以下、本発明を車両に用いられる薄型の空調用レジスタに具体化した一実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その車幅方向についての中央部、両側部等には本実施形態の空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、一般的な非薄型の空調用レジスタと同様、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の向きを調整すること、空調用空気の吹き出しを遮断すること等である。
図1及び図5に示すように、空調用レジスタは、ケース10、下流側フィン群、上流側フィン群、操作ノブ40、連動機構60、シャットダンパ70及びダンパ駆動機構80を備えている。次に、空調用レジスタを構成する各部の構成について説明する。
<ケース10>
ケース10は、空調装置の通風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、上流側リテーナ11、下流側リテーナ12及びベゼル13を備えている。ケース10は、両端が開放され、かつ横方向の寸法が縦方向の寸法よりも大きな四角筒状をなしている。このケース10の内部空間は、空調用空気Aの流路(以下「通風路20」という)とされている。
ここで、上記通風路20での空調用空気Aの通風方向に直交する面上において、互いに直交する2方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とする。本実施形態では、車幅方向を第1方向とし、上下方向を第2方向としている。なお、本明細書では、「通風方向」は、下流側フィン群及び上流側フィン群によって向きを変えられる前に空調用空気Aが流れる方向、すなわち第1壁部21及び第2壁部22に沿う方向をいうものとする。また、空調用レジスタの各部の位置関係を説明するに当たり、通風路20に近づく側を「内側」、「内方」等といい、通風路20から遠ざかる側を「外側」、「外方」等というものとする。
上流側リテーナ11は、ケース10の最上流側部分を構成する部材である。下流側リテーナ12は、上流側リテーナ11の下流側に配置されており、自身の上流側端部において上流側リテーナ11の下流側端部に連結されている。
ベゼル13は、空調用レジスタの意匠面を構成する部材であり、ケース10の最下流側に位置し、下流側リテーナ12に下流側から挿入され、連結されている。ベゼル13の横長長方形状をなす開口は、通風路20の下流端を構成し、空調用空気Aの吹出口14となっている。ベゼル13の第1方向(車幅方向)についての一方(図1の左方)の側部には、縦長矩形状をなす孔からなる窓部13Aが設けられている。
上記通風路20は、ケース10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、互いに平行な状態で第1方向(車幅方向)に相対向する一対の第1壁部21と、互いに平行な状態で第2方向(上下方向)に相対向する一対の第2壁部22とからなる。
上側の第2壁部22の下流端は、下側の第2壁部22の下流端よりも上流側に位置している。従って、吹出口14は、下流側ほど低くなるように両第2壁部22に対し傾斜していることとなる。
図2及び図5に示すように、両第2壁部22の内壁面であって、第2方向(上下方向)に相対向する箇所には、通風路20の内側へ突出した状態で第1方向(車幅方向)に延びる突条23が形成されている。ケース10における各第2壁部22の内側(通風路20側)であって、各突条23とベゼル13との間は、後述する補助フィン33,35を収納するための収納凹部24となっている。
両第1壁部21において、吹出口14からそれぞれ僅かに上流側へ離れた箇所には軸受部25が設けられている。本実施形態では、上記軸受部25は、下流側リテーナ12のベゼル13との連結部分であって、第2方向(上下方向)についての中央部に設けられている。
各第1壁部21には、上下一対の軸受部26が設けられている。第1壁部21毎の両軸受部26は、通風方向については、突条23から下流側へ僅かに離れた箇所に位置している。第1壁部21毎の両軸受部26は、第2方向(上下方向)については、第2壁部22に接近した箇所に位置している。
各第2壁部22には、複数の軸受部27が設けられている。第2壁部22毎の複数の軸受部27は、通風方向については、上記突条23から上流側へ離れた箇所に位置し、第1方向(車幅方向)については、互いに等間隔で離れた箇所に位置している。
一方(図2の右方)の第1壁部21からは、円筒状をなす軸28が第1方向(車幅方向)についての外方へ突出している。軸28は、通風方向については、上下両軸受部26よりも上流側となる箇所に位置し、第2方向(上下方向)については、両第2壁部22間の中央部に位置している。
各第1壁部21には、孔からなる軸受部29が設けられている。第1壁部21毎の軸受部29は、通風方向については軸28よりも上流側へ離れた箇所に位置し、第2方向(上下方向)については両第2壁部22間の中央部に位置している。
<下流側フィン群>
下流側フィン群は、1つの下流側メインフィン(以下「メインフィン」という)31と、一対の下流側補助フィン(以下「補助フィン」という)33,35とからなる。これらのメインフィン31及び両補助フィン33,35は、それぞれ通風路20内で第1方向(車幅方向)へ延びる横長の板状体によって構成されている。
メインフィン31の第1方向(車幅方向)についての両方の端面からは、支軸32がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。各支軸32は、通風方向については、メインフィン31の下流端に位置している。メインフィン31の両支軸32は、上記軸受部25により両第1壁部21に対し、第2方向(上下方向)への傾動可能に支持されている。
上側の補助フィン33は、第2方向(上下方向)については、上側の第2壁部22の直下に位置している。補助フィン33の第1方向(車幅方向)についての両方の端面からは、支軸34がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。各支軸34は、通風方向については、補助フィン33の上流端に位置している。補助フィン33は、両支軸34において上記軸受部26により支持されており、第2壁部22に対し平行な状態で上側の収納凹部24に収納される位置と、下流端が通風路20の内側へ迫り出すように第2壁部22に対し傾斜する位置との間で、両支軸34を支点として傾動可能である。
下側の補助フィン35は、第2方向(上下方向)については、下側の第2壁部22の直上に位置している。補助フィン35の第1方向(車幅方向)についての両方の端面からは、支軸36がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。各支軸36は、通風方向については、補助フィン35の上流端に位置している。補助フィン35は、両支軸36において軸受部26により支持されており、図11において二点鎖線で示すように第2壁部22に対し平行な状態で下側の収納凹部24に収納される位置と、同図11において実線で示すように下流端が通風路20の内側へ迫り出すように第2壁部22に対し傾斜する位置との間で、両支軸36を支点として傾動可能である。
