以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1を用いて下りリンクの協調マルチポイント(CoMP)送信について説明する。下りリンクのCoMP送信としては、Coordinated Scheduling/Coordinated Beamforming(CS/CB)と、Joint processingとがある。CS/CBは、1つのユーザ端末UEに対して1つの送受信ポイント(又は、無線基地局、セル)からのみ共有データチャネル(PDSCH(Physical Downlink Shared Channel))を送信する方法であり、図1Aに示すように、他の送受信ポイントからの干渉や他の送受信ポイントへの干渉を考慮して周波数/空間領域における無線リソースの割り当てを行う。
一方、Joint processingは、プリコーディングを適用して複数の送受信ポイントから同時に共有データチャネルを送信する方法であり、図1Bに示すように、1つのユーザ端末UEに対して複数の送受信ポイントから共有データチャネルを送信するJoint transmission(JT)と、図1Cに示すように、瞬時に1つの送受信ポイントを選択し共有データチャネルを送信するDynamic Point Selection(DPS)とがある。また、干渉となる送受信ポイントに対して一定領域のデータ送信を停止するDynamic Point Blanking(DPB)という送信形態もある。
CoMP送信は、セル端に存在するユーザ端末UEのスループットを改善するために適用される。このため、CoMP送信は、ユーザ端末UEがセル端に存在する場合に適用するように制御される。この場合、無線基地局で、ユーザ端末UEからのセルごとの品質情報(例えば、RSRP(Reference Signal Received Power))、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、又はSINR(Signal Interference plus Noise Ratio)等の差を求め、その差が閾値以下である場合、すなわちセル間の品質差が小さい場合には、ユーザ端末UEがセル端に存在すると判断して、CoMP送信を適用する。
CoMP送受信を適用する環境としては、例えば、無線基地局(無線基地局eNB)に対して光ファイバ等で接続された複数の遠隔無線装置(RRE:Remote Radio Equipment)とを含む構成(RRE構成に基づく集中制御)と、無線基地局(無線基地局eNB)の構成(独立基地局構成に基づく自律分散制御)とがある。
CoMP送受信を適用する場合には、ユーザ端末UEに対して下りリンク信号(下り制御信号、下りデータ信号、同期信号、参照信号等)が複数の送信ポイント又は特定の送信ポイントから送信される。下りリンク信号を受信したユーザ端末UEは、例えば、参照信号(セル固有参照信号(CRS:Cell specific Reference Signal)、ユーザ固有の復調用参照信号(DM−RS:Demodulation Reference Signal)、チャネル状態測定用参照信号(CSI−RS:Channel State Information Reference Signal)等)を用いて受信処理を行う。ユーザ端末UEが行う受信処理としては、例えば、チャネル推定、同期処理、復調処理、フィードバック情報(CSI)生成処理等の信号処理等がある。
ところで、LTE−Aが適用される無線ネットワーク構成として、図2に示すように、マクロセルMのエリア上に多数のスモールセルSが配置されるヘテロジーニアスネットワーク構成が検討されている。例えば、ヘテロジーニアスネットワークにおいては、既存の周波数(例えば、2GHzや800MHz)を用いるマクロセルMのエリア上に、マクロセルMと異なる周波数(例えば、3.5GHz)を用いるスモールセルSがオーバーレイされる。LTE Rel.12においては、このようなスモールセルSの密度を更に増大することが検討されている(SCE:Small Cell Enhancement)。例えば、単一のマクロセルMに対して数百個程度のスモールセルSを配置することが検討されている。
図2に示すように、マクロセルMのエリア上にスモールセルSが密に配置されるネットワークにおいては、ユーザ端末UEに対して、スモールセルS間でCoMP送信を行うことが想定される。この場合、ユーザ端末UEは、複数のスモールセルSをシームレスに利用することにより、高いスループットを安定して実現することが可能となる。
しかしながら、複数のスモールセルSが光張り出しで集中制御されている場合は、スモールセルS間を同期させることができるが、一般には複数のスモールセルS間は非同期が前提となる。スモールセルS間が非同期のままでは、スモールセルS間でのCoMP送信は困難である。したがって、このようなスモールセルS間でのCoMP送信を実現するには、これらのスモールセルS間で時間同期及び周波数同期を確保することが必要となる。
本発明者は、マクロセルMのエリア上にスモールセルSが密に配置されるネットワーク構成においては、スモールセルSが、マクロセルM、周辺スモールセルS又はユーザ端末UEのいずれかを用いて無線信号から得られた同期に関連する情報を送受信することでスモールセルS間の同期ずれを推定するとともに、推定した同期ずれ情報に基づいて段階的又は一度に同期の補正を行うことで、スモールセルS間の同期が実現することに着目し、本発明に想到した。すなわち、本発明は、マクロセルM、周辺スモールセルS又はユーザ端末UEのいずれかを用いて無線信号から得られた同期に関連する情報を送受信することでスモールセルS間の同期ずれを推定するとともに、推定した同期ずれ情報に基づいてスモールセルS間の同期の補正を実行するものである。
