JP5896284B2 - 巻線フッキング装置および巻線フッキング方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、モータ回転子の巻線において、始線部および終線部の爪(ライザ)からはみ出した部分を切除する装置が開示されている。
この巻線フッキング装置は、巻線ガイド、加締め手段、及び線押え手段を備える。
前端面は、爪のコンミテータの外壁との間の内根元部をコンミテータの軸方向の範囲に含みつつ爪の外面に対向する。
後方案内面は、前端面の後方で爪の外面に対向し、巻終り部を後方から案内可能である。
案内段部は、前端面と後方案内面とを接続しており、コンミテータの軸方向に、巻終り部を巻始め部と離間させるように案内可能である。
貫通孔は、前端面の反対側の後端面から前端面に貫通し、前端面側の開口に爪を収容可能である。
また、加締め手段は、巻線ガイドの貫通孔に前進後退可能に挿入され、巻線ガイドが前進した状態でさらに前進し爪を加締めることが可能である。
線押え手段は、爪の内根元部に挟まれた巻始め部を押さえて保持可能である。
したがって、巻始め部と巻終り部とが交差した状態で加締められることを回避することができ、よって、断線等の不具合の発生を防止することができる。
(1)巻線の巻始め部を爪のコンミテータの外壁との間の内根元部にフッキングする段階、
(2)爪の内根元部にフッキングされた巻始め部を線押え手段が押さえて保持する段階、
(3)「コンミテータの爪に対し径外方向から前進又は後退可能に設けられ、爪の内根元部をコンミテータの軸方向の範囲に含みつつ爪の外面に対向する前端面、前端面の後方で爪の外面に対向し巻終り部を後方から案内する後方案内面、前端面と後方案内面とを接続しコンミテータの軸方向に巻終り部を巻始め部と離間させるように案内する案内段部、及び、前端面の反対側の後端面から前端面に貫通し前端面側の開口に爪を収容可能な貫通孔を有する巻線ガイド」を用い、巻線をコアに巻回した後、巻線ガイドをコンミテータ側に前進させ、巻線ガイドの案内段部によって巻線の巻終り部を巻始め部とコンミテータの軸方向に離間させつつ爪にフッキングする段階、
(4)巻線ガイドの貫通孔に前進後退可能に挿入された加締め手段を、巻線ガイドが前進した状態でさらにコンミテータ側に前進させ、爪を加締める段階。
これにより、上記の巻線フッキング装置に係る発明と同様の効果を奏する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による巻線フッキング装置は、回転電機としてのモータの製造に用いられ、コアに巻回される巻線の巻始め部および巻終り部をコンミテータの爪にフッキングする装置である。
装置ベース91には、外壁910からモータ回転子1に向かって切り欠かれたV字状の凹部911、912が形成されている。凹部911、912は、巻線フッキング装置9に併設されたフライヤー機97による巻線巻回時に巻線を案内する。
なお、フライヤー機97は、巻始め部および巻終り部のフッキングの途中に行われる巻線巻回工程のための装置であり、本発明の巻線フッキング装置を構成するものではない。
巻線ガイド3は、モータ回転子1の外壁に対向しており、巻線ガイド3のモータ回転子1に対して後方に加締め手段4が設けられている。また、加締め手段4の後方には、巻線ガイド3および加締め手段4を移動軸Xに沿ってモータ回転子1に対して前進後退させる巻線ガイド駆動手段93が設けられている。巻線ガイド3の移動軸Xに対して両側には、巻線ガイド3のスライド部38を案内するスライドガイド92が設けられている。
巻線ガイド3および加締め手段4の詳しい構成については後述する。
加えて、巻線フッキング装置9は、線押え手段6をモータ回転子1の軸方向と平行に駆動する線押え駆動手段96が設けられている。
この「爪への巻線の巻き掛け」を「フッキング」という。本実施形態の巻線フッキング装置9は、この巻線2のフッキングおよび爪17の加締め工程を行う装置である。
図5に示すように、巻線ガイド3は、移動軸Xの両側に設けられたスライド部38がベース91上のスライドガイド92に案内されることで、前進後退が可能である。
