以下、車両用の空調用レジスタに具体化した一実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。また、空調用空気の流れ方向を「通風方向」という場合がある。
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その車幅方向における中央部、側部等には空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、空調装置から送られてきた空調用空気の向きを変更して車室内に吹き出すこと、空調用空気の吹き出しを遮断すること等である。
最初に、空調用レジスタの基本構造について説明する。図1、図3及び図4に示すように、空調用レジスタ10は、ケース11(図1参照)、リテーナ13、ベゼル41、下流フィン群、連動機構CM、上流フィン群、操作ノブ91及び伝達機構DM(図5参照)を備えている。次に、空調用レジスタ10を構成する各部の構成について説明する。
<ケース11>
図2及び図5に示すように、ケース11は、空調用レジスタ10の外殻部分を構成する部材である。ケース11は、前後方向に延び、かつ車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな略四角筒状をなしている。ケース11の前方(図5の上方)の端部は開放され、後方(図5の下方)の端部には、車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな開口12が形成されている。
<リテーナ13>
図3〜図5に示すように、リテーナ13は、前後方向に延び、かつ両端が開放された四角筒状をなしており、ケース11内に配置されている。リテーナ13の車幅方向の寸法は、上下方向の寸法よりも大きい。リテーナ13の内部空間は、空調装置から送られてくる空調用空気Aの流路(以下「通風路14」という)を構成している。
リテーナ13は、上流リテーナ15及び下流リテーナ16を備えている。上流リテーナ15は、リテーナ13のうち通風方向の上流部分を構成する部材である。下流リテーナ16は、上流リテーナ15に対し通風方向の下流に隣接した状態で配置されており、同上流リテーナ15に連結されている。
上記通風路14は、リテーナ13の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、車幅方向に相対向する一対の第1壁部17と、上下方向に相対向する一対の第2壁部22,32とからなる。両第2壁部22,32は、後述するメインフィン51及び両補助フィン55,61の配列方向(上下方向)の両側に位置する壁部である。
両第1壁部17は互いに平行な状態又はそれに近い状態で対向している。各第1壁部17のうち、通風方向における下流端であって、上下方向に互いに離間した3箇所には、それぞれ軸受部19が設けられている。一方(図4、図5の各左方)の第1壁部17における軸受部19は、その第1壁部17に一体に形成され、他方(図4、図5の各右方)の第1壁部17における軸受部19は、その第1壁部17に装着された部材20によって構成されている。
上下の各第2壁部22,32のうち、上記軸受部19よりも通風方向の上流部分、より詳しくは、上流リテーナ15と下流リテーナ16の連結部分であって、車幅方向に互いに離間した複数箇所には、それぞれ軸受部21が設けられている。
<ベゼル41>
図4に示すように、ベゼル41の主要部は、四角環状をなす本体部42によって構成されている。本体部42は、車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな吹出口43を有している。ベゼル41は、リテーナ13の通風方向における下流端に配置されており、下流リテーナ16に連結されている。
<下流フィン群>
図1、図2及び図4に示すように、下流フィン群は、1つの下流メインフィン(以下「メインフィン」という)51と、一対の下流補助フィン(以下「補助フィン」という)55,61とからなる。
メインフィン51は、車幅方向の寸法が、通風方向の寸法よりも大きな長尺板状をなしている。メインフィン51は、両第2壁部22,32間の略中央部に配置されている。メインフィン51の上下の両面は、通風方向を変更する方向変更面52を構成している。
各補助フィン55,61は、車幅方向の寸法が、通風方向の寸法よりも大きな長尺板状をなしている。ただし、各補助フィン55,61における通風方向の寸法は、メインフィン51における同方向の寸法よりも小さい(図7参照)。上側の補助フィン55は、第2壁部22とメインフィン51との間に配置され、下側の補助フィン61は、メインフィン51と第2壁部32との間に配置されている。表現を変えると、両補助フィン55,61は、メインフィン51の厚み方向の両側に配置されている。
上側の補助フィン55のうちメインフィン51に対向する側である下側の面は、通風方向を変更する方向変更面56を構成している(図6(a),(b)参照)。同様に、下側の補助フィン61のうちメインフィン51に対向する側である上側の面は、通風方向を変更する方向変更面62を構成している。
図4及び図5に示すように、メインフィン51の車幅方向における両方の端面には、フィン軸65が設けられている。同様に、各補助フィン55,61の同方向における両方の端面にもフィン軸65が設けられている。各フィン軸65は、通風方向については、メインフィン51及び両補助フィン55,61の各下流端に位置している。各フィン軸65は、上記軸受部19により両第1壁部17に対し傾動可能に支持されている。
<連動機構CM>
連動機構CMは、メインフィン51の傾動を各補助フィン55,61に伝達し、そのメインフィン51の傾動に応じ各補助フィン55,61を、同メインフィン51と同一傾向の方向へ傾動させるための機構である。
