JP5918390B2 - 太陽電池パネルの検査装置、及び太陽電池パネルの検査方法 - Google Patents
太陽電池パネルの検査装置、及び太陽電池パネルの検査方法 Download PDFInfo
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Description
検査対象の太陽電池パネルに検査交流波を入力する交流波入力部と、
前記太陽電池パネルから戻ってくる減衰交流波を計測する交流波計測部と、
前記検査交流波と前記減衰交流波とに基づいて前記太陽電池パネルのインピーダンスを算出する演算部と、
前記交流波入力部の周波数を変更する周波数変更部と、
前記太陽電池パネルの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記周波数変更部は、前記太陽電池パネルのインピーダンスが最小値となるように前記交流波入力部の周波数を変更し、
前記判定部は、前記最小値を参照値と比較し、前記太陽電池パネルの状態を判定することにある。
この点、本構成の太陽電池パネルの検査装置であれば、太陽電池パネルが設置された状態において、太陽電池パネルのインピーダンスの情報のみで太陽電池パネルの状態を判定することができる(本構成の詳細については、後の「発明を実施するための形態」の中で説明する。)。このため、太陽電池パネルに近づいて行う検査の前に、検査対象の太陽電池パネルが少なくとも「正常」又は「異常」のどちらの状態であるかを確認することができる。そして、「正常」と判定された場合は、その後の検査は当該太陽電池パネルに対しては不要となる。一方、「異常」と判定された場合は、検査対象の太陽電池パネルには何らかの欠陥が存在しているため、作業員は実際に太陽電池パネルに検査機器を近づけて検査を行う作業に取り掛かる。このように、検査の初期段階において、検査が必要な太陽電池パネルかどうかを判定することができるため、作業時間の短縮に繋がり、作業員の負担を軽減することができる。
なお、本明細書において「太陽電池パネル」は、複数の太陽電池パネルが接続された太陽電池モジュールや、太陽電池ストリングを包含する意味として使用する。また、「検査交流波」とは、検査対象となる太陽電池パネルに送出される交流波(送出交流波)を意味する。一方、「減衰交流波」とは、検査交流波に対応する交流波のことであり、太陽電池パネルに送出された検査交流波(送出交流波)が、太陽電池パネルの回路を巡って検査装置に戻ってきた交流波、つまり、検査装置が受信する交流波(受信交流波)を意味する。
前記判定部は、前記最小値が前記参照値の5倍以上である場合に前記太陽電池パネルが異常状態にあると判定し、前記最小値が前記参照値の2倍以上5倍未満である場合に前記太陽電池パネルが劣化状態にあると判定することが好ましい。
前記太陽電池パネルは、複数の太陽電池セルが接続されてなる太陽電池モジュールであることが好ましい。
この点、本構成の太陽電池パネルの検査装置は、インピーダンスの最小値から太陽電池パネルの状態を判定するものであるため、L成分とC成分とがつり合うような周波数に検査交流波を調整することで、モジュール化(またはストリング化)によるL成分の影響を最小限に抑えることができる。従って、本構成の太陽電池パネルの検査装置は、特に複数の太陽電池セルが接続されてなる太陽電池モジュールに対して好適に利用することができる。
前記交流波入力部及び前記交流波計測部は、前記太陽電池パネルの発電電圧より大きい耐電圧を有するコンデンサを介して前記太陽電池パネルに接続されていることが好ましい。
前記太陽電池パネルから前記交流波入力部及び前記交流波計測部に到来するパルス波を遮断する遮断回路が、前記コンデンサの前段に設けられることが好ましい。
前記遮断回路は、高抵抗部と導通部とを切り替え可能なスイッチ回路であることが好ましい。
前記周波数変更部は、前記交流波入力部の周波数を50〜2500kHzの範囲で変更することが好ましい。
