JP5909942B2 - 燃料中の硫黄化合物の脱硫方法及び脱硫装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料中の硫黄化合物の脱硫方法及び脱硫装置に関する。
ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関では、ガソリン、軽油などの燃料を燃焼させて、エネルギーを得る。このような燃料には硫黄化合物が含まれているため、排ガス中にも硫黄化合物が含まれる。また、内燃機関の排ガスには、各種の有害物質(窒素酸化物NOx、炭化水素HC、一酸化炭素CO、粒子状物質PM)も含まれており、これらを除去するために、排ガス浄化装置が設けられる。
このような排ガス浄化装置では、有害物質を除去するために、三元触媒、酸化触媒、NOx吸蔵還元触媒、DPF等の排気浄化触媒が用いられるが、これらの排気浄化触媒は、排ガス中の硫黄化合物により被毒され、浄化性能が低下するという問題がある。ガソリンや軽油等は石油精製プラントにおいて10ppm程度まで脱硫されているが、排気浄化触媒の被毒を極力抑えるために更なる硫黄濃度の低減が求められている。
近年、脱硫困難な硫黄化合物を酸化反応によって硫黄酸化物に変換し、極性を向上させた後に除去する酸化脱硫に関する研究が多くなされている。一般的に、硫黄化合物を酸化するためには強力な酸化剤が必要であるが、そのような酸化剤を直接取り扱うことは安全面の問題があるため、反応系中で酸化剤を生じさせる手法が行われている。
例えば、特許文献1では、硫黄化合物を含有する燃料油を、酸触媒の存在下で、過酸化水素と酢酸で処理する酸化脱硫方法が開示されている。特許文献1の方法で用いられる過酸化水素は、直接硫黄化合物を酸化するのではなく、酢酸を過酢酸へと酸化させるものである。そして、生成した過酢酸により硫黄化合物が硫黄酸化物へ酸化される。なお、酢酸は硫黄酸化物の抽出溶媒としても機能している。
また、例えば、特許文献2では、硫黄化合物を、遷移金属触媒及び硫黄化合物と共に酸化される化合物(犠牲剤)の存在下で、酸素によって酸化する酸化脱硫方法が開示されている。
また、例えば、特許文献3では、銀担持シリカを用いて、燃料中の硫黄化合物を脱硫する方法が開示されている。
特開2004−231071号公報 特開2004−168663号公報 特開2006−173045号公報
本発明の目的は、燃料中の硫黄化合物を効率的に脱硫処理することができる燃料中の硫黄化合物の脱硫方法及び脱硫装置を提供することにある。
本発明の燃料中の硫黄化合物の脱硫方法は、硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する第1工程と、前記燃料中の硫黄化合物の脱硫方法において、前記第1工程を経た前記燃料を吸着剤と接触させる第2工程と、を備え、前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカである。
また、本発明の燃料中の硫黄化合物の脱硫方法硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する第1工程を備え、前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカである。
また、本発明の燃料中の硫黄化合物の脱硫方法は、硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する第1工程を備え、前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカであり、前記硫黄化合物は、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、又はジベンゾチオフェン類である。
また、本発明の燃料中の硫黄化合物の脱硫装置は、硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する脱硫部と、前記脱硫部を経た前記燃料を吸着剤と接触させる吸着部と、を備え、前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカである。
本発明によれば、燃料中の硫黄化合物を効率的に脱硫処理することができる。
本実施形態に係る硫黄化合物の脱硫装置の構成の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る燃料中の硫黄化合物の脱硫処理メカニズムである。 実施例4における硫黄化合物濃度と硫黄酸化物濃度の経日変化の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る硫黄化合物の脱硫装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す硫黄化合物の脱硫装置1は、配管10、脱硫部12、吸着部14を備え、配管10に、脱硫部12及び吸着部14が設けられている。脱硫部12は、例えば、銀担持された吸着剤が充填されたカートリッジから構成されている。脱硫部12には、後述する共酸化剤が導入される酸化剤供給配管16が接続されている。吸着部14は、例えば、吸着剤が充填されたカートリッジ(充填体)から構成されている。吸着部14は脱硫部12より下流側に配置される。
