ロング・ターム・エボリューション(LTE)
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術に基づく第3世代モバイル・システム(3G)が、世界中で広範に配置されつつある。この技術を高度化するまたは進化させる最初のステップは、高速ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)、および高速アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)とも呼ばれる拡張アップリンクを導入し、高い優位性のある無線アクセス技術を与えることを必要とする。
さらに増加するユーザの需要に備えるため、および新しい無線アクセス技術に対して優位であるために、3GPPは、ロング・ターム・エボリューション(LTE)と呼ばれる新しいモバイル通信システムを導入した。LTEは、今後の10年に向けて、高速なデータおよびメディア転送ならびに大容量音声のサポートのためのキャリアのニーズを満たすように設計されている。高ビット・レートを提供する能力は、LTEの重要な尺度である。
進化型UMTS地上無線アクセス(UTRA)およびUMTS地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA) and UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN))と呼ばれるロング・ターム・エボリューション(LTE)に関する作業項目(WI)の仕様が、リリース8(LTE Rel.8)としてまとめられる予定である。LTEシステムは、低レイテンシーおよび低コストで完全にIPベースの機能を提供する効率的なパケット・ベースの無線アクセスおよび無線アクセス・ネットワークを表す。LTEにおいては、所与のスペクトルを用いた柔軟なシステムの配置を実現するために、1.4、3.0、5.0、10.0、15.0、および20.0MHzなどのスケーラブルな複数の送信帯域幅が規定される。ダウンリンクにおいては、直行周波数分割多重化(OFDM)に基づく無線アクセスが、低シンボル・レートであることによるマルチパス干渉(MPI)に対するその固有の耐性、サイクリック・プレフィックス(CP)の使用、およびさまざまな送信帯域幅構成に対するその親和性のために採用された。シングル・キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)に基づく無線アクセスが、ユーザ機器(UE)の限られた送信電力を考えれば広いエリア・カバレッジを提供することがピーク・データ・レートを改善することよりも優先されたので、アップリンクで採用された。多入力多出力(MIMO)チャネル送信技術を含む多くの重要なパケット無線アクセス技術が使用され、高効率の制御シグナリング構造がLTE Rel.8/9において実現される。
LTEアーキテクチャ
全体的なアーキテクチャが図1に示され、E−UTRANアーキテクチャのより詳細な表現が図2に与えられている。E−UTRANは、ユーザ機器(UE)へのE−UTRAのユーザ・プレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)プロトコルの終端を提供するeNodeBからなる。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)、媒体アクセス制御(MAC)、無線リンク制御(RLC)、およびユーザ・プレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含むパケット・データ制御プロトコル(PDCP)レイヤをホストする。eNodeB(eNB)は、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNodeB(eNB)は、無線リソース管理、アドミッション・コントロール、スケジューリング、ネゴシエーションされたアップリンクのサービス品質(QoS)の施行、セル(cell)情報のブロードキャスト、ユーザおよび制御プレーンのデータの暗号化/復号、ならびにダウンリンク/アップリンクのユーザ・プレーンのパケット・ヘッダの圧縮/解凍を含む多くの機能を実行する。eNodeBは、X2インターフェースによって相互に接続される。
eNodeBは、S1インターフェースによってEPC(進化型パケット・コア(Evolved Packet Core))に、より具体的にはS1−MMEによってMME(モビリティ管理エンティティ)に、およびS1−Uによってサービング・ゲートウェイ(SGW)にも接続される。S1インターフェースは、MME/サービング・ゲートウェイとeNodeBの間の多対多の関係をサポートする。SGWは、eNodeB間ハンドオーバ中のユーザ・プレーンのモビリティ・アンカーとして、および(S4インターフェースを終端し、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)LTEとその他の3GPP技術の間のモビリティのためのアンカーとしても働きながら、ユーザのデータ・パケットをルーティングし、転送する。アイドル状態のユーザ機器に関して、SGWは、ダウンリンクのデータ・パスを終端し、ダウンリンクのデータが当該ユーザ機器に関して到着するときにページングをトリガする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト、例えば、IPベアラ・サービスのパラメータ、ネットワークの内部のルーティング情報を管理し、記憶する。また、SGWは、合法的な傍受の際にユーザ・トラフィックの複製を実行する。
MMEは、LTEアクセス・ネットワークに関する重要な制御ノードである。MMEは、再送信を含むアイドル・モードのユーザ機器の追跡およびページング手順を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関わり、さらに、最初のアタッチのとき、およびコア・ネットワーク(CN)ノードの移転をともなうLTE内ハンドオーバのときにユーザ機器のためのSGWを選択する役割を担う。MMEは、(HSSとインタラクションすることによって)ユーザの認証を担う。非アクセス層(NAS)シグナリングは、MMEで終わり、MMEは、一時的な識別情報の生成およびユーザ機器への割り当ても担う。MMEは、サービス・プロバイダの公衆陸上モバイル・ネットワーク(Public Land Mobile Network)(PLMN)にキャンプ・オンするためのユーザ機器の権限を調べ、ユーザ機器のローミングの制限を施行する。MMEは、NASシグナリングのための暗号化/完全性保護に関するネットワーク内の終端点であり、セキュリティ鍵の管理を扱う。シグナリングの合法的な傍受も、MMEによってサポートされる。MMEは、SGSNからMMEで終わるS3インターフェースによってLTEと2G/3Gアクセス・ネットワークの間のモビリティのための制御プレーンの機能も提供する。MMEは、ユーザ機器のローミングのためのホームHSSへのS6aインターフェースも終端する。
L1/2制御シグナリング
スケジューリングされたユーザにそれらのユーザの割り当て状態について知らせるために、トランスポート・フォーマットおよびその他のデータに関連する情報(例えば、HARQ)のL1/L2制御シグナリングが、ダウンリンク上でデータとともに送信される必要がある。制御シグナリングは、(ユーザの割り当てがサブフレームごとに変わり得ると想定すると)サブフレームでダウンリンク・データと多重化される必要がある。ここで、ユーザの割り当てはTTI(送信時間間隔)に基づいて実行される可能性もあり、TTI長はサブフレームの倍数である可能性があることに留意されたい。TTI長は、すべてのユーザに対してサービス・エリアで固定である可能性があり、異なるユーザに対して異なる可能性があり、または各ユーザに対して動的である可能性さえある。概して、そのとき、L1/2制御シグナリングは、TTIごとに一回だけ送信される必要がある。L1/L2制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される。アップリンクのデータ送信に関する割り振り、ULの許可も、PDCCH上で送信されることに留意されたい。
概して、L1/L2制御シグナリングで送信される情報は、以下の2つのカテゴリーに分けられる。
●Cat1情報を搬送する共有制御情報(Shared Control Information)(SCI)。L1/L2制御シグナリングのSCI部分は、リソース割り当て(指示)に関連する情報を含む。典型的には、SCIは以下の情報を含む。
○割り当てられるユーザを示すユーザ識別情報
○ユーザが割り当てられるリソース(リソース・ブロック、RB)を示すRB割り当て情報。ユーザが割り当てられるRBの数は動的である可能性があることに留意されたい。
○任意:複数のサブフレーム(TTI)にわたる割り振りが可能である場合、割り振りの継続時間
その他のチャネルの設定および個別制御情報(DCI)の設定に応じて、SCIは、アップリンクの送信に関するACK/NACK、アップリンクのスケジューリング情報、DCIに関する情報(リソース、MCSなど)などの情報をさらに含み得る。
●Cat2/3情報を搬送する個別制御情報(DCI)
L1/L2制御シグナリングのDCI部分は、Cat1によって示されたスケジューリングされたユーザに送信されるデータの送信フォーマット(Cat2)に関連する情報を含む。さらに、(ハイブリッド)ARQが適用される場合、L1/L2制御シグナリングのDCI部分は、HARQ(Cat3)情報を搬送する。DCIは、Cat1にしたがってスケジューリングされたユーザによってのみ復号される必要がある。典型的には、DCIは以下に関する情報を含む。
○Cat2:変調方式、トランスポート・ブロック(ペイロード)サイズ(または符号化率)、MIMOに関する情報など
○Cat3:HARQに関連する情報、例えば、ハイブリッドARQプロセス番号、冗長バージョン(redundancy version)、再送シーケンス番号
以下で、DLの割り当ておよびアップリンクの割り振りのためにシグナリングされる詳細なL1/L2制御シグナリング情報が、以下で説明される。
ダウンリンク・データ送信:
ダウンリンクのパケット・データの送信と一緒に、L1/L2制御シグナリングが、別個の物理チャネル(PDCCH)上で送信される。典型的には、このL1/L2制御シグナリングは以下に関する情報を含む。
○データが送信される(1つまたは複数の)物理リソース(例えば、OFDMの場合はサブキャリアまたはサブキャリアのブロック、CDMAの場合は符号)。この情報は、データが送信されるリソースをUE(受信機)が識別することを可能にする。
○送信のために使用されるトランスポート・フォーマット。これは、データのトランスポート・ブロック・サイズ(ペイロード・サイズ、情報ビット・サイズ)、MCS(変調および符号化方式)レベル、スペクトル効率、符号化率などである可能性がある。この情報は(通常、リソース割り当てとともに)、復調、デ・レート・マッチング、および復号プロセスを開始するために、情報ビット・サイズ、変調方式、および符号化率をUE(受信機)が特定することを可能にする。場合によっては、変調方式が、明示的にシグナリングされる可能性がある。
○ハイブリッドARQ(HARQ)情報:
●プロセス番号:データがマッピングされるハイブリッドARQプロセスをUEが識別することを可能にする
●シーケンス番号または新データ・インジケータ:送信が新しいパケットであるか、または再送信パケットであるかをUEが特定することを可能にする
●冗長および/または信号点配置バージョン(constellation version):どのハイブリッドARQ冗長バージョンが使用されるか(デ・レート・マッチングに必要とされるか)、および/またはどの変調信号点配置バージョンが使用されるか(復調に必要とされるか)をUEに知らせる
○UE識別情報(UE ID):L1/L2制御シグナリングがどのUEを対象とするかを知らせる。典型的な実装において、この情報は、その他のUEがこの情報を読むことを防止するためにL1/L2制御シグナリングのCRCをマスクするために使用される。
アップリンク・データ送信:
アップリンクのパケット・データの送信を可能にするために、L1/L2制御シグナリングが、ダウンリンク(PDCCH)上で送信されて、送信の詳細についてUEに知らせる。典型的には、このL1/L2制御シグナリングは以下に関する情報を含む。
○UEがデータを送信すべき(1つまたは複数の)物理リソース(例えば、OFDMの場合はサブキャリアまたはサブキャリアのブロック、CDMAの場合は符号)。
○UEが送信のために使用すべきトランスポート・フォーマット。これは、データのトランスポート・ブロック・サイズ(ペイロード・サイズ、情報ビット・サイズ)、MCS(変調および符号化方式)レベル、スペクトル効率、符号化率などである可能性がある。この情報は(通常、リソース割り当てとともに)、変調、レート・マッチング、および符号化プロセスを開始するために、情報ビット・サイズ、変調方式、および符号化率をUE(送信機)が選択することを可能にする。場合によっては、変調方式が、明示的にシグナリングされる可能性がある。
○ハイブリッドARQ情報:
●プロセス番号:どのハイブリッドARQプロセスからUEがデータを取得すべきかをそのUEに知らせる
●シーケンス番号または新データ・インジケータ:UEに新しいパケットを送信するように、またはパケットを再送信するように指示する
●冗長および/または信号点配置バージョン:どのハイブリッドARQ冗長バージョンを使用すべきか(レート・マッチングに必要とされるか)、および/またはどの変調信号点配置バージョンを使用すべきか(復調に必要とされるか)をUEに知らせる
○UE識別情報(UE ID):どのUEがデータを送信すべきかを知らせる。典型的な実装において、この情報は、その他のUEがこの情報を読むことを防止するためにL1/L2制御シグナリングのCRCをマスクするために使用される。
上述の情報を正確に送信する方法にいくつかの異なる特色がある。さらに、L1/L2制御情報は、追加的な情報も含む可能性があり、または情報の一部を省略する可能性がある。例えば:
●HARQプロセス番号は、同期HARQプロトコルの場合は必要とされない可能性がある
●冗長および/または信号点配置バージョンは、チェイス合成が使用される(常に同じ冗長および/または信号点配置バージョン)場合、または冗長および/または信号点配置バージョンの順序が事前に定義されている場合、必要とされない可能性がある。
●電力制御情報が、制御シグナリングに追加的に含まれる可能性がある
●例えば、プリコーディングなどのMIMOに関する制御情報が、制御シグナリングに追加的に含まれる可能性がある。
●マルチ・コードワードMIMO送信の場合、複数のコードワードに関するトランスポート・フォーマットおよび/またはHARQ情報が含まれる可能性がある
LTEにおけるPDCCH上でシグナリングされるアップリンクのリソースの割り振り(PUSCH)に関しては、L1/L2制御情報は、同期HARQプロトコルがLTEのアップリンクのために使用されるのでHARQプロセス番号を含まない。アップリンクの送信のために使用されるべきHARQプロセスは、タイミングによって与えられる。さらに、冗長バージョン(RV)情報は、トランスポート・フォーマット情報と併せて符号化され、すなわち、RV情報は、トランスポート・フォーマット(TF)フィールドに埋め込まれることに留意されたい。TFまたはMCSフィールドは、例えば、32個のエントリに対応する5ビットのサイズを有する。3つのTF/MCSテーブルのエントリが、RV1、2、または3を示すために予約されている。残りのMCSテーブルのエントリは、暗黙的にRV0を示すMCSレベル(TBS)をシグナリングするために使用される。PDCCHのCRCフィールドのサイズは、16ビットである。PUSCH上のアップリンクのリソース割り当てのための制御情報に関するさらに詳細な情報は、TS36.212セクション5.3.3およびTS36.213セクション8.6に見出すことができる。
LTEにおけるPDCCH上でシグナリングされるダウンリンクの割り振り(PDSCH)に関しては、冗長バージョン(RV)が、2ビットのフィールドで別個にシグナリングされる。さらに、変調次数(modulation order)情報が、トランスポート・フォーマット情報と併せて符号化される。アップリンクの場合と同様に、PDCCH上でシグナリングされる5ビットのMCSフィールドがある。エントリのうちの3つは、明示的な変調次数をシグナリングするために予約され、トランスポート・フォーマット(トランスポート・ブロック)情報を提供しない。残り29個のエントリに関しては、変調次数およびトランスポート・ブロック・サイズ情報がシグナリングされる。PUSCH上のアップリンクのリソース割り当てのための制御情報に関するさらに詳細な情報は、TS36.212セクション5.3.3およびTS36.213セクション7.1.7に見出すことができる。
LTE(リリース8)のコンポーネント・キャリア構造
3GPP LTE(リリース8)のダウンリンク・コンポーネント・キャリアは、いわゆるサブフレームで、時間−周波数ドメインにおいて細分される。3GPP LTE(リリース8)において、各サブフレームは、図3に示されるように2つのダウンリンク・スロットに分割され、第1のダウンリンク・スロットは、第1のOFDMシンボル内の制御チャネル領域(PDCCH領域)を含む。各サブフレームは、時間ドメインにおいて所与の数のOFDMシンボル(3GPP LTE(リリース8)においては12または14個のOFDMシンボル)からなり、OFDMシンボルのそれぞれは、コンポーネント・キャリアの帯域幅全体に広がる。したがって、OFDMシンボルは、それぞれ、図4にやはり示されるように、それぞれの
個のサブキャリア上で送信されるいくつかの変調シンボルからなる。
例えば、3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)で使用されるようなOFDMを例えば使用するマルチキャリア通信システムを想定すると、スケジューラによって割り振られ得るリソースの最小単位は、1つの「リソース・ブロック」である。物理リソース・ブロックは、図4で例示されるように、時間ドメインにおいて
個の連続するOFDMシンボルとして定義され、周波数ドメインにおいて
個の連続するサブキャリアとして定義される。したがって、3GPP LTE(リリース8)において、物理リソース・ブロックは、時間ドメインにおける1スロットおよび周波数ドメインにおける180kHzに対応する
個のリソース要素からなる(ダウンリンクのリソース・グリッドに関するさらなる詳細については、例えば、http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる3GPP TS36.211、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical Channels and Modulation(リリース8)」、バージョン8.9.0または9.0.0、セクション6.2を参照されたい)。
用語「コンポーネント・キャリア」は、いくつかのリソース・ブロックの組み合わせを指す。LTEの将来のリリースにおいては、用語「コンポーネント・キャリア」はもはや使用されず、その代わりに、用語は、ダウンリンクのリソースおよび任意的なアップリンクのリソースの組み合わせを指す「セル」に変更される。ダウンリンクのリソースのキャリア周波数とアップリンクのリソースのキャリア周波数との間のつながりが、ダウンリンクのリソース上で送信されるシステム情報で示される。
LTEのさらなる進歩(LTE−A)
IMT−Advancedに関する周波数スペクトルが、世界無線通信会議2007(WRC−07)において決定された。IMT−Advancedに関する全体的な周波数スペクトルが決定されたが、実際の利用可能な周波数帯域幅は各地域または国によって異なる。しかし、利用可能な周波数スペクトルの概要に関する決定にしたがって、無線インターフェースの標準化が、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)で始まった。3GPP TSG RAN #39会合において、「E−UTRAのさらなる進歩(LTE−Advanced)」に関する検討項目の記載が承認された。検討項目は、例えば、IMT−Advancedに関する要件を満たすためのE−UTRAの進化のために検討されるべき技術的構成要素を包含する。LTE−Aに関して現在検討中である2つの主要な技術的構成要素が、以下で説明される。
より広い帯域幅をサポートするためのLTE−Aにおけるキャリア・アグリゲーション
LTE−Advancedシステムがサポートすることができる帯域幅は100MHzであるが、LTEシステムは、20MHzしかサポートすることができない。現在は、無線スペクトルの不足が、無線ネットワークの発展のボトルネックになっており、結果として、LTE−Advancedシステムのために十分なだけ広いスペクトル帯域を見出すのが難しい。したがって、より広い無線スペクトル帯域を得るための方法を見出すことが急がれており、可能な答えが、キャリア・アグリゲーション機能である。
キャリア・アグリゲーションにおいては、2つ以上のコンポーネント・キャリア(コンポーネント・キャリア)が、最大100MHzのより広い送信帯域幅をサポートするためにアグリゲートされる。LTEシステムのいくつかのセルが、LTEのこれらのセルが異なる周波数帯域にあるとしても、100MHzに十分なだけ広いLTE−Advancedシステムの1つのより広いチャネルにアグリゲートされる。
すべてのコンポーネント・キャリアは、少なくとも、アップリンクおよびダウンリンクにおけるコンポーネント・キャリアのアグリゲートされる数が同じであるときにLTE Rel.8/9と互換性があるように構成され得る。必ずしも、ユーザ機器によってアグリゲートされるすべてのコンポーネント・キャリアが、Rel.8/9と互換性があるわけではない。既存のメカニズム(例えば、規制(barring))が、Rel−8/9のユーザ機器がコンポーネント・キャリアにキャンプ・オンするのを防ぐために使用され得る。
ユーザ機器は、そのユーザ機器の能力によっては(複数のサービング・セルに対応する)1つまたは複数のコンポーネント・キャリアを同時に受信または送信することができる。キャリア・アグリゲーションのための受信および/または送信能力を有するLTE−A Rel.10のユーザ機器は、複数のサービング・セルで同時に受信および/または送信を行うことができるが、LTE Rel.8/9のユーザ機器は、コンポーネント・キャリアの構造がRel.8/9の仕様にしたがうものとして、単一のサービング・セルのみで受信および送信を行うことができる。
キャリア・アグリゲーションは、各コンポーネント・キャリアがRel.8/9の数え方(numerology)を用いて周波数ドメインで最大110個のリソース・ブロックに制限されるようにして、連続的なコンポーネント・キャリアと不連続なコンポーネント・キャリアの両方に関してサポートされる。アップリンクおよびダウンリンクにおいて、同じeNodeBから生じ、おそらくは異なる帯域幅の異なる数のコンポーネント・キャリアをアグリゲートするようにユーザ機器を構成することが可能である。
− 構成され得るダウンリンク・コンポーネント・キャリアの数は、ユーザ機器のダウンリンクのアグリゲーション能力に依存する。
− 構成され得るアップリンク・コンポーネント・キャリアの数は、ユーザ機器のアップリンクのアグリゲーション能力に依存する。
− ダウンリンク・コンポーネント・キャリアよりも多いアップリンク・コンポーネント・キャリアを用いるユーザ機器を構成することはできない。
− 典型的なTDDの配置においては、アップリンクおよびダウンリンクにおけるコンポーネント・キャリアの数、および各コンポーネント・キャリアの帯域幅は同じである。
同じeNodeBから生じるコンポーネント・キャリアは、必ずしも同じカバレッジを提供しない。
連続的にアグリゲートされるコンポーネント・キャリアの中央の周波数の間の間隔は、300kHzの倍数になる。これは、Rel.8/9の100kHzの周波数ラスタ(frequency raster)と互換性があり、同時に15kHz間隔のサブキャリアの直交性を保つためである。アグリゲーションのシナリオによっては、n×300kHzの間隔をとることは、連続的なコンポーネント・キャリアの間に少数の使用されないサブキャリアを挿入することによって容易にされ得る。
複数のキャリアのアグリゲーションの性質は、最高でMACレイヤまでしか明らかにされない。アップリンクとダウンリンクの両方に関して、それぞれのアグリゲートされるコンポーネント・キャリアのためにMACで必要とされる1つのHARQエンティティが存在する。(アップリンクに関して−SU−MIMO−シングル・ユーザ多入力多出力が使われない場合)コンポーネント・キャリアごとに最大で1つのトランスポート・ブロックが存在する。トランスポート・ブロックおよびその潜在的なHARQ再送信は、同じコンポーネント・キャリアにマッピングされる必要がある。有効化されたキャリア・アグリゲーションを用いたレイヤ2の構造が、それぞれダウンリンクおよびアップリンクに関して図5および図6に示される。
キャリア・アグリゲーションが構成されるとき、ユーザ機器は、ネットワークとの1つのRRCコネクションのみを有する。RRCコネクションの確立/再確立において、1つのサービング・セルが、LTE Rel.8/9と同様に、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)ならびに非アクセス層のモビリティ情報(例えば、TAI)を提供する。RRCコネクションの確立/再確立の後、そのセルに対応するコンポーネント・キャリアは、ダウンリンク・プライマリ・セル(Pセル)と呼ばれる。常に1つであり、1つだけであるダウンリンクPセル(DL Pセル)と、接続モードのユーザ機器ごとに構成される1つのアップリンクPセル(UL Pセル)とが存在する。ダウンリンクにおいては、Pセルに対応するキャリアはダウンリンク・プライマリ・コンポーネント・キャリア(DL PCC)であり、一方、アップリンクにおいては、そのキャリアはアップリンク・プライマリ・コンポーネント・キャリア(UL PCC)である。
ユーザ機器の能力に応じて、セカンダリ・セル(Sセル)が、Pセルと一緒にサービング・セルの組を形成するように構成され得る。したがって、ユーザ機器のためのサービング・セルの構成された組は、常に、1つのPセル、および1つまたは複数のSセルからなる。ダウンリンクおよびアップリンクPセルおよびSセルの特徴は、
− アップリンクPセルが、レイヤ1のアップリンク制御情報(PUCCH)の送信のために使用されること
− Sセルと異なり、ダウンリンクのPセルが非アクティブ化できないこと
− 再確立が、ダウンリンクSセルがレイリー・フェージング(RLF)を被るときではなくダウンリンクPセルがRLFを被るときにトリガされること
− 各Sセルに関して、ダウンリンクのリソースの使用に加えて、UEによるアップリンクのリソースの使用が構成可能であること(したがって、構成されるDL SCCの数は、常に、UL Sセルの数以上であり、いかなるSセルも、アップリンクのリソースの使用のためだけに構成することはできない)
− UEの観点から見て、それぞれのアップリンクのリソースが、1つのサービング・セルにのみ属すること
− Pセルが、ハンドオーバ手順によって(すなわち、セキュリティ鍵の変更およびRACH手順によって)のみ変更され得ること
− 構成され得るサービング・セルの数が、UEのアグリゲーション能力に依存すること
− 非アクセス層情報が、ダウンリンクPセルから取得されること
である。
Sセルの再構成、追加、および削除は、RRCによって実行され得る。LTE内ハンドオーバにおいて、RRCは、やはり、ハンドオーバ先Pセルとともに使用するためのSセルを追加、削除、または再構成する可能性がある。新しいSセルを追加するとき、個別RRCシグナリングが、Sセルのすべての必要とされるシステム情報を送信するために使用され、すなわち、接続モードである間に、ユーザ機器が、ブロードキャストされたシステム情報をSセルから直接取得する必要はない。
キャリア・アグリゲーションが構成されるとき、ユーザ機器は、複数のコンポーネント・キャリアにわたって同時にスケジューリングされ得るが、いかなるときも、最大で1つのランダム・アクセス手順が、実行中であるべきである。キャリアをまたがるスケジューリングは、コンポーネント・キャリアの物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)が別のコンポーネント・キャリアのリソースをスケジューリングすることを可能にする。この目的で、コンポーネント・キャリア識別フィールド(component carrier identification field)(CIF)が、それぞれのダウンリンク制御情報(DCI)フォーマットに導入される。アップリンク・コンポーネント・キャリアとダウンリンク・コンポーネント・キャリアの間のつながりが、キャリアをまたがらないスケジューリングが存在するときに、許可が与えられるアップリンク・コンポーネント・キャリアを特定することを可能にする。アップリンク・コンポーネント・キャリアへのダウンリンク・コンポーネント・キャリアのつながりは、必ずしも1対1である必要はない。言い換えると、2つ以上のダウンリンク・コンポーネント・キャリアが、同じアップリンク・コンポーネント・キャリアにリンクする可能性がある。同時に、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアは、1つのアップリンク・コンポーネント・キャリアにしかリンクしない可能性がある。
Sセルのアクティブ化/非アクティブ化
CAが構成されるときに妥当なUEのバッテリ消費を可能にするために、Sセルのアクティブ化/非アクティブ化メカニズムがサポートされる(すなわち、アクティブ化/非アクティブ化はPセルには適用されない)。Sセルが非アクティブ化されるとき、UEは、対応するPDCCHまたはPDSCHを受信する必要がなく、対応するアップリンクで送信することができず、CQIの測定を実行することも必要とされない。反対に、Sセルがアクティブであるとき、UEは、PDSCHおよびPDCCH(UEがこのSセルからのPDCCHを監視するように構成されている場合)を受信することになり、CQIの測定を実行することができることが期待される。
アクティブ化/非アクティブ化メカニズムは、MAC制御要素と非アクティブ化タイマとの組み合わせに基づく。MAC制御要素は、Sセルのアクティブ化および非アクティブ化に関するビットマップを運び、1に設定されたビットは、対応するSセルのアクティブ化を表し、一方、0に設定されたビットは、非アクティブ化を表す。ビットマップを用いて、Sセルを個々にアクティブ化および非アクティブ化することができ、単一のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが、Sセルのサブセットをアクティブ化/非アクティブ化することができる。対応するアクティブ化/非アクティブ化MAC CEが、図20に示される。UEがアグリゲートすることができる最大で4つのSセルが存在するとしても、MAC CEは、それぞれがSCellIndex iで構成されたSセルに対応する7つのエントリを含むことに留意されたい。
1つの非アクティブ化タイマがSセルごとに保持されるが、1つの共通の値がRRCによってUEごとに構成される。モビリティ制御情報を用いない再構成において、
○サービング・セルの組に追加されたSセルは、最初は「非アクティブ」である。
○(変更されないかまたは再構成されるかのどちらかの)サービング・セルの組に残るSセルは、それらのSセルのアクティブ化の状態(「アクティブ」または「非アクティブ」)を変更しない。
モビリティ制御情報を用いた再構成(すなわち、ハンドオーバ)において、
○Sセルは「非アクティブ化される」。
LTEのアップリンク・アクセス方式
アップリンクの送信に関して、電力効率の良いユーザ端末の送信が、カバレッジを最大化するために必要である。動的な帯域幅の割り当てを用いるFDMAと組み合わされたシングル・キャリア送信が、進化型UTRAのアップリンク送信スキームとして選択された。シングル・キャリア送信が好まれる主な理由は、マルチキャリア信号(OFDMA)と比較して低いピーク対平均電力比(PAPR)、ならびに対応する改善された電力増幅器の効率および想定される改善されたカバレッジ(所与の端末のピーク電力に対するより高いデータ・レート)である。それぞれの時間間隔の間に、NodeBは、ユーザにユーザ・データを送信するための一意的な時間/周波数リソースを割り振り、それによって、セル内の直交性を保証する。アップリンクにおける直交接続(orthogonal access)は、セル内の干渉をなくすことによってスペクトル効率を高めることを保証する。マルチパス伝搬による干渉は、送信信号にサイクリック・プレフィックスを挿入することによる助けの下で基地局(NodeB)において処理される。
データ送信のために使用される基本的な物理リソースは、1つの時間間隔、例えば、0.5msのサブフレーム中のサイズBWgrantの周波数リソースからなり、その基本的な物理リソースに、符号化された情報ビットがマッピングされる。送信時間間隔(TTI)とも呼ばれるサブフレームは、ユーザ・データの送信のための最小時間間隔であることに留意されたい。しかし、サブフレームを連結することによって、1つのTTIよりも長い期間にわたって周波数リソースBWgrantをユーザに割り振ることが可能である。
LTEのアップリンク・スケジューリング方式
アップリンクの方式は、スケジューリングされたアクセス、すなわち、eNBによって制御されたアクセスと、コンテンション・ベースのアクセスとの両方を可能にする。
スケジューリングされたアクセスの場合、UEは、アップリンクのデータ送信のために、特定の時間の間の特定の周波数リソース(すなわち、時間/周波数リソース)を割り当てられる。しかし、一部の時間/周波数リソースは、コンテンション・ベースのアクセスのために割り当てられる可能性がある。これらの時間/周波数リソースの中では、UEは、最初にスケジューリングされることなく送信を行うことができる。UEがコンテンション・ベースのアクセスを行っている1つのシナリオは、例えば、ランダム・アクセス、すなわち、UEがセルへの最初のアクセスを行っているときのランダム・アクセス、またはアップリンクのリソースを要求するためのランダム・アクセスである。
スケジューリングされたアクセスに関して、NodeBのスケジューラは、アップリンクのデータ送信のために、一意的な周波数/時間リソースをユーザに割り振る。より具体的には、スケジューラは、
○送信を許可されているどの(1つまたは複数の)UEか、
○どの物理チャネルリソース(周波数)か、
○送信のためにモバイル端末によって使用されるべきトランスポート・フォーマット(変調符号化方式(MCS))
を決定する。
割り当て情報が、L1/L2制御チャネル上で送信されるスケジューリングの許可によってUEにシグナリングされる。簡単にするために、このチャネルは、以下でアップリンク許可チャネルと呼ばれる。スケジューリング許可メッセージは、少なくとも、UEが周波数帯域のどの部分を使用することを許可されるか、許可の有効期間、およびUEが今度のアップリンクの送信のために使用しなければならないトランスポート・フォーマットの情報を含む。最も短い有効期間は、1サブフレームである。選択された方式によっては、追加的な情報が、許可メッセージに含まれ得る。「UEごとの」許可のみが、UL−SCH上で送信する権利を与えるために使用される(すなわち、「UEごとRBごとの」許可は存在しない)。したがって、UEは、割り当てられたリソースを何らかの規則にしたがって無線ベアラの間に分配する必要があり、このことは、次のセクションにおいて詳細に説明される。HSUPAと異なり、UEに基づくトランスポート・フォーマットの選択は存在しない。eNBは、何らかの情報、例えば、レポートされたスケジューリング情報およびQoS情報に基づいてトランスポート・フォーマットを決定し、UEは、選択されたトランスポート・フォーマットにしたがわなければならない。HSUPAにおいては、NodeBが、最大のアップリンクのリソースを割り振り、UEは、それに応じて、データ送信のための実際のトランスポート・フォーマットを選択する。
無線リソースのスケジューリングは、サービス品質を決定するための共有チャネル・アクセス・ネットワークにおける最も重要な機能であるので、効率的なQoS管理を可能にするためにLTEのULスケジューリング方式によって満足されるべきいくつかの要件がある。
○優先順位の低いサービスのスターベーション(starvation)が回避されなければならない
○無線ベアラ/サービスに関する明確なQoSの区別が、スケジューリング方式によってサポートされなければならない
○eNBのスケジューラがどの無線ベアラ/サービスに関してデータが送信されるべきであるかを特定することを可能にするために、ULのレポートが、粒度の高いバッファ・レポート(例えば、無線ベアラごと、または無線ベアラ・グループごと)を可能にしなければならない。
○異なるユーザのサービス間の明確なQoSの区別を行うことが可能でなければならない
○無線ベアラごとに最小のビット・レートを提供することが可能でなければならない
上記のリストから分かるように、LTEのスケジューリング方式の1つの不可欠な点は、運用者が、異なるQoSクラスの無線ベアラの間でのその運用者のアグリゲートされるセルの容量の分割を制御することができるメカニズムを提供することである。無線ベアラのQoSクラスは、上述のように、AGWからeNBにシグナリングされる対応するSAEベアラのQoSプロファイルによって特定される。そのとき、運用者は、その運用者のアグリゲートされるセルの容量の特定の量を、特定のQoSクラスの無線ベアラに関連するアグリゲートされるトラフィックに割り当てることができる。このクラスに基づくアプローチを使用する主な目的は、パケットが属するQoSクラスに応じてそれらのパケットの処理を区別することができることである。
媒体アクセス制御(MAC)およびMAC制御要素
MACレイヤは、LTE無線プロトコル・スタックのレイヤ2アーキテクチャ内の最下位の副層である(http//www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、3GPP TS36.321、「Medium Access Control (MAC) protocol specification」、バージョン8.7.0、特に、セクション4.2、4.3、5.4.3、6を参照されたい)。下位の物理レイヤとの接続は、トランスポート・チャネルを介して行われ、上位のRLCレイヤとの接続は、論理チャネルを介して行われる。MACレイヤは、論理チャネルおよびトランスポート・チャネルとの間で、多重化および逆多重化を実行する。送信側(以下の例においてはユーザ機器)のMACレイヤは、論理チャネルを介して受けとったMAC SDUから、トランスポート・ブロックとも呼ばれるMAC PDUを構成し、受信側のMACレイヤは、トランスポート・チャネルを介して受けとったMAC PDUから、MAC SDUを回復する。
多重化および逆多重化エンティティでは、いくつかの論理チャネルからのデータが、1つのトランスポート・チャネルに多重化され、いくつかの論理チャネルへのデータが、1つのトランスポート・チャネルから逆多重化される。多重化エンティティは、新しい送信のために無線リソースが利用可能である場合、MAC SDUからMAC PDUを生成する。このプロセスは、どれだけのデータをどの論理チャネルから各MAC PDU内に含めるべきかを決定するための、論理チャネルからのデータに対する優先順位付けを含む。3GPP用語では、ユーザ機器においてMAC PDUを生成するプロセスは、論理チャネル優先順位付け(logical channel prioritization)(LCP)と呼ばれることに留意されたい。
逆多重化エンティティは、MAC PDUからMAC SDUを組み立て直し、それらを適切なRLCエンティティに分配する。加えて、MACレイヤ間でのピアツーピア通信のために、「MAC制御要素」と呼ばれる制御メッセージを、MAC PDU内に含めることができる。
MAC PDUは、主として、MACヘッダと、MACペイロードとからなる(3GPP TS36.321、セクション6を参照されたい)。MACヘッダは、さらに、MACサブヘッダから構成され、一方、MACペイロードは、MAC制御要素と、MAC SDUと、パディングとから構成される。各MACサブヘッダは、論理チャネルID(LCID)と、長さ(L)フィールドとからなる。LCIDは、MACペイロードの対応部分がMAC制御要素であるかどうかを示し、MAC制御要素ではない場合、関連MAC SDUがどの論理チャネルに属するかを示す。Lフィールドは、関連MAC SDUまたはMAC制御要素のサイズを示す。既に上で述べたように、MAC制御要素は、アップリンクにおける、BSR情報およびUEの利用可能電力のレポートの送付、ならびにダウンリンクにおける、DRXコマンドおよびタイミング・アドバンス・コマンドの送付を含む、MACレベルのピアツーピア・シグナリングのために使用される。MAC制御要素の各タイプに対して、1つの特別なLCIDが割り当てられる。MAC PDUの一例が、図21に示されている。
電力制御
モバイル通信システム内のアップリンク送信機電力制御は、必要なQoSを達成するのに十分なビット当たりの送信機エネルギーを求める要求と、システムの他のユーザに及ぼす干渉を最小化し、ユーザ機器のバッテリ寿命を最大化するという要求とをバランスさせるという目的に役立つ。これを達成する際、アップリンク電力制御は、同一セルおよび近隣セル内の他のユーザからの干渉に打ち勝つばかりでばく、経路損失、シャドーイング、および高速フェージングを含む、無線伝搬チャネルの特性に適合しなければならない。電力制御(PC)の役割は、必要なSINR(信号対干渉および雑音比)を提供しながら、同時に近隣セルに及ぼす干渉を制御するうえで、きわめて重要になっている。アップリンクにおける古典的なPC方式の考えは、すべてのユーザが同じSINRで受信されることであり、これは、完全補償(full compensation)として知られている。代替として、3GPPは、LTE Rel.8/9に関して、部分電力制御(Fractional Power Control)(FPC)の使用を決めた。この新しい機能は、経路損失がより激しいユーザをより低いSINRの要件で動作させ、したがって、それらのユーザは、近隣のセルに対してより小さな干渉を生じる可能性が高くなる。
LTE Rel.8/9において提供される電力制御方式は、開ループ制御と閉ループ制御とを組み合わせたものを利用する。1モードの動作は、経路損失推定に基づいて、開ループ手段によって、送信電力密度スペクトルについての粗い動作点を設定することを含む。その後、閉ループ電力制御によって、開ループ動作点の周辺で、より高速な動作を適用することができる。これは、干渉を制御し、高速フェージングを含むチャネル状態に適するように電力設定を微調整する。
メカニズムのこの組み合わせを用いて、LTE Rel.8/9における電力制御方式は、2モード以上の動作に対してサポートを提供する。それは、配備シナリオ、システム負荷、および通信業者の選好に応じた異なる電力制御戦略に対する、ツールキットと見なすことができる。
詳細な電力制御の式が、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)、およびサウンディング基準信号(SRS)に関するLTE Rel.8/9(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる、3GPP TS36.213、「Physical layer procedures」、バージョン8.8.0のセクション5.1)で規定されている。これらのアップリンク信号のそれぞれに関する式は、同じ基本原理にしたがい、いかなる場合も、それらの式は、2つの主要な項、すなわち、eNodeBによってシグナリングされる静的または準静的なパラメータから導出される基本的な開ループ動作点(basic open−loop operating point)と、サブフレームごとに更新される動的なオフセットとの総和と見なされ得る。
リソース・ブロックごとの送信電力に関する基本的な開ループ動作点は、セル内の干渉およびセルの負荷を含むいくつかの要因によって決まる。基本的な開ループ動作点は、2つの構成要素、(dBmで測られる)セル内のすべてのユーザ機器に対する共通電力レベルおよびUEに固有のオフセットからさらに構成される準静的基本レベル(semi−static base level)P0と、開ループ経路損失補償構成要素(open−loop path−loss compensation component)とにさらに分割され得る。リソース・ブロックごとの電力の動的なオフセットの部分も、2つの構成要素、MCSによって決まる構成要素と、明示的な送信機電力制御(TPC)コマンドとにさらに分割され得る。
MCSに依存する構成要素(LTEの仕様においてはΔTFと呼ばれ、ここで、TFは「トランスポート・フォーマット」を意味する)は、リソース・ブロックごとの送信電力が、送信される情報のデータ・レートにしたがって適合されることを可能にする。
動的なオフセットのもう一方の構成要素は、UEに固有のTPCコマンドである。これらは、2つの異なるモード、すなわち、(PUSCH、PUCCH、およびSRSに対して利用可能な)累積的TPCコマンド(accumulative TPC command)、および(PUSCHに対してのみ利用可能な)絶対的TPCコマンド(absolute TPC command)で働くことができる。PUSCHに関して、これら2つのモードの間の切り替えは、RRCシグナリングによって各UEに対して準静的に構成される−すなわち、モードは、動的に変更できない。累積的TPCコマンドを用いる場合、各TPCコマンドは、前のレベルに対して相対的な電力ステップをシグナリングする。モバイル通信システム内のアップリンク送信機電力制御は、必要なQoSを達成するのに十分なビット当たりの送信機エネルギーを求める要求と、システムの他のユーザに及ぼす干渉を最小化し、ユーザ機器のバッテリ寿命を最大化するという要求とをバランスさせるという目的に役立つ。
これを達成する際、アップリンク電力制御は、同一セルおよび近隣セル内の他のユーザからの干渉に打ち勝つばかりでばく、経路損失、シャドーイング、および高速フェージングを含む、無線伝搬チャネルの特性に適合しなければならない。
基準サブフレームiにおけるPUSCH送信のためのUE送信電力PPUSCH[dBm]の設定は、
PPUSCH(i)=min{PCMAX,10log10(MPUSCH(i))+PO_PUSCH(j)+α(j)・PL+ΔTF(i)+f(i)} (式1)
によって定義される(3GPP TS36.213、セクション5.1.1.1を参照されたい)。
− PCMAXは、与えられた範囲内のUEによって選択された最大UE送信電力である(以下を参照されたい)。
− MPUSCHは、割り当てられた物理リソース・ブロック(PRB)の数である。より多くのPRBが割り当てられるほど、より多くのアップリンク送信電力が割り当てられる。
− P0_PUSCH(j)は、RRCによってシグナリングされたベース送信電力を示す。半永続的スケジューリング(semi−persistent scheduling)(SPS)および動的スケジューリングの場合、これは、セルに固有の公称成分PO_NOMINAL_PUSCH(j)∈[−126,...,24]と、UEに固有の成分PO_UE_PUSCH(j)∈[−127,...,−96]との和である。RACHメッセージ3の場合は、プリアンブル送信電力からのオフセットである。
− αは、(システム情報上でブロードキャストされる)セルに固有のパラメータを表す。このパラメータは、経路損失PLがどれだけ補償されるかを示す。α=1は、eNodeBにおける受信信号レベルが、ユーザ機器の位置に関わらず、すなわち、セル・エッジ付近か、それとも中央かに関わらず、同じであることを意味する。経路損失が完全に補償される場合、セル・エッジに近づくほどデータ・レートが悪化することが回避される。SPSおよび動的スケジューリングの場合、α∈{0,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1}であり、RACHメッセージ3の場合、α(j)=1である。
− PLは、基準信号受信電力(RSRP)の測定値と、シグナリングされた基準信号(RS)の送信電力とに基づいてユーザ機器において導出されたUEの経路損失である。PLは、
PL=基準信号電力−より高位のレイヤのフィルタリングされたRSRP
と定義することができる。
− ΔTFは、変調および符号化方式(トランスポート・フォーマット)に依存する電力オフセットである。したがって、ΔTFは、送信情報のデータ・レートにしたがって、リソース・ブロック当たりの送信電力を適合させることを可能にする。
− f(i)は、eNodeBからUEにシグナリングされた閉ループ電力制御コマンドの関数である。f()は、累積的TPCコマンドの場合、累積分を表す。閉ループ・コマンドが、累積的である(各TPCコマンドは直前のレベルに対する電力ステップをシグナリングする)か、それとも絶対的である(各TCPコマンドは以前のTPCコマンドの系列とは無関係である)かは、より高位のレイヤによって設定される。累積的TPCコマンドの場合、電力ステップ値の2つの組、すなわち、DCIフォーマット3Aの場合の(−1,1)dBと、DCIフォーマット3の場合の(−1,0+1,+3)dBとが提供される。絶対的TPCコマンドによってシグナリングすることができる値の組は、DCIフォーマット3によって示される(−4,−1,1,4)dBである。
電力ヘッドルーム・レポート
eNodeBが適切な方法で異なるユーザ機器に対してアップリンク送信リソースをスケジュールするのを支援するためには、ユーザ機器が、利用可能な電力ヘッドルームをeNodeBにレポートできることが重要である。
eNodeBは、電力ヘッドルーム・レポートを使用して、ユーザ機器がサブフレーム当たりさらにどれだけアップリンク帯域幅を使用可能であるかを決定することができる。これは、リソースの浪費を避けるために、アップリンク送信リソースを、それを使用できないユーザ機器に割り当てないようにするのに役立つ。
電力ヘッドルーム・レポートの範囲は、+40から−23dBである(http//www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、3GPP TS36.133、「Requirements for support of radio resource management」、バージョン8.7.0、セクション9.1.8.4を参照されたい)。範囲の負の部分は、UEが利用可能であるよりも多くの送信電力を要求するULグラントをUEがどの程度受信したかを、ユーザ機器がeNodeBにシグナリングすることを可能にする。これによって、eNodeBは、以降のグラントのサイズを小さくすることが可能になり、したがって、他のUEに割り当てる送信リソースを解放する。
電力ヘッドルーム・レポートは、UEがUL送信グラントを有するサブフレーム内でのみ送信することができる。レポートは、それが送信されるサブフレームに関する。したがって、ヘッドルーム・レポートは、直接的な測定値ではなく予測値であり、UEは、レポートが送信されるサブフレームの実際の送信電力ヘッドルームを直接的に測定することはできない。したがって、それは、UEの電力増幅器出力の適度に正確な較正に依存する。
電力ヘッドルーム・レポートをトリガする数々の基準が定義される。それらには、以下のものが含まれる。
− 最後の電力ヘッドルーム・レポート以降に生じた推定経路損失の大きな変化。
− 直前の電力ヘッドルーム・レポート以来、設定時間よりも長い時間が経過したこと。
− 設定数よりも多くの閉ループTPCコマンドがUEによって実施されたこと。
eNodeBは、システム負荷およびスケジューリング・アルゴリズムの要請に応じて、これらトリガの各々を制御するためのパラメータを設定することができる。より具体的には、RRCは、2つのタイマperiodicPHR−TimerおよびprohibitPHR−Timerを設定することによって、また電力ヘッドルーム・レポートをトリガする測定されたダウンリンク経路損失の変化を設定するdl−PathlossChangeをシグナリングすることによって、電力ヘッドルーム・レポーティングを制御する。
電力ヘッドルーム・レポートは、MAC制御要素として送信される。電力ヘッドルーム・レポートは、単一のオクテットからなり、上位2ビットは、予約されており、下位6ビットは、上で述べた1dBステップの64個のdB値を表す。MAC制御要素の構造が、図40に示されている。
サブフレームiについての有効なUE電力ヘッドルームPH[dB]は、
PH(i)=PCMAX−{10・log10(MPUSCH(i))+P0_PUSCH(j)+α(j)・PL+ΔTF(i)+f(i)} (式2)
によって定義される(3GPP TS36.213のセクション5.1.1.2を参照されたい)。
電力ヘッドルームは、1dBステップの範囲[40;−23]dB内の最も近い値に丸められる。PCMAXは、最大総UE送信電力(またはユーザ機器の最大総送信電力)であり、以下の制約に基づいて、PCMAX_LからPCMAX_Hまでの与えられた範囲内からユーザ機器によって選択される値である。
− PCMAX_L≦PCMAX≦PCMAX_H
− PCMAX_L=min(PEMAX−ΔTC,PPowerClass−MPR−AMPR−ΔTC)
− PCMAX_H=min(PEMAX,PPowerClass)
PEMAXは、ネットワークによってシグナリングされる値であり、ΔTC、MPR、およびAMPR(A−MPR(追加最大電力低減(Additional Maximum Power Reduction))とも表記される)は、http//www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる、3GPP TS36.101、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); User Equipment (UE) radio transmission and reception」、バージョン8.7.0、セクション6.2に規定されている。
MPRは、さまざまな変調方式および送信帯域幅に関連する隣接チャネル漏れ電力比(Adjacent Channel Leakage Power Ratio)(ACLR)を制御するために使用される電力低減値、いわゆる最大電力低減である。隣接チャネルは、例えば、別の進化型ユニバーサル地上無線アクセス(E−UTRA)チャネルまたはUTRAチャネルとすることができる。最大許容電力低減(maximum allowed power reduction)(MPR)も、3GPP TS36.101に定義されている。それは、チャネル帯域幅および変調方式に応じて異なる。ユーザ機器の低減は、この最大許容電力低減(MPR)値よりも小さくすることができる。3GPPは、ユーザ機器の最大送信電力が、ACLR要件に依然として準拠しながら、公称最大総送信電力マイナスMPR以上であることを検証する、MPRテストを規定している。
以下の表1は、UE電力クラス3についての最大電力低減を示している。
例えば、10MHzのチャネル帯域幅を割り当てる場合、QPSK変調を使用して、12個よりも多くのリソース・ブロックを割り当てるときは、ユーザ機器によって適用されるMPRは、1dB以下であるべきである。ユーザ機器によって適用される実際のMPRは、UEの実装に依存し、したがって、eNBには分からない。
上で指摘したように、AMPRは、追加最大電力低減である。AMPRは、帯域に固有であり、ネットワークによって構成されるときに適用される。上の説明から分かるように、PCMAXは、UEの実装に固有であり、したがって、eNodeBには分からない。
図41は、UE送信電力ステータスおよび対応する電力ヘッドルームについての例示的なシナリオを示している。図41の左側では、ユーザ機器は、電力制限されていないが(正のPHR)、図41の右側では、負の電力ヘッドルームが、ユーザ機器の電力制限を暗示している。P
CMAX_L≦P
CMAX≦min(P
EMAX,P
PowerClass)であり、ここで、下側境界P
CMAX_Lは、一般に、最大電力低減MPRと、追加最大電力低減AMPRとに主に依存すること、すなわち、
であることに留意されたい。
キャリア・アグリゲーションのためのアップリンク電力制御
LTE−AdvanceのUL電力制御の1つの主要なポイントは、コンポーネント・キャリアに固有のUL電力制御がサポートされる、すなわち、UEのために構成されたそれぞれのULのコンポーネント・キャリアに対して1つの独立した電力制御ループが存在することになることである。さらに、電力ヘッドルームが、コンポーネント・キャリアごとにレポートされる。
