JP5913877B2 - 基板の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は基板の処理方法に関するものであり、詳細には、基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程を包含する基板の処理方法に関するものである。
近年、ICカード、携帯電話などの電子機器の薄型化、小型化、軽量化などが要求されている。これらの要求を満たすためには、組み込まれる半導体チップについても薄型の半導体チップを使用しなければならない。このため、半導体チップの基となる半導体ウェハの厚さ(膜厚)は現状では125μm〜150μmであるが、次世代のチップ用には25μm〜50μmにしなければならないといわれている。したがって、上記の膜厚の半導体ウェハを得るためには、半導体ウェハの薄板化工程が必要不可欠である。半導体ウェハの薄板化工程は、例えば、以下のように行なわれる(特許文献1参照)。
まず、半導体ウェハの回路形成面を覆うように、半導体ウェハを保護するためのサポートプレートを、両面に接着層を有するテープまたは接着剤を介して貼り付ける。次に、これを反転して、半導体ウェハの裏面をクラインダーによって研削して薄板化する。続いて、薄板化した半導体ウェハの裏面を、ダイシングフレームに保持されているダイシングテープ上に固定する。さらに、この状態で半導体ウェハの回路形成面を覆うサポートプレートを剥離した後、ダイシング装置によって各チップに分割する。
なお、上記のように薄板化工程を行った場合、サポートプレートを剥離したあと、半導体ウェハの回路形成面に、接着剤等が残存してしまう。そのため、付着している接着剤等を除去して、半導体ウェハの回路形成面を清浄な面にしなければならない。つまり、半導体ウェハの回路形成面を覆うサポートプレートを剥離した後、ダイシング装置によって各チップに分割する前に、半導体ウェハの表面に対して洗浄処理をすることが必要である。洗浄処理は、例えば、半導体ウェハの回路形成面上に存在する接着剤を溶剤に溶解させて除去することにより行う。
特開2006−135272号公報(2006年5月25日公開)
ここで、本発明者らの知見によれば、十分に目の細かいフィルターを用いて濾過した接着剤を用いなかった場合、洗浄処理後、半導体ウェハの回路形成面上に、接着剤中のフィラーなどに由来する溶解残渣物が残存することがある(図3の丸囲み内を参照のこと)。しかしながら、コストおよび生産量の観点からは、接着剤の濾過には目の粗いフィルターを用いることが好ましい。それゆえ、接着剤の濾過とは異なる手法により、基板上に溶解残渣物が残存することを抑制する技術が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去するときに、接着剤の濾過とは異なる手法により、基板上に溶解残渣物が残存することを抑制する技術を提供することを主たる目的とする。
本発明に係る基板の処理方法は、基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程を包含する基板の処理方法であって、該洗浄工程の前10分以内に、該接着剤を該接着剤のガラス転移温度以上に加熱する加熱工程をさらに包含することを特徴としている。
本発明によれば、基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程の前10分以内に、該接着剤を該接着剤のガラス転移温度以上に加熱する加熱工程を実行するため、基板上に溶解残渣物が残存することを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る基板の処理方法の各工程を説明する図である。 実施例における評価方法の各工程を説明する図である。 洗浄工程後に基板上に残る溶解残渣物の例を示した図である。
本発明は、基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程を包含する基板の処理方法を提供する。本発明に係る基板の処理方法は、洗浄工程の前10分以内に、上記接着剤を上記接着剤のガラス転移温度以上に加熱する加熱工程をさらに包含している。これにより、基板上に溶解残渣物が残存することを抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る基板の処理方法の各工程について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る基板の処理方法において用いられる基板1、接着剤2、サポートプレート3、ダイシングテープ(被接着物)4および溶剤5について夫々説明する。
(基板)
基板1としては、例えば、従来公知の材質の半導体ウェハ等を好適に用いることができる。
(接着剤)
接着剤2は、基板1をサポートプレート3に接着固定すると同時に、基板1の表面を覆って保護する構成である。よって、接着剤2は、基板1の加工または搬送の際に、サポートプレート3に対する基板1の固定、および基板1の保護すべき面の被覆を維持する接着性および強度を有している必要がある。一方で、サポートプレート3に対する基板1の固定が不要になったときに、基板1から容易に剥離または除去され得る必要がある。
したがって、接着剤2は、通常は強固な接着性を有しており、特定の溶剤に対する可溶性を有する接着剤によって構成される。当該分野において公知の種々の接着剤が、本発明に係る接着剤として使用可能であるが、本実施の形態における接着剤2が含有する樹脂の組成について、以下に説明する。
