以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である光学機器としてのデジタルカメラ(以下、単にカメラという)の構成を示している。1はカメラのレンズ鏡筒である。レンズ鏡筒1は、変倍を行うための変倍レンズ2と、コンペンセータ機能およびフォーカシング機能を有するフォーカスレンズ3と、不図示の他のレンズや絞りを含む撮影光学系を収容している。レンズ鏡筒1内において、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3は、不図示のガイドバーにより光軸方向に移動可能に保持されている。また、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3は、不図示のラック部材を備えており、該ラック部材がズームモータ8およびフォーカスモータ9によって回転される不図示のリードスクリューに噛み合うことで光軸方向に移動される。
撮影光学系を通過した被写体からの光は、CCDセンサやCMOSセンサにより構成される撮像素子4の撮像面上に被写体像を形成する。撮像素子4は、該被写体像を光電変換してアナログ撮像信号を出力する。撮像信号処理部5は、撮像素子4から読み出したアナログ撮像信号に対してA/D変換や増幅を行い、デジタル撮像信号を映像信号処理部6に出力する。映像信号処理部6は、デジタル撮像信号に対して各種信号処理を行い、映像信号を生成する。映像信号は、電子ビューファインダとしてのLCD(液晶ディスプレイ)7に表示されたり、システムコントローラ13を介して不図示の半導体メモリ等の記録媒体に記録されたりする。
LCD7には、撮像信号から生成された映像信号の他に、各種メニューやユーザに対するメッセージが表示される。
また、システムコントローラ13は、映像信号の輝度レベルに応じて、撮像信号処理部5を介して撮像素子4における電荷蓄積時間(シャッター速度)を制御し、映像信号の輝度調節を行う。
さらに、システムコントローラ13には、操作部14が接続されている。操作部14にはボタン、レバーおよびダイヤル等の操作部材が設けられており、操作部14は、これら操作部材のON/OFF操作、レバー操作量およびダイヤル回転量に応じた操作信号をシステムコントローラ13に出力する。システムコントローラ13は、該操作信号に応じて、電源のON/OFF、撮影の開始、ズーミングおよび撮影モード切り替え等の動作や処理を行う。
ズーム制御部10およびフォーカス制御部11はそれぞれ、システムコントローラ13からの指令に従ってズームモータ8およびフォーカスモータ9の駆動(停止保持を含む)を制御する。具体的には、システムコントローラ13は、操作部14からのズーミングに関する操作信号に応じて、ズームモータ8の駆動/停止指令、駆動方向指令および駆動速度指令をズーム制御部10に送る。また、システムコントローラ13は、該システムコントローラ13内でのAF(オートフォーカス)に関する演算結果に基づいて、フォーカスモータ9の駆動/停止指令、駆動方向指令および駆動速度指令をフォーカス制御部11に送る。
本実施例では、ズームモータ8としてDCモータを用い、フォーカスモータ9としてステッピングモータを用いている。このため、ズーム制御部10およびフォーカス制御部11はそれぞれ、ズームモータ8およびフォーカスモータ9に印加する励磁電圧を制御する。システムコントローラ13、ズーム制御部10およびフォーカス制御部11により制御手段が構成される。
ステッピングモータであるフォーカスモータ9は、モータケース内に周方向に配置された複数の電磁石(ステータ)と、該ステータの内側に配置され、N極とS極を周方向に交互に有する永久磁石(ロータ)と、該ロータと一体回転する出力軸とにより構成される。複数のステータのコイルに順次電流を流す(すなわち、励磁電圧を印加する)と、通電されたステータに磁力が発生する。この磁力によってロータが引き付けられ又は磁力に対して反発してロータとともに出力軸が回転する。励磁電圧を印加するステータの位置および個数を変化させることにより、ロータおよび出力軸(以下、まとめてロータという)の回転トルクを増加させたりこれを停止保持したりすることが可能である。また、励磁電圧を変化させることによってステータに発生する磁力を変化させ、回転トルクや停止保持力を増減させることができる。以下の説明においては、ロータを停止保持するために印加する励磁電圧を、保持励磁電圧と称する。
