JP5899658B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
この絶縁型DC−DCコンバータは、図2に示すように、MOSトランジスタからなる半導体スイッチング素子2〜5と、変圧器6と、ダイオード7〜10と、インダクタ11と、コンデンサ12とを備えている。
図2の絶縁型DC−DCコンバータでは、例えば半導体スイッチング素子2、5を同時にオンし、次に半導体スイッチング素子3、4を同時にオンにする。そして、これらの動作を交互に繰り返す。
このような動作により、A点の直流電圧の中性点Mに対する電位は、半導体スイッチング素子2をオンにすると正となり、半導体スイッチング素子3をオンにすると負となる。同様に、B点のM点に対する電位は、半導体スイッチング素子4をオンにすると正となり、半導体スイッチング素子5をオンにすると負となる。
このような原理により、変圧器6の1次巻線の両端には正負の電圧が交互に印加され、その1次巻線には高周波の交流が印加される(図3(E)参照)。この交流の周波数は、変圧器6の小形化、騒音防止のため10kHz以上とするのが一般的である。
図3(F)に示すように、平滑回路から出力される出力電圧Eoは、整流回路の整流電圧Erの平均値とほぼ同じであり、したがって整流電圧Erはパルス幅に比例する。このパルス幅は、変圧器6に正または負の電圧を印加している期間におおむね等しい。このため、変圧器6の電圧印加期間を制御することにより、出力電圧Eoを連続的に制御することができる。
まず、接地コンデンサ100がない場合を考えると、回路側から見た大地すなわちG点の電位は、おおむねA点の電位とB点の電位との間を対地寄生キャパシタンス101、102で分圧した結果となる。
A点とB点の電位が共にP点の電位に等しいときは、G点の電位もP点の電位に等しく、このためM点から見たG点の電位は+(E/2)Vとなる。A点およびB点の電位の一方がP点、一方がN点の電位に等しいときは、回路側から見たG点の電位はP点、N点の中間電位となるので、M点から見ると0Vとなる。また、A点およびB点の電位が共にN点の電位に等しいときはG点の電位もN点の電位に等しく、このためM点から見たG点の電位は−(E/2)Vとなる。
そこで、図2の回路では、対地寄生キャパシタンス101、102よりも十分大きな容量値を有する接地コンデンサ100でM点を接地することにより電位を安定化させ、上記の弊害を防止するようにしている。
このような問題を解消するために、引用文献1に開示される技術を図2の絶縁型DC−DCコンバータに適用した改良発明が考えられる。
この改良発明は、図4に示すように、図2の絶縁型DC−DCコンバータを主回路とし、その主回路に補助回路15を追加したものである。
この補助回路15は、補助スイッチ2a〜5aと、接地コンデンサ101a、102aとを備えている。この例では、補助スイッチ2a〜5aは主回路を構成しないので、ごく小容量の半導体スイッチング素子を用いるものとする。
これにより、たとえばA点の電位がN点の電位からP点の電位となり、対地寄生キャパシタンス101からフレーム14に漏洩電流が流れた場合、同時にC点の電位がP点の電位からN点の電位となり、フレーム14から接地コンデンサ101aに同じ大きさの漏洩電流が流れる。
したがって、漏洩電流は、回路内においてA点、対地寄生キャパシタンス101、G点、接地コンデンサ101a、およびC点の経路で循環し、外部に流出しない。B点−D点間に関しても同様である。
また、この場合、主回路から見たG点の電位は常にP−N間を均等分圧した点となるのでM点の電位と等しくなる。すなわち、G点から見たM点の電位変動も抑制される。
仮に、そのタイミングを補正したとしても、半導体スイッチング素子自身の特性や素子端子間のキャパシタンスと回路の寄生インダクタンスによる共振などの影響で、A、B点の電位変動波形は純粋な方形波にはならない。実際の電位変動波形を部品や実際の電流の異なる別の回路で再現するのは極めて困難である。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、装置の小型化と低コスト化の実現を図るとともに、寄生キャパシタンスに伴う漏洩電流の効果的な抑制を図ることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