接着剤2が含有する樹脂としては、接着性を備えたものであればよく、例えば、炭化水素樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂等、またはこれらを組み合わせたものなどが挙げられる。
(炭化水素樹脂)
炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体組成物を重合してなる樹脂である。炭化水素樹脂として、シクロオレフィン系ポリマー(以下、「樹脂(A)」ということがある)、ならびに、テルペン樹脂、ロジン系樹脂及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、「樹脂(B)」ということがある)等が挙げられるが、これに限定されない。
樹脂(A)としては、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を重合してなる樹脂であってもよい。具体的には、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分の開環(共)重合体、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を付加(共)重合させた樹脂などが挙げられる。
樹脂(A)を構成する単量体成分に含まれる前記シクロオレフィン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体等が挙げられる。これらの中でも特に、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはこれらのアルキル置換体からなる群より選ばれるノルボルネン系モノマーが好ましい。
樹脂(A)を構成する単量体成分は、上述したシクロオレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよく、例えば、アルケンモノマーを含有することが好ましい。アルケンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、α−オレフィンなどが挙げられる。アルケンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、シクロオレフィンモノマーを含有することが、高耐熱性(低い熱分解、熱重量減少性)の観点から好ましい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、特に限定されないが、溶解性及び溶液での経時安定性の観点からは80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーを含有してもよい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するアルケンモノマーの割合は、溶解性及び柔軟性の観点からは10〜90モル%であることが好ましく、20〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることがさらに好ましい。
なお、樹脂(A)は、例えば、シクロオレフィン系モノマーとアルケンモノマーとからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制するうえで好ましい。
単量体成分を重合する際の重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従い適宜設定すればよい。
樹脂(A)として用いることのできる市販品としては、例えば、ポリプラスチックス社製の「TOPAS」、三井化学社製の「APEL」、日本ゼオン社製の「ZEONOR」及び「ZEONEX」、JSR社製の「ARTON」などが挙げられる。
樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。樹脂(A)のガラス転移点が60℃以上であると、接着剤2が高温環境に曝されたときに接着剤2の軟化をさらに抑制することができる。
樹脂(B)は、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。具体的には、テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、変性ロジン等が挙げられる。石油樹脂としては、例えば、脂肪族または芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン・インデン石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水添テルペン樹脂、水添石油樹脂が好ましい。
樹脂(B)の軟化点は特に限定されないが、80〜160℃であることが好ましい。樹脂(B)の軟化点が80℃以上であると、接着剤2が高温環境に曝されたときに軟化することを抑制することができ、接着不良を生じない。一方、樹脂(B)の軟化点が160℃以下であると、基板1からサポートプレート3を剥離する際の剥離速度が良好なものとなる。
樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、300〜3000であることが好ましい。樹脂(B)の分子量が300以上であると、耐熱性が充分なものとなり、高温環境下において脱ガス量が少なくなる。一方、樹脂(B)の分子量が3000以下であると、基板1からサポートプレート3を剥離する際の剥離速度が良好なものとなる。なお、本実施形態における樹脂(B)の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量を意味するものである。
なお、樹脂として、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合したものを用いてもよい。混合することにより、耐熱性及び剥離速度が良好なものとなる。例えば、樹脂(A)と樹脂(B)との混合割合としては、(A):(B)=80:20〜55:45(質量比)であることが、剥離速度、高温環境時の熱耐性、及び柔軟性に優れるので好ましい。
(アクリル−スチレン系樹脂)
アクリル−スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンまたはスチレンの誘導体と、(メタ)アクリル酸エステル等とを単量体として用いて重合した樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数15〜20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル、炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステル等が挙げられる。アクリル系長鎖アルキルエステルとしては、アルキル基がn−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等であるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお、当該アルキル基は、分岐状であってもよい。
炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては、既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。例えば、アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基等からなるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、イソボルニルメタアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、芳香族環としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。また、芳香族環は、炭素数1〜5の鎖状または分岐状のアルキル基を有していてもよい。具体的には、フェノキシエチルアクリレートが好ましい。
(マレイミド系樹脂)
マレイミド系樹脂としては、例えば、単量体として、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−sec−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−へプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミドなどのアルキル基を有するマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等の脂肪族炭化水素基を有するマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド等のアリール基を有する芳香族マレイミド等を重合して得られた樹脂が挙げられる。
たとえば、下記式(1)で表される繰り返し単位および下記式(2)で表される繰り返し単位の共重合体であるシクロオレフィンコポリマーを接着成分の樹脂として用いることができる。
(式(2)中、nは0または1〜3の整数である。)
なお、このようなシクロオレフィンコポリマーとしては、例えば、ポリプラスチックス社製の「TOPAS」(商品名)、三井化学社製の「APEL」(商品名)、日本ゼオン社製の「ZEONOR」(商品名)および「ZEONEX」(商品名)、およびJSR社製の「ARTON」(商品名)などを使用できる。
なお、光硬化性樹脂(たとえば、UV硬化性樹脂)以外の樹脂を用いることが好ましい。これは、光硬化性樹脂が、接着剤2の剥離または除去の後に、基板1の微小な凹凸の周辺に残渣として残ってしまう場合があり得るからである。特に、特定の溶剤に溶解する接着剤が接着剤2として好ましい。これは、基板1に物理的な力を加えることなく、接着剤2を溶剤に溶解させることによって除去可能なためである。接着剤2の除去に際して、強度が低下した基板1からでさえ、基板1を破損させたり、変形させたりせずに、容易に接着剤2を除去することができる。
また、接着剤2は、フィラーを含んでいてもよい。このようなフィラーは、溶剤5に溶解しない物質であってもよい。すなわち、接着剤2を溶剤5に溶解させたときに、溶解残渣物が生じるようになっていてもよい。
フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉等が挙げられる。
