以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る情報提供システムの全体構成の一例を示す図である。情報提供システムは、情報提供装置100、移動局200a、200b、200c(以下、移動局200と総称する場合もある)、および基地局300a、300b、300c(以下、基地局300と総称する場合もある)を備える。なお、移動局200は、文字、画像、および音声などを少なくとも1つ含む情報を無線通信によって送受信できる携帯電話機、または無線通信可能なPDAなどである。
情報提供システムは、緊急車両10に関する情報を移動局200に提供する。情報提供システムは、例えば、基地局300を介して、緊急車両10が走行する予定移動経路上に存在する移動局200に、緊急車両10が通過する予測タイミングを含むメッセージを提供する。例えば、緊急車両10が走行する予定移動経路と同じ経路を走行する車両に乗車する者が使用している移動局200、あるいは緊急車両10が走行する予定移動経路の近傍に存在する者が使用する移動局200に対してメッセージが提供される。緊急車両10は、移動体の一例である。
指令センタ20は、緊急車両10の出動要請を受けて、緊急車両10を運行させる。指令センタ20は、通信装置を備え、緊急車両10の運行に対応して、通信装置が、緊急車両10の識別情報、出発時刻、出発地、および目的地を含む移動体情報をネットワーク50を介して情報提供装置100に提供する。図1では、緊急車両10が、指令センタ20からの要請を受けて、目的地30に向かう様子を示している。
基地局300a、300bは、例えば、3G、LTE、または4Gなどの通信方式を用いて無線通信を行うセルラー網のマクロセル基地局である。セル310aは、移動局200と基地局300aとの間で無線通信できる通信可能な範囲であり、セル310bは、移動局200と基地局300bとの間で無線通信できる通信可能な範囲である。
基地局300cは、例えば、フェムトセル基地局である。セル310cは、移動局200と基地局300cとの間で無線通信できる通信可能な範囲である。セル310cの無線通信可能な範囲は、セル310aまたはセル310bの無線通信可能な範囲より狭い。以下、セル310a、セル310bおよびセル310cをセル310と総称する場合がある。なお、基地局300は、PHS基地局、WiFiなどの他の通信方式のアクセスポイントなどでもよい。
セル310のそれぞれのセルは、位置および通信可能な範囲が異なり、緊急車両10がセル310内を通過するタイミングもセル310によって異なる。例えば、図1において、目的地30は、セル310bの範囲内にあるので、緊急車両10は、セル310a内を通過した後、セル310b内を通過する。よって、セル310a内に存在する移動局200aは、セル310b内に存在する移動局200bよりも早く緊急車両10に遭遇する。つまり、緊急車両10に遭遇する予測タイミング、例えば、緊急車両10に遭遇する予測時刻、または緊急車両10に遭遇するまでの予測時間は、セル310の位置によって異なる。
また、セル310aの範囲は、セル310cの範囲より広いので、緊急車両10が、セル310a内に進入してから通過するまでの予測時間は、セル310c内に進入してから通過するまでの予測時間よりも長い。例えば、緊急車両10がセル310a内に進入してから通過するまでの予測時間は、現時刻から5分後から20分後までの15分間であり、緊急車両10がセル310b内に進入してから通過する予測時間が、現時刻から15分後から20分後までの5分間であることが考えられる。つまり、緊急車両10に遭遇する予測タイミングは、セル310の範囲によっても異なる。
そこで、本実施形態に係る情報提供装置100は、セル310の位置または通信可能な範囲と緊急車両10が走行する予定移動経路の位置とを考慮し、セル310の範囲が少なくとも緊急車両10が走行する予定移動経路の一部を含む場合の位置および範囲に応じて、緊急車両10が通過する予測タイミングを決定する。これにより、移動局200を使用する者が緊急車両10と遭遇する予測タイミングをより正確に通知させることができるので、より利便性の高いサービスを提供することができる。
図2は、情報提供装置100の機能ブロックの一例を示す図である。情報提供装置100は、受信部102、経路情報取得部104、基地局特定部106、タイミング決定部108、ブロードキャスト制御部110、送信部112、および基地局情報保持部120を備える。なお、情報提供装置100は、基地局300内の装置、または指令センタ20内の装置として組み込まれてもよい。
