JP5895372B2 - 電磁連結装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁連結装置に関するものである。
従来より、無励磁状態においてバネ等の付勢力或いは永久磁石の力により回転トルクをロータに伝達するように構成した無励磁作動形クラッチや、無励磁状態においてバネ等の付勢力或いは永久磁石の力により制動力が働く無励磁作動形ブレーキ、または、励磁状態において磁気吸引力により回転トルクをロータに伝達するように構成した励磁作動形クラッチ、或いは、励磁状態において磁気吸引力によりアーマチュアの回転動作に制動力が働くように構成した励磁作動形ブレーキ等の電磁連結装置が知られている。例えば特許文献1には、励磁コイルをモールド樹脂でヨークに固定した磁極体と、磁極体に対向する位置に配置されて回転軸と一体回転可能なロータと、回転軸の軸方向に摺動可能なアーマチュアとを備え、励磁コイルが励磁状態である場合に、磁気吸引力によりアーマチュアがロータに押圧することによって回転トルクを伝達するように構成した励磁作動形電磁クラッチが開示されている。
ここで励磁コイルは、ヨークの収容凹部に直接巻回したものであったり、所定の形状に巻回された状態でヨークの収容凹部に収容されるものであるが、何れの電磁連結装置においても励磁コイルを収容した収容凹部に液状の樹脂組成物(以下「液状樹脂」と称する場合がある)を流し込み、加熱硬化させたモールド樹脂によって、励磁コイルはヨークに対して固定される。
そして、硬化収縮率が比較的大きい液状樹脂で形成したモールド樹脂に、寒冷時等にクラックが生じることを防止・抑制するために、樹脂よりも硬化収縮率が小さい充填材(無機フィラー)を液状樹脂に添加して熱硬化したモールド樹脂により励磁コイルを固定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、充填材を液状樹脂に添加することによって、モールド樹脂全体としての硬化収縮率を小さくすることにより、クラックが生じ難いモールド樹脂を形成している。ここで、充填材としては破砕シリカやアルミナが挙げられる。
特開2009−047250号公報 特開平11−136911号公報
しかしながら、破砕シリカは発がん性物質に該当しているため、安全性の点で問題がある。また、アルミナは比重が大きいため、液状樹脂に混合して撹拌した後に直ぐに沈降する傾向があり、アルミナが沈降した状態で熱硬化したモールド樹脂によって励磁コイルを固定した場合には、モールド樹脂のうち、液状樹脂の注入方向上流側(収容凹部の開口側)と注入方向下流側(収容凹部の底部側)とではアルミナの添加率が大きく異なる。その結果、アルミナの添加率が皆無または微小となったモールド樹脂の上流側は硬化収縮率が大きく、クラックが生じ易くなるという問題が考えられる。また、モールド樹脂のうち、液状樹脂の注入方向上流側と注入方向下流側とでアルミナの添加率が大きく異なれば、アルミナの添加率が高い注入方向下流側は熱伝導性が良好である一方で、アルミナの充填率が低い注入方向上流側ではアルミナによる熱電導性の向上を実現することができず、熱伝導性にばらつきが生じ得る。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、安全性に優れ、全体に充填材を均一に分散することができ、何れの部分でもクラックが生じ難く、且つ熱伝導性に優れたモールド樹脂でコイルをヨークに固定した電磁連結装置を提供することにある。
すなわち本発明に係る電磁連結装置クラッチは、コイル収容凹部を有するヨークと、コイル収容凹部に収容された励磁コイルと、コイル収容凹部硬化した状態でヨークに対して励磁コイルを固定するモールド樹脂とを備え、モールド樹脂として、付与剤である硬化剤及び硬化促進剤とエポキシ樹脂を主成分とする主剤との組成物である液状のエポキシ樹脂組成物に充填材を添加した液状樹脂コイル収容凹部硬化たものを適用し、充填材が球状溶融シリカのみであることを特徴としている。