また、接着剤は、公知の方法を用いて、樹脂とフィラーとを混合することによって調製することができる。このとき、必要に応じて有機溶剤で希釈した溶液を用いてもよい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンなどの環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;テルペン系溶剤;および縮合多環式炭化水素などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
テルペン系溶剤としては、例えば、α−ピネン、カンフェン、ピナン、ミルセン、ジヒドロミルセン、p−メンタン、3−カレン、p−メンタジエン、α−テルピネン、β−テルピネン、α−フェランドレン、オシメン、リモネン、p−サイメン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リナロールオキサイド、フェンコン、α−シクロシトラール、オシメノール、テトラヒドロリナロール、リナロール、テトラヒドロムゴール、イソプレゴール、ジヒドロリナロール、イソジヒドロラバンジュロール、β−シクロシトラール、シトロネラール、L−メントン、ギ酸リナリル、ジヒドロテルピネオール、β−テルピネオール、メントール、ミルセノール、L−メントール、ピノカルベオール、α−テルピネオール、γ−テルピネオール、ノポール、ミルテノール、ジヒドロカルベオール、シトロネロール、ミルテナール、ジヒドロカルボン、d−プレゴン、ゲラニルエチルエーテル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸イソジヒドロラバンジュリル、酢酸テルピニル、酢酸リナリル、酢酸ミルセニル、酢酸ボルニル、プロピオン酸メンチル、プロピオン酸リナリル、ネロール、カルベオール、ペリラアルコール、ゲラニオール、サフラナール、シトラール、ペリラアルデヒド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ベルベノン、d−カルボン、L−カルボン、ピペリトン、ピペリテノン、ギ酸シトロネリル、酢酸イソボルニル、酢酸メンチル、酢酸シトロネリル、酢酸カルビル、酢酸ジメチルオクタニル、酢酸ネリル、酢酸イソプレゴール、酢酸ジヒドロカルビル、酢酸ノピル、酢酸ゲラニル、プロピオン酸ボルニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸カルビル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸イソボルニル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、酪酸リナリル、酪酸ネリル、イソ酪酸テルピニル、酪酸テルピニル、イソ酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、ヘキサン酸シトロネリル、イソ吉草酸メンチル、β−カリオフィレン、セドレン、ビサボレン、ヒドロキシシトロネロール、ファルネソール及びイソ酪酸ロジニルなどが挙げられる。これらのなかでも、溶解性の観点から、リモネン及びp−メンタンがより好ましく、p−メンタンが特に好ましい。
また、縮合多環式炭化水素とは、2つ以上の単環がそれぞれの環の辺を互いに1つだけ供給してできる縮合環の炭化水素であり、本発明では2つの単環が縮合されてなる炭化水素を用いることが好ましい。
そのような炭化水素としては、5員環及び6員環の組み合わせ、又は2つの6員環の組み合わせが挙げられる。5員環及び6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン等が挙げられ、2つの6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタリン(テトラリン)及びデカヒドロナフタリン(デカリン)等が挙げられる。
また、接着剤2は、熱重合禁止剤を含有する構成であってもよい。熱重合禁止剤は、熱によるラジカル重合反応を防止する機能を有する。具体的には、熱重合禁止剤はラジカルに対して高い反応性を示すため、モノマーよりも優先的に反応してモノマーの重合を禁止する。そのような熱重合禁止剤を含む接着剤2は、高温環境下(特に、250℃〜350℃)において重合反応が抑制される。
例えば半導体製造工程において、サポートプレート3が接着された基板1を250℃で1時間加熱する高温プロセスがあり得る。このとき、高温により接着剤2の重合が起こると高温プロセス後に基板1からサポートプレート3を剥離する剥離液への溶解性が低下し、基板1からサポートプレート3を良好に剥離することができない。しかし、熱重合禁止剤を含有している接着剤2では重合反応が抑制されるため、サポートプレート3を容易に剥離することができ、残渣の発生を抑えることができる。
熱重合禁止剤としては、熱によるラジカル重合反応を防止するのに有効であれば特に限定されるものではないが、フェノールを有する熱重合禁止剤が好ましい。これにより、大気下での高温処理後にも良好な溶解性が確保できる。そのような熱重合禁止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を用いることが可能であり、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリス(2−メチルフェノール)、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、n−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名IRGANOX1010、チバ・ジャパン社製)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。熱重合禁止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱重合禁止剤の含有量は、樹脂の種類、ならびに接着剤2の用途及び使用環境に応じて適宜決定すればよいが、例えば、樹脂を100重量部としたとき、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。熱重合禁止剤の含有量が上記範囲内であれば、熱による重合を抑える効果が良好に発揮され、高温プロセス後において、接着剤2の剥離液に対する溶解性の低下をさらに抑えることができる。