より詳しくは、メインフィン51の車幅方向における一方(図4、図5の各右方)の端面には駆動軸53が設けられている。上側の補助フィン55の車幅方向における一方(図4の右方)の端面には駆動軸58が設けられている。下側の補助フィン61の車幅方向における一方(図4の右方)の端面には、駆動軸64が設けられている。各駆動軸53,58,64は、通風方向については、上記フィン軸65よりも上流に位置している。
各駆動軸53,58,64は、メインフィン51及び補助フィン55,61と一方(図4、図5の各右方)の第1壁部17との間に配置された連結ロッド66によって連結されている。これらの駆動軸53,58,64、連結ロッド66等により、連動機構CMが構成されている。
<上流フィン群>
図3及び図4に示すように、上流フィン群は、通風路14内の上述した下流フィン群よりも、通風方向の上流側に配列された複数の上流フィンからなる。各上流フィンは、それぞれ上下方向へ延びる板状体によって構成されている。複数の上流フィンは、車幅方向には略等間隔で互いに略平行に離間した状態で配置されている。
ここで、複数の上流フィンを区別するために、車幅方向における略中央部に位置するものを「上流フィン81」といい、それ以外のものを「上流フィン82」というものとする。
各上流フィン81,82の上下方向における両方の端面には、フィン軸83がそれぞれ設けられている。各フィン軸83は、通風方向については、上流フィン81,82の中間部分に位置している。各上流フィン81,82の上下の両フィン軸83は、上記軸受部21により両第2壁部22,32に対し傾動可能に支持されている。
各上流フィン81,82における上方のフィン軸83は、上側の第2壁部22から上方に突出している。これらの突出するフィン軸83の上端部には、それぞれアーム84が一体に形成されている。各アーム84は、フィン軸83を起点として通風方向の上流側へ延びており、その延出端に連結軸85を有している。アーム84毎の連結軸85は、車幅方向に延びる連結ロッド86によって連結されている。そして、これらのアーム84、連結軸85、連結ロッド86等により、全ての上流フィン82を上流フィン81と同一傾向の傾きとなるように同上流フィン81に同期した状態で傾動させるリンク機構LMが構成されている。
<操作ノブ91>
図4及び図5に示すように、操作ノブ91は、吹出口43からの空調用空気Aの吹き出し方向を変更する際に乗員によって操作される部材である。操作ノブ91は、複数の部材を組付けることにより、メインフィン51に対し、その長さ方向(車幅方向)にスライド可能に外嵌されている。この外嵌は、メインフィン51において、その長さ方向の中間部分に設定された作動領域R1においてなされている。操作ノブ91の上記スライドは、作動領域R1で行なわれる。作動領域R1では、操作ノブ91がメインフィン51を取り囲んでいる。そのため、操作ノブ91の通風方向における上流端91Uは、作動領域R1でのメインフィン51の上流端51U1よりも上流に位置する。
メインフィン51において、上記作動領域R1に対し、同メインフィン51の長さ方向両側の領域は、操作ノブ91のスライド操作が行なわれることのない非作動領域R2となっている。
操作ノブ91は、作動領域R1においてスライドすることで、車幅方向へ変位することが可能である。また、操作ノブ91は、メインフィン51と一緒に両フィン軸65を支点として傾動可能である。
<伝達機構DM>
図3〜図5に示すように、伝達機構DMは、操作ノブ91の上記スライド動作を上流フィン81に伝達して、上下の両フィン軸83を支点として同上流フィン81を傾動させるための機構である。
上流フィン81の通風方向における中間部分には透孔部87が設けられている。また、上流フィン81の通風方向における下流端には、上下方向に延びる伝達軸部88が、上記透孔部87に隣接した状態で設けられている。
操作ノブ91のうち、通風方向における上流端91Uには、二股状のフォーク92が連結されている。フォーク92は、上流フィン81の伝達軸部88を車幅方向の両側から挟み込んでいる。フォーク92は軸93を支点として上下方向へ傾動可能である。
なお、透孔部87は、上流フィン81の傾動に伴うフォーク92との干渉を回避するためのものである。透孔部87及び伝達軸部88は、上流フィン82には設けられていない。
そのため、操作ノブ91が作動領域R1において車幅方向へスライドさせられると、フォーク92及び伝達軸部88を通じて上流フィン81に同方向の力が加えられ、同上流フィン81が上下の両フィン軸83を支点として傾動させられる。
上記のようにして空調用レジスタ10の基本構造が構成されている。次に、本実施形態の空調用レジスタ10の特徴部分について、(i)〜(iv)に分けて説明する。
(i)図6(a),(b)及び図10に示すように、下流リテーナ16では、上側の第2壁部22が、平坦な一般壁部23と、その一般壁部23に対し通風方向の下流側に隣接する膨出壁部24とによって構成されている。この膨出壁部24は、一般壁部23よりも通風路14から遠ざかる側である上側へ膨出している。ここで、上側の補助フィン55が一般壁部23に対し平行な状態を、補助フィン55の「中立状態」というものとする。膨出壁部24とベゼル41の本体部42とによって囲まれた空間は、上側の補助フィン55が、上記中立状態と、それよりも上側へ角度θ1(本実施形態では15°)傾斜した状態との間で傾動するのを許容する傾動空間STを構成している。表現を変えると、傾動空間STは、補助フィン55が一般壁部23よりも通風路14から遠ざかる側(上側)へ傾動するのを許容する。
