JP5895867B2 - 燃料供給ポンプ - Google Patents
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Description
そこで、摺接面を、摺接弧に対応する中心角が180°よりも大きくなるように設け、ローラの回転軸の下側でもローラを回転自在に支持するようにしてローラの脱落を防止している。
すなわち、シュー100は、摺接面101を低コストで高精度に仕上げる必要性から、図12(a)、(b)に示すようにして設けると考えられる。つまり、シュー100の素材102に、ローラが嵌る円筒の内周面103を高精度で設け、その後に素材102を切断等して2つの部分102a、102bに分割する。
以上のように素材102の切断部位を変更することで、素材102を無駄にすることなくコストを低減する要求が高まっている。
まず、プランジャは、燃料の加圧室を形成するとともに、加圧室を縮小または拡張するように上下に往復駆動されるものである。次に、タペットは、プランジャの下側に配置されるカムの回転を直線的な往復動に変換してプランジャに伝達する機構である。そして、タペットは、カムの周面に当接するとともにカムの周面上を相対的に転がりながら上下に往復動する円筒状のローラ、および、ローラを回転自在に支持しながら上下に往復動するシューを有する。
さらに、シューの下端は、上下方向に関して部分円筒面の中心軸と同じ位置、または、部分円筒面の中心軸よりも上側に存在する。
すなわち、第2関係は、仮想状態においてローラが下死点に達した後、カムに突き上げられて上昇することでガイドに当接した再当接状態における配置の関係である。そして、第2関係によれば、当接点(α)と当接点(β)とを結ぶ線分(L)、ローラの回転軸を含み上下方向に垂直な平面(A)、平面(A)と線分(L)との交点(γ)、部分円筒面の中心軸に直交するとともに上下方向に平行な直線(M)、平面(A)と直線(M)との交点(δ)に関し、平面(A)上で交点(γ)と交点(δ)との間にローラの回転軸が存在する。
すなわち、第3関係は、再当接状態における配置の関係である。そして、第3関係によれば、当接点(α)における円筒面に対する法線方向と上下方向とにより形成される角度(θ)、当接点(β)における円筒面に対する法線方向と上下方向とにより形成される角度(φ)、当接点(β)における動摩擦係数(μ)に関し、不等式:sin(φ−θ)・(cosφ+μsinφ)/cosθ>μが成立する。
実施例1の燃料供給ポンプ1の構成を、図面に基づいて説明する。
燃料供給ポンプ1は、100MPaを超える高圧に燃料を加圧して吐出するものであり、例えば、燃料を高圧状態で蓄圧する蓄圧容器(コモンレール)を介して内燃機関(図示せず。)に供給する燃料供給装置に適用され、電子制御ユニット(ECU:図示せず。)により動作を制御される。
プランジャ2は、燃料の加圧室7を形成するとともに、加圧室7を縮小または拡張するように上下に往復駆動されるものである。また、プランジャ2は、シリンダボディ8に設けられたシリンダ9に自身の軸方向と上下方向とが一致するように収容され、さらに、シリンダ9の内周面に摺接して上下方向に摺動自在に支持されている。そして、加圧室7は、シリンダ9内にプランジャ2を収容することで下側を画され、プランジャ2が上方に移動することで縮小し、プランジャ2が下方に移動することで拡張する。
さらに、加圧室7は、下流側において逆止弁(図示せず。)を介してコモンレール内と連通し、上流側において制御弁10を介してフィードポンプ(図示せず。)の吐出側と連通している。ここで、フィードポンプは、例えば、後記するカムシャフト(図示せず。)を介して内燃機関により回転駆動されるものであり、燃料タンクから燃料を汲み上げ、制御弁10を経由して加圧室7に吸入させる。
すなわち、プランジャ2が加圧室7を縮小するように上側に移動しているときに、ECUから制御弁10に閉弁指令が出力されると、制御弁10が閉弁して加圧室7の燃料圧が増加し、逆止弁が開弁して加圧室7からコモンレールへの燃料の吐出が始まる。
なお、プランジャ2、シリンダボディ8および制御弁10の一体物は、シリンダボディ8を燃料供給ポンプ1のハウジング11にネジ締結することでハウジング11に一体化している。
ここで、カム13およびカムシャフトは、ハウジング11内で収容孔14の下方に形成されるカム室15に収容され、内燃機関により回転駆動される。