図5に示すように、各補助フィン33,35は、通風方向についての寸法(幅)が、メインフィン31よりも短く設定されている。両補助フィン33,35の上流端は、メインフィン31の上流端よりも上流側に位置している。両補助フィン33,35の下流端は、メインフィン31の下流端よりも上流側に位置している。
なお、下流側フィン群を3枚のフィン(1枚のメインフィン31と2枚の補助フィン33,35)によって構成したのは、高さの低い通風路20において、隣り合うフィンの間隔をできるだけ大きくして空調用空気Aの流路を確保するためである。
<操作ノブ40>
図1及び図7に示すように、操作ノブ40は、吹出口14からの空調用空気Aの吹き出し方向を調整する際に乗員によって操作される部材であり、上記メインフィン31上に、第1方向(車幅方向)へのスライド可能に外嵌されている。操作ノブ40は、メインフィン31と一緒に、支軸32を支点として第2方向(上下方向)へ傾動可能であり、また、メインフィン31上をスライドすることで、第1方向(車幅方向)へ変位可能である。操作ノブ40の上流端には、上流側へ向けて延びる二股状のフォーク部41が設けられている。このフォーク部41は、操作ノブ40の第1方向(車幅方向)への動き(スライド)を上流側フィン50に伝達するためのものである。フォーク部41は、操作ノブ40の第2方向(上下方向)の傾動に拘わらず、第2壁部22に対し常に平行な状態となるように、操作ノブ40に傾動可能に支持されている。
<上流側フィン群>
図1、図5及び図6に示すように、上流側フィン群は、通風路20内の下流側フィン群よりも上流側に配列された複数の上流側フィンからなる。各上流側フィンは、それぞれ通風路20内で第2方向(上下方向)へ延びる板状体によって構成されている。複数の上流側フィンは、第1方向(車幅方向)には等間隔で互いに平行に離間した状態で配設されている。
ここで、複数の上流側フィンを区別するために、第1方向(車幅方向)についての中央部に位置するものを「上流側フィン50」といい、それ以外のものを「上流側フィン51」というものとする。
各上流側フィン50,51の第2方向(上下方向)についての両方の端面からは、支軸52がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。各支軸52は、通風方向については、上流側フィン50,51の中央部に位置している。各上流側フィン50,51の両支軸52は、上記軸受部27により両第2壁部22に対し、第1方向(車幅方向)への傾動可能に支持されている。
上流側フィン50の下流側部分には透孔部53が設けられている。上流側フィン50において、透孔部53よりも下流側部分は、第2方向(上下方向)に延びる棒状の伝達部54となっている。この伝達部54は、上記操作ノブ40のフォーク部41によって挟み込まれている。そして、上記操作ノブ40がメインフィン31に沿って第1方向(車幅方向)へスライドさせられると、フォーク部41及び伝達部54を通じて上流側フィン50に同方向の力が加えられ、上流側フィン50が両支軸52を支点として第1方向(車幅方向)へ傾動させられる。
なお、透孔部53は、上流側フィン50の第1方向(車幅方向)への傾動に伴うフォーク部41との干渉を回避するためのものである。また、透孔部53は、上流側フィン51には設けられていない。
各上流側フィン50,51には、上方へ延びる連結軸56を有する切欠き部55が設けられている。上流側フィン50,51毎の連結軸56は、通風路20内で第1方向(車幅方向)に延びる長尺状の連結ロッド57によって連結されている。そして、これらの上流側フィン50,51、支軸52、連結軸56、連結ロッド57等により、全ての上流側フィン51を上流側フィン50に同期した状態で傾動させる平行リンク機構が構成されている。
<連動機構60>
図1及び図2に示すように、連動機構60は、メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態から傾動された場合、そのメインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33,35を第2壁部22に対し平行な状態にし、遠い側の補助フィン35,33を、その下流端が通風路20の内側へ迫り出すように傾斜させるためのものである。連動機構60は、一方(図2の右方)の第1壁部21に対し、第1方向(車幅方向)についての外側(図2の右側)となる箇所に設けられている。
補助フィン33の一方の支軸34は、第1壁部21から第1方向(車幅方向)についての外方へ突出している。支軸34の外端部には、その支軸34を起点として、同支軸34に直交する方向へ延びる長尺状のアーム62が形成されている。このアーム62は、補助フィン33が第2壁部22に対し平行な状態となったとき、上流側ほど低くなるように傾斜した状態となる。アーム62の支軸34から偏倚した箇所である上流端からは、係合部としての伝達軸63が、第1方向(車幅方向)についての外方へ突出している。
補助フィン35の一方の支軸36は、第1壁部21から第1方向(車幅方向)についての外方へ突出している。支軸36の外端部には、その支軸36を起点として、同支軸36に直交する方向へ延びる長尺状のアーム64が形成されている。このアーム64は、補助フィン35が第2壁部22に対し平行な状態となったとき、上流側ほど高くなるように傾斜した状態となる。アーム64の支軸36から偏倚した箇所である上流端からは、係合部としての伝達軸65が第1方向(車幅方向)についての外方へ突出している。
一方の第1壁部21上に設けられた軸28上には、メインフィン31の傾動に伴い変位する伝達部材として、板状をなすカム部材67が、第2方向(上下方向)への傾動可能に支持されている。
メインフィン31の一方の支軸32は、第1壁部21から、第1方向(車幅方向)についての外方へ突出している。支軸32の外端部には、扇形の板状をなす駆動ギヤ61が一体回動可能に設けられている。駆動ギヤ61の外周部は、支軸32よりも上流側に位置し、ここに複数の歯が円弧状に並ぶように形成されている。
一方、上記軸28上であってカム部材67の第1方向(車幅方向)についての外側には、被動ギヤ66が同カム部材67に対し一体回動可能に設けられており、この被動ギヤ66が上記駆動ギヤ61に噛み合わされている。本実施形態では、これらの駆動ギヤ61及び被動ギヤ66により、メインフィン31の傾動をカム部材67に伝達するギヤ機構59が構成されている。
上記カム部材67において、上記軸28よりも下流側となる部位には、被係合部としての上下一対のカム孔68,69が貫通した状態で形成されている。
図9に示すように、上側のカム孔68は、第1孔部68A及び第2孔部68Bの組合わせによって構成されている。第1孔部68Aは、メインフィン31の傾動に伴うカム部材67の変位(傾動)を、伝達軸63、アーム62及び支軸34を通じて上側の補助フィン33に伝達しない非伝達領域を構成するものであり、軸28を中心とする円弧状に形成されている。第2孔部68Bは、カム部材67の上記変位(傾動)を、伝達軸63、アーム62及び支軸34を通じて上側の補助フィン33に伝達する伝達領域を構成するものであり、直線状をなしている。第2孔部68Bは、その下流端において第1孔部68Aの上流端に繋がっている。第1孔部68A及び第2孔部68Bの境界部分は、メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態になったとき、補助フィン33の支軸34よりも、両第2壁部22間の中央部(軸28)に接近した箇所に位置する。
