JP5908274B2 - マイクロ構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はマイクロ構造体、特にマイクロレンズ、中でもマイクロレンズアレイの製造方法に関する。
本発明のマイクロ構造体とは、縦、横、高さのいずれかの寸法が1mm未満の構造体である。また、単一のものだけでなく複数のマイクロ構造体がアレイ状に配列したものも含む。
マイクロ構造体の具体的な例としては、CCD、CMOS等の受光素子に設けられた集光用のマイクロレンズがある。集光用のマイクロレンズは入射光を効率よく受光部へ導く役割を担う。
紙幣や身分証等の偽造防止に用いるセキュリティリボンにもマイクロレンズが用いられている。例えば、米国の100ドル札のセキュリティリボンには、およそ100万個のレンズからなるマイクロレンズアレイが使われており、これにより図柄が浮き上がって見えるため、真贋の識別が容易にできる。マイクロレンズアレイの製造には高い技術力を必要とすることから、偽造そのものを抑止する効果もある。
マイクロレンズの製造方法の1つとして、フォトリソグラフィ法を用いる方法がある(例えば、特許文献1)。この方法は、基板上に感光性樹脂を塗布した後、フォトマスクを通して露光、現像することで、微細構造が二次元的に配列したパターンを形成し、その後、加熱により樹脂を軟化させてマイクロレンズを得る方法である。
特許文献1のようなフォトリソグラフィ法では、形成されるマイクロレンズは無色透明であり、カラー受光素子に用いる場合には、マイクロレンズと受光部との間に別途カラーフィルターを設ける必要がある。そのため、受光部とレンズとの間に距離が生じ、斜めから入射した光が遮られ、集光効率が悪くなる。さらには、現像工程を必要とするなど工程が複雑でコスト高になるという問題を有する。
また、別の方法として、特許文献2で開示されているように、電着法を用いる方法がある。これは、放射線照射により水に対する膨潤性を生じる絶縁性のレジストを基板上に塗布し、マイクロレンズを形成する位置に放射線を照射した後に、電着液に浸して電着法により樹脂を析出させマイクロレンズを得る方法である。
電着法を用いる特許文献2の電着法では、電着工程においてレジストの膨潤と樹脂の析出が同時進行する。このとき、レジストの一部または全部が侵され、基板が露出することがある。基板表面が親水性を示す場合では、その上にマイクロレンズを形成することができるが、シリコンウエハ等撥水性を有する基板を用いる場合では、露出した基板表面により電着液がはじかれてしまうため、マイクロレンズを形成するのは困難であった。シリコンウエハが撥水性を示す原因の一つとして、表面の汚染、すなわち有機物の付着が挙げられる。アルカリ性溶液を用いて表面をエッチングしたり、過酸化水素水と硫酸の混合液により表面に付着した有機物を除去すれば、シリコンウエハの表面は親水性を示すようになる。しかしながら、効果は一時的であり、レジスト層形成時に親水性が失われ、基板表面は撥水性を示すようになる。
特開昭53−74395号公報 特開2003−26707号公報
本発明は、電着法によりマイクロ構造体を製造する方法を提供するものであって、基板の表面状態が親水性、撥水性、いずれの性質を示す場合においても、水系電着液を用いて電着法によりマイクロ構造体を製造することのできる方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、
放射線照射により水に対する膨潤性を示す絶縁性樹脂を基板上に塗布して絶縁層を形成する絶縁層形成工程、
マイクロ構造体の形状および配列に対応させて、前記絶縁層上にマイクロ構造体を形成する位置に、放射線を照射する放射線照射工程、
絶縁層を水溶液に浸すことにより放射線照射部を膨潤させる膨潤工程、
膨潤工程後の絶縁層を電着液に浸して、電着法により膨潤部に樹脂層を形成させる電着工程、および
前記樹脂層を軟化させて所定形状のマイクロ構造体を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、シリコンウエハ等の撥水性を有する基板上においても、電着法により,マイクロ構造体を形成できる。
また、異なる色に着色された複数のマイクロ構造体を基板上に配列させることができ、例えばフルカラーマイクロレンズアレイを製造することもできる。
本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の製造法によるフルカラーマイクロレンズアレイの製造工程を示す図。 本発明の方法で製造したフルカラーマイクロレンズアレイの光学顕微鏡写真。 光源とフルカラーマイクロレンズとの間に設置したスライドフィルムの画像の、フルカラーマイクロレンズによる結像写真。 実施例2で製造した赤色マイクロレンズアレイの光学顕微鏡写真 実施例3で製造した赤色シリンドリカルレンズアレイの光学顕微鏡写真 比較例1で製造した電着工程後における析出樹脂の光学顕微鏡写真。 比較例1で製造した成形工程後における析出樹脂の光学顕微鏡写真。
