JP5906040B2 - クッション体およびクッション体の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウレタンフォーム原料によって成形されるクッション体および、該クッション体の評価方法に関する。
近年、褥瘡(床擦れ)を予防するためのマットレス,枕,ソファー,椅子等に用いられるクッション体として、低反発弾性ウレタンフォームが多く採用されている。褥瘡は、クッション体の使用者が長時間にわたって同じ態勢でクッション体の支持面に接触している場合に、使用者のクッション体の支持面への接触部分で、血行が不良となるために生じるものとされている。低反発弾性ウレタンフォームは、使用者の体圧を効果的に分散させることが可能とされており、優れた体圧分散性により、使用者のクッション体への接触部分の血行不良を抑制し、褥瘡を予防することが可能とされている。下記特許文献1〜4には、低反発弾性ウレタンフォームを用いたクッション体によって、褥瘡を予防するための技術が記載されている。
特開2000−5244号公報 特開平11−137613号公報 特開2003−325591号公報 特許2587290号公報
上記特許文献1〜4に記載のクッション体では、体圧分散性に優れた低反発弾性ウレタンフォームによって、クッション体の使用者の血行不良を抑制し、褥瘡をある程度予防することが可能となっている。一方で、褥瘡の発生要因としては、体圧によって使用者に作用する圧縮応力だけでなく、使用者とクッション体の支持面との間のズレによって使用者に作用する引っ張り応力,剪断応力も褥瘡の発生要因の1つとして考えられている。しかしながら、上記特許文献1〜4に記載のクッション体では、そのような引っ張り応力,剪断応力に関して、殆ど考慮されておらず、褥瘡を確実に予防しているとは言い難い。詳しく言えば、そのようなクッション体は、使用者によって長時間圧縮されると、その使用者の接触部の形に沿った形状となるが、引っ張り応力,剪断応力に関して考慮されていないと、その形状となっているクッション体に対して、使用者は横方向にズレ難く、使用者の皮膚への負担が大きくなってしまう。
このように、褥瘡を予防することが可能なクッション体には、改良の余地を多分に残すものとなっており、種々の改良を施すことによって、クッション体の実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いクッション体およびクッション体の評価方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のクッション体は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒を含むウレタンフォーム原料によって成形されるクッション体において、ズレ強度が、0.61N/mm以下であり、硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)が、15〜55Nであり、褥瘡を予防するための製品に用いられるクッション体であって、前記ズレ強度(N/mm)は、直方体形状に成形された当該クッション体の試験片(厚み50mm×幅150mm×長さ150mm)を、その底面が水平方向に移動しないように水平面上に配置して、前記試験片上面(幅150mm×長さ150mm)上に、63mm×63mmの矩形平面状の底面を有する重量1200gの錘を乗せて、前記錘を、前記試験片上面に対して滑らない状態で、水平方向に100mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた場合の荷重および移動距離を、該移動距離が30mmまで連続的に測定し、前記錘の水平方向への移動時における前記移動距離に対する前記荷重の勾配の最大値と規定され、前記ポリオールは、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が30質量%以下であるEO低含有ポリオールを含み、そのEO低含有ポリオールの量は、前記ポリオールの量を100質量%とした場合に、60質量%以上であり、前記発泡剤は、水を含み、その水の量が、前記ポリオール100質量部に対して1.5〜4質量部であり、さらに、前記水の沸点より低い沸点の補助発泡剤を含み、イソシアネートインデックスが、85〜105であり、反発弾性(JIS K 6400−3:2011)が、43%以上であるように構成される。
また、上記課題を解決するために、本発明のクッション体の評価方法は、皮膚の発赤および褥瘡を予防する為の製品に用いられるクッション体の評価方法であって、直方体形状に成形した前記クッション体の試験片を、その底面が水平方向に移動しないように水平に配置して、前記試験片の上面に、単位面積あたりの荷重が0.05〜0.50gf/mmの範囲となる錘を載せ、該錘を、前記試験片上面に対して滑らない状態で、水平方向に10〜300mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた場合の荷重および移動距離を、該移動距離が3〜50mmまで連続的に測定し、前記錘の水平方向への移動時における前記移動距離に対する前記荷重の勾配の最大値をズレ強度とした場合、該ズレ強度によって前記皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価するように構成される。