図1に示すように、レンズ鏡筒1内には、フォーカスレンズ3がその位置検出のための基準位置に位置することを検出するためのフォトインタラプタ(PI)12が配置されている。フォトインタラプタ12は、フォトダイオード等の発光素子と、フォトトランジスタ等の受光素子とにより構成されている。発光素子と受光素子との間に、フォーカスレンズ3を保持する保持枠(図示せず)に設けられた遮光部が入り込むことで、発光素子から受光素子への光の入射が遮られ、フォーカスレンズ3が基準位置に位置することが検出される。システムコントローラ13は、このフォーカスレンズ3の基準位置の検出により内部の位置カウンタをリセットする。この処理をリセット処理といい、電源ON時等、所定のタイミングで行われる。
そして、システムコントローラ13は、該リセット処理後にフォーカスレンズ3の所定量の移動ごとに不図示のエンコーダ等の位置検出器から出力される信号をカウントすることで、フォーカスレンズ3の位置検出および位置制御を行う。同様のリセット処理は、変倍レンズ2に対しても行われる。
さらに、システムコントローラ13には、衝撃や振動によってカメラに作用する加速度を検出するための加速度センサ(加速度検出手段)15が接続されている。本実施例における加速度センサ15は、静電容量型の加速度センサであり、図2(a)に示すように、3次元空間にて互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向での加速度をそれぞれ検出することができる。Z軸は被写体に向かう方向を正として撮影光学系の光軸に平行に延びる軸であり、X軸はカメラを背面から見たときの右方向を正として水平方向に延びる軸である。また、Y軸は上方向を正として垂直方向に延びる軸である。
なお、カメラを手持ちして撮影を行う際のいわゆる手振れによっても加速度が生ずる。しかし、本実施例における加速度センサ15は、このような手振れによる長周期で振幅の小さな振れによる加速度ではなく、強い衝撃や振動による短周期で振幅が大きい、ステッピングモータに脱調を生じさせるレベルの振れによる加速度を検出する。
システムコントローラ13は、加速度センサ15により検出された加速度を用いて、不図示のメモリに保存されている演算式に基づく演算処理を行い、フォーカス制御部11に対する指令を決定する。
図2(b)には、レンズ鏡筒1と本実施例において特に問題とする加速度の作用方向との関係を示す。光軸に平行に延びる軸がZ軸であるため、カメラに加わった衝撃や振動によってフォーカスレンズ3その移動可能方向に変位させるように該フォーカスレンズ3に作用する加速度として、Z軸方向の加速度が問題となる。したがって、以下の説明において、加速度とは、このZ軸方向の加速度を意味する。
次に、本実施例のカメラにて行われる処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。この処理は、システムコントローラ13が、コンピュータプログラムに従って実行する。
まずステップS301では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源ON操作がなされたか否かを判定し、電源ON操作がなされた場合にはステップS302に進む。電源ON操作がなされていない場合にはステップS301を繰り返す。
ステップS302では、システムコントローラ13は、制御変数の初期化等を含む起動処理を行う。また、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3の位置のリセット処理を行う。
次に、ステップS303では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3が移動可能方向に変位しないようにフォーカスモータ9のロータを停止保持するために、フォーカス制御部11を介してフォーカスモータ9に保持励磁電圧を印加する。ここで印加する保持励磁電圧の大きさは、フォーカスレンズ3の重量や移動負荷に基づいて決定されるが、後に詳しく説明する。
次に、ステップS304では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源OFF操作がなされたか否か判定し、電源OFF操作がなされた場合にはステップS305に進む。電源OFF操作がなされていない場合にはステップS306に進む。
ステップS305では、システムコントローラ13は、ズーム制御部10およびフォーカス制御部11を介してズームモータ8およびフォーカスモータ9を駆動し、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3を所定の格納位置に移動させる。その後、電源遮断処理を行う。
