JP5908310B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トロイダル変速機構を備える動力伝達装置に関する。
ベアリングの外輪又は内輪の転送溝の曲率半径をベアリングの転動体の直径で割った値を曲率半径比率として、従来、曲率半径比率を52%以上とすることにより、トルク損失を小さくした動力伝達装置のパワーローラのベアリングが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、内燃機関と電動機の駆動力を用いて走行するハイブリッド車両が普及している。そして、内燃機関と電動機の駆動力が入力されるトロイダル変速機構を備えた動力伝達装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−132301号公報 特開2002−104000号公報
特許文献2のハイブリッド車両に用いられる動力伝達装置のトロイダル変速機構では、内燃機関と電動機のトルクが入力される。このため、トロイダル変速機構に用いられるベアリングには、比較的高い耐久性が要求され、ベアリングの曲率半径比率を出来るだけ小さくする必要がある。
しかしながら、曲率半径比率を小さくするとトルク損失が大きくなってしまう。
本発明は、以上の点に鑑み、トロイダル変速機構のベアリングのトルク損失を低減させることができるハイブリッド車両用の動力伝達装置を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、内燃機関と電動機の駆動力を用いて走行する車両に搭載されるトロイダル変速機構を備える動力伝達装置であって、前記トロイダル変速機構を介して駆動輪へ動力を伝達する第1動力伝達経路と、前記トロイダル変速機構を介さずに駆動輪へ動力を伝達する第2動力伝達経路とを備え、前記内燃機関の駆動力は前記第1動力伝達経路を介して駆動輪に伝達され、前記電動機の駆動力は前記第2動力伝達経路を介して駆動輪に伝達され、ベアリングの転動体の直径に対する外輪又は内輪の転送溝の曲率半径の比率を曲率半径比率として、前記第1動力伝達経路と前記第2動力伝達経路とは、互いに合流し、前記電動機と前記内燃機関の駆動力が合成されて伝達される合流部分を備え、該合流部分に前記曲率半径比率が小さい小比率ベアリングが設けられ、前記トロイダル変速機構の入力ディスク又は出力ディスクを軸支するベアリングとして、前記小比率ベアリングよりも前記曲率半径比率が大きい大比率ベアリングが用いられていることを特徴とする。
本発明によれば、内燃機関の動力はトロイダル変速機構に伝達されるが、電動機の動力は、トロイダル変速機構に伝達されない。このため、トロイダル変速機構に、合流部分に設けられた小比率ベアリングよりも、曲率半径比率が大きい大比率ベアリングを用いることができ、伝達効率の向上、及び動力伝達装置の小型化が図れる。
[2]また、本発明においては、合流部分を除いた第1動力伝達経路に、動力を伝達する伝達状態と、この伝達を断つ開放状態とに切換自在な動力伝達機構が設けることが好ましい。
かかる構成によれば、内燃機関を停止させ、電動機の駆動力を用いて車両が走行するEV(Electric Vehicle)走行時には、動力伝達機構を開放状態とすることにより、EV走行時のトロイダル変速機構のフリクションを低減でき、電力消費率を向上させることができる。
[3]また、本発明においては、内燃機関の動力により発電可能なジェネレータを設け、ジェネレータを、第1動力伝達経路における動力伝達機構よりも上流側に配置してもよい。
かかる構成によれば、動力伝達機構を開放状態とし、内燃機関でジェネレータを駆動させて、発電させることができ、この発電により電動機を駆動させて、シリーズ方式のハイブリッドシステムを構成することができる。このとき、内燃機関は、トロイダル変速機構を引き摺り回すこととなるが、本発明のトロイダル変速機構はコンパクト化されているため、フリクションを抑制して、ロスを最小限に抑えることができる。
[4]また、本発明においては、トロイダル変速機構をハーフトロイダル型で構成してもよい。ハーフトロイダル型では、パワーローラが、入力ディスクと出力ディスクとで画成されるキャビティの外側に押し出される力が発生する。従って、本発明を、上述の如く構成すれば、トロイダル変速機構は、入力トルクが小さいため、パワーローラが入力ディスクと出力ディスクとで画成されるキャビティの外側に押し出される力が低減され、パワーローラを押圧する機構の小型化を図ることができる。また、フルトロイダル型と比較して、トロイダル変速機構の小型化を図ることができる。
