JP2014142580A - トナー、現像剤、画像形成装置、粒子、トナーの製造方法及び粒子の製造方法 - Google Patents

トナー、現像剤、画像形成装置、粒子、トナーの製造方法及び粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電性及び定着性に優れたトナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と、離型剤と、を含有するトナーであって、前記結着樹脂として圧可塑性材料を含み、かつ粒子状の前記離型剤を複数含有する、トナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー、現像剤、画像形成装置、粒子、トナーの製造方法及び粒子の製造方法に関する。
紙等の画像支持体上に形成されたトナー像を定着する方式として、画像支持体を加熱ローラと加圧ローラとの間を通過させて定着させる熱ローラ定着方式が広く採用されている。溶融したトナーが加熱ローラに付着するオフセット現象を防止するために、近年、トナー中にワックス等の離型剤を添加して、トナー自体に離型性を付与する技術が採用されている。
一方、トナーの製造方法としては、熱可塑性樹脂及び離型剤等の添加剤を含む原料を溶融して混練させた混練物を冷却して固化させた後、粉砕することにより粒子状にする方法が知られている。このとき、特許文献1では、トナーの粒子形状を制御するために、熱可塑性樹脂を含む原料を混練して粉砕させたものを、親水性無機微粒子の存在下で水系溶媒に分散させ、溶媒を除去してトナーを製造する方法を開示している。
しかしながら、特許文献1に示されるトナーの製造方法では、熱可塑性樹脂に分散される離型剤粒子の粒径を制御することが困難であった。そのため、粗大粒子の離型剤が、トナーに単独で混入して、トナーの帯電性、定着性等が悪化することがあった。
そこで、本発明は、帯電性及び定着性に優れたトナーを提供することを課題とする。
本発明によると、
少なくとも結着樹脂と、離型剤と、を含有するトナーであって、
前記結着樹脂として圧可塑性材料を含み、かつ粒子状の前記離型剤を複数含有する、
トナーが提供される。
本発明によれば、帯電性及び定着性に優れたトナーを提供できる。
図1は、本実施形態のトナーの一例を説明するための概略図である。 図2は、本実施形態における圧可塑性材料の例を説明するための図であって、ガラス転移温度と圧力との関係を示す概略図である。 図3は、ある温度及び圧力条件における、物質の状態を説明するための相図の例である。 図4は、本実施形態における圧縮性流体を説明するための、相図の例である。 図5は、本発明の一実施形態に係る、粒子製造装置の概略図である。 図6は、本発明の他の実施形態に係る、粒子製造装置の概略図である。 図7は、本発明の更に他の実施形態に係る、粒子製造装置の概略図である。 図8は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
以下、図を参照することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本実施形態においては、一例として新規なトナーの製造方法により製造される、帯電性及び定着性に優れたトナーについて述べるが、本実施形態のトナーの製造方法は、トナー以外の粒子の製造方法に応用することも可能である。
なお。本実施形態において、「溶融」とは、圧可塑性材料などの材料が、圧縮性流体と接触することで、膨潤し、かつ、可塑化、半液状化、液状化すること、及び、圧可塑性材料などの材料を加熱することにより、可塑化、半液状化、液状化することを指す。また、本実施形態において、「原材料」とは、粒子(本実施形態ではトナー)を製造するための、粒子の構成成分を含む材料のことを指す。
先ず、本実施形態のトナーの構成について説明する。
本実施形態のトナーは、圧可塑性材料を含有する結着樹脂と、離型剤と、を有し、「粒子状」の離型剤を複数含有する。
ここで、「粒子状の」離型剤とは、トナー中に略球形で存在する離型剤を意味し、トナーの断面を電子顕微鏡で観察した場合の、離型剤断面形状のアスペクト比(長径/短径)が1〜2である略円形の離型剤を意味する。本実施形態に係るトナーは、このような粒子状の離型剤のみを含み、例えば、トナー断面の離型剤が、所謂針状のものや、凹凸が存在して明らかに円形でない形状のものは含まれない。
離型剤のアスペクト比の算出は、先ず、トナーの断面を電子顕微鏡等で観察し、断面写真を撮影し、その断面写真を画像処理ソフトで処理して二値化し、離型剤部分を識別する。そして、識別した離型剤のアスペクト比は、離型剤の長径を離型剤の短径で除した値として、算出する。
図1に、本実施形態のトナーの一例を説明するための概略図を示す。具体的には、図1(a)は、本実施形態のトナーの断面SEM画像であり、図1(b)は、従来のトナーの断面TEM画像である。
図1(a)と図1(b)との比較から明らかであるように、本実施形態のトナーは、「粒子状の」離型剤を複数含有する。この場合、限定されないが、本実施形態のトナーは、海相を形成する圧可塑性材料と、島相を形成する離型剤の粒子と、によって、海島構造を形成することが好ましい。また、離型剤の粒子は略球形を有し、離型剤の粒子の最大フェレ径の平均は、300nm以上1.5μm未満であることが好ましい。本実施形態のトナーが「粒子状」の離型剤を複数含有し、かつ、この離型剤粒子が略球形を有し、離型剤粒子の最大フェレ径の平均を300nm以上1.5μm未満とすることにより、従来のトナーで生じていた針状の離型剤粒子が結着樹脂から突き出すことによるトナースペントを効率よく防止することができる。なお、最大フェレ径とは、対象を平行線で挟んだ場合に、平行線の間隔が最も大きくなる径のことを指す。
また、結着樹脂は、結晶性樹脂を、該結着樹脂に対して50質量%以上含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、結着樹脂は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用した結着樹脂でも良いが、実質的に結着樹脂の主成分が結晶性樹脂であることが好ましい。
結晶性樹脂の結着樹脂に対する含有量としては、50質量%以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかしながら、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させる観点から、65質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。結晶性樹脂の含有量が、50質量%未満の場合、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立は難しい場合がある。
なお、本実施形態における「結晶性」樹脂とは、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.55の範囲内にあるものを指す。この範囲内のパラメータであることにより、熱により急峻に軟化する性状を有する。
また、「非結晶性」樹脂とは、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.55より大きい樹脂を指す。この範囲内のパラメータであることにより、熱により緩やかに軟化する性状を有する。
なお、樹脂及びトナーの軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定することができる。測定方法としては、先ず、試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とした。
樹脂及びトナーの融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することができる。測定方法としては、先ず、測定試料を前処理として130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度20℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸発熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とした。
また、圧可塑性材料は、圧可塑性を有する結晶性樹脂であることが好ましい。圧可塑性材料が結晶性樹脂である場合、有機溶媒を使用することなく、後述する方法により、圧縮性流体により結晶性樹脂を溶融させて、噴霧造粒することでトナーを得ることができる。
また、本実施形態のトナーの製造方法は、着色剤を均一に分散させることができる。従来の結晶性樹脂を主成分とするトナーの製造方法では、着色剤をトナー中に均一に分散させることが困難であった。しかしながら、本実施形態のトナーの製造方法では、着色剤を均一に分散させることができる。
次に、本実施形態のトナーの原材料について説明する。
[圧可塑性材料]
本発明のトナーの製造方法における原材料の1つである、圧可塑性材料について説明する。図2に、本実施形態における圧可塑性材料の例を説明するための図であって、ガラス転移温度と圧力との関係を示す概略図を示す。なお、図2において、縦軸がガラス転移温度であり、横軸が圧力である。
本実施形態において、圧可塑性材料とは、圧力を加えることによりガラス転移温度(Tg)が低下する性質を有する材料であり、より具体的には、熱を加えなくても圧力を加えることにより可塑化する材料のことを指す。そのため、圧可塑性材料は、例えば、後述する圧縮性流体と接触させることによって、大気圧での圧可塑性材料のガラス転移温度よりも、より低い温度で可塑化する。
図2は、圧可塑性材料の一例として、二酸化炭素の存在下での、ポリスチレンのガラス転移温度と圧力との関係を示している。図2より明らかであるように、ポリスチレンのガラス転移温度と圧力とは相関関係を有し、図2の軸においては、その傾きは負である。圧可塑性材料は、通常、ポリスチレンのように、加えられた圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きが負となる。この傾きは、圧可塑性材料の種類、組成、分子量などによって異なる。
前述の傾きを一例として示すと、例えば、ポリスチレン;−9℃/MPa、スチレン−アクリル樹脂;−9℃/MPa、非晶性ポリエステル樹脂;−8℃/MPa、結晶性ポリエステル;−2℃/MPa、ポリオール樹脂;−8℃/MPa、ウレタン樹脂;−7℃/MPa、ポリアリレート樹脂;−11℃/MPa、ポリカーボネート樹脂;−10℃/MPaであった。
傾きの測定方法の一例としては、SETARAM社製C−80高圧熱量計装置を使用して、圧力を変えてガラス転移温度を測定することで求めることができる。本実施形態では、高圧測定セルにサンプルをセットし、セル内を二酸化炭素で置換した後、所定圧力に加圧してガラス転移温度を測定した。また、本発明における傾きは、圧力を大気圧(0.1MPa)から10MPaまで変化させたときのガラス転移温度の変化量に基づいて決定した。
本実施形態で使用する圧可塑性材料の、圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは、特に限定されないが、−1℃/MPa以下であることが好ましく、−5℃/MPa以下であることがより好ましく、−10℃/MPa以下であることがさらに好ましい。圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きが−1℃/MPaより大きい場合、熱を加えずに圧力を加えたときの可塑化が不十分となり、後述する溶融体を低粘度化することが困難となり、造粒が困難となる場合がある。
本実施形態で使用する圧可塑性材料は、30MPa以下の圧力を加えたときの粘度が、500mPa・s以下であるものを使用することが好ましい。なお、この場合、圧可塑性材料に、常圧での融点未満の熱を加えて、30MPa以下の条件化で粘度が500mPa・s以下となるようにしても良い。
圧可塑性材料としては、特に制限はないが、例えば、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
ポリエステル樹脂としては、特に制限はないが、例えば、変性ポリエステル、未変性ポリエステル、非晶質性ポリエステル、結晶性ポリエステル、ポリ乳酸樹脂などが挙げられる。
ポリ乳酸樹脂としては、特に制限はないが、例えば、L体、D体又はラセミ体のポリ乳酸樹脂、ステレオコンプレックスのポリ乳酸樹脂、及び、ポリ乳酸系ブロック共重合などが挙げられる。
ポリオール樹脂としては、エポキシ骨格を有するポリエーテルポリオール樹脂などを使用することができ、(i)エポキシ樹脂、(ii)2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物若しくはそのグリシジルエーテル、(iii)エポキシ基と反応する活性水素を有する化合物を反応させ得られるポリオール樹脂等などを好適に使用することができる。
ビニル樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重合体、若しくは、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、又は、それらの混合物などが挙げられる。
ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
また、本実施形態において、圧可塑性材料は、カルボニル基を有する樹脂を含むことが好ましい。カルボニル基は、電気陰性度が高い酸素原子が、π結合により炭素原子と結合している構造を有する。π結合電子は、酸素原子に強く引き付けられ、酸素原子が負に分極し、炭素原子が正に分極する。そのため、カルボニル基を有する樹脂は、反応性が高くなる。また、後述する圧縮性流体として二酸化炭素を使用する場合、カルボニル構造は、二酸化炭素の分子構造と類似した構造を有するため、二酸化炭素と圧可塑性材料との親和性が高くなると推測される。したがって、圧縮性流体による圧可塑性材料の可塑化が容易になると考えられる。
(結晶性樹脂)
前述の通り、結着樹脂は、結晶性樹脂を有することが好ましい。結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂を使用することが好ましく、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれか一方を有する樹脂を使用することが好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂を使用することがより好ましい。
ここで、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれか一方を有する樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン樹脂、前記ポリウレア樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂などが好適に挙げられる。ウレタン変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、ポリオールとを反応させてなる樹脂である。また、ウレア変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを反応させてなる樹脂である。
結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、45℃〜70℃の範囲内にあることが好ましく、53℃〜65℃の範囲内にあることがより好ましく、58℃〜62℃の範囲内にあることが更に好ましい。最大ピーク温度が、45℃より低い場合、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化することがあり、70℃より高い場合、耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化することがある。
結晶性樹脂の軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)は、前述した通り0.8〜1.55の範囲内にあるが、0.85〜1.25の範囲内にあることが好ましく、0.9〜1.2の範囲内にあることがより好ましく、0.9〜1.19の範囲内にあることが更に好ましい。一般的には、前記比が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を有し、低温定着性と耐熱保存性を両立することができるため好ましい。
結晶性樹脂の粘弾特性において、(融解熱の最大ピーク温度)+20℃における貯蔵弾性率G'は、5.0×10Pa・s以下が好ましく、1.0×10Pa・s〜5.0×10Pa・sの範囲内にあることがより好ましく、1.0×10Pa・s〜1.0×10Pa・sの範囲内にあることが更に好ましい。また、(融解熱の最大ピーク温度)+20℃における損失弾性率G''は、5.0×10Pa・s以下が好ましく、1.0×10Pa・s〜5.0×10Pa・sの範囲内にあることがより好ましく、1.0×10Pa・s〜1.0×10Pa・sの範囲内にあることが更に好ましい。本発明のトナーの粘弾特性において、結着樹脂中に着色剤や層状無機鉱物を分散させることでG'及びG''が上昇することを考慮すれば、(融解熱の最大ピーク温度)+20℃におけるG'及びG''の値が、1.0×10Pa・s〜5.0×10Pa・sの範囲内にあることが好ましい。
結晶性樹脂の粘弾特性は、樹脂を構成する結晶性モノマーと非結晶性モノマーの比率や、樹脂の分子量を調整すること等により調整することができる。例えば、一般的に、結晶性モノマーの比率を増加させると、G'(Ta+20)の値は小さくなる。
樹脂及びトナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G'、損失弾性率G")は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定することができる。この場合、例えば、周波数1Hz条件下で測定される。先ず、試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて測定する。
結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、定着性の観点から、2,000〜100,000の範囲内にあることが好ましく、5,000〜60,000の範囲内にあることがより好ましく、8,000〜30,000の範囲内にあることが更に好ましい。重量平均分子量が、2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
本実施形態において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
[離型剤]
本実施形態で使用する離型剤は、その融点が、前述した圧力可塑性材料のガラス転移温度よりも高いものを使用する。離型剤の融点が、圧力可塑性材料のガラス転移温度よりも高いことにより、圧可塑性材料が可塑化される条件においても、離型剤は固体状態を保つことができる。
また、離型剤は、製造する粒子(本実施形態ではトナー)に内包されるため、通常、製造するトナーのサイズに応じて、当業者は適切なサイズに微粒子化することが好ましい。
RESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution)法で離型剤を製造する場合、大量の超臨界二酸化炭素に対して、少量の離型剤が溶け込むことにより、離型剤を噴射造粒できる状態にしている。つまり、元々二酸化炭素が閉める割合が圧倒的に多いため、得られる離型剤の粘度は低い。一方、PGSS(Particles from Gas Saturated Solution)法で離型剤を製造する場合、離型剤に超臨界二酸化炭素を十分に接触させることで、二酸化炭素を溶け込ませて離型剤を可塑化し、噴射造粒できる粘度にまで下げて、離型剤を造粒する。したがって、RESS法及びPGSS法共に、二酸化炭素と離型剤とが十分に接触させる条件が、離型剤の粘度を下げて、離型剤が噴射造粒することができる実施条件となる。
一方、本実施形態では、大量の圧可塑性材料(例えば、ポリエステル樹脂)の中に、通常、5%程度の離型剤微粒子を含む原料に対して、圧縮性流体(例えば、超臨界二酸化炭素)を接触させる。そのため、固体状態の離型剤微粒子は、可塑化される程度に、超臨界二酸化炭素と接触されることはない。
離型剤としては、特に制限はないが、例えば、ワックス類等が好適に挙げられる。ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
低分子量ポリオレフィンワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等が挙げられる。合成炭化水素系ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。天然ワックス類としては、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等が挙げられる。石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
上述した離型剤の融点としては、特に制限はないが、例えば、40℃以上160℃以下のものが好ましく、50℃以上120℃以下のものがより好ましく、60℃以上90℃以下のものが更に好ましい。離型剤の融点が40℃未満の場合、トナーの耐熱保存性が低下する場合がある。一方、離型剤の融点が160℃を超える場合、低温での定着時にコールドオフセット(低温オフセット)を起こし易くなる場合がある。また、定着機への紙の巻き付きなどが発生することがある。なお、コールドオフセットとは、熱ローラ定着方式において、トナーと定着媒体(例えば、用紙)との界面付近で、トナーが充分に溶融しないことにより、トナー画像の一部が静電吸着によって取り去られることである。
離型剤の添加量としては、トナー100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましい。離型剤の添加量が1質量部未満の場合、離型剤の効果が十分に得られない場合がある。一方、離型剤の添加量が20質量部を超える場合、トナーの耐熱保存性が低下する場合がある。
[その他の成分]
本実施形態のトナーには、必要に応じて他の成分を添加しても良い。具体的には、着色剤、界面活性剤、分散剤、帯電制御剤、結晶性ポリエステルなどの材料を添加しても良い。
(着色剤)
着色剤としては、特に制限はなく、公知の顔料及び染料の中から目的に応じて適宜選択
することができる。
具体的な着色剤の例としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。
具体的な染料の例としては、例えば、C.I.SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,100,102,103,105)、C.I.SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)、C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143.145,146,149,150,151,157,158)、C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)、C.I.SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,191,194,195,104)、C.I.SOLVENT GREEN(24,25)、C.I.SOLVENT BROWN(3,9)などが挙げられる。
また、市販の染料を使用しても良い。市販の染料としては、例えば、保土ケ谷化学社製の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8;BASF社製のSudan染料Yellow−146,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670;三菱化成社製のダイアレジンYellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−A;オリエント化学工業社製のオイルカラーYEllow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308,Red−5B,Brown−GR,#416、Green−BG、#502、Blue−BOS、IIN、Black−HBB,#803,EB,EX;住友化学工業社製のスミプラストブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC;日本化薬社製のカヤロンポリエステルブラックEX−SF300、カヤセットRed−B、ブルーA−2R、等が挙げられる。
着色剤の添加量としては、特に制限はなく、所望の着色度に応じて適宜選択することができるが、圧可塑性材料100質量部に対し1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。なお、上述した着色剤は、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
(界面活性剤)
本実施形態のトナーは、原材料に界面活性剤を含むことが好ましい。本実施形態における界面活性剤は、後述する圧縮性流体に対する親和性を有する部分と、トナーに対する親和性を有する部分と、を同一分子内に有するものを意味する。
界面活性剤としては、特に制限はないが、第1の圧縮性流体が二酸化炭素である場合、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤;カルボニル基、炭化水素基、プロピレンオキサイド基等の嵩高い官能基を有する化合物等の親二酸化炭素基を有する化合物を使用することが好ましい。上述した界面活性剤の中でも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、カルボニル基含有化合物、ポリエチレングリコール(PEG)基含有化合物を使用することが好ましい。なお、これらの界面活性剤は、オリゴマーやポリマーの形態であっても良い。