受信部102は、ネットワーク50を介して指令センタ20から緊急車両10の識別情報、出発時刻、出発地、および目的地を含む移動体情報を受信する。経路情報取得部104は、移動体情報に含まれる出発地および目的地に基づいて、緊急車両10の予定移動経路を導出することにより、予定移動経路を示す経路情報を取得する。なお、緊急車両10の予定移動経路の導出は、指令センタ20で行ってもよい。この場合、受信部102は、ネットワーク50を介して指令センタ20から緊急車両10の予定移動経路を示す経路情報を受信し、経路情報取得部104が、受信部102から経路情報を取得してもよい。また、経路情報取得部104は、移動体情報に含まれる出発地および目的地を、ネットワーク50を介して、出発地および目的地に基づいて移動経路を導出する図示しない移動経路導出システムに提供し、移動経路導出システムから出発地および目的地に対応する経路情報を取得してもよい。
基地局特定部106は、経路情報に基づいて、緊急車両10の運行にともなうメッセージを送信する基地局300を特定する。基地局特定部106は、基地局情報保持部120が保持する基地局300の位置、セル310の範囲などの基地局情報を参照して、基地局300を特定する。
タイミング決定部108は、経路情報取得部104により取得された経路情報および基地局特定部106により特定された基地局300の位置に基づいて、特定された基地局300が送信する無線通信可能な範囲のセル内を緊急車両10が通過する予測タイミングを決定する。タイミング決定部108は、例えば、特定された各セル310の位置および範囲に応じて、セル310内を緊急車両10が通過する予測時刻、または現在の時刻から緊急車両10がセル310内を通過する時刻までの期間を示す予測時間を決定する。
ブロードキャスト制御部110は、タイミング決定部108により決定された予測タイミングを含むメッセージを、基地局特定部106により特定された基地局300からブロードキャストにより一斉送信させる。ブロードキャスト制御部110は、基地局特定部106により特定された基地局300に対して、予測タイミングを含むメッセージをブロードキャストにより一斉送信させるべく、緊急車両10がセル310を通過する予測タイミング、目的地、および緊急車両10の識別情報を示す命令信号を送信することを送信部112に指示する。送信部112は、ネットワーク50を介して、基地局特定部106により特定された基地局300に対して、命令信号を送信する。ブロードキャスト制御部110は、緊急車両10が運行する毎に割り当てられる識別情報を含む命令信号を送信部112から送信させてもよい。緊急車両10が運行する毎に割り当てられる識別情報は、例えば、緊急車両10を一意に識別する車両識別情報と出発時刻とを組み合わせた情報でもよい。
基地局特定部106は、経路情報に基づいて基地局300を、予め定められた期間ごとに特定してもよい。そして、タイミング決定部108は、基地局特定部106により基地局300が特定される毎に、予測タイミングを決定してもよい。さらに、ブロードキャスト制御部110は、タイミング決定部108が予測タイミングを決定する毎に、決定された予測タイミングを含むメッセージを基地局300にブロードキャストにより一斉送信させてもよい。
タイミング決定部108は、例えば、図1において、経路情報および基地局300aの位置に基づいて、基地局300aから第1予測タイミングを含むメッセージが送信されてから予め定められた基準期間が経過した後に基地局300aから送信されるメッセージに含まれる、セル310a内を緊急車両10が通過する第2予測タイミングを決定してもよい。そして、ブロードキャスト制御部110は、基地局300aから第1予測タイミングを含むメッセージをブロードキャストにより一斉送信させてから予め定められた基準期間が経過した後に、基地局300aから第2予測タイミングを含むメッセージをブロードキャストにより一斉送信させてもよい。
このように、予測タイミングを定期的に基地局300からブロードキャストにより一斉送信させることで、時間とともに経過する緊急車両10の通過タイミングを含むメッセージを緊急車両の運行に合わせて提供できる。
緊急車両10の運行により緊急車両10が走行する予定移動経路によって複数の基地局300を特定する必要があるが、基地局300によって無線通信可能な範囲が異なる。そこで、基地局特定部106は、例えば、緊急車両10が走行する予定移動経路の少なくとも一部が通信可能な範囲に入る基地局300を特定する。この場合、基地局300によって無線通信可能な範囲が異なることが考えられるが、基地局特定部106はこれを考慮して基地局300を特定してもよい。タイミング決定部108は、例えば、図1において、緊急車両10が走行する予定移動経路の経路情報および基地局300aの位置および基地局300aの無線通信可能な範囲であるセル310aに基づいて、緊急車両10が予定移動経路を走行した場合に最初に通過する無線通信可能な範囲であるセル310a内を緊急車両10が通過する第1予測タイミングを決定し、同様に経路情報および基地局300cの位置および基地局300cの無線通信可能な範囲に基づいて、2番目に緊急車両が通過する無線通信可能な範囲であるセル310c内を緊急車両10が通過する第2予測タイミングを決定してもよい。