JP5908758B2 - 識別リストバンド - Google Patents

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Description

本発明は、主として産婦人科病院等で使用される医療用または新生児用の識別リストバンドに関するものである。
この種の医療用の識別リストバンドとしては、複数の技術が公知になっている。
例えば、第1の従来技術として、患者の氏名と、血液検査情報と、血液検査のタイプを示す識別情報とを表示した患者識別用リストバンドである(特許文献1参照)。
この第1の公知例に係る患者識別用リストバンドにおいては、患者が携帯しているリストバンドに血液検査情報がどのような検査の結果であるかを容易に判別でき、また患者と血液製剤などとの照合の際にリストバンドの表示されたバーコートを容易に読み取ることができるので、医療過誤を防止するための確認作業をより一層迅速確実に行うことができるというものである。
また、第2の公知例に係るリストバンドとしては、患者を識別するために、患者の腕に巻きつけて使用される可撓性を有するリストバンドであって、前記リストバンドは、患者表示部と患者の腕に巻きつけるための巻きつけ部を有し、前記巻きつけ部の患者に接触する面に少なくとも2つのシール面を有することを特徴とするリストバンドである(特許文献2参照)。
この第2の公知例に係るリストバンドにおいては、手首への挿着が簡便である。また、手首に馴染むように装着することができ、しかも、患者と接触する面に突起部がないので、擦過傷の恐れがないというものである。
さらに、第3の公知例に係る識別用リストバンドとしては、帯状体の所定部に形成された粘着剤層と、この粘着剤層との粘着により、被装着体に対して前記帯状体をリング状の形態で装着する識別用リストバンドであって、前記帯状体の一部に折り込み部と、折り込み部を仮止めする仮止め層を有する識別用リストバンドであって、前記仮止め層を剥離することによって折り込み部による余裕がうまれる識別用リストバンドである(特許文献3参照)。
この第3の公知例に係る識別用リストバンドにおいては、粘着剤層と被粘着部により識別用リストバンドを形成し、被装着者が窮屈さを感じたときに、仮止め部を剥離することにより仮止めされていた折り込み部が広がり、余裕がうまれるため、構造が簡単でありながら、被装着者が適度な装着感をえることができる。さらに、上記識別用リストバンドは仮止め部と折り込み部を形成するという簡単な構造であるため、安価に製造できるというものである。
特開2002−125956号公報 特開2002−161417号公報 特開2007−248947号公報
ところで、産婦人科の施設出産では、新生児を取り違える可能性があるとされている。その取り違えの主な原因はヒューマンエラー(人為的ミス)であるため、それを防止するための二重、三重の手順を確立しておく必要があるとしている。そのために生まれたばかりの新生児には、他の新生児と識別できるように、例えば、母子標識(IDバンド)の装着を行っている。その母子標識は、母親と新生児を同時に識別する標識(識別用リストバンド)で、母親用の第1標識と新生児用の第2標識が分離可能に繋がって一緒になっているもので、両者に共通の番号が付してあり、第1標識には母親の氏名と入院日時が記載されて入院時に、第1と第2標識が一緒になっているリストバンドを母親の手首に装着される。そして、新生児が出生したときに第1標識から直ちに第2標識を切り離し、母親の氏名、出生年月日と時刻及び性別等を記入して新生児の手首に装着するのである。
また、新生児用のリストバンドが簡単に取り外しできる構造であると、有ってはならないことではあるが意図的に付け替えたりして、大変なことになりかねないので、新生児用リストバンドは一旦取り付けると、緩めたり縮めたりすることができない構成になっており、ハサミ等で切り離さない限り取り外すことができないので退院するまでそのまま装着される。このような母子標識は施設出産における新生児の取り違え防止や災害時の親子識別に用いられる。
しかしながら、生まれたばかりの新生児の身体は、母親のお腹の中で羊水に保護されている関係で、全体がぶよぶよに膨れ上がっている。その膨れ上がった手首の部分に識別用リストバンドを取り付けて、沐浴や体重測定等の慣例的なさまざまな処置をすると共に、外部と遮断したクリーンな新生児室に複数人の新生児のベッドを並べて授乳やオムツ換え等をしているが、数日経つと、徐々にぶよぶよの身体が縮まってくるのであり、それによって取り付けた識別用リストバンドが緩くなって手首から抜け落ちてしまうことがあり、看護師が注意深く取り扱わないと、複数の新生児の間でリストバンドが入れ違いになったり、紛失したりして、判らなくなったりするという重大な問題が生ずるのである。
