JP5913894B2 - ブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ制御装置等に関する。
鉄道車両では、特に雨天時や急ブレーキ時などにおいて、ブレーキ動作中に車両の走行速度よりも車軸の回転速度が低下する「滑走」が生じ得る。滑走が発生した場合には、ブレーキ力を低下させて(緩めて)保持し、再粘着させた後、ブレーキ力を増加(復帰)させるブレーキ制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。ブレーキ力の低下制御は、車輪及びレールの摩耗防止の役割がある一方で、停止距離が延伸する問題がある。そのため、ブレーキ距離の延伸を可能な限り抑えることが求められている。
特開2007−210396号公報
ところで、従来のブレーキ制御には、接線力係数とすべり率との関係(すべり率が約0.2%程度以下の微少すべり領域では接線力係数とすべり率とがほぼ比例して増加し、この値を超えてすべり率が大きくなると接線力係数が低下する傾向)に基づいて車輪滑走時のすべり率を制御指標とし、すべり率が目標範囲内となるように制御するものが多い。しかしながら、すべり率と接線力係数との関係は、例えば路面状況によって変動するため、一意には定まらない。また、すべり率を目標範囲内に制御してもそのときの接線力係数が不明であるため、必ずしも高い接線力係数を利用しているとは限らず、ブレーキ距離の低減効果を最大化できないという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブレーキ距離の延伸を抑制する新たなブレーキ制御を提案することである。
上記課題を解決するための第1の形態は、
滑走が発生した場合にブレーキ力を低減させてブレーキ力を保持した後、ブレーキ力を増加させる制御を行うブレーキ制御装置(例えば、図1のブレーキ制御装置10)であって、
減速度を計測する減速度計測手段(例えば、図1の速度・加速度検出部11)と、
前記ブレーキ力の保持時の減速度の所与の見込み値と、前記減速度計測手段により計測された減速度との関係に基づき定められたブレーキ力の増加制御を開始する条件を満たしたか否かを判定する判定手段(例えば、図1の給排気制御部15)と、
を備え、前記ブレーキ力の保持の後、前記判定手段の肯定判定に応じて前記ブレーキ力の増加制御を行うブレーキ制御装置である。
また、他の形態として、
滑走が発生した場合にブレーキ力を低減させてブレーキ力を保持した後、ブレーキ力を増加させる制御を行うブレーキ制御方法(例えば、図3のブレーキ制御処理)であって、
減速度を計測する減速度計測ステップと、
前記ブレーキ力の保持時の減速度の所与の見込み値と、前記計測された減速度との関係に基づき定められたブレーキ力の増加制御を開始する条件を満たしたか否かを判定する判定ステップ(例えば、図3のステップS9)と、
を含み、前記ブレーキ力の保持の後、前記判定ステップでの肯定判定に応じて前記ブレーキ力の増加制御を行う(例えば、図3のステップS13)ブレーキ制御方法を構成しても良い。
この第1の形態等によれば、滑走が発生した場合に、ブレーキ力を低減させてブレーキ力を保持した後、ある条件を満たした場合に、ブレーキ力の増加制御が行われる。ブレーキ力の増加制御を開始する条件は、ブレーキ力の保持時の減速度の所与の見込み値と、計測された減速度との関係に基づき定められる。例えば、計測された減速度が見込み値以下であれば、想定以上の減速度が得られている、すなわちある程度の接線力係数(或いは粘着力)が得られているといえるため、このことを条件としてブレーキ力の増加制御を開始しても良い。
第2の形態として、第1の形態のブレーキ制御装置であって、
所与のブレーキ指令に基づく減速度の目標値と、当該ブレーキ指令に基づくブレーキ力相当値の目標値と、現在のブレーキ力相当値とを用いて前記見込み値を算出する見込み値算出手段(例えば、図1の粘着評価値算出部14)を更に備えたブレーキ制御装置を構成しても良い。