タイミング決定部108は、経路情報と基地局300aの位置および基地局300aの無線通信可能な範囲セル310aに基づいて、セル310a内を緊急車両10が通過する第1予測タイミングを決定し、経路情報と基地局300cの位置および基地局300cの無線通信可能な範囲であるセル310cに基づいて、セル310c内を緊急車両10が通過する第2予測タイミングを決定してもよい。ブロードキャスト制御部110は、第1予測タイミングを含むメッセージを基地局300aからブロードキャストによる一斉送信させるとともに、第2予測タイミングを含むメッセージを基地局300cからブロードキャストにより一斉送信させてもよい。
このように、基地局300の位置および基地局300の無線通信可能な範囲であるセル310の範囲に応じて予測タイミングを基地局300ごとに決定して、基地局300ごとに異なる予測タイミングを含むメッセージを基地局300ごとにブロードキャストによる一斉送信させる。これにより、それぞれの基地局300のセル内にいる移動局200に対してより的確な予測タイミングを含むメッセージを通知することができる。
図3は、情報提供装置100が基地局300に予測タイミングを含むメッセージをブロードキャストさせる処理手順を示すフローチャートである。
受信部102が、ネットワーク50を介して指令センタ20から緊急車両10の識別情報、出発時刻、出発地、および目的地を含む移動体情報を受信する(S100)。経路情報取得部104が、移動体情報に含まれる出発地および目的地に基づいて、緊急車両10の予定移動経路を導出することにより、予定移動経路を示す経路情報を取得する(S102)。経路情報取得部104は、移動体情報に含まれる出発時刻、出発地、および目的地に基づいて緊急車両10の予定到着時刻も導出してよい。
次いで、基地局特定部106が、基地局情報保持部120が保持する基地局300の位置、基地局300の無線通信可能な範囲であるセル310の範囲などの基地局情報を参照して、基地局300を特定する(S104)。タイミング決定部108は、経路情報取得部104により取得された経路情報および基地局特定部106により特定された基地局300の位置に基づいて、特定されたセル310内を緊急車両10が通過する予測タイミングを決定する(S106)。
ブロードキャスト制御部110は、緊急車両10が通過する予測タイミング、目的地、および緊急車両10の識別情報を示す命令信号を送信部112に送信させることで、タイミング決定部108により決定された予測タイミングを含むメッセージの送信を基地局300に指示する(S108)。
続いて、基地局特定部106は、基地局300がメッセージを送信してから予め定められた基準期間を経過したか否かを判定する(S110)。なお、基地局特定部106は、送信部112から命令信号が送信されてから予め定められた基準期間が経過したか否かを判定することで、基地局300からのメッセージ送信から予め定められた基準期間が経過したか否かを判定してもよい。予め定められた基準期間が経過していれば、基地局特定部106は、現在時刻が、緊急車両10の予定到着時刻を過ぎたか否かを判定することにより、緊急車両10が目的地に到着したか否かを判定する(S112)。そして、緊急車両10が目的地に到着するまでの間、ステップS104以降の処理を繰り返す。つまり、情報提供装置100は、緊急車両10が目的地に到着するまでの間、随時、基地局300の位置および基地局300の無線通信可能な範囲であるセル310の範囲を特定して予測タイミングを含むメッセージをブロードキャストさせる。
図4は、移動局200の機能ブロックの一例を示す図である。移動局200は、受信部202、通知制御部204、移動方向特定部206、場所特定部207、場所受付部208、表示部210、および近距離通信部212を備える。
受信部202は、基地局300からの緊急車両10が通過する予測タイミング、緊急車両10の識別情報、および目的地を含むメッセージを受信する。通知制御部204は、表示部210にメッセージに含まれる緊急車両10の識別情報、目的地、予測タイミングを通知し、表示部210は該メッセージを表示する。また、移動局200が車両内に存在する場合、通知制御部204は、近距離通信部212を介して車両内に設置されているカーナビケーション装置などの他の装置にメッセージを送信し、他の装置が備える他の表示部にメッセージに含まれる緊急車両10の識別情報、目的地、予測タイミングを表示させてもよい。近距離通信部212は、たとえばBluetooth(登録商標)など通信規格に従って他の装置と通信する。