本発明の褥瘡を予防するための製品に用いられるクッション体では、上記ズレ強度を測定するための装置の金属板に作用する横方向の荷重を、クッション体の使用者に作用する横方向の荷重と想定して、上記ズレ強度を0.61N/mm以下に限定している。これにより、本発明のクッション体の使用者に作用する引っ張り応力,剪断応力を小さくすることが可能となり、使用者とクッション体の支持面との間のズレを考慮して、褥瘡を予防することが可能となる。さらに、本発明のクッション体では、硬さが15〜55Nとされており、比較的低くされている。これにより、使用者の皮膚への負担を低減することが可能となり、褥瘡を効果的に予防することが可能となる。また、本発明のクッション体では、反発弾性が43%以上とされており、比較的高反発のクッション体とされている。さらに、本発明のクッション体では、発泡剤として、水とともに、水の沸点より低い沸点の補助発泡剤が採用されている。これにより、フロン等の環境負荷物質を用いることなく、反応時の発熱を十分に抑えながら、密度の低いクッション体を成形することが可能となる。また、本発明のクッション体の評価方法では、クッション体の使用者に作用する横方向の荷重を考慮して、クッション体の物性を評価することが可能となる。これにより、好適に皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価することが可能となる。
実施例および比較例のクッション体を成形するためのウレタンフォーム原料の配合量を示す表である。 比較例のクッション体を成形するためのウレタンフォーム原料の配合量を示す表である。 実施例および比較例のクッション体の物性評価を示す表である。 比較例のクッション体の物性評価を示す表である。 実施例および比較例のクッション体のズレ強度を測定するための装置を示す概略図である。
本発明に記載の「ズレ強度」は、ウレタンフォーム原料によって成形されるクッション体の試験片(50mm×150mm×150mm)を水平面上に配置して、それの上面(150mm×150mm)上に重量1200gの錘を載せた状態で、その錘を水平方向に100mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた際の、錘の水平方向への移動距離(mm)に対する錘に作用する水平方向への荷重(N)の勾配の最大値である。つまり、錘が試験体に垂直方向に加重した状態で、錘に作用する水平方向の荷重(N)を錘の水平方向への移動距離(mm)で除したもの、言い換えれば、錘に作用する水平方向の荷重(N)の錘の水平方向への移動距離(mm)に対する比率の最大値である。さらに換言すれば、加重物が試験体に作用する方向の垂直方向への移動距離に対する同方向への荷重の最大値である。この値を小さくすることで、クッション体を使用する使用者に作用する引っ張り応力,剪断応力を小さくすることが可能となり、使用者とクッション体の支持面との間のズレを考慮して、褥瘡を予防することが可能となるのである。この値、つまり、ズレ強度は、0.68N/mm以下であれば良いが、0.61N/mm以下であれば、さらに良い。
また、試験片の上面に乗せられる重量1200gの錘は、63mm×63mmの矩形平面の底面を有するものであれば良く、1つの部材から構成されるものであってもよく、2つ以上の部材から構成されるものであってもよい。具体的には、例えば、試験片の上面に矩形平面状の重量200gの金属板(63mm×63mm)を載置するとともに、その金属板上に、さらに、重量1000gの金属製の部材を載置してもよい。また、試験片の上面に錘、若しくは、金属板等を載せる場合には、試験片の上面に載せられるものの底面の一辺と試験片の上面の幅方向の一辺が一致するとともに、試験片の上面に載せられるものの底面の中心が、クッション体の幅方向における中央線上に位置するように構成されることが望ましい。また、錘に対して水平方向に荷重を作用させる場合には、錘を横方向に引っ張ってもよく、押してもよい。
また、本発明に記載の「クッション体」の硬さは、JIS K 6400−2:2004 D法に基づく方法に準拠して測定され、15〜55Nとされており、本発明のクッション体は、非常に優れた使用感のクッション体となっている。このため、本発明のクッション体は、使用者の皮膚への負担を低減することが可能となり、さらに、褥瘡を予防することが可能となる。
上述したように、ズレ強度が小さく、低硬度のクッション体によれば、効果的に褥瘡を予防することが可能であり、さらに言えば、褥瘡の前段階と考えられる発赤をも効果的に予防することが可能となる。このようなクッション体は、種々の分野の製品、具体的には、枕,マットレス等の寝具用製品,ソファー,椅子等の家具用製品,乗り物用のシート等に用いることが可能であるが、上記効果を考慮すると、褥瘡、発赤を予防するための製品に用いられることが好ましい。さらに言えば、医療の分野で使用される製品、具体的には、患者用マットレス,車椅子のクッション等に用いられることが好ましい。特に、手術中において患者は長時間同じ姿勢を取らなければならないことから、手術用マットレスに用いられることが好ましい。
手術用マットレスとしてクッション体を用いる場合には、そのクッション体の温度依存性を考慮する必要がある。低反発弾性ウレタンフォームには、温度依存性の高いものが多くあり、ある程度温度が低くなっただけで、硬度が高くなるものがある。脳外科手術等においては、患者の体温をある程度低くして手術を行う場合があり、このような場合に、そのような温度依存性の高い低反発弾性ウレタンフォーム製のクッション体では、適切に褥瘡を予防し難くなる。このため、本発明のクッション体では、温度依存性の低いものを採用することが好ましい。具体的には、クッション体が0℃であるときの硬さ(JIS K
6400−2:2004 D法)の、クッション体が30℃であるときの硬さ(JIS