なお、接着剤2には、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、混和性のある他の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、接着剤2の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤及び界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いることができる。
なお、接着剤2は、フィルターを用いて濾過してもよいが、未濾過であってもよい。
(サポートプレート)
サポートプレート3は、基板1を薄化する工程で支持する役割を果たす部材であり、接着剤2によって基板1に接着される。一実施形態において、サポートプレート3は、例えば、その膜厚が500〜1000μmであるガラスまたはシリコンで形成されている。
なお、一実施形態において、サポートプレート3には、サポートプレート3を厚さ方向に貫通する穴が設けられている。この穴を介して溶剤5をサポートプレート3と基板1との間に流し込むことによって、サポートプレート3と基板1とを容易に分離することができる。
また、他の実施形態において、サポートプレート3と基板1との間には、接着剤2の膜の他に反応層が介在していてもよい。反応層は、サポートプレート3を介して照射される光を吸収することによって変質するようになっており、反応層にレーザー光等を照射して反応層を変質させることによって、サポートプレート3と基板1とを容易に分離することができる。この場合、サポートプレート3は厚さ方向に貫通する穴が設けられていないサポートプレートを用いることが好ましい。
反応層は、例えばレーザー光等によって分解される光吸収剤を含んでいてもよい。光吸収剤としては、例えば、グラファイト粉、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛、テルルなどの微粒子金属粉末、黒色酸化チタンなどの金属酸化物粉末、カーボンブラック、又は芳香族ジアミノ系金属錯体、脂肪族ジアミン系金属錯体、芳香族ジチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、スクアリリウム系化合物、シアニン系色素、メチン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの染料もしくは顔料を用いることができる。このような反応層は、例えば、バインダー樹脂と混合して、サポートプレート3上に塗布することによって形成することができる。また、光吸収基を有する樹脂を用いることもできる。
また、反応層として、プラズマCVD法により形成した無機膜または有機膜を用いてもよい。無機膜としては、例えば、金属膜を用いることができる。また、有機膜としては、フルオロカーボン膜を用いることができる。このような反応膜は、例えば、サポートプレート3上にプラズマCVD法により形成することができる。
(ダイシングテープ)
ダイシングテープ4は、基板1の強度を補強するために基板1の片面に接着される。ダイシングテープ4としては、例えばベースフィルムに粘着層が形成された構成のダイシングテープを用いることができる。ベースフィルムとしては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリオレフィン又はポリプロピレン等の樹脂フィルムを用いることができる。
また、ダイシングテープ4は、基板1の外径よりも大きく、これらを接着させると基板1の外縁にダイシングテープ4の一部が露出した状態になっている。また、ダイシングテープ4の露出面のさらに外縁には、ダイシングテープ4の撓みを防止するためのダイシングフレームが設けられている。
(溶剤)
接着剤を溶解するための溶剤5としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素;ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、メントール、イソメントール、ネオメントール、リモネン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、1,4−テルピン、1,8−テルピン、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、ボルナン、ボルネオール、ノルボルナン、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、ツジャン、α−ツジョン、β−ツジョン、カラン、ショウノウ、ロンギホレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール等のモノテルペン類、アビエタン、アビエチン酸等のジテルペン類、等の環状の炭化水素(テルペン類)が挙げられる。また、上述の接着剤の説明において、接着剤を希釈するための溶媒として挙げた有機溶剤を用いてもよい。