[5]また、本発明においては、トロイダル変速機構をシングルキャビティとしてもよい。かかる構成によれば、トロイダル変速機構の更なる軽量化を図ることができる。また、シングルキャビティのトロイダル変速機構は、ダブルキャビティのものと比較して、伝達効率が低下する。しかしながら、本発明の動力伝達装置では、電動機の動力はトロイダル変速機構に入力されないため、EV走行時には、トロイダル変速機構を用いることなく走行することができる。従って、動力伝達装置全体として、軽量化及び高効率化を図ることができる。
[6]また、本発明においては、合流部分出力軸又は中間軸を備え、出力軸又は中間軸に合流ギアを設け、第1動力伝達経路と、第2動力伝達経路とは、合流ギアで合流するように構成してもよい。かかる構成によれば、電動機の配置自由度が向上するため、ファイナルドリブンギアに接続されるデファレンシャルギアと電動機とが干渉することを容易に防止することができる。
本発明の動力伝達装置の第1実施形態を示すスケルトン図。 第1実施形態の動力伝達装置を軸方向から示す説明図。 本発明の動力伝達装置の第2実施形態を示すスケルトン図。 第2実施形態の動力伝達装置を軸方向から示す説明図。 本発明の動力伝達装置の第3実施形態を示すスケルトン図。 本発明の動力伝達装置の第4実施形態を示すスケルトン図。 本発明の動力伝達装置の第5実施形態を示すスケルトン図。
[第1実施形態]
図1及び図2を参照して、本発明の動力伝達装置の第1実施形態を説明する。本実施形態の動力伝達装置1は、エンジンからなる内燃機関ENGからの動力が伝達される入力軸2と、入力軸2に設けられたトロイダル変速機構3と、入力軸2と平行に配置された出力軸4と、電動機MOTとを備える。
トロイダル変速機構3は、キャビティ3aを1つだけ備えるシングルキャビティ型のものであり、入力軸2に固定された入力ディスク31と、入力ディスク31に対向して配置され、入力軸2に回転自在に保持された出力ディスク32と、入力ディスク31と出力ディスク32との間に配置されたパワーローラ33と、出力ディスク32と相対回転自在に設けられた中間駆動ギア34と、中間駆動ギア34と出力ディスク32とを解除自在に連結するトロイダル用クラッチ35(動力伝達機構)とを備える。
入力軸2は、内燃機関ENG側の端部に配置された深溝玉ベアリング2a、及びトロイダル変速機構3を挟むように配置されたアンギュラ玉ベアリング2a’を介して動力伝達装置1のケース1aに回転自在に軸支されている。また、パワーローラ33には、スラスト玉ベアリング33aがトラニオン33bとの間に位置するように設けられている。スラスト玉ベアリング33aの転送溝は、パワーローラ33及びトラニオン33bに設けられている。これらベアリング2a,2a’,33aの形式は適宜変更してもよい。
ここで、ベアリングの転動体の直径に対する外輪又は内輪の転送溝の曲率半径の比率を曲率半径比率として、大比率ベアリング2a,2a’,33aは比較的大きな曲率半径比率に設定され、トルク損失が小さくなるようにされている。
本実施形態においては、トロイダル用クラッチ35(動力伝達機構)が、中間駆動ギア34と出力ディスク32とを連結する状態を連結状態(伝達状態)とし、この連結を断つ状態を開放状態と定義する。
出力軸4には、中間駆動ギア34と噛合する中間従動ギア41と、出力ギア42とが一体回転するように固定されている。出力ギア42には、ファイナルドリブンギア5が噛合する。出力ギア42から出力された動力は、デファレンシャルギアDFを介して駆動輪に伝達される。出力軸4は、その両端部で下流ベアリング4aを介してケース1aに回転自在に軸支されている。下流ベアリング4aは、大比率ベアリング2a,2a’,33aよりも小さい曲率半径比率に設定され、強度(耐久性)の向上を図っている。これにより、内燃機関ENGと電動機MOTの駆動力が出力軸4に入力されても、下流ベアリング4aが十分に耐えることができる。
また、中間従動ギア41には、電動機MOTのモータピニオンMPが噛合している。第1実施形態における第1動力伝達経路は、入力軸2、トロイダル変速機構3、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。第1実施形態における第2動力伝達経路は、モータピニオンMP、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。