まず、ローラ18は、円筒状に設けられ、円筒面21によりカム13の周面22に当接するとともに周面22上を相対的に転がりながら上下に往復動する。また、シュー19は、ローラ18を回転自在に支持しながら上下に往復動するものである。
そして、燃料供給ポンプ1は、プランジャ2、タペット3およびカム13等からなるポンプ単位がカムシャフトの軸方向に複数並ぶ、いわゆる列型のポンプ装置として設けられている。
なお、部分円筒面4には、ダイヤモンドまたはダイヤモンドライクカーボンからなる皮膜が施されて、円筒面21との摺接に対する動摩擦係数が下げられている。
不等式1:H<d
なお、距離Hは、ガイド5の下面34が上下方向に垂直であることから、当接点αと下面34との上下方向に関する距離に一致する。
不等式2:sin(φ−θ)・(cosφ+μsinφ)/cosθ>μ
条件式1:sin(φ−θ)・F1>μ・F2
また、再当接状態における上下方向の力の釣り合いから次の条件式2が成立する。
条件式2:F1・cosθ=F2・(cosφ+μ・sinφ)
そして、不等式2は、条件式1、2から当接力F1、当接力F2を消去することで得られる。
実施例1の燃料供給ポンプ1によれば、部分円筒面4は、シュー19に設けられて円筒面21に上側から摺接してローラ18を回転自在に支持する摺接面である。そして、摺接弧28はローラ18の回転軸の上側に存在し、摺接弧28に対応する中心角は180°である。また、第1関係は、仮想状態においてローラ18が下死点に達したときの配置の関係であり、第1関係によれば、不等式1が成立する。
これにより、当接力F1と当接力F2との合力は、ローラ18に対し、嵌合空間27に嵌る方向に作用する。このため、ローラ18は、シュー19から脱落しても、再度、嵌合空間27に嵌ることができるので、より確実にカムシャフトの回転を維持して内燃機関の停止を回避することができる。
これにより、不等式2が成立するように、角度θ、φおよび動摩擦係数μを設定することで、動摩擦係数μを考慮した上で、仮想状態においてもカムシャフトの回転を維持することができる燃料供給ポンプ1を提供することができる。
実施例2の燃料供給ポンプ1によれば、図5に示すように、ガイド5の内周端35は、ローラ18の回転軸に垂直な断面において下側ほど円筒面21との距離が大きくなる線分として見える。また、当接点βは内周端35の最下端に形成される。
実施例3の燃料供給ポンプ1によれば、図6に示すように、ピン30の軸部30bがガイド5の機能を担う。
ここで、ピン30は、シュー19に直接的に圧入されて一体化している。つまり、シュー19には、上下方向と平行に軸部30bが圧入される圧入孔38が設けられ、圧入孔38の上部に、頭部30aが係合する段32が設けられている。そして、軸部30bをシュー19の上側から圧入孔38に圧入するとともに頭部30aを段32に係合させる。これにより、軸部30bの先端が圧入孔38から下方に突出し、軸部30bの先端に当接点βが形成される。
実施例4の燃料供給ポンプ1によれば、図7に示すように、ピン30の頭部30aがガイド5の機能を担う。
ここで、シュー19には段32が設けられていない。そして、軸部30bをシュー19の下側から圧入孔38に圧入するとともに頭部30aをシュー19の下面に係合させる。これにより、頭部30aが圧入孔38の下側に配置され、頭部30aに当接点βが形成される。
実施例5の燃料供給ポンプ1によれば、図8に示すように、ガイド5は、ネジ螺合によりシュー19に固定されて一体化している。より具体的に、ガイド5は、シュー19の下面に配置され、頭部40aおよび軸部40bを有するネジ40により螺合されてシュー19に一体化している。
なお、ガイド5は、実施例1と同様の形状を有し、内周端35の最下点に当接点βを形成する。また、ネジ40には、ネジ40を軸方向に貫通する貫通孔40dが設けられており、貫通孔40dは往復油路として機能する。
実施例6の燃料供給ポンプ1によれば、図9に示すように、ガイド5は、ネジ螺合によりシュー19に固定されて一体化し、ガイド5の内周端35は、ローラ18の回転軸に垂直な断面において下側ほど円筒面21との距離が大きくなる線分として見える。また、当接点βは内周端35の最下端に形成される。
実施例7の燃料供給ポンプ1によれば、図10に示すように、ネジ40の頭部40aがガイド5の機能を担う。