以下に、本実施形態の燃料中の硫黄化合物の脱硫方法を説明する。ここで、燃料中に含まれる硫黄化合物とは、一般に石油系燃料等に含まれる有機硫黄化合物のことである。石油系燃料の精製においては、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類等が含まれやすく、特に、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(DMDBT)等が含まれやすい。本実施形態の脱硫方法では、上記これらの硫黄化合物を好適に処理することができる。
図1に示す配管10に、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等を含む燃料が投入される。そして、上記燃料は配管10を通り、脱硫部12(銀が担持された吸着剤が充填されたカートリッジ)に供給される。また、脱硫部12には、酸化剤供給配管16から、共酸化剤が供給される。また、酸化剤供給配管10から空気(酸素)を供給してもよいが、脱硫部12内に十分に空気が満たされていれば空気(酸素)の供給は不要である。脱硫部12では、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤及び共酸化剤と、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等を含む燃料と、を接触させ、図2に示すメカニズムにより燃料中の硫黄化合物の脱硫処理(第1工程)が行われる。
図2は、本実施形態に係る燃料中の硫黄化合物の脱硫処理メカニズムである。図2では、燃料中に含まれる硫黄化合物としてジベンゾチオフェン(DBT)、共酸化剤としてテトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)をとして説明する。脱硫部12では、吸着剤に担持された銀が、共酸化剤であるテトラリンを過酸化物へ酸化させる酸化触媒として働き、脱硫部12内の酸素(空気)によってテトラリンが過酸化物に酸化される。この過酸化物によって、燃料中のジベンゾチオフェンが硫黄酸化物(DBTスルホン)へと酸化される。硫黄酸化物は酸化前の硫黄化合物と比較して極性が非常に高いため、脱硫部12内の吸着剤により吸着され、燃料中から除去(脱硫)される。
次に、図1に示す脱硫部12から排出された燃料は、配管10を通り吸着部14に流入する。吸着部14では、脱硫部12で処理できなかった燃料中の硫黄酸化物が、吸着部14に充填された吸着剤により吸着され、燃料中から除去される(第2工程)。そして、硫黄酸化物が除去された燃料は吸着部14から排出され、配管10から硫黄化合物が除去された燃料として系外へ排出される。
以下に、本実施形態に係る硫黄化合物の脱硫装置1の各構成について説明する。
脱硫部12に充填される吸着剤は、酸化触媒である銀を担持する担体であって、且つ硫黄化合物が酸素及び酸化触媒によって酸化された硫黄酸化物を吸着できるものであれば特に制限されるものではない。脱硫部に充填される吸着剤は、例えば、比表面積が350m2/g以上のものである。
脱硫部12に充填される吸着剤は、銀を高分散に担持させ、銀の触媒性能を向上させることができる点、燃料中の硫黄酸化物を効率的に吸着することができる点で、メソポーラスシリカであることが好ましい。ここで、メソポーラスシリカとは、2nm以上〜50nm以下の範囲の細孔径を有するシリカである。特に、銀の分散性が高く、銀の触媒性能を向上させることができる点等で、2nm以上〜4nm以下の範囲の細孔径を有するメソポーラスシリカを用いることが好ましい。
脱硫部12に充填される吸着剤に担持される銀は、主に共酸化物を過酸化物に酸化させる際の触媒として機能するものである。そして銀を触媒として用いることにより、共酸化剤を過酸化物に酸化させる酸化剤として空気等の酸素を用いることが可能となる。そのため、酸化剤として過酸化水素等の薬剤が不要となり、コスト面、作業上の安全面等において有益である。
吸着剤への銀の担持方法は、特に制限されるものではなく、例えば、含浸法、共沈法、混練法、蒸着法、イオン交換法、蒸発乾固法等の公知の方法を採用することができる。例えば、蒸発乾固法では、硝酸銀溶液等の溶液中に上記吸着剤を添加して攪拌した後、エバポレータ等で蒸発乾燥させ、例えば、300℃〜800℃の範囲、好ましくは450℃〜550℃の範囲で焼成することにより、銀が担持された吸着剤が得られる。また、上記焼成後に還元処理(水素雰囲気で焼成)を行うことにより、銀の酸化触媒としての機能(酸化性能)をより向上させることができる。