上側の膨出壁部24の頂部24Tは、上記のように、補助フィン55が中立状態に対し上記角度θ1(15°)傾斜させられたとき、補助フィン55の通風方向における上流端55Uが近接される箇所に位置している。そのため、補助フィン55を中立状態に対し角度θ1(15°)よりも大きく傾動させようとした場合には、補助フィン55の上流端55Uが膨出壁部24の頂部24Tに接触して、補助フィン55の上方へのそれ以上の傾動が規制される。メインフィン51が傾動させられているにも拘わらず、補助フィン55の傾動が停止させられる。
従って、補助フィン55をメインフィン51に連動させて傾動空間ST内で傾動させるとき、同補助フィン55はメインフィン51よりも少ない角度傾動させられる。また、膨出壁部24が上記の箇所に位置することで、同膨出壁部24が一般壁部23よりも通風路14から遠ざかる側(上側)へ膨出する量は、補助フィン55がメインフィン51と同程度傾動させられる場合よりも少ない。
図11に示すように、上側の膨出壁部24の頂部24Tには、連結ロッド66の上端部の入り込みを許容する透孔25が形成されている。この透孔25は、上昇する連結ロッド66の上端部との干渉を防ぐためのものである。
また、図6(a),(b)及び図10に示すように、下側の第2壁部32は、平坦であり、かつ上記第2壁部22の一般壁部23に対し平行となる一般壁部33と、その一般壁部33に対し通風方向の下流側に隣接する膨出壁部34とによって構成されている。この膨出壁部34は、一般壁部33よりも通風路14から遠ざかる側である下側へ膨出している。ここで、下側の補助フィン61が一般壁部33に対し平行な状態を、補助フィン61の「中立状態」というものとする。膨出壁部34とベゼル41の本体部42とによって囲まれた空間は、下側の補助フィン61が、上記中立状態と、それよりも下側へ角度θ1(15°)傾斜した状態との間で傾動するのを許容する傾動空間SBを構成している。表現を変えると、傾動空間SBは、補助フィン61が一般壁部33よりも通風路14から遠ざかる側(下側)へ傾動するのを許容する。
下側の膨出壁部34の底部34Bは、上記のように、補助フィン61が中立状態に対し角度θ1(15°)傾斜させられたとき、同補助フィン61の通風方向における上流端61Uが近接される箇所に位置している(図10参照)。そのため、補助フィン61を中立状態に対し角度θ1(15°)よりも大きく傾動させようとした場合には、上流端61Uが底部34Bに接触して、補助フィン61の下方へのそれ以上の傾動が規制される。メインフィン51が傾動させられているにも拘わらず、補助フィン61の傾動が停止させられる。
従って、補助フィン61をメインフィン51に連動させて傾動空間SB内で傾動させるとき、同補助フィン61はメインフィン51よりも少ない角度傾動させられる。また、膨出壁部34が上記の箇所に位置することで、同膨出壁部34が一般壁部33よりも通風路14から遠ざかる側(下側)へ膨出する量は、補助フィン61がメインフィン51と同程度傾動させられる場合よりも少ない。
図11に示すように、下側の膨出壁部34の底部34Bには、連結ロッド66の下端部の入り込みを許容する透孔35が形成されている。この透孔35は、下降する連結ロッド66の下端部との干渉を防ぐためのものである。
(ii)図6(a)及び図7に示すように、メインフィン51が一般壁部23,33に対し平行な状態を、メインフィン51の「中立状態」というものとする。図9(a)、図10及び図13に示すように、メインフィン51が、中立状態に対し、採り得る最大角度(角度θ3、ここでは35°)傾斜させられたときに、両非作動領域R2での同メインフィン51の上流端51U2を、膨出壁部24,34の一般壁部23,33との境界部分26,36に対し、0.5mm〜1.5mm程度に接近させる。そのために、メインフィン51における一対の非作動領域R2が、作動領域R1よりも通風方向の上流側へ多く延ばされている。図5及び図13に示すように、各非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2は、作動領域R1でのメインフィン51の上流端51U1よりも流通方向の上流に位置している。本実施形態では、各上流端51U2は、操作ノブ91の上流端91Uよりも流通方向の上流に位置している。
(iii)連動機構CMは、上述のように、メインフィン51の傾動に応じ、補助フィン55,61を同メインフィン51と同一傾向の方向へ傾動させるためのものである。本実施形態では、連動機構CMは、メインフィン51の傾動に応じて補助フィン55,61を、次の条件を満たすように傾動させる。
条件1:図6(a)及び図7に示すように、メインフィン51が中立状態にされた場合には、各補助フィン55,61を、傾動空間ST,SB内において一般壁部23,33よりも流通方向の下流で中立状態にさせる。このとき、補助フィン55,61の方向変更面56,62を一般壁部23,33の内壁面と同一平面上に位置させる。
条件2:メインフィン51が、中立状態と、同中立状態に対し角度θ1(15°)傾斜した状態との間で傾動されるときには、両補助フィン55,61を同メインフィン51に同期させて傾動させる(図12(a)参照)。
条件3:メインフィン51が、中立状態に対し角度θ1傾斜した状態と、同角度θ1よりも大きな角度θ3(35°)傾斜した状態との間で傾動されるときには、メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)については、同メインフィン51に同期させて傾動させる。これに対し、メインフィン51の傾動方向前側の補助フィン61(55)については、傾動を停止させる(図12(b),(c)参照)。
上述したように、連動機構CMでは、メインフィン51の駆動軸53と、各補助フィン55,61の駆動軸58,64とが連結ロッド66によって連結されているが、本実施形態では、この連結の態様等の点について工夫がなされている。