この第2の形態によれば、ブレーキ力の保持時の減速度の見込み値は、所与のブレーキ指令に基づく減速度の目標値と、当該ブレーキ指令に基づくブレーキ力相当値の目標値と、現在のブレーキ力相当値とを用いて算出される。ここで、ブレーキ力相当値とは、ブレーキ力そのものの値の他、ブレーキ力と相関関係がある値も含む意味である。ブレーキ指令と減速度の目標値、ブレーキ指令とブレーキ力相当値の目標値とは互いに関連している。一方、実際のブレーキ力相当値は、ブレーキを開始して直ぐに目標値に達するとは限らず、また一定とも限らない。そこで、減速度の目標値と、ブレーキ力相当値の目標値と、現在のブレーキ力相当値とを用いて、減速度の見込み値を算出するのである。
また、第3の形態として、第1又は第2の形態のブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキ力相当値は、ブレーキシリンダ圧力、当該ブレーキシリンダ圧力の制御情報等のブレーキ力を示す値でなる、
ブレーキ制御装置を構成しても良い。
この第3の形態によれば、ブレーキ力相当値は、ブレーキシリンダ圧力、当該ブレーキシリンダ圧力の制御情報等のブレーキ力を示す値でなる。
また、第4の形態として、第1〜第3の何れかの形態のブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキ力の保持の後、所与の再粘着検知条件を満たした場合にブレーキ力を復帰させるブレーキ力復帰制御手段(例えば、図1の給排気制御部15)と、
前記ブレーキ力の保持の後、前記判定手段により肯定判定された場合に、前記ブレーキ力復帰制御手段によるブレーキ力の復帰制御よりも緩やかにブレーキ力を増加させる増加制御手段(例えば、図1の給排気制御部15)と、
を更に備えたブレーキ制御装置を構成しても良い。
この第4の形態によれば、ブレーキ力の保持の後、所与の再粘着検知条件を満たした場合にもブレーキ力を復帰させるが、ブレーキ力の増加制御を開始する条件を満たした場合に行われるブレーキ力の増加制御は、この再粘着検知条件を満たした場合に行われるブレーキ力の復帰制御よりも緩やかにブレーキ力が増加される。再粘着が検知されていない状態でブレーキ力を増加させるため、ブレーキ力を緩やかに増加させるのである。
本実施形態のブレーキ制御装置の構成図。 目標設定値テーブルのデータ構成例。 滑走制御のフローチャート。 実験結果の一例。 図4のグラフの一部拡大図。 従来の滑走制御による実験結果の一例。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[構成]
図1は、本実施形態におけるブレーキ制御装置10の構成図である。ブレーキ制御装置10は、ブレーキ指令に従っていわゆる機械ブレーキを制御する制御装置であり、速度・加速度検出部11と、滑走検知部12と、再粘着検知部13と、粘着評価値算出部14と、給排気制御部15とを有し、ブレーキ動作中に車輪の滑走を検知すると、ブレーキを緩めて滑走を抑制する滑走制御を行う。
速度・加速度検出部11は、例えば車軸22付近に取り付けられた速度発電機23等の速度センサによる検出信号をもとに、車軸22(すなわち車輪)の回転速度V及び回転加速度αを検出する。
滑走検知部12は、ブレーキ動作中に、速度・加速度検出部11によって検出された車軸の速度V及び加速度αや、運転台或いは他軸の制御装置から取得される列車の走行速度をもとに、滑走検知条件を満たすか否かによって、車軸22に滑走が発生したか否かを検知する。滑走検知条件は、(1)車軸速度Vと走行速度との速度差ΔVが速度差閾値(例えば、20km/h)以上、(2)すべり率がすべり率閾値(例えば、20%)以上、(3)固着余裕時間が固着余裕時間閾値(例えば、0.2s)未満等の条件で定められ、例えばこれらの(1)〜(3)の何れかを満たす場合に、滑走検知条件を満たすと判断する。ここで、すべり率は、「車軸速度Vの低下分/車両の走行速度」であり、固着余裕時間は、「車軸22の速度V/減速度β」である。
再粘着検知部13は、速度・加速度検出部11によって検出された車軸の速度V、及び、列車の走行速度をもとに、再粘着検知条件を満たすか否かによって、滑走が発生した車軸が再粘着したか否かを検知する。ここで、再粘着検知条件は、「車軸速度と車両速度との速度差が速度差閾値(例えば、3km/h)を下回る」ことである。
給排気制御部15は、機械ブレーキであるブレーキ装置30の電磁弁32をON/OFF(開閉)することで、空気タンク31からブレーキシリンダ33への空気圧力の供給(給気)や、ブレーキシリンダ33内の空気圧力の排出(排気)を制御する。電磁弁32には、ブレーキシリンダ33への空気圧力の供給/抑止に係る抑止電磁弁と、ブレーキシリンダ33内の空気圧力の吐出に係る吐出電磁弁とがある。
