JP5894457B2 - ペプチド含有抗菌性組成物 - Google Patents

ペプチド含有抗菌性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5894457B2
JP5894457B2 JP2012036500A JP2012036500A JP5894457B2 JP 5894457 B2 JP5894457 B2 JP 5894457B2 JP 2012036500 A JP2012036500 A JP 2012036500A JP 2012036500 A JP2012036500 A JP 2012036500A JP 5894457 B2 JP5894457 B2 JP 5894457B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
component
thionine
peptide
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012036500A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013170160A (ja
Inventor
稔彦 竹花
稔彦 竹花
誠治 小池
誠治 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Adeka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Adeka Corp filed Critical Adeka Corp
Priority to JP2012036500A priority Critical patent/JP5894457B2/ja
Publication of JP2013170160A publication Critical patent/JP2013170160A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5894457B2 publication Critical patent/JP5894457B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

本発明は、抗菌性ペプチドの濃度が低濃度でも優れた抗菌効果を発揮し、且つ人体に対して安全性の高い抗菌性ペプチドを含有する抗菌性組成物に関する。
食品や化粧品あるいは医療分野においては、防腐剤や抗菌剤が幅広く使用されているが、パラベンに代表される多くの抗菌剤は、皮膚への高い刺激性や肌の老化促進、細胞毒性あるいはアレルギーの促進等が指摘されており、自然物由来の安全性の高い抗菌剤が求められている。こうした中、近年抗菌性ペプチドに注目が集まっている。
抗菌性ペプチドは、塩基性アミノ酸に富んだアミノ酸構造を有し、生理条件下で正電荷を示す両親媒性物質であることが知られている。これまでに微生物、植物、昆虫及び人を含む抗菌性ペプチドが同定されており、その報告数は1500種類を超えている。抗菌性ペプチドは広い抗菌スペクトルを示し、病原微生物への選択毒性が高く、耐性菌を生じ難い特徴を有することから、安全性の高い抗菌材料として化粧品や医療分野での応用が期待されている。
しかしながら抗菌性ペプチドは非常に高価であり、コスト削減あるいは副作用軽減の目的から低濃度での使用が望まれているが、コスト等に見合う低い濃度では十分な抗菌効果が得られない。そこで特定の化合物と抗菌性ペプチドを組み合わせることで、抗菌性ペプチドが低濃度でも高い抗菌効果が得られることが知られている(例えば、特許文献1、2を参照)が、特許文献1の組成物は、抗菌効果の上昇と共に細胞毒性を上昇させる問題があり、人体に対する安全性という観点から好ましくない。また、特許文献2の組成物は、殺菌あるいは抗菌の対象となる菌やカビの種類によって抗菌効果を示さない場合があり、更に人体に対する安全性を改善する効果がほとんどない。
特開2007−099809号公報 特開2003−063982号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、抗菌性ペプチドの濃度が低濃度でも細胞毒性を上昇させずに優れた抗菌効果を発揮し、且つ人体に対して安全性の高い抗菌性を有するペプチド含有抗菌性組成物を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討し、抗菌性ペプチドの抗菌効果を最大限に発揮できる組成物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、(A)成分としてチオニン、(B)成分としてアルキルセルロース類及びヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種又は2種以上のセルロース誘導体及び(C)成分としてキレート剤を含有することを特徴とする抗菌性ペプチド組成物である。
本発明の効果は、抗菌性ペプチドの濃度が低濃度でも細胞毒性を上昇させずに優れた抗菌効果を発揮し、且つ人体に対して安全性の高い抗菌性を有するペプチド含有抗菌性組成物を提供したことにある。