前記太陽電池パネルは接続箱に集約するように配線され、前記交流波入力部及び前記交流波計測部は、前記接続箱を介して前記太陽電池パネルに接続されていることが好ましい。
検査対象の太陽電池パネルに検査交流波を入力する交流波入力工程と、
前記太陽電池パネルから戻ってくる減衰交流波を計測する交流波計測工程と、
前記検査交流波と前記減衰交流波とに基づいて前記太陽電池パネルのインピーダンスを算出する演算工程と、
前記検査交流波の周波数を変更する周波数変更工程と、
前記太陽電池パネルの状態を判定する判定工程と、
を包含し、
前記周波数変更工程において、前記太陽電池パネルのインピーダンスが最小値となるように前記検査交流波の周波数を変更し、
前記判定工程において、前記最小値を参照値と比較し、前記太陽電池パネルの状態を判定することにある。
初めに、本発明の太陽電池パネルの検査装置を開発するにあたり、本発明者は太陽電池パネルの構成及び等価回路について以下のような考察をした。これについて図1に基づいて説明する。
図1は、太陽電池パネルMに関する説明図である。図1(a)は、太陽電池パネルMの概略構成図である。太陽電池パネルMは複数のセルSが直列に接続された太陽電池モジュールとして構成され、太陽電池パネルMどうしも所望の枚数が直列に接続される。図1(a)では4枚の太陽電池パネルMを例示している。夫々の太陽電池パネルMを構成するセルSは、負の電荷を有する電子を多く含むn型半導体と、正の電荷を有するホールを多く含むp型半導体とが接合されたものである。ホールがn型半導体に入ると電子と結合する。これと同様に、電子がp型半導体に入るとホールと結合する。このように、n型半導体とp型半導体とが接合した際、接合面では電子もホールもない空乏層と呼ばれる領域が形成される。この空乏層には電界が生じており、空乏層に太陽光が入射すると光が半導体に吸収されて電子とホールが生じ、これらが電界で押し出されることにより外部回路へ電流として流れる。この一連の仕組みが発電である。太陽電池パネルMで生成された電流は直流であり、電気として利用するためには交流に変換する必要がある。図1(a)に示すように、太陽電池パネルMの各配線は接続箱1に集約されており、接続箱1はさらにパワーコンディショナー2に接続されている。太陽電池パネルMで発電された直流は、パワーコンディショナー2によって交流に変換され、工場、オフィス、住居等で電力として利用される。
以下、本発明に係る太陽電池パネルMの検査装置100について説明する。
図4は、本発明に係る太陽電池パネルMの検査装置100(以下、「検査装置100」と称する。)の概略構成図である。図5は、太陽電池パネルMの検査装置100に関する回路図である。図4に示すように、検査装置100は、接続箱1に接続されており、太陽電池パネルMに欠陥検査のための交流波を入力する交流波入力部10と、太陽電池パネルMから戻ってくる減衰交流波を計測する交流波計測部20と、交流波入力部10において入力する検査交流波の周波数を変更する周波数変更部30と、太陽電池パネルMのインピーダンスを算出する演算部40と、演算部40によって算出されたインピーダンスから太陽電池パネルMの状態を判定する判定部50とから構成されている。ここで、図4で示すように、検査装置100における交流波入力部10と交流波計測部20とは、接続箱1を介して太陽電池パネルMに接続されている。太陽電池パネルMは屋外の高所に設置されているため、作業員が検査機器を用いて行う検査には危険や負担が伴う。しかし、上記のような構成であれば、作業員が行う検査の前に予め接続箱1を介して太陽電池パネルMの状態を容易に確認することができる。このため、作業員は真に検査の必要な太陽電池パネルMを知ることができ、さらに、欠陥原因に応じた適切な修理の準備を行い、速やかに対処することができる。その結果、作業員の危険や負担が軽減し、検査の効率を向上させることができる。