(基板の処理方法)
続いて、本実施形態に係る基板の処理方法について説明する。本実施形態に係る基板の処理方法は、接着剤形成工程、接着工程、加工工程、加熱工程、冷却工程、貼付工程、分離工程および洗浄工程をこの順に実行する。但し、本発明は、必ずしも上述した全ての工程を実行する必要はなく、少なくとも加熱工程および洗浄工程を実行するものであればよい。
(接着剤層形成工程)
接着剤層形成工程では、まず、図1(a)に示すように、基板1上に接着剤2を塗布する。そして、図1(b)に示すように、基板1上に接着剤2が塗布された状態で、接着剤2を加温することにより、接着剤2の膜(接着剤層)を成膜する。接着剤2の膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、15μm以上130μm以下とすることができる。
また、加温の条件は、用いる接着剤2に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、50℃以上250℃以下の範囲で、温度を上げながら段階的にベークすることにより、首尾よく接着剤2の膜を成膜することができる。
(接着工程)
接着工程では、基板1とサポートプレート3とを接着剤2の膜を介して接着する。例えば、基板1における接着剤2の膜が成膜されている側に、サポートプレート3を重ね、高温(例えば、215℃)下、真空中において加圧することにより、図1(c)のように、基板1とサポートプレート3とを接着することができる。ただし、接着の手法は、基板1の状態(表面の凹凸、強度など)、接着剤2の材料およびサポートプレート3の材料などに応じて、従来公知の種々の手法から好適なものを適宜選択すればよい。
また、サポートプレート3と基板1との間に反応層が介在させる場合には、予めサポートプレート3における接着剤2の膜と接着する面に、上述した方法により反応層を形成しておくことが好ましい。これにより、基板1とサポートプレート3とを接着したときに、サポートプレート3と基板1との間に反応層が介在するようになる。
(加工工程)
加工工程では、サポートプレート3によって支持された基板1に対して、研削(薄化)、貫通電極形成等の所望の加工を行う。
(加熱工程)
加熱工程では、接着剤2の膜を加熱する。この加熱工程を、洗浄工程の前10分以内に行い、かつ、接着剤2のガラス転移温度以上に加熱することにより、洗浄工程後に基板1上に溶解残渣物が残存することを抑制することができる。なお、「加熱工程を、洗浄工程の前10分以内に行う」とは、加熱工程の完了時刻から、洗浄工程の開始時刻までの間隔が10分以下であることを意味する。
また、加熱工程では、例えば、基板1およびサポートプレート3を含めた全体を、接着剤2のガラス転移温度以上に加熱すればよい。また、加熱工程は、洗浄工程の前5分以内に行うことがより好ましい。
(冷却工程)
冷却工程は、加熱工程において加熱された基板1等を冷却することによって、基板1のハンドリング性を向上させる工程である。このような冷却工程を行ったとしても、加熱工程による本実施形態の効果は損なわれない。
(貼付工程)
貼付工程では、図1(d)のように、基板1におけるサポートプレート3が接着されている側とは反対側に、ダイシングテープ4を貼り付ける。
(分離工程)
分離工程では、図1(e)のように、サポートプレート3を基板1から分離する。分離の手法は特に限定されないが、上述したように、サポートプレート3が穴を有している場合には、穴から溶剤5を供給することによって、接着剤2を溶解し、サポートプレート3を基板1から分離してもよい。また、上述したように、基板1とサポートプレート3との間に反応層が介在している場合には、反応層に光を照射することによって反応層を変質させて、サポートプレート3を基板1から分離してもよい。
(洗浄工程)
洗浄工程では、図1(f)のように、基板1上の接着剤2に溶剤5を供給することによって、接着剤2を溶剤5に溶解させ、基板1上から接着剤2を除去する(図1(g))。溶剤5の供給方法は特に限定されないが、例えば、2流体ノズル等を用いて、溶剤5を噴射(スプレー)してもよい。このとき、図1(f)に示すように、ノズルを揺動させながら溶剤5の供給を行ってもよい。
(変形例)
本発明に係る基板の処理方法は、上述した構成に限定されない。例えば、予め接着剤2が塗布されている基板1が存在し、この基板1を洗浄することを目的とする場合には、基板の処理方法は、加熱工程および洗浄工程のみを含んでいればよい。
また、加熱工程は、基板1上に塗布された接着剤2を、接着剤2のガラス転移温度以上に加熱する工程であればよい。例えば、接着剤層形成工程において、接着剤2の膜を成膜するための加温条件が、接着剤2のガラス転移温度以上であれば、洗浄工程の前10分以内に接着剤層形成工程を実行することにより、同様に、本発明の効果を得ることができる。この場合は、接着剤層形成工程が加熱工程となる。なお、上述したように、接着剤形成工程とは別に加熱工程を行う場合には、接着剤形成工程と、洗浄工程との間の間隔は特に限定されない。