例えば、移動局200が予め定められた速度以上で移動していることを不図示のジャイロセンサなどからの情報で通知制御部204が検知した場合には、通知制御部204は、移動局200を保持している者が車両に乗車していると判断してもよい。そして、移動局200が予め定められた速度以上で移動している場合には、通知制御部204は、近距離通信部212を介してカーオーディオ装置と通信して、予測タイミングを含むメッセージを表示部210などに表示させることに対応して、カーオーディオ装置に対してスピーカーの音量を下げるよう指示してもよい。スピーカーの音量を強制的に下げることで、緊急車両10が実際に近づいてきていることを乗車する者に気づきやすくさせることができる。
場所特定部207は、移動局200が現在の位置を特定する。場所特定部207は、GPS機能を利用して、移動局200が現在の位置を特定してもよい。場所特定部207は、不図示のジャイロセンサを利用して、移動局200が現在の位置を特定してもよい。
移動方向特定部206は、緊急車両10が移動局200と遭遇する予測地点における緊急車両10の移動方向および移動局200の移動方向を特定する。移動方向特定部206は、例えば、不図示のジャイロセンサを利用して、移動局200の現在の移動方向を特定し、現在の移動方向から予測地点における移動局200の移動方向を特定してもよい。移動方向特定部206は、緊急車両10の予定移動経路、移動局200の現在の位置、および移動局200の現在の移動方向に基づいて緊急車両10が移動局200と遭遇する予測地点を特定してもよい。また、移動方向特定部206は、予定移動経路と予測地点とから緊急車両10の予測地点における移動方向を特定してもよい。
予測タイミングを含むメッセージを受信する移動局200は、例えば、移動中の車両に乗車する者が使用するスマートフォンなどの携帯端末である。基地局300は、移動局200に対して、メッセージをブロードキャストによる一斉送信をする。したがって、メッセージを受信する移動局200は、移動中の車両に乗車する者が使用するスマートフォンなどの携帯端末とは限らない。例えば、1つの場所に留まっている者が使用する携帯端末にもメッセージが送信される。しかし、1つの場所に留まっている者は、一度メッセージが通知されていれば、緊急車両10がいつごろ、携帯端末を使用する者の滞在場所を通過するかを把握できるので、同じ緊急車両10に対するメッセージを何度も通知してもらう必要はないと感じることも考えられる。
そこで、受信部202が、予測タイミングを含む第1のメッセージを受信した後、移動局200が存在するセル内を緊急車両10が通過する予測タイミングを含む第2のメッセージを受信した場合、通知制御部204が、前回受信した第1のメッセージと今回受信した第2のメッセージとが同一の移動体に関する予測タイミングを含み、且つ受信部202が第1のメッセージを受信した時点の移動局200の位置と受信部202が第2のメッセージを受信した時点の移動局200の位置との差が予め定められた基準差以下か否かを判定してもよい。同一の移動体に関する予測タイミングを含み、第1のメッセージ受信した移動局200の位置と第2のメッセージを受信した移動局200の位置との差が予め定められた基準差以下の場合、通知制御部204は、今回受信した第2のメッセージが前回受信した第1のメッセージと同一の緊急車両10に関するメッセージであり、携帯端末を使用する者が同一の場所に滞在しているので、第2のメッセージの通知は不要と判断し、第2のメッセージを通知部により通知させない。つまり、通知制御部204は、第2のメッセージを表示部210などに表示させない。
第1のメッセージおよび第2のメッセージが緊急車両10が出発する毎に割り当てられる識別情報を含み、通知制御部204は、第1のメッセージに含まれる識別情報と第2のメッセージに含まれる識別情報とが一致する場合、第1のメッセージと第2のメッセージとが同一の緊急車両10に関する予測タイミングを含むと判断してもよい。
また、移動局200を使用する者が同一の時間帯に複数の緊急車両10に遭遇する可能性がある。このような場合、1台目の緊急車両10に関する予測タイミングを含むメッセージを通知するときに複数の緊急車両10に関する予測タイミングを含むメッセージを通知すれば、2台目以降の緊急車両10に関する予測タイミングを含む別のメッセージを通知しなくてもよい。
そこで、通知制御部204は、同一の時間帯に遭遇する可能性のある複数の緊急車両10に関するそれぞれの予測タイミングを含む複数のメッセージを受信した場合、複数のメッセージの内容を包含した1つのメッセージを表示部210に通知し、表示部210は、そのメッセージを表示してもよい。通知制御部204は、特定の時間帯に複数の緊急車両10に遭遇する可能性がある旨を示す1つのメッセージを表示部210に通知し、表示部210は、そのメッセージを表示してもよい。