図4及び図11に示すように、連動機構CMにおいて、メインフィン51の駆動軸53と、各補助フィン55,61の駆動軸58,64とを連結する連結ロッド66として略上下方向に細長い板状をなすものが用いられている。連結ロッド66において上下方向の略中央部には駆動孔67があけられており、ここにメインフィン51の駆動軸53が係合されている。
第1壁部17において、軸受部19から通風方向の上流へわずかに離れた箇所には、ガイド孔18が形成されている。ガイド孔18は、上記流通方向の上流へ向けて膨らむ円弧状に形成されている。本実施形態では、ガイド孔18は、第1壁部17において、上下方向の中央部よりも上方へ偏倚した箇所に形成されている。
連結ロッド66において、上記駆動孔67から上方へ離れた箇所には、最寄りの第1壁部17に向けて突出するガイド軸68が設けられている。ガイド軸68は、上記ガイド孔18に移動可能に係合されている。
そして、ガイド軸68は、メインフィン51が中立状態にされたとき、ガイド孔18の上下方向の中央部に位置する(図11参照)。ガイド軸68は、メインフィン51が通風方向の下流側ほど高くなるように傾動されると、ガイド孔18の下半部において移動する(図12(a)〜(c))。これに対し、ガイド軸68は、メインフィン51が通風方向の下流側ほど低くなるように傾動されると、ガイド孔18の上半部において移動する。
上記の構成により、連結ロッド66は、駆動孔67及び駆動軸53を介してメインフィン51に支持されるとともに、ガイド軸68及びガイド孔18を介して第1壁部17に支持されている。そして、連結ロッド66は、駆動軸53がメインフィン51のフィン軸65の周りを旋回するとともに、ガイド軸68がガイド孔18内を移動することで、略上下方向に延びる姿勢を維持しながら上下方向に平行移動(昇降)することが可能である。
連結ロッド66の上部であって、ガイド軸68よりも上側には、上カム孔69が形成されている。上カム孔69は、通風方向の下流側かつ斜め下方へ向けて膨らむ円弧状に形成されている。上側の補助フィン55の駆動軸58は、上記上カム孔69に移動可能に係合されている。駆動軸58は、メインフィン51が中立状態にされたとき、上カム孔69の上端部に位置する(図11参照)。駆動軸58の上カム孔69における位置は、メインフィン51の傾動に伴う連結ロッド66の昇降に応じて変化する。
連結ロッド66の下部には下カム孔71が形成されている。下カム孔71は、通風方向の下流側かつ斜め上方へ向けて膨らむ円弧状に形成されている。下側の補助フィン61の駆動軸64は、上記下カム孔71に移動可能に係合されている。駆動軸64は、メインフィン51が中立状態にされたとき、下カム孔71の下端部に位置する(図11参照)。駆動軸64の下カム孔71における位置は、メインフィン51の傾動に伴う連結ロッド66の昇降に応じて変化する。
なお、上記条件2を満たす両補助フィン55,61の傾動は、次のようにして行なわれる。
図12(a)に示すように、メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)では、駆動軸58(64)が上カム孔69の上端壁面(下カム孔71の下端壁面)によって押圧される。この押圧によって、補助フィン55(61)は、メインフィン51の傾動に同期して、同メインフィン51と同じ角度傾動させられる。
メインフィン51の傾動方向前側の補助フィン61(55)では、駆動軸64(58)が下カム孔71(上カム孔69)の側壁面との摩擦係合力によって押圧される。この押圧によって、補助フィン61(55)は、メインフィン51の傾動に同期して、同メインフィン51と同じ角度傾動させられる。
また、上記条件3を満たす両補助フィン55,61の作動は、次のようにして行なわれる。
図12(b)に示すように、メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)では、駆動軸58(64)が上カム孔69の上端壁面(下カム孔71の下端壁面)によって押圧される。この押圧によって、補助フィン55(61)は、メインフィン51の傾動に同期して、同メインフィン51と同じ角度傾動させられる。
メインフィン51の傾動方向前側の補助フィン61(55)では、駆動軸64(58)が下カム孔71(上カム孔69)の側壁面との摩擦係合力によって押圧される。しかし、傾動により補助フィン61(55)が膨出壁部34の底部34B(膨出壁部24の頂部24T)に接触し、それ以上の傾動が規制される。補助フィン61(55)は傾動を停止する。これに伴い駆動軸64(58)が移動不能となる。一方で、連結ロッド66は昇降し続ける。そのため、下カム孔71(上カム孔69)における駆動軸64(58)の位置が変化する。
(iv)図9(a),(b)に示すように、メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)の方向変更面56(62)と、ベゼル41の内壁面44の一部(上部、下部)とは、補助フィン55(61)が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられときに同一平面上に位置するように形成されている。
また、上記補助フィン55,61が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、ベゼル41の補助フィン55,61に対向する面と、補助フィン55,61のベゼル41に対向する面とは、互いに平行となり、しかも互いに接近する平面状に形成されている。ベゼル41の上記面は、同ベゼル41のうち通風方向における上流端面45によって構成されている。補助フィン55,61の上記面は、同補助フィン55,61のうち通風方向における下流端面57,63によって構成されている(図4参照)。