Rel−10においては、キャリア・アグリゲーションの範囲内に、2つの最大電力の制限、最大総UE送信電力およびCCに固有の最大送信電力が存在する。RAN1は、RAN1 #60bis会合において、CCごとにレポートされる電力ヘッドルーム・レポートが最大電力低減(maximum power reduction)(MPR)を考慮することに合意した。言い換えると、UEに適用される電力の低減が、CCに固有の最大送信電力PCMAX,c(cはコンポーネント・キャリアを表す)で考慮される。
Rel−8/9と異なり、LTE−Aに関して、UEは、Rel−8/9と比較してより大きなMPR値を必要とし、適用されるMPR値のより大きな変動ももたらすPUSCH−PUCCHの同時送信、マルチクラスタ・スケジューリング(multi−cluster scheduling)、および複数のCC上での同時送信も扱わなければならない。
実際の電力の低減は、割り当ての種類、標準化されたMPR値、およびさらにUEの実装に依存するので、eNBは、各CCに対してUEによって適用される電力の低減の知識を持たないことに留意されたい。したがって、eNBは、UEがそれに対してPHRを計算するCCに固有の最大送信電力を知らない。Rel−8/9においては、例えば、UEの最大送信電力Pcmaxは、下記のように、何らかの特定の範囲内にある可能性がある。
PCMAX_L≦PCMAX≦PCMAX_H
CCの最大送信電力に対してUEによって適用される電力の低減がeNBによって知られていないという事実のために、Rel−10においては、拡張電力ヘッドルームMAC制御要素(extended power headroom MAC controlelement)とも呼ばれる新しい電力ヘッドルームMAC制御要素を導入することが合意された。Rel−8/9のPHR MAC CEフォーマットとの主な違いは、その新しい電力ヘッドルームMAC制御要素が、それぞれのアクティブ化されたULのCCに関してRel−8/9の電力ヘッドルーム値を含み、したがって、可変のサイズであることである。さらに、新しい電力ヘッドルームMAC制御要素は、CCに関する電力ヘッドルーム値だけをレポートするのではなく、対応するPcmax,c(インデックスcを持つCCの最大送信電力)値もレポートする。PUSCH−PUCCHの同時送信を考慮するために、UEは、Pセルに関して、PUSCHのみの送信に関連するRel−8/9の電力ヘッドルーム値(タイプ1電力ヘッドルームと呼ばれる)をレポートし、UEがPUSCH−PUCCHの同時送信のために構成されている場合は、タイプ2電力ヘッドルームとも呼ばれる、PUCCHおよびPUSCHの送信を考慮するさらなる電力ヘッドルーム値をレポートする(図21参照)。拡張電力ヘッドルームMAC制御要素のさらなる詳細は、TS36.321のセクション6.1.3.6aに見出すことができる。
UEの総送信電力、すなわち、すべてのCC上の送信電力の総和が最大のUE送信電力
を超えそうな場合、UEは、PUSCH/PUCCH上のアップリンクの送信電力を引き下げる必要がある。定義された電力のスケーリング中のアップリンク・チャネルの優先順位付けのための特定の規則が存在する。基本的に、PUCCH上で送信される制御情報が最も高い優先順位を有し、すなわち、PUSCHの送信は、PUCCHの送信電力が低減される前に最初に引き下げられる。これは、満足される必要がある以下の条件によってやはり表され得る。
ここで、
は、P
PUCCH(i)(サブフレームiにおけるPUCCHの送信電力)のリニア値(linear value)であり、
は、P
PUSCH,c(i)(サブフレームiにおけるキャリアc上のPUSCHの送信電力)のリニア値であり、
は、サブフレームiにおけるUEの合計の構成された最大出力電力P
CMAXのリニア値であり、w(i)は、サービング・セルcに関する
の倍率であり、0≦w(i)≦1である。サブフレームiにおいてPUCCHの送信がない場合は、
である。
UEがサービング・セルj上でアップリンク制御情報(UCI)をともなうPUSCHの送信と、残りのサービング・セルのうちのいずれかにおけるUCIをともなわないPUSCHとを有し、UEの総送信電力が
を超えそうである場合に関して、UEは、条件
が満足されるように、サブフレームiにおけるUCIをともなわないサービング・セルに関する
をスケーリングし、ここで、
は、UCIをともなうセルに関するPUSCHの送信電力であり、w(i)は、UCIをともなわないサービング・セルcに関する
の倍率である。この場合、
であり、UEの総送信電力がまだ
を超えそうでない限り、電力のスケーリングは
に適用されない。w(i)の値は、w(i)>0であるときはサービング・セルによらず同じであるが、特定のサービング・セルに関して、w(i)は0である可能性があることに留意されたい。
UEがサービング・セルj上でUCIをともなうPUCCHおよびPUSCHの同時送信と、残りのサービング・セルのうちのいずれかにおけるUCIをともなわないPUSCHの送信とを有し、UEの総送信電力が
を超えそうである場合、UEは、
および
にしたがって
を得る。
タイミング・アドバンス
3GPP LTEのアップリンク送信スキームに関して、シングル・キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)が、アップリンクで送信する異なるユーザ機器間の時間および周波数における直交多元接続を実現するために選択された。
アップリンクの直交性は、セルにおける異なるユーザ機器からの送信がeNodeBの受信機において時間が揃っていることを保証することによって保たれる。これは、連続するサブフレームで送信するように割り振られたユーザ機器間、および隣接するサブキャリア上で送信するユーザ機器間の両方でセル内干渉が起こることを防ぐ。アップリンクの送信のタイム・アライメント(time alignment)は、図9に例示されるように、受信されるダウンリンクのタイミングに対して相対的に、ユーザ機器の送信機におけるタイミング・アドバンスを適用することによって実現される。この主な役割は、異なるユーザ機器間の異なる伝播遅延を打ち消すことである。
図9aは、eNodeBが、2つの移動局から異なるタイミングでそれぞれのアップリンク送信を受信するなど、アップリンクのタイミング・アライメントが実行されない場合の、2つの移動局からのアップリンク送信のミスアライメントを示している。
図9bは、それとは対照的に、2つの移動局間で同期のとれたアップリンク送信を示している。アップリンクのタイミング・アライメントは、各移動局によって実行され、2つの移動局からのアップリンク送信が、実質的に同じタイミングでeNodeBに到着するように、アップリンク送信に適用される。
初期タイミング・アドバンス手順
ユーザ機器がeNodeBから受信されるダウンリンクの送信に同期されるとき、初期タイミング・アドバンスが、以下で説明されるようにランダム・アクセス手順によって設定される。ユーザ機器は、ランダム・アクセス・プリアンブルを送信し、eNodeBはそのランダム・アクセス・プリアンブルに基づいてアップリンクのタイミングを推定することができる。eNodeBは、ランダム・アクセス応答(RAR)メッセージに含まれる11ビットの初期タイミング・アドバンス・コマンドで応答する。これは、タイミング・アドバンスがeNodeBによって0から最大0.67msまで0.52μsの粒度で構成されることを可能にする。
3GPP LTE(リリース8/9)のアップリンクのタイミングおよびタイミング・アドバンスの制御に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれるStefania Sesia、Issam Toufik、およびMatthew Baker、「LTE - The UMTS Long Term Evolution: From Theory to Practice」、John Wiley & Sons, Ltd. 2009年の第20.2章に見出すことができる。
タイミング・アドバンスの更新
タイミング・アドバンスが各ユーザ機器に対して最初に設定されると、タイミング・アドバンスは、eNodeBにおけるアップリンク信号の到着時間の変化を打ち消すために随時更新される。タイミング・アドバンス更新コマンドの導出において、eNodeBは、有用な任意のアップリンク信号を測定することができる。eNodeBにおけるアップリンクのタイミングの測定の詳細は規定されておらず、eNodeBの実装に委ねられる。
タイミング・アドバンス更新コマンドは、eNodeBの媒体アクセス制御(MAC)レイヤにおいて生成され、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)上でデータと一緒に多重化され得るMAC制御要素としてユーザ機器に送信される。ランダム・アクセス・チャネル(RACH)プリアンブルに応じた初期タイミング・アドバンス・コマンドと同様に、更新コマンドは、0.52μsの粒度を有する。更新コマンドの範囲は±16μsであり、拡張されたサイクリック・プレフィックスの長さに等しいアップリンクのタイミングの段階的変化を可能にする。概して、それら更新コマンドは、約2秒ごとよりも頻繁に送信されることはない。実際は、500km/hで移動するユーザ機器に関してさえも、0.93μs/sの往復時間の変化に対応する往復の経路の長さの変化は278m/s以下であるので、高速な更新が必要である可能性は低い。
eNodeBは、データがUEの送信バッファに到着するときに素早く送信するUEの能力に対して、セル内のすべてのUEに定期的なタイミング更新コマンドを送信するオーバヘッドのバランスをとる。したがって、eNodeBは、タイミング・アドバンスの更新が受信されるたびにユーザ機器が再始動する各ユーザ機器に関するタイマを構成する。タイマが切れる前にユーザ機器が別のタイミング・アドバンスの更新を受信しない場合、ユーザ機器は、アップリンクの同期を失ったと考えなければならない(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる3GPP TS36.321、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Medium Access Control(MAC) protocol specification」、バージョン8.9.0のセクション5.2も参照されたい)。
そのような場合、その他のユーザ機器からのアップリンクの送信に対する干渉を生じるリスクを避けるために、UEは、あらゆる種類の別のアップリンクの送信を行うことを許されず、アップリンクのタイミングを回復するために初期タイミング・アライメント(timing alignment)手順に戻る必要がある。
タイミング・アドバンス・スコマンドを受信したとき、ユーザ機器は、プライマリ・セルのPUCCH/PUSCH/SRSに関するそのユーザ機器のアップリンクの送信タイミングを調整する。タイミング・アドバンス・コマンドは、現在のアップリンクのタイミングに対して相対的なアップリンクのタイミングの変化を16Tsの倍数として示す。
ランダム・アクセス手順
LTEのモバイル端末は、そのモバイル端末のアップリンクの送信が時間同期される場合にのみ、アップリンクの送信に関してスケジューリングされ得る。したがって、ランダム・アクセス(RACH)手順は、同期されていないモバイル端末(UE)とアップリンクの無線アクセスの直交送信との間のインターフェースとして重要な役割を担う。
基本的に、LTEのランダム・アクセスは、ユーザ機器のアップリンクの同期をまだとっていないかまたは失ったかのどちらかのユーザ機器に関するアップリンクの時間同期を行うために使用される。ユーザ機器が1回アップリンクの同期をとると、eNodeBは、そのユーザ機器に対してアップリンクの送信リソースをスケジューリングすることができる。したがって、以下のシナリオがランダム・アクセスに当てはまる。
− RRC_CONNECTED状態であるがアップリンクの同期がとれていないユーザ機器が、新しいアップリンクのデータまたは制御情報を送信することを望んでいる
− RRC_CONNECTED状態であるがアップリンクの同期がとれていないユーザ機器が、ダウンリンクのデータを受信することを要求され、したがって、対応するHARQフィードバック、すなわち、ACK/NACKをアップリンクで送信することを要求される。このシナリオは、ダウンリンク・データ到着とも呼ばれる
− RRC_CONNECTED状態であるユーザ機器が、そのユーザ機器の現在のサービング・セルから新しいハンドオーバ先セルにハンドオーバし、ハンドオーバ先セルにおいてアップリンクの時間同期をとるために、ランダム・アクセス手順が実行される
− 例えば、最初のアクセスまたはトラッキング・エリアの更新のためにRRC_IDLE状態からRRC_CONNECTEDに遷移する
− 無線リンク障害からの回復、すなわち、RRCコネクションの再確立
ユーザ機器が時間同期されているとしてもユーザ機器がランダム・アクセス手順を実行するもう1つのさらなる場合がある。このシナリオにおいては、ユーザ機器が、スケジューリング要求を送信するための割り当てられたいかなるその他のアップリンク・リソースも持たない、すなわち、個別スケジューリング要求(D−SR)チャネルが構成されていない場合、ユーザ機器は、スケジューリング要求、すなわち、アップリンク・バッファ状態レポートをそのeNodeBに送信するためにランダム・アクセス手順を使用する。
LTEは、アクセスがコンテンション・ベースである、すなわち、固有の衝突のリスクをともなうか、またはコンテンション・フリー(非コンテンション・ベース)であるかのどちらかであることを可能にする2種類のランダム・アクセス手順を提供する。コンテンション・ベースのランダム・アクセスは、上で挙げられた6つのシナリオのすべてに適用され得るが、非コンテンション・ベースのランダム・アクセス手順は、ダウンリンク・データ到着およびハンドオーバのシナリオに対してのみ適用され得ることに留意されたい。
以下で、コンテンション・ベースのランダム・アクセス手順が、図7に関連してより詳細に説明される。ランダム・アクセス手順の詳細な説明は、3GPP36.321、セクション5.1にも見出すことができる。
図7は、LTEのコンテンション・ベースのRACH手順を示す。この手順は、4つの「ステップ」からなる。最初に、ユーザ機器は、物理ランダム・アクセス・チャネル(PRACH)上でeNodeBにランダム・アクセス・プリアンブルを送信する(701)。プリアンブルは、コンテンション・ベースのアクセスのためにeNodeBによって予約された利用可能なランダム・アクセス・プリアンブルの組からユーザ機器によって選択される。LTEにおいては、コンテンション・フリーおよびコンテンション・ベースのランダム・アクセスのために使用され得る、セルごとに64個のプリアンブルが存在する。コンテンション・ベースのプリアンブルの組は2つのグループにさらに細分化可能である。したがって、プリアンブルの選択は、TS36.321においてmsg3と呼ばれる最初のスケジューリングされた送信(ステップ703参照)のために必要とされる送信リソースの量に関する情報を示す1ビットの情報を運ぶことができる。セルでブロードキャストされるシステム情報は、2つのサブグループのそれぞれにどのシグネチャ(signature)(プリアンブル)があるのかおよび各サブグループの意味の情報を含む。ユーザ機器は、メッセージ3の送信のために必要とされる送信リソースのサイズに対応するサブグループから1つのプリアンブルをランダムに選択する。
eNodeBがRACHプリアンブルを検出した後、eNodeBは、プリアンブルが検出された時間−周波数スロットを特定する(ランダム・アクセス)RA−RNTIを用いてPDCCH上でアドレス指定されるPDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル)上でランダム・アクセス応答(RAR)メッセージを送信する(702)。衝突とも呼ばれる、複数のユーザ機器が同じPRACHリソースで同じRACHプリアンブルを送信した場合には、それらのユーザ機器は、同じランダム・アクセス応答を受信する。
RARメッセージは、検出されたRACHプリアンブルと、その後のアップリンクの送信の同期をとるためのタイミング・アライメント・コマンド(TAコマンド)と、最初のスケジューリングされた送信(ステップ703参照)の送信のための初期アップリンク・リソースの割り振り(許可)と、一時的セル無線ネットワーク一時識別子(Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier)(T−CRNTI)の割り振りとを運ぶ。このT−CRNTIは、この時点ではモバイル機器の「本当の」識別情報がeNodeBにまだ知られていないので、RACH手順が終了されるまで、RACHプリアンブルが検出された(1つまたは複数の)モバイル機器をアドレス指定するためにeNodeBによって使用される。
さらに、RARメッセージは、ランダム・アクセスの試みを再び試す前にある期間待つようにユーザ機器に指示するためにeNodeBが設定することができるいわゆるバックオフ・インジケータ(back−off indicator)も含み得る。ユーザ機器は、eNodeBによって構成される所与の時間窓内でランダム・アクセス応答の受信に関してPDCCHを監視する。ユーザ機器が構成された時間窓内でランダム・アクセス応答を受信しない場合、ユーザ機器は、潜在的なバックオフ期間を考慮して、次のPRACHの機会にプリアンブルを再送信する。
eNodeBから受信されたRARメッセージに応答して、ユーザ機器は、ランダム・アクセス応答内の許可によって割り振られたリソース上で最初のスケジューリングされたアップリンクの送信を送信する(703)。このスケジューリングされたアップリンクの送信は、例えば、RRCコネクション要求、トラッキング・エリアの更新、またはバッファ状態レポートのような実際のランダム・アクセス手順のメッセージを運ぶ。さらに、このスケジューリングされたアップリンクの送信は、RRC_CONNECTEDモードのユーザ機器に関するC−RNTIか、またはユーザ機器がRRC_IDLEモードである場合の一意的な48ビットのユーザ機器の識別情報かのどちらかを含む。ステップ701においてプリアンブルの衝突が起こった、すなわち、複数のユーザ機器が同じPRACHリソース上で同じプリアンブルを送信した場合、衝突しているユーザ機器は、ランダム・アクセス応答内で同じT−CRNTIを受信することになり、それらのユーザ機器のスケジューリングされた送信を送信する(703)ときに同じアップリンク・リソースでやはり衝突することになる。これは、衝突しているユーザ機器からの送信がeNodeBにおいて復号されない干渉をもたらす可能性があり、ユーザ機器は、それらのユーザ機器のスケジューリングされた送信に関する再送信の最大回数に到達した後にランダム・アクセス手順を再び開始することになる。1つのユーザ機器からのスケジューリングされた送信がeNodeBによって正常に復号される場合、競合がその他のユーザ機器に関して未解決のまま残る。
この種類の競合の解決のために、eNodeBは、C−RNTIまたは一時的C−RNTIにアドレス指定された競合解決メッセージを送信し(704)、後者の場合、ステップ703のスケジューリングされた送信に含まれる48ビットのユーザ機器の識別情報をそのまま返す。その競合解決メッセージは、HARQをサポートする。衝突の後、ステップ703において送信されたメッセージが正常に復号される場合、HARQフィードバック(ACK)は、自身の識別情報、C−RNTIかまたは一意的なユーザ機器IDかのどちらかを検出するユーザ機器によってのみ送信される。その他のUEは、ステップ1において衝突があったことを理解し、すぐに現在のRACH手順をやめ、別のRACH手順を開始することができる。
図8は、3GPP LTE Rel.8/9のコンテンション・フリーのランダム・アクセス手順を示している。コンテンション・ベースのランダム・アクセス手順と比較して、コンテンション・フリーのランダム・アクセス手順は、簡素化されている。eNodeBが、ランダム・アクセスのために使用すべきプリアンブルをユーザ機器に提供し(801)、したがって、衝突のリスクがなく、すなわち、同じプリアンブルを送信する複数のユーザ機器は存在しない。したがって、ユーザ機器は、eNodeBによってシグナリングされたプリアンブルをアップリンクにおいてPRACHリソース上で送信する(802)。コンテンション・フリーのランダム・アクセスに関しては、複数のUEが同じプリアンブルを送信する場合が避けられるので、競合解決は不要であり、このことは、ひいては、図7に示されたコンテンション・ベースの手順のステップ704が省略され得ることを示唆する。基本的に、コンテンション・フリーのランダム・アクセス手順は、ランダム・アクセス応答を正常に受信した後、終了される。
キャリア・アグリゲーションが構成されるとき、コンテンション・ベースのランダム・アクセス手順の最初の3つのステップはPセルで行われるが、競合解決(ステップ704)は、Pセルによってクロス・スケジューリングされる可能性がある。
最初のプリアンブルの送信電力設定は、経路損失の完全補償を用いた開ループの推定に基づく。これは、プリアンブルの受信電力が経路損失に無関係であることを保証するように設計される。
eNBは、例えば、所望の受信SINR、RACHプリアンブルに割り当てられた時間−周波数スロットにおける測定されたアップリンクの干渉および雑音のレベル、ならびに場合によってはプリアンブルのフォーマットに応じて追加的な電力オフセットを構成する可能性もある。さらに、eNBは、それぞれの再送信されるプリアンブルに関して、すなわち、PRACHの送信の試みが成功しなかった場合に、送信が決まった段階だけ引き上げられるようにプリアンブルの電力ランピング(power ramping)を構成する可能性がある。
PRACHの電力は、
PPRACH=min{PCMAX,c(i),PREAMBLE_RECEIVED_TARGET_POWER+PLC}[dBm]
を評価することによりUEによって決定され、ここで、PCMAX,c(i)は、プライマリ・セルのサブフレームiに対する構成された最大のUE送信電力であり、PLCは、プライマリ・セルに関してUEで計算されたダウンリンクの経路損失の推定値である。
PREAMBLE_RECEIVED_TARGET_POWERは、
preambleInitialReceivedTargetPower+DELTA_PREAMBLE+(PREAMBLE_TRANSMISSION_COUNTER−1)*powerRampingStep
に設定される。
チャネル品質フィードバック要素
3GPP LTEには、チャネル品質についてのフィードバックとして与えてもよく、または与えなくてもよい、以下の3つの基本要素が存在する。
− 変調および符号化方式インジケータ(MCSI)、これは、3GPP LTE仕様では、チャネル品質インジケータ(CQI)とも呼ばれる。
− プリコーディング行列インジケータ(PMI)
− ランク・インジケータ(RI)
MCSIは、レポーティング・ユーザ機器へのダウンリンク送信のために利用すべき変調および符号化方式を提案し、一方、PMIは、仮定された送信行列ランク、またはRIによって与えられた送信行列ランクを使用する、マルチアンテナ送信(MIMO)のために利用されるプリコーディング行列/ベクトルを指し示す。チャネル品質レポーティングおよび送信メカニズムについての詳細は、3GPP TS36.212、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); Multiplexing and channel coding (リリース8)」、バージョン8.7.0、セクション5.2、および3GPP TS36.213、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); Physical layer procedures (リリース8)」、バージョン8.7.0、セクション7.2に見出すことができる(どちらの文献も、http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる)。
これらの要素はすべて、本明細書では、チャネル品質フィードバックという用語で一括される。したがって、チャネル品質フィードバックは、複数のMCSI、PMI、およびRI値の任意の組み合わせを含むことができる。チャネル品質フィードバック・レポートは、さらに、チャネル共分散行列もしくは要素、チャネル係数などのメトリック、または当業者に明らかな他の適切なメトリックを含むこと、またはそれらからなることができる。
LTE−A(リリース10)におけるチャネル品質フィードバック
LTE(リリース8)ではただ1つのコンポーネント・キャリアしか定義されないので、システム帯域幅のどの部分でCQIレポーティングが行われるかについての曖昧性は、ユーザ機器において存在しない。CQI要求フラグが(現在の送信モードと一緒に)、CQIフィードバックをどのようにeNodeBに提供すべきかを、ユーザ機器に曖昧性なしに指示する。
LTE−A(リリース10)におけるキャリア・アグリゲーションの導入にともない、LTE(リリース8)CQIレポーティング手順を再利用すべきであると仮定すると、CQI要求をユーザ機器がどのように解釈できるかについて異なる可能性が存在する。図38に示すように、一般には、eNodeBまたは中継ノードからユーザ機器に送信される、アップリンク送信のための(CQI要求を含む)UL−DCIは、単一のダウンリンク・コンポーネント・キャリア内に配置されることを仮定することができる。ユーザ機器においてCQI要求を処理するための単純な規則は、ユーザ機器によるCQI送信をUL−DCIが要求する場合はいつでも、その要求は、対応するUL−DCIが送信されたダウンリンク・コンポーネント・キャリアに適用されるというものである。すなわち、ユーザ機器は、CQIレポートを要求するUL−DCIを同時に含んでいたダウンリンク・コンポーネント・キャリアについての非周期的なCQIフィードバックを、与えられたUL送信において送信するだけである。
CQI要求を含むUL−DCIの代替的な処理が、図39に示されている。UL−DCIがユーザ機器によるCQI送信を要求する場合はいつでも、ユーザ機器は、前記要求を、ユーザ機器へのダウンリンク送信に利用可能なすべてのダウンリンク・コンポーネント・キャリアに適用する。
ダウンリンク送信を複数のコンポーネント・キャリア上で行うことができる場合、効率的なスケジューリングおよびリンク・アダプテーションは、正確かつ最新のCQIを利用可能かどうかに依存する。しかし、制御シグナリングおよびCQI送信リソースを効率的に使用するためには、CQIが(ネットワーク側から)要求され、(端末側から)送信される、コンポーネント・キャリアがいくつあり、どれであるかを制御することが可能でなければならない。
図39に関して上で説明した第1の解決策によれば、複数のコンポーネント・キャリアについてのCQIを要求するためには、CQIが要求されるコンポーネント・キャリアの数と、送信する必要があるUL−DCIメッセージの数とは同じである。言い換えると、5つのコンポーネント・キャリアについてのCQIを要求するには、ただ1つのコンポーネント・キャリアについてのCQIを要求する場合よりも5倍多くのUL−DCIメッセージを送信する必要がある。したがって、この解決策は、ダウンリンク制御オーバヘッドの観点からは、あまり効率的ではない。図39に示された上記の第2の解決策によれば、単一のアップリンクDCIメッセージが、すべてのコンポーネント・キャリアについてのCQIを要求する。したがって、ダウンリンク制御オーバヘッドは非常に小さい。しかし、結果のアップリンク送信は、ネットワークが、選択されたただ1つのコンポーネント・キャリアについてのCQIしか現在は要求していないことを知っている場合であっても、すべてのコンポーネント・キャリアについてのCQIの送信を可能にする大量のリソースを常に要求する。したがって、この解決策は、アップリンク・リソースの使用については効率的ではなく、要求されるコンポーネント・キャリアCQIの数について、いかなる柔軟性も提供しない。
アップリンクにおけるタイミング・アドバンスおよびコンポーネント・キャリア・アグリゲーション
3GPP規格の現在の仕様においては、ユーザ機器は、1つのタイミング・アドバンス値のみを保有し、すべてのアグリゲートされるコンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信にこれを適用する。今のところ、同じ周波数帯域内のセルのアグリゲーション、いわゆる周波数内キャリア・アグリゲーションが、サポートされている。特に、アップリンクのタイミング同期が、例えば、Pセル上のRACH手順によってPセルに関して実行され、それから、ユーザ機器は、アグリゲートされるSセル上のアップリンクの送信に対して同じアップリンクのタイミングを使用する。すべてのアグリゲートされるアップリンク・コンポーネント・キャリアに対する単一のタイミング・アドバンスは、3GPP LTE−A Rel.10までの現在の仕様が同じ周波数帯域からのキャリアのキャリア・アグリゲーションのみをサポートするので、十分であると見なされている。
しかし、将来、例えば、将来のリリース11においては、異なる周波数帯域からのアップリンク・コンポーネント・キャリアをアグリゲートする可能性があり、その場合、それらのアップリンク・コンポーネント・キャリアは、異なる干渉およびカバレッジの特性にさらされる可能性がある。遠く隔たった周波数帯域上のアップリンク・コンポーネント・キャリアを想定すると、それらのアップリンク・コンポーネント・キャリアを用いるアップリンクの送信は、異なる送信チャネルの影響にさらされる可能性がある。換言すれば、送信チャネルが周波数選択的であると想定される必要があるので、遠く隔たった周波数帯域上のアップリンク・コンポーネント・キャリアは、散乱、マルチパス伝搬、およびチャネル・フェージングによって異なった影響を与えられる可能性がある。したがって、異なる周波数帯域からのアップリンク・コンポーネント・キャリアのアグリゲーションは、それらの周波数帯域の異なる伝播遅延を補償しなければならない。
さらに、例えば図13に示されるリモート・ラジオ・ヘッド(RRH)または例えば図14に示される周波数選択的リピータ(Frequency Selective Repeater)(FSR)のような技術の配置が、アグリゲートされるコンポーネント・キャリアに関する異なる干渉および伝搬のシナリオをさらに引き起こす。例えば、図14は、FSRがどのようにしてコンポーネント・キャリア2(CoCa2)に関する周波数f2のみの信号を中継するのかを示し、周波数f1の信号はFSRによって強められない。その結果、FSRからの信号の信号強度がeNodeB(図示せず)の信号強度よりも高いと想定するとき、コンポーネント・キャリア2は、周波数選択的リピータを経由してユーザ機器によって受信される一方、UEは、コンポーネント・キャリア1(CoCa1)をeNodeBから直接受信する。これは、2つのコンポーネント・キャリアの間の異なる伝播遅延につながる。
したがって、1つのユーザ機器内に2つ以上のタイミング・アドバンスを導入する必要があり、すなわち、別個のタイミング・アドバンスが、特定のコンポーネント・キャリア(サービング・セル)のために必要とされる可能性がある。
1つの明らかな解決策は、Pセルと同様にして、SセルのそれぞれでもRACH手順を実行してアップリンクの同期をとることである。しかし、SセルでRACH手順を実行することは、さまざまな不利益を生じる。
直接的な結果として、ユーザ機器は、アグリゲートされたSCellのためのランダム・アクセス手順のプロトコル部分を実施することを要求されるが、これは、RRCレイヤばかりでなく、物理レイヤ、MACレイヤにも影響し、したがって、UEの複雑さを高める。
1つのサブフレーム、すなわちTTIにおけるPRACHとPUSCH/PUCCHとの同時送信を考慮するとき、電力制御/電力割り当て手順は複雑である。これは、ユーザ機器のアップリンクが1つのコンポーネント・キャリア、例えばSセル上で同期を外れており、一方、別のアップリンク・コンポーネント・キャリア、例えばPセル上ではアップリンクの同期がとれたままである場合に当てはまる可能性がある。Sセルに関するアップリンクの同期を再びとるために、ユーザ機器は、例えば、PDCCHによって命じられたRACHアクセスを実行する。その結果、ユーザ機器は、RACHプリアンブルを送信し、すなわち、PRACHの送信を実行し、同じTTIにおいて、ユーザ機器は、PUSCHおよび/またはPUCCHも送信する。
現在、PUSCH/PUCCHおよびPRACHに関する電力制御ループは完全に独立しており、すなわち、PRACHの電力は、PUSCH/PUCCHの電力を決定するときに考慮されず、その逆もまた同様である。PRACHおよびPUSCH/PUCCHの同時送信に対処するためには、アップリンクの電力制御アルゴリズムに対する変更が必要とされる。例えば、今のところ、多重化されたアップリンク制御情報(UCI)をともなうPUCCH、PUSCH、およびUCIをともなわないPUSCHだけが電力を制限する場合に関して考慮されるので、電力の制限のために電力のスケーリングが使用される必要があるときにPRACHの送信を考慮することが必要である。PUCCHは、PUSCHを上回る最も高い優先順位を与えられ、多重化されたUCIをともなうPUSCHは、UCIをともなわないPUSCHよりも高い優先順位を持つと見なされる。
PUCCH>UCIをともなうPUSCH>UCIをともなわないPUSCH
アップリンク電力制御に関する章で挙げられた電力を制限する場合に関する優先順位付けの規則が、PRACHの送信によって拡張される必要がある。しかし、一方でPUCCHまたはPUSCH上で送信されるアップリンクの制御情報が適切なシステムの動作を可能にするために高い優先順位を持ち、他方でPRACHもRACH手順によって被る遅延を最小にするためにeNBにおける高い検出の確率を保証するためにやはり優先順位付けされるべきであるので、前記の点で容易で単純な解決策は存在しない。
電力制御の観点に加えて、PRACHおよびPUSCH/PUCCHの同時送信を扱う必要がある電力増幅器に関してもさらなる不利益がある。PRACHとPUSCH/PUCCHの間にアップリンクのタイミングの特定の差が存在し、例えば、PRACHに関するタイミング・アドバンスは当然0であり、ガード・タイム、GTは96.88μsから715.63μsの範囲内にある。これが、コンポーネント・キャリア0上のPUSCHの送信およびコンポーネント・キャリア1上の対応するPRACHの送信を示す図22に示される。明らかなように、PRACH送信は、サブフレームに関して、PUSCH送信と時間が揃っていない。
ガード・タイムが原因で、望ましくない1つのサブフレーム内の電力の変動がある。これらの電力の過渡現象は、ユーザ機器の実装をさらに複雑にし、言い換えると、最大電力低減が、EMCの要件を満足するために1つのサブフレーム中でやはり変わる必要がある。
リモート・ラジオ・ヘッド(RRH)または周波数選択的リピータ(FSR)などの技術を展開するのにともない、異なる伝搬経路が、異なる伝搬遅延をeNodeBとユーザ機器UEとの間の通信に導入することがある。異なる周波数帯域のセル・アグリゲーションを仮定すると、図13および図14に関して説明したように、ユーザ機器によるeNodeBへの送信および/またはeNodeBからの受信は、eNodeBの異なるロケーションに起因する異なる伝搬遅延によって、ならびにRRHもしくはFSR、および/または周波数選択チャネル効果によって影響を受けることがある。
具体的には、異なる伝搬遅延および/または周波数選択チャネル効果は、複数のアップリンク・サービング・セルを介するeNodeBへのアップリンク送信に悪影響を与えるばかりでなく、以下で明らかとなるように、ユーザ機器UEへのダウンリンク送信にとっても不都合である。
図37には、eNodeB、RRH、およびユーザ機器UEが関わるシナリオが示されている。
上で説明したように、異なるまたは同じ周波数帯域に属するダウンリンク・サービング・セル(コンポーネント・キャリア)のアグリゲーションをUEが行えるようにすることができる。ユーザ機器が、RRHによって提供される第1のダウンリンク・サービング・セルと、eNodeBによって提供される第2のダウンリンク・サービング・セルとをアグリゲートする場合、ユーザ機器は、異なる伝搬遅延をこうむったRRHからのダウンリンク送信と、eNodeBからのダウンリンク送信とを受信する。
言い換えると、ユーザ機器は、eNodeBによって提供されるサービング・セルのダウンリンクのサブフレームを、RRHによって提供されるダウンリンク・サービング・セルの対応するダウンリンクのサブフレームの受信よりも遅れた時点で受信し、ここで、対応するダウンリンクのサブフレームという用語は、同じサブフレーム番号を有するサブフレームを指す。図37には、異なる伝搬遅延も示されている。
特に、eNodeBによって提供されるサービング・セルのダウンリンクのサブフレームの送信時刻が時刻t
0であると仮定すると、ユーザ機器は、このダウンリンクのサブフレームを時刻t
eNodeBで受信する。さらに、eNodeBおよびRRHによって対応するダウンリンクのサブフレームが同期をとって送信される場合、RRHによって提供されるサービング・セルの対応するダウンリンクのサブフレームの送信時刻も時刻t
0であり、ユーザ機器は、このダウンリンクのサブフレームを時刻t
RRHで受信する。eNodeBとRRHの間の伝搬遅延差
が小さいとしても、eNodeBおよびRRHのダウンリンク・サービング・セルは、それらの異なるロケーションおよび/または周波数選択チャネル効果に起因する、異なる伝搬遅延をこうむる。
eNodeBおよびRRHによって提供されるサービング・セル上のダウンリンク送信についての伝搬遅延が異なることが原因で、ユーザ機器は、異なるサービング・セルの対応するダウンリンクのサブフレームを異なる時刻で受信する。同様に、周波数選択的ルータ(FSR)も、異なる伝搬遅延をユーザ機器に対して導入することがあり、すなわち、その場合、ユーザ機器は、FSRから部分的に、またeNodeBから部分的にダウンリンク・サービング・セルをアグリゲートする。
例えば、図37に示されるシナリオでは、ユーザ機器は、eNodeBから100kmの距離のところに配置されている。距離が100kmである場合、eNodeBからのダウンリンクのサブフレームの受信は、送信時刻の0.33ms後になり、一方、RRHはより近い位置にあるため、ユーザ機器は、RRHからのサービング・セルの対応するダウンリンクのサブフレームをより早い時刻で受信する。
対応するダウンリンクのサブフレームは、ユーザ機器によって同時に処理される必要があるので、異なる伝搬遅延は、ユーザ機器によって実行される受信動作にとって不都合である。特に、対応するダウンリンクのサブフレームは、アグリゲートされたすべてのサービング・セルから対応するサブフレームを受信したときに初めてユーザ機器がそれを処理できるような、相互に関連する情報を含むことがある。
明白な解決策は、アグリゲートされたサービング・セル間の時間差の間、サービング・セルそれぞれのコンポーネント・キャリアについてのデータを一時的に記憶するための受信バッファをユーザ機器が含むように規定することであり、例えば、上で与えた例では、eNodeBからの遅延データのデータは、ユーザ機器によってバッファする必要がある。しかし、大きな受信バッファを提供することは、さまざまな不都合をもたらす。
第1に、受信バッファを有するユーザ機器を実現しても、ダウンリンク送信の処理が遅延する問題の解決にはならない。特に、アグリゲートされたサービング・セルの対応するサブフレームは、ユーザ機器によって一緒に処理される必要があるので、複数の対応するサブフレームの1つの最も遅い受信時刻が、複数の対応するサブフレームの処理の開始時刻を決定し、その結果、アグリゲートされたサービング・セルのすべてのダウンリンク送信が、同じ遅延をこうむる。
さらに、大きな受信バッファを設けると、ユーザ機器のコストが増加し、ユーザ機器の実装の複雑さにとっても不都合であり、例えば、半径が最大100kmの場合、必要な受信バッファのサイズは非常に大きい。
加えて、アグリゲートされたサービング・セル上の対応するダウンリンクのサブフレームは、ユーザ機器が復号のためにそれらを一緒に処理する前に、受信バッファ内で識別されなければならないので、ユーザ機器が実施する受信動作が、ひいては、ハードウェアに関するユーザ機器の複雑さを高める。アグリゲートされたサービング・セルの対応するサブフレームのみを含む小さな受信バッファの場合、ユーザ機器は、対応するダウンリンクのサブフレームの識別を追加的に実行することは要求されない。
本発明は、上述のさまざまな不利益を避けるように努める。
本発明の1つの目的は、異なる伝播遅延がアップリンク・コンポーネント・キャリア上
の送信に課される場合に、それらのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のタイミングを揃えるためのメカニズムを提案することである。本発明の別の目的は、モバイル端末がランダム・アクセス手順を実行することなくアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントを実行することを可能にするためのメカニズムを提案することである。本発明のさらなる目的は、不必要に高いユーザ機器受信機要件、例えば、大きなUE受信窓を必要とせずに、モバイル端末が、さまざまなダウンリンク・コンポーネント・キャリア(サービング・セル)をアグリゲートすることを可能にするメカニズムを提案することである。
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態が、従属請求項によって規定される。さらなる目的は、複数のアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントによってハンドオーバの遅延を削減することを可能にするハンドオーバ・メカニズムを提案することである。
本発明の第1の態様によれば、モバイル端末が、目標セルとして、既に時間が揃っており、同じまたは異なるアグリゲーション・アクセス・ポイント(aggregation access point)によって制御される基準アップリンク・セルに対して相対的に時間が揃っていないアップリンク・セル(以降、目標セルと呼ばれる)の時間を揃え、時間が揃っていないアップリンクの目標セルの時間を揃える手順が基づくタイミング情報をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。少なくとも1つの既存のセルが、既に時間が揃っており、本発明の時間を揃える手順のための基準セルとして働くと想定される。有利なことに、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されるタイミング情報が、アップリンクの目標セルにおける時間を揃えるプロセスを制御するためにアグリゲーション・アクセス・ポイントによって使用され得る。
より詳細には、ランダム・アクセス・チャネル、RACH、手順を実行する代わりに、モバイル端末は、特定のタイミングの差の情報を測定することによって、時間が揃っていないアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信の時間を揃える。特定のタイミングの差の情報は、モバイル端末が、アップリンクの目標セル上のモバイル端末のアップリンクの送信の時間を揃えるためのタイム・アライメントを推定することを可能にする。
そのとき、モバイル端末は、既に時間が揃っている基準セルに関連して目標セルの時間を揃えるためにモバイル端末によって使用されるべき必要なアップリンクのタイミング・アライメントに関する情報を計算する。タイミング・アドバンスを計算するために、モバイル端末は、少なくとも測定値と基準セルのタイミング・アドバンスとを使用する。
続いて、モバイル端末は、計算された情報を用いて、基準セルのタイミング・アドバンス値(モバイル端末に知られている値)に対して相対的に目標セルのアップリンク上のそのモバイル端末のアップリンクの送信のタイミングを調整する。
特定のタイミングの差の情報は、アップリンクの目標セル上のモバイル端末のアップリンクの送信のためのタイム・アライメントを推定するためにアグリゲーション・アクセス・ポイントによっても使用され得る。特に、アップリンクの目標セルの時間を揃えるための基準として使用される、基準セル上のモバイル端末によるアップリンクの送信のタイミング・アドバンスは、アグリゲーション・アクセス・ポイントによって既に知られている。したがって、アグリゲーション・アクセス・ポイントも、基準セルに関連して目標セルの時間を揃えるためにモバイル端末によって使用されるべき必要なアップリンクのタイミング・アライメントに関する情報を計算することができる。
特定のタイミングの差の情報をモバイル端末によってアグリゲーション・アクセス・ポイントにレポートすることは、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、アップリンクの目標セルのためにモバイル端末によって使用されるべきタイム・アライメントを追跡することを可能にする。同様に、目標セルの時間を揃えるために使用されるべき必要なアップリンクのタイミング・アライメントに関する計算された情報をモバイル端末によってアグリゲーション・アクセス・ポイントにレポートすることは、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、アップリンクの目標セルのためにモバイル端末によって使用されるべきタイム・アライメントを知ることをやはり実現する。
アップリンクの目標セルのためにモバイル端末によって使用されるべきタイム・アライメントの知識は、詳細な実施形態の説明から明らかになるように、さまざまな効果のためにアグリゲーション・アクセス・ポイントによって有利に使用され得る。
1つの例示的な実施形態は、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によるアップリンクの送信の時間を揃えるための方法に関する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、時間が揃ったアップリンクの基準セルおよび時間が揃っていないアップリンクの目標セルで構成される。
この方法においては、モバイル端末が、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定し、少なくとも測定された送信および/または受信時間差情報、ならびに時間が揃った基準セル上のアップリンクの送信のために使用される基準タイミング・アドバンスに基づいて第1の目標タイミング・アドバンスを決定し、決定された第1の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃え、モバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスを送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントによって別途命令を与えられるまで、モバイル端末に含まれるタイマに基づいて、(i)送信および/または受信時間差情報を測定するステップと、(ii)第1の目標タイミング・アドバンスを決定するステップと、(iii)アップリンクの目標セルの時間を揃えるステップと、(iv)測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスを送信するステップとを繰り返す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、アグリゲーション・アクセス・ポイントの事前の構成および/またはアグリゲーション・アクセス・ポイントによって実行される評価ステップに基づいて、モバイル端末に、ランダム・アクセス手順を実行するようにモバイル端末に命じるための、アップリンクの目標セルに関するランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージと、少なくとも受信された測定結果および/または受信された第1の目標タイミング・アドバンス、ならびに時間が揃った基準セル上のアップリンクの送信のために使用される基準タイミング・アドバンスに基づいてアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された第2の目標タイミング・アドバンスと、少なくとも受信された測定結果および/または受信された第1の目標タイミング・アドバンス、ならびに第1の目標タイミング・アドバンスに基づいて時間を揃えられるアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のタイミングに基づいて決定される目標タイミング・アドバンス更新値を含む、アップリンクの目標セルに関するタイミング・アドバンス更新コマンドとのうちの少なくとも1つを送信することによってモバイル端末に別途命令を与える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントがRACH命令メッセージを送信する場合に、モバイル端末は、そのRACH命令メッセージを受信したとき、アップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関する第3の目標タイミング・アドバンス値を決定するためにアップリンクの目標セルでランダム・アクセス手順を実行し、ランダム・アクセス手順内で受信され、決定された第3の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、第2の目標タイミング・アドバンスを決定し、第2の目標タイミング・アドバンスをモバイル端末に送信する場合に、モバイル端末は、その第2の目標タイミング・アドバンスを受信したとき、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信された第2の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃えるステップを実行する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントがアップリンクの目標セルに関するタイミング・アドバンス更新コマンドを送信する場合に、モバイル端末は、そのタイミング・アドバンス更新コマンドを受信したとき、含まれる目標タイミング・アドバンス更新値、およびアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のために使用されるタイミング・アドバンスに基づいて第4の目標タイミング・アドバンスを決定し、決定された第4の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、モバイル端末が、アップリンクの目標セル上のアップリンクの送信が基準セルのために使用されるタイム・アライメントとは異なるタイム・アライメントを必要とすることを示す情報を、好ましくは目標セルを構成するRRCメッセージとして、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信する場合に、送信および/または受信時間差情報を測定するステップと、第1の目標タイミング・アドバンスを決定するステップとを実行する。代替的に、送信および/または受信時間差情報を測定するステップと、第1の目標タイミング・アドバンスを決定するステップとは、モバイル端末が、基準セルのタイミング・アドバンス・グループとは異なる目標セルに関するタイミング・アドバンス・グループを示す情報を、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信する場合にやはり実行される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、アップリンクの目標セル上のアップリンクの送信の受信時間をアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関する事前に定義された基準時間と比較することによって、またはアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信の受信時間を対応するダウンリンクの目標セル上のダウンリンクの送信の送信時間と比較することによって、または受信された測定結果および/もしくは第1の目標タイミング・アドバンスを事前に定義された閾値と比較することによってアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のずれを判定するための評価ステップを実行する。
判定されたずれが事前に定義されたずれの閾値よりも大きい場合に、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、RACH命令メッセージ、第2の目標タイミング・アドバンス、およびタイミング・アドバンス更新コマンドのうちの少なくとも1つをモバイル端末に送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、測定結果および/もしくは第1の目標タイミング・アドバンスを受信したとき、ならびに/またはタイマが切れたとき、RACH命令メッセージ、第2の目標タイミング・アドバンス、およびタイミング・アドバンス更新コマンドのうちの少なくとも1つをモバイル端末に送信するように事前に構成される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、基準セルでモバイル端末とアグリゲーション・アクセス・ポイントの間のランダム・アクセス手順を実行することによって最初に時間を揃えられる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_PCell)との間の時間を測定することによって目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を判定することによって測定を行い、基準セルおよび目標セル上のダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。測定結果は、任意選択で、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される可能性があり、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差を含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信する時間(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信する時間(TDL_RX_SCell)の間の時間差を測定することによって目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)をモバイル端末によって判定することによって測定を実行し、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。測定結果は、任意選択で、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される可能性があり、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差を含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、基準セルのタイミング・アドバンスから受信送信時間の差を引くことによって目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を決定することによって第1の目標タイミング・アドバンスを決定する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、ダウンリンクの受信時間の差に基づいて第1の目標タイミング・アドバンスを決定する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔScell−PCellTxDL)に基づいて第2の目標タイミング・アドバンスを決定する。目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差が、基準セル上のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_PCell)と目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_SCell)との間の時間差であり、ダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、それぞれ、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定が、ダウンリンクの目標セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的になることを考慮して決定された第1の目標タイミング・アドバンス、第2の目標タイミング・アドバンス、第3の目標タイミング・アドバンス、または第4の目標タイミング・アドバンスを用いて、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの目標セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に設定することによって目標セルの時間を揃える。