一般に、同期処理には、通信の最初に同期状態を確立するまでの処理である「同期捕捉(acquisition)」処理」と、同期確立後にその同期状態が変調や雑音の状態で失われないように監視し続ける処理である「同期追跡(tracking)処理」とが含まれる。本明細書において、「同期」という場合は、特に説明をする場合を除き、「同期捕捉」及び「同期追跡」の一方又は双方を指すものとし、「同期処理」という場合は、「同期捕捉処理」及び「同期追跡処理」の一方又は双方を指すものとする。
以下に示す態様において、マクロセルMは、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波より抽出されたGPSクロックを利用した絶対同期(以下、GPS同期とも記す)を取ることができる。また、マクロセルMは、同期ずれ情報を集約して、各スモールセルSに同期補正量を通知することが可能である。
スモールセルSの一部は、GPSクロックを利用した絶対同期を取ることができる。また、スモールセルSの一部は、代表として同期ずれ情報を集約して、各スモールセルSに同期補正量を通知することが可能である。さらに、スモールセルSは、ユーザ端末UEモードとして、ユーザ端末UEの一部又はすべての機能を実行することが可能である。
一部又はすべてのユーザ端末UEは、GPSクロックを利用した絶対同期を取ることができる。また、ユーザ端末UEは、スモールセルSに接続可能であるとともに、マクロセルMに接続可能であってもよい。あるいは、ユーザ端末UEは、スモールセルSとマクロセルMの双方に接続可能であってもよい。
(第1の態様)
第1の態様では、「Macro assisted」として、図3Aに示すようなマクロセルMとスモールセルS群(S#1〜S#n)において、スモールセルSが、マクロセルMから送信された無線信号を受信して、この信号を基準にスモールセルS間の同期を実現する。
以下に、図4を参照して、Macro assistedの一例として、スモールセルSが、マクロセルMから送信された無線信号を受信して、この信号を基準にスモールセルS間の同期を実現する場合について説明する。
まず、マクロセルMは、スモールセルSに対して無線信号である同期用信号を送信する(ステップS101)。そして、スモールセルSは、受信した同期用信号に応じて、同期の補正を行う(ステップS102)。ステップS102を実行することにより、マクロセルMに対してスモールセルSが同期する。各スモールセルS(S#1〜S#n)に対してステップS101,S102を実行することにより、スモールセルS間の同期が確立される。
スモールセルSが、マクロセルMからの同期用信号を受信するために必要な情報(例えば、セルIDなど)を知らない場合には、スモールセルSからマクロセルMに対して事前に情報を要求することにより、事前情報を取得することができる。この場合には、例えば、スモールセルSがセルサーチを行うことによりマクロセルMのセルIDを発見する構成が適用できる。これにより、誤りなく同期用信号を受信することが可能となる。
あるいは、あらかじめマクロセルMからスモールセルSに、事前情報を通知することができる。この場合には、例えば、バックホール回線を用いて通知する構成が適用できる。これにより、誤りなく同期用信号を受信することが可能となる。
同期用信号としては、PSS/SSS(PSS:Primary Synchronization Signal,SSS:Secondary Synchronization Signal),CRS,CSI−RS,DM−RS,PRS(Positioning Reference Signal),SRS(Sounding Reference Signal)などの既存の信号を用いることもできるし、又は、新たに規定した信号を用いることもできる。新たに規定した信号としては、例えば、既存の信号を任意のサブフレーム間隔で多重した信号や、ディスカバリ信号(Discovery Signal)などを用いることができる。
ディスカバリ信号は、ローカルエリア用の無線通信方式の下りリンクにおいて定義される信号であり、ユーザ端末UEによるスモールセルSの検出に用いられる検出信号である。なお、ディスカバリ信号は、例えば、PDCH(Physical Discovery Channel),BS(Beacon Signal),DPS(Discovery Pilot Signal)などと呼ばれてもよい。
なお、ディスカバリ信号には、以下のような特徴を持つ信号を用いることができる。ディスカバリ信号は、以下に示す(a)から(e)のいずれかの信号で構成してもよいし、(a)から(e)の信号を任意に組み合わせて構成してもよい。
(a)LTE(Rel.8)で規定される同期信号(PSS,SSS)を用いることができる。
(b)LTE(Rel.8)で規定される同期信号と同一の系列を用いて、時間/周波数方向に異なる位置で多重した信号を用いることができる。例えば、PSSとSSSを異なるスロットに多重した信号を用いることができる。
(c)スモールセルを選択するために新たに規定したディスカバリ信号を用いる。例えば、LTE(Rel.8)で規定される同期信号(PSS,SSS)に比較して、送信周期を長くする、送信単位当りの無線リソース量を大きくする、といった特徴を有する信号を用いる。
(d)LTE−A(Rel.10)で規定されている既存の参照信号(CSI−RS,CRS,DM−RS,PRS,SRS)を用いることができる。または、既存の参照信号の一部(例えば、1portのCRSを5[msec]周期で送信するような信号)を用いてもよい。