下側のカム孔69は、第1孔部69A及び第2孔部69Bの組合わせによって構成されている。第1孔部69Aは、メインフィン31の傾動に伴うカム部材67の変位(傾動)を、伝達軸65、アーム64及び支軸36を通じて下側の補助フィン35に伝達しない非伝達領域を構成するものであり、軸28を中心とする円弧状に形成されている。第2孔部69Bは、カム部材67の上記変位(傾動)を、伝達軸65、アーム64及び支軸36を通じて下側の補助フィン35に伝達する伝達領域を構成するものであり、直線状をなしている。第2孔部69Bは、その下流端において第1孔部69Aの上流端に繋がっている。第1孔部69A及び第2孔部69Bの境界部分は、メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態になったとき、補助フィン35の支軸36よりも、両第2壁部22間の中央部(軸28)に接近した箇所に位置する。
そして、補助フィン33の伝達軸63がカム孔68内に移動可能に係合されるとともに、補助フィン35の伝達軸65がカム孔69内に移動可能に係合されている。
伝達軸63,65のカム孔68,69に対する係合は、次の条件を満たすように行なわれている。
(i)メインフィン31が第2壁部22に対し平行になった状態では、伝達軸63は、第1孔部68A(非伝達領域)と第2孔部68B(伝達領域)との境界部分に位置し、伝達軸65は、第1孔部69A(非伝達領域)と第2孔部69B(伝達領域)との境界部分に位置する。すなわち、伝達軸63は、補助フィン33の支軸34よりも、両第2壁部22間の中央部に接近した箇所(軸28の直上)に位置し、伝達軸65は、補助フィン35の支軸36よりも、上記中央部に接近した箇所(軸28の直下)に位置する。
この状態では、補助フィン33,35は第2壁部22に対し平行な状態となる。
(ii)図12に示すように、メインフィン31が下流側ほど低くなるように、第2壁部22に対し傾斜した状態では、伝達軸63は第1孔部68Aに位置し、伝達軸65は第2孔部69Bに位置する。
この状態では、メインフィン31の上流端に近い側の補助フィンである上側の補助フィン33は、第2壁部22に対し平行な状態となる。また、メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィンである下側の補助フィン35は、下流側ほど高くなるように第2壁部22に対し傾斜した状態となって、下流端が通風路20の内側へ迫り出す。
(iii )図示しないが、上記(ii)とは逆に、メインフィン31が下流側ほど高くなるように、第2壁部22に対し傾斜した状態では、伝達軸63は第2孔部68Bに位置し、伝達軸65は第1孔部69Aに位置する。
この状態では、メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィンである上側の補助フィン33は、下流側ほど低くなるように第2壁部22に対し傾斜した状態となって、下流端が通風路20の内側へ迫り出す。また、メインフィン31の上流端に近い側の補助フィンである下側の補助フィン35は、第2壁部22に対し平行な状態となる。
さらに、図11に示すように、メインフィン31が採り得る最大角度傾斜させられた状態では、同メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33は、同メインフィン31に向けて傾斜させられる。本実施形態では、補助フィン35,33は、メインフィン31において、通風路20での空調用空気Aの流通方向についての中央部となる箇所に向けて傾斜させられるように設定されている。
これに加え、メインフィン31が採り得る最大角度傾斜させられた状態では、操作ノブ40の下流側の一部が、同メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33の下流側に位置するように設定されている。表現を変えると、空調用レジスタを下流側から上流側に向かって見た場合、操作ノブ40の下流側の一部と、メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33の下流端とを重ならせている。なお、図11中の符号Oは、操作ノブ40と補助フィン35,33との重なり部分を示している。
<シャットダンパ70>
図5及び図7に示すように、シャットダンパ70は、ケース10内の上流側フィン群よりも上流側で通風路20を開閉するためのものである。シャットダンパ70は、通風路20に直交する面に対応して、第2方向(上下方向)よりも第1方向(車幅方向)に細長い長方形の板状をなす本体部71と、本体部71の周囲に装着されたシール部72とを備えている。
本体部71の第1方向(車幅方向)についての両端面からは、支軸73が同方向についての外方へ突出している。両支軸73は、第2方向(上下方向)については、両第2壁部22間の中央部に位置している。両支軸73の上記位置は、上述したメインフィン31の両支軸32の第2方向(上下方向)における位置と同じである。シャットダンパ70は、両支軸73において軸受部29により第1壁部21に支持されており、開位置と閉位置との間で第2方向(上下方向)への傾動可能である。シャットダンパ70は、開位置では、両第2壁部22間の中央部で、同第2壁部22に対し平行な状態となって、通風路20を大きく開放する(図5の実線参照)。シャットダンパ70は、閉位置では、両第2壁部22に対し傾斜し、シール部72において第1壁部21及び第2壁部22の各内壁面に接触し、通風路20を閉鎖する(図5の二点鎖線参照)。
<ダンパ駆動機構80>
図1、図8及び図10に示すように、ダンパ駆動機構80は、シャットダンパ70を傾動させて通風路20を開閉するための機構であり、ケース10を挟み、第1方向(車幅方向)について、上記連動機構60とは反対側に設けられている。ダンパ駆動機構80は、操作ダイヤル81及び回動伝達部82を備えている。操作ダイヤル81は、ケース10に対し、第2方向(上下方向)への回動可能に支持されている。操作ダイヤル81の一部は、ベゼル13の窓部13Aを通じて下流側へ露出している。
回動伝達部82は、操作ダイヤル81の回動をシャットダンパ70に伝達するためのものであり、第1壁部21よりも第1方向(車幅方向)についての外方であって、操作ダイヤル81とシャットダンパ70の支軸73との間に設けられている。
回動伝達部82は、リンク機構、ギヤ機構等によって構成されている。本実施形態では、操作ダイヤル81上に、第1方向(車幅方向)についての外方へ突出するピン83が設けられている。また、シャットダンパ70の一方の支軸73上にはレバー84が一体回動可能に設けられている。レバー84の先端部には、第1方向(車幅方向)についての外方へ突出するピン85が設けられている。そして、上記両ピン83,85が、通風方向に延びる長尺状のリンク部材86によって連結されている。