また、接着工程において基板1に接着する対象(被接着物)は、サポートプレート3に限定されず、基板1の目的に応じて、接着対象を選択すればよい。また、基板1の処理内容によっては、貼付工程および加工工程は実施しなくともよい。
また、加熱工程は、洗浄工程の前10分以内に実施すればよく、他の工程との順序は限定されない。但し、穴を有するサポートプレート3を用い、分離工程において、サポートプレート3の穴に溶剤5を供給する場合には、分離工程の前に加熱工程を行うことが好ましい。
いずれにせよ、本発明は、基板1上に接着剤2が塗布されており、この接着剤2を除去する必要がある場合一般に好適に適用することができる。
基板1として、ベアシリコン基板を使用した。また、接着剤2として、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体(APL 8008T(三井化学社):エチレン由来の構成単位とテトラシクロドデセン由来の構成単位とのモル比が80:20、分子量105000)の樹脂固形分濃度が23質量%となるように、有機溶剤(デカリン:酢酸ブチル=4.2:1の混合溶剤)に溶解し、そこに熱重合禁止剤IR1010(IRGANOX1010、BASF社)を樹脂固形分に対して5質量%となるように添加し、の未濾過の接着剤(粘度10000cp、ガラス転移温度75℃)を調製した。溶剤5としては、p−メンタンを使用した。
まず、正の対照実験(実験例1)として、基板1上に濾過済みの接着剤2を塗布し(図2(a))、90℃、160℃および220℃で5分間ずつベークして接着剤2の膜(50μm)を成膜した(図2(b))。その後、1日(24時間)置いてから、ダイシングテープ4を基板1に貼付けた(図2(c))。そして、溶剤5を用いて基板1を600秒間スプレー洗浄し(図2(d))、接着剤2を除去した(図2(e))。その後、ダイシングテープ4を剥がして、溶解残渣量の指標として、基板1のヘイズ(濁度)を測定した。
次に、負の対照実験(実験例2)として、未濾過の接着剤2を用いたことの他は、実験例1と同様に測定を行った。
結果、実験例2では、ヘイズは205となり、得られた基板1に光をあてると白濁が観察され、5000倍の顕微鏡によって溶解残渣物が確認された(図3の丸囲み内、一つが1〜2μm程度)。一方、実験例1では、ヘイズは52となり、得られた基板1に光をあてても白濁は観察されなかった。なお、ヘイズが90以下であれば、溶解残渣物の残存量が十分に抑制されていると考えられる。
なお、処理前の基板1のヘイズは30であり、XPSにより測定された炭素量は8.00atm%であった。これに対し、実験例1によって得られた洗浄後の基板1のヘイズは52であり、XPSにより測定された炭素量は41.9atm%とともに上昇していた。よって、ヘイズの上昇は、接着剤2由来の炭素を含む溶解残渣物に起因するものと考えられる。
続いて、実験例3として、基板1上に未濾過の接着剤2を塗布し(図2(a))、90℃、160℃および220℃で5分間ずつベークして接着剤2の膜(50μm)を成膜した(図2(b))。その後、1日(24時間)置いてから、基板1を50℃で5分間ベークした(追ベーク)後、3分間冷却した。続いて、2分間程度の作業によりダイシングテープ4を基板1に貼付けた(図2(c))。そして、溶剤5を用いて基板1を600秒間スプレー洗浄し(図2(d))、接着剤2を除去した(図2(e))。その後、ダイシングテープ4を剥がして、基板1のヘイズ(濁度)を測定した。なお、以降、接着剤2の膜を成膜した後、洗浄工程前における、基板1のベークを「追ベーク」と呼ぶ。
また、実験例4として、追ベークの温度を50℃から60℃にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。また、実験例5として、追ベークの温度を50℃から70℃にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。また、実験例6として、追ベークの温度を50℃から80℃にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。また、実験例7として、追ベークの温度を50℃から100℃にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。また、実験例8として、追ベークの温度を50℃から150℃にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。また、実験例9として、追ベークの温度を50℃から220℃にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。
なお、実験例3〜6では、基板1の洗浄開始時の基板1の温度を測定した。ヘイズおよび基板温度の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、洗浄の直前に、接着剤2のガラス転位温度(75℃)以上の温度で追ベークすることにより、ヘイズが急激に低下することが分かった。80℃で追ベークした場合でも、ヘイズは40であり、濾過済みの接着剤2を用いた場合のヘイズ52よりも小さかった。よって、洗浄の直前に、接着剤2のガラス転位温度(75℃)以上の温度で追ベークすることにより、溶解残渣物の残存を好適に抑制することができることが分かった。
なお、表1に示すように、追ベーク温度にかかわらず、洗浄工程の開始時の基板1の温度はほぼ室温となっており、上記の効果は、洗浄工程の開始時の接着剤2の温度には依存していないことが分かった。