ステップS306では、システムコントローラ13は、加速度センサ15から現在の加速度(Z軸方向の加速度)を取得する。
そして、ステップS307では、システムコントローラ13は、ステップS306で取得した加速度が所定値より小さいか否かを判定する。所定値より小さい場合はステップS309に進み、所定値以上である(又は所定値より大きい)場合はステップS308に進む。ここにいう所定値は、フォーカスレンズ3の重量や移動特性等に基づいてフォーカスモータ9に脱調が生じ得る閾値として決定され、不図示のメモリに予めデータとして格納される。
ステップS308では、システムコントローラ13は、所定値以上の加速度によりフォーカスモータ9が脱調してフォーカスレンズ3が変位しないように、フォーカスモータ9に加速度の大きさによって異なる保持励磁電圧を印加する。ステップS308の処理が終了すると、システムコントローラ13はステップS309に進む。
図5(a)には、ステップS303とステップS308における加速度の大きさと保持励磁電圧との関係を示している。加速度が所定値より小さいときは、ステップS303にて保持励磁電圧は固定値とされる。すなわち、保持励磁電圧の固定制御が行われる。一方、加速度が所定値以上である(所定値より大きい)ときは、ステップS308にて、保持励磁電圧は、上記固定値よりも高い電圧範囲で加速度が大きいほど高くなるように(比例して高くなるように)変更される。すなわち、保持励磁電圧の可変制御が行われる。
印加する保持励磁電圧は、図5(a)に示す加速度と保持励磁電圧との関係を示す演算式に検出された加速度を代入することで算出することができる。また、複数の加速度のそれぞれに対応する複数の保持励磁電圧をテーブルデータとして予めメモリに格納しておき、該テーブルデータから検出された加速度又はそれに近い加速度に対応する保持励磁電圧を読み出すことで決定してもよい。このとき、検出された加速度に近い2つの加速度に対応する2つの保持励磁電圧を用いた補間演算により、印加する保持励磁電圧を決定してもよい。
このように、本実施例では、フォーカスモータ9がフォーカスレンズ3を移動させていない状態において衝撃や振動による加速度を検出した場合に、フォーカスレンズ3の位置を保持するための保持励磁電圧を該加速度に応じて制御する。特に、加速度が所定値以上である(所定値より大きい)ときは、保持励磁電圧は加速度が大きいほど高くなるように変更される。これにより、加速度の大きさ、つまりは衝撃や振動の大きさにかかわらず、フォーカスモータ9の脱調およびこれに伴うフォーカスレンズ3の変位を防止することができる。しかも、加速度に応じて保持励磁電圧を変更することで、常に大きな加速度に対応する高い保持励磁電圧を印加し続ける場合に比べて、消費電力を低減することができる。
ステップS309では、システムコントローラ13は、操作部14にて撮影開始操作がなされたか否かを判定し、撮影開始操作がなされた場合にはステップS310に進む。撮影開始操作がなされていない場合にはステップS304に戻る。
ステップS310では、システムコントローラ13は、撮影処理を行う。この撮影処理では、自動露出(AE)制御およびAF制御を行い、撮像素子4によって被写体像を光電変換して得られた撮像信号から撮影画像を生成する。
以上説明したように、本実施例によれば、消費電力の増加を抑えつつ、フォーカスモータ9の脱調およびこれに伴うフォーカスレンズ3の変位を防止することができる。
図4のフローチャートは、本発明の実施例2であるデジタルカメラにて行われる処理を示している。本実施例のカメラの構成は、実施例1と同じであり、実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。図4に示す処理は、システムコントローラ13が、コンピュータプログラムに従って実行する。
まずステップS401では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源ON操作がなされたか否かを判定し、電源ON操作がなされた場合にはステップS402に進む。電源ON操作がなされていない場合にはステップS401を繰り返す。
ステップS402では、システムコントローラ13は、制御変数の初期化等を含む起動処理を行う。また、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3の位置のリセット処理を行う。