太陽電池パネルMの欠陥検査のため、交流波入力部10は、太陽電池パネルMに周波数fの交流波(これを、「検査交流波f」と称する。)を入力する。検査交流波fは、図2(b)に示す等価回路を通るが、このとき、抵抗(Rs成分)によっていくらか減衰する。この減衰した交流波を検査交流波fに対して減衰交流波gと称する。交流波計測部20は、太陽電池パネルMから戻ってくる減衰交流波gを計測する。検査交流波f及び減衰交流波gは、インピーダンスZの演算に利用される。上記で説明したように、太陽電池パネルMは光エネルギーを受けて直流電流を生成し、直流はパワーコンディショナー2によって交流に変換される。交流波入力部10から太陽電池パネルMに検査交流波fを適切に入力し、交流波計測部20によって太陽電池パネルMから戻ってくる減衰交流波gを正しく計測するためには、太陽電池パネルMが生成する直流を排除する必要がある。そこで、本構成の検査装置100では、図5に示すように、交流波入力部10及び交流波計測部20を、太陽電池パネルMの発電電圧より大きい耐電圧を有するコンデンサC1,C2を夫々介して、太陽電池パネルMに接続する構成を採用している。これにより、太陽電池パネルMが発電した直流はコンデンサC1,C2によってカットされるため、減衰交流波gを正しく計測することが可能となる。
周波数変更部30は、太陽電池パネルMのインピーダンスZが最小値となるように、検査交流波f(周波数fの交流波)を変更する。具体的には、式(1)及び式(2)において、ωLと1/ωCとが等しくなるように周波数fの値を変更させてゆき、ωLと1/ωCとが等しくなったときのインピーダンスZの値を見つけることができれば、抵抗Rの値を得ることができる。そのため、周波数変更部30によって検査交流波f(周波数fの交流波)を調整する。このとき、周波数変更部30は、50〜2500kHzの範囲で周波数fを変更する。この範囲であれば、太陽電池パネルMのモジュール化による周波数特性の変化をカバーし、C成分とL成分との影響をコントロールしながら、太陽電池パネルMのインピーダンスZの値を算出し、最終的にインピーダンスZが最小値となる周波数fを特定することができる。
演算部40は、検査交流波fと減衰交流波gとに基づいて太陽電池パネルMのインピーダンスZの値を算出する。ここで、検査交流波fに対応する電圧をV0とし、減衰交流波gに対応する電圧をV1とし、テスターの抵抗をR1とし、太陽電池パネルMの抵抗をR2とすると、図6に示すような等価回路図で表すことができる。図6に示すように、R1及びR2は直列に接続されているため、以下のような分圧の式が成り立つ。
判定部50は、演算部40によって算出された太陽電池パネルMのインピーダンスZの最小値と参照値とを比較して太陽電池パネルMの状態を判定する。ここで、参照値とは、欠陥が存在しない太陽電池パネルMに対して、検査装置100によって予め算出されたインピーダンスZの最小値のことである。太陽電池パネルMに欠陥が存在すると、欠陥が存在しない太陽電池パネルMより抵抗値が大きくなる。そのため、演算部40により算出されたインピーダンスZの最小値と参照値とを比較すれば、検査対象の太陽電池パネルMに欠陥が存在するかどうか判別することができる。判定基準としては、例えば、インピーダンスZの最小値が参照値の5倍以上である場合は、太陽電池パネルMは断線状態であり、インピーダンスZの最小値が参照値の5倍未満である場合は、太陽電池パネルMは劣化状態であると判定することができる。なお、この判定の基準となる倍率は一例であり、太陽電池パネルの種類や使用環境等に応じて、5〜20倍に設定することができる。このように、判定部50では、単に太陽電池パネルMの欠陥の有無を判定するだけではなく、その欠陥が太陽電池パネルMの断線に起因するものなのか、あるいは劣化に起因するものかまで判定することができる。従って、太陽電池パネルMに直接検査機器を近づけて行う検査に際し、作業員は真に検査の必要な太陽電池パネルMを予め知ることができ、さらに、欠陥原因に応じた適切な修理の準備を行い、速やか対処することができる。その結果、作業員の負担が軽減し、検査効率を向上させることができる。