給排気制御部15による具体的な制御内容を説明すると、運転台等の外部から入力される「ブレーキ指令」によってブレーキの作動を指示されると、給気制御を開始する。すなわち、ブレーキ力を増加させる。次いで、滑走検知部12によって滑走が検知されると、給気を停止させるとともに、排気制御を開始する。すなわち、ブレーキ力を低下させる。続いて、保ち検知条件が満たされると、排気制御を停止させて、ブレーキシリンダ33内の空気圧力(BC圧)を一定に保つ。すなわち、ブレーキ力を保持する。
その後、再給気開始条件が満たされる、或いは、再粘着検知部13によって再粘着が検知されると、給気制御を再開し、ブレーキ力を増加させる。
この給気制御は、抑止電磁弁のON/OFF制御であるが、抑止電磁弁を連続的にOFF(閉)にするのか、断続的にON/OFFするのか、連続的にOFF(開)する場合のOFF時間、断続的にON/OFFする場合のON時間或いはデューティ比は、ブレーキ指令や滑走制御の制御段階に応じて異なる。すなわち、ブレーキ開始時は、非常ブレーキや常用ブレーキのいわゆる段数に応じて定められたOFF時間で抑止電磁弁を連続的にOFFにする。ブレーキの段階が定められているともいえる。
一方、滑走が検知された後、再粘着が検知された場合には、滑走検知により排気された空気圧力分の空気圧力を供給すべく、抑止電磁弁を連続的にOFFにするか、或いは、断続的にON/OFF制御することで、ブレーキ力の早期の復帰を図る。
他方、滑走が検知された後、再粘着の検知までには至らないが再給気開始条件が満たされている場合には、断続的に抑止電磁弁をON/OFF制御することで、ブレーキ力を徐々に増加させる。このときは、再粘着が検知されているわけではないので、滑走の再発生を防止するために、再粘着が検知された場合のブレーキ力の増加速度或いは増加の程度よりも緩やかにブレーキ力を増加させるように抑止電磁弁を制御する。
排気制御も吐出電磁弁のON/OFF制御であり、ブレーキ指令に応じてブレーキを緩解する際、及び、滑走が検知されてブレーキ力を低減させる際に、吐出電磁弁をON/OFFする。但し、吐出電磁弁の1回のON期間は予め定められているため、排気制御は、吐出電磁弁のON/OFFを何回行うかの制御となる。従って、排気制御は、段階的(すなわち、回数による段階的)に行っているといえる。
上述の滑走制御中の「保ち検知条件」とは、「車軸22の減速度βが減速度閾値(例えば、2km/h/s)を下回る或いは以下となること」である。また、「再給気開始条件」とは、「粘着評価値算出部14によって算出された粘着評価値Vadhが、粘着評価値閾値(例えば、100%)」を超える或いは以上となること」である。
また、ブレーキ制御装置10に入力される「ブレーキ指令」は、機械ブレーキであるブレーキ装置30に対して外部から与えられる指令であり、例えば、運転台からのブレーキ指令から電気ブレーキに対する指令分を除いたものとなる。
粘着評価値算出部14は、速度・加速度検出部11によって検出された車軸減速度β、及び、ブレーキシリンダ33内の空気圧力(BC圧)Pをもとに、粘着力(接線力係数)に相当する「粘着評価値Vadh」を算出する。粘着評価値Vadhは、次式(1)で与えられる。
Figure 0005913894
式(1)において、「Pm」はBC圧の実測値、「Pt」はBC圧の目標値、「βm」は減速度の実測値、「βt」は減速度の目標値、である。
減速度の実測値βmは、速度・加速度検出部11によって検出された加速度αの符号を反転させた値となる。BC圧の実測値Ptは、不図示の圧力センサによって検出された値であったり、或いは、給排気制御部15による給気/排気制御が段階的に行われる場合には、その給気/排気の段階から推定された値となる。給気/排気の段階とは、例えば、給気制御においては抑止電磁弁の連続的なOFF時間であり、排気制御においては吐出電磁弁のON回数である。
減速度の目標値βtは、動作中のブレーキによって得たい減速度である。BC圧の目標値Ptは、減速度の目標値βtを得るために必要なブレーキ力に相当するBC圧である。つまり、減速度の目標値βtによってBC圧の目標値Ptが決まる。