本発明の(A)成分は抗菌性ペプチドである。抗菌性ペプチドとは、数十個のアミノ酸からなる抗菌作用を有し、微生物、植物、昆虫及び人等の天然物から生産されるものである。動植物由来の抗菌性ペプチドとしては、αへリックス構造を示す抗菌性ペプチドとして、セクロピン(Cecropin A)、マガイニン(Magainin 2)、ペキガナン(Pexiganan)、デルマセプチン(Dermaseptin 1)、LL−37、ブフォリン(Buforin II)等が挙げられる。1個のジスルフィド結合を有する抗菌性ペプチドとして、バクテネシン(Bactenecin 1)、タナチン(Thanatin)、ブレビニン(Brevinin 1T)、ラナレキシン(Ranalexin)、ラナテウリン(Ranateurin 1)、エスクレンチン(Esculentin 1)等が挙げられる。2個のジスルフィド結合を有する抗菌性ペプチドとして、タキプレシン(Tachyplesin)、アンドロクトニン(Androctonin)、プロテグリン(Protegrin 1)等が挙げられる。3個のジスルフィド結合を有する抗菌性ペプチドとして、α-ディフェンシン(α-defensin (HNP3))、β-ディフェンシン(β-defensin(TAP))、θ-ディフェンシン(θ-defensin)、ディフェンシン(Defensin(sapecin A))、チオニン(Thionin(crambin))等が挙げられる。4個のジスルフィド結合を有する抗菌性ペプチドとして、ディフェンシン(Defensin)、ドロソマイシン(Drosomysin)、ヘプシジン(Hepcidin)等が挙げられる。αへリックス構造を示さない直鎖の抗菌性ペプチドとして、Bac5、PR−39、インドリシディン(Indolicidin)、アピダエシン(Apidaecin)、ピロコリシン(Pyrrhocoricin)、ヒスタチン(Histatin 5)等が挙げられる。
ヒトを含む動物由来の抗菌性ペプチドを大量に生産するには、遺伝子組み換え技術による異種発現に頼らざるを得ず生産効率および生産コストに課題があるが、植物由来の抗菌性ペプチドは、原料となる植物から抽出することで生産できる。よって抗菌性ペプチドとしては、原料の入手が容易な植物由来の抗菌性ペプチドが好ましく、なかでも容易に入手できるチオニンがより好ましい。チオニンは、大麦、小麦、燕麦、ライ麦等の麦類の穀粒から抽出することができるが、全粒粉、精白された大麦・小麦粉のみならず、従来は廃棄されていた小麦ふすま、大麦糠等からも抽出可能であることから、未利用資源の有効活用という観点からも好ましい。麦類の穀粒中には、チオニンが三種類(α-チオニン、β-チオニン、γ-チオニン)存在する。本発明でいうチオニンとは、α-チオニン、β-チオニオン、γ-チオニンおよびその混合物のいずれかを意味するが、α-チオニンまたはβ-チオニン、あるいはα-チオニンおよびβ-チオニンの混合物がより好ましい。なお本発明においては、抗菌性ペプチドにナイシンA、ナイシンZ、ナイシンQ等のナイシン類は含まない。
本発明の組成物の抗菌活性は、微生物の菌体内から菌体外に流出するアデノシン三リン酸(ATP)の量を指標にして判断することができる。抗菌性ペプチドは、微生物の細胞膜に作用し、細胞膜に孔を形成することによって殺菌効果を発揮することから、形成された孔から菌体外に流出したATPの量が多いほど殺菌活性が高いと判断できる。ATP量の測定は、例えば、ルシフェラーゼによって触媒されるATPとルシフェリンの反応で生じる発光を、例えば光電子増倍管を検出器とした測定装置を用いて測定することができる。
本発明の(B)成分はアルキルセルロース類及びヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種又は2種以上のセルロース誘導体である。当該セルロース誘導体とは、セルロース骨格を有するポリマーの水酸基をアルキル基又はヒドロキシアルキル基で変性(置換)したものであり、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類が挙げられる。これらの中でも抗菌性ペプチドとの相乗効果が優れていることから、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。これらのセルロース誘導体は、単品で使用しても複数のセルロース誘導体を混合して使用してもよい。
なお、ここでのアルキルセルロース類及びヒドロキシアルキルセルロース類から選択されるセルロース誘導体とは、アルキル変性またはヒドロキシアルキル変性のみを行っているセルロース誘導体であり、セルロースの変性の際、異なる2種以上の基を組み合わせて変性を行っているセルロース誘導体、及びアルキル変性あるいはヒドロキシアルキル変性以外の変性を行っているセルロース誘導体は含まない。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようにヒドロキシアルキル変性とアルキル変性とを組み合わせたセルロース誘導体や、カルボキシメチルセルロース(CMC)のようにカルボキシメチル変性を行ったセルロース誘導体は含まない。