さらに、本実施形態では、図5及び図6に示すように、各切欠き部55が、第2方向(上下方向)については、上流側フィン50,51において、両第2壁部22のうち下流端がより上流側に位置するもの(上側の第2壁部22)に近い側の部位に設けられている。本実施形態では、各切欠き部55は、第2方向(上下方向)については、両第2壁部22間の中央部と、同中央部から上側の第2壁部22側へ僅かに離れた箇所との間の領域に設けられている。各切欠き部55は、上記方向については、連結ロッド57の同方向のサイズ(厚み)よりも大きく形成されており、連結ロッド57の交差を可能にしている。表現を変えると、各切欠き部55は、第2方向(上下方向)については、連結ロッド57が交差する箇所及びその周辺箇所にのみ設けられている。
上記切欠き部55は、通風路20での空調用空気Aの通風方向については、各上流側フィン50,51の上流側部分に設けられている。各切欠き部55は、各上流側フィン50,51の上流側の端面から下流側へ向けて延びている。各切欠き部55は、上記通風方向については、連結ロッド57の同方向のサイズ(幅)よりも大きく形成されており、連結ロッド57の交差を可能にしている。表現を変えると、各切欠き部55は、通風方向については、連結ロッド57が交差する箇所及びその周辺箇所にのみ設けられている。
上流側フィン50,51毎の連結軸56は、切欠き部55の底部において支軸52から上流側へ離れた箇所から、上方へ向けて突出している。そして、上流側フィン50,51毎の連結軸56が、連結ロッド57にあけられた孔に係入されることで、同上流側フィン50,51が連結ロッド57によって連結されている。
ここで、図4に示すように、吹出口14での空調用空気Aの流通方向に直交する面Pに対し、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影される面を投影面P1とし、連結ロッド57の投影される面を投影面P2とする。すると、連結ロッド57が上記箇所に配置されることにより、メインフィン31及びシャットダンパ70がともに第2壁部22に対し平行な状態にされたとき、連結ロッド57の投影面P2の全体が、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影面P1に含まれている。
前記のようにして本実施形態の空調用レジスタが構成されている。次に、この空調用レジスタの作用について説明する。
図5及び図6の二点鎖線は、シャットダンパ70が閉位置にあるときの状態を示している。この状態では、通風路20がシャットダンパ70によって閉塞される。通風路20での空調用空気Aの流通が遮断され、吹出口14からの空調用空気Aの吹き出しが停止される。
これに対し、図5及び図6の実線は、シャットダンパ70が開位置にあるときの状態を示している。この状態では、通風路20が全開となり、空調用空気Aがシャットダンパ70の上側と下側とに分かれて流れる。シャットダンパ70を通過した上記空調用空気Aは、上流側フィン群及び下流側フィン群に沿って流れた後、吹出口14から吹き出す。
シャットダンパ70の閉位置から開位置への切替え、及び開位置から閉位置への切替えは、操作ダイヤル81の回動操作を通じて行なわれる。操作ダイヤル81が乗員によって回動操作されると、その回動は、図10に示すようにピン83、リンク部材86、ピン85、レバー84及び支軸73を介して本体部71に伝達され、シャットダンパ70が傾動させられる。
なお、以下の説明は、シャットダンパ70が開位置にあることを前提としている。また、図9及び図12では、細部の図示が割愛されている。
図5〜図7は、メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態にされた空調用レジスタを示している。
この空調用レジスタでは、図9に示すように駆動ギヤ61が、第2方向(上下方向)についての中央部分の歯において被動ギヤ66に噛み合い、カム部材67が第2壁部22に対し平行な状態となる。上側の補助フィン33の伝達軸63は、第1孔部68Aと第2孔部68Bとの境界部分でカム孔68に係合する。アーム62が上流側ほど低くなるように傾斜し、上側の補助フィン33が、第2壁部22に対し平行な状態となって上側の収納凹部24内に収納される。
また、下側の補助フィン35の伝達軸65は、第1孔部69Aと第2孔部69Bとの境界部分でカム孔69に係合する。アーム64が上流側ほど高くなるように傾斜し、補助フィン35が、第2壁部22に対し平行な状態となって下側の収納凹部24内に収納される。
従って、図5及び図6において二点鎖線の矢印で示すように、シャットダンパ70を通過した空調用空気Aは、各補助フィン33,35から抵抗を殆ど受けることなく、メインフィン31、補助フィン33,35及び第2壁部22に沿って、少ない圧力損失で流れる。
ここで、一般に、空調用レジスタでは、ケース10内に配置された部品は、吹出口14の実開口面積を小さくする要因となり得る。実開口面積は、吹出口14での空調用空気Aの通風方向に直交する面において、上記各部品が投影されていない箇所の面積である。複数枚の上流側フィン50,51を連結する連結ロッド57も、実開口面積を小さくする要因の1つとなり得る。そして、実開口面積が小さくなるに従い通風抵抗が増し、圧力損失が増大したり、騒音が発生したりする。従って、こうした圧力損失や騒音を抑制するうえでは、連結ロッド57を含め、ケース10内の部品の投影面を小さくすることが重要である。
この点、本実施形態では、連結ロッド57の投影面P2の少なくとも一部が、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影面P1に含まれている(図4参照)。そのため、メインフィン31、シャットダンパ70及び連結ロッド57の投影面P1,P2の総面積は、連結ロッド57の投影面P2がメインフィン31及びシャットダンパ70の投影面P1に全く含まれない場合よりも小さくなる。これに伴い、連結ロッド57による実開口面積の減少が少なくなる。
特に、本実施形態では、第2方向(上下方向)については、連結ロッド57の投影面P2の全体が、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影面P2に含まれている。そのため、メインフィン31、シャットダンパ70及び連結ロッド57の投影面P1,P2の総面積が、採り得る総面積のうち、略最小となる。連結ロッド57による実開口面積の減少が略最小となり、ひいては通風抵抗が略最小となる。
なお、ケース10内の部品の投影面を小さくする別の手段として、連結ロッド57を通風路20(ケース10)の外部に配置することも考えられる。しかし、この場合には、連結ロッド57等の分、空調用レジスタの全体の寸法、特に上下方向の寸法が少なからず大きくなるおそれがある。
この点、本実施形態では、通風路20(ケース10)内に配置された連結ロッド57は、空調用レジスタの全体の大きさに影響を及ぼしにくい。そのため、連結ロッド57が通風路20(ケース10)の外部に配置される場合よりも、空調用レジスタの全体の大きさが小さくなる。
ところで、上記の状態から、操作ノブ40に対し下方へ向かう力が加えられると、図11及び図12に示すように、メインフィン31が支軸32を支点として反時計回り方向へ傾動させられる。この傾動に伴い駆動ギヤ61が、支軸32を支点として同方向へ回動する。被動ギヤ66の駆動ギヤ61との噛み合い位置が変化し、同被動ギヤ66がカム部材67を伴い時計回り方向へ回動する。これに伴い、両カム孔68,69も軸28の周りを同方向へ旋回し、各カム孔68,69での伝達軸63,65の係合位置が変化する。
