JP5900134B2 - 粒子の製造方法、及び粒子 - Google Patents
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Description
まず、本実施形態の製造方法で用いられる圧可塑性材料などの原材料について説明する。
まず、図1を用いて圧可塑性材料について説明する。図1は、圧可塑性材料のガラス転移温度(縦軸)と圧力(横軸)との関係を示す図である。本実施形態において、圧可塑性材料とは、圧力を加えることによりガラス転移温度(Tg)が低下する性質を有する材料であり、より具体的には、熱を加えなくても圧力を加えることにより可塑化する材料を意味する。圧可塑性材料は、例えば、圧縮性流体と接触させることによって圧力が加えられると、圧可塑性材料の大気圧でのガラス転移温度より低い温度で可塑化する。
本実施形態の製造方法では、上記の圧可塑性樹脂の他、製造される粒子の特性や加工性等に応じてその他の原材料を併用することができる。以下、本実施形態によって製造される粒子がトナーであることを想定して、着色剤、界面活性剤、分散剤、離型剤、帯電制御剤、結晶性ポリエステルなどの原材料について説明する。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の顔料及び染料の中から目的に応じて適宜選択することができる。これらの着色剤の添加量は、特に制限はなく、着色度に応じて適宜選択することができるが、圧可塑性材料100質量部に対し1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の製造方法により製造される粒子がトナーである場合、原材料に界面活性剤を含むことが好ましい。この界面活性剤としては、圧縮性流体に対する親和性を有する部分とトナーに対する親和性を有する部分とを同一分子内に有している限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1の圧縮性流体が二酸化炭素の場合、界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤;カルボニル基、短い炭化水素基、プロピレンオキサイド基等の嵩高い官能基を有する化合物等の親二酸化炭素基を有する化合物が好ましい。これらの中でも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、カルボニル基含有化合物、ポリエチレングリコール(PEG)基含有化合物は、好ましい。これらの界面活性剤は、オリゴマーやポリマーであっても良い。
分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機微粒子、無機微粒子などを挙げることができる。これらの中でも、アクリル変性された無機微粒子、シリコーン変性された無機微粒子、フッ素変性された無機微粒子、含フッ素系有機微粒子、シリコーン系有機微粒子等が好ましく、アクリル変性された無機微粒子がより好ましい。これらの分散剤は、圧縮性流体に溶融するものが好ましい。
(4−1)CF3(CH2)2SiCl3
(4−2)CF3(CF2)5SiCl3
(4−3)CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3
(4−4)CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3
(4−5)CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3
(4−6)CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)Cl2
(4−7)CF3(CH2)2Si(OCH3)3
(4−8)CF3(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
(4−9)CF3(CF2)3(CH2)2Si(OCH3)3
(4−10)CF3(CF2)5CONH(CH2)2Si(OC2H5)3
(4−11)CF3(CF2)4COO(CH2)2Si(OCH3)3
(4−12)CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3
(4−13)CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
(4−14)CF3(CF2)7SO2NH(CH2)3Si(OC2H5)3
(4−15)CF3(CF2)8(CH2)2Si(OCH3)3
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類等が好適に挙げられる。ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色のものを用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましい。このような帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。これらの中でも、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。金属塩に用いられる金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウム、などが挙げられる。
結晶性ポリエステルとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、低温定着性に優れるという点で、分子量分布がシャープであり、且つ、低分子量のものが好ましい。このような結晶性ポリエステルとしては、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量Mの分布で、横軸をlog(M)、縦軸を質量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で1,000以上30,000以下、数平均分子量(Mn)で500以上6,000以下、Mw/Mnが2以上8以下であるものがより好ましい。
