以下,本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
<<実施形態1>>
本発明に関わる実施形態1の冷蔵庫1の例を,図1から図9を参照して説明する。
図1は,本発明の実施形態1に関わる冷蔵庫の正面図である。
実施形態1の冷蔵庫1は,食品を冷蔵,冷凍して貯蔵する貯蔵室として,上方から冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6を備えている。製氷室3と上段冷凍室4は同じ高さ位置に左右に並設されている。
なお,冷凍温度帯の製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5は,冷凍温度帯室60と総称し,冷蔵温度帯の冷蔵室2と野菜室6は,冷蔵温度帯室61と総称する。
冷蔵室2は,前面側に左右に分割されるとともに冷蔵庫本体1H(図2参照)の前面両側端部に枢設される観音開きの冷蔵室扉2a,2bを備えている。図2は,冷蔵庫の庫内の構成を示す図1のA−A線断面図である。
冷蔵室扉2a,2bの庫内側には複数の扉ポケット32が備えられている。また,冷蔵室2は複数の棚36により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
一方,製氷室3と,上段冷凍室4と,下段冷凍室5と,野菜室6は,それぞれ引き出し式の製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a,野菜室扉6aを備えている。
製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5および野菜室6には,それぞれ各室の前部に備えられた扉(3a,4a,5a,6a)と一体に引き出される収納容器3b,4b,5b,6bを設けている。ユーザが各扉(3a,4a,5a,6a)の取手部(図示せず)に手を掛けて手前側(図2の紙面左側)に引き出すことにより収納容器3b,4b,5b,6bを引き出せるようになっている。
また,冷蔵庫1は,各扉(2a,2b,3a,4a,5a,6a)の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)と,所定時間(例えば1分間)以上扉が開放状態であると判定した場合に使用者(ユーザ)に報知するアラーム(図示せず)と,冷蔵温度帯室61の温度設定や冷凍温度帯室60の温度設定をする温度設定器(図示せず)等を備えている。
図2に示すように,冷蔵庫1の庫内と庫外は,外郭を形成する外箱1aと貯蔵室(2,3,4,5,6)を形成する内箱1bの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10によって,隔てられている。また,冷蔵庫1の断熱箱体10には,真空状態を有する断熱性が高い真空断熱材26を実装している。
冷蔵庫1の庫内は,冷蔵室−冷凍室断熱仕切壁28により,冷蔵室2と冷凍温度帯室60とに隔てられるとともに,冷凍室−野菜室断熱仕切壁29により,冷凍温度帯室60と野菜室6とに隔てられている。ここで,同じ冷凍温度帯である製氷室3,上段冷凍室4,および下段冷凍室5間を隔てる仕切りは設けられていないが,扉3a,4a,5aの隙間から庫外への冷凍温度帯室60内の冷気(空気)の漏出を防止する冷凍室間仕切り壁30が備えられている。
なお,上段冷凍室4は,急速冷凍室として使用できるように構成されている。急速冷凍性能の向上のために,上段冷凍室4の収納容器4bには熱伝導率,熱容量が高いアルミニウムトレー(図示せず)が備えられており,冷凍速度を向上させている。
また,冷蔵庫1は,冷媒の蒸発時の潜熱で庫内の空気を冷却する冷却器7と,冷却器7が収納される冷却器収納室8と,冷却器7からの冷気を庫内に送る庫内ファン9とを備えている。冷却器7は,熱媒体の冷媒が循環する後記の冷凍サイクルRS1を構成し,下段冷凍室5の略背部に配置され,冷却器収納室8内に設けられている。冷蔵庫1では,イソブタンを冷却器7等で構成される冷凍サイクルRS1の冷媒として用い,冷媒封入量は約88gと少量にしている。
冷却器7の冷媒と熱交換して冷却された空気(冷気)は,冷却器7の上方に設けられた庫内ファン9により,冷蔵室ダクト11を介して冷蔵室2に送られ,野菜室ダクト(図示せず)を介して野菜室6に送られる。また,冷気は,冷凍室ダクト13を介して製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5の各室へ送られる。
各室(2,3,4,5,6)への送風は,各室に設けた後記の温度センサ(35,33,33a,34)と連動して,冷気の通路(11,13等)を開閉する冷蔵室ダンパ50,野菜室ダンパ51(図3参照),冷凍室ダンパ52の開閉により制御している。図3は,冷蔵庫本体内の冷気ダクトや冷気吹き出し口の配置を示す正面模式図である。
なお,野菜室6が過度に低温となった場合は,野菜室6に設けた野菜室電気ヒータ(図示せず)を通電することにより野菜室6を加熱する。
冷蔵庫1は,図1に示す正面から見て,図3に示すように,冷却器7の左上部に冷却器温度センサ35,冷蔵室2に冷蔵室温度センサ33,野菜室6に野菜室温度センサ33a,下段冷凍室5に冷凍室温度センサ34をそれぞれ備え,それぞれ冷却器7の温度,冷蔵室2の温度,野菜室6の温度,下段冷凍室5の温度を検知している。さらに,冷蔵庫1は,外部空間の庫外の温度を検知する外気温度センサ(図示せず)も備えている。
冷蔵庫1は,図2の天井壁10uの上面側にCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ,インターフェース回路等を搭載した制御基板31を配置している。制御基板31は,前記した外気温度センサ,庫内の各温度センサ(35,33,33a,34),各貯蔵室扉の開閉状態をそれぞれ検知する前記した扉センサ,温度設定器等と接続される。
冷蔵庫1の制御に際しては,ROMに予め記録した制御プログラムの実行により,圧縮機24のON/OFF等の制御,冷蔵室ダンパ50,野菜室ダンパ51,および冷凍室ダンパ52を個別に駆動させるそれぞれのアクチュエータ(図示せず)の制御,庫内ファン9のON/OFF制御や回転速度制御,前記した扉の開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御が遂行される。
また,冷却器7の下方に,除霜運転時に冷却器7に付着した霜を加熱する電気ヒータ22を設置している。冷却器7の除霜(霜の融解)によって生じた除霜水は,冷却器収納室8の下部に備えられた樋23に流入した後に,排水管27を介して後記する機械室19に配設された第一の蒸発皿21に達して貯留され,庫外凝縮器40と圧縮機24の熱により蒸発する。
冷蔵室ダンパ50が開状態の時,冷却器7で熱交換(冷却)された冷気は,庫内ファン9により昇圧され,冷蔵室ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に吹き出され供給される。冷蔵室2を冷却した冷気は,冷蔵室戻りダクト16(図3参照)を通過して冷却器収納室8に戻り,再び冷却器7で冷却される。
図3に示す野菜室ダンパ51が開状態の時,冷却器7で熱交換された冷気は,庫内ファン9により昇圧され,野菜室ダクト(図示せず)を介して,野菜室6の背面右側上部に設けられた野菜室吹き出し口6cから野菜室6に流入して野菜室6を冷却する。野菜室6を冷却した冷気は,冷凍室−野菜室断熱仕切壁29の下部左前方に設けられた野菜室戻り口6dから,野菜室戻りダクト18(図2参照)を通過して冷却器収納室8に戻り,再び冷却器7で冷却される。
また,冷凍室ダンパ52(図2参照)が開状態のときには,冷却器7で熱交換された冷気が庫内ファン9により昇圧され,冷凍室ダクト13を経て各吹き出し口3c,4c,5cからそれぞれ製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5へ送風される。そして,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5を冷却した冷気は,冷凍室戻り口17(図2参照)から冷却器収納室8に戻り,再び冷却器7で冷却される。
なお,冷凍温度帯室60の吹き出し口3c,4c,5cは,それぞれ1個,1個,5個の場合を例示したがこれに限定されない。
<冷凍サイクルRS1>
図4は,実施形態1に関わる冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)の構成を示す図であり,太線で冷却運転時の冷媒の流れを示している。
冷蔵庫1は,庫内を冷却するために冷媒が循環する冷凍サイクルRS1を具備している。
冷凍サイクルRS1は,冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機24,高温の冷媒の熱を放熱する庫外凝縮器40および壁面凝縮器41,冷媒を減圧する第一のキャピラリチューブ42aおよび第二のキャピラリチューブ42b,冷却器7,第一の気液分離器105a,第二の気液分離器105b,冷媒分岐部80a,冷媒分岐部80b,および,冷媒分岐部80cを備えている。
冷媒分岐部80aは,冷媒の庫外凝縮器40と壁面凝縮器41との分岐点を構成する。冷媒分岐部80bは,第一のキャピラリチューブ42aと第二のキャピラリチューブ42bとの分岐点を構成する。冷媒分岐部80cは後記の熱交換部43のバイパス流路を構成する。
冷凍サイクルRS1は,冷媒流路を制御する切換え弁として,四方弁100,三方弁101,102,103,二方弁104を備えており,これらは接続配管70(71〜79)により接続されている。接続配管70は,接続配管71〜79で構成され,管路の分岐から分岐までを同一の符号を付して示す。
四方弁100は,1つの流入口100aと,1つの流出口100bと,ある時は流入側またある時は流出側となる2つの流入流出口100c,100dを備えている。四方弁100は,流入口100aと流入流出口100cとを連通させるとともに流出口100bと流入流出口100dとを連通させる一方,流入口100aと流入流出口100dとを連通させるとともに流出口100bと流入流出口100cとを連通させる(図7参照)ことができる部材である。
三方弁101,103は,それぞれ1つの流入口101a,103aと,1つの流出口101b,103bと,1つの流入流出口101c,103cとを備えている。
三方弁101,103は,それぞれ流入口101a,103aまたは流出口101b,103bと,流入流出口101c,103cとを連通させる部材である。三方弁101は,流入口101aまたは流出口101bと,流入流出口101cとを連通させることができる。同様に,三方弁103は,流入口103aまたは流出口103bと,流入流出口103cとを連通させることができる。
三方弁102は,1つの流出口102bと,2つの流入流出口102c,102dとを備えている。三方弁102は,流出口102bまたは流入流出口102dと,流入流出口102cとを連通させることができる部材である。
二方弁104は,接続配管70内の冷媒流路を開閉する部材である。各冷媒分岐部80(80a,80b,80c)は3つの接続配管と接続され,それぞれの接続配管は常に連通状態となっている。
四方弁100の流入口100a,流入流出口100c,流入流出口100d,流出口100bには,それぞれ接続配管71,72,78,79が接続されている。
圧縮機24の吐出口24oと四方弁100の流入口100aは,接続配管71により接続されている。第二の気液分離器105bと,機械室19に配置された庫外凝縮器40は,四方弁100の流入流出口100cに接続された接続配管72により接続されている。接続配管72の庫外凝縮器40を介した他方側の端部は冷媒分岐部80aと接続されている。
こうして,接続配管72を介して,四方弁100の流入流出口100c,第二の気液分離器105b,庫外凝縮器40,冷媒分岐部80aの順に配設されている。冷媒分岐部80aは,接続配管72の他に,接続配管73aと接続配管73bとに接続されている。