伝達軸63のカム孔68での係合位置は、第1孔部68Aと第2孔部68Bとの境界部分から第1孔部68Aの下流端に近づく側へ変化する。そのため、カム部材67の上記傾動がカム孔68を通じて伝達軸63に伝達されず、同伝達軸63は動かない。アーム62は上流側ほど低くなる傾斜状態を維持する。その結果、メインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33は、第2壁部22に対し平行な状態に維持される。
なお、伝達軸63は、メインフィン31が下方へ最大角度傾斜させられたときに、第1孔部68Aの下流端に達する。
これに対し、伝達軸65のカム孔69での係合位置は、第1孔部69Aと第2孔部69Bとの境界部分から第2孔部69Bの上流端に近づく側へ変化する。そのため、カム部材67の上記傾動がカム孔69を通じて伝達軸65に伝達される。伝達軸65が第2孔部69Bの壁面から下向きの力を受けて下方へ動き、アーム64が支軸36を支点として、時計回り方向へ傾動させられる。支軸36を介してアーム64に連結された下側の補助フィン35は、その支軸36を支点として、同方向へ傾動させられる。
メインフィン31が下方へ最大角度傾動させられると、伝達軸65は第2孔部69Bの上流端に達する。このときには、アーム64が第2壁部22に対し平行な状態となる。その結果、図11に示すように、メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35は、メインフィン31において、空調用空気Aの通風方向についての中央部に向かうように傾斜し、下流端が通風路20の内側へ大きく迫り出す。
従って、第2方向(上下方向)についての中間部分を流れる空調用空気Aは、メインフィン31に沿って流れることで向きを変えられる。また、下側の第2壁部22に沿って流れる空調用空気Aは、下側の補助フィン35によって向きを通風路20の内側へ変えられ、同通風路20の第2方向(上下方向)についての中央部付近、すなわちメインフィン31の周辺に集められる。この空調用空気Aは、下流側ほど低くなるように傾斜したメインフィン31に沿って流れ、吹出口14から斜め下方へ向けて吹き出す。
このときには、傾斜状態のメインフィン31の上流端が上側の補助フィン33に接近していて、両者の隙間が僅かである。そのため、この隙間を通って真っ直ぐ流れる空調用空気Aは少ない。
また、空調用空気Aがたとえメインフィン31と下側の補助フィン35との間を第2壁部22に対し平行な状態で流れようとしても、その空調用空気Aは、補助フィン35の下流側に位置する操作ノブ40に当たる。この空調用空気Aは、操作ノブ40に沿って流れることで、メインフィン31の向く方向(斜め下方)へ流れる。
上記の状態から、メインフィン31を第2壁部22に対し平行な状態に戻す場合には、操作ノブ40に上方へ向かう力が加えられる。この力により、メインフィン31が駆動ギヤ61を伴い支軸32を支点として時計回り方向へ傾動させられる。被動ギヤ66の駆動ギヤ61との噛み合い位置が変化し、カム部材67が軸28を支点として反時計回り方向へ傾動し、両カム孔68,69が軸28の周りを同方向へ旋回する。
伝達軸63のカム孔68での係合位置が、第1孔部68Aの下流端から第2孔部68Bとの境界部分に近づく側へ変化する。そのため、メインフィン31の上記傾動がカム孔68を通じて伝達軸63に伝達されない。伝達軸63が動かず、アーム62が上流側ほど低くなる傾斜状態を維持する。その結果、補助フィン33は、第2壁部22に対し平行な状態で上側の収納凹部24内に収納され続ける。
これに対し、伝達軸65のカム孔69での係合位置は、第2孔部69Bの上流端から第1孔部69Aとの境界部分に近づく側へ変化する。そのため、カム部材67の上記傾動がカム孔69を通じて伝達軸65に伝達され、アーム64が補助フィン35を伴い支軸36を支点として、反時計回り方向へ傾動させられる。伝達軸65が第2孔部69Bに沿って第1孔部69Aとの境界部分まで移動すると、図9に示すように、アーム64が上流側ほど高くなるように傾斜した状態となり、図5及び図6に示すように、補助フィン35が第2壁部22に対し平行な状態となって下側の収納凹部24内に収納される。
なお、第2壁部22に対し平行な状態となっているメインフィン31上の操作ノブ40に対し、上方へ向かう力が加えられると、メインフィン31及び両補助フィン33,35が上記とは逆の動作を行なう。この動作の詳細については、説明を省略する。
ここで、メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態から、支軸32を支点として第2方向(上下方向)へ傾動させられると、その傾動に伴いカム部材67が軸28を支点として傾動する。このとき、メインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33,35を、第2壁部22に対し平行な状態に維持するために、カム孔68,69には、カム部材67の傾動を伝達軸63,65に伝達しない非伝達領域として第1孔部68A,69Aが設定されている。この第1孔部68A,69Aは、カム部材67の傾動に伴い、補助フィン33,35の伝達軸63,65の付近で変位する。
このとき、伝達軸63,65の第2方向(上下方向)における位置によっては、カム部材67における第1孔部68A,69Aの周辺部分が、両第2壁部22間から第2方向(上下方向)についての外方へはみ出し、ケース10の周辺の部品と干渉するおそれがある。
この点、本実施形態では、図9に示すように、メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態にされた場合、伝達軸63,65が、補助フィン33,35の支軸34,36よりも両第2壁部22間の中央部(軸28)に接近した箇所に位置する。そのため、第1孔部68A,69Aは、カム部材67の傾動に伴い、伝達軸63,65の付近、すなわち、補助フィン33,35の支軸34,36よりも両第2壁部22間の中央部(軸28)に接近した箇所の付近で変位することとなる。その結果、図12に示すように、メインフィン31が第2壁部22に対し、採り得る最大角度傾斜させられた場合に、カム部材67における第1孔部68A,69Aの周辺部分が、両第2壁部22間から第2方向(上下方向)についての外方へはみ出し、ケース10の周辺の部品と干渉することが起こりにくい。
なお、図7に示すように、操作ノブ40に対し、第1方向(車幅方向)の力が加えられると(操作ノブ40が同方向へ操作されると)、操作ノブ40がメインフィン31上をスライドする。また、上記操作ノブ40に加えられた力は、フォーク部41を介して、中央の上流側フィン50の伝達部54に伝わる。上流側フィン50は支軸52を支点として、第1方向(車幅方向)のうち、操作ノブ40が操作された側へ傾動させられる。この支軸52を支点とする上流側フィン50の動きは、連結軸56及び連結ロッド57を介して他の上流側フィン51に伝達される。この伝達により、全ての上流側フィン51が上流側フィン50に同期して、操作ノブ40の操作された側へ傾動する。空調用空気Aは上流側フィン50,51を通過する際に、上記のように傾動された上流側フィン50,51に沿って流れることで、第1方向(車幅方向)に向きを変えられて吹出口14から吹き出す。