次に、ステップS403では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3が移動可能方向に変位しないようにフォーカスモータ9のロータを停止保持するために、フォーカスモータ9に保持励磁電圧を印加する。ここで印加する保持励磁電圧の大きさは、実施例1と同様にフォーカスレンズ3の重量や移動負荷に基づいて決定され、図5(a)に示した固定値である。
次に、ステップS404では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源OFF操作がなされたか否か判定し、電源OFF操作がなされた場合にはステップS405に進む。電源OFF操作がなされていない場合にはステップS406に進む。
ステップS405では、システムコントローラ13は、ズームモータ8およびフォーカスモータ9を駆動し、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3を所定の格納位置に移動させる。その後、電源遮断処理を行う。
ステップS406では、システムコントローラ13は、加速度センサ15から現在の加速度(Z軸方向の加速度)を取得する。
そして、ステップS407では、システムコントローラ13は、ステップS406で取得した加速度が所定値より小さいか否かを判定する。所定値より小さい場合はステップS408に進み、所定値以上である(又は所定値より大きい)場合はステップS410に進む。ここにいう所定値は、フォーカスレンズ3の重量や移動特性等に基づいてフォーカスモータ9に脱調が生じ得る閾値として決定され、不図示のメモリに予めデータとして格納される。
ステップS408では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3がフォーカスモータ9の駆動によって加速度の作用方向、すなわち光軸方向(Z軸方向)に移動されている状態か否かを判定する。フォーカスレンズ3が加速度の作用方向に移動されている場合にはステップS409に進み、そうでない場合にはステップS411に進む。
ステップS409では、システムコントローラ13は、フォーカスモータ9の駆動(フォーカスレンズ3の移動)を停止する。このとき、システムコントローラ13は、移動が中断されたフォーカスレンズ3の位置を保持するために、フォーカスモータ9に、図5(a)に示した固定値の保持励磁電圧を印加する。そして、ステップS411に進む。
一方、ステップS410では、システムコントローラ13は、所定値以上の加速度によりフォーカスモータ9が脱調してフォーカスレンズ3が予期せぬ位置に変位しないように、フォーカスモータ9を駆動してフォーカスレンズ3を加速度の作用方向に移動させる。つまり、フォーカスモータ9がフォーカスレンズ3を移動させていない状態において所定値より大きい(以上の)加速度を検出したときは、該加速度の作用方向にフォーカスレンズ3が移動されるようにフォーカスモータ9を駆動する。
図5(b)には、ステップS409とステップS410における加速度の大きさとフォーカスモータ9の駆動速度との関係を示している。加速度が所定値より小さいときは、ステップS409にてフォーカスモータ9の駆動が停止され、フォーカスモータ9には保持励磁電圧が印加される。一方、加速度が所定値以上である(所定値より大きい)ときは、ステップS410にて、フォーカスモータ9の駆動速度(フォーカスレンズ3の移動速度)が、加速度が大きいほど高速となるように(比例して速くなるように)変更される。
フォーカスモータ9の駆動速度は、図5(b)に示す加速度と駆動速度との関係を示す演算式に検出された加速度を代入することで算出することができる。また、複数の加速度のそれぞれに対応する複数の駆動速度をテーブルデータとして予めメモリに格納しておき、該テーブルデータから検出された加速度又はそれに近い加速度に対応する駆動速度を読み出すことで決定してもよい。このとき、検出された加速度に近い2つの加速度に対応する2つの駆動速度を用いた補間演算により駆動速度を決定してもよい。
このように、本実施例では、フォーカスモータ9がフォーカスレンズ3を移動させていない状態において衝撃や振動による所定値以上の加速度を検出した場合には、フォーカスレンズ3を該加速度の作用方向に移動させるようにフォーカスモータ9を駆動する。特に、加速度が大きいほどフォーカスレンズ3の移動速度が速くなるようにフォーカスモータ9の駆動速度(つまりは励磁電圧)が変更される。これにより、加速度の大きさ、つまりは衝撃や振動の大きさにかかわらず、フォーカスモータ9の脱調およびこれに伴うフォーカスレンズ3の想定外の位置への変位を防止することができる。しかも、加速度に応じて励磁電圧を変更することで、常に大きな加速度に対応する高い励磁電圧を印加し続ける場合に比べて、消費電力を低減することができる。