(e)LTE−A(Rel.10)で規定されている既存の参照信号(CSI−RS,CRS,DM−RS,PRS,SRS)と同様の多重位置に多重される信号であるが、スクランブル系列などの信号生成方法が異なる信号を用いることができる。
スモールセルSにおける同期の補正に、マクロセルMからの無線信号、あるいはマクロセルMの同期情報を用いる場合、伝搬遅延の影響によりスモールセルS間で時間同期ずれが発生する可能性がある。しかし、図2に示すようなマクロセルMのエリア上にスモールセルSが密に配置されるネットワーク構成において、隣接するスモールセルS間ではマクロセルMとの伝搬遅延は近い値となるため、伝搬遅延の影響を低減することが可能である。例えば、伝搬遅延は、100mで0.33[μs]程度である。スモールセルS間のCoMPを行う場合、協調セルは隣接していると想定されるため、CoMPの観点では伝搬遅延の影響は小さい。
第1の態様に係る無線通信システムにおいて、さらに同期管理サーバを備える構成とすることができる。同期管理サーバは、マクロセルM又はスモールセルSからアクセス可能であるとともに、同期ずれ情報を集約して、各スモールセルSに同期補正量を通知することが可能である。
以下に、図5を参照して、Macro assistedの一例として、同期管理サーバを備える構成を適用した場合において、スモールセルSが、マクロセルMから送信された無線信号を受信して、この信号を基準にスモールセルS間の同期を実現する場合について説明する。
まず、マクロセルMは、スモールセルSに対して無線信号である同期用信号を送信する(ステップS111)。スモールセルSは、受信した同期用信号から同期ずれを推定し(ステップS112)、同期管理サーバに対して有線を用いて同期ずれ情報を報告する(ステップS113)。同期管理サーバは、報告された同期ずれ情報から同期補正量を決定し(ステップS114)、同期補正量をスモールセルSに対して有線を用いて通知する(ステップS115)。そして、スモールセルSは、受信した同期補正量に応じて、同期の補正を行う(ステップS116)。ステップS116を実行することにより、マクロセルMに対してスモールセルSが同期する。
同期管理サーバを備えることにより、同期管理サーバに同期ずれ情報を集約して、同期状態を管理することが可能となる。
このように、第1の態様に係るスモールセル間の同期方法によれば、スモールセルSは、マクロセルMから送信された無線信号を受信して、この信号を基準にスモールセルS間の同期を実現する。これにより、ユーザ端末UEに対して、スモールセルS間でCoMP送信を実現するための、スモールセルS間での時間同期及び周波数同期を確保することが可能となる。
(第2の態様)
第2の態様では、「UE assisted autonomous」として、図3Bに示すようなマクロセルM、スモールセルS群(S#1〜S#n)及びユーザ端末UEにおいて、ユーザ端末UEが自律分散的にスモールセルS間の同期を補助することで、スモールセルS間の同期を実現する。
以下に、図6を参照して、UE assisted autonomousの一例として、ユーザ端末UEがスモールセルSの同期信号を用いて同期ずれを報告する場合について説明する。
まず、スモールセルSは、ユーザ端末UEに同期用信号を送信する(ステップS121)。同期用信号は、第1の態様における同期用信号と同一のものを使用できる。
なお、ステップS121を実行する前に、マクロセルM又はスモールセルSから、ユーザ端末UEに対して、ステップS122において同期ずれを推定する対象セルを指示する信号を、ハイヤレイヤシグナリングなどを用いて送信しておいてもよい。これにより、同期ずれを推定する対象セルを指定することが可能となる。
また、ステップS121において、マクロセルM又はスモールセルSから、ユーザ端末UEに対して、スモールセルSがGPS同期しているか否かという情報を、ハイヤレイヤシグナリングなどを用いて送信しておいてもよい。これにより、絶対同期が取れているスモールセルSの情報を、ユーザ端末UEに伝えることが可能となる。
続いて、同期用信号を受信したユーザ端末UEは、周辺スモールセルSとの時間・周波数ずれ(同期ずれ)を推定する(ステップS122)。時間・周波数ずれを推定する対象セルは、ユーザ端末UEが同期用信号を受信できるすべてのスモールセルSであってもよいし、あらかじめ指定されたスモールセルS(群)であってもよい。または、対象セルとして、同期用信号の受信品質の高い上位セルを、ユーザ端末UE側で任意に選択してもよい。
続いて、ユーザ端末UEは、同期ずれ情報を接続中のスモールセルS又はマクロセルMに報告する(ステップS123a,S123b)。ユーザ端末UEから同期ずれ情報を受信したスモールセルSは、同期ずれ情報に含まれるセルIDを有する他のスモールセルSに対して、受信した同期ずれ情報の一部又は全部を転送することができる。また、ユーザ端末UEから同期ずれ情報を受信したマクロセルMが、報告された同期ずれ情報から同期補正量を決定し、各スモールセルSへ同期補正量を送信する構成としてもよい。
そして、同期ずれ情報又は同期補正量を受信したスモールセルSは、この情報に基づいて同期の補正を行う(ステップS124)。各ユーザ端末UEが、上記ステップS122,S123a(S123b)を実行することにより、スモールセルS間の同期が確立される。