ところで、図7及び図8に示すように通風路20において、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの領域は、同上流側フィン50,51を通過した後の空調用空気Aの指向性を低下させ得る。この低下の度合いは、同領域が通風方向に長くなるほど(上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D1,D2が長くなるほど)大きくなる。本実施形態では吹出口14が両第2壁部22に対し傾斜していることから、上記距離D1,D2は、両第2壁部22のうち下流端がより下流側に位置するもの(下側の第2壁部22)に近づくほど長くなる。従って、下側の第2壁部22に近づくほど、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D1,D2が長くなって、指向性の低下度合いが大きくなる。
一方、上流側フィン50,51が空調用空気Aの流れの向きを変える性能、すなわち指向性を高める性能は、空調用空気Aの通風方向についての上流側フィン50,51の長さL1,L2が長くなるほど高くなる。上記連結ロッド57を配置するための切欠き部55が設けられると、その分、上流側フィン50,51の長さL1,L2が短くなって、切欠き部55のない箇所よりも流れの向きを変える(指向性を高める)性能が低くなる。
この点、本実施形態では、上流側フィン50,51において、下流端がより上流側に位置する上側の第2壁部22に近い側の部位に切欠き部55が設けられている。
従って、図8に示すように、上記下側の第2壁部22に近い箇所では、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D1が長く、指向性を低下させる度合いが大きい。しかし、上流側フィン50,51において、上記箇所の上流側となる部位には切欠き部55が設けられていない。切欠き部55のない分だけ上流側フィン50,51の長さL1が長く、流れの向きを変える(指向性を高める)性能が高い。そのため、上流側フィン50,51のうち切欠き部55の設けられていない部位によって指向性を高められた空調用空気Aが、上記指向性の低下度合いの大きな領域を通過する。その結果、吹出口14からは、空調用空気Aが第1方向(車幅方向)について適切な指向性でもって吹き出す。
これに対し、図7に示すように、下流端がより上流側に位置する上側の第2壁部22に近い箇所では、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D2が短く、指向性を低下させる度合いが小さい。上流側フィン50,51において、上記箇所の上流側となる部位には切欠き部55が設けられている。切欠き部55の分だけ上流側フィン50,51の長さL2が短く、第1方向(車幅方向)に流れの向きを変える(指向性を高める)性能が低い。そのため、上流側フィン50,51のうち切欠き部55により長さが短くなった部位によって指向性を低下させられた空調用空気Aが、上記指向性の低下度合いの小さな領域を通過する。その結果、吹出口14からは、空調用空気Aが第1方向(車幅方向)について適切な指向性でもって吹き出す。
このように、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D1,D2と、通風方向についての上流側フィン50,51の長さL1,L2とが考慮されて、切欠き部55の位置が設定されているため、第2方向(上下方向)における指向性のばらつきが小さくなる。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1) 補助フィン33,35を通風路20の第2壁部22に接近した箇所で第1壁部21に支持し、メインフィン31を両補助フィン33,35間で第1壁部21に支持する(図5)。第1孔部68A,69A及び第2孔部68B,69Bからなる一対のカム孔68,69が設けられたカム部材67をケース10に支持する。メインフィン31の傾動を、ギヤ機構59を介してカム部材67に伝達する(図9)。
そして、メインフィン31が第2壁部22に対し平行にされたときには、連動機構60により、補助フィン33,35の伝達軸63,65を、カム孔68,69の第1孔部68A,69A及び第2孔部68B,69Bの境界に位置させることで、補助フィン33,35を第2壁部22に対し平行な状態にする(図9)。
また、メインフィン31が上記状態から傾動されたときには、同メインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33,35の伝達軸63,65を第1孔部68A,69Aに位置させることで、同補助フィン33,35を第2壁部22に対し平行な状態にする。上記上流端から遠い側の補助フィン35,33の伝達軸65,63を第2孔部69B,68Bに位置させることで、同補助フィン35,33を、その下流端が通風路20の内側へ向けて迫り出すように第2壁部22に対し傾斜させるようにしている(図11、図12)。
(1A) そのため、各補助フィン33,35と第2壁部22との隙間を小さくし、空調用空気Aがこの隙間を流れるのを抑制することができる。空調用空気Aが補助フィン33,35の付近を通過する際の圧力損失を小さくすることができる。
(1B) また、メインフィン31が第2壁部22に対し傾斜させられたときには、同メインフィン31の上流端から遠い側の第2壁部22付近を流れる空調用空気Aの向きを、同上流端から遠い側の補助フィン35,33によって通風路20の内側へ変えることができる。そのため、空調用空気Aをメインフィン31の周辺に集め、そのメインフィン31によって流れの向きを変えることができる。従って、空調用空気Aを、吹出口14からメインフィン31の向く方向へ吹き出させることができ、メインフィン31が両第2壁部22に対し傾斜させられた場合の空調用空気Aの指向性を向上させることができる。
(1C) さらに、メインフィン31が第2壁部22に対し傾斜させられたときには、同メインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33,35を第2壁部22に対し平行な状態に維持する。そのため、メインフィン31の上流端を、同補助フィン33,35に接近させても、メインフィン31と補助フィン33,35との間で干渉が生じにくい。従って、メインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33,35及び第2壁部22を、同メインフィン31に近い箇所に配置することで、空調用レジスタの第2方向(上下方向)の寸法を小さくし、一層の薄型化を図ることができる。
(1D) 上記(1C)に関連するが、空調用レジスタの第2方向(上下方向)の寸法が十分小さく、それ以上の薄型化が要求されない場合には、第2壁部22に対し、採り得る最大角度傾斜させられたメインフィン31の上流端を、収納凹部24内で第2壁部22に対し平行な状態にされている補助フィン33,35に近い箇所まで延ばすことができる。メインフィン31の通風方向についての寸法(幅)を大きくすることができる。