K 6400−2:2004 D法)に対する比率が、150%以下とされることが好ましく、さらに言えば、105%以下とされることが好ましい。また、温度依存性の低いクッション体を、ガラス転移温度によって限定することも可能であり、ガラス転移温度は、0℃以下であることが好ましく、さらに言えば、−10℃以下であることが好ましい。
また、褥瘡を予防するためには、クッション体の通気性が高いことが望まれており、本発明のクッション体では、ASTM D 7534:2009に基づく方法に準拠して測定された通気性が、100L/min以上であることが好ましく、さらに言えば、130L/min以上であることが好ましい。
さらに、本発明のクッション体では、JIS K 7222に基づく方法に準拠して測定された見掛け密度は、15〜25kg/mであることが好ましい。このように低密度であれば、クッション体は比較的軽量となる。これにより、このクッション体が医療現場等で使用されるような場合には、看護師等の現場作業者の負担を軽減することが可能となる。
また、本発明に記載の「ポリオール」は、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位(以下、EO単位と略す)の含有量が60質量%以上(100質量%であってもよい)であるEO高含有ポリオールを含んでいることが好ましい。このEO単位の含有量は70質量%以上、特に80質量%以上であることが好ましい。また、EO高含有ポリオールの含有量は、ポリオールを100質量%とした場合に、3〜22質量%であることが好ましく、さらに言えば、5〜20質量%、特に5〜15質量%であることが好ましい。これにより、密度、硬度が低く柔軟であり、通気性が高いクッション体を成形することが可能となる。
EO高含有ポリオールの官能基数は、特に限定されないが、2〜4、特に2.5〜3.5であることが好ましい。また、EO高含有ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した数平均分子量も特に限定されないが、2000〜5000、特に3000〜4000であることが好ましい。
また、本発明に記載の「ポリオール」は、上記EO高含有ポリオールとそれ以外の1種類以上のポリオールとで構成される。EO高含有ポリオール以外のポリオールとしては、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであれば特に限定されないが、反応時の破泡を適度に促進するべく、EO単位の含有量が低いEO低含有ポリオールを採用することが好ましい。具体的には、EO低含有ポリオールのEO単位の含有量は、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に30質量%以下であることが好ましく、さらに言えば、15質量%以下、特に10質量%以下(EO単位が含有されていなくてもよい)であることが好ましい。それらEO高含有ポリオールとEO低含有ポリオールとを併用することで、反応時の破泡の促進によって、より容易に、密度、硬度が低く柔軟であり、通気性が高いクッション体を成形することが可能となる。
EO低含有ポリオールの官能基数は、特に限定されないが、2〜4、特に2.5〜3.5であることが好ましい。また、EO低含有ポリオールのGPCにより測定した数平均分子量も特に限定されないが、2000〜5000、特に2000〜4000であることが好ましい。さらに、EO低含有ポリオールの含有量は、ポリオールを100質量%とした場合に、60質量%以上であることが好ましい。ちなみに、ポリオールは、EO高含有ポリオールとEO低含有ポリオールとによってのみ構成されるものであってもよく、この場合には、EO低含有ポリオールの含有量は、ポリオールの全量からEO高含有ポリオールの量を引いた量となる。
本発明に記載の「発泡剤」としては、水を採用することが好ましく、その水の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、1.5〜4質量部であることが好ましい。その水は特に限定されず、例えば、イオン交換水、水道水、蒸留水等の各種の水を用いることができる。
さらに、発泡剤として、水に加えて、水の沸点より低い沸点の補助発泡剤を採用することが好ましい。その補助発泡剤としては、ペンタン,シクロペンタン,メチレンクロライド,液化二酸化炭素等が挙げられるが、特に、液化二酸化炭素が好ましい。その液化二酸化炭素の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、3〜5質量部であることが好ましく、さらに言えば、3.2〜4.5質量部、特に3.5〜4.0質量部であることが好ましい。また、液化二酸化炭素とともに用いられる際の水の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、2.0〜4.0質量部であることが好ましく、さらに言えば、2.5〜3.7質量部、特に3.0〜3.5質量部であることが好ましい。これにより、フロン等の環境負荷物質を用いることなく、反応時の発熱を十分に抑えながら、密度の低いクッション体を成形することが可能となる。
液化二酸化炭素は、例えば、ウレタンフォーム原料が供給されて混合攪拌される原料混合用のミキシングヘッドに、液状のまま供給される。そして、液化二酸化炭素は、ミキシングヘッド内で気化し、フォーム原料が泡状になる。この際、水とポリイソシアネートとの反応により生成する二酸化炭素によっても、ウレタンフォーム原料が泡化し、泡化反応が促進される。そして、泡状の原料混合物がオークスミキサや多層構造の金属製のフィルター等に供給され、次いで、樹脂フィルム等の支持体上に吐出される。その後、加熱炉等により加熱され、硬化することで、ウレタンフォームが製造される。