圧可塑性材料とともに用いても良いその他成分としては、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等が挙げられる。流動性向上剤とは、トナーに対して表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味する。流動性向上剤としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが例示される。
次に、図2及び図3を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図2は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図3は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。圧縮性流体は、物質移動や熱移動が早く、粘度が低いなどの性質を有すると共に、温度、圧力を変化させことによって、その密度、誘電率、溶解度パラメータ、自由体積などが連続的に大きく変化する性質を有する。圧縮性流体は、有機溶媒と比べて極めて界面張力が小さいため、微少な起伏(表面)であっても追随し、圧縮性流体で濡らすことができる。また、圧縮性流体は、常圧に戻すことにより、トナーなどの製造物からの分離も容易であり、回収再利用ができる。これにより、本実施形態の製造方法では、水や有機溶媒などを用いた場合と比較して、製造時の環境への負荷を低減することができる。
続いて、図4乃至図6を用いて本実施形態で用いられる粒子製造装置について説明する。図4乃至図6は、粒子製造装置の一例を示す模式図である。まず、図4を用いて粒子製造装置1について説明する。粒子製造装置1は、超高圧管(30a,30b,30c,30d,30e,30f)によって接続されるボンベ11、ポンプ12a、バルブ13a、高圧セル14、ポンプ12b、バルブ13b、及びノズル32を有する。
続いて、粒子製造装置(1,2,3)を用いて粒子の一例としてのトナーを製造するときの各工程について説明する。本実施形態の粒子の製造方法は、圧縮性流体と圧可塑性材料とを接触させて、圧可塑性材料を溶融させる溶融工程と、圧可塑性材料を溶融させて得られた粘度500mPa・s以下の溶融体を噴射して造粒する造粒工程と、を有する。
まず、本実施形態の粒子の製造方法における溶融工程について説明する。上記のとおり、本実施形態において、「溶融」とは、圧可塑性材料などの原材料が圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。従来、超臨界流体中の物質を減圧工程を経て析出させる方法は、急速膨張(Rapid Expansion of Supercritical Solutions,RESS)法として知られている。RESS法として知られる方法で用いられる吐出対象は、圧縮性流体中に溶質となる材料を溶解させたもので、圧縮性流体と溶質となる材料とは均一状態で相溶している。これに対し、本実施形態ではガス飽和溶液懸濁(Particles from Gas Saturated Solutions,PGSS)法が用いられる。PGSS法における吐出対象である溶融体は、上記のとおり、圧縮性流体を圧可塑性材料内に接触、湿潤させることで、圧可塑性材料の粘度を低下させて得られるものなので、圧縮性流体と溶融体との間には界面が存在する状態となる。つまり、RESS法における吐出対象は、圧縮性流体−固体平衡状態の相であるのに対し、PGSS法では、いわば圧縮性流体−液体平衡状態の相ということになり、同じ圧縮性流体を用いた吐出方法であっても吐出対象の吐出前の相状態は異なる。
続いて、粒子の製造方法における造粒工程について説明する。粒子製造装置(1,2)を用いる場合、バルブ13cを開放することより、高圧セル14または混合装置17で圧縮性流体と圧可塑性材料とが接触して得られた混合体をノズル32から噴射する。このとき、高圧セル14あるいはセル24の温度及び圧力が一定に維持されるよう、背圧弁14a、ポンプ(12a,12b)、温度調節器等が制御される。この場合、高圧セル14、あるいは、混合装置17内の圧力の大きさは、特に限定されない。ノズル32から噴射された溶融体は、粒子となった後、固化する。なお、粒子製造装置2を用いた場合には、圧可塑性材料と圧縮性流体とが混合装置17で連続的に接触して、得られた溶融体がノズル32に供給されるので、連続的に造粒することができる。
本実施形態では、トナーを製造する例について説明したが、製造される粒子はこれに制限されず、目的に応じて適宜選択され、例えば、日用品、医薬品、化粧品等の粒子であっても良い。本実施形態の製造方法で製造される粒子の形状、大きさ、材質などについては、製造物の目的などに応じて適宜選択され、特に制限はない。本実施形態の製造方法によると、圧縮性流体を用いることにより、有機溶媒を用いずに粒子の製造が可能である。これにより、実質的に有機溶媒を含まない粒子が得られる。なお、粒子が有機溶媒を実質的に含有しないとは、以下の測定方法により測定される粒子中の有機溶媒の含有量が検出限界以下であることを言う。
粒子の残留溶媒量は、以下の測定方法により測定される。測定対象となる粒子1質量部に2−プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、粒子中の溶媒を抽出する。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−14A,SHIMADZU)で分析し、粒子中の溶媒および残留モノマーを定量することにより溶媒濃度を測定する。かかる分析時の測定条件は、以下の通りである。
装置 :島津GC−14A
カラム :CBP20−M 50−0.25
検出器 :FID
注入量 :1〜5μl
キャリアガス :He 2.5kg/cm2
水素流量 :0.6kg/cm2
空気流量 :0.5kg/cm2
チャートスピード:5mm/min
感度 :Range101×Atten20
カラム温度 :40℃
Injection Temp :150℃
本実施形態の製造方法によって製造されるトナーは、その形状、大きさ等の特性について、特に制限はないが、以下のような、画像濃度、平均円形度、質量平均粒径、質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)等を有していることが好ましい。