(1E) 上記(1D)とは異なり、メインフィン31の上流端を延ばさない場合には、メインフィン31を大きく傾斜させても、同メインフィン31の上流端に近い側の補助フィン33,35と干渉しにくい。そのため、メインフィン31の最大傾斜角度を拡大することができる。この場合には、空調用空気Aの吹き出し方向について調整できる角度が広がるメリットがある。
(1F) また、採り得る最大角度傾斜させられた状態のメインフィン31の上流端と、これに近い側の補助フィン33,35との隙間を小さくし、この隙間を流れる空調用空気Aを少なくすることができる。通風路20において、メインフィン31と、その上流端に近い側の第2壁部22との間を流れる空調用空気Aを、メインフィン31の向いた方向へ吹き出させることができる。
(1G) メインフィン31の傾動をカム部材67に伝達する機構として、複数のギヤからなるギヤ機構59を採用したため、メインフィン31の傾動に応じてカム部材67をスムーズに傾動させることができる。
(2) 特許文献1に記載された空調用レジスタでは、下流端が通風路の内側へ迫り出した補助フィンは、メインフィンよりも下流側を向いて傾斜している。そのため、補助フィンによって向きを変えられた空調用空気の中には、メインフィンに当たらないものも生ずる。この空調用空気については、メインフィンの向く方向へ流れさせることが難しい。
この点、本実施形態では、メインフィン31が第2壁部22に対し、採り得る最大角度傾斜させられた状態では、メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33を、同メインフィン31に向けて傾斜させるようにしている(図11)。
そのため、通風路20において、メインフィン31と、その上流端から遠い側の第2壁部22との間を流れる空調用空気Aを、同上流端から遠い側の補助フィン35,33に沿って流れさせることで、メインフィン31側へ向かわせてメインフィン31に当てることができる。その結果、より多くの空調用空気Aを、メインフィン31の向く方向へ流れさせることができる。
(3) 採り得る最大角度傾斜させられた状態のメインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33を、メインフィン31において、通風路20での空調用空気Aの流通方向についての中央部となる箇所に向けて傾斜させるようにしている(図11)。
そのため、通風路20において、メインフィン31と、その上流端から遠い側の第2壁部22との間を流れる空調用空気Aを、同上流端から遠い側の補助フィン35,33に沿って流れさせることで、メインフィン31の上記中央部よりも上流側へ向かわせることで、より多くの空調用空気Aをメインフィン31に当てて向きを変えることができる。
(4) メインフィン31が第2壁部22に対し、採り得る最大角度傾斜させられた状態では、操作ノブ40の下流側の一部を、メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33の下流側に位置させるようにしている(図11)。
そのため、空調用空気Aがたとえメインフィン31と、同メインフィン31の上流端から遠い側の補助フィン35,33との間を第2壁部22に対し平行に流れようとしても、その空調用空気Aを操作ノブ40に当ててメインフィン31の向く方向へ流れさせることができ、吹出口14から真っ直ぐ吹き出すのを規制することができる。従って、この点においても、メインフィン31が第2壁部22に対し、採り得る最大角度傾斜させられたときの空調用空気Aの指向性を向上させることができる。
(5) 補助フィン33,35毎の支軸34,36から、同支軸34,36に直交する方向へアーム62,64を延出させる。これらのアーム62,64の支軸34,36から偏倚した箇所に伝達軸63,65を設けている(図2)。
そのため、これらの伝達軸63,65を、補助フィン33,35毎の係合部として機能させることができる。メインフィン31の傾動に伴いカム部材67が傾動し、各カム孔68,69が変位した場合には、同カム孔68,69における伝達軸63,65の位置を変化させる。伝達軸63,65がカム孔68,69の第2孔部68B,69Bに位置するときには、カム部材67の傾動をカム孔68,69の壁面を通じて伝達軸63,65に伝達して移動させ、アーム62,64及び補助フィン33,35を、支軸34,36を支点として第2方向(上下方向)へ傾動させることができる。また、伝達軸63,65が第1孔部68A,69Aに位置するときには、カム部材67の傾動をカム孔68,69を通じて伝達軸63,65に伝達せず、アーム62,64及び補助フィン33,35を傾動させないようにすることができる。
(6) 第1壁部21に対し軸28により第2方向(上下方向)への傾動可能に支持されたカム部材67にカム孔68,69を設けている(図9)。
そのため、カム部材67を伝達部材として機能させ、カム孔68,69を被係合部として機能させることができる。メインフィン31が第2壁部22に対し平行な状態から傾動されると、それに伴い軸28を支点としてカム部材67を傾動させ、一対のカム孔68,69を軸28の周りで旋回させ、カム孔68,69における補助フィン33,35毎の伝達軸63,65の位置を変化させる。伝達軸63,65が第2孔部68B,69Bに位置するときには、カム部材67の傾動を補助フィン33,35に伝達し、第1孔部68A,69Aに位置するときには、カム部材67の傾動を補助フィン33,35に伝達しないようにすることができる。
(7) ギヤ機構59を、メインフィン31の支軸32上に一体回動可能に設けられた駆動ギヤ61と、カム部材67に一体回動可能に設けられ、駆動ギヤ61に噛み合わされた被動ギヤ66とによって構成している(図9)。
そのため、メインフィン31が支軸32を支点として第2方向(上下方向)へ傾動された場合には、駆動ギヤ61をメインフィン31と一体で支軸32を中心として回動させ、被動ギヤ66の駆動ギヤ61との噛み合い箇所を変化させ、同被動ギヤ66をカム部材67と一体で、軸28を中心として回動させることができる。
(8) 上記特許文献1では、それぞれカム孔を有する補助フィン毎のカム部材を車幅方向に重ね合わせ、両カム孔の交差部分にメインフィンの伝達軸を係合させているため、空調用レジスタの第1方向(車幅方向)における寸法が大きくなる。
この点、本実施形態では、メインフィン31によって駆動されるカム部材67に設けられた一対のカム孔68,69に、各補助フィン33,35の伝達軸63,65を係合させているにすぎない(重ね合わせていない)。そのため、空調用レジスタの第1方向(車幅方向)における寸法を小さくすることができる。
(9) メインフィン31及びシャットダンパ70が第2壁部22に対し平行にされたとき、吹出口14での空調用空気Aの流通方向に直交する面Pに対し、連結ロッド57の投影される投影面P2の少なくとも一部が、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影される投影面P1に含まれる箇所に、連結ロッド57を配置している(図4)。
そのため、連結ロッド57による吹出口14の実開口面積の減少を少なくすることができ、通風抵抗を小さくし、圧力損失や騒音を抑制することができる。
また、連結ロッド57が通風路20(ケース10)の外部に配置される場合よりも、空調用レジスタの全体の大きさを小さくすることができる。