なお、第2の態様に係る無線通信システムにおいて、さらに同期管理サーバを備える構成とすることができる。この場合、ステップS123a,S123bにおいて、ユーザ端末UEは、同期ずれ情報を同期管理サーバに報告してもよい。そして、報告を受信した同期管理サーバは、報告された同期ずれ情報から同期補正量を決定し、各スモールセルSへ同期補正量を送信する構成としてもよい。
以下に、図7を参照して、UE assisted autonomousの一例として、ユーザ端末UEがスモールセルSにRACH(Random Access Channel)信号を送信し、スモールセルSがこのRACH情報に基づいて同期ずれを補正する場合について説明する。
まず、マクロセルMと同期したユーザ端末UEが、マクロセルMのタイミングに基づいてスモールセルSに対してRACH信号を送信する(ステップS131)。あるいは、GPS同期しているユーザ端末UEが、GPSクロックに基づいてRACH信号を送信する(ステップS131)。
なお、RACHの衝突を避けるために、あらかじめマクロセルM又はスモールセルSからユーザ端末UEに対してRACHに用いるpreamble番号を通知することができる。あるいは、ユーザ端末UEがpreamble番号を選択しておいてもよい。
また、ユーザ端末UEがGPS同期している場合には、あらかじめスモールセルSに対してGPS同期している旨を通知しておいてもよい。
そして、スモールセルSは、受信したRACH情報に基づいて、同期ずれを補正する(ステップS132)。スモールセルSは、例えば、複数のユーザ端末UEから送信されたRACH情報を用いて平均的な同期ずれを推定することができる。あるいは、スモールセルSは、RACHの受信タイミングや受信品質などを参照してスモールセルS近傍のユーザ端末UEを推定し、そのユーザ端末UEからのRACH情報に基づいて同期ずれを推定することができる。各スモールセルSにおいて上記ステップS132を実行することにより、スモールセルS間の同期が確立される。
以下、図8を参照して、UE assisted autonomousの一例として、マクロセルMと同期又はGPS同期しているユーザ端末UEが、スモールセルSの同期信号を用いて同期ずれを報告する場合について説明する。
まず、スモールセルSは、ユーザ端末UEに同期用信号を送信する(ステップS141)。
続いて、マクロセルMと同期したユーザ端末UEが、受信した同期用信号を用いて、マクロセルM−スモールセルS間の同期ずれを推定する(ステップS142)。あるいは、GPS同期しているユーザ端末UEが、受信した同期用信号を用いて、マクロセルM−スモールセルS間の同期ずれを推定する(ステップS142)。
同期ずれを推定するユーザ端末UEは、同期用信号が受信できるすべてのユーザ端末UEであってもよいし、あらかじめ指定されたユーザ端末UE(群)であってもよい。または、同期ずれを推定するユーザ端末UEとして、同期用信号の受信品質の高い上位ユーザ端末UEを、スモールセルS側で任意に選択し、ユーザ端末UEに通知してもよい。なお、ユーザ端末UEの受信品質は、スモールセルSがユーザ端末UEの上り参照信号を用いて推定できる。また、ユーザ端末UEからスモールセルSに対して、ユーザ端末UEの受信品質を通知してもよい。
続いて、ユーザ端末UEは、同期ずれ情報を接続中のスモールセルSに報告する(ステップS143a)。あるいは、ユーザ端末UEは、同期ずれ情報をマクロセルMを経由してスモールセルSに報告する(ステップS143b)。
そして、同期ずれ情報を受信したスモールセルSは、この情報に基づいて同期の補正を行う(ステップS144)。各スモールセルSが、上記ステップS141,S144を実行することにより、ユーザ端末UEとマクロセルMとの同期、あるいは、ユーザ端末UEのGPSクロックによる絶対同期を介してスモールセルS間の同期が確立される。
なお、上記ステップS143a,S143bにおいて、ユーザ端末UEは、同期ずれ情報を同期管理サーバに報告してもよい。そして、報告を受信した同期管理サーバは、報告された同期ずれ情報から同期補正量を決定し、各スモールセルSへ同期補正量を送信する構成としてもよい。
このように、第2の態様に係るスモールセル間の同期方法によれば、ユーザ端末UEが自律分散的にスモールセルS間の同期を補助することで、スモールセルS間の同期を実現する。これにより、ユーザ端末UEに対して、スモールセルS間でCoMP送信を実現するための、スモールセルS間での時間同期及び周波数同期を確保することが可能となる。
(第3の態様)
第3の態様では、「スモールセル間連携」として、図3Cに示すようなスモールセルS群(S#1〜S#n)において、スモールセルS間で無線信号の送受信を行うことで、スモールセルS間の同期を実現する。
以下に、図9を参照して、スモールセル間連携の一例として、スモールセルS間で無線信号の送受信を行うことで、スモールセルS間の同期を実現する場合について説明する。
まず、スモールセルS#1は、隣接スモールセルS#2に対して無線信号である同期用信号を送信する(ステップS151)。同期用信号は、第1の態様における同期用信号と同一のものを使用できる。
ステップS151において、どのスモールセルSから、どのタイミング・リソースを使用して同期用信号を送信するかは各スモールセルSが決定することができる。あるいは、同期用信号を送信するスモールセルSを、マクロセルM又は同期管理サーバが決定して当該スモールセルSに通知してもよい。
また、同期用信号の送信は、定期的に行うことができる。あるいは、スモールセルSが、他のスモールセルSに直接要求することにより、当該他のスモールセルSから同期用信号の送信を行ってもよい。他にも、スモールセルSが、マクロセルM又は同期管理サーバに要求することにより、他のスモールセルSから同期用信号の送信を行ってもよい。