本発明に記載の「ポリイソシアネート」は、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI等が挙げられる。それら種々のポリイソシア
ネートのうちの1種または2種以上を併用したものを、ウレタンフォーム原料として用いることが可能である。
ポリオールとポリイソシアネートとの配合量の比率は、ポリオール中の全活性水素基濃度に対する、ポリイソシアネート中のイソシアネート基濃度の当量比の百分率、所謂、イソシアネートインデックスによって示すことができる。イソシアネートインデックスは、特に限定はされないが、低すぎると、発泡が好適に行なわれず、高すぎると、良好なクッション性を得られないため、85〜105とすることが好ましく、さらに言えば、95〜100とすることが好ましい。
本発明に記載の「触媒」は、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルホリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種または2種以上を併用したものを、ウレタンフォーム原料として用いることが可能である。なお、触媒の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.1〜1.5質量部であることが好ましい。
本発明に記載の「整泡剤」は、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。整泡剤の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜2.0重量部であることが好ましい。
なお、ウレタンフォーム原料に、必要に応じて適宜、添加剤を添加することが可能である。添加剤としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、希釈剤等が挙げられる。
本発明のクッション体の製造方法は特に限定されず、ウレタンフォームの製造における一般的な方法をそのまま採用することができる。例えば、上記ウレタンフォーム原料を使用し、ワンショット法またはプレポリマー法により反応、硬化させることにより、ウレタンスラブフォームを製造し、このスラブフォームから所定寸法のフォームを切り出し、クッション体が製造される。ちなみに、発泡剤のうちの水、触媒及び整泡剤等は、通常、ポリオールに配合され、ポリオール成分が混合される。そして、このポリオール成分、ポリイソシアネート及び液化二酸化炭素が混合され、その混合によって泡化反応が生じ、ウレタンフォームが製造される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1および図2に示す配合のウレタンフォーム原料から、実施例および比較例のクッション体を成形した。それら図1および図2におけるウレタンフォーム原料の詳細を以下に示す。
・ポリオールA;商品名:GP−3050NS、三洋化成社製、数平均分子量:3000、官能基数:3、EO単位含有量:8質量%
・ポリオールB;商品名:FA−103、三洋化成社製、数平均分子量:3400、官能基数:3、EO単位含有量:80質量%
・ポリオールC;商品名:G−700、旭電化工業社製、数平均分子量:700、官能基数:3、EO単位含有量:0質量%
・イソシアネート;TDI(2,4−TDI:2,6−TDI=80:20)、商品名:デスモジュールT−80、住友バイエル社製
・アミン系触媒;商品名:カオライザーNo.25、花王社製
・金属系触媒;ジブチルスズジラウレート、商品名:MRH−110、城北化学工業社製・整泡剤;商品名:BF−2370、東レダウコーニング社製
図1,2の実施例1〜および比較例1,2,5,6の各々の配合に従って、クッション体を製造した。具体的には、所定量のポリオール、発泡剤としての水、触媒、整泡剤を攪拌容器内で混合(プレミックス)する。そして、その混合された原料と、図1若しくは図2に示されたイソシアネートインデックスに相当する量のポリイソシアネートと、所定量の液化二酸化炭素を原料混合用のミキシングヘッドに供給し、攪拌する。その後、泡状の原料混合物を多層構造の金属製のフィルターに供給し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に吐出させる。続いて、加熱炉内を通過させ、反応、硬化させて、スラブフォームを製造する。そして、任意の形状にフォームを切り出すことで、クッション体が製造される。この製造された実施例1〜および比較例1,2,5,6のクッション体に対して、以下の方法によって物性評価を行なった。さらに、既存の手術用マットレスを比較例3,4として、同様の方法によって物性評価を行った。
JIS K 7222:2005に基づく方法に準拠してクッション体の見掛け密度(kg/m)を測定した。見掛け密度(kg/m)は、それの値が小さいほど、低密度化に優れたクッション体であることを示しており、軽量であることを示している。なお、図3および図4の「見掛け密度」の欄にその値を示しておく。
JIS K 6400−2:2004 D法に基づく方法に準拠して硬さ(N)を測定した。硬さ(N)は、それの値が小さいほど、柔らかく、優れた使用感のクッション体であることを示している。測定された硬さの値が特に良好な場合には、「◎」と、ある程度良好な場合には、「○」と、普通である場合には、「△」と、不良である場合には、「×」と評価した。この評価は、硬さが20〜40Nであるものは「特に良好(◎)」と評価し、その範囲内でなくても15〜55Nであるものは「良好(○)」と評価した。なお、測定値、および評価の結果を、図3,4の「硬さ」と「判定」の欄に示しておく。