(10) 連結ロッド57を、第2方向(上下方向)については、同連結ロッド57の投影面P2の全体が、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影面P1に含まれる箇所に配置している(図4)。
そのため、連結ロッド57による実開口面積の減少、ひいては通風抵抗を略最小にし、圧力損失や騒音を効果的に抑制することができる。
(11) 吹出口14を両第2壁部22に対し傾斜させる。上流側フィン50,51において、両第2壁部22のうち下流端がより上流側に位置するもの(上側の第2壁部22)に近い側の部位に切欠き部55を設け、この切欠き部55において連結ロッド57を上流側フィン50,51に交差させている(図7、図8)。
そのため、下流端がより下流側に位置する下側の第2壁部22に近い箇所では、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D1が長く、指向性を低下させる度合いが大きい。しかし、上流側フィン50,51のうち切欠き部55が設けられておらず長さL1の長い部位によって指向性を高められた空調用空気Aを、この距離D1の長い箇所で流すことができる。
また、下流端がより上流側に位置する上側の第2壁部22に近い箇所では、上流側フィン50,51の下流端から吹出口14までの距離D2が短く、指向性を低下させる度合いが小さい。上流側フィン50,51のうち切欠き部55が設けられて長さL2が短くなっている部位によって指向性の低下した空調用空気Aを、この距離D2の短い箇所で流すことができる。
その結果、ケース10内の上流側フィン50,51よりも下流側の領域が指向性を低下させる度合いは第2方向(上下方向)についての部位に応じて異なるが、切欠き部55の位置を適切に設定することで、同第2方向(上下方向)における指向性のばらつきを小さくすることができる。
(12) 切欠き部55を、第2方向(上下方向)については、上流側フィン50,51において連結ロッド57が交差する箇所及びその周辺箇所にのみ設けている(図5、図6)。
そのため、第2方向(上下方向)について、切欠き部55が上流側フィン50,51に占める割合を必要最小限にとどめることができる。
(13) 切欠き部55を、空調用空気Aの通風方向については、上流側フィン50,51において連結ロッド57が交差する箇所及びその周辺箇所にのみ設けている(図5、図6)。
そのため、通風方向について、切欠き部55が上流側フィン50,51に占める割合を必要最小限にとどめることができる。
(14) 補助フィン33,35毎の伝達軸63,65を、メインフィン31が第2壁部22に対し平行にされた状態で、補助フィン33,35の支軸34,36よりも両第2壁部22間の中央部(軸28)に接近した箇所に位置させるようにしている(図9)。
そのため、メインフィン31が第2壁部22に対し、採り得る最大角度傾斜させられた場合に、カム部材67における第1孔部68A,69Aの周辺部分が、両第2壁部22間から第2方向(上下方向)についての外方へはみ出し、ケース10の周辺の部品と干渉するのを抑制することができる。その結果、空調性能を損なうことなく省スペース化を実現することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
<透孔部53について>
・上流側フィン50における透孔部53の形状や大きさは、同上流側フィン50の第1方向(車幅方向)への傾動に伴うフォーク部41との干渉を回避することのできるものであることを条件として、上記実施形態とは異なるものに変更されてもよい。図15はその一例を示している。この例では、透孔部53の通風方向の長さは、第2方向(上下方向)についての中央部において最大となり、同中央部から同方向に遠ざかるに従い短くなっている。
<上流側フィン群について>
・上流側フィン群は、上記実施形態とは異なる数のフィンによって構成されてもよい。ただし、連結ロッド57が必要となるフィンの最小数は2であるため、上流側フィン群は2つ以上のフィンによって構成される必要がある。
<切欠き部55について>
・上流側フィン50,51において、第2方向(上下方向)について切欠き部55が設けられる部位は、両第2壁部22のうち下流端がより上流側に位置するもの(上側の第2壁部22)に近い側の部位であることを条件に、変更可能である。
図13は、切欠き部55が、連結ロッド57が交差する箇所から、両第2壁部22のうち下流端がより上流側に位置するもの(上側の第2壁部22)に近い側の端面にわたって設けられた変更例を示している。この場合、切欠き部55は、第2方向(上下方向)については、採り得る最大の大きさとなる。
図14及び図15は、切欠き部55が、上流側ほど連結ロッド57から上方へ遠ざかるように傾斜する傾斜面を有している変更例を示している。
上記図13〜図15では、いずれも切欠き部55が上述した実施形態よりも拡大されている。このように切欠き部55が拡大されると、支軸52を支点として上流側フィン50,51が第1方向(車幅方向)へ傾動されたときにも、騒音を低減する効果が得られる。これは、上流側フィン50,51が第1壁部21に対し平行な状態から第1方向(車幅方向)へ傾動されて、第1壁部21に対し傾斜させられた状態の切欠き部55を空調用空気Aが通過する場合、広い方が抵抗が少なく騒音が発生しにくいからである。
・切欠き部55は、上流側フィン50,51において、支軸52よりも下流側に設けられてもよい。この場合、切欠き部55は、上流側フィン50,51の下流側の端面から上流側の端面に向けて延びるものであってもよい。
<連結ロッド57について>
・連結ロッド57は、その投影面P2の少なくとも一部が、メインフィン31及びシャットダンパ70の投影される投影面P1に含まれる箇所に配置されればよい。この場合でも、空調用レジスタの大型化を招くことなく圧力損失及び騒音を抑制する効果は得られる。
<カム部材67について>
・カム部材67における各カム孔68,69は、カム部材67を貫通していない溝部(カム溝)によって構成されてもよい。
<ギヤ機構59について>
・駆動ギヤ61及び被動ギヤ66の形状は、上記実施形態とは異なるものに変更されてもよい。
・ギヤ機構59は3つ以上のギヤの組合わせによって構成されてもよい。
<シャットダンパ70について>
・シャットダンパ70の第2方向(上下方向)についての位置が変更されてもよい。この場合、シャットダンパ70は、その投影面の少なくとも一部が、より好ましくは投影面の少なくとも主要部が、さらに好ましくは投影面の全部が、メインフィン31の投影面に含まれる箇所に配置されることが望ましい。
<適用箇所について>
・本発明は、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所、例えばダッシュボードに設けられる空調用レジスタにも適用可能である。
・本発明の空調用レジスタは、空調装置から送られてきて室内に吹き出す空調用空気の向きを変更したり、吹き出しを遮断したりすることのできるものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
<その他>
・本発明は、吹出口が縦長となるように配置される薄型の空調用レジスタにも適用可能である。この場合、上下方向が第1方向となり、車幅方向(左右方向)が第2方向となる。