本発明の製造方法においては、まず、放射線照射により水に対する膨潤性を示す絶縁性樹脂を基板上に塗布して絶縁層を形成する。本発明においてはこの工程を「絶縁層形成工程」という。
基板は、導電性、半導体性を有するものであればよく、例えば、金属、導電性樹脂、表面にITO等の導電膜が形成されたガラスやシート樹脂、シリコン半導体基板、ガリウム半導体基板、II−VI族半導体基板、III−V属半導体基板、SiC等のIV族化合物半導体基板、I−III−VI2族化合物半導体基板等を例示できる。半導体性とは、電気抵抗率が0.001Ωcmから1000Ωcm程度を有する物の性質をいう。導電性は、半導電性より低い電気抵抗率を有することを意味している。本発明に使用する基板は、表面抵抗が100Ω/□以下、好ましくは50Ω/□以下程度のものであれば使用することができる。
本発明の製造方法は、特にシリコン半導体基板、例えばシリコンウエハ、ポリシリコン等の表面が撥水性の基板であっても、その表面上にマイクロ構造体を製造できることにある。ここでいう撥水性とは、基板上に水滴を載せた際に、その接触角が70度以上となることをいう。
シリコンウエハが撥水性を示す原因の一つとして、表面の汚染、すなわち有機物の付着が挙げられる。アルカリ性溶液を用いて表面をエッチングしたり、過酸化水素水と硫酸の混合液により表面に付着した有機物を除去すれば、シリコンウエハの表面は親水性を示すようになる。しかしながら、効果は一時的であり、絶縁層形成時に親水性が失われ、基板表面は撥水性を示すようになる。
基板表面に絶縁膜が形成されていても、絶縁膜が薄い場合や、多孔質状になっている場合などでは、マイクロ構造体を形成する妨げにはならない。例としてシリコンウエハ表面に形成された酸化膜や、アルミニウムの陽極酸化被膜等である。
絶縁性樹脂は、放射線照射により水に対する膨潤性を示す樹脂であって、塗布により基板上に樹脂層(膜)が形成できるものを使用するようにする。
そのような樹脂の例としては、有機ケイ素樹脂、例えばポリ(メチルエチルシラン)、ポリ(メチルフェニルシラン)、ポリ(ジフェニルシラン)、ポリ(フェニルイソプロピルシラン)等、ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート等を例示できる。シリコン半導体基板に対しては、有機ケイ素樹脂、特にポリ(メチルフェニルシラン)を使用することが好ましい。
絶縁性とは、電気抵抗率が概ね1MΩcm以上の性質を示すということを意味するが、ここで例示した樹脂は本来絶縁性である。
本発明で使用する絶縁性樹脂は、放射線照射により分解反応を起こし、親水性が生じ、水溶液に対して膨潤性を示すようになる。有機ケイ素樹脂の場合では、水酸基やシロキサン構造を生じる。ポリエステルの場合は、カルボン酸、水酸基、アルデヒド、エーテル構造を生じる。放射線は、樹脂の分解反応を起こすものであれば特に限定されず、紫外線、可視光線、ガンマ線、エックス線、電子線、アルファ線、ベータ線等であってよい。
水に対する膨潤性については、定性的には次の方法により目視にて確認できる。樹脂層を設けた基板を放射線照射した後、水に浸漬させる。水から取り出して樹脂層を観察すると、色合い(干渉色)が変化していることがわかる。樹脂層に水が含浸することで屈折率や厚みに変化が生じるからである。
絶縁性樹脂の基板上への塗布は、湿式成膜法により行う。樹脂を適当な溶媒に溶解あるいは分散させた溶液使用し、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、その他一般に知られている成膜方法を使用すればよい。溶媒としては絶縁性樹脂を溶解させ基板に対する濡れ性に優れたものであれば特に限定する必要はない。具体的には、アセトン、トルエン、キシレン、クロロホルム等の有機溶媒が使用できる。
絶縁層の膜厚は、0.1〜10.0μm、好ましくは0.1〜1.0μmである。膜厚は、膜の一部をはがして基板を露出させ、表面形状測定装置(P-16+;KLA Tencor社製)により、基板と絶縁層との段差を測定することで求めた値(平均値)である。絶縁層の膜厚が薄すぎる場合は、絶縁性が不十分なため、後記する電着工程において放射線未照射部においても樹脂が析出する問題が生じる。すなわち、所望のマイクロ構造体が得られない。絶縁層の膜厚が厚すぎると後記する放射線照射工程において放射線照射により絶縁層を分解反応させる際に、高強度の放射線または長時間の放射線照射が必要となる上、後記する膨潤工程において、絶縁層の放射線照射部が膨潤するのに著しく長い時間を要する問題が生じる。
絶縁層を形成した後、マイクロ構造体の形状および配列に対応させて、前記絶縁層上にマイクロ構造体を形成する位置に、放射線を照射する。本発明においてはこの工程を「放射線照射工程という。