ステップS411では、システムコントローラ13は、操作部14にて撮影開始操作がなされたか否かを判定し、撮影開始操作がなされた場合にはステップS412に進む。撮影開始操作がなされていない場合にはステップS404に戻る。
ステップS412では、システムコントローラ13は、撮影処理を行う。この撮影処理では、自動露出(AE)制御およびAF制御を行い、撮像素子4によって被写体像を光電変換して得られた撮像信号から撮影画像を生成する。
以上説明したように、本実施例によれば、消費電力の増加を抑えつつ、フォーカスモータ9の脱調およびこれに伴うフォーカスレンズ3の予期せぬ位置への変位を防止することができる。
図6のフローチャートは、本発明の実施例3であるデジタルカメラにて行われる処理を示している。本実施例のカメラの構成は、実施例1と同じであり、実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。図6に示す処理は、システムコントローラ13が、コンピュータプログラムに従って実行する。
まずステップS501では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源ON操作がなされたか否かを判定し、電源ON操作がなされた場合にはステップS502に進む。電源ON操作がなされていない場合にはステップS501を繰り返す。
ステップS502では、システムコントローラ13は、制御変数の初期化等を含む起動処理を行う。また、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3の位置のリセット処理を行う。
次に、ステップS503では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3が移動可能方向に変位しないようにフォーカスモータ9のロータを停止保持するために、フォーカスモータ9に保持励磁電圧を印加する。ここで印加する保持励磁電圧の大きさは、実施例1と同様にフォーカスレンズ3の重量や移動負荷に基づいて決定され、図5(a)に示した固定値である。
次に、ステップS504では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源OFF操作がなされたか否か判定し、電源OFF操作がなされた場合にはステップS505に進む。電源OFF操作がなされていない場合にはステップS506に進む。
ステップS505では、システムコントローラ13は、ズームモータ8およびフォーカスモータ9を駆動し、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3を所定の格納位置に移動させる。その後、電源遮断処理を行う。
ステップS506では、システムコントローラ13は、加速度センサ15から現在の加速度(Z軸方向の加速度)を取得する。
そして、ステップS507では、システムコントローラ13は、ステップS506で取得した加速度が所定値より小さいか否かを判定する。所定値より小さい場合はステップS513に進み、所定値以上である(又は所定値より大きい)場合はステップS508に進む。ここにいう所定値は、フォーカスレンズ3の重量や移動特性等に基づいてフォーカスモータ9に脱調が生じ得る閾値として決定され、不図示のメモリに予めデータとして格納される。
ステップS508では、システムコントローラ13は、所定値以上の加速度によってフォーカスモータ9が脱調し、フォーカスレンズ3の正確な位置制御ができなくなっている可能性が高いとみなし、撮影を禁止する処理を行う。言い換えれば、カメラの使用を禁止する処理を行う。撮影禁止処理として、具体的には、システムコントローラ13は、LCD7に、図8に例を示すように撮影が行えない旨のメッセージを表示する。また、操作部14にて撮影を開始するための操作が行われてもこれを無効とする。
次に、ステップS509では、システムコントローラ13は、再び加速度センサ15から現在の加速度(Z軸方向の加速度)を取得する。
そして、ステップS510では、システムコントローラ13は、ステップS509にて取得した加速度の大きさが所定値より小さいか否かを判定する。所定値より小さい場合にはステップS511に進み、所定値以上(又は所定値より大きい)場合にはステップS509に戻り、加速度の取得を繰り返す。このステップでの所定値は、基本的にステップS507での所定値と同じであるが、該所定値より小さい値としてもよい。