また、第1実施形態の合流部分は、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。また、第1実施形態の合流ギアは中間従動ギア41となる。内燃機関ENG及び電動機MOTの駆動力は中間従動ギア41で合成される。また、第1実施形態においては、第1動力伝達経路において、内燃機関ENG側が上流側となり、デファレンシャルギアDF側が下流側となる。
第1実施形態の動力伝達装置1によれば、トロイダル変速機構3に入力される動力は内燃機関ENGからの動力のみとなる。このため、トロイダル変速機構3に、動力伝達経路としての出力軸4に設けられた下流ベアリング4aよりも、曲率半径比率が大きい大比率ベアリング2a,2a’,33aを用いることができ、伝達効率の向上、及び動力伝達装置1の小型化が図れる。
また、トロイダル変速機構3に入力される駆動力は内燃機関ENGのみであり、電動機MOTの駆動力はトロイダル変速機構3に伝達されない。従って、電動機MOTの駆動力を考慮することなく、内燃機関ENGの駆動力に耐え得る程度の強度を有するトロイダル変速機構3を採用することができ、トロイダル変速機構3の小型化を図ることができる。
また、電動機MOTとデファレンシャルギアDFとの軸間を比較的広く採ることができる。このため、電動機MOTとして比較的高出力の大型の電動機を採用することができる。または、比較的低出力の電動機MOTを用いて動力伝達装置1の小型化を図ることもできる。
また、内燃機関ENGを停止させ、電動機MOTの駆動力のみを用いて車両が走行するEV(Electric Vehicle)走行時には、トロイダル用クラッチ35(動力伝達機構)を開放状態とすることにより、EV走行時のトロイダル変速機構3のフリクションを低減でき、電力消費率を向上させることができる。
また、本実施形態のトロイダル変速機構3は、ハーフトロイダル型で構成されている。ハーフトロイダル型では、パワーローラ33が、入力ディスク31と出力ディスク32とで画成されるキャビティ3aの外側に押し出される力が発生する。本実施形態のトロイダル変速機構3は、入力トルクが小さいため、パワーローラ33が入力ディスク31と出力ディスク32とで画成されるキャビティ3aの外側に押し出される力が低減され、パワーローラ33を押圧する機構(図示省略)の小型化を図ることができる。また、フルトロイダル型と比較して、トロイダル変速機構3の小型化を図ることができる。
また、本実施形態の動力伝達装置1は、トロイダル変速機構3をシングルキャビティで構成している。このため、ダブルキャビティのトロイダル変速機構と比較して軽量化及び小型化を図ることができる。
ここで、シングルキャビティのトロイダル変速機構は、ダブルキャビティのように軸方向の力が相殺されないため、構成部品の強度を高める必要があり、ダブルキャビティのものと比較して伝達効率が低下する。しかしながら、本実施形態の動力伝達装置1では、電動機MOTの動力はトロイダル変速機構3に入力されない。このため、EV走行時には、トロイダル変速機構3を用いることなく走行することができ、動力伝達装置1全体として、軽量化及び高効率化を図ることができる。
また、本実施形態の動力伝達装置1は、電動機の駆動力を出力軸4に設けられた中間従動ギア41に伝達する。従って、ケース1a内における電動機MOTの配置自由度が向上し、デファレンシャルギアDFと電動機MOTとが干渉することを容易に防止することができる。
図2は、第1実施形態の動力伝達装置1を軸方向から模式的に表し、入力軸2、出力軸4、電動機MOT、及びデファレンシャルギアDFの回転中心軸の相対的な位置関係を模式的に示している。図2によれば、電動機MOTとデファレンシャルギアDFとは重なっており、互いに干渉しているように見えるが、図1から示唆されるように、実際には、軸方向に位置がずれており、電動機MOTとデファレンシャルギアDFとが互いに干渉することはない。
また、第1実施形態の動力伝達装置1では、トルクコンバータや発進クラッチなどの発進デバイスやリバース機構を電動機MOTで代替している。これにより、本実施形態の動力伝達装置1は、軽量且つコンパクトで、更なるトロイダル変速機構3を通過するトルクの頻度を低減させることができる。
[第2実施形態]