脱硫部12に導入される共酸化剤は、銀を触媒として、酸素により過酸化物に酸化される過酸化物前駆体であれば特に制限されるものではなく、例えば、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、シクロヘキサン等の分子構造内にシクロヘキサン環を持つ炭化水素や、アルデヒド、カルボン酸等が挙げられる。特に、硫黄化合物に対する酸化力が強く、また、硫黄化合物を硫黄酸化物に酸化する際に、脱硫部12や配管10を腐食させる副生成物が生成することがない点等で、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、シクロヘキサン等の分子構造内にシクロヘキサン環を持つ炭化水素が好ましい。
本実施形態において、吸着部14は必ずしも設置される必要はない。但し、本実施形態の装置の継続的使用によって、脱硫部12に充填された吸着剤の吸着機能が低下する虞がある一方で、脱硫部12に充填された吸着剤に担持された銀による触媒機能は維持されている場合がある。このような場合に、脱硫部12の後段に吸着部14が設置されていれば、脱硫部12で硫黄化合物が硫黄酸化物に酸化されるが、該硫黄酸化物を十分に吸着処理することができない場合でも、後段に設置した吸着部14に充填された吸着剤により、硫黄酸化物を吸着することができるため、効果的に燃料中の硫黄化合物を除去することが可能となる。また、吸着部14に充填された吸着剤の吸着機能が低下した場合には、吸着部14を新たに交換するだけでよく、銀が担持された吸着剤を有する脱硫部12まで交換する必要がなくなるため、低いランニングコストで処理が可能となる。
吸着部14に充填される吸着剤は、硫黄酸化物を吸着することができるものであれば特に制限されるものではない。したがって、吸着部14に充填される吸着剤は、脱硫部12に充填される吸着剤と同じ材料、例えば、上記説明したメソポーラスシリカ等であってもよいし、脱硫部12に充填される吸着剤と異なる材料であってもよい。例えば、前段の脱硫部12で使用される吸着剤の細孔より小さい細孔を有する吸着剤を選択する等でもよい。具体的には、脱硫部12で使用される吸着剤として、2nm以上〜4nm以下の範囲の細孔径を有するメソポーラスシリカを用いる場合、吸着部14で使用される吸着剤として、0.5nm以上〜2nm未満の範囲の細孔径を有する吸着剤、例えばゼオライト(X型、Y型等)を用いることが好ましい。このような構成により、前段の脱硫部12で分子量の大きい硫黄酸化物を吸着し、後段の吸着部14で分子量の小さい硫黄酸化物を吸着することが可能となり、より効率的に燃料中の硫黄化合物を除去することができる。
本実施形態では、脱硫部12及び吸着部14をそれぞれ1つ配置した構成であるが、脱硫部12及び吸着部14をそれぞれ複数配置した構成であってもよい。
以上のように、本実施形態の硫黄化合物の脱硫方法によれば、燃料中の硫黄化合物を効率的に除去することができる。そのため、エンジン燃焼用の燃料として用いれば、排ガス中の硫黄分を大幅に減少させることができる。従って、排ガス浄化触媒の硫黄被毒を大幅に抑制して、排ガス浄化性能を大幅に向上できる。また、排ガス浄化触媒の硫黄被毒を解除するための触媒再生の頻度を減少して、触媒再生に必要なエネルギーを減少することができる。同様に、燃料電池の炭化水素系燃料に本実施形態を適用すれば、炭化水素系燃料の改質に用いられる改質触媒の硫黄被毒を抑制することができるため、触媒寿命の低下を抑制することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
硝酸銀0.79g(銀0.5g相当)を50mlの水に溶解した水溶液にメソポーラスシリカ(自家合成社製、FSM−16、細孔径2.7nm、比表面積1192m2/g、細孔容積0.74cc/g)9.5gを添加し、室温で3時間攪拌した。次に、その溶液をロータリーエバポレータで蒸発させ、得られた固体を110℃で3時間乾燥した後、電気炉で500℃、5時間焼成し、銀担持メソポーラスシリカを得た。
実施例1の試験条件は以下の通りである。
テトラリンを添加したベース燃料(n−テトラデカン/テトラリン=80部/20部)に、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(DMDBT)をそれぞれ硫黄重量基準で30〜40ppmになるように添加したモデル軽油をバイアル容器に5g入れた。そして、バイアル容器内のモデル軽油に、上記調製した銀担持メソポーラスシリカを0.1g添加し、密閉して40℃で24時間攪拌した。次いで、モデル軽油をろ過して、銀担持メソポーラスシリカを分離し、モデル軽油中の硫黄分濃度をガスクロマトグラフィにより測定した。表1に、実施例1における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。なお、硫黄除去率を以下の式により求めた。
硫黄化合物の除去率=100−(吸着処理後の硫黄濃度/吸着処理前の硫黄濃度)×100
(実施例2)