通知制御部204は、第1のメッセージおよび第2のメッセージに含まれる各識別情報を比較することで、第1のメッセージおよび第2のメッセージが異なる緊急車両10に関するメッセージであるか否かを判断する。異なる緊急車両10に関するメッセージであると判断した場合、通知制御部204は、第1のメッセージに含まれる予測タイミングと第2のメッセージに含まれる予測タイミングとの時間差が予め定められた基準時間差以下か否かを判断する。第1のメッセージに含まれる予測タイミングと第2のメッセージに含まれる予測タイミングとの時間差が予め定められた基準時間差以下の場合、第1のメッセージおよび第2のメッセージが、同一の時間帯に遭遇する可能性がある複数の緊急車両10に関すると判断して、特定の時間帯に複数の緊急車両10に遭遇する可能性がある旨を示す1つのメッセージを表示部210に通知し、表示部210は、そのメッセージを表示してもよい。なお、通知制御部204は、第1のメッセージに含まれる予測タイミングと第2のメッセージに含まれる予測タイミングとの時間差が予め定められた基準時間差以下でない場合は、複数の緊急車両10が同一の時間帯で遭遇する可能性は低いと判断して夫々のメッセージを表示部210に通知し、表示部210は、夫々のメッセージを表示してもよい。
また、複数の緊急車両10が、同一の出発地から同一の時間帯に同一の目的地に向かって出発する場合がある。この場合、移動局200を使用する者は、同一の時間帯に複数の緊急車両10に遭遇する可能性が高い。そこで、受信部202が受信した第1のメッセージおよび第2のメッセージが、複数の緊急車両10の出発時刻、出発地および目的地を示す移動情報を含んでもよい。そして、通知制御部204は、第1のメッセージに含まれる移動情報に示される出発地および目的地と第2のメッセージに含まれる移動情報に示される出発地および目的地とが一致し、且つ第1メッセージに含まれる移動情報に示される出発時刻と第2のメッセージに含まれる移動情報に示される出発時刻との時間差が基準時間差以下の場合、第1のメッセージおよび第2のメッセージが、同一の出発場所から同一の時間帯に出発した複数の緊急車両10に関すると判断する。そして、通知制御部204は、第1のメッセージに第2のメッセージの内容を包含して表示部210に通知し、表示部210は、そのメッセージを表示させてもよい。通知制御部204は、同一の時間帯に複数の緊急車両10に遭遇する可能性がある旨を示す1つのメッセージを表示部210に通知し、表示部210は、そのメッセージを表示してもよい。
また、緊急車両10の運行により緊急車両10が走行する車線と同一の車線を走行中の車両は、緊急車両10が接近してきた場合、緊急車両10を先行させるために、緊急車両10が通行できるように車両が走行する車線を変更したり、車両を道路脇に寄せたりする必要がある。一方、緊急車両10が走行する車線と対向する対向車線を走行中の車両は、緊急車両10と遭遇しても、例えば、車両が走行する車線を変更したり、車両を道路脇に寄せたりする必要がない場合が多い。よって、対向車線を走行中の車両内に存在する移動局200に緊急車両10に関するメッセージを通知するよりも、同一の車線を走行中の車両内に存在する移動局200に緊急車両10に関するメッセージを通知するほうが、そのメッセージが有効に活用される可能性が高い。
そこで、通知制御部204は、移動方向特定部206により特定された緊急車両10の移動方向および移動局200の移動方向に基づいて、予測タイミングを含むメッセージを表示部210に表示させるか否かを判断してもよい。通知制御部204は、緊急車両10の移動方向と移動局200の移動方向とが反対方向である場合、メッセージを表示部210に表示させず、緊急車両10の移動方向と移動局200の移動方向とが反対方向でない場合、メッセージを表示部210に表示させてもよい。
また、対向車線を走行中の車両であっても、走行中の道路の幅が予め定められた幅より狭い場合には、車両を脇に寄る必要がある。一方、車両が緊急車両10と遭遇する予測地点における道路が予め定められた幅より広い道路、中央分離帯がある道路、または自動車専用道路の場合には、車線を変更したり、車両を脇に寄せたりする必要がない場合が多い。
そこで、通知制御部204は、緊急車両10の移動方向と移動局200の移動方向とが反対方向であって、且つ予測地点における道路が、予め定められた幅より広い道路、中央分離帯がある道路、または自動車専用道路などの予め定められた特定の道路の場合には、メッセージを通知部により通知させなくてもよい。
また、緊急車両10が出発する出発地である消防署または警察署、緊急車両10の目的地である病院などの特定の場所の付近に自宅または勤務地がある者が移動局200を使用する場合、緊急車両10が運行するごとにメッセージが通知される。そのようなメッセージは、上記のような者にとって不要な場合が多い。