続いて、同期用信号を受信したスモールセルSは、同期用信号を用いて周囲のスモールセルSとの同期ずれを測定する(ステップS152)。
そして、同期用信号を受信したスモールセルSは、測定した同期ずれに基づいて、測定したスモールセル間との同期ずれが小さくなるように同期の補正を行う(ステップS153)。同期の補正は、例えば、複数のスモールセルSから送信された同期用信号を用いて平均的な同期ずれを推定して行うことができる。あるいは、同期の補正は、送信ポイント近傍のスモールセルSを推定し、そのスモールセルSからの同期用信号に基づいて行ってもよいし、あらかじめマクロセルM、他のスモールセルS又は指定されたスモールセルS(群)からの同期用信号のみを用いて行ってもよい。
また、複数のスモールセルSが同時に同期の補正を行う確立を下げるために、ランダムなタイミングや、セルごとにあらかじめ指定されたタイミングで同期の補正を行ってもよい。
さらに、同期用信号を受信したスモールセルSでは同期補正量を決定せずに、代表のスモールセルSやマクロセルM、又は同期管理サーバに同期ずれ情報を報告し、報告先で同期補正量を決定して各スモールセルSに当該同期補正量を通知し、各スモールセルSは通知された同期補正量に基づいて同期の補正を行う構成であってもよい。
上記ステップS151からS153をスモールセルS間で繰り返すことにより、スモールセルS間の同期が確立される。
第3の態様において、スモールセルSがユーザ端末UEとして動作することにより(ユーザ端末UEモード)、ユーザ端末UEの関与なしに、第2の態様において説明したUE assisted autonomousを実現してもよい。また、スモールセルSがユーザ端末UEとして動作することにより(ユーザ端末UEモード)、端末間通信(D2D通信)にて上述したディスカバリ信号を用いた端末発見処理(ディスカバリ処理)を行って、他のユーザ端末UEとして動作するスモールセルSとの間の同期を確立してもよい。
また、第3の態様において、同期用信号は、スモールセルSだけでなくユーザ端末UEにも送信してもよい。これにより、第3の態様において説明したスモールセル間連携と、第2の態様において説明したUE assisted autonomousとを組み合わせて、スモールセルS間の同期を確立してもよい。
このように、第3の態様に係るスモールセル間の同期方法によれば、スモールセルS間で無線信号の送受信を行うことで、スモールセルS間の同期を実現する。これにより、ユーザ端末UEに対して、スモールセルS間でCoMP送信を実現するための、スモールセルS間での時間同期及び周波数同期を確保することが可能となる。
第1の態様においてスモールセルSから同期管理サーバに報告される同期ずれ情報(ステップS113)、あるいは、第2の態様においてユーザ端末UEからマクロセルM、スモールセルSに報告される同期ずれ情報(ステップS123a,123b又はステップS143a,143b)は、以下に示す(a)から(h)のいずれかの情報、又は(a)から(h)の情報の任意の組み合わせにより構成される。
(a)同期ずれ推定を行ったユーザ端末UE又は対象スモールセルSの識別子(ID)の情報を用いることができる。
(b)同期ずれ推定を行ったユーザ端末UE又は対象スモールセルSがGPS同期などの絶対同期をしているか否かの情報を用いることができる。
(c)同期ずれ推定に用いた同期用信号送信元のユーザ端末UE又はスモールセルSの識別子(ID)の情報を用いることができる。
(d)同期ずれ推定に用いた同期用信号送信元のユーザ端末UE又はスモールセルSがGPS同期などの絶対同期をしているか否かの情報を用いることができる。
(e)RSRQ,SINRなどの同期用信号の無線品質の情報を用いることができる。
(f)同期ずれ推定結果として、絶対クロック・参照クロックを示す識別子の情報を用いることができる。例えば、GPSか否か、マクロセルMか否か、参照クロックを持つスモールセルSのセルIDのいずれか、又はこれらの任意の組み合わせを認識できる識別子を用いることができる。
(g)同期ずれ推定結果として、GPSクロックなどの絶対クロックの情報を用いることができる。
(h)同期ずれ推定結果として、参照クロックに対する同期ずれの情報を用いることができる。なお、参照クロックとは、例えば、GPS、マクロセルM、特定のスモールセルS、又は、同期情報受信者のいずれかのクロックを指す。さらに、同期ずれには、時間ずれと周波数ずれの両方、又はいずれか一方が含まれる。
また、上記同期ずれ情報を報告する際のシグナリング量の低減及び精度向上のために、スモールセルS又はユーザ端末UEは、以下に示す(a)から(g)のいずれかの制御、又は(a)から(g)を任意に組み合わせた制御を行うことができる。
(a)同期ずれ情報を報告する際に、報告ビット数を低減する制御を行うことができる。例えば、ラフ同期が前提(マクロ同期あるいはスモール間ラフ同期)であれば、報告に用いるビット数を低減することができる。なお、ラフ同期とは、周波数に関して数百Hz程度であり、時間に関してサブフレームないしフレームレベルでの同期を指す。
(b)同期ずれ情報の報告頻度を低減する制御を行うことができる。例えば、一度同期したスモールセルSが短時間で大幅に同期外れを起こすことはないため、検出した同期ずれの大きさを用いるなどして報告頻度を低減することができる。
(c)同期ずれ情報を報告するユーザ端末UE又はスモールセルSを、あらかじめ指定する制御を行うことができる。
(d)同期ずれ情報を報告するユーザ端末UE又はスモールセルSを、マクロセルM又はスモールセルSから指定する制御を行うことができる。