ステップS511では、システムコントローラ13は、フォーカス制御部11を介してフォーカスモータ9を駆動し、フォーカスレンズ3のリセット処理を行う。すなわち、ステップS509で取得した加速度の大きさが所定値以上であった場合には、該加速度が所定値より小さくなるのを待ってフォーカスレンズ3のリセット処理を行う。このリセット処理が完了すると、ステップS512にて、システムコントローラ13は撮影禁止を解除する。その後、ステップS504に戻る。
カメラに加わった衝撃や振動により発生した加速度によってフォーカスモータ9が脱調し、フォーカスレンズ3の正確な位置制御ができなくなった場合でも、リセット処理を行うことで、フォーカスレンズ3の正確な位置制御を再開することが可能になる。
さらに、リセット処理が完了するまでは、正確な位置制御ができなくないフォーカスレンズ3によりピントのぼけが発生するために撮影を禁止することで、ピントがぼけた撮影画像が生成されることを防止できる。
ステップS513では、システムコントローラ13は、操作部14にて撮影開始操作がなされたか否かを判定し、撮影開始操作がなされた場合にはステップS514に進む。撮影開始操作がなされていない場合にはステップS504に戻る。
ステップS514では、システムコントローラ13は、撮影処理を行う。この撮影処理では、自動露出(AE)制御およびAF制御を行い、撮像素子4によって被写体像を光電変換して得られた撮像信号から撮影画像を生成する。
以上説明したように、本実施例によれば、カメラが衝撃や振動を受けた場合でも、正常なフォーカスレンズ3の位置制御を行うことができる。
図7のフローチャートは、本発明の実施例4であるデジタルカメラにて行われる処理を示している。本実施例のカメラの構成は、実施例1と同じであり、実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。図6に示す処理は、システムコントローラ13が、コンピュータプログラムに従って実行する。
まずステップS701では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源ON操作がなされたか否かを判定し、電源ON操作がなされた場合にはステップS702に進む。電源ON操作がなされていない場合にはステップS701を繰り返す。
ステップS702では、システムコントローラ13は、制御変数の初期化等を含む起動処理を行う。また、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3の位置のリセット処理を行う。
次に、ステップS703では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3が移動可能方向に変位しないようにフォーカスモータ9のロータを停止保持するために、フォーカスモータ9に保持励磁電圧を印加する。ここで印加する保持励磁電圧の大きさは、実施例1と同様にフォーカスレンズ3の重量や移動負荷に基づいて決定され、図5(a)に示した固定値である。
次に、ステップS704では、システムコントローラ13は、操作部14にて電源OFF操作がなされたか否か判定し、電源OFF操作がなされた場合にはステップS705に進む。電源OFF操作がなされていない場合にはステップS706に進む。
ステップS705では、システムコントローラ13は、ズームモータ8およびフォーカスモータ9を駆動し、変倍レンズ2およびフォーカスレンズ3を所定の格納位置に移動させる。その後、電源遮断処理を行う。
ステップS706では、システムコントローラ13は、加速度センサ15から現在の加速度(Z軸方向の加速度)を取得する。
そして、ステップS707では、システムコントローラ13は、ステップS706で取得した加速度が所定値Aより小さいか否かを判定する。所定値Aより小さい場合はステップS719に進み、所定値A以上である(又は所定値Aより大きい)場合はステップS708に進む。ここにいう所定値Aは、フォーカスレンズ3の重量や移動特性等に基づいてフォーカスモータ9に脱調が生じ得る閾値として決定され、不図示のメモリに予めデータとして格納される。
ステップS708では、システムコントローラ13は、ステップS706で取得した所定値A以上の加速度の大きさが、該所定値Aより大きく設定された所定値B(第1の所定値)より小さいか否かを判定する。所定値Bより小さい場合はステップS709に進み、所定値B以上である(又は所定値Bより大きい)場合はステップS712に進む。ここにいう所定値Bは、フォーカスレンズ3の重量や移動特性、さらには消費可能な電力量等に基づいて決定され、不図示のメモリに予めデータとして格納される。