前記第1の公知例に係るリストバンドには、患者名や血液検査情報などが表示されていて個別に識別できるものであるが、そのリストバンドを手首に取り付ける具体的な構成については一切記載されていない。つまり、識別リストバンドは医者や看護師が医療行為を行う上で患者毎に必要な情報を表示しているのであって、仮に、簡単に取り外しできる構成であって、その識別リストバンドをなくしたとしても、医師、看護士、家族が患者さんを見れば、誰であるか簡単に見分けることができるが、生まれたばかりの新生児は見分けることができないので、簡単に緩めたり取り外したりできる識別リストバンドでは、新生児用として使用できないのである。
前記第2の公知例に係るリストバンドは、粘着層による2つのシール面を有し、該粘着層によってリストバンドを手首に馴染むように取り付けるというものであり、手首への取り付け取り外しが容易な構成であるため、やはり新生児用として使用できないのである。
さらに、前記第3の公知例に係るリストバンドは、仮止め部を剥離することにより仮止めされていた折り込み部が広がって装着状態が緩められ、余裕がうまれるというものであり、手首から簡単に取り外せる構成であるため、新生児用として使用できないのである。
従って、公知または従来例に係る識別リストバンドは、いずれも簡単に取り外しまたは取り付け状態を緩めることができる構成であるため、生まれたばかりの新生児用としては問題があって使用できないのであり、また、一般的には一旦取り付けた後においては、取り外しができない構成であるため、新生児における独特な身体の変化(締り)に対応できないものであり、出生後数日で緩んだ識別リストバンドが手首から抜け落ちたり紛失したりして、取り違える事故が生じたりした問題点を解消することに解決課題がある。
本発明は、前記課題を解決する具体的手段として、幅広の表示部と幅狭の係止部とを一連に形成したバンド本体部と、該バンド本体の一端部側に設けられた係止機構部とから構成され、前記係止機構部は、嵌合型の雄型係止部材と雌型係止部材とからなり、前記雄型係止部材は、長円錐状の凸部を有し、該凸部の先端部にアゴ部を有する肥大部を形成し、前記雌型係止部材は、前記凸部が挿通される挿通孔を有する軸部と、係止用の主要部とを有し、前記挿通孔に達する切込みが側面から形成されると共に、内部に切り込みを挟んで円弧状の張出し部が形成され、前記主要部には切り込みを挟んで一対の穴が形成され、前記雌型係止部材は、特殊な解除具により雄型係止部材との係止を解除できる構成にしたことを特徴とする識別リストバンドを提供するものである。
本発明に係る識別リストバンドにおいて、前記バンド本体における幅広の表示部には、情報記載欄が設けられ、幅狭の係止部には所要間隔をもって複数の係止孔が形成されていることを付加的な要件として含むものである。
本発明に係る識別リストバンドによれば、バンド本体の一端部側に設けられた係止機構部は、嵌合型の雄型係止部材と雌型係止部材とからなり、前記雌型係止部材は、特殊な解除具により雄型係止部材との係止を解除できる構成にしたことにより、出生時に母親との識別のために取り付けられるものであって、一般的には一旦取り付けられると退院まで取り外しができないものであり、新生児における独特な身体の変化(締り)に対応できないものであったために、出生後数日で緩んだ識別リストバンドが手首から抜け落ちたり紛失したりして、取り違える事故が生じたりしたが、本発明では、独特な構成の識別リストバンドと特殊な解除具とを使用することによって、新生児独特な身体の変化に追従して取り付け状態を調整することが出来るようにしたので、新生児の取り違え等の種々の事故を完全に解消できるという優れた効果を奏する。
本発明に係る好ましい実施の形態に係る新生児用の識別リストバンドの平面図である。 同実施の形態に係る新生児用の識別リストバンドの側面図である。 同実施の形態に係る新生児用の識別リストバンドの一方の端部(左端部)に設けた係止機構部を拡大して示した左側面図である。 同実施の形態に係る新生児用の識別リストバンドの係止機構部を構成する雌側係止部材を示す(a)図は平面図と(b)図は側面図である。 同実施の形態に係る新生児用の識別リストバンドの取り外しを行うための特殊な解除具を示す平面図である。 同新生児用の識別リストバンドを新生児の腕に取り付けた状態を示す斜視図である。 同新生児用の識別リストバンドを取り付けた状態における係止機構部の拡大断面図である。 同新生児用の識別リストバンドの取り付け状態において、特殊な解除具を用いて係止機構部の係止を解除させて取り外す状況を略示的に示した斜視図である。 同新生児用の識別リストバンドにおける係止機構部の係止を解除させて取り外す状況を拡大して略示的に示した斜視図である。 同新生児用の識別リストバンドにおける係止機構部の係止を解除させて取り外す状況を示した拡大断面図である。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。図1〜4において、好ましい形態の新生児用の識別リストバンド1は、バンド本体部2と一端部側に設けた係止機構部3とから構成されている。前記バンド本体部2は肌触りの良い柔軟な樹脂材料で形成され、幅広の表示部4と幅狭の係止部5とを一連に形成し、表示部4には、氏名の記載欄6と生年月日時間の記載欄7等の情報記載欄が設けられている。なお、この情報記載欄については、例えば、バーコードやICチップに代えることができる。また、係止部5には、一定間隔、例えば4〜8mm間隔で長さ方向に複数の係止孔8が形成されている。