マイクロ構造体は、縦、横、高さのいずれかの寸法が1mm未満の構造体である。また、単一のものだけでなく複数のマイクロ構造体がアレイ状に配列したものも含む概念で使用されている。具体的には、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、シリンドリカルレンズ、シリンドリカルレンズアレイ等である。これらの構造体は赤、青、緑に着色したマイクロ構造体としても製造可能である。
本発明においては直径(φ)が200〜4μm、より小さくは150〜4μm、よりさらにより小さくは100〜5μmのマイクロレンズ、マイクロレンズアレイを製造することができる。また、幅が、200〜4μm、より小さくは150〜4μm、さらにより小さくは100〜5μmのシリンドリカルレンズを製造することができる。
上記のようなマイクロ構造体の形状、詳しくはマイクロレンズ構造体の底面の形状、例えば円、楕円、多角形、直線状等、および、配列に対応させて、前記絶縁層上にマイクロ構造体を形成する位置に、放射線を照射する。例えば、マイクロ構造体の形状、配列に対応して放射線の透過するフォトマスクで絶縁層を覆い、そのフォトマスクを通して放射線を照射すればよい。
放射線は、上記と同様に樹脂の分解反応を起こすものであれば特に限定されず、紫外線、可視光線、ガンマ線、エックス線、電子線、アルファ線、ベータ線等を使用すればよい。
放射線の照射は、照射した絶縁層部分が、膨潤性を示すようになるような量を照射する。絶縁層の厚さにもよるが、通常、照射エネルギーに換算して0.1〜50J/cm2、好ましくは1〜10J/cm2程度を照射すればよい。その量が少ないと、分解反応が不十分となり、水に対する膨潤性が得られず、その量が多いと分解反応が進みすぎて絶縁層が脆弱になる。
放射線照射工程の後、絶縁層を水溶液に浸すことにより放射線照射部を膨潤させる。水溶液を用いる理由は、水を使用する場合よりも水溶液を用いる場合の方が、膨潤がより速やかに進行するからである。また、水溶液の配合を変えることで、膨潤速度を適宜調整できるという利点がある。本発明においてはこの工程を「膨潤工程」という。
水溶液は、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、又は非プロトン性極性溶媒のうち1種類以上が0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%含まれる、水を主成分とする溶液である。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が、グリコール類としては、エチレングリコール、プロレングリコール、ジエチレングリコール等が、グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が、非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が使用できる。上記組成を有する膨潤工程で使用する水溶液は、絶縁層の放射線照射部のみを選択的に膨潤させる機能を有しており、絶縁層の放射線未照射部に対しては何ら影響を与えない。好ましい水溶液は、製造コストや、環境および人体に対する影響、溶液の取り扱いやすさを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセトニトリルである。水溶液の濃度が0.5重量%未満の場合は、絶縁層の放射線照射部が膨潤するのに著しく長い時間を要する。水溶液の濃度が50重量%を超える場合は、絶縁層の放射線照射部が溶解して基板が露出したり、絶縁層の放射線未照射部においても一部または全部が溶解し、絶縁層が薄くなったり、消失するなどの不具合が生じる。
膨潤工程においては、絶縁層の放射線照射部の厚さ方向全体に水溶液が湿潤し終える時間程度浸漬すればよく、その時点で膨潤させる工程は行われたとみてよい。絶縁層の膜厚、水溶液の濃度にもよるが、膨潤は速やかに進行し、30〜1800秒、好ましくは60〜900秒程度、水溶液に浸せば達成できる。最初のうちは、放射線照射部における色合い(干渉色)が急激に変化するが、徐々に変化の度合いが小さくなっていく。このような状態になれば、水溶液から基板を取り出せばよい。放射線未照射部においても色合い(干渉色)の変化が観察される場合は、絶縁層が溶解しているので、水溶液の濃度が高すぎると判断する。
膨潤工程は、下記電着工程で使用する電着液中で行ってもよい。この場合、膨潤工程に引続いて、電着工程に移れる。
膨潤工程後、絶縁層中の膨潤部を膨潤させた状態で絶縁層を、電着液に浸して、電着法により膨潤部に樹脂層を形成させる。本発明においてはこの工程を電着工程という。
電着液は、水系溶媒中にイオン性樹脂を含ませたもの、例えばコロイド状に分散させたものである。