JIS K 6400−3:2011(厚み50mm)に基づく方法に準拠して反発弾性(%)を測定した。反発弾性(%)は、それの値が小さいほど、体圧分散性に優れたクッション体であることを示しており、使用者に作用する圧縮応力を小さくすることが可能であることを示している。なお、図3および図4の「反発弾性」の欄にその値を示しておく。
ASTM D 7534:2009に基づく方法に準拠して通気性(L/min)を測定した。通気性(L/min)は、それの値が大きいほど、セル内を空気が流れやすく、湿気を解消し易いことを示している。測定された通気性の値が特に良好な場合には、「◎」と、ある程度良好な場合には、「○」と、普通である場合には、「△」と評価した。この評価は、通気性が130L/min以上であるものは「特に良好(◎)」と評価し、その値未満で100L/min以上であるものは「良好(○)」と評価した。なお、測定値、および評価の結果を、図3,4の「通気性」と「判定」の欄に示しておく。
また、クッション体を0℃とした場合の硬さ(N)と、クッション体を30℃とした場合の硬さ(N)とを、それぞれ、JIS K 6400−2:2004 D法に基づく方法に準拠して測定した。そして、クッション体が0℃であるときの硬さ(N)の、クッション体が30℃であるときの硬さに対する比率(%)を、相対硬さとして、演算した。この相対硬さは、それの値が100%に近いほど、クッション体が低温となっても硬くなり難いことを示しており、温度依存性が低いことを示している。
さらに、温度依存性を、上記相対硬度とは異なる手法によって評価するべく、JIS K 7121−1987(プラスチックの転移温度測定方法)における中間点ガラス転移温度の測定方法に準拠してガラス転移温度(℃)を測定した。ガラス転移温度(℃)は、それの値が低いほど、クッション体の硬度が高くなる温度が低いことを示しており、温度依存性が低いことを示している。上記相対硬度およびガラス転移温度の値が特に良好な場合には、「◎」と、普通である場合には、「△」と、不良である場合には、「×」と評価した。この評価は、相対硬度が105%以下であるもの、および、ガラス転移温度が0℃以下のものは「特に良好(◎)」と評価した。なお、相対硬度の演算値、ガラス転移温度の測定値、および評価の結果を、図3,4の「相対硬度」と「ガラス転移温度」と「判定」の欄に示しておく。
また、使用者とクッション体の支持面との間のズレの大きさを評価するべく、ズレ強度を測定した。そのズレ強度を測定するための測定装置10を、図5に示す。測定装置10は、クッション体の試験片12を載置するための載置台14と、その試験片12の上面に載置する金属板16と、その金属板16の上に載置するおもり18と、金属板16に一端が接続されるとともに、横方向に延出する牽引紐20と、その牽引紐20の延出方向を上方向に転換する滑車22と、牽引紐20の他端に接続され、その牽引紐を牽引するとともにズレ強度を測定する牽引・測定器24とを備えている。
試験片12は、クッション体から50mm×150mm×150mmの大きさに切り出されたものであり、直方体形状とされている。そして、その試験片12が、1対の正方形状の面(150mm×150mm)が上下方向を向くとともに、それの上面が水平となるようにして、載置台14上に載せられている。また、金属板16の寸法は、63mm×63mmとされており、それの重量は、200gとされている。そして、その金属板16が、試験片12の上面の中央から端に向かってズレた位置に載置されている。詳しく言えば、金属板16の一辺を試験片12の上面の幅方向に延びる一辺(図での試験片12の左端辺)に一致させるとともに、金属板16の中心を試験片12の幅方向における中央線上に配置させている。
金属板16の上面に載置されるおもり18は、鋼鉄製とされており、重量は、1000gとされている。金属板16に一端が接続された牽引紐20は、水平方向に延び出しており、中間部において、滑車22により延び出し方向が転換され、他端部側が上方に延び出している。その牽引紐20の他端に接続された牽引・測定器24は、牽引紐20を上方向に牽引するとともに、その牽引した量(mm)および牽引荷重(N)を連続的に測定するものとされている。つまり、牽引・測定器24は、金属板16の水平方向への移動距離(mm)および金属板に作用する水平方向への荷重(N)を連続的に測定するものとされている。ちなみに、牽引・測定器24による牽引速度は、100mm/minとされており、牽引時に金属板16が試験片12の上面を滑らないようにされている。また、牽引量が30mmとなるまでその牽引量(mm)および牽引荷重(N)が測定されている。
この牽引・測定器24によって連続的に測定された金属板の移動距離に対する金属板に作用する荷重の勾配を演算し、その勾配の最大値をズレ強度(N/mm)としている。言い換えれば、金属板に作用する荷重を金属板の移動距離で除した値を連続的に演算し、その演算値の最大値をズレ強度(N/mm)としている。このズレ強度は、それの値が小さいほど、金属板16が横方向にズレ易いことを示しており、クッション体の使用者に作用する引っ張り応力,剪断応力を小さくすることが可能であることを示している。そのズレ強度の値が特に良好な場合には、「◎」と、良好である場合には、「○」と、不良である場合には、「×」と評価した。この評価では、ズレ強度が0.61N/mm以下であるものは「特に良好(◎)」と評価し、その値より大きく0.68N/mm以下であるものは「良好(○)」と評価している。ちなみに、このズレ強度を10名の被験者の掌の上で測定したところ、それの値は、0.62〜0.79N/mmの範囲内に収まっており、平均値は、0.71N/mmであった。このことから、上記ズレ強度の評価は妥当なものであると考えられる。なお、ズレ強度の演算値、および評価の結果を、図3,4の「ズレ強度」と「判定」の欄に示しておく。