係止機構部3は、バンド本体部2から横方向にはみ出して一連に形成した保持部9と、例えば、ポリアセタール樹脂で形成したホック式の雄・雌嵌合型の係止部材10、11とから構成されている。雄型係止部材10は、バンド本体部2側に取り付けられ、雌型係止部材11は、保持部9側に取り付けられ、図3の仮想線で示したように、保持部9側を捲り上げるようにして雌型係止部材11を雄型係止部材10の上部に位置させ、押圧嵌合させて係止するのである。
雄型係止部材10は、凸部12の先端部側を長円錐状に形成すると共にその先端部に肥大部13を形成し、その肥大部13のアゴ部13aはほぼ水平状態に形成すると共に、凸部12の後端部側には抜け出し防止用の円板14が形成されている。また、雌型係止部材11は、図4(a)(b)に示したように、軸部15の一方の端部に略小判型を呈する係止用の主要部16が軸部15の軸芯から偏心または一部が張り出した状態で形成され、他方の端部には抜け出し防止用の円板17が形成されている。
雌型係止部材11の軸部15には、円板17側から雄型係止部材10の凸部12が挿通される挿通孔18が形成されると共に、該挿通孔18に至る切り込み19が一方の側面、つまり、主要部16の張り出した側面側から形成される。この場合に、切り込み19は係止用の主要部16の上面では線状に切り離しであるが目立たないようになっている。そして、主要部16の上面には切り込み19を挟んでまたは境にして両側の対称位置で張り出した側面側に、後述する解除具のピンが嵌る所要深さの一対の穴20が形成されると共に、前記挿通孔18においても、その内側に円弧状の張出し部21が切り込み19を挟んで対称位置に形成されており、該張出し部21に前記雄型係止部材10の肥大部13のアゴ部13aが引っ掛かるようになっている。
次に、図5に示した特殊な解除具について説明する。解除具31は、一例として例えば、ペンチ式の把持部32、33を有するものであって、該把持部32、33の間にばね34が介在してあって、常に把持部32、33を開く方向に付勢しており、各把持部32、33の先端部32a、33aは、軸35によりペンチとは逆に常に閉じる方向に付勢されている。これは、各把持部32、33と各先端部32a、33aとが軸35を介して交差しないように同じ側に位置するように構成したからである。把持部を操作して先端部を開閉できる治具であって、
さらに、解除具31における軸35の内側、つまり、軸35より把持部32、33側に、所要長さに渡って相互の当接部32b、33bを設け、該当接部32b、33bによって把持部32、33を強く握っても先端部32a、33a側が過度に開かないようにし、雌型保持部材11の塑性変形を起こすことなく、再利用が可能な範囲で開くように構成してある。そして、各先端部32a、33aの端面には、それぞれ所要長さのピン36、37が、前記雌型係止部材11の主要部16に設けた一対の穴20と略同じ間隔で、かつ平行状態に突出させて取り付けてある。このような構成であるから、把持部32、33を掴んで握る方向に作用させることにより各先端部32a、33a側が外側に開くのである。要するに、把持部32、33を操作して先端部32a、33aを開閉できる治具であれば良い。
このように構成されている新生児用の識別リストバンド1と解除具31との使用態様または状況について図6〜図10を用いて説明する。
まず、図6に示したように、新生児の腕40の手首近傍に、新生児用の識別リストバンド1の幅狭の係止部5を一回りさせて巻き付け、程よい締め付け力を確認して、係止部5の係止孔8を雄型係止部材10の凸部12に嵌め込んでから、保持部9側を捲り上げるようにして雌型係止部材11の挿通孔18を雄型係止部材10の凸部12に嵌合させることによって取り付けられる。
この取り付け状態においては、図7に示したように、凸部12の先端部に設けた肥大部13のアゴ部13aが挿通孔18の内側に設けた円弧状の張出し部21に係合し、雄型係止部材10と雌型係止部材11とが合体して引き離すことができない状態になるのであり、当然のこととして、雄型係止部材10の凸部12に係止孔8を嵌合した識別リストバンド1の係止部5は抜き取れないのである。