電着液に用いられる水系溶媒は、水を主溶媒として、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等のセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類、それらの混合物を0.1重量%〜10重量%含んでいるものである。
イオン性樹脂は、カチオン性、アニオン性のいずれもが使用できる。透明性が高く、化学的安定性、強度の点で優れたものが好ましいが、種類については特に限定されない。例えば、カチオン性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂と、メタアクリル樹脂を含む)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を単独で、またはこれらの樹脂の任意の組み合わせによる混合物を使用することができる。さらに、上記カチオン性樹脂とブロックイソシアネート化合物等の熱硬化性樹脂を併用すること、または多官能アクリレートやエポキシド化合物等と光重合開始剤を混合した光硬化性樹脂とを併用することが好ましい。この場合、カチオン性樹脂は、それが電着で析出したとき、熱可塑性樹脂である事が好ましく、係る観点からは(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びそれらと熱硬化性樹脂を併用したものが適しており、それらの中でも(メタ)アクリル樹脂とブロックイソシアネート化合物の混合物が好ましい。
また、アニオン性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン化油樹脂、ポリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を単独で、またはこれらの樹脂の任意の組み合わせによる混合物を使用することができる。さらに、マイクロ構造体を強固に形成する観点から、上記アニオン性樹脂とメラミン樹脂、フェノール樹脂、ブロックイソシアネート化合物等の熱硬化性樹脂を併用すること、または多官能アクリレートやエポキシド化合物等と光重合開始剤を混合した光硬化性樹脂とを併用することが好ましい。この場合、アニオン性樹脂は、それが電着で析出したとき、熱可塑性樹脂である事が好ましく、係る観点からは(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらと熱硬化性樹脂を併用したもの、それらの中でもアクリル樹脂とメラミン樹脂又はアクリル樹脂とブロックイソシアネート化合物の混合物が好ましい。
電着液のイオン性樹脂の含有量は、特に制限されず、通常40〜90重量%程度にすればよい。その濃度が高すぎると水溶性が強くなり、電着後の水洗等で塗膜の再溶解が発生し膜厚が低下し、濃度が低すぎると水分散性が悪くなりコロイド状に分散された樹脂の沈降分離が生じる。さらに熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を併用する場合は、イオン性樹脂に対して、10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%程度使用する。その量が多すぎると水分散性が悪くなりコロイド状に分散された樹脂が沈降分離する問題が生じ、少なすぎると硬化不足となり強固な塗膜が得られない問題が生じる。
赤色のマイクロ構造体を作製する場合は赤色着色剤を、青色マイクロ構造体を作製する場合は青色着色剤を、緑色マイクロ構造体を作製する場合は緑色着色剤を、電着液中に混合分散させる。着色剤は、その粒子径が小さいものほど好ましく、電着液中に均質に分散し、電着によって析出した樹脂中においても均質に分散するものが望ましい。さらには、耐候性に優れ、所望の光学特性を示すものであれば、無機顔料、有機顔料、染料のいずれもが使用できる。その種類、含有量は、所望の光学特性等により適宜選択するようにすればよい。例えば、特定の波長の光を選択的に透過させ、不要な波長の光をカットする波長選択フィルター機能を併せ持たせたり、赤、青、緑の3色、あるいはシアン、イエロー、マゼンタの3色のマイクロレンズを配列させれば、カラーCCDやCMOS等、カラー受光素子用マイクロレンズとして利用できる。本発明の製造方法によれば、レンズ自体を着色でき、別途カラーフィルターを設ける必要がないので、受光素子とレンズとの距離を小さくでき、従来の受光素子と比べて集光率を向上させることができる。
本発明で使用する電着液の溶媒は水系溶媒であるので、有機溶媒を使用する場合と比べて、コスト面で優れている。また、水系溶媒の使用は、環境に対する負荷が小さく、作業環境の観点からも望ましい。