(e)同期ずれ情報を報告するユーザ端末UE又はスモールセルSを、報告先のユーザ端末UE又はスモールセルS周辺におけるスモールセルS又はユーザ端末UEから指定する制御を行うことができる。なお、報告先のユーザ端末UE又はスモールセルSの周辺か否かは、無線品質又は受信タイミングを用いて推定することができる。
(f)同期ずれ情報を報告するユーザ端末UE又はスモールセルSを、無線品質の高いユーザ端末UE又はスモールセルSから指定する制御を行うことができる。
(g)同期ずれ情報を報告するユーザ端末UE又はスモールセルSを、同期ずれが一定範囲以下のユーザ端末UE又はスモールセルSから指定する制御を行うことができる。
第1の態様ないし第3の態様において、同期ずれ情報の報告を受けた同期管理サーバは、同期ずれ情報に基づいて同期補正量を決定する。このとき、同期精度向上及び簡易化のために、同期管理サーバは、以下に示す(a)から(c)のいずれかの制御、又は(a)から(c)を任意に組み合わせた制御を行うことができる。
(a)同一スモールセルSについて一定時間内に複数報告を受信した場合には、無線品質が高い報告、同期ずれが小さい報告、報告値の平均値、絶対同期(GPS同期など)がとれた報告のいずれか、又は任意の組み合わせを選択することにより、同期補正量を決定することができる。
(b)同期ずれを一定時間分平均することにより、同期補正量を決定することができる。
(c)代表のスモールセルSやマクロセルM、又は同期管理サーバに同期ずれ情報を集約することにより、各スモールセルSの同期補正量を決定することができる。
第1の態様ないし第3の態様において、各スモールセルSは、同期の結果得られたスモールセルS間の同期精度を推定することができる。これにより、すべてのスモールセルSが所要精度で同期できていなくても、同期精度が一定以上のスモールセルS間でのみCoMPを行うことができる。
スモールセルS間の同期精度は、以下に示す(a)から(f)のいずれかの方法で推定してもよいし、(a)から(f)の方法を任意に組み合わせて構成してもよい。
(a)使用する同期方法により最低限達成される同期精度から、同期精度を推定する方法を用いることができる。
(b)無線信号を用いて同期する際に、一定時間内に同期情報を報告したユーザ端末UE又はスモールセルSの数から、同期精度を推定する方法を用いることができる。
(c)無線信号を用いて同期する際に、同期補正の頻度(例えば、最終同期からの経過時間など)から、同期精度を推定する方法を用いることができる。
(d)無線信号を用いて同期する際に、同期補正値の時間的変動(例えば、時間的分散など)から、同期精度を推定する方法を用いることができる。
(e)無線信号を用いて同期する際に、同期補正値の大きさから、同期精度を推定する方法を用いることができる。
(f)無線信号を用いて同期する際に、同期信号の無線品質から、同期精度を推定する方法を用いることができる。
(無線通信システム)
以下に、本実施の形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。図10は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。なお、図10に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステムあるいは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域幅を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーションが適用される。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれてもよいし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれてもよい。
図10に示す無線通信システム1は、第1セルとしてのマクロセルC1を形成する無線基地局21と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭い第2セルとしてのスモールセルC2を形成する無線基地局22a及び22bと、を備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末10が配置されている。ユーザ端末10は、無線基地局21及び無線基地局22の双方と無線通信可能に構成されている。
ユーザ端末10と無線基地局21との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が広いキャリア(既存キャリア(legacy carrier)などと呼ばれる)を用いて通信を行うことができる。一方、ユーザ端末10と無線基地局22との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHzなど)で帯域幅狭いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局21との間と同じキャリアが用いられてもよい。無線基地局21及び各無線基地局22は、有線接続又は無線接続されている。
無線基地局21及び各無線基地局22は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、各無線基地局22は、無線基地局21を介して上位局装置に接続されてもよい。