これらセルロース誘導体の分子量は特に規定されないが、取扱いが良好なことから、重量平均分子量が10000〜1000000が好ましく、ヒドロキシアルキルセルロースでは30000〜1000000、アルキルセルロースでは13000〜20000がより好ましい。また、変性の割合(置換度)についても特に規定されないが、置換度は0.2〜3.0が好ましく、ヒドロキシアルキルセルロースでは0.4〜3.0、アルキルセルロースでは1.3〜2.6がより好ましい。置換度とは、セルロース骨格を構成するグルコピラノース環にある3つの水酸基の変性率を表したものであり、置換度3で全ての水酸基が置換されたことになる。
本発明の抗菌性ペプチド含有抗菌性組成物は、(A)成分であるナイシンを除く抗菌性ペプチドと(B)成分であるセルロース誘導体を含有する組成物である。(A)成分と(B)成分の配合比は特に規定されないが、抗菌性ペプチドの持つ抗菌効果を向上させる相乗効果に優れることから、(A)成分1質量部に対して(B)成分が0.1〜100000質量部であることが好ましく、1〜10000質量部であることがより好ましく、1〜1000質量部であることが更に好ましい。
本発明の抗菌性ペプチド組成物は、更に(C)成分を配合することで、抗菌性ペプチドの持つ抗菌効果を向上させる相乗効果を更に向上させることができる。(C)成分はキレート剤であり、キレート効果を持つ公知のキレート剤であれば特に指定されない。キレート剤としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等のリン酸及びその塩;ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミノ五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、β-アラニン二酢酸(ADA)、セリン二酢酸(SDA)等のアミノポリ酢酸及びその塩;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸や、グルコール酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩;ポリアクリル酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリアセタールアクリル酸等の高分子及びその塩が挙げられる。なお塩としてはナトリウム塩やカリウム塩が挙げられ、ナトリウム塩であることが好ましい。これらのキレート剤の中でも、保存安定性が良好で、相乗効果が優れていることから、アミノポリ酢酸及びその塩が好ましく、アミノポリ酢酸塩がより好ましく、エチレンジアミン四酢酸塩が更に好ましい。
(C)成分の配合比は特に規定されないが、抗菌性ペプチドとの相乗効果が優れていることから、(A)成分1質量部に対して(C)成分が0.004〜4000質量部であることが好ましく、0.04〜600質量部がより好ましく、0.4〜60質量部が更に好ましい。
本発明のペプチド含有抗菌性組成物はそのままでも使用できるが、溶媒を添加して、液状、半固形状又は固形状等の種々の形状にして使用することもできる。溶媒は種類を選ばず、水、水溶性溶剤、油溶性溶剤のいずれも使用することができるが、本発明の組成物は、主に医薬品や医薬部外品あるいは化粧品に好適に使用できるため、安全性の高い溶剤の使用が好ましい。
安全性の高い溶剤として水が挙げられるが、水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。油溶性溶剤としては、例えば、オリーブ油、大豆油、ナタネ油、ひまし油、パーム油、ヤシ油、コーン油、落花生油等の植物油;豚油、牛脂等の動物油が挙げられ、その他ミツロウ、ワセリン等も使用することができる。これらの溶媒は、本発明の用途によって適宜選択すればよい。
本発明の抗菌性ペプチド組成物は、殺菌や抗菌を要する用途であればいずれの用途にも使用することができるが、安全性が高いことから、医薬品や医薬部外品あるいは化粧品に使用することが好ましい。具体的には、手指用洗浄殺菌剤、口腔内洗浄剤、歯磨き剤、制汗剤、外用抗菌薬等が挙げられる。従来から使用されている殺菌剤は、皮膚刺激性が大きく、標的である細菌のみならず皮膚組織の修復に寄与する細胞、例えば免疫細胞、線維芽細胞、及び表皮細胞に対しても毒性を示す問題がある。例えば、一般的な皮膚疾患であるニキビ(尋常性座瘡)は、皮脂分泌の増加による毛嚢皮脂線の閉塞、及びアクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス)の異常増殖が原因で起こることが知られている。ニキビの予防や治療における抗生物質の使用は、副作用や耐性菌が発生するという問題があり、イオウやサルファ剤等の角質の剥離剤の使用は、皮膚刺激性という問題がある。本発明は、皮膚への刺激性が低くかつ安全性の高い、皮膚疾患の予防や治療用の組成物を提供することができる。
また別の用途としては、例えば、家庭用・業務用の厨房、調理器具、食品加工工場、食品素材製造工場などにおいて、食品危害微生物の殺菌に使用できる。
これらの用途に本発明の抗菌性ペプチド組成物を使用する際、本発明の組成物の濃度は特に規定されないが、抗菌性ペプチドの抗菌上有効量として0.1〜1,000ug/mlが好ましく、0.5〜500ug/mlがより好ましく、1〜100ug/mlが更に好ましい。1ug/ml未満になると抗菌効果が得られない場合があり、100ug/mlを超えると使用する抗菌性ペプチドの量が多くなるため経済的に不利になる。