続いて本実施形態に係る現像剤について説明する。本実施形態に係る現像剤は、上記の製造方法で製造されたトナーを有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。現像剤の具体例としては、上記の製造方法で製造されたトナーを有する一成分系の現像剤や、上記の製造方法で製造されたトナーと磁性キャリアとを有する二成分系の現像剤であっても良い。上記のトナーとしては、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどの有色トナー、及びクリアトナーが挙げられる。
磁性キャリアとしては、磁性材料を含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。磁性キャリアの具体例としては、ヘマタイト、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。磁性キャリアの含有量は、トナー100質量部に対し、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
続いて、図7を用いて、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。画像形成装置200は、上記の製造方法で製造されたトナーを用いて静電潜像を可視像に現像し、この可視像を記録媒体の一例としての用紙に転写し、定着させることにより画像を形成する。なお、本実施形態では、画像形成装置200が電子写真方式のプリンターである例について説明するが、これに限定されず、複写機、ファクシミリなどであっても良い。
上記各実施形態では、粒子の製造方法に用いられる製造装置が図4乃至図6に示される粒子製造装置(1,2,3)である場合について説明したが、これに限るものではない。
例に制限されるものではない。なお、実施例中、部はすべて質量部を表す。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応させた。さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応させた後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させて[ポリエステル樹脂1]を得た。得られた[ポリエステル樹脂1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25、圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きが−10℃/MPaであった。なお、ガラス転移温度及び傾きの測定には、SETARAM社製C−80高圧熱量計装置を使用した。測定は高圧測定セルにサンプルをセットし、セル内を二酸化炭素で置換した後、所定圧力に加圧した。昇温速度は0.5℃/分とし、200℃まで昇温してガラス転移温度を測定した。
東洋紡社製ポリ乳酸系樹脂バイロエコール(登録商標)BE−400を使用した。上記と同様の方法で測定した[ポリ乳酸樹脂]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは−20℃/MPaであった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオ
キサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応させた。さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、110℃まで冷却し、トルエン中にてイソホロンジイソシアネート17部を入れて110℃で5時間反応させ、次いで脱溶媒させて[ウレタン変性ポリエステル樹脂2−1]を得た。得られたポリエステル樹脂2−1]は、重量平均分子量72000、イソシアネート含量0.7%であった。
−結晶性ポリエステルの合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール25モル、フマル酸23.75モル、無水トリメリット酸1.65モル、ハイドロキノン5.3gを入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.3KPaにて1時間反応させ[ポリエステル樹脂3]を得た。得られた[ポリエステル樹脂3]は、融点119℃、Mn710、Mw2100、酸価24、水酸基価28であった。上記と同様の方法で測定した[ポリエステル樹脂3]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは−5℃/MPaであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ17,000に達するまで反応を行って、融点63℃の[ポリエステル樹脂4](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。上記と同様の方法で測定した[ポリエステル樹脂4]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは−12℃/MPaであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。得られた結晶性樹脂249質量部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ20,000、融点65℃の[ポリウレタン樹脂1](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。上記と同様の方法で測定した[ポリウレタン樹脂1]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは−15℃/MPaであった。
東レ社製ポリフェニレンサルファイド樹脂トレリナ(登録商標)3030を使用した。上記と同様の方法で測定した[ポリフェニレンサルファイド樹脂]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは−1℃/MPaであった。