次に、図3及び図4を参照して、本発明の動力伝達装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態の動力伝達装置1では、中間駆動ギア34とトロイダル用クラッチ(動力伝達機構)35との位置が入れ替わり、中間従動ギア41と出力ギア42との位置も入れ替わり、モータピニオンMPは、モータ中間ピニオンMIPを介して、中間従動ギア41に噛合している。これらの点を除いた他の構成は、第1実施形態と同一に構成される。
第2実施形態の動力伝達装置1によっても、トロイダル変速機構3に入力される動力は内燃機関ENGからの動力のみとなる。このため、トロイダル変速機構3に、動力伝達経路としての出力軸4に設けられた下流ベアリング4aよりも、曲率半径比率が大きい大比率ベアリング2a,2a’,33aを用いることができ、伝達効率の向上、及び動力伝達装置1の小型化が図れる。
また、トロイダル変速機構3に入力される駆動力は内燃機関ENGのみであり、電動機MOTの駆動力はトロイダル変速機構3に伝達されない。従って、電動機MOTの駆動力を考慮することなく、内燃機関ENGの駆動力に耐え得る程度の強度を有するトロイダル変速機構3を採用することができ、トロイダル変速機構3の小型化を図ることができる。
なお、第2実施形態の動力伝達装置1においては、中間駆動ギア34とトロイダル用クラッチ(動力伝達機構)35との位置が入れ替わることにより、電動機MOTとデファレンシャルギアDFとが径方向に重なり合う部分が生じる。このため、第2実施形態の動力伝達装置1においては、図4に示すように、モータ中間ピニオンMIPを用いることにより、電動機MOTとデファレンシャルギアDFとが干渉することを防止している。
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の動力伝達装置の第3実施形態を説明する。本実施形態の動力伝達装置1は、エンジンからなる内燃機関ENGからの動力が伝達される入力軸2と、入力軸2に設けられたトロイダル変速機構3と、入力軸2と平行に配置された出力軸4と、入力軸2及び出力軸4と平行に配置された中間軸6と、入力軸2と同心に配置された電動機MOTとを備える。
トロイダル変速機構3は、キャビティ3aを1つだけ備えるシングルキャビティ型のものであり、入力軸2に固定された入力ディスク31と、入力ディスク31に対向して配置され、入力軸2に回転自在に保持された出力ディスク32と、入力ディスク31と出力ディスク32との間に配置されたパワーローラ33と、出力ディスク32と一体的に回転するように設けられた中間駆動ギア34とを備える。
入力軸2は、内燃機関ENG側の端部に配置された深溝玉ベアリング2b、及びトロイダル変速機構3を挟むように配置されたアンギュラ玉ベアリング2a’,2a’を介してケース1aに回転自在に軸支されている。また、パワーローラ33には、スラスト玉ベアリング33aがトラニオン33bとの間に位置するように設けられている。スラスト玉ベアリング33aの転送溝は、パワーローラ33及びトラニオン33bに設けられている。これらベアリング2a’,2b,33aの形式は適宜変更してもよい。
ここで、ベアリングの転動体の直径に対する外輪又は内輪の転送溝の曲率半径の比率を曲率半径比率として、アンギュラ玉ベアリング2a’は比較的大きな曲率半径比率に設定された大比率ベアリングであり、トルク損失が小さくなるようにされている。
中間軸6は、下流ベアリング6aを介してケース1aに回転自在に軸支されている。中間軸6には、第1中間ギア61が回転自在に軸支されている。下流ベアリング6aは、大比率ベアリング2aよりも小さい曲率半径比率に設定され、強度(耐久性)の向上を図っている。これにより、内燃機関ENGと電動機MOTの駆動力が中間軸6に入力されても、下流ベアリング6aが十分に耐えることができる。
また、中間軸6には、第2中間ギア62及び第3中間ギア63が一体回転するように固定されている。また、中間軸6には、スリーブ64aを軸方向にスライドさせることにより、中間軸6と第1中間ギア61とを連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在な同期噛合機構64(動力伝達機構)が設けられている。
電動機MOTのロータROは、入力軸2に回転自在に配置されている。電動機MOTのロータROには、モータギアMGが一体回転するように設けられている。モータギアMGは、第2中間ギア62と噛合している。ロータROとモータギアMGとを連結する筒状部は、ベアリング2bで回転自在にケース1aに軸支されている。