巻線ガイド3は、前端面31、後方案内面32、案内段部33および貫通孔34等を有している。前端面31は、移動軸Xにほぼ直交する平坦面である。後方案内面32は、前端面31に対し、巻線2の線径よりも少し大きい程度の距離を隔てて後方に形成されている。案内段部33は、前端面31と後方案内面32とを接続している。
なお、本実施形態では、コンミテータ16の軸Zに対称に配置された2組の巻線ガイド3および加締め手段4等の構成によって、以下の工程が180°方向で同時に行われる。
図6に示すように、巻線ガイド3は、コンミテータ16の爪17の外面172に対向するようにセットされる。詳しくは、巻線ガイド3の前端面31は、爪17の内根元部171をコンミテータ16の軸方向の範囲に含むように爪17の外面172に対向している。また、巻線ガイド3の後方案内面32は、前端面31に対し爪17の開放側に位置している。さらに、線押え手段6は、爪17の内根元部171から軸方向に離れた位置で内根元部171に対向している。
図7に示すように、巻線ガイド3がコンミテータ16の外壁161に向かって前進し、外壁161と前端面31との距離を巻始め部21の案内に適した間隔にまで近接させる。このとき、爪17は、巻線ガイド3の貫通孔34内に収容される。
(第2工程)
図8に示すように、巻線ガイド3の前端面31を案内として巻始め部21を爪17の内根元部171に誘導し、フッキングする。
図9に示すように、巻線ガイド3が後退するとともに、線押え手段6が爪17の内根元部171に向かって前進し、巻始め部21を押さえて保持する。
この後、巻線2の巻回部22がコア11に巻回される。なお、本実施形態では、コンミテータ16の軸に対称に配置された2台のフライヤー機97によって、180°方向で巻回が同時に行われる。
巻回部22の巻回が完了すると、図10に示すように、線押え手段6が後退し、巻線ガイド3がコンミテータ16の外壁161に向かって再び前進する。このとき、前端面31が外壁161の直近まで近接し、かつ、加締め手段4の端面41が爪17の外面172に近接または軽く当接する。
(第5工程)
図11に示すように、コンミテータ16の外壁161と巻線ガイド3の後方案内面32との間に巻終り部23を誘導し、案内段部33に当接させるようにフッキングする。
このとき、巻始め部21と巻終り部23とは、案内段部33を境として、コンミテータ16の軸方向に互いに離間するように保持される。すなわち、巻始め部21は爪17の内根元部171側に保持され、巻終り部23は爪17の開放側に保持される。
巻始め部21と巻終り部23とがこの状態を維持したまま、図12に示すように、加締め手段4が前進し、外面172を押圧して爪17を加締める。これにより、図13に示すように、巻始め部21と巻終り部23とは、コンミテータ16の軸方向に互いに離間した状態で固定される。ここで、貫通孔34の周方向の幅は、爪17の幅に対して余裕を持って設定されるため、コンミテータ16の外壁161と前端面31との間に、巻始め部21の曲がり部分を挟むことが防止される。
比較例の巻線ガイドの構成および巻線フッキング方法について図14〜図20を参照して説明する。図14に示すように、比較例の巻線ガイド8は、本実施形態のような後方案内面および案内段部を有していない。また、前端面81は、移動軸Xに対して一方に開口部82が形成されており、移動軸Xに対して他方には前端面31の一部が加締め部83を構成している。なお、スライド部88は、本実施形態のスライド部38に相当する。
巻回部22の巻回後、図15に示すように、線押え手段6が巻始め部21を保持した状態で巻線ガイド8が前進する。このとき、爪17は、巻線ガイド8の開口部82内に収容される。続いて図16に示すように、コンミテータ16の外壁161と巻線ガイド8の前端面81との間に巻終り部23を誘導する。そして、図17に示すように、線押え手段6が後退すると、巻始め部21と巻終り部23とは、爪17の内根元部171で互いに離間されることなく隣接して並ぶ。すなわち、図18に示すように、巻始め部21と巻終り部23とは、径外方向から見て重なった状態となる。
また、加締めの前に巻線ガイド3が一旦後退することがないので、巻始め部21および巻終り部23の位置ずれを防止することができる。
また、上記実施形態では、モータ回転子1の軸が水平方向を向くように装置ベース91が鉛直方向に設置されているが、装置ベース91を水平に配置し、モータ回転子1の軸方向を鉛直方向として構成してもよい。
11 ・・・コア、