生まれて数日経って新生児の身体が引き締まってきて、腕40の膨らみが縮んで識別リストバンド1が緩くなってきたときに、図8に示したように、特殊な解除具31を使用して識別リストバンド1を一時的に取り外して適正な状態に締め直すことができるのである。
即ち、解除具31のピン36、37を雌型係止部材11の主要部16に設けた穴20に挿入し、把持部32、33を握り締めることにより、図9に示したように、雌型係止部材11の主要部16が切り込み19の存在によって両側に開き、図10に示したように、凸部12における肥大部13のアゴ部13aが挿通孔18の内側に設けた張出し部21から離脱し、凸部12から主要部16を抜き取ることができる状態になる。
この状態で、解除具31を持ち上げることにより、雌型係止部材11と雄型係止部材10との嵌合状態を解除し、その後に解除具31の握り締めを緩めることで、ピン36、37が穴20から抜けると共に、主要部16が自身の弾性により元の状態、即ち、切り込み19が閉まった状態に戻るのである。
そして、例えば、解除具31をポケットに入れれば、フリーになった両手が使用でき、識別リストバンド1の係止部5側の端部を摘んで引き上げることにより、凸部12に係合している係止孔8から引き抜いて識別リストバンド1を取り外した状態にし、引き続き、引き締まった新生児の腕40の手首近傍に、その識別リストバンド1をそのまま適宜の締め付け力(緩みを解消させた状態)で巻き付け、丁度良い位置にある係止孔8を選択して凸部12に嵌め込んでから、保持部9側を捲り上げるようにして雌型係止部材11の挿通孔18を雄型係止部材10の凸部12に嵌合させることによって再度取り付けるのである。
このように、特殊な解除具31を使用することによって、識別リストバンド1を取り外して適宜に縮めたり伸ばしたりすることができるのであり、特に、出生時に取り付けた新生児用の識別リストバンド1は、新生児独特な身体の変化に追従して取り付け状態を調整することが出来るのであり、それによって、識別リストバンド1の脱落や紛失が防止できると共に、新生児の取り違えを完全に防止できるのである。なお、解除具31は誰でもが使用できるというものではなく、責任者が鍵の掛かる状態でキチンと管理して使用状況については、記録に残すようにすることが肝心である。
本発明に係る新生児用の識別リストバンドは、出生時に母親との識別のために取り付けられるものであって、一旦取り付けられると退院まで取り外しができない構成になっているため、新生児における独特な身体の変化(締り)に対応できないものである。そのために、出生後数日で緩んだ識別リストバンド1が手首から抜け落ちたり紛失したりして、取り違える事故があったりしたが、本発明では、独特な構成の識別リストバンドと特殊な解除具31とを使用することによって、新生児取り扱い上の種々の事故または不都合を解消できるのであり、その分野で広く利用できるのである。なお、前記の実施例では、新生児を対象にした説明であるが、これに限定されることなく、患者や迷子などの多岐に渡る識別用のリストバンドとしても使用可能である。
1 識別リストバンド
2 バンド本体
3 係止機構部
4 表示部
5 係止部
6、7 記載欄
8 係止孔
9 保持部
10 雄型係止部材
11 雌型係止部材
12 凸部
13 肥大部
13a アゴ部
14、17 円板
15 軸部
16 係止用の主要部
18 挿通孔
19 切り込み
20 穴
21 張出し部
31 解除具
32、33 把持部
32a、33a 先端部
34 ばね
35 軸
36、37 ピン
40 腕

Claims (2)

  1. 幅広の表示部と幅狭の係止部とを一連に形成したバンド本体部と、該バンド本体の一端部側に設けられた係止機構部とから構成され、
    前記係止機構部は、嵌合係止型の雄型係止部材と雌型係止部材とからなり、
    前記雄型係止部材は、長円錐状の凸部を有し、該凸部の先端部にアゴ部を有する肥大部を形成し、
    前記雌型係止部材は、前記凸部が挿通される挿通孔を有する軸部と、係止用の主要部とを有し、前記挿通孔に達する切込みが側面から形成されると共に、内部に切り込みを挟んで円弧状の張出し部が形成され、前記主要部には切り込みを挟んで一対の穴が形成され
    前記雌型係止部材は、特殊な解除具により雄型係止部材との係止を解除できる構成にしたこと
    を特徴とする識別リストバンド。
  2. 前記バンド本体における幅広の表示部には、少なくとも氏名と生年月日時間等の情報記載欄が設けられ、幅狭の係止部には所要間隔をもって複数の係止孔が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の識別リストバンド。
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