ベアリング2bは、下流ベアリング6aと同様に、大比率ベアリング2aよりも小さい曲率半径比率に設定され、強度(耐久性)の向上を図っている。これにより、内燃機関ENGの駆動力が入力軸2に伝達され、電動機MOTの駆動力がロータROからモータギアMGに入力されても、小比率ベアリング2bが十分に耐えることができる。
出力軸4には、第3中間ギア63と噛合する中間従動ギア41と、出力ギア42とが一体回転するように固定されている。出力ギア42には、ファイナルドリブンギア5が噛合する。出力ギア42から出力された動力は、デファレンシャルギアDFを介して駆動輪に伝達される。出力軸4は、下流ベアリング4aを介してケース1aに回転自在に軸支されている。下流ベアリング4aは、大比率ベアリング2aよりも小さい曲率半径比率に設定され、強度(耐久性)の向上を図っている。これにより、内燃機関ENGと電動機MOTの2つの駆動力が合成されて出力軸4に入力されても、下流ベアリング4aが十分に耐えることができる。
第3実施形態における第1動力伝達経路は、入力軸2、トロイダル変速機構3、第1中間ギア61、同期噛合機構64、中間軸6、第3中間ギア63、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。第2動力伝達経路は、モータギアMG、第2中間ギア62、中間軸6、第3中間ギア63、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。
第3実施形態における合流部分は、中間軸6、第3中間ギア63、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。また、第3実施形態における合流ギアは第2中間ギア62となる。電動機MOTの駆動力は、モータギアMG、第2中間ギア62を介して、中間軸6に伝達される。
第3実施形態の動力伝達装置1によっても、トロイダル変速機構3に入力される動力は内燃機関ENGからの動力のみとなる。このため、トロイダル変速機構3に、動力伝達経路としての出力軸4に設けられた下流ベアリング4aよりも、曲率半径比率が大きい大比率ベアリング2aを用いることができ、伝達効率の向上、及び動力伝達装置1の小型化が図れる。
また、トロイダル変速機構3に入力される駆動力は内燃機関ENGのみであり、電動機MOTの駆動力はトロイダル変速機構3に伝達されない。従って、電動機MOTの駆動力を考慮することなく、内燃機関ENGの駆動力に耐え得る程度の強度を有するトロイダル変速機構3を採用することができ、トロイダル変速機構3の小型化を図ることができる。
また、電動機MOTを入力軸2と同心とすることで、動力伝達装置1の小型化を図ることができ、車両への搭載性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の動力伝達装置1は、電動機MOTの駆動力を中間軸6に設けられた第2中間ギア62に伝達する。従って、ケース1a内における電動機MOTの配置自由度が向上し、デファレンシャルギアDFと電動機MOTとが干渉することを容易に防止することができる。
また、第3実施形態の動力伝達装置1では、トルクコンバータや発進クラッチなどの発進デバイスやリバース機構を電動機MOTで代替している。これにより、本実施形態の動力伝達装置1は、軽量且つコンパクトで、更なるトロイダル変速機構3を通過するトルクの頻度を低減させることができる。
なお、第3実施形態の動力伝達装置1において、同期噛合機構64を中間軸に設けたものを説明したが、本発明の動力伝達装置はこれに限らない。例えば、動力伝達機構たる同期噛合機構64を出力ディスク32に設け、出力ディスク32と中間駆動ギア34とを連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在としてもよい。この場合、動力伝達機構たる同期噛合機構64と電動機MOTとが同軸となる。
[第4実施形態]
次に、図6を参照して、本発明の動力伝達装置の第4実施形態を説明する。本実施形態の動力伝達装置1は、エンジンからなる内燃機関ENGからの動力が伝達される入力軸2と、入力軸2に設けられたトロイダル変速機構3と、入力軸2と平行に配置された出力軸4と、電動機MOTとを備える。
トロイダル変速機構3は、キャビティ3aを1つだけ備えるシングルキャビティ型のものであり、入力軸2に固定された入力ディスク31と、入力ディスク31に対向して配置され、入力軸2に回転自在に保持された出力ディスク32と、入力ディスク31と出力ディスク32との間に配置されたパワーローラ33と、出力ディスク32と相対回転自在に設けられた中間駆動ギア34と、中間駆動ギア34と出力ディスク32とを解除自在に連結するトロイダル用ドグクラッチ36(動力伝達機構)とを備える。