本実施形態では、減速度の目標値β及びBC圧の目標値Ptは、ブレーキ指令に応じて決まり、具体的な値は目標値設定テーブル110にて定められる。図2は、目標値設定テーブル110のデータ構成の一例を示す図である。図2に示すように、目標値設定テーブル110は、ブレーキ指令の種類111毎に、減速度βの目標値112と、BC圧の目標値113とを対応付けて格納している。図2では、常用ブレーキを段数とし、各段に対応する減速度βの目標値112及びBC圧の目標値113を定めた例を示しているが、常用ブレーキを段数ではなくアナログ的な数値とし、この数値を変数とする所定の関数によって減速度βの目標値112及びBC圧の目標値113が定めることとしても良いのは勿論である。
式(1)において、分子のうちの「βt・(Pm/Pt)」の項は、BC圧の実測値Pmから見込まれる減速度β(減速度βの見込み値)となる。そして、この減速度βの見込み値と減速度の実測値βmとの差から、現在の粘着力が、再粘着に必要な粘着力に達しているかを評価することができる。また、式(1)で与えられる粘着評価値Vadhは、分母の減速度の実測値βによって正規化された値となっている。
この「粘着評価値Vadh」の導出原理について説明する。先ず、ブレーキ時における編成車両のi番目の車軸22についての運動方程式が、次式(2)で与えられる。
Figure 0005913894
式(2)において、「ωi」は角速度[rad/s]、「Ri」は車輪半径[m]、「Ji」は慣性モーメント[kg・m]、「M」は車両質量[kg]、「Fr」は車体抵抗[N]、「Fbi」は制輪子摩擦力[N]、「Fmi」は粘着力[N]、である。この式(2)は、非特許文献「野中俊昭、大山忠夫、遠藤靖典、吉川広「編成としての鉄道車両における滑走防止制御」、日本機械学会論文集(C編)、71巻705号、p.192−198」における式(16)である。
この式(2)から、粘着力Fmiが次式(3)で表される。
Figure 0005913894
但し、式(3)において、αi、ki、Φiは、それぞれ、次式(4a)〜(4c)で与えられる。
Figure 0005913894
式(3)によれば、ブレーキ中においては、αi、ki、φiの何れも定数とみなせるので、粘着力Fmiは、ブレーキ力Fbi及び減速度dω/dtによって決まるといえる。
これにより、粘着力Fmiに相当する粘着力相当値Flを、次式(5)のように定義することができる。
Figure 0005913894
式(5)において、「B」は、ブレーキ力Fbi或いはブレーキ力Fbiに相関して比例する量(ブレーキ力相当値)を用いることができる。例えばBC圧を用いることができる。また、「γ」は、式(3)における「αi」に相当する定数である。
つまり、「ブレーキ力相当値P」と「減速度dω/dt」との大小関係から、「粘着力相当値Fl」を定義することができる。このことから、式(1)に示したように、ブレーキ力相当値Bの一例であるBC圧の実測値Pmと減速度の実測値βmとの差によって、粘着力評価値Vadhを定義することができる。
[処理の流れ]
図3は、滑走制御の流れを説明するフローチャートであり、ブレーキ制御装置10がブレーキ動作中に実行する制御である。図3によれば、滑走検知部12によって、滑走の発生が検知されたならば(ステップS1:YES)、給排気制御部15が、ブレーキシリンダ33の排気を開始させる(ステップS3)。
次いで、給排気制御部15は、保ち検知条件が満たされたならば(ステップS5:YES)、ブレーキシリンダ33の排気を停止させてBC圧を一定に保つ(ステップS7)。その後、再粘着検知条件を満たしたならば(ステップS9:YES)、ブレーキ力を復帰させるための給気制御を行う(ステップS11)。一方、再粘着検知条件を満たさないが(ステップS9:NO)、再給気開始条件を満たした場合には(ステップS13:YES)、ステップ11における復帰のための給気制御よりも緩やかに、ブレーキ力を徐々に増加させるための給気制御を行う(ステップS15)。その後は、ステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す。
[実験結果]