二方弁104,壁面凝縮器41は,接続配管73aにより接続され,接続配管73aの他方端は,三方弁101の流入口101aと接続されている。こうして,接続配管73aを介して,冷媒分岐部80a,二方弁104,壁面凝縮器41,三方弁101の順に配設されている。また,冷媒分岐部80aと一方端が接続されている接続配管73bの他方端は,三方弁101の流出口101bと接続されている。
三方弁101の流入口101a,流出口101b,流入流出口101cは,それぞれ接続配管73a,73b,74に接続されている。
三方弁101の流入流出口101cに一方端が接続した接続配管74の他方端は,三方弁102の流入流出口102cと接続している。三方弁102の流入流出口102c,流出口102b,流入流出口102dは,それぞれ接続配管74,75a,75bに接続されている。
冷蔵庫1は,減圧手段として,第一のキャピラリチューブ42aと第二のキャピラリチューブ42bとを備えている。第一のキャピラリチューブ42aは接続配管75aにより,また,第二のキャピラリチューブ42bは接続配管75bにより,それぞれ三方弁102と冷媒分岐部80bと接続されている。以下に記載するキャピラリチューブ42は第一・第二のキャピラリチューブ42a,42bの総称である。
ここで,第一のキャピラリチューブ42aは第二のキャピラリチューブ42bよりも絞りが大きい。
絞りの大きさは以下のように比較する。まず,減圧手段(第一・第二のキャピラリチューブ42a,42b)内の流路長さをL,減圧手段の流入部における管路の等価直径をD1,減圧手段内の管路の等価直径をD2とする。
Lが長いもの(1000mm以上)では,LをD2で除したもので絞りの大きさを表し,L/D2が大きい場合を絞りが大きいとする。また,Lが短いもの(1000mm未満)では,D1をD2で除したもので絞りの大きさを表し,D1/D2が大きい場合を絞りが大きいとする。
ここで,接続配管75aと接続配管75bの端部に接続された冷媒分岐部80bは,その他,接続配管76と接続されている。冷却器7,第一の気液分離器105a,三方弁103の流入流出口103cは,接続配管76により接続されている。つまり,接続配管76を介して,冷媒分岐部80b,冷却器7,第一の気液分離器105a,三方弁103の順に配設されている。
三方弁103は,流入流出口103c,流出口103b,流入口103aを備えており,それぞれ接続配管76,77a,77bが接続されている。
本冷凍サイクルRS1では,キャピラリチューブ42(42a,42b)内の冷媒すなわち冷却器7で吸熱する前の冷媒と冷却器7で吸熱した冷媒とで熱交換を行う熱交換部43を備えている。熱交換部43は接続配管77aにより,三方弁103および冷媒分岐部80cと接続されている。
ここで,冷媒分岐部80cには,接続配管77aと,三方弁103の流入口103aと接続されている接続配管77bと,接続配管78が接続されている。接続配管78の他方端部は,前記した如く,四方弁100の流入流出口100dに接続されている。また,四方弁100の流入流出口100bと圧縮機24の吸込口24iは,接続配管79により接続されている。
なお,本冷凍サイクルRS1では,接続配管74にドライヤ(図示せず)を備えており,ドライヤによりキャピラリチューブ42への水分の流入を防止している。また,接続配管72および接続配管76に備えられた第一の気液分離器105aおよび第二の気液分離器105bにより,液状態の冷媒の圧縮機24への流入を防止している。
以上が,実施形態1の冷蔵庫1が具備する冷凍サイクルRS1の構成である。
<壁面凝縮器41>
図5は,実施形態1に関わる冷蔵庫における壁面凝縮器の配設位置を示す図である。
冷蔵庫1の冷凍サイクルRS1を構成する壁面凝縮器41(図4参照)は,放熱パイプ41a(図5に点線で示す)と放熱パイプ41b(図5に一点鎖線で示す)を有する。
図5中に点線で示す放熱パイプ41aは,図2に示す外箱1aと内箱1bとの間の外箱1aの内面に接するように配設している。外箱1aは鋼板製であり熱伝導性が良好で,外箱1aの外面から庫外の空気に良好に放熱がなされる。
図5中に一点鎖線で示す放熱パイプ41bは,断熱箱体10の冷蔵室−冷凍室断熱仕切り壁28(図2参照),冷凍室−野菜室断熱仕切り壁29,および冷凍室間仕切り壁30の各内部前方に配設されている。
<冷蔵庫1の機械室19>
冷蔵庫1は,図2に示すように,断熱箱体10の外側で,冷蔵庫1の野菜室6の背面下部であって冷却器収納室8の下部に,機械室19を備えている。
図6は,実施形態1に関わる冷蔵庫を背面から目視した際の機械室の構成を示す模式図である。
機械室19には,左から順に圧縮機24,機械室19内の温められた空気の流れを促進する機械室ファン45,庫外凝縮器40を配設している。また,機械室19には,圧縮機24の上部であって排水管27の下部に設けた第一の蒸発皿21と,庫外凝縮器40の下部に設けた第二の蒸発皿44とを備えている。
また,機械室19は両側面に,庫外と連通する開口部46a,46bを備えており,開口部46a,46bから機械室19内に庫外の外気が,図6の白抜き矢印α1,α2のように出入りできる構造としている。
冷却運転時,高温となる圧縮機24および庫外凝縮器40は,機械室ファン45を駆動して開口部46aから,図6の白抜き矢印α1のように取り入れた外気によって冷却され,昇温した空気は開口部46bから図6の白抜き矢印α2のように外部に排出される。
第一の蒸発皿21は,冷却器7の除霜後に排水管27から滴下する水を貯溜する。また,第二の蒸発皿44には後記するヒートポンプ除霜を用いた冷却器7の除霜運転から冷却運転に切換えた後に庫外凝縮器40から滴下する水を貯溜する。第一・第二の蒸発皿21,44に貯溜した水は,機械室19内の熱により気化され,開口部46bから外気に放出される構造としている。
<冷却運転時の冷凍サイクルRS1>
次に,冷却運転時における冷凍サイクルRS1の冷媒流路について説明する。
冷却運転時には,冷凍サイクルRS1の冷媒流路は,図4の太線で示すようになる。
具体的には,四方弁100は,流入口100aと流入流出口100cとを連通するとともに流出口100bと流入流出口100dとを連通とする。三方弁101は,流入口101aと流入流出口101cとを連通とし,三方弁102は流入流出口102cと流出口102bとを連通とする。また,三方弁103は流入流出口103cと流出口103bとを連通とし,二方弁104は開状態(連通状態)としている。
圧縮機24により高温高圧となった冷媒は,接続配管71を介し,四方弁100の流入口100aに流入する。四方弁100の流入口100aは四方弁100の流入流出口100cと連通しているため,冷媒は流入流出口100cと接続している接続配管72を介して,庫外凝縮器40に流入し,庫外凝縮器40により放熱される。その後,冷媒は冷媒分岐部80aに流入する。
ここで,接続配管73bは冷媒分岐部80aと三方弁101の流出口101bとを接続しているが,三方弁101は流入口101aと流入流出口101cとを連通しており,流出口101bを閉塞しているため,冷媒は接続配管73bを通過できない。そのため,冷媒分岐部80aに流入した冷媒は接続配管73aを介し,壁面凝縮器41に流入して放熱する。その後,冷媒は三方弁101と接続配管74を介し,三方弁102に流入する。
三方弁102では流入流出口102cと流出口102bとを連通している。そのため,冷媒は接続配管75aから第一のキャピラリチューブ42aに流入する。冷媒はこの第一のキャピラリチューブ42aにより減圧される。
減圧された冷媒は冷媒分岐部80bと接続配管76を介し,冷却器7に流入し,冷却器7にて蒸発するとともに庫内の空気から吸熱する。
吸熱した冷媒は,次に三方弁103に流入する。三方弁103では流入流出口103cと流出口103bとが連通しているため,冷媒は接続配管77aを介して熱交換部43に流入する。
その後,冷媒は冷媒分岐部80c,接続配管78,四方弁100の流入流出口100d,流入流出口100b,接続配管79を介して,圧縮機24に戻る。
冷却運転時,冷凍サイクルRS1の冷媒は,このような冷媒流路を循環する。
<冷却器7の除霜運転>
冷蔵庫1では,冷却運転中に冷却器7に付着する霜を,加熱し除去する除霜運転を行う。
冷蔵庫1では,冷却器7の霜を加熱する第一の霜加熱手段としてヒートポンプ除霜と,第二の霜加熱手段として図2のヒータ22によるヒータ除霜と,第三の霜加熱手段として図2の庫内ファン9を用いるファン除霜とを備えている。
図7は,実施形態1に関わる冷蔵庫の除霜運転時の冷媒流路を太線で示す図である。
第一の霜加熱手段のヒートポンプ除霜とは,図7の圧縮機24から吐出する高温冷媒を冷却器7に流入させ,冷却器7に付着した霜を加熱する霜加熱手段である。
第二の霜加熱手段のヒータ除霜は,図2の冷却器収納室8内の電気ヒータ22を通電状態とすることで,冷却器7の霜を加熱する霜加熱手段である。
第三の霜加熱手段のファン除霜は,図2に示す冷凍室ダンパ52を閉状態とするとともに図3に示す冷蔵室ダンパ50と野菜室ダンパ51の両方または何れか一方を開状態とする。そして,庫内ファン9を駆動させることで,冷蔵室2および/または野菜室6の空気を冷却器収納室8内に送り,冷却器7の霜を加熱する霜加熱手段である。
本冷蔵庫1では,ヒートポンプ除霜,ヒータ除霜,ファン除霜から1つまたは複数を選択して冷却器7に付着した霜を加熱する除霜運転を行う。
<除霜運転のヒートポンプ除霜>
次に,ヒートポンプ除霜について詳細に説明する。
図7に示すヒートポンプ除霜を用いた除霜運転時は,四方弁100,三方弁101〜103および二方弁104を,図4の冷却運転から図7の太線に示す流路に切換え,冷媒を流す(図7の矢印参照)。
除霜運転では,四方弁100は流入口100aと流入流出口100dとを連通にするとともに流入流出口100cと流出口100bとを連通とする。三方弁101は,流出口101bと流入流出口101cとを連通とし,三方弁102は流入流出口102dと流入流出口102cとを連通とする。そして,三方弁103は流入口103aと流入流出口103cとを連通とし,二方弁104は閉状態とする。
圧縮機24により高温高圧となった冷媒は,接続配管71を介して四方弁100の流入口100aに流入する。次に,冷媒は四方弁100の流入口100aから,流入流出口100d,接続配管78を介し,冷媒分岐部80cに流入する。ここで,三方弁103は流入流出口103cと流入口103aを連通としていることにより,冷媒は接続配管77bから三方弁103に流入する。その後,冷媒は三方弁103,接続配管76を介し,冷却器7に流入する。ここで,圧縮機24で高温高圧とされた冷媒は冷却器7にて放熱し,冷却器7は加熱される。
その後,冷却器7で放熱した冷媒は冷媒分岐部80bに流入する。ここで,三方弁102は流入流出口102dと流入流出口102cとを連通としている。これにより,冷媒は接続配管75bから第二のキャピラリチューブ42bに流入する。冷媒はこの第二のキャピラリチューブ42bにより減圧される。
減圧された冷媒は三方弁102から接続配管74を介し三方弁101に流入する。三方弁101は流入流出口101cと流出口101bとを連通しているため,冷媒は接続配管73bに流入し,冷媒分岐部80aと接続配管72を介して庫外凝縮器40に流入する。ここで,庫外凝縮器40により,冷媒は吸熱し蒸発する。
その後,蒸発した冷媒は四方弁100の流入流出口100c,流出口100b,接続配管79を介し,圧縮機24に戻る。このように,ヒートポンプ除霜は圧縮機24にて高温高圧となった冷媒を冷却器7に流すことで冷却器7の霜を加熱し,除霜するものである。
<冷蔵庫1の除霜方法>
次に,実施形態1の冷蔵庫1が行う除霜方法を説明する。
図8,図9(a),(b)は,実施形態1に関わる冷蔵庫の除霜運転に関する制御を示すフローチャートである。
冷蔵庫1の電源を投入すると(図8のステップS0),まず図4に示す冷却運転(ステップS1)を行う。その後,冷却器7の除霜運転開始条件の有無の判定を行う(ステップS2)。冷却器7の除霜運転開始条件とは,前回の除霜運転終了後または冷蔵庫1の通電開始後に圧縮機24の累積回転数が300万回転となった時,或いは前回の除霜運転終了後または冷蔵庫1の通電開始後に2日間除霜なしとなった時に,除霜運転開始条件が満たされる。除霜運転開始条件が満たされない場合(ステップS2でNo),ステップS2に移行する。