次に、検査装置100を用いた太陽電池パネルMの検査方法(以下、「検査方法」とする。)について説明する。図7は、検査装置100用いて実施する太陽電池パネルMの検査方法のフローチャートである。検査方法は、主に、交流波入力工程、交流波計測工程、演算工程、周波数変更工程、及び判定工程の各工程を経て実施される。なお、以下の検査方法の説明及び図7において、検査方法における各ステップを記号「S」で示してある。
検査装置100を用いて太陽電池パネルMの欠陥検査を行うにあたり、検査装置100の各構成要素を適切に配置し、太陽電池パネルMに接続する。検査装置100は交流波入力部10及び交流波計測部20を太陽電池パネルMに接続箱1を介して接続する。ここで、太陽電池パネルMによる直流は交流に変換されるため、単に交流波入力部10から検査交流波fを入力すると、減衰交流波gを正しく計測することができず、太陽電池パネルMの検査に支障を来す虞がある。そのため、図5に示すように、交流波入力部10及び交流波計測部20と、太陽電池パネルMとの間に太陽電池パネルMの発電電圧より大きい耐電圧を有するコンデンサC1,C2を配置する。これにより、太陽電池パネルMの発電による直流をカットできるため、減衰交流波gを正しく計測することができる。
また、検査開始時に発生するパルス波による交流波入力部10及び交流波計測部20の故障を防止するため、図5に示すように上記にて配置したコンデンサC1,C2の前段にスイッチによって高抵抗部60と導通部とを切り替え可能とする遮断回路70を設ける(図5において、点線枠で囲まれた部分である。)。
上記のように検査装置100の各構成要素を適切に配置した後、太陽電池パネルMに対して欠陥検査を開始する(S0)。
先ず、交流波入力部10と交流波計測部20とを太陽電池パネルMに接続するが、検査開始時にこれらを太陽電池パネルMに直接接続すると、高電圧のパルス波が交流波入力部10及び交流波計測部20に到来し、その衝撃で検査装置100が破損する虞がある。そのため、図5の点線枠にて示した遮断回路70において、スイッチを開いて高抵抗部60側のみを導通させた高抵抗部接続状態にする(S1)。一方、パルス波は検査開始時のみに生じる現象であるため、高抵抗部60によってパルス波を処理した後は、回路を高抵抗部60側に導通状態のままにしておく必要はない。そのため、パルス波の処理が完了したかどうかを判断し(S2)、パルス波の処理が完了した後は(S2;YES)、図5の点線枠にて示した遮断回路70のスイッチを閉じる。そうすると、抵抗値が小さい導通部側を電流が流れる導通部接続状態となる(S3)。ステップ2において、パルス波の処理がまだ完了していない場合は(S2;NO)、高抵抗部60側への接続を継続する(S1)。このように、ステップ0〜3を実行することで、太陽電池パネルMの検査を実施する準備を整える。
次に、交流波入力部10から太陽電池パネルMに検査交流波fを入力する(S4)。検査装置100は、式(1)に基づいてインピーダンスZの最小値を得ることが目的である。図3に示すように、太陽電池パネルの接続枚数別に計測した周波数特性のグラフから、インピーダンスZの最小値はグラフの極小値であることが分かる。そのため、検査交流波fの入力は、低周波数から徐々に高周波数へシフトする方向とすることが好ましい。このように入力することで、周波数特性のグラフの極小値となる点、すなわち、インピーダンスZの最小値を効率良く得ることができる。ステップ4を交流波入力工程とする。
ステップ4において交流波入力部10から太陽電池パネルMに入力された検査交流波fは、太陽電池パネルMの抵抗成分(図2(b)に示される等価回路図において、Rsに相当する。)の影響により減衰され、減衰交流波gとして太陽電池パネルMから戻ってくる。このときの減衰交流波gを交流波計測部20によって計測する(S5)。太陽電池パネルMに欠陥が存在する場合、この抵抗成分の影響が大きくなるため、減衰交流波gを計測して後で説明する演算工程及び判定工程を実行することにより、太陽電池パネルMの状態を判定することができる。ステップ5を交流波計測工程とする。