入力軸2は、大比率ベアリング2aを介してケース1aに回転自在に軸支されている。大比率ベアリング2aは比較的大きな曲率半径比率に設定され、トルク損失が小さくなるようにされている。
本実施形態においては、スリーブ36aを軸方向にスライドさせることにより、トロイダル用ドグクラッチ36(動力伝達機構)が、中間駆動ギア34と出力ディスク32とを連結する状態を連結状態とし、この連結を断つ状態を開放状態と定義する。
出力軸4には、中間駆動ギア34と噛合する中間従動ギア41と、出力ギア42とが一体回転するように固定されている。出力ギア42には、ファイナルドリブンギア5が噛合する。出力ギア42から出力された動力は、デファレンシャルギアDFを介して駆動輪に伝達される。出力軸4は、下流ベアリング4aを介してケース1aに回転自在に軸支されている。下流ベアリング4aは、大比率ベアリング2aよりも小さい曲率半径比率に設定され、強度(耐久性)の向上を図っている。これにより、内燃機関ENGと電動機MOTの駆動力が出力軸4に入力されても、下流ベアリング4aが十分に耐えることができる。
また、中間従動ギア41には、電動機MOTのモータピニオンMPが、モータ中間ピニオンMIPを介して、噛合している。第4実施形態における第1動力伝達経路は、入力軸2、トロイダル変速機構3、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。第4実施形態における第2動力伝達経路は、モータピニオンMP、モータ中間ピニオンMIP、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。
また、第4実施形態の合流部分は、中間従動ギア41、出力軸4、出力ギア42、ファイナルドリブンギア5、デファレンシャルギアDFとなる。また、第4実施形態の合流ギアは中間駆動ギア41となる。内燃機関ENG及び電動機MOTの駆動力は中間従動ギア41で合成される。また、第4実施形態においては、第1動力伝達経路において、内燃機関ENG側が上流側となり、デファレンシャルギアDF側が下流側となる。
入力ディスク31の外周には、外歯31aが設けられている。なお、外歯31aに変えて入力ディスク31に固定されたギアを用いてもよい。外歯31aには、スタータ中間ピニオンSIPを介して、スタータ・ジェネレータISG(Integrated Starter Generator)のスタータピニオンSPが噛合している。スタータ・ジェネレータISGは、内燃機関ENGを始動させることができると共に、内燃機関ENGの駆動力で発電して、バッテリー(図示省略)に充電することもできる。そして、充電されたバッテリー(図示省略)で電動機MOTを駆動させ、シリーズ方式のハイブリッドシステムとすることができる。なお、シリーズ方式で走行する場合には、内燃機関ENGは、トロイダル変速機構3を一緒に連れ回すこととなる。しかしながら、本実施形態のトロイダル変速機構3は、ハーフトロイダル型であり、且つシングルキャビティ型であるため、比較的コンパクトであり、トロイダル変速機構3によるフリクションは小さく、ロスが低減される。
第4実施形態の動力伝達装置1によっても、トロイダル変速機構3に入力される動力は内燃機関ENGからの動力のみとなる。このため、トロイダル変速機構3に、動力伝達経路としての出力軸4に設けられた下流ベアリング4aよりも、曲率半径比率が大きい大比率ベアリング2aを用いることができ、伝達効率の向上、及び動力伝達装置1の小型化が図れる。
また、トロイダル変速機構3に入力される駆動力は内燃機関ENGのみであり、電動機MOTの駆動力はトロイダル変速機構3に伝達されない。従って、電動機MOTの駆動力を考慮することなく、内燃機関ENGの駆動力に耐え得る程度の強度を有するトロイダル変速機構3を採用することができ、トロイダル変速機構3の小型化を図ることができる。
また、内燃機関ENGを停止させ、電動機MOTの駆動力のみを用いて車両が走行するEV(Electric Vehicle)走行時には、トロイダル用ドグクラッチ36(動力伝達機構)を開放状態とすることにより、EV走行時のトロイダル変速機構3のフリクションを低減でき、電力消費率を向上させることができる。