電着工程では、膨潤工程を終えた基板と、対極となる金属板を上記電着液に浸し、一定時間、直流電圧を印可すると、イオン性樹脂が基板側へ電気泳動し、熱硬化樹脂、着色剤を含む場合は、それらを含んで、絶縁層の放射線照射部に選択的に付着する。このとき、電極反応によりイオン性樹脂は不溶性となって析出する。なお、イオン性樹脂がカチオン性の場合は基板を陰極に、イオン性樹脂がアニオン性の場合は基板を陽極にする必要がある。
本発明のマイクロ構造体を製造する場合、電着に必要な電圧、時間は、5〜50V、10〜900秒程度である。ただし、マイクロ構造体を得るための最適な電着条件は、使用する材料の種類や、マイクロ構造体の大きさ、形状によって異なる。すなわち、絶縁層に用いる材料の種類や厚み、基板の表面抵抗、電着液や着色剤の種類、マイクロ構造体の大きさや形状等に応じて、電着条件を適宜設定する必要がある。一般には、マイクロ構造体が小さいほど、必要とする電気エネルギーが少なくてすむ。また、イオン性樹脂の析出に関しては、与えるエネルギー量(クーロン量)が重要である。ある値のエネルギー量(クーロン量)を得ることのできる電圧と時間の組み合わせは幾通りも存在する。しかしながら、電圧と時間の組み合わせは任意に選べるわけではなく、絶縁層に用いる材料の種類や厚み、基板の表面抵抗、電着液や着色剤の種類、マイクロ構造体の大きさや形状等に応じて、最適な電圧、時間の組み合わせが存在する
本発明の電着工程は、少ない電気エネルギー、短い時間で所望のマイクロ構造体を構成できる樹脂を析出させることができる。そのため、絶縁層を上記したようなサブミクロンオーダーの膜厚とすることができ、そのような場合でも基板の撥水の問題を生じさせることなくマイクロ構造体の構成に必要な電着量を析出させることができるものである。これは、本発明における「膨潤工程」を経ることによって可能となるものである。
電着工程後、電着工程で形成された樹脂層を軟化させて所定形状のマイクロ構造体を形成する。本発明ではこの工程を成形工程という。
軟化は、析出した樹脂のガラス転位点よりも高い温度で行い、好ましくは40℃より高く、180℃より低い温度、より好ましくは60℃より高く、120℃より低い温度で行う。
基板面に析出した樹脂は、電着工程直後ではまだレンズ形状を有しておらず、水分等を含んでいるが、樹脂を軟化点以上の温度にまで加熱すると、軟化した樹脂が表面張力の作用で、球面状になる。マイクロ構造体がマイクロレンズの場合、半球状、すなわち凸レンズ状に変形する。マイクロ構造体がシリンドリカルレンズの場合、半シリンドリカル状に変形する。
軟化処理により、樹脂に含まれていた水分等は蒸発により除去される。軟化に付する時間は、適宜設定されるべきもので、軟化させる温度が高いほど短く、軟化させる温度が低いほど長くなる。加熱温度が低すぎる、または加熱時間が短すぎると、樹脂中に水や溶媒が残留したり、目的とする形状が得られない等の問題があり、その温度が高すぎる、またはその時間が長すぎると、樹脂や絶縁層、着色剤が熱により変質する等の問題が生じる。
析出させた樹脂が熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を含む場合は、熱可塑性樹脂に対する上記の温度範囲内で、硬化温度より低い温度で軟化工程を行い、ひき続き硬化温度にまで温度を上げ、硬化を行う。
光硬化性樹脂を含む場合は、軟化工程後に、光を照射して樹脂を硬化させる。
成形工程は、重力の影響も受けるので、マイクロ構造体の形成面を上面にして、基板を静置して行うことが好ましい。また、成形工程は、析出させた樹脂の乾燥工程を兼ねた形態で行ってもよい。
成形工程後は、冷却を行えば、樹脂が冷え固まり、目的とするマイクロ構造体の形状が維持される。
図1a〜図1mは、赤、青、緑それぞれの色に着色されたマイクロレンズが2次元的に配列したフルカラーマイクロレンズアレイを本発明の方法により製造する方法を示している。
まず、絶縁層2の形成が、放射線照射により水に対する膨潤性示す樹脂を溶解させた溶液を基板1上に塗布して行われる(図1a)。
次いで、赤色マイクロ構造体の形状と配列に応じた開口部を有するフォトマスク3で基板2を覆い、放射線を照射する(図1b)。
放射線照射後の基板を水溶液に浸して、放射線照射部4を膨潤させる(図1c)。
膨潤後、赤色着色剤を含む電着液に基板を浸漬させて、電着法により、赤色着色剤を含む樹脂6を膨潤部5に析出させる(図1d)。
析出させた赤色樹脂6を加熱成形し、赤色マイクロレンズ7を得る(図1e)。
続いて、青色マイクロ構造体の形状と配列に応じた開口部を有するフォトマスク3で基板を覆い、放射線を照射する(図1f)。ただし、このとき、放射線照射部は赤色マイクロレンズと重ならないようにする。
放射線照射後の基板を水溶液に浸して、放射線照射部4を膨潤させる(図1g)。
膨潤後、青色着色剤を含む電着液に基板を浸漬させて電着法により、青色着色剤を含む樹脂8を膨潤部に析出させる(図1h)。