実施例2では、実施例1の方法で作成した銀担持メソポーラスシリカを、窒素/水素(=95部/5部)の還元雰囲気で500℃、3時間焼成(還元処理)を行った銀担持メソポーラスシリカを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、実施例2における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(実施例3)
実施例3では、シクロヘキサンを添加したベース燃料(n−テトラデカン/シクロヘキサン=80部/20部)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、実施例3における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(比較例1)
銀を担持していないメソポーラスシリカ(自家合成社製、FSM−16、細孔径2.7nm、比表面積1192m2/g、細孔容積0.74cc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、比較例1における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(比較例2)
硝酸銀0.79g(銀0.5g相当)を50mlの水に溶解した水溶液にシリカ(日揮化学社製、細孔径11.0nm(ピーク位)、比表面積336m2/g、細孔容積0.654cc/g)9.5gを添加し、室温で3時間攪拌した。次に、その溶液をロータリーエバポレータで蒸発させ、得られた固体を110℃で3時間乾燥した後、電気炉で500℃、5時間焼成し、銀担持シリカを得た。比較例2では、この銀担持シリカを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、比較例2における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(比較例3)
比較例3では、バイアル容器内の酸素を窒素で置換したこと以外は実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、比較例3における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(比較例4)
比較例4では、テトラリンを含まないベース燃料を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、比較例4における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(比較例5)
酢酸銅(II)−水和物1.57g(銅0.5g相当)を50mlの水に溶解した水溶液にメソポーラスシリカ自家合成社製、FSM−16、細孔径2.7nm、比表面積1192m2/g、細孔容積0.74cc/g)9.5gを添加し、室温で3時間攪拌した。次に、その溶液をロータリーエバポレータで蒸発させ、得られた固体を110℃で3時間乾燥した後、電気炉で500℃、5時間焼成し、銅担持メソポーラスシリカを得た。比較例5では、この銅担持メソポーラスシリカを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、比較例5における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
(比較例6)
硝酸銀0.79g(銀0.5g相当)を50mlの水に溶解した水溶液にシリカアルミナ(触媒工業化学社製、JRC−SAH−1、比表面積511m2/g、細孔容積0.93cc/g)9.5gを添加し、室温で3時間攪拌した。次に、その溶液をロータリーエバポレータで蒸発させ、得られた固体を110℃で3時間乾燥した後、電気炉で500℃、5時間焼成し、銀担持シリカアルミナを得た。比較例6では、この銀担持シリカアルミナを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で試験を行った。表1に、比較例6における硫黄化合物の除去率の結果をまとめた。
Figure 0005909942
表中の括弧内の値は、モデル軽油中の残留硫黄酸化物の割合である。
表1の結果から判るように、銀担持メソポーラスシリカ、酸化剤として空気、共酸化剤としてテトラリンを用いた実施例1では、硫黄化合物の高い除去率が得られた。実施例1では、ベンゾチオフェンの除去率が約50%に留まったが、還元処理を行った銀担持メソポーラスシリカを用いた実施例2では、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及び4,6−ジメチルベンゾチオフェンいずれも78%以上の除去率が得られた。共酸化剤としてシクロヘキサンを用いた実施例3では、ベンゾチオフェンの除去率は約22%、ジベンゾチオフェンの除去率は32%、4,6−ジメチルベンゾチオフェンの除去率は37%となった。