また、本実施形態のトロイダル変速機構3は、ハーフトロイダル型で構成されている。ハーフトロイダル型では、パワーローラ33が、入力ディスク31と出力ディスク32とで画成されるキャビティ3aの外側に押し出される力が発生する。本実施形態のトロイダル変速機構3は、入力トルクが小さいため、パワーローラ33が入力ディスク31と出力ディスク32とで画成されるキャビティ3aの外側に押し出される力が低減される。また、フルトロイダル型と比較して、トロイダル変速機構3の小型化を図ることができる。
なお、図7に示す第5実施形態のように、スタータ・ジェネレータISGを内燃機関ENGと同軸に設けてもよい。この場合、第4実施形態の外歯31a、スタータ中間ピニオンSIP、スタータピニオンSPが不要となり、歯の噛み合いによる損失がなくなって、シリーズ方式で走行するときの効率が上昇する。
1…動力伝達装置、1a…ケース、2…入力軸、2a,2a’…大比率ベアリング、2b…小比率ベアリング、3…トロイダル変速機構、3a…キャビティ、31…入力ディスク、31a…外歯、32…出力ディスク、33…パワーローラ、33a…スラスト玉ベアリング(大比率ベアリング)、33b…トラニオン、34…中間駆動ギア、35…トロイダル用クラッチ(動力伝達機構)、36…トロイダル用ドグクラッチ(動力伝達機構)、36a…スリーブ、4…出力軸、4a…下流ベアリング(小比率ベアリング)、41…中間従動ギア、42…出力ギア、5…ファイナルドリブンギア、6…中間軸、6a…下流ベアリング(小比率ベアリング)、61…第1中間ギア、62…第2中間ギア、63…第3中間ギア、64…同期噛合機構(動力伝達機構)、ENG…内燃機関、MOT…電動機、RO…ロータ、MP…モータピニオン、MIP…モータ中間ピニオン、MG…モータギア、DF…デファレンシャルギア、ISG…スタータ・ジェネレータ(ジェネレータ)、SP…スタータピニオン、SIP…スタータ中間ピニオン。

Claims (6)

  1. 内燃機関と電動機の駆動力を用いて走行する車両に搭載されるトロイダル変速機構を備える動力伝達装置であって、
    前記トロイダル変速機構を介して駆動輪へ動力を伝達する第1動力伝達経路と、
    前記トロイダル変速機構を介さずに駆動輪へ動力を伝達する第2動力伝達経路とを備え、
    前記内燃機関の駆動力は前記第1動力伝達経路を介して駆動輪に伝達され、
    前記電動機の駆動力は前記第2動力伝達経路を介して駆動輪に伝達され、
    ベアリングの転動体の直径に対する外輪又は内輪の転送溝の曲率半径の比率を曲率半径比率として、
    前記第1動力伝達経路と前記第2動力伝達経路とは、互いに合流し、前記電動機と前記内燃機関の駆動力が合成されて伝達される合流部分を備え、
    該合流部分に前記曲率半径比率が小さい小比率ベアリングが設けられ、
    前記トロイダル変速機構の入力ディスク又は出力ディスクを軸支するベアリングとして、前記小比率ベアリングよりも前記曲率半径比率が大きい大比率ベアリングが用いられていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記合流部分を除いた前記第1動力伝達経路に、動力を伝達する伝達状態と、この伝達を断つ開放状態とに切換自在な動力伝達機構が設けることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項2記載の動力伝達装置であって、
    前記内燃機関を始動させることができると共に、前記内燃機関の動力により発電可能なジェネレータを備え、
    該ジェネレータは、前記第1動力伝達経路における前記動力伝達機構よりも上流側に配置されることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記トロイダル変速機構は、ハーフトロイダル型であることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記トロイダル変速機構は、シングルキャビティであることを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の動力伝達装置であって、前記合流部分は、出力軸又は中間軸を備え、該出力軸又は該中間軸には合流ギアが設けられ、前記第1動力伝達経路と、前記第2動力伝達経路とは、前記出力軸若しくは前記中間軸又は前記合流ギアで合流することを特徴とする動力伝達装置。
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