そこで、移動局200の使用者は、場所受付部208を介して、メッセージの通知を希望しない特定の場所を入力してもよい。そして、通知制御部204は、受信部202がメッセージを受信した時点の移動局200の位置が、場所受付部208を介して入力された特定の場所に該当する場合には、メッセージを通知制御部204により表示部210に表示させなくてもよい。
また、同一の場所に滞在している移動局200の使用者は、建物の中にいたり、ベンチに座っていたり、緊急車両10が走行しない場所にいる可能性がある。そして、車両で移動中の移動局200の使用者よりも歩行者または同一の場所に滞在している者のほうが緊急車両10に関するメッセージを有効に活用できない可能性が高い。
そこで、通知制御部204は、受信部202がメッセージを受信した時点の移動局200の移動速度が予め定められた基準速度以下の場合、メッセージを通知部により通知させなくてもよい。
以上のように、通知制御部204が、基地局300からブロードキャストにより一斉送信されたすべてのメッセージを移動局200の表示部210に表示させるのではなく、移動局200の使用者にとって有益なメッセージに限り、移動局200の表示部210に表示させることにより利便性をさらに向上させることができる。
図5Aは、予測タイミングを含むメッセージを受信した場合の移動局200の処理手順の一例を示すフローチャートである。
受信部202が予測タイミングを含むメッセージを受信すると(S200)、通知制御部204は、前回のメッセージと今回のメッセージとが同一の緊急車両10に関し、前回のメッセージを受信した時点の移動局200の位置と今回のメッセージを受信した時点の移動局200の位置との差が、予め定められた基準差以下か否かを判定する。同一の緊急車両10に関して、前回のメッセージを受信した時点の移動局200の位置と今回のメッセージを受信した時点の移動局200の位置との差が予め定められた基準差以下の場合には、通知制御部204は、今回のメッセージを表示部210に表示させる通知候補としない。
一方、同一の緊急車両10に関して、差が予め定められた基準差以下でない場合、通知制御部204は、緊急車両10の移動方向と移動局200の移動方向とが反対方向であって、且つ予測地点における道路が、予め定められた幅以上の道路、中央分離帯がある道路、または自動車専用道路など予め定められた特定の道路であるか否かを判定する(S204)。それぞれの移動方向が反対方向であって、予測地点における道路が予め定められた特定の道路であれば、通知制御部204は、今回のメッセージを表示部210に表示させる通知候補としない。
一方、それぞれの移動方向が反対方向でない、または道路が予め定められた特定の道路でない場合、通知制御部204は、今回のメッセージを受信した時点の移動局200の位置が、場所受付部208を介して入力された予め定められた特定の場所に該当するか否かを判定する(S206)。予め定められた特定の場所に該当する場合には、通知制御部204は、今回のメッセージを表示部210に表示させる通知候補としない。
一方、予め定められた特定の場所に該当しない場合、通知制御部204は、今回のメッセージを受信した時点の移動局200の移動速度が、予め定められた基準速度以下か否かを判定する(S208)。移動速度が予め定められた基準速度以下の場合、通知制御部204は、今回のメッセージを表示部210に表示させる通知候補としない。
一方、移動速度が予め定められた基準速度以下でない場合には、今回のメッセージが、ステップS202からステップS208に示したメッセージを通知しない条件のいずれにも該当しないと判断して、通知制御部204は、今回のメッセージを表示部210に表示通する候補として決定する(S210)。
さらに、通知制御部204は、今回のメッセージを受信してから予め定められた期間に次のメッセージを受信したか否かを判定する(S212)。次のメッセージを受信していれば、ステップS202以降の処理を繰り返す。次のメッセージを受信していなければ、通知制御部204は、通知処理を実行する(S214)。
図5Bは、通知制御部204が実行する通知処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
通知制御部204は、通知候補のメッセージがあるか否かを判定する(S300)。通知候補のメッセージがなければ通知処理を終了する。通知候補のメッセージがあれば、通知制御部204は、通知候補のメッセージが複数あるか否かを判定する(S302)。複数なければ、通知制御部204は、通知候補のメッセージを表示部210に表示させる(S304)。