あるいは、モバイル端末は、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定が、ダウンリンクの基準セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的になることを考慮して決定された第1の目標タイミング・アドバンス、第2の目標タイミング・アドバンス、第3の目標タイミング・アドバンス、または第4の目標タイミング・アドバンスを用いて、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの基準セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に設定することによって目標セルの時間を揃える。
あるいは、モバイル端末は、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定が、アップリンクの基準セルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的になることを考慮して決定された第1の目標タイミング・アドバンス、第2の目標タイミング・アドバンス、第3の目標タイミング・アドバンス、または第4の目標タイミング・アドバンスを用いて、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、アップリンクの基準セルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に設定することによって目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、測定結果を基準セルの物理アップリンク共有チャネル、PUSCH上でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、測定結果を無線リソース制御レイヤ、RRC、または媒体アクセス制御レイヤ、MACの一部として送信し、測定結果がMACレイヤの一部である場合、測定結果は、MAC制御要素内で送信されることが好ましい。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末による時間差情報を測定するステップと、アグリゲーション・アクセス・ポイントに測定結果を送信するステップとが、
●周期的に実行される、ならびに/あるいは
●i.目標セルの構成および/またはアクティブ化、
ii.測定結果が事前に決められた閾値を超える、
iii.タイミング・アドバンスのタイマが切れる、
iv.アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求の受信、
などの事前に決められたイベントによってトリガされる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求は、
●測定レポートの要求を示すフラグを含む、構成されたセルを非アクティブ化/アクティブ化するための非アクティブ化/アクティブ化コマンドであって、フラグは、非アクティブ化/アクティブ化コマンドの予約されたビットのうちの1つに設定されることが好ましい、非アクティブ化/アクティブ化コマンド、または
●測定レポートの要求を示すフラグを含む無線リソース制御コネクション再構成メッセージ、または
●ランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージ、または
●測定レポートの要求を示す事前に決められた符号点もしくは符号点の事前に決められた組み合わせを有するランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントが第2の目標タイミング・アドバンスを決定する場合に、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、媒体アクセス制御、MAC、制御要素内で第2の目標タイミング・アドバンスを送信し、好ましくは、第2の目標タイミング・アドバンスは、ダウンリンク共有チャネルを用いて送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントが第2の目標タイミング・アドバンスを決定する場合に、第2の目標タイミング・アドバンスは、アップリンクの目標セルの時間を揃えるステップが第2の目標タイミング・アドバンスの絶対的な値にのみ基づくことにより基準セルの基準タイミング・アドバンス値に関連して使用されない絶対的な値である。あるいは、第2の目標タイミング・アドバンスは、アップリンクの目標セルの時間を揃えるステップが基準タイミング・アドバンスにも基づくことにより基準セルの基準タイミング・アドバンス値に対して相対的に使用される相対的な値である。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、プライマリ・セルであるかまたは複数のセカンダリ・セルのうちの1つであり、目標セルは、複数のセカンダリ・セルのうちの1つである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信される同じ第2の目標タイミング・アドバンスに基づいて、モバイル端末によって決定される同じ第1の目標タイミング・アドバンスに基づいて、またはアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンス更新コマンドを受信する場合はモバイル端末によって決定される同じ第4の目標タイミング・アドバンスに基づいて、目標セルがグループを形成する複数の目標セルのうちの1つであるタイミング・アドバンス・グループの各目標セルに対して時間を揃えるステップを実行する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、複数の時間が揃っていない目標セルで構成され、モバイル端末は、目標セルのそれぞれに対して本明細書に記載のさまざまな例示的な実施形態のうちの1つによるタイム・アライメントを実行する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、目標セルのそれぞれに関する測定結果を、好ましくは構成されるすべてのセカンダリ・セルまたは構成およびアクティブ化されるすべてのセカンダリ・セルに関して1つのメッセージ内でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
本発明は、モバイル通信システムにおいてアップリンクの送信の時間を揃えるためのモバイル端末をさらに提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、時間が揃ったアップリンクの基準セルおよび時間が揃っていないアップリンクの目標セルで構成される。モバイル端末のプロセッサは、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定する。プロセッサは、少なくとも測定された送信および/または受信時間差情報、ならびに時間が揃った基準セル上のアップリンクの送信のために使用される基準タイミング・アドバンスに基づいて第1の目標タイミング・アドバンスを決定する。モバイル端末の送信機は、決定された第1の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃える。送信機は、モバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスを送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、タイマに基づいて、モバイル端末のプロセッサおよび送信機は、送信および/または受信時間差情報を測定することと、第1の目標タイミング・アドバンスを決定することと、アップリンクの目標セルの時間を揃えることと、測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスを送信することとを、モバイル端末に別途命令を与えるアグリゲーション・アクセス・ポイントからの命令をモバイル端末の受信機が受信するまで繰り返す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末の受信機が、アグリゲーション・アクセス・ポイントからRACH命令メッセージを受信する。プロセッサ、送信機、および受信機は、RACH命令メッセージを受信したとき、アップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関する第3の目標タイミング・アドバンス値を決定するためにアップリンクの目標セルでランダム・アクセス手順を実行する。プロセッサおよび送信機は、ランダム・アクセス手順内で受信され、決定された第3の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末の受信機が、アグリゲーション・アクセス・ポイントから第2の目標タイミング・アドバンスを受信する。プロセッサおよび送信機は、第2の目標タイミング・アドバンスを受信したとき、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信された第2の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末の受信機が、アップリンクの目標セルに関するタイミング・アドバンス更新コマンドを受信する。プロセッサは、タイミング・アドバンス更新コマンドを受信したとき、含まれる目標タイミング・アドバンス更新値、およびアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のために使用されるタイミング・アドバンスに基づいて第4の目標タイミング・アドバンスを決定する。次いで、プロセッサおよび送信機は、決定された第4の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末の受信機が、アップリンクの目標セル上のアップリンクの送信が基準セルのために使用されるタイム・アライメントとは異なるタイム・アライメントを必要とすることを示す情報を、好ましくは目標セルを構成するRRCメッセージとして、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信する場合に、または基準セルのタイミング・アドバンス・グループとは異なる目標セルに関するタイミング・アドバンス・グループを示す情報を、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信する場合に、プロセッサおよび送信機が、送信および/または受信時間差情報を測定し、プロセッサが、第1の目標タイミング・アドバンスを決定するように適合される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルが、プロセッサ、送信機、および受信機が基準セルでモバイル端末とアグリゲーション・アクセス・ポイントの間のランダム・アクセス手順を実行することによって最初に時間を揃えられる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_PCell)との間の時間を測定することによって目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を判定し、基準セルおよび目標セル上のダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指し、任意選択で、送信機は、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差を測定結果としてアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信するように適合される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信する時間(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信する時間(TDL_RX_SCell)の間の時間差を測定することによって目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)を判定し、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連し、任意選択で、送信機は、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差を測定結果としてアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信するように適合される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、基準セルのタイミング・アドバンスから受信送信時間の差を引くことによって目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を決定する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、ダウンリンクの受信時間の差に基づいて第1の目標タイミング・アドバンスを決定する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサおよび送信機は、それぞれ、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定が、ダウンリンクの目標セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的になることを考慮して決定された第1の目標タイミング・アドバンス、第2の目標タイミング・アドバンス、第3の目標タイミング・アドバンス、または第4の目標タイミング・アドバンスを用いて、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの目標セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に設定することによって目標セルの時間を揃える。
あるいは、プロセッサおよび送信機は、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定が、ダウンリンクの基準セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的になることを考慮して決定された第1の目標タイミング・アドバンス、第2の目標タイミング・アドバンス、第3の目標タイミング・アドバンス、または第4の目標タイミング・アドバンスを用いて、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの基準セルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に設定することによって目標セルの時間を揃える。
あるいは、プロセッサおよび送信機は、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定が、アップリンクの基準セルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的になることを考慮して決定された第1の目標タイミング・アドバンス、第2の目標タイミング・アドバンス、第3の目標タイミング・アドバンス、または第4の目標タイミング・アドバンスを用いて、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、アップリンクの基準セルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に設定することによって目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、測定結果を基準セルの物理アップリンク共有チャネル、PUSCH上でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、測定結果を無線リソース制御レイヤ、RRC、または媒体アクセス制御レイヤ、MACの一部として送信し、測定結果がMACレイヤの一部である場合、測定結果は、MAC制御要素内で送信されることが好ましい。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサおよび送信機は、
●周期的に、ならびに/あるいは
●i.目標セルの構成および/またはアクティブ化、
ii.測定結果が事前に決められた閾値を超える、
iii.タイミング・アドバンスのタイマが切れる、
iv.アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求の受信、
などの事前に決められたイベントによって、
時間差情報を測定して第1の目標タイミング・アドバンスを決定し、測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスをアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機は、
●測定レポートの要求を示すフラグを含む、構成されたセルを非アクティブ化/アクティブ化するための、アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求としての非アクティブ化/アクティブ化コマンドであって、フラグは、非アクティブ化/アクティブ化コマンドの予約されたビットのうちの1つに設定されることが好ましい、非アクティブ化/アクティブ化コマンド、または
●測定レポートの要求を示すフラグを含む、アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求としての無線リソース制御コネクション再構成メッセージ、または
●アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求としてのランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージ、または
●測定レポートの要求を示す事前に決められた符号点もしくは符号点の事前に決められた組み合わせを有する、アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求としてのランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージ
を受信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、プライマリ・セルであるかまたは複数のセカンダリ・セルのうちの1つであり、目標セルは、複数のセカンダリ・セルのうちの1つである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサおよび送信機は、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信される同じ第2の目標タイミング・アドバンスに基づいて、モバイル端末によって決定される同じ第1の目標タイミング・アドバンスに基づいて、またはアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンス更新コマンドを受信する場合はモバイル端末によって決定される同じ第4の目標タイミング・アドバンスに基づいてタイミング・アドバンス・グループの各目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末が複数の時間が揃っていない目標セルで構成される場合に、モバイル端末は、目標セルのそれぞれに対して本明細書に記載のさまざまな例示的な実施形態のうちの1つによるタイム・アライメントを実行する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、目標セルのそれぞれに関する測定結果を、好ましくは構成されるすべてのセカンダリ・セルまたは構成およびアクティブ化されるすべてのセカンダリ・セルに関して1つのメッセージでアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
本発明は、モバイル通信システムにおいて、モバイル端末の時間を揃えることを制御するためのアグリゲーション・アクセス・ポイントをさらに提供し、モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、時間が揃ったアップリンクの基準セルおよび時間が揃っていないアップリンクの目標セルで構成される。アグリゲーション・アクセス・ポイントのメモリは、事前の構成を記憶する。アグリゲーション・アクセス・ポイントの受信機は、測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスを受信する。アグリゲーション・アクセス・ポイントのプロセッサは、少なくとも受信された測定結果および/または受信された第1の目標タイミング・アドバンス、ならびに時間が揃った基準セル上のアップリンクの送信のために使用される基準タイミング・アドバンスに基づいて決定を行い、ならびに/あるいは少なくとも受信された測定結果および/または受信された第1の目標タイミング・アドバンス、ならびに第1の目標タイミング・アドバンスに基づいて時間を揃えられるアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のタイミングに基づいて決定を行うように適合される。送信機は、アグリゲーション・アクセス・ポイントの事前の構成および/またはプロセッサが評価ステップを実行することに基づいて、
●ランダム・アクセス手順を実行するようにモバイル端末に命じるための、アップリンクの目標セルに関するランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージと、
●少なくとも受信された測定結果および/または受信された第1の目標タイミング・アドバンス、ならびに時間が揃った基準セル上のアップリンクの送信のために使用される基準タイミング・アドバンスに基づいてプロセッサによって決定された第2の目標タイミング・アドバンスと、
●少なくとも受信された測定結果および/または受信された第1の目標タイミング・アドバンス、ならびに第1の目標タイミング・アドバンスに基づいて時間を揃えられるアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のタイミングに基づいて決定される目標タイミング・アドバンス更新値を含む、アップリンクの目標セルに関するタイミング・アドバンス更新コマンドと
のうちの少なくとも1つを送信することによってモバイル端末に別途命令を与えるためにモバイル端末に命令を送信することができる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、アップリンクの目標セル上のアップリンクの送信の受信時間をアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関する事前に定義された基準時間と比較することによって、またはアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信の受信時間を対応するダウンリンクの目標セル上のダウンリンクの送信の送信時間と比較することによって、または受信された測定結果および/もしくは第1の目標タイミング・アドバンスを事前に定義された閾値と比較することによってアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信のずれを判定するための評価ステップを実行する。
判定されたずれが事前に定義されたずれの閾値よりも大きい場合、送信機は、RACH命令メッセージ、第2の目標タイミング・アドバンス、およびタイミング・アドバンス更新コマンドのうちの少なくとも1つをモバイル端末に送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、送信機が、測定結果および/もしくは第1の目標タイミング・アドバンスを受信したとき、ならびに/またはタイマが切れたとき、RACH命令メッセージ、第2の目標タイミング・アドバンス、およびタイミング・アドバンス更新コマンドのうちの少なくとも1つをモバイル端末に送信するようにメモリに基づいて事前に構成される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔScell−PCellTxDL)にさらに基づいて第2の目標タイミング・アドバンスを決定するように適合され、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差は、基準セル上のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_PCell)と目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_SCell)との間の時間差であり、ダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、媒体アクセス制御、MAC、制御要素内で第2の目標タイミング・アドバンスを送信し、好ましくは、第2の目標タイミング・アドバンスを送信するステップは、ダウンリンク共有チャネルを使用する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサが、第2の目標タイミング・アドバンスを決定し、第2の目標タイミング・アドバンスは、基準セルの基準タイミング・アドバンス値に関連して使用されない絶対的な値であるか、または第2の目標タイミング・アドバンスが、基準セルの基準タイミング・アドバンス値に対して相対的に使用される相対的な値である。
本発明は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたとき、モバイル端末に、以下のようにモバイル通信システムにおいてアップリンクの送信の時間を揃えさせる命令を記憶するコンピュータ可読媒体をさらに提供する。目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報が、測定される。少なくとも測定された送信および/または受信時間差情報、ならびに時間が揃った基準セル上のアップリンクの送信のために使用される基準タイミング・アドバンスに基づく第1の目標タイミング・アドバンスが、決定される。決定された第1の目標タイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによって、アップリンクの目標セルが時間を揃えられる。モバイル端末からの測定結果および/または第1の目標タイミング・アドバンスが、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。
コンピュータ可読媒体は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたとき、モバイル端末に上述の方法のステップを実行させる命令を記憶する。
本発明の別の態様によれば、モバイル端末が、(基準)アップリンク・コンポーネント・キャリアが既に時間を揃えられている基準セルに対して相対的に、無線セルの時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃える。そのため、無線セルの時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのためのタイミング・アドバンスの決定が、基準セル(のアップリンク・コンポーネント・キャリア)に関するタイミング・アドバンスと、基準セルおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアによる対応するダウンリンクの送信の受信時間の時間差(以降、「受信時間の差」とも呼ばれる)とに基づいて決定される。
明らかになるように、時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントは、基準セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの受信タイミングに対して相対的に、またはそのアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの受信タイミングに対して相対的に実行され得る。
本発明の1つの例示的な実施形態は、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によるアップリンクの送信の時間を揃えるための方法に関する。モバイル端末は、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第1の無線セルと、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第2の無線セルとで構成される。
この方法においては、モバイル端末が、それぞれ、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したアグリゲーション・アクセス・ポイントからモバイル端末へのダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定し、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介してモバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されたアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着するように、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のためのタイミング・アドバンスと、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)とに基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを調整することによって第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃える。
この実施形態の1つの例示的な実装においては、無線セルのうちの一方の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアが、例えば、アグリゲーション・アクセス・ポイントとモバイル端末の間で確立され得る一方で、他方の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアが、別のアクセス・ポイントとモバイル端末の間で確立され得る。
別のアクセス・ポイントは、例えば、モバイル端末からの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに転送され、モバイル端末への送信がモバイル端末に転送される、アグリゲーション・アクセス・ポイントへの双方向インターフェースを保有する可能性がある。
この例示的な実装においては、モバイル端末によって判定された、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)は、例えば、アグリゲーション・アクセス・ポイントと別のアクセス・ポイントの間の送信の伝播遅延、転送されるべき送信を処理するための別のアクセス・ポイントの処理遅延、および別のアクセス・ポイントとモバイル端末の間の送信の伝播遅延を考慮に入れることができる。
1つの例示的な実装において、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、eNodeBである可能性がある。別の実装において、別のアクセス・ポイントは、例えば、周波数選択的リピータ(FSR)、またはアグリゲーション・アクセス・ポイントによって制御されるリモート・ラジオ・ヘッド(RRH)である可能性がある。
本発明のさらなる実施形態によれば、アップリンクのデータは、時間が揃った第1のコンポーネント・キャリアおよび時間が揃った第2のコンポーネント・キャリアを介してモバイル端末によってアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信され、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、時間が揃った第1のコンポーネント・キャリアおよび時間が揃った第2のコンポーネント・キャリアを介して受信されたモバイル端末のアップリンクの送信を結合する。
アグリゲーション・アクセス・ポイントによるアップリンクの送信の結合は、さまざまなレイヤのうちの1つで行われ得る。例えば、モバイル端末のアップリンクのデータの結合は、アグリゲーション・アクセス・ポイントのRLCエンティティによって実行され得る。これは、例えば、アグリゲーション・アクセス・ポイントがeNodeBであり、別のアクセス・ポイントがRRHであるシナリオに当てはまる可能性がある。
あるいは、モバイル端末のアップリンクのデータの結合は、アグリゲーション・アクセス・ポイントの物理レイヤ・エンティティによって実行される。これは、例えば、アグリゲーション・アクセス・ポイントがeNodeBであり、別のアクセス・ポイントがFSRであるシナリオに当てはまる可能性がある。
第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアがどのようにして時間が揃うようになるのかのさまざまな可能性が存在する。本発明の1つの例示的な実施形態においては、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアが、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスを構成するランダム・アクセス手順(RACH手順とも表記される)を実行することによって、モバイル端末およびアクセス・ポイントにより時間を揃えられる。有利なことに、第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアは、アクセス・ポイントとのランダム・アクセス手順を実行することなく時間を揃えられる。1つの例示的な実施形態において、モバイル端末とのRACH手順を実行するアクセス・ポイントは、アグリゲーション・アクセス・ポイントである。
1つの例示的な実装においては、モバイル端末は、受信時間の差(または伝播遅延の差)に基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるための、アグリゲーション・アクセス・ポイントからのコマンドを受信する。例えば、コマンドは、RRC無線リソース構成メッセージ内に含まれる可能性がある。
コマンドは、例えば、モバイル端末が第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるためにランダム・アクセス手順を使用すべきであるかどうか、または基準無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリア(すなわち、上述の用語を用いれば、第1のセルのダウンリンク・コンポーネント・キャリア)に対して相対的に、受信時間の差(もしくは伝播遅延の差)に基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるべきであるかどうかを示すフラグによってシグナリングされ得る。
本発明のさらなる実施形態においては、モバイル端末がダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定することは、第1のセルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して受信される次のサブフレームの始まりの時間から第2のセルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して受信されるサブフレームの始まりの時間を引くことによって受信時間の差(または伝播遅延の差)を計算することを含む。次のサブフレームの始まりは、第2のセルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して受信されるサブフレームの始まりの時点の後の、第1のセルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して受信される次のサブフレームの始まりを意味する。
本発明の別の実施形態においては、モバイル・ノードのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるために、モバイル・ノードは、例えば、各アップリンク・コンポーネント・キャリアに関するそれぞれのタイミング・アドバンス値を保有する可能性がある。本発明の代替的な実施形態においては、複数のコンポーネント・キャリアが同じ伝播遅延を有する可能性があり、そして、これらのコンポーネント・キャリアがグループ化され、それぞれのタイミング・アドバンス値に関連付けられる可能性があるシナリオが考慮される。したがって、この場合、モバイル・ノードは、例えば、1つまたは複数のアップリンク・コンポーネント・キャリアの各グループに関するそれぞれのタイミング・アドバンス値を保有し、グループの1つまたは複数のアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信は同じ伝播遅延を被る。
さらなる例示的な実装においては、アップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値は、それらのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介したアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着することを保証するように決定される。
1つの例示的な実施形態においては、所与の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値は、所与の無線セル(例えば、上述の第2の無線セル)のダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して受信されるサブフレームの始まりに対して相対的な、所与の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクのサブフレームの送信に関する時間のシフトを示すと考えられ得る。本発明の代替的な実施形態においては、所与の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値は、基準セル(例えば、上述の第1の無線セル)のダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して受信されるサブフレームの始まりに対して相対的な、所与の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクのサブフレームの送信に関する時間のシフトを示すと考えられ得る。
本発明の1つの例示的な実施形態においては、第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることは、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値TAAP1と、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)ΔTpropとに基づいて第2のセルのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値TAAP2を以下のように計算することを含む。
TAAP2=TAAP1+2・ΔTprop
この例示的な実施形態においては、タイミング・アドバンス値TAAP2は、第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの受信タイミングに対して相対的に(または、より厳密に言えば、第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信されるサブフレームの始まりの受信タイミングに対して相対的に)タイミング・アドバンスを定義する。
本発明の別の例示的な実施形態においては、第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることは、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値TAAP1と、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)ΔTpropとに基づいて第2のセルのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値TAAP2を以下のように計算することを含む。
TAAP2=TAAP1+ΔTprop
この例示的な実施形態においては、タイミング・アドバンス値TAAP2は、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの受信タイミングに対して相対的に(または、より厳密に言えば、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信されるサブフレームの始まりの受信タイミングに対して相対的に)タイミング・アドバンスを定義する。
本発明の別の第3の態様は、モバイル端末のハンドオーバ手順で使用するためのアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのための手順を提案することである。上で検討されたタイム・アライメント手順が、モバイル端末がハンドオーバされるハンドオーバ先(アグリゲーション)アクセス・ポイントによって制御される無線セルにおいてアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるためにやはり使用され得る。この態様によれば、ハンドオーバ先(アグリゲーション)アクセス・ポイントの無線セル(すなわち、基準セル)におけるアップリンク・コンポーネント・キャリアのうちの1つに関するタイミング・アドバンスは、モバイル端末に与えられ得る(同期したハンドオーバ)か、または例えばランダム・アクセス手順を実行することによってモバイル端末によって決定され得る(非同期のハンドオーバ)かのどちらかである。次いで、モバイル端末によって使用されるべき(1つまたは複数の)その他の無線セルの(1つまたは複数の)その他のアップリンク・コンポーネント・キャリアが、本明細書において既に説明されたように基準セルに対して相対的に時間を揃えられ得る。
この第3の態様にしたがって、および本発明のさらなる実施形態によれば、ハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)へのモバイル端末のハンドオーバを実行するための方法が、提供される。モバイル端末は、ハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントの制御の下で、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第1の無線セルと、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第2の無線セルとで構成されることになる。
モバイル端末は、ハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントとのランダム・アクセス手順を実行して、それによって第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃える。そのとき、モバイル端末は、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントからモバイル端末へのダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定することができ、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介してモバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されたアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着するように、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のためのタイミング・アドバンスと、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)とに基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを調整することによって第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることができる。
また、この第3の態様にしたがって、および本発明の別の実施形態によれば、ハンドオーバ元アクセス・ポイントからハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントへのモバイル端末のハンドオーバを実行するための方法が、提供される。モバイル端末は、ハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントの制御の下で、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第1の無線セルと、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第2の無線セルとで構成されるとやはり想定される。
この用法においては、モバイル端末が、ハンドオーバ元アクセス・ポイントによって制御される無線セルを通じて、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に対してモバイル端末によって適用されるべきタイム・アライメントを示したタイミング・アドバンス値を受信する。さらに、モバイル端末は、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントからモバイル端末へのダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定することができる。次いで、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介してモバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されたアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着するように、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のためのタイミング・アドバンスと、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)とに基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを調整することによって第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることができる。
ハンドオーバ元アクセス・ポイントおよびハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントは、例えば、eNodeBである可能性がある。
別の実施形態においては、上記の2つのハンドオーバの方法は、本明細書に記載のさまざまな例示的な実施形態のうちの1つによる、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によるアップリンクの送信の時間を揃えるための方法のステップをさらに含み得る。
本発明の別の実施形態は、モバイル通信システムにおいてアップリンクの送信の時間を揃えるためのモバイル端末に関する。モバイル端末は、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第1の無線セルと、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第2の無線セルとで構成される。この実施形態において、モバイル端末は、ダウンリンクの送信を受信するように適合された受信機ユニットと、それぞれ、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したアグリゲーション・アクセス・ポイントからモバイル端末へのダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定するように適合された処理ユニットとを含む。処理ユニットは、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のためのタイミング・アドバンスおよび判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)に基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを調整することによって第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃える。さらに、モバイル端末は、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを介したアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着するように、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを介してアグリゲーション・アクセス・ポイントにアップリンクの送信を送信するように適合された送信機ユニットを含む。
本発明のより詳細な実施形態によるモバイル端末は、アグリゲーション・ポイントへのハンドオーバを実行するように適合される。モバイル端末の受信機ユニットは、ハンドオーバ元アクセス・ポイントによって制御される無線セルを通じて、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に対してモバイル端末によって適用されるべきタイム・アライメントを示したタイミング・アドバンス値を受信するように適合される。
代替的な実装において、モバイル端末は、ハンドオーバ元アクセス・ポイントからアグリゲーション・ポイントへのハンドオーバを実行し、アグリゲーション・アクセス・ポイントとのランダム・アクセス手順を実行して、それによって第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるように適合される。
本発明の別の実施形態は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたとき、モバイル端末に、モバイル端末によって、それぞれ、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したアグリゲーション・アクセス・ポイントからモバイル端末へのダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定することであって、モバイル端末は、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第1の無線セル、ならびにダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第2の無線セルで構成される、判定することと、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介してモバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されたアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着するように、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のためのタイミング・アドバンスおよび判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)に基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを調整することによって第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることとによってモバイル通信システムにおいてアップリンクの送信の時間を揃えさせる命令を記憶するコンピュータ可読媒体を提供することである。
本発明のさらなる実施形態によるコンピュータ可読媒体は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたとき、モバイル端末に、本明細書に記載のさまざまな例示的な実施形態のうちの1つによる、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によるアップリンクの送信の時間を揃えるための方法のステップを実行させる命令を記憶する。
第4の態様によれば、本発明は、時間が揃っていないアップリンク・セル(以下、目標セルと呼ばれる)についてのアップリンク送信を基準セルに対して時間を揃えることを可能にし、基準セルは、目標セルと同じまたは異なるアグリゲーション・アクセス・ポイントによって既に時間が揃えられ、制御されている。少なくとも1つの既存セルは、既に時間が揃っており、本発明の時間を揃える手順のための基準セルとしての役割を果たすことが仮定される。有利なことに、時間を揃えるために目標セル上でRACH手順を実行する代わりに、本発明は、この点に関して異なる手法を提供する。
より詳細には、モバイル端末は、特定のタイミング差情報を測定し、測定結果をアグリゲーション・アクセス・ポイントにレポートすることによって、時間が揃っていないアップリンクの目標セルの時間を揃えるためのタイミング・アドバンス値の計算を支援する。モバイル端末によって測定される特定のタイミング差情報は、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、前記情報を受信したとき、モバイル端末が目標セルに対して使用する、必要なアップリンク・タイミング・アライメントを推定できるようなものである。
その後、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、既に時間が揃っている基準セルに対して目標セルの時間を揃えるためにモバイル端末によって使用される、必要なアップリンク・タイミング・アライメントに関する情報を計算する。タイミング・アドバンスを計算するために、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、少なくともモバイル端末から受信した測定値と、基準セルのタイミング・アドバンスとを使用する。
続いて、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、タイミング・アドバンス・コマンドをモバイル端末に送信し、今度は、モバイル端末が、受信したタイミング・アドバンス・コマンドの情報を使用して、目標セルについてのアップリンク送信の時間を揃える。
タイミング・アドバンス・コマンドは、目標セルについての絶対的タイミング・アドバンス値、または基準セルのタイミング・アドバンス値(モバイル端末が知っている値)に対する相対的タイミング・アドバンス値に関する情報を含むことができる。いずれの場合も、モバイル端末は、モバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに目標セル上で送信されるアップリンク送信が、同期してアグリゲーション・アクセス・ポイントに到着するように、受信したタイミング・アドバンス・コマンドにしたがって、目標セルのアップリンクのアップリンク送信の送信タイミングを調整することができる。
