装タンク314内の貯溜水の量を、以下「タンク実容量」という。即ち、洗浄タンク310は、大洗浄におけるタンク実容量が4リットル、小洗浄におけるタンク実容量が3リットルのタンクである。
【0073】
一方、ボールタップ320から内装タンク314内への水の供給を許容した状態、即ち、通常の使用状態においてハンドル330を操作した場合には、上述したタンク実容量分の貯溜水のほか、内装タンク314内の水位の低下に伴うボールタップ320の開弁により補給水管323に流れ込む補給水が、オーバーフロー管340,排水管346を通って、便器10の洗浄水給水孔40に排出される。図3に示す洗浄タンク310では、一回の大洗浄のハンドル330操作に伴って約2リットルの補給水が、一回の小洗浄のハンドル330操作に伴って、約1.5リットルの補給水が、それぞれ便器10に供給される。
【0074】
従って、給水源との接続を確保した状態においては、1回のハンドル330の操作により、タンク実容量と補給水量を合わせた量(大洗浄の場合に6リットル、小洗浄の場合に4.5リットル)の水が、洗浄水として、便器10の洗浄水給水孔40を通じて洗浄水給水路41に供給される。このように、洗浄タンク310が止水栓を介して給水源と接続され、洗浄タンク310内への給水がなされる状態において、1回の洗浄動作に伴って便器に供給される水の量を、以下「洗浄水供給量」という。即ち、便器10への洗浄水供給量は、大洗浄の場合には6リットル、小洗浄の場合には4.5リットルとなる。
【0075】
以上、便器10の供給機構について説明した。次に、排出機構につき、図1に戻って説明する。図1に示すように、汚物溜りとしての凹部26の奥に形成された排出口25の先には、ボール部20からの水や汚物の流路である排水路30が形成されている。この排水路30は、排出口25から斜め上方向に延出する接続路31,接続路31と連続し、斜め上方向に延出する上昇路32、上昇路32と連続し、下方向に延出する下降路33から構成される。
【0076】
下降路33は、図1に示すように、上昇路32の内壁下側の最も高い位置である堰34を越えた後、略鉛直下方向の排水立ち上げ管90に向かって延出している。このため、堰34付近の排水路30は、屈曲した形状とされている。このような形状とされた部分を、以下、屈曲部35という。
【0077】
排水路30は、この流路形状を石膏型や樹脂型に形取ることにより、陶器である便器10と一体に成形されるが、便器10とは別の部材で流路を形成することも可能である。例えば、排水路30の全部または一部を、樹脂等の他の部材で成形し、排出口25に接続する構成としてもよい。また、壁側方向に排水する壁排水仕様の便器10の場合には、下降路33の終端の形状を、排水方向が壁向きとなるように変更し、下降路33の終端に、排水立ち上げ管90方向に向かうベンド管を接続する構成とすればよい。
【0078】
排水路30における堰34の高さにより、ボール部20内の溜水RWの高さが定まる。図1および図2に示すように、洗浄動作前の便器10には、堰34の高さである通常水位線WLよりも低い位置にあるボール部20、接続路31および上昇路32の一部、滞留部41aの下部およびゼット給水路46に、所定量の溜水RWが溜まっている。この溜水RWにより、排水機構からボール部20への臭気の逆流や害虫の進入が防止される。
【0079】
便器10に溜まっていた溜水RWは、一回の洗浄により、新たな溜水RWに置換される。第1実施例では、ボール部20や排水路30の形状を調整して、便器10に溜まる溜水RWの量を、従来よりも少量の約2.1リットルとし、一回の洗浄により置換される水の量を従来よりも少なくしている。これにより、洗浄水の少量化を図っている。
【0080】
このように溜水RWを少量とする一方、ボール部20には、幅185mm×奥行き225mmという広い面積の溜水面が確保されている。これにより、ボール部20への汚物の固着や乾燥面24からの臭気の発散を有効に防止することができる。
【0081】
続いて、排水路30の断面形状について、図4および図5を参照しつつ説明する。図4は、接続路31、上昇路32、下降路33の横断面形状を示す。図5は、接続路31、上昇路32の縦断面形状を示し、図5(a)は、図4のB−B断面、C−C断面およびD−D断面を示す。
【0082】
図4および図5(a)に示すように、接続路31の始端31aおよび終端31b、上昇路32の始端32aおよび中間部32bは、同じ断面を有している。この断面は、下側が半円形状、上側が長方形状という、非円形かつ上下に非対称の形状とされている。この形状は、図4に示す中間部32bと終端32cとの間の曲り部においても同じであり、上側の外曲がり部分が長方形状に、下側の内曲がり部分が半円形状に形成されている。
【0083】
つまり、接続路31は、始端31aから終端31bまで同一の断面積で形成され、上昇路32は、始端32aから終端32cの手前に至るまで、接続路31と同一の断面積で形成されている。このように、溜水RWが溜まる接続路31および上昇路32を同じ形状とし、溜水RWが溜まる部分の容積を、接続路31が上昇路32よりも幅広である従来の形状の排水路より減少させることで、溜水RWの量の全体量を減らすことを実現している。
【0084】
一方、上昇路32の終端32c付近以降の断面形状は、これ以外の部分における上昇路32の断面とは異なる形状で形成されている。この断面形状を図5(b)に示す。図5(b)に示すように、上昇路32の終端32cおよび下降路33の断面は、内径がx1という値の円形とされている。
【0085】
ここで、図5(a)に示した接続路31の始端31aから上昇路32の終端32cの手前に至るまでの断面において、下側の半円の中心O1からの半径r1の値は、上側の長方形の短辺x2の長さの値とほぼ等しく、さらに、図5(b)に示した上昇路32の終端32cおよび下降路33の断面における下側の半円の中心O2からの半径r2の値とも等しい。従って、接続路31の始端31aから上昇路32の終端32cの手前に至るまでの断面と上昇路32の終端32c付近以降の断面とは、略同一の断面積となる。
【0086】
次に、排出機構の一部である排水ソケット60に関し、図1に戻って説明する。図1に示すように、下降路33の終端は、樹脂製の排水ソケット60を介して、トイレ室の床YKに設けられた塩化ビニール製の排水立ち上げ管90に接続されている。この排水立ち上げ管90が、特許請求の範囲にいう「汚水管」に相当する。
【0087】
排水ソケット60は、ソケット60内部を上下方向に貫通してなる筒部70を備える。下降路33からの汚物や水は、筒部70内を流通し、排水立ち上げ管90に至る。なお、排水ソケット60の詳細については、後に詳述する。
【0088】
次に、排水立ち上げ管90と便器10との位置関係について説明する。排水立ち上げ管90は、管90の中心が、トイレ室の壁KBから200mmの位置に来るように立ち上げられている。即ち、図1において、トイレ室の壁KBから排水立ち上げ管90の中心線Y−Yまでの距離yは、200mmという値となる。
【0089】
一方、便器10の下降路33が排水ソケット60を介して排水立ち上げ管90と接続された状態において、便器10の後端から排水立ち上げ管90の中心線Y−Yまでの距離vは180mmとされており、便器10に組み付けられた洗浄タンク310の後端から排水立ち上げ管90の中心までの距離wは190mmとされている。
【0090】
また、排水ソケット60の出口部77における流路の中心P1は、排水立ち上げ管90の中心線Y−Y上に位置している。従って、排水ソケット60の出口部77における流路の中心P1は、排水ソケット60が下降路33と接続された状態において、便器10の後端から便器10の先端方向に向かって180mmの位置に配置されている。
【0091】
このように、便器10は、トイレ室の壁KBから200mmの位置を中心として立ち上げられた排水立ち上げ管90(以下、ラフィン200mmの排水立ち上げ管90という)に接続可能に構成されている。従って、排水立ち上げ管90を建築側の壁KBに近い位置に設けることが可能となる。この結果、排水立ち上げ管90からパイプスペースまでの距離が短くなり、汚物のスムーズな搬送を確保することができる。
【0092】
なお、上例では、便器10を排水立ち上げ管90に接続したときに、洗浄タンク310の背面とトイレ室の壁KBとの間に10mmのクリアランスが確保される。このようなクリアランスを考慮しない場合には、上記の距離vや距離wの値をより小さな値とすることができる。
【0093】
以上説明した供給機構および排出機構により、ボール部20に洗浄水が供給され、ボール20部内の汚物や汚水が排出される仕組みについて説明する。なお、「汚水」とは、大便や小便等の汚物や紙などが混ざることによって汚れた水をいう。
【0094】
洗浄タンク310内の高い水位からの自由落下により洗浄水給水孔40に供給された洗浄水は、洗浄水給水路41の斜め下向きの傾斜に案内されて滞留部41aに流入する。この流入により、滞留部41a内の水位は、ボール部20内の水位よりも上昇し、この水位の上昇に伴い、滞留部41aの下部およびゼット給水路46内に溜まっていた溜水(以下、この溜水のことをゼット溜水という)が、ボール部20内のゼット噴出孔22方向に流動する。この結果、ゼット噴出孔22からは、ゼット溜水、滞留部41aに流入した洗浄水が、順次に噴出される。
【0095】
ゼット噴出孔22からの洗浄水は、排出口25に向かって噴出される。このため、接続路31および上昇路32内の溜水RWや凹部26に溜まった汚物は、堰34の方向に押し上げられる。この結果、上昇路32内における水位は通常水位線WLを越えて急激に上昇し、接続路31,上昇路32および屈曲部35がすぐに満水状態となり、屈曲部35に充満した水の先端とボール部20内の溜水RWの表面との間に水位差が生じる。この水位差により、下降路33内とボール部20との間に圧力差が生じ、下方向への引き込み力が発生する。このような作用を、以下、サイホン作用という。このサイホン作用により、ボール部20内の汚物が汚れた溜水RWや洗浄水と共に、堰34の方向に引き込まれる。
【0096】
このように汚物や溜水RW等が堰34の方向に引き込まれる際には、接続路31の始端31aから上昇路32の終端32cの手前までの流路の断面積が同じであるため、溜水RWは、流路面積の相違によって加速されず、水の圧力損失は、加速される場合と比べて小さくなる。また、始端31aから終端31bまでは同じ太さなので、管路の太さが漸減している場合のように、管路の途中において洗浄水の流動方向が交差し、洗浄水同士が複雑に重り合うことがなく、始端31aから終端32cまでの間で乱流が発生しにくくなる。従って、少量の水しか用いなくてもサイホン作用を安定して生じさせることが可能となる。
【0097】
ゼット噴出孔22は、洗浄後暫くの間は、ボール部20に溜まった溜水RW内に水没した状態とされ、このゼット噴出孔22と連通するゼット給水路46内は、滞留部41aに流入した洗浄水により満水状態が維持される。一方、洗浄水給水路41には、自由落下により付勢された多量の貯溜水が、洗浄タンク310から一気に供給される。このため、単位時間当たりの滞留部41aへの洗浄水の流入量が、単位時間当たりのゼット噴出孔22からの噴出量よりも多くなる。この結果、洗浄タンク310から供給された洗浄水は滞留部41aに溜まっていき、滞留部41aないし洗浄水給水路41内の水位が上昇する。
【0098】
この水位は、やがて分岐孔42を越える高さにまで上昇し、この水位の上昇により、便器10の前側方向に付勢された洗浄水が分岐孔42に流入する。分岐孔42に流入した洗浄水は、左右のリム給水路43に供給され、水出し孔44の開孔径や洗浄水の付勢力に対応して分配されて、各孔44a〜eから吐出される。
【0099】