除霜運転開始条件が満たされた場合(ステップS2でYes),冷却器7の除霜運転(ステップS21,S22)を開始する。本冷蔵庫1では,除霜運転として,第一除霜モード(ステップS21)と第二除霜モード(ステップS22)の二種類の除霜モードを実施する。
第一除霜モード(ステップS21)は,前記のヒートポンプ除霜(第一の霜加熱手段)単独での除霜運転,あるいは庫内ファン9(図2参照)によるファン除霜(第三の霜加熱手段)および電気ヒータ22(図2参照)によるヒータ除霜(第二の霜加熱手段)の両方またはどちらか一方と,ヒートポンプ除霜とを組み合わせた除霜運転を実施する除霜モードである。
第一除霜モード(ステップS21)について詳述する。
第一除霜モード(ステップS21)では,まずヒータ除霜を実施するか否かを判断する(図8のステップS3)。すなわち,ステップS3で,前回の除霜後に扉(2a〜6a)の扉を開放していた累積時間が10分を超えていた場合,または,電源投入後最初の除霜運転では(ステップS3でYes)ヒータ除霜を実施する(ステップS4)。
一方,前回の除霜後に扉(2a〜6a)の扉を開放していた累積時間が10分以下の場合かつ電源投入後最初の除霜運転でない場合(ステップS3でNo),電気ヒータ22に通電を行わず(ステップS4´),ステップS5に移行する。
次に,ファン除霜を実施するか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5では,ファン除霜の実施条件として,外気温度センサにより測定された外気温が10℃以上か否か判断され,10℃以上の場合(ステップS5でYes),冷蔵室ダンパ50を開,野菜室ダンパ51を開,冷凍室ダンパ52を閉とするとともに庫内ファン9を駆動し,ファン除霜を実施する(ステップS6)。
一方,外気温が10℃未満の場合(ステップS5でNo),庫内ファン9を停止のままとし,ファン除霜を実施しない(ステップS6´)。
ステップS7では,ヒートポンプ除霜を実施するため,図9(a)に示す以下の手順で図4の冷却運転の冷媒流路を図7の除霜運転の冷媒流路に切換える。
まず,二方弁104を開状態から閉状態に切換え(図9(a)のステップS101),四方弁100,三方弁101,102,103は図4の冷却運転の状態と同様とし,N分間,例えば2分間圧縮機24を駆動させる(ステップS102a,S102b)。
その後,所定時間N分間,例えば2分間が経過した場合(ステップS102bでYes),圧縮機24を停止させる(ステップS103)。
そして,三方弁102を流出口102bと流入流出口102cが連通の状態から,流入流出口102dと流入流出口102cが連通の状態(図7参照)に切換え(ステップS104),三方弁103を流出口103bと流入流出口103cとが連通の状態から,流入口103aと流入流出口103cが連通の状態(図7参照)に切換える(ステップS105)。
次に,三方弁101を流入口101aと流入流出口101cとが連通の状態から,流入流出口101cと流出口101bとが連通の状態(図7参照)に切換え(ステップS106),所定時間N分,例えば2分間その状態を保持する(ステップS107)。
その後,四方弁100を流入口100aと流入流出口100c,および流入流出口100dと流出口100bとが連通の状態から,図7に示す流入口100aと流入流出口100dとが連通するとともに流出口100bと流入流出口100cとが連通の状態に切換える(ステップS108)。そして,圧縮機24を駆動させ(ステップS109),ヒートポンプ除霜による除霜運転を実施する。
その後,図8のステップS8の第一除霜モード終了条件を満たすまで,第一除霜モードによる除霜運転を行う。第一除霜モード終了条件とは,冷却器7に取着された冷却器センサ35(図2参照)が出力する冷却器7の温度が3℃を超えた場合,第一除霜モード終了条件が満たされる。
第一除霜モード終了条件を満たす場合(図8のステップS8でYes),第二除霜モード(図8のステップS22)に移行する。
第二除霜モードは,庫内ファン9を停止状態(ステップS9)とするとともに電気ヒータ22と圧縮機24を第一除霜モードと同様の状態(ステップS10でNo)とする除霜運転,または,圧縮機24と庫内ファン9を停止状態とし電気ヒータ22を通電状態(ステップS11)とするヒータ除霜単独での除霜運転の何れかを選択して行う除霜モードである。
まず,第一除霜モードでファン除霜を実施していた場合は庫内ファン9を駆動状態から停止状態に切換える(ステップS9)。次に,第二除霜モードで行う除霜運転を判断するヒータ除霜切換え条件の判定(ステップS10)を行う。本冷蔵庫1では,前回の除霜後に扉(2a〜6a)を開放していた累積時間が15分を超えていた場合にヒータ除霜切換え条件成立として(ステップS10でYes),ヒータ除霜による除霜運転に切換える。
霜加熱手段をヒータ除霜単独とした場合(ステップS10でYes),圧縮機24は駆動状態から停止状態に切換え,第一除霜モードでヒータ除霜を実施していない場合は電気ヒータ22を非通電状態から通電状態に切換える(ステップS11)。
一方,ヒータ除霜切換え判定時(ステップS10)において,除霜間に扉(2a〜6a)を開放していた累積時間が15分未満の場合(ステップS10でNo),電気ヒータ22および圧縮機24は第一除霜モードと同様の状態を維持して除霜運転を行う。
その後,第二除霜モードによる除霜運転は除霜運転終了条件を満たすまで行われる(ステップS12)。本冷蔵庫1では,除霜運転終了条件を,冷却器7に取着された冷却器センサ35が出力する冷却器7の温度が9℃を超えた場合に除霜運転を終了するものとしている。
除霜運転終了条件が満たされた場合(ステップS12でYes),圧縮機24が駆動していた場合は圧縮機24を停止状態とし,電気ヒータ22を通電していた場合は電気ヒータ22を停止状態とし(ステップS13),除霜運転から冷却運転に冷媒流路を切換える(図8,図9(b)のステップS14)。
本冷蔵庫1における除霜運転(図7参照)から冷却運転(図4参照)への切換えは,図9(b)に示すように,以下の手順で行う。
まず,四方弁100を図7の流入口100aと流入流出口100dとが連通されるとともに流出口100bと流入流出口100cが連通された状態から,図4の流入口100aと流入流出口100cとが連通されるとともに流出口100bと流入流出口100dが連通する状態に切換える(図9(b)のステップS201)。
また,三方弁101を図7の流出口101bと流入流出口101cとが連通状態から図4の流入口101aと流入流出口101cが連通状態に切換える(ステップS202)。
そして,三方弁102を図7の流入流出口102dと流入流出口102cが連通状態から図4の流出口102bと流入流出口102cが連通状態に切換える(ステップS203)。また,三方弁103を図7の流入口103aと流入出口103cが連通状態から図4の流出口103bと流入流出口103cが連通状態に切換える(ステップS204)。
そして,圧縮機24を駆動させ(ステップS205),所定時間N分間,例えば2分間経過させ(ステップS206でYes),その後,二方弁104を閉状態から開状態に切換える(ステップS207)。
以上により,除霜運転を終了し,再び冷却運転を実施する(図8のステップS1)。
<冷蔵庫1の効果>
ここまで,本実施形態1の冷蔵庫1の構造と,除霜運転に関する制御について述べたが,次に冷蔵庫1が奏する効果について説明する。
実施形態1の冷蔵庫1は,冷却運転時の放熱部として,図5の放熱パイプ41a,41bにより,冷蔵庫本体1Hの冷蔵庫壁面を介して放熱する壁面凝縮器41と,断熱箱体10の外側にある機械室19に配された庫外凝縮器40(図6参照)とを備えている。
また,壁面凝縮器41を接続した冷媒流路を形成する接続配管73aと,壁面凝縮器41をバイパスする冷媒流路を形成する接続配管73bと,接続配管73aと73bとを切換える三方弁101と,図4の冷却運転と図7の除霜運転を切換える四方弁100を備えている。
そして,図4に示すように,圧縮機24,庫外凝縮器40,壁面凝縮器41,キャピラリチューブ42a,冷却器7,圧縮機24の順に冷媒を循環させる冷媒流路を形成して冷却運転を行う。また,図7に示すように,四方弁100と三方弁101を切換え,圧縮機24,冷却器7,キャピラリチューブ42b,庫外凝縮器40,圧縮機24の順に冷媒を循環させる冷媒流路を形成してヒートポンプ除霜による除霜運転を行う。これにより,冷蔵庫本体1Hの冷蔵庫壁面(特に,図5の符号28,30,29の前方箇所)の結露を抑えつつ,省エネルギ性能が高い冷蔵庫1を得ることができる。
<冷却運転で結露を抑えつつ高い省エネルギ性能を得られる理由>
まず,図4の冷却運転に関して,冷蔵庫1が冷蔵庫壁面(特に,図5の28,30,29の前方箇所)の結露を抑えつつ高い省エネルギ性能を得られる理由について説明する。
一般に,断熱壁によって高温空間と低温空間を隔てた場合,温度は高温空間,高温空間側断熱壁表面,低温空間側断熱壁表面,低温空間の順に低くなる。
そのため,断熱箱体10によって庫内と庫外が隔てられた冷蔵庫1では,断熱箱体10の庫外側表面すなわち図2の外箱1aの外面の温度は外気よりも低温となり,特に外気が高湿であった場合には,露点温度を下回って結露が生じることがある。
また,図2に示すように,冷蔵室−冷凍室断熱仕切り壁28,冷凍室−野菜室断熱仕切り壁29,および冷凍室間仕切り壁30は,各貯蔵室(2,3,4,5,6)に接しているため低温であり,その前方部は各貯蔵室(2,3,4,5,6)の開口縁となるので,外気に接触しやすく外気の露点温度以下となり結露しやすい。
ここで,冷蔵庫壁面の結露を抑制するためにその低温化を抑える手段として,冷蔵庫壁面近傍に電気ヒータを設け,この電気ヒータにより冷蔵庫壁面を加熱する手段が考えられる。しかし,この場合,冷蔵庫壁面を加熱するために新たにエネルギを投入する必要があり,省エネルギ性能が低下する。
そこで,実施形態1の冷蔵庫1では,冷却運転中に図4の壁面凝縮器41つまり図5の放熱パイプ41a,41bで放熱している。これにより,結露の抑制を目的として加熱のために新たなエネルギを投入することなく,外箱1aの外面および各仕切り壁前方部(図5の28,30,29の前方箇所)を加熱して結露を抑制することができる。
さらに,壁面凝縮器41を用いることで放熱性能が向上し,冷凍サイクルRS1の性能の向上も得られる。
したがって,冷却運転において,壁面凝縮器41にて放熱することで,冷蔵庫壁面の結露を抑制しつつ高い省エネルギ性能を得ることができる。
<冷却器7の除霜運転で結露を抑えつつ高い省エネルギ性能を得られる理由>
次に,除霜運転に関して,結露を抑えつつ高い省エネルギ性能を得られる理由について説明する。
電気ヒータ22を用いるヒータ除霜では,エネルギの損失なく霜を加熱できたとして,熱力学の第一法則から霜を加熱するエネルギは投入するエネルギと等しい。なお,前記した特許文献2のように電気ヒータ22の代わりにIHヒータを用いた場合も同様である。
これに対して,本実施形態1のヒートポンプ除霜で損失なく霜を加熱できた時の霜を加熱するエネルギは,圧縮機24に投入したエネルギ(冷蔵庫1の消費電力)に,庫外凝縮器40にて庫外から吸熱したエネルギを足したエネルギとなる。したがって,庫外から吸熱したエネルギがある分,実施形態1のヒートポンプ除霜の方が従来のヒータ除霜に比べて発熱効率の高い除霜といえる。
また,実施形態1におけるヒータ除霜は,電気ヒータ22によって冷却器収納空間8の空気を加熱し,この加熱された空気と冷却器7の霜で熱交換を行うことで霜を加熱する間接加熱手段である。この間接加熱手段では,冷却器収納空間8で加熱された空気は冷却器収納空間8の壁面とも熱交換する。また,この高温空気が冷凍温度帯室60に流入し,冷凍温度帯室60と熱交換することも考えられ,これらはエネルギの漏出であり,エネルギ損失となる。さらに,加熱された冷凍温度帯室60や冷却器収納空間8の壁面は除霜後に冷却する必要があるため,それらを冷却するために用いるエネルギも余分に必要となる。
これに対して,実施形態1のヒートポンプ除霜では,圧縮機24で高温になった冷媒が冷却器7に流入し,冷媒と冷却器7で直接熱交換を行い,冷却器7に付着した霜を加熱する直接加熱手段であるためエネルギの損失が少ない。