次に、検査交流波fと減衰交流波gとに基づいて、演算部40によって太陽電池パネルMのインピーダンスZの値を算出する(S6)。なお、ステップ6における計算は、n回目としてカウントされる。インピーダンスZは、式(1)〜(4)の各計算式に基づいて複数回算出され、算出されたインピーダンスZの値(n回目)は、前回算出されたインピーダンスの値(n−1回目)と比較される(S7)。ステップ6及びステップ7を演算工程とする。ここで、ステップ7について詳細に説明すると、上記で説明したとおり、太陽電池パネルMのインピーダンスZの最小値は、図3に示された周波数特性のグラフから極小値である。従って、例えば、n回目に算出したインピーダンスZの値が、n−1回目に算出したインピーダンスZの値と比較して大きくなっている場合(S7;YES)、n−1回目に算出したインピーダンスZの値が極小値、すなわち、インピーダンスZの最小値であると認定できる。一方、n回目に算出したインピーダンスZの値が、n−1回目に算出したインピーダンスZの値より小さい場合(S7;NO)、インピーダンスZの最小値(極小値)はまだ判明していないため、n+1回目の測定では周波数fをn回目より高く調整し(S8)、検査交流波fを再び交流波入力部10から入力して交流波入力工程(S4)を行う(検査交流波fの周波数を変更する工程(S8)については後で説明する。)。そして、検査交流波fと減衰交流波gとに基づいて演算工程(S6〜S7)を実行する。なお、演算工程が初回(n=1)の場合は、そのまま後述の周波数変更工程(S8)に進行する。
ステップ6のインピーダンスZの算出を経て、ステップ7においてインピーダンスZが前回の測定値より大きい値ではないと判断された場合(S7;NO)、検査交流波fの周波数を周波数変更部30によって変更する(S8)。本発明に係る検査方法は、太陽電池パネルMのインピーダンスZの最小値に基づいて欠陥状態を判定する。そのため、式(1)及び(2)において、ωLと1/ωCとが等しくなるような周波数fを選択する必要がある。周波数fの選択は、上述のとおり、n回目に交流波入力部10に入力した検査交流波fによって演算部40が算出したインピーダンスZの値が、n−1回目に算出したインピーダンスZの値より小さい場合(S7;NO)、周波数fをn回目より高くなるように変更し(S8)、n+1回目として再び太陽電池パネルMに検査交流波fを入力する(S4)。そして、ステップ5、ステップ6へと進み、インピーダンスZの値を算出し、ステップ7でn回目の演算工程で算出したインピーダンスZの値と比較する。
ステップ4〜8によって太陽電池パネルMのインピーダンスZの最小値が算出されたら、当該最小値を参照値と比較する(S9)。ここで、参照値とは、欠陥が存在しない太陽電池パネルMに対して、検査装置100によって予め算出しておいたインピーダンスZの最小値のことである。太陽電池パネルMに欠陥が存在すると、欠陥が存在しない太陽電池パネルMより抵抗値が大きくなる。そのため、ステップ4〜8の一連の工程で算出された太陽電池パネルMのインピーダンスZの最小値が、参照値と等しいかどうかを判定する(S9)。ここで、インピーダンスZの最小値と参照値との同一性は、実質的に同一であるか否かで判定され、その判定基準は、検査条件や要求される検査精度等に応じて決めることができる。例えば、インピーダンスZの最小値が参照値から±10%の範囲にあれば、両者は実質的に同一と判定することができる。インピーダンスZの最小値が参照値と等しい場合(S9;YES)、検査対象の太陽電池パネルMには欠陥が存在しておらず、「正常状態」と判定される(S10)。その後、検査を続行するか否かを判定する(S14)。一方、インピーダンスZの最小値が参照値と等しくない場合(S9;NO)、太陽電池パネルMには何らかの欠陥が存在していると予測されるため、欠陥の原因の判定が行われる。