このとき、分岐孔42に近い位置である右側後方のリム部21の裏側に形成された長孔44dからは、付勢力の大きな水が、便器の前方のやや左側の乾燥面24に向けて多量に吐出される。また、便器10前方のやや右側の位置に形成された長孔44eからは、リム給水路43を右回りに流れてきた洗浄水が、便器10左後方の乾燥面24に向けて多量に吐出される。この長孔44d,44eから吐出された洗浄水が主流となって、水出し孔44から吐出される洗浄水に時計廻り方向への旋回力が付与される。
【0100】
なお、上記は、水出し孔44から吐出される洗浄水に旋回成分を与える手法の一例であり、勿論、他の手法を用いてもよい。例えば、旋回方向への角度をつけながら水出し孔44を形成してもよいし、リム給水路43の流路を片側廻りにしてもよい。
【0101】
また、水出し孔44からの吐出量とゼット噴出孔22からの噴出量との配分は、分岐孔42やゼット噴出孔22の形状等を変えることにより、任意に設定することが可能である。
【0102】
このように旋回力が付与された洗浄水は、便器10の乾燥面24の表面に沿って流下し、ボール部20内の溜水RWに合流する。この合流により、洗浄水の旋回力は、ボール部20内の溜水RWに伝達される。これにより、ボール部20内の水に右回りの旋回流が生じる。この結果、ボール部20内の汚物は、旋回流の渦に巻き込まれて凹部26に集められ、排出口25に向かう。
【0103】
水出し孔44からの吐出により増量されたボール部20内の溜水RWは、既に発生しているサイホン作用により、排水路30の方向に引き込まれる。従って、ボール部20内の水位は、水出し孔44からの洗浄水の吐出の前と比べて、さほど上昇しない。一方、ゼット噴出孔22からは、水出し孔44から洗浄水が吐出されている間も、継続して洗浄水が噴出されることに加え、この噴出により堰34から溢れ出て下降路33を流下した水は、後述する排水ソケット60による滞留作用により、排水立ち上げ管90方向への落下が抑止される。従って、接続路31,上昇路32および屈曲部35は、サイホン作用の発生後も満水状態に維持される。
【0104】
このように、水出し孔44からの洗浄水の吐出後においても、屈曲部とボール部20との間の水位差は維持される。この結果、サイホン作用が継続して発生し、この継続的な発生により、ボール部20内の汚水および汚物を、確実に堰34を越える位置まで引き込むことができる。
【0105】
汚水および汚物は、サイホン作用により、強い力で下降路33に引き込まれ、排水ソケット60内に進入する。この際、汚物は、後述する排水ソケット60の通過促進構造により、スムーズに排水ソケット60内に進入して排水ソケット60内を通過し、排水立ち上げ管90に進入する。
【0106】
洗浄開始前に溜まっていた溜水RWが堰34を越える位置に引き込まれた後、サイホン作用の持続が終了すると、ボール部20内および排水路30内には、洗浄開始前に溜まっていた溜水RWに替わり、水出し孔44およびゼット噴出孔22から供給された洗浄水の一部が、新たな溜水RWとして便器10に溜まる。
【0107】
洗浄タンク310から洗浄水供給量分の洗浄水の供給が終了すると、満水状態であった洗浄水給水路41および滞留部41aの水位が徐々に低下し、水出し孔44からの洗浄水の吐出,ゼット噴出孔22からの洗浄水の噴出が、順次に停止する。この後、溜水RWの水位は、ボール部20,滞留部41aおよび上昇路32において均一となり、洗浄開始前と同様に、堰34の水平高さの位置に収まる。これにより、一洗浄動作における便器10の洗浄が完了する。
【0108】
次に、前述した排水ソケット60の特徴的な構成につき、図6から図14を参照しつつ説明する。図6は排水ソケット60の上面を、図7は排水ソケット60の底面を、それぞれ示す。図8,図9は、それぞれ、図6における排水ソケット60のG−G断面,H−H断面を示す。なお、説明の便宜上、先に図7,図8を用いて排水立ち上げ管90への取付けに関係する構成部について説明し、この説明の後に、図6,図8,図9を用い、上記以外の構成部について説明する。
【0109】
図7および図8に示すように、排水ソケット60の裏側には、円筒形状の第一排水管接続部64および第二排水管接続部65が設けられている。第二排水管接続部65の内側には、中空の筒部70が形成されている。この筒部70が汚水や汚物の流路となる。また、図7に示すように、排水ソケット60の四隅には、4個のソケット取付穴69が穿設されている。
【0110】
排水ソケット60の排水立ち上げ管90への取り付けは、以下の要領で行なう。まず、第一排水管接続部64若しくは第二排水管接続部65の内周壁を排水立ち上げ管90の外周壁と接着する。これにより、排水立ち上げ管90と排水ソケット60とが接続される。次に、ソケット取付穴69にねじを挿入し、床YKに向かって締め付ける、これにより、排水ソケット60がトイレ室の床YKに固定される。
【0111】
ところで、排水立ち上げ管90として汎用される塩化ビニール管には、外径が89mmのものと外径が114mmのものの2種類があり、さらに、各外径寸法について、厚肉の管(以下、VP管という)と薄肉の管(以下、VU管という)の2種類がある。これに対し、排水ソケット60では、第一排水管接続部64,第二排水管接続部65の内径を、それぞれ約114.5mm,約89mmという値としつつ、第一排水管接続部64と第二排水管接続部65との間、第二排水管接続部65と筒部70との間に、それぞれ約10mm、約14mmほどのクリアランスを設ける。従って、このような排水ソケット60によれば、トイレ室の床YKに設けられた排水立ち上げ管90が、外径が89mm若しくは114mmのいずれの管であっても、VP管とVU管の別を問わず、接続することができる。
【0112】
図6に示すように、排水ソケット60の上面の中央部には、下降路33の終端を受ける便器支持部63が設けられ、この便器支持部63の外周には、便器支持部63よりも上方に立設されたジョイント部62が設けられている。ジョイント部62の外側には、ナット61aが埋設された便器固定部61が設けられている。
【0113】
便器10の排水ソケット60への取り付けは、以下の要領で行なう。まず、ジョイント部62に、所定の肉厚を有するゴム製のゴムジョイント80(図1を参照)を装着し、この装着の後、下降路33の終端を便器支持部63に差し込む。これにより、便器10の排水路30と排水ソケット60とが、ゴムジョイント80の弾性力によって水密に接続される。一方、便器10の後部には、図示しないボルト貫通孔が形成されており、このボルト貫通孔は、便器10の排水路30と排水ソケット60とが接続された状態において、ナット61aと同軸上に配置される。このボルト貫通孔にボルトを差し込み、差し込まれたボルトをナット61aに螺着することにより、便器10が排水ソケットに固定される。
【0114】
筒部70の内壁の形状について説明する。筒部70の内壁は、図8に示すように、筒部70の内周壁の始端である入口部71、入口部71から筒部70の中心に向けて斜め下向きに延出した斜面形状の第一絞り部72、第一絞り部72と連続し、第一絞り部72の終端から筒部70の中心に次第に近づくように下向きに延出する第二絞り部73、筒部70の内周壁の終端である出口部77という各部を備える。
【0115】
図8において、入口部71の形状は、内径が72mmという値の円形とされている。これに対し、第一絞り部72の終端(第二絞り部73の始端)の内径、出口部77の内径は、それぞれ、57mm、55mmという値とされている。従って、筒部70の横断面積は、第一絞り部72,第二絞り部73により、二段階で減少されている。
【0116】
一方、図8において、入口部71から第一絞り部72の終端までの長さは約13mmとされている。従って、第一絞り部72により筒部70の横断面積が漸減される長さ(約13mm)は、筒部70の断面寸法である57mm〜72mmよりも短い。この第一絞り部72のように、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させる急激な絞りを、以下、オリフィス絞りという。
【0117】
また、第一絞り部72の終端(第二絞り部73の始端)から突出部75までの長さは約60mmとされている。従って、第二絞り部73により筒部70の横断面積が漸減される長さ(約60mm)は、筒部70の断面寸法である55mm〜57mmよりも長い。この第二絞り部73のように、流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させる緩やかな絞りを、以下、チョーク絞りという。
【0118】
図9に示すように、第一絞り部72は、筒部70の内周壁の一部の範囲にのみ設けられている。筒部70の内周壁の第一絞り部72が設けられない部分は、入口部71から出口部77の近傍に設けられた突出部75に至るまで略鉛直下向きに延出した非絞り部74とされている。この非絞り部74が、特許請求の範囲にいう通過促進手段に相当する。非絞り部74は、筒部70における便器10の先端方向側の内周壁に設けられている。
【0119】
非絞り部74の延出終端と連続する突出部75は、非絞り部74の終端から筒部70の中心に向かってほぼ水平方向に8mmほど突出した後、下方の出口部77に至るまで5mmほど延出した形状とされる。
【0120】
図9に示した出口部77の内径は、図8に示した出口部77の内径と同じ55mmという値とされる。従って、出口部77の横断面積は、約24平方センチメートルという値となり、汚物を十分に流通可能な流路幅を確保している。
【0121】
上記の非絞り部74および突出部75が設けられる態様を図10の斜視図に示す。図10に示すように、第一絞り部72および第二絞り部73と非絞り部74との間には、絞りの有無に起因して壁面76a,76bが形成される。このため、筒部70内においては、壁面76a,76bと非絞り部74および突出部75で囲まれた部分が、他の部分よりも凹んだ形状となっている。この凹んだ形状とされた部分が、後述するように、排水ソケット60内における汚物の通過を促進する通過促進構造となる。
【0122】
このように構成された排水ソケット60が、便器10の排水路30および排水立ち上げ管90に接続されたときの様子を図11に示す。なお、図11では、壁KBとは反対側の方向(向かって右側の方向)が便器10の先端方向を示している。
【0123】
図11に示した排水立ち上げ管90は、ラフィン200mmの排水立ち上げ管90であり、トイレ室の壁KBから排水立ち上げ管90の中心線Y−Yまでの距離yは、200mmである。なお、図11では、排水立ち上げ管90として、外径が89mmの管、外径が114mmの管の双方を二点鎖線で示している。即ち、外径が114mmの管が立ち上げられた場合には、この管は、第一排水管接続部64に内接し、外径が85mmの管が立ち上げられた場合には、この管は、第二排水管接続部65に内接する。
【0124】
図11に示すように、便器10の下降路33の終端が排水ソケット60の便器支持部63にゴムジョイント80を介して接続された状態において、下降路33の終端における中心r1は、筒部70の出口部77における中心p1と水平位置がほぼ一致しており、中心r1および中心p1は、ほぼ、排水立ち上げ管90の中心線Y−Y上に位置する。
【0125】
このような接続状態において便器10の洗浄を行なった際に、ボール部20からの洗浄水や汚物が排水ソケット60内を流れるときの様子を、図12ないし図14を参照しつつ、以下に説明する。まず、排水ソケット60内を洗浄水が流れる様子につき、図12および図13を参照しつつ説明する。図12は、洗浄水が第一絞り部72を通過したときの筒部70内の様子を示す説明図である。図12に示すように、堰34を越えて下降路33を流れ落ちた洗浄水は、下降路33の終端から排水ソケット60の筒部70内に進入する。この洗浄水の流れを、図12に矢印K1で示す。
【0126】
筒部70内に進入した洗浄水には、第一絞り部72のオリフィス絞り構造によって大きな抵抗が付与される。このため、洗浄水の圧力は、第一絞り部72を通過する際に急激に降下し、筒部70内において圧力損失が生じる。この結果、筒部70内において洗浄水が一気に滞留する。