また、本発明の電力変換装置において、前記第1の電力変換回路は少なくとも1つからなり、前記第2の電力変換回路は少なくとも1つからなる。
(実施形態の概要)
図1は本発明に係る電力変換装置の実施形態の構成を示す回路図である。
この実施形態に係る電力変換装置は、図1に示すように、絶縁型DC−DCコンバータに適用したものである。
この実施形態は、第1の電力変換回路である絶縁型DC−DCコンバータ16と、第2の電力変換回路である絶縁型DC−DCコンバータ17とを備え、2つのDC−DCコンバータ16、17が並列動作してそれぞれ電力変換を行い、同一の負荷13に電力を供給するようになっている。
さらに、この実施形態は、図2に示す絶縁型DC−DCコンバータを2つの絶縁型DC−DCコンバータ16、17に分割した場合と同様の構成を採用する。このため、この実施形態は、図2に示す絶縁型DC−DCコンバータと同じ電流容量とする場合には、絶縁型DC−DCコンバータ16、17をその電流容量の1/2ずつの大きさにすることができる。したがって、この実施形態では、装置全体の大きさを、図2に示す絶縁型DC−DCコンバータの大きさとほぼ同じにすることができる。
次に、この実施形態の具体的な構成について、図1を参照して説明する。
絶縁型DC−DCコンバータ16は、直流電源1に接続され、MOSトランジスタからなる半導体スイッチング素子21〜24の動作により直流電源1の直流を交流に変換し、その変換出力を変圧器30で変圧したのちに直流電源1の電圧と異なる直流に変換して出力する。
このため、絶縁型DC−DCコンバータ16は、半導体スイッチング素子21〜24からなるブリッジ回路20と、変圧器30と、ダイオード41〜44からなる整流回路40と、インダクタ51およびコンデンサ52からなる平滑回路50とを備えている。
ブリッジ回路20の入力側は直流電源1に接続され、ブリッジ回路20の出力側は変圧器30の1次巻線の両端に接続されている。トランス30の2次巻線は、整流回路40の入力側に接続されている。整流回路40の出力側は、平滑回路50の入力側に接続されている。半導体スイッチング素子21〜24のそれぞれには、ダイオード25〜28が並列接続されている。
このため、絶縁型DC−DCコンバータ17は、半導体スイッチング素子61〜64からなるブリッジ回路60と、変圧器70と、ダイオード81〜84からなる整流回路80と、平滑回路50とを備えている。
ブリッジ回路60の入力側は直流電源1に接続され、ブリッジ回路60の出力側は変圧器70の1次巻線の両端に接続されている。トランス70の2次巻線は、整流回路80の入力側に接続されている。整流回路80の出力側は、平滑回路50の入力側に接続されている。半導体スイッチング素子61〜64のそれぞれには、ダイオード65〜68が並列接続されている。
タイミング誤差検出回路18は、絶縁型DC−DCコンバータ16の電力変換過程で生成される電圧と絶縁型DC−DCコンバータ17の電力変換過程で生成される電圧とに基づき、半導体スイッチング素子21〜24のオンオフ動作と、これに対応する半導体スイッチング素子61〜64のオンオフ動作とのタイミングの誤差を検出する。
制御回路19は、指令信号に基づいて、半導体スイッチング素子21〜24をそれぞれオンオフ動作するオンオフ信号S1〜S4、および半導体スイッチング素子61〜64をそれぞれオンオフ動作するオンオフ信号S5〜S8を生成して出力する。
次に、このような構成からなる実施形態の動作例について説明する。
この実施形態では、制御回路19が、動作指令信号に基づき、絶縁型DC−DCコンバータ16の半導体スイッチング素子21〜24のオンオフ動作を制御するとともに、絶縁型DC−DCコンバータ17の半導体スイッチング素子61〜64のオンオフ動作を制御する。
すなわち、制御回路19は、半導体スイッチング素子21、24を同時にオンするときには、半導体スイッチング素子62、63を同時にオンする。このときには、半導体スイッチング素子22、23、61、64は、いずれもオフとする。
いま、半導体スイッチング素子21、24が同時にオンし、半導体スイッチング素子62、63が同時にオンしたとする。
この場合には、絶縁型DC−DCコンバータ16側では、直流電源1から変圧器30の1次巻線に電流が流れ、その1次巻線に1次電圧が発生する。この1次電圧が変圧器30で変圧されて2次電圧となり、この2次電圧は整流回路40で整流されたのち平滑回路50で平滑されて出力電圧Eoとなる。