析出させた青色樹脂8を加熱成形し、青色マイクロレンズ9を得る(図1i)。
さらに続いて、緑色マイクロ構造体の形状と配列に応じた開口部を有するフォトマスク3で基板を覆い、放射線を照射する(図1j)。ただし、このとき、放射線照射部は赤色レンズおよび青色レンズと重ならないようにする。
放射線照射後の基板を水溶液に浸して、放射線照射部4を膨潤させる(図1k)。
膨潤後、緑色着色剤を汲む電着液に基板を浸漬させて電着法により、緑色着色剤を含む樹脂10を膨潤部に析出させる(図1l)。
析出させた緑色樹脂10を加熱成形し、緑色マイクロレンズ11を得る(図1m)。
フルカラーマイクロレンズの本発明製造方法をさらに具体的に実施例に例示している。
実施例1
本実施例では、シリコンウエハを基板として使用した。絶縁層を構成する樹脂として、ポリ(メチルフェニルシラン)を用い、これを溶解させる溶媒にはトルエンを使用した。また、絶縁層の形成方法はスピンコート法を用いた。
なお、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは言うまでもない。
ポリ(メチルフェニルシラン)(R. D. Miller and J. Michl, Chem. Rev., 89, 1359(1989)に従って合成)をトルエンに5重量%溶解させた溶液をシリコンウエハ(n型半導体:電気抵抗率0.02Ωcm以下:表面撥水性:接触角90度以上)上に滴下し、基板を500rpmで5秒間回転させ、さらに2000rpmで60秒間回転させた。停止時には、塗膜は乾燥しており、基板上に絶縁層が一様に形成されていた。表面形状測定装置(P-16+;KLA Tencor社製)を用いてレジスト層の膜厚を測定したところ、0.4μmであった。
上記絶縁層を、直径100μmの開口部を二次元的に配列させたフォトマスクで覆い、高圧水銀ランプにより紫外線を照射して露光を行った(露光量:5J/cm2)。
次に、紫外線照射部を膨潤させる目的で、イソプロパノールを3重量%含む水溶液に基板を5分間浸した。
一方、アクリル樹脂とメラミン樹脂を含むアニオン性電着液(SR−A301:ハニー化成(株)製)と赤色顔料分散液(EMACOL SF RED GA4012:山陽色素(株)製)(顔料:15重量%)を容積比で97:3となるよう混合させて赤色電着液を作製した。
基板の絶縁層側を白金板と対向させ、赤色電着液に浸した。定電圧電源の陽極に基板を、陰極に白金板を接続し、25Vの電圧を180秒間印加し、絶縁層の膨潤部に、赤色に着色された樹脂を析出させた。
100℃に加熱した電気オーブン内に30分間静置することで、樹脂を乾燥させると同時に軟化させて、析出させた樹脂を凸レンズ状に成形した。なお、樹脂にはメラミン樹脂が含まれているため加熱成形時に硬化する。
その結果、直径100μm、高さ5μmの赤色マイクロレンズが二次元的に配列したマイクロレンズアレイが得られた。
引続いて、直径100μmの開口部を二次元的に配列させたフォトマスクで絶縁層を覆い、高圧水銀ランプにより紫外線を照射して上記と同様に露光を行った。ただし、先に作製した赤色マイクロレンズと重ならないよう、位置を変えて露光を行った。
次に、紫外線照射部を膨潤させる目的で、イソプロパノールを3重量%含む水溶液に基板を5分間浸した。
アクリル樹脂とメラミン樹脂を含むアニオン性電着液(SR−A301:ハニー化成(株)製)と青色顔料分散液(EMACOL SF BLUE GA4011:山陽色素(株)製)(顔料:15重量%)を容積比で97:3となるよう混合させて青色電着液を作製した。
基板のレジスト層を白金板と対向させ、青色電着液に浸した。定電圧電源の陽極に基板を、陰極に白金板を接続し、25Vの電圧を180秒間印加し、レジストの膨潤部に、青色に着色された樹脂を析出させた。
100℃に加熱した電気オーブン内に30分間静置することで、樹脂を乾燥させると同時に軟化させて、析出させた樹脂を凸レンズ状に成形した。なお、樹脂にはメラミン樹脂が含まれているため加熱成形時に硬化する。
その結果、直径100μm、高さ5μmの、赤色マイクロレンズと青色マイクロレンズが二次元的に配列したマイクロレンズアレイが得られた。
さらに引続いて、直径100μmの開口部を二次元的に配列させたフォトマスクでレジスト層を覆い、高圧水銀ランプにより紫外線を上記と同様に照射して露光を行った。ただし、先に作製した赤色マイクロレンズおよび青色マイクロレンズと重ならないよう、位置を変えて露光を行った。
次に、紫外線照射部を膨潤させる目的で、イソプロパノールを3重量%含む水溶液に基板を5分間浸した。
アクリル樹脂とメラミン樹脂を含むアニオン性電着液(SR−A301:ハニー化成(株)製)と緑色顔料分散液(EMACOL SF GREEN GA4013:山陽色素(株)製)(顔料:15重量%)を容積比で97:3となるよう混合させて緑色電着液を作製した。