【0127】
また、筒部70内の入口部71の内周壁付近に進入した洗浄水は、図12に矢印K1で示すように、第一絞り部72の斜面形状に沿って筒部70の中心方向に集められる。従って、第一絞り部72を過ぎた地点において水膜が形成され、これにより、筒部70内における洗浄水の滞留が促進される。
【0128】
このような第一絞り部72の通過により、洗浄水は、図12に右下がりの斜線で示すように、筒部70内の第一絞り部72の近傍において滞留する。このため、滞留状態が形成された後に堰34を越えた洗浄水は、上記の滞留範囲よりも上流側に溜まっていく。
【0129】
第一絞り部72の近傍において滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰34を越えた洗浄水の圧力により、第二絞り部73を流れ落ちようとする。この第二絞り部73を洗浄水が流れ落ちるときの筒部70内の様子を図13に示す。第二絞り部73を通過する洗浄水には、チョーク絞り構造により小さな抵抗が付与される。このため、洗浄水の圧力は更に僅かに降下し、第二絞り部73においても洗浄水の滞留作用が働き、第一絞り部72により形成された洗浄水の滞留状態が維持される。この結果、洗浄水は、図13に右下がりの斜線で示すように、筒部70内の第一絞り部72から第二絞り部73にかけての広い範囲において滞留し、筒部70内の洗浄水の滞留状態が、より強いものとなる。
【0130】
このように、第一絞り部72と第二絞り部73とが相俟って、より強い滞留状態を創り出すことにより、筒部70内における洗浄水の排水立ち上げ管90方向への落下が効果的に抑制される。即ち、筒部70内の滞留状態が強いため、堰34を越えて下降路33を流下してきた洗浄水は、滞留の始点である第一絞り部72の近傍よりも上流側にスムーズに溜まっていく。このため、排水路30の接続路31の入口から屈曲部35までの範囲は洗浄開始後の早期に満水状態となり、この結果、サイホン作用が発生する。
【0131】
サイホン作用の初期発生により、排水路30内やボール部20内の溜水RWないし洗浄水の一部が排水立ち上げ管90に引き込まれる。初期発生によるサイホン力では引き込みきれなかった洗浄水は、ゼット噴出孔22や水出し孔44からボール部20への洗浄水の供給により、堰34を越えて下降路33,筒部70へと送り込まれる。
【0132】
筒部70に送り込まれた洗浄水は、第一絞り部72と第二絞り部73という2つの絞り部を通過することにより、筒部70内において再び滞留する。このため、排水路30の接続路31の入口から屈曲部35までの範囲は、サイホン作用の初期発生後に再び満水状態となる。この結果、サイホン作用が持続し、排水路30内やボール部20内の溜水RWないし洗浄水は、継続して排水立ち上げ管90方向に引き込まれる。
【0133】
次に、排水ソケット60内を汚物が流れる様子につき、図14を参照しつつ説明する。図14に示すように、洗浄水とともに堰34を越えて下降路33を流れ落ちた汚物は、下降路33の終端から排水ソケット60の筒部70内に進入し、排水立ち上げ管90方向に落下する。
【0134】
前述したように、筒部70の便器10の先端側の内周壁は、第一絞り部72が設けられず、非絞り部74とされている。このため、汚物は、入口部71からスムーズに進入し、第一絞り部72の斜面による案内によって筒部70の中心付近に密集することなく、出口部77近傍の突出部75までスムーズに落下する。このように汚物OBが落下する様子を、図14に矢印K2で示す。図14に示すように、便器10の先端方向寄りの下降路33を落下してきた汚物OBは、第一絞り部72の斜面に案内されることなく、筒部70内をそのまま真っ直ぐに通過し、排水立ち上げ管90に進入する。
【0135】
前述したように、筒部70の便器10の先端側の内周壁は、第一絞り部72が設けられず、非絞り部74とされている。このため、第一絞り部72の斜面による案内に基づいて、筒部70の中心付近に全ての汚物が密集してしまうということがない。従って、汚物は、入口部71からスムーズに進入し、出口部77近傍の突出部75までスムーズに落下する。このように汚物OBが落下する様子を、図14に矢印K2で示す。図14に示すように、便器10の先端方向寄りの下降路33を落下してきた汚物OBは、第一絞り部72の斜面に案内されることなく、筒部70内をそのまま真っ直ぐに通過し、排水立ち上げ管90に進入する。
【0136】
以上説明した第1実施例の便器10によれば、接続される排水ソケット60の筒部70に第一絞り部72と第二絞り部73という2つの絞り部を設けることにより、筒部70内において洗浄水の滞留状態を創り出し、筒部70内における洗浄水の落下を抑制する。従って、接続路31の入口から屈曲部35までの排水路30は、洗浄開始後の早期に満水状態とされる。この結果、密結される洗浄タンク310のタンク実容量が少ない場合(大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットル)であっても、洗浄開始後の早期にサイホン作用を発生させることが可能となる。
【0137】
また、2つの絞り部を設けて筒部70内における洗浄水の落下を抑制することにより、筒部70内において洗浄水が滞留しやすくなる。従って、サイホン作用が発生し、排水路30に充満した水が排水立ち上げ管90に引き込まれた後においても、再び排水路30の満水状態を作り出すことができる。従って、密結される洗浄タンク310のタンク実容量が少ない場合(大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットル)であっても、一旦サイホン作用が発生した後に、サイホン作用が持続しないという現象(以下、サイホン切れ現象という)の発生を有効に防止し、洗浄開始後の長期間に亘って確実にサイホン作用を持続することが可能となる。
【0138】
また、第1実施例の便器10によれば、接続される排水ソケット60の筒部70において、チョーク絞り部である第二絞り部73を、オリフィス絞りである第一絞り部72と連続して形成する。従って、筒部70内の第一絞り部72から第二絞り部73にかけての広い範囲に亘って洗浄水を滞留させることが可能となり、洗浄水の滞留状態をより長い時間確保することができる。
【0139】
さらに、第1実施例の便器10によれば、接続される排水ソケット60の筒部70の内周壁の一部に第一絞り部72を設けず、非絞り部74とすることにより、筒部70内の汚物の通過を促進する。従って、筒部70に、第一絞り部72や第二絞り部73のような洗浄水の滞留状態を創り出すための構造を設けた場合であっても、筒部70内における汚物の閉塞を確実に防止することができる。例えば、入口部71への進入の際や落下途中において、汚物が筒部70の内壁に衝突したり、この衝突に伴う落下方向の変換に起因して汚物同士が衝突したりすること等は、極力回避される。従って、落下する汚物に大きな抵抗が与えられることがなく、この結果、汚物の排出性能を向上することができる。
【0140】
なお、前述したように、筒部70の第二絞り部73は、チョーク絞りとされている。このため、第二絞り部73の通過の際における洗浄水の圧力損失は、第一絞り部72の通過の際と比較して小さくなる。従って、サイホン作用による引き込み力が、第二絞り部73の通過によって大きく減殺されてしまうことがない。このように、第1実施例の便器10によれば、サイホン作用の早期発生および持続を、洗浄水や溜水RW,汚物の排出性能を損なうことなく実現することが可能となる。
【0141】
以上、排水ソケット60と接続される便器10について説明したが、この便器10に他の形態の排水ソケットを接続する構成とすることも可能である。この排水ソケットの変形例を、図15ないし図18に示す。図15は、排水ソケット760の上面を示す。図16,図17は、排水ソケット760が、便器10の排水路30および排水立ち上げ管90に接続されたときの様子を、それぞれG−G断面位置,H−H断面位置において示す。図18は、排水ソケット760の筒部770内に、非絞り部774および突出部775が設けられる様子を示す斜視図である。なお、図17では、壁KBとは反対側の方向(向かって右側の方向)が便器10の先端方向を示している。
【0142】
図15ないし図18に示す排水ソケット760は、前述した排水ソケット60とほぼ共通の各部を備える。図15ないし図18では、この共通の各部につき、符号の下二桁を図6ないし図11と同じ数字を用いて表わしている。
【0143】
一方、排水ソケット760では、図15ないし図17に示すように、前述した斜面形状の第一絞り部72に替えて、入口部771から略鉛直下向きに延出した後、筒部70の中心に向かってほぼ水平方向に延出する段部772をオリフィス絞りとして設ける。チョーク絞りとしての第二絞り部773は、この段部772の終端から筒部770の中心に若干近づくように下向きに延出するように設けられている。従って、筒部770の横断面積は、段部772,第二絞り部773により、二段階で減少されている。
【0144】
図17に示すように、段部772は、筒部770の内周壁の一部の範囲にのみ設けられている。筒部770の内周壁の段部772が設けられない部分は、入口部771から出口部777の近傍に設けられた突出部775に至るまで略鉛直下向きに延出した非絞り部774とされている。この非絞り部774が、特許請求の範囲にいう通過促進手段に相当する。
【0145】
非絞り部774および突出部775が設けられる態様を図18の斜視図に示す。図18に示すように、筒部770内においては、段部772が形成されない非絞り部774が、他の部分よりも凹んだ形状となっている。
【0146】
このように構成された排水ソケット760を便器10に接続して洗浄を行なったときの洗浄水の流れについて説明する。下降路33から筒部770内に進入した洗浄水には、段部772によるオリフィス絞り構造によって大きな抵抗が付与される。このため洗浄水の圧力は、段部772を通過する際に急激に降下し、筒部770内において圧力損失が生じる。この結果、筒部770内において、洗浄水が一気に滞留する。
【0147】
また、洗浄水の一部が段部772に衝突することにより、段部772付近に乱流が生じる。従って、段部772を過ぎた地点において水膜が形成され、これにより、筒部770内における洗浄水の滞留が促進される。この結果、洗浄水は、筒部70内の段部772付近において滞留し、滞留状態が形成された後に堰34を越えた洗浄水は、段部772よりも上流側に溜まっていく。
【0148】
滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰34を越えた洗浄水の圧力により、第二絞り部773を流れ落ちようとするが、第二絞り部773を通過する洗浄水には、チョーク絞り構造により小さな抵抗が付与される。このため、洗浄水の圧力は更に降下し、第二絞り部773においても洗浄水の滞留作用が働き、段部772により形成された洗浄水の滞留状態が維持される。この結果、洗浄水は、筒部770内の段部772から第二絞り部773にかけての広い範囲において滞留し、筒部770内の洗浄水の滞留状態が、より強いものとなる。
【0149】
このように、段部772と第二絞り部773とが相俟って、より強い滞留状態を創り出すことにより、筒部770内における洗浄水の排水立ち上げ管90方向への落下が効果的に抑制される。このため、排水路30の接続路31の入口から屈曲部35までの範囲は洗浄開始後の早期に満水状態となり、この結果、サイホン作用が発生する。
【0150】
サイホン作用の初期発生により、溜水RWや洗浄水の一部が排水立ち上げ管90に引き込まれた後においても、洗浄水は、段部772と第二絞り部773という2つの絞り部を通過することにより、筒部770内において再び滞留する。このため、排水路30の接続路31の入口から屈曲部35までの範囲は、サイホン作用の初期発生後に再び満水状態となる。この結果、サイホン作用が継続し、排水路30やボール部20の溜水RWや洗浄水は、継続して排水立ち上げ管90方向に引き込まれる。