ここで、本発明の「電磁連結装置」は、励磁作動形クラッチ、無励磁作動形クラッチ、励磁作動形ブレーキ、無励磁作動形ブレーキ、これら何れをも包含するものである。また、「液状樹脂」とは、液状の樹脂組成物を意味する。また、樹脂組成物は、例えば主剤、硬化剤及び硬化促進剤などからなる周知のものを適用することができる。そして、本発明では、この液状樹脂に添加する充填材として球状溶融シリカを適用している。溶融シリカは、発がん性物質に該当せず、アルミナよりも比重が小さいため、液状樹脂に混合して撹拌した後に直ぐに沈降する傾向がない。このような溶融シリカを充填材として添加した液状樹脂を注入して硬化させたモールド樹脂により励磁コイルを固定すれば、安全面で有利であり、モールド樹脂のうち液状樹脂の注入方向上流側(コイル収容凹部の開口側)と注入方向下流側(コイル収容凹部の底部側)とで充填材の添加率が大きく異なる事態も回避することができ、モールド樹脂全体の何れの部分においても硬化収縮率を小さくすることが可能になり、クラックが生じ難いモールド樹脂を形成することができる。
また、液状樹脂に混合した後に直ぐに沈降し難いという溶融シリカの特性により、モールド樹脂全体に溶融シリカを均一に分散させることができ、モールド樹脂全体に良好な熱伝導性を付与することができる。特に、充填材として球状溶融シリカを適用することにより、非球状の溶融シリカを適用した場合と比較して、摩擦が少なく、液状樹脂に対する溶融シリカの充填率(添加率)を有効に上げることができるとともに、注入時に生じる気泡が抜け易い。したがって、気泡が生じた状態で硬化する事態を防止・抑制することができ、気泡が生じた状態で硬化した場合に生じ得る不具合、つまり、モールド樹脂の表面に凹凸が生じ、周囲の部品と干渉する可能性があるという不具合を回避することができ、消泡剤や気泡を潰す作業も不要になり、作業効率の向上を図ることもできる。
このように、充填材として球状溶融シリカを添加した液状樹脂を励磁コイルの周囲に注入して加熱硬化させることにより、割れが生じ難く、且つ熱伝導性にも優れたモールド樹脂で励磁コイルをヨークに固定することができ、このようなモールド樹脂及びヨークを備えた電磁連結装置であれば、クラックに起因する不具合、つまり励磁コイルに接続されるリード線の被膜に剥離が生じたり、リード線が切断されるという不具合や、内部温度が過度に上昇するという不具合を防止・抑制することができる。
また、破砕シリカに比べて熱伝導率が低い球状溶融シリカであっても、電磁連結装置の使用時にクラッチ内部が異常に高温となる事態をより確実に防止するためには、液状樹脂に対する球状溶融シリカの充填率(添加率)を上げることが好ましく、特に好適な充填率としては、液状樹脂の主剤100重量部に対して外掛けで500重量部より多く800重量部未満の球状溶融シリカを添加する態様を挙げることができる。
さらに、本発明の電磁連結装置において、平均粒径が3μm乃至35μmの球状溶融シリカを適用すれば、コイル収容凹部への注入作業を比較的スムーズに行うことができるとともに、溶融シリカ同士の隙間を小さくして充填率を上げることができる。つまり、平均粒径が3μm未満の球状溶融シリカであれば、粘度が上がって、コイル収容凹部への注入作業をスムーズに行うことができず、また、平均粒径が35μmを超える球状溶融シリカであれば、溶融シリカ同士の隙間が大きくなって、充填率の低下を招来するという問題があるため、本発明に適用される球状溶融シリカの平均粒径としては、上記の通り3μm乃至35μmが好ましいといえる。
本発明によれば、添加物(充填材)として、発がん性物質ではなく液状樹脂内で沈降しない比重である球状溶融シリカを適用することにより、安全性に優れ、何れの部分でもクラックが生じ難く、且つ熱伝導性に優れたモールド樹脂によって励磁コイルをヨークに固定することが可能な電磁連結装置を提供することができる。