基板のレジスト層を白金板と対向させ、緑色電着液に浸した。定電圧電源の陽極に基板を、陰極に白金板を接続し、25Vの電圧を180秒間印加し、レジストの膨潤部に、緑色に着色された樹脂を析出させた。
100℃に加熱した電気オーブン内に30分間静置することで、樹脂を乾燥させると同時に軟化させて、析出させた樹脂を凸レンズ状に成形した。なお、樹脂にはメラミン樹脂が含まれているため加熱成形時に硬化する。
その結果、直径100μm、高さ5μmの、赤色マイクロレンズと青色マイクロレンズ、緑色マイクロレンズが二次元的に配列したフルカラーマイクロレンズアレイが得られた。このフルカラーマイクロレンズアレイの光学顕微鏡写真(倍率50倍)を図2に示した。
上記で得られたフルカラーマイクロレンズアレイを使用し、光源とフルカラーマイクロレンズとの間に設置したスライドフィルムの画像を、フルカラーマイクロレンズによって結像させた写真を図3に示す。このときの光の経路は次にように説明される。光源から発せられた光がスライドフィルムを通過し、各々のマイクロレンズの真上から入射する。入射光はマイクロレンズを通過した後、基板面で反射する。その光は再度レンズを通過し、レンズの上方で合焦して像を結ぶ。図3はそれを捉えた写真である。入射光はレンズを往復しており、受光素子に用いる場合とは光の経路が異なるものの、図3に示されているように、得られたフルカラーマイクロレンズアレイは、それぞれ赤、青、黄のマイクロレンズとして機能していることがわかる。
実施例2
ポリ(メチルフェニルシラン)をトルエンに5重量%溶解させた溶液をシリコンウエハ(n型半導体:電気抵抗率0.02Ωcm以下:表面撥水性:接触角90度以上)上に滴下し、基板を500rpmで5秒間回転させ、さらに2000rpmで60秒間回転させた。停止時には、塗膜は乾燥しており、基板上に絶縁層が一様に形成されていた。表面形状測定装置(P-16+;KLA Tencor社製)を用いてレジスト層の膜厚を測定したところ、0.4μmであった。
上記絶縁層を、直径5μmの開口部を二次元的に配列させたフォトマスクで覆い、高圧水銀ランプにより紫外線を照射して露光を行った(露光量:5J/cm2)。
次に、紫外線照射部を膨潤させる目的で、イソプロパノールを3重量%含む水溶液に基板を5分間浸した。
一方、アクリル樹脂とメラミン樹脂を含むアニオン性電着液(SR−A301:ハニー化成(株)製)と赤色顔料分散液(EMACOL SF RED GA4012:山陽色素(株)製)(顔料:15重量%)を容積比で97:3となるよう混合させて赤色電着液を作製した。
基板の絶縁層側を白金板と対向させ、赤色電着液に浸した。定電圧電源の陽極に基板を、陰極に白金板を接続し、20Vの電圧を30秒間印加し、絶縁層の膨潤部に、赤色に着色された樹脂を析出させた。
100℃に加熱した電気オーブン内に30分間静置することで、樹脂を乾燥させると同時に軟化させて、析出させた樹脂を凸レンズ状に成形した。なお、樹脂にはメラミン樹脂が含まれているため加熱成形時に硬化する。
その結果、図4で示すように、直径5μm、高さ0.3μmの赤色マイクロレンズが二次元的に配列したマイクロレンズアレイが得られた。
実施例3
ポリ(メチルフェニルシラン)をトルエンに5重量%溶解させた溶液をシリコンウエハ(n型半導体:電気抵抗率0.02Ωcm以下:表面撥水性:接触角90度以上)上に滴下し、基板を500rpmで5秒間回転させ、さらに2000rpmで60秒間回転させた。停止時には、塗膜は乾燥しており、基板上に絶縁層が一様に形成されていた。表面形状測定装置(P-16+;KLA Tencor社製)を用いてレジスト層の膜厚を測定したところ、0.4μmであった。
上記絶縁層を、幅100μmのスリット状の開口部を配列させたフォトマスクで覆い、高圧水銀ランプにより紫外線を照射して露光を行った(露光量:5J/cm2)。
次に、紫外線照射部を膨潤させる目的で、イソプロパノールを3重量%含む水溶液に基板を5分間浸した。
一方、アクリル樹脂とメラミン樹脂を含むアニオン性電着液(SR−A301:ハニー化成(株)製)と赤色顔料分散液(EMACOL SF RED GA4012:山陽色素(株)製)(顔料:15重量%)を容積比で97:3となるよう混合させて赤色電着液を作製した。
基板の絶縁層側を白金板と対向させ、赤色電着液に浸した。定電圧電源の陽極に基板を、陰極に白金板を接続し、30Vの電圧を300秒間印加し、絶縁層の膨潤部に、赤色に着色された樹脂を析出させた。
100℃に加熱した電気オーブン内に30分間静置することで、樹脂を乾燥させると同時に軟化させて、析出させた樹脂をシリンドリカルレンズ状に成形した。なお、樹脂にはメラミン樹脂が含まれているため加熱成形時に硬化する。
その結果、図5で示すように、幅100μm、高さ5μmの赤色シリンドリカルレンズが配列したシリンドリカルレンズアレイが得られた。
比較例1