なお、本試験において、金属板16の牽引速度は、100mm/minとされているが、10〜300mm/minであってもよい。その牽引に伴う金属板16の移動距離は、本試験では、30mmとされているが、3〜50mmであってもよい。また、試験片12への上載荷重、つまり、金属板16とおもり18との合計荷重は、本試験では、0.30gf/mmとされているが、0.05〜0.50gf/mmであってもよい。
さらに、上記測定装置10でズレ強度が測定される際に、その測定装置10によってクッション体の圧縮時における撓み易さも測定している。詳しく言えば、図5に示すように、おもり18が載せられた金属板16を試験片12の上面に載置した状態での試験片12の厚さ(mm)である圧縮時厚さを測定する。そして、その圧縮時厚さを金属板16等が載置されていない状態の試験片12の厚さである圧縮前厚さ(50mm)から減算し、その減算された値の圧縮前厚さに対する比率を、圧縮時撓み率(%)として演算する。つまり、圧縮時撓み率は、下記式に従って演算されるものであり、それの値が大きいほど、撓み易い、つまり、変形し易いことを示している。
圧縮時撓み率(%)=〔(圧縮前厚さ−圧縮後厚さ)/圧縮前厚さ〕×100
ちなみに、圧縮時撓みの演算値を、図3,4の「圧縮時撓み率」の欄に示しておく。
なお、圧縮時撓み率は、同一材料からなるクッション体では、硬さと逆相関の関係にあるが、材料が異なった場合には、必ずしも逆相関の関係にならない。ただし、材料が異なった場合であっても、圧縮時撓み率は、実際に使用者の体部位がクッション体上に載置された場合の変形量と相関関係にある。すなわち圧縮時撓み率が相対的に大きい場合には、クッション体の変形量が大きく、使用者の体表面に追従した変形が可能であることを示している。このため、圧縮時撓み率は、皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価する上で好適な物性評価値となっている。また、圧縮時撓み率は、上記ズレ強度の測定と同時に測定できることから、非常に便利である。
そして、実施例1および比較例3,4のクッション体に対して、臨床試験を行った。詳しく言えば、実際の手術に際して上記実施例1および比較例3,4のクッション体を患者のマットレスとして使用し、その患者の皮膚に異常が発生しているか否かを目視によって判定した。この臨床試験の被験者は、31名であり、年齢は、4〜70歳の男女であり、被験者がマットレス上に寝ていた時間は、約2〜11時間であった。
臨床試験の結果として、実施例1のクッション体では、被験者31名のうち5名の被験者に発赤が生じるが、その5名のうち2名の発赤は比較的早期に消失した。一方、比較例3,4のクッション体では、被験者31名のうち殆どの被験者に発赤が生じた。ちなみに、発赤は、褥瘡の前段階に生じるものであり、軽度の皮膚異常と考えられている。この結果から、図3の実施例1の「臨床結果」の欄に「◎」と示し、図4の比較例3,4の「臨床結果」の欄に「△」と示しておく。
この臨床結果から、実施例1のクッション体が、比較例3,4のクッション体よりも、褥瘡の予防に適していることが解る。実施例1のクッション体は、比較例3,4のクッション体と比較して、反発弾性が高いにも関わらず、褥瘡予防に適しているのである。このことから、クッション体の使用者に作用する引っ張り応力,剪断応力が、褥瘡の大きな発生要因となっていることが解る。つまり、クッション体のズレ強度が低いほど、褥瘡を効果的に予防することが可能となるのである。
上記全ての物性値を評価すると、実施例1〜5のクッション体に関しては、全ての評価が、「良好(○)」または「特に良好(◎)」となっており、実施例1,2のクッション体に関しては、全ての評価が、「特に良好(◎)」となっている。一方、変形例1〜4のクッション体の評価では、「普通(△)」以上の評価もあるが、「不良(×)」の評価が散見される。
以上の結果から、水の配合量がポリオールを100質量部とした場合に、4.3重量部以上であることは好ましくなく、また、イソシアネートインデックスが110以上であることは好ましくないことが解る。したがって、水の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、1.5〜4.0重量部であることが好ましく、イソシアネートインデックスは、85〜105であることが好ましい。
また、実施例1〜5と比較例5,6とを比較して分かるように、発泡剤として水および補助発泡剤を使用することで、クッション体の物性評価が良くなる。特に、通気性、温度依存性、圧縮時撓み率、ズレ強度の評価が良くなっており、これらの評価がよいクッション体は、褥瘡の予防に適している。このことから、発泡剤として水および補助発泡剤を使用することが好ましい。特に、実施例1,2と実施例3とを比較して分かるように、補助発泡剤として液化二酸化炭素を使用することで、通気性が高くなる。このことから、補助発泡剤として液化二酸化炭素を使用することが好ましい。
また、実施例1〜3と実施例4,5とを比較して分かるように、ポリオールとしてEO単位含有量の高いポリオール(EO高含有ポリオール)とEO単位含有量の低いポリオール(EO低含有ポリオール)とを採用することで、クッション体の物性評価が良くなる。特に、硬度、圧縮時撓み率、ズレ強度の評価が良くなっており、これらの評価がよいクッション体は、褥瘡の予防に適している。このことから、ポリオールとしてEO高含有ポリオールEO低含有ポリオールとを採用することが好ましい。