次に、上記のように構成された本実施形態の空調用レジスタ10の作用について説明する。
図6(a),(b)、図7及び図11は、メインフィン51が中立状態にされた空調用レジスタ10の各部を示している。このときには、ガイド軸68が、ガイド孔18の上下方向の中央部に位置している。連結ロッド66の上端部が上側の傾動空間STに入り込み、下端部が下側の傾動空間SBに入り込んでいる。ただし、連結ロッド66は透孔25,35には入り込んでいない。
また、上側の補助フィン55の駆動軸58は上カム孔69の上端部に位置し、下側の補助フィン61の駆動軸64は下カム孔71の下端部に位置している。そのため、傾動空間ST,SB内の各補助フィン55,61は、一般壁部23,33に対し通風方向の下流となる箇所で、同一般壁部23,33に対し平行な状態(中立状態)となる。一般壁部23,33の内壁面と補助フィン55,61の方向変更面56,62とは同一平面上に位置する。
従って、上下の両一般壁部23,33間を通過した空調用空気Aは、各補助フィン55,61から抵抗を殆ど受けることなく、メインフィン51と補助フィン55,61との間を流れる。この際、空調用空気Aは、メインフィン51の方向変更面52及び補助フィン55,61の方向変更面56,62に沿って、少ない圧力損失で通風方向の下流側へ真っ直ぐ流れて吹出口43から吹き出す。
また、各傾動空間ST,SBは、通風路14との境界部分で補助フィン55,61によって塞がれた状態又はそれに近い状態となる。そのため、傾動空間ST,SBに流入する空調用空気Aは少ない。
なお、このときには、各補助フィン55,61のメインフィン51側の部分が、ベゼル41の内壁面44よりもメインフィン51側に位置する(図6(b)参照)。補助フィン55,61の方向変更面56,62に対し、通風方向の下流となる箇所には、ベゼル41をはじめとして流れを妨げるものがない。そのため、方向変更面56,62に沿って流れた空調用空気Aは、その流れを妨げられることなく吹出口43から下流側へ真っ直ぐ吹き出す。
上記の状態から、操作ノブ91の通風方向における下流端に対し、上方へ向かう力が加えられると、図9(a)及び図10に示すように、メインフィン51が自身のフィン軸65を支点として反時計回り方向へ傾動させられる。メインフィン51は、下流側ほど高くなるように傾斜した状態となる。
メインフィン51の上記傾動に伴い、図12(a)に示すように、駆動軸53が同メインフィン51のフィン軸65の周りを反時計回り方向へ旋回する。この駆動軸53の動きは連結ロッド66に伝達される。連結ロッド66から突出するガイド軸68は、ガイド孔18に沿う方向には動くことができるが、それ以外の方向には動くことができない。ガイド軸68は、ガイド孔18に沿って下方へ若干量移動する。メインフィン51の駆動軸53と、ガイド軸68との2点で支持されている連結ロッド66は、上記メインフィン51の傾動に伴い、略上下方向に延びる姿勢を維持しながら下降する。
メインフィン51が中立状態と、同中立状態に対し角度θ1(15°)未満傾動される期間には、上側の補助フィン55の駆動軸58が上カム孔69の上端壁面によって下方へ押圧される。駆動軸58は、補助フィン55のフィン軸65の周りを、反時計回り方向へ旋回する。そのため、メインフィン51の傾動方向後側に位置する上側の補助フィン55は、メインフィン51と同一方向へ同一の角度傾動する。
これに対し、下側の補助フィン61の駆動軸64に対しては、下カム孔71の側壁面から摩擦係合力が加わる。この力により、駆動軸64は下カム孔71の下端部に位置した状態で下方へ押圧される。駆動軸64は、補助フィン61のフィン軸65の周りを、反時計回り方向へ上記の角度旋回する。そのため、メインフィン51の傾動方向前側に位置する下側の補助フィン61は、メインフィン51と同一方向へ同一角度傾動する。
上記のように、両補助フィン55,61はメインフィン51と同一の角度で傾斜する。従って、通風路14を流れる空調用空気Aは、メインフィン51の方向変更面52及び各補助フィン55,61の方向変更面56,62に沿って流れることで、斜め上方へ向きを変えられて吹出口43から吹き出す。
そして、メインフィン51が中立状態から角度θ1(15°)傾動され、それに伴い両補助フィン55,61が中立状態から角度θ1(15°)傾動されると、下側の補助フィン61の上流端61Uが下側の膨出壁部34の底部34Bに接近する。
図12(b)に示すように、メインフィン51が、中立状態に対し、上記角度θ1(15°)よりも大きな角度θ2(例えば、25°)傾斜するまで傾動されると、同メインフィン51の駆動軸53がフィン軸65の周りを反時計回り方向へさらに旋回する。これに伴いガイド軸68がガイド孔18に沿って下方へ移動し、連結ロッド66が下降する。連結ロッド66の下端部は、下側の膨出壁部34の透孔35内に入り込む。連結ロッド66の下降に伴い、上カム孔69及び下カム孔71が下方へ移動する。上カム孔69の上端壁によって下方へ押圧された上側の補助フィン55は、角度θ2(25°)まで傾動される。しかし、下側の補助フィン61については、その上流端61Uが膨出壁部34の底部34Bに接触する(図9(a)参照)。この接触により、下側の補助フィン61のそれ以上の傾動が規制される。下カム孔71における駆動軸64の位置が、同下カム孔71の下端から下カム孔71の長さ方向の中間部に移る。メインフィン51が傾動されているにも拘わらず、下側の補助フィン61の傾動が停止させられる。
上側の補助フィン55は、中立状態に対し、メインフィン51と同一の角度θ2傾斜する。これに対し、下側の補助フィン61はメインフィン51と同一の傾向ではあるが、中立状態に対し、同メインフィン51の角度θ2よりも小さな角度θ1で傾斜する。そして、通風路14を流れる空調用空気Aは、メインフィン51の方向変更面52及び各補助フィン55,61の方向変更面56,62に沿って流れることで、斜め上方へ向きを変えられて吹出口43から吹き出す。