本発明は、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によってアップリンク送信の時間を揃えるための方法を提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、時間が揃っているアップリンクの基準セルおよび時間が揃っていないアップリンクの目標セルで構成される。モバイル端末は、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定する。測定結果は、モバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。アグリゲーション・アクセス・ポイントは、少なくとも受信した測定結果と、時間が揃っている基準セル上のアップリンク送信のために使用される基準タイミング・アドバンスとに基づいて、目標タイミング・アドバンスを決定する。アグリゲーション・アクセス・ポイントは、目標タイミング・アドバンスをモバイル端末に送信する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信した目標タイミング・アドバンスに基づいて、アップリンクの目標セル上のアップリンク送信に関するタイミングを調整することによって、アップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、基準セル上でモバイル端末とアグリゲーション・アクセス・ポイントとの間でランダム・アクセス手順を実行することによって、最初に時間を揃えられる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末によって測定するステップは、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_PCell)との間の時間を測定することによって、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)をモバイル端末によって決定するステップを含み、基準セルおよび目標セル上のダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。任意選択で、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される測定結果は、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差を含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末によって測定するステップは、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻(TDL_RX_SCell)との間の時間差を測定することによって、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)をモバイル端末によって決定するステップをさらに含み、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。任意選択で、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される測定結果は、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差を含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標タイミング・アドバンスを決定するステップは、基準セルのタイミング・アドバンスから受信送信時間の差を減算することによって、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を決定するステップをさらに含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標タイミング・アドバンスを決定するステップは、ダウンリンクの受信時間の差に基づいている。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標タイミング・アドバンスを決定するステップは、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔScell−PCellTxDL)にさらに基づいている。目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差は、基準セル上のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_PCell)と目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_SCell)との間の時間差であり、ダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標セルの時間を揃えるステップは、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定は、それぞれ、ダウンリンクの目標セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連すると見なしているアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された目標タイミング・アドバンスを使用して、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの目標セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連して設定するステップを含む。代替として、目標セルの時間を揃えるステップは、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定は、ダウンリンクの基準セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連すると見なしているアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された目標タイミング・アドバンスを使用して、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの基準セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連して設定するステップを含む。代替として、目標セルの時間を揃えるステップは、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定は、アップリンクの基準セルを介して送信するアップリンクの無線フレームの始まりに関連すると見なしているアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された目標タイミング・アドバンスを使用して、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、アップリンクの基準セルを介して送信するアップリンクの無線フレームの始まりに関連して設定するステップを含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、測定結果は、基準セルの物理アップリンク共有チャネルPUSCH上で、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、測定結果を送信するステップは、無線リソース制御レイヤRRCまたは媒体アクセス制御レイヤMACの一部であり、MACレイヤの一部である場合、測定結果は、好ましくは、MAC制御要素内で送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末によって時間差情報を測定し、測定結果をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信するステップは、
●周期的に実行され、ならびに/または
●v.目標セルの構成および/もしくはアクティブ化、
vi.測定結果が事前に決められた閾値を超える、
vii.タイミング・アドバンスのタイマが切れる、
viii.アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求の受信、
などの事前に決められたイベントによってトリガされる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求は、
●測定レポートの要求を示すフラグを含む、構成されたセルを非アクティブ化/アクティブ化するための非アクティブ化/アクティブ化コマンドであって、フラグは、非アクティブ化/アクティブ化コマンドの予約されたビットのうちの1つに設定されることが好ましい、非アクティブ化/アクティブ化コマンド、または
●測定レポートの要求を示すフラグを含む無線リソース制御コネクション再構成メッセージ、または
●ランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージ、または
●測定レポートの要求を示す事前に決められた符号点もしくは符号点の事前に決められた組み合わせを有するランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標タイミング・アドバンスを送信するステップは、目標タイミング・アドバンスを媒体アクセス制御MAC制御要素内で送信するステップを含み、好ましくは、目標タイミング・アドバンスは、ダウンリンク共有チャネルを使用して送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標タイミング・アドバンスは、目標タイミング・アドバンスの絶対的な値だけに基づいてアップリンクの目標セルの時間を揃えるステップによって、基準セルの基準タイミング・アドバンス値と関連付けて使用されない絶対的な値である。または、目標タイミング・アドバンスは、基準タイミング・アドバンスにも基づいてアップリンクの目標セルの時間を揃えるステップによって、基準セルの基準タイミング・アドバンス値と関連付けて使用される相対的な値である。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、プライマリ・セル、または複数のセカンダリ・セルの1つであり、目標セルは、複数のセカンダリ・セルの1つである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標セルは、グループを形成する複数の目標セルのうちの1つである。時間を揃えるステップは、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信した同じ目標タイミング・アドバンスに基づいて、グループの各目標セルに対して実行される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、複数の時間が揃っていない目標セルで構成され、方法の先に説明したステップは、目標セルの各々に対して実行される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、測定結果は、好ましくは構成されるすべての目標セルまたは構成およびアクティブ化されるすべての目標セルに関して1つのメッセージ内でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。
本発明は、モバイル通信システムにおいてアップリンク送信の時間を揃えるためのモバイル端末をさらに提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、時間が揃っているアップリンクの基準セルおよび時間が揃っていないアップリンクの目標セルで構成される。モバイル端末のプロセッサは、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関する送信および/または受信時間差情報を測定する。モバイル端末の送信機は、測定結果をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。モバイル端末の受信機は、目標タイミング・アドバンスをアグリゲーション・アクセス・ポイントから受信する。プロセッサおよび送信機は、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信した目標タイミング・アドバンスに基づいて、アップリンクの目標セル上のアップリンク送信に関するタイミングを調整することによって、アップリンクの目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機、プロセッサ、および送信機は、基準セル上でアグリゲーション・アクセス・ポイントとともにランダム・アクセス手順を実行することによって、基準セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_PCell)との間の時間を測定することによって、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を決定する。基準セルおよび目標セル上のダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。任意選択で、送信機は、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差を測定結果としてアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻(TDL_RX_SCell)との間の時間差を測定することによって、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)を決定する。アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。任意選択で、送信機は、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差を測定結果としてアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信するように適合される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサおよび送信機は、アップリンクの目標セルの時間を揃えるときに、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定は、それぞれ、ダウンリンクの目標セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連すると見なしているアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された目標タイミング・アドバンスを使用して、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの目標セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連して設定する。代替として、プロセッサおよび送信機は、アップリンクの目標セルの時間を揃えるときに、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定は、ダウンリンクの基準セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連すると見なしているアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された目標タイミング・アドバンスを使用して、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、ダウンリンクの基準セルを介して受信するダウンリンクの無線フレームの始まりに関連して設定する。代替として、プロセッサおよび送信機は、アップリンクの目標セルの時間を揃えるときに、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信の設定は、アップリンクの基準セルを介して送信するアップリンクの無線フレームの始まりに関連すると見なしているアグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定された目標タイミング・アドバンスを使用して、アップリンクの目標セル上のアップリンクの無線フレームの送信を、アップリンクの基準セルを介して送信するアップリンクの無線フレームの始まりに関連して設定する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、測定結果を、基準セルの物理アップリンク共有チャネルPUSCH上で、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。好ましくは、測定結果がアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されることは、無線リソース制御レイヤRRCまたは媒体アクセス制御レイヤMACの一部であり、MACレイヤの一部である場合、測定結果は、好ましくは、MAC制御要素内で送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、
●周期的に、ならびに/または
●i.目標セルの構成および/もしくはアクティブ化、
ii.測定結果が事前に決められた閾値を超える、
iii.タイミング・アドバンスタイマが切れる、
iv.アグリゲーション・アクセス・ポイントからの測定レポートの要求の受信、
などの事前に決められたイベントによって、時間差情報の測定を実行するようにトリガされる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機は、ダウンリンク共有チャネルを使用して、媒体アクセス制御MAC制御要素内で目標タイミング・アドバンスを受信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、目標セルは、グループを形成する複数の目標セルのうちの1つであり、送信機およびプロセッサは、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信した同じ目標タイミング・アドバンスに基づいて、グループの各目標セルの時間を揃える。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、複数の時間が揃っていない目標セルで構成され、モバイル端末は、上で説明した方法の1つによるステップを目標セルの各々に対して実行する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、測定結果を、好ましくは構成されるすべての目標セルまたは構成およびアクティブ化されるすべての目標セルに関して1つのメッセージ内でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
本発明は、モバイル通信システムにおいてタイミング・アドバンスをモバイル端末に提供するためのアグリゲーション・アクセス・ポイントをさらに提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、時間が揃っているアップリンクの基準セルおよび時間が揃っていないアップリンクの目標セルで構成される。アグリゲーション・アクセス・ポイントの受信機は、測定結果をモバイル端末から送信し、測定結果は、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を示す。アグリゲーション・アクセス・ポイントのプロセッサは、少なくとも受信した測定結果と、時間が揃っている基準セル上でアップリンク送信のために使用される基準タイミング・アドバンスとに基づいて、目標タイミング・アドバンスを決定する。アグリゲーション・アクセス・ポイントの送信機は、目標タイミング・アドバンスをモバイル端末に送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機は、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_RX_PCell)との間の時間である、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を測定結果として受信し、基準セルおよび目標セル上のダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指し、または受信機は、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻(TDL_RX_SCell)との間の時間差である、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)を測定結果として受信し、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、受信機が、受信送信時間の差を測定結果として受信する場合、プロセッサは、基準セルのタイミング・アドバンスから受信送信時間の差を減算することによって、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を決定する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、プロセッサは、ダウンリンクの受信時間の差に基づいて、また好ましくは目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔScell−PCellTxDL)にさらに基づいて、目標タイミング・アドバンスを決定する。目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差は、基準セル上のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_PCell)と目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_SCell)との間の時間差であり、ダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、送信機は、測定レポートの要求をモバイル端末に送信する。測定レポートの要求は、
●測定レポートの要求を示すフラグを含む、構成されたセルを非アクティブ化/アクティブ化するための非アクティブ化/アクティブ化コマンドであって、フラグが非アクティブ化/アクティブ化コマンドの予約されたビットのうちの1つに設定されることが好ましい、非アクティブ化/アクティブ化コマンド、または
●測定レポートの要求を示すフラグを含む、無線リソース制御コネクション再構成メッセージ、または
●ランダム・アクセス・チャネルRACH命令メッセージ、または
●測定レポートの要求を示す事前に決められた符号点、もしくは符号点の事前に決められた組み合わせを有する、ランダム・アクセス・チャネルRACH命令メッセージ
である。
本発明は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたときに、モバイル端末に、以下のようにモバイル通信システムにおいてアップリンク送信の時間を揃える命令を記憶するコンピュータ可読媒体をさらに提供する。目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報が測定される。測定結果は、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。目標タイミング・アドバンスが、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信される。アップリンクの目標セルは、アグリゲーション・アクセス・ポイントから受信した目標タイミング・アドバンスに基づいて、アップリンクの目標セル上のアップリンク送信に関するタイミングを調整することによって、時間を揃えられる。
コンピュータ可読媒体は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたときに、モバイル端末に、上で説明した方法のステップを実行させる命令を記憶する。
第5の態様によれば、本発明は、アグリゲートされたダウンリンク・サービング・セルに関するダウンリンク・タイミングを、基準セルと少なくとも1つの目標セルとの間の時間差としてレポートすることを可能にする。モバイル端末によって構成されるダウンリンク・サービング・セルの1つを、ダウンリンク・タイミングをレポートするための基準セルとして使用することが仮定される。例えば、モバイル端末によって、PCellを基準セルとして使用することができるが、他のサービング・セルを、例えば、SCellのうち最も近いものを使用することもできる。
より詳細には、レポーティング手順は、アグリゲートされたダウンリンク・サービング・セルに関するダウンリンク・タイミングをモバイル端末が測定することに基づいている。特に、モバイル端末は、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定する。特定の測定された時間差情報は、基準セルと目標セルの間の受信時間の差を推定するのに使用できるようなものである。
その後、測定時間差情報は、事前に定義された最大値と比較される。特に、モバイル端末の場合、アグリゲートされたサービング・セル上のダウンリンク送信についての伝搬遅延時間差を制限するために、事前に定義された最大値を指定すると有利であることが分かっている。例えば、事前に定義された最大伝搬遅延時間差は、アグリゲートされたダウンリンク・サービング・セル上のダウンリンク送信をモバイル端末が正常に復号できることを保証するように指定することができる。
本発明のこの態様によれば、比較は、モバイル端末によって実行されて、その後、モバイル端末が比較に関する情報をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信するか、または測定結果をモバイル端末から受信したのに応答して、アグリゲーション・アクセス・ポイントによって実行されるかのいずれかである。有利なことに、どちらの場合も、アグリゲーション・アクセス・ポイントには、モバイル端末によってアグリゲートされたサービング・セルに関するダウンリンク・タイミングに関する情報が供給され、アグリゲートされたサービング・セル上のダウンリンク送信をモバイル端末が正常に復号可能かどうかを、アグリゲーション・アクセス・ポイントが判定することを可能にする。
本発明は、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によってダウンリンク・タイミングについてレポートするための方法を提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、アップリンクおよびダウンリンクの基準セルならびに少なくとも1つのダウンリンクの目標セルで構成される。モバイル端末は、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定する。その後、測定結果とモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差との比較が、モバイル端末またはアグリゲーション・アクセス・ポイントによって実行される。モバイル端末が、測定結果とモバイル端末のための事前に定義された最大伝搬遅延時間差とを比較する場合、モバイル端末は、その後、比較結果に関する情報をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。代替として、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、測定結果とモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差とを比較する場合、モバイル端末が測定結果をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信したことに応答して、比較が実行される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末によって測定するステップは、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの先頭の受信(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの先頭の受信(TDL_RX_PCell)との間の時間差を測定することによって、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)をモバイル端末によって決定するステップを含み、基準セルおよび目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末によって測定するステップは、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻(TDL_RX_SCell)との間の時間差を測定することによって、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)をモバイル端末によって決定するステップをさらに含み、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、事前に定義された最大伝搬遅延時間差は、基準セルおよび目標セル上で対応するダウンリンクのサブフレームを受信するための、モバイル端末の受信機窓に基づいている。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末によって時間差情報を測定し、モバイル端末によって比較結果に関する情報および/または測定結果をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信するステップは、
●周期的に実行され、ならびに/あるいは
●i.目標セルの構成および/もしくはアクティブ化、
ii.測定結果が事前に決められた閾値を超える、または
iii.アグリゲーション・アクセス・ポイントからのレポートの要求の受信、
などの事前に決められたイベントによってトリガされる。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントからのレポートの要求は、
○送信および/もしくは受信タイミングについてのレポートの要求を示すフラグを含む、構成されたセルを非アクティブ化/アクティブ化するための非アクティブ化/アクティブ化コマンドであって、フラグが非アクティブ化/アクティブ化コマンドの予約されたビットのうちの1つに設定されることが好ましい、非アクティブ化/アクティブ化コマンド、または
○送信および/もしくは受信タイミングについてのレポートの要求を示すフラグを含む、無線リソース制御コネクション再構成メッセージ、ランダム・アクセス・チャネルRACH命令メッセージ、または
○送信および/もしくは受信タイミングについてのレポートの要求を示す事前に決められた符号点、もしくは符号点の事前に決められた組み合わせを有する、ランダム・アクセス・チャネルRACH命令メッセージ
である。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、比較するステップがモバイル端末によって実行される場合、モバイル端末によって比較結果に関する情報を送信するステップは、
○対応するアップリンクおよびダウンリンクの無線フレームについて、または対応するダウンリンクのサブフレームについて、測定された時間差が事前に定義された最大伝搬遅延時間差を超えたことを示す、外部最大伝搬遅延時間差値(outside−maximum−propagation−delay−time−difference value)と、任意選択で、
○測定された時間差情報と
を送信するステップを含む。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、外部最大伝搬遅延時間差値は、事前に定義されたチャネル状態情報CSI値として、または事前に定義された電力ヘッドルーム・レポートPHR値として、少なくとも1つのダウンリンクの目標セルに結び付けられたアップリンクの目標セルを介して、モバイル端末によって送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、比較するステップがアグリゲーション・アクセス・ポイントによって実行される場合、モバイル端末によって測定結果を送信するステップは、測定結果を媒体アクセス制御MAC制御要素内で送信するステップを含み、好ましくは、測定を送信するステップは、媒体アクセス制御レイヤを使用する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、比較ステップがアグリゲーション・アクセス・ポイントおよび/またはモバイル端末によって実行される場合、モバイル端末によって測定結果を送信するステップは、測定結果を無線リソース制御RRCメッセージ内で送信するステップを含み、好ましくは、測定を送信するステップは、無線リソース制御レイヤを使用する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、プライマリ・セル、または複数のセカンダリ・セルの1つであり、目標セルは、複数のセカンダリ・セルの1つである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、複数のダウンリンクの目標セルで構成され、請求項1から11に記載の方法のステップは、目標セルの各々に対して実行される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、測定結果、または比較結果に関する情報は、目標セルの各々に関して、好ましくは構成されるすべてのセカンダリ・セルに関して1つのメッセージ内でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、測定された時間差情報がモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差を超えたことを示す比較結果に関する情報を受信した場合、またはアグリゲーション・アクセス・ポイントが、比較ステップを実行し、測定された時間差情報がモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差を超えたことを検出した場合、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、
○モバイル端末において目標セルを非アクティブ化するための非アクティブ化メッセージをモバイル端末に送信するステップ、または
○モバイル端末によって測定される、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差が、モバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差をもはや超えないように、ダウンリンクの目標セルの時間を揃えるステップであって、
目標セルと基準セルの間のダウンリンクの送信時間の差が、基準セル上のダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_PCell)と目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの始まり(TDL_TX_SCell)との間の時間差であり、ダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す、
ステップ
をさらに実行する。
本発明は、モバイル通信システムにおいてダウンリンク・タイミングについてレポートするためのモバイル端末をさらに提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、アップリンクおよびダウンリンクの基準セルならびに少なくとも1つのダウンリンクの目標セルで構成される。モバイル端末のメモリは、モバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差を記憶する。モバイル端末のプロセッサは、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定し、測定結果をモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差と比較する。モバイル端末の送信機は、比較結果に関する情報をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末のプロセッサは、目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの先頭の受信(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの先頭の受信(TDL_RX_PCell)との間の時間差を測定することによって、目標セルと基準セルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)を決定し、基準セルおよび目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末のプロセッサは、モバイル端末が基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻(TUL_TX_PCell)とモバイル端末が目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻(TDL_RX_SCell)との間の時間差を測定することによって、目標セルと基準セルの間の受信送信時間の差(ΔScell−PCellRxDL−TxUL)をモバイル端末が決定し、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、事前に定義された最大伝搬遅延時間差は、基準セルおよび目標セル上で対応するダウンリンクのサブフレームを受信するための、モバイル端末の受信機窓に基づいている。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末のプロセッサは、時間差情報を測定し、送信機は、
●周期的に、ならびに/または
●iv.目標セルの構成および/もしくはアクティブ化、
v.測定結果が事前に決められた閾値を超える、または
vi.アグリゲーション・アクセス・ポイントからのレポートの要求の受信、
などの事前に決められたイベントによってトリガされて、
モバイル端末による測定結果をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末の送信機は、
○対応するアップリンクおよびダウンリンクの無線フレームについて、または対応するダウンリンクのサブフレームについて、測定された時間差が事前に定義された最大伝搬遅延時間差を超えたことを示す、外部最大伝搬遅延時間差値と、任意選択で、
○測定された時間差情報と
を含む比較結果に関する情報を送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、外部最大伝搬遅延時間差値は、事前に定義されたチャネル状態情報CSI値として、または事前に定義された電力ヘッドルーム・レポートPHR値として、少なくとも1つのダウンリンクの目標セルに結び付けられたアップリンクの目標セルを介して送信される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、基準セルは、プライマリ・セル、または複数のセカンダリ・セルの1つであり、目標セルは、複数のセカンダリ・セルの1つである。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、モバイル端末は、複数のダウンリンクの目標セルで構成され、時間差情報の測定、測定結果と事前に定義された最大伝搬遅延時間差との比較、および比較結果に関する情報のアグリゲーション・アクセス・ポイントへの送信は、目標セルの各々に対して実行される。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、測定結果、または比較結果に関する情報は、目標セルの各々に関して、好ましくは構成されるすべてのセカンダリ・セルに関して1つのメッセージ内でアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。
本発明は、モバイル通信システムにおいてモバイル端末のダウンリンク・タイミングを制御するためのアグリゲーション・アクセス・ポイントをさらに提供する。モバイル端末は、アグリゲーション・アクセス・ポイントと通信し、アップリンクおよびダウンリンクの基準セルならびに少なくとも1つのダウンリンクの目標セルで構成される。アグリゲーション・アクセス・ポイントのメモリは、モバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差を記憶する。アグリゲーション・アクセス・ポイントの受信機は、目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報を測定するモバイル端末によって実行された測定の測定結果を、モバイル端末から受信する。アグリゲーション・アクセス・ポイントのプロセッサは、測定結果をモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差と比較する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、事前に定義された最大伝搬遅延時間差は、モバイル端末の受信機窓に基づいている。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントの送信機は、レポートの要求をモバイル端末に送信し、レポートの要求は、
○送信および/もしくは受信タイミングについてのレポートの要求を示すフラグを含む、構成されたセルを非アクティブ化/アクティブ化するための非アクティブ化/アクティブ化コマンドであって、フラグが非アクティブ化/アクティブ化コマンドの予約されたビットのうちの1つに設定されることが好ましい、非アクティブ化/アクティブ化コマンド、または
○送信および/もしくは受信タイミングについてのレポートの要求を示すフラグを含む、無線リソース制御コネクション再構成メッセージ、ランダム・アクセス・チャネルRACH命令メッセージ、または
○送信および/もしくは受信タイミングについてのレポートの要求を示す事前に決められた符号点、もしくは符号点の事前に決められた組み合わせを有する、ランダム・アクセス・チャネルRACH命令メッセージ
である。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントの受信機は、測定結果を、好ましくは、媒体アクセス制御レイヤを使用して送信される、媒体アクセス制御MAC制御要素内で、または好ましくは、無線リソース制御レイヤを使用して送信される、無線リソース制御RRCメッセージ内で受信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントの送信機は、受信した測定結果がモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差を超えていることを比較結果が示している場合、モバイル端末において目標セルを非アクティブ化するための非アクティブ化メッセージをモバイル端末に送信する。
上記の内容に対して追加的にまたは代替的に使用され得る本発明の有利な実施形態によれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントの送信機は、受信した測定結果がモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差を超えていることを比較結果が示している場合、モバイル端末によって測定される時間差がモバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差をもはや超えないように、ダウンリンクの目標セルの時間を揃える。
本発明は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたときに、モバイル端末に、以下のようにモバイル通信システムにおいてダウンリンク・タイミングについてレポートさせる命令を記憶するコンピュータ可読媒体をさらに提供する。目標セルおよび/または基準セル上の送信に関連する送信および/または受信時間差情報が測定される。測定結果は、モバイル端末についての事前に定義された最大伝搬遅延時間差と比較される。比較結果に関する情報は、アグリゲーション・アクセス・ポイントに送信される。
コンピュータ可読媒体は、モバイル端末のプロセッサによって実行されたときに、モバイル端末に、上で説明した方法のステップを実行させる命令を記憶する。
以下で、本発明が、添付の図および図面を参照してより詳細に説明される。図中、同様のまたは対応する詳細は、同じ参照番号で印を付けられる。
以下の段落は、本発明のさまざまな実施形態を説明する。例示のみを目的として、実施形態のほとんどは、上の「背景技術」のセクションで検討された3GPP LTE(リリース8/9)およびLTE−A(リリース10)モバイル通信システムによる直交シングル・キャリア・アップリンク無線アクセス方式に関連して要点を説明される。本発明は、例えば、上の「背景技術」のセクションで説明された3GPP LTE(リリース8/9)およびLTE−A(リリース10)通信システムなどのモバイル通信システムにおいて有利に使用され得るが、本発明はこの特定の例示的な通信ネットワークでのその使用に限定されないことに留意されたい。本発明は、(異なる伝播遅延を有する)複数のキャリア上でのアップリンクの送信のタイム・アライメントが望まれる通信システムにおいて広く用いられ得る。
上の「背景技術」のセクションで与えられた説明は、本明細書において説明されるほぼ3GPP LTE(リリース8/9)およびLTE−A(リリース10)に固有の例示的な実施形態をより深く理解することを意図されており、本発明を、そのモバイル通信ネットワークでのプロセスおよび機能の説明される特定の実装に限定するものと見なされるべきでない。
本発明の1つの態様は、(基準)アップリンク・コンポーネント・キャリアが既に時間を揃えられている基準セルに対して相対的に、無線セルの時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることである。無線セルの時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのためのタイミング・アドバンスが、基準セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスと、基準セルおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアによる対応するダウンリンクの送信の受信時間の時間差(または伝播遅延の差)とに基づいて決定される。タイム・アライメント・メカニズムは、モバイル端末によって新たに構成されるもしくはアクティブ化される、または(例えば、タイム・アライメントを失った後に)タイム・アライメントの再確立を必要とする可能性があるアップリンク・コンポーネント・キャリア上の時間を揃える送信のために使用され得る。以下で要点を説明されるように、アップリンク・コンポーネント・キャリアの新しい構成は、例えば、ハンドオーバ先アクセス・ポイントへのモバイル端末のハンドオーバ、またはモバイル端末におけるさらなるアップリンク・コンポーネント・キャリアの構成もしくはアクティブ化の動作の結果生じる可能性がある。
対応するダウンリンクの送信は、例えば、基準セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して、および時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルを介してアクセス・ポイントによって同時に送信される送信(例えば、それら2つのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信される所与のサブフレームの送信)を表す。この場合、受信時間の差は、基準セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信される送信の伝播遅延と、時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信される送信の伝播遅延との時間差(以下で「伝播遅延の差」とも呼ばれる)でもある。したがって、この場合、無線セルの時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのためのタイミング・アドバンスの決定が、基準セル(のアップリンク・コンポーネント・キャリア)に関するタイミング・アドバンスと、基準セルおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアによるダウンリンクの送信の伝播遅延の差とに基づいて決定される。
タイム・アライメントの目的で、基準セルがアップリンク・コンポーネント・キャリアで構成されることは−厳密に言えば−必要ない。モバイル端末が使用されるべき基準タイミング・アドバンス値を与えられ、さらに、基準セルを通じて受信されるダウンリンク・コンポーネント・キャリアが存在する。それらに基づいて受信時間の差(または伝播遅延の差)が、その他の無線セルの時間を揃えるために決定可能であれば十分である。しかし、ほとんどの実際の実装に関して、基準セルは、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび(時間が揃った)アップリンク・コンポーネント・キャリアで構成されることが有利である可能性がある。
さらに、本発明の一実施形態において、(1つまたは複数の)時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイミングが相対的に時間を揃えられる基準セルは、ユーザ機器とアグリゲーション・アクセス・ポイントの間の時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルである。しかし、基準セルは、ユーザ機器とアグリゲーション・アクセス・ポイントとは別のアクセス・ポイントとの間の時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルである可能性もある。用語、アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、基地局またはeNodeB)は、異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上のユーザ機器のアップリンクの送信がアグリゲートされるアクセス・ネットワーク内の場所、すなわち、ノードを表すために使用される。アグリゲーションとは、
− アグリゲーション・アクセス・ポイントによる統合物理レイヤ処理(joint physical layer processing)(例えば、(例えば、OFDMシステムにおける受信されたサブフレームの処理のための1つのIFFT(逆高速フーリエ変換)の利用を含む)統合復調(joint demodulation)および/もしくは(1つもしくは複数の)符号化されたトランスポート・ブロックの統合復号(joint decoding)など)のための、ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上の、すなわち、物理レイヤ上の送信(例えば、それぞれのサブフレーム)に対応する無線信号の同時受信、
ならびに/または
− アグリゲーション・アクセス・ポイントのプロトコル・エンティティにおける、ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上の送信(例えば、それぞれのサブフレーム)で受信されるプロトコル・データ・ユニットの処理
を指す。
ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上の送信で受信されるプロトコル・データ・ユニットの結合処理(conjoint processing)は、−1つの例示的な実装においては−例えば、PDUの並べ替えを目的とする、アグリゲーション・アクセス・ポイントのMACレイヤまたはRLCレイヤにおける異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上の送信から得られたPDUの結合処理である可能性がある。
言い換えると、本発明の1つの例示的な実施形態において、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、アグリゲーション・アクセス・ポイントによる統合処理(例えば、復調および/または復号)のために、ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上の、すなわち、物理レイヤ上の送信(例えば、それぞれのサブフレーム)に対応する無線信号を受信すべきネットワーク・ノードを表す。本発明の別の例示的な実施形態においては、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリアを介した送信(例えば、それぞれのサブフレーム)で受信されるプロトコル・データ・ユニットを処理すべきネットワーク・ノードを表す。1つの例示的な実装において、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、基地局またはeNodeBである。
本発明のこの第1の態様にしたがって、および本発明の例示的な実施形態にしたがって、モバイル通信システムにおいてモバイル端末によるアップリンクの送信の時間を揃えるための方法が提供される。モバイル端末が、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第1の無線セルと、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む第2の無線セルとで構成される。モバイル端末は、それぞれ、第1の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したアグリゲーション・アクセス・ポイントからモバイル端末へのダウンリンクの送信に関する受信時間の差(または伝播遅延の差)を判定し、第1の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアおよび第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介してモバイル端末からアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信されたアップリンクの送信がアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着するように、第1の無線セルの時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信のためのタイミング・アドバンスと、判定された受信時間の差(または伝播遅延の差)とに基づいて第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを調整することによって第2の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃える。したがって、RACH手順は、第2の無線セルにおいてアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのために必要とされない。