このような動作に伴い、A点の電位がN点の電位からP点の電位となり、対地寄生キャパシタンス103からフレーム14に漏洩電流が流れる。このときには、C点の電位がP点の電位からN点の電位となり、フレーム14から対地寄生キャパシタンス105に同じ大きさの漏洩電流が流れる。したがって、漏洩電流は、回路内においてA点、対地寄生キャパシタンス103、G点(フレーム14)、対地寄生キャパシタンス105、およびC点の経路で循環し、外部に流出しない。
この場合には、絶縁型DC−DCコンバータ16、17では、上記と同様な処理がなされ、出力電圧Eoが得られる。
また、この場合には、B点の電位がN点の電位からP点の電位となり、対地寄生キャパシタンス104からフレーム14に漏洩電流が流れる。このときには、D点の電位がP点の電位からN点の電位となり、フレーム14から対地寄生キャパシタンス106に同じ大きさの漏洩電流が流れる。したがって、漏洩電流は、回路内においてB点、対地寄生キャパシタンス104、G点、対地寄生キャパシタンス106、およびD点の経路で循環し、外部に流出しない。
ところで、制御回路19は、半導体スイッチング素子21〜24および半導体スイッチング素子61〜64に対して上記のようにオンオフ動作の制御を行う。このときに、例えば、半導体スイッチング素子21、62に同時にオン指令を与えたとしても、信号伝達回路の遅延時間の差や、半導体スイッチング素子21、62自身の動作遅延時間の差などにより実際の動作に時間差が生じ得る。これにより、上述の効果が減殺されるため、必要に応じてそのオンオフ動作のタイミング補正を行う必要がある。
すなわち、半導体スイッチング素子21、24をオンするときには変圧器30の1次巻線には正の電圧が印加され、このとき半導体スイッチング素子62、63がオンするので変圧器70の1次巻線には負の電圧が印加される。このため、変圧器30の補助巻線33に発生する電圧と、変圧器70の補助巻線73に発生する電圧とは打ち打ち消し合い、タイミング誤差検出回路18の検出電圧Vdは0Vになる。
以上のように、この実施形態では、2つの絶縁型DC−DCコンバータ16、17から構成し、両DC−DCコンバータ16、17のそれぞれでは同一部品を使用し、等しい電流を流している。このため、両DC−DCコンバータ16、17のそれぞれの電位変動波形は寄生振動のレベルまで極めて近いものとなり、これらが上記のように漏洩電流をキャンセルし合うので、漏洩電流に対する大きな抑制効果が得られる。
このため、ブリッジ回路20および変圧器30と、ブリッジ回路60および変圧器70とは、できるだけ近接して配置するとともに対称構造とし、対地寄生キャパシタンスの値を揃えるとともに漏洩電流の循環経路を最短化するものとする。
この場合の接地コンデンサは、図3の接地コンデンサ100に比べ極めて小さい容量値(たとえば千分の1 )であるので、上述の問題は生じない。
(1)第1の変形例
上記の実施形態では、同じ回路からなる2つの絶縁型DC−DCコンバータ16、17で構成するようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、以下の第1の変形例のように構成しても良い。
第1の変形例は、図1に示す回路と同じ回路からなる絶縁型DC−DCコンバータを、4、6、8・・・というように偶数個で構成するようにした。例えば、4つの絶縁型DC−DCコンバータで構成する場合には、2つの絶縁型DC−DCコンバータの動作に対し、残りの2つの絶縁型DC−DCコンバータは逆の動作をさせる。
第2の変形例は、同じ回路からなる絶縁型DC−DCコンバータを、奇数個で構成するようにした。この場合には、対地寄生キャパシタンスのバランスが取れればよい。たとえば、3つの絶縁型DC−DCコンバータで構成する場合には、第1の絶縁型DC−DCコンバータの動作に対し、第2および第3の絶縁型DC−DCコンバータが逆極性の動作を行うようにする。そして、第1の絶縁型DC−DCコンバータの対地寄生キャパシタンスが、第2および第3の絶縁型DC−DCコンバータのそれぞれの対地寄生キャパシタンスの2倍となるよう調整すれば、両者のバランスを取ることができる。