図9(a),(b)、図10及び図12(c)に示すように、メインフィン51が中立状態に対し角度θ2よりもさらに大きな角度θ3(35°)傾斜するまで傾動されると、連結ロッド66の上端部は傾動空間STから後退し、下端部は透孔35内により一層入り込む。また、ガイド軸68がガイド孔18の下端部に達し、ガイド軸68がそれ以上下方へ移動することが規制される。連結ロッド66のそれ以上の下降が規制され、メインフィン51及び補助フィン55のそれ以上の傾動が規制される。このとき、メインフィン51は、中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられている。メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55は、中立状態に対し角度θ3(35°)傾斜する。
通風路14を流れる空調用空気Aは、メインフィン51と上側の補助フィン55との間の流路を、メインフィン51の上側の方向変更面52と補助フィン55の方向変更面56とに沿って流れる。空調用空気Aは、流れ方向をメインフィン51及び補助フィン55の傾斜方向に変えられ、吹出口43から斜め上方へ吹き出す。
ここで、メインフィン51の作動領域R1には操作ノブ91が外嵌されている。操作ノブ91の通風方向における上流端91Uは、作動領域R1でのメインフィン51の上流端51U1よりも上流に位置する(図9(a))。そのため、操作ノブ91は、メインフィン51の上流端を境界部分36に近づける際の阻害要因となる。
しかし、図10及び図13に示すように、メインフィン51では、作動領域R1の上流端51U1が、非作動領域R2の上流端51U2よりも下流に位置する。このことから、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたとき、作動領域R1の上流端51U1と下側の第2壁部32における境界部分36との間隔は、非作動領域R2の上流端51U2と同境界部分36との間隔よりも広い。従って、作動領域R1に外嵌された操作ノブ91の上流端91Uは、上記境界部分36に接触しにくい。
また、このときには、両非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2が、下側の第2壁部32における上記境界部分36に接近する。上流端51U2と境界部分36との間に生ずる隙間は小さく、この隙間を空調用空気Aが吹き抜けにくい。
なお、メインフィン51が、中立状態に対し上記最大角度に近い角度傾斜させられたときにも、最大角度傾斜させられたときと同様に、空調用空気Aの一部はそのメインフィン51及び補助フィン55に沿って流れることで、流れ方向をメインフィン51及び補助フィン55の傾斜方向に変えられる。また、このときには、上流端51U1と境界部分36との間隔が、上流端51U2と境界部分36との間隔よりも広く、操作ノブ91の上流端91Uが境界部分36に接触しにくい。また、上流端51U2と境界部分36との間に生ずる隙間が小さく、この隙間を空調用空気Aが吹き抜けにくい。
なお、作動領域R1でのメインフィン51の上流端51U1と上記境界部分36との隙間(図9(a)参照)は、非作動領域R2での上流端51U2と境界部分36との隙間(図10参照)よりも大きい。空調用空気Aは、前者の隙間を吹き抜ける。しかし、メインフィン51に対し、通風方向の下流側に位置する補助フィン61は、メインフィン51ほどではないものの、そのメインフィン51と同一傾向、すなわち、通風方向の下流側ほど高くなるように角度θ1(15°)で傾斜している。そのため、上記隙間を吹き抜けた空調用空気Aは、この補助フィン61に沿って流れることで、流れ方向を斜め上方へ変えられる。
また、メインフィン51は、中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられることで、補助フィン61に接近する。しかし、本実施形態では、補助フィン61は連動機構CMにより、膨出壁部34の傾動空間SBにおいて、一般壁部33よりも通風路14から遠ざかる側である下側へ傾動させられる。
メインフィン51の傾動に応じ、その傾動方向後側の補助フィン55が同期して傾動することについては上述した。従って、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられた場合、その傾動方向後側の補助フィン55も、中立状態に対しメインフィン51と同じ角度θ3傾斜する。このとき、図9(b)に示すように、補助フィン55の方向変更面56と、吹出口43の内壁面44の一部(上部)とが同一平面上に位置する。
また、このときには、上記補助フィン55の平面状の下流端面57とベゼル41の上流端面45との間に生ずる隙間は、同下流端面57が曲面である場合よりも小さくなる。また、下流端面57が上流端面45に接近することから、それらの間に生ずる隙間は小さくなる。
上記のように、メインフィン51が、中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられた状態から、操作ノブ91に対し下方へ向かう力が加えられると、各部が上記とは逆の動作を行ない、メインフィン51及び両補助フィン55,61がそれぞれ中立状態に戻される。
なお、中立状態にされているメインフィン51上の操作ノブ91に対し、下方へ向かう力が加えられると、各部が、上述した上方へ向かう力が加えられた場合とは逆方向に動作する。