本明細書において、同時に、または同じ時点でとは、μsの範囲内のある程度のずれを加えた/引いた同じ時点を意味する。例えば、所与の無線セルにおけるアップリンクの伝播遅延とダウンリンクの伝播遅延の間のわずかな差と、タイミング・アドバンス値の粒度とは、アップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信の完璧なタイム・アライメントが存在しないことを示唆する。いずれにしても、アップリンクの送信の同時の到着は、(異なる伝播遅延を有する)異なるアップリンク・コンポーネント・キャリアを介したモバイル端末によるアップリンクの送信が受信するアグリゲーション・アクセス・ポイントによってまとめて処理され得る程度に保証される。例えば、アップリンク・コンポーネント・キャリア上の1つの所与のサブフレームの異なる送信が、アグリゲーション・アクセス・ポイントがそのサブフレームのすべての送信をまとめて処理する(統合処理)ことを可能にするようにしてそれらの異なる送信が受信されるように時間を揃えられる。
さらに、モバイル端末のために構成されるアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントは、モバイル端末が2つ以上のアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えなければならない場合にももちろん適用可能であることにも留意されたい。基本的に、アップリンク・コンポーネント・キャリアに関する基準タイム・アドバンス(time advance)が存在する限り、任意の数のアップリンク・コンポーネント・キャリアが、本明細書に記載の手順によって時間を揃えられ得る。
加えて、単一の無線セルが、1つまたは複数のアップリンク・コンポーネント・キャリア、および1つまたは複数のダウンリンク・コンポーネント・キャリアを含み得ることに留意されたい。1つの無線セルにおいて、すべてのアップリンクおよびダウンリンク・コンポーネント・キャリアの伝播遅延が同一であると想定できる場合があり得る。したがって、無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアは、同じ伝播遅延を被り、単一のタイミング・アドバンス値に関連付けられ得るアップリンク・コンポーネント・キャリアのグループを形成すると考えられる可能性がある。もちろん、アップリンク・コンポーネント・キャリアの伝播遅延が(例えば、FSRを使用することにより)無線セル内で互いに異なる場合、それぞれのさらされる伝播遅延に対するタイミング・アドバンス値が与えられるべきである。
本発明の別の第2の態様は、モバイル端末のハンドオーバ手順で使用するためのアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのための手順を提案することである。同期したハンドオーバおよび非同期のハンドオーバのための手順が、提供される。上で検討されたタイム・アライメント手順が、モバイル端末がハンドオーバされるハンドオーバ先(アグリゲーション)アクセス・ポイントによって制御される無線セルにおいてアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるためにやはり使用され得る。この態様によれば、ハンドオーバ先(アグリゲーション)アクセス・ポイントの無線セル(すなわち、基準セル)におけるアップリンク・コンポーネント・キャリアのうちの1つに関するタイミング・アドバンスは、モバイル端末に与えられ得る(同期したハンドオーバ)か、または例えばランダム・アクセス手順を実行することによってモバイル端末によって決定され得る(非同期のハンドオーバ)かのどちらかである。次いで、モバイル端末によって使用されるべき(1つまたは複数の)その他の無線セルの(1つまたは複数の)その他のアップリンク・コンポーネント・キャリアが、本明細書において既に説明されたように基準セルに対して相対的に時間を揃えられ得る。
3GPPの用語ではユーザ機器とも表記されるモバイル端末が、異なる帯域および物理的位置のソースに由来するコンポーネント・キャリアをアグリゲートしている場合、異なる伝播条件が原因で、これらのコンポーネント・キャリアは、すべて、異なる伝播遅延を有する可能性がある。
アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)が所与のモバイル端末のすべての構成されたコンポーネント・キャリアを介したアップリンクの送信を処理しているという前提の下で、モバイル端末からのアップリンクの送信は、コンポーネント・キャリア上の伝播遅延が異なっているとしてもアグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に(同じ時点で)到着すべきである。したがって、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、各アップリンク・コンポーネント・キャリアに固有の伝播遅延に応じたそのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関する異なるタイミング・アドバンスを用いてモバイル端末を構成し得る。伝播遅延は、同じ周波数帯域にあり、同じ位置で(すなわち、1つのアクセス・ポイントによって)終端されるコンポーネント・キャリアに関しては同じである可能性が高い。そのため、特定のコンポーネント・キャリアをタイミング・アドバンス・グループにグループ化し、所与のグループのすべての所属するコンポーネント・キャリアが、アップリンクにおいてこのグループに固有の同じタイミング・アドバンスを用いて伝わることが好適である可能性がある。
例えば、最新の3GPP通信システムを考えるとき、1つのユーザ機器に対していくつかのタイミング・アドバンスを設定することは、各タイミング・アドバンス・グループに対して1つのRACH手順ずついくつかのRACH手順が実行される必要があることを示唆する。したがって、eNodeBは、RACHプリアンブル701、802に基づいてアップリンクにおける各コンポーネント・キャリア・グループに関する伝播遅延を判定する可能性があり、次いで、ランダム・アクセス応答メッセージ702、803を用いて必要とされる各コンポーネント・キャリア・グループに対する適切なタイミング・アドバンスを設定する(図7および図8参照)。これは、ユーザ機器が一度に単一のRACH手順のみを実行することができると想定すると、いくつかのRACH手順を実行することによって引き起こされる大きな遅延を示唆する。
同様に、ハンドオーバを行うと、ユーザ機器は、RACH手順を通じてハンドオーバ先セルにおけるコンポーネント・キャリアのためのタイミング・アドバンス値を獲得する必要があり、このことは、UEがデータを送受信できない、「RRCコネクション再構成」メッセージと「RRCコネクション再構成完了」メッセージとの間の増大した中断時間が存在することを意味する。図10は、ハンドオーバ元eNodeBからハンドオーバ先eNodeBへのユーザ機器の通常の非同期のハンドオーバ内のステップを例示する。ユーザ機器がハンドオーバ元eNodeBからRRCコネクション再構成メッセージを受信した後、ユーザ機器は、最初に、ハンドオーバ先プライマリ・セル(Pセル)においてダウンリンクの同期をとり、ランダム・アクセス手順(RACH手順)を実行し、それによってプライマリ・セルの(1つまたは複数の)アップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントがもたらされる。さらに、ユーザ機器が異なる伝播遅延を被るハンドオーバ先eNodeBによるさらなるコンポーネント・キャリア(この例においては、2つのコンポーネント・キャリア・グループ(CoCaグループ1および2)のコンポーネント・キャリア)を用いて構成される場合、ユーザ機器は、ハンドオーバの遅延のもととなるさらなるRACH手順(この例においては、CoCaグループ1のRACH手順およびCoCaグループ2の別のRACH手順)を実行する必要がある。すべての構成されたアップリンク・キャリアの時間を揃え終わると、ユーザ機器は、RRCコネクション再構成完了メッセージを送信することによって非同期のハンドオーバを終了する。
図11で強調されるように、同期したハンドオーバの場合、ユーザ機器は、ハンドオーバ先eNodeBのプライマリ・セルのためのタイミング・アドバンス値を与えられ、このことは、プライマリ・セル(Pセル)に関するRACH手順を回避することを可能にする。しかし、依然として、すべてのその他のタイミング・アドバンス・グループ(CoCaグループ1および2)のアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するRACH手順は、それぞれのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスを適切に確立するために実行される必要がある。
例示を目的として、ネットワーク内にアグリゲーション・アクセス・ポイントが存在し、(例えば、信号経路が周波数選択的リピータを通るために)異なる伝播遅延にさらされている(例えば、リモート・ラジオ・ヘッド、RRHが関与することによる)少なくとも2つの異なる物理的位置にそれぞれ由来する少なくとも2つのコンポーネント・キャリアが存在すると想定する。モバイル端末が、時間を揃えられた少なくとも1つのアップリンク・コンポーネント・キャリア(すなわち、基準セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア)を有するとさらに想定する。モバイル端末は、1つの基準タイミング・アドバンス、すなわち、基準セルの既に時間が揃ったアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイミング・アドバンスから(1つまたは複数の)時間が揃っていないコンポーネント・キャリアに関する必要なタイミング・アドバンスを導出することができる。さらに、これは、所与の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアおよびダウンリンク・コンポーネント・キャリアに関して、アップリンクの伝播遅延が、ダウンリンクの伝播遅延と同じである限り当てはまることに留意されたい。
無線セルの所与の時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスは、基準セルの(アップリンク・コンポーネント・キャリアに関する)タイミング・アドバンスと、基準セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを通じた送信の受信および時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを通じた送信の受信の受信時間の差または伝播遅延の差とに基づいて決定される。
以下で、本発明の例示的な実施形態による、タイマが揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスを決定するための手順が、例示のみを目的として、3GPPに基づくシステムを参照して説明される。以下の例において、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、eNodeBに対応しており、一方、さらなるアクセス・ポイントが、リモート・ラジオ・ヘッド(RRH)または周波数選択的リピータ(FSR)によって形成される。
例示を目的として、アップリンクおよびダウンリンク・コンポーネント・キャリアは、スロットに分けられた構造を有すると想定され、すなわち、アップリンクおよびダウンリンクの送信は、サブフレームで送信される。ダウンリンクにおいて、図3および図4に例示されたサブフレーム構造が使用され得るが、本発明はそのサブフレーム構造に限定されない。同様に、アップリンクにおいて、図3および図4に例示されたサブフレーム構造が使用され得るが、本発明はそのサブフレーム構造に限定されない。アップリンク・コンポーネント・キャリアのためのサブキャリアの数(すなわち、帯域幅)は、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアのサブキャリアの数(すなわち、帯域幅)と異なる可能性がある。アップリンク・コンポーネント・キャリアは、さまざまな帯域幅を有する可能性がある。同様に、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアは、さまざまな帯域幅を有する可能性がある。
さらに、アップリンクにおいては、単一のサブフレームが、アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)によってアグリゲートされるすべてのアップリンク・コンポーネント・キャリアの帯域幅全体(すなわち、すべてのサブキャリア(またはサブバンド))に広がると想定される。ユーザ機器の観点から見ると、単一のサブフレームが、それぞれアップリンクまたはダウンリンクにおいてモバイル端末によって構成されたすべてのコンポーネント・キャリアの帯域幅全体(すなわち、すべてのサブキャリア(またはサブバンド))に広がっている。したがって、1つのサブフレーム内で送信されるデータは、それぞれアップリンクまたはダウンリンクにおいて構成された各コンポーネント・キャリア上の変調シンボル(例えば、OFDMシンボル)の個々の送信として送信される。よって、ダウンリンクまたはアップリンクにおいて送信される所与の単一のサブフレームを処理するために、モバイル端末(例えば、ユーザ機器)またはアクセス・ポイント(例えば、基地局もしくはeNodeB)は、モバイル端末によって構成されたそれぞれのダウンリンク・コンポーネント・キャリア、または(アグリゲーション)アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)によって受信されるすべてのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のサブフレームのすべての送信を受信する必要がある。
図18は、アップリンクにおいて3つのコンポーネント・キャリアを介して送信されるべきサブフレームを例示する。例えば、OFDMに基づく通信システムを想定すると、サブフレームは、時間ドメインにおいてNsub−frame個の連続するOFDMシンボル(例えば、12または14個のOFDMシンボル)の組および周波数ドメインにおいて−ここでは3つの−異なるコンポーネント・キャリアに対応するサブキャリアの組として定義され得る。例示を目的として、それぞれNCoCa1、NCoCa2、およびNCoCa3個のサブキャリアを含む3つのコンポーネント・キャリアCoCa1、CoCa2、およびCoCa3が、示される。コンポーネント・キャリアのサブキャリアは、個々のサブバンドにグループ化される可能性もある。さらに、厳密に言えば、サブフレームは、必ずしも周波数ドメインにおいてサブキャリアの連続する領域に広がるとは限らず、コンポーネント・キャリアの異なるサブキャリアが、周波数ドメインにおいて間隔を空けられる可能性もある。同様に、個々のコンポーネント・キャリアのサブキャリアの数(すなわち、それらのコンポーネント・キャリアの帯域幅)は、異なるコンポーネント・キャリアに関して同じである可能性があり、または同じでない可能性がある。例えば、コンポーネント・キャリアCoCa1およびCoCa2が、それぞれ5MHzの帯域幅を提供するコンポーネント・キャリアである可能性があり、一方、コンポーネント・キャリアCoCa3は、10MHzの帯域幅を有する。
所与のコンポーネント・キャリアのサブキャリア上に配置されるそれぞれのOFDMシンボルの変調シンボルは、サブフレームの送信と考えられる。したがって、図18に示される例において、単一のサブフレームが、3つのコンポーネント・キャリアCoCa1、CoCa2、およびCoCa3上の3つの送信によって送信される。
これに関連して、アップリンク・コンポーネント・キャリア上の送信のタイム・アライメントは、モバイル端末が、ダウンリンクで受信されるサブフレームの境界(例えば、基準セルまたは時間を揃えられるべきアップリンク・コンポーネント・キャリアが属する無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアのサブフレームの境界)に対して相対的にそれぞれのアップリンク・コンポーネント・キャリアのサブフレーム構造を(時間的に)シフトすることを意味する。タイミング・アドバンス(値)は、モバイル端末によってダウンリンクで受信される基準サブフレーム構造内のサブフレームの始まり/タイミングに対して相対的な適用されるべき時間的シフトを示す。(異なる伝播遅延を有する異なる無線セルの、および/または異なるモバイル端末の)アップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスを適切に構成する場合、アクセス・ポイントは、アップリンクのサブフレームの境界がすべてのアップリンク・コンポーネント・キャリアに関して揃えられることを保証することができる。
図19は、(図18に示された)3つのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介した(1、2、および3と付番された)3つの連続するサブフレームの送信を例示する。ユーザ機器UEが、例示を目的として、異なる伝播遅延を有すると想定される3つのコンポーネント・キャリアCoCa1、CoCa2、およびCoCa3に対して個々のタイミング・アドバンス値を使用するので、それぞれの単一のサブフレームの個々の送信は、eNodeBにおけるそれらの送信の受信に関して時間を揃えられることになる。これは、例えば、eNodeBの物理レイヤ・エンティティが、個々のサブフレームを処理するときに単一のIFFT演算を行うことができることを容易にする。
本発明の1つの例示的な実施形態において、無線セルの(時間が揃っていない)アップリンク・コンポーネント・キャリアのタイミング・アドバンス値TAAP2は、モバイル端末において、基準セルの(時間が揃った)アップリンク・コンポーネント・キャリアの知られているタイミング・アドバンス値TAAP1に基づき、さらに受信時間の差(または伝播遅延の差)ΔTpropに基づいて以下のように計算される。
TAAP2=TAAP1+2・ΔTprop (式3)
基準セルの(時間が揃った)アップリンク・コンポーネント・キャリアのタイミング・アドバンス値TAAP1は、例えば、先に図7から9に関連して要点を説明されたようにRACH手順を実行することによってモバイル端末によって取得された可能性がある。またはタイミング・アドバンス値TAAP1は、別の基準セルを参照して、本明細書において説明されるようにユーザ機器によって先立って計算された可能性もある。
さらに、1つの例示的な実装において、基準セルのタイム・アライメントとそれゆえにTAAP1の値は、基準セルのアクセス・ポイントによって(絶えず)更新される可能性がある。よって、基準セルのタイミング・アドバンスが更新される場合、モバイル端末も、そのタイミング・アドバンスに対して相対的に計算されたタイミング・アドバンス値を更新する可能性がある。基準セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの更新されたタイミング・アドバンスに基づく(1つまたは複数の)アップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンスの更新は、受信時間の差(または伝播遅延の差)ΔTpropが例えばモバイル端末の移動が原因で変化にさらされる可能性もあるので、この時間差の新たな測定も含み得る。
代替的に、基準セルのタイム・アライメントの更新は、(1つまたは複数の)その他の無線セルの(1つまたは複数の)アップリンク・コンポーネント・キャリアに関する(1つまたは複数の)タイミング・アドバンス値の更新を引き起こさない可能性がある。その代わりに、アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)が、それぞれのアップリンク・コンポーネント・キャリアまたはそれぞれのアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループのタイミング・アドバンス値に関する更新コマンドを送信する可能性がある。更新コマンドは、例えば、現在設定されているタイミング・アドバンス値の修正を示す可能性がある。更新コマンドは、例えばダウンリンクの送信に多重化されるMAC制御要素内の例えばMAC制御シグナリングによって送信され得る。
式3において、タイミング・アドバンス値TAAP2は、時間を揃えられるべきアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの受信タイミングに対して相対的な(またはより厳密に言えば、ダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信されるサブフレームの始まりの受信タイミングに対して相対的な)タイミング・アドバンスを定義すると想定される。
受信時間の差(または伝播遅延の差)ΔTpropは、
ΔTprop=TDL−TCell−TDL−RCell (式4)
のように定義されると想定される可能性がある。ここで、TDL−TCellは、目標セル(Tセル)、すなわち、時間を揃えられるべきアップリンク・コンポーネント・キャリアを含む無線セルを介した送信内でサブフレームの始まりがモバイル端末によって検出される時点を表す。また、TDL−RCellは、基準セル(Rセル)を介した送信内で同じサブフレームの始まりがモバイル端末によって検出される時点を表す。
タイミング・アドバンス値TAAP2が基準セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの受信タイミングに対する相対的なタイミング・アドバンスを定義する場合は、タイミング・アドバンス値TAAP2は、以下のように計算される。
TAAP2=TAAP1+ΔTprop (式5)
しかし、式5のようにタイミング・アドバンス値TAAP2を定義することは、基準セルが「打ち切られる」、すなわち、基準セルの(1つまたは複数の)コンポーネント・キャリアが(例えば、ハンドオーバにより)非アクティブ化されるか、またはもはや構成されていない場合に、モバイル端末がすべてのタイミング・アドバンス値を再計算する必要があり得るという不利益がある可能性がある。これは、基準セル(におけるタイム・アライメント)の喪失が、その基準セルに対して相対的に時間を揃えられるすべてのその他の無線セルのタイム・アライメントの喪失をやはり示唆している場合に当てはまる。しかし、基準セルに対して相対的な最初のタイム・アライメントの後は、個々の無線セル(すなわち、アップリンク・コンポーネント・キャリア)のタイム・アライメントが、アグリゲーション・アクセス・ポイントによって個々にまたはグループごとに更新される。したがって、基準セルの喪失がモバイル端末によって構成されたその他の無線セルの新たなタイム・アライメントを必ずしも必要としない場合もあり得る。
以下で、時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリア(時間が揃っていない無線セル)に関するタイミング・アドバンスの決定が、さらに詳細に、いくつかの例示的なシナリオを参照して概説される。図13に示される例示的なシナリオにおいては、ユーザ機器が、2つの無線セル、第1の位置、例えばeNodeBから生じる1つの無線セルと、異なる位置、例えばリモート・ラジオ・ヘッド(RRH)から生じるもう1つの無線セルとをアグリゲートすると想定される。RRHは、そのRRHを制御している基地局(例えば、3GPPに基づくシステムのeNodeB)などのアクセス・ポイントに接続され、そのアクセス・ポイントから遠隔にある無線機器を表す。アクセス・ポイントとRRHの間のインターフェースは、例えば、共通公衆無線インターフェース(Common Public Radio Interface)(CPRI)規格−www.cpri.info参照−を用いる可能性がある。RRHおよびそれを制御するアクセス・ポイントは、例えば、光ファイバー・ケーブルによって相互に接続され得る。
2つの無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアを介した送信は、同じアグリゲーション・ノード、すなわち、この例においてはeNodeBにおいて処理され、各無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアおよびアップリンク・コンポーネント・キャリアの伝播遅延は同じである。モバイル端末UEとeNodeBの間のアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa1およびダウンリンク・コンポーネント・キャリアDL CoCa1を含む無線セルは、プライマリ無線セル(例えば、ユーザ機器のPセル)と表される。一方、モバイル端末UEとRRHの間のアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa2およびダウンリンク・コンポーネント・キャリアDL CoCa2を含む無線セルは、セカンダリ無線セル(例えば、ユーザ機器のSセル)と表される。セカンダリ・セルを介してユーザ機器によって送信されるすべての送信は、RRHのトランシーバによって受信され、RRHとeNodeBの間のインターフェースを介してeNodeBに転送される。同様に、RRHを介してデータを送信するとき、eNodeBは、例えば、CPRIプロトコルを用いてRRHにデータを送信し、RRHが、セカンダリ・セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介してユーザ機器にそのデータを転送する。
プライマリ無線セルは、この例においてはユーザ機器のPセルであると考えられる可能性があり、タイム・アライメントのための基準セルである。しかし、ユーザ機器がアグリゲートし、現在タイミングが揃っている任意のその他の無線セルが、やはり基準セルとして働くことができる。例えば、プライマリ無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa1のタイム・アライメントが、プライマリ無線セルにおいて実行されたRACH手順を通じてeNodeBによって設定された可能性がある。
図15は、基準セル以外の無線セルの時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアに関する正しいタイム・アライメントをユーザ機器が決定することを可能にする本発明の例示的な実施形態による手順を示している。例示を目的として、上で図13に関連して概説されたように、eNodeBがアグリゲーション・アクセス・ポイントであり、RRHが追加的なアクセス・ポイントとして働くものと想定される。eNodeBは、プライマリ無線セルおよびセカンダリ無線セルをそれぞれ介してユーザ機器にダウンリンクでサブフレームを送信する。例示を目的として、eNodeBが単一のサブフレームのすべての送信(対応する送信)を同時に送信すると想定される。所与のサブフレームの対応する送信は、図15において同じ番号によって示される。所与のサブフレームの送信は異なる伝搬経路をとるので、所与のサブフレームのそれぞれの送信は、図15の上の部分において強調されるように、ユーザ機器において異なる時点で受信される。
eNodeBおよびRRHによるサブフレームの送信の間の時間のシフトは、例えば、インターフェースを介してeNodeBによってRRHに転送され(伝播遅延
)、RRHからユーザ機器に転送される(伝播遅延
)、RRHを介したサブフレームの送信が原因である。さらに、考慮される必要がある可能性があるRRHにおけるサブフレームの無視できない処理遅延
も、存在し得る。プライマリ・セルを介したeNodeBからユーザ機器へのサブフレームの送信の伝播遅延は、
と表される。
ユーザ機器は、サブフレームの対応する送信の受信の間の時間差ΔTpropを測定する。より詳細には、ユーザ機器は、アップリンク・コンポーネント・キャリアが時間を揃えられるべきである無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したサブフレーム#iの送信および基準無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したサブフレーム#iの送信の受信時間の間の差を判定する。eNodeBのプライマリ無線セルがタイム・アライメントのための基準セルである図15に示された例においては、ユーザ機器は、基準セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介して送信されたサブフレームの始まりがどの時点で受信されるか、およびRRHの無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアを介したまさに同じサブフレームの始まりがどの時点で受信されるかを判定し、これら2つの受信時間の時間差ΔTpropを計算する。
図13に示されたシナリオを想定するサブフレームの対応する送信の受信の間の時間差ΔT
propは、
と定義され、ここで、項
は省略され得る。eNodeBはサブフレームのすべての送信を同時に送信するので、実際は、ΔT
propは、図13に示されるように、基準セル(プライマリ無線セル)およびセカンダリ無線セルを介したサブフレームの送信の伝播遅延の差を表す。
異なる伝播遅延にさらされる異なるアップリンク・コンポーネント・キャリアを通じてサブフレームの対応する送信を送るときにそれらの対応する送信がeNodeBに同時に到着することを保証するために、ユーザ機器は、測定された伝播遅延の差を補償し、(基準セルのアップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信に対して相対的に)送信をさらに早める必要がある。したがって、図13の例示的なシナリオにおいて、RRHを介したアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa2上のサブフレームの送信は、(ユーザ機器に知られている)基準タイミング・アドバンスTAeNodeBと、ユーザ機器によって測定された時間差ΔTpropの2倍との分だけ早められるべきである。このように、RRHを介して送信されるサブフレームのアップリンクの送信に対して適用されるべき正しいタイミング・アドバンスは、
TARRH=TAeNodeB+2・ΔTprop (式7)
と計算され得る。
上述のように、基準セル/基準アップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa1のタイミング・アドバンス値TAeNodeBは、eNodeBとのRACH手順からユーザ機器によって知られた可能性があり、または別の/前の基準セルからの知られているタイミング・アドバンスに基づいて上述のようにして決定された可能性がある。
図13のシナリオにおいて基準セルを制御するeNodeBは、タイミング・アドバンス値TAeNodeBの継続的な更新を送信することによってアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa1のタイム・アライメントを絶えず調整する可能性がある。タイミング・アドバンスの更新は、例えばユーザ機器に送信されるダウンリンクの送信に多重化されるMAC制御要素を用いて、例えばMACシグナリングによって送信され得る。
本発明の1つのさらなる例示的な実施形態において、アップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントは、タイマを用いて制御される可能性がある。別個のタイマが、(それぞれが個々のアップリンク・コンポーネント・キャリアかまたはアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループかのどちらかに関連付けられる)各タイミング・アドバンス値のためにモバイル端末によって保有される可能性がある。モバイル端末は、そのモバイル端末が(それぞれアップリンク・コンポーネント・キャリアまたはアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループに関連付けられる)所与のタイミング・アドバンス値に関する更新コマンドを受信するたびにタイマをリセットし、開始する。タイマが切れる、すなわち、タイミング・アライメントが失われたと考えられるときにはいつも、タイム・アライメントが、本明細書に記載のメカニズムを用いてモバイル端末によって再確立可能であり、例えば、モバイル端末は、基準セルと受信時間の差(もしくは伝播遅延の差)の新しい測定値とに基づいてタイミング・アドバンス値を再計算することができるか、またはユーザ機器は、代替的に、RACH手順を実行してタイム・アライメントを再確立する可能性がある。
したがって、アップリンクは、−実際は−ユーザ機器が別の無線セルのアップリンク上の基準タイミング・アライメントを保持している限りタイミングが揃っていると見なされ得る。
図16に例示されるように、タイミング・アドバンス値TARRHが、図13に示されるように、基準セルによるダウンリンク・コンポーネント・キャリア、すなわち、プライマリ無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアDL CoCa1上のダウンリンク・サブフレームの境界の受信タイミングに対して相対的に計算される可能性もある。したがって、セカンダリ無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa2に関するタイミング・アドバンス値TARRHを計算するための式は、
TARRH=TAeNodeB+ΔTprop (式8)
に変更され、ここで、値TAeNodeBおよびΔTpropは、式7と比較して変わらないままである。
さらに、図15および図16の例においては、タイミング・アドバンス値TARRHおよびTAeNodeBは、アップリンク・コンポーネント・キャリア上のアップリンクの送信をサブフレームの境界に関して揃えるためだけではなく、アップリンク・コンポーネント・キャリアとダウンリンク・コンポーネント・キャリアとにおけるサブフレームの境界を揃えるためにも選択されている。しかし、これは必須ではない。
図17に例示されるように、アップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値は、アップリンク・コンポーネント・キャリアとダウンリンク・コンポーネント・キャリアとにおけるサブフレームの境界が揃えられないように選択される可能性もある。これは、例えば、(上の例においてTAAP1またTAeNodeBと表される)基準タイミング・アドバンス値が、例えば、図9に示されるようにアグリゲーション・アクセス・ポイントとモバイル端末の間の伝播遅延の2倍に対応しないようにアグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)によって構成される場合に実現され得る。そのとき、(1つまたは複数の)時間が揃っていないアップリンク・コンポーネント・キャリアに関するタイミング・アドバンス値は、依然として、この基準タイミング・アドバンス値に基づいて、図15および16に関連して上で概説されたように決定され得る。しかし、そのとき、そのような基準タイミング・アドバンス値に基づき計算された(1つまたは複数の)タイミング・アドバンス値は、アップリンク・コンポーネント・キャリア上のサブフレームの境界はやはり揃えるが、アップリンク・コンポーネント・キャリアとダウンリンク・コンポーネント・キャリアとのサブフレームの境界は揃えない。
上で説明された同じ想定および計算が、モバイル端末とアグリゲーション・アクセス・ポイントおよびその逆の間の無線信号が周波数選択的リピータ(FSR)を通っているシナリオにおいても使用され得る。FSRは、双方向増幅器(BDA)とも呼ばれることがある。FSRは、受信アンテナによって無線信号を受信し、受信された無線信号を信号増幅器によって増幅し、増幅された無線信号を内部アンテナを介してブロードキャストすることによって無線システムの無線信号を局所領域内で強めるために使用される装置である。通常、FSRの動作は、その他のネットワーク・ノード、すなわち、アクセス・ポイントおよびモバイル端末に対して透過的である。FSRは、ダウンリンクおよびアップリンクの1つまたは複数のコンポーネント・キャリアの無線信号を強めると想定され得る。構成されたコンポーネント・キャリアのサブセットのみがFSRによって増幅される場合、異なるコンポーネント・キャリアの無線信号は、図13に関連して本明細書において既に検討された状況と同様に異なる伝播遅延にさらされる可能性がある。
RRHまたはFSRの使用の1つの違いは、物理レイヤの受信の位置である。アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)の位置から生じる無線セルに関するアップリンクの送信の物理レイヤの受信は、アグリゲーション・アクセス・ポイントで行われ、一方、RRHの位置から生じる無線セルに関しては、物理レイヤの受信が、RRHにおいて行われる。本質的に、図13に示されたシナリオに関して上で説明されたタイム・アライメントの方法が、すべてのモバイル端末のすべてのアップリンクの送信がRRHに同時に到着するようにして、RRHで受信される無線セルに関するアップリンクのタイミングを調整し、すべてのモバイル端末のすべてのアップリンクの送信がRRHに同時に到着することは、すべてのモバイル端末からRRHに到着するすべてのアップリンク無線信号の干渉のない受信のために重要である。さらに、RRHにおける処理遅延およびRRHからアグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)までの伝播遅延は、RRHで受信されるすべてのアップリンク無線信号に関して同じであると想定され得るので、RRHによって転送されるすべてのアップリンクのデータは、アグリゲーション・アクセス・ポイントに同時に到着し、このことは、より上位のレイヤにおけるさらなる処理のために有益である。
周波数選択的リピータが使用される場合に関しては、すべてのアップリンク無線信号は、アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)の位置で受信される。したがって、すべての無線セルに関するすべてのアップリンクの送信の物理的な無線信号が、干渉のない物理レイヤの処理を保証するために同じ瞬間に到着することが有利であるはずである。
図14は、FSRが、セカンダリ無線セルのダウンリンクおよびアップリンク・コンポーネント・キャリア(DL/UL CoCa2)を強めるために使用される一方、プライマリ無線セルのダウンリンクおよびアップリンク・コンポーネント・キャリア(DL/UL CoCa1)の無線信号はFSRによって増幅されないシナリオを例示する。このシナリオにおいては、セカンダリ無線セルのアップリンクおよびダウンリンク・コンポーネント・キャリアがFSRによって強められ、ユーザ機器は、セカンダリ無線セルのアップリンクおよびダウンリンク・キャリアをeNodeBから直接受信していないと想定される。したがって、このシナリオにおいては、セカンダリ無線セル内のアップリンクおよびダウンリンク・コンポーネント・キャリアの伝播遅延は、プライマリ無線セル内のアップリンクおよびダウンリンク・コンポーネント・キャリアの伝播遅延と異なるとやはり想定され得る。さらに、セカンダリ無線セル内のアップリンク・コンポーネント・キャリアとダウンリンク・コンポーネント・キャリアの間に伝播遅延の差はない。
プライマリ無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa1に関するタイミング・アドバンス値TAeNodeBが知られているとさらに想定される場合、ユーザ機器は、上述のようにして、この基準タイム・アライメントTAeNodeBと、プライマリ無線セルおよびセカンダリ無線セルのダウンリンク・コンポーネント・キャリアの送信の間の受信時間の差(または伝播遅延の差)とに基づいてセカンダリ無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa2上の送信の時間を揃えることができる。基本的に、上記の同じ式が、項TARRHをセカンダリ無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアUL CoCa2に関するタイミング・アドバンス値を表す項TAFSRで置き換えて再利用され得る。
FSRの利用は−FRSが透過的に動作しているので−モバイル端末に知られていない可能性があるので、アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)が、(1つまたは複数の)モバイル端末が基準セルに基づいてタイミング・アドバンス値を計算することを許されるか否かをそれらのモバイル端末に知らせる可能性がある。アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)は、ネットワークの構成を知っており、ひいては、そのアグリゲーション・アクセス・ポイントの近くの(1つまたは複数の)FSRの使用および構成についても知っている可能性がある。
アグリゲーション・アクセス・ポイントによるタイミング・アドバンスの構成の方法
上で既に示されたように、モバイル端末(例えば、ユーザ機器)は、そのモバイル端末がアグリゲートしている異なる無線セルが由来する位置を知らない可能性がある。したがって、この場合、モバイル端末は、そのモバイル端末のアップリンクの送信が被る実際の伝播遅延も知らない。モバイル端末は無線セルのアップリンクとダウンリンクの両方が同じ位置から送信されるかどうかをやはり知らない可能性がある。そのため、本発明の1つのさらなる実施形態において、基準セルに依存してアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるための方法は、例えば、アグリゲーション・アクセス・ポイントがこの手順を認めている場合にのみ適用される可能性がある。例えば、3GPPに基づくモバイル通信システムにおいては、ネットワーク・トポロジーならびにノード(アクセス・ポイント)の正確な位置ならびに送信および受信アンテナの位置がeNodeBに知られている。そのため、eNodeBだけが、ユーザ機器のアップリンクの送信がユーザ機器によって受信されるダウンリンク信号と同じ伝播遅延を被るかどうかを知っている。
モバイル端末(例えば、ユーザ機器)で構成される各セルに関して上記の内容を考慮に入れて、アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)は、例えば、アップリンク・タイム・アライメント構成モード、すなわち、本明細書において既に検討されたタイミング・アドバンスの計算がアップリンク・コンポーネント・キャリアもしくはアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループに対して適用され得るかどうか、またはアップリンク・コンポーネント・キャリアもしくはアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループに関する初期タイミング・アドバンスがRACH手順を通じて設定されるべきであるかどうかをシグナリングする。
このシグナリングは、例えば、RACH手順が時間を揃えるために使用されるべきであるかどうか、またはモバイル端末が基準タイミング・アドバンスに基づいてタイミング・アドバンスを計算することができるかどうかを示すフラグを導入することによって実現され得る。フラグは、それぞれの個々の無線セルに関して、またはコンポーネント・キャリアが等しい伝播遅延にさらされる無線セルのグループに関してシグナリングされ得る。
所与の無線セルのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間をどのように揃えるかに関する情報は、無線セル上の送信および受信が開始可能になる前にモバイル端末で利用できるべきである。したがって、1つの例示的な実装において、タイム・アライメント構成モードをシグナリングするためのフラグは、無線セルが構成されるときにRRCシグナリングによってモバイル端末に搬送される可能性がある。例えば、タイム・アライメント構成モードを示すためのフラグ(例えば、1ビット)のシグナリング情報は、例えば、RRCプロトコルの無線リソース構成メッセージに含まれる可能性がある。
同期したおよび非同期のハンドオーバ
上述の方法は、モバイル端末が1つまたは複数のハンドオーバ先セルの新しいアップリンク・コンポーネント・キャリアをアグリゲートすることになるハンドオーバのシナリオにおいても使用可能である。ハンドオーバ先無線セルに関するRACH手順を実行する代わりに、モバイル端末は、ハンドオーバ先アグリゲーション・ノード(または基地局/eNodeB)によって制御される基準セルに対して相対的なアップリンク・コンポーネント・キャリアのアップリンクのタイム・アライメントを決定することができる。
基準タイミング・アドバンスがハンドオーバ先無線セルにおいて確立されると、モバイル端末(例えば、ユーザ機器)のためにハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイント(例えば、eNodeB)から構成されるさらなる無線セルが、さらなるRACH手順を使用することなく時間を揃えられ得る。したがって、モバイル端末がハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントの制御下のいくつかのアグリゲートされる無線セルを保有することになるハンドオーバは、新しいハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントの無線セルのために設定されるべきすべてのタイミング・アドバンスについてRACH手順を1つずつ使用する代わりに、非同期のハンドオーバの場合は、単一のRACH手順のみを使用することによって始まる。
ハンドオーバ先アグリゲーション・アクセス・ポイントの制御下の新しい基準セルのタイム・アライメントは、上述のように(非同期のハンドオーバに関して)RACH手順を通じてか、または同期したハンドオーバを用いるときに、ハンドオーバ元アグリゲーション・アクセス・ポイント(すなわち、モバイル端末がそこから新しい/ハンドオーバ先アクセス・ポイントにハンドオーバされるアクセス・ポイント、例えば、eNodeB)を通じてハンドオーバ先無線セルのうちの1つに関するタイミング・アドバンス値を構成することによってかのどちらかで得られる可能性がある。後者の場合、RACH手順は、ハンドオーバ先セルにおいてまったく必要とされない可能性がある。
3GPP LTE−Aなどの3GPPに基づくモバイル通信ネットワークに関連する本発明の1つの例示的な実施形態においては、(アグリゲーション・アクセス・ポイントとして働く)ハンドオーバ元eNodeBが、ハンドオーバを実行するようにユーザ機器に命じるRRCコネクション再構成メッセージをユーザ機器に送信することによってハンドオーバを開始する。RRCコネクション再構成メッセージは、ユーザ機器によって構成されるべきハンドオーバ先無線セルを制御する(新しいアグリゲーション・アクセス・ポイントとして働く)新しいeNodeBについてユーザ機器に知らせる。さらに、RRCコネクション再構成メッセージは、ユーザ機器によって構成されるべき無線セルを示す。任意選択で、すなわち、同期したハンドオーバの場合に、RRCコネクション再構成メッセージは、ハンドオーバ先eNodeBの制御下のアップリンク・コンポーネント・キャリア(またはアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループ)に関するタイミング・アドバンスを設定するためのタイミング・アドバンス値も含む。
非同期のハンドオーバの場合、ユーザ機器は、ハンドオーバ先無線セルのダウンリンクの同期を確立し、アップリンク・コンポーネント・キャリアのうちの1つでRACH手順を実行してこのアップリンク・コンポーネント・キャリア(またはこのアップリンク・コンポーネント・キャリアが属するアップリンク・コンポーネント・キャリア・グループ)に関するタイム・アライメントを確立する。タイム・アライメントが確立される、すなわち、タイミング・アドバンス値が設定されると、ユーザ機器によって構成されたその他のアップリンク・コンポーネント・キャリアが、本明細書において上で概説された方法によって時間を揃えられ得る。したがって、非同期のハンドオーバの場合、ユーザ機器は、ただ1つだけRACH手順を実行する必要があるが、すべてのアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えることができる。
eNodeBが(例えば、RRC制御シグナリングによって)基準セルに基づいてタイミング・アドバンス値を計算することを許さない場合、ユーザ機器は、タイミング・アドバンス値が基準セルのタイミング・アドバンスに基づいて構成され得ないアップリンク・コンポーネント・キャリアの時間を揃えるために2つ以上のRACH手順を実行する必要がある可能性がある。例えば、RRCコネクション再構成メッセージが、どのハンドオーバ先無線セルに関してユーザ機器が基準セルに基づいてタイミング・アドバンスを計算することができるかを示す可能性がある。
同期したハンドオーバの場合、RACH手順はまったく必要とされない。基準として働くハンドオーバ先無線セルに関する初期基準タイミング・アドバンスが、ハンドオーバ元eNodeBによってユーザ機器に提供される。次いで、(例えば、eNodeBが、基準タイミング・アドバンスに基づくそれぞれの無線セルのタイム・アライメントを認める場合)ハンドオーバ先eNodeBによって制御されるすべての残りの無線セルが、上述の方法を用いて時間を揃えられ得る。図12に示されるように、ハンドオーバの遅延が最小化される。ユーザ機器は、(基準セルとして働く)ハンドオーバ先セルのうちの1つのダウンリンクの同期を確立し、RRCコネクション再構成メッセージでeNodeBによって与えられたようにタイミング・アドバンスを設定する。そのとき、ユーザ機器は、(1つまたは複数の)その他のアップリンク・コンポーネント・キャリアまたはコンポーネント・キャリア・グループに関するタイミング・アドバンス値を計算することのみを必要とし、次に、RRCコネクション再構成完了メッセージを新しいeNodeBに送り返してハンドオーバを終了することができる。
したがって、基準セルに対して相対的なアップリンク・コンポーネント・キャリアのタイム・アライメントのための(1つまたは複数の)タイミング・アドバンスの計算は、同期したハンドオーバと非同期のハンドオーバの両方に関して、従来技術の方法と比較されたとき、ハンドオーバの遅延を大幅に削減し、ひいては、この手順に関連するレイテンシーおよび遅延を削減することができる。
本発明の別の態様は、サービング・セルの時間が揃っていないアップリンクの時間を揃えること、およびサービング・セルの時間が揃っていないアップリンクの時間を揃えるために使用されるタイミング情報をアグリゲーション・アクセス・ポイントに送信することである。
以下の特定のシナリオが想定されるが、本発明を限定するものと見なされるべきでなく、本発明の原理を説明するための例であると見なされるべきである。基準セルはPセルであり、目標セルはSセルであると想定される。アグリゲーション・アクセス・ポイントは、eNodeBであると想定される。
図23は、本発明の一実施形態によるタイム・アライメント手順を可能にするためにモバイル端末UEおよびeNodeBによって実行されるさまざまなステップと、それらのモバイル端末UEとeNodeBの間で交わされるメッセージとを示すシグナリング図を開示する。
モバイル端末UEは、そのモバイル端末UEがeNodeBとデータを交換するPセルを構成済みである。モバイル端末UEのPセルは、アップリンクにおいて既に時間が揃っており、すなわち、Pセル上でモバイル端末UEによってなされるアップリンクの送信は、eNodeBにおけるそれらの送信の受信がこのセル上のその他のモバイル端末UEのアップリンクの送信の受信と同期されるようなタイミングでモバイル端末UEによって行われる。Pセルは、RACH手順がコンテンション・ベースであろうと、または非コンテンション・ベースであろうと(図7および8参照)、背景技術のセクションで説明されたようにRACH手順を実行することによって最初にアップリンクの時間を揃えられた。
基準がアップリンクの時間が揃ったSセルであると想定して、本発明の原理を用いてPセルを最初に同期することが理論的には可能であるが、それは比較的有利でないと思われる。しかし、以下の説明は、UEが複数のサービング・セルをアグリゲートする場合については、Pセルが常にアップリンクの同期をとられ、例えば、PUCCHはPセル上で送信されるので、Pセルが、RACH手順を用いてアップリンクにおいて最初に同期され、(RACH手順はより正確であるので)「最良の」アップリンク・タイム・アライメントを有すると想定する。
この時点で、モバイル端末UEは、セカンダリ・セル、Sセルを用いて構成されるが、Sセルはアップリンクにおいてまだ時間が揃っていない。例えば、Sセルが、構成されたばかりであるか、または前にアップリンクの時間が揃っていたSセルが、そのSセルのアップリンクの同期を失った(例えば、タイミング・アドバンスのタイマが切れる)。いずれにせよ、モバイル端末UEは、今や、Sセルを通じてeNodeBにアップリンクのデータを送信することができるようになるためにアップリンクのタイム・アライメントを実現しなければならない。以下のステップが、図23によって例示されるように実行される。
1.モバイル端末UEが、測定を実行して、Pセルおよび/またはSセルにおける送信/受信の特定のタイミング情報を決定する。以下でさらに詳細に説明されるように、モバイル端末UEにおいて決定され得るさまざまなタイミング情報がある。端末が測定するタイミング情報は、そのタイミング情報が、既に時間が揃っており、したがって、Sセルのタイム・アライメントのための基準として働くPセルのアップリンクのタイム・アライメントを考慮することによってSセルに関するタイミング・アドバンスを端末が決定することを可能にするようなものである。
ステップ4a、4b、または4cに関して、eNodeBに送信される可能性がある測定の情報は、その情報がeNodeBにまだ知られていない。したがって、モバイル端末UEとeNodeBとの間のPセルおよび/またはSセル上で実行される信号のやりとりの送信および/または受信タイミングの情報などの、eNodeBでは分からないタイミングに関するようなものであることに留意することが重要である。
2.モバイル端末UEが、測定の情報を用いてSセルに関するタイミング・アドバンスを決定する。決定は、測定の情報と、Pセルのアップリンクのタイム・アライメントに関連する情報とに基づく。これをどのように実現するかのさまざまな可能性があり、以下の説明は、それらの可能性をより詳細に検討する。
好ましくは、Sセルに関するこのタイミング・アドバンスは、Sセル上のeNodeBからのダウンリンクの送信の到着の時間に対してモバイル端末UEによって適用される絶対的な値として、すなわち、規格から分かる初期タイミング・アドバンス値と同様にモバイル端末UEによって決定される。代替的に、決定されるタイミング・アドバンスは、Pセルのために使用されるタイミング・アドバンスに対して相対的であしたがって、時間が揃ったPセル上のモバイル端末UEによるeNodeBへのアップリンクの送信の送信時間に対して、またはPセル上のeNodeBからのダウンリンクの送信の到着時間に対してモバイル端末UEが値を適用することを可能にすることもできる。
ステップ4a、4b、または4cに関して、Sセル上のアップリンクの送信に関してモバイル端末UEによって決定されるタイミング・アドバンスは、モバイル端末UEがSセル上でRACH手順を実行するか、またはSセル上のアップリンクの送信に対して適用されるべきTAコマンドを受信する場合を除いてeNodeBにやはり知られていない。
理論的には、eNodeBは、アップリンクの送信がPセルおよびSセル上で実行されると、PセルおよびSセル上のアップリンクの送信の間の相対的な時間差を測定することによってタイミング・アドバンスを決定し得る。しかし、そのような測定は、UEが、同じSセル上のその他のアップリンクの送信との干渉を生むSセル上の誤ったタイミング・アドバンスで送信することを要求する。そのような干渉は、概して避けられる。許容できない干渉を別としても、測定はあまり正確ではない。言い換えると、eNodeBがモバイル端末UEによって使用するためのタイミング・アドバンスを測定する理論的可能性はあっても、実際には、その時間差の測定は、Sセル上のタイミング・アドバンスの正確な決定を可能にしない。
それとは対照的に、ランダム・アクセス手順に基づくタイム・アライメントは、Sセル上のその他のアップリンクの送信との干渉を防ぐ。RACHプリアンブルは、eNodeB側での何らかの良好な検出を可能にするために、背景技術のセクションで説明された何らかの特定の特性を有することに留意されたい。
言い換えると、eNodeBがモバイル端末UEによって使用するためのタイミング・アドバンスを測定する理論的可能性はあっても、実際には、その時間差の測定は、Sセル上のタイミング・アドバンスの正確な決定を可能にしない。