本発明の抗菌性ペプチド組成物は、ナイシンを除く抗菌性ペプチドに(B)成分を配合することにより、当該抗菌性ペプチドの抗菌活性を向上させることができ、(C)成分を配合することにより、抗菌性ペプチドの抗菌活性を更に向上させる。また、通常、抗菌活性の向上と共に上昇する細胞毒性を上昇させない。
本発明の抗菌性ペプチド組成物は、複数の種類の菌に対して殺菌あるいは抗菌効果を示すが、グラム陽性菌の殺菌に使用することが好ましい。グラム陽性菌としては、例えば、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、バチルス属(Bacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、好ましくは、スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する微生物が挙げられる。
一方で、抗菌性ペプチドはグラム陰性菌に対する効果が低いことが知られている。本発明においては、抗菌性ペプチドに(B)成分を配合することにより、グラム陰性菌に対する抗菌性ペプチドの抗菌活性を向上させ、抗菌性ペプチドの抗菌スペクトルを改善することができる。また(C)成分を配合することにより、抗菌性ペプチドの抗菌活性を更に向上させることが可能になる。グラム陰性菌としては、例えば、エッシェリヒア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア属(Serratia)、好ましくは、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)に属する微生物が挙げられる。
また抗生物質耐性菌に対しても抗菌性ペプチドは有効であり、 例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、カルバペネム耐性緑膿菌、カルバペネム耐性セラチア、第三世代セファロスポリン耐性大腸菌、第三世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌、多剤耐性アシネトバクターなどに対しても殺菌効果を有する。
さらに真菌類に対しても抗菌性ペプチドは有効であり、例えば、ユーロチウム属(Eurotium)、ワレミア属(Wallemia)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ムコール属(Mucor)、アルタナリア属(Alternaria)、ピキア属(Pichia)、好ましくは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)に属する真菌が挙げられる。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。
<チオニンの精製>
大麦BL−100(株式会社ADEKA社製)40gを320mLのイオン交換水により攪拌後、遠心分離機により沈殿を洗浄・回収した。同様の操作をもう一度繰り返した大麦洗浄サンプルに160mLの0.2Mクエン酸水溶液を添加し、攪拌しながら30分間室温でチオニンを抽出した。抽出後、遠心分離機により上清を回収し、1N水酸化ナトリウム水溶液を滴下して中和した。この粗抽出液をイオン交換クロマトグラフィーカラム(HiTrap CM FF:GEヘルスケア社製)及びゲル濾過クロマトグラフィーカラム(HiPrep SEPHACRYL S-200 High Reaolution:GEヘルスケア社製)によるカラム精製によりチオニン精製品を得た。カラム操作は、低圧クロマトグラフィーシステム(BioLogic LP システム:バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)により実施した。
イオン交換クロマトグラフィーカラム(カラム容量1mL)は、50mMリン酸緩衝液(pH7.5、室温、流速1mL/分)によりチオニンの吸着、洗浄を行い0.5M、NaClを含むリン酸緩衝液によりチオニンを溶出させ、チオニン活性画分を回収した。ゲル濾過クロマトグラフィーカラム(カラム容量120mL)は、0.5M、NaClを含むリン酸緩衝液によりカラムを洗浄、平衡化後にイオン交換クロマトグラフィーカラムにより得た試料(チオニン活性画分2mL)を室温で添加し、流速0.5mL/分によりチオニンを分離した。
ゲル濾過クロマトグラフィーカラムにより得られたフラクションは、チオニン活性およびタンパク濃度を測定後に、ペプチド分離用のSDS−PAGEによりチオニンの精製度および分子量を確認した。このチオニン活性画分(チオニン精製品)を以後の実験に使用した。SDS−PAGEは、ミニプロテアンTetraセル(バイオ・ラッドラボラトリー社製)を使用し、ゲル電気泳動ガイド(バイオ・ラッドラボラトリー社)記載の方法により実施した。
<チオニン活性相乗効果>
各種化合物がチオニン活性(細胞膜損傷)に及ぼす効果を、標的微生物細胞(St. aureus NBRC12732)から溶出したATPの濃度を測定することで評価した。試験は、弱酸性水溶液(McIlvaine 緩衝液pH5.0)にチオニンを25μg/ml添加し、更に下記の各種試験化合物を0.1質量%になるように添加して均一になるまで攪拌した後、標的微生物細胞(St. aureus)と接触させATP濃度を測定した。ATP濃度が高いほど、チオニン活性が高いことになり、チオニン活性の相乗効果が認められることになる。なお比較のため、チオニンを添加せずに各種試験化合物のみ(0.1質量%)での試験も行った。結果を表1に示す。