実施例1では図5の粒子製造装置2を用いてトナーを製造した。実施例1においては、ボンベ11として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。[ポリエステル樹脂1]を図5で示される粒子製造装置2のセル24に投入し、160℃に加熱して可塑化させた。ポンプ12aを作動させて、バルブ13aを開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を160℃、2MPaになるように導入した。また、ポンプ12bを作動させて、バルブ13bを開放して、可塑化させた[ポリエステル樹脂1]混練物と第1の圧縮性流体とを混合装置17で混合した。混合装置17で得られた溶融体の粘度は450mPa・sであった。なお、溶融体の粘度の測定には、Hydramotion社製の振動式粘度計(XL7)を使用した。この場合、高圧セルに試料と圧縮性流体(二酸化炭素)を投入し、160℃、2MPaの条件で粘度測定を行った。この状態でバルブ13cを開き、ポンプ12aとポンプ12bを作動させ、溶融物を穴径100μmのノズル32より噴射した。噴射した溶融体は粒子化した後、固化して、[樹脂粒子1]が得られた。得られた[樹脂粒子1]は、体積平均粒径(Dv)72.6μm、個数平均粒径(Dn)9.3μm、Dv/Dn7.81であった。なお、体積平均粒径、及び、体積平均粒径と個数平均粒子径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用いて測定した。
処理温度、処理圧力、ノズル径を表1で示される値に変更する以外は、実施例1と同様に操作して[樹脂粒子2〜4]を得た。実施例1と同様に測定した溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、および、Dv/Dnを表1に示す。
(原材料)
ポリエステル樹脂1 95部
着色剤(銅フタロシアニンブルー) 5部
パラフィンワックス(融点79℃) 5部
上記トナーの原材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで溶融混練して、混練物を圧延冷却した。この混練物を図5で示される粒子製造装置2のセル24に投入した。その後、処理温度、処理圧力、ノズル径を表1で示される値に変更した上で、実施例1と同様に操作して[トナー5]を得た。実施例1と同様に測定した溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、および、Dv/Dnを表1に示す。
実施例6では図6の粒子製造装置3を用いてトナーを製造した。実施例6においては、ボンベ11として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ21として窒素ボンベを用いた。
トナー原材料の[ポリエステル樹脂1]を[ポリ乳酸樹脂]に変更し、処理温度、処理圧力、ノズル径を表1で示される値に変更する以外は、実施例5と同様に操作して[トナー7]を得た。実施例1と同様に測定した溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、および、Dv/Dnを表1に示す。
[ポリエステル樹脂1]を[ポリエステル樹脂3]に変更し、処理温度、処理圧力、ノズル径を表1で示される値に変更する以外は、実施例1と同様に操作して[樹脂粒子8]を得た。実施例1と同様に測定した溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、および、Dv/Dnを表1に示す。
[ポリエステル樹脂1]を[ポリエステル樹脂4]に変更し、処理温度、処理圧力を表2で示される値に変更する以外は、実施例5と同様に操作して[トナー9]を得た。実施例1と同様に測定した溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、および、Dv/Dnを表2に示す。
[ポリエステル樹脂1]を[ポリウレタン樹脂1]に変更し、処理温度、処理圧力を表2で示される値に変更する以外は、実施例5と同様に操作して[トナー10]を得た。実施例1と同様に測定した溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、および、Dv/Dnを表2に示す。
(トナー原材料)
ポリエステル樹脂2 50g
着色剤(銅フタロシアニンブルー) 2.5部
トリメチロールプロパントリベネネート(融点58度) 12.5部
攪拌装置及び測温装置を有し、構内圧力30MPa、構内温度290℃まで設定可能な樹脂溶解槽500mlを150℃まで昇温後、上記トナー原材料を投入して溶融させた。次いで内径5mm30エレメントのスタティックミキサー中に溶融樹脂と液化二酸化炭素10gを昇圧ポンプを使用して注入した。このとき、スタティックミキサー内圧力を8MPaに設定した。スタティックミキサー先端部に装着した穴径50μmのノズルより二酸化炭素と樹脂の混合物を大気圧下に噴射する操作を行ったが、トナー溶融物の可塑化が不充分であり造粒することができなかった。
[ポリエステル樹脂1]を[ポリフェニレンサルファイド樹脂1]に変更し、処理温度、処理圧力、ノズル径を表2で示される値に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、樹脂溶融体の可塑化が不十分であり造粒することができなかった。
普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に低付着量となる0.3±0.1mg/cm2の付着量におけるベタ画像出力後、画像濃度を濃度計X−Rite(X−Rite社製)により測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像濃度1.4以上
○:1.35以上1.4未満
△:1.3以上1.35未満
×:1.3未満を×とした。