図4は、本実施形態の滑走制御による実験結果の一例を示す図である。また、図5は、図4における期間Tの期間の拡大図である。この実験は、所定速度で回転させた軌条輪に押し当てられて従動する車輪を、車輪と同軸に設けられた車両の機械ブレーキで制動制御する粘着試験ユニットで行った実験結果であり、軌条輪と車輪間に多量の雨を模擬した散水を行って滑走を発生させた実験である。
図4,図5では、横軸を時刻tとして、上から順に、ブレーキシリンダ33への給排気指令(電磁弁32のON/OFF指令)、ブレーキ指令、車両の走行速度(=軌条輪速度)、車輪速度V、粘着評価値Vadh、BC圧を示している。
先ず、時刻t1において、ブレーキ指令がONとなると、給気が開始されてBC圧が増加していく。すなわち、ブレーキ力が増加していく。このブレーキ力の増加に伴って、車輪速度及び走行速度がともに低下する。
次いで、時刻t2において、車輪速度が、走行速度より所定の「速度差閾値(例えば、20km/h)」低い「閾値速度」以下となり、「滑走検知条件」が満たされて「滑走」の発生が検知される。すると、排気制御が開始される。排気制御は、上述のように、吐出電磁弁の断続的なON/OFF制御である。この排気制御に伴ってBC圧が低下する。すなわち、ブレーキ力が低下する。ブレーキ力が低下すると、車輪減速度が低下し、車輪速度が低下から増加に転じる。また、BC圧の低下に伴って、減速度βの見込み値(式(1)の分子の第1項)が減少するため、粘着評価値Vadhは増加することなる。
そして、時刻t3において、再粘着検知条件を満たしていないが、粘着評価値が「100%」を超えて再給気開始条件が満たされたため、緩やかな漸増による給気制御が行われる。以降は、車輪速度と走行速度との速度差が速度差閾値(例えば、20km/h)未満を保ち、滑走検知条件を満たさない状態が継続される。最後に、時刻t5において、走行速度が所定速度となってブレーキ指令が解除(OFF)される。注目すべき点は、この時刻t3から時刻t5の間、滑走検知条件を満たさないまでも、車輪速度が走行速度未満であった“小さな”滑走の状態であり、その間も充分な粘着力(接線力係数)が得られていたと推察される点である。
また、図6は、本実施形態の滑走制御との比較のため、従来の滑走制御(粘着評価値を用いない制御方法)による実験の一例を示す図である。
図6では、図4,図5と同様に、横軸を時刻tとして、上から順に、ブレーキシリンダ33への給排気指令(電磁弁32のON/OFF指令)、ブレーキ指令、車両の走行速度(=軌条輪速度)、車輪速度、BC圧を示している。
図6によれば、従来の滑走制御では、先ず、時刻t11において、ブレーキ指令がONとなると、給気制御が開始されてBC圧が増加していく。すなわち、ブレーキ力が増加して、車輪速度及び走行速度が低下する。
次いで、時刻t12において、車輪速度が、走行速度より所定の速度差閾値低い「閾値速度」以下となって滑走検知条件を満たし、排気制御が開始されている。その結果、ブレーキ力が低下し、車輪の減速度が減少する。
そして、時刻t13において、車輪の減速度が減速度閾値(例えば、2km/h/s)未満となって保ち検知条件を満たし、排気が停止されて現在のBC圧が保持される。その結果、車輪速度が低下から増加に転じて、走行速度と車輪速度との速度差が小さくなる。そして、時刻t14において、走行速度と車輪速度との速度差が速度差閾値(例えば、3km/h)未満となって再粘着条件を満たすと、給気が再開されてブレーキ力が増加する。その後、走行速度と車輪速度との速度差が再度大きくなり、時刻t15において、再度滑走検知条件を満たして排気が開始される。
このように、時刻t20において、走行速度が所定速度となって停止したと判定されるまで、「滑走検知〜排気〜再粘着検知〜給気(復帰)」という一連の状況が繰り返された。
図4,図5に示した本実施形態の滑走制御と、図6に示した従来の滑走制御とを比較すると、次の点がわかる。先ず、本実施形態の滑走制御は、従来の滑走制御に比較して、滑走が検知された後、給気が再開されるタイミングが早い。これは、本実施形態の滑走制御では、粘着評価値Vadhに基づく再給気開始条件を満たしたことで給気が再開され、従来の滑走制御では、走行速度と車輪速度との速度差に基づく再粘着検知条件を満たしたことで給気が再開されているからである。
また、「滑走検知〜排気〜再粘着検知〜給気(復帰)」という一連の状況は、本実施形態の滑走制御では1回のみであるが、従来の滑走制御では複数回(図6では、4回)繰り返されている。これは、本実施形態の滑走制御では、粘着評価値Vadhをもとに、再粘着に充分な粘着力が得られていると推定できた時点で給気を再開していると推測することができる。