【0151】
一方、洗浄水とともに堰34を越えて下降路33を流れ落ちた汚物は、下降路33の終端から排水ソケット760の筒部770内に進入し、排水立ち上げ管90方向に落下する。
【0152】
前述したように、筒部770の便器10の先端側の内周壁は、段部772が設けられず、非絞り部774とされている。このため、汚物は、入口部771からスムーズに進入し、段部772への衝突後の跳ね返りによって筒部770の中心付近に密集することなく、出口部777近傍の突出部775までスムーズに落下し、排水立ち上げ管90に進入する。
【0153】
このように、排水ソケット760が接続された便器10によっても、2つの絞り構造により、筒部770内における洗浄水の滞留状態を創り出し、筒部770内における洗浄水の落下を抑制する。従って、排水ソケット60を接続した場合と同様に、密結される洗浄タンク310のタンク実容量が少ない場合(大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットル)であっても、洗浄開始後の早期にサイホン作用を発生させることが可能となるとともに、サイホン切れ現象の発生を有効に防止し、洗浄開始後の長期間に亘って確実にサイホン作用を持続することが可能となる。
【0154】
また、筒部770内にオリフィス絞りおよびチョーク絞りの双方を設けるためには、筒部770にある程度の長さが必要となる。この点、オリフィス絞りを上記段部772により構成すれば、筒部770の長さが短い場合(洗浄水の流路長が短い場合)であっても、オリフィス絞りおよびチョーク絞りの双方を設けやすくなる。
【0155】
以上、筒部70,770内にオリフィス絞りおよびチョーク絞りの双方が設けられた排水ソケット60,760を、便器10に接続する構成について説明した。なお、オリフィス絞りやチョーク絞りは、上記した第一絞り部72,段部772や第二絞り部73のような態様に限らず、流路の断面積を、流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させた後に、この流路の断面積を、流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるものであればよい。
【0156】
次に、本発明の第2実施例であるサイホンゼット式便器110について説明する。図19は、このサイホンゼット式便器110の縦断面を示す説明図である。この図1は、便器110の洗浄後に、洗浄タンク310および便器110内における水の流動が停止したときの便器110の様子を表わしている。
【0157】
図19に示す便器110は、前述した第1実施例の便器10とほぼ共通の各部を備える。図19では、この第1実施例と共通の各部につき、符号の下二桁を図1と同じ数字を用いて表わしている。
【0158】
図19に示すように、便器110には洗浄タンク410が組み付けられている。この洗浄タンク410は、タンク実容量が大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットルという値をとる。
【0159】
便器110の下降路133の終端は、ラフィン200mmの排水立ち上げ管190と排水ソケット160を介して接続されている。便器110の排水路130は、下降路133の終端が第1実施例の便器10よりも後方に位置するように屈曲されている。この下降路133の内径は、便器10の下降路33と略同径とされている。
【0160】
一方、便器110の下降路133は、図19に示すように、排水ソケット160の中心とは偏心して接続されている。このような偏心構造の詳細を図20を参照しつつ説明する。図20は、便器110の下降路133および排水立ち上げ管190と排水ソケット160との接続位置における断面の様子を示す。なお、図20では、壁KBとは反対側の方向(向かって右側の方向)が便器110の先端方向を示している。
【0161】
図20に示す排水ソケット160は、第1実施例において既述した排水ソケット60とほぼ共通の各部を備える。図20では、この共通の各部につき、符号の下二桁を図11と同じ数字を用いて表わしている。以下、排水ソケット160の構成につき、排水ソケット60と異なる点を中心に説明する。
【0162】
筒部170の内壁は、図20に示すように、筒部70の内周壁の始端である入口部171から便器110の先端方向に向けて斜め下向きに延出した後、屈曲されて下向きに延出する。このため、筒部170内の入口部171付近の周壁には、便器110の先端方向側に斜面175bが、便器110の後端方向側に斜面175aが、それぞれ形成されている。
【0163】
斜面175aは、偏心方向、即ち、下降路133の終端における中心線R−Rに対して出口部177の中心p2を通る中心線Y−Yの方向に延出されている。
【0164】
屈曲された後の内周壁は、筒部170の中心に次第に近づくように下向きに延出する絞り部173とされている。この絞り部173による絞りは、チョーク絞りである。即ち、絞り部173により、筒部170の横断面積は、斜面175a,175bの終端から出口部177に至るまで、筒部170の断面寸法よりも長い長さに亘って減少されている。
【0165】
このように構成された排水ソケット160と、下降路133,排水立ち上げ管190との位置関係について説明する。図20に示すように、ラフィン200mmの排水立ち上げ管90と便器110の下降路133とが排水ソケット160を介して接続された状態において、排水ソケット160の筒部170の出口部177における中心p2は、ほぼ、排水立ち上げ管190の中心線Y−Y上に位置している。
【0166】
一方、出口部177における中心p2は、下降路133の終端における中心r2よりも便器110の前方寄りに位置する。このため、下降路133の終端における中心線R−Rは、排水立ち上げ管190の中心線Y−Yよりも距離l2分だけ後方に位置している。このように、下降路133の終端と筒部170の出口部177は、筒部170内の屈曲構造により偏心されている。
【0167】
なお、図20における出口部177の内径は、第1実施例の場合と同じ55mmという値であり、汚物を十分に流通可能な流路幅が確保されている。
【0168】
図20に点線で示すように、筒部170の便器110の後端側の内壁の一部には、斜面175aから該斜面175aと連続する絞り部173にかけて、凹所178が形成されている。この凹所178が、特許請求の範囲にいう通過促進手段に相当する。
【0169】
凹所178が形成された斜面175aおよび絞り部173の様子を図21の斜視図に示す。この図21は、筒部170の内側から斜面175aおよび絞り部173を見たときの様子を表わしている。図21に示すように、斜面175aおよび絞り部173の中央には、周辺よりも窪んだ形状の凹所178が、斜面175aから絞り部173にかけて連続して形成されている。
【0170】
図20に示す点線の軌跡BBは、凹所178の窪む深さを示している。例えば、凹所178の深さは、斜面175aの終端の位置、即ち、斜面175aが下降路133の終端における中心線R−Rに最も近づく位置において、最も深くなっている。
【0171】
以上のように構成された排水ソケット160を便器110に接続して洗浄を行なった際に、ボール部120からの洗浄水や汚物が排水ソケット160内を流れるときの様子を、図22ないし図24を参照しつつ、以下に説明する。図22は、洗浄水が進入した直後の筒部170内の様子を示す説明図である。図22に示すように、堰134を越えて下降路133を流れ落ちた洗浄水は、下降路133の終端から排水ソケット160の筒部170内に進入する。この洗浄水の流れを、図22に矢印K3で示す。
【0172】
筒部170内に進入した洗浄水の一部は、斜面175aに衝突する。この衝突により、筒部170内に進入した洗浄水の進行方向は、筒部170内において、略鉛直方向から偏心された方向(出口部177の中心p2を通る中心線Y−Yの方向)に変換される。
【0173】
このように進行方向が変換された洗浄水は、筒部170の対壁に衝突して跳ね返る。このような跳ね返りが繰り返されることにより、筒部170内に水膜が形成され、この水膜上に洗浄水が滞留する。
【0174】
また、斜面175aに衝突した洗浄水は、図22に矢印K3で示すように、斜面175aに沿って筒部170の対壁方向に案内される。従って、洗浄水は、筒部170の対壁にスムーズに衝突して跳ね返り、水膜が早期に形成される。これにより、筒部170内における洗浄水の滞留が促進される。
【0175】
このような筒部170内の偏心構造により、洗浄水は、図22に右下がりの斜線で示すように、筒部170内の斜面175a,175bよりも若干下方の位置に滞留する。このため、滞留状態が形成された後に堰134を越えた洗浄水は、上記の滞留範囲よりも上流側に溜まっていく。
【0176】
滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰134を越えた洗浄水の圧力により、絞り部173を流れ落ちようとする。この絞り部173を洗浄水が流れ落ちるときの筒部170内の様子を図23に示す。絞り部173を通過する洗浄水には、チョーク絞り構造により小さな抵抗が付与される。このため、洗浄水の圧力が降下して、絞り部173においても洗浄水の滞留作用が働き、筒部170内の偏心構造により形成された洗浄水の滞留状態が維持される。この結果、洗浄水は、図23に右下がりの斜線で示すように、筒部170内の斜面175a,175bよりも若干下方の位置から絞り部173の終端にかけての広い範囲において滞留し、筒部170内の洗浄水の滞留状態が、より強いものとなる。
【0177】
このように、筒部170内の偏心構造と絞り部173とが相俟って、より強い滞留状態を創り出すことにより、筒部170内における洗浄水の排水立ち上げ管190方向への落下が効果的に抑制される。即ち、筒部170内の滞留状態が強いため、堰134を越えて下降路133を流下してきた洗浄水は、滞留の始点である斜面175a,175bよりも若干下方の位置よりも上流側にスムーズに溜まっていく。このため、排水路130の接続路131の入口から屈曲部135までの範囲は洗浄開始後の早期に満水状態となり、この結果、サイホン作用が発生する。
【0178】
サイホン作用の初期発生により、排水路130内やボール部120内の溜水RWないし洗浄水の一部が排水立ち上げ管190に引き込まれる。初期発生によるサイホン力では引き込みきれなかった洗浄水は、ゼット噴出孔122や水出し孔144からボール部120への洗浄水の供給により、堰134を越えて下降路133,筒部170へと送り込まれる。
【0179】
筒部170に送り込まれた洗浄水は、斜面175aに衝突した後、絞り部173を通過することにより、筒部170内において再び滞留する。このため、排水路130の接続路131の入口から屈曲部135までの範囲は、サイホン作用の初期発生後に再び満水状態となる。この結果、サイホン作用が継続し、排水路130内やボール部120内の溜水RWないし洗浄水は、継続して排水立ち上げ管190方向に引き込まれる。
【0180】
次に、排水ソケット160内を汚物が流れる様子につき、図24を参照しつつ説明する。図24に示すように、洗浄水とともに堰134を越えて下降路133を流れ落ちた汚物は、下降路133の終端から排水ソケット160の筒部170内に進入し、排水立ち上げ管190方向に落下する。
【0181】