一方,壁面凝縮器41が冷蔵庫壁面と熱交換する冷蔵庫1において,四方弁100により吸熱側と放熱側を入れ替えて除霜運転を行う場合,壁面凝縮器41にて外気から吸熱して外箱1aおよび各仕切り壁(図5の28,30,29)の外表面は低温となって,結露が生じやすくなる。また,壁面凝縮器41を含む凝縮器全てをバイパスさせた冷媒流路を形成すると仮定すると,庫外からの吸熱によるエネルギを得られないため,ヒートポンプ除霜時の圧縮機24に投入するエネルギが増加し,省エネルギ性能が低下する。
そこで,実施形態1の冷蔵庫1では,壁面凝縮器41とともに庫外凝縮器40を備え,除霜運転時に,庫外凝縮器40に冷媒を流して壁面凝縮器41には冷媒を流さないようにして各仕切り壁(図5の28,30,29)の外表面の露付きを抑制し,ヒートポンプ除霜を実施している。これにより,結露を抑制しつつ,省エネルギ性能の高い除霜運転を実現している。さらに,冷却運転時に庫外凝縮器40を用いることで放熱性能が向上し,冷却運転の効率向上も得られる。
なお,本実施形態1では図8,図9(a),図9(b)に示す様な除霜を行うが,ここでヒートポンプ除霜とヒータ除霜をそれぞれ単独で行った場合の投入エネルギを比較する。例えば,実施形態1の冷蔵庫1で,圧縮機24を毎分4000回転で駆動させてヒートポンプ除霜単独での除霜運転を行うと,圧縮機24への入力は160Wであり,30分で除霜可能である。すなわち,両者を積算してエネルギに換算すると投入エネルギは288kJである。
それに対し,従来の特許文献2のやり方で,同等の冷却器7の着霜状態において,電気ヒータに入力200Wを与えてヒータ除霜単独で除霜運転を行うと45分で除霜可能であり,両者を積算してエネルギに換算すると投入エネルギは540kJとなる。つまり,実施形態1に比べ,従来の方法では,252kJ投入エネルギを多く必要とする。
以上により,本実施形態1の冷蔵庫1では,冷蔵庫壁面(特に,図5の28,30,29の前方箇所)の結露を抑制しつつ省エネルギ性能が高い冷却運転および除霜運転を行うことができる。
なお,実施形態1の冷蔵庫1では,ヒートポンプ除霜における吸熱部として冷却運転時に放熱を行う庫外凝縮器40を用いているが,図10,図11に示すように,冷媒分岐部80aと三方弁101の流入流出口101bの間,つまり接続配管73bに除霜用冷却器200を備えてもよい。
図10および図11は,それぞれ庫外凝縮器40の代わりに除霜用冷却器200を用いた場合の冷媒流路を示す図であり,図10は冷却運転時の冷媒流路であり,図11は除霜運転時の冷媒流路である。
図10の冷却運転中の冷媒は接続配管73aを介して壁面凝縮器41により放熱し,図11の除霜運転中の冷媒は接続配管73bを介して除霜用冷却器200により吸熱することで同様の効果を得られる。
また,実施形態1の冷蔵庫1では,四方弁100,三方弁101,102,103,二方弁104を用いたが,同等の流路とすることができれば,弁の種類は限定されない。図12および図13は,図4の四方弁100および三方弁101,102,103の代わりに,二方弁106a〜106d,107a,107b,108a,108b,109a,109bを用いて同等の冷媒流路を構成した場合の冷媒流路を太線で示す図であり,図12は冷却運転時,図13は除霜運転時の冷媒流路である。
図12および図13では,四方弁100の代わりに4つの二方弁106a〜106dと接続配管110,三方弁101〜103の代わりにそれぞれ2つずつの二方弁107a,107b,108a,108b,109a,109bを用いることで,冷却運転時と除霜運転時でそれぞれ同等の冷媒流路とすることができる。
具体的には,図12の冷却運転時には,図12の太線で示すように,二方弁104は開状態で,二方弁106a,106dを開,二方弁106b,106cを閉状態とし,二方弁107a,107b,108a,108b,109a,109bは,107a,108a,109aを開,107b,108b,109bを閉状態とする。これにより,実施形態1の冷蔵庫1の冷却運転時と同様の冷媒流路となる。
図13のヒートポンプ除霜運転時には,図13の太線で示すように,二方弁104は閉状態とし,二方弁106b,106cを開,106a,106dを閉状態とし,二方弁107b,108b,109bを開,二方弁107a,108a,109aを閉状態とする。これにより,実施形態1の冷蔵庫1の除霜運転時と同様の冷媒流路となる。
以上のように,二方弁106a〜106d,〜,109a,109bを備えることで,実施形態1の冷蔵庫1と同様の冷媒流路とすることができ,同様の効果を奏する。
ただし,実装性を考慮した場合,弁が多数となると弁の設置にスペースを要して食品収納容積(冷蔵庫1の容積)が低下するため,本実施形態1の冷蔵庫1のように,省スペース化に資する三方弁や四方弁を用いて少ない弁で同様の冷媒流路とすることがより好ましい。
<冷却/除霜運転時の絞りの大きい第一/小さい第二のキャピラリチューブ42a,42bの選択理由>
本実施形態1の冷蔵庫1では,図4,図7に示すように,第一・第二のキャピラリチューブ42a,42bと三方弁102を備え,三方弁102によって,図4の冷却運転時は絞りの大きい第一のキャピラリチューブ42aを,図7の除霜運転時には絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いる構成としている。これにより,除霜運転の省エネルギ性能を向上させることができる。以下,理由を説明する。
まず,冷却運転時および除霜運転時の冷凍サイクルについて説明する。
図14は,一般的な冷却運転およびヒートポンプ除霜を用いた除霜運転時の冷凍サイクルを示すモリエル(圧力‐比エンタルピ)線図である。図14(a)は第一のキャピラリチューブ42aを用いて行った冷却運転,図14(b)は第一のキャピラリチューブ42aを用いて行った除霜運転,図14(c)は第二のキャピラリチューブ42bを用いて行った除霜運転である。
図14中の1,2,3,4は,それぞれ圧縮機24入口,圧縮機24出口,キャピラリチューブ42入口,キャピラリチューブ42出口の冷媒の状態を表し,図14中の1,2,3,4の圧力をP_1,P_2,P_3,P_4,比エンタルピをh_1,h_2,h_3,h_4とする。また,図14(a),図14(b),図14(c)の状態を,それぞれA,B,Cで表し,例えばh_2Bは図14(b)中の2の比エンタルピである。
キャピラリチューブ42(42a,42b)は,吸熱側の圧力に影響を受けにくく,放熱側の圧力を制御する特徴を持っているため,P_2A(P_3A)は放熱側の空気温度に大きく依存し,P_4A(P_1A)は主にキャピラリチューブ42の絞りの大きさと冷媒循環量および冷却量のバランスで決まる。なお,絞りが大きいほど減圧されやすいことから,同冷媒循環量での圧力損失が大きくなる。そのため,P_2AとP_4Aの圧力差は大きくなる。
ここで,まず,ヒートポンプ除霜の効率について考える。
絞りの大きい第一のキャピラリチューブ42aを用いて除霜運転を行った場合,図14(b)に示すように,圧力損失が大きいことからP_2BとP_4Bの圧力差は大きくなる。この時の,圧縮機24がこの冷凍サイクルを駆動させるのに必要な投入エネルギは,冷媒循環量×(h_1B―h_2B),冷却器7の霜を加熱するエネルギは冷媒循環量×(h_3B―h_2B)となる。
ここで,霜を加熱するエネルギに対する投入エネルギの割合をCOP_Hとすると,図14(b)の冷凍サイクルでは,COP_Hは(h_3B―h_2B)/(h_1B―h_2B)となる。
これに対して,図7の絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いた図14(c)の状態は,絞りが小さいために流路の変化が小さいことからP_2CとP_4Cの圧力差が小さい。このとき,圧縮機24がこの冷凍サイクルを駆動させるのに必要な入力は冷媒循環量×(h_1C―h_2C)となり,霜を加熱するエネルギは冷媒循環量×(h_3C―h_2C)となり,COP_Hは(h_3C―h_2C)/(h_1C―h_2C)となる。
ここで,冷却器7の霜が融解中は,放熱温度はほぼ一定であるためP_2BとP_2Cはほぼ等しく,そのため(h_3B―h_2B)と(h_3C―h_2C)もほぼ等しくなる。一方で,図14(b),(c)から分るように,(P_2C―P_4C)=(P_2C―P_1C)が(P_2B―P_4B)=(P_2B―P_1B)より小さいため,P_2BとP_2Cがほぼ等しいと考えられる今回の場合は,絞りの大きい第一のキャピラリチューブ42aを用いた場合の(h_1B―h_2B)に比べ絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いた場合の(h_1C―h_2C)の方が小さい値となる。
したがって,絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いたヒートポンプ除霜の方が,絞りの大きい第一のキャピラリチューブ42aを用いたヒートポンプ除霜に比べ,霜を加熱するエネルギに対する投入エネルギの割合を表すCOP_Hは高く,同じ投入エネルギ(消費電力量)で多くの霜の加熱量を得られるため,高効率な除霜となる。
なお,除霜運転を考えた場合,放熱部である冷却器7の温度は霜の融解中は約0℃と低温であり,また吸熱側は外気温度以下であればよい。したがって,除霜運転時では,吸熱側の温度が高くなるように,極力P4を高く保つことが望まれる。
一方で,図14(a)の冷却運転を考えた場合,冷蔵庫1は庫内を所定の温度に冷やすことを目的とした装置であるため,各室の所定温度(例えば,冷凍温度帯室60では約−18℃)以下の冷気を冷却器7で生成する必要がある。そのため,冷却器7の蒸発温度を,所定の温度(例えば,約−18℃)以下とするためにはP_4Aを十分に低くする必要がある。
なお,P_4Aを低くする手段としては,圧縮機24の駆動回転数を上げる(投入エネルギを上げる)こと,冷却器7の熱交換量を少なくすること,絞りを大きくすることが考えられるが,圧縮機24の駆動回転数を上げることや熱交換量を少なくすることはそれぞれ投入エネルギの増加や冷却仕事量の低下であることから,冷却効率の低下に繋がるため,絞りを大きくすることでP_4を低くする方がより好ましい。
したがって,図4の冷却運転時には絞りの大きい第一のキャピラリチューブ42aを用いてP_2AとP_4Aの圧力差を十分確保し,図7の除霜運転時には絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いて圧力差を小さくすることで,冷却運転の省エネルギ性能を低減することなく,除霜運転の省エネルギ性能を向上させることができる。
さらに,本実施形態1の冷蔵庫1では,三方弁102の除霜運転における流入口として流入流出口102dを用いているが,流入流出口102dは流出口としても機能できるため,冷却運転時においても第二のキャピラリチューブ42bを使用することができる。これにより庫外温度が低温の場合も効率よく冷却することができる。理由を以下で説明する。
冷凍サイクルを考えた場合,図14(a)の放熱側の圧力P_2Aと吸熱側の圧力P_4Aの差が小さい方が,投入エネルギが小さくなるので冷却効率は高い。また,前記のとおり,庫内を所定の温度に冷却するため,P_4Aは一定以下,すなわち冷凍温度帯室以下の温度とする必要がある。ここで,絞りが一定の冷蔵庫で,庫外が低温となった場合,高温時に比べ,放熱側の圧力P_2Aが低くなり,吸熱側の圧力P_4Aも低くなる。
しかしながら,高温時のP_4Aで庫内を十分に冷却できるため,冷却効率を考えた場合,高温時と同等のP_4Aとすることが効率向上に繋がる。そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いて冷却運転を行うことで,P_4Aを高くすることができる。したがって,庫外が低温時の冷却効率を向上させることができる。
なお,実施形態1の冷蔵庫1では,絞りの大きさの変更手法として2つのキャピラリチューブを用いたが,キャピラリチューブの数は2つに限られるものではなく,3つ以上備えてもよい。また,複数のキャピラリチューブの代わりに,減圧手段として,膨張弁等の絞りの調整ができる減圧手段を用いても同様の効果が得られる。