本実施形態におけるフッ素系界面活性剤としては、炭素数が1〜30のパーフルオロアルキル基を有する化合物を好ましく使用することができる。これらの中でも、高分子のフッ素系界面活性剤を使用することが、界面活性能、トナーにした場合の帯電性能及び耐久性能などの観点から好ましい。ここで、フッ素系界面活性剤の構造単位の一例を(1−1)式、および(1−2)式に示す。
(1−1)式及び(1−2)式のRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数が1〜4の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)を指す。
(1−1)式のRは、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、ブチレン基、2−ヒドロキシブチレン基など)を指す。
(1−1)式及び(1−2)式のRfは、炭素数が1〜30であるパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルケニル基を指す。
上述した中でも、Rが水素原子若しくはメチル基であり、Rがメチレン基若しくはエチレン基であり、Rfが炭素数7〜10のパーフルオロアルキル基であるフッ素系界面活性剤を使用することが好ましい。
なお、(1−1)式及び(1−2)式の各構造単位が複数個結合することによって、オリゴマー又はポリマーが形成される。この場合、トナーとの親和性に応じて、ホモポリマー、ブロック共重合体、ランダム共重合体などが形成されていてもよい。オリゴマー又はポリマーの各末端は、特に限定されないが、通常、水素原子である。
本実施形態のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する化合物であれば、特に制限はなく、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。これらの中でも、(2)式で示されるポリジメチルシロキサン(PDMS)基を含有する化合物を使用することが好ましい。なお、本実施形態のシリコーン系界面活性剤は、トナーとの親和性に応じて、ホモポリマー、ブロック共重合体、ランダム共重合体などの形態であっても良い。
(2)式におけるR1''は、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基を指し、nは繰り返し数を示し、R2''は、水素原子、水酸基、炭素数が1〜10のアルキル基を指す。
本実施形態のカルボニル基含有化合物としては、特に制限はないが、例えば、脂肪族系ポリエステル、ポリアクリレート、アクリル酸樹脂などが挙げられる。
本実施形態のPEG基含有化合物としては、特に制限はないが、例えば、PEG基含有ポリアクリレート、ポリエチレングリコール樹脂などが挙げられる。
上述した本実施形態の界面活性剤は、Rf基含有ビニルモノマー、PDMS基含有ビニルモノマー、PEG基含有ビニルモノマー等のビニルモノマーを重合することによって、又は、これらのビニルモノマーと他のビニルモノマーとを共重合体することによって、製造することができる。ビニルモノマーとしては、スチレンモノマーやアクリレートモノマー、メタクリレートモノマーなどが挙げられる。なお、これらのビニルモノマーは、市販されているものを使用しても良い。
また、界面活性剤として、Rf基、PDMS基又はPEG基が、オリゴマー又はポリマーの主鎖となり、側鎖にCOOH基やOH基、アミノ基、ピロリドン骨格などが導入されたものを使用しても良い。
本実施形態のフッ素基含有界面活性剤は、HCFC225などのフッ素系溶媒中でフッ素系ビニルモノマーを重合することによって合成される。また、HCFC225の代わりに、超臨界二酸化炭素を溶媒としてフッ素系ビニルモノマーを重合しても良い。なお、パーフルオロアルキル基を有する化合物に類似する構造の原料が多数市販されており(例えば、アヅマックス社カタログ参照)、それらを使用しても、各種界面活性剤を得ることができる。具体的な界面活性剤の製造方法は、フッ素樹脂ハンドブック(里川孝臣編集 日刊工業新聞社発行、p.730〜p.732)に記載された方法などを使用することができる。
また、本実施形態のシリコーン系界面活性剤は、その原料となるビニル重合性モノマーを重合することで製造することができる。重合する場合の溶媒としては、超臨界流体(超臨界に酸化炭素)を使用することができる。また、ポリジメチルシロキサンに類似する構造の原料が多数市販されており(例えば、アヅマックス社カタログ参照)、それらを使用しても、シリコーン系界面活性剤を得ることができる。この中でも、ケイ素含有化合物(商品名:MONASIL−PCA、クローダ社製)を使用することが、良好な造粒性を得られるため、好ましい。
界面活性剤の含有量は、トナーの原材料に対して、0.01質量%〜30質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがより好ましい。
(分散剤)
分散剤としては、特に制限はないが、例えば、有機微粒子、無機微粒子などを使用することができる。これらの中でも、アクリル変性された無機微粒子、シリコーン変性された無機微粒子、フッ素変性された無機微粒子、含フッ素系有機微粒子、シリコーン系有機微粒子などを使用することが好ましく、アクリル変性された無機微粒子を使用することがより好ましい。分散剤は、後述する圧縮性流体に溶融するものを使用することが好ましい。
上述した有機微粒子としては、例えば、超臨界流体中で不溶なアクリル系微粒子のシリコーン変性体、フッ素変性体を挙げることができる。無機微粒子としては、例えば、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。これらの中でも、シリカを使用することが好ましい。
アクリル変性された無機微粒子としては、例えば、無機微粒子表面に存在する残OH基を、フッ素原子を含有するシランカップリング剤などで、改質したものなどが挙げられる。具体例としては、シランカップリング剤として3−(Trimethoxysil)propyl methacrylateを使用した、シリカの表面を改質する例を示す。
上述した反応式例で得られるアクリル変性されたシリカは、シリカ側で超臨界二酸化炭素への親和性が高く、アクリレート側でトナーに対する親和性が高い。なお、本改質例は一例であり、他の方法によって、例えばシリカの表面改質を行っても良い。
次に、フッ素原子を含有するシランカップリング剤の具体例を以下に示す。
(4−1) CF(CHSiCl
(4−2) CF(CFSiCl
(4−3) CF(CF(CHSiCl
(4−4) CF(CF(CHSiCl
(4−5) CF(CFCHCHSi(OCH
(4−6) CF(CF(CHSi(CH)Cl
(4−7) CF(CHSi(OCH
(4−8) CF(CHSi(CH)(OCH
(4−9) CF(CF(CHSi(OCH
(4−10) CF(CFCONH(CHSi(OC
(4−11) CF(CFCOO(CHSi(OCH
(4−12) CF(CF(CHSi(OCH
(4−13) CF(CF(CHSi(CH)(OCH
(4−14) CF(CFSONH(CHSi(OC
(4−15) CF(CF(CHSi(OCH
などを使用することができる。
分散剤の含有量は、トナーの原材料に対して、0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。また、上述した分散剤は、1種類を単独で使用することが好ましいが、トナー粒径、トナー帯電性の制御の観点から、他の界面活性剤を併用して使用しても良い。
(帯電制御剤)
帯電制御剤としては、特に制限はないが、有色の帯電制御剤を使用した場合、色調が変化する場合があるため、無色乃至白色に近い帯電制御剤を使用することが好ましい。
具体的な帯電制御剤の例としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。上述した帯電制御剤の中でも、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩を使用することが好ましい。これらは、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
金属塩に用いられる金属としては、特に制限はないが、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウム、などが挙げられる。
帯電制御剤は市販品を使用しても良い。市販品の帯電制御剤の例としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415、サリチル酸金属錯体のTN−105(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体のLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
帯電制御剤の添加量は、特に制限はないが、前述した圧可塑性材料100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。帯電制御剤の添加量が、0.5質量部未満の場合、トナーの帯電特性が悪化することがある。一方、帯電制御剤の添加量が5質量部を超える場合、トナーの帯電性が大きくなりすぎるため、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
(更に他の成分)
本実施形態のトナーは、更に他の成分を含んでも良い。更に他の成分としては、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等が挙げられる。流動性向上剤とは、トナーに対して表面処理を行って、疎水性を向上させ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものにする機能を有するものを指す。
本実施形態における流動性向上剤の具体例としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
本実施形態におけるクリーニング性向上剤とは、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去する機能を有するものを指す。
クリーニング性向上剤の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。
ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものを使用することが好ましく、体積平均粒径が0.01μm以上1μm以下のものを使用することが好ましい。
[圧縮性流体]
次に、図を参照することにより、本実施形態で使用される圧縮性流体について説明する。
図3に、ある温度及び圧力条件における、物質の状態を説明するための相図の例を示す。また、図4に、本実施形態における圧縮性流体を説明するための、相図の例を示す。
本実施形態における圧縮性流体は、物質移動や熱移動が早く、粘度が低いなどの性質を有すると共に、温度、圧力を変化させることによって、密度、誘電率、溶解度パラメータ、自由堆積などが連続的に大きく変化する性質を有するものを指す。一般的に、圧縮性流体は、有機溶媒と比して界面張力が小さいため、微小な起伏(表面)であっても追随し、圧縮性流体で濡らすことができる。
また、圧縮性流体を反応場として使用した場合、常圧に戻すことにより、トナーなどの製造物からの分離除去も容易であり、回収再利用することが容易である。そのため、本実施形態のトナーの製造方法では、水や有機溶媒などを使用した従来の製造方法と比して、製造時の環境への負荷を低減することができる。
本実施形態における「圧縮性流体」とは、図3で表される相図の中で、図4の(1)、(2)又は(3)の何れかの領域に存在する状態にある物質を意味する。このような領域においては、物質は、その密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。
なお、物質が(1)の領域に存在する場合には、超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び/又は圧力領域において、非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことを指す。
また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガス
を表す。
さらに、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態となるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
本実施形態における、圧縮性流体として使用することができる物質の具体例としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、空気、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレン、アンモニア、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソブタン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。これらの圧縮性流体は、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