前述したように、斜面175aおよび絞り部173の中央には、周辺よりも所定の深さに窪んだ形状の凹所178が、斜面175aから絞り部173にかけて連続して形成されている。このため、斜面175aの上方から落下してきた汚物は、凹所178の窪みに進入し、出口部177の近傍までスムーズに落下する。このように汚物OBが落下する様子を、図24に矢印K4で示す。図24に示すように、便器110の先端方向寄りの下降路133を落下してきた汚物OBは、斜面175aへの衝突により進行方向が大きく変換されることなく、そのまま真っ直ぐに、筒部170内の斜面175aよりも下方の位置まで進入する。この進入の後、汚物OBは、凹所178に衝突して出口部177の方向に向かい、排水立ち上げ管190に進入する。
【0182】
以上説明した第2実施例の便器110によれば、接続される排水ソケット160の筒部170内に、斜面175a,175bによる偏心構造と絞り部173を設けることにより、筒部170内において洗浄水の滞留状態を創り出し、筒部170内における洗浄水の落下を抑制する。従って、接続路131の入口から屈曲部135までの排水路130は、洗浄開始後の早期に満水状態とされる。この結果、密結される洗浄タンク410のタンク実容量が少ない場合(大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットル)であっても、洗浄開始後の早期にサイホン作用を発生させることが可能となる。
【0183】
また、偏心構造および絞り部173の双方を設けて筒部170内における洗浄水の落下を抑制することにより、筒部170内において洗浄水が滞留しやすくなる。従って、サイホン作用が発生し、排水路130に充満した水が排水立ち上げ管190に引き込まれた後においても、再び排水路130の満水状態を作り出すことができる。従って、密結される洗浄タンク410のタンク実容量が少ない場合(大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットル)であっても、サイホン切れ現象の発生を防止し、洗浄開始後の長期間に亘って確実にサイホン作用を持続することが可能となる。
【0184】
さらに、第2実施例の便器110によれば、斜面175aから斜面175aと連続する絞り部173にかけて、所定の深さの凹所178を形成することにより、筒部170内の汚物の通過を促進する。従って、筒部170に、偏心構造や絞り部173のような洗浄水の滞留状態を作り出すための仕組みを設けた場合であっても、筒部170内における汚物の閉塞を確実に防止することができる。例えば、入口部171への進入の際に、汚物が斜面175aに衝突し、汚物の進行方向が大きく変換されてしまうことを防止することができる。従って、筒部170内の、中心線Y−Yよりも便器の先端側(図24では、中心線Y−Yよりも向かって右側)に汚物が集まり、汚物の排出性能に支障を来たしてしまうことがない。
【0185】
なお、前述したように、筒部170の絞り部173は、チョーク絞りとされている。従って、サイホン作用による引き込み力が、絞り部173の通過によって大きく減殺されてしまうことがない。このように、第2実施例の便器110によれば、サイホン作用の早期発生および持続を、洗浄水や溜水RW,汚物の排出性能を損なうことなく実現することが可能となる。
【0186】
以上、偏心構造とチョーク絞りを設けた排水ソケット160に便器110を接続する構成を、第2実施例として説明した。上記の第2実施例では、下降路133の終端の中心r2と出口部177の中心p2との偏心を、筒部170内を屈曲した形状とすることにより実現しているが、この下降路133の終端の中心r2と出口部177の中心p2との偏心を、下降路133と排水ソケット160との接続方法によって実現する構成とすることも可能である。この構成を、以下、第3実施例として説明する。
【0187】
図25は、第3実施例のサイホンゼット式便器の排水路130Aが、排水ソケット860を介して排水立ち上げ管190Aに接続されたときの様子を示す。図25では、壁KBとは反対側の方向(向かって右側の方向)が便器の先端方向を示している。
【0188】
第3実施例のサイホンゼット式便器は、前述した第1,第2実施例の便器10,110とほぼ共通の各部を備え、この便器には、タンク実容量が大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットルという値をとる洗浄タンクが組み付けられる。これらの便器の構成については、図25において、図示を省略している。
【0189】
一方、図25に示すように、第3実施例のサイホンゼット式便器では、排水ソケット860と接続される下降路133Aの終端の内径が、排水ソケット860の入口部871よりも大径に形成されている。
【0190】
下降路133Aの終端は、ラフィン200mmの排水立ち上げ管190Aと排水ソケット860を介して接続されている。この排水ソケット860は、第1実施例において既述した排水ソケット60とほぼ共通の各部を備える。図25では、この共通の各部につき、符号の下二桁を図11と同じ数字を用いて表わしている。以下、排水ソケット860の構成につき、排水ソケット60と異なる点を中心に説明する。
【0191】
図25に示すように、排水ソケット860では、便器の先端方向側(図25では、向かって右側)の便器支持部863が、便器の後端方向側の便器支持部863よりも幅広に形成されている。このような便器支持部863において下降路133Aの終端を接続した場合には、図25に示すように、下降路133Aの便器の先端方向側の終端は、入口部871から所定の距離だけ離間して設置される。このため、便器支持部863の一部は下降路133Aの流路内に突出する。この流路内に突出した部分を、以下、突出部863aと呼ぶ。
【0192】
筒部870の内壁には、筒部870の内周壁の始端である入口部871から、筒部870の中心に次第に近づくように下向きに延出する絞り部873が設けられている。この絞り部873により、筒部870の横断面積は、入口部871から出口部877に至るまで、筒部870の断面寸法よりも長い長さに亘って次第に減少される。即ち、筒部870内には、オリフィス絞りは形成されず、絞り部873によるチョーク絞りのみが形成される。
【0193】
一方、図25に示すように、筒部870の便器の先端方向側の内壁には、絞り部873が設けられず、入口部871から出口部877の近傍に設けられた突出部875に至るまで略鉛直下向きに延出する非絞り部874が設けられている。この非絞り部874が、特許請求の範囲にいう通過促進手段に相当する。
【0194】
このように構成された排水ソケット860および下降路133Aと排水立ち上げ管190Aとの位置関係について説明する。図25に示すように、ラフィン200mmの排水立ち上げ管190Aと便器の下降路133Aとが排水ソケット860を介して接続された状態において、排水ソケット860の筒部870の出口部877における中心p3は、ほぼ、排水立ち上げ管190Aの中心線Y−Y上に位置している。
【0195】
一方、出口部877における中心p3は、下降路133Aの終端における中心r3よりも便器の後方寄りに位置する。このため、下降路133Aの終端における中心線R−Rは、排水立ち上げ管190Aの中心線Y−Yよりも距離l3分だけ前方に位置している。このように、下降路133Aの終端を、突出部863aが設けられた便器支持部863に設置することにより、下降路133Aの終端と筒部870の出口部877とが偏心されている。
【0196】
以上のように構成された排水ソケット860を便器に接続して洗浄を行なうと、筒部870内に進入しようとする洗浄水の一部は、突出部863aに衝突して跳ね返り、偏心された方向(出口部877の中心p3を通る中心線Y−Yの方向)に向かう。これにより、入口部871付近に水膜が形成され、この水膜上に洗浄水が滞留する。この結果、入口部871において、洗浄水の略鉛直方向への進行が妨げられる。
【0197】
滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰を越えた洗浄水の圧力により、絞り部873を流れ落ちようとするが、絞り部873を通過する洗浄水には、チョーク絞り構造により小さな抵抗が付与される。このため、絞り部873においても洗浄水の滞留作用が働き、上記の突出部863aによる偏心構造により形成された洗浄水の滞留状態が維持される。この結果、洗浄水は、入口部871から絞り部873の中間位置にかけての広い範囲において滞留し、筒部870内の洗浄水の滞留状態が、より強いものとなる。
【0198】
このように、下降路133Aと入口部871との内径を異ならせることにより、下降路133Aの終端の中心p3と出口部877の中心p3とを偏心させる構成とすれば、筒部870内における洗浄水の滞留状態を、洗浄水の流路である筒部870内を複雑な形状とすることなく、実現することができる。
【0199】
なお、上記の第3実施例において、排水ソケット860の便器支持部863に、所定の深さのガイド溝を、下降路133Aの終端の断面と略同一の形状で設ける構成としてもよい。こうすれば、下降路133Aの終端をガイド溝に嵌合することにより、下降路133Aと排水ソケット860とが偏心した状態で接続される。従って、下降路133Aと排水ソケット860との接続が容易かつ確実となる。
【0200】
第3実施例では、便器支持部863に突出部863aを設けたが、この突出部863aを、筒部870の内壁に設ける構成としてもよい。
【0201】
また、この突出部863aに替えて、便器の先端方向側の筒部870の内壁に、斜面868を形成する構成とすることもできる。この構成を図26に示す。
【0202】
図26に示すように、入口部871における便器の先端方向側の内壁には、反対側の内壁である便器の後端方向側の内壁に向かって延出する斜面868が形成されている。この斜面868は、下降路133Aの終端における中心線R−Rから排水立ち上げ管190Aの中心線Y−Yに向かう方向、即ち、流路の中心が偏心される方向に延出されている。
【0203】
また、筒部870の便器の後端方向側の内壁の、斜面868が延出する軌跡上の位置には、出口部877における中心p3が位置する中心線Y−Y方向に水平に突出する凸部878が形成されている。
【0204】
このように斜面868および凸部878が形成された排水ソケット860を便器に接続して洗浄を行なうと、入口部871から筒部870内に進入した洗浄水は、斜面868に案内されることにより、筒部870の反対側の内壁に衝突する。内壁に衝突した洗浄水が跳ね返ることにより、筒部870内に水膜が形成される。従って、この水膜上に洗浄水を滞留させることができる。
【0205】
また、斜面868に案内された洗浄水は、筒部870の反対側の内壁に設けられた凸部878に衝突する。従って、内壁に衝突した洗浄水は、凸部878の突出方向に倣い、略水平方向に跳ね返る。従って、筒部870内に水膜を確実に形成することが可能となる。
【0206】
次に、排水ソケットと接続される便器の排水路の終端の形状を特殊な形状とすることにより、便器の排水路の中心と排水ソケット内の流路の中心とを偏心させる構成につき、第4実施例を用いて説明する。図27は、第4実施例のサイホンゼット式便器210の排水路230が、排水ソケット260を介して排水立ち上げ管290に接続されたときの様子を示す。図27では、壁KBとは反対側の方向(向かって右側の方向)が便器210の先端方向を示している。
【0207】
第4実施例のサイホンゼット式便器210は、前述した第1実施例の便器10とほぼ共通の各部を備え、この便器には、タンク実容量が大洗浄の場合に4リットル、小洗浄の場合に3リットルという値をとる洗浄タンク510が組み付けられる。この便器210や洗浄タンク510の構成については、図27において、図示を省略している。
【0208】
一方、第4実施例のサイホンゼット式便器210では、排水路230の下降路233の終端の形状が、第1実施例の便器10と異なる。即ち、図27に示すように、便器210の後端側における下降路233の終端には、洗浄水の通路に向けて略水平に突出した突出部233aが設けられている。この突出部233aにより、下降路233の終端における内径は、終端以外の部分よりも狭くなっている。第4実施例では、下降路233の終端における内径を、汚物のスムーズな流通を考慮し、約55mmという値としている。