本実施形態に係る電磁連結装置(電磁クラッチ)の磁極体の模式断面図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態に係る電磁連結装置は、図1に示す励磁コイル3を有する磁極体1と、回転軸と一体回転可能に固定したロータと、回転軸の軸方向に沿ってロータに接離する方向に移動可能であって且つ磁極体1及びロータと共に磁気回路を形成し得るアーマチュアと、アーマチュアを回転方向に固定し且つ回転軸に対してロータと同軸で相対回転可能に設けられたギアまたはウォームホイールなどの回転体とを備えた電磁クラッチである。そして、ロータが出力回転体として機能し、ギアまたはウォームホイールなどの回転体が入力回転体として機能する場合、励磁コイル3に電流が供給されて励磁状態になると、アーマチュアは、磁極体1及びロータと共に磁気回路を形成し、この磁気回路を通る磁束によって発生する吸引力によりロータに接触する位置まで回転軸の軸方向に沿ってロータ側に吸引されてロータに押圧することにより、回転体の回転がアーマチュアを介してロータに伝達する。
一方、励磁コイル3が無励磁状態である場合、電磁力が作用しないアーマチュアは、付勢部材によってロータから離間する方向に付勢されてロータから離反した位置に保持され、回転体の回転はロータには伝達されない。
このように、電磁クラッチは、励磁コイル3への電流の供給・切断により、アーマチュアに対して電磁力を作用させてアーマチュアをロータに押圧させて回転力を伝達する動力伝達状態と、アーマチュアをロータから離反させて回転力の伝達を遮断する遮断状態との間で切り替えることができる。なお、このような電磁クラッチの全体構成及び作動原理は、周知のものと同様であるため、詳細な説明及び図面は省略し、以下に、電磁連結装置(電磁クラッチ)のうち、本発明の特徴部品からなる磁極体1について図1を参照して説明する。
磁極体1は、図1に示すように、コイル収容凹部21を有するヨーク2と、コイル収容凹部21に収容した励磁コイル3と、ヨーク2に対して励磁コイル3を固定するモールド樹脂4とを備えたものである。
ヨーク2は、シェルとも称される金属製のものであり、概略円環状をなすリング部22と、リング部22の内周縁から回転軸の軸方向Aに延びる内側筒部23と、リング部22の外周縁から内側筒部23と同一方向に延びる外側筒部24とを備えている。そして、これら各部(リング部22、内側筒部23、外側筒部24)によって形成されるコイル収容凹部21に励磁コイル3を収容している。ここで、励磁コイル3は、内側筒部23の回りに直接巻回することによってコイル収容凹部21に収容したものであってもよいし、図示しない別の巻枠に予め巻回したコイルをその巻枠から巻回状態のまま取り外して内側筒部23の回りに配置することによってコイル収容凹部21に収容したものであってもよい。
回転軸の軸回りに周回するコイル収容凹部21は、励磁コイル3に接続される電源コード(リード線31)を配置するリード線配置用スペース25を一部に連続して形成している。また、外側筒部24には、リード線配置用スペース25に連通する箇所に、リード線31を保持する絶縁キャップ5が嵌り込むキャップ保持孔26を形成している。
そして、本実施形態では、モールド樹脂4として、液状樹脂に球状溶融シリカを添加した液状物を熱硬化させたものを適用している。ここで、球状溶融シリカを充填材として液状樹脂に添加した理由は、以下に詳述する試験により、これまで充填材として使用された破砕シリカやアルミナよりもあらゆる点で優れていることが判明したからである。
すなわち、本発明者は、モールド樹脂4を構成する液状樹脂と充填材との組み合わせによって、モールド樹脂4の耐クラック性や熱伝導性などに差異があることに着目し、液状樹脂に混合する充填材の種類や添加率を異ならせた表1及び表2に示す各比較例及び各実施例について、所定の判定項目に基づいて測定を行った。なお、各比較例及び各実施例のモールド樹脂4は、全て同じ条件下でコイル収容凹部21に注入して熱硬化したものである。
Figure 0005895372
Figure 0005895372