本実施形態において、圧可塑性材料を溶融させるための圧縮性流体(以下、第1の圧縮性流体とも言う)としては、特に限定されないが、上述した圧縮性流体の中でも容易に超臨界状態を作り出せ、不燃性で安全性が高く、かつ、トナーを製造する場合には疎水性表面のトナーが得られるという観点から、二酸化炭素を使用することが好ましい。
本実施形態の製造方法において、第1の圧縮性流体とは別に、溶融体を噴射させる際に、溶融体に供給される、第2の圧縮性流体を用いても良い。
第2の圧縮性流体としては、特に限定されず、前述した圧縮性流体を使用することができるが、最高逆転温度が800K以下である圧縮性流体(酸素、窒素など)であり、窒素を含む圧縮性流体を使用することが好ましい。なお、ここで言う窒素を含むとは、窒素分子を含むことを意味し、例えば、空気などが挙げられる。
窒素は、最高逆転温度が620Kであり、二酸化炭素(最高逆転温度1500K)などの物質と比較して、最高逆転温度が低い。これにより、窒素の圧力を低下させたときの、ジュール・トムソン効果に基づく温度の低下は、二酸化炭素などの圧力を低下させた場合と比較して小さくなる。これらに対して、二酸化炭素のように、最高逆転温度が高い圧縮性流体を第2の圧縮性流体として使用した場合、溶融体を噴射させたときに、ジュール・トムソン効果による冷却が過剰になる場合がある。これにより、溶融体が粒子化する前に固化するため、繊維状又は合着した生成物が混入する場合がある。また、冷却が過剰になると、溶融体を噴射するノズルなどの内部で溶融体が固化するため、反応時間によっては、粒度分布が小さい小粒径の粒子を製造することが困難となる場合がある。
本実施形態においては、圧縮性流体を、エントレーナー(助溶剤)と併用して使用しても良い。エントレーナーの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒が挙げられる。
また、本実施形態トナーを製造する場合、トナー組成物の溶解度を制御しやすくするために、前述した圧縮性流体に加え、他の流体を併用して使用しても良い。他の流体の具体的としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン等が挙げられる。
[粒子製造装置]
続いて、図5乃至図7を参照して、本実施形態で使用できる粒子製造装置について説明する。
図5に、本発明の一実施形態に係る、粒子製造装置の概略図を示す。また、図6に、本発明の他の実施形態に係る、粒子製造装置の概略図を示す。さらに、図7に、本発明の更に他の実施形態に係る、粒子製造装置の概略図を示す。
図5において、粒子製造装置1は、超高圧管(30a,30b,30c,30d,30e,30f)によって接続されるボンベ11、ポンプ12a、バルブ13a、高圧セル14、ポンプ12b、バルブ13b、及びノズル32を有する。
ボンベ11は、第1の圧縮性流体を貯蔵し、供給するための耐圧容器である。なお、ボンベ11は、高圧セル14に供給される過程で、高圧セル14内で加熱又は加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、又は、固体を貯蔵しても良い。この場合、ボンベ11に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、高圧セル14内で図4の相図における(1)、(2)又は(3)の状態となる。
ポンプ12aは、ボンベ11に貯蔵された圧縮性流体を高圧セル14側に送り出す装置である。バルブ13aは、ポンプ12aと高圧セル14との間の経路を開閉して圧縮性流体の流量を調整する(遮断することも含む)機能を有する装置である。
高圧セル14は、温度調節器を有し、バルブ13aを介して供給された圧縮性流体と、予め高圧セル14内に充填された圧可塑性材料と、を所定の温度下で接触させて、圧可塑性材料を溶融することができる。なお、高圧セル14には、通常、背圧弁14aが取り付けられており、これを開閉することにより高圧セル14内の圧力を調整することができる。また、高圧セル14には、攪拌装置が取り付けられており、これにより圧縮性流体と圧可塑性材料とを攪拌して混合することができる。
ポンプ12bは、高圧セル14内の溶融体を、ノズル32側に送り出す装置である。バルブ13bは、ポンプ12bとノズル32との間の経路を開閉し、圧可塑性材料が溶融して得られた溶融体の流量を調整することができる。ノズル32は、超高圧管30fの端部に設けられ、溶融体を噴射することができる。
ノズル32の種類としては、特に限定されないが、直射ノズルを使用することが好ましい。ノズル32の径としては、噴射時の圧力を一定に維持することができれば特に制限されないが、大きすぎると噴射時の圧力が下がり過ぎて溶融体粘度が上昇し、微粒子を得ること困難になる場合がある。また、圧力を維持するための供給ポンプの大型化が必要となる場合がある。一方、ノズル径が小さ過ぎる場合は、溶融体がノズル32で詰まり易くなる場合がある。したがって、ノズル径は、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。また、ノズル径は、5μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましい。また、ノズル32の詰まりを防ぐために、バルブ(背圧弁)13cとノズル32との間に図示しない多孔質フィルタを設置しても良い。
粒子製造装置1では、高圧セル14内の溶融体を直接噴射せず、超高圧管(30d,3
0e,30f)を経た後にノズル32から噴射する構成となっている。これにより、高圧セル14で混合された圧縮性流体が、圧可塑性材料中に十分に拡散するため、加工性を向上させることができる。
次に、図6を参照して、他の実施形態の粒子製造装置2について説明する。なお、粒子製造装置2の説明において、図5の粒子製造装置と共通の機能を有する手段、機構又は装置などについては、同じ参照符号を用いて示し、ここでは説明を省略することがある。
粒子製造装置2は、超高圧管(30d,30e,30j,30k,30f)によって接
続されるセル24、ポンプ12b、バルブ13b、混合装置17、バルブ(背圧弁)13c及びノ
ズル32を有する。粒子製造装置2において、バルブ13aは、超高圧管30cによって混合装置17と接続されている。また、超高圧管30cには、ヒータ16が設けられている。
ボンベ11は、第1の圧縮性流体を貯蔵し、供給するための耐圧容器である。なお、ボンベ11は、ヒータ16で加熱されることにより、又は、ポンプ12aで加圧されることにより、圧縮性流体となる気体(ガス)又は固体を貯蔵しても良い。この場合、ボンベ11に貯蔵される気体又は固体は、加熱または加圧されることにより、混合装置17で図4の相図における(1)、(2)又は(3)の状態となる。
セル24は、温度調節器を有し、予めセル24内に充填された圧可塑性材料を加熱する機能を有する。また、セル24には、攪拌装置が取り付けられており、これにより圧可塑性材料を攪拌して均一に加熱することができる。
混合装置17は、セル24から供給された圧可塑性材料と、ボンベ11から供給された第1の圧縮性流体と、を連続的に接触させて混合する機能を有する。混合装置17の具体的例としては、公知のT字型継手、スワール流れなどを有するスワールミキサー、混合部で2液が衝突する中心衝突型混合器などが挙げられる。
バルブ(背圧弁)13cは、混合装置17とノズル32との間の経路を開閉して、溶融体の流量や圧力を調整する(遮断することを含む)機能を有する。
粒子製造装置2を使用する場合、高圧セル14を使用せずに粒子を製造することができるため、装置を軽量化することができる。また、粒子製造装置2では、セル24から供給された圧可塑性材料とボンベ11から供給された第1の圧縮性流体とを、混合装置17で連続的に接触させることにより、圧可塑性材料を予め溶融させる。これにより、圧縮性流体と圧可塑性材料とを一定の比率で混合し続けることができるため、均質な溶融体を得ることができる。
次に、図7を参照して、本発明の更に他の実施形態における、粒子製造装置3について説明する。なお、粒子製造装置3の説明においても、図5又は図6の粒子製造装置2と共通する手段、機構又は装置などについては、同じ参照符号を使用し、説明を省略する場合がある。
粒子製造装置3は、超高圧管(30g,30h)によって接続される、ボンベ21、ポンプ22、及びバルブ(背圧弁)23を有する。また、粒子製造装置3は、ノズル32に接続し、超高圧管30fに介してバルブ13cに接続し、超高圧管30iを介してバルブ23に接続する、混合装置31を有する。超高圧管30iにはヒータ16が設けられている。
ボンベ21は、第2の圧縮性流体を貯蔵し供給するための耐圧容器である。なお、ボンベ21は、ヒータ26で加熱することによって、又は、ポンプ22で加圧することによって、圧縮性流体となる気体(ガス)又は固体を貯蔵しても良い。この場合、ボンベ21に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、混合装置31で図4の相図における(1)、(2)又は(3)の状態となる。
ポンプ22は、ボンベ21に貯蔵された圧縮性流体を、混合装置31の方向に送り出すことができる。バルブ(背圧弁)23は、ポンプ22と混合装置31との間の経路を開閉して、圧縮性流体の流量を調整することができる。
混合装置31は、混合装置17から供給された溶融体と、ボンベ21から供給された第2の圧縮性流体と、を連続的に接触させて混合する装置である。混合装置31の具体的例としては、公知のT字型継手、スワール流れを利用するスワールミキサー、混合部で2液が衝突する中心衝突型混合器などが挙げられる。
粒子製造装置3では、混合装置31で溶融体に第2の圧縮性流体を供給しつつ、ノズル
32から溶融体を噴射する。この場合、第2の圧縮性流体の圧力によって、圧可塑性材料の溶融体の粘度を低粘度化できるので、加工性を向上することができる。これにより、原材料に添加する離型剤成分の量が少なく、圧可塑性材料の分子量が高い条件においても、効率良く粒子を製造することが可能となる。
なお、上記の粒子製造装置(1,2,3)では、混合装置(17,31)として公知の継手などが用いられている。しかしながら、従来の静止型混合器では、例えば、溶融樹脂と圧縮性流体といった、粘性が異なる流体を混合する場合、両流体を均質混合することは困難である場合が多い。そのため、本実施形態の静止型混合器は、ミキシングエレメント(エレメント)を管状ハウジング内に有していることが好ましい。このエレメントは、可動部を有さず、複数のバッフル板が管軸を中心として軸方向に沿って配列される。このような静止型混合器を用いる場合、流体は、管状ハウジング内を移動する過程で、管内に装置されたエレメントによって、分割・転換・反転作用を受け混合される。また、他の実施形態の静止型混合器において、多角形の小室で構成されたハニカム状の板からなるエレメントを多数重合配列させたものを使用しても良い。このタイプの静止型混合器においては、流体は、管内内部の小室を管内中心部から外側へ、外側から中心部へと順次移動することにより分散・反転・渦流作用を受けて混合される。しかしながら、これらの静止型混合器に樹脂のような高粘性流体と圧縮性流体のような低粘性流体を通過させる場合、低粘性流体がエレメントによる混合作用を受けずに、管内エレメントと管ハウジングとの隙間を通り抜けてしまい、均質に混合できないことがある。この混合不良の対処法としては、エレメント構造の複雑化や混合器の長尺化などの方法が考えられるが、これらの対処法は、低粘性流体の通り抜け現象の有効な防止策ではなく、混合時の圧力損失の増大、装置の大型化、洗浄労力の増大などの問題を生じさせる。
なお、図7で説明した、第2の圧縮性流体を供給する手段は、図5のタイプの粒子製造装置にも適用することができる。
[トナーの製造方法]
次に、本実施形態に係る、粒子製造装置(1,2,3)を用いた、トナーの製造方法について、説明する。本実施形態の粒子の製造方法は、圧可塑性材料と離型剤とを、前記離型剤の融点未満の温度で第1の圧縮性流体に接触させて、前記圧可塑性材料を溶融させる溶融工程と、前記溶融工程で得られた溶融体を、前記離型剤の融点未満の温度で噴射して造粒する造粒工程と、を有する。
(圧縮性流体との接触による溶融工程)
まず、圧可塑性材料などの原材料を圧縮性流体と接触させることで膨潤させ、かつ、可塑化、半液状化、液状化させる溶融工程について説明する。
粒子製造装置1を使用する場合、溶融工程では、先ず、圧可塑性材料、離型剤微粒子及び着色剤等のその他の原材料を、高圧セル14内に充填する。原材料が複数の成分を含むときには、原材料を充填する前に、離型剤微粒子を除く成分を予めミキサー等で混合し、ロールミル等で溶融混練させておいても良い。
次に、高圧セル14を密閉し、高圧セル14の攪拌装置によって原材料を攪拌する。続いて、ポンプ12aを作動させて、ボンベ11に貯蔵された第1の圧縮性流体を加圧し、バルブ13aを開放することで、高圧セル14内に第1の圧縮性流体を供給する。なお、本実施形態では、ボンベ11として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを使用した。