【0209】
下降路233の終端は、ラフィン200mmの排水立ち上げ管290と排水ソケット260を介して接続されている。この排水ソケット260は、図25に示した排水ソケット860とほぼ共通の各部を備える。図27では、この共通の各部につき、符号の下二桁を図25と同じ数字を用いて表わしている。
【0210】
図27に示すように、排水ソケット260の入口部271の内径は、突出部233aが設けられた下降路233の終端よりも大径とされている。
【0211】
筒部270の内壁には、筒部270の内周壁の始端である入口部271から、筒部270の中心に次第に近づくように下向きに延出する絞り部273が設けられている。この絞り部273により、筒部270の横断面積は、入口部271から出口部277に至るまで、筒部270の断面寸法よりも長い長さに亘って次第に減少される。即ち、筒部270内には、オリフィス絞りは形成されず、絞り部273によるチョーク絞りのみが形成される。
【0212】
一方、図27に示すように、筒部270の便器の先端方向側の内壁には、絞り部273が設けられず、入口部271から出口部277の近傍に設けられた突出部275に至るまで略鉛直下向きに延出する非絞り部274が設けられている。この非絞り部274が、特許請求の範囲にいう通過促進手段に相当する。
【0213】
このように構成された排水ソケット260および下降路233と排水立ち上げ管290との位置関係について説明する。図27に示すように、排水ソケット260の筒部270の出口部277における中心p4は、ほぼ、排水立ち上げ管290の中心線Y−Y上に位置している。一方、出口部277における中心p4は、下降路233の終端における中心r4よりも便器210の後方寄りに位置する。このため、下降路233の終端における中心線R−Rは、排水立ち上げ管290の中心線Y−Yよりも距離l4分だけ前方に位置している。このように、突出部233aが設けられた下降路233を便器支持部263に設置することにより、下降路233の終端と筒部270の出口部277とが偏心されている。
【0214】
以上のように構成された排水ソケット260を便器210に接続して洗浄を行なうと、堰234を越えて下降路233内を降下してきた洗浄水の一部は、排水ソケット260の入口部271に進入する前に突出部233aに衝突して跳ね返り、下降路233の終端付近において乱流が生じる。この乱流により、下降路233の終端付近に水膜が形成され、この水膜上に洗浄水が滞留する。この結果、入口部271において、洗浄水の略鉛直方向への進行が妨げられる。
【0215】
滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰を越えた洗浄水の圧力により、絞り部273を流れ落ちようとするが、絞り部273を通過する洗浄水には、チョーク絞り構造により小さな抵抗が付与される。このため、絞り部273においても洗浄水の滞留作用が働き、上記の突出部233aに基づく偏心構造により形成された洗浄水の滞留状態が維持される。この結果、洗浄水は、下降路233の終端から絞り部273の中間位置にかけての広い範囲において滞留し、筒部270内の洗浄水の滞留状態が、より強いものとなる。
【0216】
一方、前述したように、筒部270の便器210の先端側の内周壁は、非絞り部274とされている。このため、洗浄水とともに堰234を越えた汚物は、内径55mmの下降路233の終端をスムーズに通過した後、入口部271から出口部277近傍の突出部275に至るまでそのまま真っ直ぐに通過し、排水立ち上げ管290に進入する。
【0217】
このように、便器210の下降路233の終端に突出部233aを設けることにより、便器210の排水路230と排水ソケット260内の流路とを偏心させる構成を採れば、筒部270内における洗浄水の滞留を実現するために、排水ソケット260の形状を変更する必要がなく、排水ソケットについて部材の共通化を図ることができる。例えば、洗い落とし式便器のようなサイホン作用を利用しない便器にも、同じ排水ソケット260を用いることが可能となる。
【0218】
なお、第4実施例では、突出部233aを、下降路233と一体として形成するが、下降路233とは別の部材を下降路233の終端に装着ないし挿入することとしてもよい。
【0219】
また、第4実施例のサイホンゼット式便器210では、突出部233aを便器210の後端側の下降路233終端に設けたが、便器210の後端側以外の下降路233終端に、突出部233aを設ける構成としても差し支えない。例えば、便器210の前端側の下降路233終端や、前端側および後端側の双方の下降路233終端に設ける構成としてもよい。
【0220】
第4実施例のサイホンゼット式便器210では、下降路233の内径を、始端から終端部分の突出部233aの手前に至るまで略同径とするが、突出部233aに至る前の下降路233に、大きな内径の拡径部を設ける構成とすることも可能である。この構成を採った下降路233Aの形状を図28に示す。
【0221】
図28に示すように、便器210の後端側における下降路233Aの終端の手前には、流路の断面積を幅広とする拡径部233bが形成されている。また、下降路233Aの終端には、洗浄水の通路に向けて略水平に突出した突出部233cが設けられている。この突出部233cは、図28に示すように、下降路233Aに排水ソケット260を接続した状態において、筒部270の内壁よりも出口部277の中心p4方向に突出している。
【0222】
このような下降路233Aを備えた便器に排水ソケット26を接続して洗浄を行なうと、突出部233cに衝突して跳ね返った洗浄水が拡径部233bに進入し、拡径部233b内で乱流が生じる。この乱流により、下降路233Aの終端付近における洗浄水の略鉛直方向への進行が妨げられる。従って、堰234を越えた後の洗浄水の流路において、より強い滞留状態を創り出すことが可能となる。また、洗浄水の略鉛直方向への進行は、排水ソケットよりも上方の、より堰234に近い拡径部233b付近において妨げられる。従って、接続路231の入口から屈曲部235までの排水路230を、より早期に満水状態とすることができる。
【0223】
なお、図28に示す例では、下降路233A終端の一部の周壁を大径とすることにより拡径部233bを設けているが、下降路233A終端の全周に亘って拡径部233bを設ける構成としても差し支えない。
【0224】
次に、第5実施例について説明する。前述した第1実施例では、排水ソケット60の流路である筒部70内にオリフィス絞りおよびチョーク絞りという二重の絞り構造を設けた。第5実施例のサイホンゼット式便器610は、上記のような二重の絞り構造を備えた排水ソケットを、便器の排水路の中心と排水ソケットの流路の中心とが偏心された状態で接続することを特徴とする。図29は、第5実施例の便器の排水路630が、排水ソケット660を介して排水立ち上げ管690に接続されたときの様子を示す。図29では、壁KBとは反対側の方向(向かって右側の方向)が便器の先端方向を示している。
【0225】
第5実施例のサイホンゼット式便器610は、前述した第1実施例の便器10とほぼ共通の各部を備え、この便器には、タンク実容量が大洗浄の場合に3.8リットル、小洗浄の場合に2.8リットルという値をとる洗浄タンク910が組み付けられる。これらの便器や洗浄タンクの構成については、図29において、図示を省略している。
【0226】
図29に示すように、第5実施例のサイホンゼット式便器では、排水ソケット660と接続される下降路633の終端が、排水ソケット660の入口部671よりも大径に形成されている。この下降路633の終端は、ラフィン200mmの排水立ち上げ管690と排水ソケット660を介して接続されている。
【0227】
排水ソケット660は、第1実施例において既述した排水ソケット60とほぼ共通の各部を備える。図29では、このような排水ソケット60と共通の各部につき、符号の下二桁を図11と同じ数字を用いて表わしている。
【0228】
例えば、排水ソケット660の筒部670の内壁は、図29に示すように、入口部671から筒部670の中心に向けて斜め下向きに延出した斜面形状の第一絞り部672、第一絞り部672と連続し、第一絞り部672の終端から筒部670の中心に次第に近づくように下向きに延出する第二絞り部673を備える。この第一絞り部672,第二絞り部673が、それぞれオリフィス絞り,チョーク絞りを形成している。
【0229】
また、第一絞り部672は、筒部670の内周壁の一部の範囲に設けられており、便器の先端方向側(図29では、向かって右側)の内周壁には設けられていない。この第一絞り部672が設けられない部分は、入口部671から出口部677の近傍の突出部675に至るまで略鉛直下向きに延出した非絞り部674とされている。この非絞り部674が、特許請求の範囲にいう通過促進手段に相当する。
【0230】
一方、図29に示すように、排水ソケット660では、便器の先端方向側(図29では、向かって右側)の便器支持部663が、便器の後端方向側の便器支持部663よりも幅広に形成されている。このような便器支持部663において下降路633の終端を接続した場合には、図29に示すように、下降路633の便器の先端方向側の終端は、入口部671から所定の距離だけ離間して設置される。このため、便器支持部663の一部は下降路633の流路内に突出する。この流路内に突出した部分を、以下、突出部663aと呼ぶ。
【0231】
このように構成された排水ソケット660および下降路633と排水立ち上げ管690との位置関係について説明する。図29に示すように、ラフィン200mmの排水立ち上げ管690と便器の下降路633とが排水ソケット660を介して接続された状態において、排水ソケット660の筒部670の出口部677における中心p5は、ほぼ、排水立ち上げ管690の中心線Y−Y上に位置している。
【0232】
一方、出口部677における中心p5は、下降路633の終端における中心r5よりも便器の後方寄りに位置する。このため、下降路633の終端における中心線R−Rは、排水立ち上げ管690の中心線Y−Yよりも距離l5分だけ前方に位置している。このように、下降路633の終端を、突出部663aが設けられた便器支持部663に設置することにより、下降路633の終端と筒部670の出口部677とが偏心されている。
【0233】
以上のように構成された排水ソケット660を便器に接続して洗浄を行なった際に、ボール部620からの洗浄水や汚物が下降路633や排水ソケット660内を流れる様子について説明する。堰634を越えて下降路633を流れ落ちた洗浄水の一部は、筒部670内に進入する前に突出部663aに衝突して跳ね返り、偏心された方向(中心線Y−Yの方向)に向かう。これにより、入口部671付近に水膜が形成され、この水膜上に洗浄水が滞留する。この結果、入口部671において、洗浄水の略鉛直方向への進行が妨げられる。
【0234】
入口部671付近において滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰634を越えた洗浄水の圧力により、第一絞り部672を流れ落ちようとするが、この第一絞り部672を通過する洗浄水には、オリフィス絞り構造によって大きな抵抗が付与される。このため洗浄水の圧力は、第一絞り部672を通過する際に急激に降下し、筒部670内において圧力損失が生じる。この結果、筒部670内の第一絞り部672の近傍において洗浄水が一気に滞留する。このため、筒部670内の滞留状態は、入口部671付近から第一絞り部672に亘る範囲において形成される。
【0235】