しかし、(ステップ1のように)モバイル端末が測定の情報をeNodeBに提供することにより、eNodeBが、ステップ2においてモバイル端末UEによって決定されるSセルに関するタイミング・アドバンスと同様のSセルに関するタイミング・アドバンスを計算することができる。測定および/またはSセルに関するタイミング・アドバンスの送信された情報は、eNodeBがSセルにおける時間を揃えるプロセスを制御することを可能にすることが、後で説明される。さしあたっては、eNodeBが、モバイル端末UEと同様にして、すなわち、測定の情報と、Pセルのアップリンクのタイム・アライメントに関連する情報とに基づいてSセルに関するタイミング・アドバンスをやはり決定できることに留意することが重要である。
3.Sセルに関する決定されたタイミング・アドバンスを用いて、モバイル端末UEが、Sセルのアップリンクの送信タイミングの時間を揃えることができる。どれだけ正確にアップリンクの送信タイミングが調整されるかは、決定されたタイミング・アドバンスの具体的な種類に依存する。決定されたタイミング・アドバンス情報が適用されるべきタイミング・アドバンスの絶対的な値である場合、モバイル端末UEは、タイミング・アドバンス情報で示される時間の量によって、Sセル上で受信されるダウンリンクのサブフレームの始まりに対して相対的にそのモバイル端末UEのアップリンクの送信タイミングを設定する。代替的に、タイミング・アドバンスがモバイル端末UEによってPセルのタイミング・アドバンスに対して相対的に決定される場合、モバイル端末UEは、タイム・アドバンス情報で示される時間の量によって、時間が揃ったPセル上で送信されるアップリンクのサブフレームの始まりに対して相対的に、またはPセル上のダウンリンクの送信に対して相対的にそのモバイル端末UEのアップリンクの送信タイミングを設定する。
したがって、モバイル端末UEは、Sセルのそのモバイル端末UEのアップリンクの時間を揃え、次に、受信されたアップリンクの許可に基づいてスケジューリングされたアップリンクの送信の送信を開始することができる。
4a、4b、または4c。モバイル端末UEが、ステップ1の測定および/またはステップ2のタイミング・アドバンスに関する情報をeNodeBに送信して、eNodeBがSセルのタイミング・アライメントをよりうまく制御することを可能にする。
測定および/または決定されたタイミング・アドバンスの情報を送信することは、必ずしも、モバイル端末UEがSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるために決定されたタイミング・アドバンスを適用した後に(すなわち、ステップ4cとして)実行されない。代替的に、モバイル端末UEは、ステップ1の測定に関する情報を、ステップ1におけるその情報の測定の直後に(すなわち、図23のステップ4a)、または決定ステップ2の後に(すなわち、ステップ4b)、またはステップ3におけるSセル上のアップリンクの送信のタイム・アライメントの後に(すなわち、ステップ4c)eNodeBに送信する可能性がある。別の代替的な方法によれば、モバイル端末は、ステップ2の決定されたタイミング・アドバンスを、ステップ2におけるそのタイミング・アドバンスの決定の直後に(すなわち、図23のステップ4b)、またはステップ3のSセル上のアップリンクの送信のタイム・アライメントの後に(すなわち、ステップ4c)eNodeBに送信する可能性がある。概して、モバイル端末によって実行されたタイミングの測定のレポートのタイミングは、後で説明されるように多様である可能性があり、周期的か、またはイベント・トリガ式か、またはeNodeBによって要求されるかのいずれかである可能性がある。
既に説明されたように、eNodeBは、ステップ4aにおける測定の送信された情報に基づいて、ステップ2においてモバイル端末UEによって決定されるSセルに関するタイミング・アドバンスと同様のSセルに関するタイミング・アドバンスをやはり決定することができる。両方の送信された情報の間の変換が可能なeNodeBを用いる場合、上述の代替的な方法は、送信される情報に関して均等な代替的な方法であると見なされ得る。
上で説明されたように、本発明によってもたらされるさまざまな利点がある。第1に、異なるコンポーネント・キャリア、すなわち、セルに対して異なるタイミング・アドバンスを適用するための手順が、実施される。したがって、Sセルの伝搬がPセルと異なる状況で、アップリンクのタイミングが、可能なときは、各セルに関して別々に調整され得る。さらに、Sセルにおいてランダム・アクセス手順を実行することが、避けられる可能性がある。さらに、RACH手順を避けることが、電力制限のための複雑な優先順位付け規則、または電力増幅器の問題などのいくつかの問題を回避する。
加えて、本発明に関するアップリンク同期プロセスは、RACH手順が実行される場合と比較して高速である。後で詳細に示されるように、これは、アップリンクの時間が揃っていないSセルのアクティブ化に関して特に重要である。さらに、測定および/またはSセルに関するタイミング・アドバンス値の情報のeNodeBへの送信が、eNodeBがSセルのタイミング・アドバンスの変化を追跡することと、eNodeBがモバイル通信システムにおいてSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えることを制御することとを可能にする。
以下で、本発明のより具体的な実施形態が、図24および25を参照して説明される。
図24は、Pセル、Sセル1、およびSセル2が、eNodeBによって異なるUE、すなわちUE1、UE2、UE3に提供されるシナリオを示す。セカンダリ・サービング・セルSセル1およびSセル2上で送信/受信される信号を増幅するが、Pセル上で送信/受信される信号は増幅しない、Sセル1およびSセル2によって使用される周波数用に構成される周波数選択的リピータ(FSR)が、設けられる。図24に示されるように、Pセルのカバレッジは、Sセルのカバレッジよりも広い。
図24の下の部分には、Sセル1または2とPセルとの間のモバイル端末におけるダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)が、セル内のUEの位置に対してグラフに描かれている。ダウンリンクの受信時間の差は、UEがSセル上でeNodeBからダウンリンクのサブフレームを受信する時点と、UEがPセル上でeNodeBからダウンリンクのサブフレームを受信する時点との間の差である。
この特定のシナリオにおいては、Pセル、Sセル1、およびSセル2に関する異なるアップリンクのタイミング・アドバンスの必要性が、UEの位置に応じて変わる。より詳細には、3つのUEが図24に示され、UE1は、Pセル、Sセル1、およびSセル2のカバレッジ内のAに位置し、UE2は、eNodeBによって提供されるSセル1/Sセル2に関するカバレッジと、FSRによって提供されるSセル1/Sセル2に関するカバレッジとの重なる領域のBに位置し、UE3は、eNodeBによって提供されるSセル1/Sセル2に関するカバレッジの外であるが、FSRによって提供されるSセル1/Sセル2に関するカバレッジの中であるCに位置する。
位置Aから位置Bまでは、Pセル、Sセル1、およびSセル2が、同じ送信ノード、例えば、eNodeBによってUEに提供される。したがって、3つのセルの伝播遅延は実質的に同じであるはずであり、したがって、ダウンリンクの受信時間の差は無視できるはずである。結果として、同じタイミング・アドバンスが、Pセル、Sセル1、およびSセル2に対して使用され得る。一方、位置Bにおいては、FSRからのSセル1/Sセル2に関する信号の方が、eNodeBからのSセル1/Sセル2に関する信号よりも強く、それに応じて、位置BのUE2は、eNodeBからのPセル上で信号を受信し、FSRからのSセル1/Sセル2上で信号を受信すると想定される。したがって、Pセルの信号とSセル1/Sセル2の信号の間で伝搬が異なり、この違いが、PセルとSセル1/Sセル2の間の異なるダウンリンクの受信タイミングをもたらす。図24の下の部分から明らかなように、PセルとSセル1/Sセル2の間の、UE2によって測定されたグラフに描かれたダウンリンクの受信時間の差は、UE2が(eNodeBからの)1つの受信経路から(FSRからの)別の受信経路に切り替わる瞬間に特定の値に突然変化する。
この例示的なシナリオでは、位置Bにおいて、Pセルの経路とSセル1/Sセル2の経路の間の経路長の差がその最大であるため、ダウンリンクの受信時間の差もその最大である。ダウンリンクの受信時間の差は、UEがFSRに向かってさらに移動するにつれて下がり、まさにFSRの位置で最小であり、ダウンリンクの受信時間の差は、主に、Sセル1/Sセル2に関する増幅された信号の受信、処理、および送信のためのFSRの時間である。FSRから離れて移動するとき、ダウンリンクの受信時間の差は、再び増加する。
したがって、UE2およびUE3は、Pセルに対して使用されるのと同じタイミング・アドバンスをSセル1/Sセル2に対して使用することはできず、それらのSセル1/Sセル2に対して別個のアップリンクのタイミング・アドバンスを構成しなければならない。しかし、このシナリオでは、Sセル1およびSセル2に関する伝播遅延は同じであるので、同じタイミング・アドバンスが、Sセル1およびSセル2に対して使用され得る。
本発明の中心的な考えの1つは、アップリンクの時間が揃ったPセルのアップリンクのタイミングに対して相対的なSセルに関するタイミング・アドバンスを決定することである。特に、Sセルにおけるアップリンクの送信を同期するためにUE3によって使用されるタイミング・アドバンスは、アップリンクの時間が揃ったPセルのアップリンクのタイミングに関連して定義される。以下のタイミングの関係が、Pセルのタイミング・アドバンスTAPCellおよびその他のパラメータに関連してSセルに関するタイミング・アドバンスTASCellに当てはまる。
TAPCell=PDUL_PCell+PDDL_PCell (式7)
TASCell=PDUL_SCell+PDDL_SCell=PDUL_PCell+PDDL_PCell+(ΔSCell−PCellPDDL+ΔSCell−PCellPDUL)
=TAPCell+(ΔSCell−PCellPDDL+ΔSCell−PCellPDUL)
ここで、ΔSCell−PCellPDDLは、PセルおよびSセルのダウンリンクの伝播遅延の間の差であり、ΔSCell−PCellPDULは、PセルおよびSセルのアップリンクの伝播遅延の間の差である。
ΔSCellPDUL−DLがSセルに関するアップリンクおよびダウンリンクの伝播遅延の間の差である以下の代入
ΔSCell−PCellPDUL=ΔSCell−PCellPDDL+ΔSCellPDUL−DL (式8)
が式
TASCell=TAPCell+2・ΔSCell−PCellPDDL−ΔSCellPDUL−DL (式11)
をもたらす。
ΔSCell−PCellRxDLがPセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差、すなわち、Pセル上のeNodeBからのダウンリンクの送信のUE3における受信と、Sセル上のeNodeBからのダウンリンクの送信のUE3における受信との間の時間の差であり、ΔSCell−PCellTxDLがPセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差、すなわち、Pセル上のUE3へのダウンリンクの送信のeNodeBにおける送信と、Sセル上のUE3へのダウンリンクの送信のeNodeBにおける送信との間の時間の差である以下の代入
ΔSCell−PCellPDDL=ΔSCell−PCellRxDL−ΔSCell−PCellTxDL (式12)
が式
TASCell=TAPCell+2・(ΔSCell−PCellRxDL−ΔSCell−PCellTxDL)−ΔSCellPDUL−DL (式13)
=TAPCell+2・ΔSCell−PCellRxDL−2・ΔSCell−PCellTxDL−ΔSCellPDUL−DL (式14)
をもたらす。
表現を変えると、Sセルのタイミング・アドバンスは、以下に基づいて計算され得る。
●Pセルのタイミング・アドバンス
●PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差
●PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差
●Sセル上のアップリンクとダウンリンクの間の伝播遅延の差
基本的に、Pセルのタイミング・アドバンスは、eNodeBとUE3の両方に知られている。
PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)は、eNodeBでは分からないが、UE側で測定され得る。
図27に関連してより明確になるように、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLは、eNodeBによってのみ知られ、UE3には分からない。図26の特定の実施形態においては、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)は、0であり、後で説明される図27の実施形態に関しては、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)は、0でない。
図15、16、および17の例に関連して、式13および式14のタイミング・アドバンスTASCellの定義が、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)およびSセル上のアップリンクとダウンリンクの間の伝播遅延の差(ΔSCellPDUL−DL)をさらに考慮し、したがってさらに正確である。換言すれば、図26に関連して考慮されるように、PセルとSセルの間の送信時間の差がなく(ΔSCell−PCellTxDL=0)、Sセル上のアップリンクとダウンリンクの間の伝播遅延の差がなく(ΔSCellPDUL−DL=0)動作するように構成されたモバイル通信システムにおいては、式14は、図15、16、および17の例の式に対応する。
サービング・セルSセルのアップリンクとダウンリンクの間の伝播遅延の差は、本発明の目的では無視できると想定される。より具体的には、アップリンク方向およびダウンリンク方向の伝播遅延は、各キャリアに関して同じであると想定される。3GPP WG RAN4によって行われたシミュレーションは、同じ受信ノード(すなわち、eNodeB)に関して、伝播タイミングの差が、97〜98%のケースで1TAステップ未満(約0.5μs)であり、100%のケースで5TAステップ未満であることを示す、帯域内キャリア・アグリゲーションに関するシミュレーションされた伝播遅延の差の結果をもたらした。これにしたがえば、SIB−2でリンクされるDLおよびULのキャリアの対に関して、アップリンクとダウンリンクの間の周波数ギャップは、異なる周波数帯域の間よりもいっそう小さくなり、その結果、所与のセルに関するUL方向とDL方向の間の伝播タイミングの差はよりいっそう小さくなり、したがって、本発明にとっては無視できる。
上記の内容を想定し、モバイル端末UEがSセルのタイミング・アドバンスを計算することを考慮すると、モバイル端末UEは、以下の式15によって定義されるように、すなわち、Pセルのタイミング・アドバンス(TAPCell)と、PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)とに基づいて、Sセル上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを近似することができる。PセルおよびSセル1/Sセル2に関して異なるアップリンクのタイミング・アドバンスを有する図27に例示されるモバイル通信システムの場合、モバイル端末によって決定されるタイミング・アドバンスは、Sセル1/Sセル2に関する正確なタイミング・アドバンスを近似するに過ぎないことに留意されたい。
将来のリリースにおいては、モバイル端末UEが、複数の異なるeNodeBへのアップリンクの送信を同時に実行する、すなわち、アップリンクにおいて協調マルチポイント(cooperative multi−point)(COMP)送信を実行する可能性がある。2つの異なるeNodeBは同じダウンリンクのタイミングを用いることを要求されないので、Pセルを提供する第1のeNodeB1と、Sセルを提供するeNodeB2との間の送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)が、Sセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるときに考慮される必要がある。この値がないと、モバイル端末は、やはり、Sセル上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを近似することしかできない。
したがって、モバイル端末によって実行された測定および/またはモバイル端末によって決定されたSセルに関するアップリンクのタイム・アライメントの情報に基づいて、eNodeBだけが、Sセル上でモバイル端末によって実行されるアップリンクの送信の正確なタイム・アライメントを保証することができる。換言すれば、eNodeBへのモバイル端末によるこのタイミング情報の送信が、例えば、協調マルチポイント(COMP)送信の場合に、モバイル端末におけるSセルに関するタイム・アライメント・プロセスをeNodeBが正確に制御することを可能にする。
上記の考察の結果として、UE3に関するSセルのアップリンク・タイム・アライメントのための本発明のより詳細な実施形態が、図25を参照して以下で示される。
図25のステップ1において、UE3が、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDL、特に、UE3がPセルからの1つのサブフレームの始まりを受信する時間と、UE3がPセルから受信されたそのサブフレームに時間的に最も近いSセルからの1つのサブフレームの対応する始まりを受信する時間との間の時間差を測定する。それに対応して、UE3は、ΔSCell1−PCellRxDLおよびΔSCell2−PCellRxDLを結果としてもたらす、2つのSセルのそれぞれに関する測定を実行する。このシナリオにおいては、ダウンリンクの受信時間の差は、Sセル1およびSセル2に関して実質的に同じになる。1つのSセルに関するダウンリンクの受信時間の差が、図26に見られ得る。
ステップ2において、UE3が、測定結果を用いてSセルに関するタイミング・アドバンスを計算する。ダウンリンクの受信時間の差は両方のSセルに関して同じであるので、UE3は、両方のSセルのアップリンクの時間を揃えるためにUE3によって使用され得る1つのタイミング・アドバンスのみを計算する。この実施形態の想定を考慮すると、ΔSCell−PCellTxDLとΔSCellPDUL−DLは両方とも0であると見なされ得るので、上で検討された式14は、
TASCell=TAPCell+2・ΔSCell−PCellRxDL (式15)
のように簡潔に書くことができる。
したがって、モバイル端末は、(1つまたは複数の)受信されたダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDL/ΔSCell2−PCellRxDLとPセルに関する知られているタイム・アドバンスとを用いて、式15にしたがってSセル1およびSセル2に関するタイム・アドバンスTASCell1/SCell2を計算する。
図25のステップ4bにおいて、UE3は、測定の結果、すなわち、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDLおよび/もしくはΔSCell2−PCellRxDL、ならびに/またはSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2を好ましくはPセルのPUSCHを用いてeNodeBに送信する。代替的に、両方のダウンリンクの受信時間の差が同じであるので、UE3は、2つの測定値のうちの一方および/または計算されたタイミング・アドバンスのうちの一方のみを送信する可能性がある。
ステップ3において、UE3が、標準的な初期タイミング・アドバンスがUEによって適用されるのと同様にして、Sセル1およびSセル2のダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に、計算されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2を適用する。
このようにして、UE3は、Sセル1およびSセル2のアップリンクの時間を揃え、受信されたアップリンクのスケジューリングの許可にしたがってそれらのSセル上でアップリンクの送信を開始することができる。最初アップリンクの許可は、通常、標準的なRACH手順内のRARメッセージの一部である。本発明においては、RACH手順はSセル上で実行されないので、Sセルに関する最初のアップリンクの許可は、PDCCHを介してUE3に任意の方法で任意の時間に送信され得る。
UE3は、Sセル1およびSセル2に関するアップリンクの許可を用いて、アップリンクの送信をeNodeBに送信する。これが、1つのSセルに関して図25に示される。UE3は、タイミング・アドバンス値TSCell1/SCell2の分だけ「シフトする」ことによって、Sセルに関するダウンリンクの無線フレームの受信の時間TDL_RX_SCellに対して相対的にSセルに関するアップリンクの無線フレームの送信の時間TUL_TX_SCellを設定する。
Sセル上のそのような時間が揃ったアップリンクの送信は、伝播遅延PDUL_SCellの後、eNodeBにおいてTUL_RX_SCellで受信される。
ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDLおよび/もしくはΔSCell2−PCellRxDL、ならびに/またはSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2に関する情報をステップ4bにおいてUE3から受信したので、eNodeBが、Sセル上のアップリンクの送信のタイム・アライメントを制御することを可能にされる(ステップ7)。
特に、上述のように、UE3は、ダウンリンクの受信時間の差および/または計算されたタイミング・アドバンスをeNodeBに送信し、eNodeBが自身で測定または導出できない情報をeNodeBに提供する。ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDLおよび/もしくはΔSCell2−PCellRxDL、ならびに/またはSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2に基づいて、eNodeBは、Sセルで使用されるべきタイム・アドバンスがSセル上のUE3による正確に時間が揃ったアップリンクの送信を可能にするかどうかを判定することができる。
例示的に、受信された(ステップ2においてUE3によって計算される)Sセルに関するタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2がSセル上のアップリンクの送信の十分なタイム・アライメントを可能にするかどうかを判定する。そのために、eNodeBは、受信された値を、eNodeBが式14にしたがって3つの値、すなわち、Pセルのタイミング・アドバンス、PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差、およびPセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差に基づいて決定するSセルに関するタイミング・アドバンス値と比較することができる。Sセルに関する受信されたタイミング・アドバンスと決定されたタイミング・アドバンスとの間の差が閾値よりも大きい場合、eNodeBは、Sセルで使用されるべきタイミング・アドバンスがSセル上のUE3による正確な時間が揃ったアップリンクの送信を可能にしないと判定する。
UE3によって計算されたタイミング・アドバンスがSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるために十分であるかどうかのこの例示的な判定は、実際のアップリンクの送信がSセル上でUE3によって実行される前に行われ得る。
代替的に、受信された(ステップ2においてUE3によって計算される)Sセルに関するタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2がSセル上のアップリンクの送信の正確なタイム・アライメントを可能にするかどうかを判定する。そのために、eNodeBは、モバイル通信システムの無線セルの配置のそのeNodeBの知識に基づいて、PセルとSセルとの間のUE3によって測定されたダウンリンクの受信時間の差が正確であるように見えるか否かを判定することができる。またはeNodeBは閾値に基づいて、受信されたタイミング・アドバンスがSセル上のUE3によるアップリンクの送信の時間を揃えるために十分であるかどうかを区別することができる。UE3によって計算されたタイミング・アドバンスがSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるために十分であるかどうかの判定は、この場合も、実際のアップリンクの送信がSセル上でUE3によって実行される前に行われ得る。
さらに、UE3によって計算されたタイミング・アドバンスがSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるために十分であるかどうかをeNodeBが判定するためのその他の例示的な実装は、モバイル端末が(ステップ2の)Sセルに関する計算されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2を適用したSセル上で実際のアップリンクの送信を実行することに依存する。Sセル上のモバイル端末のアップリンクの送信の場合、eNodeBは、Sセルのアップリンク上のアップリンクの送信の受信時間をSセルのアップリンク上のアップリンクの送信に関する事前に定義された基準時間と比較する可能性がある。または、eNodeBはSセルのアップリンク上のアップリンクの送信の受信時間をSセルの対応するダウンリンク上のダウンリンクの送信の送信時間と比較する可能性がある。
eNodeBが、ステップ7において、Sセルに関する計算されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2がUE3による正確に時間が揃ったアップリンクの送信を可能にしないと判定する場合、eNodeBは、ステップ8において、計算および送信されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2がSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるためにUE3によって使用され得ないこと、すなわち、計算および送信されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2がSセル上の正確に時間が揃ったアップリンクの送信を可能にしないことをUE3に知らせる情報を送信する。
一例によれば、この情報は、RACH命令メッセージを受信したときSセルのうちの少なくとも1つでランダム・アクセス手順を実行するようにモバイル端末をトリガするRACH命令を含み得る(ステップ9)。ランダム・アクセス手順の一部として、UE3は、(1つまたは複数の)Sセルに関する正確なタイミング・アドバンスを受信し、ランダム・アクセス手順内で受信されたタイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによって(1つまたは複数の)Sセルの時間を揃える。
別の例によれば、この情報は、タイミング・アドバンスを受信したとき受信されたタイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによってアップリンクの(1つまたは複数の)Sセルの時間を揃えるようにモバイル端末をトリガする、Sセルで使用するためのタイミング・アドバンスをともなうタイミング・アドバンス・コマンドを含み得る(ステップ9)。
さらなる例によれば、この情報は、タイミング・アドバンス更新コマンドを受信したとき、含まれる目標タイミング・アドバンス更新値と(1つまたは複数の)Sセルのアップリンク上のアップリンクの送信のために使用されるタイミング・アドバンスとに基づいて(1つまたは複数の)Sセルのアップリンクで使用するためのタイミング・アドバンスを決定し、決定されたタイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイミングを調整することによって(1つまたは複数の)Sセルの時間を揃えるようにモバイル端末をトリガするタイミング・アドバンス更新コマンドを含み得る(ステップ9)。
図27は、本発明の別の実施形態によるタイミング図を示す。図26のタイミング図と比較すると、違いは、PセルおよびSセルが異なる時間にダウンリンクの送信を実行する、すなわち、ダウンリンクのサブフレームのタイミングがPセルとSセルの間で同期されていないことである。さらに、Sセル1およびSセル2は同じダウンリンクの送信タイミングを有すると想定される。言い換えると、0ではないがSセル1およびSセル2に関して同じであるPセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLが、存在する。
図25に関連して既に説明されたアップリンク・タイム・アライメント手順が、以下の手順の変更を考慮しながら、図27に例示されたシナリオに同様に適用され得る。
UE3は、Sセル1およびSセル2に関して同じであるダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDLおよび/もしくはΔSCell2−PCellRxDLを測定することができる(図25のステップ1)。ダウンリンクの受信時間の差は、(図26のように)PセルとSセルの間の伝播遅延の差だけでなく、この場合には、ダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLも考慮することに留意されたい。
本発明のこの特定の実施形態においては、測定されるダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLは、PセルとSセルの間の伝播遅延の差よりも長く、すなわち、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLの分だけ長い。
しかし、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLは、UE3に分からず、すなわち透過的であるので、UE3は、式15に基づいてSセル上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを計算する(図25のステップ2)。特に、UE3は、タイミング・アドバンスが、Pセルのタイミング・アドバンス(TAPCell)およびPセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)に基づいて決定され得ると想定する。
例示的に、そのとき、UE3は、測定の結果、すなわち、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLおよび/またはSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスTASCellを、好ましくはPセルのPUSCHを使用することによってeNodeBに送信する(図25のステップ4a)。
この値を受信したとき、eNodeBは、この値を、eNodeBが3つの値、すなわち、Pセルのタイミング・アドバンス、PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差、およびPセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差に基づいて決定するSセルに関するタイミング・アドバンス値と減算によって比較することができる。UE3から受信された値はPセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)を考慮しないので、この差は、閾値よりも大きい。
したがって、eNodeBは、Sセルで使用するためのUE3によって計算されたタイミング・アドバンスがSセル上の正確に時間が揃ったアップリンクの送信を可能にしないと判定することができ(図25のステップ7)、次いで、Sセル上のUE3によるアップリンクの送信のアライメントのために以下の式16を用いる。すなわち、ΔSCellPDUL−DLのみが、既に説明された理由で0に設定される。
TASCell=TAPCell+2・ΔSCell−PCellRxDL−2・ΔSCell−PCellTxDL (式16)
例示的に、eNodeBは、図25に示されたステップ8にしたがって、決定されたタイミング・アドバンスTASCellをUE3に送信する。それに応じて、UE3は、受信されたタイミング・アドバンス値TASCellを、それぞれのSセル1およびSセル2上のダウンリンクの無線フレームの始まりに対してSセル1およびSセル2上のアップリンクの送信の時間を揃えるために使用する(図25のステップ9)。あるいは、eNodeBは、既に説明されたように、RACH命令またはタイミング・アドバンス更新コマンドを送信する。
eNodeBがPセル上のアップリンクの送信のためにUEによって使用されるタイミング・アドバンスを知っているとしても、TS36.133セクション7.1.2によるアップリンクのタイミングのUEの自律的な変更が、PRACHの送信が行われた直後だけを除いて、eNodeBからUEにシグナリングされたPセルのタイミング・アドバンス値からの何らかの導出を引き起こすことに留意されたい。したがって、別の代替的な実施形態によれば、UEは、ダウンリンクの受信時間の差の測定値に加えて、Pセル上で受信されるDLの無線フレームとPセル上で送信されるULの無線フレームとの間の使用される差もeNodeBにレポートする。
図28は、本発明の例示的な実施形態によるタイム・アライメント手順にしたがって時間が揃ったアップリンクの送信を可能にするためにモバイル端末UEによって実行されるさまざまなステップを示すフローチャート図を開示する。
本発明のこの例示的な実施形態によるタイム・アライメント手順において、eNodeBまたはアグリゲーション・アクセス・ポイントは、セルのアップリンク上の送信のためにモバイル端末によって使用されるアップリンクのタイミングを制御するノードである。モバイル端末が目標セル(例えば、SセルまたはSセルのグループ)に関するタイミング・アドバンスを自律的に計算することができるとしても、アグリゲーション・アクセス・ポイントは、いつでもこの自分で計算されたタイミング・アドバンスをオーバーライドし、アグリゲーション・アクセス・ポイントによって決定され、シグナリングされた別のタイミング・アドバンスを使用するようにモバイル端末に指示することができる。モバイル端末は、この場合、アグリゲーション・アクセス・ポイントからシグナリングされたタイミング・アドバンスを使用する。換言すれば、アグリゲーション・アクセス・ポイントによってシグナリングされたタイミング・アドバンスが、モバイル端末によって自律的に計算されたタイミング・アドバンスよりも優先する。
以下で、上述の実施形態の変更形態および追加的なステップが、図28を参照して示される。
UEによるレポートのステップのトリガ
上述の実施形態においては、UEが測定(ステップ1a)と、測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスのレポート(ステップ1c)とをいつ開始するのかは、触れられなかった。測定は、例えば、周期的に行われ得る。
レポート/シグナリングは、周期的にかまたはイベント・トリガ式にかのどちらかで実行され得る。
例えば、図28のステップ1)において、レポートの周期的なトリガは、モビリティまたは電力ヘッドルームまたはバッファ状態レポートのレポートと同様である可能性がある。周期的なレポートの利点は、eNodeBが、特定の周期で、測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスに関する最新の情報を得ることである。したがって、eNodeBは、UEによって計算されたタイミング・アドバンスがSセル上のアップリンクの送信のタイム・アライメントのために十分であるかどうかを判定することを周期的な間隔で可能にされ、それにより、必要なときにUEのタイミング・アドバンスを継続的に制御することができる。
しかし、イベント・トリガ式のレポートが、図28のステップ1)において同様に有益であり、例えば、誤ったアップリンクのタイム・アライメントによる干渉を防ぐようにeNodeBが迅速に反応すること可能にするために必要である可能性がある。いくつかのイベントが、以下で説明される。
Sセルの構成が、eNodeBへの測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスのレポート(ステップ1c)をUEが開始するためのトリガとして使用され得る(ステップ1bは任意である)。測定およびレポートは、構成されるおよび非アクティブ化される(1つまたは複数の)Sセルに関して1つの例示的な実施形態にしたがって行われる。新しいSセルが構成されるたびに測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスをeNodeBに提供することは、さらなる利点を有する(ステップ1c)。
より詳細には、eNodeBが、異なるタイミング・アドバンス(マルチTA)が新しく構成されるSセルのために必要とされるかどうかを調べるための機会を与えられる。さらに、それに応じて、eNodeBが、任意選択で、Sセルで使用されるべきUEのための正確なタイミング・アドバンスを計算することができ、任意選択で、そのタイミング・アドバンスをUEにシグナリングすることができる(図28のステップ4)。言い換えると、Sセルが非アクティブ化される(すなわち、送信に使用されない)としても、UEは、このSセルに対してどのタイミング・アドバンスを使用すべきかを既に知っている。
したがって、Sセルがアクティブ化されるとき、UEは、Sセルに関する前に受信されたタイミング・アドバンスを直ちに適用し、既に正しいアップリンクのタイム・アライメントで送信することができる(ステップ4a)。ゆえに、例えば、アップリンクの同期を実現するために、新しくアクティブ化されるSセルでRACHが実行される必要があるアプローチと比較したとき、Sセルのアクティブ化がより高速である。基本的に、Sセルに関するアクティブ化の遅延は、本発明を使用するとき、SセルがPセルと同じタイミング・アドバンスを有するRel−10と同じである。
代替的に、Sセルのアクティブ化が、測定(ステップ1a)と、測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスのレポート(ステップ1c)とを開始するためのトリガとしてUEによって使用され得る(ステップ1bは任意である)。アクティブ化をトリガとして使用することの利点は、eNodeBがSセルをアクティブ化するとき、eNodeBはSセル上の送信をスケジューリングすることも意図することである。アクティブ化されるSセル上のアップリンクの送信のために使用される正しいタイミング・アドバンスを決定するために、eNodeBに最新の測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスを提供することが有益である。
トリガとして使用されるべき別のオプションは、モバイル端末が、測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスをeNodeBにレポートする特定の要求をeNodeBから受信することである。これは、測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスのレポートが必要か否かをeNodeBが事例ごとに判断することを可能にする。
eNodeBからモバイル端末にこの要求をどのように送信するかのいくつかの可能性が、存在する。例えば、Sセルを構成するRRCメッセージ、例えば、RRCコネクション再構成メッセージ内のフラグが、測定結果のレポートを明示的に要求し得る。
あるいは、図29に示されるアクティブ化/非アクティブ化コマンド(MAC CE)が、タイミング情報のレポートの必要性を明示的に示すフラグを含み得る、すなわち、eNodeBが、測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスをレポートするようにモバイル端末に明示的に要求する。
フラグは、アクティブ化/非アクティブ化MAC制御要素内の空いている「予約されたビット」を使用することによってシグナリングされ得る。既にアクティブ化されたSセルのアクティブ化がサポートされる(再アクティブ化とも呼ばれる)ので、アクティブ化/非アクティブ化MAC制御要素が、Sセルのうちのいずれを実際にアクティブ化または非アクティブ化することも必要とせずに、測定結果のレポートを要求するためにいつでもeNodeBによって送信され得る。
別の可能性は、物理レイヤのシグナリング(DCIフォーマット1Aを用いたPDCCH)である、図8のメッセージ801に対応するいわゆる「RACH命令」メッセージを再利用することである。Sセルに関するRACH命令内のいくつかの事前に定義された符号点またはフィールド符号点(field codepoint)の組み合わせが、レポートの要求として使用され得る。例えば、「000000」に設定されたra−PreambleIndexを有する(すなわち、通常、UEがコンテンション・ベースのRACHを行うべきであることを示す)Sセルに関するRACH命令が、レポートを要求するように再定義され得る。あるいは、クロス・スケジューリングの場合のための事前に定義されたキャリア・インジケータ(CI)符号点が、要求として使用され得る。利点は、モバイル端末が測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスを送信することになるアップリンクのリソース割り当てが、測定および/またはレポートの要求と一緒に送信可能であり、したがって、レポートの遅延を削減することである。
測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンス(任意的なステップ1b)をレポートする(ステップ1c)のための別のトリガ・イベントは、Sセルのアップリンク・タイム・アライメントに関連して実行された測定の結果が、特定の事前に構成された閾値を超える可能性がある。
UEによるそのようなレポートは、eNodeBが、Pセルのタイミング・アドバンスとは異なるタイミング・アドバンスをSセルに対して使用する必要性が分からない場合に特に有益である。eNodeBは、例えば、OAM(リピータまたはRRHの存在のようなセルの配置情報を通常提供する運用・管理・保守)からの十分な知識を常に持っているとは限らない。
また、マルチ・タイミング・アドバンスの必要性は、UEの位置に依存する(図26および対応する説明参照)。したがって、例えば、周波数選択的リピータは、eNodeBに対して透過的である可能性があり、大きなダウンリンクの受信時間の差に関してUEがレポートすることによってのみeNodeBに認識可能にされる。あるいは、eNodeBがFSRを認識しているとしても、eNodeBは、いつUEがもはやeNodeBからではなくFSRを介してSセルを受信するようになるのか正確に知らない。
UEによる時間を揃えるステップのトリガ
上述の実施形態と同様に、図28に示されたモバイル端末UEが、SセルとPセルの間のダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLを測定し(ステップ2a)、SセルとPセルの間の受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLとPセル上のアップリンクの送信のために使用されるタイミング・アドバンスとに基づいてSセル上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスTASCellを計算する(ステップ2b)。次いで、モバイル端末UEは、アップリンクのSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスに基づいてSセル上のアップリンクの送信の時間を揃える(ステップ2c)。
しかし、上述の実施形態においては、UEがいつSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるのか、およびタイミング・アライメントが時間の経過とともにSセルに関してどのように更新されるのかは、ずっと触れられなかった。
Sセルに関するタイム・アライメントは、周期的にかまたはイベント・トリガ式にかのどちらかで実行され得る。特に、イベント・トリガ式のタイム・アライメント手順は、Sセルのアップリンクの送信の最初のタイム・アライメントに関して有利である。周期的にトリガされるタイム・アライメントは、モバイル端末UEによって実行されるアップリンクの送信が、Sセルのタイミング・アドバンスがeNodeBによって制御されないときでさえも時間が揃ったままであることを保証する。
Sセル上のアップリンクの送信のイベント・トリガ式のタイミング・アライメントに関して、イベント・トリガ式のレポートに関連して説明されたのと同じトリガ・メカニズムが、使用され得る。特に、UEは、Sセルの構成をSセルのタイミング・アライメント手順を開始するためのトリガとして使用するように構成され得る。代替的に、Sセルのアクティブ化が、Sセルのタイミング・アライメント手順を開始するためのトリガとしてUEによって使用され得る。Sセルのタイミング・アライメント手順をトリガするための別の代替的なイベントは、モバイル端末UEがeNodeBからSセルのタイム・アライメント手順の開始を要求する特定のメッセージを受信したときである。
レポートのための測定(ステップ1a)とタイム・アライメントのための測定(ステップ2a)との間の類似性、およびレポートのためのタイミング・アドバンスの計算(ステップ1b)とタイム・アライメントのためのタイミング・アドバンスの計算(ステップ2b)との間の類似性のために、モバイル端末は、別の例示的な実装によれば、測定結果および/またはSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスのレポートのためのステップ(ステップ1c)ならびにSセル上のアップリンクの送信の時間を揃えるためのステップ(ステップ2c)を同時に実行することができ、したがって、1つのイベント・トリガしか必要としない。
周期的に実行されるタイム・アライメント手順が、図28に例示されている。
図28においては、モバイル端末UEが、タイマを用いてアップリンクの送信が時間を揃えたままであることを保証する。別個のタイマが、(それぞれが個々のアップリンクのセルかまたはアップリンクのセルのグループかのどちらかに関連付けられる)各タイミング・アドバンス値のためにモバイル端末によって保有される可能性がある。
モバイル端末は、そのモバイル端末が(i)計算されたタイミング・アドバンスを適用する(ステップ2d)か、または(ii)RACH手順を実行する(ステップ3c)か、または(iii)タイマが保有されるそれぞれのPセルまたはSセル上のアップリンクの送信に関する受信されたタイミング・アドバンス値を適用するたびにタイマをリセットし、開始する。この点で、タイマが動いている限り、モバイル端末UEは、そのモバイル端末UE自身がアップリンクの同期がとれていると見なす。
タイマが切れる(ステップ2)、すなわち、タイミング・アライメントが失われたと考えられるときにはいつも、モバイル端末は、本明細書に記載のメカニズムを用いてSセル上のアップリンクの送信に関するタイム・アライメントを再確立する。
例えば、モバイル端末は、Sセルに関する新たに決定されたタイミング・アドバンスを用いてSセルのアップリンクの送信タイミングの時間を揃えることができる(ステップ2c)。
Sセルに関するタイミング・アライメントを再確立すると、モバイル端末UEは、そのモバイル端末UE自身がアップリンクの同期がとれていると見なすので、タイマをリセットし、開始する(ステップ2d)。
Sセルに関するタイミング・アドバンスの決定
図26および27を参照して説明されたように、モバイル端末は、測定されたダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLとPセル上のアップリンクの送信のために使用されるタイミング・アドバンスとに基づいてタイミング・アドバンス値を計算することによってSセル上のタイム・アライメントを(再)確立することができる。
代替的にまたは追加的に、モバイル端末は、PセルとSセルの間の受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULを測定し、その受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxUL、および/またはその受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULとPセル上のアップリンクの送信のために使用されるタイミング・アドバンスとに基づいて計算されたタイミング・アドバンスをレポートすることができる。
図26または27には、やはり以下のように示される。
ΔSCell−PCellRxDL−TxUL=TDL_RX_SCell−TUL_TX_PCell
換言すれば、PセルとSセルの間の受信送信時間の差は、モバイル端末がPセル上でアップリンクの無線フレームを送信する時間と、モバイル端末がSセル上でダウンリンクの無線フレームを受信する時間との間の時間差である。アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレーム番号を指す。
図26かまたは図27かのどちらかから分かるように、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLは、受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULとPセルのタイミング・アドバンスTAPCellとに基づいて、具体的には
ΔSCell−PCellRxDL=ΔSCell−PCellRxDL−TxUL−TAPCell (式17)
によって計算でき、ここで、TAPCellも、TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間の測定された時間によって置き換えられ得る。TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間の測定された時間も、受信送信時間の差とともにeNodeBにレポートされ得る。
ダウンリンクの受信時間の差の代わりに、またはダウンリンクの受信時間の差に加えて受信送信時間の差を測定およびレポートすることは、アップリンクの協調マルチポイント(COMP)送信のような将来の技術に関して、受信送信時間の差がアップリンクの送信タイミングを制御するために使用され得るので有益である。さらに、ダウンリンクの受信時間の差の代わりに、またはダウンリンクの受信時間の差に加えて受信送信時間の差を測定およびレポートすることは、実装の観点からより好ましい可能性がある。
そして、受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULは、モバイル端末UEによってSセルに関するタイミング・アドバンスを計算するために使用され、および/またはeNodeBにレポートされ、そのとき、eNodeBも、式17を用いてダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLを計算する。計算されたダウンリンクの受信時間の差に基づいて、モバイル端末および/またはeNodeBは、既に説明され、後でより詳細に説明されるようにSセルに関するタイミング・アドバンスを計算することができる。
モバイル端末は、例えば、時間差を判定する方法としてサンプル数を数えることができることに留意されたい。例えば、ダウンリンクの受信時間の差を判定するために、モバイル端末は、Pセルにおけるダウンリンクのサブフレームの受信時間とSセルにおけるダウンリンクのサブフレームの受信時間との間のサンプル数を数える。例えば、ダウンリンクのサブフレームは、共通基準信号(common reference signal)(CRS)を指す可能性がある。
測定結果のレポート
モバイル端末は、測定(ステップ1a)を行った後、結果をeNodeBに送信する。既に説明されたように、測定値は、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLおよび/またはPセルとSセルの間の受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULを指す可能性がある(ステップ1c)。
レポートそのものは、原理上いくつかのレイヤ、例えば、RRCレイヤまたはMACレイヤで実装され得る。モビリティまたは位置の測定のようなその他の測定も、RRCレイヤでシグナリングされる。タイミング・アドバンス・コマンドはMACレイヤによって生成されるので、測定結果のレポートもMACレイヤで実装することが、実装の観点から有益である可能性がある。
図29および30は、モバイル端末からeNodeBに測定結果を送信するために使用され得るMAC制御要素のフォーマットを示す。明らかなように、このMAC CEの構造は、拡張電力ヘッドルームMAC CEと同様である。サイズは、構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルの数、すなわち、測定およびレポートが実行されるべきSセルの数に依存する。
より詳細には、図29は、Pセルとすべての利用可能なSセル1〜nとの間のダウンリンクの受信時間の差を送信するためのMAC制御要素を示す。
一方、図30は、Pセルとすべての利用可能なSセル1〜nとの間の受信送信時間の差を送信するためのMAC制御要素を示す。TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間の時間はTAPCellに対応し、したがって、実際はeNodeBによって知られているはずなので、代替的な実施形態においては、この情報は、eNodeBにレポートされてはならない。
すべてのSセルに関するダウンリンクの受信時間の差および/または受信送信時間の差をレポートする代わりに、モバイル端末は、時間を揃えられるべき特定のSセルに関してのみそれらをレポートする可能性がある。
さらに、すべてのSセルに関するダウンリンクの受信時間の差および/または受信送信時間の差をレポートする代わりに、モバイル端末は、上述のように、計算されたタイミング・アドバンス値に基づいて時間を揃えられるべきSセルに関する計算されたタイミング・アドバンスをレポートする可能性がある。
さらに、時間差は、符号化され、サンプル数で示される可能性があり、すなわち、モバイルが、特定のサンプル数をレポートし、次いで、eNodeBが、サンプル数およびサンプルの時間を用いて実際の時間差を導出する可能性がある。
既に前に述べられたように、測定結果は、Pセルの物理アップリンク共有チャネル、PUSCH上で送信されることが好ましい。
Sセルに関するタイミング・アドバンスの決定
本発明の上述の実施形態においては、モバイル端末および/またはeNodeBが、標準的なRACH手順から分かるタイミング・アドバンス値、すなわち、図26および27で例示されたように、ダウンリンクのSセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的にモバイル端末によって適用されるタイミング・アドバンス(矢印TASCell参照)を計算すると想定された。
これは、タイミング・アドバンス値が、規格によって定義されたタイミング・アドバンスと同じ種類であって、Pセルに対してではなく、Sセルの無線フレームのダウンリンクの受信に対して相対的に定義されるので、絶対的な値と呼ばれる可能性がある。
しかし、その他の代替的な方法もある。モバイル端末および/またはeNodeBによって計算され、モバイル端末UEによって適用されるタイミング・アドバンスは、ダウンリンクのSセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的である必要はなく、その他の基準が選択され得る。