表1及び表2に示すように、本試験では、液状樹脂として、エポキシ樹脂を主成分とする主剤と、付与剤である硬化剤及び硬化促進剤の組成物である液状のエポキシ樹脂組成物を適用している。なお、充填材として球状溶融シリカを適用する場合、充填材の添加量を上げるために、充填材として破砕シリカやアルミナを適用する場合と比較して、低粘度の主剤を用いることが好ましく、主剤の変更に伴ってエポキシ樹脂組成物の最適配合組成比が変わる。具体的には、充填材として破砕シリカやアルミナを適用する場合における主剤と硬化剤との配合組成比は100:100が最適であり、充填材として球状溶融シリカを適用する場合における主剤と硬化剤との配合組成比は100:120が最適となる。主剤の一例としては、ビスフェノールA型より粘度が低いビスフェノールF型を挙げることができ、硬化剤、硬化促進剤の一例としては、酸無水物系、イミダゾール系をそれぞれ挙げることができるが、特にこれらに限られることはない。なお、本試験では、硬化促進剤の添加率を主剤の重量100に対して1重量部としているが、0.5乃至2重量部の間であれば変更してもよい。また、本試験では、付与剤の1つである着色顔料の添加は省略している。
次に、測定結果を示す表1及び表2に参照して各比較例及び各実施例の充填材の種類及び充填材の外掛けの添加率を説明する。ここで、外掛けの添加率とは、「(添加率)=(充填材の添加量)/(主剤の重量)×100」を意味し、単位は重量部とする。
比較例1は、破砕シリカを添加率250重量部でエポキシ樹脂組成物に混合撹拌したものである。比較例2は、破砕シリカを添加率450重量部でエポキシ樹脂組成物に混合撹拌したものである。比較例3は、アルミナを添加率250重量部でエポキシ樹脂組成物に混合撹拌したものである。比較例4は、球状溶融シリカを添加率450重量部でエポキシ樹脂組成物に混合撹拌したものである。比較例5は、球状溶融シリカを添加率500重量部でエポキシ樹脂組成物に混合撹拌したものである。比較例6は、球状溶融シリカを添加率800重量部でエポキシ樹脂組成物に混合撹拌したものである。
また、実施例1は、球状溶融シリカを添加率550重量部でエポキシ樹脂組成物に混合して撹拌したものである。実施例2は、球状溶融シリカを添加率600重量部でエポキシ樹脂組成物に混合して撹拌したものである。実施例3は、球状溶融シリカを添加率650重量部でエポキシ樹脂組成物に混合して撹拌したものである。実施例4は、球状溶融シリカを添加率700重量部でエポキシ樹脂組成物に混合して撹拌したものである。実施例5は、球状溶融シリカを添加率750重量部でエポキシ樹脂組成物に混合して撹拌したものである。
判定項目は、粘度、熱膨張係数、沈降性、耐クラック性、及び気泡性である。「粘度」の判定基準は、15Pa・s未満であるか否かである。粘度が15Pa・s未満であれば、ヨーク2への注入作業をスムーズに行うことができる。「熱膨張係数」の判定基準は、20×10−6未満であるか否かである。熱膨張係数が20×10−6未満であれば、励磁コイル3が励磁状態にある場合においても過度に高温にならない程度に良好な熱伝導性であるといえる。また、「沈降性」の判定基準は、充填材が沈降しないか否かである。充填材が沈降しなければ、モールド樹脂4全体に充填材を均一に分散することができる。また、「耐クラック性」の判定基準は、硬化した状態で割れ(クラック)が発生していないか否かである。割れが発生していなければ、割れに起因するリード線31の被膜損傷や切断などの事態を防止・抑制することができる。また、「気泡性」の判定基準は、気泡が生じた状態で硬化しないか否かを測定する。気泡が生じた状態で硬化しなければ、モールド樹脂4の表面を凹凸のないフラットな面にすることができ、周囲の部材との干渉を避けることができる。
次に、表1及び表2に参照して試験結果を説明する。