高圧セル14内の温度は、供給された二酸化炭素が圧縮性流体となる温度に、温度調節器によって調整されている。なお、高圧セル14内の温度の上限は、離型剤の融点未満であれば、適宜選択することができるが、大気圧下での圧可塑性材料の熱分解温度以下であることが好ましく、圧可塑性材料の融点温度以下であることがより好ましい。なお、本実施形態において、熱分解温度とは、熱分析装置(TGA:Thermo Gravimetry Analyzer)の測定において、試料の熱分解に伴う重量減少の開始温度を意味する。
高圧セル14内の温度が熱分解温度を超えると、圧可塑性材料が酸化したり、分子鎖が切断されたりすることで劣化して、耐久性が低下することがある。また、得られるトナーの色調、透明性、定着特性、耐熱保存性及び帯電性能が低下することがある。さらに、加熱処理における、エネルギー消費が大きくなる。
高圧セル14内の圧力は、ポンプ12a、背圧弁14aを調整することにより所定の圧力に調整される。本実施形態における溶融工程において、高圧セル14内の圧可塑性材料等の原材料に付与される圧力としては、特に制限はないが、1MPa以上であることが好ましく、10MPa以上200MPa以下であることがより好ましく、31MPa以上100MPa以下であることが更に好ましい。高圧セル14内の圧力が、1MPaより小さい場合、圧可塑性材料を造粒できる程度の可塑化効果が得られないことがある。一方、高圧セル14内の圧力は、上限値は特にないが、高圧になるほど、装置が重厚になり、設備コストが高くなる。
高圧セル14内では、圧縮性流体と、圧可塑性材料を含む原材料と、が接触することによって、圧可塑性材料が溶融する。この場合、圧可塑性材料が溶融して得られた溶融体の粘度が所定の値になるまで、攪拌装置によって溶融体は攪拌される。溶融体の粘度は、ノズル32によって噴射することのできる粘度であれば特に限定されないが、低いほどノズル径を小さくしても目詰まりすることなく噴射することが可能となり、微粒子化が容易である。このため、溶融体の粘度は、500mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましい。また、高画質を実現するトナーを得るためには、20mPa・s以下であることが好ましい。溶融体の粘度が500mPa・sより大きい場合には、粒子化が困難になり、粗大粒子、繊維状物、発泡、合着などが発生することがある。なお、本実施形態では、圧可塑性材料を用いているため、圧縮性流体の圧力によって圧可塑性材料の低粘度化が促進されるので、圧可塑性材料と圧縮性流体とを均質に混合することで、低粘度の溶融体が得られる。
一方、粒子製造装置(2,3)を用いる場合、溶融工程では、先ず、圧可塑性材料、離型剤微粒子、着色剤等の原材料をセル24内に充填する。原材料が複数の成分を含む場合には、原材料を充填する前に、離型剤微粒子を除く成分を予めミキサー等で混合し、ロールミル等で溶融混練させておいても良い。
次に、セル24を密閉し、セル24の攪拌装置によって、原材料を攪拌するとともに、加熱する。セル24内の温度は、離型剤の融点未満で、かつ、圧可塑性材料が可塑化する温度であれば特に制限はない。これにより圧可塑性材料が可塑化する。
続いて、ポンプ12aを作動させて、ボンベ11に貯蔵された第1の圧縮性流体(本実施形態では二酸化炭素)を加圧し、バルブ13aを開放する。これにより、混合装置17内に第1の圧縮性流体が供給される。なお、本実施形態では、ボンベ11は炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベである。供給される第1の圧縮性流体は、超高圧管30c内でヒータ16によって加熱される。ヒータ16の設定温度は、供給された二酸化炭素が圧縮性流体となる温度であれば特に制限されない。
続いて、ポンプ12bを作動させ、バルブ13bを開放する。これにより、セル24から供給された圧可塑性材料と、ボンベ11から供給された第1の圧縮性流体とは、混合装置17内で連続的に接触して、均質に混合される。これにより、圧可塑性材料が溶融する。圧可塑性材料が溶融して得られた溶融体の粘度は、上記と同様に500mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましく、高画質を実現するトナーを得るためには20mPa・s以下であることがより更に好ましい。
粒子製造装置(2,3)では、セル24で圧可塑性材料を予め可塑化させておくことで、圧可塑性材料と圧縮性流体との粘度差をできるだけ低減させた状態で、これらを混合することができるため、より均質な溶融体を得ることが可能となる。なお、セル24では熱によって圧可塑性材料を予め可塑化させたが、圧力を印加することによって圧可塑性材料を可塑化させても良く、熱及び圧力の両方を印加することによって、圧可塑性材料を予め可塑化させても良い。
(造粒工程)
次に、溶融工程によって得られた溶融体を噴射して、粒子(本実施形態ではトナー)を
製造する造粒工程について、説明する。
前記造粒工程は、前記圧可塑性材料の溶融体をノズル32から噴射して造粒することで実施される。
前記圧縮性流体としての二酸化炭素を用いて微粒子を造粒する方法としては、RESS法(Rapid Expansion of Supercritical Solution)と、PGSS法(Particles from Gas Saturated Solution)とがある。
前記RESS法は、高圧下で超臨界流体中に溶質となる材料を飽和溶解させ、ノズルからの急減圧による溶解度の急速な低下を利用して微粒子を析出させる急速膨張法である。
前記RESS法は、ノズル出口において超臨界流体の圧力は瞬時に大気圧まで低下し、これに伴い溶質の飽和溶解度が低下する。即ち、極めて短時間のうちに大きな過飽和度が達成され、このため微細な凝集核が多数発生し、成長をほとんど伴わずに析出する。その結果、サブミクロン粒子を得ることができる。
これに対し、前記PGSS法は、圧可塑性材料の溶融液中に超臨界流体を飽和溶解(本発明では飽和溶解濃度以下で操作)させ、ノズルを通して液体噴霧を行い急減圧する。減圧によって溶融液中に溶解していた超臨界流体の溶解度が急速に低下し、これが気泡となって溶融液を分断するとともに、断熱膨張に伴う冷却効果によって微粒子を生成する。
粒子製造装置(1,2)を使用する場合、バルブ(背圧弁)13cを開放することより、高圧セル14又は混合装置17で圧縮性流体と圧可塑性材料とが接触して得られた溶融体(混合体)をノズル32から噴射する。このとき、高圧セル14又はセル24の温度及び圧力が一定に維持されるよう、背圧弁14a、ポンプ(12a,12b)、温度調節器等が制御される。なお、高圧セル14及び混合装置17内の圧力は、特に限定されない。
ノズル32から噴射された溶融体は、粒子となった後、固化する。なお、粒子製造装置2を用いた場合には、圧可塑性材料と圧縮性流体とが混合装置17で連続的に接触して、得られた溶融体がノズル32に供給されるので、連続的に粒子を造粒することができる。
粒子製造装置3を使用する場合、まず、ポンプ22を作動させて、バルブ(背圧弁)23を開放することにより、ボンベ21に貯蔵された第2の圧縮性流体を混合装置31に供給する。本実施形態では、ボンベ21として窒素ボンベを用いた。
供給される第2の圧縮性流体の圧力としては、特に制限はないが、1MPa以上であることが好ましく、10MPa以上200MPa以下であることがより好ましく、31MPa以上100MPa以下であることが特に好ましい。第2圧縮性流体に付与される圧力が1MPaより小さい場合、圧可塑性材料を造粒できる程度の可塑化効果が得られないことがある。一方、圧力の上限は特にないが、高圧になるほど装置が重厚になり設備コストは高くなる。
供給される第2の圧縮性流体は、超高圧管30i内でヒータ26によって加熱される。ヒータ26の設定温度としては、供給された窒素が圧縮性流体となる温度で、且つ、離型剤の融点未満の温度であれば特に制限されない。
次に、ポンプ(12a,12b)を作動させて、圧可塑性材料の溶融体を混合装置17から混合装置31へと供給する。このとき、セル24内の温度及び圧力が一定に維持されるように、ポンプ(12a,12b)、温度調節器等が制御される。
セル24内の圧力は、特に限定されないが、供給される第2の圧縮性流体の圧力と等圧とすることが好ましい。混合装置17から供給された溶融体と、ボンベ21から供給された第2の圧縮性流体とは、混合装置31内で均質に混合される。これにより、溶融体に第2の圧縮性流体を供給しつつ、ノズル32から溶融体を圧力差によって大気圧下に噴射することができる。
本実施形態の場合、第2の圧縮性流体の供給により、噴射される溶融体の固形分濃度が下がるため、溶融体の更なる低粘度化を達成できるため好ましい。その結果、噴射される溶融体の温度が一定に制御されるだけでなく、噴射速度(出口線速)も速くなり、出口線速向上による溶融体への剪断力も大きくなる。また、第2の圧縮性流体として窒素を用いることにより、ノズル32近傍での圧力変化に伴う、ジュール・トムソン効果による温度の低下も緩和されるため、ノズル32の詰まりが発生しにくくなる。ノズル32から噴射された溶融体は、粒子となった後、固化する。この場合、溶融体の低粘度化、低固形分濃度化の相乗効果によって、合着のない均一な微粒子を長時間に亘って製造することができる。また、製造される粒子の形状も均一に安定化される。なお、粒子製造装置3を用いる場合には、圧可塑性材料と圧縮性流体とが混合装置17で連続的に接触して、得られた溶融体がノズル32に供給されるので、連続的に粒子(トナー)を造粒することができる。
[本実施形態で得られる粒子]
本実施形態の粒子(トナー)の製造方法では、圧縮性流体を用いることにより、有機溶媒を使用することなく、粒子(トナー)の製造が可能である。そのため、実質的に有機溶媒を含まない粒子が得られる。なお、ここで言う、粒子が有機溶媒を実質的に含有しないとは、以下の測定方法により測定される粒子中の(有機)溶媒の含有量が、検出限界以下である状態を指す。
粒子中の残留溶媒の測定方法を下記に説明する。測定対象となる粒子1質量部に、2−プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、粒子中の溶媒を抽出する。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−14A,SHIMADZU)を用いて分析し、粒子中の溶媒及び残留モノマーを定量することにより残留溶媒濃度を測定する。本実施形態においては、分析時の測定条件は、以下の条件とした。
装置 :島津GC−14A;
カラム :CBP20−M 50−0.25;
検出器 :FID;
注入量 :1〜5μl;
キャリアガス :He 2.5kg/cm
水素流量 :0.6kg/cm
空気流量 :0.5kg/cm
チャートスピード:5mm/min;
感度 :Range101×Atten20;
カラム温度 :40℃;
Injection Temp :150℃;
とした。
また本実施形態の粒子の製造方法では、内部に空洞を有する粒子を製造することができる。このとき、製造される粒子の空洞の最大フェレ径の平均が10nm以上500nm未満であるのが好ましく、10nm以上300nm未満であるのが更に好ましい。最大フェレ径とは対象を平行線ではさんだ場合に、平行線の間隔が最も大きくなる径のことである。
粒子が空洞を有していると、例えばトナーとして用いた場合、記録材にトナーを定着させるときの消費電力が削減できる;添加された疎水性シリカ等の外添剤が埋没しにくく、トナーの寿命が長い;キャリアと混合して帯電させる際にかかる攪拌ストレスの削減できるので攪拌にかかるエネルギーの削減できる;等の効果を有する。
また、ポリ乳酸のような生体適合性を有する樹脂粒子の場合、医薬除放制御や生体組織再生用の足場として利用することができる。
なお、離型剤の粒子及び空洞の最大フェレ径の平均は、以下のように求める。粒子の断面を電子顕微鏡等で観察し、断面写真を撮影し、その断面写真を画像処理ソフトで処理して二値化し、離型剤部又は空洞部を識別する。識別した離型剤の粒子又は空洞の最大フェレ径の中で、径が大きいものから順に30点選び、その平均を離型剤又は空洞の最大フェレ径の平均とした。
[トナー]
本実施形態によってトナーを製造する場合、得られるトナーの形状、大きさ等の特性については特に制限はないが、以下に示すような画像濃度、平均円形度、質量平均粒径、質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)等を有するトナーが、好ましい。
なお、トナーの画像濃度は、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値で、1.90以上であることが好ましく、2.00以上であることがより好ましく、2.10以上であることが更に好ましい。トナーの画像濃度が、1.90未満である場合、画像濃度が低いため、高画質な画像が得られないことがある。なお、トナーの画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE6000<70W>、株式会社リコー製)に、現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を、定着ローラの表面温度が160±2℃の条件下でベタ画像を形成させ、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、上記分光計を用いて測定し、その平均値を算出することにより、測定することができる。