ポリ(メチルフェニルシラン)をトルエンに5重量%溶解させた溶液をシリコンウエハ(n型半導体:電気抵抗率0.02Ωcm以下:表面撥水性:接触角90度以上)上に滴下し、基板を500rpmで5秒間回転させ、さらに2000rpmで60秒間回転させた。停止時には、塗膜は乾燥しており、基板上に絶縁層が一様に形成されていた。表面形状測定装置(P-16+;KLA Tencor社製)を用いてレジスト層の膜厚を測定したところ、0.4μmであった。
上記絶縁層を、直径100μmの開口部を二次元的に配列させたフォトマスクで覆い、高圧水銀ランプにより紫外線を照射して露光を行った(露光量:5J/cm2)。
一方、アクリル樹脂とメラミン樹脂を含むアニオン性電着液(SR−A301:ハニー化成(株)製)と赤色顔料分散液(EMACOL SF RED GA4012:山陽色素(株)製)(顔料:15重量%)を容積比で97:3となるよう混合させて赤色電着液を作製した。
基板の絶縁層側を白金板と対向させ、赤色電着液に浸した。定電圧電源の陽極に基板を、陰極に白金板を接続し、25Vの電圧を600秒間印加し、絶縁層の膨潤部に、赤色に着色された樹脂を析出させた。なお、実施例1と比較して電圧印加時間を長くしたのは、膨潤工程を省いたため、電着工程において、紫外線照射部の膨潤と樹脂の析出が同時に進行し、樹脂の析出に時間を要するからである。図6で示すように、紫外線照射部において基板が露出し、樹脂がはじかれている。
100℃に加熱した電気オーブン内に30分間静置することで、樹脂を乾燥させると同時に軟化させたものの、図7で示すように、レンズ状の構造体が得られたものの、形状はいびつであった。
本発明のマイクロ構造体の製造方法は、太陽電池パネルの集光用マイクロレンズや、CCD、CMOS等受光素子のマイクロレンズ、LED用レンズ等、デバイス上に直接レンズを形成するオンチップ型マイクロレンズの製造方法や、紙幣や身分証等の偽造防止に用いるセキュリティリボン用マイクロレンズの製造に利用可能である。
1 基板
2 絶縁層
3 フォトマスク
4 絶縁層の放射線照射部
5 絶縁層の膨潤部
6 析出させた赤色樹脂
7 赤色マイクロレンズ
8 析出させた青色樹脂
9 青色マイクロレンズ
10 析出させた緑色樹脂
11 緑色マイクロレンズ

Claims (11)

  1. 放射線照射により水に対する膨潤性を示す絶縁性樹脂を基板上に塗布して絶縁層を形成する絶縁層形成工程、
    マイクロ構造体の形状および配列に対応させて、前記絶縁層上にマイクロ構造体を形成する位置に、放射線を照射する放射線照射工程、
    絶縁層を水溶液に浸すことにより放射線照射部を膨潤させる膨潤工程、
    膨潤工程後の絶縁層を電着液に浸して、電着法により膨潤部に樹脂層を形成させる電着工程、および
    前記樹脂層を軟化させて所定形状のマイクロ構造体を形成する成形工程、
    を含むことを特徴とするマイクロ構造体の製造方法であって、
    膨潤工程における水溶液は、水を主成分とし、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、又は非プロトン性極性溶媒のうち1種類以上を含み、
    電着工程における電着液は、水系溶媒中にアニオン性樹脂またはカチオン性樹脂を含む、該製造方法
  2. 基板が、シリコン半導体基板である、請求項1に記載のマイクロ構造体の製造方法。
  3. 放射線照射により水に対する膨潤性を示す絶縁性樹脂が、有機ケイ素樹脂である、請求項1または2に記載のマイクロ構造体の製造方法。
  4. 絶縁層の膜厚が0.1〜10.0μmである、請求項1〜3いずれかに記載のマイクロ構造体の製造方法。
  5. 膨潤工程における水溶液が、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、又は非プロトン性極性溶媒のうち1種類以上が0.5〜50重量%を含む、請求項1〜4いずれかに記載のマイクロ構造体の製造方法。
  6. 絶縁層の膜厚が0.1〜1.0μmである、請求項1〜3、5いずれかに記載のマイクロ構造体の製造方法。
  7. さらに、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含む、請求項に記載のマイクロ構造体の製造方法。
  8. さらに着色剤を含む、請求項または請求項7に記載のマイクロ構造体の製造方法。
  9. マイクロ構造体が、マイクロレンズである、請求項1〜8いずれかに記載のマイクロ構造体の製造方法。
  10. マイクロ構造体が、マイクロレンズアレイである、請求項1〜8いずれかに記載のマイクロ構造体の製造方法。
  11. マイクロ構造体が、フルカラーマイクロレンズアレイである、請求項1〜8いずれかに記載のマイクロ構造体の製造方法。
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