なお、無線基地局21は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB、無線基地局、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。また、無線基地局22は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、RRH(Remote Radio Head)、マイクロ基地局、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局21及び22を区別しない場合は、無線基地局20と総称する。各ユーザ端末10は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末(例えば、Rel.11以前のUE及びRel.12以降のUE)であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、図10に示す無線通信システムで用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末10で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、EPDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、EPDCCH(拡張PDCCH)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。EPDCCHは、PDSCHと周波数分割多重するように配置することができる。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末10で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
次に、図11を参照しながら、本実施の形態に係る無線基地局20(21と22a,22bを含む)の全体構成について説明する。
無線基地局20は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(送信部/受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。下りリンクにより無線基地局20からユーザ端末10に送信される送信データは、上位局装置30から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204(214)に入力される。
ベースバンド信号処理部204(214)において、下りデータチャネルの信号は、PDCPレイヤの処理、送信データの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT)処理、プリコーディング処理が行われる。また、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われる。
また、ベースバンド信号処理部204(214)は、報知チャネルにより、同一セルに接続するユーザ端末10に対して、各ユーザ端末10が無線基地局20との無線通信するための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅や、PRACH(Physical Random Access Channel)におけるランダムアクセスプリアンブルの信号を生成するためのルート系列の識別情報(Root Sequence Index)などが含まれる。
送受信部203は、ベースバンド信号処理部204(214)から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部202は周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201へ出力する。なお、送受信部203は、同期対象との間で同期を確保するための同期補正情報を各ユーザ端末10から受信する受信部、同期用信号を各ユーザ端末10に送信する送信部として機能する。
一方、上りリンクによりユーザ端末10から無線基地局20に送信される信号については、送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204(214)に入力される。
ベースバンド信号処理部204(214)は、上りリンクで受信したベースバンド信号に含まれる送信データに対して、FFT(Fast Fourier Transform)処理、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理を行う。復号された信号は伝送路インターフェース206を介して上位局装置30に転送される。
呼処理部205は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局20の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
図12は、図11に示す無線基地局21におけるベースバンド信号処理部の構成を示すブロック図である。ベースバンド信号処理部204は、レイヤ1処理部2041と、MAC処理部2042と、RLC処理部2043と、同期用信号生成部2044と、から主に構成されている。