トナーの平均円形度は、トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値で定義することができ、0.900以上0.980以下であることが好ましく、0.950以上0.975以下であることがより好ましい。また、平均円形度が0.94未満のトナー粒子が、15質量%以下であることが好ましい。平均円形度が0.900未満である場合、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがある。また、平均円形度が0.980を超える場合、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルト等でクリーニング不良が発生し、画像上の汚れが発生することがある。具体的には、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがある。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくさせてしまうことがある。
なお、ここで言う平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)、例えば東亜医用電子社(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定することができる。この場合、先ず、フィルターに通して微細なごみを取り除き、結果として10−3cmの水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上、159.21μm未満)の粒子数が20個以下となるように調整された水を用意する。次に、この粒子を含む水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬株式会社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(SMT社製、UH−50)で20kHz,50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、更に、合計5分間の分散処理を行う。分散処理によって得られる測定試料の粒子濃度が4,000個/10−3cm以上8,000個/10−3cm以下(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上、159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
平均円形度の測定は、試料分散液を、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させることで行う。ここで、フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために、1/30秒間隔で照射される。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径が円相当径として算出される。これにより約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径が測定され、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)が算出される。結果(頻度%及び累積%)は、0.06μm以上400μm以下の範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上、159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
トナーの質量平均粒径としては、特に制限はないが、3μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以上8μm以下であることがより好ましい。質量平均粒径が、3μm未満である場合、二成分現像剤での現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがある。また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。また、質量平均粒径が10μmを超える場合、高解像で高画質の画像を得ることが技術的に困難となる場合がある。また、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
トナーにおける質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)は、1.00以上1.25以下であることが好ましく、1.00以上1.10以下であることがより好ましい。質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)が、1.25を超える場合、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがある。また、質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)が、1.25を超えると、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーが薄層化し、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが技術的に困難となることがある。また、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
質量平均粒径、及び、質量平均粒径と個数平均粒子径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンタ
ーTAII」などを用いて測定することができる。
トナーにおける離型剤含有量は、例えば、示差走査熱量(DSC)測定による吸熱特性から求めることができる。本実施形態においては、DSC測定時の測定条件は、以下の条件とした。
装置:DSC−60A(株式会社島津製作所製);
昇温速度:1℃/min、10℃/min、或いは、20℃/min;
測定開始温度:20℃;
測定終了温度:180℃;
とした。
具体的には、試料を約5mg精秤し、銀製のパンの中に入れ、測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
トナーを試料とする場合において、最大吸熱ピーク(結着樹脂由来の吸熱ピーク)が、離型剤の吸熱ピークと重なっていない場合には、各々のピークを、結着樹脂由来のピークと離型剤のピークとすることができる。一方、トナーを試料とする場合において、離型剤の吸熱ピークが結着樹脂の最大吸熱ピークと重なっている場合は、各々のピークを分離する必要がある。DSC測定におけるピーク分離は、公知の方法によって行うことができる。
次に、別途離型剤単体のDSC測定を行い、吸熱特性を求める。この吸熱ピークと上述のトナーのDSC測定におけるピークとから、トナー中の離型剤含有量を求めることができる。なお、離型剤が樹脂成分と相溶しやすい場合には、前記離型剤の含有量に相溶率を考慮する必要がある。相溶率は、樹脂成分の溶融混合物と離型剤とを所定の比率で混合したものについて求めた吸熱量を、予め求めておいた前記溶融混合物の吸熱量と離型剤単体の吸熱量から算出される理論吸熱量で除した値から算出する。
なお、結着樹脂成分以外の成分の含有量は、公知の分析手段によって測定することができる。分析が困難な場合には、トナーの焼却残灰分量を求め、それに離型剤等の焼却される結着樹脂以外の成分の量を加えた量を結着樹脂以外の成分の含有量と見なして、トナーの質量から差し引くことによって求めることができる。
トナー中の焼却残灰分は以下の手順で求める。予め秤量した30mlの磁性るつぼに約2gのトナーを入れる。るつぼを電気炉に入れ、約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分を算出する。
尚、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことである。また、前記最大吸熱ピークにおいて、ピーク高さ(h)に対し、その半分の高さ(1/2h)における温度幅を求め、これを半値幅とする。
[現像剤]
次に、本実施形態のトナーを使用した現像剤について説明する。本実施形態に係る現像剤は、上述のトナーを有すれば、特に制限はなく、一成分系の現像剤、トナーと磁性キャリアとを有する二成分系現像剤とすることができる。
また、上述のとしては、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどの有色トナーであっても良く、無色透明のクリアトナーであっても良い。
(磁性キャリア)
前述した二成分系の現像剤の磁性キャリアとしては、磁性材料を含有するものであれば、特に制限はないが、例えば、ヘマタイト、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。
磁性キャリアの含有量は、トナー100質量部に対し、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
[画像形成装置]
続いて、図8を参照して、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。図8に、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図を示す。
画像形成装置200は、上述された粒子の製造方法で製造されたトナーを用いて静電潜像を可視像に現像し、この可視像を記録媒体の一例としての用紙に転写し、定着させることにより画像を形成する。なお、本実施形態では、画像形成装置200が電子写真方式のプリンターである例について説明するが、本発明はこの場合に限定されず、複写機、ファクシミリなどであっても良い。
図8に示されるように、画像形成装置200は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着部250とを備えている。
給紙部210は、給紙される用紙が積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された用紙を一枚ずつ給紙する給紙ローラ212とを備えている。
搬送部220は、給紙ローラ212によって給紙された用紙を、転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221によって搬送された用紙の先端部を挟み込んで待機し、用紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、定着部250でトナーを定着させた用紙を排紙トレイ224に排紙する排紙ローラ223と、を備えている。
作像部230は、所定の間隔をおいて、図8の左方から右方に向かって順に、イエローのトナー(トナーY)を有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニットYと、シアンのトナー(トナーC)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットCと、マゼンタのトナー(トナーM)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットMと、ブラックのトナー(トナーK)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットKと、露光器233とを備えている。なお、上記の各トナー(Y,C,M,K)は、それぞれ上記の製造方法によって得られたトナーである。
図8において、4つの画像形成ユニットは、それぞれに用いられる現像剤が異なること以外は、構成は実質的に同様である。それぞれの画像形成ユニットは、図8において、時計回りに回転可能となるように設けられ、静電潜像及びトナー像を担持する感光ドラム(231Y,231C,231M,231K)と、感光ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面を一様に帯電させる各帯電器(232Y,232C,232M,232K)と、各色のトナー(Y,C,M,K)を供給する各トナーカートリッジ(237Y,237C,237M,237K)と、露光器233で感光ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に形成された静電潜像をトナーカートリッジ(237Y,237C,237M,237K)から供給されたトナーを用いてトナー像に現像する各現像装置(234Y,234C,234M,234K)と、転写媒体にトナー像が一次転写された後の感光ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面を除電する各除電器(235Y,235C,235M,235K)と、除電器(235Y,235C,235M,235K)で除電された各感光ドラム(231Y,231C,231M,231K)の表面に残った転写残トナーを除去する各清掃器(236Y,236C,236M,236K)と、を備えている。