例えば、計算され、適用されるタイミング・アドバンスは、Pセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりTDL_RX_PCellに対して相対的であるか、またはPセルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりTUL_TX_PCellに対して相対的である可能性がある。
タイミング・アドバンスがPセルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に計算される場合、基本的に、そのタイミング・アドバンスは、PセルとSセルの間のタイミング・アドバンスの差ΔTAPCell−SCellを指す。
式14を考慮すると、
ΔTAPCell−SCell=+2・ΔSCell−PCellRxDL−2・ΔSCell−PCellTxDL−ΔSCellPDUL−DL
である。
したがって、モバイル端末UEおよび/またはeNodeBによって決定されるタイミング・アドバンスは、ΔTAPCell−SCellである。
図26および27を参照して説明されたように、モバイル端末は、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)およびSセル上のアップリンクとダウンリンクの間の伝播遅延の差(ΔSCellPDUL−DL)について知らない。したがって、値ΔSCell−PCellTxDLとΔSCellPDUL−DLの両方が0であると想定してタイミング・アドバンスΔTAPCell−SCellを決定する。
対照的に、eNodeBが、例えば、モバイル端末UEによって実行された測定がSセル上のアップリンクの送信の十分なタイム・アライメントを可能にするかどうかを調べるためにタイミング・アドバンスΔTAPCell−SCellを決定する場合、eNodeBは、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差(ΔSCell−PCellTxDL)およびSセル上のアップリンクとダウンリンクの間の伝播遅延の差(ΔSCellPDUL−DL)のそのeNodeBのさらなる知識に基づいてタイミング・アドバンスΔTAPCell−SCellを決定することができる。
そして今度は、モバイル端末が、Pセルを介して受信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的にこの値を適用して、Sセル上で実行されるアップリンクの送信に関するアップリンクのタイミングを決定する。これが図31に例示されており、タイミング・アドバンスが、サンプル数NTAによって示され、そして、Pセルにおけるアップリンクの送信と比較してSセルにおけるアップリンクの送信に対して適用すべき実際の時間的な差を得るためにサンプルの時間TSと乗算される。
タイミング・アドバンスが、ダウンリンクのPセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に計算される場合、タイミング・アドバンス値は、図26および図27から推論され得るように、TASCell+ΔSCell−PCellRxDLである。
したがって、モバイル端末は、最初に現在のタイミング・アドバンス値TASCellを導出し、そのタイミング・アドバンス値TASCellからダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLを引く。
計算結果が、Pセルにおいてモバイル端末によって受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に、受信されたタイミング・アドバンスに基づいてSセル上のアップリンクの送信のタイミングを設定するために使用される。
これが図32に例示されており、タイミング・アドバンスが、サンプル数NTAによって示され、そして、Sセルにおけるアップリンクの送信に対して適用すべき実際の時間的な差を得るためにサンプルの時間TSと乗算される。
ランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令の受信
上述の実施形態に関連して説明されたように、モバイル端末は、eNodeBにタイミング情報を送信し、eNodeBがSセルまたはSセルのグループのアップリンクに関する時間を揃えるプロセスを制御することを可能にする。
図25に関連して、(例えば、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差が非ゼロである場合に)eNodeBが、モバイル端末から測定結果および/または計算されたタイミング・アドバンスを受信したとき、送信された情報がSセル上のアップリンクの送信の正確なタイム・アライメントを可能にするかどうかを判定することができることが説明された。
あるいは、eNodeBは、モバイル端末UEによって使用されるPセルのタイム・アライメントがSセル上のアップリンクの送信の正確なタイム・アライメントを可能にしないと(すなわち、受信されたタイミング情報に関係なく)判定する可能性もある。
例えば、eNodeBがPセル上のモバイル端末によるアップリンクの送信のタイム・アライメントが正確でないことを検出するとき、eNodeBは、一例によれば、ランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージをモバイル端末UEに直ちに送信する可能性がある。換言すれば、モバイル端末が、例えば、Pセルのアップリンクの基準に満たないタイミング・アドバンスに基づいたSセルに関するタイミング・アドバンスを使用しようとした場合、eNodeBは、RACH命令メッセージをモバイル端末に直ちに送信することによってSセル上のアップリンクの送信の間の干渉を防ぐことができる。Pセル(すなわち、基準セル)上のアップリンクの送信のタイミング・アドバンスの誤りは、時間を揃えられるべきSセル上のアップリンクの送信に関する計算されたタイミング・アドバンスに波及する。
別の例として、PセルおよびSセルの構成も、ランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージをモバイル端末UEに直ちに送信するようにeNodeBをトリガする可能性がある。PセルおよびSセルの特定の構成に基づいて、eNodeBは、モバイル端末によるSセルに関するタイミング・アドバンスの計算がSセル上のアップリンクの送信の正確なタイム・アライメントを可能にしないと想定する可能性がある。例えば、PセルおよびSセルが遠く隔たった周波数帯域で構成される場合、eNodeBは、モバイル端末がSセルに関する正確なタイミング・アドバンスを計算することができないと判定する可能性がある。
eNodeBが、モバイル端末UEがSセル上のアップリンクの送信の時間を正確に揃えるタイミング・アドバンスを計算することができないと判定する場合、一例において、eNodeBは、ランダム・アクセス・チャネル、RACH、命令メッセージをモバイル端末に直ちに送信する可能性がある。言い換えると、RACH命令メッセージを用いて、eNodeBは、Sセル上のアップリンクの送信の強固なタイム・アライメントを保証し、制御できないアップリンクのタイミング・アドバンスのずれを防ぐ。
好ましくは、RACH命令メッセージは、物理レイヤのシグナリング(DCIフォーマット1Aを用いたPDCCH)である、図8のメッセージ801に対応する。
図28のステップ3において、モバイル端末がRACH命令メッセージを受信したとき、モバイル端末は、図8を参照して説明されたようにランダム・アクセス手順を実行する。
ランダム・アクセス手順(すなわち、ステップ802)の一部として、モバイル端末は、Sセルに関する正確なタイミング・アドバンスを受信する。次に、モバイル端末は、ランダム・アクセス手順内で受信されたタイミング・アドバンスに基づいてアップリンクの目標セル上のアップリンクの送信に関するタイム・アドバンスを設定することによってSセルの時間を揃える(図28のステップ3b)。
その後、モバイル端末は、ランダム・アクセス手順が実行されたSセルまたはSセルのグループに関するそれぞれのタイミング・アドバンスのタイマをリセットし、再始動する(図28のステップ3c)。
タイミング・アドバンス・コマンドの受信
eNodeBがSセルまたはSセルのグループのアップリンクに関する時間を揃えるプロセスのアップリンクを制御するための別の代替的な方法は、タイミング・アドバンス・コマンドの送信である。
上述の実施形態に関連して説明されたように、モバイル端末UEは、eNodeBにタイミング情報を送信し、eNodeBがモバイル端末によるタイミング・アドバンスの計算と同様にして特定のSセルまたはSセルのグループ上のアップリンクの送信に関するタイミング・アドバンスを計算することを可能にする。
場合によっては(例えば、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差が非ゼロである場合)、上述のように、eNodeBだけが、特定のSセルまたはSセルのグループ上のアップリンクの送信の正確なタイム・アライメントを可能にするタイミング・アドバンスを計算することができる。
そのような場合、計算されたタイミング・アドバンスが、例えば、タイミング・アドバンスが適用されるSセルのダウンリンク共有チャネルを用いてモバイル端末に送信される可能性がある。
図33は、本発明の1つの特定の実施形態による、計算されたタイミング・アドバンスをeNodeBからモバイル端末に送信するために使用されるべきタイミング・アドバンス・コマンドのフォーマットを示す。計算され、モバイル端末に送信されるタイミング・アドバンス情報がTASCellである(かつ図31および32に関連して上で述べられた相対的な値の一部でない)場合、(規格から分かる初期TAコマンドと同じ)必要な粒度を実現するために、Sセルに関するタイミング・アドバンスを送信するために11ビットが使用されることが好ましい。
一方、タイミング・アドバンスがより小さい場合は、別のタイミングに対して相対的であるので、より少ないビットで十分である。
1つの例は、例えば8ビットでタイミング・アドバンス情報を運ぶための新たなMAC制御要素を使用することである。代替的に、図33に示されたフォーマットを有する、LTEのリリース8から知られるタイミング・アドバンス更新コマンドが、使用され得る。空いているRビットのうちの1つが、規格から分かる実際のタイミング・アドバンス更新コマンドと、本発明のさまざまな実施形態のうちの1つによるタイミング・アドバンス情報とを区別するために使用され得る。
一部の実施形態は相対的なタイミング・アドバンス(図31および32に関連する説明参照)を使用するので、タイミング・アドバンス更新コマンドによって提供される6ビットが、十分な粒度をもたらす可能性がある。
別の代替的な方法は、eNodeBが、1つのSセルに関してのみでなく、すべての構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルに関するタイミング・アドバンス情報を送信することである。UEが上述の実施形態にしたがってすべての構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルに関するタイミング情報をレポートする場合、それに応じてすべての計算されたTAもレポートすることが理にかなっている可能性がある。
図28のステップ4において、モバイル端末UEが、タイミング・アドバンスが適用されるSセルのまたはSセルのグループのうちの1つのダウンリンク共有チャネルを用いてeNodeBからタイミング・アドバンス・コマンドを受信したとき、モバイル端末UEは、SセルまたはSセルのグループに対する搬送されたタイミング・アドバンス値を用いてアップリンクの送信の時間を揃える(図28のステップ4a)。
その後、モバイル端末は、タイム・アドバンスが適用されたSセルまたはSセルのグループに関するそれぞれのタイミング・アドバンスのタイマをリセットし、再始動する(図28のステップ4b)。
Sセルのグループ化
図24、25、および26に関して想定されたシナリオにおいて、Sセル1およびSセル2は、Sセル1およびSセル2に関する伝播遅延が同じであるので、アップリンクにおいて同じタイミング・アドバンスを有する。上述の場合、Sセル1およびSセル2は、タイミング・アドバンス・グループを形成すると言われる可能性がある。
このシナリオに付け加えて、Sセルが同じタイミング・アドバンス値を用いてアップリンクの時間を揃えられ得るかどうかに応じて異なるタイミング・アドバンス・グループを形成するいくつかのそれぞれ構成およびアクティブ化されるSセルが存在し得る。既に説明されたように、同じモバイル端末のさまざまなSセルの間での異なるタイミング・アドバンスの必要性につながるいくつかの理由がある。一例は、Sセルのうちの一部の信号のみを増幅する1つまたは複数の周波数選択的リピータである。
いずれの場合も、モバイル端末がSセルの特定のタイミング・アドバンス・グループへのマッピングを記憶する場合、時間が揃ったSセル2を有するタイミング・アドバンス・グループに属するSセル1の時間を揃える必要があるとき、モバイル端末は、時間が揃ったSセル2に対して前に使用されたタイミング・アドバンスを直ちに適用してSセル1のアップリンクの送信の時間も揃えることができる。したがって、本発明のすべてのステップを実行する必要はない。
Sセルのタイミング・アドバンス・グループへのマッピングは、eNodeBによってのみ構成および更新され得る。
本発明のさらなる態様は、サービング・セルの時間が揃っていないアップリンクの時間を揃えることである。しかし、以下の具体的なシナリオは、本発明を限定するものと理解すべきではなく、本発明の原理を説明するための一例と理解すべきであるとされる。基準セルは、Pセルであり、目標セルは、Sセルであることが仮定される。アグリゲーション・アクセス・ポイントは、eNodeBであることが仮定される。
本発明のこの態様に対して、以下の定義が提供される。
「基準セル」という用語は、アップリンク送信の時間が既に揃っているセル(Pセル、またはSセルの1つ)を指す。Pセルは、それに対して実行されるRACH手順のおかげで最も正確に時間が揃っているセルであるので(RACHは、絶対的な測定を可能にし、したがって、本発明のいくつかの実施形態にしたがって行われる相対的な測定よりも正確である)、Pセルを基準セルにするのが有利である。それにも関わらず、本発明にしたがって以前に時間が揃えられた、アクティブ化された時間が揃っているSセルのどれでも、基準セルにすることができる。
「アグリゲーション・アクセス・ポイント」という用語は、異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上でのユーザ機器のアップリンク送信がそこでアグリゲートされる、アクセス・ネットワーク内のロケーション、すなわち、ノード(例えば、eNodeまたは基地局)を表すために使用される。そのようなアグリゲーションとは、
− 共同の物理レイヤ処理(例えば、(例えば、OFDMシステムにおいて受信したサブフレームを処理するための1つのIFFT(逆高速フーリエ変換)の利用を含む)共同の復調、および/もしくは符号化トランスポート・ブロックの共同の復号など)のために、ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア、すなわち、物理レイヤ上での送信(例えば、それぞれのサブフレーム)に対応する無線信号を、アグリゲーション・アクセス・ポイントによって同時に受信すること、
ならびに/または
− モバイル端末からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上での送信(例えば、それぞれのサブフレーム)で受信したプロトコル・データ・ユニットを、アグリゲーション・アクセス・ポイントのプロトコル・エンティティで処理すること
を指す。
ユーザ機器からの異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上での送信で受信したプロトコル・データ・ユニットの共同の処理は、1つの例示的な実施では、例えば、PDUの並べ替えを目的とした、アグリゲーション・アクセス・ポイントのMACレイヤまたはRLCレイヤにおける、異なるアップリンク・コンポーネント・キャリア上での送信から獲得したPDUの共同の処理とすることができる。
「目標セル」という用語は、アップリンク送信の時間がまだ揃っておらず、したがって、本発明の時間を揃える手順の対象であるセルを指す。上述の「基準セル」の定義によれば、「目標セル」は、ほとんどの場合、アップリンクのタイム・アライメントを有さない、またはそれを失ったSセルの1つである。特別な場合には、すなわち、(RACH手順を使用して最初に時間が揃えられた)Pセルがタイム・アライメントを失った場合には、Pセルも目標セルになることがある。この場合、現在のタイム・アライメント手順を使用するPセルのタイム・アライメントを実行することができ、したがって、RACH手順の実行を回避することができるが、しかし、RACH手順の方がより好ましい。
本文書では、「同時に」または「同じ時点に」は、同じ時点にある小さな偏差を足し/引きした時点にあることを意味し、この偏差は、ある範囲内にあることができる。例えば、タイミング・アドバンス値の粒度ばかりでなく、与えられた無線セルでのアップリンクおよびダウンリンクの伝搬遅延の間のわずかな差も、UL PセルまたはUL Sセル上でアップリンク送信の完全なタイム・アライメントが存在しないことを暗示する。いずれの場合も、アップリンク送信の同時到着は、(異なる伝搬遅延を有する)異なるアップリンク・セルを介するモバイル端末によるアップリンク送信を、受信側のアグリゲーション・アクセス・ポイントによって一緒に処理できる程度の同時性を保証される。例えば、アップリンク・セル上での1つの与えられたサブフレームの異なる送信は、アグリゲーション・アクセス・ポイントがサブフレームのすべての送信を一緒に処理できるように、それらが受信されるほどには時間が揃っている。
さらに、モバイル端末のために構成されるアップリンクのセルのタイム・アライメントは、モバイル端末が2つ以上のアップリンクのセルの時間を揃えなければならない場合にももちろん適用可能であることにも留意されたい。基本的に、時間が揃えられている1つの基準セルが存在する限り、本明細書で説明される手順によって、任意の数のアップリンクのセルの時間を揃えることができる。
「シフト」という用語は、基準に対して特定の時間値だけアップリンクのサブフレームの送信をずらすことに関して使用され、基準は、例えば、ダウンリンク基準セルを介して受信されるダウンリンクのサブフレームの始まりとすることができる。「シフト」とは、モバイル端末が、アップリンクの時間を揃えるときに、送信の時刻を設定すること、すなわち、基準から特定の時間値だけ異なる時刻にアップリンクのフレームを送信することを意味する。
上述の背景技術セクションで与えられた説明は、3GPP LTE(リリース8/9)およびLTE−A(リリース10)の技術分野の大部分をより良く理解することを意図したものである。それらは、本発明をモバイル通信ネットワークにおけるプロセスおよび機能の説明された特定の実施に限定するものと理解されるべきではない。以下で説明される特定の例示的な実施形態は、最近審議が開始した、LTE リリース11において実施することができる。
図34は、モバイル端末とeNodeBによって実行されるさまざまなステップと、本発明の1つの実施形態によるタイム・アライメント手順を可能にするために、それらの間で交換されるメッセージとを示すシグナリング図を開示している。モバイル端末は、それを介してeNodeBとデータを交換するPセルを構成した。モバイル端末のPセルは、既にアップリンクにおいて時間が揃っており、すなわち、Pセルを介してモバイル端末によって行われるアップリンク送信は、eNodeBでのそれらの受信が、Pセルを介する他のモバイル端末のアップリンク送信の受信と同期するようなタイミングで、モバイル端末によって実行される。Pセルは、背景セクションで説明されたように、RACH手順を実行することによって、最初にアップリンクの時間が揃えられ、コネクション・ベースまたは非コネクション・ベースである(図7および図8を参照されたい)。あまり有利とは思えないが、基準がアップリンクの時間が揃ったSセルであると仮定し、本発明の原理を使用して、最初にPセルを同期させることも理論的には可能である。しかし、以下の説明では、Pセルが最初にRACH手順を使用してアップリンクにおいて同期がとられると仮定し、そう仮定する理由は、Pセルは、UEが複数のサービング・セルをアグリゲートする場合、例えば、PUCCHがPセル上で送信される場合は、常にアップリンクの同期がとれており、(RACH手順がより正確であるために)「最良の」アップリンクのタイム・アライメントを有するからである。
モバイル端末は、今度はセカンダリ・セル、Sセルで構成されるが、Sセルは、まだアップリンクの時間が揃っていない。例えば、Sセルは、ちょうど構成されたところであり、またはSセルは、以前はアップリンクの時間が揃っていたが、アップリンクの同期を失っている(例えば、タイミング・アドバンスのタイマが切れている)。いずれの場合も、モバイル端末は、今は、Sセルを介してアップリンクのデータをeNodeBに送信できるように、アップリンクのタイム・アライメントを達成しなければならない。以下のステップは、図34によって例示されるように実行される。
1.モバイル端末は、Pセルおよび/またはSセルにおける送信/受信の特定のタイミング情報を決定するために、測定を実行する。以下でさらに詳細に説明されるように、モバイル端末で決定できるタイミング情報にはさまざまなものがある。端末が測定するタイミング情報、特に、その後、eNodeBに送信されるタイミング情報は、既に時間が揃っており、したがって、Sセルのタイム・アライメントのための基準としての役割を果たす、Pセルのアップリンクのタイム・アライメントを考慮することによって、Sセルのためのタイミング・アドバンスをeNodeBが決定することを可能にするようなものである。eNodeBに送信される測定の情報は、eNodeBにまだ知られていない、したがって、モバイル端末とeNodeBの間でPセルおよび/またはSセル上において実行される信号交換の送信および/または受信タイミング情報など、eNodeBに知られていないタイミングに関するようなものである。
2.測定の結果が、モバイル端末によってeNodeBに送信される。
3.eNodeBは、モバイル端末から受信した情報を使用して、Sセルのためのタイミング・アドバンスを決定し、決定は、受信した情報と、Pセルのアップリンクのタイム・アライメントを示す情報とに基づいている。これを達成する方法にはさまざまな可能性があり、以降の説明において、それらをより詳細に説明する。
4.いずれの場合にも、eNodeBは、Sセルのためのタイミング・アドバンスを決定することができ、Sセルのためのアップリンクの送信のタイミングをモバイル端末が調整することを可能にするために、モバイル端末およびそのSセル用の対応するタイミング・アドバンス情報を準備する。
モバイル端末に送信されるこのタイミング・アドバンス情報は、絶対的な値、すなわち、規格から分かる初期のタイミング・アドバンス値に類似したものとすることができ、それは、モバイル端末によって、eNodeBからのSセル上のダウンリンク送信の到着時刻に対して適用される。代替的に、モバイル端末に送信されるタイミング・アドバンス情報は、Pセルのために使用されるタイミング・アドバンスに対して相対的とすることができ、したがって、モバイル端末が、その値を、時間が揃っているPセル上でのモバイル端末によるeNodeBへのアップリンク送信の時刻に対して、またはPセル上でのeNodeBからのダウンリンク送信の到着の時刻に対して適用することを可能にする。
5.eNodeBから受信したタイミング・アドバンス情報を使用して、モバイル端末は、Sセルのアップリンク送信のタイミングの時間を揃えることができる。今、説明されたように、アップリンク送信のタイミングがどれだけ正確に調整されるかは、タイミング・アドバンス情報の特定の内容に依存する。1つのオプションは、タイミング・アドバンス情報が、絶対的な値として適用されるタイミング・アドバンスを含むものであり、その場合、Sセルのためのタイミング・アドバンス値は、eNodeBによってSセルのダウンリンク送信に対して計算されている。前記の場合、モバイル端末は、Sセルを介して受信したダウンリンクのサブフレームの始まりに対して、タイミング・アドバンス情報で示された時間量だけ、アップリンク送信のタイミングをシフトさせる。代替的に、モバイル端末で受信されるタイミング・アドバンス情報が、Pセルのタイミング・アドバンスに対して相対的なものである場合、モバイル端末は、時間が揃っているPセルを介して送信されたアップリンクのサブフレームの始まりに対して、またはPセル上のダウンリンク送信に対して、タイム・アドバンス情報で示された時間量だけ、アップリンク送信のタイミングをシフトさせる。
モバイル端末は、Sセルのアップリンクの時間を揃え、その後、先に受信したアップリンクの許可に基づいて、スケジュールされたアップリンク送信を送信し始めることができる。
上で説明されたように、本発明によって提供される利点にはさまざまなものがある。第1に、異なるタイミング・アドバンスを異なるコンポーネント・キャリア、すなわち、セルに適用するために、手順が実施される。したがって、Sセルの伝搬がPセルと異なる状況において、各セルについて別々に、アップリンクのタイミングを調整することができる。さらに、Sセルにおけるランダム・アクセス手順の適用が回避される。背景セクションの最後で説明されたように、RACH手順は、モバイル端末の複雑さの増加、または電力制限のための複雑な優先順位付け規則、または電力増幅器の問題など、いくつかの問題をもたらす。さらに、本発明のアップリンク同期プロセスは、RACH手順が実行される場合の手法と比べて、より高速である。後に詳細に示されるように、これは、アップリンクの時間が揃っていないSセルのアクティブ化のために特に重要である。
以下では、本発明のより具体的な実施形態が、図24および図35を参照して説明される。
図24は、Pセル、Sセル1、およびSセル2が、eNodeBによって異なるUEであるUE1、UE2、UE3にサービスされるシナリオを示している。さらに、Sセル1およびSセル2によって使用される周波数のために構成されている周波数選択的リピータ(FSR)が提供され、FSRは、セカンダリ・サービング・セルSセル1およびSセル2上で送信/受信される信号は増幅するが、Pセル上で送信/受信される信号は増幅しない。図24によって示されるように、Pセルのカバレージは、Sセルのカバレージよりも大きい。
図24の下側部分では、モバイル端末でのSセル1またはSセル2とPセルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔScell−PCellRxDL)が、セル内のUEの位置に対してプロットされている。ダウンリンクの受信時間の差は、UEがSセルを介してeNodeBからダウンリンクのサブフレームを受信した時点とUEがPセルを介してeNodeBからダウンリンクのサブフレームを受信した時点との間の差である。
この特定のシナリオでは、Pセル、Sセル1、およびSセル2のために必要な異なるアップリンクのタイミング・アドバンスは、UEのロケーションに応じて変化する。より詳細には、図24には3つのUEが示されており、UE1は、Pセル、Sセル1、およびSセル2のカバレージ内のAに配置され、UE2は、eNodeBによって提供されるSセル1/Sセル2のカバレージとFSRによって提供されるSセル1/Sセル2のカバレージとが重なり合うエリアのBに配置され、UE3は、eNodeBによって提供されるSセル1/Sセル2のカバレージの外部であるが、FSRによって提供されるSセル1/Sセル2のカバレージの内部であるCに配置される。
ロケーションAからロケーションBへは、Pセル、Sセル1、およびSセル2が、同じ送信ノード、例えば、eNodeBによってUEに提供される。したがって、3つのセルの伝搬遅延は、実質的に同じであるべきであり、したがって、ダウンリンクの受信時間の差は、無視すべきである。結果として、Pセル、Sセル1、およびSセル2に対して、同じタイミング・アドバンスを使用することができる。他方、ロケーションBでは、FSRからのSセル1/Sセル2の信号は、eNodeBからのSセル1/Sセル2の信号よりも強く、それに対応して、ロケーションBのUE2は、eNodeBからPセルを介して信号を受信し、FSRからSセル1/Sセル2を介して信号を受信する。その結果、Pセル信号とSセル1/Sセル2信号の間で伝搬が異なり、それが、PセルとSセル1/Sセル2の間に異なるダウンリンクの受信タイミングをもたらす。図24の下側部分から明らかなように、UE2によって測定されたPセルとSセル1/Sセル2の間のダウンリンクの受信時間の差のプロットは、UE2が(eNodeBからの)1つの受信経路から(FSRからの)別の受信経路に切り換わった瞬間に、特定の値に突然跳ね上がる。
ロケーションBで、ダウンリンクの受信時間の差は最大であるが、その理由は、この例示的なシナリオでは、Pセル経路とSセル1/Sセル2経路の間の経路長の差も最大であるからである。ダウンリンクの受信時間の差は、FSRがSセル1/Sセル2の増幅された信号を受信し、処理し、送信する時間が主であるので、ダウンリンクの受信時間の差は、UEがFSRに向かってさらに移動するにつれて減少し、ちょうどFSRにおいて最小となる。再びFSRから離れて行くと、ダウンリンクの受信時間の差も再び増加する。
したがって、UE2とUE3は、Pセルのために使用したような、同じタイミング・アドバンスをSセル1/Sセル2のために使用することができず、それらのために別々のアップリンクのタイミング・アドバンスを構成しなければならない。しかし、目下のシナリオでは、Sセル1とSセル2の伝搬遅延は同じであるので、Sセル1およびSセル2のために同じタイミング・アドバンスを使用することができる。
図35は、図24に基づいたシナリオを仮定して、本発明の1つの実施形態にしたがって実行されるステップを示すシグナリング図である。特に、図24のUE3がSセル1およびSセル2のためのアップリンク同期を実行する必要があると仮定される。UE3は、Sセル1およびSセル2上でFSRからダウンリンク信号を受信し、さらにeNodeBとPセルを介して信号の受信および送信を行っている。
図26は、PセルおよびSセル上で送信されるフレームの受信および送信タイミングを示している。説明を容易にするため、図26には、Sセル1およびSセル2の両方の代わりに、ただ1つのSセルを示した。図26のSセルに関連する以下の説明は、Sセル1およびSセル2の両方に等しく適用可能である。
図26から明らかなように、本発明のこの特定の実施形態では、PセルおよびSセルの両方が、同じ時刻TDL_TX_PCellおよびTDL_TX_SCellに、フレームをダウンリンクでUE3に送信すると仮定される。後で説明されるように、常にこうであるとは限らない。eNodeBは、既にデータをPセル上でUE3に送信しているところであり、eNodeBは、例えば、共通の基準シンボルをSセル上のダウンリンクで送信し、その後、それが、UE3によって受信される。
ダウンリンク送信は、同時に実行されるが、PセルおよびSセルは異なる伝搬遅延(PDDL_PCell、PDDL_SCell)をともなうので、ダウンリンク送信のUEによる受信は、同時ではない(TDL_RX_SCell、TDL_RX_SCell)。特に、Sセル経路は、最初にFSRに向かい、そこからUE3に向かうが、Pセル経路は、直接的にUE3に達するので、より短い。
Pセルのアップリンク送信は、既に時間が揃っており、TUL_TX_PCellに発生し、TUL_TX_PCellは、タイミング・アドバンスTAPCell=2×PDDL_PCellを使用して、Pセル上で受信されるダウンリンク無線フレームの始まりに対して時刻が決められ、すなわち、TUL_TX_PCell=TDL_RX_PCell−TAPCellである。UE3からのPセル上のアップリンク送信は、TUL_TX_PCell+PDUL_PCellに相当するTUL_RX_PCellにeNodeBに到着し、PDUL_PCellはPDDL_PCellに等しいことが、またはそれらの差は少なくとも無視できることが仮定される。
図26または図24から明らかなように、Pセルのために既に使用されているタイミング・アドバンスは、異なる伝搬遅延のために、UE3に関するSセル上でのアップリンク送信のために使用することはできない。したがって、本発明のさまざまな実施形態の1つにしたがって、UE3に関するSセルのアップリンクを別個に同期させる必要がある。
本発明の主要なアイデアの1つは、アップリンクの時間が揃っているPセルのアップリンクのタイミングと、特にPセルでアップリンク送信を同期させるためにUE3によって使用されるタイミング・アドバンスとを使用して、Sセルのためのタイミング・アドバンスを決定することである。以下のタイミング関係は、Sセルのためのタイミング・アドバンスTASCellと、Pセルのためのタイミング・アドバンスTAPCellおよび他のパラメータとの関係を表している。
TAPCell=PDUL_PCell+PDDL_PCell (式18)
TASCell=PDUL_SCell+PDDL_SCell=PDUL_PCell+PDDL_PCell−(ΔSCell−PCellPDDL+ΔSCell−PCellPDUL)
=TAPCell−(ΔSCell−PCellPDDL+ΔSCell−PCellPDUL)
ここで、ΔSCell−PCellPDDLは、ダウンリンクでのPセルおよびSセルの伝搬遅延の間の差であり、ΔSCell−PCellPDULは、アップリンクでのPセルおよびSセルの伝搬遅延の間の差である。
以下の置き換えが行え、
ΔSCell−PCellPDUL=ΔSCell−PCellPDDL+ΔSCellPDUL−DL (式19)
ここで、ΔSCellPDUL−DLは、Sセルのアップリンクおよびダウンリンクの伝搬遅延の間の差であり、次式が得られる。
TASCell=TAPCell−2・ΔSCell−PCellPDDL−ΔSCellPDUL−DL (式20)
以下の置き換えが行え、
ΔSCell−PCellPDDL=ΔSCell−PCellRxDL−ΔSCell−PCellTxDL (式21)
ここで、ΔSCell−PCellRxDLは、PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差、すなわち、eNodeBからのPセル上のダウンリンク送信のUE3での受信とeNodeBからのSセル上のダウンリンク送信のUE3での受信との間の時間差であり、また、ΔSCell−PCellTxDLは、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差、すなわち、UE3へのPセル上のダウンリンク送信のeNodeBでの送信とUE3へのSセル上のダウンリンク送信のeNodeBでの送信との間の時間差であり、次式が得られる。
TASCell=TAPCell−2・(ΔSCell−PCellRxDL−ΔSCell−PCellTxDL)−ΔSCellPDUL−DL (式22)
=TAPCell−2・ΔSCell−PCellRxDL+2・ΔSCell−PCellTxDL−ΔSCellPDUL−DL (式23)
言い換えると、Sセルのタイミング・アドバンスは、
●Pセルのタイミング・アドバンス
●PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差
●PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差
●Sセル上のアップリンクとダウンリンクの間の伝搬遅延の差
に基づいて計算することができる。
Pセルのタイミング・アドバンスは、基本的にeNodeBおよびUE3の両方に知られている。
PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差は、eNodeBでは分からないが、UE側では測定することができる。
PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLは、図27との関連でより明白になるように、eNodeBにだけ知られており、UE3には知られていない。図26の特定の実施形態では、ΔSCell−PCellTxDLはゼロであり、後で説明される図27の実施形態では、ダウンリンクの送信時間の差はゼロではない。
サービング・セルのアップリンクとダウンリンクの間の伝搬遅延の間の差は、本発明の目的では無視できると仮定される。より具体的には、アップリンクおよびダウンリンク方向の伝搬遅延は、各キャリアで同じであると仮定される。3GPP WG RAN4によって行われたシミュレーションが、帯域間キャリア・アグリゲーションの場合のシミュレートされた伝搬遅延の差の結果を提供しており、その結果は、同じ受信ノード(すなわちeNodeB)について、97〜98%のケースで伝搬タイミングの差が1TAステップ(〜0.5μs)よりも小さく、100%のケースで5TAステップよりも小さいことを示している。アップリンクとダウンリンクの間の周波数ギャップが、異なる周波数帯域の間のギャップよりもはるかに小さい、SIB−2とリンクしたDLおよびULのキャリアのペアの場合に、これにしたがえば、結果として、与えられたセルのUL方向とDL方向の間の伝搬タイミングの差はかなり小さく、したがって、本発明ではそれを無視することができる。
上述のことを仮定し、Sセルのタイミング・アドバンスがeNodeBで計算されることを考慮すると、eNodeB側でダウンリンクの受信時間の差を決定できる情報をeNodeBに提供するべきである。その場合、eNodeBは、Pセルのタイミング・アドバンスに対してSセルのタイミング・アドバンスを決定するためのすべての情報を有する。
上述の考察からの結果として、UE3に関するSセルのアップリンクのタイム・アライメントのための本発明の1つの実施形態が、図35を参照して以下で提示される。
図35のステップ1において、UE3は、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLと、特に、UE3がPセルからの1つのサブフレームの始まりを受信する時刻と、UE3が、Pセルから受信するサブフレームに時間が最も近い、Sセルからの1つのサブフレームの対応する始まりを受信する時刻との間の時間差とを測定する。それに対応して、UE3は、2つのSセルの各々についての測定を実行し、ΔSCell1−PCellRxDLおよびΔSCell2−PCellRxDLを得る。目下のシナリオでは、ダウンリンクの受信時間の差は、Sセル1およびSセル2で実質的に同じである。1つのSセルに関するダウンリンクの受信時間の差を、図26に見ることができる。
図35のステップ2において、UE3は、測定の結果、すなわち、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDLおよびΔSCell2−PCellRxDLを、好ましくは、PセルのPUSCHを使用することによって、eNodeBに送信する。代替的に、ダウンリンクの受信時間の差はどちらも同じであるので、UE3は、2つの測定値の一方だけを送信することができる。
ステップ3において、eNodeBは、測定結果を受信し、それを使用して、Sセルのタイミング・アドバンスを計算する。両方のSセルでダウンリンクの受信時間の差は同じであるので、Sセルのアップリンクの時間を揃えるためにUE3によって使用することができるタイミング・アドバンスを1つだけ計算する。本実施形態の仮定を考慮すると、ΔSCell−PCellTxDLおよびΔSCellPDUL−DLはゼロと見なすことができるので、上で説明した式6は、
TASCell=TAPCell−2・ΔSCell−PCellRxDL (式24)
と簡潔に書くことができる。
したがって、eNodeBは、受信したダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDL/ΔSCell2−PCellRxDLと、Pセルの既知のタイム・アドバンスとを使用して、Sセル1およびSセル2のタイム・アドバンスTASCell1/SCell2を式24にしたがって計算する。
ステップ4において、eNodeBは、好ましくは、後でより詳細に説明されるダウンリンク共有チャネルおよびMAC制御要素を使用して、TASCell1/SCell2をUE3に送信する。
ステップ5において、UE3は、タイミング・アドバンス情報をeNodeBから受信し、標準的な初期タイミング・アドバンスがUEによって適用されるのと同様にして、Sセル1およびSセル2のダウンリンク無線フレームの始まりに対して、タイミング・アドバンスTASCell1/SCell2を適用する。
このように、UE3は、受信したアップリンクのスケジューリング許可にしたがって、Sセル1およびSセル2のアップリンクの時間を揃え、それらの上でアップリンク送信を開始することができる。第1のアップリンクの許可は、通常は、標準的なRACH手順内のRARメッセージの部分である。本発明では、RACH手順はSセル上で実行されないので、Sセルに関する第1のアップリンクの許可は、任意のときに任意の方法でPDCCHを介してUE3に送信することができる。
UE3は、Sセル1およびSセル2に関するアップリンクの許可を使用して、アップリンク送信をeNodeBに送信する。1つのSセルについて、これが図26に示されている。UE3は、Sセルのダウンリンク無線フレームの受信の時刻TDL_RX_SCellに対して、タイミング・アドバンス値TASCell1/SCell2だけ「シフトさせる」ことによって、Sセルのアップリンク無線フレームの送信の時刻TUL_TX_SCellを設定する。
Sセル上のそのような時間が揃えられたアップリンクの送信は、伝搬遅延PDUL_SCellの後、TUL_RX_SCellにおいてeNodeBで受信される。
図27は、本発明の別の実施形態によるタイミング図を示している。図26のタイミング図と比較して、PセルおよびSセルが異なる時刻にダウンリンク送信を実行する点が異なる。さらに、Sセル1およびSセル2は同じダウンリンク送信のタイミングを有すると仮定される。言い換えると、もはやゼロではなく、Sセル1およびSセル2で同じ、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLが存在する。
図35に関連して前で説明されたアップリンクのタイム・アライメント手順は、以下の手順の変更を考慮して、図27に例示されたシナリオにも同様に適用することができる。
UE3は、Sセル1およびSセル2で同じ、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell1−PCellRxDLおよびΔSCell2−PCellRxDLを測定することができる(ステップ1)。ダウンリンクの受信時間の差は、(図26におけるような)Pセル経路とSセル経路の間の伝搬遅延の差ばかりでなく、この場合は、ダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLも考慮することに留意されたい。本発明のこの特定の実施形態では、測定されたダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLは、PセルとSセルの間の伝搬遅延の差よりも長く、すなわち、PセルとSセルの間のダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLだけより長い。そのようなダウンリンクの送信時間の差は、UE3には分からず、すなわち、透過的である。
その後、これらの測定結果は、図35のステップ2と同様に、eNodeBに送信される。eNodeBは、この場合はやはり同じタイミング・アドバンスとなる、Sセル1およびSセル2のタイミング・アドバンスを計算する。しかし、eNodeBは、図26に関連して説明された式7を使用することができず、以下のようにして、ダウンリンクの送信時間の差ΔSCell−PCellTxDLを追加的に考える必要がある。
式23から開始して、eNodeBは、この特定のシナリオでは、以下の式25を使用して、Sセルのタイミング・アドバンスを決定する。すなわち、既に説明した理由で、ΔSCellPDUL−DLだけがゼロに設定される。
TASCell=TAPCell−2・ΔSCell−PCellRxDL+2・ΔSCell−PCellTxDL (式25)
決定されたタイミング・アドバンスTASCell1/SCell2は、図35に示されたステップ4にしたがって、eNodeBからUE3に送信される。したがって、UE3は、受信したタイミング・アドバンス値TASCell1/SCell2を使用して、それぞれのSセル1およびSセル2上のダウンリンク無線フレームの始まりに対して、Sセル1およびSセル2上のアップリンク送信の時間を揃える。
eNBが、Pセル上のアップリンク送信のためにUEによって使用されるタイミング・アドバンスを知っているとしても、PRACH送信が行われた直後だけを除いて、TS36.133、セクション7.1.2にしたがった、アップリンクのタイミングのUEによる自律的な変更が、eNBからUEにシグナリングされたPセルのタイミング・アドバンス値からのある偏差を生じさせることに留意されたい。したがって、別の代替実施形態によれば、UEは、ダウンリンクの受信時間の差の測定値に加えて、Pセル上で受信したDL無線フレームとPセル上で送信したUL無線フレームとの間の使用中の差もeNBにレポートする。
以下では、上で説明した実施形態の変形および追加ステップが、図35の各ステップに関連して提示される。
UEによるレポートのステップのトリガ
上述の実施形態においては、UEがステップ1の測定と、ステップ2の測定結果のレポートとをいつ開始するのかは、触れられなかった。測定は、例えば、周期的に行われ得る。
レポート/シグナリングは、周期的またはイベント・トリガ式のどちらかで実行され得る。
例えば、レポートの周期的なトリガは、モビリティまたは電力ヘッドルームまたはバッファ状態レポートのレポートと同様である可能性がある。周期的なレポートの利点は、eNodeBが、特定の周期で、測定結果に関する最新の情報を得ることである。したがって、eNodeBは、周期的な間隔でSセルの正確なタイミング・アドバンスを計算することができ、それにより、必要な場合には直ちにタイミング・アドバンスをUEに送信することができる。
しかし、イベント・トリガ式のレポートも、同様に有益であり、例えば、いくつかの誤ったアップリンクのタイミングによる干渉の増加を防ぐようにeNodeBが迅速に反応すること可能にするために必要である可能性がある。いくつかのイベントが、以下で説明される。
Sセルの構成が、eNodeBへの測定結果のレポートをUEが開始するためのトリガとして使用され得る。測定およびレポートは、構成されるおよび非アクティブ化されるSセルに関して1つの例示的な実施形態にしたがって行われる。新しいSセルが構成されるたびに測定結果をeNodeBに提供することは、さらなる利点を有する。より詳細には、eNodeBは、異なるタイミング・アドバンス(マルチTA)が新しく構成されるSセルのために必要とされるかどうかを調べるための機会を有する。さらに、eNodeBは、Sセルのための必要なタイミング・アドバンスを既に計算しておくことができ、任意選択で、そのタイミング・アドバンスをモバイル端末にシグナリングすることもできる。言い換えると、Sセルが非アクティブ化される(すなわち、送信に使用されない)としても、モバイル端末は、このSセルに対してどのタイミング・アドバンスを使用すべきかを既に知っている。したがって、Sセルがアクティブ化されるとき、モバイル端末は、Sセルに関する前に受信されたタイミング・アドバンスを直ちに適用し、既に正しいアップリンクのタイム・アライメントで送信することができる。ゆえに、例えば、アップリンクの同期を実現するために、新しくアクティブ化されるSセルでRACHが実行される必要があるアプローチと比較したとき、Sセルのアクティブ化がより高速である。基本的に、Sセルに関するアクティブ化の遅延は、本発明を使用するとき、SセルがPセルと同じタイミング・アドバンスを有するRel−10と同じである。
代替的に、Sセルのアクティブ化が、測定および/または測定結果のレポートを開始するためのトリガとしてUEによって使用され得る。アクティブ化をトリガとして使用することの利点は、eNodeBがSセルをアクティブ化するとき、eNodeBはSセル上の送信をスケジューリングすることも意図することである。アクティブ化されるSセル上のアップリンクの送信のために使用される正しいタイミング・アドバンスを決定するために、eNodeBに最新の測定結果を提供することが有益である。
トリガとして使用されるべき別のオプションは、モバイル端末が、測定結果をeNodeBにレポートする特定の要求をeNodeBから受信することである。これは、測定結果のレポートが必要か否かをeNodeBが事例ごとに判断することを可能にする。eNodeBからモバイル端末にこの要求をどのように送信するかのいくつかの可能性が、存在する。例えば、Sセルを構成するRRCメッセージ、例えば、RRCコネクション再構成メッセージ内のフラグが、測定結果のレポートを明示的に要求し得る。
あるいは、図20に示されるアクティブ化/非アクティブ化コマンド(MAC CE)が、タイミング情報のレポートの必要性を明示的に示すフラグを含み得る、すなわち、eNodeBが、測定結果をレポートするようにモバイル端末に明示的に要求する。フラグは、アクティブ化/非アクティブ化MAC制御要素内の空いている「予約されたビット」を使用することによってシグナリングされ得る。既にアクティブ化されたSセルのアクティブ化がサポートされる(再アクティブ化とも呼ばれる)ので、アクティブ化/非アクティブ化MAC制御要素が、Sセルのうちのいずれを実際にアクティブ化または非アクティブ化することも必要とせずに、測定結果のレポートを要求するためにいつでもeNodeBによって送信され得る。
別の可能性は、物理レイヤのシグナリング(DCIフォーマット1Aを用いたPDCCH)である、いわゆる「RACH命令」メッセージを再利用することである。1つの実施形態によれば、RACH命令そのものが使用され、すなわち、Sセル上にRACHを作成するよう要求されているモバイル端末は、モバイル端末によって異なって、すなわち、測定結果のレポートを実行するように解釈され得る。代替的に、Sセルに関するRACH命令内のいくつかの事前に定義された符号点またはフィールド符号点(field codepoint)の組み合わせが、レポートの要求として使用され得る。例えば、「000000」に設定されたra−PreambleIndexを有する(すなわち、通常、UEがコンテンション・ベースのRACHを行うべきであることを示す)Sセルに関するRACH命令が、レポートを要求するように再定義され得る。あるいは、クロス・スケジューリングの場合のための事前に定義されたキャリア・インジケータ(CI)符号点が、要求として使用され得る。利点は、モバイル端末が測定結果を送信することになるアップリンクのリソース割り当てが、測定および/またはレポートの要求と一緒に送信可能であり、したがって、レポートの遅延を削減することである。
測定結果をレポートするための別のトリガ・イベントは、Sセルのアップリンク・タイム・アライメントに関連して実行された測定の結果が、特定の事前に構成された限界を超える可能性がある。これは、eNodeBが、Pセルのタイミング・アドバンスとは異なるタイミング・アドバンスをSセルに対して使用する必要性が分からない場合に特に有益である。eNodeBは、例えば、OAM(リピータまたはRRHの存在のようなセルの配置情報を通常提供する運用・管理・保守)からの十分な知識を常に持っているとは限らない。また、マルチ・タイミング・アドバンスの必要性は、UEの位置に依存する(図24および対応する説明参照)。したがって、例えば、周波数選択的リピータは、eNodeBに対して透過的である可能性があり、大きなダウンリンクの受信時間の差に関してモバイル端末がレポートすることによってのみeNodeBに認識可能にされる。あるいは、eNodeBがFSRを認識しているとしても、eNodeBは、いつモバイル端末がもはやeNodeBからではなくFSRを介してSセルを受信するようになるのか正確に知らない。
別のトリガは、初期タイミング・アドバンスまたはタイミング・アドバンス更新を適用するときに、モバイル端末によって開始される、タイミング・アドバンスのタイマが切れることとすることができる。タイミング・アドバンスのタイマが切れる、すなわち、タイミング・アドバンス更新が受信されない場合、モバイル端末は、本発明のさまざまな実施形態の1つを実行することができる。
UEによる測定およびレポートのステップ
これまで説明してきたように、モバイル端末は、SセルとPセルの間のダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLを測定し、レポートする。代替的または追加的に、モバイル端末は、PセルとSセルの間の受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULを測定し、レポートすることもできる。図26または図27にも示されるように、
ΔSCell−PCellRxDL−TxUL=TDL_RX_SCell−TUL_TX_PCell
である。
言い換えると、PセルとSセルの間の受信送信時間の差は、モバイル端末がPセル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻とモバイル端末がSセル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻との間の時間差である。アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレーム番号を指す。
図26または図27から分かるように、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLは、受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULと、Pセルのタイミング・アドバンスTAPCellとに基づいて、特に、
ΔSCell−PCellRxDL=ΔSCell−PCellRxDL−TxUL−TAPCell (式26)
によって計算することができ、ここで、TAPCellは、TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間で測定された時間によって置き換えることもできる。TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間の測定時間は、受信送信時間の差と一緒に、eNodeBにレポートすることもできる。
アップリンクにおける協調マルチポイント(Cooperative multi−point)(COMP)送信などの将来の技法に対して、受信送信時間の差は、アップリンク送信のタイミングを制御するために使用できるので、ダウンリンクの受信時間の差の代わりに、受信送信時間の差を測定し、レポートすることは有利である。さらに、実装の観点からも、その方が好ましいことがある。
その場合、受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULが、eNodeBにレポートされ、その後、eNodeBは、式26を使用して、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLを計算する。既に説明されたように、また後でより詳細に説明されるように、eNodeBは、計算されたダウンリンクの受信時間の差に基づいて、Sセルのタイミング・アドバンスを計算することができる。
モバイル端末は、時間差を決定する方法として、例えば、サンプル数をカウントできることに留意されたい。例えば、ダウンリンクの受信時間の差を計算するために、モバイル端末は、Pセルでのダウンリンクのサブフレームの受信時刻とSセルでのダウンリンクのサブフレームの受信時刻の間のサンプル数をカウントする。例えば、ダウンリンクのサブフレームは、共通基準信号(CRS)を指すことができる。
測定結果のレポート
モバイル端末は、測定を行った後、結果をeNodeBに送信する。既に説明されたように、測定値は、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLまたはPセルとSセルの間の受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULを指す可能性がある。
レポートそのものは、原理上いくつかのレイヤ、例えば、RRCレイヤまたはMACレイヤで実装され得る。モビリティまたは位置の測定のようなその他の測定も、RRCレイヤでシグナリングされる。タイミング・アドバンス・コマンドはMACレイヤによって生成されるので、測定結果のレポートもMACレイヤで実装することが、実装の観点から有益である可能性がある。