温度40℃、湿度90%RHの環境下、画像形成装置(株式会社リコー製、IPSiO Color8100)をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率5%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施後の複写機内のトナー汚染状態を目視にて、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:トナー汚れがまったく観察されず良好な状態である。
○:わずかに汚れが観察される程度であり問題とならない。
△:少し汚れが観察される程度である。
×:許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる。
画像面積率20%チャートを感光体から紙に転写後、クリーニングの直前における感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブランクとの差が0.005未満である。
○:ブランクとの差が0.005〜0.010である。
△:ブランクとの差が0.011〜0.02である。
×:ブランクとの差が0.02を超える。
各トナーを用いて、画像面積率12%の文字画像パターンを用いて、連続10万枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。スリーブ上から現像剤を少量採取し、ブローオフ法により帯電量変化を求め、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:帯電量の変化が5μc/g未満である。
△:帯電量の変化が5μc/g以上10μc/g以下である。
×:帯電量の変化が10μc/gを超える。
画像面積率100%、75%、及び50%の帯チャートを1000枚出力後の現像ローラ、及び感光体上のフィルミングを観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:まったくフィルミングが発生していない。
○:うっすらとフィルミングの発生を確認できる。
△:スジ状にフィルミングが発生している。
×:全面にフィルミングが発生している。
画像面積率95%チャートを1000枚出力後の清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブランクとの差が0.005未満である。
○:ブランクとの差が0.005〜0.010である。
△:ブランクとの差が0.011〜0.02である。
×:ブランクとの差が0.02を超える。
各評価項目の評価結果の◎を1点、○を0点、△を−1点、×を−2点とし、合計点により総合評価を行った。
〔評価基準〕
◎:合計点が4〜5点
○:合計点が0〜3点
△:合計点が−3〜−1点
×:合計点が−4点以下
2 粒子製造装置
11,21 ボンベ
12a,12b,22 ポンプ
13a,13b,23 バルブ
14 高圧セル
16,26 ヒータ
24 セル
17,31 混合装置
32 ノズル
200 画像形成装置
210 給紙部
211 給紙カセット
212 給紙ローラ
220 搬送部
221 ローラ
222 タイミングローラ
223 排紙ローラ
224 排紙トレイ
230 作像部
231 感光ドラム(静電潜像担持体の一例)
232 帯電器
233 露光器(静電潜像形成手段の一例)
234 現像装置(現像手段の一例)
235 除電器
236 清掃器
237 トナーカートリッジ
240 転写部(転写手段の一例)
241 駆動ローラ
242 従動ローラ
243 中間転写ベルト
244 一次転写ローラ
245 二次対向ローラ
246 二次転写ローラ
250 定着部(定着手段の一例)
251 加熱ローラ
252 加圧ローラ
T トナー
Claims (11)
- 圧縮性流体と圧可塑性材料とを接触させて、前記圧可塑性材料を溶融させる溶融工程と、
前記圧可塑性材料を溶融させて得られた溶融体を噴射して造粒する造粒工程と、を有し、
前記圧可塑性材料は、カルボニル構造を有する樹脂であり、
前記圧可塑性材料に加えられる圧力に対する前記圧可塑性材料のガラス転移温度の変化の傾きは、−5℃/MPa以下であり、
前記溶融体の粘度は、500mPa・s以下であることを特徴とする粒子の製造方法。 - 前記溶融体の粘度は、20mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の粒子の製造方法。
- 前記圧可塑性材料に加えられる前記圧力に対する前記圧可塑性材料の前記ガラス転移温度の変化の傾きは、−10℃/MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
- 前記造粒工程で、前記溶融体に圧縮性流体を供給しつつ、前記溶融体を噴射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 前記溶融工程で、前記圧縮性流体と前記圧可塑性材料とを連続的に接触させ、
前記造粒工程で、前記溶融体を噴射して連続的に造粒することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。 - 前記圧可塑性材料は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 前記圧縮性流体は、二酸化炭素を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 前記溶融工程で、前記圧縮性流体と、加熱して可塑化した前記圧可塑性材料と、を接触させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 有機溶媒を用いずに製造することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 前記圧可塑性材料が、トナーの原材料であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 圧可塑性材料を含有し、
前記圧可塑性材料は、カルボニル構造を有する樹脂であり、
前記圧可塑性材料に加えられる圧力に対する前記圧可塑性材料のガラス転移温度の変化の傾きは、−5℃/MPa以下であり、
最大フェレ径の平均が10nm以上500nm未満である空洞を有することを特徴とする粒子。
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