以下、本発明の諸態様について列記する。
(1)ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒を含むウレタンフォーム原料によって成形されるクッション体において、
ズレ強度が、0.68N/mm以下であり、
硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)が、15〜55Nであるクッション体であって、
前記ズレ強度(N/mm)は、
直方体形状に成形された当該クッション体の試験片(厚み50mm×幅150mm×長さ150mm)を、その底面が水平方向に移動しないように水平面上に配置して、
前記試験片上面(幅150mm×長さ150mm)上に、63mm×63mmの矩形平面状の底面を有する重量1200gの錘を乗せて、
前記錘を、前記試験片上面に対して滑らない状態で、水平方向に100mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた場合の荷重および移動距離を、該移動距離が30mmまで連続的に測定し、
前記錘の水平方向への移動時における前記移動距離に対する前記荷重の勾配の最大値と規定される。
(2)当該クッション体が0℃であるときの硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)の当該クッション体が30℃であるときの硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)に対する比率が、150%以下である(1)項に記載のクッション体。
(3)ガラス転移温度(JIS K 7121−1987)が、0℃以下である(1)項
または(2)項に記載のクッション体。
(4)通気性(ASTM D 7534:2009)が、100L/min以上である(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(5)見掛け密度(JIS K 7222)が、15〜25kg/mである(1)項な
いし(4)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(6)発赤を予防するための製品に用いられる(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(7)褥瘡を予防するための製品に用いられる(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(8)マットレスとして用いられる(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(9)前記ポリオールは、
アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が60質量%以上であるEO高含有ポリオールを含み、
そのEO高含有ポリオールの量は、前記ポリオールの量を100質量%とした場合に、3〜22質量%である(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(10)前記ポリオールは、
アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が30質量%以下であるEO低含有ポリオールを含み、
そのEO低含有ポリオールの量は、前記ポリオールの量を100質量%とした場合に、60質量%以上である(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(11)前記発泡剤は、
水を含み、その水の量が、前記ポリオール100質量部に対して1.5〜4質量部である(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のクッション体。
(12)前記発泡剤は、
さらに、前記水の沸点より低い沸点の補助発泡剤を含む(11)項に記載のクッション体。
(13)前記補助発泡剤は、
液化二酸化炭素であり、その液化二酸化炭素の量が、前記ポリオール100質量部に対して3〜5質量部であり、前記水の量が、前記ポリオール100質量部に対して2〜4質量部である(12)項に記載のクッション体。
(14)イソシアネートインデックスが、85〜105である(1)項ないし(13)項のい
ずれか1つに記載のクッション体。
(15)皮膚の発赤および褥瘡を予防する為の製品に用いられるクッション体の評価方法であって、
直方体形状に成形した前記クッション体の試験片を、その底面が水平方向に移動しないように水平に配置して、
前記試験片の上面に、単位面積あたりの荷重が0.05〜0.50gf/mmの範囲となる錘を載せ、
該錘を、前記試験片上面に対して滑らない状態で、水平方向に10〜300mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた場合の荷重および移動距離を、該移動距離が3〜50mmまで連続的に測定し、
前記錘の水平方向への移動時における前記移動距離に対する前記荷重の勾配の最大値をズレ強度とした場合、
該ズレ強度によって前記皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価するクッション体の評価方法。
(16)前記試験片に前記錘を載せた状態で、撓み量(mm)を測定し、
前記試験片の前記錘を載せる前の厚み(mm)に対する、前記撓み量(mm)の比率を圧縮時撓み率(%)とした場合、