露光器233は、画像情報に基づいて、光源233aから発せられたレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー(233bY,233bC,233bM,233bK)によって反射させて感光ドラム(231Y,231C,231M,231K)に照射する装置である。これにより、画像情報に基づいた静電潜像が感光ドラム231に形成される。
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、これらのローラに掛け渡され、駆動ローラ241の駆動に伴い図8において反時計回りに回転可能な転写媒体としての中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光ドラム231に対向して設けられた一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)と、トナー像の用紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで二次対向ローラ245に対向して設けられた二次転写ローラ246と、を備えている。
転写部240では、一次転写ローラ244に一次転写バイアスがかけられることで、感光ドラム231の表面に形成された各トナー像が中間転写ベルト243上に転写(一次転写)される。また、二次転写ローラ246に二次転写バイアスがかけられることで、二次転写ローラ246と二次対向ローラ245とに挟み込まれた搬送中の用紙に、中間転写ベルト243上のトナー像が転写(二次転写)される。
定着部250は、ヒータが内部に設けられ、用紙をトナーの定着下限温度よりも高い温
度に加熱する加熱ローラ251と、加熱ローラ251に回転可能に押し当てて加圧することにより、接触面(ニップ部)を形成する加圧ローラ252とを備えている。なお、本実施形態において、定着下限温度とは、トナーが定着する下限の温度を意味する。
本実施形態における画像形成装置では、シャープな粒度分布を有し、帯電性、環境性、経時安定性などのトナー特性が良好である、本実施形態の製造方法で製造されたトナーを用いて画像を形成するため、高画質な画像を形成することができる。
なお、上述した実施形態では、粒子の製造方法に用いられる製造装置が、図5乃至図7に示される粒子製造装置(1,2,3)である場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されない。
また、上述した実施形態では、圧可塑性材料と圧縮性流体とを含む溶融体を大気中に噴射する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されない。他にも、溶融体を大気よりも圧力が高く、ノズル32内よりも圧力が低い環境に溶融体を噴射することができる。このとき、噴射速度(出口線速)を制御することで、粒径や粒径分布の制御性を高めることができる。また、この場合、ノズル32から噴射された溶融体のジュール・トムソン効果による冷却を緩和できるので、ヒータ26の加熱を抑えることができ、省エネ、低コスト化などの効果が得られる。
[実施例]
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されない。なお、下記において、部は、質量部を指す。
(ポリエステル樹脂1(圧可塑性材料)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた。また、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応
させることで、[ポリエステル樹脂1]を得た。得られた[ポリエステル樹脂1]は、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25、圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きが−10℃/MPaであった。なお、ガラス転移温度及び傾きの測定には、SETARAM社製C−80高圧熱量計装置を使用した。測定は、先ず、高圧測定セルにサンプルをセットし、セル内を二酸化炭素で置換した後、所定圧力に加圧した。そして、昇温速度0.5℃/分で、200℃まで昇温することで、ガラス転移温度を測定した。
(ポリ乳酸樹脂)
L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合により得られた[ポリ乳酸樹脂]を用いた。[ポリ乳酸樹脂]は、Mwがおよそ20,000、圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは、−25℃/MPaであった。
(ポリエステル樹脂2(圧可塑性材料)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ17,000に達するまで反応を行うことで、融点63℃の[ポリエステル樹脂2](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。[ポリエステル樹脂2]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは、−5℃/MPaであった。
(ポリウレタン樹脂1(圧可塑性材料)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。得られた結晶性樹脂249質量部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。その後、減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ20,000、融点65℃の[ポリウレタン樹脂1](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。[ポリウレタン樹脂1]の圧力に対するガラス転移温度の変化の傾きは、−6℃/MPaであった。
得られた各種樹脂の、ガラス転移温度Tg、融点Ta、軟化温度Tbなどのパラメータについて、表1に示す。
(パラフィンワックス(離型剤)微粒子の製造)
融点79℃のパラフィンワックスを、高圧セルに投入し、高圧セルに、超臨界流体として二酸化炭素を温度40℃、圧力40MPaになるように導入し、1時間攪拌を行った。得られた溶融体の粘度は、検出範囲以下(1mPa・s以下)であった。なお、溶融体の粘度の測定には、Hydramotion社製の振動式粘度計(XL7)を使用した。高圧セルに試料と圧縮性流体(二酸化炭素)を入れ、40℃、40MPaの条件で粘度測定を行った。次に、ポンプとヒータとを使用し、40℃、40MPaを維持しながら、離型剤の溶融体を吐出装置の粒状体形成部に導入した。溶融体を、吐出装置の貯留部に導入し、交流周波数320KHzの正弦波を、積層PZTで構成された振動手段に与えて、吐出装置を励振することにより、粒状体を形成し、これを大気圧下に吐出してワックス微粒子を得た。吐出のための貫通孔は、厚さ50μmのSUS(ステンレス鋼)に、直径8.0μmで千鳥格子状に100個の孔を設けたものを使用した。なお、高圧セル内は、温度40℃、圧力40MPaを一定に維持するようにした。また、貯留部内の圧力と粒状体形成部の圧力差は80±50Kpaとなるように制御した。得られたワックス微粒子は、体積平均粒径(Dv)0.33μm、個数平均粒径(Dn)0.32μm、Dv/Dnは1.03であった。尚、本実施例において体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器(コールターカウンターTAII)を用いて測定した。
(実施例1)
実施例1では、図5の粒子製造装置1に、図7の第2の圧縮性流体を供給する手段を適用した装置を用いて、トナーを製造した。実施例1においては、ボンベ11として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、実施例1においては、原材料は、
ポリエステル樹脂1 95部;
着色剤(銅フタロシアニンブルー) 5部;
パラフィンワックス微粒子(融点79℃) 5部;
を使用した。
パラフィンワックスを除く原材料を、ミキサーで混合した後、2本ロールミルで溶融混練して、混練物を圧延冷却した。この混練物とパラフィンワックス微粒子とを、図5で示される粒子製造装置1の高圧セル14に投入した。第1の圧縮性流体として、二酸化炭素を70℃、65MPaの条件下で導入し、1時間攪拌を行った。このときの得られた溶融体の粘度は、20mPa・sであった。なお、溶融体の粘度の測定には、Hydramotion社製の振動式粘度計(XL7)を使用した。高圧セルに試料と圧縮性流体(二酸化炭素)を入れ、70℃、65MPaの条件で粘度測定を行った。次に、バルブ23を開き、ポンプ22とヒータ26とを作動させて、65MPa、70℃を維持するように、第2の圧縮性流体として超臨界窒素をノズル32より噴射した。この状態でバルブ13bを開き、ポンプ12bを作動させ、溶融体に第2の圧縮性流体を供給しつつ、溶融体を噴射した。このとき、ポンプ12aと背圧弁14aを調整することにより、高圧セル14内は、温度70℃、圧力65MPaを一定に維持するようにした。噴射された溶融体は、粒子化した後、固化した。固化したトナーを、[トナー1]とした。
得られた[トナー1]の粒子は、体積平均粒径(Dv)9.1μm、個数平均粒径(Dn)7.0μm、Dv/Dn1.30であった。なお、体積平均粒径、及び、体積平均粒径と個数平均粒子径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンタTAII」を用いて測定した。
また、得られた[トナー1]の粒子中の残留溶媒濃度は、検出限界以下であった。なお、残留溶媒濃度は、島津製作所社製のガスクロマトグラフィ(GC−14A)を用いて測定した。
得られた[トナー1]の粒子中の離型剤含有量は4.6質量%であった。なお、離型剤含有量は、島津製作所製の自動示差走査熱量計(DSC−60A)を用いて測定した吸熱特性から前述した方法により求めた。
表2又は表3に、各実施例及び比較例における、溶融体の粘度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、Dv/Dnなどの、各種製造条件を示す。
(実施例2)
実施例2においては、原材料として、
ポリエステル樹脂2 95部;
着色剤(銅フタロシアニンブルー) 5部;
パラフィンワックス微粒子(融点79℃) 5部;
を使用した。
パラフィンワックスを除く上記トナーの原材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで溶融混練して、混練物を圧延冷却した。この混練物及びパラフィンワックス微粒子を図7の粒子製造装置3のセル24に投入し、70℃に加熱して圧可塑性材料を可塑化させた。ポンプ12aを作動させて、バルブ13aを開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を70℃、10MPaになるように導入した。また、ポンプ12bを作動させて、バルブ13bを開放して、可塑化させた混練物と第1の圧縮性流体とを混合装置17で混合した。次にバルブ23を開き、ポンプ22とヒータ26とを使用して、10MPa、70℃を維持しながら、第2の圧縮性流体としての超臨界窒素をノズル32より噴射した。この状態でバルブ13cを開き、混練物と第1の圧縮性流体とが接触して得られた溶融体に第2の圧縮性流体を供給しつつ、溶融体をノズル32から噴射した。このとき、ポンプ12a、ポンプ12bと背圧弁14aを調整することにより混合装置17を通過する溶融体が温度70℃、圧力10MPaを一定に維持するようにした。噴射された溶融体は、粒子化した後、固化した。固化したトナーを、[トナー2]とした。
(実施例3〜6)
処理温度、処理圧力、ノズル径を、表2の実施例3〜6で示される値に変更した以外は、実施例2と同様の方法により、各々、[トナー3〜6]を得た。
(実施例7、8)
実施例2で使用した[ポリエステル樹脂2]を[ポリウレタン樹脂1]に変更し、処理温度、処理圧力、ノズル径を表2の実施例7及び実施例8で示す値に変更した以外は、実施例2と同様の方法により、各々、[トナー7、8]を得た。
(実施例9)
[ポリ乳酸樹脂]を図7の粒子製造装置3のセル24に投入し、170℃に加熱して圧可塑性材料を可塑化させた。ポンプ12aを作動させて、バルブ13aを開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を170℃、65MPaになるように導入した。また、ポンプ12bを作動させて、バルブ13bを開放して、可塑化させた混練物と第1の圧縮性流体とを混合装置17で混合した。次にバルブ23を開き、ポンプ22とヒータ26とを使用して、65MPa、170℃を維持しながら、第2の圧縮性流体としての超臨界窒素をノズル32より噴射した。この状態でバルブ13cを開き、混練物と第1の圧縮性流体とが接触して得られた溶融体に第2の圧縮性流体を供給しつつ、溶融体をノズル32から噴射した。このとき、ポンプ12a、ポンプ12bと背圧弁14aを調整することにより混合装置17を通過する溶融体が温度170℃、圧力65MPaを一定に維持するようにした。噴射された溶融体は、粒子化した後、固化した。固化した粒子を、[粒子9]とした。