また、上述の各実験において、同一条件(同一の初速度V0に対して、同一のブレーキ力を与えた場合)での停止距離(ブレーキ指令をONとしてから停止するまでの走行距離)は、本実施形態の滑走制御では「435.4m」であったのに対して、従来の滑走制御では「535.3m」となり、停止距離が約19%短くなった。
[作用・効果]
本実施形態のブレーキ制御では、滑走制御において、ブレーキ力を低下させた後、再粘着検知前においても、粘着評価値が再給気開始条件を満たした場合には、ブレーキ力を増加させる。粘着評価値によって再粘着に充分な粘着力(接線力係数)が得られているとみなせるタイミングでブレーキ力を増加させることで、小さな滑走が起こっていたとしても効果的なブレーキ力を発揮することが可能となり、ブレーキ距離の延伸を抑制することができる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
例えば、再給気開始条件の値着評価値閾値を「100%」としたが、これに限らない。例えば、再給気開始条件の1回目の判定と、2回目以降の判定とで異なる閾値を設定しても良いし、走行速度に応じて変更することとしても良い。
10 ブレーキ制御装置
11 速度・加速度検出部、12 滑走検知部、13 再粘着検知部
14 粘着評価値算出部、15 給排気制御部
21 車輪、22 車軸、23 速度発電機
30 ブレーキ装置
31 空気タンク、32 電磁弁
33 ブレーキシリンダ、34 ディスクブレーキ

Claims (4)

  1. レール上を走行する鉄道車両においてブレーキ動作中に滑走が発生した場合にブレーキ力を低減させてブレーキ力を保持した後、再粘着したことを検知する条件である所与の再粘着検知条件を満たした場合にブレーキ力を復帰させる制御を行う前記鉄道車両のブレーキ制御装置であって、
    車軸の減速度を計測する減速度計測手段と、
    前記保持時の前記減速度の見込み値と、前記減速度計測手段により計測された減速度とに基づき、再粘着させることができる粘着力に達したと見込まれる条件である再給気開始条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
    前記再粘着検知条件を満たさない状態で前記判定手段により前記再給気開始条件を満たすと判定れた場合に、前記再粘着検知条件を満たしたことによる前記ブレーキ力の復帰制御よりも緩やかに前記ブレーキ力を増加させる増加制御手段と、
    を備えたブレーキ制御装置。
  2. 所与のブレーキ指令に基づく前記減速度の目標値と、当該ブレーキ指令に基づくブレーキ力相当値の目標値と、現在のブレーキ力相当値とを用いて前記見込み値を算出する見込み値算出手段を更に備えた請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記ブレーキ力相当値は、ブレーキシリンダ圧力、当該ブレーキシリンダ圧力の制御情報等のブレーキ力を示す値でなる、
    請求項2に記載のブレーキ制御装置。
  4. レール上を走行する鉄道車両においてブレーキ動作中に滑走が発生した場合にブレーキ力を低減させてブレーキ力を保持した後、再粘着したことを検知する条件である所与の再粘着検知条件を満たした場合にブレーキ力を復帰させる制御を行う前記鉄道車両の制御装置が実行するブレーキ制御方法であって、
    車軸の減速度を計測する減速度計測ステップと、
    前記保持時の前記減速度の見込み値と、前記計測された減速度とに基づき、再粘着させることができる粘着力に達したと見込まれる条件である再給気開始条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
    前記再粘着検知条件を満たさない状態で前記判定ステップで前記再給気開始条件を満たすと判定された場合に、前記再粘着検知条件を満たしたことによる前記ブレーキ力の復帰制御よりも緩やかに前記ブレーキ力を増加させる増加制御ステップと、
    を含むブレーキ制御方法。
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