前記擦れ強度と前記圧縮時撓み率との両方によって、前記皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価する(15)項に記載のクッション体の評価方法。
12:試験片
16:金属板(錘)
18:おもり(錘)

Claims (9)

  1. ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒を含むウレタンフォーム原料によって成形されるクッション体において、
    ズレ強度が、0.61N/mm以下であり、
    硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)が、15〜55Nであり、褥瘡を予防するための製品に用いられるクッション体であって、
    前記ズレ強度(N/mm)は、
    直方体形状に成形された当該クッション体の試験片(厚み50mm×幅150mm×長さ150mm)を、その底面が水平方向に移動しないように水平面上に配置して、
    前記試験片上面(幅150mm×長さ150mm)上に、63mm×63mmの矩形平面状の底面を有する重量1200gの錘を乗せて、
    前記錘を、前記試験片上面に対して滑らない状態で、水平方向に100mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた場合の荷重および移動距離を、該移動距離が30mmまで連続的に測定し、
    前記錘の水平方向への移動時における前記移動距離に対する前記荷重の勾配の最大値と規定され
    前記ポリオールは、
    アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が30質量%以下であるEO低含有ポリオールを含み、
    そのEO低含有ポリオールの量は、前記ポリオールの量を100質量%とした場合に、60質量%以上であり、
    前記発泡剤は、
    水を含み、その水の量が、前記ポリオール100質量部に対して1.5〜4質量部であり、さらに、前記水の沸点より低い沸点の補助発泡剤を含み、
    イソシアネートインデックスが、85〜105であり、
    反発弾性(JIS K 6400−3:2011)が、43%以上であるクッション体。
  2. 当該クッション体が0℃であるときの硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)の当該クッション体が30℃であるときの硬さ(JIS K 6400−2:2004 D法)に対する比率が、150%以下である請求項1に記載のクッション体。
  3. ガラス転移温度(JIS K 7121−1987)が、0℃以下である請求項1または請求項2に記載のクッション体。
  4. 通気性(ASTM D 7534:2009)が、100L/min以上である請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のクッション体。
  5. 見掛け密度(JIS K 7222)が、15〜25kg/mである請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のクッション体。
  6. 前記ポリオールは、
    アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合に、エチレンオキサイド単位の含有量が60質量%以上であるEO高含有ポリオールを含み、
    そのEO高含有ポリオールの量は、前記ポリオールの量を100質量%とした場合に、3〜22質量%である請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のクッション体。
  7. 前記補助発泡剤は、
    液化二酸化炭素であり、その液化二酸化炭素の量が、前記ポリオール100質量部に対して3〜5質量部であり、前記水の量が、前記ポリオール100質量部に対して2〜4質量部である請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載のクッション体。
  8. 皮膚の発赤および褥瘡を予防する為の製品に用いられるクッション体の評価方法であって、
    直方体形状に成形した前記クッション体の試験片を、その底面が水平方向に移動しないように水平に配置して、
    前記試験片の上面に、単位面積あたりの荷重が0.05〜0.50gf/mmの範囲となる錘を載せ、
    該錘を、前記試験片上面に対して滑らない状態で、水平方向に10〜300mm/minの速度で外部からの荷重により移動させた場合の荷重および移動距離を、該移動距離が3〜50mmまで連続的に測定し、
    前記錘の水平方向への移動時における前記移動距離に対する前記荷重の勾配の最大値をズレ強度とした場合、
    該ズレ強度によって前記皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価するクッション体の評価方法。
  9. 前記試験片に前記錘を載せた状態で、撓み量(mm)を測定し、
    前記試験片の前記錘を載せる前の厚み(mm)に対する、前記撓み量(mm)の比率を圧縮時撓み率(%)とした場合、
    前記擦れ強度と前記圧縮時撓み率との両方によって、前記皮膚の発赤および褥瘡への影響の度合いを評価する請求項8に記載のクッション体の評価方法。
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