また、図5において、操作ノブ91に対し、車幅方向の一方に向かう力が加えられると、同操作ノブ91がメインフィン51の作動領域R1において同方向へスライドする。また、上記操作ノブ91に加えられた力は、フォーク92を介して、上流フィン81の伝達軸部88に伝わる。上流フィン81はフィン軸83を支点として、車幅方向のうち、操作ノブ91が操作された側へ傾動させられる。この際、伝達軸部88は、上流フィン81のフィン軸83の周りを旋回する。このフィン軸83を支点とする上流フィン81の動きは、図3に示すアーム84、連結軸85及び連結ロッド66を介して全ての上流フィン82に伝達される。この伝達により、全ての上流フィン82が上流フィン81に同期して、操作ノブ91のスライド操作された側へ傾動する。空調用空気Aは、上記のように傾斜させられた上流フィン81,82に沿って流れることで、向きを変えられて吹出口43から吹き出す。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、メインフィン51の長さ方向の少なくとも一部(上流端51U2)を、第2壁部32(22)に接近させている(図10、図13)。
そのため、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)又はそれに近い角度傾斜させられたとき、メインフィン51の上流端51U2と第2壁部32(22)との間の隙間を小さくし、その隙間を空調用空気Aが吹き抜けるのを抑制することができ、吹出口43から吹き出す空調用空気Aの指向性を向上させることができる。
(2)本実施形態は、メインフィン51に対し、その長さ方向に沿って作動領域R1と非作動領域R2とが設定され、作動領域R1に操作ノブ91が同方向ヘスライド可能に設けられた空調用レジスタ10を対象とする。メインフィン51のうち、非作動領域R2を作動領域R1よりも通風方向の上流側へ多く延ばしている(図5、図13)。
そのため、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)又はそれに近い角度傾斜させられたとき(図10)に、非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2と第2壁部32(22)との間で空調用空気Aが吹き抜けるのを抑制することができる。また、操作ノブ91が第2壁部32(22)と接触するのを抑制することができる。
(3)第2壁部22,32の主要部を、平坦な一般壁部23,33と、一般壁部23,33に対し通風方向の下流側に隣接し、かつ一般壁部23,33よりも通風路14から遠ざかる側へ膨出する膨出壁部24,34とにより構成する。膨出壁部24,34及びベゼル41の本体部42で囲まれた空間により、補助フィン55,61が一般壁部23,33よりも通風路14から遠ざかる側(上下両側)へ傾動するのを許容する傾動空間ST,SBを構成する。メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2を、膨出壁部34(24)の一般壁部33(23)との境界部分36(26)に接近させるようにしている(図10、図13)。
そのため、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)又はそれに近い角度傾斜させられたときに、非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2と上記境界部分36(26)との間の隙間を小さくし、この隙間を空調用空気Aが吹き抜けるのを抑制することができる。
また、膨出壁部34(24)の傾動空間SB(ST)において一般壁部33(23)よりも通風路14から遠ざかる側へ補助フィン61(55)を傾動させることにより、メインフィン51と補助フィン61(55)との干渉を抑制することができる。
(4)連動機構CMにより、補助フィン61(55)をメインフィン51に連動させて傾動空間SB(ST)内で傾動させるとき、同補助フィン61(55)をメインフィン51よりも少ない角度傾動させるようにしている(図9(a)、図10)。
そのため、膨出壁部34(24)が一般壁部33(23)よりも通風路14から遠ざかる側へ膨出する量を少なくすることができ、リテーナ13の上下方向の寸法を小さくして、ケース11を同方向に小型にすることができる。
(5)本実施形態は、補助フィン55,61及び膨出壁部24,34が、メインフィン51の厚み方向の両側にそれぞれ設けられた空調用レジスタ10を対象とする。そして、連動機構CMにより、メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55,61を、同メインフィン51と同一の角度傾動させるようにしている(図9(a)、図10)。
そのため、メインフィン51に加え、その傾動方向後側の補助フィン55(61)によっても空調用空気Aの流れ方向を変えることができる。メインフィン51の傾動方向後側に補助フィン55(61)が設けられていない空調用レジスタに比べ、吹き出される空調用空気Aの指向性を高めることができる。
(6)メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)の方向変更面56(62)と、吹出口43の内壁面44の一部(上部、下部)とを、同補助フィン55(61)が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに同一平面上に位置させている(図9(a),(b))。
そのため、補助フィン55(61)の方向変更面56(62)に沿って流れる空調用空気Aを、引き続き吹出口43の内壁面44に沿ってスムーズに流れさせることができる。吹出口43から吹き出される空調用空気Aの指向性をさらに高めることができる。
(7)メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、ベゼル41の上流端面45と、補助フィン55(61)の下流端面57(63)とを、互いに平行又はそれに近い状態となる平面状に形成している(図9(a),(b))。