充填材として破砕シリカを適用した比較例1は、粘度で判定基準を満たしたものの、熱膨張係数、沈降性、耐クラック性及び気泡性では判定基準を満たさなかった。また、比較例1よりも破砕シリカの添加率を増大させた比較例2は、全ての判定項目で判定基準を満たさなかった。また、充填材としてアルミナを適用した比較例3は、アルミナが撹拌後すぐに沈降し、正確な粘度及び熱膨張係数を測定することができず、耐クラック性では判定基準を満たさなかった。
さらに、充填材として球状溶融シリカを添加率450重量部で添加した比較例4は、粘度及び発気泡性で判定基準を満たしたものの、熱膨張係数、沈降性及び発気泡性で判定基準を満たさなかった。また、球状溶融シリカを添加率500重量部で添加した比較例5は、粘度、熱膨張係数及び発気泡性で判定基準を満たしたものの、沈降性及び発気泡性で判定基準を満たさなかった。また、球状溶融シリカを添加率800重量部で添加した比較例6は、熱膨張係数、沈降性、及び発気泡性で判定基準を満たしたものの、粘度及び発気泡性で判定基準を満たさなかった。
一方、充填材として球状シリカをそれぞれ添加率550重量部、600重量部、650重量部、700重量部、750重量部で添加した実施例1乃至5は、全ての判定項目で判定基準を満たした。
以上の試験結果より、充填材として破砕シリカを適用した場合(比較例1、比較例2)には、沈降が生じ易く、クラックが生じるため、熱伝導性に優れた良好なモールド樹脂4を形成することができないことが判明した。また、粘度に着目した場合、破砕シリカを添加率250重量部で添加した比較例1では判定基準を満たした一方で、破砕シリカを添加率450重量部で添加した比較例2では判定基準を満たさなかった結果から、充填材として破砕シリカを適用した場合、破砕シリカの添加率が450重量部以上であれば、粘度が高くなり過ぎて注入作業をスムーズ且つ的確に行うことが難しく、作業効率の低下を招来することが把握できる。さらに、破砕シリカは発がん性物質に該当するため、安全性の点でも好ましくない。
また、充填材としてアルミナを適用した場合(比較例3)では、アルミナ自体の比重が大きいため、充填量(添加率)に関わらず粘度測定中に沈降現象が生じ、正確な粘度測定を行うことができず、クラックも生じた。このことから、アルミナを添加した場合には良好なモールド樹脂4を形成することが困難であることがわかる。
一方で、球状溶融シリカは、発がん性物質に該当せず、安全性の点で破砕シリカよりも優れており、アルミナよりも比重が軽いため、沈降し難く、樹脂モールド全体にばらつきなく分散させることができ、また、クラックや発気泡現象も生じ難いことから、何れの箇所における熱伝導性も均一なモールド樹脂4を形成することができる。なお、比較例4及び比較例5では、球状溶融シリカの添加量が十分ではなかったため、沈降が生じ、その結果、耐クラック性試験において、クラックの発生が確認された。
特に、球状溶融シリカを添加率550重量部乃至750重量部で添加した実施例1乃至5では、全ての判定項目の判定基準を満たしたことから、球状溶融シリカの好適な添加率はこの数値範囲(550重量部乃至750重量部)であることが判明した。つまり、球状溶融シリカを添加率800重量部で添加した比較例6は、粘度が高くなり過ぎて注入作業をスムーズ且つ的確に行うことが難しく、発気泡現象も確認されたため、良好なモールド樹脂4の形成には適していない。このことから、液状樹脂の主剤100重量部に対して外掛けで500重量部より多く800重量部未満の球状溶融シリカを添加することが好適であることがわかる。
このように、本実施形態では、球状溶融シリカを充填材としたモールド樹脂4によって励磁コイル3をヨーク2内に固定しているため、安全面で有利であり、沈降現象が生じ難く、球状溶融シリカを均一に分散でき、クラックの無い熱放射性に優れたモールド樹脂4を形成することができる。そして、このようなヨーク2を備えた電磁連結装置であれば、クラックに起因する不具合、つまり励磁コイル3に接続されるリード線31の被膜に剥離が生じたり、リード線31が切断されるという不具合や、内部温度が過度に上昇するという不具合を防止・抑制することができ、励磁コイル3を励磁状態と非励磁状態とで切り替えることによって、励磁コイル3の励磁・非励磁状態に応じた適切な動力伝達状態と遮断状態とを実現するものとなる。