<第二の蒸発皿44>
実施形態1の冷蔵庫1では,図6に示すように,庫外凝縮器40の下部に,第二の蒸発皿44が設けられている。ヒートポンプ除霜では庫外凝縮器40で吸熱が行われるため,庫外凝縮器40は低温となる。したがって,庫外凝縮器40が露点温度以下となり庫外凝縮器40に結露が生じ霜や水が滴下する場合,または,庫外凝縮器40に着霜が生じて除霜終了後に霜が融解して滴下する場合がある。
そこで,実施形態1の冷蔵庫1では,庫外凝縮器40の下方に水受け部であり貯水部でもある第二の蒸発皿44を設けている。すなわち,水受け部とは庫外凝縮器40から滴下する水を受ける部材であり,貯水部はその受けた水を気化(蒸発)するまで貯留しておく部材である。
したがって,庫外凝縮器40の下部に第二の蒸発皿44を設けることで,水が冷蔵庫1から冷蔵庫設置床面に流出することを抑制(防止)することができる。そのため,使用者の快適性を阻害することを抑制することができる。
なお,実施形態1の冷蔵庫1では第一の蒸発皿21と第二の蒸発皿44を2つの部材として分ける場合を例示したが,庫外凝縮器40の貯水部となっていれば1つの部材で構成してもよい。或いは,機械室19の底面構成部材が貯水部となっていれば,第一の蒸発皿21や第二の蒸発皿44の別部材を用いなくても同様の効果が得られる。
或いは,貯水部を別の箇所(例えば圧縮機24の下部)に設け,庫外凝縮器40の下部に,滴下した水を受けて貯水部に誘導する樋(水受け部)を設ける構成としてもよい。
<庫外凝縮器40>
また,図6,図2に示すように,庫外凝縮器40は,断熱箱体10の外部であり,かつ機械室ファン45を備えた機械室19に配置している。ヒートポンプ除霜では,吸熱は庫外凝縮器40で行われ,この庫外凝縮器40による吸熱量を増加させると,圧縮機24への投入エネルギを増加させずに,冷却器7の霜を加熱するエネルギを増加させることができるため除霜効率COP_Hの向上に繋がる。
ここで,図6に示す機械室19には圧縮機24を冷却する機械室ファン45を備えている。そのため,機械室19に庫外凝縮器40を備え,機械室ファン45を駆動させることで空気の対流を促進して庫外凝縮器40における空気側の熱伝達率を向上させ,庫外凝縮器40による吸熱量を増加させることができる。したがって,機械室19内に庫外凝縮器40と機械室ファン45とを備えることで,除霜運転の省エネルギ性能の向上を図ることができる。
また,実施形態1の冷蔵庫1における機械室19は,外気の流入口(図6の白抜き矢印α1参照)となる開口部46aと外気の流出口(図6の白抜き矢印α2参照)となる開口部46bを設けており,機械室19内には,外気の流入口である開口部46a側から順に,庫外凝縮器40と圧縮機24と開口部46bを配置している。
ヒートポンプ除霜を用いた除霜運転時において,庫外凝縮器40を通過した空気は,庫外凝縮器40で吸熱されているため外気よりも低温となる。この冷えた空気が,図6の白抜き矢印α2のように,開口部46bから排出されて外箱1aの側面1a1を流れると,外箱1aは外気よりも低温となり結露し易くなる。
一方,本実施形態1の冷蔵庫1では,庫外凝縮器40で吸熱された空気は,圧縮機24を通過して開口部46bから排出するため,圧縮機24の排熱により昇温される。
したがって,機械室19内に開口部46a,庫外凝縮器40,圧縮機24,開口部46bの順に配置することで,開口部46bから排出される空気温度は高くなり,冷蔵庫壁面の結露を抑制することができる。
<熱交換部43>
また,本冷蔵庫1では,図4に示すように,冷却器7で蒸発して低温となった冷媒とキャピラリチューブ42が熱交換する熱交換部43を備え,熱交換部43と接続されている接続配管77aと,熱交換部43をバイパスする冷媒流路を構成する接続配管77bと,接続配管77aと接続配管77bとの冷媒流路の切換えを制御する三方弁103を備えている。
そして,除霜運転時には,三方弁103を切換え,冷媒を,熱交換部43をバイパスする接続配管77bに流す構成とし,冷媒の熱が熱交換部43で消費(ロス)されるのを抑制している。
これにより,効率の高い冷却運転を行うとともに,ヒートポンプ除霜による除霜運転の効率低下を抑制することができる。理由をさらに詳細に以下で説明する。
図4の冷却運転中の冷凍サイクルRS1を考えた場合,本冷蔵庫1は,熱交換部43により,冷却器7の前後,すなわちキャピラリチューブ42と接続配管77aとで熱交換をすることで冷却効率を向上させている。また,熱交換部43を備えていない場合,機械室19内に配された接続配管78,79(図6参照)は冷却器7で気化した冷媒の蒸発時の潜熱により低温となる。そのため,接続配管78,79への結露や着霜の配慮も必要となる。これらにより,本実施形態1の冷蔵庫1では熱交換部43を備え,接続配管78,79を流れる冷媒に熱を与え,結露や着霜を抑制している。
一方で,ヒートポンプ除霜の冷媒流路として熱交換部43を用いた場合,圧縮機24から吐出した高温冷媒の熱が,冷却器7に流入する前に熱交換部43からキャピラリチューブ42に移動してしまう。そのため,冷却器7の霜を加熱するエネルギがロスされ減少する。結果として,霜の加熱を十分に行えず除霜時間が長時間となる。
ここで,除霜時間を短くするために圧縮機24を高回転速度で駆動させた場合,図14(c)のP_4Cが低下してP_4CとP_2Cの差圧が上昇して入力エネルギ(h_1C―h_2C)が増加して,除霜効率COP_H(冷却器7での加熱量に対する入力(h_1C―h_2C)の割合)の低下を招来する。
そのため,ヒートポンプ除霜時には,熱交換部43とキャピラリチューブ42で熱交換することによる霜を加熱するエネルギの減少を抑制することが望まれる。
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1は,図4,図7に示す熱交換部43を用いる冷媒流路の接続配管77aと,熱交換部43をバイパスする冷媒流路の接続配管77bと,それらを切換える三方弁103とを備えている。
これにより,図4の冷却運転時には熱交換部43を使用しての効率を高め,図7の除霜運転時には熱交換部43をバイパスさせることで,除霜運転の効率低下を抑制した省エネルギ性能が高い冷蔵庫を得られる。
<第一・第二の気液分離器105a,105b>
また,実施形態1の冷蔵庫1では,図4に示すように,冷却器7と三方弁103の流入流出口103cの間に第一の気液分離器105aを備えるとともに,庫外凝縮器40と四方弁100の流入流出口100cの間に第二の気液分離器105bを備えている。
図4の冷却運転時,庫外凝縮器40および壁面凝縮器41で放熱することで液状態となった冷媒は,冷却器7で吸熱することで気化する。ここで,圧縮機24ではガス状態の冷媒を圧縮するように設計しているが,冷却器7での熱交換が十分でなかった場合,冷媒の一部が気化できずに圧縮機24に液状態の冷媒が流入する場合がある。
一方,図7の除霜運転時においても,冷媒は冷却器7で放熱して液化し庫外凝縮器40で吸熱して気化するが,庫外凝縮器40での熱交換が十分でなかった場合には同様に冷媒の一部が液状態であることが考えられる。
そこで,実施形態1の冷蔵庫1では,冷却器7と圧縮機24と間の流路に,冷却運転時に液体の冷媒が圧縮機24に流入することを抑制する第一の気液分離器105a(図4参照)を設け,さらに,庫外凝縮器40と圧縮機24間の流路に,除霜運転時に液体の冷媒が圧縮機24に流入することを抑制する第二の気液分離器105b(図7参照)を備えている。
これにより,冷却運転においても,また,ヒートポンプ除霜運転においても,圧縮機24に液状態の冷媒が流入することを抑制することができる。
<除霜運転の作用効果・その理由等>
本実施形態1の冷蔵庫1は,ヒートポンプ除霜を可能とするとともに,電気ヒータ22を備えることで,ヒートポンプ除霜とヒータ除霜を併用した除霜運転を可能としている。除霜運転中は基本的に庫内を冷却できないため,その間,庫内の温度は上昇する。
そのため,冷却器7の着霜量が多くなり除霜時間が長時間となった場合,庫内の温度が上昇し食品の温度が過度に高くなり,食品の保存性(鮮度)が低下することが考えられる。例えば,冷凍温度帯室60が0℃を超えると,冷凍食品の解凍が発生する。
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,複数の霜加熱手段(ヒートポンプ除霜とヒータ除霜と後記のファン除霜)を備えており,冷却器7の着霜量が多い場合においては霜加熱手段を併用することで,除霜時間を短縮して食品の過度な温度上昇を防止し,食品の保存性低下を抑制している。
また,実施形態1の冷蔵庫1は,ヒートポンプ除霜を可能とするとともに,冷凍室ダンパ52(図2参照)を設けることで,ヒートポンプ除霜と後記のファン除霜を併用した除霜運転を可能としている。これにより,食品の保存性低下を抑えつつ省エネルギ性能が高い除霜運転を行うことができる。理由を以下で説明する。
ファン除霜は,冷蔵室ダンパ50(図2参照)と野菜室ダンパ51(図3参照)の両方またはどちらか一方を開状態(本実施形態1では両ダンパを開状態の場合を例示),冷凍室ダンパ52を閉状態とし,冷蔵温度帯室を冷却する際と同一の風路とし,庫内ファン9を駆動させる霜加熱手段である。
このとき,冷却器7および冷却器7に付着した霜(融解中温度:約0℃)と冷蔵温度帯室61(冷蔵室2と野菜室6との少なくとも何れか)の空気(温度:約3〜7℃)とで熱交換を行い,冷蔵温度帯室61の熱によって霜を加熱することができる。本実施形態1では,冷蔵室2と野菜室6との熱で冷却器7の霜を加熱する。
ここで,ファン除霜では,除霜のために外部から投入するエネルギは庫内ファン9の動力(消費電力1〜2W程度)のみであり,また霜を加熱するとともに冷蔵温度帯室61を霜の融解に起因する冷気で冷却することもできるため,ファン除霜は省エネルギ性能の高い霜加熱手段である。
一方,冷凍温度帯室60の冷却は行えないため,ファン除霜のみでは除霜運転が長時間となり,冷凍温度帯室60の温度が上昇し,食品の保存性が低下することが考えられる。
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,ヒートポンプ除霜とファン除霜を併用する除霜を行っている。
これにより,ファン除霜により除霜運転中も冷蔵温度帯室61を冷却器7の霜の冷熱で冷却して温度上昇を抑え,またヒートポンプ除霜とファン除霜を併用することで除霜時間を短縮して冷凍温度帯室60の温度上昇を低減している。したがって,食品の保存性低下を抑えつつ省エネルギ性能が高い除霜運転を行う冷蔵庫を得られる。
本実施形態1の冷蔵庫1は,図4に示すように,冷媒分岐部80aと壁面凝縮器41の間に二方弁104を備えている。また,図9(a)に示すように,冷却運転から除霜運転に切換える際に,二方弁104を開状態から閉状態に切換え(ステップS101),その他の切換え弁は冷却運転のままで,所定時間のN分間,例えば2分間,圧縮機24を駆動させている(ステップS102b)。これにより,ヒートポンプ除霜時に冷媒不足となって除霜効率が低下することを防ぐことができる。以下,理由を説明する。
図7に示すように,壁面凝縮器41と第一のキャピラリチューブ42aと熱交換部43とは除霜運転中に使用しない部材である。
一方,これらは,図4の冷却運転中に熱交換および減圧を行うため,比較的長い冷媒流路を備えているので冷媒が多く存在しており,特に壁面凝縮器41において,ガス冷媒に比べて密度の大きい液状態の冷媒が多く存在する。
そのため,図4に示す壁面凝縮器41内と第一のキャピラリチューブ42a内と熱交換部43内とに冷媒が残ったまま除霜運転を行うと,冷媒(熱媒体)が不足して除霜効率が低下することがある。
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,ヒートポンプ除霜による除霜運転を実施する前に,二方弁104を閉じて圧縮機24を駆動させている。これにより,壁面凝縮器41内と第一のキャピラリチューブ42a内と熱交換部43内の冷媒を,冷却運転および除霜運転の両運転で使用する庫外凝縮器40内と接続配管71内と接続配管72内とに集めることができる。したがって,本実施形態1の冷蔵庫1は,ヒートポンプ除霜時の冷媒不足を抑えることができ,ヒートポンプ除霜の効率低下を防ぐことができる。