ステップS709では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3がフォーカスモータ9の駆動によって加速度の作用方向、すなわち光軸方向(Z軸方向)に移動されている状態か否かを判定する。フォーカスレンズ3が加速度の作用方向に移動されている場合にはステップS710に進み、そうでない場合にはステップS711に進む。
ステップS710では、システムコントローラ13は、フォーカスモータ9の駆動(フォーカスレンズ3の移動)を停止する。
そして、ステップS711では、システムコントローラ13は、フォーカスレンズ3の位置を保持するために、フォーカスモータ9に、ステップS706で取得した加速度の大きさに応じた保持励磁電圧を印加する。すなわち、図2(a)に示したような、保持励磁電圧の可変制御を行う。そして、ステップS719に進む。
また、ステップS712では、システムコントローラ13は、ステップS706で取得した所定値B以上の加速度の大きさが、該所定値Bより大きく設定された所定値C(第2の所定値)より小さいか否かを判定する。所定値Cより小さい場合はステップS713に進み、所定値C以上である(又は所定値Cより大きい)場合はステップS714に進む。ここにいう所定値Cは、フォーカスレンズ3の重量や移動特性、さらには消費可能な電力量等に基づいて決定され、不図示のメモリに予めデータとして格納される。ステップS713では、実施例2のステップS410の処理と同様の処理を行い、ステップS719に進む。
ステップS714では、システムコントローラ13は、所定値C以上の加速度によってフォーカスモータ9が脱調し、フォーカスレンズ3の正確な位置制御ができなくなっている可能性が高いとみなし、撮影を禁止する処理を行う。言い換えれば、カメラの使用を禁止する処理を行う。撮影禁止処理は、実施例3にて説明した処理と同じである。
次に、ステップS715では、システムコントローラ13は、再び加速度センサ15から現在の加速度(Z軸方向の加速度)を取得する。
そして、ステップS716では、システムコントローラ13は、ステップS715にて取得した加速度の大きさが所定値Cより小さいか否かを判定する。所定値Cより小さい場合にはステップS717に進み、所定値C以上(又は所定値Cより大きい)場合にはステップS715に戻り、加速度の取得を繰り返す。このステップでの所定値Cを、ステップS712での所定値Cより小さい値としてもよい。
ステップS717では、システムコントローラ13は、フォーカス制御部11を介してフォーカスモータ9を駆動し、フォーカスレンズ3のリセット処理を行う。すなわち、ステップS715で取得した加速度の大きさが所定値C以上であった場合には、該加速度が所定値Cより小さくなるのを待ってフォーカスレンズ3のリセット処理を行う。このリセット処理が完了すると、ステップS718にて、システムコントローラ13は撮影禁止を解除する。その後、ステップS704に戻る。
実施例3と同様に、カメラに加わった衝撃等により発生した加速度によってフォーカスモータ9が脱調し、フォーカスレンズ3の正確な位置制御ができなくなった場合でも、リセット処理によってフォーカスレンズ3の正確な位置制御を再開することが可能になる。さらに、リセット処理が完了するまでは、正確な位置制御ができなくないフォーカスレンズ3によりピントのぼけが発生するために撮影を禁止することで、ピントがぼけた撮影画像が生成されることを防止できる。
ステップS719では、システムコントローラ13は、操作部14にて撮影開始操作がなされたか否かを判定し、撮影開始操作がなされた場合にはステップS720に進む。撮影開始操作がなされていない場合にはステップS704に戻る。
ステップS720では、システムコントローラ13は、撮影処理を行う。この撮影処理では、自動露出(AE)制御およびAF制御を行い、撮像素子4によって被写体像を光電変換して得られた撮像信号から撮影画像を生成する。
以上説明したように、本実施例によれば、カメラが衝撃や振動を受けた場合でも、消費電力の増加を抑えつつ、フォーカスモータ9の脱調およびこれに伴うフォーカスレンズ3の予期せぬ位置への変位を防止することができる。また、正常なフォーカスレンズ3の位置制御を行うことができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。