また、球状溶融シリカを充填材として適用することにより、破砕シリカと比較して多量に添加しても大幅な粘度上昇は確認されず、コイル収容凹部21への注入作業をスムーズに行うことができ、良好な含浸性も実現することができる。そして、一般的に単位量あたりの価格が、液状樹脂成分を構成する主剤、硬化剤、及び硬化促進剤のそれぞれの単位量あたりの価格よりも安価である球状溶融シリカの添加量を増大することにより、低コスト化も図ることができる。
また、溶融シリカは破砕シリカ(結晶性シリカ)に比べて熱伝導は劣るものの、添加量を増大することにより、破砕シリカを充填材として添加した場合と同等または同等以上の良好な熱伝導性を有するモールド樹脂4を形成することができる。
さらに、平均粒径が3μm乃至35μmの球状溶融シリカを充填材として適用した本実施形態では、発気泡が生じず、好適である。これは、球状溶融シリカであるため、破砕形状と比較して粘度が下がり、気泡が抜け易くなったと推察される。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば平均粒径が3μm乃至35μm以外の球状溶融シリカを充填材として適用してもよい。
また、励磁コイルをボビンに巻回した状態でヨークのコイル収容凹部に収容しても構わない。
また、無励磁状態で動力伝達状態になり、励磁状態で遮断状態になる無励磁作動形の電磁クラッチにも本発明の技術的思想を適用することができる。或いは、図示しないが、ヨーク内にコイル部を設けた磁極体と、回転軸(被制動軸)の軸方向(スラスト方向)に沿って摺動可能であって且つ磁極体と共に磁気回路を形成し得るアーマチュアと、アーマチュアを磁極体から離間する方向に付勢する図示しない付勢部材と、回転軸の軸方向に沿ってアーマチュアと対向する位置に配されるプレート(「トルク伝達部材」とも称される)と、アーマチュアとプレートとの間に配される摩擦板とを備え、励磁コイルが励磁状態である場合、アーマチュアは、磁極体と共に磁気回路を形成し、この磁気回路を通る磁束によって発生する吸引力により付勢部材の付勢力に抗して磁極体に接触する位置まで磁極体側に吸引され、アーマチュアは摩擦板から離間し、回転軸に対する制動力は働かない状態と、励磁コイルが無励磁状態である場合、アーマチュアが付勢部材の付勢力によって磁極体から離間する方向に付勢され、摩擦板に押圧し、その結果、回転軸に制動力が作用する無励磁作動形ブレーキにも本発明の技術的思想を適用することが可能である。また、励磁状態において磁気吸引力によりアーマチュアの回転動作に制動力が働くように構成した励磁作動形ブレーキにも本発明の技術的思想を適用することが可能である。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
2…ヨーク
21…コイル収容凹部
3…励磁コイル
4…モールド樹脂

Claims (3)

  1. コイル収容凹部を有するヨークと、前記コイル収容凹部に収容された励磁コイルと、前記コイル収容凹部硬化した状態で前記ヨークに対して前記励磁コイルを固定するモールド樹脂とを備え、
    前記モールド樹脂、付与剤である硬化剤及び硬化促進剤とエポキシ樹脂を主成分とする主剤との組成物である液状のエポキシ樹脂組成物に充填材を添加した液状樹脂前記コイル収容凹部硬化たものであり、
    前記充填材が球状溶融シリカのみであることを特徴とする電磁連結装置。
  2. 前記液状樹脂の主剤100重量部に対して外掛けで500重量部より多く800重量部未満の前記球状溶融シリカを添加している請求項1に記載の電磁連結装置。
  3. 前記球状溶融シリカの平均粒径が3μm乃至35μmである請求項1又は2に記載の電磁連結装置。
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