図29および30は、モバイル端末からeNodeBに測定結果を送信するために使用され得るMAC制御要素のフォーマットを示す。明らかなように、このMAC CEの構造は、拡張電力ヘッドルームMAC CEと同様である。サイズは、構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルの数、すなわち、測定およびレポートが実行されるべきSセルの数に依存する。より詳細には、図29は、Pセルとすべての利用可能なSセル1〜nとの間のダウンリンクの受信時間の差を送信するためのMAC制御要素を示す。
一方、図30は、Pセルとすべての利用可能なSセル1〜nとの間の受信送信時間の差を送信するためのMAC制御要素を示す。TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間の時間はTAPCellに対応し、したがって、実際はeNodeBによって知られているはずなので、代替的な実施形態においては、この情報は、eNodeBにレポートされてはならない。
すべてのSセルに関するダウンリンクの受信時間の差および受信送信時間の差をレポートする代わりに、モバイル端末は、時間を揃えられるべき特定のSセルに関してのみそれらをレポートする可能性がある。
さらに、時間差は、符号化され、サンプル数で示される可能性があり、すなわち、モバイルが、特定のサンプル数をレポートし、次いで、eNodeBが、サンプル数およびサンプルの時間を用いて実際の時間差を導出する可能性がある。
既に前に述べられたように、測定結果は、Pセルの物理アップリンク共有チャネル、PUSCH上で送信されることが好ましい。
Sセルに関するタイミング・アドバンスの決定
本発明の上述の実施形態においては、eNodeBが、標準的なRACH手順から分かるタイミング・アドバンス値、すなわち、図26および27で例示されたように、ダウンリンクのSセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的にモバイル端末によって適用されるタイミング・アドバンス(矢印TASCell参照)を計算すると想定された。これは、タイミング・アドバンス値が、規格によって定義されたタイミング・アドバンスと同じ種類であって、Pセルに対してではなく、Sセルの無線フレームのダウンリンクの受信に対して相対的に定義されるので、絶対的な値と呼ばれる可能性がある。
しかし、その他の代替的な方法もある。eNodeBによって計算され、モバイル端末によって適用されるタイミング・アドバンスは、ダウンリンクのSセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的である必要はなく、その他の基準が選択され得る。例えば、計算され、適用されるタイミング・アドバンスは、Pセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりTDL_RX_PCellに対して相対的であるか、またはPセルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりTUL_TX_PCellに対して相対的である可能性がある。
タイミング・アドバンスがPセルを介して送信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に計算される場合、基本的に、そのタイミング・アドバンスは、PセルとSセルの間のタイミング・アドバンスの差ΔTAPCell−SCellを指す。式23を考慮すると、
ΔTAPCell−SCell=−2・ΔSCell−PCellRxDL+2・ΔSCell−PCellTxDL−ΔSCellPDUL−DL
である。
したがって、eNodeBによって決定され、モバイル端末に送信されるタイミング・アドバンスは、ΔTAPCell−SCellである。そして今度は、モバイル端末が、Pセルを介して受信されるアップリンクの無線フレームの始まりに対して相対的にこの値を適用して、Sセル上で実行されるアップリンクの送信に関するアップリンクのタイミングを決定する。これが図31に例示されており、タイミング・アドバンスが、サンプル数NTAによって示され、そして、Pセルにおけるアップリンクの送信と比較してSセルにおけるアップリンクの送信に対して適用すべき実際の時間的な差を得るためにサンプルの時間TSと乗算される。
タイミング・アドバンスが、ダウンリンクのPセルを介して受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に計算される場合、タイミング・アドバンス値は、図26および図27から推論され得るように、
TASCell−ΔSCell−PCellRxDL
である。したがって、eNodeBは、最初にタイミング・アドバンス値TASCellを計算し、そのタイミング・アドバンス値TASCellから、受信されたダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDLを引く。その後、計算結果が、モバイル端末にレポートされ、モバイル端末は、Pセルにおいてモバイル端末によって受信されるダウンリンクの無線フレームの始まりに対して相対的に、受信されたタイミング・アドバンスに基づいてSセル上のアップリンクの送信のタイミングを設定する。これが図32に例示されており、タイミング・アドバンスが、サンプル数NTAによって示され、そして、Sセルにおけるアップリンクの送信に対して適用すべき実際の時間的な差を得るためにサンプルの時間TSと乗算される。
タイミング・アドバンス・コマンドの送信
計算されたタイミング・アドバンスが、例えば、タイミング・アドバンスが適用されるSセルのダウンリンク共有チャネルを用いてモバイル端末に送信される可能性がある。図33は、本発明の1つの特定の実施形態による、計算されたタイミング・アドバンスをeNodeBからモバイル端末に送信するために使用されるべきタイミング・アドバンス・コマンドのフォーマットを示す。計算され、モバイル端末に送信されるタイミング・アドバンス情報がTASCellである(かつ図31および32に関連して上で述べられた相対的な値の一部でない)場合、(規格から分かる初期TAコマンドと同じ)必要な粒度を実現するために、Sセルに関するタイミング・アドバンスを送信するために11ビットが使用されることが好ましい。
一方、タイミング・アドバンスがより小さい場合は、別のタイミングに対して相対的であるので、より少ないビットで十分である。
1つの例は、例えば8ビットでタイミング・アドバンス情報を運ぶための新たなMAC制御要素を使用することである。代替的に、図33に示されたフォーマットを有する、LTEのRelease8から知られるタイミング・アドバンス更新コマンドが、使用され得る。空いているRビットのうちの1つが、規格から分かる実際のタイミング・アドバンス更新コマンドと、本発明のさまざまな実施形態のうちの1つによるタイミング・アドバンス情報とを区別するために使用され得る。
一部の実施形態は相対的なタイミング・アドバンス(図31および32に関連する説明参照)を使用するので、タイミング・アドバンス更新コマンドによって提供される6ビットが、十分な粒度をもたらす可能性がある。
別の代替的な方法は、eNBが、1つのSセルに関してのみでなく、すべての構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルに関するタイミング・アドバンス情報を送信することである。UEが上述の実施形態にしたがってすべての構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルに関するタイミング情報をレポートする場合、それに応じてすべての計算されたTAもレポートすることが理にかなっている可能性がある。
Sセルのグループ化
図24、34、および26に関して想定されたシナリオにおいて、Sセル1およびSセル2は、Sセル1およびSセル2に関する伝播遅延が同じであるので、アップリンクにおいて同じタイミング・アドバンスを有する。上述の場合、Sセル1およびSセル2は、タイミング・アドバンス・グループを形成すると言われる可能性がある。
このシナリオに付け加えて、Sセルが同じタイミング・アドバンス値を用いてアップリンクの時間を揃えられ得るかどうかに応じて異なるタイミング・アドバンス・グループを形成するいくつかの構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルが存在し得る。既に説明されたように、同じモバイル端末のさまざまなSセルの間での異なるタイミング・アドバンスの必要性につながるいくつかの理由がある。一例は、Sセルのうちの一部の信号のみを増幅する1つまたは複数の周波数選択的リピータである。
いずれの場合も、モバイル端末がSセルの特定のタイミング・アドバンス・グループへのマッピングを記憶する場合、時間が揃ったSセル2を有するタイミング・アドバンス・グループに属するSセル1の時間を揃える必要があるとき、モバイル端末は、時間が揃ったSセル2に対して前に使用されたタイミング・アドバンスを直ちに適用してSセル1のアップリンクの送信の時間も揃えることができる。したがって、本発明のすべてのステップを実行する必要はない。
Sセルのタイミング・アドバンス・グループへのマッピングは、eNodeBによってのみ構成および更新され得る。
本発明のハードウェアおよびソフトウェアの実装
本発明の別の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを用いた上述のさまざまな実施形態の実装に関する。これに関連して、本発明は、ユーザ機器(モバイル端末)およびeNodeB(基地局)を提供する。ユーザ機器は、本明細書に記載の方法を実行するように適合される。さらに、eNodeBは、eNodeBがユーザ機器から受信される電力状態情報からそれぞれのユーザ機器の電力状態を判定し、そのeNodeBのスケジューラによる異なるユーザ機器のスケジューリングにおいて異なるユーザ機器の電力状態を考慮することを可能にする手段を含む。
本発明のさまざまな実施形態は、コンピューティング・デバイス(プロセッサ)を用いて実装または実行され得ることがさらに認識される。コンピューティング・デバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、またはその他のプログラマブル・ロジック・デバイスなどである可能性がある。本発明のさまざまな実施形態は、これらのデバイスの組み合わせによって実行または具現化される可能性もある。
さらに、本発明のさまざまな実施形態は、プロセッサによって、またはハードウェアで直接実行されるソフトウェア・モジュールによって実装される可能性もある。ソフトウェア・モジュールとハードウェアの実装の組み合わせも、あり得る可能性がある。ソフトウェア・モジュールは、任意の種類のコンピュータ可読ストレージ媒体、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、レジスタ、ハード・ディスク、CD−ROM、DVDなどに記憶され得る。
本発明の異なる実施形態の個々の特徴は、個々にまたは任意の組み合わせで、別の発明の主題になり得ることにさらに留意されたい。
幅広く説明された本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく、特定の実施形態に示された本発明に対して多くの変更および/または修正がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、これらの実施形態は完全に例示的であると見なされるべきであり、限定的であると見なされるべきでない。
複数のダウンリンクのコンポーネント・キャリアの伝搬遅延の差に関するレポート
本発明は、モバイル通信システムにおいてダウンリンクのタイミングについてモバイル端末によってレポートするための方法も提供し、異なるサービング・セル上のダウンリンクのサブフレームの送信および/または受信時間の差が事前に定義された最大時間差を超えた場合にレポートするために使用され、それによって、アグリゲーション・アクセス・ポイントが、モバイル端末に関するこのような状況を検出することを可能にする。
本発明のさらなる態様によれば、(3GPP用語ではユーザ機器と呼ばれる)モバイル端末が、異なるダウンリンクのサービング・セル上の異なる無線リンクを介してサービング・セルをアグリゲートしており、前記ダウンリンク送信が、異なる伝搬遅延をこうむる状況を、アグリゲーション・アクセス・ポイントが検出することを可能にするために、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セルのダウンリンクのタイミングについてのレポートが提案される。
そのようなアグリゲーションは、異なるダウンリンクのサービング・セル上の送信(例えば、それぞれのサブフレーム)で受信されるプロトコル・データ・ユニットをモバイル端末のプロトコル・エンティティで共同処理するための、eNodeB、RRH、またはFSRなどの無線信号送信ノードからの異なるダウンリンクのサービング・セル上の送信(例えば、それぞれのサブフレーム)に対応する無線信号の同時受信に関する。
以下における「基準セル」という用語は、モバイル端末によるダウンリンクのタイミング差の測定のための基準として使用されるセル(Pセル、またはSセルの1つ)を指す。モバイル端末は、このセルを介する受信のために最初に構成されるので、Pセルを基準セルにするのが有利である。それにも関わらず、他の任意のダウンリンクSセル、例えば、複数のセルのうちで対応するダウンリンク送信がそこから時間的に最初に受信されるSセルも基準セルにすることができ、したがって、モバイル端末の最も近くに位置付けられるセルを基準セルとして使用する。唯一の要件は、eNodeBおよびモバイル端末が、どのサービング・セルが基準セルの役割を果たすかについて同じ理解を有することであり、例えば、eNodeBは、基準セルを構成し、その構成をモバイル端末にシグナリングすることができる。
以下における「目標セル」という用語は、そこからのダウンリンク送信が、基準セルの時点とは異なる時点にモバイル端末によって受信され、したがって、本発明のレポート手順の対象であるセルを指す。上述の「基準セル」の定義によれば、「目標セル」は、ほとんどの場合、後の時点でモバイル端末によってアグリゲートされたSセルの1つである。特別の場合には、すなわち、モバイル端末がPセルよりもSセルにはるかに近く位置付けられ、Pセルからのダウンリンク送信が、例えば、ジッタまたはチャネル・フェージング効果のような干渉を大きくこうむる場合には、Pセルも目標セルになることがある。
しかし、以下の特別なシナリオは、本発明を限定するものと理解すべきではなく、本発明の原理を説明するための一例と理解すべきであるとされる。基準セルは、Pセルであり、目標セルは、Sセルであることが仮定される。アグリゲーション・アクセス・ポイントは、eNodeBであることが仮定される。
図36は、モバイル端末とeNodeBによって実行されるさまざまなステップと、本発明の1つの実施形態によるレポート手順を可能にするために、それらの間で交換されるメッセージとを示すシグナリング図を示している。モバイル端末は、それを介してeNodeBとデータを交換するPセルを構成した。特に、モバイル端末は、Pセルからダウンリンク送信を受信するように構成され、Pセルへのアップリンク送信を可能にするようにアップリンクの時間を揃えられる。さらに、モバイル端末は、Sセルからダウンリンク送信を受信するために構成される。モバイル端末は、ダウンリンクSセルに関連付けられた、すなわち、アップリンクSセルと呼ばれる、アップリンク・セルで構成されることもあるが、これは、本発明のレポート手順を実行するために重要ではない。
以下のステップが、図36に沿って実行される。
1.モバイル端末は、Pセルおよび/またはSセルでの送信/受信の特定のタイミング情報を決定するために測定を実行する。以下でより詳細に説明されるように、モバイル端末で決定できるタイミング情報にはさまざまなものがある。端末が測定するこのタイミング情報は、PセルとSセルの間の伝搬遅延の差をモバイル端末がそれから決定することを可能にするようなものである。測定のタイミング情報は、eNodeBによってまだ知られていないようなものであり、したがって、モバイル端末とeNodeBの間でPセルおよび/またはSセル上で実行される信号交換の送信および/または受信のタイミング情報など、eNodeBに知られていないタイミングに関する。
2a.その後、モバイル端末は、測定の結果を事前に定義された最大時間差と比較する。最大時間差は、特定のモバイル端末のために事前に定義することができ、またはモバイル端末を含むモバイル通信システムのために事前に定義することができる。特に、最大時間差は、伝搬遅延を指し、すなわち、最大時間差は、アグリゲートされたセルまたはコンポーネント・キャリアの間の最大伝搬遅延差を定義する。比較を実行し得る方法にはさまざまなものがあり、それらについて以下で詳細に説明する。いずれの場合も、モバイル端末は、測定結果が事前に定義された最大伝搬遅延差を超えたかどうかを判定することができる。
3a.比較の結果に関する情報が、eNodeBに送信される。
上で説明されたステップ2aおよび3aの代替として、モバイル端末およびeNodeBは、(代替策として図36では破線で示された)以下のステップも実行することができる。
2b.測定の結果が、モバイル端末によってeNodeBに送信される。
3b.eNodeBは、モバイル端末から受信した測定の結果に関する情報を使用して、それを事前に定義された最大時間差と比較する。先に説明されたように、最大時間差は、特定のモバイル端末のために事前に定義することができ、またはモバイル端末を含むモバイル通信システムのために事前に定義することができる。特に、最大時間差は、伝搬遅延を指し、すなわち、最大時間差は、最大伝搬遅延差を定義する。比較を実行し得る方法にはさまざまなものがあり、それらについて以下で詳細に説明する。いずれの場合も、eNodeBは、測定結果が事前に定義された最大伝搬遅延差を超えたかどうかを判定することができる。
上で説明された本発明によって提供される利点にはさまざまなものがある。
第1に、eNodeBは、異なる経路を使用するモバイル端末へのダウンリンク送信に影響する伝搬遅延を正確には知らない。eNodeBまたはより具体的には通信業者が配備について知っており、この情報に基づいて、異なるサービング・セルに関する伝搬遅延についてのある見解(推定)を有し得るべきであるとしても、具体的には、ネットワーク送信点(eNodeB、RRH)での送信タイミングの不完全性、すなわち、異なる送信点の間でクロック・ドリフトを生じさせ、結果として、サービング・セルの間により大きなダウンリンクの受信時間の差を生みだすクロックの不正確性のせいで、またはフェージングなどのチャネル効果のせいで、モバイル端末でのダウンリンクの受信タイミングは変化する。したがって、ダウンリンクのタイミングについてのレポートは、サービング・セルの再構成を可能にする追加情報をeNodeBに提供する。
さらに、背景セクションの最後で説明されたように、モバイル端末は、限られた受信能力しか有さずに提供されることがある。特に、モバイル端末は、ダウンリンク送信の同時処理を可能にする受信機窓を限られた大きさしか有しないことがある。それでも、異なるアグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル上のダウンリンク送信の受信は、モバイル端末による共同処理を必要とする。したがって、ダウンリンクのタイミングのレポートは、複数のアグリゲートされたサービング・セルのダウンリンク送信をモバイル端末が正常に受信することをモバイル端末の限られた受信能力が妨げる状況、すなわち、モバイル端末によってサポートされる受信窓サイズよりも大きな(基準セルと比較された)相対的な伝搬遅延差を有するサービング・セル(Sセル)がモバイル端末によって正しく復号されない可能性のある状況を、eNodeBが検出することを可能にする。
以下では、本発明のより具体的な実施形態が説明される。
例えば、UE(モバイル端末)が、図36と同様に、eNodeBによってサービスされるPセルで構成され、またRRHによってサービスされるSセルで構成されるシナリオを仮定する。Pセルのカバレージは、Sセルのカバレージよりも大きいと仮定することができる。
このシナリオでは、Pセルのダウンリンク送信に関する伝搬遅延がSセルのダウンリンク送信に関する伝搬遅延よりも大きくなるように、UEがPセルのカバレージの境界およびSセルのカバレージの境界に位置付けられることが起こることがある。したがって、UEは、eNodeBからのPセルのダウンリンクのサブフレームを、RRHからのSセルの対応するサブフレームを受信するよりも後の時点で受信する。
この特定のシナリオでは、上で述べられた利点を達成するためにダウンリンクのタイミングについてのレポートが必要かどうかは、UEのロケーションに依存する。より詳細には、eNodeBによってサービスされるPセルおよびRRHによってサービスされるSセルで構成されるUEの、PセルおよびRRHに対するロケーションに応じて、ダウンリンクのタイミングは、無視できる受信時間の差(例えば、UEがeNodeBとRRHの中間に位置付けられている場合)と、対応するサブフレームにとって大きな受信時間の差(例えば、UEがeNodeBとRRHの中間に位置付けられていない場合)との間で変化する。
eNodeBによってサービスされるダウンリンクのPセルとFSRによってリピートされるダウンリンクのSセルで構成されるUEについての同様の例示的なシナリオが、図24に関して説明された。このシナリオでも、上で述べられた利点を達成するためにダウンリンクのタイミングについてのレポートが必要かどうかは、UEのロケーションに依存する。
このより具体的な実施形態では、PセルおよびSセルの両方が、同じ時刻にサブフレームをダウンリンクでUEに送信するが仮定される。ダウンリンク送信は、同時に実行されるが、PセルおよびSセルは異なる伝搬遅延(PDDL_PCell、PDDL_SCell)をともなうので、ダウンリンク送信のUEによる受信は、同時ではない(TDL_RX_PCell、TDL_RX_SCell)。
PセルおよびSセル上で送信されるフレームの例示的な受信および送信タイミングを示す図26を参照すると、ダウンリンク送信の伝搬遅延の差(ΔSCell−PCellRxDL)が、以下の2つの異なる方法で測定できることに留意しなければならない。
ΔSCell−PCellRxDL=TDL_RX_PCell−TDL_RX_SCell (式27)
=(TUL_TX_PCell−TDL_RX_PCell)−(TUL_TX_PCell−TDL_RX_SCell) (式28)
したがって、UEは目標セル上の第1のダウンリンクのサブフレームの始まりの受信(TDL_RX_SCell)と基準セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの受信(TDL_RX_PCell)との間の時間差を測定する(すなわち、上記の式27を適用する)ことによって、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を決定することができる。
代替的に、UEは、UEが基準セル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻(TUL_TX_PCellll)とUEが目標セル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻(TDL_RX_SCelll)との間の時間差を測定することによって、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を決定することができる。UEが、基準セル上の送信と基準セルおよび目標セル上の受信との間の時間差を測定する場合、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)は、基準セル上の送信と基準セル上の受信との間の時間差から、基準セル上の送信と目標セル上の受信との間の時間差を減算する(すなわち、上記の式28を適用する)ことによって、決定することができる。
言い換えると、送信および/または受信時間差情報は、UEによって、
●PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)、または
●PセルとPセル/Sセルの間の受信送信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)
として測定することができる。
PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差は、eNodeBでは分からないが、UE側では測定することができる。
上述の考察の結果として、ダウンリンクのタイミングをレポートするための本発明のより詳細な実施形態が、図36に関連して提示される。
図36のステップ1で、UEは、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)と、特に、UEがPセルからの1つのサブフレームの始まりを受信した時刻とUEが、Pセルから受信したサブフレームと同じサブフレーム番号に対応する、Sセルからの1つのサブフレームの対応する始まりを受信した時刻との間の時間差とを測定する。
ステップ1で追加的にまたは代替的に、UEは、受信送信時間の差の情報(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)と、特に、UEがPセル上でアップリンクの無線フレームを送信した時刻とUEがSセル上でダウンリンクの無線フレームを受信した時刻との間の時間差とを測定することもでき、アップリンクの無線フレームおよびダウンリンクの無線フレームは、同じ無線フレームに関連する。加えて、UEは、Pセル上のアップリンクのタイミングとPセル上のダウンリンクの受信タイミングとの間の時間差も測定する。Pセル上のこの測定された受信送信時間の差(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)が、UEおよびeNBの両方によって知られているべき、Pセル上のアップリンク送信のためにUEによって使用されるタイミング・アライメント(TA)値に基本的に対応するとしても、RACH手順中にタイミング調整コマンドを受信した直後だけを除いて、TS36.133、セクション7.1.2にしたがった、アップリンクのタイミングのUEによる自律的な変更が、TAPCellからのある偏差を生じさせる。したがって、eNodeBにそのような値をさらにレポートすることは、必須ではないが、有益である。
図36のステップ2aで、UEは、測定結果、すなわち、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)と比較する。特に、UEは、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を、UEのための最大受信時間差を定義する、事前に定義された伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)と比較する。
追加的にまたは代替的に、ステップ2aで、UEは、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を決定するために、受信送信時間の差の測定値(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)およびPセル上の受信送信時間の差の測定値(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)を比較ステップのために使用することもできる。その後、UEは、決定されたダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を、UEのための最大受信時間差を定義する、事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)と比較する。
測定結果が事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)を超えていることを、図36のステップ2aの比較結果が示している場合、UEは、図36のステップ3aにさらに進む。測定結果が事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)を超えていないことを、比較結果が示している場合、UEは、アグリゲートされたダウンリンクのセル上の受信のタイミングがUEによる共同処理を可能にすると仮定し、図36のステップ3aを実行しない。
図36のステップ3aで、UEは、比較の結果、例えば、外部最大伝搬遅延時間差値を、好ましくはPセルのPUSCHを使用することによって、eNodeBに送信する。
追加的にまたは代替的に、図36のステップ3aで、UEは、測定の結果、すなわち、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)および/または受信送信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)を、任意選択でPセル上の受信送信時間の差(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)と一緒に、eNodeBに送信する。
上で説明したステップ2aおよび2bの代わりに、UEおよびeNodeBは、(代替策として図36では破線で示された)以下のステップも実行することができる。
図36のステップ2bでは、UEは、測定の結果、すなわち、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を、好ましくはPセルのPUSCHを使用することによって、eNodeBに送信する。
追加的にまたは代替的に、図36のステップ2bで、UEは、測定の結果としての受信送信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)を、任意選択でPセル上の受信送信時間の差(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)と一緒に、好ましくはPセルのPUSCHを使用することによって、eNodeBに送信する。特に、受信送信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)および(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)を送信する場合、UEは、基準セル(Pセル)のPUSCHを使用して、受信送信時間の差をまとめて送信することができる。
eNodeBは、図36のステップ3bで、測定結果を受信し、それを事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)と比較する。特に、eNodeBは、受信したダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を、UEのための最大受信時間差を定義する、最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)と比較する。
追加的にまたは代替的に、ステップ3bで、eNodeBは、測定された受信送信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)を、任意選択でPセル上の受信送信時間の差の測定値(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)と一緒に受信し、それらに基づいて、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を決定する。その後、eNodeBは、決定されたダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を、UEのための最大ダウンリンク受信時間差を定義する、最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)と比較する。
結果として、上述のステップ1、2a、および3a、または上述のステップ1、2b、および3bのどちらかを実行することによって、UEは、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル、すなわち、PセルおよびSセルのダウンリンクのタイミングに関する情報を、eNodeBに提供する。特に、eNodeBは、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル、すなわち、PセルおよびSセルのダウンリンクのタイミングが、UEのための事前に定義された最大伝搬遅延差(ΔmaxTprop)を超えたかどうかを示す情報を提供される。
以下では、上で説明した実施形態の変形およびさらなるステップが、図36に関連して提示される。
上で説明した実施形態では、モバイル端末によってアグリゲートされたサービング・セルのダウンリンクのタイミングに関する追加情報をeNodeBに提供するために、ダウンリンクのタイミングについてレポートするための手順が説明された。以下のより詳細な実施形態では、モバイル端末の再構成のために使用される、ダウンリンクのタイミングについてレポートする手順が説明される。
第1の変形によれば、図36のステップ4aで、eNodeBは、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル、すなわち、PセルおよびSセルのダウンリンクのタイミングが、事前に定義された最大伝搬遅延差を超えたことを検出したとき、Sセルの非アクティブ化メッセージをモバイル端末(UE)に送信することができる。いくつかの実施形態では、最大伝搬遅延差を超えるダウンリンクのタイミングは、モバイル端末が、アグリゲートされたサービング・セル(定義された最大値よりも大きな、基準セルと比較された相対的な伝搬遅延差を有するサービング・セル)のダウンリンク送信を正常に受信することを妨げるので、目標セル、すなわち、Sセルの非アクティブ化は、モバイル端末の不全を直ちに改善する。
別の変形では、図36のステップ4bで、eNodeBは、ダウンリンクのタイミングについてレポートするモバイル端末の受信のタイミングが、モバイル端末のための事前に定義された最大伝搬遅延時間差をもはや超えないように、目標セル、すなわち、Sセルのダウンリンクの時間を揃えることができる。
特に、eNodeBは、基準セル上のダウンリンクのサブフレームの送信の始まり(TDL_TX_PCell)と目標セル上の対応するダウンリンクのサブフレームの送信の始まり(TDL_TX_SCell)との間の送信時間の差が、モバイル端末によって測定されたダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)を反映するように、目標セル、すなわち、Sセル上のダウンリンク送信のタイミングを変更することができ、ダウンリンクのサブフレームは、同じサブフレーム番号を指す。具体的には、eNodeBが、基準セル、すなわち、Pセル上の対応するダウンリンク送信よりも早い、目標セル、すなわち、Sセル上のダウンリンク送信の時間を揃えることによって、eNodeBは、モバイル端末の伝搬遅延時間差を減少または除去することができる。この変形は、図27に示されるのと同様のサービング・セルのタイミングをもたらすことができる。
最大伝搬遅延時間差
上述の実施形態においては、最大伝搬遅延差がどのように設定されるのかは、触れられなかった。最大伝搬遅延差値は、単に、モバイル端末のために事前に定義された値、またはモバイル端末を含むモバイル通信システムのために事前に定義された値として説明されている。
特定の変形では、最大伝搬遅延差は、異なるアグリゲートされたサービング・セルを介して受信するダウンリンクのサブフレームのどの共同処理がもはや可能または実用的ではないかにしたがって、システム制約から導出することができる。モバイル通信システムにおいて大きな伝搬遅延差を仮定すると、すべてのアグリゲートされたダウンリンクのサービング・セルからの正常な受信の後、アップリンク送信だけが可能であるので、モバイル端末の応答挙動も悪化する。
さらに、最大伝搬遅延時間差は、別の変形によれば、サービング・セルのアグリゲーションのためのサービスに固有の受信のタイミング要件を満たすために、システム・プロバイダによって動的に導出することができる。さらに、制約された最大伝搬遅延時間差を事前に定義することによって、サービス・プロバイダは、モバイル端末が遠く離れたサービング・セルをアグリゲートするのを防止することができる。
また別の変形によれば、最大伝搬遅延差は、モバイル端末(UE)制約から導出することができる。特に、モバイル端末は、アグリゲートされたサービング・セル、すなわち、PセルおよびSセル上の対応するダウンリンクのサブフレームのための受信時間窓(受信機窓)を含む。受信時間窓(受信機窓)は、モバイル端末による処理のために、アグリゲートされたサービング・セルの間の相対的な時間差の間、サービング・セルのデータを一時的に記憶するための受信バッファに対応する受信バッファの記憶量は経済的な理由で制限されるので、最大伝搬遅延時間差は、受信時間窓(受信機窓)を反映するように事前に定義することができる。1つの実施形態によれば、最大伝搬遅延差は、受信窓のサイズに等しくなるように設定することができ、すなわち、Rel−10の3GPPでは、UEは、31.3μsecの相対的な伝搬遅延差に対処できる受信窓をサポートしなければならない。しかし、ある変形では、最大伝搬遅延差は、サポートされるUEの受信窓のサイズよりも低い値、すなわち、UEの受信窓のサイズの90%に設定することもできる。この場合、UEは、相対的な伝搬遅延差がUEの受信機要件(UEの受信窓)を実際に超える前に、eNodeBに警告することができ、それによって、大きな伝搬遅延差のせいで、UEがサービング・セルのデータを復号できない状況を回避する。
本発明の1つの実施形態によれば、eNodeBは、比較目的でモバイル端末によって使用される最大伝搬遅延差を設定し、すなわち、RRCシグナリングが、最大伝搬遅延差値の設定のために使用される。
UEによるダウンリンクのタイミングについてのレポートのステップのトリガ
上述の実施形態においては、UEが図36のステップ1の測定と、ステップ2aまたは2bのダウンリンクのタイミングについてのレポートとをいつ開始するのかは、触れられなかった。測定は、例えば、周期的に行われ得る。
レポート/シグナリングは、周期的にかまたはイベント・トリガ式にかのどちらかで実行され得る。
例えば、レポート手順の周期的なトリガは、モビリティまたは電力ヘッドルームまたはバッファ状態レポートのレポートと同様である可能性がある。周期的なレポートの利点は、eNodeBが、アグリゲートされたサービング・セル、すなわち、PセルおよびSセルのダウンリンクのタイミングが事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)を超えたかどうかをモバイル端末に対して示す最新の情報を受信することである。したがって、eNodeBは、超過的な、すなわち、事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)を超える、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)が、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル上のダウンリンク送信をモバイル端末が正常に処理することを妨げるかどうかを通知され、それにより、必要なときに、それに応じて直ちに反応することができる。
しかし、イベント・トリガ式のレポートも有益であり、例えば、事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)を超えるダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)のせいで、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル上のダウンリンク送信の処理が不成功にならないように、eNodeBが迅速に反応することを可能にするために必要である可能性がある。いくつかのイベントが、以下で説明される。
Sセルの構成が、ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートするための手順を開始するトリガとしてUEによって使用され得る。測定、比較、および任意選択でレポートは、構成されるおよび非アクティブ化されるSセルに関して1つの例示的な実施形態にしたがって行われる。ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートする場合、新しいSセルが構成されるときは、さらなる利点を有する。より詳細には、eNodeBは、超過的なダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)が、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル上のダウンリンク送信をモバイル端末が正常に処理することを妨げるかどうかを、Sセルのアクティブ化の前に調べるための機会を有する。したがって、Sセルがアクティブ化されるとき、eNodeBは、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル上のダウンリンク送信をモバイル端末が正常に処理可能であることを仮定することができる。
代替的に、Sセルのアクティブ化が、ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートするための手順を開始するトリガとしてUEによって使用され得る。アクティブ化をトリガとして使用することの利点は、eNodeBがSセルをアクティブ化するとき、eNodeBはSセル上の送信をスケジューリングすることも意図することである。さらに、eNodeBが、Sセルのアクティブ化を通して、測定、比較、および任意選択でレポートをトリガすることによって、eNodeBは、超過的なダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)が、アグリゲートされたダウンリンクのサービング・セル上のダウンリンク送信をモバイル端末が正常に処理することを妨げるかどうかを、Sセル上でダウンリンクのデータを送信する前に調べるための機会を有する。
トリガとして使用されるべき別のオプションは、モバイル端末が、ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートするための手順を開始する特定の要求をeNodeBから受信することである。これは、ダウンリンクのタイミングについてのレポートが必要か否かをeNodeBが事例ごとに判断することを可能にする。eNodeBからモバイル端末にこの要求をどのように送信するかのいくつかの可能性が、存在する。例えば、Sセルを構成するRRCメッセージ、例えば、RRCコネクション再構成メッセージ内のフラグが、測定結果のレポートを明示的に要求し得る。
あるいは、図20に示されるアクティブ化/非アクティブ化コマンド(MAC CE)が、レポート手順の必要性を明示的に示すフラグを含み得る、すなわち、eNodeBが、ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートするための手順の開始を明示的に要求する。フラグは、アクティブ化/非アクティブ化MAC制御要素内の空いている「予約されたビット」を使用することによってシグナリングされ得る。既にアクティブ化されたSセルのアクティブ化がサポートされる(再アクティブ化とも呼ばれる)ので、アクティブ化/非アクティブ化MAC制御要素が、Sセルのうちのいずれを実際にアクティブ化または非アクティブ化することも必要とせずに、いつでもeNodeBによって送信され得る。
別の可能性は、物理レイヤのシグナリング(DCIフォーマット1Aを用いたPDCCH)である、いわゆる「RACH命令」メッセージを使用することである。1つの実施形態によれば、RACH命令そのものが使用され、すなわち、Sセル上にRACHを作成するよう要求されているモバイル端末は、モバイル端末によって異なって、すなわち、ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートするための手順を開始するように解釈され得る。代替的に、Sセルに関するRACH命令内のいくつかの事前に定義された符号点またはフィールド符号点の組み合わせが、レポートの要求として使用され得る。例えば、「000000」に設定されたra−PreambleIndexを有する(すなわち、通常、UEがコンテンション・ベースのRACHを行うべきであることを示す)Sセルに関するRACH命令が、レポートを要求するように再定義され得る。あるいは、クロス・スケジューリングの場合のための事前に定義されたキャリア・インジケータ(CI)符号点が、要求として使用され得る。利点は、モバイル端末が測定結果および/または比較結果を送信することになるアップリンクのリソース割り当てが、測定、比較、および/またはレポートの要求と一緒に送信可能であり、したがって、レポートの遅延を削減することである。
ダウンリンクのタイミングについてeNodeBにレポートするための別のトリガ・イベントは、モバイル端末によって実行された測定結果が、ある事前に設定された限界、すなわち、最大伝搬遅延時間差を超えたこととすることができる。これは、eNodeBが、PセルとSセルの間のダウンリンクの受信時間の差が、ある事前に設定された限界を超えたことが分からない場合に特に有益である。eNodeBは、例えば、OAM(リピータまたはRRHの存在のようなセルの配置情報を通常提供する運用・管理・保守)からの十分な知識を常に持っているとは限らず、eNodeBは、異なる送信点(eNodeB、リピータ、もしくはRRH)の間のクロック・ドリフト、またはフェージングなどのチャネル効果も分からない。
測定結果のレポート
モバイル端末は、測定を行った後、結果をeNodeBに送信することができる。既に説明されたように、測定値は、ダウンリンクの受信時間の差ΔSCell−PCellRxDL、またはPセルとSセルの間の受信送信時間の差ΔSCell−PCellRxDL−TxULおよび任意選択でPセル上の受信送信時間の差(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)を指す可能性がある。
レポートそのものは、原理上いくつかのレイヤ、例えば、RRCレイヤまたはMACレイヤで実装され得る。モビリティまたは位置の測定のようなその他の測定も、RRCレイヤでシグナリングされる。1つの実施形態によれば、タイミング測定値ΔSCell−PCellRxDL、またはΔSCell−PCellRxDL−TxULおよび任意選択でPセル上の受信送信時間の差は、RRCレイヤ上、すなわち、RRCシグナリングでレポートされる。受信/送信のタイミングの測定に加えて、UEは、改善されたネットワーク動作を可能にするために、レポート・ロケーション情報もレポートすることができる。他のタイミング・コマンドはMACレイヤによって生成されるので、ダウンリンクのタイミングについてのレポートもMACレイヤで実装することが、実装の観点から有益である可能性がある。
図29および30は、モバイル端末からeNodeBに測定結果を送信するために使用され得るMAC制御要素のフォーマットを示す。明らかなように、このMAC CEの構造は、拡張電力ヘッドルームMAC CEと同様である。サイズは、構成される、または構成およびアクティブ化されるSセルの数、すなわち、測定およびレポートが実行されるべきSセルの数に依存する。より詳細には、図29は、Pセルとすべての利用可能なSセル1〜nとの間のダウンリンクの受信時間の差を送信するためのMAC制御要素を示す。
一方、図30は、Pセルとすべての利用可能なSセル1〜nとの間の受信送信時間の差を送信するためのMAC制御要素を示す。MAC制御要素は、追加的にPセル上の受信送信時間の差(ΔPCell−PCellRxDL−TxUL)を含むことができる。代替的に、TUL_TX_PCellとTDL_RX_PCellの間の時間はTAPCellに対応し、したがって、実際はeNodeBによって知られているはずなので、代替的な実施形態においては、この情報は、eNodeBにレポートされてはならない。
すべてのSセルに関するダウンリンクの送信時間の差および受信送信時間の差をレポートする代わりに、モバイル端末は、最大伝搬遅延差を超えた特定のSセルに関するダウンリンクの送信時間の差および受信送信時間の差だけをレポートすることができる。
さらに、時間差は、符号化され、サンプル数で示される可能性があり、すなわち、モバイルが、特定のサンプル数をレポートし、次いで、eNodeBが、サンプル数およびサンプルの時間を用いて実際の時間差を導出する可能性がある。
既に前に述べられたように、測定結果は、Pセルの物理アップリンク共有チャネル、PUSCH上で送信されることが好ましい。しかし、測定結果をSセル上でレポートすることも可能である。
比較結果のレポート
UEは、比較を実行した後、比較の結果、すなわち、外部最大伝搬遅延時間差値をeNodeBに送信する。前に説明されたように、比較は、ダウンリンクの受信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL)、またはPセルとSセルの間の受信送信時間の差(ΔSCell−PCellRxDL−TxUL)、および事前に定義された最大伝搬遅延時間差(ΔmaxTprop)に関連することができる。
レポートそのものは、原理上、例えば、事前に定義された電力ヘッドルーム・レポートPHR値、または事前に定義されたチャネル状態情報CSI値など、事前に定義された値を用い、異なるシグナリング・レイヤを使用して実装され得る。最初の場合、事前に定義されたPHR値を使用するレポートは、レポートが実行されるSセル上のアップリンクでUEが構成されることを必要とする。後者の場合、事前に定義されたCSI値を使用するレポートは、Sセル上のアップリンクでUEが構成されることを必要としない。
例えば、モバイル端末は、コンポーネント・キャリアまたはサービング・セルが、基準セルに対する伝搬遅延差、すなわち、いわゆる仮想PHRを有することを事前に定義された符号点を用いて示すために、事前に定義されたPHR値を使用することができる。仮想PHRは、対応するサブフレーム内にアップリンクのリソース割り当て、すなわち、PUSCH/PUCCH送信を有さないサービング・セルのために、電力ヘッドルームが計算される状況に関連する。そのような状況では、事前に定義されたPUSCH/PUCCHリソース割り当てが、電力ヘッドルームの計算のために使用される。仮想PHRの1つの特徴は、それが負になり得ないことである。言い換えると、事前に定義されたPUSCH/PUCCHリソース割り当て、すなわち1RB割り当てのために、仮定されるPUSCH/PUCCHは、コンポーネント・キャリアの最大送信電力を決して超えることはない。したがって、負の値(負のdB値)を表している仮想PHRの符号点は、割り当てられず、したがって、他のシグナリング目的に再利用することができる。
本発明の1つの変形によれば、モバイル端末は、サービング・セルに関して、基準セルに対する伝搬遅延差が、事前に定義された最大伝搬遅延差を超えたことをeNodeBにレポートするために、負の値を示す仮想PHRの事前に定義された符号点を使用する。
事前に定義されたPHR値、すなわち、より具体的には、仮想PHRの事前に定義された符号点を使用するのと同様に、別の変形では、モバイル端末(UE)は、UEの受信機窓の外で受信された、すなわち、基準セルに対する伝搬遅延差が最大値を超えているサービング・セルについてeNodeBに通知するために、CSIレポートの事前に定義された符号点を使用する。
本発明のさらなる変形では、モバイル端末(UE)は、UEの受信機窓の外で受信されたコンポーネント・キャリアについて、特定のCQI符号点を使用して、「範囲外」をレポートする。
また別の変形では、モバイル端末は、CQIに関して「最大伝搬遅延差を超えたこと」、例えば、「範囲外」を示すために、1よりも大きなランクを示すランク・インジケータと組み合わせた、CSI符号点の組み合わせを使用する。CSI符号点の他の組み合わせも可能である。
既に前に述べられたように、測定結果は、好ましくは、Pセルの物理アップリンク共有チャネルPUSCH上で送信される。
UEの受信機窓の外でサービング・セルが受信されたときのUEの挙動
本発明の別のより詳細な実施形態によれば、サービング・セルがUEの受信機窓内で受信されない、すなわち、基準セルに対する伝搬遅延差が大きすぎて、UEの受信機窓の長さを超えている事実が原因で、アグリゲートされたサービング・セルのデータが正しく復号できない場合の、UEの挙動が説明される。
上で述べられたシグナリング手段、例えば、タイミング測定値のレポート、または特別なCSIもしくはPHR符号点は、あるアグリゲートされたサービング・セルが受信機窓内で受信されない状況を回避するために主に使用されるとしても、そのようなシグナリングは、サービング・セルの伝搬遅延差が既にUEの受信機窓を超えており、したがって、UEによって正しく復号することはできないことを、eNodeBに示すためにも使用できることに留意されたい。
それに加えて、または代替的に、本発明のさらなるより詳細な実施形態によれば、UEは、関連付けられたダウンリンクのセルがUEの受信機窓の外で受信されるアップリンクのセル上で、PUSCHおよび/またはSRSを送信することを停止する。基準セルに対するサービング・セルの伝搬遅延差が、サポートされるUEの受信機窓の長さを超えていることが、eNodeBには分からないことがあるので、eNodeBは、それに対応するアップリンクのセル上でアップリンク送信を依然としてスケジュールすることがあり、例えば、アップリンク送信は、その後、モバイルから受信され得る別のサービング・セルからスケジュールされることがあり得る(クロス・キャリア・スケジューリング)。
本発明のこの実施形態によれば、UEは、UEの受信機窓の外で受信されるサービング・セルのために受信されたアップリンク許可を無視する。eNodeBは、サービング・セル/コンポーネント・キャリア上にスケジュールされたPUSCH送信がないことを検出することができ、このサービング・セルが問題を有する可能性があることを認識する。
同様に、モバイル端末は、受信機窓の外で受信されるセル上の周期的なSRSの送信を停止する。UEは、(タイミングのせいで)ダウンリンクのセルからのデータを正しく復号できないことがあり、モバイル端末が、対応するアップリンクのセル上のアップリンク送信のためのタイミング基準セルとして、および/またはアップリンクの電力制御のための経路損失基準として、このダウンリンクのセルを使用することも可能ではない。
本発明のハードウェアおよびソフトウェアの実装
本発明の別の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを用いた上述のさまざまな実施形態の実装に関する。これに関連して、本発明は、ユーザ機器(モバイル端末)およびeNodeB(基地局)を提供する。ユーザ機器は、本明細書に記載の方法を実行するように適合される。さらに、eNodeBは、eNodeBがユーザ機器から受信される電力状態情報からそれぞれのユーザ機器の電力状態を判定し、そのeNodeBのスケジューラによる異なるユーザ機器のスケジューリングにおいて異なるユーザ機器の電力状態を考慮することを可能にする手段を含む。
本発明のさまざまな実施形態は、コンピューティング・デバイス(プロセッサ)を用いて実装または実行され得ることがさらに認識される。コンピューティング・デバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、またはその他のプログラマブル・ロジック・デバイスなどである可能性がある。本発明のさまざまな実施形態は、これらのデバイスの組み合わせによって実行または具現化される可能性もある。
さらに、本発明のさまざまな実施形態は、プロセッサによって、またはハードウェアで直接実行されるソフトウェア・モジュールによって実装される可能性もある。ソフトウェア・モジュールとハードウェアの実装の組み合わせも、あり得る可能性がある。ソフトウェア・モジュールは、任意の種類のコンピュータ可読ストレージ媒体、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、レジスタ、ハード・ディスク、CD−ROM、DVDなどに記憶され得る。
本発明の異なる実施形態の個々の特徴は、個々にまたは任意の組み合わせで、別の発明の主題になり得ることにさらに留意されたい。
幅広く説明された本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく、特定の実施形態に示された本発明に対して多くの変更および/または修正がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、これらの実施形態は完全に例示的であると見なされるべきであり、限定的であると見なされるべきでない。