HPC2 :ヒドロキシプロピルセルロース(2%,20℃)2.0〜2.9mPa・s(和光純薬社製)
HPC150:ヒドロキシプロピルセルロース(2%,20℃)150〜400mPa・s(和光純薬社製)
MC15 :メチルセルロース(2%,20℃)13〜18mPa・s(和光純薬社製)
MC100 :メチルセルロース(2%,20℃)80〜120mPa・s(和光純薬社製)
HPMC :ヒドロキシプロピルメチルセルロース(和光純薬社製)
CMC :カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(和光純薬社製)
Triton X-100:ポリオキシエチレンオクチルフェノール(ナカライテスク社製)
Mydol 10 :アルキルグルコシド(花王株式会社製)
Tween 80 :ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(和光純薬社製)
Sorbitol :ソルビトール(和光純薬社製)
Figure 0005894457
種々のセルロース誘導体やその他の界面活性剤の効果について試験した。チオニンのみ(添加剤なし)の効果と比較すればわかるように、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース及び各種界面活性剤でチオニンとの相乗効果が確認できる。中でもヒドロキシプロピルセルロースとメチルセルロースで相乗効果が大きい。アルキルグルコシドもチオニン添加でATP濃度が大きくなるが、アルキルグルコシドはそれ自身の溶菌活性が高く、相乗効果はヒドロキシプロピルセルロースやメチルセルロースほどではない。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやソルビトールには相乗効果が見られず、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩は、逆に活性を弱める働きがある。
<キレート剤の効果>
チオニンにセルロース誘導体及びキレート剤を添加したときのチオニンの抗菌活性(MIC)を測定した。GP培地(グルコース・ペプトン培地)に各種濃度のチオニン、セルロース誘導体としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を0.1質量%及びキレート剤としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)を0.004質量%になるように添加し、クロカビ(Cladosporium cladosporioides IFO6348)胞子を供試菌として、最小発育阻止濃度(MIC)を25℃で5日間培養後の胞子の発芽抑制・菌糸伸張阻止効効果を判定した。チオニン以外の添加剤の濃度を固定し、チオニンの濃度を変化させたときの、クロカビ胞子の発芽抑制・菌糸伸張阻止効効果が確認できた最小濃度をMICとした。表2に結果を示す。
Figure 0005894457
++:クロカビの発芽あるいは菌糸伸張が確認される
+:わずかだがクロカビの発芽あるいは菌糸伸張が確認される
−:クロカビの発芽あるいは菌糸伸張が確認できない
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを添加してもMICは変化せず、添加効果は得られないが、HPCは明らかな添加効果が確認できた。また、単独では添加効果が確認できなかったEDTA・2NaをHPCと併用すると、HPC単独よりチオニンの活性が高くなることから、キレート剤の併用による相乗効果が確認できた。
<溶血性試験>
溶血性試験により、人体等に対する安全性を評価した。溶血性試験は、細胞毒性の指標とされる試験法である。溶血活性は、壊れた赤血球細胞から溶出したヘモグロビンを指標として評価した。赤血球細胞は、緬羊保存血液<SHEEP>(日本バイオテスト研究所社製)をリン酸緩衝生理食塩水(生理食塩水)で洗浄し調製した。各種試験化合物をリン酸緩衝生理食塩水に添加し、更にチオニンと赤血球細胞を混合し、37℃で35分間放置後に上清の吸光度(540nm)を測定した。具体的な配合は表3及び表4に示した。なお、測定結果の算出方法は、界面活性剤(Triton X-100)を0.2質量%で作用させ、赤血球細胞が完全に溶血した時の吸光度を基準(100%)とし、下記の式から溶血活性を算出した。溶血活性の値が低いほど細胞毒性が低いことになる。溶血性試験1〜18の結果を表3及び表4に示す。
溶血活性(%)=(測定した吸光度/基準の吸光度)×100
(試験化合物)
ポリオキシエチレンオクチルフェノール(Triton X-100、ナカライテスク社製)
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80、和光純薬社製)
アルキルグルコシド(Mydol10、花王株式会社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、和光純薬社製、20℃:2.0〜2.9mPa・S)