(比較例1)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸と無水フタル酸とから得られた無変性のポリエステル(a)と、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸及びイソホロンジイソシアネートから得られたイソシアネート基含有プレポリマー(b)(Mw:35000)と、を得た。
また、イソホロンジアミンとメチルエチルケトンとからケチミン化合物(c)を得た。
ビーカー中に前記のプレポリマー(b)20部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌して溶解した。次いで、離型剤としてライスワックス(融点61℃)10部、カーボンブラック4部を入れ、TK式ホモミキサーを用いて40℃、12000rpm、5分間の条件で攪拌した。その後、ビーズミルを用いて、20℃、30分間の条件で粉砕処理した。得られた分散液を、以後、トナー材料油性分散液(d)と呼ぶ。
ビーカー中にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmの条件で攪拌して、水分散液(e)を得た。水分散液(e)に、トナー材料油性分散液(d)及びケチミン化合物(c)2.7部を加え、攪拌させることで、ウレア反応を進行させた。
反応後の分散液(粘度:3500mPa・s)を、減圧下、50℃以下の温度で、1時間以内で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級することで、球形状の[比較トナー1]を得た。
また、各実施例及び比較例のトナーについて、トナーの離型剤粒子及び空洞の最大フェ
レ径の平均を以下のように求めた。粒子の断面を電子顕微鏡等で観察し、断面写真を撮影
した。得られた断面写真を画像処理ソフト(ImageJ)を用いて処理して二値化し、離型剤部又は空洞部を識別した。識別した離型剤粒子又は空洞の最大フェレ径が大きいものから順に30点選び、その平均を離型剤粒子又は空洞の最大フェレ径の平均とした。
各実施例及び比較例でえられたトナー100質量部に対して、疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合した。混合後の粉体を目開き100μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除いた。
なお、各実施例で得られたトナーは、圧可塑性材料中に離型剤が粒子状で複数内包されていた。一方、比較例で得られたトナーは、圧可塑性材料中に離型剤が一部内包されず、離型剤が圧可塑性材料を突き出している領域が見受けられた。
次に、この外添剤処理を施したトナー5質量%と、シリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95質量%と、を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、2成分系の[現像剤1,6,7,8,10]を調製した。なお、[現像剤1,6,7,8,10]に使用されたトナーは、各々、上記の[トナー1,6,7,8,比較トナー1]に対応する。なお、[トナー2〜5]については2成分系の現像剤を調整しなかった。
また、100質量部の各[トナー1,6,7,8,比較トナー1]に、疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合し、1成分系の[現像剤10,16,17,18,20]を調製した。なお、[現像剤10,16,17,18,20]に使用されているトナーは、各々、上記の[トナー1,6,7,8,比較トナー1]に対応する。なお、[トナー2〜5]については、1成分系の現像剤を調整しなかった。
得られた各現像剤について、画像形成装置(2成分現像剤の評価には、株式会社リコー製、IPSio Color 8100を使用し、1成分現像剤の評価には、株式会社リコー製、imagio Neo C200を使用した)に装填し、画像を出力して、以下のようにして評価した。評価結果を表3に示す。
[画像濃度]
普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に低付着量となる0.3±0.1mg/cmの付着量におけるベタ画像出力後、画像濃度を濃度計X−Rite(X−Rite社製)により測定し、下記基準により評価した。
(評価基準)
◎:画像濃度1.4以上;
○:1.35以上1.4未満;
△:1.3以上1.35未満;
×:1.3未満;
とした。
[トナー飛散]
温度40℃、湿度90%RHの環境下、画像形成装置(株式会社リコー製、IPSiOColor8100)をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を使用した。上述の評価機を使用して、各現像剤を用いて画像面積率5%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施し、複写機内のトナー汚染状態を目視にて、下記基準により評価した。
(評価基準)
◎:トナー汚れがまったく観察されず良好な状態である;
○:わずかに汚れが観察される程度であり問題とならない;
△:少し汚れが観察される程度である;
×:許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる;
とした。
[転写性]
画像面積率20%チャートを感光体から紙に転写後、クリーニングの直前における感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
(評価基準)
◎:ブランクとの差が0.005未満である;
○:ブランクとの差が0.005〜0.010である;
△:ブランクとの差が0.011〜0.02である;
×:ブランクとの差が0.02を超える;
とした。
[帯電安定性]
各現像剤を用いて、画像面積率12%の文字画像パターンを用いて、連続10万枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。スリーブ上から現像剤を少量採取し、ブローオフ法により帯電量変化を求め、下記基準により評価した。
(評価基準)
○:帯電量の変化が5μc/g未満である;
△:帯電量の変化が5μc/g以上10μc/g以下である;
×:帯電量の変化が10μc/gを超える;
とした。
[フィルミング性]
画像面積率100%、75%及び50%の帯チャートを1000枚出力後の現像ローラ、及び感光体上のフィルミングを観察し、下記基準で評価した。
(評価基準)
◎:まったくフィルミングが発生していない;
○:うっすらとフィルミングの発生を確認できる;
△:スジ状にフィルミングが発生している;
×:全面にフィルミングが発生している;
とした。
[クリーニング性]
画像面積率95%チャートを1000枚出力後の清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーを、スコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
(評価基準)
◎:ブランクとの差が0.005未満である;
○:ブランクとの差が0.005〜0.011未満である;
△:ブランクとの差が0.011〜0.020以下である;
×:ブランクとの差が0.020を超える;
とした。
[定着性]
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した電子写真方式の複写機(IPSiOCX8800、株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、定着ベルトの温度を変化させて、普通紙及び厚紙の転写紙タイプ6200(株式会社リコー製)及び複写印刷用紙<135>(NBSリコー社製)に、トナーの付着量が0.85±0.1mg/cm2のベタ画像を形成した。このとき、普通紙でホットオフセットの発生しない上限温度を定着上限温度とした。また、厚紙でベタ画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を定着下限温度とした。
(定着上限温度の評価基準)
◎:定着上限温度が190℃以上;
○:定着上限温度が180℃以上190℃未満;
△:定着上限温度が170℃以上180℃未満;
×:定着上限温度が170℃未満;
とした。
(定着下限温度の評価基準)
◎:定着下限温度が115℃未満;
○:定着下限温度が115℃以上125℃未満;
△:定着下限温度が125℃以上155℃未満;
×:定着下限温度が155℃以上;
とした。
1 粒子製造装置
2 粒子製造装置
3 粒子製造装置
4 粒子製造装置
11,21 ボンベ
12a,12b,22 ポンプ
13a,13b, バルブ
13c,23 背圧弁
14 高圧セル
16,26 ヒータ
24 セル
17,31 混合装置
32 ノズル
T トナー
特開平9−34167号公報

Claims (20)

  1. 少なくとも結着樹脂と、離型剤と、を含有するトナーであって、
    前記結着樹脂として圧可塑性材料を含み、かつ粒子状の前記離型剤を複数含有する、
    トナー。
  2. 前記トナーは、前記離型剤を1質量%以上含有する、
    請求項1に記載のトナー。
  3. 前記離型剤の粒子の最大フェレ径の平均が300nm以上1.5μm未満である、
    請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 海相を形成する前記圧可塑性材料と、島相を形成する前記離型剤粒子とによって、海島構造が形成されている、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記圧可塑性材料は、カルボニル構造を有する樹脂を含む、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記圧可塑性材料は、結晶性樹脂を含む、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記結晶性樹脂を前記結着樹脂に対して50質量%以上含有する、
    請求項6に記載のトナー。
  8. 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステルである、
    請求項6又は7に記載のトナー。
  9. 前記トナーは、有機溶媒を含有しない、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 前記トナーは、内部に空洞が存在する、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナーを含む、現像剤。
  12. 感光体と、帯電手段と、露光手段と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナーを含む現像剤を用いて静電潜像を現像する現像手段と、定着手段とを有する画像形成装置。
  13. 圧可塑性材料と離型剤とを、前記離型剤の融点未満の温度で第1の圧縮性流体に接触させて、前記圧可塑性材料を溶融させる溶融工程と、
    前記溶融工程で得られた溶融体を、前記離型剤の融点未満の温度で噴射して造粒する造粒工程と、
    を有する、トナーの製造方法。
  14. 前記離型剤の融点は、前記圧可塑性材料のガラス転移温度よりも高い、請求項13に記載のトナーの製造方法。
  15. 前記溶融体の粘度は、500mPa・s以下である、請求項13又は14に記載のトナーの製造方法。
  16. 前記溶融体の粘度は、20mPa・s以下である、請求項15に記載のトナーの製造方法。
  17. 前記造粒工程において、前記溶融体に第2の圧縮性流体を供給しながら、前記溶融体を噴射する、請求項13乃至16のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  18. 前記第1の圧縮性流体は、二酸化炭素を含む、請求項13乃至17のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  19. 海相を形成する圧可塑性材料と、島相を形成する複数の分散粒子とによって、
    海島構造が形成されている粒子の製造方法であって、
    前記圧可塑性材料と前記分散粒子とを、前記分散粒子の融点未満の温度で第1の圧縮性流体に接触させて、前記圧可塑性材料を溶融させる溶融工程と、
    前記溶融工程で得られた溶融体を、前記分散粒子の融点未満の温度で噴射して造粒する造粒工程と、
    を有する、粒子の製造方法
  20. 圧可塑性材料を含有する粒子であって、
    前記粒子は空洞を有し、
    前記空洞の最大フェレ径の平均が10nm以上500nm未満である、
    粒子。
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