なお、実験例10として、接着剤2の膜を成膜した後、7日置いてから、基板1を80℃で5分間ベークした場合についても測定を行った。実験例10では、接着剤2の膜の成膜後、追ベークまでの期間を7日間にした以外は、実験例3と同様に測定を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、測定されたヘイズは90以下であり、接着剤2の塗布から、洗浄までの期間が長い場合であっても、接着剤2のガラス転位温度以上の温度で追ベークを行うことにより、溶解残渣物の残存を十分に抑制することができることが分かった。
続いて、実験例11として、基板1上に濾過済みの接着剤2を塗布し(図2(a))、90℃、160℃および220℃で5分間ずつベークして接着剤2の膜(50μm)を成膜した(図2(b))。その直後に、基板1を3分間冷却してから、2分間程度の作業によりダイシングテープ4を基板1に貼付けた(図2(c))。そして、基板1の温度を測定した後、600秒間、溶剤5を用いて基板1をスプレー洗浄し(図2(d))、接着剤2を除去した(図2(e))。その後、ダイシングテープ4を剥がして、基板1のヘイズ(濁度)を測定した。また、実験例12として、未濾過の接着剤2を用いたことの他は、実験例11と同様に測定を行った。結果を表3に示す。
表3に示すように、洗浄の直前に、接着剤2のガラス転位温度(75℃)以上の温度でベークすることにより、そのベークが、追ベークではなく、接着剤2の塗布後の成膜のためのベークであったとしても、同様に、溶解残渣物の残存を抑制することができることが分かった。
なお、実験例13として、実験例2で得られた溶解残渣物が残存している基板1に対して、さらに追ベークを行ったときの効果についても検証した。実験例13では、実験例2で得られた溶解残渣物が残存している基板1に対して、80℃で5分間ベークした(追ベーク)。その後、他の実験例と同様に、冷却、貼付、洗浄およびヘイズの測定を行った。結果を表4に示す。
表4に示すように、溶解残渣物のみが残存した基板1に対して接着剤2のガラス転位温度以上の温度で追ベークを行い、洗浄しても、ヘイズの低下が起こらなかった。この結果から、洗浄の直前に、接着剤2のガラス転位温度(75℃)以上の温度でベークすることの効果は、接着剤2における溶剤に溶解しない成分が熱によりシュリンクして洗浄が容易になるのではなく、接着剤2の膜内における、溶剤に溶解しない成分の流動性が変化することにより、洗浄が容易になると考えられる。
本発明は、半導体ウェハ等の基板の処理分野において好適に利用することができる。
1 基板
2 接着剤
3 サポートプレート(被接着物)
4 ダイシングテープ
5 溶剤

Claims (5)

  1. 基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程を包含する基板の処理方法であって、
    該洗浄工程の前10分以内に、該接着剤を該接着剤のガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、
    該加熱工程の前に、該基板と、厚さ方向に貫通する穴を有するサポートプレートとを、該接着剤を介して接着する接着工程と、
    該加熱工程の後、該洗浄工程の前に、該穴を介して上記溶剤を供給して、該接着剤を溶解させることにより、該基板から該サポートプレートを分離する分離工程とをさらに包含することを特徴とする基板の処理方法。
  2. 基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程を包含する基板の処理方法であって、
    該洗浄工程の前10分以内に、該接着剤を該接着剤のガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、
    該加熱工程の前に、該基板と、光を吸収することによって変質するようになっている反応層が形成されたサポートプレートとを、該基板と該サポートプレートとの間に該反応層が介在するように、該接着剤を介して接着する接着工程と、
    該接着工程の後、該洗浄工程の前に、該反応層に光を照射して、該反応層を変質させることにより、該基板から該サポートプレートを分離する分離工程とをさらに包含することを特徴とする基板の処理方法。
  3. 上記接着剤が、上記溶剤に溶解しない物質を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の基板の処理方法。
  4. 上記接着工程の前に、上記基板上に上記接着剤を塗布し、当該接着剤を加温することにより接着剤層を形成する接着剤層形成工程をさらに包含し、
    該接着剤層形成工程と、上記加熱工程とが異なる工程であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の基板の処理方法。
  5. 基板上に塗布された接着剤を溶剤に溶解させて除去する洗浄工程を包含する基板の処理方法であって、
    該洗浄工程の前10分以内に、該接着剤を該接着剤のガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、
    上記加熱工程の後、上記洗浄工程の前に、上記基板を冷却する冷却工程をさらに包含することを特徴とする基板の処理方法。
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