メチルセルロース(MC15、和光純薬社製、20℃:13〜18mPa・S)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA、同仁化学研究所社製)
Figure 0005894457
Figure 0005894457
活性剤(Triton X-100、Mydol 10、Tween 80)は抗菌ペプチド併用時に抗菌活性の相乗効果を示すが,細胞毒性を上昇させる問題が確認できた。一方セルロース誘導体では、チオニンと併用時にも溶血活性を上昇させることなく低く維持できる。つまり細胞毒性を上昇させることなく,微生物細胞選択的に抗菌活性を増強することが可能になり、チオニンを低濃度で使用することで好ましい効果を得ることができ,結果として細胞毒性を低く抑えることが可能になる。またセルロース誘導体とEDTAとの併用時にも同様の効果が確認できた。

Claims (5)

  1. (A)成分としてチオニン、(B)成分としてアルキルセルロース類及びヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種又は2種以上のセルロース誘導体及び(C)成分としてキレート剤を含有することを特徴とするペプチド含有抗菌性組成物。
  2. (A)成分1質量部に対して(B)成分が0.1〜100000質量部であることを特徴とする請求項に記載の抗菌性組成物。
  3. (C)成分がカルボン酸型キレート剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性組成物。
  4. (A)成分1質量部に対して(B)成分が0.1〜100000質量部、(C)成分が0.004〜4000質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性組成物。
  5. チオニンの抗菌活性を、アルキルセルロース類及びヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種又は2種以上のセルロース誘導体及びキレート剤を共存させることで増強させる方法。
JP2012036500A 2012-02-22 2012-02-22 ペプチド含有抗菌性組成物 Active JP5894457B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012036500A JP5894457B2 (ja) 2012-02-22 2012-02-22 ペプチド含有抗菌性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012036500A JP5894457B2 (ja) 2012-02-22 2012-02-22 ペプチド含有抗菌性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013170160A JP2013170160A (ja) 2013-09-02
JP5894457B2 true JP5894457B2 (ja) 2016-03-30

Family

ID=49264329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012036500A Active JP5894457B2 (ja) 2012-02-22 2012-02-22 ペプチド含有抗菌性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5894457B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3046540B1 (en) * 2013-09-19 2019-08-28 Skirdle, LLC Antimicrobial compositions
US20180086694A1 (en) * 2016-09-23 2018-03-29 Michael Lisle Howell Disinfecting compositions having improved antimicrobial efficacy
JP2019034921A (ja) * 2017-08-15 2019-03-07 基嗣 田島 殺菌・抗菌用組成物
JP7217054B2 (ja) * 2017-08-15 2023-02-02 基嗣 田島 殺菌・抗菌用組成物
CN107996630A (zh) * 2017-12-08 2018-05-08 陕西科技大学 一种抗菌药剂及其制备方法及制备的抗菌香皂和方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61126014A (ja) * 1984-11-22 1986-06-13 Teijin Ltd 経鼻投与用水性液剤
DE68913189T2 (de) * 1988-06-22 1994-05-19 Applied Microbiology Inc Nisin-zusammensetzungen zur anwendung als erhöhte breit-spektrum-bakterizide.