このように滞留状態とされた洗浄水は、その自重や堰634を越えた洗浄水の圧力により、第二絞り部673を流れ落ちようとするが、この第二絞り部673を通過する洗浄水には、チョーク絞り構造によって小さな抵抗が付与される。このため、洗浄水の圧力は更に降下し、第二絞り部673においても洗浄水の滞留作用が働く。従って、下降路633の終端と筒部670の出口部677との偏心構造および第一絞り部672のオリフィス絞り構造により形成された洗浄水の滞留状態が維持される。この結果、洗浄水は、筒部670内の入口部671付近から第二絞り部673にかけてのより広い範囲において滞留し、筒部670内の洗浄水の滞留状態が、更に強いものとなる。
【0236】
このように、第5実施例では、偏心構造と第一絞り部672,第二絞り部673による二重の絞り構造とが相俟って、第1実施例よりも更に強い滞留状態を創り出す。これにより、筒部670内における洗浄水の排水立ち上げ管690方向への落下が強く抑制され、堰634を越えて下降路633を流下してきた洗浄水は、滞留の始点である入口部671付近よりも上流側により効率的に溜まっていく。この結果、排水路630の接続路631の入口から屈曲部635までの範囲を、洗浄の開始から終了までのほとんどの間、満水状態に維持することが可能となる。
【0237】
一方、前述したように、筒部670の便器の先端側の内周壁は、第一絞り部672が設けられず、非絞り部674とされている。このため、洗浄水とともに堰634を越えて下降路633を流れ落ちた汚物は、入口部671からスムーズに進入し、第一絞り部672の斜面による案内によって筒部670の中心付近に密集することなく、出口部677近傍の突出部675までスムーズに落下する。
【0238】
以上説明した第5実施例のサイホンゼット式便器610によれば、便器の排水路630と排水立ち上げ管690とを、筒部670内に2つの絞り部が設けられた排水ソケット660を介して、下降路633の終端と筒部670の出口部677とを偏心させつつ接続する。従って、筒部670内において、第1実施例よりも強い洗浄水の滞留状態を創り出し、筒部670内における洗浄水の落下を強く抑制することができる。
【0239】
この結果、密結される洗浄タンクのタンク実容量が非常に少ない場合(大洗浄の場合に3.8リットル、小洗浄の場合に2.8リットル)であっても、接続路631の入口から屈曲部635までの排水路630は、洗浄開始から終了までの間、切れ目なく満水状態に維持される。従って、サイホン作用を長期間継続して発生させることが可能となる。
【0240】
以上、本発明が実施される形態を、第1実施例から第5実施例を用いて説明した。上記各実施例のように、洗浄水を滞留させる構成をサイホンゼット式便器に採用することにより、少量の洗浄水でのサイホン作用の発生を、ラフィン200mmの排水立ち上げ管との接続を確保しつつ、実現することが可能となる。この結果、少量の洗浄水しか用いなくても、汚物を確実に排水立ち上げ管に排出するとともに、排水立ち上げ管と連続する横引き管内での汚物の残存を防止することができる。
【0241】
併せて、上記各実施例では、排水ソケットの流路である筒部内の一部に非絞り部を形成する。従って、便器の下降路や排水ソケットの筒部を、洗浄水が滞留可能な形状とした場合であっても、排水ソケットの筒部内における汚物のスムーズな通過が確保される。従って、排水ソケットの流路内における汚物の閉塞を確実に防止することができる。
【0242】
なお、上記実施例では、サイホンゼット式便器を例として説明したが、本発明を他の種類の便器に適用することも可能である。例えば、洗浄水をゼット孔から噴出することなくサイホン作用を引き起こすサイホン式便器にも適用することができる。
【0243】
例えば、サイホン式便器において、一回の洗浄水供給量を、大洗浄において6リットル、小洗浄の場合において4.5リットルとし、この量の洗浄水でサイホン作用を生じさせるよう構成すれば、従来のサイホン式便器よりも大きく節水を図ることが可能となる。
【0244】
なお、上述した実施例では、タンク実容量を大洗浄で4リットルまたは3.8リットル,小洗浄で3リットルまたは2.8リットルという値とするが、この値を、大洗浄の場合に3.8リットル以上6リットル以下,小洗浄の場合に2.8リットル以上4.5リットル以下の値としてもよい。サイホン作用を利用する便器においては、タンク実容量が上記の値の範囲であれば、ボール部の洗浄や汚物の排出に支障が生じないことが、後述する実験により確認されている。タンク実容量が6リットル以下となることで、従来よりも洗浄水の水量を少なくすることができ、従来のサイホン式の便器よりも節水を図ることが可能となる。
【0245】
タンク実容量を上記の数値範囲とした場合における洗浄性能の評価について説明する。当該便器に関しては、便器の洗浄を行なった際における溜水RWの置換率に基づいて洗浄性能を評価する手法を採った。即ち、洗浄水を流したときに、便器に溜まった溜水RWが完全に置換された場合には、洗浄水を流す前に便器に溜まっていた溜水RWの全てが、排水路の堰34を越えて排水立ち上げ管90に排出されたことになり、洗浄能力が高いと評価できる。また、便器に溜まった溜水RWが置換されない場合には、洗浄水を流す前に便器に溜まっていた溜水RWが、排水路の堰34を越えられずに上昇路32を下降してボール部20内に戻ってきたことになり、洗浄能力が不十分と評価できる。
【0246】
洗浄能力が十分であると評価し得る溜水RWの置換率は、様々な便器に基づく実験から、98.5パーセント以上であることが確認されている。つまり、「良好な洗浄性能を有する節水便器」を実現するためには、この便器に洗浄水を供給したときに、洗浄水を流す前に溜まっていた溜水RWのうちの98.5パーセント以上が新たに供給された洗浄水に置換されることが望ましい。
【0247】
そこで、どの程度の量の洗浄水を流したときに、98.5パーセント以上の溜水RWの置換が生じるかを、上記のサイホンゼット式便器10やこのサイホンゼット式便器10からゼット噴出機構を除去したサイホン便器を用いてテストした。
【0248】
テストは、以下のような手法で行なった。まず、ボール部20、接続路31および上昇路32やゼット給水路46に貯溜している溜水RWに電解質を溶解し、溜水RWの電気伝導度m1の値を求めておく。次に、この溜水RWが溜まった便器に洗浄水を供給して、洗浄水の供給後に便器に溜まっている溜水RWの電気伝導度m2の値を測定し、洗浄前の電気伝導度m1に対する洗浄後の電気伝導度m2の割合(m2/m1以下、濃度比という)を求める。この濃度比の値が小さいほど、溜水RWの置換率が高いことを示している。
【0249】
濃度比は、便器における洗浄水量n1と溜水RWの量n2との比率(n1/n2。以下、体積比という)に応じて求めた。ここで、洗浄水量とは、一回の便器洗浄の際に使用する水の量、即ち、一回の洗浄動作において、堰34を越えて排水立ち上げ管90に排出される水の量をいう。
【0250】
この体積比の値が大きいほど、溜水RWに対して洗浄水量が大きいことを示している。例えば、洗浄水量が7リットルとした場合において、溜水RWの量を1.4リットルとすれば体積比は5という大きな値となり、溜水RWの量を3.5リットルとすれば、体積比は2という小さな値となる。
【0251】
なお、本テストにおいては、タンク実容量d1と溜水RWの量n2の比率を求め、この比率を洗浄水量n1と溜水RWの量n2との比率に換算して、体積比を算出した。即ち、洗浄水量n1には、タンク実容量d1以外に補給水量h1が含まれ、この補給水量h1は、元水圧等の給水条件によって異なるものである。従って、客観的かつ適正な結果を得るためには、給水条件が洗浄能力に及ぼす影響を排除することが必要となる。そこで、テスト対象となる便所装置においては、洗浄タンク310内にタンク実容量d1分の貯溜水を溜めるとともに、洗浄タンク310内への外部給水源からの給水を遮断した。一方、便器10には、通常の溜水量n2の水(堰34の高さである通常水位線WLの高さまでの水)を溜めてテストを行なった。
【0252】
以上のテストの結果を図30に示す。図30は、濃度比と体積比との関係を示すグラフである。このグラフでは、縦軸に濃度比を表わしている。この濃度比が0.015という値を採るときに、溜水RWの置換率が98.5パーセントとなる。図23に示すように、濃度比が0.015以下、即ち置換率が98.5パーセント以上となるためには、体積比、即ち洗浄水量n1/溜水量n2が4.2以上の値を採ることが必要となる。この結果、溜水RWの量を0.71〜1.6リットルとすれば、洗浄水量n1を3〜7リットルという値とした場合において、良好な洗浄能力が確保されることがわかった。
【0253】
以上、本発明が実施される形態につき、実施例を用いて説明した。本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【0254】
例えば、上記の実施例において、オリフィス絞りやチョーク絞りの程度や、便器の下降路の終端の中心と排水ソケットの出口部の中心とを偏心させる程度は、洗浄水の流路の形状等に応じて、任意に定めることができる。
【0255】
また、便器の下降路の終端の中心に対して排水ソケットの出口部の中心を偏心させる方向は、便器の前後方向のみならず、左右方向等、いずれの方向であってもよい。
【0256】
上記実施例に示した便器の下降路の形状や排水ソケットの形状を、サイホン作用を利用せず、洗浄水の水勢により汚物や溜水を押し流す洗い落とし式便器に適用しても差し支えない。特に、洗い落とし便器の排水路が上から下に屈曲された形状を採る場合には、便器洗浄の際に排水路が満水に近い状態となり、サイホン作用と類似の現象を生じるケースがある。このような場合には、排水路が満水とされたことに基づく引き込み力と洗浄水の水勢とが相俟って、従来よりも洗浄能力を高めることができる。
【0257】
上記実施例では、洗浄タンクとして、便器と密接して連結されるロータンク型タンクを用いたが、ロータンク型タンク以外のタンク、例えば、便器と洗浄管を介して接続されてトイレの壁等に設置される隅付き型や平付き型のタンクを用いてもよい。この場合に、洗浄タンクを高い位置に設置してハイタンクとすることも可能である。
【0258】
また、上記実施例では、1回の洗浄動作により、洗浄タンク内の貯溜水と補給水を、洗浄水として便器に供給する構成としたが、洗浄タンク内に補給水分の水を貯溜し、洗浄水の全てを洗浄タンクから供給する構成としてもよい。
【0259】
便器への給水装置として、洗浄タンク以外の他の給水装置を用いても差し支えない。例えば、水道管と直結可能なフラッシュバルブを洗浄水給水孔40に接続する構成などを考えることができる。
【0260】
また、上記実施例では、ハンドル330の操作に基づいて小便用排水弁344や大便用排水弁345の開閉を行なう構成としたが、赤外線センサ等のセンサを設け、このセンサの検知状態により、小便用排水弁344や大便用排水弁345の開閉を行なう構成としても差し支えない。
【0261】
上記実施例では、溜水面の大きさを、幅185mm×奥行き225mmという値としたが、この値を、日本工業規格に定められたサイホン式便器の溜水面の面積の基準値である幅140mm以上×奥行き180mm以上の値とすれば、ボール部20への汚物の付着やボール部20からの臭気の発散を、サイホン式便器と同等程度に防止することが可能となる。
【0262】
また、上記実施例では、本発明をサイホンゼット式便器やサイホン便器に適用した場合を例として説明したが、本発明を、上記の便器と他の装置や部材との組み合わせとして把握することもできる。例えば、局部洗浄や暖房等の諸機能を実現する機能便座と組み合わせた衛生洗浄装置、収納用キャビネットや手洗装置と組み合わせたトイレキット装置、トイレ室内の構造体としての壁材,床材および天井材等を組み合わせたシステムトイレ装置等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるサイホンゼット式の便器10の縦断面を示す説明図である。
【図2】便器10の上面を示す説明図である。