なお,冷蔵庫1では,壁面凝縮器41内と第一のキャピラリチューブ42a内と熱交換部43内の冷媒を回収するのに十分な時間として,本制御の実施時間を2分の場合を例示したが,2分に限られるものではなく,本制御の実施時間は,壁面凝縮器41内と第一のキャピラリチューブ42a内の冷媒流路やそれらを接続する接続配管の長さ,また冷媒封入量や圧縮機24の回転速度(回転数)に応じて適宜変更すればよい。例えば,冷媒流路や接続配管が長い場合,圧縮機24の回転速度が低い場合に実施時間を長く,冷媒流路や接続配管が短い場合,圧縮機24の回転速度が高い場合に実施時間を短くするとよい。
さらに,本実施形態1の冷蔵庫1では,図9(a)に示すように,冷媒を回収した後に圧縮機24を停止(ステップS103)し,三方弁102の流入流出口102dと流入流出口102cとを連通状態に(ステップS104),三方弁103の流入口103aと流入流出口103cとを連通状態(ステップS105)に切換え,次に,三方弁101の流出口101bと流入流出口101cを連通状態(ステップS106)に切換え,所定時間N分間,例えば2分間その状態を維持する。
本実施形態1の冷蔵庫1では,前記のように,二方弁104を閉状態(図9(a)のステップS101)として所定時間N分間,例えば2分間圧縮機24を駆動させている(ステップS102a)。これにより,接続配管72は高圧となり,その他の冷媒流路は低圧となっている。
その後,圧縮機24停止状態(図9(a)のステップS103)で,三方弁102の流入流出口102dと流入流出口102cを連通状態(ステップS104),三方弁103の流入口103aと流入流出口103cとを連通状態(ステップS105)とし,三方弁101を流入流出口101cと流出口101bを連通状態(ステップS106)とする。これにより,高温高圧の冷媒は,弁で流路を閉じている冷媒流路を除くその他の低圧である冷媒流路に流入する。
したがって,動力を用いずとも,高温冷媒を冷却器7に流して霜を加熱することができ,除霜時の省エネルギ性能を向上させることができる。
なお,本実施形態1の冷蔵庫1では,接続配管72の冷媒が冷却器7に流入するのに十分な時間として,本制御の実施時間を2分の場合を例示したが,2分に限られるものではなく,本制御の実施時間は,冷媒流路の長さや冷媒封入量に応じて適宜変更すればよい。
さらに,本実施形態1の冷蔵庫1では,第一除霜モード(図8のステップS21)において,前回の除霜後に扉(2a〜6a)を開放していた累積時間を用いて,ヒータ除霜の実施の有無を判断している(図8のステップS3)。
これにより,長時間の除霜運転を防止しつつ,除霜運転の省エネルギ性能低下を最大限抑えることができる。理由を以下で説明する。
電気ヒータ22によるヒータ除霜では,冷却器7の霜を加熱するための熱エネルギを全て電気ヒータ22に投入するエネルギから生成するため,損失がないとしても霜を加熱するエネルギと等しいエネルギを電気ヒータ22に投入する必要がある。
これに対して,本実施形態1のファン除霜では,ファン動力の少ないエネルギで冷蔵温度帯室61の熱エネルギを得て,それを用いて霜を加熱することができる。また,ヒートポンプ除霜では,圧縮機24を駆動させるために投入したエネルギとともに,庫外凝縮器40より吸熱した外気の熱エネルギを用いて霜を加熱することができる。
したがって,ヒータ除霜は冷却器7の霜を加熱するための熱エネルギを全て投入するエネルギで賄うため,ファン除霜やヒートポンプ除霜に比べ省エネルギ性能の低い霜加熱手段といえ,省エネルギ性能面ではヒータ除霜を用いない方が好ましい。
一方,冷蔵庫1が食品を低温に保つことで食品の保存性を向上させていることを考えると,庫内を冷却できない除霜時間が過度に長くなってはいけない。
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,前回の除霜後に,扉(2a〜6a)を開放していた累積時間からヒータ除霜の実施の必要性を判断し,必要に応じてヒータ除霜を実施する。
扉(2a〜6a)を開放していた累積時間が長いと,外気から庫内に水分が多く流入し,冷却器7に多く着霜している可能性があると判断して,ヒートポンプ除霜とともに,ヒータ除霜も用いることで除霜時間を短くする。
一方,扉(2a〜6a)を開放していた累積時間が短い場合には,冷却器7への着霜は小量で,電気ヒータ22を用いずに短時間で除霜を完了できると判断して,ヒータ除霜を用いない除霜運転を行う。これにより,長時間の除霜運転を防止しつつ,除霜運転の省エネルギ性能の低下を最大限抑制することができる。
なお,本実施形態1における制御は,ヒータ除霜の実施の有無のみを例示しているが,扉(2a〜6a)を開放していた累積時間によって,電気ヒータ22への入力電力を変化させてもよい。或いは,扉(2a〜6a)を開放していた累積時間によって電気ヒータ22の通電時間を変化せてもよい。すなわち,扉(2a〜6a)を開放していた累積時間によって電気ヒータ22への投入エネルギを変化させてもよい。
本実施形態1の冷蔵庫1では,除霜運転開始時の外気温度センサで検出した出力値(外気温度)を用いて,第一除霜モードにおけるファン除霜の実施の有無を判断している。これにより,外気温度が高い場合において,除霜運転の省エネルギ性能を向上することができ,外気温度が低い場合においても,省エネルギ性能の低下を抑えることができる。理由を以下で説明する。
ファン除霜は,前記のように,冷蔵温度帯室61の空気と冷却器7の霜の間で熱交換することで冷却器7を加熱するため,除霜運転中も冷蔵温度帯室61の冷却を冷却器7の霜で行える。また,少ないエネルギで冷却器7を加熱できるため,省エネルギ性に優れた霜加熱手段である。
一方,例えば外気温度が10℃未満と比較的低温の場合,冷蔵温度帯室61,特に野菜室6は,冷却器7による冷却を行わない場合においても所定の温度よりも過度に低温となってしまうことがある。所定の温度よりも過度に低温となった場合,例えば青果物に低温障害が発生したり,食品が凍結して食品の性質が変わったりすることが考えられる。そのため,野菜室6が過度に低温となった場合には,食品保存性の低下を抑えるために不図示の野菜室電気ヒータに通電して庫内を加熱する必要がある。
したがって,外気温度が低い場合,ファン除霜を行って冷蔵温度帯室61を冷却すると,野菜室電気ヒータによって庫内を加熱することになるため,かえって省エネルギ性能を低下させることが考えられる。或いは,庫内を過度に冷却するため食品保存性の低下を招来する場合も考えられる。
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,外気温度センサの外気温度の測定値(出力)を用いてファン除霜の実施の有無を判断している。これにより,外気温度が高い場合においてはファン除霜を併用した省エネルギ性能の高い除霜運転を行うことができる一方,外気温度が低い場合においても野菜室電気ヒータによる加熱を抑えて省エネルギ性能の低下を抑制することができる。
なお,本実施形態1における制御では,ファン除霜実施の有無の二者択一としているが,冷蔵室2は冷却可能で野菜室6は冷却を回避したいといった場合は,冷蔵室ダンパ50を開状態で,野菜室ダンパ51を閉状態として冷蔵室2のみに送風するファン除霜を実施してもよい。或いはファン除霜の実施時間を短くしてもよい。
また,ファン除霜実施の有無は,外気温度センサの出力(外気温度)による判断に限られるものではなく,例えば冷蔵室温度センサ33の測定値(冷蔵室温度)および野菜室温度センサ33aの測定値(野菜室温度)を用いて判断することもでき,これらのセンサの出力により,冷蔵室2および野菜室6が十分に低温であると判断した場合,ファン除霜を実施しなければよい。
また,前回の除霜後からの野菜室電気ヒータの累積の通電時間によって判断してもよい。すなわち,当該累積の通電時間が多い場合には,野菜室6の温度が高めなので,ファン除霜を実施する一方,当該累積の通電時間が少ない場合には,野菜室6の温度が低めなので,ファン除霜を実施しないとよい。
実施形態1の冷蔵庫1では,ヒートポンプ除霜から冷却運転に切換える際に,二方弁104は閉のままで,他の切換え弁を切換えて(図9(b)のステップS201〜204),所定時間N分間,例えば2分間圧縮機24を駆動させる(図9(b)のステップS205,206)。これにより,通常の冷却運転では使用しない第二のキャピラリチューブ42b内の冷媒を回収し,第二のキャピラリチューブ42b内に冷媒が残留することによる冷媒不足を防ぎ,冷却効率の低下を防ぐことができる。
なお,冷蔵庫1では,第二のキャピラリチューブ42b内の冷媒を回収するのに十分な時間として,本制御の実施時間を2分の場合を例示したが,2分に限られるものではなく,本制御の実施時間は,冷媒流路の長さや冷媒封入量,圧縮機の回転速度(数)に応じて適宜変更すればよい。例えば,冷媒流路の長さが長い場合,冷媒封入量が多い場合,圧縮機の回転速度が低い場合には,当該制御の実施時間を長くする一方,冷媒流路の長さが短い場合,冷媒封入量が少ない場合,圧縮機の回転速度が高い場合には,当該制御の実施時間を短くするとよい。
本冷蔵庫1では,図8に示すように,第一除霜モード(ステップS21)を行い,第一除霜モード終了条件が満たされた場合(ステップS8でYes),常に庫内ファン9を停止状態(ステップS9)で除霜を行う第二除霜モード(ステップS22)を備えている。これにより,省エネルギ性能の高い除霜を実現する。以下,理由を説明する。
庫内ファン9駆動によるファン除霜では,冷蔵温度帯室61の空気と冷却器7とで熱交換することにより冷却器7を加熱するが,冷却器7が冷蔵温度帯室61よりも高温の状態で冷蔵温度帯室61の空気と冷却器7が熱交換すると,冷却器7が冷却され冷蔵温度帯室61が加熱されることになる。したがって,冷却器7の除霜の妨げるになるだけでなく,熱交換して冷蔵温度帯室61に与えた熱量をその後の冷却運転で冷却する必要もあるため,省エネルギ性能の低下を招来する。
一方,本実施形態1の冷蔵庫1では,冷却器7の温度が3℃を超えた場合,すなわち冷蔵温度帯室61の設定温度:約3〜7℃と同等またはそれ以上となった場合に,第一除霜モード(ステップS21)を終了とし,庫内ファン9を停止状態(図8のステップS9)として第二除霜モード(ステップS22)の除霜運転を行う。
これにより,第一除霜モード(ステップS21)でファン除霜を行っていたとしても,除霜運転中の冷蔵温度帯室61の加熱および冷却器7の冷却を抑制し,省エネルギ性能の高い除霜運転を行うことができる。
また,本冷蔵庫1における第二除霜モード(ステップS22)では,庫内ファン9を停止状態(ステップS9)とし,電気ヒータ22と圧縮機24を第一除霜モード(ステップS21)と同様の状態(ステップS10でNo)とする除霜運転,または庫内ファン9と圧縮機24を停止状態とし電気ヒータ22通電状態(ステップS9,ステップS11)とするヒータ除霜単独での除霜運転を選択して行う。これにより,霜の解け残りを防止しつつ,省エネルギ性能低下を最大限抑えた冷蔵庫1を得られる。理由を以下で説明する。
冷蔵庫本体1H(断熱箱体10)の壁面が氷点温度以下でかつ露点温度以下で着霜することを考慮すると,扉(2a〜6a)を開けて外気が庫内に流入し,庫内の水分が過度となった(増加した)場合には,低温である冷却器収納室8の壁面にも着霜することが考えられる。ここで,庫内ファン9で冷気を循環させる冷蔵庫1では,冷却運転を行うと冷却器7以外の壁面の霜は徐々に昇華していくが,長時間にわたって扉(2a〜6a)が開放されると,霜が昇華しきる前にさらに霜が増加し,徐々に霜が成長していく可能性がある。
一方,ヒートポンプ除霜は冷却器7をその内部の冷媒で直接加熱できる直接加熱手段であり,冷却器7を加熱する際のエネルギの損失が少ない除霜といえるが,冷却器7の壁面で熱を吸収することから冷却器7外部に放出できる熱は限られ冷却器7以外を加熱することは難しいといえる。また,冷却器7以外の箇所を加熱すると考えた場合,ヒートポンプ除霜とヒータ除霜を併用すると,冷却器7以外の箇所を加熱している間に,過度に冷却器7を加熱してしまう可能性があり,かえって省エネルギ性能が低下することがある