上記の実施形態では、整流回路40と整流回路80を別個に設け、その2つの整流回路40、80の出力を並列接続し、平滑回路50を共用するようにしたが、これに代えて、インダクタ51を2つに分割し、コンデンサ52の部分で並列接続しても良い。あるいは、整流回路40、80同士を直列接続してもかまわない。
上記の実施形態では、絶縁型DC−DCコンバータ16、17を並列接続し、この並列接続部の両端を、直流電源1を両端に接続させるようにした。
しかし、たとえば、図1において、P点とM点との間に絶縁型DC−DCコンバータ16を接続し、M点とN点との間に絶縁型DC−DCコンバータ17を接続するというように、絶縁型DC−DCコンバータ16、17に直列接続するようにして良く、この場合にも上記の実施形態と同様の漏洩電流のキャンセル効果が得られる。
これは、漏洩電流がキャパシタンスを介して流れる純粋な交流であり、電位変動量には依存するが直流的な電位には影響されず、したがって、絶縁型DC−DCコンバータ16と絶縁型DC−DCコンバータ17との間に直流電位差があったとしても、漏洩電流のキャンセル効果には無関係なためである。
Claims (5)
- 直流電源に接続され、第1の半導体スイッチング素子の動作に基づき、前記直流電源の直流を電圧の異なる直流に変換して出力し、または前記直流電源の直流を交流に変換して出力する第1の電力変換回路と、
前記直流電源に接続され、第2の半導体スイッチング素子の動作に基づき、前記直流電源の直流を電圧の異なる直流に変換して出力し、または前記直流電源の直流を交流に変換して出力する第2の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路の電力変換過程で生成される第1の電圧および前記第2の電力変換回路の電力変換過程で生成される第2の電圧に基づき、前記第1の半導体スイッチング素子の動作と前記第2の半導体スイッチング素子の動作とのタイミングの誤差を検出するタイミング誤差検出手段と、
前記第1の電力変換回路および前記第2の電力変換回路を並列に動作させ、当該並列動作時に、前記第1の電力変換回路に存在する第1の寄生容量に流れる漏洩電流と前記第2の電力変換回路に存在する第2の寄生容量に流れる漏洩電流とが循環する経路を形成するように、前記第1の半導体スイッチング素子および第2の半導体スイッチング素子の動作を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記タイミング誤差検出手段が検出した誤差に応じて、前記第1の半導体スイッチング素子と前記第2の半導体スイッチング素子とを動作させるタイミングを補正すること
を特徴とする電力変換装置。 - 前記第1の電力変換回路は、
前記直流電源に接続され、前記第1の半導体スイッチング素子の動作により前記直流電源の直流を交流に変換し、当該変換出力を第1の変圧器で変圧したのちに直流に変換する第1のDC−DCコンバータで構成し、
前記第2の電力変換回路は、
前記直流電源に接続され、前記第2の半導体スイッチング素子の動作により前記直流電源の直流を交流に変換し、当該変換出力を第2の変圧器で変圧したのちに直流に変換する第2のDC−DCコンバータで構成したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記タイミング誤差検出手段は、
前記第1の電力変換回路の第1のトランスに設けた第1の補助巻線と、
前記第2の電力変換回路の第2のトランスに設けた第2の補助巻線と、を備え、
前記第1の補助巻線と前記第2の補助巻線とを直列に接続し、当該直列に接続した2つの補助巻線の両端に生じる電圧を検出電圧とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。 - 前記第1の寄生容量と前記第2の寄生容量との間に容量値の差がある場合に、寄生容量が小さい電力変換回路側にその差に応じた容量値を有するコンデンサを設けるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記第1の電力変換回路は少なくとも1つからなり、前記第2の電力変換回路は少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力変換装置。
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