【図3】洗浄タンク310の構成を示す説明図である。
【図4】便器10の接続路31、上昇路32、下降路33の横断面形状を示す説明図である。
【図5】接続路31、上昇路32および下降路33を、各部で切断した状態を示す説明図である。
【図6】排水ソケット60の上面を示す説明図である。
【図7】排水ソケット60の底面を示す説明図である。
【図8】図6における排水ソケット60のG−G断面を示す説明図である。
【図9】図6における排水ソケット60のH−H断面を示す説明図である。
【図10】排水ソケット60の筒部70内に、非絞り部74および突出部75が設けられる様子を示す斜視図である。
【図11】排水ソケット60が、便器10の排水路30および排水立ち上げ管90に接続されたときの様子を示す説明図である。
【図12】洗浄水が第一絞り部72を通過したときの筒部70内の様子を示す説明図である。
【図13】第二絞り部73を洗浄水が流れ落ちるときの筒部70内の様子を示す説明図である。
【図14】排水ソケット60の筒部70内を汚物が流れる様子を示す説明図である。
【図15】排水ソケット760の上面を示す説明図である。
【図16】排水ソケット760が、便器10の排水路30および排水立ち上げ管90に接続されたときの様子を、G−G断面位置において示す説明図である。
【図17】排水ソケット760が、便器10の排水路30および排水立ち上げ管90に接続されたときの様子を、H−H断面位置において示す説明図である。
【図18】排水ソケット760の筒部770内に、非絞り部774および突出部775が設けられる様子を示す斜視図である。
【図19】本発明の第2実施例であるサイホンゼット式の便器110の縦断面を示す説明図である。
【図20】便器110の下降路133および排水立ち上げ管190と排水ソケット760との接続位置における断面の様子を示す説明図である。
【図21】凹所178が形成された斜面175aおよび絞り部173の様子を斜視図にて示す説明図である。
【図22】洗浄水が進入した直後の筒部170内の様子を示す説明図である。
【図23】絞り部173を洗浄水が流れ落ちるときの筒部170内の様子を示す説明図である。
【図24】排水ソケット160の筒部170内を汚物が流れる様子を示す説明図である。
【図25】第3実施例の便器110Aの排水路130Aが、排水ソケット860を介して排水立ち上げ管190Aに接続されたときの様子を示す説明図である。
【図26】排水ソケット860の変形例を示す説明図である。
【図27】第4実施例の便器210の排水路230が、排水ソケット260を介して排水立ち上げ管290に接続されたときの様子を示す説明図である。
【図28】第4実施例の便器210の下降路233に拡径部233bを設けた構成例を示す説明図である。
【図29】第5実施例の便器610の排水路630が、排水ソケット660を介して排水立ち上げ管690に接続されたときの様子を示す説明図である。
【図30】濃度比と体積比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…サイホンゼット式便器
20…ボール部
21…リム部
22…ゼット噴出孔
23…覆水面
24…乾燥面
25…排出口
26…凹部
28…タンク密結孔
30…排水路
31…接続路
31a…始端
31b…終端
32…上昇路
32a…始端
32b…中間部
32c…終端
33…下降路
34…堰
35…屈曲部
40…洗浄水給水孔
41…洗浄水給水路
41a…滞留部
42…分岐孔
43…リム給水路
44…水出し孔
44a…大孔
44b…中孔
44c…小孔
44d…長孔
44e…長孔
45…ゼット給水孔
46…ゼット給水路
60…排水ソケット
61…便器固定部
61a…ナット
62…ジョイント部
63…便器支持部
64…第一排水管接続部
65…第二排水管接続部
69…ソケット取付穴
70…筒部
71…入口部
72…第一絞り部
73…第二絞り部
74…非絞り部
75…突出部
76a,76b…壁面
77…出口部
80…ゴムジョイント
90…排水立ち上げ管
110…サイホンゼット式便器
110A…サイホンゼット式便器
120…ボール部
122…ゼット噴出孔
130…排水路
130A…排水路
131…接続路
133…下降路
133A…下降路
134…堰
135…屈曲部
144…水出し孔
160…排水ソケット
170…筒部
171…入口部
173…絞り部
175a,175b…斜面
177…出口部
178…凹所
190…排水立ち上げ管
190A…排水立ち上げ管
210…サイホンゼット式便器
230…排水路
231…接続路
233…下降路
233A…下降路
233a…突出部
233b…拡径部
233c…突出部
234…堰
235…屈曲部
260…排水ソケット
263…便器支持部
270…筒部
271…入口部
273…絞り部
274…非絞り部
275…突出部
277…出口部
290…排水立ち上げ管
310…洗浄タンク
312…外装タンク
314…内装タンク
316…断熱材
317…蓋
318…手洗鉢
319…手洗用吐水管
320…ボールタップ
321…吐水管
322…浮子
323…補給水管
324…給水ホース
326…穴
327…連絡管
328…流入管
330…ハンドル
332…スピンドル
333…アーム
334…アーム
335a,335b…鎖
336…スピンドルガイド
338…水没管
340…オーバーフロー管
342…密結用ボルト
344…小便用排水弁
345…大便用排水弁
346…排水管
346a…下方突出部
348…スペーサー
350…アーム
359…穴
366…排水管接続用穴
367…ボルト取付用穴
410…洗浄タンク
510…洗浄タンク
610…サイホンゼット式便器
620…ボール部
630…排水路
631…接続路
633…下降路
634…堰
635…屈曲部
660…排水ソケット
663…便器支持部
663a…突出部
670…筒部
671…入口部
672…第一絞り部
673…第二絞り部
674…非絞り部
675…突出部
677…出口部
690…排水立ち上げ管
760…排水ソケット
770…筒部
771…入口部
772…段部
773…第二絞り部
774…非絞り部
775…突出部
777…出口部
860…排水ソケット
863a…突出部
863…便器支持部
868…斜面
870…筒部
871…入口部
873…絞り部
874…非絞り部
875…突出部
877…出口部
878…凸部
910…洗浄タンク
RW…溜水
WL…通常水位線
YK…床
KB…壁
OB…汚物

Claims (10)

  1. 汚物を受ける鉢部と、
    該鉢部の底部に形成された排出口と連通し、該連通位置よりも高い位置まで延出した後、汚水管の位置する下方向に向かう排水路とを有し、
    該排水路の終端を、該排水路と前記汚水管とを連接する部材であって、内部に流路が形成された部材である連接部材を介して、前記汚水管と接続するとともに、
    前記鉢部および前記排水路内に、該排水路内の底壁の最も高い位置である堰の高さまで溜水を溜め、
    該溜水が溜められた前記鉢部に、所定の給水源と給水可能に接続されたタンクから洗浄水を供給することにより、前記鉢部内の汚物を、前記排水路内の前記堰を越える位置まで搬送し、前記連接部材の流路を通じて前記汚水管に送り込む水洗便器であって、
    前記タンクを、前記給水源からの給水を止めた状態での一洗浄動作により、該タンク内に貯溜された貯溜水のうちの2.8リットル以上6リットル以下の貯溜水を前記鉢部に供給するよう構成し、
    前記連接部材が前記排水路と接続された状態において、該連接部材の流路の出口における中心を、前記便器の背面から前記便器の前方に向かって200mm以下の位置に配置するとともに、
    該連接部材の流路内において、洗浄水の落下運動を抑制する落下抑制手段を設け、
    前記給水源からの給水可能な状態での一洗浄動作により、前記タンクから前記貯溜水を含む洗浄水が前記鉢部に供給されたとき、該供給に伴って前記堰を越えた前記溜水および前記洗浄水の落下を、前記落下抑制手段が抑制し、
    該落下抑制手段による抑制に基づいて、前記堰付近の排水路内の満水状態を創り出し、サイホン作用を引き起こし、
    当該水洗便器は、更に、
    前記連接部材の流路の入口に対して流路の断面積を減少させる第一の絞り部と、
    該第一の絞り部における流路に対して流路の断面積を減少させる第二の絞り部とを備え、
    前記落下抑制手段は、該第一の絞り部および該第二の絞り部により、前記連接部材の流路内における洗浄水の落下運動を抑制する手段であり、
    前記第一の絞り部は、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させるオリフィス絞り部であり、
    前記第二の絞り部は、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部である、水洗便器。
  2. 前記オリフィス絞り部を、前記流路の内壁に、前記流路の中心方向に向かう斜面を形成することにより構成した請求項1に記載の水洗便器。
  3. 前記オリフィス絞り部を、前記流路の内壁に、前記流路の中心方向に突出する凸部を形成することにより構成した請求項1に記載の水洗便器。
  4. 前記第二の絞り部を、前記第一の絞り部と連続して形成した請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水洗便器。
  5. 前記第二の絞り部を、前記流路の断面積が、前記連接部材の流路の出口の近傍に至るまで漸減するように構成した請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の水洗便器。
  6. 請求項1に記載の水洗便器であって、
    前記連接部材が前記排水路の終端と接続された状態において、該連接部材の流路の中心を、前記排水路の終端における中心とは偏心した位置に設けるとともに、
    該偏心された後の連接部材の流路に、
    該流路の断面積を減少させる第一の絞り部と
    該第一の絞り部における流路に対して流路の断面積を減少させる第二の絞り部とを形成し、
    前記落下抑制手段は、該排水路の終端と連接部材の流路との偏心、該第一の絞り部および該第二の絞り部により、前記連接部材の流路内における洗浄水の落下運動を抑制する手段である水洗便器。
  7. 請求項6に記載の水洗便器であって、
    前記第一の絞り部は、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させるオリフィス絞り部であり、
    前記第二の絞り部は、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部である
    水洗便器。
  8. 前記落下抑制手段により洗浄水の落下運動を抑制しつつ、前記連接部材の流路における汚物の通過を促進する通過促進手段を設けた請求項1に記載の水洗便器。
  9. 請求項8に記載の水洗便器であって、
    前記落下抑制手段として、
    前記連接部材の流路の入口に対して流路の断面積を減少させる第一の絞り部と、
    該第一の絞り部における流路に対して流路の断面積を減少させる第二の絞り部とを備え、
    前記通過促進手段を、該第一の絞り部および該第二の絞り部を前記流路の内周壁のうちの一部の範囲に設けることにより構成した水洗便器。
  10. 請求項9に記載の水洗便器であって、
    前記第一の絞り部は、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて短い長さに亘って減少させるオリフィス絞り部であり、
    前記第二の絞り部は、前記流路の断面積を、該流路の断面寸法に比べて長い長さに亘って減少させるチョーク絞り部である
    水洗便器。
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