そこで,本実施形態1の冷蔵庫1では,前回の除霜後に扉(2a〜6a)を開放していた累積時間が長時間となっていた場合,冷却器収納室8の壁面で霜が成長している可能性があると判断して(図8のステップS10でYes),圧縮機24と庫内ファン9を停止状態とし電気ヒータ22通電状態とするヒータ除霜を行い,冷却器7を過度に加熱することなく冷却器収納室8を加熱して霜の解け残りを防止している。
また,前回の除霜後に扉(2a〜6a)を開放していた累積時間が短時間であった場合,庫内ファン9を停止状態とし電気ヒータ22と圧縮機24を第一除霜モードと同様の状態として除霜運転を実施する(ステップS10でNo)。これにより,外部からのエネルギの吸収がない省エネルギ性能の悪いヒータ除霜の使用を抑え,外部からのエネルギの吸収があるヒートポンプ除霜による除霜運転,またはヒートポンプとヒータを併用した除霜運転を実施し,省エネルギ性能の高い除霜運転を行う。
したがって第二除霜モードを設けることで,霜の解け残りを防止しつつ,ヒータ除霜による省エネルギ性能の低下を最大限抑制した冷蔵庫1を得られる。
<<実施形態2>>
次に,実施形態2の冷蔵庫1の冷媒流路構成に関し,図15を参照して説明する。なお,実施形態1と同一の構成要素については,同一符号を付して示し,説明を省略する。
図15,図16は,それぞれ実施形態2に関わる冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)RS2の構成を示す図であり,図15は冷却運転時の冷媒流路を太線で示し,図16は除霜運転時の冷媒流路を太線で示している。
実施形態2の冷蔵庫1では,気液分離器105cを,四方弁100の流出口100bと圧縮機24の間に配設している。これにより,低コストで冷却運転中と除霜運転中の圧縮機24への液状態の冷媒流入を防止することができる。以下,理由を説明する。
四方弁100の流出口100bから圧縮機24までの冷媒流路は,冷却運転中も除霜運転中も同方向に冷媒を流し,また常に吸熱部(冷却運転における冷却器7,ヒートポンプ除霜運転における庫外凝縮器40)と圧縮機24の間の流路となる。また,前記の実施形態1で述べたように,圧縮機24ではガス状態の冷媒を圧縮するように設計しているため,圧縮機24への液状態の冷媒流入を抑制することが望ましい。そこで,四方弁100の流出口100bと圧縮機24の間に気液分離器105cを設けることで,冷却運転と除霜運転の何れの状態においても,圧縮機24への液状態の冷媒流入を抑制することができる。
さらに,実施形態1の冷蔵庫1のように,図4に示す2つの気液分離器105a,105bを用いる必要がなく,1つの気液分離器105cで常に圧縮機24への液体状態の冷媒流入を抑制することができる。したがって,部品点数が削減され低コストで,冷却運転(図15参照)においても除霜運転(図16参照)においても圧縮機24への液状態の冷媒流入を抑制(防止)することができる。
<<実施形態3>>
次に,実施形態3の冷蔵庫1の冷媒流路構成に関し,図17,図18を参照して説明する。なお,実施形態1と同一の構成要素については,同一符号を付して示し,説明を省略する。
図17および図18は,それぞれ実施形態3に関わる冷蔵庫1の冷凍サイクル(冷媒流路)RS3の構成を示す図であり,図17は冷却運転時の冷媒流路を太線で示し,図18は除霜運転時の冷媒流路を太線で示している。
実施形態3の冷蔵庫1では,冷却運転用キャピラリチューブ42cと除霜運転用キャピラリチューブ42dと三方弁111を備え,三方弁111の流出口111bと冷却運転用キャピラリチューブ42cを接続する接続配管75aと,三方弁111の流入口111aと除霜運転用キャピラリチューブ42dを接続する接続配管75bを備える。また,冷却運転用キャピラリチューブ42cと熱交換するとともに除霜運転用キャピラリチューブ42dと熱交換しない熱交換部43を備えている。
三方弁111は,1つの流入口111aと,1つの流出口111bと,1つの流入流出口111cを備えており,流入口111aまたは流出口111bと,流入流出口111cとを連通させることができる部材である。流入口111a,流出口111b,流入流出口111cは,それぞれ接続配管75b,75a,74と接続されている。
そして,図17の冷却運転時には,三方弁102の流入流出口111cと流出口111bを連通状態として,冷却運転用キャピラリチューブ42cを使用する。
図18のヒートポンプ除霜運転では,三方弁111の流入流出口111cと流入口111aを連通状態として,除霜運転用キャピラリチューブ42dを使用するようにしている。これにより,低コストで,効率の高い冷却運転を行うとともにヒートポンプ除霜の効率も向上させることができる。理由を以下で説明する。
実施形態1で述べたように,冷却運転と除霜運転で適切な絞り量は異なる。そこで,冷却運転と除霜運転でそれぞれに適切な絞り量を備えたキャピラリチューブ42(42c,42d)を用いることで,効率の高い冷却運転を行うことができるとともに,効率の高いヒートポンプ除霜による除霜運転も行うことができる。
なお,具体的には実施形態1で述べたように,冷却運転で使用するキャピラリチューブ42cの絞りに比べ,除霜運転で使用するキャピラリチューブ42dの絞りを小さくするとよい。
また,図17の冷却運転時の冷凍サイクルRS3を考えた場合,前記のように,冷却器7の前後で冷却運転用キャピラリチューブ42cと熱交換をする熱交換部43を備えることで冷却効率が向上するが,図18のヒートポンプ除霜による除霜運転時の冷凍サイクルRS3を考えた場合,除霜運転用キャピラリチューブ42dと熱交換する熱交換部43を用いると圧縮機24から吐出した高温高圧の冷媒の熱は,冷却器7に伝わる前に熱交換部43からキャピラリチューブ42dに移り,除霜効率は低下する。
そのため,図17の冷却運転ではキャピラリチューブ42cと熱交換部43で熱交換を行い,図18のヒートポンプ除霜運転ではキャピラリチューブ42dと熱交換部43で熱交換は行わないように構成すれば,除霜運転時の効率低下を抑制しながら,冷却運転の効率を向上させることができる。
そこで,実施形態3の冷蔵庫1では,熱交換部43と熱交換を行う冷却運転用キャピラリチューブ42cと,熱交換部43とは熱交換を行わず,しかも冷却運転用キャピラリチューブ42cよりも絞りが小さい除霜運転用キャピラリチューブ42dと,それらを制御する三方弁111を備えている。
そして,図17の冷却運転時には,三方弁111の流出口111bと流入流出口111cとを連通状態として,冷却運転用キャピラリチューブ42cのみを使用する。一方,図18のヒートポンプ除霜運転時には,三方弁111の流入口111aと流入流出口111cとを連通状態として,除霜運転用キャピラリチューブ42dのみを使用する。
これらにより,本実施形態3の冷蔵庫1では,キャピラリチューブ42の絞りの大きさと,キャピラリチューブ42と熱交換部43の熱交換を行うか否かの双方の面で,冷却運転とともにヒートポンプ除霜による除霜運転も高い効率とすることができる。
さらに,実施形態1の冷蔵庫1では2つの三方弁102,103(図4参照)により制御しているのに対し,実施形態3の冷蔵庫1では三方弁111のみで,キャピラリチューブ42の絞りの大きさと,キャピラリチューブ42と熱交換部43の熱交換を行うか否かを制御できるため,実施形態1の冷蔵庫1に比べ部品点数が削減され,コストを低減できる。
また,三方弁111は,三方弁101と同様に,流入口,流出口,流入出口がそれぞれ1つずつでよいため,流入流出口を2つ備える実施形態1の三方弁102(図4参照)に比べ構造が簡素であり,低コストの三方弁を用いることも可能である。
<<実施形態4>>
次に,実施形態4の冷蔵庫1の冷凍サイクルRS4の冷媒流路の構成に関し,図19と図20を用いて説明する。なお,実施形態1と同一の構成要素については,同一符号を付して示し,説明を省略する。また,他の実施形態に共通して得られる効果も省略する。
図19および図20は,実施形態4に関わる冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)RS4の構成を示す図であり,図19は冷却運転時の冷媒流路を太線で示し,図20は除霜運転時の冷媒流路を太線で示している。
図4,図7に示した実施形態1の冷凍サイクルRS1と比べると,庫外凝縮器40,二方弁104,三方弁101,冷媒分岐部80aを設けず,四方弁100,第二の気液分離器105b,壁面凝縮器41,三方弁102が順に接続配管72’を介して接続されている。
図19の冷却運転時では,太線で示すように,四方弁100は流入口100aと流入流出口100cとを連通状態とするとともに流出口100bと流入流出口100dとを連通状態とし,三方弁102は流出口102bと流入流出口102cとを連通状態とし,三方弁103は流出口103bと流入流出口103cとを連通状態とする。
これにより,圧縮機24により高温高圧となった冷媒は,壁面凝縮器41にて放熱し,第一のキャピラリチューブ42aに流入して減圧され,冷却器7に流入して蒸発して吸熱する。そして,熱交換部43でキャピラリチューブ42aと熱交換した後に,圧縮機24に戻る。
図20のヒートポンプ除霜運転時では,太線で示すように,四方弁100は流入口100aと流入流出口100dとを連通状態とするとともに,流出口100bと流入流出口100cとを連通状態とし,三方弁102は流入流出口102dと流入流出口102cとを連通状態とし,三方弁103は流入流入口103aと流出口103cとを連通状態とする。
これにより,圧縮機24により高温高圧となった冷媒は,冷却器7にて放熱し,第二のキャピラリチューブ42bに流入して減圧され,壁面凝縮器41に流入して蒸発し吸熱した後に圧縮機24に戻る。
ここまで,実施形態4の冷蔵庫1の構成について述べたが,次に本実施形態4に関わる冷蔵庫1による効果について説明する。
実施形態4の冷蔵庫1では,第一のキャピラリチューブ42aと第二のキャピラリチューブ42bと三方弁102を備え,三方弁102によって,冷却運転時は第一のキャピラリチューブ42aを,ヒートポンプ除霜運転時には第一のキャピラリチューブ42aに比べ絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いる構成となっている。
これにより,冷蔵庫壁面の結露を抑えつつ,省エネルギ性能の高い除霜を実現することができる。理由を以下で説明する。
まず,前記のように図14(a)の冷却運転を考えると,冷却器7での冷媒の蒸発温度を所定の温度以下(冷凍温度帯室60の冷凍温度以下)とするためにはP_4Aを十分に低くする必要があり,またP_4Aを低くする際には減圧を大きくできるので絞りを大きくして対応することが望ましい。
一方,除霜運転に絞りの大きいキャピラリチューブ42を用いると,図14(b)で示すようにP_4Bが低くなり,吸熱を行う壁面凝縮器41が低温となる。そのため壁面凝縮器41と熱交換する冷蔵庫壁面も低温となり,結露し易くなる。
そこで,本実施形態4の冷蔵庫1では,図20の除霜運転時に三方弁102を切換えて絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いるようにしている。これにより,図14(b)および図14(c)に示すようにP_4Bに比べP_4Cが高くなり,蒸発温度が高くなる。したがって,冷蔵庫壁面の温度が比較的高温となって結露し難くなるため,冷蔵庫壁面の結露を抑え,かつ省エネルギ性能が高い除霜運転を実施することができる。
さらに,実施形態1の冷蔵庫1と同様に,除霜運転時に絞りの小さい第二のキャピラリチューブ42bを用いることで,絞りの大きい第一のキャピラリチューブ42aを用いた場合に比べて霜を加熱するエネルギに対する投入エネルギの割合を表すCOP_Hが高くなり,省エネルギ性能が高い除霜とすることができる。
ここで,本実施形態4の冷蔵庫1では凝縮器を壁面凝縮器41のみとしたが,実施形態1と同様に庫外凝縮器40(図4参照)を備えてもよい。また,本実施形態4の冷蔵庫1では,絞りの大きさの変更手法として2つのキャピラリチューブを用いたが,キャピラリチューブの数は2つに限られるものではなく,3つ以上備えてもよい。
なお,複数のキャピラリチューブ42a,42bに代替して,減圧手段として,膨張弁等の絞りの調整ができる減圧手段を用いても同様の効果を奏する。
<<実施形態5>>