16 ・・・コンミテータ、 161・・・外壁、
17 ・・・爪、 171・・・内根元部、 172・・・外面、
2 ・・・巻線、 21 ・・・巻始め部、 23 ・・・巻終り部、
3 ・・・巻線ガイド、
31 ・・・前端面、 32 ・・・後方案内面、
33 ・・・案内段部、 34 ・・・貫通孔、 36 ・・・後端面、
4 ・・・加締め手段、 6 ・・・線押え手段、
9 ・・・巻線フッキング装置。
Claims (4)
- 巻線(2)が巻回されるコア(11)、及び前記コアの軸方向端部に設けられるコンミテータ(16)を備える回転電機の製造に用いられ、前記コンミテータの外壁(161)から径外方向に突出し、前記コンミテータの外壁との間に前記巻線の巻始め部(21)および巻終り部(23)が挟まれた爪(17)を前記コンミテータの外壁に向けて加締めることが可能な巻線フッキング装置であって、
前記コンミテータの前記爪に対し径外方向から前進又は後退可能に設けられ、前記爪の前記コンミテータの外壁との間の内根元部(171)を前記コンミテータの軸方向の範囲に含みつつ前記爪の外面(172)に対向する前端面(31)、前記前端面の後方で前記爪の外面に対向し前記巻終り部を後方から案内可能な後方案内面(32)、前記前端面と前記後方案内面とを接続しており前記コンミテータの軸方向に前記巻終り部を前記巻始め部と離間させるように案内可能な案内段部(33)、及び、前記前端面の反対側の後端面(36)から前記前端面に貫通し前記前端面側の開口に前記爪を収容可能な貫通孔(34)を有する巻線ガイド(3)と、
前記巻線ガイドの前記貫通孔に前進後退可能に挿入され、前記巻線ガイドが前進した状態でさらに前進し前記爪を加締めることが可能な加締め手段(4)と、
前記爪の前記内根元部に挟まれた前記巻始め部を押さえて保持可能な線押え手段(6)と、
を備えることを特徴とする巻線フッキング装置(9)。 - 前記コンミテータの周方向に複数設けられる前記爪を前記巻線ガイドの前記前端面に順次対向させるように、前記コンミテータを軸中心に所定角度回転させることが可能な回転手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の巻線フッキング装置。
- 巻線(2)が巻回されるコア(11)、及び前記コアの軸方向端部に設けられるコンミテータ(16)を備える回転電機の製造に用いられ、前記コンミテータの外壁(161)と当該外壁から径外方向に突出する爪(17)との間に前記巻線の巻始め部(21)および巻終り部(23)をフッキングした後、前記爪を前記コンミテータの外壁に向けて加締める巻線フッキング方法であって、
前記巻線の巻始め部を前記爪の前記コンミテータの外壁との間の内根元部(171)にフッキングする段階と、
前記爪の前記内根元部にフッキングされた前記巻始め部を線押え手段(6)が押さえて保持する段階と、
前記コンミテータの前記爪に対し径外方向から前進又は後退可能に設けられ、前記爪の前記内根元部を前記コンミテータの軸方向の範囲に含みつつ前記爪の外面(172)に対向する前端面(31)、前記前端面の後方で前記爪の外面に対向し前記巻終り部を後方から案内する後方案内面(32)、前記前端面と前記後方案内面とを接続し前記コンミテータの軸方向に前記巻終り部を前記巻始め部と離間させるように案内する案内段部(33)、及び、前記前端面の反対側の後端面(36)から前記前端面に貫通し前記前端面側の開口に前記爪を収容可能な貫通孔(34)を有する巻線ガイド(3)を用い、前記巻線をコアに巻回した後、前記巻線ガイドを前記コンミテータ側に前進させ、前記巻線ガイドの前記案内段部によって前記巻線の巻終り部を前記巻始め部と前記コンミテータの軸方向に離間させつつ前記爪にフッキングする段階と、
前記巻線ガイドの前記貫通孔に前進後退可能に挿入された加締め手段(4)を、前記巻線ガイドが前進した状態でさらにコンミテータ側に前進させ、前記爪を加締める段階と、
を含むことを特徴とする巻線フッキング方法。 - 請求項3に記載の巻線フッキング方法を、前記コンミテータの周方向に複数設けられる前記爪に対し、前記コンミテータを軸中心に所定角度回転させつつ、前記爪毎に実施することを特徴とする巻線フッキング方法。
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