銀を担持していないメソポーラスシリカ、酸化剤として空気、共酸化剤としてテトラリンを用いた比較例1では、硫黄化合物をほとんど除去することができなかった。これは、銀の触媒作用がないため、空気によってテトラリンが過酸化物に酸化されず、硫黄化合物が硫黄酸化物に酸化されなかったためであると考えられる。また、銀が存在していても、担持する担体として、比較例2及び比較例6のように比表面積や細孔径の非常に小さい(又は不規則な細孔を有する)シリカやシリカアルミナを用いた場合にも、硫黄化合物をほとんど除去することができなかった。シリカは細孔径が不規則であるため、銀の粒子を高分散に担持し難く、銀の触媒作用が十分に働かなかったこと、また、比表面積が小さく硫黄化合物の吸着容積が小さいためであること等が考えられる。また、シリカアルミナは、アルミナ上の負電荷により電子状態が変化し、酸化触媒として十分に働かなかったためであること等が考えられる。酸化剤である空気を窒素に置き換えた比較例3、共酸化剤であるテトラリンを用いていない比較例4では、いずれの硫黄化合物の除去率も低い値となった。触媒として銀を用いず、銅を用いた比較例5では、いずれの硫黄化合物の除去率も低い値となった。これにより、酸素のようなマイルドな酸化剤を使用する場合には、銀を触媒とすることが必要であることがわかった。
(実施例4)
テトラリンを添加したベース燃料(n−テトラデカン/テトラリン=80部/20部)に、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(DMDBT)をそれぞれ硫黄重量基準で30〜40ppmになるように添加したモデル軽油をバイアル容器に10g入れた。そして、バイアル容器内のモデル軽油に、実施例1の方法で作製した銀担持メソポーラスシリカを0.05g添加し、密閉して40℃で7日間攪拌した。次いで、1日毎にモデル軽油を一部取り、ろ過して、銀担持メソポーラスシリカを分離し、モデル軽油中の硫黄化合物濃度及び硫黄酸化物濃度をガスクロマトグラフィにより測定した。
図3は、実施例4における硫黄化合物濃度と硫黄酸化物濃度の経日変化の結果を示す図である。図3に示すように、試験開始から3日目までは硫黄化合物濃度の低下のみが観察されたが、3日目以降は硫黄化合物濃度の低下と共に、硫黄酸化物濃度の上昇が観察された。これは、メソポーラスシリカ上に担持された銀の触媒作用は維持され、硫黄化合物の酸化は進行するものの、メソポーラスシリカの吸着作用が飽和状態に達し、硫黄酸化物が吸着除去されず、モデル軽油中に残存しているためと考えられる。なお、不図示であるが、硫黄酸化物が残留したモデル軽油中に銀を担持していないメソポーラスシリカを添加すると、メソポーラスシリカにより硫黄酸化物が吸着除去されることが確認できた。このような銀を担持したメソポーラスシリカの吸着性能以上の硫黄酸化物が生成する場合を考慮すると、別途、予備的な吸着剤(メソポーラスシリカ等)を充填したカートリッジ等を用意して、その吸着剤により硫黄酸化物を吸着させることが好ましい。そして、吸着作用が飽和したら、吸着剤を充填したカートリッジのみを交換することで、長期間にわたり、燃料中から硫黄化合物を除去することができる。
1 硫黄化合物の脱硫装置、10 配管、12 脱硫部、14 吸着部、16 酸化剤供給配管。

Claims (4)

  1. 硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する第1工程と、
    前記第1工程を経た前記燃料を吸着剤と接触させる第2工程と、を備え
    前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカであることを特徴とする燃料中の硫黄化合物の脱硫方法。
  2. 硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する第1工程を備え、
    前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカであることを特徴とする燃料中の硫黄化合物の脱硫方法。
  3. 硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する第1工程を備え、
    前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカであり、前記硫黄化合物は、チオフェン類、ベンゾチオフェン類又はジベンゾチオフェン類であることを特徴とする燃料中の硫黄化合物の脱硫方法。
  4. 硫黄化合物を含有する燃料を、酸素の存在下で、銀が担持された吸着剤、前記酸素によって酸化され過酸化物となる共酸化剤と接触させて、前記硫黄化合物を脱硫処理する脱硫部と
    前記脱硫部を経た前記燃料を吸着剤と接触させる吸着部と、を備え
    前記銀が担持された吸着剤は、銀が担持されたメソポーラスシリカであることを特徴とする燃料中の硫黄化合物の脱硫装置。
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