レイヤ1処理部2041は、主に物理レイヤに関する処理を行う。レイヤ1処理部2041は、例えば、上りリンクで受信した信号に対して、チャネル復号化、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)、周波数デマッピング、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)、データ復調などの処理を行う。また、レイヤ1処理部2041は、下りリンクで送信する信号に対して、チャネル符号化、データ変調、周波数マッピング、逆高速フーリエ変換(IFFT)などの処理を行う。
MAC処理部2042は、上りリンクで受信した信号に対するMACレイヤでの再送制御、上りリンク/下りリンクに対するスケジューリング、PUSCH/PDSCHの伝送フォーマットの選択、PUSCH/PDSCHのリソースブロックの選択などの処理を行う。RLC処理部2043は、上りリンクで受信したパケット/下りリンクで送信するパケットに対して、パケットの分割、パケットの結合、RLCレイヤでの再送制御などを行う。
同期用信号生成部2044は、上記第1の態様で示した同期用信号を生成する。すなわち、同期用信号生成部2044は、スモールセルが同期する基準となる同期用信号を生成する。
図13は、図11に示す無線基地局22a,22bにおけるベースバンド信号処理部の構成を示すブロック図である。ベースバンド信号処理部214は、レイヤ1処理部2141と、MAC処理部2142と、RLC処理部2143と、同期用信号生成部2144と、同期補正部2145と、同期推定部2146と、から主に構成されている。
レイヤ1処理部2141、MAC処理部2142及びRLC処理部2143は、図12に示すレイヤ1処理部2041、MAC処理部2042及びRLC処理部2043と同様の処理を行う。
同期用信号生成部2144は、上記第2の態様及び第3の態様で示した同期用信号を生成する。すなわち、同期用信用生成部2144は、ユーザ端末における同期補正情報としての同期ずれ情報の推定に用いられる同期用信号を生成する。同期補正部2145は、受信した同期補正情報に基づいて同期を補正する。同期推定部2146は、同期補正情報に応じて同期対象(例えば、マクロセル,GPSクロック)との間の同期ずれ情報を推定する。
次に、図14を参照しながら、本実施の形態に係るユーザ端末の全体構成について説明する。LTE端末もLTE−A端末もハードウエアの主要部構成は同じであるので、区別せずに説明する。ユーザ端末10は、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部(送信部/受信部)103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。
下りリンクのデータについては、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部104でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクの送信データは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報もアプリケーション部105に転送される。
一方、上りリンクの送信データは、アプリケーション部105からベースバンド信号処理部104に入力される。ベースバンド信号処理部104においては、マッピング処理、再送制御(HARQ)の送信処理や、チャネル符号化、DFT処理、IFFT処理を行う。送受信部103は、ベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101より送信する。
なお、送受信部103は、同期用信号を受信する受信部として機能する。
図15は、図14に示すユーザ端末におけるベースバンド信号処理部の構成を示すブロック図である。ベースバンド信号処理部104は、レイヤ1処理部1041と、MAC処理部1042と、RLC処理部1043と、同期推定部1044と、同期補正情報生成部1045と、から主に構成されている。
レイヤ1処理部1041は、主に物理レイヤに関する処理を行う。レイヤ1処理部1041は、例えば、下りリンクで受信した信号に対して、チャネル復号化、離散フーリエ変換(DFT)、周波数デマッピング、逆高速フーリエ変換(IFFT)、データ復調などの処理を行う。また、レイヤ1処理部1041は、上りリンクで送信する信号に対して、チャネル符号化、データ変調、周波数マッピング、逆高速フーリエ変換(IFFT)などの処理を行う。
MAC処理部1042は、下りリンクで受信した信号に対するMACレイヤでの再送制御(HARQ)、下りスケジューリング情報の解析(PDSCHの伝送フォーマットの特定、PDSCHのリソースブロックの特定)などを行う。また、MAC処理部1042は、上りリンクで送信する信号に対するMAC再送制御、上りスケジューリング情報の解析(PUSCHの伝送フォーマットの特定、PUSCHのリソースブロックの特定)などの処理を行う。
RLC処理部1043は、下りリンクで受信したパケット/上りリンクで送信するパケットに対して、パケットの分割、パケットの結合、RLCレイヤでの再送制御などを行う。
同期推定部1044は、受信した同期用信号に基づいてスモールセルと同期対象との間の同期ずれ推定を行う。同期補正情報生成部1045は、同期補正情報を生成する。同期補正情報は、例えば、同期推定部1044で推定された同期ずれ情報や、上記第2の態様で示したRACH信号を含んで構成される。
なお、無線基地局21,22a,22bは、同期管理サーバとしての機能を有していてもよい。すなわち、無線基地局21,22a,22bは、同期ずれ情報を集約して、同期補正量を通知する同期情報管理機能を有していてもよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。