NZ244737A (en) * 1989-02-21 1993-09-27 Viskase Corp Food packaging polymeric film containing antibiotic material; method of treating foodstuff and food casing therefor
US5171526A (en) * 1990-01-05 1992-12-15 Allergan, Inc. Ophthalmic compositions and methods for preserving and using same
JP2818056B2 (ja) * 1990-09-07 1998-10-30 森永乳業株式会社 抗菌性ペプチドおよび抗菌剤
JPH05255109A (ja) * 1992-09-03 1993-10-05 Morinaga Milk Ind Co Ltd 抗菌剤とこの抗菌剤を用いて物品を処理する方法
WO1999057155A1 (en) * 1998-05-01 1999-11-11 The Procter & Gamble Company Laundry detergent and/or fabric care compositions comprising a modified antimicrobial protein
US6835536B2 (en) * 2001-08-21 2004-12-28 Micrologix Biotech Inc. Antimicrobial cationic peptides and formulations thereof
JP3757268B2 (ja) * 2001-08-22 2006-03-22 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 ペプチドとキレート剤を含む殺菌性組成物
US20040009181A1 (en) * 2002-05-21 2004-01-15 Lipton James M. Treatment of ophthalmic conditions
JP5613779B2 (ja) * 2011-01-19 2014-10-29 株式会社メニコン コンタクトレンズ用液剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013170160A (ja) 2013-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Boparai et al. Mini review on antimicrobial peptides, sources, mechanism and recent applications
US20240091332A1 (en) Compounds and methods for biofilm disruption and prevention
Wolfmeier et al. New perspectives in biofilm eradication
JP5894457B2 (ja) ペプチド含有抗菌性組成物
EP2520605B1 (en) Method for producing biocidal polyguanidine, and biocidal polyguanidine
TWI527521B (zh) 減少生物膜的方法
Ahn et al. The synthetic human beta-defensin-3 C15 peptide exhibits antimicrobial activity against Streptococcus mutans, both alone and in combination with dental disinfectants
EA201370145A1 (ru) Антимикробные средства
KR102038487B1 (ko) 텔로머라제 펩티드를 포함하는 항균 또는 항진균용 조성물
BRPI0913293B1 (pt) Método in vitro para inibir a formação de uma biopelícula compreendendo bactérias staphylococcus epidermidis e/ou staphylococcus aureus, e composição farmacêutica tópica compreendendo um quelador de zinco
JP6091416B2 (ja) キレート剤およびペプチド抗微生物剤化合物の使用
US20230167420A1 (en) Transglutaminase variants
CN110227145B (zh) 抗菌蛋白
KR20190130741A (ko) 매실 발효물을 포함하는 천연 항균조성물의 제조방법 및 그 제조방법에 따라 제조된 천연 항균조성물
CA2707093A1 (en) Thuricin cd, an antimicrobial for specifically targeting clostridium difficile
EP3160487B1 (en) Antimicrobial compositions for the veterinary field
KR102320505B1 (ko) 메조-2,3-부탄디올을 함유하는 항균용 조성물
EP2681996A1 (en) Biocidal compositions
Dawson et al. Characterisation and evaluation of synthetic antimicrobial peptides against Bacillus globigii, Bacillus anthracis and Burkholderia thailandensis
KR101390084B1 (ko) 슈퍼박테리아에 대한 항균 활성 및 항염증 활성을 나타내는 냉이 추출물을 유효성분으로 포함하는 조성물
JP2005120050A (ja) 新規抗菌性ペプチドとその利用
JP2017531671A (ja) メゾ−2,3−ブタンジオールを含有する組成物
KR101430084B1 (ko) 프로피오니박테리움 아크네스에 작용하는 신규한 항생 펩타이드 및 이의 용도
JP5909821B2 (ja) ナイシン含有抗菌性組成物
JP4904479B2 (ja) ナイシン含有洗浄剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160226

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5894457

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151