通知候補のメッセージが複数の場合には、通知制御部204は、通知候補の複数のメッセージに含まれる予測タイミングおよび緊急車両10の識別情報に基づいて、通知候補の複数のメッセージが、同一時間帯に遭遇する可能性のある複数の緊急車両10に対するメッセージであるか否かを判定する(S306)。通知制御部204は、同一時間帯に遭遇する可能性のある複数の緊急車両10に対するメッセージでなければ、通知候補の複数のメッセージをそれぞれ表示部210に表示させる(S308)。一方、通知制御部204は、同一時間帯に遭遇する可能性のある複数の緊急車両10に対するメッセージであれば、通知候補の複数のメッセージを包含した1つのメッセージを表示部210に表示させる(S310)。
以上の通り、本実施形態に係る移動局200によれば、メッセージが有効に活用される可能性が高い場合に、そのメッセージが通知されるので、利便性を向上させることができる。
図6は、移動局200が、順次受信するメッセージの内容、およびそれぞれのメッセージに対して移動局200が行った判断結果の内容の一例を示す。
例えば、移動局200が、緊急車両10の車両種別として「消防車A」、メッセージを受信した基地局300の無線通信可能範囲であるセル内に消防車Aが到着する予定到着時刻「13:00」、出発地「消防署A」、出発時刻「12:45」、目的地「ビルA」が示されたメッセージ番号「1」を受信したとする。そして、移動局200が、消防車Aおよび移動局200の移動方向が同一方向であると判断したとする。この場合、移動局200は、メッセージ番号「1」の内容を通知する。
次いで、移動局200が、緊急車両10の車両種別として「消防車B」、メッセージを受信した基地局300の無線通信可能範囲であるセル内に消防車Bが到着する予定到着時刻「13:01」、出発地「消防署A」、出発時刻「12:46」、目的地「ビルA」が示されたメッセージ番号「2」を受信したとする。そして、移動局200が、消防車Bおよび移動局200の移動方向が同一方向であると判断したとする。メッセージ番号「1」とメッセージ番号「2」とは同一の移動体に関する内容ではない。つまり、緊急車両10の車両種別としての「消防車A」と緊急車両10の車両種別としての「消防車B」とは異なる緊急車両なので、メッセージ番号「1」とメッセージ番号「2」とは同じ緊急車両10に関する内容ではない。しかし、メッセージ番号「2」は、前回受信したメッセージ番号「1」と同一の出発地から同一の目的地に向かって出発した緊急車両10に関する。さらに、メッセージ番号「1」に示される出発時刻と、メッセージ番号「2」に示される出発時刻との差が予め定められた基準差、例えば5分以内である。よって、移動局200は、同一の時間帯に出発した緊急車両10に関すると判断し、移動局200は、メッセージ番号「2」の内容を通知しない。
さらに、移動局200が、緊急車両10の車両種別として「消防車C」、メッセージを受信した基地局300の無線通信可能範囲であるセル内に消防車Aが到着する予定到着時刻「13:10」、出発地「消防署C」、出発時刻「12:45」、目的地「ビルC」が示されたメッセージ番号「3」を受信したとする。そして、移動局200が、消防車Cおよび移動局200の移動方向が同一方向であると判断したとする。そして、移動局200は、メッセージ番号「3」を受信した時点の移動局200の位置と、メッセージ番号「4」を受信した時点の移動局200の位置との差が予め定められた基準差以下であると判断する。この場合、移動局200は、ほとんど移動していない、または歩行者が有する移動局200である可能性が高いので、移動局200は、メッセージ番号「3」を通知しない。
加えて、移動局200が、緊急車両10の車両種別として「パトカーB」、メッセージを受信した基地局300の無線通信可能範囲であるセル内にパトカーBが到着する予定到着時刻「13:15」、出発地「警察署B」、出発時刻「13:00」、目的地「ビルB」が示されたメッセージ番号「5」を受信したとする。そして、移動局200が、パトカーBおよび移動局200の移動方向が反対方向であると判断したとする。この場合、移動局200は、パトカーBと遭遇する予測地点における道路が、予め定められた道路の幅より広い道路、中央分離帯がある道路、または自動車専用道路など予め定められた特定の道路であったと判断した場合、メッセージ番号「5」を通知しない。
以上のように、移動局200は、メッセージに示される内容によって、そのメッセージを通知することが移動局200を使用する者にとって有益か否かを判断して、有益な場合のみ通知部によりメッセージを通知させる。
図7は、移動局200の表示部210などに表示されるメッセージの一例を示す図である。
画面500は、緊急車両10の予測タイミングに関するメッセージが表示されるメッセージ領域502と、緊急車両10の現在の予測位置512、移動局200の現在の位置510、緊急車両10の目的地514を示す地図が表示される地図領域504とを含む。図7に示すメッセージ領域502に表示される内容は、一例に過ぎない。例えば、メッセージ領域502には、緊急車両が近づいている旨、緊急車両に遭遇する可能性がある旨、または、事故現場に遭遇する可能性がある旨などを示してもよい。メッセージ領域502には、複数の緊急車両が近づいている旨を示してもよい。