ここで、シュー19には段32が設けられておらず、挿通孔31の上部に、挿通孔31と同軸をなすネジ穴41が設けられている。そして、軸部40bをシュー19の下側から挿通孔31に通してネジ穴41に螺合させ、頭部40aを下面に係合させる。これにより、頭部40aが挿通孔31の下側に配置され、頭部40aに当接点βが形成される。
燃料供給ポンプ1の態様は、実施例1〜7に限定されず、種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例1〜7の燃料供給ポンプ1によれば、部分円筒面4は、摺接弧28に対応する中心角が180°となるように設けられていたが、摺接弧28に対応する中心角が180°未満となるように部分円筒面4を設けてもよい。
Claims (5)
- 燃料の加圧室(7)を形成するとともに、前記加圧室(7)を縮小または拡張するように上下に往復駆動されるプランジャ(2)と、
このプランジャ(2)の下側に配置されるカム(13)の回転を直線的な往復動に変換して前記プランジャ(2)に伝達する機構であり、前記カム(13)の周面(22)に当接するとともに前記カム(13)の周面(22)上を相対的に転がりながら上下に往復動する円筒状のローラ(18)、および、このローラ(18)を回転自在に支持しながら上下に往復動するシュー(19)を有するタペット(3)と、
前記シュー(19)に設けられて前記ローラ(18)の円筒面(21)に上側から摺接して前記ローラ(18)を回転自在に支持する摺接面であり、前記ローラ(18)の回転軸に垂直な断面において、前記ローラ(18)の半径と同径であって前記ローラ(18)の回転軸を中心とする円弧(28)として見え、さらに、この円弧(28)が前記ローラ(18)の回転軸の上側に存在する部分円筒面(4)と、
前記シュー(19)に固定されて一体化する部材であり、前記シュー(19)が上死点で停止した仮想状態において、前記ローラ(18)が前記シュー(19)から下方に脱落して前記部分円筒面(4)から離れた後、下死点に達し、さらに、前記カム(13)に突き上げられて上昇することで当接するガイド(5)と、
前記仮想状態において前記ローラ(18)が下死点に達したときの配置の関係であり、前記カム(13)と前記ローラ(18)との当接点(α)、前記ガイド(5)で前記ローラ(18)の当接を受ける当接点(β)、前記当接点(α)と前記当接点(β)との上下方向に関する距離(H)、および前記ローラ(18)の直径(d)に関し、不等式:H<dが成立する第1関係とを備え、
前記シュー(19)の下端は、上下方向に関して前記部分円筒面(4)の中心軸と同じ位置、または、前記部分円筒面(4)の中心軸よりも上側に存在することを特徴とする燃料供給ポンプ(1)。 - 請求項1に記載の燃料供給ポンプ(1)において、
前記仮想状態において前記ローラ(18)が下死点に達した後、前記カム(13)に突き上げられて上昇することで前記ガイド(5)に当接した再当接状態における配置の関係であり、前記当接点(α)と前記当接点(β)とを結ぶ線分(L)、前記ローラ(18)の回転軸を含み上下方向に垂直な平面(A)、この平面(A)と前記線分(L)との交点(γ)、前記部分円筒面(4)の中心軸に直交するとともに上下方向に平行な直線(M)、前記平面(A)と直線(M)との交点(δ)に関し、前記平面(A)上で前記交点(γ)と前記交点(δ)との間に前記ローラ(18)の回転軸が存在する第2関係を備える燃料供給ポンプ(1)。 - 請求項2に記載の燃料供給ポンプ(1)において、
前記再当接状態における配置の関係であり、前記当接点(α)における前記円筒面(21)に対する法線方向と上下方向とにより形成される角度(θ)、前記当接点(β)における前記円筒面(21)に対する法線方向と上下方向とにより形成される角度(φ)、前記当接点(β)における動摩擦係数(μ)に関し、不等式:sin(φ−θ)・(cosφ+μsinφ)/cosθ>μが成立する第3関係を備える燃料供給ポンプ(1)。 - 請求項1ないし請求項3の内のいずれか1つに記載の燃料供給ポンプ(1)において、
前記ガイド(5)は、圧入により前記シュー(19)に固定されて一体化していることを特徴とする燃料供給ポンプ(1)。 - 請求項1ないし請求項3の内のいずれか1つに記載の燃料供給ポンプ(1)において、
前記ガイド(5)は、ネジ螺合により前記シュー(19)に固定されて一体化していることを特徴とする燃料供給ポンプ(1)。
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