そのため、上記補助フィン55(61)が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたとき、その補助フィン55(61)の下流端面57(63)とベゼル41の上流端面45との間に生ずる隙間を、下流端面57(63)が曲面である場合よりも小さくすることができる。補助フィン55(61)の方向変更面56(62)に沿って流れた空調用空気Aが、吹出口43の内壁面44に移る際に、上記隙間によって流れを乱されるのを抑制することができる。従って、この点においても、空調用空気Aの指向性を高めることができる。
(8)メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55(61)が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、補助フィン55(61)の下流端面57(63)を、ベゼル41の上流端面45に接近させている(図9(a),(b))。
そのため、補助フィン55(61)が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたとき、下流端面57(63)と上流端面45との間に生ずる隙間を小さくすることができる。その結果、補助フィン55(61)の方向変更面56(62)に沿って流れた空調用空気Aが、吹出口43の内壁面44に移る際に、上記隙間によって流れを乱されるのを抑制することができる。従って、この点においても、空調用空気Aの指向性を高めることができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<メインフィン51について>
・メインフィン51の長さ方向の少なくとも一部のうち、通風方向における上流端51U1,51U2は、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、第2壁部22,32に対し、接近に代え、接触させられてもよい。
<補助フィン55,61について>
・一対の補助フィン55,61のうちの一方が省略されてもよい。この場合には、メインフィン51が上記補助フィン55,61に近い第2壁部22,32側へ、中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、メインフィン51の長さ方向の少なくとも一部の上流端を、同第2壁部22,32に接近又は接触させる。
<連動機構CMについて>
・連動機構CMは、メインフィン51の傾動方向後側の補助フィン55,61を、同メインフィン51と同一に近い角度傾動させるものであってもよい。
<傾動空間ST,SBについて>
・傾動空間ST,SBは、膨出壁部24,34のみで囲まれた空間によって構成されてもよい。
<適用箇所について>
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に設けられる空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、空調装置から送られてきた空調用空気の向きをフィンによって調整して室内に吹き出すものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
<その他>
・メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、同メインフィン51の長さ方向の少なくとも一部のうち流通方向における一部を、第2壁部32(22)の境界部分36(26)に接近させるために、上記実施形態とは異なる構成が採られてもよい。図14はその一例を示している。
この変形例では、作動領域R1でのメインフィン51の上流端51U1と、各非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2とが、空調用空気Aの流れ方向における同一の箇所に位置している。これに対し、第2壁部32の境界部分36のうち、作動領域R1に対応する箇所が、各非作動領域R2に対応する箇所よりも、流通方向における上流に位置している。
この場合、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたとき、非作動領域R2でのメインフィン51の上流端51U2が、第2壁部32の境界部分36に接近又は接触する。そのため、この変形例でも上記実施形態と同様の効果が得られる。
・上記空調用レジスタは、メインフィン51に操作ノブ91が設けられていないタイプの空調用レジスタにも適用可能である。この場合、メインフィン51は、非作動領域R2のみによって構成されることになる。メインフィン51の長さ方向のどの箇所においても、通風方向における上流端は、メインフィン51が中立状態に対し採り得る最大角度(角度θ3)傾斜させられたときに、第2壁部22,32に接近又は接触する。
・上記空調用レジスタは、メインフィン51の傾動方向前側の補助フィン55,61についても、傾動方向後側の補助フィン61,55と同様に、同メインフィン51と略同一の角度傾動させられる空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、ケース11が省略されたタイプの空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、上記実施形態とは異なり、吹出口43が縦長となるように配置される空調用レジスタにも適用可能である。この空調用レジスタでは、メインフィン51及び補助フィン55,61は車幅方向に沿って配列され、上流フィン81,82は上下方向に沿って配列される。