次に,実施形態5の冷蔵庫1に関し,図21から図25を用いて説明する。なお,実施形態1と同一の構成要素については,同一符号を付して示し説明を省略する。また,他の実施形態と共通して奏する効果も省略する。
図21は,実施形態5に関わる冷蔵庫1の冷却運転時の冷凍サイクル(冷媒流路)RS5の構成を太線で示す図である。
三方弁201は,1つ流入口201aと,2つの流出口201b,201eとを備えており,流入口201aと,流出口201bまたは流出口201eとを連通させることができる部材である。流入口201a,流出口201b,流出口201eは,それぞれ接続配管91,92,93に接続されている。
また,三方弁202は,2つの流入口202a,202fと,1つの流出口202bとを備えており,流入口202aまたは流入口202fと,流出口202bとを連通させることができる部材である。流入口202a,流入口202f,流出口202bは,それぞれ接続配管92,93,94に接続されている。
圧縮機24の吐出側24oと接続している接続配管91は,他端を三方弁201の流入口201aに接続している。接続配管92は,順に三方弁201の流出口201b,壁面凝縮器41,冷却運転用キャピラリチューブ42c,冷却器7,第一の気液分離器105a,熱交換部43,三方弁202の流入口202aを接続している。接続配管93は,順に三方弁201の流出口201e,冷却器7,除霜運転用キャピラリチューブ42d,除霜運転用冷却器200,第二の気液分離器105b,三方弁202の流入口202fを接続している。接続配管94は,三方弁202の流出口202bと圧縮機24の吸込口24iを接続している。
以上が,本実施形態5の冷蔵庫1の冷凍サイクルRS5の構成であるが,次に,図21の冷却運転時における冷媒流路について説明する。
冷却運転時には,図21の太線で示すように,三方弁201は流入口201aと流出口201bとを連通状態とし,三方弁202は流入口202aと流出口202bとを連通状態とする。
圧縮機24により高温高圧となった冷媒は,接続配管91を介して三方弁201の流入口201aに流入し,流出口201bと接続配管92を介して,壁面凝縮器41に流入し,壁面凝縮器41において放熱する。次に,冷媒は冷却運転用キャピラリチューブ42cに流入して減圧され,冷却器7に流入して蒸発し吸熱される。その後,冷媒は第一の気液分離器105a,熱交換部43,三方弁202の流入口202a,流出口202b,接続配管94を介して圧縮機24に戻る。
次に,図22の除霜運転時における冷凍サイクルRS5の基本動作を説明する。図22は,実施形態5に関わる冷蔵庫1の除霜運転時の冷凍サイクル(冷媒流路)RS5の構成を太線で示す図である。
除霜運転時では,図22の太線で示すように,三方弁201は流入口201aと流出口201eを連通状態とし,三方弁202は流入口202fと流出口202bを連通状態とする。
圧縮機24により高温高圧となった冷媒は,接続配管91から三方弁201の流入口201aに流入し,流出口201eと接続配管93を介して,冷却器7に流入する。ここで,冷媒は冷却器7で放熱するため,冷却器7は加熱される。次に,冷媒は除霜運転用キャピラリチューブ42dに流入して減圧され,除霜運転用冷却器200に流入して蒸発し吸熱する。その後,冷媒は第二の気液分離器105b,三方弁202の流入口202f,流出口202b,接続配管94を介して圧縮機24に戻る。
図23は,実施形態5の冷凍サイクル(冷媒流路)RS5を実現する,実施形態5に関わる冷蔵庫1の冷却器7の構成を示す図であり,図23(a)は冷却器の正面図,図23(b)は冷却器の右側面図である。
実施形態5の冷却器7は,フィンチューブ型熱交換器であり,熱交換面積を拡大する冷却器フィン7aが複数備えられている。冷却器フィン7aは冷却器配管7b,7cと伝熱する構造となっており,冷却器配管7b,7cにはそれぞれ接続配管92,93が接続されている。冷却器7はフィン7aと冷却器配管7bとで伝熱することにより冷却器7の吸熱面積を増やし,冷却運転時における吸熱性能を高めている。
また,本実施形態5の冷却器フィン7aは冷却器配管7cとも伝熱する構造となっており,ヒートポンプ除霜時では,接続配管7cの熱を冷却器フィン7aに伝導させることで,冷却器フィン7aを加熱して除霜する。
図24,図25(a),(b)は,実施形態5に関わる冷蔵庫の除霜運転に関する制御を示すフローチャートである。なお,実施形態1の冷蔵庫1と共通の部分は省略する。
実施形態5の冷蔵庫1は,冷却運転を行い(図24のステップS1),除霜運転開始条件を満たした後(ステップS2でYes),前記の図8と同様にステップS3〜ステップS6,S6’を行い,ヒートポンプ除霜を実施するため,以下の手順で冷媒流路を切換える(図25(a)のステップS7’)。
まず,三方弁201を流入口201aと流出口201bとの連通状態から流入口201aと流出口201eとの連通状態に切換え(図25(a)のステップS101’),所定時間N分間,例えば2分間圧縮機を駆動させ(ステップS102a’,S102b’),その後三方弁202を流入口202aと流出口202bとの連通状態から流出口202bと流入口202fとの連通状態(図22参照)にし(ステップS103’),これによりヒートポンプ除霜による除霜運転を行う。
その後,前記の図8と同様に図24のステップS8〜S22を遂行し,除霜運転終了条件が満たされた後(ステップS12でYes),圧縮機24が駆動状態の場合は圧縮機24を停止状態とし,電気ヒータ22が通電状態の場合は電気ヒータ22を停止状態とする(ステップS13)。
次に,図25(b)に示すように,三方弁201,202を以下の手順で切換えて冷却運転に切換える。
三方弁201を流入口201aと流出口201eとの連通状態から流入口201aと流出口201bとの連通状態に切換え(図25(b)のステップS201’),所定時間N分間,例えば2分間圧縮機24を駆動させ(ステップS202a’,ステップS202b’),その後三方弁202を流入口202fと流出口202bとの連通状態から流入口202aと流出口202bとの連通状態とし(ステップS203’),再び冷却運転(図24のステップS1)を行う。
ここまで,実施形態5の冷蔵庫1の構造と,除霜運転に関する制御について述べたが,次に実施形態5に関わる冷蔵庫1による効果について説明する。
実施形態5の冷蔵庫1は,三方弁201および三方弁202によって冷却運転と除霜運転を切換えており,四方弁100を備えることなくヒートポンプ除霜を実現している。さらに,実施形態1に比べて少ない切換え弁で,実施形態1の冷蔵庫1と同様に,図22の除霜運転時に壁面凝縮器41と熱交換部43に冷媒を流さない構成を実現し,また,冷却運転と除霜運転で二つのキャピラリチューブ42c,42dを使い分ける構成を実現している。
また,除霜運転用冷却器200を備えることで,壁面凝縮器41で吸熱しないため冷蔵庫壁面の結露を抑制しつつ,除霜運転用冷却器200により冷媒の蒸発潜熱で外気から吸熱して霜の加熱に庫外の熱エネルギを用いることができる。
したがって,実施形態5の構成とすることで,四方弁100を用いる必要がなく,かつ実施形態1に比べて部品点数を削減できるため,低コストで,冷蔵庫壁面の結露を抑制しつつ省エネルギ性能が高い冷蔵庫1を得られる。
なお,図21,図22の三方弁201および三方弁202は流入流出口を備える必要がなく,流入口と流出口のみで構成可能であり,冷媒が三方弁内の流路を両方向に流れることへの配慮が不要であるため構造が簡素であり,実施形態1の三方弁101,102,103に比べてコストの低い三方弁を用いることも可能である。
さらに,切換え弁の数を少なくすることができるので,切換え弁を設置するスペースを抑え,占有容積が少ないスペース効率の高い冷蔵庫1を得ることもできる。
なお,本実施形態5の冷蔵庫1では凝縮器を壁面凝縮器41のみとしたが,実施形態1と同じく,三方弁201の流出口201bから第一のキャピラリチューブ42cの間に前記の庫外凝縮器40を備えてもよい。
また,実施形態5の冷蔵庫1では,図21の冷却運転から図22の除霜運転に切換える際に,三方弁201と三方弁202を同時に切換えず,三方弁201を切換えて(図25(a)のステップS101’および図25(b)のS201’),圧縮機24を所定時間N分間,例えば2分間駆動させた後(図25(a)のステップS102a’および図25(b)のS202a’),三方弁202を切換える(図25(a)のステップS103’ および図25(b)のS203’)。これにより,冷却運転および除霜運転における冷媒不足を抑制し,それぞれの運転の効率低下を抑制することができる。理由を以下で説明する。
本実施形態5の冷蔵庫1では,図21に示す壁面凝縮器41,冷却運転用キャピラリチューブ42c,冷却器7の冷却器配管7b(図23参照),第一の気液分離器105a,熱交換部43を冷却運転のみで使用する。同様に,冷却器7の冷却器配管7c(図23参照),図22に示す除霜運転用キャピラリチューブ42d,除霜運転用冷却器200,第二の気液分離器105bを除霜運転のみで使用する。
ここで,図21の冷却運転でのみ使用する壁面凝縮器41等に冷媒が残ったまま除霜運転を行うと,除霜運転を行うための冷媒が不足してしまい,また除霜運転でのみ使用する冷却器7の冷却器配管7c図23参照)等に冷媒が残ったまま冷却運転を行うと,冷却運転を行うための冷媒が不足することが考えられる。
そこで,本実施形態5の冷蔵庫1では,除霜運転実施前に,三方弁202を切換える前に,三方弁201のみを切換えて圧縮機24を駆動させることで,三方弁201の流出口201bから三方弁202の流入口202a間の冷媒を,圧縮機24−三方弁201の流出口201a−流出口201e−三方弁202の流入口202f間に移すことができる。
また,同じく冷却運転実施前に,三方弁202を切換える前に,三方弁201のみを切換えて圧縮機24を駆動させることで,三方弁201の流出口201eから三方弁202の流入口202f間の冷媒を,圧縮機24−三方弁201の流出口201a−流出口201b−三方弁202の流入口202a間に移すことができる。したがって,冷却運転時,除霜運転時に冷媒不足を防ぎ,冷媒(熱媒体)不足による効率の低下を抑制できる。
なお,実施形態5の冷蔵庫1では,冷媒を移すのに十分な時間として,三方弁201と三方弁202の切換え時間間隔を2分の場合を例示したが,2分に限られるものではなく,三方弁201と三方弁202の切換え時間間隔は,それぞれで用いる冷媒流路の長さや,冷媒封入量に応じて適宜変更すればよい。例えば,冷媒流路の長さが長く,冷媒封入量が多い場合には,三方弁201と三方弁202の切換え時間間隔を長めに,冷媒流路の長さが短く,冷媒封入量が少ない場合には,三方弁201と三方弁202の切換え時間間隔を短めにするとよい。
<<その他の実施形態>>
なお,本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。例えば,前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり,必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また,ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり,また,ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また,各実施形態の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また,説明した実施形態では,除霜運転として少なくとも一部は必ずヒートポンプ除霜を用いる制御としているが,これに限定されるものではない。例えば運転音を抑制する運転モードを備え,当該運転音抑制の運転モードとした時には圧縮機24の駆動による騒音を抑制するためヒートポンプ除霜を用いずヒータ除霜やファン除霜のみを用いた除霜運転を行ってもよい。
なお,前記実施形態においては,冷凍温度帯室と冷蔵温度帯室とを具備する冷蔵庫を例示して説明したが,冷蔵温度帯室から成る冷蔵庫にも適用可能であり,さらにファン除霜を除き冷凍温度帯室から成る冷凍庫にも本発明は幅広く適用可能である。