ステップ11では、参照値に対するインピーダンスZの最小値の倍率が求められる(S11)。インピーダンスZの最小値が参照値の5倍未満である場合、太陽電池パネルMのインピーダンスZが増大傾向にあるため、太陽電池パネルMは「劣化状態」にあると判定される(S12)。一方、インピーダンスZの最小値が参照値の5倍以上である場合、太陽電池パネルMのインピーダンスZが過剰に増大しているため、「異常状態」にあると判定される(S13)。このステップ9〜13の一連の工程を判定工程とする。判定工程によれば、適切に設定された判定基準に基づいて、太陽電池パネルMの状態を詳細に判定することができる。
なお、上記の判定基準となる参照値に対するインピーダンスZの最小値の倍率は一例であり、例えば、太陽電池パネルの種類や枚数、使用環境等に応じて、前記倍率を5〜20倍に設定することができる。ステップ9〜13の判定工程において、太陽電池パネルMが劣化状態又は異常状態であると判定された場合、欠陥箇所を具体的に発見するため、作業員は検査機器を直接太陽電池パネルMに近づけて検査を行う。
このように、本発明に係る太陽電池パネルMの検査方法は、太陽電池パネルMに直接検査機器を近づけて行う検査に際し、作業員は検査が必要な太陽電池パネルMを予め知ることができる。さらに、欠陥原因に応じた適切な修理を行う準備を行い、速やか対処することができる。その結果、作業員の負担が軽減し、検査効率を向上させることができる。
10 交流波入力部
20 交流波計測部
30 周波数変更部
40 演算部
50 判定部
100 太陽電池パネルの検査装置
f 検査交流波(周波数)
g 減衰交流波
M 太陽電池パネル
S セル
Z インピーダンス
Claims (7)
- 検査対象の太陽電池パネルに検査交流波を入力する交流波入力部と、
前記太陽電池パネルから戻ってくる減衰交流波を計測する交流波計測部と、
前記検査交流波と前記減衰交流波とに基づいて前記太陽電池パネルのインピーダンスを算出する演算部と、
前記交流波入力部の周波数を変更する周波数変更部と、
前記太陽電池パネルの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記交流波入力部及び前記交流波計測部は、前記太陽電池パネルの発電電圧より大きい耐電圧を有するコンデンサを介して前記太陽電池パネルに接続され、
前記周波数変更部は、前記太陽電池パネルのインピーダンスが最小値となるように前記交流波入力部の周波数を変更し、
前記判定部は、前記最小値を参照値と比較し、前記太陽電池パネルの状態を判定する太陽電池パネルの検査装置。 - 前記判定部は、前記最小値が前記参照値の5倍以上である場合に前記太陽電池パネルが異常状態にあると判定し、前記最小値が前記参照値の2倍以上5倍未満である場合に前記太陽電池パネルが劣化状態にあると判定する請求項1に記載の太陽電池パネルの検査装置。
- 前記太陽電池パネルは、複数の太陽電池セルが接続されてなる太陽電池モジュールである請求項1又は2に記載の太陽電池パネルの検査装置。
- 前記太陽電池パネルから前記交流波入力部及び前記交流波計測部に到来するパルス波を遮断する遮断回路が、前記コンデンサの前段に設けられる請求項1〜3の何れか一項に記載の太陽電池パネルの検査装置。
- 前記遮断回路は、高抵抗部と導通部とを切り替え可能なスイッチ回路である請求項4に記載の太陽電池パネルの検査装置。
- 前記周波数変更部は、前記交流波入力部の周波数を50〜2500kHzの範囲で変更する請求項1〜5の何れか一項に記載の太陽電池パネルの検査装置。
- 前記太陽電池パネルは接続箱に集約するように配線され、前記交流波入力部及び前記交流波計測部は、前記接続箱を介して前記太陽電池パネルに接続されている請求項1〜6の何れか一項に記載の太陽電池パネルの検査装置。
Applications Claiming Priority (1)
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