移動局200を使用する者は、移動局200の表示部210などに表示される画面500を確認することで、例えば、自身がいる場所付近を、何時ごろ緊急車両10が通過することを確認できる。よって、例えば移動局200を使用する者が車両を走行している場合、車両を道路脇に寄せるようにその車両の運転者に促したり、緊急車両10が通らない他の道に誘導したりすることができる。
図8は、情報提供装置100のハードウェア構成の一例を示す。情報提供装置100は、ホストコントローラ902により相互に接続されるCPU904、RAM906を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ908によりホストコントローラ902に接続されるROM910と、通信インターフェイス912とを備える。
ホストコントローラ902は、RAM906と、高い転送レートでRAM906をアクセスするCPU904とを接続する。CPU904は、ROM910およびRAM906に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部を制御する。入出力コントローラ908は、ホストコントローラ902と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス912と、ROM910とを接続する。
通信インターフェイス912は、ネットワーク50を介して有線で指令センタ20が備える通信装置、および基地局300と通信する。ROM910は、CPU904が使用するプログラムおよびデータを格納する。また、ROM910は、情報提供装置100が起動時に実行するブート・プログラム、情報提供装置100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
RAM906を介してROM910に提供されるプログラムは、CD−ROM、またはUSBメモリ等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM906を介して情報提供装置100内のROM910にインストールされ、CPU904において実行される。
情報提供装置100にインストールされて実行されるプログラムは、CPU904等に働きかけて、情報提供装置100を、受信部102、経路情報取得部104、基地局特定部106、タイミング決定部108、ブロードキャスト制御部110、送信部112、および基地局情報保持部120として機能させる。
図9は、移動局200のハードウェア構成の一例を示す。移動局200は、ホストコントローラ922により相互に接続されるCPU924、RAM926を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ928によりホストコントローラ922に接続されるROM930と、通信インターフェイス932とを備える。
ホストコントローラ922は、RAM926と、高い転送レートでRAM926をアクセスするCPU924とを接続する。CPU924は、ROM930およびRAM926に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部を制御する。入出力コントローラ928は、ホストコントローラ922と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス932と、ROM930とを接続する。
通信インターフェイス932は、アンテナ934を介して無線で基地局300と通信する。ROM930は、CPU924が使用するプログラムおよびデータを格納する。また、ROM930は、移動局200が起動時に実行するブート・プログラム、移動局200のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
RAM926を介してROM930に提供されるプログラムは、CD−ROM、またはUSBメモリ等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されてユーザによって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM926を介して移動局200内のROM930にインストールされ、CPU924において実行される。
移動局200にインストールされて実行されるプログラムは、CPU924等に働きかけて、移動局200を、受信部202、通知制御部204、移動方向特定部206、場所特定部207、場所受付部208、表示部210、および近距離通信部212として機能させる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。